「no」と一致するもの


スイスは5月21日、原子力発電所への依存度を下げる政府の長期エネルギー戦略(Energy Strategy 2050)の賛否を問う国民投票を実施し、賛成が58.2%、反対が41.8%で可決した。投票結果は法的拘束力がある。


東京電力・福島第1原発の事故をきっかけに、スイスは脱原発方針を決定 、今回の国民投票の結果を受け、長期エネルギー戦略に基づく改正法が2018年に施行される見通し。

長期エネルギー戦略は、原発の新設を禁止し、代わりに風力や太陽光、水力などの再生可能エネルギーの利用を増やすというもの。

現在は太陽光・風力発電は総発電量の5%未満で、水力は60%、原発は35%となっているが、2035年までに太陽光、風力などの発電量を現在の4倍に引き上げることなどを目指している。

太陽光、風力、バイオマス、地熱の発電量を、現在の2,831 gigawatt hours から、2035年までに少なくとも11,400 gigawatt hours に増やす。

スイスには現在、5基の原発があるが、今後、新設はおこなわず、5基のうち Beznau-1号機は2019年に停止、他の4基については安全基準を確保できなくなった段階で解体する。(安全基準を満たす限り、稼働が可能)

風力、太陽光、水力による発電への投資に向け、年間4億8000万フラン電気料金を追加徴収する。1世帯当たり年間平均40スイスフラン(約4600円)増加することになる。
また、既存の化石燃料税から4億5000万フランがビルのエネルギー使用量を2035年までに2000年比で43%削減する取り組みに充てられる。

主に環境保護団体や「緑の党」が政府の方針に賛成した。

右派政党で議会第1党の国民党は電力供給が不安定になると訴えた。国民の負担が大幅に増すと指摘し、風車の建設などで観光資源として欠かせない景観が損なわれることも問題だと主張していた。

ロイトハルト大統領は記者会見で「国民が新たなエネルギー政策を支持し、原発の新設を求めていないことが示された」と指摘した。

ーーー

欧州ではドイツが2022年までに原発を段階的に全面停止する。

2002年に当時のSchröder政権(ドイツ社会民主党と緑の党の連立政権)が原子力法を改正し、原発の運転年数を32年と定めて順次停止し、2022年までに原発を廃止すること、原発の新規建設は認めないことを決定した。

しかし、2009年にMerkel 政権(キリスト教民主・社会同盟と自由民主党の連立政権)が成立し、方向転換した。

ところが、2011年3月11日の福島第一原発事故で、この決定が覆ることになった。メルケル政権は、福島原発事故後のドイツ国内の反原発運動の圧力に抗いきれずに、すべての原発を2020年までに廃止するという以前の決定を受け入れることになった。

2011年6月末のドイツ連邦議会で、この決定が513対79で可決された。
この決定で、8基の旧型の原発が2011年に廃止され、9基の原発は2022年までにすべて廃止されることが確定した。

2016/7/12 ドイツの原発停止訴訟、電力大手の敗訴続く 

オーストリアは、Zwentendorf 原発を建設したが、1978年11月に行われた国民投票で、50.47%が反対という結果となったため、完成した原発を稼動させないことを決め、現在に至っている。

さらに2013年7月、オーストリアの議会は原発で発電された電力の輸入禁止案を可決した。実際には、2015年からは全電力の電源表示が義務化されるということであるが、すべての電力供給事業者が、原発で発電された電力を国外から購入しないと誓約している。

ーーー

スイスの原発は次の通り。

原発名 炉型 発電量 商業生産 終了予定
Beznau-1 加圧水型 365 MW Sep. 1969 2019
Beznau-2 加圧水型 365 MW Dec. 1971 安全基準を満たす限り、稼働
Gösgen 加圧水型 970 MW Nov. 1979
Leibstadt 沸騰水型 1,220 MW May 1984
Mühleberg 沸騰水型 355 MW Nov. 1972


Huntsman と Clariant は5月22日、両社の取締役会が満場一致で両社の対等合併の契約を承認した。

統合会社の社名はHuntsmanClariant で、統合会社の売上高は132億ドル、 EBITDA は23億ドル、企業価値は約200億ドルとなる。

付記

両社は2017年10月27日、合併を断念した。

両社は合併が長期的に株主の利益になると信じるが、Clariantの株主で24.99%を所有する物言う投資家White Tale Holdings が反対を続け、他の株主も同調しているため、無理と判断した。

統合の概要:

Clariantの株式がそのままHuntsmanClariant の株式となり、Huntsmanの株主はHuntsman株式1株につき1.2196株のHuntsmanClariant株を受け取る。
結果として、Clariant株主が52%、Huntsman株主が48%となる。

取締役は両社から均等に出す。

新会社のグローバル本社はスイスのPratteln に置き、運営本部はテキサス州The Woodlandsに置く。

株式はスイスとNew Yorkの両方で上場する。

新会社は、年間4億ドル以上のコスト面でのシナジーを期待している。

両社の2016年の業績は次の通り。  1スイスフラン=1.02米ドル

Huntsman 単位:100万ドル Clariant (100万スイスフラン)
売上高 EBITDA 売上高 EBITDA
Polyurethanes 3,667 569 Care Chemicals 1,465 276
Performance Products 2,126 316 触媒 673 160
Advanced Materials 1,020 223 Plastics & Coating
(顔料、マスターバッチ、添加剤)
2,525 368
Textile Effects 751 73 天然資源ビジネス
Oil & Mining、Functional Minerals
1,184 200
Pigment & Additives
(2017 spin-off)
2,139 130
Corporate -46 -184 Corporate - -117
Total 9,657 1,127 Total 5,847 887

Huntsmanの歴史:

