「no」と一致するもの

米国最高裁は6月末に、二酸化炭素に関する温室効果ガス規制問題を、最も重要な環境問題の一つであるとし、審議することを決めた。10月に始まる2006-07年度で審議、来年6月頃に判決が出ると見られる。

「マサチュセッツ州 vs 連邦EPA」裁判と呼ばれる裁判で、12の州や環境団体がEPAに対して Clean Air Act に基づき二酸化炭素等の排出規制をするべきだと訴えたもの。

原告側は二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)が気候の変化をもたらし、国民の健康と福祉を損なうとして規制すべきだと主張している。

これに対して自動車メーカー等はディーゼル等と異なり、二酸化炭素は人体に直接害を与えないとして反対、EPAは二酸化炭素はClean Air Actでの汚染物質ではないと主張した。
控訴審は、もっと科学的、技術的な研究が必要であるとの理由で、EPAは
Clean Air Actの下で自動車排気ガス規制を行わなくてもよいと判断した。(判断は2:1)

ッシュ政権は二酸化炭素規制は法律のよるのではなく、産業界の自主規制や新技術開発により行うべきだとしている。

原告側は、Connecticut, Illinois, Maine, Massachusetts, New Jersey, New Mexico, New York, Oregon, Rhode Island, Vermont, Washington の諸州で、Baltimore, New YorkWashington, D.C.などの市、アメリカ領サモア及び Union of Concerned Scientists, Greenpeace, and Friends of the Earth などの団体が加わっている。.

多くの州は地球温暖化の観点に立っているが、ニューヨーク州は発電所の公害規制を主眼にしている。

これに対して中部の10州はブッシュ政権の側に立ち、最高裁が自動車排気ガス問題に関与しないよう要請していた。

最高裁が12州側に立った場合、直接には自動車の排気ガスのみが対象となるが、そのような判断は発電所等からの二酸化炭素規制への圧力となるとみられ、地球温暖化にからむ多くの裁判に影響を与える。
二酸化炭素排出は発電所が全体の4割、自動車やトラックはその半分と推定されている。

12州のうちカリフォルニア州は特異な立場にある。同州は連邦EPAが1970年にClean Air Act に基づき設立されたのに先立ち、1967年にAir Resources Board を設置し、翌年に自動車の公害規制を行っており、そのことから固有の公害規制を行う権利を与えられている。
2004年にカリフォルニア州は自動車の二酸化炭素排出を規制、これに対して自動車メーカーは二酸化炭素を汚染物質と誤って定義しているとして訴訟している。

2006/6/30 「バイオエタノールの状況」に下記を追加します。

米エネルギー省は7月7日、セルロース・エタノールによるガソリン代替へのロードマップを発表した。これは大統領のAdvanced Energy Initiativeに対してBodman長官が発表した「2030年までに2004年の輸送用燃料消費の30%をバイオ燃料に置き換える」という目標達成のためのものである。

タイトルは  Breaking the Biological Barriers to Cellulosic Ethanol: A Joint Research Agenda 
http://www.doegenomestolife.org/biofuels/

7/6記事 「中国、今年の西部開発12事業を発表」の青蔵鉄道」で、
「将来は支線を3本増設し、そのうち1本は、中印国境のドモ(亜東)を終点とし、インド鉄道に接続させる計画だ。
ドモはインド洋への通路の要衝で、7月中に国境市場も再開される予定。」としたが、Nathula_1
中国・インド両国は6日、チベットの亜東県とインドのシッキムを結ぶ乃堆拉(ナトゥラ)峠(Nathu La Pass) を開放し、40年余り中断されていた国境貿易ルートを再開した。乃堆拉峠はかつて「シルクロード」南側の主要ルートで、中国とインドの貿易ルートだった。ラサとインド東部最大の貿易港コルカタの間の約1000kmが陸路で結ばれた。

中国国家発展改革委員会は30日、本年の西部開発12事業を発表した。総額1,654億元を投じる。
 

西部大開は東部沿海地区の経済発展から取り残された内陸西部地区を経済成長軌道に乗せるために国務院が実施している開発政策で、2000年3月の全国人民代表大会で正式決定された。Chinaseibu

