「no」と一致するもの

トランプ大統領は12月27日(日曜)の夜、オムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案にサイン、12月29日にも予想された政府機関一部閉鎖を回避した。

大統領は各方面から法案に署名するよう圧力を受けていた。

大統領は下記の声明を発表した。

大統領として、中国ウイルスで引き起こされた困難から国民を守る責任がある。

民主党主導の多くの州で中小企業が倒産している。全員が職に戻るまで私の仕事は終わっていない。

年初に CARES Act が通り大恐慌が避けられた。私の指導下でProject Warp Speedが成功し、ワクチンが予想より早く完成した。

議会に対し、無駄な支出を避け、国民に成人には2000ドル、子供には600ドルを渡すよう、伝えた。

1974年の予算統制法(対象となるプログラムの完全な目的または範囲を実行する必要がないと判断した場合はいつでも取消を求めることが出来ると規定)に基づいて議会に多くの取消しを求めている。

今回、多くの無駄を取り除くようにとのメッセージを添えて法案にサインする。

月曜に下院は個人への支払いを600ドルから2000ドルに増やす法案を投票する。(ペロシ下院議長が決めており、大統領に共和党議員に賛成させるよう求めている。)

議会は、アンフェアにも国民の犠牲に置いてBig Techを利する
Section 230 を再検討し、取り止めるか、大幅変更することを約束した。

通信品位法230条はインターネット企業がホストするコンテンツに対する責任からインターネット企業を保護するもので、大小のインターネット企業が長年にわたってオンラインビジネスを成長させるための扉を開いたと広く評価されている。

「双方向コンピューターサービスの提供者や利用者は、他のコンテンツ提供者が提供した情報の発行者や表現者として扱われないものとする」としており、編集責任を免除しているので、コンテンツについて訴訟を起こされるリスクがない。アカウント削除についても責任を問われない。

大統領はツイッターで述べている。ツイッターが大統領の投稿に事実誤認の疑いがあると注意喚起したことに関し、批判を強めている。

セクション230は、米国から 「ビッグテック」への責任保護の贈り物(米国の企業だけに与えられる企業助成!)であり、私たちの国家安全保障と選挙の完全性に対する深刻な脅威です。私たちがそれを許すならば、私たちの国は決して安全でも安心でもありません......」

また、下院と上院は、今回の大統領選挙で発生した多くの不正投票に強く対応すると約束した。

上院は、個人への2000ドルの支給、230条の撤廃、不正投票の調査を始める。Big Techの保護はやめろ、不正投票は無くせ!

私は米国民のための戦いを止めない。

付記

米下院は12月28日、9000億ドルの新型コロナウイルス対策に盛り込んだ家計への600ドルの現金給付案を、2000ドルに積み増す単独法案を賛成多数で可決した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 44 231 275
反対 130 2 2 134
棄権 21 21

合計

195 233 2 430

トランプ大統領は12月27日夜、オムニバス歳出法案と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案にサインしたが、その際、現金給付を1人最大2000ドルに増額するよう改めた。
民主党も「これまで一貫して大型の現金給付を求めてきた」(ペロシ下院議長)などとトランプ氏に同調していた。

上院は共和党が多数派で、増額法案の通過のメドはたっていない。

ーーー

米国の大統領と議会の争いが続き、混乱が続いていた。トランプ大統領による国民を犠牲にした「いやがらせ」である。

大統領はこれまで、法案にサインしないと主張していた。経緯と、法案にサインしない場合の今後の予想を一旦ブログに載せていた。

事態 トランプ大統領
2020/12 21 米下院と上院、オムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案を可決
22 法案の修正を求め、現行案のままなら署名を拒否すると表明
23 2021会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法案に拒否権を発動
    24 議会、一括法案を正式にWhite House に送付 (日曜を除く10日以内に、署名か、拒否権行使)
(なにもしなければ、自然成立)
24 下院民主党、現金給付を2000ドルに増やす改正案を満場一致で通そうとしたが、共和党が拒否。
Pelosi 議長、12/28の下院議決を検討。「大統領が本気なら、共和党に反対をやめさせろ」
26 追加景気対策予算の未成立で、①失業保険受給期間を13週間延長する処置、②自営業者にも失業給付を与える特例が期限切れ、1200万人分が失業保険受給資格を失う。 家計への現金給付増額(600ドル→2000ドル)を求め、法案署名拒否を改めて表明
(予定・予想)
28 2021会計年度「つなぎ予算」期限切れ
議会、新たな「つなぎ予算」

大統領、「つなぎ予算」も認めない可能性
29 「つなぎ予算」なければ、連邦政府一部閉鎖
31 追加景気対策予算の未成立で、家賃滞納者の強制退去の猶予、中小企業の雇用維持策が失効
2021/1 3 現議会 閉会、ペンディングの法律は全て廃案
新議会発足  
大統領が署名も拒否権行使もしなければ、未決法案は全て廃案になる。
6 連邦議会で大統領選挙の選挙人の投票証明書の集計、大統領・副大統領の当選宣言 共和党議員に反対するよう指示
20 新大統領就任式 トランプ大統領就任式計画
Donald J. Trump 2nd Presidential Inauguration Ceremony


新型コロナウイルス対策追加予算は下記の通りとなった。

第1弾:

トランプ大統領は3月6日、議会上下両院が可決した新型コロナウイルス対策用の83億ドルの緊急補正予算法に署名し、同法が成立した。

第2弾:

トランプ米国大統領は3月18日、議会が可決した第2弾の新型コロナウイルス対策法案(「家族第一・コロナウイルス対応法」1929億ドル)に署名し、同法が成立した。


第3弾:

3月27日に議会は第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act=CARES Act)を通した。

第3.5 弾

トランプ米政権と与野党の議会指導部は4月21日、4840億ドルの新型コロナウイルス対策で最終合意した。第3弾の対策の補充で、COVID-19 3.5 relief packageと呼んでいる。

2020/4/24 米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討 

第4弾 今回、9000億ドル

2020/12/23 米国の2021会計年度予算案と追加経済対策案、ようやく可決、政府機関閉鎖をぎりぎりで回避

欧米でGAFAなど大手IT企業への攻撃が相次いでいる。

1)米下院司法委員会:「GAFAは市場支配力を濫用」

米下院司法委員会の反トラスト小委員会は2020年10月6日、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に対して続けていた各社の商慣習などに関する調査の結果をまとめた報告書を公開した。
GAFAの市場支配の現状を概説し、デジタル経済における競争回復、独禁法の強化、独禁法執行の再活性化について説明している。

https://judiciary.house.gov/uploadedfiles/competition_in_digital_markets.pdf

16カ月にわたったこの調査では、7月に数時間に及ぶ公聴会も開かれ、FacebookのMark Zuckerberg氏、AmazonのJeff Bezos氏、AppleのTim Cook氏、AlphabetのSundar Pichai氏が証人として出席した。

報告書の中で、GAFAと称されるハイテク大手4社の商慣行について、かつての「石油王や鉄道王の時代」に見られた市場の独占行為になぞらえて説明 、4社が各々の「支配力を濫用」しているとして批判している。

「これらの企業は明らかなメリットを社会にもたらしたが、Amazon、Apple、Facebook、Googleの優位性には代償が伴ってきた」

例えばFacebookは、競争上の脅威を探し出してそれらを買収するか、模倣するか、「潰す」などの「反競争的なビジネス慣行」によって、支配力を維持した 。

対策として、プラットフォームと相互運用する事業分野にプラットフォーム自身が参加することを禁じるため、企業の構造的分離を提案する。Amazonのマーケットプレイスや、Googleの広告事業がその対象になる。

