「no」と一致するもの

カナダの投資ファンドのBrookfield Asset Management Inc.は1月4日、 傘下のBrookfield Business Partnersが東芝の元子会社の米原発大手Westinghouse (WH) を46億ドルで買収すると発表した。 欧州の事業も含む。


同社と複数のパートナーが自己資本10億ドルと長期借入金30億ドルで買収する。残り6億ドルは、資金不足となっているWHの年金基金や、環境関連やその他の債務の引き受け。
Brookfield は50%程度の株式を握る。

WHについては、Blackstone Group LP とApollo Global Management LLCが組んで、買収提案をしていた。
また、Cerberus Capital Management LP もビッドを出していた。

第3四半期の取引完了を目指すが、規制当局と破産裁判所の承認を必要とする。

WHでは3月にも破産状態から離脱することを狙っている。

Brookfield group はユーティリティ、不動産、エネルギー、インフラのような長期安定資産に投資する世界でも最大の投資家の一つである。

同グループは昨年、債務超過からChapter 11を申請した再生可能エネルギー発電事業大手のSunEdisonから、2つの再生可能エネルギー事業TerraForm Global とTerraForm Powerを買収している。

TerraForm Global は開発途上国中心に再生エネルギー事業を行う目的で2015年に設立された。
TerraForm Powerは米国中心に太陽光発電(1,075MW)、風力発電(1,532MW)を持つ。

2016年には、Chapter 11申請のテキサスの電力会社の負債を資本金に変え Vistra Energyとするなど、破綻した企業を再生させる("Risk approach") ことで事業を拡大している。

あるコンサルタントは、Brookfield によるWH買収は同社の"Risk approach"には合致するが、これまで原発事業には関与していなかったため、驚きだとしている。

WHは中国やインドなどで大型の原子炉受注案件を抱えているほか、安定して収益が見込める原発の保守・修理のサフターサービスの基盤も強固 であり、負債を一掃して新たな投資資金を供給すれば、優良原発会社として再生できるとみた模様で、上場や他社への売却などを通じて投資資金を回収する予定。

Brookfieldは「WHは、長期的な顧客基盤と革新に定評があり、世界最大の原発サービスプロバイダーとして地位を確立している」とし、参入障壁の高い原発関連ビジネスで、「WHは複雑な規制、ライセンス環境下で運営している。原発の保守サービスをコア事業として、安定した利益を生み出している」としている。

なお、今回の契約には、建設を中断しているSouth Carolina 州と Georgia州の原発建設は含まれていない。

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WHのChapter 11 による整理がどうなるかによるが、東芝のWH持株(100%) はゼロになるのは確実とみられ、今回のBrookfieldによるWH買収の影響はない。東芝も既にゼロ評価にしている。

東芝はWHに対し、一般債権 1千億円と、電力会社に対する親会社保証の6,561億円の債権を抱える。

確定額 Vogtle 3、4号機 3,680百万ドル 4,129億円
V.C. Summer 2、3号機 2,168百万ドル 2,432億円
合計 5,848百万ドル 6,561億円
引当額 (2017/6/23 業績見通し)
 Vogtle 3、4号機の確定額折り込み
7,162億円

2017年12月の増資で得た6千億円の資金をもとに電力会社に全額返済すれば、有税で引当てしている保証損失を損金算入することにより、税金を2400億円圧縮する。
なお、電力会社への返済で、保証債務はWHに対する債権となり、売却が可能となる。但し、これについてもChapter 11 による整理で外部からの債務が優先され、価値を認められるかどうか分からない。

Brookfieldによる買収で、整理が進み、これらの点が明らかになる。


東芝本体は、保証損失の損金算入で税金が2400億円圧縮され、債務超過は解消するが、中国等の承認を得て東芝メモリの売却が確定すれば、更に強固なものとなる。(単位:億円)

18/3 東芝メモリ売却の
税額影響
増資&
保証弁済 
東芝メモリ
売却
売上高 49,700
営業損益 4,300
株式売却(税引前) 10,800
売却関連税金 -3,400
保証損失引当の
損金算入(税金圧縮)
2,400
非継続事業純損益
純損益 2,300 -3,400 +2,400 +10,800
増資 6,000
株主資本 -4,100 -7,500 900 11,700

東芝は債権の売却とWH株式(価値無し)の売却でWHとの関係は無くなる。

しかし、米の原発を巡り地域住民が東芝に集団訴訟を起こす可能性は残っている。

東芝は2017年12月27日、V.C. Summer 原発建設プロジェクトに係る集団訴訟に関し訴状を受領したと発表した。

原告側は、V.C. Summer 原発2号機、3号機の建設プロジェクト中止に伴い、原告がSCANAに払ってきた電力料金に含まれる建設プロジェクトコスト上乗せ分の損害を受けたとして東芝に対して損害賠償を求めている。

これについては、昨日の記事の通り、Dominion Energyによる SCANA買収の一環で、過去の電力料上乗せ分が返却されれば解決すると思われる。

しかし、Southern電力のVogtle 3、4号機の問題は残る。

更にVogtle 3、4号機については、米政府が83億ドルの保証をしているが、2017年9月にはさらに最大37億ドルの追加を決めた。場合によっては米政府による訴訟もあり得る。

2017/10/6 米エネルギー省、Vogtle 3、4号機原発の建設続行で債務保証追加

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なお、東芝は米国でLNG問題も抱える。

東芝はFreeport LNGとの間で年間220万トンのLNGの購入契約を結んでおり、これはTake or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取り、または固定費の支払いが必要である。