当初、各社から石化汎用品事業を買収したが、その後、売却した。

2007年に Pigments and Additives をspin-off する。(社名:Venator Materials Corporation)

1983 Shell Oil からPSプラント(Belpre, Ohio)を買収
1986 Hoechst CelaneseからPS工場(Chesapeake, Virginia とPeru, Illinois)を買収
1987 ShellからPP工場(Woodbury, New Jersey)を買収
1989 Hoechst Celanese からSM工場(Bayport, Texas)を買収
1992 Goodyear からフィルム、フレコン事業を買収、
Huntsman Packagingを設立
1993 Monsanto からLABと無水マレイン酸事業(Texas と Floridaに工場)を買収
1995 Novacor Chemicals からPP事業(Marysville, Michigan)を買収
1997 Texaco のPOとMTBE事業(Port Neches, Texas)を買収
Rexene Corporationを買収(オレフィン、SM、機能性ポリマーなど)
1998 LLDPEプラント稼動(Odessa, Texas) 北米と欧州のSM事業をNova Chemical に売却
Orica Australia (旧 ICIオーストラリア)を買収
1999 ICIから ポリウレタン、酸化チタン、芳香族、石油化学事業(Global)を買収
2006/3/7 「ICIの抜本的構造改革
2000 Rohm & Haas から熱可塑性ポリウレタン事業を買収 Huntsman PackagingをChase Capital Partnersに売却
2004 英国Wilton工場(ICIから買収)に40万トンのLDPEプラント建設を決定
2006 Ciba Specialty Chemicals からテキスタイル機能材事業を買収 欧州の石化・ポリマー事業をSABICに売却 
 SABIC、Huntsmanから英国の石化子会社を買収
Texas Petrochemicalsに米国のブタジェンとMTBE事業を売却(PO/MTBE設備は含まず)
2007 米国5工場のオレフィンとポリマー工場を売却
ハンツマン、米国の汎用品事業を売却
2008 Hexionとの合併を図るが、破棄
 Huntsman、Hexionとの合併契約を破棄
2009 酸化チタンメーカー Tronox の資産買収 破談
 Huntsman による酸化チタンメーカーTronox の資産買収 破談に
Performance Additives とTitanium Dioxide 事業買収
 Rockwood Holdingsから、Performance Additives とTitanium Dioxide 事業を買収
2014 RockwoodからPerformance Additives、Titanium Dioxide 事業を買収
2017 Pigments and Additives をspin-off.
  社名:Venator Materials Corporation
当初予定のTextile Effectsは分離せず。

Clariant の歴史:

1995 Sandoz の化学品部門が スピンオフ Sandoz は1997年にCiba-Geigy と合併し、生命科学に特化したNovartis となっている。
1997 Hoechst の化成品部門を買収 Hoechst がClariant の株式の45%を取得するが、Rohne Poulent と合併してAventisになった時点でClariant 株式を売却
1998 Ciba Specialty Chemicalsとの合併合意
→ 破談
2000 英国のファインケミカルのメーカー、BTP買収.
2006 Ciba Masterbatchesを買収
2008 Rite Systems 社とRicon Colors 社を買収・統合(マスターバッチビジネスにおける世界リーダーに)
2011 吸着剤 と触媒のSüd-Chemieを買収 Scientific Design(旧 Halcon International)はSABIC とClariantのJVとなる。

ソフトバンクグループは5月20日、サウジアラビアなどと共同で10兆円規模の投資ファンド SoftBank Vision Fund を発足させたと発表した。
トランプ米大統領のサウジ訪問に合わせて孫正義社長が現地入りしサウジ政府と最終合意した。

ソフトバンクグループは2016年10月14日、グローバルにテクノロジー分野へ出資することを目的とした私募ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(仮称)の設立を決定したと発表した。

2016/10/17 ソフトバンクグループ、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立 

すでに発表済みのソフトバンクグループおよびサウジアラビアのPublic Investment Fundに加え、アラブ首長国連邦アブダビ首長国のムバダラ開発公社 (Mubadala Investment Company)、Apple Inc.、Foxconn Technology Group (鴻海科技集団 / 富士康科技集団)、Qualcomm Incorporated および鴻海の子会社になったシャープが出資者として参画し 、930億米ドル超の出資コミットメントを取得し、大規模な初回クロージングを完了した。

今後6カ月間で 、合計1000億米ドルの出資コミットメントを取得する形での最終クロージングを目指す。

ファンドはソフトバンクが運営責任を負う。運営トップには同社財務担当のRajeev Misra 氏が就くが、孫氏も「私もすべての投資案件に関わる」としている。



本ファンドは、情報革命の次の段階の基盤となりうる事業の構築のためには、これまでにない大規模かつ長期的な投資が必要であるという 、孫社長の確固たる信念のもとに設立された。

本ファンドの投資先の各企業はソフトバンクグループのグローバルな事業展開規模、事業運営に関する専門的知見、Sprint Corporation やヤフーなどのグループ企業のエコシステムから多くのメリットを享受できると見込まれており、それによって、本ファンドの投資先の各企業の成長を加速させることになると考えている。

本ファンドの投資戦略は次の通り。

次世代のイノベーションを実現しようとしている企業や基盤となるプラットフォーム事業に対して、大規模かつ長期的な投資活動を目指す。

上場・非上場や保有株式割合の多寡を問わず、新興テクノロジー企業から、成長のために大規模な資金を必要とする数十億米ドル規模の企業価値の大企業まで、投資を行う。

IoT、人工知能、ロボティクス、モバイルアプリケーションおよびコンピューティング、通信インフラならびに通信事業、計算生物学、その他データ活用ビジネス、トランスポーテーションテクノロジー、クラウドテクノロジー、ソフトウエア、消費者向けのインターネットビジネス、金融テクノロジーなど、また、これらに限らない広い範囲のテクノロジー分野で投資活動を行ってい く。

