「no」と一致するもの

 

国際石油開発帝石(INPEX)とフランスのTotal が50%ずつ権益を保有し、Total がオペレートしているインドネシアの東カリマンタン州のマハカム(Mahakam)沖鉱区は2017年末に鉱区の期限を迎える。

両社は2018年以降の契約期間の延長を目指し、インドネシア当局と協議を進めてきた。
2015年3月に来日したジョコウィドド大統領へ安倍首相から同鉱区の契約延長に関しての要請を行った。


しかし、インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は6月19日、
国営石油会社プルタミナ(Pertamina)に権益の70%を与えると発表した。
このうち、10%分は東カリマンタンの地方企業に配分することとなっている。

残りの30%は、ほとんど50年にわたり鉱区を運営してきたことに対する感謝として、INPEXとTotalに与えるとしている。

2018年1月以降はPertaminaがTotalに代わり、鉱区のオペレーターとなる。

ーーー

国際石油開発帝石(INPEX)は1966年10月にインドネシア政府と生産分与契約を締結し、マハカム沖鉱区の100%権益を取得した。

しかし、1969年に同鉱区で第一坑井を試掘したが出油せず、1970年7月に権益の50%をCFP社(現TOTAL)に譲渡した。
その後、ブカパイ油田、ハンディル油田、タンボラ油ガス田、トゥヌガス田、ペチコガス田、シシ・ヌビガス田などが順次発見され、以降、生産を続けている。

両社は2007年3月、マハカム沖鉱区に隣接する南東マハカム鉱区の権益を取得した。
2012年10月末に生産開始した。

生産された原油とコンデンセートは、積み出し基地であるサンタンターミナル、およびスニパターミナルから日本の石油精製会社、電力会社などへ出荷し、天然ガスは主にボンタンLNGプラントでLNGにして日本をはじめとする需要家向けに出荷している。

なお、アタカユニットは、1970年4 月にINPEXとUnocal(現Chevron)が50%ずつの権益比率で双方の隣接鉱区の一部を統合して設定され、1972年から原油・天然ガスの生産を続けている。

現在の生産量は、
 原油・コンデンセート:日量 約7.1万バレル
 LPG:日量 約6千バレル
 天然ガス:日量 約14.9億立方フィート
となっている。

ーーー

インドネシアのKompas紙によると、Pertaminaの労働組合幹部はマハカム鉱区に関し、エネルギー開発の独立性を維持するため外資の参画を認めず、100%をプルタミナが握るべきだとジョコ大統領に伝えた。

鉱区のような大型の石油・ガス田を運営には、巨額のの資金と高度な技術が必要で、大きなリスクも伴うが、「今こそ政府はプルタミナの能力を信用すべきだ」と訴えている。

東カリマンタンの鉱業保護の活動家は「ジャワ島東部 BojonegoroのCepu鉱区の例をあげ、民間の参画を警戒すべきだとしている。

しかし、インドネシアの一小企業の行動と、
ほとんど50年にわたり鉱区を運営してきた両社を一緒にするのはおかしく、Pertaminaが運営を担当することからも、この決定は変わらないと思われる。

Cepu鉱区のバンユー・ウリップ油田は2014年に生産開始した。

同鉱区の権益所有は下記の通りとなっている。

エクソンモービル(オペレーター) 45%
プルタミナ   45%
地方企業 10%
 Surya Energy Raya               3.375%
 Asri Dharma Sejahtera            1.125%
    Sarana Patra Hulu Cepu                1.100%
    Blora Patragas Hulu                       2.200%
    Petrogas Jatim Utama Cendana    2.200%

このうち、Surya Energy Rayaが自社の負債の解消のため、アフリカその他での石油開発に注力している中国人の徐京華 (Sam Pa) の企業 China Sonangol International (安中國際石油) から2億ドルを借り、見返りに権益を同社に貸与したとされる。

  * Sonangol はアンゴラの国営石油会社の社名。Sam Pa はアンゴラにも進出している。


ーーー

国際石油開発帝石のインドネシアでの活動は下記の通り。

各プロジェクトの詳細は下記参照

http://www.inpex.co.jp/business/indonesia.html

 



三井化学と韓国 SKC のポリウレタン材料事業における合弁会社である三井化学SKCポリウレタン(略号 MCNS) が 7月1日に営業を開始した。

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三井化学は2014年12月22日、韓国SKCと両社のポリウレタン材料事業を統合する合弁契約を締結したと発表した。