当初は甘粛省、貴州省、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、四川省、チベット自治区、新疆ウイグル自治区、雲南省及び重慶市の10省区市が含まれたが、その後、内モンゴル自治区と広西チワン族自治区を追加し、12省区市とした。

これまで70項目の事業が行われたが、目玉には「西気東輸」、「南水北調」、「西電東送」、「青蔵鉄道」がある。

西気東輸」は西部の天然ガスを東部に輸送するもので、新彊のタリム盆地から甘粛、寧夏、陝西、山西、河南、安徽、江蘇、浙江、上海と続く総延長4000キロのパイプラインを建設した。2005年に開通。

南水北調」は長江の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、西北地区と華北地区の各地に引水するもので、東線、中央線、西線の3ルートがある。

西線は長江上流にダムを建設して、長江と黄河の分水嶺に輸水トンネルを掘り、長江上流の水を黄河上流に引くもので、青海省、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区、陝西省、山西省等の黄河上中流域と渭河関中平原の水不足解消が見込まれる。海抜3000~5000mで工事を行う。

西電東送」は西部の火力、水力発電の電力を東部に3つのルートを用いて送電するもの。

北通道は内蒙古自治区、山西省の火力発電所、黄河中上流域の水力発電所から北京・天津への送電網建設計画。
中通道は2009年完成予定の三峡ダムと金沙江流域の水力発電を中心に、上海、江蘇、浙江への送電網を建設する計画。
南通道は雲南、貴州、広西の境界地帯にある天生橋水力発電所から広東省に送電する計画。

7月1日に完成した「青蔵鉄道」は青海省ゴルムドとチベット自治区ラサを結ぶ鉄道で、これにより北京とラサ間が鉄道で結ばれた。
全長1142キロのうち、960キロが標高4千メートル以上で、唐古拉山の最高地点は標高5072メートルで世界一の標高。年間平均気温は摂氏0度以下で、酸素濃度は平地の半分のため、乗客の酸素不足解消のために車内拡散と酸素マスクの2方式で酸素が供給される。自然環境保護のため、トイレ用に真空保持式の汚物処理装置が設置されたほか、車両下部にも汚水処理装置が設置されている。
553キロは永久凍土層を通過するため、地球温暖化による凍土融解のおそれがあり、線路の安全性を懸念する声もある。

将来は支線を3本増設し、そのうち1本は、中印国境のドモ(亜東)を終点とし、インド鉄道に接続させる計画だ。Nathula
中国・インド両国は6日、チベットの亜東県とインドのシッキムを結ぶ乃堆拉(ナトゥラ)峠(Nathu La Pass) を開放し、40年余り中断されていた国境貿易ルートを再開した。乃堆拉峠はかつて「シルクロード」南側の主要ルートで、中国とインドの貿易ルートだった。ラサとインド東部最大の貿易港コルカタの間の約1000kmが陸路で結ばれた。

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本年度の12計画のなかには資源、化学関連では以下の計画が含まれている。

・西部地域の重点炭鉱プロジェクト(内蒙古自治区の勝利1号露天炭鉱、寧夏自治区の梅花井炭鉱)
・四川省でのエチレン80万トン生産プロジェクト
・新疆自治区・羅布泊(ロブノール)でのカリ肥料120万トン生産プロジェクト
・内蒙古での酸化アルミニウム40万トン生産プロジェクト

エチレン計画はPetroChinaが51%、成都市が49%出資する成都石油化学(
Chengdu Petrochemical Co.)によるもので、本年2月に起工式を行った。
エチレン 800千トン、HDPE 300千トン、LLDPE 300千トン、MEG 360千トンのほか、アクリル酸、フェノール、BPA、ブチルゴム等を生産する。
原料ナフサは
 隣接する甘粛省と陝西省のPetroChinaの製油所から貨車で輸送する。

