「no」と一致するもの

 

河野太郎代議士の「ごまめの歯ぎしり」(2015/7/15)は「原発停止の燃料コスト」を取り上げた。

これまで経産省は、原発が停止したことによる燃料費の増加がいくらだという数字を何回か出している。
2012年度に3.1兆円増えたと経産省は主張している。

しかし、これは嘘だったとし、経産省に2010年度から2014年度までの各年度に電力10社が使用した実際の化石燃料の使用量、その年度の平均燃料価格を出させた。

LNG、石油、石炭、ウランの合計輸入金額は急増している。

しかし、化石燃料の価格は2010年以降、ドル建ての単価の上昇に加えて、アベノミクスによる円安も相まって、円建ての価格は大きく値上がりしている。

そこで、2010年度と比べて増加した化石燃料の使用量に2010年度の価格をかけて、輸入金額がいくら増加したかを計算し、そこからウラン燃料の輸入が減った分を差し引いた。


「これは資源エネルギー庁の電力基盤整備課と原子力政策課が調べて出してきた数字だ。

もちろん焚き増しで燃料費が増えたことは間違いがない。だがしかし、その規模を正確に国民に伝えるのは行政の役割のはずだ。

行政が、いいかげんな「前提条件」をでっち上げて、現実とは全く違う数字をあたかも現実のように伝えようとするならば、政治がそれをやめさせなければならない。」

ーーー

実はこの分析は正しくない。

ここでは、化石燃料の価格の上昇を原発停止には関係のないものとして、無視している。
アベノミクスでの円安による円建価格上昇はその通りだが、少なくとも量が急増しているLNGのドル建て価格については、無関係とはいえない。

最近こそ、新価格方式が出てきたが、これまでは、日本のLNGの購入契約はほとんどが原油価格スライドであった。

2010年度と2013年度を比べると、WTI原油価格は年平均で79.59ドル/バレルから98.05ドル/バレルに123%アップしている。

しかし、この間のLNGドル建て輸入価格は、55.91セント/kgから83.22セント/kgと、149% 高騰している。

これは原発停止により、不足燃料を補うために各電力会社がLNGのスポット買いに走ったため、足元を見られたものが主と思われる。

当ブログでは、2013年度について、2010年度と比較して、原油価格アップを上回る分を1兆2252億円と計算した。

この分は原発停止の影響として加える必要があろう。

2014/3/9  LNG輸入金額分析--- 原発停止の影響 

 

なお、本年に入り、円安にもかかわらず、LNGの通関価格は急落している。


現時点では、LNGの価格の面では、原発停止の影響はなくなったといえる。

 


原発再稼動問題 - 化学業界の話題

政府は2030年時点のエネルギーミックスで、原発を20〜22%と決め、それに基づき、温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。

2015/6/4   エネルギーミックス最終案   

しかし、現存する全ての原子炉が40年で運転終了するとすれば、2030年頃に設備容量が現在の約半分となる。

2030年に原子力を20~22%にするためには、建設中の島根・大間を稼動させた上で、40年経過の原発の半分を延長する必要がある。


既存の原発の再稼働のための安全審査の状況は下記の通り。

安全審査に合格したのは、川内1・2号機、高浜3・4号機、伊方3号機の5基だが、高浜3・4号機については福井地裁の仮処分が出ている。

      2015/4/15 高浜原発、再稼働認めず 福井地裁が仮処分決定 

福島第一の1~6号機に続き、40年超運転の5基(日本原子力発電・敦賀1号、関電・美浜1・2号、中国電力・島根1号、九電・玄海1号)が廃炉を決めた。
日本の原発は48基が43基になる。(他に、建設中がJパワー・大間、東電・東通、中国電力・島根があり、Jパワー大間は安全審査を申請している。)
 

日本原子力発電の敦賀2号機の直下の断層が活断層と断定された。廃炉は必至である。
北陸電力・志賀1号については、有識者調査団が炉建屋直下のS-1断層が活断層の可能性高いと判断した。廃炉の可能性が強い。
また、同1・2号機タービン建屋直下のS-2、S-6断層も地層に変形を生じた可能性を否定できないとしている。

地震・津波対策が課題の原発も多い。

40年超の運転を目指し、関電が本年3月に、美浜3号、高浜1・2号の申請を行った。原子力規制委員会がどう判断するか、注目される。


 

 
  廃炉決定
 
  安全審査合格
 
運転開始 型式 能力
万KW

申請

状況 (2015/7)
北海道電力
 泊
① 1989/6/22  PWR 57.9

2013/7/8

積丹半島西岸の隆起は「過去の地震が
原因ではない」こと 了承
② 1991/4/12  PWR 57.9
③ 2009/12/22 PWR 91.2
電源開発
  大間

 ー

ABWR 138.3

2014/12/16

2014/4 対岸の函館市が建設、運転停止求め、訴訟
東北電力
 東通
① 2005/12/8  BWR
(Mark-I 改)
110.0

2014/6/10

専門家調査団判断
「将来活動する可能性のある(活断層)」
東北電力
 女川
① 1984/6/1   BWR
(Mark
-I)
52.4    
② 1995/7/28 BWR
(Mark-I 改)
82.5 2013/12/27 規制委、火山灰の降下量の再検討指示
③ 2002/1/30 BWR
(Mark-I 改)
82.5    
東京電力
 福島第一
① 1971/3/26  BWR
(Mark
-I)
46.0   2012/4/19 廃炉
② 1974/7/18  78.4
③ 1976/3/27  78.4
④ 1978/10/12 78.4
⑤ 1978/4/18 BWR
(Mark
-I)
78.4  

 

2014/1/31 廃炉
⑥ 1979/10/24 BWR
(Mark-Ⅱ)
110.0
東京電力
 福島第二
① 1982/4/20 BWR
(Mark-Ⅱ)
110.0   地元が廃炉要求
② 1984/2/3 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0  
③ 1985/6/21 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0  
④ 1987/8/25 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0  
日本原子力
 東海
1978/11/28 BWR 110.0 2014/5/20 PWR優先で審査停滞
東京電力
 柏崎刈羽
① 1985/9/18 BWR
(Mark-Ⅱ)
110.0    
② 1990/9/28 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0  
③ 1993/8/11 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0    
④ 1994/8/11 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0    
⑤ 1990/4/10 BWR
(Mark-Ⅱ改)
110.0    
⑥ 1996/11/7 ABWR 135.6

