「no」と一致するもの


EvonikとDSMは7月11日、米ネブラスカ州のJVでオメガ3脂肪酸の生産を開始した。

EvonikとDSMは2018年7月、折半出資による新会社Veramaris V.O.F.を設立した。

Veramaris は、天然の藻を由来とする飼料用のオメガ3脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を製造する。

オランダのDSM Biotechnology 内に 本社を構え、アメリカ・ネブラスカ州Blair のEvonikの工場内に2億ドルを投じ、新工場を建設した。

EvonikのBlair工場では、長年にわたり、アミノ酸L-リジンの硫酸塩を50%以上含む動物用の飼料添加物である「Biolys」を発酵法で生産している。

JVは、ネブラスカ州Blair の設備で天然の微細藻類シゾキトリウム属Schizochytrium sp.を使い、大規模な発酵を行い、必須脂肪酸である2種類のオメガ3脂肪酸(EPAとDHA)を豊富に含んだ藻類油を生産することにより、天然の魚を使った餌に依存せずに、動物性タンパク質への高まる需要に責任をもって応えられるようになる。


① Sugarはコーンから得られる。藻のSchizochytrium sp.は工場で培養される。
② 発酵プロセスで、藻の細胞は幾何学的に増殖し、グルコースを
オメガ3脂肪酸に変える。
⑤ 藻類油中のオメガ3脂肪酸の濃度は50%を超える。


オメガ3脂肪酸は、ヒトと動物の体内のさまざまな機能にとって重要な多価不飽和脂肪酸で、オメガ3脂肪酸のEPAやDHAは、脂肪が多い魚(サケ、マグロ、マスなど)や甲殻類(カニ、ムール貝、カキなど)のような海産物に含まれている。

家畜用飼料には、魚油や魚粉といった限りある海洋資源を用いたオメガ3脂肪酸を添加するケースが大半を占めており、現在、魚油や魚粉の生産用に、1600万トンもの天然の魚が捕獲されている。


様々な国際的な保健機構が、海産物由来のオメガ-3脂肪酸(DHA+EPA)を毎日250~500mg(成人)摂取するように勧めており、鮭のような養殖魚は、オメガ-3脂肪酸の重要な栄養源として、ますます重要になっている。しかし、養殖鮭のオメガ-3平均含有量は、2005年から 2016年までの間に半減している。これは、鮭を養殖するために与える餌の種類が変わってきているからである。

天然の鮭は自然の食物連鎖でオメガ-3脂肪酸を得ている。海中の藻類がオメガ-3脂肪酸を含むが、これを動物性プランクトンが食べ、それを小魚が食べ、それを鮭などが食べる。

以前は、カタクチイワシやニシンのような鮮魚が鮭の養殖用飼料の60~80%を占めていたが、現在では20%まで減少している。ニシンのような天然魚が減少してきたことと、安い養殖魚の需要が高まったため、配合飼料が魚粉と魚油のような高いものからトウモロコシ、大豆、キャノーラ油など安価なものに変わっているためである。

EvonikとDSM が共同で開発した食物連鎖の最初の藻を直接使う製法により、天然の魚を使うことなしに、飼料用のEPA/DHAを生産できるようになった。

Veramaris のオメガ-3脂肪酸 1トンで天然魚60トンを救う。

今回の生産開始で、世界の鮭養殖事業のEPA/DHA需要の約15%を供給するとしている。これは、天然の魚120万トンから得られる量に相当する。

天然の藻を使うことにより、海洋生物や海洋における生物多様性の保護にも役立つ。


米司法省は7月11日、英国の日用品メーカー Reckitt Benckiser Groupが、元の子会社のオピオイド中毒治療薬Suboxone にからむ問題の解決のため、14億ドルを支払うことで合意したと発表した。

Suboxoneの売上高の没収で647百万ドル、連邦政府と州政府との民事の和解で700百万ドル、FTCとの和解で50百万ドルとなっている。

同社は、同社としては常に法律を守っており、違法なことをしたということを明確に否定するが、訴訟継続のコストや不確実性等を勘案し、和解することが会社と株主にとってベストであると判断したとしている。
犯罪の解決策ではなく、法律違反や、会社と従業員の違法行為を認めるものではないとしている。

Reckitt Benckiserは、英国バークシャーに本社を置く、トイレタリー分野を中心とした日用品・医薬品・食品メーカー。1999年12月に、イギリスを拠点とするReckitt & Colman plc と、オランダを拠点とするBenckiser NV.が合併して発足した。2010年6月にコンドームのメーカー SSL Internationalを買収した。現在、世界約60ヵ国に事業所を置き、200か国以上で製品を販売している。

売上高の60%がHealth分野、残り40%がHygiene Homeとなっている。

日本で販売されている製品は次の通り。

女性用脱毛剤 Veet、ニキビ治療薬 Clearasil、薬用石鹸 ミューズ、自動食洗器専用洗剤 フィニッシュ、芳香消臭剤 Air Wick、フットケア用品 Dr. Scholl's 、コンドーム Durex など。

付記 

Dr.Scholl ブランドは北米とラテンアメリカではBayerが所有(Merck & Co. から買収)。Bayerは2019年7月、米の投資会社Yellow Wood Partnersに売却した。
その他の地域はReckitt Benckiserが所有していたが、2014年7月にドイツのprivate equity会社のAureliusが買収した。但し、RBジャパンの販売製品には今もDr.Schollが含まれている。