ポリウレタン材料の総合メーカーとして、極東アジアから中国、ASEAN、欧州、米州まで、両社のネットワークを利用してグローバルに顧客に価値を提供する。

三井化学は2015年3月23日、ポリウレタン材料事業の統合について、合弁会社の骨子を発表した。

 (1)韓国法人 Mitsui Chemicals & SKC Polyurethanes Inc.  三井化学 50%、SKC 50%
 (2)日本法人 
三井化学SKCポリウレタン            韓国法人の100%子会社 

2014/12/23     三井化学、韓国SKCとポリウレタン事業統合


狙いは下記の通り。

 1) TDI、MDI、ポリオール、システム製品全てを保有するアジア最大の総合ポリウレタン材料メーカー創設

 2)    両社の優位性を更に強化し、自動車・家電分野でのグローバル展開を強化

   3)   原料POからの一貫体制構築による競争力の強化

   

SKCは蔚山にPO/SM併産設備(180/400千トン)とEvonik/Uhde法の100千トンのHPPO processの2系列のPOプラントを持つ。



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MCNSの体制は下記の通り。

三井化学の大牟田工場、鹿島工場は新会社には移さず、三井化学が新会社からTDI、MDIの製造を受託する。

 


 

TDI 三井 大牟田 120              製造受託
鹿島 (117) 2016年停止   製造受託
 
MDI 三井 韓国・麗水 200 錦湖三井化学 (KMCI)
(錦湖化学50%)
大牟田 (60) 2016年停止   製造受託
 
ポリオール 三井 名古屋 50  
徳山 40  
インド 8 Vithal Castor Polyols (VCP)
SKC 蔚山 180
 
システム製品

 (
ポリオール、その他原料、および添加剤の混合物)

三井

天津天寰ポリウレタン(TCPC)

佛山 佛山三井化学ポリウレタン
佛山三井化学SKCポリウレタン (MCNS-F)
タイ Thai Mitsui Specialty Chemicals   (TMSC)
マレーシア Cosmo Scientex (M) SDN. BHD.
MCNSポリウレタンマレーシア(MCNS-M)
インドネシア P.T. Cosmo Polyurethane Indonesia
MCNSポリウレタンインドネシア (MCNS-I)
SKC 中国 北京 SKC (Beijing) Polyurethane
北京三井化学SKCポリウレタン (MCNS-B)
米国 SKC Inc.
MCNSポリウレタンUSA   (MCNS-U)
ポーランド SKC Europe PU
MCNSポリウレタンヨーロッパ   (MCNS-E)

 





 

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は6月29日、北京の人民大会堂で設立協定の調印式を行った。

フィリッピン、デンマーク、クウェート、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、タイの7カ国は調印していない。

2015/6/30   アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立協定調印式


AIIBのArticles of Agreement などによると、AIIBの概要は下記の通り。
    

1.資本金

資本金は1000億ドル。うち、当面の払込資本金 (paid-in shares) は200億ドルで、残り 800億ドルは Callable shares。

資本金1000億ドルのうち、域内を750億ドル、域外を250億ドルとする。

1000億ドルのうち、981億5140万ドルを設立加盟国に割り当て、残り18億4860万ドルは今後の加盟国のために空けておく。

出資比率は各国のGDPと購買力平価を基に決定した。

中国の場合、297億8040万ドルの割り当てで、出資比率は30.34%となる。


2.議決権

85%は出資比率で、15%は一律とする。
中国の場合、(30.34% x 0.85) + (0.15 / 57) で議決権は26.06%となる。

重要事項の決定には75%以上の議決権が必要としており、中国は1カ国で議題を否決できる事実上の「拒否権」も持つ。

IMFも重要事項の議決には投票権で85%以上の賛成が必要で、唯一15%超の比率を持つ米国が事実上の拒否権 を行使しており、
2010年に合意した「新興国の出資比率を引き上げ、理事会への登用を増やすIMF改革」が棚上げとなっている。)


3.国別の資本金、出資比率、議決権は下記の通り。

  調印していない7カ国(青色枠)についても、本年末までに調印すればよいため、含まれている。

   

出資(億ドル)