2013/9/27

海底断層がつながっている可能性
⑦ 1997/7/2 ABWR 135.6
中部電力
 浜岡
③ 1987/8/28 BWR
(Mark-I 改)
110.0

2015/6/16

4号機審査優先
④ 1993/9/3 BWR
(Mark-I 改)
113.7

2014/2/14

地震・津波対策が焦点 
⑤ 2005/1/18 ABWR 138.0    
北陸電力
 志賀
① 1993/7/30 BWR
(Mark-I改)
54.0   2015/7/17 1号直下のS-1断層が活断層の
可能性高いと判断。
1・2号機タービン建屋直下の断層も問題
② 2006/3/15 ABWR 135.8  2014/8/12
日本原子力
 敦賀
① 1970/3/14 BWR
(Mark
-I)
35.7   2015/3/17 日本原子力発電が廃炉決定
② 1987/7/25 PWR 116.0   2013/5/27  
敦賀2号機直下の断層を活断層と断定
関西電力
 美浜
① 1970/11/28 PWR 34.0   2015/3/17 関電が廃炉決定
② 1972/7/25 PWR 50.0  
1976/3/15 PWR 82.6

2015/3/17
(
40年超
) 

震源断層の深さで規制委と対立
規制委、8
月末までに基準地震動が確定しなければ、審査打ち切りを示唆
関西電力
 大飯
1979/3/27 PWR 117.5    
1979/12/5 PWR 117.5  
③ 1991/12/18 PWR 118.0

2013/7/8

2014/5 再稼働を認めない判決
   2014/5/30 大飯原発差し止め訴訟判決 

控訴審で係争中、差し止めの効力は
発生していない。

④ 1993/2/2 PWR 118.0
関西電力
 高浜
1974/11/14 PWR 82.6

2015/3/17
(
40年超) 

2015/4/30 運転期間延長申請
1975/11/14 PWR 82.6
③ 1985/1/17 PWR 87.0

 2013/7/8 

2015/2/12
安全審査合格
2015/4/14 福井地裁 仮処分
④ 1985/6/5 PWR 87.0
中国電力
 島根
① 1974/3/29 BWR
(Mark-I)
46.0   2015/3/18 中国電力が廃炉決定
② 1989/2/10 BWR
(Mark-I改)
82.0 2013/12/25  
四国電力
 伊方
1977/9/30 PWR 56.6    
② 1982/3/19 PWR 56.6    
③ 1994/12/15 PWR 89.0 2013/7/8 2015/7/15 安全審査合格
九州電力
 玄海
① 1975/10/15 PWR 55.9   2015/3/18 九電が廃炉決定
② 1981/3/30 PWR 55.9    
③ 1994/3/18 PWR 118.0 2013/7/12  2015/3/20地裁判決
プルサーマル差し止め認めず
④ 1997/7/25 PWR 118.0  
九州電力
 川内
① 1984/7/4 PWR 89.0 2013/7/8 2014/9/10 
安全審査合格
2015/7/10 
核燃料装填作業完了
② 1985/11/28 PWR 89.0  


PWR:加圧水型、
APWR(Advanced PWR) :改良型加圧水型 ---フィルタ付ベント設置猶予 
BWR:
沸騰水型、
ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型 ---フィルタ付ベント即時設置要

 

 


政府は7月17日、地球温暖化対策推進本部を開き、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai30/yakusoku_souan.pdf

この目標を同日、国連に提出する。日本は目標策定が遅れ、G7の中で最も遅い提出となった。

政府は目標の検討にあたり、2030年時点の再生可能エネルギー比率を22〜24%、原発を20〜22%と決め、2013年比で排出量を21.9%削減できるとした。

  2010年度 2030年度
再生エネルギー(含水力) 9.6% 22~24%
原子力 28.6% 20~22%
LNG 29.3% 27%
石炭 25.0% 26%
石油 7.5% 3%
 
 
 
 
 
再生エネルギー内訳
安定 水力 8.8~9.2%
バイオマス 3.7~4.0%
地熱 1.0~1.1%
不安定 太陽光 7.0%
風力 1.7%

    2015/6/4   エネルギーミックス最終案   


さらに代替フロン類削減などで1.5%減、森林整備などによるCO2吸収分2.6%を上乗せし、計26%削減を目指す。

内訳(百万トン- CO2)    比率は2013年合計量 (1,408)に対する削減率

  2005 2013 2030

2030/2013

エネルギー起源CO2 1,219 1,235 927 -308 -21.9%
非エネルギー起源CO2 85.4 75.9 70.8 -5.1 -0.4%
メタン 39.0 36.0 31.6 -4.4 -0.3%
一酸化二窒素 25.5 22.5 21.1 -1.4 -0.1%
HFC等4ガス 27.7 38.6 28.9 -9.7 -0.7%
小計 1,396.6 1,408.0 1,079.4 -328.6 -23.3%
温室効果ガス吸収量 - - -37.0 -37.0 -2.6%
再計 1,396.6 1.408.0 1,042.4 -365.6 -26.0%

温室効果ガス吸収源

 森林吸収源対策  2,780万t
 農地土壌炭素吸収源対策、都市緑化等の推進 910万トン
 合計 3,700万トン


政府は目標達成のための対策計画の策定に着手するが、家庭では201百万トンから122百万トンへ、業務・オフィスでは279百万トンから168百万トンへと、それぞれ40%の排出削減が必要で、ハードルは高い。


電気事業連合会と新電力などの電力業界は7月177日、2030年度の電力販売量1キロワット時当たりの温室効果ガスの排出量を、2013年度に比べ約35%削減する自主目標を正式に発表した。但し、各社の負担割合などは未定。