ーーー

オピオイド (Opioid) は、ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛、陶酔作用がある。

骨折や慢性疼痛、歯科治療で最もよく処方される「ヒドロコドン/アセトアミノフェン配合剤」「オキシコドン/アセトアミノフェン配合剤」「サボキソン」などのオピオイド鎮痛薬は、疼痛管理には非常に効果的だが、常習性があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。

米疾病管理予防センター(CDC)によると、過量服薬による死亡の多くにオピオイドが関与しており、処方箋薬のオピオイドによる死亡は1999年から4倍に増加している。

過去20年で20万人の米国人が死んだオピオイド危機について、トランプ大統領は2017年に public health emergency と呼んだ。

保健福祉省は、2017年4月にオピオイドの包括的対策である「5つの重点戦略」を定め、これに基づき諸政策を進めている。
同戦略は、1)よりよい予防、治療および回復サービスの推進、2)オピオイド乱用に関するデータの作成、分析、3)より的確、無駄のない疼痛管理、4)摂取過剰に拮抗する薬剤開発の推進、5)疼痛とオピオイド依存症の研究促進である。

問題となった治療薬Suboxoneは オピオイドによる陶酔感を減少させ、オピオイドの継続使用を魅力的でないものにさせるもので、4) に関するものである。Suboxone とその原体の buprenorphine は強力な、常習性のあるオピオイドである。

今回の事件は、Reckitt Benckiser Groupの子会社が、米国が全力で取り組んでいるオピオイド危機を悪用して、利益を得たとされる。 販売手法が問題とされたもので、製品そのものが問題ではない。

FDAは2018年6月にSuboxone舌下フィルム剤のジェネリック品を承認した。米Mylan Technologies Inc. とインドのDr.Reddy's Laboratories SAの2社が承認取得した。

「FDAは、オピオイド使用障害治療法改善への進歩にまた新たな歩みを刻み、薬剤を必要とする患者にアクセスしやすいものにした」としている。

司法省では、同省はオピオイド危機への対応で全力を尽くしており、今回の決定は関係各省庁の継続した協力の果実であるとしている。


Reckitt Benckiser Groupの処方箋薬の100%子会社
Reckitt Benckiser Pharmaceuticals Inc.(その後 Indivior Inc.は米国でオピオイド中毒の治療薬Suboxone を販売していた。中毒患者が治療を受ける際に、離脱症状を避けるために投与する承認を受けている。オピオイドによる陶酔感を減少させ、オピオイドの継続使用を魅力的でないものにさせる効果がある。

2014年4月にバージニア州の陪審員は、Indivior が違法にSuboxoneの処方を増やすべく全国的な計画を実行したとして起訴した。

Reckitt Benckiser Groupは、この起訴後の2014年12月に Indivior Inc.をスピンオフした。現在は無関係となっている。

この司法裁判は2020年5月に開始される。

訴状によると、同社は 舌下フィルム剤のSuboxone (Suboxone Film) を全国の医師、薬剤師、Medicaid 担当官に、実際には実証されていないのに、他の薬剤と比べて乱用性が少なく、より安全であると称して販売促進を行った。

また、患者に対してインターネットや電話で "Here to Help" と宣伝し、Indivior を売りつけた。法で認められている以上の多くの患者に、高濃度で、認められていないやり方でSuboxoneを処方することが分かっている医師を紹介していた。

また、小児科分野で懸念があるとして、Suboxoneの錠剤をやめると発表した。実際はFDAが錠剤のジェネリック品を承認するのを遅らせるのが目的であった。

この作戦は大成功で、数千人の中毒患者がSuboxone Filmを使用し、その結果、Medicaid programsのコストが増大した。

Reckitt Benckiser Groupは、当時の親会社として、この司法裁判に被告とされるのを避けるため、Indivior 販売収入の647百万ドルの没収に応じた。更に米国で3年間、製造・販売を行わないことを約束するとともに、捜査に全面的に協力することで、不起訴合意(Non Prosecution Agreement)を結んだ。

このSuboxone のマーケティングの結果、政府のヘルスケアに偽りの請求が殺到したことについての民事訴訟の解決のためReckitt Benckiser Groupは700百万ドル(連邦政府に500百万ドル、和解に参加する各州に200百万ドル)を支払う。

別途、Suboxoneのジェネリック品の販売を阻害したことで、Federal Trade Commission Actに反し、競争面で不公正なやり方で事業を行った問題の解決のため、50百万ドルを支払う。同グループは現在、医薬品を製造販売していないが、米国で販売を開始する場合はFTCに連絡する。

ーーー

起訴されているIndivior Inc.は、今回のReckitt Benckiser Groupの和解については情報はないとしている。

同社はこれまで、徹底的に戦うとしている。 万一に備え、438百万ドルを引当て手数料いるが、弁護士からはこれで十分であるとの報告を受けているとしている。

韓国への輸出規制を厳しくする日本の措置について韓国政府は7月10日、世界貿易機関(WTO)の理事会で発言し、日本の措置は貿易ルールに反していると批判し撤回を求めた。これに対し日本は「国際ルール上全く問題ない」と反論した。

韓国の白芝娥大使が、日本政府が半導体の原材料などの韓国向けの輸出規制を厳しくしたことについて、「対象になっているのは韓国だけで、WTOの規定に反している。G20大阪サミットで自由貿易の重要性を主張したことに反している」と批判、「日本の措置は、韓国だけでなく世界全体の産業に悪影響を与える」と訴えて、撤回を求めた。

これに対して日本の伊原純一大使は「安全保障上の懸念に基づく貿易管理の見直しで、WTOのルール上、全く問題ない」と反論し、ほかの加盟国に理解を求めた。

取材に対し「禁輸の措置ではなく安全保障に関する貿易管理上の見直しであり、韓国を簡素化手続きの対象から通常に戻す措置だ。したがってWTOのルール上全く問題ないと説明した」と述べた。

