「no」と一致するもの


Trump大統領は5月5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、5月10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。

米中は2018年12月から貿易協議を開いて打開策を探ってきたが「交渉が遅すぎる」として制裁強化に転じる。最終協議を前にした威嚇との見方もある。

付記

米通商代表部(USTR)は5月8日、2千億ドル分の中国製品に対する制裁関税を5月10日午前0時1分に現在の10%から25%に引き上げると官報で正式に通知した。

中国商務部は5月8日夜に「もし米国が追加関税の措置を取るならば、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」との声明を発表した。

付記

トランプ米政権は5月10日午前0時1分、2千億ドル分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた。中国も報復措置を取るとの声明を出した。

追加関税は5月10日以降に米国向けに輸出され、通関した製品に順次かかるため、それまでに輸出された製品は同日以降に米国に到着しても10%のまま。

付記

6月15日からは輸出日に関係なく全面適用した。


大統領はツイッターで「2000億ドル分の製品は5月10日に10%から25%に上がる。追加の3250億ドル分の中国製品にも速やかに25%の関税を課す」と述べた。「中国との交渉は続いているが、遅すぎる」とした。輸入関税引き上げ分はほとんどを中国が負担するため、製品価格にはあまり影響ないとしている。(全くの誤認)

For 10 months, China has been paying Tariffs to the USA of 25% on 50 Billion Dollars of High Tech, and 10% on 200 Billion Dollars of other goods.
These payments are partially responsible for our great economic results.

The 10% will go up to 25% on Friday.

325 Billions Dollars of additional goods sent to us by China remain untaxed, but will be shortly, at a rate of 25%.

The Tariffs paid to the USA have had little impact on product cost, mostly borne by China. The Trade Deal with China continues, but too slowly, as they attempt to renegotiate. No!

ーーー

米国は2018年7月6日から340億ドルの輸入品に25%、8月23日からは合計500億ドルの輸入品に25%の追加関税を課し、中国は対抗措置をとった。

2018年9月24日からは追加の2000億ドルの輸入品に10%の追加関税を課し、2019年1月1日からは25%に引き上げるとした。中国は600億ドルの米国からの輸入品に5%と10%の追加関税を課した。
大統領は中国からの残りの輸入品にも追加関税を課すると繰り返し言及した。

大統領と習近平主席は2018年12月1日、首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得ることで合意した。この間に合意できない場合、追加関税は25%に引き上げるとなっていた。

2018/12/2 米、中国への追加関税を90日猶予

米政権は2019年2月28日、3月1日に交渉期限が迫っていた中国との通商協議を延長し、2日午前0時過ぎに発動予定だった対中制裁強化を見送ると正式発表した。別に発表があるまでは追加関税の税率を10%で維持する。

これを受け中国は、米国で生産された自動車と自動車部品に対して引き続き追加関税の賦課を一時停止することを決定した。この措置の終了時期については別途発表するとしている。

2019/2/28 米国、中国製品への関税引き上げを延期、首脳会談で最終決着へ

今回、2000億ドル分について、延期していた25%への引き上げを実行するというもので、残りの全輸入品への追加関税も示唆している。
(米国の貿易統計では2018年の中国からの輸入は5,395億ドルとなっており、2,500億ドルの残りは2,895億ドルである。)

米中は閣僚級協議を開いて関税引き下げなどの条件を交渉しており、5月8日から中国の劉鶴副首相がワシントン入りして再会談する予定になっている。

中国はLNGや穀物など米国製品の輸入拡大策を示し、外資の技術移転強要を禁じる「外商取引法」も成立させた。
但し、中国が合意に違反したと判断すれば制裁関税を再発動する「罰則条項」などで対立が残っているとされる。

今回の突然の引き上げ表明は、中国に一段の譲歩を求める「脅し」との見方もある。


5月2日に英国のイングランドと北アイルランドで地方議会選挙が行われた。

イングランドのロンドンを除く248地方議会選と6自治体の首長選、北アイルランドの全11地方議会選で、スコットランドとウェールズでは地方選は行われていない。

イングランドの開票結果は次の通り。

今回 2015年 増減 Brexit姿勢
保守党 3,562 4,892 -1,330 離脱
労働党 2,033 2,117 -84 離脱で与党と協議
独立党 31 176 -145 離脱
自由民主党 1,350 646 +704 EU残留
緑の党 265 71 +194 EU残留
その他 1,179 518 +661
合計 8,420 8,420 0