また、競合を減らす目的の戦略的買収を禁止するための基準を確立する。


これに対し、各社はコメントした。

Amazon:マーケットプレイスでのAmazonと小売業者の共存が小売業者にとってメリットになっており、この報告書の提案を受け入れれば「中小企業を破壊し、消費者を傷つけることになる」。

Apple:市場で支配的な地位を持っていない。より詳細な反論を提供する予定。

Facebook:どこの業界でも企業買収は一般的に行われており、Facebookにとっては成功のための1つの手段に過ぎない。Facebookの成功はアメリカンサクセスストーリーだ。

Google:提案は「同意できない」。「独禁法の目的は競合を救済することではなく、消費者を守ること」であり、消費者は提案のほとんどを望んでいない。

2)米司法省、Googleを提訴

米司法省は2020年10月20日、Googleが検索や検索広告での独占的な地位を使って競争を阻害したとして、ワシントンの連邦地裁に反トラスト法違反で提訴した。

提訴の原告には司法省のほか、11の州(Arkansas, Florida, Georgia, Indiana, Kentucky, Louisiana, Mississippi, Missouri, Montana, South Carolina, Texas)加わった。

司法副長官は「競争を促さなければ次世代の技術革新の波に乗り遅れ、Googleに続く次の企業を米国が生むことはできなくなる」と強調した。

司法省は、米国のインターネット検索市場で90%のシェアを占めるGoogleが、インターネット検索・広告市場での独占を維持・拡大するために、反競争的な手段を用いてきた、と指摘した。
具体的には、主に次の4つの行為を問題視している。

  1. モバイル機器などに自社以外の検索サービスをプリインストールすることを禁止する排他的な契約
  2. 消費者の選好にかかわらず、自社の検索アプリのプリインストールを強制し、アプリを削除できなくする契約
  3. 検索ブラウザの標準検索エンジンとして「Google」を設定するように定めたアップルとの長期契約
  4. 検索エンジンや検索ブラウザでの優遇措置を買い上げ、継続的な独占を実現する行為

Googleの基本ソフト「アンドロイド」を搭載するスマートフォンに、自社の検索アプリを標準設定させる取り決めをし、競争企業を排除した 。
こうした設定を可能にするため、オンライン広告で集めた巨額の資金を使い、スマホメーカーへの支払いに充てたことも問題視した。

これらの反競争的な行為は、新しい革新的な企業が成長しグーグルと競争することを妨げているとした。また、弊害として、検索市場での競争抑制の結果、消費者のプライバシーやデータ保護などの面で検索サービスの質が低下した点や、広告市場での競争抑制がグーグルの広告主に対する過度な価格決定力につながっている点などを挙げた。

その上で、これらの弊害を是正するために必要な構造的な救済措置をとることや、Googleに反競争的行為を禁じることなどを求めた。
企業分割など具体的な措置には言及していないが、司法省高官の1人は、全ての選択肢を排除しない姿勢を示している。

Googleは提訴を受け、「人々がGoogleを使うのは自らそう選んだ結果であって、強いられたからでもなく、ほかに選択肢がないからでもない。今日の提訴は大きな欠陥がある」と反論した。

3)FTC、Facebookを独禁法違反で提訴

米連邦取引委員会(FTC)と全米のほぼ全ての州が12月9日、反トラスト法違反の疑いでFacebookを提訴した。FTCと、全米46州およびワシントンDC、米領グアムの連合が別々に訴訟を起こした。

2012年のInstagram買収と2014年のWhatsApp買収は、自社によるSNS独占への脅威を排除するための戦略の一環だったとし、両事業の売却を求めた。

Facebookは2012年4月、写真共有アプリ「インスタグラム」の開発会社を約10億ドルで買収することを決めた。
インスタグラムは2010年10月にアプリの提供を始めたばかりで社員はわずか13人、売上高もまだ、ほぼゼロの状態であった。

Facebookは2014年2月、携帯端末を利用したメッセンジャーサービスで急成長しているWhatsAppを総額190億ドルで買収すると発表した。
買収によりテキストメッセージとSNSの組み合わせが可能となり、スマートフォン利用者は携帯通信事業者のサービスを利用することなくさまざまなメッセージや写真・動画をやりとりすることができる
ただ、買収額は大きすぎるとの見方があった。

ニューヨーク州の司法長官は「過去約10年間、Facebookはその支配力と独占力を利用して小さなライバル企業を潰し、競争をもみ消し、全てのユーザーを犠牲にしてきた」と述べた。

これに対しFacebook は、反トラスト法は「成功している企業」を罰するためにあるわけではないと反論し、InstagramとWhatsAppはFacebookが成長のために多額の投資を行った後、事業として成功したと述べた。

どちらの案件も何年も前にFTCの承認を得ているため、法廷闘争が長期化する可能性が高い。専門家は、「6年あるいは8年前の買収を問題にし、買収した事業の売却を裁判所が命じるのは難しいだろう」とし ている。

但し、押収された資料のうち、FacebookのZuckerberg CEO の「競うよりも買収する方が得策」と述べているメールが不利に働く可能性も指摘されている。

ーーー

FTCは2019年7月24日、Facebookが50億ドルの制裁金を支払うことに同意したと発表した。

同社ユーザーの個人情報流出問題と数年前に起きたデータ漏えいに関して同社が膨大な数のユーザーに通知を怠ったことについてのもの。


4) EU、大手IT企業に新たな規制案

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は12月15日、大手IT企業を対象に公正な競争を促すデジタル分野での2つの新たな規制案を発表した。

「デジタル市場法案」の対象は、マーケットプレイス、サーチエンジン、SNS、ビデオ共有、インスタントメッセンジャー、OS、クラウド、広告などの「コア・プラットフォーム・サービス」をEU域内で提供する事業者のうち、以下の基準を全て満たし、欧州委により指定を受けた事業者。

a. 欧州経済領域(EEA)での過去3年間の年間売上高が65億ユーロ以上、あるいは前年の株式時価総額が650億ユーロ以上、かつ3つ以上の加盟国でサービスを提供する。

b. コア・プラットフォーム・サービスのEU域内の月間平均利用者が4,500万人以上かつ年間のビジネスユーザーが1万社以上。

c. b.の基準を過去3年間満たすこと。

EU競争法を補完するかたちで、EU企業のデジタル分野での競争力強化を目指す。

指定された事業者には、自社が提供するサービスやそのデータの取り扱いなどに関して、以下を含む幅広い禁止義務が課される。

  • コア・プラットフォーム・サービスのビジネスユーザーから得たデータを、ビジネスユーザーとの競争において利用すること
  • ランキングサービスにおける自社が提供する商品やサービスの優遇措置を設けること
  • 利用者に選択肢を提供し、かつ同意を得た場合を除き、ゲートキーパーが提供するサービスを通じて収集した個人データを別のサービスの個人データと統合すること

また、以下を含む行為を利用者に対し、許可することが求められる。

  • コア・プラットフォーム・サービス上にプレインストールされているアプリなどの削除や他社製のアプリなどのインストールとその利用
  • ビジネスユーザーや利用者がプラットフォーム上で生み出したデータを当該ビジネスユーザーへ提供すること
  • プラットフォーム外でのビジネスユーザーと利用者間での契約締結