ーーー

毎日新聞によると、各国の目標は下記の通り。

  2030年 2025年
日本 2013年比 26%減  
中国 2005年比 GDP当たり60~65%減  
米国   2005年比 26~28%減
EU 1990年比 40%以上減  
ロシア 1990年比 25~30%減  
韓国 対策とらない場合比 37%減  
カナダ 2005年比 30%減  
メキシコ 対策とらない場合比 25%減  









JG Summit Olefinsのフィリッピン初のナフサクラッカーは、昨年6月に試運転を開始したが、技術問題により商業運転は年末にずれ込み、最近、ようやく稼働率を85%程度まで上げてきた。

JG Summit Holdingsの100%子会社JG Summit Petrochemical が1990年代初めに構想し、検討してきたもので、2005年末にようやく構想が前進した。
しかし、JG Summit Olefinsは最初 2005年に登記されたものの、資金問題で計画が遅延し、2010年に再登記された。

マニラ南方のBatangas のJG Summit Petrochemical のPE、PPに隣接して建設したもので、
能力はエチレンが320,000トン、プロピレンが190,000トン、分解ガソリン 216,124トンとなっている。

ーーー

JG Summit Holdingsはフィリッピンのコングロマリットで、下記の7つのコア事業を行う。

消費財、食品:Universal Robina Corporation
不動産、ホテル:Robinsons Land Corporation、United Industrial Corporation (Singapore)
航空:Cebu Pacific Air
石油化学:
JG Summit Petrochemicals、JG Summit Olefins
金融:Robinsons Savings Bank
テレコム:
Philippine Long Distance Telephone Company
電力:Manila Electric Company

JG Summit Petrochemicalは1998年4月に JG Summit Holdings 80%/丸紅20%のJVとして設立された。
BatangasにPE(HDPE/LLDPE) 175千トン(現在 200千トン)、PP 180千トンプラントを建設した。

丸紅はその後、出資比率を17.72%としたが、2007年に撤退し、JG Summit Holdingsの100%子会社となった。

JG Summit Olefinsは、同国最初のナフサクラッカーとして、6年間(2014年1月から)の免税など、税務上その他の恩典を受ける。

ーーー

現在のフィリッピンの石油化学のメーカーは下記の通り。

メーカー 立地 製品 Capacity 増強案
JG Summit Olefins Batangas エチレン 320,000t  
プロピレン 190,000t  
JG Summit Petrochemical PE (HD/LL)        200,000t    310,000t
PP 180,000t  
Philippine Polypropylene Inc.
(旧称 Petrocorp)
Bataan PP 160,000t 225,000t

 

NPC-Alliance
(旧称 Bataan Polyethylene)
Bataan PE (HD/LL) 250,000t  
Philippine Resins Industries Bataan PVC 100,000t 140,000t
180,000t
Chemrez Technologies   PS 30,000t  

各社の概要は下記の通り。

Philippine Polypropylene Inc.(旧称 Petrocorp:Petrochemical Corporation of Asia-Pacific)

PetrocorpChemical Industries of the Philippines, Inc. (CIP) Dr. Eusebio S. Garcia などにより設立された。

Petrocorpは採算悪化や原料プロピレン不足などで何度も操業を停止した。(原料のプロピレンは韓国、台湾、日本などから輸入しており、採算はよくなかった)

2004年頃から外資への売却を検討、200811月には株主のCIP や関連会社は所有するPetrocorp の株式を全額評価減している。
その後、同社は
Vantage Stride (Mauritius) Ltd. に売却された。

フィリピン最大の石油会社Petron Corp.は2010年3月、石油化学事業の強化のため、 Vantage Stride (Mauritius)  からPetrocorpの株式の40%を買収したと発表した。

2010/3/19 フィリッピン最大の石油会社PetronPPメーカーPetrocorpに出資 

その後、PetrocorpPhilippine Polypropylene Inc.に改称した。

Philippine PolypropyleneはBataanに年産 160 千トンのPP工場を持っている。

Petronは同じ Bataan に日産18万バレルの製油所を有し、国内に1300のガソリンスタンドを持つ。
2008
年にBataanの製油所にFCCとプロピレン回収設備を設置、2009年にはBTX設備を稼動させている。

Petron は、川下の石油化学に進出し、プロピレンやBTXを加工し、場合により最終製品まで作りたいとしていたが、買収により、自社のプロピレンをPP原料として供給し、付加価値を高める。

ーーー

NPC-Alliance (旧称 Bataan Polyethylene)

Bataan Polyethylene は当初、BP39%、マレーシアのPetronas39%、住友商事が6%、現地株主のコンソーシアムのProfinda Holdings16%を出資して設立された。

その後、採算悪化からBPと住友商事が離脱を決め、その分をPetronasが購入する予定であったが、結局まとまらず、2003年に一旦清算された。

2004年に「プラスチック王」の異名を持つWilliam Gatchalian Metro Alliance Holdings and Equities (Manila)を通じてBataan Polyethylene の債権を世界銀行のIFCから買い取り掌握した。

GatchalianはイランのNational Petroleum Companyとの間でエチレンの長期供給契約を締結した。

2005年にイランのNational Petroleum Company Metro AllianceからBataan Polyethylene 60%を買収、同社をNPC-Allianceと改称した。

現在の出資比率は:
  
イランのNational Petrochemical Company 40%
  イランのInternational Petrochemical Company 20%
  Philippines Polimax Metro Allianceグループ) 40%

BataanにHDPE/LLDPE 250千トンを持つ。

ーーー

Philippine Resins Industries, Inc.