離脱派の保守党と独立党が大敗した。

労働党も議席を失った。党首が保守党と与野党協議を続けているが、これはメイ首相を助けることになるだけとの批判が多く、残留派の票が2回目の国民投票を唱える自由民主党や緑の党に流れたとされる。

労働党はこれまで保守党案には反対しており、3月27日の下院の「示唆的投票」では「EUとの緊密な経済関係の維持案」を提案した。

・全面的な関税同盟
・単一市場との緊密な連携
・新しいEUの権利と保護に対応
・EUの機関、資金拠出計画への参加
・将来のセキュリティ関連の合意

逆にEU残留を主張する自由民主党と緑の党が大幅に議席を増やした。


選挙結果を受けてメイ首相は、有権者は主要政党にブレグジットを「さっさと進める」よう期待している証拠だと述べたが、自由民主党の党首は、 「自分たちに投票した有権者は誰もがブレグジット中止のために投票したのだ」と述べた。

日常生活に直結する地方選は真剣に投票するため、今回の結果は英国の民意が大きく変わったことを意味する。

2016年6月23日に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票の結果は次のとおりで、イングランドでは離脱が53.4%をとっていた。

逆に、5月23日に予定される欧州議会選は「人気投票」に流れる傾向があり、強硬離脱派の新党 Brexit Party が世論調査で30%の支持を集めている。

Brexit Party は元独立党党首のNigel Farage が2019年4月に早期の離脱を目指し設立した。



北アイルランドでは、北アイルランドの英国帰属維持を主張する民主統一党 (-8) とUlster Unionist (-13) 、及びアイルランド共和国との統一を主張する社会民主労働党 (-7) がいずれも席を失った。(英国下院で女王への忠誠を示さず欠席を続けるシンフェイン党は現状維持)

一方、ユニオニスト(英国帰属)もナショナリスト(アイルランド帰属)も支持しない層から一定の支持を受けているAlliance Party (+21) が大きく席を伸ばした。

サムスン電子は4月24日、 "Semiconductor Vision 2030" を発表した。

2030年までにシステム半導体分野の研究開発・生産施設の拡充に133兆ウォン(約13兆円)を投資して専門担当者1万5000人を採用すると明らかにした。

非メモリ分野の半導体受託生産(foundry)とsystem-on-chip (SoC)の分野での競争力を強化することにより、世界第1位の統合デバイス製造業者になる。


文在寅大統領は4月30日、ソウル近郊、京畿道華城市のサムスン電子華城事業所を訪問した。

"Semiconductor Vision 2030" を歓迎する姿勢を示し、「政府も積極的に支援する」と述べ 、政府として「システムLSIのビジョンと戦略」を発表した。

総合半導体強国として飛躍するために2030年までにファウンドリー(受託製造)世界1位を達成し、ファブレス(設計)市場でのシェアを現在の1.6%から10%に引き上げる。

今後10年間にこの分野の研究開発に1兆ウォン(約960億円)を投資する一方、大学の半導体関連学科の新設などを通じて17千人の専門人材養成を支援する。



サムスン電子は現在、メモリ(DRAM、NAND型フラッシュメモリ)の圧倒的な市場支配力を土台に、半導体市場全体で1位の座を守っているが、今後、モバイルAPとイメージセンサーなどの非メモリ分野の需要が拡大するとにらみ、これらを成長動力として育成するための戦略を打ち出したもの。同社はメモリ分野では 世界の40%のシェアを持つが、非メモリ分野のシェアは5%以下である。


市場調査機関のIHSによると、世界メモリ市場の規模は今年の1,758.5億ドルから、来年は1,753.3億ドルに小幅で減少すると予想されるが、同一期間における非メモリ市場は3,328.7億ドルから3,435.9億ドルに増加することが予想される。

李在鎔サムスン電子副会長は本年1月、非メモリ市場の規模に注目し、「2030年にはメモリ1位はもちろん、非メモリでも1位を達成する」というビジョンを公開した。
今回、この目標を実現するための具体的な実行方案を発表したもの。