西部地区のエチレンセンターは現在2つだけ。
新疆ウイグル自治区の新疆独山子石油化学(エチレン
22万トンで100万トン新設中)
甘粛省の蘭州石油化学(エチレン
24万トンで45万トン新設中)

カリ肥料計画は「さまよえる湖」として知られる新疆ウイグル自治区の枯渇したロブノール湖の豊富な塩化カリウムを採掘して年間120万トンの硫酸カリ肥料を生産するというもの。2009年の生産開始を目指す。

独電機大手のシーメンスは6月29日、バイエルの診断薬事業を買収すると発表した。金額は約42億ユーロ。

バイエルの2005年の診断薬事業の売上高は14億ユーロで、従業員数は約5千人。主に免疫や血液などの検査・分析機器を手掛ける。

バイエルの診断薬事業はヘルスケア事業部門の一部で、同事業部門は動物薬、大衆薬、糖尿病治療、医薬を扱っている。
同社では動物薬を含む医薬品に集中するため売却するとしている。
糖尿病治療と(合併する)シェーリングのX線造影剤は売却対象に入っていない。
同社ではこの売却はシェーリング売却資金確保とは無関係としている。

シーメンスはMedical Solutions Group で以下のような多くの医療機器を扱っている。
血管検査方法、蛍光透視システム、磁気共鳴画像(MR)、核医学診断装置、C型アームがついたX線装置、泌尿器科システムと診察台、断層撮影装置、ヘルスケアに関するIT統合ソリューション、Mammography(乳がん管理)、放射線腫瘍ソリューション、放射線画像システム、超音波診断装置、その他

同社ではこの事業を重点事業に位置づけ、強化を図っている。

2005年にはポジトロン放出断層撮影法(PET)大手のCTI Molecular Imaging, Inc.を買収した。 シーメンスは1987年にCTIとの合弁会社CTI PET Systems を設立している。
また本年
4月には米国の免疫診断大手、Diagnostic Products Corporation (DPC) の買収を発表している。

シーメンスでは医療機関の検査・分析機器に強みがあるバイエルの事業買収により、画像診断、試験診断、ITを統合したヘルスケア産業での最初の統合診断会社になるとしている。

シーメンスは日本では旭化成との合弁のシーメンス旭メディテックで CT、MRI、血管撮影装置などの大型画像診断装置を扱っている。

 

シーメンスは6月に、通信機器大手のフィンランドのノキアのネットワークス事業部とシーメンスのキャリア関連ビジネスを新会社に統合し、50/50の新会社ノキア・シーメンス・ネットワークスを設立すると発表した。固定およびモバイル・ネットワーク・インフラストラクチャとサービスの成長分野で確固たる地位を持つグローバル・リーダー企業を生み出すとしている。

 

SINOPEC天津分公司の100万トンエチレン計画が6月26日、天津浜海新区の大港石油化学基地で着工した。


Tianjintanggu 浜海新区は天津市の東部、渤海湾に面した区域を指す。独立した行政単位ではなく、
塘沽TangGu、漢沽Hangu、大港Dagangの3つの行政区と経済技術開発区、保税区などから構成される一種の大開発区。今回の立地は天津港の南の大港区である。

同社は旧称SINOPEC天津聯合化学(SINOPEC Tianjin United Chemical Co.)で、同地区に500万トンのリファイナリーと石油化学、化学繊維のコンビナートをもっている。

既存能力は以下の通り(単位 千トン)
 エチレン 200、PE 120、PP
60、EO 22、EG 48
 BTX
600、PX 250、PTA 300Polyether Polylol 43
 Polyester 200PET Staple Fibre 100PET Filament 90, Film-grade Chips 80

SINOPECと天津市は大規模石化計画をたて、最初はダウケミカルと中国側(SINOPEC/天津市)の50/50 JV検討された。
エチレン80~90万トン、L-LDPE、VCM、PVC、SM、PO、PG、エポキシ等を生産する計画であったが、ダウが経済性を理由に撤退した。

その後、天津市は外資企業の参加を求め、
サウジアラムコとの合弁の報道もあった。またSABICも2004年4月にSINOPECに対して本計画に関心ありとの意向を示したが、そのときは進展はなかった