韓国の康京和外相は7月10日、ポンペオ米国務長官と電話協議し、日本による輸出規制の強化を巡る懸念を伝えた。「韓国企業に被害をもたらすだけでなくグローバルな供給体制を混乱させ、米企業や世界の貿易秩序にも否定的な影響を及ぼしうる」などと述べた。

ーーー

政府は7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。有機ELに使うフッ化ポリイミドなど3品目について、個別に審査・許可する方式に切り替える。安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定も削除する。

付記

政府は8月2日、安全保障に関連する物品の輸出管理で手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。政令は8月7日に公布され、28日に施行される。
ホワイト国からの除外は初めて。

経産省は同日、「ホワイト国」等、輸出管理上の国別カテゴリーの実務上の名称を変更した。

グループA
(旧ホワイト国)
輸出令別表第3 アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国、大韓民国(Bへ)
グループB 輸出管理レジームに参加、一定要件を満たす。 エストニア、ラトビア、リトアニア、トルコ、南ア、大韓民国など
グループC その他の国
グループD 別表第三の二 アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン
別表第四 イラン、イラク、北朝鮮

経済産業省は以下の通り発表した。

輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されているが、関係省庁で検討を行った結果、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況である。
こうした中で、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこともあり、輸出管理を適切に実施する観点から、下記のとおり、厳格な制度の運用を行うこととする。


2019/7/3 政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表


世耕経産相は7月3日にツイッターで説明した。

韓国への輸出管理上の措置について、なぜこの時期に?等の疑問がまだ寄せられているし、マスコミもまだ完全に理解できていないようなので、今回の措置に至る経緯を改めて説明します。

経緯①

従来から韓国側の輸出管理(キャッチオール規制)に不十分な点があり、不適切事案も複数発生していたが、日韓の意見交換を通して韓国が制度の改善に取り組み制度を適切に運用していくとの信頼があったが、近年は日本からの申し入れにもかかわらず、十分な意見交換の機会がなくなっていた。

経緯②

また近時、今回輸出許可を求めることにした製品分野で韓国に関連する輸出管理を巡り不適切な事案が発生している。

経緯③

さらに今年に入ってこれまで両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず、関係省庁で相談した結果、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない。

経緯④

輸出管理制度は、国際的な信頼関係を土台として構築されているものであり、経緯①〜③を勘案した結果、韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていると判断し、厳格な制度の運用を行い、万全を期すこととした 。

その前に次の説明をしている。

ホワイト国=友好国ではない。相手国内で輸出管理が厳格に行われているかがポイント。日本にとって重要な友好国であるインドもホワイト国ではない。

さらに重要な事実を指摘しておくと、EUは現在でも韓国を非ホワイト国としています。

軍用品転用可能な技術輸出に関して実効性ある管理を求める国際合意が7つある。合意遵守に必要な見直しを不断に行うことは国際社会の一員として義務。 WTOの自由貿易体制下でも各国にその義務の着実な履行が求められており、各国は履行。今回措置はこの義務履行の一環。 WTO違反には全く当たらない。

参考までに7つの国際合意を列挙します。()内は参加国数。核兵器不拡散条約(191)、化学兵器禁止条約(192)、生物兵器禁止条約(182)、原子力供給国グループ(48)、オーストラリアグループ【生物化学兵器】(42) 、ミサイル技術管理レジーム(35) 、ワッセナーアレンジメント【通常兵器】(42)

発言のなかの経緯①、②からみれば、軍用品転用可能な製品が他国に再輸出された例があるとみられる。

実際に、韓国の産業通商資源省は7月10日、2015年から19年3月までに戦略物資の東南アジアや中国、中東諸国などへの違法輸出が156件に上ったと明らかにした。対象には、生物・化学兵器を含む大量破壊兵器製造にも転用できるフッ化水素などの輸出も含まれていた。

2018年5月にはウラン濃縮に使われる遠心分離機がロシアなどに輸出された。
2017年12月にフッ化ナトリウムなどがイランへ輸出されていた。
日本政府が今回規制したフッ化水素酸も2017年12月にベトナム、2019年1月にアラブ首長国連邦(UAE)へ不正輸出されていた。

フッ化水素酸は核兵器の製造や猛毒サリなどの化学兵器の合成材料にも使われるが、韓国は日本製ではないとし、「サリンに転用されるのは低純度のフッ化水素で、日本から輸入している高純度のフッ化水素が転用されることはありえない」と強調している。

同省は10日発表したリストについて「輸出管理が効果的にされている証左」と主張。「日本は違法輸出の摘発件数さえ公開していない。一部の事例を選んで公開しているだけだ」としている。

これが理由であれば、今回の輸出規制は大使の言う通り、「安全保障上の懸念に基づく貿易管理の見直しで、WTOのルール上、全く問題ない」。

問題は、経産省発表の「日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況である」と、世耕 経産相の経緯③である。「両国間で積み重ねてきた友好協力関係に反する韓国側の否定的な動きが相次ぎ、その上で、旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず」としている。

政府や自民党では、「元徴用工」訴訟での判決や、韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題などで、韓国制裁が議論されてきたとされる。

夕刊フジのzakzakは1月19日付で「韓国制裁、官邸決断か...23日に日韓外相会談 半導体原材料 フッ化水素 禁輸の声も」という記事を載せている。

聞く耳を持たない隣国に対し、日本では「国際司法裁判所(ICJ)への提訴」や「韓国人の入国ビザ差し止め」といった、対抗措置が本格検討されており=別表=、国内世論も怒りの声で満ちあふれている。