このほか、他のデジタル企業を買収する場合、既存の競争法の規定にかかわらず、欧州委に事前通知をする必要がある。

欧州委はその調査において、組織的な違反があり、さらにその優位な地位を強化したと認められる場合には、一定の行為の実施を求める問題解消措置だけでなく、場合によっては事業や資産の売却を含む措置を課すことができる。

さらに、義務の不履行の場合には、前年度総売上高の10%を上限に制裁金を科すことができる。


「デジタルサービス法案」
は、EU域内で仲介サービスを提供する全事業者が規制対象だが、規制が特に強化されるのはEUの全人口の10%に相当する月間平均4,500万人以上の利用者を有する「非常に大規模なオンライン・プラットフォーム」事業者である。

こうした事業者には、違法なコンテンツの流通、選挙や公衆衛生などに関する意図的な操作などに対するリスク評価を実施し、それに応じたコンテンツの修正や広告表示の制限など、合理的な範囲での効果的なリスク緩和措置を講じることが求められる。

また、ターゲティング広告など、利用者の検索結果などに応じて特定の情報を提案する手法を用いる場合には、利用するデータ要素を利用者に開示し、利用されないようにする選択肢を含め、利用されるデータ要素を利用者がいつでも修正できる機能の設置が必要となる。

さらに、広告全般においても、広告である旨や、広告主、表示期間、利用するデータ要素を開示することが求められる。

義務不履行の場合には前年度総売上高の6%を上限に制裁金を科すことができる。

規制の成立には加盟国とヨーロッパ議会の承認が必要となるほか、今後、アメリカ側が反発することも予想される。

5)フランス、GoogleとAmazonに罰金

フランスのデータ保護機関、情報処理・自由全国委員会(CNIL)は12月10日、サイト利用者の同意を得ないまま閲覧履歴を取得していたなどとして、Googleに1億ユーロ (Googleが6000万ユーロ、Google Irelandが4000万ユーロ)、Amazonに3500万ユーロの罰金を科すと発表した。2社は不服を表明している。

両社は利用者の興味に応じた広告を表示するなどの目的のため、同意を得ずに、閲覧履歴などの情報をためる「Cookie」を集めていた。2社は9月に自動的な収集をやめたが、今も説明が足りない状態が続いていると指摘し、3カ月以内の改善を求めた。

Googleは仏検索エンジンのシェア9割超、Amazonは仏オンライン販売のシェア2割を握る。

米大統領選の全538人の選挙人からなる選挙人団は12月14日、各州で投票を行い、民主党候補のBiden前副大統領が25州とコロンビア特別区で勝者と認証された。

投票結果は選挙結果と同じで、Biden 306 対 Trump 232 である。

来年1月6日に行われる連邦議会での集計を経て正式に決定、1月20日に第46代のアメリカ大統領に就任する。

2020/12/18 米大統領選挙でBiden候補、選挙人投票で正式に勝利

しかし、トランプ大統領は来年1月6日の連邦議会での集計で逆転を狙っている。(新議会は1月3日に始まる)

12月26日のツイッターで、司法省もFBIも歴史上最大の選挙不正に何もできなかった、諦めるな、1月6日に会おう、と述べた。

The "Justice" Department and the FBI have done nothing about the 2020 Presidential Election Voter Fraud, the biggest SCAM in our nation's history, despite overwhelming evidence. They should be ashamed. History will remember. Never give up. See everyone in D.C. on January 6th.

また、最高裁は選挙の不正に何もせず、明らかな証拠を見ようともしない。選挙が不正なら、国家は存在しない。アフガンで働く若い戦士がアフガンの選挙の方がましだと言っている。BidenはFake Presidentだと述べた。

"The U.S. Supreme Court has been totally incompetent and weak on the massive Election Fraud that took place in the 2020 Presidential Election. We have absolute PROOF, but they don't want to see it - No 'standing', they say. If we have corrupt elections, we have no country!"

"A young military man working in Afghanistan told me that elections in Afghanistan are far more secure and much better run than the USA's 2020 Election. Ours, with its millions and millions of corrupt Mail-In Ballots, was the election of a third world country. Fake President!"

トランプ大統領は共和党議員に反乱を呼び掛け、逆転勝利を狙う。

1月6日の連邦議会集計は以下のように行なわれる。

上下両院合同会議は、下院議場で午後1時から開催される。上院議長が会議を主宰し、自ら選挙人から送付された投票証明書を開封する。
開封された投票証明書は、上院議員2名、下院議員2名からなる投票計算役に渡され、読み上げられた後、集計される。
集計結果は、上院
議長から発表される。
選挙人総数の過半数の投票を獲得した大統領候補が大統領
に、選挙人総数の過半数の投票を獲得した副大統領候補が副大統領になる。
538人の選挙人から、270票以上の選挙人投票を獲得する必要がある。
この条件を満たした大統領候補、副大統領候補が当選となり、集計結果の発表が当選の宣言とみなされる。

上院、下院議員は、投票証明書に異議がある場合、「書面で」反対することができる。
その場合、上院、下院はそれぞれ、2時間以内に、この反対を認めるかどうかを単純過半数で決める。反対を認める場合、両院の一致が必要。

2017年にTrumpが大統領になった際、民主党議員が反対したが、書面での反対はなく、当時のBiden副大統領が"It's over"と宣言した。

共和党のMitch McConnell 上院院内総務は共和党員にやるなと伝えているが、数人の共和党議員は反対すると述べている。実際に「書面」でやるかどうかは不明。

しかし、仮に反対しても、改選後の下院は民主党が過半数を占めるため、通る見込みはなく、新大統領、副大統領が正式に選ばれる。

上院は現在、共和党50、民主党48で、ジョージア州の改選・補選は1月5日に決選投票を行う。ともに民主党が取れば、50:50となり、Pence副大統領が投票で決める。

議会は新議会だが、新副大統領はまだ選ばれていないため、現在の副大統領がまだ上院議長である。

但し、全ての共和党上院議員がこんなことに同意するとは思えない。


付記

Michigan 州選出の共和党議員Paul Mitchell は12月14日、トランプ大統領の2020年選挙の「陰謀理論」に共和党が組しているのは長期的に民主主義を害するとして共和党を離党し、無所属となった。

2019年7月に同じMichigan 州選出の共和党議員 Justin Amash が、トランプ大統領が弾劾されるべき行為をしているとして共和党を離党(一旦無所属、現在Libertarian Party)したのに次ぐ。

ーーー

あり得ないことだが、仮に1月6日に大統領、副大統領の当選を決定できない場合(選挙における偶発的事態:electoral contingencies)、米国憲法修正第12条で進め方が決められている

下院は直ちに無記名投票により大統領を選出する。投票は州を単位として行われ、各州の議員団が1をもつ。

下院はルイジアナ州決選投票で共和党が勝ち、共和党213、民主党222で、議員数では民主党が過半となったが、この投票では各州1票である。
州別に下院議員数で過半をとったのは共和党が27州、民主党が20州、同数が3州となり、
共和党候補のTrumpが選ばれることとなる。

2020/10/24 米大統領選挙、期限の1月6日までに確定しない可能性も 
2020/11/25 2020年 米国大統領選挙 結果

新型コロナウイルスの変異種が急拡大している。

2020/10/22 新型コロナウイルスの変異種、急拡大

厚労省は12月25日、英国から航空機で入国した男女5人(2人は羽田、3人は関西空港)からウイルス変異種が検出された発表した。
政府は26日以降、英国や南アからの入国者に指定宿泊施設などで3日間の待機を求め、再検査で陰性を確認する。