システム半導体事業の競争力強化のために、韓国内のR&D に73兆ウォン、最先端生産インフラに60兆ウォンを投資する。

また京畿華城キャンパスの新しい極紫外線(EUV)生産ラインを活用して生産量を増やし、国内新規ラインへの投資も引き続き行っていく。

同社は2018年2月、60億ドルを投じてソウル郊外の京畿道華城に半導体工場の新棟を建てると発表した。回路線幅が7ナノメートル以下の次世代品を「EUV(極端紫外線)露光」と呼ぶ最先端の技術で量産する。5ナノメートル以下を目標とする。2020年からの本格稼働を目指す。

同社は本年4月16日、回路線幅5ナノメートルのシステムLSIの量産技術を確立したと発表した。ファウンドリーとして台湾積体電路製造(TSMC)に次ぐ2社目となる。量産開始時期は未定。

技術競争力の強化のためにシステム半導体R&D と製造専門担当者1万5000人を採用する。

あわせて、国内システム半導体の生態系に対する支援策も打ち出した。

大規模なR&D投資を通じてシステム半導体の研究人材の養成に貢献すると同時に、国内の中小の半導体設計・設備・素材メーカーへの支援システムと半導体生態系をさらに強化する。まず中小のファブレス(半導体設計会社)の競争力を強化し、製品開発期間を短縮できるようにインターフェース・アナログ知的財産権(IP)など、サムスン電子が保有している設計関連の特許を活用できるように支援する。

文在寅大統領は3月の閣議で、半導体メモリの輸出減少が懸念されるなか、半導体メモリに比べて相対的に競争力が弱い非メモリ分野の競争力を引き上げる策を速やかに講じるよう求めていた。

サムスン電子は「果敢で先制的な投資と国内中小企業との共生協力を通じて韓国システム半導体産業の発展をリードしていきたい」としている。

ーーー

サムスン電子の2019/1~3月期連結決算は、営業利益が6兆2300億ウォン(約6000億円)と前年同期比60%減少した。

主力の半導体部門の利益が64%減の4兆1200億ウォンと苦戦した。過去最高だった2018/7~9月期の3分の1程度の水準に縮小した。

2018年10月以降、メモリーの価格が在庫の増加を理由に下落に転じ、収益環境が厳しくなっている。

日経新聞 2019/4/30 日経新聞 2019/4/16


NAND型フラッシュメモリ専業の東芝メモリは、設備投資に充てる成長資金を確保するため、2019年11月以降に新規株式公開(IPO)を検討しているが、今後の価格動向では非常に苦しくなる。


韓国のSK総合化学は4月29日、同社とSinopec の石化JVの中韓石化が、Sinopec傘下の武漢分公司(武漢リファイナリー)を買収することを明らかにした。

SKは今回の買収で製油工場の経営にも参加することになった。

武漢分公司は1977年稼働で、精製能力は日量 17万バレル。

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中国国家発展改革委員会は2013年6月5日、SK GroupがSinopecの武漢エチレンに35%出資することを承認した。
Sinopecが27億ドルを投じて単独で建設し、2012年末に完成しているが、Sinopec 65%、SK Group35%出資のJV
中韓石化となった。

エチレン能力は80万トンで、以下の誘導品を含む。7月末に商業生産を開始した。

  LLDPE 300千トン
  HDPE   300千トン
  PP    400千トン
  EO   100千トン

2013/6/7 中国、韓国・SKグループのシノペック武漢エチレンへの参加を承認

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武漢分公司の買収資金は2兆1830億ウォン(約2100億円)で、うち5,338億ウオンは増資(Sinopec が65%、SKが35%)で賄い、残りは外部からの借入で賄う。

中韓石化は、稼動から5年後に累積営業利益が2兆ウォンを超えたSKの代表的グローバル投資の成功事例で、今回の『煙化一体(石油精製・石油化学の結合)』で、SKグループ会長の「China Insider(インサイダーとして中国市場に進出)」の戦略に拍車がかかる。