予想される日本政府による韓国への対抗策

① 国際司法裁判所(ICJ)への提訴
② 韓国人の入国ビザの差し止めを含めた厳格化
③ 韓国製品の関税上乗せ
④ 貿易保険の適用から韓国を外すなどの輸出規制
⑤ 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への韓国の参加申請拒絶
⑥ 日本国内の韓国企業の資産差し押さえ
⑦ 日本からの部品・素材提供の停止(フッ化水素など)
⑧ 長嶺安政駐韓日本大使の帰国


今回、対抗策の第一弾として⑦が発動された。

長嶺安政駐韓日本大使は7月8日、韓国の国会で国会外交統一委員長と1時間ほど会談した。 日本の輸出規制措置の背景に関連し「単に強制徴用者問題のためだけではない。両国間の信頼関係が崩れたため」と述べた。

以上からは、本当の理由は「安全保障上の懸念に基づく貿易管理の見直し」ではなく、韓国の姿勢への制裁と見られる可能性があり、WTOのルール上、全く問題ないとは言えない。


ギリシャで6月7日に総選挙の投開票が行われ、圧勝した保守派の新民主主義党(ND)のKyriakos Mitsotakis党首(51)が新首相に就任した。6月8日に就任宣誓式が行われた。

ギリシャの選挙制度では250議席を比例代表制で争い、第1党には50議席のボーナスのほか、得票率が3%に届かなかった少数政党の議席が与えられる。
新民主主義党(ND)は158議席を獲得、全300議席の過半数を獲得し、
金融危機後初めて、単独政党の政権が成立した。

新民主主義党(ND)は2012年6月に129議席(50議席加算後)を獲得、民主的左翼(DIMAR)及び全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と連立政権を樹立したが、2015年1月及び9月に急進左派連合(SYRIZA)に敗れた。

今回、単独で政権を獲得した。

なお、2009年に全ギリシャ社会主義運動が当時の政権党の新民主主義党を破り、パパンドレウが首相となったが、パパンドレウ首相が前政権・新民主主義党の粉飾を明らかにしたのが、ギリシャ危機のきっかけとなった

Mitsotakis党首は、1990年~93年に首相を務めたKonstantinos Mitsotaki の息子で、Harvard University卒、McKinsey & Companyの元コンサルタント。親ビジネスを掲げ、雇用創出と法人税の引き下げや規制改革などを公約に掲げてきた。


これまで与党の急進左派連合(SYRIZA)を率いるAlexis Tsipras前首相は、欧州債務危機に陥った同国で国際債権団による救済後のかじ取りの続投に懸けていたが、実現には至らなかった。

前首相は、ギリシャが金融危機下にあった2015年、反緊縮財政を訴えて熱狂的な支持を集め、政権を奪取した。しかし結局、EUなどからの金融支援の継続と引き換えに、年金カットや増税などの緊縮実行を受け入れた。

このため、与党内で造反の動きが続出し、8月14日の財政改革法案(EU側からの金融支援の条件)では与党から多数の反対が出た。

チプラス首相は8月20日夜にテレビを通じて演説し、辞任して、総選挙を行うと表明した。改めて信任を問うもの。

9月20日に投票、開票が行われ、チプラス首相は信任された。急進左派連合の造反派のうち 25名が離党し結成した新党「民主統一」は全員が落選した。
この時点では、ギリシャ国民はEUの求める緊縮策を受入れ、EU残留を望んだこととなる。

2015/9/24 ギリシャ総選挙でチプラス首相信任

ギリシャは2018年8月に金融支援から脱却し、自主的な再建を進めている。一方で国内総生産(GDP)は危機前の4分の3に縮小し、失業率も依然18%の高水準にある。

このため、国民の不満が高まった。

更に、ギリシャは長年にわたり、隣国マケドニアの国名を巡り争ってきたが、2018年6月12日、両国政府は欧米の仲介で マケドニアの国名を「北マケドニア共和国」に変更することで合意した。ギリシャがEUなどへの加盟反対を取り下げることでも合意した。

これも国民の不満を生んだ。

2019/2/5 「北マケドニア」、NATO加盟へ

新民主主義党(ND)の Mitsotakis党首は、「チプラス政権はマケドニアの国名変更合意を含め、ギリシャに何ももたらさなかった」と批判し、国民の支持を獲得した。


2018年のギリシャのGDP比の公的債務残高は181.1%と高水準で、60%以内に抑えるよう定めたEUの規律からは遠い。

新民主主義党(ND)は法人税減税などの景気刺激策を掲げて勝利したが、財政支出が拡大すれば欧州委と対立する可能性がある。

これは、イタリアなど南欧各国に共通するもので、単一通貨をとりながら財政は別々というEUの制度の欠陥による。どの党が政権をとっても難しい。

ーーー

総選挙の推移:

2012/5
選挙前
2012/5
選挙
2012/6
再選挙 
2015/1
選挙
2015/8
造反
2015/9
選挙
2019/7 増減
民主的左翼(DIMAR) 0 19 17 0 0 17

緊縮推進
EUとの合意支持

-17
全ギリシャ社会主義運動(PASOK) 160
(110+50)
41 33 13 13
新民主主義党(ND) 82 108
(58+50)
129
(79+50)
76 76 75 158
(108+50)
+83
(連立与党) (242) (149)
組閣失敗
(連立与党) (179)
民衆統一(新党) 25 0