計画 立地 生産開始 日本企業 契約数量
Freeport LNG テキサス州 2018 大阪ガス 
中部電力
220万トン
220万トン
2019 東芝    220万トン

現在、売却先は決まっておらず、仮に全く売れない場合、最大で年間4億ドル程度の固定費支払が必要になるとされる。

Dominion Energy Inc. は1月3日、Scana Corp. を79億ドルの株式交換で買収すると発表した。債務の継承を含めると146億ドルとなる。


SCANA は子会社群を通じて、South Carolina、North Carolina、Georgia州で電力及び天然ガス事業を行っている。

電力については子会社South Carolina Electric & Gas が South Carolina州に50万の顧客を持つ。

天然ガスについては、South CarolinaではSouth Carolina Electric & Gas、North Carolina州ではPSNC Energy、GeorgiaではSCANA Energyが担当し、3州合計で130万以上の顧客を持つ。

South Carolina Electric & Gasは合計5,800MWの発電所を持つ。V.C. Summer 原発2号機、3号機を建設中だが、断念した。

原子力 V.C. Summer 1号機 966 MW
石炭火力 Cope Station 430 MW
Wateree Station 685 MW
Williams Station 610 MW
Natural Gas

Jasper Generating Plant 875 MW
McMeekin Station 250 MW
Urquhart Station 650 MW
水力発電 5か所 820 MW

Dominion Energyは Virginia州 に本拠を置く電力、エネルギー会社で、Virginia州とNorth Carolina 州に電力を、West Virginia、Ohio、Pennsylvania、North Carolina 州に天然ガスを供給している。

総発電量は約25,700MWで、天然ガスについては15千マイルのパイプラインを持つ。

原子力 Connecticut州 Millston原発  2,087MW
Virginia州 North Anna原発 1,893MW
Virginia州 Surry原発 1,676MW
石炭火力 7か所
石油火力 3か所
Natural Gas 16か所
Renewable

Dominionは現在、South Carolina州境までの天然ガスパイプラインAtlantic Coast lineを建設中で、South Carolina州ではその延長を望んでいる。延長すればSCANAの需要家に供給可能となる。


買収されるSCANAは下記の事情で苦境に立たされている。

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SCANA の子会社 South Carolina Electric & GasがV.C. Summer 原発に60%出資している(当初は55%であったが、その後 60%とした)。


South Carolina Electric & GasとSantee Cooperは2017年7月27日、東芝との間でV.C. Summer 原発2号機、3号機に関する親会社保証について合意書を締結し、東芝は両社に対し、2,168百万ドルを2017年10月から2022年9月までの間に分割で支払うこととなった。この支払は、2基の原発の建設、1基だけの建設、建設断念のいずれのケースでも行われる。

South Carolina Electric & Gasは7月31日、建設を断念すると発表した。完成を目指せば追加コストが膨らみすぎること、税額控除制度の延長が不明なこと等を勘案して決定した。事業継続も考えたが、共同事業者のSantee Cooperが撤退を決めたため、断念した。

既に90億ドルを投じているが、工事は40%以下しか進んでいない。2号機は2019年8月から2022年12月に、3号機は2020年8月から2024年3月にと3年以上遅れる見通しとなり、建設費も250億ドル以上と、当初の115億ドルの予想から2倍以上となる。

解体などにかかる費用約49億ドル (同社持ち分)を考慮しても現時点で建設中止したほうが、株主や顧客などにとってダメージは少ないと判断したという。

なお、South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooperは9月27日、東芝から受け取る予定の保証金のうち、2017年10月の支払い分を除く全てをCitibankに売却した。
総額の91.5%に割り引いた金額となるが、5年の分割よりも直払いを選択した。東芝の今後の支払い能力への懸念もあると思われる。

2017/7/31 東芝、米原発の保証債務 6561億円で確定 

V.C. Summer 原発の建設断念で、SCANAは苦境に立った。

SCANAは原発新設に積極的であったサウスカロライナ州の州法に基づき、建設費用の確保に向け、過去9回にわたり計18%の電力料金値上げを実施した。

州政府 は当初、仮に建設を断念しても値上げを認める方向であったが、実際に建設を断念すると、州知事は一転して値上げ撤回を要求した。これを受けSCANAは3.5%の値下げでの決着を提案し、「値上げ撤回なら巨額の損失が発生し、経営破綻しかなくなる」と訴えたが、州政府はあくまで争う構えである。

この状況下で、SCANAの株価も2017年7月には1株70ドル 以上であったが、現在は48ドル 程度となっており、時価総額の急減で、魅力的な買収標的となっていた。

なお、東芝は2017年12月27日、V.C. Summer 原発建設プロジェクトに係る集団訴訟に関し訴状を受領したと発表した。

原告側は、V.C. Summer 原発2号機、3号機の建設プロジェクト中止に伴い、原告がSCANAに払ってきた電力料金に含まれる建設プロジェクトコスト上乗せ分の損害を受けたとして東芝に対して損害賠償を求めている。

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今回、SCANA株主はSCANA株式1株当たりDominion Energy の株式 0.6690株を受け取る。最近1カ月平均のDominionの株価で換算すると1株当たり55.35ドルとなり、買収価額は約79億ドルとなる。負債込みでは約146億ドルとなる。