ソフトバンクグループが取得済みの株式や今後取得予定の株式の一部 、具体的には、ARM Holdings plc.の株式の約24.99%分、Guardant Health(血液検査のような簡単な方法で、がんの早期発見を目指す)、Intelsat(ソフトバンクが出資する米衛星通信ベンチャーのOneWebと合併)、NVIDIA(半導体メーカーでGPUを開発)、OneWeb(衛星を使い、宇宙からの光ファイバーレベルのインターネット接続を目指す)、SoFi (新しい金融サービス)への出資分などを取得する権利を保有する。
付記 Intelsat と OneWeb は一旦は合併することで合意したが、その後の協議の結果、合併を断念した。

当初の発表では、ソフトバンクは5年間で少なくとも250億ドル、サウジのPublic Investment Fundは最大 450億米ドルを出資するとしていた。

今回、ソフトバンクは全額出資子会社の英の半導体設計会社 ARM Holdings plc.株のうち、82億ドル分に相当する24.99%をファンドに移し、現金と合わせ総額で280億ドルを拠出、このファンドを自社の連結対象に加え、実質的にグループ内にファンドを抱える形となる。

各社の出資は次の通りと推定される。

SoftBank Group 280億ドル うちARM の株式の約24.99% (約82億ドル)
Public Investment Fund 450億ドル 当初発表の最大額
Mubadala Investment Company 150億ドル
Apple Inc. 10億ドル 報道
Foxconn Technology 30億ドル 内訳不明
Qualcomm
Sharp 10億ドル 発表
合計 930億ドル

 

 

東洋エンジニアリングは5月19日、2017年3月期決算を発表した.

売上高は受注した海外プロジェクトなどの進捗で増収となったが、営業利益は、米国向けエチレン製造設備プロジェクトにおいて工事コストの大幅な増加による収支悪化により、20億円の損失 (前連結会計年度は営業利益110億円) となった。

昨年度決算発表時から当年度第2四半期までは125億円の利益を予想していたが、第3四半期でゼロとし、決算では20億円の赤字となったもの。

なお、2017年10月1日に株式5株を1株に併合する。期末配当の15円は従来ベースで3円。


                             単位:億円

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

配当(円)

中間 期末
2015/3 3,115 -74 -253 -210 4 0
2016/3 2,998 111 39 30 0 4
2017/3予 '16/5 4,500 125 105 50
'17/2 4,500 0 10 0
2017/3 4,319 -20 16 15 0 2
前年比 1,321 -131 -23 -16 0 -2
2018/3予 3,700 65 50 20 0 15 (3)
付記
2018/3実績
3,357 -330 -278 -268 0 0


付記

同社の2018年3月期実績は上記の通りとなった。米国エチレンの総利益は485億円の損失。

同社は11月28日の取締役会で、インテグラルTeam投資事業有限責任組合 及び Innovation Alpha Team L.P. に、第三者割当の方法により、総額15,000百万円のA種優先株式を発行することを決めたと発表した。


同社の説明によると、米国のエチレン製造設備プロジェクトでは昨年春以降、地盤の問題で杭工事の手直しが相当量発生し、対応工事を進めてきたが、本年1月に杭工事の問題がほぼ見通せる状況となり、また、プロジェクト全体の設計が固まったことを受け、工事スケジュールと工事数量の見直しを行い、コストを精査した結果、杭工事の追加工事、工事数量増によるコスト、工期遅延防止のためのコストの大幅な増加を認識した。

2016/5時点の営業損益予想と、'17/2予想との差、実績との差から、本工事のコストアップによる損失負担は125~145億円に達するとみられる。

この米国向けエチレン製造設備プロジェクトはShintechのエチレンプロジェクトである。

2014/4/17 Shintech、米国でエチレン工場の建設許可を申請

同社が実施中の米国の石化プロジェクトは次の通りで、工事を含めるのはエチレンの1件のみ。

ポリエチレン計画 エチレン計画 メタノールプラント設計業務
受注 2014年12月 2015年4月 2016年3月
客先 Sasol Shintech Inc. (信越化学) G2X Energy, Inc.
EPCコントラクター Proman AG の下請け
受注者 Toyo Engineering Korea 東洋エンジニアリング 東洋エンジニアリング
建設地 ルイジアナ州 Lake Charles ルイジアナ州 Plaquemine ルイジアナ州 Lake Charles
対象設備 LLDPE 年産45万トン エチレン 年産50万トン メタノール 年産140万トン
ライセンサ- Univation Technologies, LLC Lummus
役務内容 ポリエチレン製造設備の詳細設計、資機材調達、モジュール製作、建設支援業務 設計、機器資材の調達、工事、試運転の一括請負 タノールプラントの基本設計および詳細設計
完成時期 2017年を予定 2018年前半
受注金額 約14億ドル

東洋エンジニアリングによると、本プロジェクトの状況(2017年3月末)は次の通り。

杭工事完了、全体としてキャッチアッププラン通りに進捗 (当初の完成時期からの遅れは明らかにしていない)

基礎工事・鉄骨・配管据付・大型機器据付進行中

全体進捗率 約50%、工事進捗率 約20%

Google mapからShintech Plaquemine


ーーー

東洋エンジニアリングは2015年3月期にも営業損益で赤字を計上している。更に、営業外損益で持分法適用に伴う損失 154億円を計上し、経常損益は253億円の赤字となった。

海外プロジェクト(エジプト向けPE、カナダ向けオイルサンド処理、インドネシア向け化学肥料、米国向け2件の石化製品、等々)での収支悪化が原因で、本質的原因として下記を挙げている。