SINOPECは昨年末、政府から単独での大拡張計画の承認を受けた。
(本年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがSINOPECとの交渉を再開したという報道もある。)

既存の
500万トンの製油所を1250万トンに拡張し、エチレン100万トンを新設するもの。

完成予定は2009年で、完成すれば同施設は、1,250万トンの石油精製能力、120万トンのエチレン生産能力を一体化した生産拠点の1つとなる。人民日報はプロジェクトの着工は、大型エチレン生産基地を独自建設する能力が中国にあることを示すものとしている。

新設するエチレンは100万トンで、誘導品は以下の通り。
 LDPE 300千トン
 HDPE 300千トン(INEOS 
Innovene S Process 
 PP   450千トン
 EOG  420千トン(ダウ技術)
 その他

SINOPECは石油関連のインフラ整備を進める。
まず天津港に377万バレルの貯蔵設備を建設中。

また、北京のSINOPEC北京燕化石油化工(旧称燕山石化)との間に230kmの石油パイプラインを建設し両工場のタンクを接続する。
更に天津港に新しく3つのバースを建設する。

いずれも2007年末に完成させる。Beijintianjinmap

人民日報は以下の通り述べている。
プロジェクトの内容には、エチレン生産施設の建設、石油精製施設の改造、火力発電所の改造が含まれる。
プロジェクトは「地域化、大型化、一体化、専門化」のモデルに沿って進められる。
全体のバランスを考慮しながら、施設の配置をコンパクトにまとめ、生産プロセスの短縮、資材の内部相互供給、用地の集約的利用、投資節約、コストダウンなどを実現している。
建設用地には荒廃したアルカリ土壌の地を選び、工業用水の増加分は、海水の淡水化や水の再利用でほぼまかなう。
また、国内外の進んだクリーン生産技術や効率性の高い設備を採用し、汚染物の分類処理や廃棄物の総合利用を強化して、節約型、生態型かつ環境配慮型の生産工程を実現する。
同プロジェクトはさらに、エチレン生産設備の国産化プロジェクトの側面も持つ。
同分野での国産化水準の向上を図り、設備製造業の進歩や、川下分野である石油化学工業の発展を促すことになる。

 

6月24日の日本経済新聞は「欧州石油大手 バイオ燃料投資本格化」としてBPやシェルの動きを伝えている。

原油価格高騰を受け、各国でバイオエタノール事業が進められている。

2005年の世界のエタノール生産量は122億ガロン、うち、米国が43億ガロン、ブラジルが42億ガロンとほぼ並んでいる。

現在は米国では原料はコーンが中心である。ブッシュ大統領は再生可能燃料協会でのスピーチで自動車燃料にエタノールを利用することは、①エネルギー安全保障、②農業振興、③雇用創出、④税収増加、⑤地球温暖化防止、⑥ガソリン添加剤のMTBEの代替の利点があるとしている。

米国の2005年エネルギー政策法では2012年までに75億ガロンのエタノール及びバイオディーゼルの使用を義務づけている。本年5月にはMTBEのOxygenateとしての添加義務はなくなり、オクタン価向上剤としてはエタノールがMTBEに代わり使用されることとなったこともエタノールにとって追い風となった。
米国の本年
1月現在のエタノール生産能力は95ヶ所 43億ガロンだが、建設中の工場は35ヶ所 20億ガロンに及ぶ。

主なメーカーは次ぎの通り。(2006/1現在 再生可能燃料協会 単位百万ガロン)

  操業中 建設・
増設中
合計
Archer Daniels Midland  1,070    1,070
VeraSun Energy   230     230
Aventine Renewable Energy   150    57   207
Hawkeye Renewables    50   150   200
ASAlliacnes Biofuels     200   200
Midwest Grain Processors    50   102   152
US BioEnergy     145   145
New Energy   102     102
Advanced Bioenergy     100   100
米国合計  4,336  1,981  6,317