SYRIZA離党 反緊縮

急進左派連合(SYRIZA) 13 52 71 149
(99+50)
124 145
(95+50)
反緊縮財政 方針変換

EU緊縮策受入
86 -59
独立ギリシャ人 (ANEL) 0 33 20 13 13 10 反緊縮財政
(
中道右派
2012年NDから分離
-10
(連立与党) (162) (137) (155)
ギリシャ共産党 (KKE) 21 26 12 15 15 15 EU、NATOからの脱退主張 15 0
新党 Movement for Change
(Kinima allagis)
22 22
Greek Solution (Elliniki Lyse) 10 10
MeRA 25 9 9
Course of Freedom 0 0
黄金の夜明け(ΧΑ) 0 21 18 17 17 18 極右政党 0 -18
正教民衆集会 15 0 0 0 0 0 0 0
河 (Potami) 0 0 0 17 17 11 (新党) 親欧州派、反汚職 -11
中道連合 (Enosi Kentroon) 0 0 0 0 0 9 0 -9
合計 291 300 300 300 300 300 300 ±0

ギリシャでは議席300人のうち250人が比例代表制で選ばれ、最多議席をとった政党に50議席が追加で与えられる。


英大衆紙Daily Mailは7月7日、駐米大使のSir Kim Darrochから英外務省への報告の機密公電の内容を明らかにした。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-7220335/Britains-man-says-Trump-inept-Cables-ambassador-say-dysfunctional.html

2017年から現在に至るまでのもので、その中でトランプ政権について「今後、より正常な状態に近づくことや、機能不全、予見不可能性、派閥ごとの分断、外交的なまずさ、無能さが改善されるとはまず考えられない」などと報告している。

As seen from here, we really don7t believe that this Administration is going to become substantially more normal; less dysfunctional, less unpredictable, less faction-riven, less diplomatically clumsy and inept.

次の報告もある。

Trump政権は無能。
 I don't think this Administration will ever look competent.

White House 内部に争い('knife fights')がある。
  bitter conflicts within Trump's White House - verified by his own sources - as 'knife fights'

Trump大統領は怪しいロシア人に借りがある模様。
   Trump could have been indebted to 'dodgy Russians'

Trump大統領の経済政策は世界の貿易システムを破壊する。
  the President's economic policies could wreck the world trade system

スキャンダルにまみれた大統領は破滅するかも。屈辱と没落に至る下方スパイラルの始まりか。
  the scandal-hit Presidency could 'crash and burn' and that 'we could be at the beginning of a downward spiral...
   that leads to disgrace and downfall'


これを知り、Trump大統領は7月8日、ツイッターで呟いた。

英国とメイ首相のBrexit の扱いはひどい。ひどいことになっている。首相にはこうしたらと言ったのに、逆のことをしている。

I have been very critical about the way the U.K. and Prime Minister Theresa May handled Brexit.
What a mess she and her representatives have created. I told her how it should be done, but she decided to go another way.

大使は知らないが、米国では好まれておらず、よく思われていない。もう相手にしない。

I do not know the Ambassador, but he is not liked or well thought of within the U.S.
We will no longer deal with him.

英国にとってよいことは、間もなく新しい首相が生まれることだ。先月国賓として訪英したが、私が最も感銘を受けたのは女王だ。

The good news for the wonderful United Kingdom is that they will soon have a new Prime Minister.
While I thoroughly enjoyed the magnificent State Visit last month, it was the Queen who I was most impressed with!

Trump 大統領のツイートから数時間後に、メイ首相の報道官はメモ流出は遺憾だとの英国の見解を改めて表明し、その上で「大使は引き続き首相の完全な支持を得ている」と述べた。

次期英首相候補のハント外相は「私は米政権についてや米政権との関係に関する大使の評価に同意しないことを明確にしている。ただ彼が率直な評価を下す権利は擁護する」と述べた。その上で、メモを漏えいした人物は「重大な結果」に直面するとした。

一方、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首はツイッターで、大使は「この職務にまったく不適任で、辞任が早ければ早い方が良い」と書いた。

Trump 大統領は翌日、再び呟いた。

英国が米国に押し付けた頭のおかしい大使を我々はよく思っていない。とてもばかなやつだ

The wacky Ambassador that the U.K. foisted upon the United States is not someone we are thrilled with, a very stupid guy.

失敗したBrexit交渉についての私の批判に動揺せず、本国に伝えろ。私の言った通りにせず、うまくいかなかったのだ。災難だ!

He should speak to his country, and Prime Minister May, about their failed Brexit negotiation, and not be upset with my criticism of how badly it was handled. I told Theresa May how to do that deal, but she went her own foolish way - was unable to get it done. A disaster!

大使については知らないが、思いあがったバカ者だとのことだ。彼に言ってやれ、米国は今、世界でベストの経済と軍隊をもち、さらに大きく、よく、強くなっていく。Thank you, Mr. President!

I don't know the Ambassador but have been told he is a pompous fool. Tell him the USA now has the best Economy & Military anywhere in the World, by far and they are both only getting bigger, better and stronger.....Thank you, Mr. President!