・受注不振時期に無理な受注があったこと

・プロポーザル時のリスク評価に甘さがあったこと

・事業拡大のなか、キーパーソンが不足し業務品質が低下したこと

・拠点分散型のプロジェクト管理が不十分で、問題発生前、発生時の状況把握に遅れが生じたこと

LG電子は1997年のインド進出から20年を迎えた。昨年の売上高は20億ドルで、1997年の60倍になった。

LG電子のインドでの成功は、「徹底的な現地化戦略」により、住居環境と生活文化を考慮したインド特化製品の発売戦略が功を奏したからとされる。

地元の市場調査機関「TRA」から「2016年の最も魅力的なブランド 」に選ばれた。

現地進出20周年を記念して、年末までに20ヶ月間無利子分割払い、製品割引など、さまざまなプロモーションを行う。


代表的な製品は次の通り。

1)超音波で蚊を追い払うエアコンやテレビ

エアコンとテレビに Mosquito Away Technologyを導入した。

研究の結果、超音波で、人間には聞こえないが、蚊が嫌がって逃げ出す周波数を見つけた。薬品を使わないため、安全で、臭いもなく、殺虫剤費用が節約できるとしている。


2)電力供給が途絶えても7時間も冷気を維持する冷蔵庫

インドの地方では停電が多いが、 'Power Cut Evercool Technology' を採用した、電気なしでも7時間冷やせる冷蔵庫を発売した。

保冷剤を使った追加の冷却メカニズムを備えており、電気が切れた場合のみ、バルブが開き、冷却するもの。
逆に、停電がほとんどないGujarat州などの人には、夜間にスイッチを切って、電気代を節約できると宣伝している。


その他、
悪い水質を考慮して浄水性能を高めた浄水器 など。



住友化学

営業損益は情報電子化学やメチオニンの値下がりが大きく減益となったが、海外石化の持分利益が大きく増加した。
減損損失や事業構造改善費用を増やしたが、株主帰属損益はほぼ前期並みとなった。

三菱ケミカルと同様、大日本住友製薬など高収益企業の少数株主帰属利益分が大きい。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別損益 税引後 当期損益   配当
少数株主 株主帰属 中間 期末
2015/3 23,767 1,273 239 1,574 -407 711 189 522 6 3
2016/3 21,018 1,644 202 1,712 -136 1,124 309 815 8 6
2017/3 19,543 1,343 412 1,666 -214 1,171 316 855 7 7
前年比 -1,475 -301 210 -46 -78 47 7 40 -1 1
2018/3 21,900 1,650 1,850 1,000

 

営業損益対比(億円)           

2015/3 2016/3 2017/3 増減 内訳 2018/3予
価格差 コスト差 数量差等
石油化学 208 288 266 -22 90 -40 -72 270
エネルギー・機能材料 8 28 72 44 5 0 39 120
情報電子化学 324 199 103 -95 -350 175 80 210
健康・農業関連 561 775 462 -314 -185 -85 -44 600
医薬品 290 427 551 124 -70 -185 379 570
その他 157 78 57 -21 0 5 -26 30
全社 -274 -150 -168 -17 - - -17 -150
1,273 1,644 1,343 -301 -510 -130 339 1,650


石油化学:千葉工場の石油化学事業再構築で売上高は減少
       MMAや合繊原料が交易条件改善

エネルギー・機能材料:レゾルシンやエンプラの販売数量増

情報電子化学:
偏光フィルムやタッチセンサーパネルの値下がりが大きい。
           一方、原料合理化、出荷増でコストダウン。

健康・農業関連:メチオニンの価格下落。    注  2017年度には価格反転で増益を予想

           研究費増や円高の影響で損益更に悪化。

医薬品:国内薬価改定での値下がり、販売費用増加を北米でのラツーダ出荷増で補う。

特別損益の状況は下記の通りで、減損損失、事業構造改善費用が再度増加した。

2014/3 2015/3 2016/3 2017/3
投資有価証券売却益 34 41 158 273
固定資産売却益 162 10
減損損失 -218 -333 -247 -343
事業構造改善費用 -106 -322 -48 -189
投資有価証券評価損 -15
その他 56 45 35
合計 -249 -407 -136 -214

このうち、減損損失は以下の通り。

2015/3 2016/3 2017/3
英国 EL材料、デバイス 126
新居浜 アルミナ 、高純度アルミナ、高純度アルミ 64 44
韓国 高純度アルミナ 23
新居浜 医薬品(撤去) 52
韓国 サファイア基板 48
韓国 ダッチセンターパネル 16
シンガポール S-SBR 85 51
ポーランド ディーゼル・パティキュレート・フィルター 82
シンガポール メタアクリル 54
新居浜 光学製品 102
新居浜 硝酸、アニリン 29
新居浜 電解系 34
合計 333 247 343


大日本住友製薬の業績は次の通り。  (住友化学出資比率 50.22%)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2015/3 3,714 233 233 154 9 9
2016/3 4,032 369 352 247 9 9
2017/3 4,116 528 543 290 9 11
前年比 84 158 191 43 0 2
2018/3予 4,500 550 550 360 9 11

日本では、後発医薬品の使用促進による大幅減収で減益
北米では、「ラツーダ」や抗てんかん剤「アプティオム」の売上が拡大、円安の影響もあり、大幅な増収増益

ーーーーー

三井化学

基盤素材の交易条件の大改善などにより、営業損益は大幅増益となった。事業構造改善も一段落し、特別損益も改善した。

  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2015/3 15,501 420 444 -86 173 2 3
2016/3 13,439 709 632 -219 230 4 4
2017/3 12,123 1,021 972 -114 648 5 9
前年比 -1,316 312 340 105 419 1 5
2018/3予 13,000 980 960 650