出資比率
(%)
議決権
(%)
域内 域外
1 中国 297.804   30.34 26.06
2 インド 83.673   8.52 7.50
3 ロシア 65.362   6.66 5.93
4 ドイツ   44.842 4.57 4.15
5 韓国 37.388   3.81 3.50
6 オーストラリア 36.912   3.76 3.46
7 フランス   33.756 3.44 3.19
8 インドネシア 33.607   3.42 3.17
9 ブラジル   31.810 3.24 3.02
10 英国   30.547 3.11 2.91
11 トルコ 26.099   2.66 2.52
12 イタリー   25.718 2.62 2.49
13 サウジアラビア 25.446   2.59 2.47
14 スペイン   17.615 1.79 1.79
15 イラン 15.808   1.61 1.63
16 タイ 14.275   1.45 1.50
17 UAE 11.857   1.21 1.29
18 パキスタン 10.341   1.05 1.16
19 オランダ   10.313 1.05 1.16
20 フィリッピン 9.791   1.00 1.11
21 ポーランド   8.318 0.85 0.98
22 イスラエル 7.499   0.76 0.91
23 カザフスタン 7.293   0.74 0.89
24 スイス   7.064 0.72 0.87
25 ベトナム 6.633   0.68 0.84
26 バングラデシュ 6.605   0.67 0.83
27 エジプト   6.505 0.66 0.83
28 スウェーデン   6.300 0.64 0.81
29 カタール 6.044   0.62 0.79
30 南アフリカ   5.905 0.60 0.77
31 ノルウェー   5.506 0.56 0.74
32 クウェート 5.360   0.55 0.73
33 オーストリア   5.008 0.51 0.70
34 ニュージーランド 4.615   0.47 0.66
35 デンマーク   3.695 0.38 0.58
36 フィンランド   3.103 0.32 0.53
37 スリランカ 2.690   0.27 0.50
38 ミャンマー 2.645   0.27 0.49
39 オマーン 2.592   0.26 0.49
40 アゼルバイジャン 2.541   0.26 0.48
41 シンガポール 2.500   0.25 0.48
42 ウズベキスタン 2.198   0.22 0.45
43 ヨルダン 1.192   0.12 0.37
44 マレーシア 1.095   0.11 0.36
45 ネパール 0.809   0.08 0.33
46 ルクセンブルグ   0.697 0.07 0.32
47 ポルトガル   0.650 0.07 0.32
48 カンボジャ 0.623   0.06 0.32
49 ジョージア 0.539   0.05 0.31
50 ブルネイ 0.524   0.05 0.31
51 ラオス 0.430   0.04 0.30
52 モンゴリア 0.411   0.04 0.30
53 タジキスタン 0.309   0.03 0.29
54 キルギス 0.268   0.03 0.29
55 アイスランド   0.176 0.02 0.28
56 マルタ   0.136 0.01 0.27
57 モルディバ 0.072   0.01 0.27
小計 733.850 247.664 100.00 100.00

981.514

未割当 16.150 2.336  

18.486

合計 750.000 250.000

1,000.000


4.組織

本部は北京に置く。

理事会 域内9人、域外3人の計12人で構成する。理事は北京に常駐しない。

任期5年の総裁は初代ポストを中国が握り、金立群・元財政次官が就く見通し。

 




EU やIMFによるギリシャへの支援が6月30日に失効した。凍結されたままとなっていた 72億ユーロの融資枠が消滅した。

ギリシャは支援が切れる直前に、「欧州安定メカニズム(ES
M)」に対して2年間の資金繰り支援や債務再編、つなぎ資金を確保する現行支援の延長を求めた。(今回はIMFへの要請はせず)
新提案が受け入れられれば、国民投票を中止する用意があるとの考えを示した。
但し、財政緊縮策の受入では譲歩姿勢を示してい
ない。

ギリシャ政府はまた、欧州中央銀行(ECB)に対し、緊急流動性支援(ELA)枠の拡大を検討するよう要請した。

欧州中央銀行(ECB)は6月28日、緊急理事会を開催し、緊急流動性支援(ELA)での資金供給を増額しないことを決めた。
緊急支援枠は6月23日の引き上げで890億ユーロ前後とされる。

ギリシャの銀行が担保として差し入れているギリシャ国債は2月11日をもって適格担保要件を失ったため、ギリシャの銀行にとってはELAでの資金供給が唯一の道である。

2015/2/9 ギリシャ問題 

この増額が拒否された結果、銀行の資金繰りがつかないため、チプラス首相は6月29日から銀行を休業させ、資本規制を導入した。
銀行は6月29日から7月6日まで6営業日を休業する。6月29日はATMを含め、金融サービスが全面的に止まり、6月30日以
降は1日の預金引き出し額が60ユーロに制限された。 