SCANA子会社のSouth Carolina Electric & Gas の顧客にとっても、建設を断念した V.C. Summer 原発2号機、3号機に関する過去及び将来の電気料金問題の解決を意味する。

Dominion はSCANA買収に当たり、下記のとおり発表した。

1) South Carolina Electric & Gas Companyの電力顧客に対し、統合完了の90日以内に13億ドルを支払う。
 過去の電力料値上げ分の戻しで、平均的な個人顧客当たり1000ドルに相当し、統合合意の12カ月前の電力使用量に応じて支払われる。

2) 現在の電力料金から約5%引き下げる。平均的な個人顧客当たり月額7ドル以上に相当する。
  これは、これまでに顧客から徴収した575百万ドルと、今回の税制改革での法人税引き下げで充当する。

3)  V.C. Summer 原発2号機、3号機の償却費等(17億ドル以上)は顧客に負担を求めない。

4) 電力需要に対応するため、天然ガス火力(Columbia Energy Center) を180百万ドルで購入するが、顧客に追加負担を求めない。

5) これらに加え、Dominion EnergyはSCANAのコミュニティに、最低5年間、これまでより増額した100万ドルの慈善寄付を行う。
  SCANAの従業員は2020年まで雇用を保証する。

Dominionによる買収後、SCANAはDominion の100%子会社として継続し、現在の経営構造を維持する。

DominionはSCANAの買収により、米南東部市場での存在を高め、米国での最大かつ高成長企業の一つとしての地位を確かにする。

統合企業は18の州で事業を行い、8州の約650万の顧客にエネルギーを供給し、31,400MWの発電能力、93,600マイルの送電網を持つこととなる。また106,400マイルの天然ガスパイプラインを持ち、1兆立法フィートという天然ガス貯蔵能力を持つこととなる。
上記の通り、Dominionが建設中のAtlantic Coast Pipelineを通じて、Dominionの天然ガスをSCANAの顧客に供給できる。

中国商務省は1月5日、通達第4号で、国連安全保障理事会が昨年12月22日に採択した制裁決議に基づき、北朝鮮への原油や石油精製品の輸出を制限し、農産物や機械、電子機器などの輸入を禁止する通知を出した。
北朝鮮への原油輸出量の上限を年間400万バレルに制限すると発表した。中国が原油供給を制限するのは初めて。


通達内容は次の通り。

1) 北朝鮮への輸出
 ・ 鉄鉱石、鉄鋼、その他金属、工業用機器、輸送車両の全面禁止
 ・ 原油輸出の制限 各国合計で年間400万バレル or 525千トン
 ・ 石油製品の制限 各国合計で年間50万バレル or 60千トン 限度に近づいた時点で通知し、輸出を中止する。

    ・ 石油製品の輸出は北朝鮮の日常生活の目的に限られる。

  2) 北朝鮮からの輸入の全面禁止

税率表
第7章  食用野菜、根菜等
第8章  果物、ナッツ
第12章 油用種子、雑穀、薬用植物、飼料
第44章 
塩;硫黄;泥および石膏、石灰およびセメント
第84章 
原子炉、ボイラー、機械、およびその部品
第85章 モーター、電気機器、テープレコーダー、TV、オーディオ、およびそれらの部品、付属品

中国は、2016年11月と2017年8月の決議に沿って、国内で対応措置を取っているが、原油供給に関しては国内措置を取っていなかった。今回、原油制限にも踏み込むことで、さらに厳格な制裁履行をアピールする狙いがあるとみられる。

中国のこれまでの対応:

2017/2/28  中国、北朝鮮からの石炭輸入を全面停止  (2017/2/19から)

2017/8/17 中国、北朝鮮の石炭や鉄などを全面禁輸

中国外務部の副報道局長は9月12日、「北朝鮮は国際社会の反対を顧みず再び核実験を行った。中国は国連安保理が必要な措置をとることに賛同する。決議が全面的かつ完全に執行されることを望む」と表明した。


ーーー

国連安全保障理事会は2017年12月22日、米国が起草した対北朝鮮追加制裁決議案を、中国を含む全会一致で採択した。新たな制裁措置には、北朝鮮のミサイル・核開発に必要な石油供給の制限などが含まれる。

追加制裁措置は、北朝鮮が11月28日に実施した大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を受けたもので、2017年に同国に科された3度目の制裁となった。

新制裁では、北朝鮮への石油精製品の年間輸出上限量を従来の200万バレルから75%減の50万バレルに引き下げ、原油の年間輸出量にも400万バレルの上限を設けるほか、政権の外貨収入源となっている国外の北朝鮮労働者には2019年末までの送還が命じられる。

また、北朝鮮の行動に応じ、制限措置の強化、修正、停止、解除の用意があるとした。
原油輸出に関しては、核実験やミサイル等があれば更なる制限を課することを明記した。

  2016/11/30 2017/8/5 2017/9/11 2017/12/22追加
北朝鮮
への
輸出
石油
製品
原油     年間上限 400万バレル
(過去12か月分)
年間上限 400 万バレル
     (525千トン)
核実験、ミサイル等で更なる制限
北朝鮮の
行動に応じ、
制限措置を
強化、修正、
停止、解除の用意
石油精製品      年間上限 200万バレル
(現状450万バレル)
年間上限 50万バレル
NGL、
コンデンセート
    禁止  
その他 ヘリコプター、船舶  →  →  
北朝鮮
からの
輸入
石炭  各国で
年4億ドルor 750万トン
(少ない方)
全面禁止  → 北朝鮮による、
食料品、農産物、電子機器、
マグネシウムを含む鉱物類、
船などの輸出を禁止
金属 銅、ニッケル、
銀、亜鉛
 →  →
  鉄、鉄鉱石
鉛、鉛鉱石
 →
繊維製品     禁止
(20161年 760百万ドル)
その他 彫刻像  →  →
  海産物  →
出稼ぎ就労許可     新規受け入れ原則禁止 現契約の更新禁止 2年以内に送還
貨物船の公海上臨検       禁輸品積載の疑いある船舶
(旗国の同意の下)
北朝鮮に石油などを違法に運搬が疑われる貨物船を自国の港で臨検
合弁会社     新設や既存JVの拡大 全面禁止  