営業損益は下記の通り。

16/3 17/3 増減

増減内訳

18/3
予想
数量差 交易条件 固定費他
モビリティ 449 407 -42 39 -79 -2 420
ヘルスケア 116 101 -15 -12 -6 3 130
フード&パッケージング 203 206 3 14 -11 0 205
基盤素材 10 385 375 12 295 68 295
その他 -69 -78 -9 -9 -70
合計 709 1,021 312 53\6 199 60 980


当期よりセグメントを変更


モビリティ エラストマー、機能性コンパウンド及びポリプロピレン・コンパウンド、機能性ポリマーは好調に推移したが、交易条件の悪化及び円高の影響を受け、減益となった。
ヘルスケア ビジョンケア材料等における堅調な販売及び歯科材料における固定費減少があったものの、不織布における販売数量の減少により、減益となった。
フード&パッケージング 円高の影響があったものの、堅調な販売により増益となった。

基盤素材

事業構造改善の効果が発現したこと及び堅調な国内需要の影響、大幅な交易条件の改善により、前期の10億円の利益が当期は385億円と大幅増益となった。

他社のナフサクラッカーの停止が相次ぎ、稼働率は高水準で推移した。


特別損益は下記の通り。(億円)

  2015/3 2016/3 2017/3 増減
特別利益 資産売却益 23 51 26 -25
事業譲渡益 - 37 - -37
合計 23 88 26 -62
特別損失 固定資産処分・売却損 45 56 73 17
減損損失 53 241 41 -200
その他 11 10 26 16
合計 109 307 140 -167
特別損益 -86 -219 -114 105


2016/3の減損損失には、2013年に
ドイツのHeraeus Holdingsから有利子負債を含め約543億円で買収した歯科材料事業 Heraeus Dental のノレンの減損195億円を含む。

営業損益は2010年3月期から連続増益となった。

Shintechが100%子会社であることから、連結損益のほとんどが株主帰属損益であり、当期損益では三菱ケミカルを大きく上回る。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

配当

中間 期末
2015/3 12,555 1,853 1,980 1,286 50 50
2016/3 12,798 2,085 2,200 1,488 55 55
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
前年比 -424 301 221 271 5 5
2018/3予

未定


営業損益は下記の通り。


営業損益推移 (
単位:億円)

セグメント  15/3 16/3 17/3 増減
塩ビ・化成品 503 447 532 85 Shintechが増強した能力を生かし、拡販
シリコーン 334 415 425 10 米、中国、東南ア向け機能商品の出荷が堅調
機能性化学品 153 182 222 40 セルロース誘導体:国内は医薬用が好調、欧州は総じて順調に推移
半導体シリコン 356 469 560 91 メモリデバイス向け堅調、ロジックデバイス向けも好調
電子・機能材料 462 515 552 38 希土類磁石、フォトレジスト製品、LED用パッケージ材料 いずれも堅調
その他 48 56 96 40
全社 -3 1 -1 -3
合計 1,853 2,085 2,386 301


Shintech の業績は下記の通りで、2012年に急回復し、2013年も増益となった。
2014年、2015年と減益となった。Westlakeによると2015年の平均売価は前年比18.9%下落した。

2016年は増強した能力を生かし、増益となった。

同社の能力は次のとおりとなる(単位:万トン)。エチレンの完成は2018年。

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -
Louisiana州 Addis   58   -   -
Plaquemine   60   160  106
 今回増設 32 30 20 50
合計  295  190   126 50
平均レート
2011 79.8/$
2012 79.8/$
2013 97.6/$
2014 105.9/$
2015 121.0/$
2016 108.8/$


決算を公表している米国の企業の業績は下記の通り。Shintech は経常損益、 WestlakeはVinylsの営業損益。

Westlakeは最近、ドイツのVinnolit、旧Georgia Gulf のAxiall を買収、急拡大している。

2015年にShintechが減益となったのに対し、Westlakeは増益となった。

Westlake Chemical は2014年6月28日、投資会社のAdvent International からドイツを拠点とする塩ビメーカーVinnolit Holdings GmbH とその子会社を490百万ユーロで買収する契約を締結し、同年7月31日に 取引が完了した。2015年はこれがフルに寄与した。 

ドイツと英国に6つの工場を持ち、能力は苛性ソーダが475千トン(100%)、VCMが665千トン、PVCが780千トンとなっている。2013年の売上高は917百万ユーロであった。

2014/6/3 Westlake Chemical、欧州の塩ビメーカー Vinnolit を買収

また、Calvert Cityのエチレン原料転換が完成、エチレン増産、Geismarのクロルアルカリも増産した。

  2012/10/10
Westlake Chemical、エチレン原料をプロパンからエタンに変更

そのWestlakeは2016年8月にAxiallを買収した。

Axiall Corp.は2013年1月にGeorgia Gulf がPPG Industriesのcommodity chemical divisionと合併したもので、Chlorovinyls 部門(電解~PVC~PVC製品)とAromatics部門(フェノール、アセトン、キュメン等)を持っていたが、Aromatics部門はIneosに売却した。

Westlake Chemical は2016年1月29日、Axiall Corporationの全株式を14億ドルで買収する提案をしたと発表したが、Axiallの取締役会はこれを拒否した。

Westlakeは2016年4月4日、新提案を行った。買収額は約15億ドルの債務込みで31億ドル、ネットで16億ドル(14億ドル )となる。

この後6月10日に、負債込みで38億ドル (ネットで23億ドル)での買収で合意し、8月31日に取引完了した。

2016/2/4 Westlake Chemical、Axiall に14億ドルでの買収を提案、拒否される 

Axiall と韓国の Lotte Chemicalは2015年6月、年産100万トンのエタンクラッカーをルイジアナ州に建設するJVの設立を発表した。
Axiallは自社のPVC用のエチレンの50%を確保するのが目的としており、Lotteは残りのエチレンを使い、エチレン隣接地でエチレングリコール 70万トンを生産する。