12月26日には、東京都内在住の男性機長(英国から帰国、検疫除外)と家族の女性から変異種が検出された。いずれも入院しているという。

この変異種は VUI-202012/01(the first "Variant Under Investigation" in December 2020) と呼ばれる。

国立感染症研究所は12月22日、次の通り発表した。

  • 南東イングランドで増加しているCOVID-19症例の多くが、新しい単一の系統に属していることが確認された。

  • この新規変異株(VUI-202012/01)はいままでの流行株よりも感染性が高い(伝播のしやすさを最大70%増加)ことが示唆され、ウイルス量は、増加していることが示唆されている。
  • 現時点では、重症化を示唆するデータは認めないが、症例の大部分が重症化の可能性が低い60歳未満の人々であり、評価に注意が必要である。
WHOは、今回のイギリスでの変異株はもともと重症化リスクの低い若者に多く感染していることもあり、重症化するかどうかについては、はっきりとしたことは言えず、現時点で重症化と関連しているようにはみえないとしている。 
  • 英国は、12月20日から今後数週間、南東イングランドで「Tier 4」レベル(外出制限等を含む最も強い措置)となることを発表した。
  • VUI-202012/01は、武漢株と29塩基異なり、スパイクタンパクの変異(deletion 69-70、deletion 144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、D1118H)とその他の部位の変異で定義される。


VUI-202012/01 には N501Y という変異を含む 17個のアミノ酸基の変異が入っている。
この変異によってヒトの細胞表面にある ACE2 へのくっつきやすさ(親和性)が増加することがわかっている。

69番目と70番目のアミノ酸がなくなる deletion 69-70という変異では、免疫系から逃れやすくなることもわかっている。

P681H という変異の部分ではスパイクタンパク質の切れやすさが変わる可能性がある。


峰宗太郎氏 https://news.yahoo.co.jp/byline/minesotaro/20201224-00213969/

  • この株は免疫抑制者等において一人の患者での長期的な感染で免疫回避による変異の蓄積が加速度的に起こった結果である仮説が考えられる。
アメリカで、自己免疫疾患を患い、免疫抑制剤を投与されていた男性が、最初に新型コロナウイルス感染症と診断されてから2度再発し、5ヶ月後に死亡したケースが過去に報告されている。

ゲノム解析の結果、この男性は複数回感染したのではなく、ウイルスが体内で速いペースで変異を起こし、体内で勢いを盛り返していたと考えられている。

つまり、新型コロナウイルスは、このように体内で免疫を回避する変異を起こす可能性があるといわれている。


峰宗太郎氏(上記)

  • 南アフリカでも、感染性の変化に最も影響を与えうると考えられる変異の一つであるN501Yを認める変異株が見つかっているが、系統としては進化的関連を認めない。

  • 現時点では、ワクチンの有効性への影響は不明である。

新型ウイルスのワクチンは、少なくとも現時点では、ほぼ確実に効く。

世界保健機関(WHO)は12月21日、英国で広がる新型コロナウイルスの変異種について、これまでに開発されたワクチンが有効だとの認識を示した。

先行している3種類のワクチンすべてが、現存のスパイクタンパク質に対して免疫反応を生み出す。ウイルスのいくつかの異なる部分を攻撃できるようにするため、スパイクタンパク質の一部が変異しても、ワクチンは効果を発揮するはずである。

ただ、さらなる変異を許した場合には懸念が生じる。「このウイルスは、ワクチンから逃げ延びる過程にあるのかもしれない」

今回の変異種は、新型ウイルスがより多くの人に感染しながら、同時に適応も続けていることを示している。

英グラスゴー大学の
David Robertson 教授は、「新型ウイルスはおそらく、ワクチンを逃げ延びる変異をするだろう」と結論づけた。

インフルエンザのように、絶えずワクチンを最新のものにしていく必要があることを意味する。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55391842

英国と欧州連合(EU)は12月24日、新たな自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉で合意した。ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長がそれぞれ表明した。英・EU間の関税ゼロでの貿易が維持される可能性が極めて高くなった。

当初は12月24日朝になると言われていたが、英海域での漁業権について詳細の詰めが続き、同日午後になって双方が合意成立と発表した。

英首相官邸は、「Brexitを実現した。これからは、待ち受ける素晴らしい機会を全面的に活用することができる。2016年の国民投票と昨年の総選挙で英国民に約束されたすべてのことが、この合意で実現する。我々は自分たちの金、国境、法律、貿易、そして漁業水域の決定権を取り戻した」と述べた。

ジョンソン首相は次の通り述べた。

年間6680億ポンド相当の過去最大の合意に達した。
イギリスとEUの間の、カナダ式の包括的な合意だ。この国の雇用を守り、イギリスの製品をEU市場で無関税のまま、数量制限もなく売れるようにする合意だ。この国の企業が今まで以上に欧州の友人たちと取引できるようにする合意だ。この合意は欧州全体にとって良いものになる。

私たちは1973年以来初めて、自分の海域について全面的な決定権をもつ独立した沿岸国になる。漁業関係者の船舶刷新のため1億ポンドを提供する。

本当に大変だったこの1年の終わりに際して、何より重視しているのはパンデミックに打ち勝つことと経済の再建だ。実現可能だと完全に自信を持っているが、今のこの瞬間がいかに重要か認識して、それを最大限に活用するためは、私たち全員が新しい本当の意味で独立した国として、まとまるかどうかにかかっている」と呼びかけた。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「The long and winding road(ビートルズの曲)だったが、その分だけ良い合意に至ることができた。公平で、バランスのとれた合意で、双方にとって正しく、責任ある行動だ。今はページをめくり、将来を見つめるべき時で、(イギリスは今後も)信頼できるパートナーであり続ける」と述べた。

協定は約2000ページに及ぶ。Brexitの移行期間が終了する12月31日までに双方の議会で承認される必要がある。

英政府は年内中に議会でFTA合意の批准を済ませる方針。
欧州委は各国の承認が必要なため、欧州議会の同意なしに合意を発効させる暫定適用を閣僚理事会に提案する。欧州議会は各国の承認をもとに、1月にも判断する。

2016年のEU離脱を問う国民投票から約4年半を経て、英国とEUは通商協定に基づく新たな関係に入る。

付記

EUのMichel大統領とvon der Leyen欧州委員長は12月30日、英国との間で合意したFTAなど将来関係についての文書にブリュッセルで署名した。

EUは12月28日の加盟国大使級会合で、EU欧州議会の批准を待たず、31日深夜に暫定適用することを全会一致で承認している。

付記

欧州議会は2021年4月27日、英国との貿易協定を賛成660、反対5の圧倒的賛成多数で承認した。完全な批准に向けた最後のハードルをクリアした。

英国下院は12月30日、521対73の大差で離脱関連法案を承認した。これを受け、Johnson英首相は郵送された文書にロンドンで署名した。
同日夜、英国上院がこれを承認、エリザベス女王の裁可も得て法律となった。