現在のエタノール原料はコーンやサトウキビが中心で、食料・飼料や砂糖を燃料に変えることを意味する。精糖工業会によるとサトウキビがエタノール用に回った結果、砂糖の平均輸入価格がこの4月には2000年の倍以上となっている。

このため、セルロースを原料にする使うセルロース・エタノールの開発が進んでいる。
トウモロコシなら軸・葉・茎の部分、木くず、稲わら、麦わら、建築廃材、紙くず、雑草のセルロース(
植物繊維)の利用である。
セルロースはそのままでは発酵が難しいため利用されていなかったが、セルロース分解酵素を使って糖に変えて醗酵させる。

ブッシュ大統領は一般教書演説 (2006/1/31) で「先進的エネルギー・イニシアティブ」として2025年までに中東からの原油輸入の75%を代替燃料に置き換えるという国家目標を示したが、そのなかで、農林業廃棄物である木片や茎やスイッチグラスのセルロースを原料とするエタノール製造の研究予算として2007年度に1.5 億ドル計上し、2012 年迄に商用化するとしている。(スイッチグラスは土壌侵食対策に用いられる丈の高い多年生植物)

因みに「中東からの原油輸入の75%を代替燃料に置き換える」ということにサウジが「折角増産に努めているのに」と反発、米政府は弁解に追われている。

現在、世界最大規模の工場を持つのはカナダのアルコールメーカー、Iogenシェル 、ゴールドマンサックス、ペトロカナダ、カナダ政府が出資しており、シェルと技術面で提携している。カナダ政府の諸機関とも提携している。
同社は
セルロースを分解する高性能の酵素を使用し、麦わらを原料に1日50トンのエタノールを生産しており、シェルと組んでカナダで世界で最初の商業生産プラント建設を計画している。(6/24の日経記事で「イノゲン」とあるのは間違い)

同社は又、本年1月、シェルとフォルクスワーゲンと組んで、ドイツでセルロース・エタノールのFSを実施すると発表している。

シェルはIogenとの提携によるバイオエタノールを含め、これまでに代替エネルギー研究に10億ドル以上を投資している。
ドイツの
CHOREN Industries と提携し、同社のバイオマスのガス化技術とシェルのガス液化技術を組み合わせ木片等からディーゼル油をつくる研究をしている。風力発電では米国で事業を拡大しており、中国でも神華集団と提携している。太陽電池ではCIS太陽電池‘thin filmの開発を進めている。

BPは本年6月、新しいクリーンな燃料生産を目指して BP Energy Biosciences Instituteを設立し、今後10年間に5億ドルを投入すると発表した。http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7018719

また同社は同月、デュポンとパートナーシップをつくり、次世代のバイオ燃料を開発、製造、販売すると発表した。デュポンのバイオ技術とBPの燃料技術及び販売ノウハウを統合するもの。まず英国でバイオブタノールを販売する計画で、British Sugarと提携してエタノール醗酵設備をバイオブタノール用に改造する。BPとデュポンは燃料用に栽培する非食用穀物や成長の早い草を原料とすることを狙っている。

同社は昨年11月に代替エネルギー政策を発表している。太陽電池、風力、水素CCGT複合サイクルガスタービン)等への投資を今後10年間で80ドル行う。
http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7012352

日本でもバイオエタノールの開発を行っている。

三井造船と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は昨年6月に岡山県真庭市にバイオエタノール実証プラントを建設した。木質系バイオマスを主原料とするエタノール製造技術実証試験事業で、「酵素を利用したセルロースの糖化技術」、「C5糖、C6糖の同時発酵が可能な遺伝子組換え菌を利用する発酵技術」の実証研究を行っている。

日揮は農作物の茎や芯、廃木材などの木質系残渣等バイオマス資源の燃料化技術に着目し、米国アルケノール社Arkenol, Inc.)との独占提携により同社が所有するバイオエタノール製造特許技術の商業化実証研究を続けており、2002年には鹿児島県出水市のNEDO出水アルコール工場内に、NEDOの委託事業としてパイロットプラントを建設し、自社のプロセス技術・開発技術の工業化ノウハウを組み合わせて本技術の商業化への技術蓄積を行なってきた。
同社は本年6月、米国で廃木材を原料とする自動車燃料用バイオエタノール製造・販売事業を実施するため、アルケノールとの間で事業開発基本協定を締結したと発表した。