Westlakeはこれを引き継ぐ。

2015/6/22 韓国 Lotte Chemical、米国で石油化学

ーーー

Westlake Chemicalは台湾でCGPCを設立した故 T.T. Chao が1986年に米国に進出、設立した。

同社の歴史と現状は次のとおり。

2017年3月期よりIFRS方式に変更した。下記では2016年3月期もIFRS方式に組み替えた。

営業損益は前年とほぼ同じで大好調が続いた。

株主帰属損益は、前期に計上した非継続事業(インド及び中国におけるテレフタル酸事業)における減損損失が減少したことに加え、同事業の譲渡に関連した繰延税金資産の計上に伴う税金費用の減少があり、同1,049億円増となった。

2016/5/19 主要企業の2016年3月決算 - 三菱ケミカルホールディングス

    〔IFRS〕    単位:億円

  売上高 営業損益 うち
持分法
税引前
損益
法人所得税

税引後損益

うち

  配当(円)
継続事業 非継続事業 合計 少数株主帰属 株主帰属 中間 期末
2016/3 35,434 2,687 140 2,528 -741 1,787 -739 1,049 535 514 7 8
2017/3 33,761 2,686 170 2,583 -444 2,139 26 2,165 603 1,563 8 12
前年比 -1,673 -1 30 56 297 352 765 1,117 68 1,049 1 4
2018/3予 36,500 2,900 2,770 1,370 12 12


少数株主帰属損益が大きいのは、田辺三菱製薬や大陽日酸のような高収益子会社の持ち株比率が50%台に止まるため。


営業損益は下記の通り。

 2016/3と2017/3はIFRS方式のため、非経常項目を含む(従来より範囲が広がる)
 グラフと表では、セグメント別では非経常項目を除いたコア営業利益で計算し、これまでと合わせ、非コアを加えた。

2016年3月期は各分野とも好調で、2014年下期に連結対象とした大陽日酸の業績がフルに寄与したこともあり、営業損益は大幅増益となり、過去最高だった2011年3月期を上回った。
本年度も好調が続く。ヘルスケアは減益となったが、ポリマーズが補った。

営業損益対比(億円)           
  2015/3 2016/3 2017/3 前年比 増減内訳
売買差 数量差 コスト
削減
ケミカルズ 92 577 589 12 -47 -116 18 157
ポリマーズ 268 564 719 155 -13 -8 31 145
エレクトロニクス -27 -10 -29 -19 -55 8 35 -7
デザインドマテリアルズ 561 750 815 65 -90 112 59 -16
ヘルスケア 770 1,122 984 -138 -149 34 66 -89
その他 65 71 72 1 0 2 1 -2
非コア 50 -317 -389 -72 -72
全社 -71 -70 -75 -5 -5
合計 1,657 2,687 2,686 -1 -354 32 210 111

ケミカルズ:基礎化学品 -50、炭素 -11(市況悪化等)、産業ガス +73(米・豪事業追加、原燃料価格下落)
ポリマーズ:ポリオレフィン等 -38 (定修規模拡大等)、MMA&アクリル樹脂 +193 (アジア・欧米市況堅調)

エレクトロニクス:-19(円高、ディスプレイ材料売価低下)
デザインドマテリアルズ:+65

ヘルスケア:-138(薬価改定影響、前期に技術料一時金)      

なお、2017年4月に三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンを統合し、三菱ケミカルにしたのに伴い、2018年3月期のセグメントを変更する。

営業損益予想は次の通り。


田辺三菱製薬の実績は以下の通り。
2017年度よりIFRSを適用。(三菱ケミカルHDの出資比率は56.3%)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 コア営業利益 営業損益 税引前損益 株主帰属損益   配当
中間 期末
2016/3 4,258 1,070 818 833 593 22 24
2017/3 4,240 945 941 961 713 24 28
前年比 -18 -125 123 128 120 2 4
2018/3予 4,410 900 900 910 715 38 28

コア営業利益は、減収に加え、米国事業展開準備費用の増加等により減益となった。
前期には
非経常項目で早期退職実施に伴う割増退職金などの構造改革費用を計上したが、当期は大幅に改善したため、全体としては増益となった。

2014年下期から連結対象とした大陽日酸の業績は下記の通り。  
2017年度よりIFRSを適用。(三菱ケミカルHDの出資比率は50.7%) 

単位:億円 (配当:円)
  売上高 コア営業利益 営業損益 税引前損益 株主帰属損益   配当
中間 期末
2016/3 5,944 475 489 466 290 7 9
2017/3 5,816 547 537 502 347 9 11
前年比 -128 73 47 36 57 2 2
2018/3予 6,200 565 570 345 11 11


米中両政府は5月11日、4月の米中首脳会談で合意した貿易不均衡の是正に向けた「100日計画」の第一弾を公表した。

米国のMnuchin 財務長官、Ross 商務長官と中国の汪洋 副総理の3人が共同委員長となり、協議をしてきた。

今回は、鉄鋼や為替問題など両国の利害がぶつかる問題は先送りした。

米中は今回、100日間だけでなく、1年間の長期計画をつくることでも一致した。今年夏に米国で包括経済対話を開き、具体策を協議する。


第一弾は次の10項目から成る。

1.  中国は7月16日までに、国際的な食品安全基準、動物の健康基準を満たした米国産牛肉の輸入を認める。

中国は米国産牛肉について、過去の牛海綿状脳症(BSE)発生を理由に輸入を禁止してきた。

2.  米国は中国原産の調理済み鳥肉の米国への輸入問題を出来るだけ早く解決し、輸入を認めるためのルールを7月16日までに発表する。

3.  中国のバイオセーフティ委員会は、申請されている8つの米国のバイオテクノロジー製品について、使用される用途での安全性を評価するための会合を5月末までに開催する。