これで12月31日深夜の英国のEU正式離脱が確定した。

ーーー

これまでの経緯については下記を参照

2020/9/11 英国「合意なき離脱」辞せず

特に溝が深いのが「公正な競争の確保(Level Playing Field)」、漁業に関する問題 である。

更に下記の問題が発生した。

2020/9/11 Brexit:英国のInternal Market Bill 

離脱協定で定められた北アイルランドに関する議定書の一部を無効とする条項を含んでいる。

下院は議決したが、上院は問題個所を削除した。

ーーー

主な合意内容

関税をゼロとするFTA
 「関税割当枠」も設けない。
FTAでは優遇関税の対象となる品目の原産地が限定される。「原産地証明」要

英・EU以外の国からの原材料の比率が大きい製品は、今まで無関税だった品物でも関税がかかる可能性がある。

製品・食品が規制を満たしているかどうかの確認といった通関作業

付記

原産地規則に関して、電気自動車関連で例外が認められたことが分かった。

今回のFTAの原産地規則では、英EU間の完成車の貿易で、EUまたは英国製の部品以外の比率が45%を超えた場合は無関税にせず、乗用車で最大10%の関税がかかる。

但し、EVやHV、プラグインハイブリッド車(PHV)については、これを2026年末まで緩和する。

2023年末までは60%まで、2024年~26年末は55%まで域外部品を使用しても無関税とする。
2027年以降は45%までになるが、FTA発効から4年以降に締約国の要請があれば見直すこともできる。

EVなど向けの電池セルやモジュールについても同様に、

2023年末までは最大70%、2024年~26年末までは50%までは域外部品を使用しても無関税とする。


英とEU間のヒト・モノ・サービスの自由な移動は終了 今まで自由に移住を受け入れていたEU市民を他の外国人を同様に扱う。

新たに年収や英語力などに基づいたポイントで移民希望者を評価する仕組みを導入
  一定基準以下の低技能の労働者を受け入れないようにする。

  • No free movement of people: UK citizens will no longer have the freedom to work, study, start a business or live in the EU. They will need visas for long-term stays in the EU. Border checks will apply, passports will need to be stamped, and EU pet passports will no longer be valid for UK residents.
  • No free movement of goods: Customs checks and controls will apply to all UK exports entering the EU. UK agri-food consignments will have to have health certificates and undergo sanitary and phytosanitary controls at Member States' border inspection posts. This will cost UK businesses time and money.
  • No free movement of services: UK service providers will no longer benefit from the country-of-origin principle. They will have to comply with the - varying - rules of each EU country, or relocate to the EU if they want to continue operating as they do today. There will be no more mutual recognition of professional qualifications. UK financial services firms will lose their financial services passports.
英はEU単一市場・関税同盟から抜け、通関手続きが復活 英国は日本をはじめ各国と自由にFTAを発動
 2020/12/8 
日英EPA、2021年1月1日発効

今後、対米FTAや環太平洋経済連携協定(TPP)をテコに2021年以降の成長戦略を描く。
 

金融などの各種規制・監督を英とEUで分離 There will be no more mutual recognition of professional qualifications.
UK financial services firms will lose their financial services passports.
航空、鉄道、陸路、海上交通は現状維持
英はEUルールや欧州司法裁判所の影響から外れる
公正な競争環境を確保するため、英はEUルールを尊重
公正な競争をゆがめられた場合は必要な措置をとる
UK and the EU will be able "as sovereign equals" to take action if the other side undercuts their industry and thus it will provide a level playing field to both sides.
EUの英水域での漁獲割り当ては5年半にわたり現状から25%削減 初年度15%減、その後毎年2.5%ずつ削減を増やす。
英国は当初 80%減を求めていた。

その後は英はEU漁船を水域から除く権利を持つ。
EU側は継続のための武器ありとしている。(英水産物への関税、税金など)


「公正な競争の確保(Level Playing Field)」については、英国が妥協したように見える。

この問題では、EU側は、英国が過度な規制緩和で不当に競争力を高めて、域内企業が競争上、不利になることを恐れ、「競争を開かれた公平なものにする必要がある」と、関税・数量割り当てゼロのFTAは、Level Playing Fieldの徹底した履行義務が条件とした。

ジョンソン英首相は2月27日、EUとの間にカナダ型のFTAが成立する見通しが立たないのであれば、6月にEUとの交渉を打ち切る意向を鮮明にした。

「対等な主権を持つ二者間の友好的な協力に基づく関係」を目指しており、「英政府が自国の法律や政治生命に対して自ら統制を取れないような取り決めについては一切交渉しない」とした。

カナダとEUのFTAにはこのような「公正な競争条件(Level Playing Field)」の規定はない。

今回、下記の通りとなった。英国は「過度な規制緩和で不当に競争力を高める」ことはやりにくい。

UK and the EU will be able "as sovereign equals" to take action if the other side undercuts their industry and thus it will provide a level playing field to both sides.

英側が強制的にEUルールに従う枠組み導入や、紛争解決での欧州司法裁の関与は見送り。
独自に政府補助金を管理し、税制や税率の制約もない。
一方で、労働基準や環境、税制で「共通の高い基準」を保つことを約束
産業規制を過度に緩めた場合、是正、仲裁に乗り出す専門家委員会の設置

相手の政府補助金で大きな損害を受けた場合、追加関税などで報復できる仕組みを導入

通常のFTAでは「公正な競争条件」規定はないが、UK-EUの場合は関税は即時ゼロであり(EUとカナダのFTAでは、一部は3年、5年、7年以内に漸進的にゼロにする)、EU側からは、英国が離脱して得をするのは他の離脱を防ぐ意味から避けたく、厳しい条件もやむを得ないと思われる。


英国海域での漁獲についての問題点

1983年にEEC水域に対する年間総許容漁獲高(TAC)が導入され、毎年、加盟国間で配分されるようになった。

英国の漁民は割り当てられた漁獲枠に制限される一方で、他国漁船が自国EEZで操業するのを黙認せざるを得ない状態に長年置かれてきた。

英国は自国の水域からEU漁船を締め出したい。

但し、英国の水産物の輸出の大半はEU向けで、EUがこれに高関税をかけると、英国は漁獲物を輸出できない。


追って、補足します。

前記の通り、米国の2021会計年度予算案と追加経済対策案がようやく可決され、政府機関閉鎖をぎりぎりで回避されると見られた。

与野党協議に参加していたムニューシン財務長官は「超党派の可決を歓迎する」と述べた。

両法案はホワイトハウスに送られたが、驚愕の事態が発生した。

トランプ米大統領は12月22日、米議会が可決した9000億ドルの新型コロナウイルス対策法案の修正を求め、現行案のままなら署名を拒否すると表明した。

「現金給付額は1人当たり600ドルと極めて少なく、2000ドル(夫婦で4000ドル)に引き上げるよう議会に求める」と主張、「不要な項目を除いた法案を再送付してこなければ、経済対策は次期政権、多分 私だ、でまとめることになる」などと述べた。

I am asking Congress to amend this bill and increase the ridiculously low $600 to $2,000 or $4,000 for a couple.

支援策に含まれている他国への資金援助に難色を示し、困窮するアメリカ人にまわすべきだと述べた。

「この支援策にはカンボジアに8550万ドル、ビルマに1億3400万ドル、エジプトとその軍隊に13億ドル、これはほとんど丸ごとロシア製の兵器購入に使われるだろう、それからパキスタンの民主化・ジェンダープログラムに2500万ドル、さらにベリーズ、コスタリカ、エルサルバトル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマに合わせて5億500万ドルが振り向けられている」

(海外支援は大統領の予算要求によるもので、全く矛盾している)

さらに、芸術施設ケネディー・センターが開館していないにも関わらず4000万ドルを受け取り、その他の美術館や博物館にも10億ドル以上があてがわれるのかと疑問を呈した。

その上で、「議会は外国やロビイスト、特別な権益には多額の金を出す一方で、それを必要とするアメリカ人には最低限しか送らない。アメリカ人のせいじゃない。中国のせいだ」と結論付けた。

Congress found plenty of money for foreign countries, lobbyists and special interests, while sending the bare minimum to the American people who need it. It wasn't their fault. It was China's fault.