2017/9/15 北朝鮮制裁決議案 採択


韓国・朴槿恵前政権で起こった国政介入事件で朴前大統領とその長年の知人の崔順実被告への贈賄罪などに問われ、一審で懲役5年の実刑判決を言い渡されたサムスングループ経営トップのサムスン電子副会長、李在鎔被告らの控訴審が12月27日、結審し、検察は懲役12年を求刑した。

ーーー

韓国の前大統領、朴槿恵被告側への贈賄罪などに問われた国政介入事件で、ソウル中央地裁は2017年8月25日、李在鎔・サムスン電子副会長に懲役5年(求刑12年)の判決を言い渡した。

李在鎔副会長の主要容疑は次の5つ。
△賄賂供与
△賄賂供与の目的で会社の公金を横領
△賄賂供与の目的でドイツに送金した、財産の海外逃避
△賄賂を隠蔽するために犯した犯罪収益隠匿
△国会での証言・鑑定に関する法律違反

公判では、李被告が闘病中の父李健熙・サムスン電子会長から経営権を継承するため、朴被告に便宜供与を求めて賄賂を渡したかが問われた。

サムスンは2015年8月に崔順実被告のドイツ法人であるCore Sportsと220億ウォン台のコンサルティング契約を結び、このうち38億ウォンを送金した。
2015年10月と2016年1月には崔被告のめいのチャン・シホ氏が設立した韓国冬季スポーツ英才センターにも16億2800万ウォンを後援した。
崔被告が設立に深くかかわった文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」に204億ウォンを拠出した。
支援を約束したものまで含めると総額430億ウォン(約41億3600万円)に上る。

特検チームはこうした支援が2015年7月に朴大統領が保健福祉部傘下の国民年金公団を通じサムスン物産と第一毛織の合併を助けたことに対する答礼だとみており、これらの資金協力が李副会長の指示もしくは了解のもと実行されたとし、副会長に崔被告側への贈賄罪が成立すると判断した。

2014/12/2 Samsung Group の持株会社 第一毛織の上場 

裁判では、贈賄や横領など問われた罪のすべてを有罪とした。

副会長は控訴した。

2017/8/28 サムスン電子副会長に実刑判決、ソウル地裁


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控訴審で、特別検察官は「この事件は経営権の継承を対価に大統領とその側近に賄賂を送った政経癒着事件の典型」と指摘した。また「グループ会社の合併を成功させて得ることになった李被告のサムスングループにおける支配力と経済的利益は、賄賂の対価にほかならない」とし、「今回の犯罪は国内最大の超一流企業サムスンにとって消すことができない汚点になるだろう」と主張した。 

李被告側の弁護人は最終弁論で「被告人は国政介入事件の被害者であり、本体や主犯でない」とし、「特別検察官チームの誤った認識がこの事件の実体を深刻に歪曲している」と批判した。 

李被告も「財産、(株式の)持ち分、地位に対する欲のようなものは毛頭なかった。サムスンを熱心に経営し、世界の超一流企業のリーダーとして認められるのが夢だった」とし、「大統領が助けてくれれば成功すると考えるほど愚かでなかった」と無罪を主張した。

検察はサムスングループ元未来戦略室室長、元未来戦略室次長、サムスン電子元社長にはそれぞれ懲役10年、サムスン電子元専務には懲役7年を求刑した。

判決公判は2018年2月5日午後に行われる。


韓国 ロッテグループの企業内の不正事件で、横領や背任などの罪に問われた同グループ会長の辛東彬(重光昭夫)被告(62)ら創業者一族に対する判決公判が22日、ソウル中央地裁であった。

検察側の求刑と判決は次の通り。

求刑 判決
辛東彬(重光昭夫)会長 (62) 懲役10年と罰金1000億ウォン 懲役1年8カ月、執行猶予2年
辛格浩(重光武雄)創業者(95) 懲役10年、罰金3000億ウォン 懲役4年と罰金35億ウォン 収監は見送り
辛東主(重光宏之)(63) 懲役5年、罰金125億ウォン 無罪


判事は、2015年ごろまで経営の実権を握った創業者が、会社の資金を横領し、内縁の妻やその娘らに実態に見合わない多額の報酬を払ったほか、系列映画館の売店運営権を親族の会社に渡し、グループに損失を与えたとし、横領と背任の主犯と認定した。高齢と認知症などの症状があるため、判決後も身柄は拘束されない。

辛東彬・現会長については、経済的利益を受けていないとする一方、犯行を黙認した責任を指摘した。「たとえ父の言うことを拒否できないと言っても、犯行の実現過程での役割は無視できない」と指摘した。