1994年7月に設立された。出資比率は二度変更されている。

  設立時 2001/3 2004/3
東ソー 20% 50% 80%
三菱商事 20% 50% 20%
Bank of Philippine Island 11%
Mabuhai Vinyl 49%


BataanにPVCの工場を持つ。
能力は当初の70千トンから90千トンに、2004年5月に100千トンに拡大された。
設計能力としては140千トンから最終180千トンまで可能となっている。

原料のVCMは東ソーが日本から供給している。

なお、当初の株主のMabuhai Vinyl はフィリッピンの現地資本のPVCメーカーで、隔膜法電解 16千トンを持ち、PVC 28千トンを生産していた。

その後、三菱商事が10%強出資、2000年に東ソーが22.68%出資した。
2009年末にTOBを行い、東ソー 94.24%、三菱商事 5.76%出資とし、現在に至っている。

その後、PVCから撤退し、隔膜法(16千トン)に加え、東ソー技術でIM法電解(8千トン)を加え、電解事業に特化している。

ーーー

Chemrez TechnologiesはD&L Industriesが事業を多角化したもの。


 



中国とロシアは今回のギリシャ支援の合意を歓迎しているが、いずれもギリシャに接近している。

 

ギリシャのチプラス首相は4月と6月に訪露してプーチン露大統領と会談し、ウクライナ危機での米欧の制裁を「経済戦争」と呼んでロシア寄りの姿勢を見せた。

プーチン大統領は6月19日、ギリシャとの間で、ロシアからの天然ガスパイプラインTurkish Stream をトルコを経由してギリシャにつなげる計画に基本合意した。
ギリシャの農産品の輸入についても話し合われた。ロシアはEUの制裁に対抗し、EUからの農産品の輸入を禁止しているが、ギリシャの例外扱いを検討している。

ロシアのエネルギー相は7月12日、ギリシャ経済てこ入れのため、ロシアはギリシャに燃料を直接供給することを検討中だと語った。
「ロシアはエネルギー部門での協力拡大を通じてギリシャ経済の再生を支援するつもりだ。このため、われわれはギリシャへのエネルギー資源の直接供給の可能性を検討している。直接供給は近く始まる」と述べた。

 

Turkish Stream の概要は下記の通り。

ロシアは2014年12月1日、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream の敷設計画を撤回した。

EUの反対でブルガリアの許可が得られないためとし、「EUの立場は非建設的であり、そのためロシアは他の地域にエネルギー輸送先を切り替え、またはLNGに軸足を置き替える」と語った。

2014/12/4   ロシア、South Stream 計画を取り止め

ロシアはその後、新ガスパイプライン Turkish Stream 構想を打ち出し、本年初めにルートが確定した。

South Stream と同様に4本のラインが敷設される予定で、海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。
黒海南西部沿岸の都市キイキョイから陸上に入り、ギリシア国境のイプサラまでの180kmが敷設される。

年間輸送能力は630億m3で、うちトルコが140億m3 を引き取る。
第1ラインの完工は2016年12月を予定しており、全てトルコに供給される。トルコ向け天然ガス価格は 6%値引きする。

South Streamとの大きな違いは、パイプラインのEU内の部分でGazpromがその建設や操業に関与しないことである。EUの干渉に嫌気がさしたと思われる。

今後の計画も含め、欧州の天然ガス輸入の南部ラインはすべてトルコを経由することとなる。

ーーー

ギリシャの生産再建・環境・エネルギー相は5月29日、ギリシャがBRICS開発銀行への参加を検討していると発言した。
ロシアもギリシャの意向を関知しているとしている。

5カ国は7月7日、モスクワで BRICS開発銀行の第1回総会を開いたが、ギリシャ問題は取り扱われていない。

初代総裁にはインドの民間銀行元会長 K.V. Kamath が就任した。
当初の資本金は500億ドルで5カ国が均等出資する。将来は1千億ドル規模へ拡大する。
年内にも業務を開始する。

ーーー

中国の李克強首相は6月29日、ブリュッセルでEU首脳との会談後の記者会見で質問に対し、「中国はこれまでも、ギリシャが危機を抜け出すための要求に応えてきた。問題解決に建設的な役割を果たしたい」と述べた。

「シルクロード経済ベルト」と「21世紀の海のシルクロード」計画 (一帯一路構想)を進める中国にとっては、ギリシャは欧州への入り口として重要である。

今回のギリシャの財政改革案に含まれる民営化のうち、アテネ郊外のPireaus港については中国遠洋運輸公司(COSCO) への売却が有力である。

ギリシャ政府は2008年にCOSCO との間で、ピレウス港の2号・3号コンテナ埠頭の35年間リース契約を締結し、2010年にCOSCOは正式運営を始めた。
COSCOは本年に入り、3号埠頭の拡張工事に着手している。

中国製の製品などをピレウス港に運び、そこから鉄道で中欧や東欧各国に輸送する。

2012年11月には、COSCOとHewlett-Packard とギリシャ国営鉄道会社Torainose が製品輸送契約を締結した。

アジア諸国の工場で生産されたHewlett-Packard の製品をPireas港で陸揚げし、新設の17kmの貨物線で貨物ターミナル駅まで運び、そこからマケドニア、セルビア、ハンガリー、オーストリア、チェコなど東欧や中欧の各地に輸送する。

本年2月には中国の軍艦が寄港した。

ギリシャ政府はピレウス港の権益67%を売却する計画で、COSCO等が名乗りを挙げている。 売却額は5億ユーロ規模とされる。
(当初、本年初めの入札を予定したが、就任したチプラス首相が選挙の公約通り、国有資産売却を見送った。今回、売却を決めた。)

 

 


ギリシャへの新たな金融支援の協議を始めるかどうかを決めるユーロ圏財務相会議は7月11日に8時間半にわたり改革案の実効性や信頼性について議論したが、結論が出ず、一旦終了した。

財政改革案をおおむね支持するフランスやイタリアと、不十分だとするドイツやフィンランドの意見が対立した。

デイセルブルム議長は、「信頼性が大きな問題になっている。ギリシャ政府が今後数年にわたり約束を実行すると信じていいのかという問題」としている。

ドイツはギリシャ側の提案は「重要な改革が欠けており」、新たな3年間の支援計画の基礎にはなり得ないと し、ギリシャのユーロ圏からの一時離脱さえ提案した。

ドイツは、ギリシャが議会の支持を得て「迅速かつ大幅に」改革案を改善させることとし、具体的には、
 1)  独立した信託会社に国有企業や資産 500億ユーロ分を移管しその売却益を債務返済に充てること、
 2)  欧州委員会の監督の下で行政改革を進めること、
 3)  財政赤字削減が目標に届かなかった場合に自動的な歳出削減を発動するため法を整備すること
を提案している。