大統領が法案署名を拒否する場合は、日曜日を除いた10日以内に議会に差し戻し、議会が3分の2の賛成多数で関連法案を再可決すれば、大統領の拒否権を覆して法案成立にこぎ着けられる。
法案は上院、下院とも3分の2以上の賛成多数で可決しており、再議決による成立は可能である。

しかし、2021会計年度のつなぎ予算は12月28日までで、経済対策法案は2021会計年度本予算と一体化しているため、大統領が法案を抱え込んで28日までに議会へ差し戻さなければ、連邦政府予算そのものが失効して、政府機関の一部閉鎖に追い込まれかねない。(新たなつなぎ予算を通す手はある。)

12月26日には3月に発動した失業給付の特例措置も期限切れとなり、自営業者らも含めて1200万人の収入が大幅に失われる懸念がある。
12月末には家賃滞納者の強制退去の猶予措置も切れ、1月には500万人が住居の立ち退きを迫られる可能性もある。

新議会は2021年1月3日に招集される。それまでに追加景気対策予算法案が成立しない場合、廃案となる。

トランプ大統領は大きな人質をとったことになる。

付記

米政権・議会による9000億ドルの経済対策の成立が大幅に遅れ、12月26日に1200万人分の失業給付の特例措置が失効した。

付記

トランプ大統領は12月23日、2021会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法案にも拒否権を発動した。

海外駐留米軍の性急な削減を制限することや、南北戦争での南部連合軍にゆかりのある米軍基地名の変更条項などを問題にした。

下院は12月28日、これを2/3以上の賛成で再可決した。上院待ち。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 109 212 1 322
反対 66 20 1 87
棄権 20 1 21

合計

195 233 2 430


米議会共和、民主両党の指導部は12月19日、新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応する総額9000億ドルの追加経済対策案で大筋合意に達した。
連邦準備制度の緊急融資制度の扱いを巡る対立で妥協が成立し、最終合意に向け最後の大きな障害が取り除かれた。

2021会計年度(2020/10~2021/9)の本予算もつなぎ予算の期限が12月20日で、これに含まれる予定の追加経済対策案がまとまらないため、採決できないでいたが、ようやく採決される。

上院のMcConnell院内総務は12月20日、上下両院のトップ4人が追加経済対策の最終案で合意し、直ちに文章化に入ったと述べた。当日中の議決を狙う。

家計 2,860億ドル 家計への支援は1人600ドル、子供も対象のため4人家族なら2400ドルとなる。
失業保険上乗せは週300ドルとなる。(当初は、州の支給分 平均370ドルに600ドルが上乗せされた。)
中小企業 3,250億ドル 雇用を維持すれば、給与支払い補填
運輸業界 450億ドル 航空、鉄道会社など
医療 690億ドル ワクチン普及、検査費用
その他 1,830億ドル オンライン教育、家賃補助その他

最後に障害として発生したFRB緊急融資プログラム復活禁止問題(後記)については、現在のプログラムの復活は認めないが、同様のプログラムの新設は妨げないとした。

しかし、合意を法律にするのに時間が足らず、下院はつなぎ予算を21日まで延長、上院も夜遅く、これを可決した。大統領は深夜までにサインした。
但し、1日しか余裕はないため、法案が完成すれば、議員は2時間ほどで膨大な法案を読んで、討議、議決をする必要がある。

12月21日午後2時過ぎに、1兆4千億ドルのオムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案(合計5,593ページ)が完成した。

これは2つに分かれており、一つは歳出のうちの国防総省、商務省、司法省等々の予算、もう一つはその他の省庁の予算と追加景気対策予算案である。

12月21日の夕方、下院が前者を327対85(棄権18)で可決、続いて後者を359対53(棄権17)で可決した。

両法案はまとめて一つにして上院に送られ、賛成 92、反対6 (棄権2)で可決した。反対は全て共和党であった。

法案は直ちにホワイトハウスに送られた。但し、大統領がすぐにはサインできない。5,593ページの法案を政府の法律家がチェックする必要があり、コロナ問題とクリスマス休日もある。

このため、両院は21日に7日間のつなぎ予算を可決し、大統領がサインし、成立した。

政府機関の閉鎖がギリギリで回避できた。

最終的に2021年度予算は、10月1日~12月11日、~18日、~20日、~21日、~28日と、つなぎ予算で賄うこととなる。

ーーー

経緯:

2つの問題が難航に難航を重ねた。

1つは2021会計年度(2020/10~2021/9)の本予算で、もう一つは新型コロナウイルス追加景気対策予算である。

本予算はまだ成立せず、12月11日までのつなぎ予算で手当てしてきたが、期限が来るため、とりあえず12月18日まで延長したが、それも期限が来る。

追加景気対策は、失業保険特例措置や中小企業の雇用維持策が12月末で期限が来るため、延長するための第4弾が必要である。

上下院は12月19日からの休会を予定していたが、休会を先延ばしし、週末返上で協議した。

1) 2021会計年度(2020/10~2021/9)の本予算

Mnuchin 財務長官と民主党のPelosi下院議長が9月1日、11月の大統領選後までのつなぎ予算(10月1日~12月11日)を手当てすることで合意した。政府機関の閉鎖などで大統領選に悪影響が及ぶことを避けることで一致した。

下院は9月22日夜、暫定予算案を可決し、上院に送った。上院は9月30日にようやく可決した。

大統領は10月1日早朝、期限切れの1時間後にサインし、法律となった。

2020/9/25 米、2021会計年度のつなぎ予算(10月1日~12月11日)成立へ 

米下院は12月9日、つなぎ予算の期限を12月18日まで1週間延長する法案を可決、上院も11日に可決、トランプ米大統領が同日法案に署名し、法案が成立した。

大統領選が終わっても、トランプが敗戦を受け入れず、混乱が続き、つなぎ予算の期限が来る。

上下両院はとりあえず、12月20日までの2日間の短期のつなぎ予算を可決した。大統領は期限の18日にこれに署名した。

予算が成立しなければ、政府機関の一部閉鎖となる。

12月20日、上下両院のトップ4人が追加経済対策の最終案で合意し、直ちに文章化に入ったが、議会採決まで時間がないため、下院はつなぎ予算を1日延長した。

2) 新型コロナウイルス追加景気対策予算

COVID-19経済対策第4弾は、5月に3兆ドル(コスト予想に幅があり、高い見積もりでは3.4兆ドルになる)の民主党案が下院で可決された。

しかし、上院で多数を占める共和党は上院では即否決するとした。米共和党の議会指導部は下院可決後の2か月半後の7月27日、ようやく1兆ドル規模の追加の新型コロナウイルス対策法案を正式に提示した。