4.  米国は中国や他の貿易相手国が米国からLNGを輸入するのを歓迎する。中国に対して、他のどのFTA非締結国に比べても不利な扱いをしない。中国の企業はいつでも、あらゆるタイプの輸入契約を締結できる。

米国は輸出承認で米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけている。
2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出された。

その後、個別に承認しており、4月25日現在、FTA非締結国に対し、日量192億立法フィートの天然ガス輸出を承認済み 。

5.  中国は7月16日までに、100%外資が中国で信用格付サービスを行うのを認める。

6.  米商品先物取引委員会(CFTC)は、商品取引所法に定められたデリバティブ決済組織としての登録を怠ったShanghai Clearing Houseに対して強制措置を推奨しないという期限付きのノーアクションレターを発行しているが、これをさらに3年延長する。

7.  中国は7月16日までに、100%米国資本の電子決済サービス開始申請のガイドラインを出し、完全で迅速な市場アクセスに道を開く。中国は中国の銀行に対し、引き続き二重通貨建てカード発行を認め、米国の電子決済サービス業者が取引できるようにする。

8.  米国の連邦規制当局は、中国の金融機関に対し、他の外国金融機関と同じ管理を行う。

9.  中国は米国の金融機関2社に対し、7月16日までに債券の引き受け・決済業務の免許を付与する。

10. 米国は中国の「一帯一路」構想の重要性を認識し、5月14-15日の関連会議に代表団を送る。(White HouseのアドバイザーMatt Pottinger を代表とする)

中国政府は「一帯一路」計画をテーマにした初の国際会議「一帯一路フォーラム」を5月14日から2日間、北京で開催する。会議にはロシアのプーチン大統領ら28か国の首脳などが出席する。
北朝鮮の対外経済相も出席する。

日本からは自民党の二階俊博幹事長ほかが出席する中国から招待されていた世耕経済産業相は出席を見送ったが、会議出席による日米関係への影響を考慮したとされる。

2017/5/13 中国の「一帯一路」計画の現状

付記

習近平国家主席は5月14日、「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式に出席し、基調演説を行った。
内容を昨日の記事に付記しました。


中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にはG7中、米国と日本だけが参加していない。
AIIB参加の可能性を問われたRoss 商務長官は「短い期間では協議されていない」として明言を避けた。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は2017年3月23日、新たにカナダや香港など13カ国・地域の加盟申請を承認したと発表したが、「一帯一路フォーラム」の前日の5月13日にさらに7か国の加盟を発表した。合計は77か国となる。(アジア開発銀行は67か国)

2017/3/25 アジアインフラ投資銀行、加盟70カ国地域に G7参加見送り 日米だけ に付記

  

中国政府は「一帯一路」計画をテーマにした初の国際会議「一帯一路フォーラム」を5月14日から2日間、北京で開催する。会議にはロシアのプーチン大統領ら28か国の首脳などが出席する。
北朝鮮の対外経済相も出席する。

日本からは自民党の二階俊博幹事長ほかが出席する。中国から招待されていた世耕経済産業相は出席を見送ったが、会議出席による日米関係への影響を考慮したとされる。
しかし、その米国は
、米中「100日計画」合意により、White HouseのアドバイザーMatt Pottinger を代表とするチームを派遣することとなった。


「一帯一路構想」は、中国から中央アジアを経て欧州に至る「シルクロード経済帯」と、中国沿岸部からアラビア半島までを結ぶ海上交通路の「21世紀海上シルクロード」を中国が中心になって開発していくという構想である。

習近平主席は2014年11月4日、中央財経指導グループの第8回会議を招集し、 「シルクロード経済ベルト」と「21世紀の海のシルクロード」計画 (一帯一路構想:Belt and Road)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)およびシルクロード基金の設立という「中国版マーシャルプラン戦略」(中国メディア)について検討を行った。

習主席は11月9日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連会議で基調講演し、「各国と協力して二つのシルクロード経済圏の建設を進める」と述べた。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じ、中国自らの資金で地域経済の一体化を主導する意欲を示した。

2014/11/13 中国のシルクロード経済圏構想 


付記

習近平国家主席は5月14日、「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式に出席し、基調演説を行った。

 シルクロード精神のコアを総括

平和協力、開放的包摂、相互学習・相互参考、互恵・ウィンウィン

 今後の建設目標

「一帯一路」は今後、平和の道、繁栄の道、開放の道、革新の道、文明の道を建設していく。

 中国が実施を約束する大事業

関連諸国の鉄道部門と国際定期貨物列車「中欧班列」の提携深化協定の調印。

シルクロード基金の資金を新たに1000億元(約1兆8千億円)増加。

中国国家開発銀行が2500億元(約4兆5千億円)と中国輸出入銀行が1300億元(約2兆3400億円)に相当する人民元特別融資をそれぞれ提供し、「一帯一路」のインフラ施設の建設や生産能力、金融提携のサポートに用いる。

今回の国際協力サミットフォーラム開催期間中に、30ヶ国以上との経済貿易提携協定に調印し、関連諸国と自由貿易協定を協議する。

2018年から中国国際輸入博覧会を開催。

この先5年間で、延べ2500人の青年科学者を中国に招き、短期間の科学研究業務に従事させ、延べ5000人の科学技術および管理スタッフを育成、共同実験室50ヶ所を設置、運用。