SK総合化学は、「今回の買収は、SKの工程運営と安全、保健、環境管理の能力を高く評価したSinopecの提案によって実現した」と説明した。


2019年3月期は増収増益で、連結純利益が前期比16%増の3,091億円と、2期連続の最高益になった。
前期は、米国税制改正による繰延税金資産・負債取崩による税金減 298億円を含んでおり、今回は実質 大増益となる。

2020年3月期については未定とした。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
2018/3 14,414 3,368 3,403 2,662 65 75
2019/3 15,940 4,037 4,153 3,091 100 100
前年比 1,526 669 750 429 35 25
2020/3予

未定

2008年3月期以降の減益については後記。

年間配当は4期連続での増配で、2015年3月期までの100円から倍増の200円とした。


営業損益は下記の通り。

営業損益推移 (単位:億円)

セグメント  17/3 18/3 19/3 増減
塩ビ・化成品 532 932 1,065 133 Shintechの業績伸長、欧州も好調
シリコーン 425 520 585 66 汎用製品、機能製品ともに価格修正を行うとともに、全世界での堅調な需要に対応して、最大限生産し完売した。
機能性化学品 222 257 266 9
半導体シリコン 560 930 1,320 390 堅調な出荷に加え製品価格の修正も寄与
電子・機能材料 552 616 670 54
その他 96 115 133 18
全社 -1 -2 -3 -1  
合計 2,386 3,368 4,037 669  

信越化学は2017年を最後にShintechの業績を発表していない。

しかし、2018/7発表で、「2017年度の経常利益は前年比75%増の6.73億ドルで過去最高となった」としている。

概算で110円換算すると740億円となり、2018/3月期の塩ビ・化成品部門の営業損益の80%に達する。

本年はここから更に増益となった。

今後は、エチレン新設(2019年上半期完成)と電解からPVCまでの一貫生産(2020年末完成)により更なる増益が期待される。

Shintech の能力は次の通りとなる。単位:万トン

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -
Louisiana州 Addis   58   -   -
Plaquemine   60   160  106
2013/6 増設 32 30 20
手直し 4
2019 完成 50
(認可取得) (86) (66)
2020年末 完成 29 ? 27
今回増設後合計 324  ?   157 50


PVCの日本の2018歴年の国内需要合計は105万トンであり、増設完了後のShintechの能力はその3倍以上となる。

エチレンは当初、2018年初めの完成予定であったが、地盤の問題で杭工事の手直しが相当量発生し、2019年上半期 完成予定となった。

  2017/5/24 東洋エンジニアリングの決算 米国エチレンプロジェクトで損失


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信越化学の損益は2008年3月期に1836億円の最高益を記録して以降、減益となり、2010年3月期には839億円と半減した。
その後、再び上昇に転じ、2018年3月期に過去最高となり、本年度はそれを更新した。

当時の営業利益の状況は下記の通りで、半導体シリコンの影響が大きいが、Shintechも大幅減益となっている。

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
塩ビ系 315 367 174 -193 Shintech大幅減益 -188
シリコーン系 431 336 268 -68  
その他有機・無機 249 248 169 -79  
電子材料 1,621 1,122 395 -727 半導体シリコン価格が低迷
機能材料ほか 260 257 180 -77  
全社 -4 -2 -14 -12  
合計   2,872   2,329   1,172   -1,157  


セグメント区分が変更になり異なるが、信越半導体グループの損益は下記の通り。この後は公表されていない。

上記の通り、2017/3以降の半導体シリコンの「営業損益」はそれぞれ、560億円、930億円、1,320億円と回復している。

Shintechの損益は下記の通り。

Shintechの減益の理由はサブプライム問題による米国の住宅着工の激減である。

米国の住宅着工は以前の水準には戻っていないが、Shintechはその後、アジアや中南米に輸出を拡大し、業績を伸ばしている。


ロシアのガス大手Novatekは4月25日、北極圏で計画するArctic LNG事業で中国企業2社から2割の出資を受けることで合意したと発表した。
同日北京で開幕した「一帯一路」に関するフォーラムの席で合意文書に調印した。

中国石油天然気集団(CNPC)の100%子会社の中国石油天然気勘探開発有限公司(China National Oil and Gas Exploration and Development:CNODC)が10%、中国海洋石油集団(China National Offshore Oil Corporation:CNOOC)が10%を出資する。