 

付記

2006/7/7 米エネルギー省はセルロース・エタノールによるガソリン代替へのロードマップを発表した。これは大統領のAdvanced Energy Initiativeに対してBodman長官が発表した「2030年までに2004年の輸送用燃料消費の30%をバイオ燃料に置き換える」という目標達成のためのものである。

タイトルは  Breaking the Biological Barriers to Cellulosic Ethanol: A Joint Research Agenda
http://www.doegenomestolife.org/biofuels/

武田薬品は28日、米国アボットとの50:50の合弁会社のTAPファーマシューティカル・プロダクツ(TAP)との間の2000年3月期から2005年3月期の6年間の製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が武田に過少に配分されているとして、移転価格税制に基づき、大阪国税局より所得金額で6年間で1,223億円の所得の更正を受け、約570億円の追徴税額を課せられたと発表した。

移転価格税制は1986年に基本的法規が制定されたもので、通常は異なる国の親子会社間での取引に対して適用されるもの。
親子会社間では価格が自由に決められることから、税率の高い国の所得を減らして税金を回避するのを防止するため、そのような取引価格については税務当局が査定して「独立企業間価格」に置き換え、所得を修正する。

TAPは1985年に武田とアメリカのアボットとの50/50合弁で設立され、2005年の売上高は32億ドル、全米第14位の医薬品企業。

武田は、
TAPとの取引価格はアボットの合意なしには決められず、独立企業間価格であり、移転価格税制が適用されるべきものではない、
価格を安くすればTAPの利益が増えて半分がアボットにいくため、武田にとってTAPに所得を移転する意図や動機はないとして、徹底抗戦の構え。
追徴税額は返還されるものとみなし、業績は修正せず、追徴分は貸借対照表には固定資産の「長期仮払税金」として計上する。

国税局側の主張は不明だが、通常は50/50JVとの取引価格は独立企業間価格とみられ、移転価格税制は適用されず、武田側の主張は当然である。

 

移転価格税制では独立企業間価格はまず、「伝統的な取引基準法」で検討され、それが適用できない場合には「その他の方法」で検討する。日本から米国子会社への取引価格の例では方法と問題点は以下の通りとなる。

① 伝統的な取引基準法

 ・独立価格比準法(CUP法)
   同種製品の独立企業間(日本→米国)の取引価格を検討
   (比較可能性の高い取引の選定が困難)

 ・再販売価格基準法(RP法)
   米国の比較可能な同業の財務データに基づいて販売会社がどの程度の売上利益率を計上しているかを検討
   (取扱製品の類似性が厳格に要求され、比較可能な同業の財務データの取得は困難) 

 ・原価基準法(CP法)
    日本の比較可能な同業の財務データに基づいて製造原価に対してどの程度利益の上乗せをしているかを検討
    (比較可能な同業の
売上総利益データの取得は困難)

② その他の方法
 ・利益分割法(PS法)
    連結ベースでの営業利益がどのような割合で日本本社ならびに米国販売子会社で分けられるかを検討

 ・取引単位営業利益法(TNMM法 平成16年度税制改正により導入)
    再販売価格基準法が売上総利益を見るため製品の類似性が要求されるが、こちらは
営業利益率を検討
    (類似した子会社機能で類似した業界であれば、同種製品でなくとも営業利益率はほぼ一定という経済仮説)

武田によると、国税局はTAPへの抗潰瘍薬の販売で武田の利益配分が不当に低いとしているとのことで、利益分割法(PS法) での判断ではないかと思われる。

参考 KPMG資料 http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/tax/200511_1/01.html

 

移転価格税制による更正の実績は以下の通り。

具体例 (単位:百万円)