付記 高齢者の多くがキャッシュカードを持たないため、銀行は7月1日から120ユーロまでの年金引き出しに限り
     窓口業務を再開した。

   ECBは7月1日の理事会で上限を890億ユーロで据置くことを決めた。毎週見直す。

IMFは、ギリシャが6月30日の期限までに15.5億ユーロの債務を返済しなかったことを確認し、ギリシャを先進国として初めての「延滞国」に認定した。

過去の延滞は、ソマリア、スーダン、ジンバブエのみ。

ギリシャは、6月5日のIMFへの債務返済を月末に先送りした。
6月中に期限を迎える4回分の返済計1
5.5億ユーロは、6月30日にまとめて支払うこととしていた。

6/5 3.0

億ユーロ

6/12 3.4  
6/16  5.7  
6/19  3.4  
15.5  

ギリシャ財務相は6月30日、IMFへの債務を返済しないと述べた。
政府は6月30日支払予定の年金
についても一部で遅れが生じると発表したが、こちらはなんとか支払が出来た。

IMFの報道官はギリシャが同日、返済期限の延期を要請したことを明らかにし、IMFは理事会で検討すると述べた。
一方、追加融資については、債務を返済しなければ受けられないと述べた。

ユーログループは7月1日に電話会議を開き、ギリシャ問題について討議する。

付記 ユーロ圏財務相会合で、7月5日の国民投票の結果が出るまでギリシャ側と交渉はできないとの見解で一致した。

ーーー

ギリシャの債務の8割は公的部門向けとなっており、民間保有の国債は390億ユーロ(12%)に止まる。
このためギリシャがデフォルトになっても、影響は大きくないと見られている。

  EU(欧州金融安定基金:EFSF) 1310億ユーロ(42%)
欧州中央銀行(ECB)  国債 270億ユーロ(9%)
IMF 7%

 

2015/7/1 日本経済新聞  2015年3月末時点

 

ギリシャは6月30日にIMFへの返済ができなかった。7月13日にはIMFへの4億5千万ユーロの返済を控える。
S&Pは公的機関であるIMFへの返済が滞ってもデフォルトにはあたらないとの見方を示している。

しかし、7月14日 にはギリシャ政府が抱える債務返済案件のうち、1995年に発行した20年物のサムライ債の約117億円(約8300万ユーロ)償還がある。
また7月17日は、2014年7月発行の3年もの国債の利払い(7100万ユーロ)がある。

これらの支払が滞った場合、格付会社はギリシャ国債をデフォルトと判断するとみられる。

更に、7月20日 にはECBへの 35億ユーロ、8月20日には同じくECBへの32億ユーロの返済を控えている。

S&Pは6月29日、状況が好転しなければ6ヶ月以内のデフォルトは避けられないとし、ギリシャ国債の格付けをCCCからCCC-に一段階下げた。
ギリシャがユーロ圏から離脱する可能性は50%程度あるとしている。

ギリシャ国債の格付け推移

S&P Moody's
B (ギリシャ ↓  2015/2/6) B2
B- (ギリシャ ↓  2015/4/15) B3
CCC+ (ギリシャ ↓  2015/6/10) Caa1 (ギリシャ ↓  2015/4/29) 
CCC (ギリシャ ↓  2015/6/29) Caa2 ギリシャ
CCC- ギリシャ Caa3
付記 Mpody'sは7月1日、ギリシャをCaa3 に引き下げた。


ーーー

米自治領プエルトリコは6月29日、「720億ドルに上る負債を返済できない」として、事実上のデフォルト宣言をした。

2008年のリーマン・ショック前後から、石油高などで苦しみ、経済立て直しが進まない中で歳入の見通しが甘く、想定以上に財政赤字が増えたという。

今後は債権者との協議で数年間の支払い猶予を求める方針。

ギリシャに加え、プエルトリコの債務問題も新たな懸念材料となる。





2012年4月に2本目の敷設工事が完了、現在の能力は年間550億m3
となっている。


 ロシアのGazpromは、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで供給するNord Stream Pipelineの倍増計画に着手した。

Gazpromは6月18日、同計画での協力についての覚書を、Royal Dutch Shell、ドイツのE.ON、オーストリアのOMV との間で締結した。
GazpromではBASFとBASF子会社
Wintershall とも協議をしており、9月までに参加することを期待していると述べた。