差が大きく、まとまらないまま、夏季休暇に入った。

米上院共和党のマコネル院内総務は9月8日、従来案(1兆ドル)から規模を縮小した5000億ドル規模の対策法案を提出した。

上院共和党は、60議席の賛成を得られる目途が立たないまま、審議に入るべく、9月10日に動議を採決したが、審議入りに必要な60票に届かなかった。

2020/9/14 米議会再開、COVID-19経済対策と2021会計年度の連邦政府予算が争点に

下院は10月1日、民主党が単独で提案した2兆2000億ドル(約230兆円)規模の経済対策案を賛成214、反対207で可決した。5月の3兆ドルから引き下げた。

2020/10/2 COVID-19経済対策 第4弾 下院が修正案を可決、但し選挙前の成立は困難 

トランプ大統領は10月6日、COVID-19経済対策 第4弾の民主党の2兆ドル規模の対策案を「拒絶する」とし、「11月の大統領選後まで、代表団に協議の打ち切りを指示した」と表明した。

一方で同日、追加経済対策の協議から切り離し、航空業界と中小企業保護に関してのみ、支出を即時認めるよう求めた。航空業界の給与助成の予算250億ドルと、中小企業を対象とする「給与保証プログラム(PPP)」の予算1350億ドルである。

更に、下院が決議した案に含まれている大人1人あたり最大1200ドル(扶養家族には500ドル)の現金給付について、単独法案でこれを通すように 促した。直ぐサインすると。

2020/10/9 トランプ大統領、コロナ対策予算問題でいいとこ取り」作戦 

双方が妥協せず、対立が続いたが、超党派議員が協議を続け、12月1日に9080億ドルの救済法案を提出した。

中小企業や失業者、航空業界などへの新たな緊急支援を巡る共和・民主両党間の約1カ月にわたる行き詰まり打開を目指す。

ホテルやレストラン、中小企業を支援する2280億ドルの追加給与保護プログラム(PPP)を含む緊急支援を3月31日まで実施する。
州や地方自治体は同法案の下で直接支援を受けることになる。
米輸送部門に対する450億ドルの支援のうち、給与支援として4カ月で170億ドルが航空会社に割り当てられる見込み。
また、交通システム向けに150億ドル、空港向けに40億ドル、民間バス向けに80億ドル、全米鉄道旅客公社(
Amtrak)向けに10億ドルが振り向けられる。
新型コロナ流行に対応する企業や学校向けの新たな補償など共和党が求めていた内容が含まれている。
失業給付上乗せも含まれており、4カ月間にわたり週300ドル増額される見込み。(民主党は週600ドルの上乗せを要求していた。)

この案について、協議が進められた。

協議は合意に向け前進しているものの、つなぎ予算が切れる18日深夜までに合意できるか不透明な情勢となっている。

一部の共和党上院議員が、12月末に終了する米連邦準備理事会(FRB)の緊急融資プログラムを復活できないようにする文言を盛り込むよう求めており、合意の新たな障害となる可能性が浮上した。

ムニューシン米財務長官は11月19日、新型コロナウイルス危機を受けて導入した連邦準備理事会(FRB)の緊急融資プログラムの一部について、期限を延長せず12月31日に終了する考えを示した。
3月の新型コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)に基づき、財務省には4550億ドルが割り当てられ、その大半はFRBの企業や非営利団体、地方政府向け緊急融資資金に確保された。
ムニューシン長官は、これらの資金の未使用分を財務省に返却するよう要請。返却された資金を議会が景気対策に回せるようにすべきとした。

共和党上院議員の案は、これについて、今後、FRBや財務省がこれを復活できないようにすることを求めた。金融市場が再び混乱に陥った場合、イエレン次期財務長官は緊急対策の手段が限られることになるため、バイデン次期大統領の政権移行チームは打ち切り決定を「極めて無責任」と批判した。

これもあって、合意は遅れた。

上院共和党トップのMcConnell院内総務は、「成立まで上院は審議を継続する」とし、週末返上で採決を目指す考えを表明した。

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Trump大統領は12月10日、モロッコとイスラエルが国交正常化で合意したと発表した。トランプ米政権の仲介でイスラエルと和平合意した4カ国目のアラブ諸国となる。

イスラエルのネタニヤフ首相はモロッコとの国交正常化を「歴史的」とたたえ、両国間の直行便運航が間もなく再開すると述べた。

イスラエルは、アラブ諸国の中でエジプトと1979年に、ヨルダンと1994年に国交正常化した。

米政権はイスラエルとアラブの関係正常化を仲介している。

Trump大統領の仲介で、8月13日にイスラエルとUAE、9月11日にイスラエルとバーレーンが国交正常化した。11月の大統領選に向け実績としてアピールする狙いがある。

ホワイトハウスは10月23日、イスラエルとスーダンが国交正常化に合意したと発表した。


国交正常化には至らないが、レバノンの国民議会議長は10月1日、対立するイスラエルと海洋境界の交渉を開始することで合意したと発表した。国交のない両国間の直接の政治協議は過去30年で初めて で、トランプ米政権が仲介した3年にわたる間接的な接触を通してまとまった。

2020/10/7 レバノンとイスラエル、海洋境界交渉へ


モロッコとイスラエルの国交正常化発表に際し、Trump大統領はモロッコの国王モハメド6世と電話会談し、「西サハラ全体に対するモロッコの主権を認めた」と伝えた。

西サハラの領有権を巡って、南北分割統治を主張するモーリタニア(1979年には領有権を放棄)とモロッコ、独立を画策するポリサリオ戦線が対立している。

独立派武装組織 Polisario Front は、西サハラの5分の1を実効支配し、数十年にわたって自決権を要求してきた。国連の仲介で停戦が続いていたが、11月にモロッコの軍事作戦開始を受けて停戦終了を宣言、両者の間で緊張感が高まっている。

Polisario Front は、「間もなく退任するTrump大統領がモロッコに帰属しないものを帰属させた事実を、最も強い言葉で非難する」と表明。国連は、西サハラを係争地とみなす立場に変化はないと発表した。

ーーー

イスラエル外務省は12月12日、ヒマラヤ山脈の 非アラブの小国ブータンと国交を樹立したと発表した。イスラエルは8月以降、トランプ米政権の仲介でアラブ首長国連邦(UAE)などアラブ4カ国と国交正常化で合意。

イスラエル紙エルサレム・ポストによると、ブータンとの国交樹立に米政府は関与していないという。

中国と豪州の関係が急速に悪化している。

豪州が中国通信機器最大手の華為技術(Huawei)の次世代高速通信「5G」への参入を禁じたことなどを契機に関係が悪化していたが、本年4月23日に、モリソン豪首相が新型コロナウイルスの感染経路について独立した調査が必要と主張、中国が猛反発した。

その直後から、中国は豪州に対し、貿易面で厳しい対策を相次いで実施した。

中国は豪州からの 輸入大麦やワインに追加関税を課し、豪州産牛肉に輸入規制を課すなどしている。石炭にも問題が出ている。


豪州政府は12月16日、中国が豪州産大麦に対して課した反ダンピング関税について世界貿易機関(WTO)に提訴した。

WTOの手続きは長期化するとみられる。

豪州側は、「中国が制裁ともいえる一連の決定を行ったことは、豪州企業が中国と取引するか決める際のリスクについての考え方を明らかに変えた」と指摘した。

中国外務部は、「豪州政府こそ中国側の懸念に真剣に対応し、中国企業に対する差別的なやり方を是正すべきだ」と反論した。Huawei の問題などを指しているとみられる。

付記

中国商務部は2021年3月26日、豪州産の輸入ワインについて反ダンピング及び反補助金調査でクロの最終決定を行なった。

豪州政府はWTOへの提訴も検討する。

ーーー

大麦についての経緯:

中国商務部は2018年11月19日に豪州産の輸入大麦に反ダンピング調査を開始、同年12月21日には反補助金調査を開始したが、その後、進展がなかった。

豪州が中国通信機器最大手の華為技術(Huawei)の次世代高速通信「5G」への参入を禁じたことなどを契機に関係が悪化していたが、本年4月23日に、モリソン豪首相が新型コロナウイルスの感染経路について独立した調査が必要と主張、中国が猛反発した。

中国商務部は直後の5月18日に、反ダンピングと反補助金調査でクロの最終決定を行った。

反ダンピングの税率は一律で73.6%、反補助金の税率は6.9%である。

豪州にとって中国は最大の貿易相手国で、2019年の大麦の輸出規模は6億豪ドル(約470億円)だが、同年は干ばつで輸出が落ちこんでおり、2017、18年の輸出額は14億豪ドルを超えて牛肉を上回っていた。

今回バーミンガム貿易相は、中国当局の決定が事実や証拠に基づいていないと非難したうえで「紛争を解決するため国際的な規則や独立した審判を求める」と提訴の理由を説明した。

ーーー

牛肉問題:

中国税関当局は本年5月12日、豪州の食肉処理場4か所からの輸入を停止した。輸入停止はラベリング・衛生認定要件に関連しているとされた。

Kilcoy Pastoral Company、JBS のBeef Cityと Dinmore の2工場、Northern Cooperative Meat Companyが対象で、豪州の対中輸出の約35%を占める。

中国外務省の報道官は、輸入停止は「中国消費者の健康と安全を守るため」だと主張。新型コロナ発生源調査についての質問に、この2つの問題が結び付いていることはないとし、「間違った政治的解釈をすべきではない」などと語った。

続いて8月27日に、中国の税関総署は豪州産牛肉の輸入を一部停止したと発表した。豪食肉会社John Dee Warwick からの牛ヒレ肉から中豪両国が使用を禁じる薬物クロラムフェニコールが検出されたという。
薬物が検出された牛肉は廃棄処分され、市場には出回っていないという。

更に12月7日に、中国は豪州のMeramist Pty Ltd からの牛肉の輸入を停止した。理由は発表していない。

ーーー

ワイン:

中国商務部は、豪州産の輸入ワインについて、8月18日に反ダンピング、8月31日に反補助金の調査を開始、それぞれ、11月27日と12月10日にクロの仮決定を行った。

反ダンピングについては24社に107.1%~169.3%、その他各社には212.1%の保証金を命じた。
反補助金については6.3%か6.4%の保証金を命じた。

追って、最終決定がある。


中国は2020年9月までの1年間で12億豪ドル(約920億円)相当を輸入しており、豪州産ワインの最大の購入国。

 

ーーー

石炭

10月に中国で豪州産石炭の通関手続きに遅れが出ていることが明らかになった。中国の国有発電大手関係者が「税関当局の指導を受け、発電用の石炭の輸入手続きに支障が出ている」と述べた。
中国の税関当局は同日、輸入管理を強化していることを認めた。「関係する産品の輸入の監督管理をさらに強化している」と、水面下で輸入手続きを遅らせていることを示唆した。

中国の2019年の石炭の消費量は約28億トンで、輸入量は約1割の約3億トン。豪州からの輸入量は7700万トンで、インドネシア(約1億3700万トン)に次いで国別で2位。

事情に詳しい複数の関係者が10月に明らかにしたところによると、中国は発電所や鉄鋼メーカーに豪州産石炭の輸入を一時停止するよう口頭で指示した。このため、停止措置がいつまで続くのかや既存の長期契約にどのような影響が及ぶのかを巡り不透明感が漂っていた。

人民日報系の環球時報や財新など複数の中国メディアは12月14日、中国当局が国内発電所に対して、豪州産の石炭は除いて制限なしに石炭輸入を認めることを決定したと報じた。

前日に環球時報が、豪州からの石炭輸入停止が正式に決まったと示唆していたが、当該記事はその後削除された。


豪州
政府は12月15日、この報道が事実であれば国際通商規定に違反すると指摘し、中国側に説明を求めた。



付記 キリンビールも 中豪関係悪化の巻き添えを食った。

キリンHDは8月25日、豪国内で乳製品や飲料を手がけるライオン飲料の売却を中止したと発表した。
キリンは2019年11月にライオン飲料を蒙牛乳業に6億豪ドルで売却する契約を結んだ。豪の競争・消費者委員会の承認は下りていたが、豪財務相が蒙牛乳業に対し、買収が「国益に反する」との見方を伝えた。

キリンは11月26日、これを同国の乳製品メーカー大手のBega Cheese Limitedに売却すると発表した。売却額は5.6億豪ドルとされる。


建設現場でアスベストを吸い込み、肺の病気になった東京などの元作業員らが健康被害を訴えた集団訴訟で、最高裁判所は12月14日付で国の上告を退ける決定をし、全国の集団訴訟で初めて国に賠償責任があるとした判断が確定した。

建設現場で働いていた元作業員や遺族が建材のアスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして、国と建材メーカーに賠償を求めた集団訴訟のうち、東京や埼玉などに住むおよそ350人が訴えた裁判では、2審の東京高裁が2018年3月、対策を怠ったとして国に対して22億8000万円余りの賠償を命じた一方、建材メーカーの責任については認め なかった。

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全国で起こされている「建設アスベスト訴訟」で高裁判決は下記の通り。(〇は有罪、Xは無罪、一人親方の〇は補償対象、Xは補償対象外)
メーカーの責任 一人親方への責任
横浜地裁 東京高裁 2017/10 X   労働関係法令が保護対象とする「労働者」には当たらず、国は賠償責任を負わない。
東京地裁 東京高裁 2018/3 X  「健康被害との因果関係が立証されていない」 〇  建設現場で労働者とともに作業に従事
京都地裁 大阪高裁 2018/8 〇  労働安全衛生法には「労働現場で生じる健康障害について労働者以外の保護を念頭に置いた規定がある」
大阪地裁 大阪高裁 2018/9 〇  労働安全衛生法上の保護対象ではないが、国の違法行為があれば保護されるべき
福岡地裁 福岡高裁 2019/11 契約形式に違いがあるだけ
横浜地裁 東京高裁 2020/8 他の労働者と同等であり、国は一人親方にも安全を守る法的義務がある

詳細は  2018/9/5 建設石綿訴訟の控訴審、原告全面勝訴 

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今回、最高裁第1小法廷は裁判官5人全員一致の意見で、国の上告を退ける決定をし、国に賠償責任があるとした判断が全国の集団訴訟で初めて確定した。個人で仕事を請け負う「一人親方」の被害についても国の責任が認められた 。

一方で、元作業員側の上告のうち、賠償額に不服があるとした部分については退け、国の賠償額を22億8000万円余りとした判断が確定した。

建材メーカーの責任(高裁判決のうち、唯一「責任なし」)については、元作業員側の上告を受理し双方の意見を聞く弁論を来年2月25日に開くことを決めた。

弁論は2審の判断を変える際に必要な手続きで、建材メーカーの責任を認めなかった2審の判断が見直される可能性が 強い。


なお、神奈川県内の元建設作業員や遺族らが国と建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷は10月22日、当事者の意見を聞く弁論を開いた。結審し、判決期日は後日指定する。

2020/8/11 建設アスベスト、最高裁弁論へ

この訴訟では、高裁判決のうち唯一、一人親方への責任を認めていないが、 今回と同じ第1小法廷であるため、これが見直されると見られる。

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