その上で、信頼性のある改革案がなければ、ギリシャはEUには残留した上で、少なくとも5年間ユーロ圏から離脱し、人道援助などを受けながら債務を整理すべきだとの案を出した。

債務の元本削減はユーロ圏内では違法になるとしている。

さすがに、このアイディアは、違法かつナンセンスとしてEU側に無視され、財務相会議では議論されなかった。

フィンランドでは連立与党の一つが連立離脱をちらつかせ、ギリシャ支援反対を求めたため、合意文書に署名できなかったとされる。

財務相会議は7月12日に再開されたが、結論には至らず、ユーロ圏首脳会議での政治判断に委ねた。

声明案では、ギリシャは7月20日(ECB保有債券の償還期限)までに70億ユーロが必要で、8月半ばに満期となる分も合わせると120億ユーロが必要になるが、第3次支援交渉を開始するためには、ギリシャが、付加価値税引き上げ、年金制度改革、企業破綻制度の見直し、統計局の独立性強化を7月15日夜までに法制化する必要があるとしている。

また今回は、支援の条件を満たせなかった場合に一時的にユーロ圏から事実上離脱させるというドイツ案も盛り込んだ。
(ただし、この文言はカッコでくくられており、同意していない財務相がいるとみられる。
EUの高官は、ユーロ圏からの一時的な離脱は違法との見方を示した。)

これを受け、ユーロ圏首脳会議が開催されたが、各国の意見が割れた。

ギリシャのチプラス首相は、欧州の結束維持に向け「さらなる誠実な妥協」を望むとしたが、ドイツのメルケル首相は、支援協議を開始する状況にはないとの認識を示し「最も重要である信頼が失われてしまった。それは、厳しい協議になることを意味する」と語った。

フランスのオランド大統領は、フランスはギリシャをユーロ圏に留めるため「あらゆる方策」を尽くすと述べ、「ギリシャの一時的なユーロ離脱」を否定した。

イタリアのレンツィ首相は、ギリシャの財政再建策は「EU側が求めた内容に沿っている」と指摘し「われわれは絶対に合意しなければならない。ほぼ全て譲歩したパートナーに恥をかかせるのは考えられない」と語った。

こうしたなか、ギリシャ政府が15日までに財政再建策の一部を法制化し、その出方を見た上でEU側が15日以降に金融支援の開始を決めるという段取りで、ギリギリの調整が続いた。ギリシャ側は難色を示している模様。
(記事作成時点では終了していない。発表あれば追記します。)

7月12日に予定していたEU全体の首脳会議は取りやめとなった。
ここでは、
ギリシャのユーロ圏離脱をどう扱うか協議することが目的だったとされる。
ギリシャに3日間の猶予が与えられたとの報道がある。

 

「サムライ債」約117億円の償還期限が7月14日に迫っている。

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ギリシャのAlexis Tsipras 首相は6月27日の午前1時、突然テレビ演説し、EUなどから金融支援の条件として提案されている改革案の受け入れの是非を問う国民投票を7月5日に行うと表明した。

2015/6/8   ギリシャ、IMFへの6月分債務返済の一本化、月末先送りを要請
2015/6/20   ギリシャ支援合意できず
2015/6/27   ギリシャ、EU支援条件巡り7月5日に国民投票
2015/7/1   ギリシャ支援が失効 

7月5日の国民投票では、反対が61.31%、賛成が38.69%で、チプラス首相は 「ギリシャは歴史的なページを開いた」と述べ、反対派の勝利を宣言した。 

2015/7/6   ギリシャ国民投票、EUの財政緊縮策に反対 

しかし、ギリシャは7月9日夜、新たな金融支援の条件としてEUから求められた財政改革案を提出した。
ギリシャ議会は7月11日未明、チプラス政権がEUなど債権者側に示した120億ユーロ規模の財政改革案を 、賛成 251、反対 32、棄権 8、欠席 9 で承認した。

ギリシャの譲歩案は国民投票で拒否したEU側の要求にほぼ沿ったものだが、その見返りに、総額535億ユーロ(約7兆2000億円)の3年間の金融支援を「欧州安定メカニズム(ESM)」に求めている。
(債権団の実務者チームは金融支援に必要な額は740億ユーロに達するとの審査結果をまとめている。)

また、3000億ユーロに膨らんだ公的債務の返済負担軽減のための債務再編も要請している。

ーーー

改革案の中身を検討していたEU欧州委員会とIMF、欧州中央銀行(ECB)は7月10日夜、財務相会合に対し、ギリシャの提案は「交渉再開の土台になる」と内容に前向きの評価を報告した。

IMFのラガルド専務理事は7月8日、ワシントン市内で講演し、財政危機で金融支援を受けたポルトガルやアイルランドなどが改革に取り組んだことを踏まえ、ギリシャについても「財政健全化と重要な改革が必要だ」と強調する一方、EUに対しては「ギリシャのケースでは、財政持続のために債務の再編が必要だ」と述べ、借金の減免や返済期限の延期を促した。

ダウ・ジョーンズ通信は7月11日、IMFが、ギリシャの債務返済期限を現在の平均約30年から60年に延長することを提案していると報じた。

米国のルー財務長官は7月10日の講演で、ギリシャ政府の債務はGDPの約1.8倍もあり、「財政は持ちこたえられない」と指摘し、ギリシャ政府に対し厳しい改革を求める一方、「ギリシャ政府が抱える債務を整理する必要がある」と述べ、EUに対して返済条件の見直しを改めて求めた。

中国やロシアがギリシャに接近している。地中海の要衝でNATO加盟国のギリシャの混乱は安全保障問題に直結しており、米国は懸念している。

クリミアの二の舞を踏むことのないように、場合によってはギリシャでクーデターを起こすとの噂も飛び交った。
仮にギリシャがNATOから離れれば、その次はトルコだという不安がある。

ドイツの態度を批判する声も出ている。
2015/7/9   メルケル首相への公開書簡

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各紙の報道によると、ギリシャ側の財政改革案は下記のとおり。

  EC側要求 ギリシャ譲歩案
予算目標 基礎的財政収支の黒字を
 
2015年はGDPの1%
    2016年は2%
    2017年は3%
    2018年は3.5%
受入
Sales tax

 現状 一般税率23%
        軽減税率13%,  6.5%
           (電気料金は13%)