ロシアは北極海航路を活用した北極圏LNGの輸送でアジア市場の開拓を急ぎ、米国と貿易などを巡って対立する中国もエネルギー調達元の多角化を進めており、思惑が一致した。中国は北極圏を一帯一路の一環と位置づけている。

Novatekにとって、Arctic LNGはYamal LNGに次ぐ第二のLNG計画であるが、Yamal LNGにも中国は29.9%を出資している。

Novatekは2015年9月3日、プーチン大統領と習近平主席の見守るなか、中国のシルクロード基金(絲路基金にYamal LNG 計画の持分 9.9% を譲渡する基本契約書を締結した。

これにより、Yamal LNG計画の出資比率は下記のようになった。

  従来 今後  
Novatek 60% 50.1%  
Total 20% 20.0% 2011/3/2 調印 ロシアの天然ガス開発ーBP撤退、Total進出
CNPC 20% 20.0% 2013/9 参加合意、2014/1/14 株式買収完了
絲路基金 - 9.9%  


2015/9/14 中国のシルクロード基金がヤマルLNG計画に出資   


Arctic LNGは、Yamal LNG計画のあるヤマル半島の東隣のギダン半島のSalmanov(Utrennye) ガス田等を供給源とするもの。

Novatekにとって、Yamal LNGに次ぐ第二のLNG計画で、投資額を200~210億ドルとみている。
能力は660万トン×3 系列の1,980万トン/年で、第1系列が2022-2023年、第2系列が2024年、第3系列が2025年の稼働を目指している。

現在は、Novatek が90%、フランスのTotal が10%を出資するが、Novatekはこのうち60%分を維持し、30%を他社に譲渡する考え。場合によっては、30%以上を譲渡することもあり得るが、事業のコントロールのため50%以下はあり得ないとしている。(Yamal LNG は51%) 

日本経済新聞が昨年12月22日に、三井物産が出資を協議していることが分かったと報じた。ロイターも同日、三井物産、ロシア政府出資のファンドのRussian Direct Investment Fund (RDIF)及びサウジのSaudi Aramcoが出資交渉をしていると報じた。三菱商事も交渉しているとみられる。

2018/12/24 Novatek のArctic LNG 計画に三井物産が参加か

Total が10%を出資しており、今回中国2社の計20%の出資が決まり、残るのは10%だけとなった。

付記

三井物産は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同出資するオランダのJapan Arctic LNG B.V.を通じて、Novatekが推進するアークティックLNG2プロジェクトに参画すべく、プロジェクト会社アークティックLNG2社の持分を10%取得することでNovatekと合意し、2019年6月29日に持分売買契約を締結 した。

出資比率はJOGMECが75%、三井物産が25%。

三菱商事は参画を断念した。

Aramcoが出資交渉中との報道もあったが、これは消えたこととなる。

Novatek 60%
Total 10%
CNODC 10%
CNOOC 10%
三井/JOGMEC 10%

Bayer株主の反乱 - 化学業界の話題

カリフォルニアの陪審員が8月10日に、Monsantoの除草剤 Roundup による発癌被害で289百万ドルの賠償評決を下した。このニュースが伝わり、Bayer の株価が下落した。

10月23日、損害賠償は39百万ドルのままとし、懲罰的賠償は39百万ドルに大幅減額した。 しかし、Bayer主張の無罪にならなかったため、Bayerの株価は下落した。

米カリフォルニア州地方裁判所の陪審は2019年3月19日、別の男性が訴えていた裁判で、Roundupががんを発生させた「事実上の要因」だったとの評決を下した。陪審は3月27日、80百万ドルの賠償を命じた。

2018/8/28 Bayer のMonsanto買収 完了と、Monsantoの除草剤への賠償命令判決 

2018年6月7日のMonsanto買収完了時の株価は@98.94Euroであったが、Monsantoの除草剤Roundup の発癌訴訟の発表の都度、失望売りで値下がりし、現在では@61.54Euroまで下がっている。
これによる株価の値下がり損は350億ユーロに達する。(932,552百万株 x 37.4Euro)


米司法省は4月23日、General Electric のガス・スチームタービン技術を中国に持ち出した産業スパイの罪で、GEの元技術者ら2人を起訴したと発表した。金銭的な支援など、背後に中国政府の関与があったと指摘した。