大使は1954年生まれで、キャリア外交官として42年間の経歴を持つ。2016年1月に駐米大使として着任した。


付記

Darroch大使は7月10日、辞任した。 大使は書簡で「公電文書が大使館から漏えいして以来、自身の立場、および大使としての在任期間を巡る憶測が飛び交っている。こうした憶測に終止符を打ちたい。現状では自分自身の役割を自分が望むように果たすことは不可能になっている」とした。

大使の任期は年末までだった。

連邦第9区巡回控訴裁判所(サンフランシスコ)は7月3日、トランプ政権が国防予算を転用してメキシコ国境に壁を建設する計画の一部を差し止める地裁の仮命令を支持した。地裁に続いて高裁も、議会の承認を得ずに予算の使い道を変えるのは違法だと判断した。


政権側は上告した。しかし、これらの司法判断が覆るまで、対象となった部分の壁建設を止める必要がある。

ーーー

米カリフォルニア州の連邦地裁のHaywood Gilliam Jr. 判事は5月24日、大統領権限で国防予算をメキシコ国境沿いの壁建設に振り向ける計画について、一部を暫定的に差し止める判断を下した。

政権が壁建設に使用しようとしている67億ドルのうちの、アリゾナ州とテキサス州の2つの地域で51マイルの壁を建設するための10億ドルについてである。

壁建設に反対する Sierra Club と南部国境コミュニティ連合を代表してAmerican Civil Liberties Union が行った訴訟に対するもの。5月25日にも壁の建設作業が開始される予定であった。

壁建設のために防衛予算から流用する資金は議会から使用を認められたものではないと理由で、資金使用を一時的に停止することを命じた。

2019/5/27 メキシコとの国境の壁建設、連邦地裁が一部を暫定差止 

Gilliam Jr. 判事は6月28日、カリフォルニア州とアリゾナ州の間の79マイルの壁についても15億ドルの予算転用を禁止した。

今回、控訴審はこの合計25億ドルの計画を差し止めた。

3人の判事の意見が分かれた。うち 2人が、政権は議会の承認なしに予算を流用する権限を持たないとする地裁の判断を支持した。

Obama 大統領が指名したMichelle Friedland判事と、George W. Bush 大統領が指名したRichard Clifton判事が、「議会に歳出の権限を与えた憲法を尊重し、壁建設への資金支出を何度も拒否したことにみられる議会の公共の利益の理解に任せることが、最善であるということで一致した」としている。

同じくGeorge W. Bush 大統領指名のN. Randy Smith判事は、この結論を「未知の、リスキーなアプローチだ」とした。「法的判断の最も基本の概念に矛盾する。これまで無かった憲法の問題を生んだ」としている。

ロシアの政府出資ファンドのRussian Direct Investment Fund (RDIF)は6月29日、Russia-Japan Investment Fund を共同で運営するRDIFと日本のJBIC IG Partners(下記参照)が、ロシアのインフラ投資・運営大手AEON Infrastructure Corporation とともに、RDIFがロシアのVolgogradで計画しているメタノール工場建設計画に協力することで合意した。

調印はG20出席のため大阪に来ているプーチン大統領、安倍首相の出席のもとに行われた。

併せて、AEONの子会社のGTM ONEは丸紅との間で、生産されるメタノールの供給契約に調印した。工場の設計業務は、GTM ONEと三菱重工の間で結ばれた契約に基づき行われる。

メタノールの能力は年産100万トンを超える。

以上がRDIFによる発表で、出資比率等については触れていない。丸紅もこの事業に参加しているが、日本側の発表はまだない。

この計画は、日ロ経済協力の一環である。

2016年5月、ロシア南部のソチで開催された日露首脳会談において、安倍 首相からプーチン大統領に対して、日露経済交流の促進に向け、8つの項目からなる協力プラン提示し、以降、日露でプロジェクトが進められている。

計画は、年産100万トン以上のメタノールをVolgogradにあるKhimprom の工場跡地に建設するもので、総投資額は8億ドル以上となっており、2020年初めに建設を開始し、2022年後半の完成を目指す。

Khimpromの工場跡地には必要なインフラ設備は整っており、生産に必要な天然ガスが十分に供給されるようになっている。

Volgogradにはロシアと中央アジアの天然ガスが東ルートパイプラインで運ばれる。

製品は生産全量を輸出する。この立地からは、最低のコストで製品を市場に輸出できる。

ーーー

メタノール工場を建設する立地は、Khimpromの工場であった。

Khimpromは1931年に建設された化学会社で、化学兵器の神経ガスを生産していた。1959年にサリンガスを、1967年にソマンガスを生産開始した。これらは1987年に公式に生産停止した。

しかし、1991年にソ連の第4世代化学兵器計画("Foliant"計画)の一環として、5~10トンのバイナリー神経ガスを生産したといわれている。

毒性物質の前駆体となる二種類の化学物質が容器内に物理的に隔離された状態で同梱された二種混合型兵器。使用されたとき、容器の中の二種の化学物質が混ざり化学反応を起こすことによって毒性物質を生成する。

ソ連崩壊後は、同社はオキシ塩化リンやリン化合物、フッ素化合物を生産していた。

2000年代に入り、同社の財政状態は悪化し、2012年に破産宣告した。

工場の生産は2014年に完全に停止し、2015年1月に清算され、従業員は解雇された。同時に、数十年の稼働で汚染された環境被害の回復が開始された。

欧州連合(EU)は6月30日から7月2日まで3日続いた臨時首脳会議で、トップ人事を決定した。

現在 任期 後任
国籍 現職
欧州委員長 Jean-Claude Juncker 2019/10/末 Ursula von der Leyen ドイツ ドイツ 国防相
ECB総裁 Mario Draghi Christine Lagarde フランス IMF専務理事
EU大統領 Donald Tusk 2019/11/末 Charles Michel ベルギー ベルギー首相
外交安全保障上級代表
(「EU外相」)
Federica Mogherini Josep Borrell スペイン スペイン外相