  ギリシャ危機前の税率
            一般税率19%
       軽減税率 9%,  4.5%
GDPの1%分増税


ホテル、レストラン等の税率引き上げ

電気料金の23%への引き上げも

(本年10月実施)
ホテル 6.5%→13%
レストラン等 13%→23%


軽減税率13%:食料品、エネルギー、水(電気料金は据置き)
軽減税率 6.5%:医薬品、書籍、劇場

離島向け軽減税率廃止
(現在は通常税率から30%軽減)
遠隔地以外は廃止


先ず最も人気のある島(Mykonos、Santorini、Rhodes、Kos)から実施
他は2016年末までに実施

防衛費 4億ユーロ削減 2015年に1億ユーロ削減、
2016年に2億ユーロ削減
法人税率 ギリシャ政府の当初案は厳しすぎる。
企業へのしわ寄せは望ましくない。
 
当初案   26%→29%
      +大企業に一度だけの12%課税


修正 26%→28%

農家の優遇税制と燃料補助を廃止
造船業は従量税率引き上げ、優遇税制の順次撤廃
長さ5メートル以上のレジャー船に贅沢税を賦課
贅沢税率 10%→13%
年金 GDPの1%(約18億ユーロ)削減 2015年にGDPの0.25~0.5%の節減
2016年以降は1%節減
支給開始年齢引き上げ前倒し 早期支給を廃止する方向

2022年までに支給年齢67歳を基準に
(困難な仕事、障碍児を育てる母親は除く )
民間セクター改革   2019年までに賃金の下方修正、技能・業績・責任を重視
有給休暇や旅費補助などはEU基準にあわせ簡素化
公共セクターの従業員を必要な場所に移せるように調整
月末までに不正防止策
政党の資金の透明化
経済犯罪調査への政治介入を防止
徴税 徴税制度の改革
 
独立したtax revenue agencyの設置
徴税、脱税摘発、燃料密輸の体制整備
金融   破産法改正でローンを返済させる
不良債権処理のためにコンサルタント起用
外人投資家にギリシャの銀行に投資させる手段をとる。
市場   規制緩和で事業開始を容易にする。
天然ガス市場の改革
民営化 民営化推進 電線網、地方空港、港湾の民営化
Pireaus港、Thessaloniki 港の売却を含む

 

 

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ギリシャ人たちが危機に陥っているのは、彼らが怠け者で借金を踏み倒す連中だからだ、というのは正しいか?

Wall Street Journal のオピニオン欄 「ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと」は、全く正しくないとしている。
  
http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598

1. ギリシャ人は既に要請されている以上に緊縮している。

2. 本当の問題はトロイカの薬が効かなかったということだ。

3. 引用される「専門家」の発言は、皆バイアスがかかっている。

4. (返済を停止したり、ユーロから離脱したりすれば、経済的な災厄に直面するとの主張があるが)
  ギリシャは既に破局している。

5. 国というものは、財政緊縮でマネーを「創出」できない。

6. 本当は、ギリシャのドラクマ再導入は極めて容易だ。

7. 本当は、ユーロ無しでもギリシャはやっていける。

8. ギリシャだけがこの危機の原因だったのではない。非は「ユーロ」構想

9. パニックになるな。今回のギリシャ危機は他の世界にとって大きな問題にならないはずだ。

10. トロイカの提案する「治療薬」は無意味だ。


作家 三橋貴明のブログでも下記のように述べている。

ギリシャ人の労働時間は、OECD諸国の中では最長です。ドイツ人はもちろんのこと、日本人よりも多いのです。

そして、2014年のギリシャ政府はプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化していました。

さらに、パパンドレウ政権までのギリシャの公務員数が妙に多かったのは確かですが、今は激減し、主要先進国の中では「日本に次いで」少なくなっています。



 


東洋エンジニアリングは7月6日、PT. Synthetic Rubber Indonesia からインドネシア・ジャワ島西部チレゴンでの合成ゴムプラント建設プロジェクトを受注したと発表した。

PT. Synthetic Rubber Indonesia はMichelin とChandra Asri Petrochemical の子会社のStyrindo Mono Indonesia のJVで、Michelin の技術でSSBR(溶液重合スチレンブタジエンゴム)とPBR(ポリブタジエンラバー)年産12万トンを製造する。

Michelin とインドネシアのChandra Asri は2013年6月17日、インドネシアに合成ゴム製造JVを設立する契約に調印した。

Michelin が55%、Chandra Asriの100%子会社のPT Petrokimia Butadiene Indonesia (PBI)が45%出資するとしていた。
投資額は435百万ドルで、工場建設は2015年初めに開始、2017年初めのスタートアップを目指す。

Michelin は、新興国での自動車産業の高成長とグローバルな高機能タイヤ(安全で長持ちし、燃料効率がよい)への傾向で、より技術的な合成ゴムの需要が増えているとしており、溶液重合SBRなどではないかと思われる。

2013/6/26   Michelin とChandra Asri 、インドネシアに合成ゴム製造JV設立

今回、東洋エンジニアリングと、同社が2012年に47%出資し、筆頭株主となっているインドネシアの大手エンジニアリング PT. Inti Karya Persada Tehnik (IKPT)が、詳細設計、機器資材の調達および工事までを一括請負受注した。東洋エンジがインドネシア国外での調達業務を、IKPTが設計・調達・建設業務を担当する。

東洋エンジニアリングはChandra Asri向けに、2011年にブタジエンプラント、2013年にエチレンプラント能力増を受注している。

合成ゴム計画の概要は下記の通り。

 JV:PT. Synthetic Rubber Indonesia
   
Michelin 55%、PT Styrindo Mono Indonesia 45% (当初のPT Petrokimia Butadiene Indonesiaから変更)

 建設地:インドネシア ジャワ島西部の Cilegon
   製品:合成ゴムプラント:年産12万トン
     溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)とポリブタジエンラバー
 完成予定:2018年初め
 原料:スチレンモノマー: PT Styrindo Mono Indonesia
      ブタジエン:
PT Petrokimia Butadiene Indonesia