起訴したのはNew York州在住の中国系米国人の元技術者 鄭小清(Xiaoqing Zheng)と、遼寧省に住む中国人事業家の張兆禧(Zhaoxi Zhang)の2人。

鄭小清はGE Power & Waterに勤務中にGEのタービンの設計情報などの電子ファイルを盗み出し、中国に住む張兆禧に情報をメールで送るなどした疑いがある。産業スパイや企業秘密の窃取など14件の罪で起訴した。

鄭小清は4月23日、ニューヨーク州の裁判所に出廷し、無罪を主張した。

起訴資料によると、2人は盗んだ資料を自ら設立した中国のタービン部品メーカーの遼寧天一航空技術と南京天一航空技術で利用した。

また、盗んだ資料が中国の役に立つと考えて産業スパイを行い、中国政府から資金その他の支援を受けた。政府の斡旋で瀋陽航空航天大学、瀋陽発動機設計研究所、中国淮海工学院などと の間でタービン技術の開発のための契約書を締結したとしている。

FBIによると、39枚のGEのデザインとフローチャート用紙を暗号化し、そのファイルを一見無害な夕焼けのイメージコードに埋め込み、個人用メールボックスに送信したという。

鄭小清は、GE Power & Waterで10年近く働いて いる。中国の海外ハイレベル人材招致の「Thousand Talents Program:千人計画」に選ばれている。

千人計画の対象は以下の諸条件のいずれに該当する者:

  • 海外の著名な高等教育機関、研究機関において教授またはそれに相当するポストに就いた者
  • 国際知名企業と金融機関において上級管理職を経験した経営管理人材及び専門技術人材
  • 自主知的財産権をもつ、またはコア技術を把握している;海外での起業経験を持ち、関連産業分野と国際標準を熟知する創業人材
  • 中国が至急に必要とするその他のハイレベルイノベーション創業人材

2018年6月、米国防省は米下院軍事委員会の公聴会で、同プログラムの目的は米国の知的財産を獲得することにあると警告した。

米中貿易摩擦勃発後、「技術窃盗のためのプログラム」との見かた強くなった。数人の在米中国人技術者がFBIに逮捕され、同計画は「入獄計画」と揶揄されている。

中国教育部は昨年、一部の大学に対して、同計画の情報を削除するよう指示したとの情報がある。




スコットランドの自治政府のNicola Sturgeon 首相は4月24日、2021年までに独立の是非を問う2回目の住民投票を行う準備を開始する意向を示した。

首相はスコットランド議会で「EU離脱をめぐる混乱を受け、独立を求める声はこれまでになく強まっている。Brexit か、独立した欧州国家になるかという選択の機会を、この議会の任期中に提供すべきだ」と述べ、英国がEU を離脱した場合、英国からの独立の是非を問う2度目の住民投票を2021年5月の次期自治議会選前に実施したい考えを表明した。

住民投票実施の法案を年内に作成する。住民投票実施にはいずれ英政府の承認が必要になるとしている。

今年10月末まで期限が延期されたEU離脱計画に影響を及ぼす可能性もある。

ーーー

スコットランド王国は1707年合同法により、イングランド王国に統合され、Kingdom of Great Britainとなった。
(1801年にアイルランド王国と合同し、United Kingdom of Great Britain and Ireland となった。1922年にアイルランド自由国が分離、連合王国は1927年にUnited Kingdom of Great Britain and Northern Irelandに改称した。なお、ウェールズ公国は13世紀にイングランドの支配下に置かれ、ウェールズはイングランド王国の一部となった。

現在、スコットランドとウェールズ、北アイルランドには議会が設置され、 権限の委譲による自治権を有している。

Nicola Sturgeon女史は1970年生まれで、2014年よりスコットランド国民党首で自治政府首相。

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スコットランドの独立を問う最初の住民投票は2014年9月18日に実施された 。

スコットランドでは独立志向が高まり、ブレア政権時代の1997年に独自の議会設置の是非を問う住民投票が可決された。

ブレア内閣はスコットランド住民の独立志向を抑えるため、1999年にスコットランド議会を設置して、中央政権の権限を大幅にスコットランド自治政府に移譲した。

スコットランドの独立志向は一時的に抑えられたかに見えたが、2011年5月のスコットランド議会選挙でスコットランド独立を公約に掲げるスコットランド国民党が議会の過半数を占める大勝利を収め、党首が自治政府の首相に就任した。