年月 会社名 更正所得額 更正税額 対象取引 管轄国税局

2006年6月

武田薬品工業

122,300

57,000

医薬品

大阪国税局

2005年6月

TDK

21,300

12,000

電子部品等

東京国税局

2005年6月

ソニー

21,400

4,500

ロイヤリティ

東京国税局

2005年5月

日本金銭機械

3,400

1,600

紙幣識別機

大阪国税局

2005年3月

京セラ

24,300

13,000

電子部品等

大阪国税局

20046

本田技研

25,400

13,000

ロイヤリティ等

東京国税局

20038

太陽誘電

N/A

1,700

ロイヤリティ

東京国税局

200211

ローランド

1,000

330

電子ピアノ

大阪国税局

20004

コカコーラジャパン

45,000

17,000

ロイヤリティ

東京国税局

199910

ファイザー製薬

4,500

2,700

金利

東京国税局

19992

チバガイギー

8,000

3,300

医薬品

大阪国税局

199811

ネスレ日本

1,500

700

ロイヤリティ

大阪国税局

19987

曙ブレーキ

500

300

N/A

東京国税局

19987

バクスター

15,000

6,000

医療機器

東京国税局

19987

山之内製薬

54,100

24,200

ロイヤリティ

東京国税局

19987

村田製作所

13,700

5,500

電気機器

大阪国税局

19979

ジャーデンワインズ

16,000

7,000

ワイン

東京国税局

19956

日本ロシュ

14,000

6,000

化学薬品

東京国税局

199512

シマノ

2,000

800

ロイヤリティ

大阪国税局

199411

P&G

2,000

800

家庭用品

大阪国税局

199410

ヘキストジャパン

7,000

3,000

医薬品

東京国税局

19949

日本グッドイヤー

1,400

600

タイヤ

東京国税局

19944

AIU保険

N/A

2,000

再保険料

東京国税局

19944

チバガイギー

12,000

5,700

医薬品

大阪国税局

19943

コカコーラジャパン

38,000

15,000

ロイヤリティ

東京国税局

19933

日本ロシュ

9,500

3,800

化学薬品

東京国税局

移転価格税制による更正所得金額

Transferprice

大阪地裁は6月21日、薬害C型肝炎訴訟で国と製薬会社に賠償責任を認める判決を下した。

血液製剤「フィブリノゲン」などを投与されてC型肝炎ウイルスに感染したとして、近畿、中国、四国地方の患者13人が国と製造元の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)、子会社のベネシスを相手に総額7億5900万円の損害賠償を求めた集団訴訟。

判決では投与時期により、ミドリ十字がウイルスの不活化処理方法を変えた1985年8月以降に投与を受けた4人には企業のみに、集団感染が発覚した1987年4月以降に投与を受けた5人には企業と国の連帯での支払いを命じた。賠償総額は約2億5600万円。残り4人は請求を棄却した。

これに対して国は「医薬品は、副作用と有効性のバランスを見て承認するかどうかを判断している。フィブリノゲンに大きな有効性があったのは明らか。このままこの判決を受け入れると、薬事行政が立ち行かなくなってしまう」として控訴する方向。

三菱ウェルファーマでは「当社の主張が認められていない点もあり、今後の対応について慎重に検討したい。今後も医薬品の安全性の確保に最善の努力を尽くしていく」としている。

 同社は旧ミドリ十字製の血液製剤「フィブリノゲン」の投与で約1万人がC型肝炎を発症したと推計しており、今回の判決が新たな訴訟を促す公算は大きい。同社は賠償金の支払いに備えた会計上の引き当てをしていない。 

 

ミドリ十字は血友病患者への人血液・血漿の非加熱製剤でHIVに感染した薬害エイズ事件でも他の製薬会社と国とともに損害賠償を求める民事訴訟を起こされ、96年3月に和解している。(製造販売ではミドリ十字と化学及血清療法研究所、輸入販売ではバクスタージャパン、日本臓器製薬、バイエル薬品の5社)

なお、ミドリ十字の代表取締役3人は業務上過失致死罪で起訴され実刑判決を受けた。

 