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Chandra Asri は当初、Barito group75%日本インドネシア石油化学投資(丸85%、昭和電工 10%TEC 5%)が25%出資して設立され、1995年に生産を開始したが、2005年に日本側は撤退した。

2006/4/26  インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-1

その後、株主が次々に代わった。

PT Chandra Asri2007年に豊田通商からスチレンモノマー製造・販売の PT.Styrindo Mono Indonesia を買収し、2011年11日付でPPメーカーの PT Tri Polyta Indonesiaを統合し、新社名PT. Chandra Asri Petrochemical Tbk.として上場した。

タイのSiam Cement Group は2011年9月、Chandra Asriの株式30%を取得、経営に参画した。
シンガポールのTemasekから23%、Baritoから残り7%を買収した。

Barito Pacific    59.35%    当初の株主
Temasek Holdings      シンガポールの政府系投資機関
Siam Cement Group   30.06%    
Marigold Resources   5.52%    
一般株主   5.07%    (上場)

Chandra Asri はジャワ島西部の Cilegon にナフサクラッカーを持ち、各社に製品を供給している。

Chandra Asri は増設計画(エチレン +400、LLDPE +200、BTX、ブタジエン、ブテン-1 新設)を持っていたが、ブタジエンを除き、棚上げにしている。

2011/6/8  Chandra Asri の増設計画








トマ・ピケティなどギリシャへのEUの財政緊縮政策に批判的な経済学者ら5人が、ドイツのメルケル首相にギリシャの債務減免を求める公開書簡を出した。
書簡はブリュッセルでギリシャへの金融支援を協議するユーロ圏首脳会議が開かれた7月7日、ドイツ国内のメディアに公開された。

書簡に署名したのは次の5名:

Thomas Piketty:Professor of Economics at the Paris School of Economics
Jeffrey Sachs:Professor and Director of the Earth Institute at Columbia University
Heiner Flassbeck:former State Secretary in the German Federal Ministry of Finance
Dani Rodrik:Ford Foundation Professor of International Political Economy, Harvard Kennedy School
Simon Wren-Lewis:Professor of Economic Policy, Blavatnik School of Government, University of Oxford Piketty
 

書簡は次の通り。

欧州がギリシャに課している緊縮策は機能しない。ギリシャはもう沢山だと声高に叫んだ。

世界の多くが予想した通り、欧州の要求はギリシャ経済を押しつぶし、大量失業、銀行制度の破綻につながり、債務危機を悪化させ、債務はGDPの175%にもなった。税収は激減、生産と雇用は抑えられ、企業は資金不足となり、経済は破綻している。

人道的影響も巨大である。子供の40%は貧困生活を送り、幼児の死亡率は急増、若者の失業率は50%近くになった。

不正や脱税や以前のギリシャ政府による粉飾会計が債務問題を生んだ。ギリシャ人はAngela Merkelの、賃下げ、政府支出のカット、年金引き下げ、民営化、規制緩和、増税などの緊縮策に応じてきた。

しかし、ギリシャなどに課せられた調整計画は欧州では1929-33年以来起こっていない大不況を生んだだけである。ドイツ財務省やEUの処方箋は病気を治さず、患者を出血させている。

我々は共に、更なる被害を避け、ギリシャがユーロゾーンに留まれるよう、Merkel首相とトロイカに方針変更を求める。
現在、ギリシャ政府は銃を頭に向け、引き金を引くことを求められている。銃弾は欧州におけるギリシャの将来を潰すだけではない。これに付随して、希望と民主主義と繁栄のビーコンとしてのユーロゾーンも殺すこととなる。

1950年代に欧州は過去の負債、特にドイツの負債を免除して基礎をつくった。これが戦後の経済成長と平和に大きく貢献した。
今日、我々はギリシャの負債を再編、縮減し、経済回復の余地を与え、ギリシャが軽減された負債を長期にわたって返済できるようにする必要がある。
今こそ、この数年の懲罰的で失敗した緊縮策を人道的に再考し、もっと必要なギリシャの改革との関連でギリシャ債務の大幅削減に応じる時だ。

Merkel首相への我々のメッセージは明白だ。ギリシャとドイツのため、更に世界のため、行動のリーダーシップをとることだ。今週の首相の行動を歴史は記憶するだろう。ギリシャに対し、大胆で思いやりある行動をとって欲しい。それが将来の欧州に寄与することとなる。

ーーー

Thomas Pikettyは 独週刊紙 Die Zeit とのインタビューで、ドイツは第1次世界大戦後の対外債務も、第2次世界大戦後の債務も返済しなかったと指摘、「他の国に説教できるような立場にはない」と述べた。

「ドイツは歴史を通じて対外債務を返済していない唯一の例だ。第一次大戦でも、第二次大戦でも。
そのくせ、他の国にはしばしば支払をさせている。1870年のFranco-Prussian Warではフランスに多額の支払を要求、実際に支払を受けている。フランスはこれで何十年も苦しんだ。公共負債の歴史は皮肉に満ちている。規律と正義という考えには合わない」

また、戦後のドイツ経済の奇跡的復活は少なくとも過去に債務免除を受けたことが一助になったとの見方を示し、ギリシャに対しても同様の措置が取られるべきだと主張した。

「1945年の終戦時にドイツの負債はGDPの200%を超えた。10年後、ほとんど残っていない。公共負債はGDPの20%に過ぎない。ーーー
1953年のLondon Debt Agreementでドイツの対外債務の60%は免除された。
未来のことを考えてのことだ。これを忘れてはならない

ドイツはギリシャに寛大だとは思いませんかとの質問に対し、

「何の話? 寛大? 現在ドイツは高い利率でギリシャに融資し、利益を得ているではないか」

ーーー

Thomas Pikettyがフランスの新聞に連載したコラムをまとめた『トマ・ピケティの新・資本論』では、ギリシャ問題も取り上げている。

2010年3月時点で、ギリシャ人が生産する以上に消費する怠け者であったために財政危機が生まれたという論調に対して批判しており、ギリシャを倫理的に非難し国民に耐乏生活を強いるよりは、ユーロ共同債を実現し、ギリシャもドイツも含む欧州の納税者が負担を分かち合うべきであると主張した。