2012年10月にイギリスのキャメロン首相と自治政府首相の会談で住民投票の実施が決まった。

住民投票では55%が独立に反対し、否決された。但し、有権者の84.59%が参加するなどスコットランド人の独立問題への関心の高さが示された。


2016年のBrexit 国民投票ではスコットランドは62%が離脱に反対した。

Brexit の決定を受け、EU残留を主張する独立支持派の間で独立の住民投票の再実施を求める声が高まっている。

もし、スコットランドが独立し、EUに帰属すると問題は大きい。

国境管理(モノ、ヒト)、通貨、北海原油の帰属、安全保障(原子力潜水艦基地はスコットランドにある)、・・・


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北アイルランドも今後、英国からの離脱=アイルランドとの統合の問題が出てくる。北アイルランドもBrexit国民投票で反対に回っている。

1998年4月10日、イギリスとアイルランドの間でベルファスト合意(聖金曜日協定)が締結された が、下記の項目が含まれている。

・北アイルランド地方議会の新設=英国政府の直轄統治から地方自治へ

・イギリスとアイルランド共に北アイルランドの領有権を主張しない。アイルランドは北アイルランド領有をうたう憲法を修正

・北アイルランド住民の過半数の合意なしに北アイルランドの現状を変更しない

・北アイルランドの将来の帰属は北アイルランド住民の意思によって決定される。

・帰属が確定するまではプロテスタント、カトリック系政治勢力が共同参加する自治政府によって統治される。

両国は北アイルランドの住民が国籍を、自身の選択で、アイルランド、英国、又は両方とすることを認める。将来の北アイルランドの帰属がどうなるかに関係なく、英国とアイルランド両方の国籍を持つことを認める。


北アイルランドの人口構成は、プロテスタント系が50%強、カトリック系が40%半ばと拮抗しているが、
カトリック系の方が出生率は高いため、北アイルランドは将来的にアイルランドへ帰属を変更する可能性が高い。

2019/2/11  Brexitの問題の根源(続き)-「北アイルランド国境問題


ナイジェリアの油田の開発権を巡る贈収賄事件で、欧米企業に対する捜査が拡大している。同政府から開発権を得た石油大手の Shell とイタリアのEni、送金に関わった米金融大手JP Morgan Chaseに対する訴訟が英国やイタリアなどで進む。


問題の取引は、Shell とEniが2011年にナイジェリア政府から買い取った油田開発権で、2社は政府に約11億ドルを支払ったが、資金洗浄で有罪判決を受けているDan Etete 元石油相側に送金され、政府関係者に賄賂として支払われた疑いがある。送金にはJP Morganのロンドン支店の口座が使われた。

イタリアの検察は賄賂に使われると知りながら11億ドルを支払ったとして2社とShellの元幹部、Eni のCEOなどを刑事訴追した。
(日経 2019/4/20)

問題となったのは、アフリカ最大の油田の一つとされるOPL245 (Oil Prospecting License 245) である。

source: https://www.petroleum-economist.com/articles/politics-economics/africa/2019/eni-and-shell-face-new-nigeria-action


2011年にShell と Eni が権益を取得し、政府に13億ドルを支払ったが、それ以前に下記のような複雑な経緯があった。

1998 当時のDan Etete 石油相が OPL 245 の権益を20百万ドルで自分が所有する企業 Malabu Oil and Gas に与える。
(Malabuは実際には20百万ドルのうち、2百万ドルしか払っていない)
1999 政権交代
2001 Malabu Oil and Gasは権益の40%をShellに売却。
政府はMalabu Oil and Gasへの権益売却自体を取消し、Malabuは提訴
2002 政府は権益100%を210百万ドルで Shellに売却、生産分与契約を締結。(実際の支払いは1百万ドルだけ)
2006 政府がMalabu Oil and Gasと合意、権益を210百万ドルで渡す、Shellが提訴
2007 Etete元石油相、フランスでMoney-launderingで有罪
2009 Etete の有罪確定
Etete、Shellと会合
2011 ShellとEni、政府と新契約締結、13億ドルを支払い。 (両社から1,092百万ドル、Shellから当初分の207百万ドル)
政府は1,092百万ドル分をMalabu Oil and Gasに対し、契約取消の代償として支払い。