ミドリ十字は1950年に日本ブラッド・バンクとして設立され、1964年にミドリ十字と改称している。

同社はエイズ事件で不買運動にさらされ、和解金も多額に及んだため、自主再建を諦め、1988年4月に吉冨製薬と合併した。
この合併は吉冨製薬が武田薬品の関連会社であるため、
薬害エイズの問題を製薬業界全体でフォローする」ととらえたメディアもあった。Wellpharma_2
合併会社の社名は当初は吉冨製薬であったが、20004月にウェルファイドに改称した。

一方、1999年10月に三菱化学が東京田辺製薬を吸収合併し、医薬品部門を分離して三菱東京製薬を設立したが、2001年10月に三菱東京製薬とウェルファイドが合併し、三菱ウェルファーマとなった。

両社は、激化する国際競争を勝ち抜くためには適正事業規模の達成と、一層の経営基盤の充実が必要との共通の認識のもとに交渉してきたとしている。

2002年10月に同社は血しょう分画製剤事業の製造部門を分社してベネシスを設立、1年後に完全分社化した。

なお同社は2003年に米国子会社アルファ・テラピゥティクの血漿採漿部門をバクスターに血漿分画事業をプロビタス・ファーマに譲渡し、米国における血漿分画事業から撤退した。

 

石油業界の状況 - 化学業界の話題

昨日の記事に関連して、日本の石油業界の状況をまとめた。

各社の現在の常圧蒸留能力は以下の通り。(単位:千B/D)

グループ 会社名 製油所 能力 備考
出光興産 出光興産 北海道  140  
千葉  220  
愛知  160  
兵庫    0 2003/4停止(80)
徳山  120  
沖縄石油精製 沖縄    0 2004年停止(110)
合計  640  
新日本石油  新日本石油精製 室蘭  180  
仙台  145 (旧 三菱石油)
根岸  340  
水島  250 (旧 三菱石油)
大阪  115 (旧 興亜石油)
麻里布  127 (旧 興亜石油)
日本海石油 富山   60 66%
和歌山石油精製 海南   0 2001/4停止(50)
合計 1,217  
コスモ石油  コスモ石油  千葉  240 (旧 丸善石油)
四日市  155 (旧 大協石油)
  80 (旧 丸善石油)
坂出  120 (旧 アジア石油)
合計  595  
ジャパン
エナジー
 
ジャパンエナジー 知多    0 2001/6停止(100)
水島  205  
鹿島石油 鹿島  200 70.675%(三菱化学19.875%ほか)
合計  405  
昭和シェル石油 昭和四日市石油 四日市  210 75%
東亜石油 京浜  185 50.1%
水江 65 + 扇町120
西部石油 山口  120 38%(宇部興産11%ほか)
合計  515  
エクソンモービル 東燃ゼネラル石油 川崎  335  
 156  
和歌山  170  
極東石油工業 千葉  175 50%(三井石油50%)
南西石油 西原  100 87.5%(住商12.5%)
合計  936  
その他 富士石油 袖ヶ浦  192
九州石油 大分  155 新日石10%/新日鐵36%/昭電・丸紅ほか
東邦石油 尾鷲   35 出光興産33.3%(中部電力、三菱商事)
太陽石油 四国  102  
帝石トッピングプラント 頚城   4 帝国石油100%
合計 4,496  

*富士石油はアラビア石油と統合、AOCホールディングスを設立
   富士石油に25%出資していたジャパンエナジーは持株を売却

Oilshare

提携関係

新日石/出光:
 出光が2003年に兵庫製油所、2004年に沖縄石油精製の製油所を停止するのに伴い、新日石がそれまでの物流部門提携に加え、精製委託方式で4万B/D相当の製品供給を行う。

新日石/コスモ:
 販売を除く提携(仕入れ、精製、物流、潤滑油の4部門)
  仕入れでは原油調達や製品輸入の共同化、タンカーの共同配船、備蓄基地の相互利用
  石油精製では受委託精製や製油所の統廃合の検討など
  物流面では油槽所の共同利用や統廃合などを検討

ジャパンエナジー/昭和シェル石油:
 最適化操業のための相互融通取引の拡大、両社グループ製油所設備の精製能力の適正化等

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