2011年11月の時点で、フランスとドイツを初めとする欧州の主要国が、公的債務の共同管理を行うための協定を結び、財政上の決定を単一の政治主体に委ねることを提言している。
欧州の各国首脳が互いに自国の利害を主張し、小幅の譲歩や妥協を重ねるやり方は打ち止めにすべきと主張した。

林秀毅の欧州経済・金融リポート2.0  ピケティがみたユーロ危機 ―始まり・深刻化と処方箋―


付記

IMF のラガルド専務理事は7月8日、ワシントン市内で講演し、財政危機で金融支援を受けたポルトガルやアイルランドなどが改革に取り組んだことを踏まえ、ギリシャについても「財政健全化と重要な改革が必要だ」と強調する一方、EUに対しては「ギリシャのケースでは、財政持続のために債務の再編が必要だ」と述べ、借金の減免や返済期限の延期を促した。

IMFについては、「ルールを曲げるわけにはいかない」と述べ、返済されるまでは新たな金融支援を行わない考えを改めて示した。

 




 

SABICとSK総合化学(SK Global Chemical)は2014年5月26日、SKの最新ポリエチレン技術(Nexlene™ )を使って高機能ポリエチレン製品を製造するための50/50JVを設立する合弁契約に調印した。

2014/5/31 SABIC、韓国のSK総合化学と高機能ポリエチレンのJVを設立

Nexlene™ はSKが2010年に触媒からプロセス、製品設計まで全体を自社技術で開発した高機能ポリエチレンで、メタロセンLLDPE とポリオレフィン・プラストマー(octene-1 コポリマー)、ポリオレフィン・エラストマーを製造する。
既存のポリエチレンと比較し、インパクトに強く、透明性に優れ、加工性もよい。

SKは年産23万トン第一工場を蔚山に建設し、2014年に5月に生産を開始した。


両社はその後、詳細を詰めていたが、
今回7月5日に合弁契約書を締結した。

合弁会社の詳細は下記の通り。

   社名: Sabic SK Nexlene Company (SSNC)
   資金: 7100億ウォン (632百万米ドル)
   出資比率:SK Global Chemical 50%、SABIC 50%
   本社:シンガポール

JVは韓国に100%子会社Korea Nexlene Company (KNC) を設立し、SKの蔚山の上記の年産23万トンのプラントを買収して運営する。

SK Global Chemicalと親会社のSK Innovation(旧称SK Energy)は技術供与と工場の拠出で5400億ウォン(480百万ドル)を現金で受け取る。

2~3年先にサウジに第二工場を建設し、その後、生産基地を世界中に広げたいとしている。

SKは、「SKの技術とSABICの競争力ある原料とマーケティング能力で、手を携えて世界市場に進出する。Nexleneに続き、高価値の化学製品で事業を拡大する」としている。

SABICにとっては、2009年のSinopecとのJV SINOPEC SABIC Tianjin Petrochemical に続く第二のアジア拠点となる。

2009/7/13 中国、シノペック天津石化計画へのSABICの参加を承認


この提携は、SKグループのChey Tae-won会長が2011年3月のサウジ訪問の際に、SABICのAl-Mady副会長に提案し、その後、協議を続けてきた。
 



 

東レは、燃料電池および水電解装置の部材開発・製造・販売会社で、Umicore とSolvay の50/50JVのドイツの SolviCore の株式を取得し、7月1日付けで100%子会社化し、Greenerity と改称した。

新社名「Greenerity」は、「Greener(より環境に優しく)」+「-ity(状態を表す抽象名詞語尾)」として、より環境に優しい社会の創造を目指していくことを意図したもの。

SolviCoreは2006年7月にUmicoreとSolvayが折半出資して設立、燃料電池や水電解装置の部材となる触媒層付き膜「Catalyst Coated Membrane(CCM) 」、膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)」の開発・製造・販売を行っている。

燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を発生させる発電装置で、水しか排出しない次世代のエネルギー源として期待されている。

触媒層付き膜「Catalyst Coated Membrane(CCM)」 は、触媒層と電解質膜からなる燃料電池用電極膜。 
膜・電極接合体「Membrane Electrode Assembly(MEA)」は、触媒層と電解質膜とガス拡散層からなる燃料電池用膜電極接合体 。

東レは、中期経営課題 "プロジェクト AP-G 2016"で進める全社プロジェクトの一つとして「グリーンイノベーション事業拡大プロジェクト」を掲げ、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を通じて社会に貢献することで、東レグループの持続的成長を支えることを目指している。

今回の買収は、このプロジェクトの一環であり、今後もGreenerity社の事業推進を通じて、水素製造(水電解)、水素インフラ(圧縮・貯蔵)、水素利用(燃料電池)技術の発展に貢献し、持続可能な低炭素・循環型社会の実現を目指していく としている。

 

SolviCoreは2006年7月にUmicoreとSolvayが折半出資して設立した。

Solvay はポリマー膜の技術を、Umicore は貴金属をベースとする触媒の技術を持ち寄ることで、燃料電池という新技術分野で重要な役割を演ずることを目指した。
工場はUmicoreのR&DセンターのあるドイツのHanau にある。

Solvayのポリマー膜は、Solvayが2011年に友好的買収を行ったRhodia の技術。

Umicoreは1805年設立のベルギーの会社で、貴金属リサイクル、自動車用触媒、バッテリー材料などの研究・開発・生産、MEA の開発・製造のため、電気触媒とポリマー膜の組み立てを行う。

同社の燃料電池関係事業は元はDegussa-Huls (現在のEvonik)の事業で、1999年にSpecialty Chemical に集中することを決め、燃料電池事業を分割し、Degussa Metals Catalysts Cerdec を設立した。
2001年にOM Group が
Degussa Metals Catalysts Cerdec
を買収、2002年にUmicoreがOM Group を買収した。


Solvay とUmicore はいずれも、今後も燃料電池部門で活動を続ける。
Solvayは先進的新素材の分野で、Umicore は触媒分野で活動する。



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