問題は、Malabuへの支払いである。賄賂であると見られた。

2012年にナイジェリア政府のEconomic and Financial Crimes Commission がMalabuの調査を開始した。
2014年にナイジェリア議会が法律違反としてOPL245の取引のキャンセルを議決した。

2013年に英国の Proceeds of Corruption Unit が調査を開始した。

2014年にイタリアのミラノの司法当局がEni のCEOと前CEOを贈賄容疑で調査を開始し、仲介者(ナイジェリア人の Emeka Obi とイタリア人 Gianluca Di Nardo)に渡った195百万ドルを凍結した。

2018年9月、イタリアの裁判所は仲介者2人を懲役4年とし、195百万ドルを没収する判決を下した。

2019年4月、ナイジェリアの裁判所はDan Etete元石油相、Mohammed Adoke 元司法相とEniの部長の逮捕状を出した。 801百万ドルの送金はMohammed Adokeの指示で行われたという。

下記の支払い関係が明らかになった。

Source: https://trwstockbrokers.wordpress.com/2017/12/17/exclusive-malabu-scandal-nigeria-sues-jp-morgan-demands-875-million/

ShellとEniはOPL 245 の権益を50/50で持つが、Shell の支払いが少ないのは、前の契約の207百万ドルと支払済みの開発費535百万ドルがあるため。


Shell とEniは13億ドルのうち、1,092百万ドルをロンドンのJP Morganのナイジェリア政府の口座に振り込んだ。

この1,092百万ドルのうち、801百万ドルはDan Etete 元石油相の Malabu Oil and Gas の口座に振り込まれた。

そのうち、532百万ドルは当時のGoodluck Jonathan大統領の親友で "super-dealer" とされる Abubakar Alyu の会社に 再振り込みされ、大統領や政府首脳に渡った。プライベートジェットや装甲車などの支払いにも充てられた。 元検事総長(2006年に権益をShellからMalabuに移すのを承認)にも10百万ドルが払われた。

EniとShellの幹部にも50百万ドルが渡ったとされる。Eniの役員の自宅に現金で運ばれた。

Dan Etete 元石油相らには269百万ドルが支払われた。

仲介者は頻繁にEniの幹部とコンタクトしていた。

裁判長は、「EniとShellの経営陣は11億ドルの一部がナイジェリア政府要人への賄賂として使われることを十分認識していた」と結論づけた。

イタリアの検察は賄賂に使われると知りながら11億ドルを支払ったとしてShell とEni 及び両社の関係者を刑事訴追した。
訴追されたのは、Eniの現CEO、前CEO及びChief Operations and Technology Officer、Shellの4人の責任者、Shellに雇われた2人のMI 6 元部員。

Shell も Eniも ナイジェリア政府と交渉し決めたものとし、贈賄を否定している。但し、Shellは2009年にEteteと会ったことは認めている。5月にも幹部らが証言する。

Signature bonusとしてはShellから前回分の未払い分相当の207百万ドルを支払いながら、別途1,092百万ドルを両社から支払ったのを、どう説明するのだろうか。契約書等はどうなっているのだろうか?

オランダ検察もShellに対する刑事訴追を準備している。


責任追及は送金取引を扱ったJP Morganにも波及した。同行は2011~13年にかけて801億ドルをDan Etete 元石油相の Malabu Oil and Gas の口座に送金した。
Etete 元石油相は2007年にフランスで資金洗浄の有罪判決を受けており、ナイジェリア政府関係者の指示でJP Morganが2011年にスイスとレバノンの銀行あてに送金した際、2行はコンプライアンス上の懸念などを理由に受け取りを拒否した。
ナイジェリア政府はJP Morganが送金をすべきでなかったと主張、政府資金の不正流出につながったとして同行に875百万ドルの損害賠償を求めた。

JP Moraganは法的及び規制上の義務を順守しているとして賠償請求の棄却を求めたが、英高等法院は2月、同行の要求を退けた。

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