多額報酬に絡み横領の罪に問われた長男の辛東主被告は無罪だった。

辛東彬会長は事件を受け、2016年10月に経営刷新案を発表し、続投を表明した。今回、実刑を免れたことにより「最悪の事態は避けられ『ニューロッテ』への転換が加速する」との見方が出ている。

付記 検察側と被告側はそれぞれ控訴した。

ーーー

ソウル中央地検は2016年9月26日、背任・横領の容疑で、辛東彬(重光昭夫)韓国ロッテグループ会長の逮捕状を請求した。

検察側は、辛東彬会長がロッテグループのオーナー一族を系列企業の形式的な役員に就かせ、給与として総額500億ウォンを支払ったのは明らかに横領だと主張、また会長一族が個人的に保有する会社に集中して発注を行ったり、系列会社間の株式取引を指示したりして、総額1250億ウォンの損失を出した疑いもあるとした。

これに対し、会長側は「給与500億ウォンは辛東彬会長が受け取ったものではなく、集中発注は辛格浩総括会長が指示したものであり、辛東彬会長とは無関係だ」と反論。系列会社間の株式取引も経営上の判断によるもので、損失が出たか否かを現時点では判断できないと主張した。

しかし、ソウル中央地裁は9月29日、逮捕状請求を棄却した。「捜査の進行内容と経過、主要犯罪容疑に対する争いの余地などを考慮すると、拘束の必要性、相当性を認め難い」と判断した。

ソウル中央地検は2016年10月19日、創業者の重光武雄(辛格浩)、長男の重光宏之(辛東主)、次男の昭夫(辛東彬)の各氏を脱税や背任などの罪で一括して在宅起訴 した。

2016/10/3 ロッテ会長の逮捕状請求棄却と高高度防衛ミサイル(THAAD)配置

今回、地裁は一部の罪についてのみ有罪とした。

出光創業家は12月20日、株式買い増しを発表した。 創業家、出光美術館及び出光文化福祉財団の株式保有割合は、合計で28%を超えるとしている。

創業家は2016年8月に、日章興産と出光昭介氏、正和氏、正道氏の持ち株について共同保有の届出を行ったが、今回、出光昭介氏が代表社員及び業務執行社員を務める新設会社 宗像合同会社を共同保有に加えた。

創業家はこれまで合計で21.18%を保有し、出光文化福祉財団と出光美術館 を加えると、1/3以上の33.92%を保有していた。

しかし、会社側が2017年7月20日に第三者割当増資を行ったため、創業家持分は16.29%、出光文化福祉財団 と出光美術館を加えても26.09%に下がっていた。

創業家

株数 比率
発行済株数 160,000,000

54,272,000

33.92%
増資株数 48,000,000
増資後株数 208,000,000 54,272,000 26.09%


2017/7/3  出光興産、増資発表

今回、公募増資によって希釈化された創業家の株式保有割合を部分的に回復させるため以下の株式取得を行ったもの。

取得者 宗像合同会社
期間 11/7~12/18
株数 3,968,300株
取得価額 5,576,842円  
平均株価 @3,925

付記 12月27日に追加取得を発表した。
    「
創業家、出光美術館及び出光文化福祉財団の株式保有割合は、合計で約28.5%となっております。」


株式の推移は次の通り。

当初 増資後 買い増し後 付記 12/27
日章興産  16.95% 13.04% 27,119,900 13.04%
出光昭介  1.21% 0.93% 1,928,000 0.93%
出光正和  1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
出光正道 1.51% 1.16% 2,416,000 1.16%
宗像合同会社 3,968,300 1.91% 4,974,400
共同保有届け出 21.18% 16.29% 37,848,200 18.20% 38,854,300 18.68%
出光文化福祉財団 7.75% 5.96% 12,392,400 5.96%
出光美術館 5.00% 3.85% 8,000,000 3.85%
合計 33.92% 26.09% 58,240,600 28.00% 59,246,700 28.48%
発行済 160,000,000 208,000,000

これまでの経緯は次の通りで、創業家は出光興産と昭和シェルの合併に反対を続けている。

2015/8/3   出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意
2015/11/16   出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結
2016/6/29   出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」
2016/8/5   出光創業家、合併阻止へ強攻策
2016/9/22   出光販売店の具申書
2016/9/27   出光興産と昭和シェルの合併をめぐる出光販売店と創業家の動き
2016/12/20   公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得を承認
2016/12/20   出光興産、シェルから昭和シェル株式取得
2017/7/3 出光興産、増資発表

創業家は増資の差し止めを求めたが、東京地裁は7月18日、差し止め請求を却下する決定をした。「新株発行の主要目的が不当とは認められない」として出光側の主張を認めた。

創業家の持ち株比率を相当程度減少させ、支配権をめぐる争いを有利にする目的があったことは認め、出光側のベトナム製油所建設などの費用というのも的確な証拠がないとしたが、昭和シェル株の取得の際の借入金返済については弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高いと認めた。