  青字は女性

付記 

欧州委員会の新体制が、予定された11月1日に始動できない見通しになった。閣僚に相当する欧州委員の人事案について、欧州議会の承認を得られていないため。10月末に任期を終えるユンケル氏率いる現委員会が、新体制発足まで暫定的に継続する。

付記

EUは11月27日、欧州委員会の次期委員長としてvon der Leyen氏を承認、欧州委員候補らも併せて承認した。12月1日に新体制が発足する。

ーーー

これまでは欧州委員長は欧州議会の第一会派が擁立する「筆頭候補」が選任されたが、今回は従来方法を見直し、筆頭候補が自動的に選ばれる方式を採らないことを確認した。 

今回の選挙では、親EUの二大会派が議席を減らす一方で、右勢力や「緑の党」が伸長し、多極化が進んだ。

EUの意思決定がより困難になることを懸念し、欧州委員長には、首脳らと欧州議会の双方から幅広い支持を得られる人選が必要との認識で一致した。

今回は特に、フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相が対抗している。

欧州委員長の候補には、下記の名が挙がっていた。

  出身 現職 会派   推薦
Manfred Weber ドイツ 欧州議員 欧州人民党
(中道右派)
組織トップの経験なし メルケル首相

Frans Timmermans

オランダ 欧州委
第一副委員長
欧州社会・進歩連盟
(中道左派)
ユンケル委員長右腕 マクロン大統領
Margrethe Vestager デンマーク  欧州委員
(競争政策) 
欧州自由民主同盟
(リベラル)
米のIT大手と対決
初の女性委員長狙う
Michel Barnie フランス Brexit
主席交渉官
欧州人民党
(中道右派)
 


メルケル首相は最大会派欧州人民党のWeber欧州議員を推すが、マクロン大統領は、「カリスマ性と経験ある人物がふさわしい」と主張、それを満たす候補として他の3人を挙げた。

 2019/6/4 欧州議会選挙の結果と新体制の選出

ーーー

仏独の妥協の結果、欧州委員長には中道左派グループが推すTimmermans 元オランダ外相を軸に検討したが、ハンガリーやポーランドと激しく対立してきた経緯があり、イタリアや東欧などの反対で立ち消えになった。

議論が行き詰まるなか、2人の女性トップという大胆な提案で事態を打開したのが、マクロン仏大統領だった。

欧州委員長には中道右派の有力女性政治家で、ポスト・メルケルにも名前が挙がったUrsula von der Leyen 独国防相を選んだ。

ECB総裁に指名されたChristine LagardeはIMF専務理事として欧州債務危機に対応し、債務危機をともに乗り越えたメルケル独首相との関係も良好とされる。


欧州議会の第2会派、中道左派グループは von der Leyen 氏の委員長起用に猛反発している。

これまでの、欧州委員長は欧州議会の第一会派が擁立する「筆頭候補」から起用するというルールを無視したことへの反発で、中道左派グループが反対すれば議会の過半数の確保は難しく、各国首脳が議会を説得する。(欧州委員長のみ、7月中旬の欧州議会で承認されることが必要)

付記

欧州議会は7月16日、Ursula von der Leyen 欧州委員長の承認をめぐる採決を実施し、過半数の賛成で承認した。
賛成は383票で、欠員を除いて承認に必要な総議席の過半数374票をぎりぎり上回った。

11月1日に就任する。

Huawei(華為技術)は6月27日、同社のイノベーションと知的財産権に関するホワイトペーパーを発行し、知的財産権に関する紛争を「政治問題化」することへの懸念を表明した。

Huawei White Paper on Innovation and Intellectual Property :
Respecting and Protecting Intellectual Property: The Foundation of Innovation
 

記者会見した同社の上級副社長兼最高法務責任者は、知的財産権はイノベーションの基礎であり、それを「政治問題化」することは世界各国における進展を脅かすことになると警告した。

「政治家が知的財産権を政治の道具として使えば、特許保護制度の信頼を破壊することになる。一部の国の政府が選択的にある企業をその国の知的財産権保護制度から排除すれば、世界のイノベーションの基礎を壊すことになる」と述べた。

イノベーションと知的財産権の保護こそがHuaweiの過去30年間の成功の土台であることを示した。

知的財産権に係る紛争は司法プロセスを通じて解決されるべきだとし、Huaweiは過去30年間において、悪意ある知的財産権の盗用・剽窃に関与したとの裁決を受けたことはなく、そのためこうした行為に対する損害賠償を求められたこともないと強調した。

また、Huaweiが知的財産権を尊重したうえで協調的なアプローチを採用してきたことは、同社の成果が、3G、4Gそして5Gなどの携帯電話の通信技術に関する標準規格にオープンに組み込まれているという事実からも明らかだと指摘し、Huaweiの製品を直接購入していない国であっても、Huaweiの発明に依拠する必須特許を利用しており、Huaweiが創造した技術がもたらす価値を共有していると述べた。

さらにHuaweiの特許の使用に関するスタンスについて、特許ポートフォリオを今後も「武器」として使用することはないと述べた。オープンかつ協調的なスタンスで、産業界での特許ライセンスにあたってはFRAND(Fair, Reasonable, and Non-discriminatory:公平、合理的、かつ非差別的)原則を堅持するとした。

「Huaweiはこれまでと同様に、当社の技術を世界と常に共有する準備があり、またしていきたいと考えている。これには5Gも含まれ、米国の企業や消費者も含まれる。私たちは協力して産業の発展を進め、人類に価値をもたらす技術を進化させることができるのです」