この先3年間で、「一帯一路」建設に参加する発展途上国家と国際組織に600億元(約1兆800億円)の援助を提供。

「一帯一路」沿線の発展途上国に20億元(約170億円)の緊急食糧援助を提供。

南南協力援助基金に10億ドル(約1194億円)の増資。

沿線国家に「幸福家園(幸せな家)」100ヶ所、「愛心助困(愛を込めた貧困扶助)」100ヶ所、「康復助医(リハビリと医療援助)」100ヶ所等のプロジェクトの実施。

 「一帯一路」の提携範囲

ユーラシア大陸とアフリカ大陸が重点エリアとなるが、同時に全ての国を歓迎する。アジアや欧州、アフリカ、アメリカ大陸などいずれの国も「一帯一路」建設の国際提携パートナーとする。


付記

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は5月13日、バーレーン、キプロス、サモアの域内3ヶ国と、ボリビア、チリ、ギリシャ、ルーマニアの域外4ヶ国の加盟を発表した。合計で77か国となる。
(AIIBではトルコとキプロスは中東とみなし、域内扱いをしている。アジア開銀はトルコは域外扱い)



人民網日本語版(2017/5/5)は重大プロジェクトを総まとめしている。

インフラ建設から工業へ、さらに人的・文化的分野に至るまで、さまざまなプロジェクトが各地で花盛りとしている。

インフラプロジェクト 鉄道 中国ー欧州間鉄道 全国27都市で欧州間鉄道路線51本が開通し、欧州11カ国28都市へとつながっている。

2011年に運航がスタートしてから、2017年4月までの間に、累計3千本余りの列車が運行し、国際陸上物流の基幹ルートとなった。

2017/1/21 初の中国・英国 直通貨物列車、ロンドン到着

インドネシア

ジャカルターバンドン高速鉄道の建設
 中国の技術、基準、設備が採用された総合的システム型プロジェクト

建設用地収用が遅れていたが、ジョコ政権が強制収容に着手し、融資条件の土地収用完了の目途が立った。5月15日に融資契約を結ぶ見込みで、5月中にも建設工事が本格的に始まる見通し。

ロシア モスクワーカザン(タタルスタン共和国の首都)高速鉄道 (800km)
 完成すれば、現在の14時間から3.5時間に短縮される。
その他 ハンガリー - セルビア鉄道、中国ータイ鉄道、中国ーラオス鉄道、マレーシア南部鉄道、ケニアのモンバサーナイロビ鉄道、ナイジェリアのアブジャ - カドゥナ鉄道、アディスアベバ - ジブチ鉄道などの協力プロジェクト
港湾 パキスタン グワダル港
2016年11月、中国企業が建設と運営を手掛けるグワダル港で船舶が就航した。

2013/2/20 中国、パキスタンのグワダル港の運営権を取得 

ギリシャ ピレウス港
 2016年8月、中国企業が同港の港務局の大株主となり、経営を引き継いだ。

2016/4/12 ギリシャ、最大のピレウス港を中国に売却 
その他 ケニアの港、スリランカのハンバントタ港などの協力プロジェクトがある。
橋梁 セルビア ゼムン-ボルカ橋
 中国が欧州で建設した最初の大型橋梁で、設計と施工をすべて中国企業が主導した。2014年12月完成。
バングラデシュ バングラデシュ南西部と首都ダッカを結ぶパドマ橋
 2016年8月に着工。中国企業が請け負う協力プロジェクトとしては過去最大のもの。
その他 エクアドル 公共安全緊急指揮センター
 傘下に16の指揮センターが設立され、エクアドル全域をカバーする。中国企業が建設を担当、中国の設備と技術が100%採用された。
工業プロジェクト ミャンマー 中国・ミャンマー石油ガスパイプライン
 原油輸送でマラッカ海峡を航行する必要がなくなる。

2013/5/24 パイプライン万里長城が完成
英国 Hinkley Point C 原発プロジェクト
 中国・フランス両国企業が共同で投資・建設を行う。

2015/10/28 中国、英国の原発に出資、中国製原発も導入  

サウジアラビア ヤンブーの石油精製工場 (Sinopec初の海外石油精製プロジェクト)

Yanbu Aramco Sinopec Refining Co.(YASREF)
 
Saudi Aramco1 62.5% Sinopec 37.5% 
 
日量400千バレル

2012/1/18 Saudi AramcoとSinopec、サウジでの製油所建設の合弁契約締結

エジプト 送電線路プロジェクト EETC 500・1千ボルト級送電線路

 エジプト最大、最高電圧等級の送電線路プロジェクト

その他 セルビアのスメデレヴォ製鋼所、ベトナム・ビントァン省のビンタン発電所、キルギスのビシュケク発電所の改修プロジェクトなどの協力プロジェクト。
工業パークプロジェクト ベラルーシ 中国 - ベラルーシ工業パーク(Great Stone)

 総面積 91.5 km2 でシルクロード経済ベルトの新たなランドマーク。2014/6に基礎工事着工、総建設期間は30年で、3期に分けて建設。

マレーシア マレーシア - 中国 Kuantan 産業パーク

2013年に開園。
中国 - マレーシア欽州産業パークとともに、「2国2パーク」を構成

カンボジア シアヌークビル港経済特区

 中国初の海外経済貿易協力区の1つで、カンボジア政府認可の最大の経済特区。
 繊維、アパレル、金属機械、軽工業、家電などを基幹とする。

人的・文化的プロジェクト シルクロード書香プロジェクト

 2014年12月認可で、重点翻訳事業への資金援助、シルクロード各国の書籍の相互翻訳など

シルクロード生態文化万里行

 中国の優れた伝統文化を基礎プラットフォームとして、生態文化を称揚し、グリーンライフを提唱し、生態文明の共同建設を主旨とし、数千年の歴史を持つ中国民族の文化の精華を世界に広める。

国際国境協力プロジェクト 霍爾果斯(Khorgos)国際国境協力センター

 中国とカザフスタンの国境にまたがる越境経済自由貿易区で、上海協力機構の枠組における地域経済貿易協力のモデル区。

 

 

 

 

 

 

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