創業家側は東京高裁に即時抗告した。

東京高裁は7月19日、「新株発行の目的が不当であると認められない」として、申し立てを退けた東京地裁決定を支持し、創業家側の即時抗告を棄却する決定をした。

但し、高裁は「増資後、直ちに株主総会が開かれ、合併が議題になることをうかがわせない」としており、総会をすぐに招集できない。合併には時間がかかる。

今回の買い増しによっても、単独では、総会で合併を否決するための1/3には達しないが、再び不透明感が増してきた。

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付記

出光と昭和シェルは合併を一時棚上げする一方、5月9日に協働事業の強化・推進(名称:ブライターエナジーアライアンス)の趣意書を締結した。

両社は12月22日に進捗状況を発表した。

具体的なシナジーが実現されている主な領域としては、半製品やボトム留分の有効活用・交錯転送の解消を可能にする 7 製油所統合最適生産計画システムの一部運用開始、原油タンカーの共同配船、資材の共同調達、燃料油出荷基地の相互利用等で本年度分のシナジー効果として80億円を達成する見通しとなった。

http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2017/171222.pdf

米共和党指導部は12月15日、35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案(Tax Cuts and Jobs Act)を最終決定した。

これまで異議を唱えていた共和党上院議員も賛成に回った。逆に民主党議員は、これは低中層クラスの犠牲のもとに金持ちと大企業を助けるものだと批判している。

下院は12月19日、 上院も20日頃に採決し、クリスマス前の成立を目指す。トランプ米大統領は22日の議会閉会までに法案に署名して成立させる考え 。

個人所得税の最高税率も引き下げ、全体の減税規模は10年間で1.5兆ドルとなる。トランプ米大統領の大型選挙公約は、実現に大きく近づいた。

減税額は10年間で、企業税制で6538億ドル、個人税制で1兆1266億ドル、国際課税で -3244億ドル(海外留保利益への1度限り課税など)で、計1兆4560億ドル。

なお、本年度(2017/10~2018/9)の米連邦予算は暫定で、当初期限の12月8日の前日の12月7日に12月22日までのつなぎ予算を可決しているが、それまでに本予算又は更なるつなぎ予算を決める必要があり、更に債務上限の引き上げも必要である。緊迫した状況が続く。

付記 下院は12月19日、法案を可決した。

共和党 民主党 合計
賛成 227 227
反対 12 191 203
棄権 2 2
合計 239 193 432
    注. 欠員 3

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米下院は11月16日、連邦法人税率を2018年に35%から20%に引き下げる税制改革法案を賛成多数で可決した。

2017/11/13 米国の税制改革法案の審議 付記

米上院は12月2日早朝、難航の末、税制改革法案を可決した。

2017/12/4 米上院、税制改革法案を可決

共和党は税制改革法案のクリスマス前の成立を目指し、両院協議会で下院案と上院案の一本化の作業を進めた。

現在、上院共和党は52名で、賛成50の場合は、上院議長を兼ねるMike Pence副大統領の賛成票で法案は可決できる。
このため、副大統領は予定した中東訪問を取りやめた。

米南部アラバマ州の連邦上院補選で12月12日、民主党候補のDoug Jones 元連邦検事が、圧勝を予想されていた共和党候補のRoy Moore元州最高裁長官を破り、当選を確実とした。
新議員の就任には投票の確認が必要で、おそらく年内は無理とされるが、就任すれは、共和党の上院の議席は51となる。

2017/12/13 米アラバマ州上院補選、民主党候補が当選確実、上院議員51名に

12月2日の上院の投票では、財政赤字反対タカ派(deficit hawk)と呼ばれるテネシー州のCorker議員が共和党でただ一人反対したが、一本化法案の採決でも再び反対票を投じる可能性が高い。

上院共和党には、穏健派のSusan Collins議員ら税制法案の賛否で揺れる議員が増えている。
Collins議員は
高齢者向けの医療保険の給付削減に反対し、両院協議会に同案の見送りを要求した。
Marco Rubio上院議員とMike Lee 上院議員は低所得層に配慮し、子供の税額控除の拡大を求めた。

3人の反対で法案はつぶれるため、Collins議員の要求を受け入れる方向となったが、そのための財源が必要となる。

議論の結果、共和党の議会指導部は12月13日の協議会で、35%の連邦法人税率を2018年から(20%ではなく)21%に下げること、個人所得税の最高税率を37%に下げることなどで大筋合意した。
法人税率の引き下げ幅を1%分抑え ることで、10年で1千億ドルの税収を確保する。

トランプ大統領はかつて「20%より高い税率は認めない」と主張していたが、13日には「35%から21%に下がれば極めて大きな変化だ」と議会の合意を受け入れる考えを強調した。