ーーー

トランプ大統領と習近平国家主席は6月29日、大阪市内で会談した。

会談終了後、トランプ大統領は「素晴らしい会談だった。期待以上といえるだろう。協議は再開する」と記者団に語った。

トランプ大統領はHuaweiへの事実上の禁輸措置に関連し「アメリカ製品をこれからも売ることを認めていきたい」と述べ、米企業によるHuaweiへの部品販売などを認める考えを示した。
「大量の米国製品がHuaweiのさまざまな製品に使われており、取引を続けてもかまわないと思っている」と述べた。「安全保障上問題がないところは、装備・設備などを売ってもいい」とし、この問題については「今後どうなるのか見極めたい」と語った。

米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は6月30日、Huaweiに対する制裁緩和について、禁輸対象リストに同社を残し続けると明らかにした。

「一般的な恩赦ではない」と説明した。米商務省は「Entity List」に引き続き掲載する。米国製品などを輸出する企業に対しては、汎用品の取引にのみ輸出許可を出す。

ーーー

Executive Summary 概要:

過去30年以上にわたり、情報通信技術に焦点を置き、世界の30億人以上をネットワークで結び付けた。世界のあらゆる環境でのネットワークをサポートするよう全力を尽くす。

このビジョンの実現のため、イノベーションと研究開発を重視する。毎年、売り上げの少なくとも10%をR&Dに投資する。2018年には売上の15%、1000億人民元以上をR&Dに使った。EUの統計でR&D投資で世界5位になっている。その結果、革新的製品、効率的なサービスを需要家に供給できた。

過去20年以上、R&Dに重点投資し、ICTセクターで主要な4G特許保有者となり、5Gでのリーダーの地位を固めた。(5G開発に5年で20億ドルの投資)
IPの尊重、保護がイノベーションの基礎と信じる。

イノベーションの実用化を推進するため、ライセンスやクロスライセンスで我々のIPを他社とシェアしている。研究結果の発表もしている。毎年、多くの情報を専門誌に発表し、産業の進展に努めている。

> 基礎研究を重視し、投資を続けるのがHuaweiの現在の成功のキイである。

2018年末時点で、8万7,805件の特許を保有し、そのうち1万1,152件は米国で登録されたもの。

> 現在、毎年100~200の報告を専門誌に行っている。

> Huawei のイノベーションは同社の需要家、消費者、業界、投資家に膨大な利益を与えている。

> Huawei は第三者のIP、商業秘密を尊重する。IPの管理、コンプライアンスのシステムを構築し、全ての従業員がこれをも守るよう全力を尽くしている。

> Huawei は世界の主要企業(Nokia, Ericsson, Qualcomm, Nortel, Siemens, Alcatel, BT, NTT DOCOMO, AT&T, Apple, Samsung など)と友好的な交渉を通じ、100件以上のライセンス契約(クロスライセンスを含む)を結んできた。

> Huawei は2015年以降、米欧アジアの幅広い企業から14億ドル以上のライセンス料を受け取っている。

> Huawei は国際ルールを尊重し、過去20年で第三者のIP利用のため累積で60億ドル以上を支払っている。

トランプ大統領と習近平国家主席は6月29日、大阪市内で会談した。

両首脳は昼前から約1時間にわたって会談。通信機器最大手、華為技術(Huawei)への米商務省による制裁や、北朝鮮の核開発問題を巡っても意見を交わしたとみられる。

会談では、習主席が、「中米関係の発展に関する根本的な問題について意見を交わし、協調、協力、安定を基調とした中米関係を推進したい。」「中国と米国は協力すれば共に利益を得られ、戦えば共に傷つく」とし、「両国関係を発展させる根本的な問題について意見を交わしたい」と語りかけた。

トランプ大統領は通商協議について「少しつまずいたが、我々はまた近づいている。きっと公正な合意がまとめられる。ものすごくいい成果を期待している」「公正な貿易を実現できれば、米中は歴史をつくることができる」と応じた。

会談で、中米が平等と相互尊重に基づいて経済貿易協議を再開することで合意した。米側は、中国の輸出品に再び新たな関税を上乗せしないと表明、両国の経済貿易チームは具体的な問題について討議する。

会談終了後、トランプ大統領は「素晴らしい会談だった。期待以上といえるだろう。協議は再開する」と記者団に語った。
米中首脳会談に続いて開いたトルコとの首脳会談の冒頭で、「(両国関係は)再び軌道に戻った」と語った。


トランプ大統領はHuaweiへの事実上の禁輸措置に関連し「アメリカ製品をこれからも売ることを認めていきたい」と述べ、米企業によるHuaweiへの部品販売などを認める考えを示した。
「大量の米国製品がHuaweiのさまざまな製品に使われており、取引を続けてもかまわないと思っている」と述べた。「安全保障上問題がないところは、装備・設備などを売ってもいい」とし、この問題については「今後どうなるのか見極めたい」と語った。

付記

米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は6月30日、Huaweiに対する制裁緩和について、禁輸対象リストに同社を残し続けると明らかにした。

「一般的な恩赦ではない」と説明した。米商務省は「Entity List」に引き続き掲載する。米国製品などを輸出する企業に対しては、汎用品の取引にのみ輸出許可を出す。


ーーー

トランプ大統領はこの後、韓国を訪問するが、ツイッターで出来れば北朝鮮の金委員長に挨拶したと述べた。

After some very important meetings, including my meeting with President Xi of China, I will be leaving Japan for South Korea (with President Moon).
While there, if Chairman Kim of North Korea sees this, I would meet him at the Border/DMZ just to shake his hand and say Hello(?)!

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