この場合も、 Rubio上院議員 らの求める子供の税額控除の拡大は受け入れられず、 Rubio上院議員 は法案に反対すると明言した。

悲観論が広がるなか、首脳陣は調整を続けた。

子供の税額控除還付額を当初案より拡大した結果、Rubio上院議員は賛成すると表明した。
Corker議員も財政赤字の増大に反対だが、法案に賛成すると述べた。

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上院案と下院案及び最終案の主なものは下記の通り。

下院 上院 Tax Cuts and Jobs Act
法人税率引き下げ 2018年以降 20% 2019年以降 20% 2018年以降 21%
Obamacare 個人加入義務 維持 廃止 
2027年までに13百万人が非加入に 
非加入率 11%→16%
2019年以降義務なし
個人所得税率 4 区分 
最高は現状通り39.6%
7 区分のまま 
最高 38.5%に引き下げ
7 区分のまま 
最高 37%に引き下げ
個人所得税率引き下げ 期限なし 2025年末まで 2025年末まで
遺産税(estate tax) 2024年廃止 
それまでに控除が2倍に
(550万ドルまで無税が11百万ドルまで無税)
廃止せず、縮小
550万ドルまで無税が11百万ドルまで無税
廃止せず
22百万ドルまで無税
child tax credit (1人当たり) 1000$→1600$
1000$→2000$ 1000$→2000$
納税無しレベルには1400$ 還付
(当初案の1100$から増)
住宅ローン金利の控除限度 ローン100万ドル→50万ドル 不変(100万ドル) ローン100万ドル→75万ドル
Pass-throgh企業
(Ownerに課税される)
所得の20%が非課税
(2025年期限切れ)
法人代替ミニマムタックス 廃止
米企業の海外所得 「全世界所得課税方式」から「源泉地国課税」に切り替え
海外留保利益への1回限りの課税 流動資産で保有するものは12%の課税、固定資産で保有する部分については5%の課税 流動資産で保有するものは15.5%の課税、固定資産で保有する部分については8%の課税
Exercise tax
海外企業の米国子会社が米国で稼いだ資金を海外に持ち出す際、課税。
20% 除外 除外

最終案では、焦点の連邦法人税率は2018年から35%から21%に引き下げる。

米企業の海外所得への課税も原則として廃止する。

個人所得税は現在39.6%の最高税率を37%に下げ、概算控除も2倍に増やす。
子育て世帯への税額控除を拡充した。

減税規模は10年間で1.5兆ドルとなる見込み。

トランプ氏が大統領選で掲げた減税案は同4兆~5兆ドル規模とされたが、議会は急激な財政悪化を不安視して減税規模を縮小した。

法人税の実効税率は次の通り。

これまで米国の実効税率はカリフォルニア州をベースにして各国と対比している。
同州では州税が利益の8.84%で、法人税計算ではこれは損金算入できる。

現状は法人税率35%のため、35% x (1 - 0.0884) + 8.84% = 40.75%となる。
税率が21%となれば、21% x (1 - 0.0884) + 8.84% = 27.98%となるはずである。

しかし、今回改正で、州税の損金算入は個人所得税計算では認められなくなった。
法人税でも同じであれば(要確認)、実効税率は、21% + 8.84% = 29.84% となる。
結果として、日本とドイツの実効税率を若干上回ることとなる。

付記 日本の財務省に問い合わせたところ、州・地方税の損金算入取り止めに関して、個人所得者に対してのみ改正が行われたため、法人税実効税率は従来の方法でよいとのこと。

このほかにも、税率を下げる代わりに、損金算入や税額控除が減っており、同一利益ベースでの減税幅は縮小する。


米財務省は12月11日、上院財政委員会の税制改革案が実現した場合、向こう10年間で1兆8000億ドルの増収となり、減税による税収減を賄えるとの試算を発表した。

1 ページだけの簡単な発表。Treasury Releases Analysis of Revenue Estimates Associated with Administration Economic Policies

11月26日に議会予算局が税制改革案の影響についての報告を出し、これが共和党内部でも税制改革案に対する反対を産んだ。

議会予算局の分析では、税制改革案により、経済成長を考えない場合で、2018~2027年累計で赤字が1兆4142億ドル増えるという。1.9%の経済成長を考慮しても、赤字は1兆ドル増える。

2017/12/4 米上院、税制改革法案を可決   

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財務省の Office of Tax Policy (OTP) はこれを基に分析している。

議会予算局は、このままでは10年間で約1.5兆ドルの赤字となるとする。但し、成長により4080億ドルの税収増が生まれ、赤字は1兆ドルに減る。

この議会予算局の試算はGDPの伸びを2.2%にしている。(一般には「1.9%の経済成長を考慮して」となっている)

これに対し、OTPは2.9%と見る。より詳細には、2018年は2.5%、2019年は2.8%、それ以降は3.0%とする。

元の2.2%から0.7%ポイントだけ増えることとなるが、このうち半分は法人税率の引き下げによるもの、残り半分はPass-through企業(株主が課税されるもの)税制や個人所得税の改正、規制改革、インフラ開発、福祉の改定など政府が予算で提案する計画による。

GDPを見直すと、税収は10年間で議会予算局の計算の4080億ドルではなく、約1.8兆ドル増加する。(増益分は後半の5年に生まれる)

成長なしでは10年間で約1.5兆ドルの赤字となるとするが、成長を考えると、10年間で3000億ドルの黒字となる。

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専門家や民主党が財務省の分析を批判している。

想定成長率は大半のエコノミスト予測を大幅に上回っているほか、まだ実現できていない修正事項も前提としている。

参考 過去のGDP

保守派の非営利組織「責任ある連邦予算委員会」は「(税制変更が経済に及ぼす影響を分析する)ダイナミック・スコアリングを馬鹿にしている」と批判している。

民主党のシューマー上院院内総務も「1ページのでたらめな計算にすぎない」とした上で「ホワイトハウスと共和党が藁をもつかむ思いで、確証のないことを証明し、法案への支持を取り付けようとしていることは明らかだ。この法案では、赤字が膨張し、赤字を相殺する追加の経済活動もほとんど全く生じないことは、ほぼすべての独立した分析で結論づけられている」と述べた。


東芝と Western Digital は12月13日、 係属中の仲裁および訴訟を解決し、フラッシュメモリ事業に関する協業を一層強化していくことに合意したと発表した。

本合意の一環として、東芝、東芝メモリおよびWestern Digital は全ての係属中の仲裁および訴訟の取り下げに合意した。

Western Digital は5月に国際仲裁裁判所に東芝メモリの第三者への売却差し止めを求める仲裁を申し立てた。
東芝は6月に東京地裁に
Western Digital への損害賠償請求を起こしている。

この合意により、2018年から量産する予定の次世代 3次元フラッシュメモリBiCS FlashTM生産のための製造棟である建設中の四日市工場第6製造棟への今後の設備投資について、共同で実施する。

東芝は8月3日、四日市工場にて建設中の第6製造棟に関し、第1期分として予定している次世代の96層積層プロセスを用いた3次元フラッシュメモリ用クリーンルームへの生産設備導入を東芝メモリ単独で実施すると発表した。

2017/8/8 東芝、東芝メモリの増設を単独実施

また、岩手で建設が計画されている新製造棟へのWestern Digitalの参画に関する最終契約について、協議していく予定 。

東芝は9月6日、東芝メモリの新規拠点を岩手県北上市の北上工業団地エリアに決定し、用地拡張に関する調査や自治体との調整などの準備作業を開始すると発表した。
東芝グループのジャパンセミコンダクター(旧岩手東芝エレクトロニクス)隣接地に建設する。

2017/9/7 東芝メモリの売却、9月13日に決定 

フラッシュメモリ事業に関する合弁会社の契約期間を延長し、協業を強化する。

  JV 今回合意 引取比率
第3製造棟 Flash Partners(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%)

(既に延長済み→ 2029/12/31) 当初は均等引取、
2008/10 改組:30%分は東芝が単独運営、70%分は従来通り JVで均等引取

第4製造棟 Flash Alliance(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%) 延長 → 2029/12/31
第5製造棟 Flash Forward(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%) 延長 → 2027/12/31 均等引取
新第2製造棟
第6製造棟 (東芝単独) 共同で実施する予定  

また、現在係属中の訴訟等を解決することへの合意により、東芝メモリをBain Capital Private Equity, LP を軸とする企業コンソーシアムにより組成される買収目的会社である㈱ Pangeaへ譲渡することに関して全当事者が協調することに合意した。

また、両者は東芝メモリの譲渡に関連し、相互に資産や機密情報を保護すること、および将来の株式上場後、公開会社としての東芝メモリの発展を確実にするために協力することに合意した。

東芝メモリの売却に当たり、Western Degital にとっては、メモリ事業での競争相手である韓国のSK Hynix やSamsung が経営に参加したり、技術情報にアクセスするのは全く認められない。

逆にBain Capital にとっては、今回の買収に参加し、企業価値を上げたうえで、高値で転売するのが目的であり、将来の売却先を制限されるのは好ましくない。

SK Hynix にとっては事業参加が目的であり、単なる出資では意味がない。

とりあえず、Western Degital への配慮で、SK Hynixに関しては、10年間の機密情報へのアクセス制限と10年間は15%超の議決権は与えられないとの条件を付けている。

今回の合意に当たり、東芝やBain が SKによる東芝メモリへの関与制限や、SK に対する機密情報の遮断を確約 したとされる。
また、Samsung電子などの他の競合に対する東芝メモリ株の今後の譲渡を制限することで合意した模様。

買収目的会社である株式会社Pangeaへの出資・融資内訳(億円)は次の通り。

  出資・融資 出資 融資  
議決権 転換社債 議決権なし
東芝 3,505 40.2% 1,096   2,409   議決権の一部は産業革新機構と日本政策投資銀行に指図権
HOYA 270 9.9% 270   0    
(日本側計) (3,775) (50.1%)         今後も過半を維持
Bain 2,120 49.9% 1,361   759    
SK Hynix 3,950   15% 1,290 2,660   10年間のファイヤーウォール(機密情報へのアクセス制限)
10年間は15%超の議決権は与えられない。転換には各国競争当局の承認要
(Bain/SK) (6,070)            
Apple 4,155     4,155    
Seagate
Kingston Technology
Dell Technologies Capital
合計 14,000 2,727 1,290 9,983    
金融機関借入 6,000  

6,000

 
再計 20,000

14,000

6,000  

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結

今回の和解で、国際仲裁裁判所による東芝メモリの第三者への売却差し止めの懸念は無くなった。

東芝は12月に6千億円の増資を完了し、とりあえず 2期連続の債務超過を避けられるが、金融機関の支援を得ながら資本の厚みを増すために、引き続き2018年3月末までの売却完了を目指し、各国の独占禁止法の承認を得られるよう注力する。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は12月11日、理事会が2億5千万ドルの中国でのプロジェクトを承認したことを明らかにした。

北京市燃気集団 (Beijing Gas Group Company) が約510の近隣の村の 216,750 世帯に天然ガスを届けるパイプライン網の建設を進める もの。工事は2021年までに完了する見込み。

パイプラインが稼働すれば、北京市の石炭使用量が標準石炭換算値で年間65万トン減少し、二酸化炭素(CO2)の排出量を595,700トン、粒子状物質の排出量を3,700トン、二酸化硫黄(SO2)の排出量を1,488トン、窒素酸化物(NOx)の排出量を4,442トン、それぞれ削減できる見込み。

AIIBにとっては運営開始からの約2年間で初めての対中プロジェクトであり、また初の企業に対する融資プロジェクト。

AIIBの金立群総裁は、「中国が石炭への依存度を引き下げ使用量を削減するという約束をしたことで国民の暮らしは変わり、環境の質は高まることになる。これはAIIBが対中プロジェクトへの融資を決定した理由でもある」と 述べた。

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