付記 BASFは2015年7月31日、Wintershall の参加を発表した。

付記 2015/9/4 Shareholders' Agreementが調印された。新会社 New European Pipeline AGを設立する。

既存のNord Stream Pipelineは、Gazprom 51%、E.ON 15.5%、Wintershall 15.5%、Nederlandse Gasunie 9%、 GDF SUEZ 9% の出資となっている。
Gazprom は今回も51%を出資する予定。

付記 2015/9/4 出資比率決定

  Nord Stream -1 Nord Stream -2
Gazprom 51.0% 51.0%
E.ON 15.5% 10.0%
Wintershall 15.5%  10.0%
Nederlandse Gasunie 9.0%
GDF SUEZ 9.0%
Shell 10.0%
OMV 10.0%
ENGIE 
 仏
電気・ガス事業者
  9.0%

既存のNord Stream Pipelineは2011年11月に供給を開始した。

Nord Stream がドイツのLubminで地上に出たところからドイツとチェコの国境のOlbernhau までの全長470kmのOPAL natural gas pipelineと接続している。

 

2011/8/27 Nord Stream Pipeline、欧州ネットワークに接続 


今回は新しく2本のパイプラインを建設する。能力は
年間550億m3で、倍増となる。

ーーー

ロシアの天然ガスの欧州での販売については、EUが問題視し、クレームをつけている。

EUの欧州委員会は2015年4月22日、ロシアの天然ガス会社 Gazprom にEU競争法違反の疑いがあるとし、異議告知書を送付した。

欧州委員会はロシア産ガスに大きく依存する中東欧諸国のガス市場で、独占的な地位を乱用して競争を妨げたとの暫定的な判断を示した。
ブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、スロバキアの計8カ国のガス市場で独禁法に違反したとみている。

2015/4/27 EU、ロシアのGazpromにEU競争法違反の警告    

ロシアは2014年12月1日、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream の敷設計画を撤回した。
実際には、パイプラインの海底部分建設のための140億ユーロの調達がEUの制裁で困難になっていることがあるが、EUによる反対が口実となった。

EUは2013年12月4日、各国が締結したSouth Stream pipeline 建設契約はEUの法に違反しており、ゼロから再交渉する必要があるとした。

2007年9月に採択された第三次電力・ガス自由化パッケージではエネルギーの生産と輸送ネットワークの所有を分離することとしており、South Stream pipeline 建設契約がこれに反しているとした。

EU規則は2007年9月のものだが、2013年12月までは EUはSouth Stream 計画について何も問題視していない。

2014/12/4   ロシア、South Stream 計画を取り止め


ウクライナ問題で対ロ制裁が続く中、EUの対応が注目される。




伊藤忠商事は多額の減損損失を計上した米シェールオイル・ガス事業からの撤退を決めた。

北米での天然ガス価格の今後の回復見通しなどを総合的に判断し、25%出資する合弁会社Samson Resourcesの保有株式を1ドルで売却した。
Samson Resourcesは6月19日に米証券取引委員会に提出した資料で、伊藤忠保有のサムソン株すべてを1ドルで買い戻したと報告した。

既に損失を計上(後記)しているため売却に伴う損益への影響はなく、逆に、税効果の影響で2016年3月期の連結純利益を約330億円押し上げる要因になるという。

伊藤忠では「北米ガス価格の回復見込み、サムソン社の経営環境や今後の開発再開見通し等を総合的に勘案した結果、撤退を決定した」としており、今後のシェールガス・オイル事業への投資については「油ガス価格低下リスクや開発リスクなどの精査を尽くし、厳選して対応していく方針」という。

ーーー

伊藤忠は2011年11月24日、Kohlberg Kravis Roberts(KKR)などとともに、私企業としては米国最大の石油開発・生産会社の一つであるSamson Investment Co.を72億ドル(負債込み?)で買収すると発表した。
KKRが60%、伊藤忠が25%、NGP Energy Capital ManagementCrestview Partnersが残り15%を出資する。
伊藤忠はSamsonの25%株式を10.4億米ドルで買収するとしている。

買収完了後はSamson Resourcesに改称する。

Samsonは1971年設立で、米国で1万以上の油田の権益を所有し、そのうち、4000以上を運営している。

近年は非在来型資源権益を競争力のある価格で取得し、石油と天然ガスのバランスのとれた資産を保有しており、今後はこれらの開発を促進して2021年には日産16億立方フィート(天然ガス換算)への生産拡大を計画している。

主なものは以下のガスシェールと油田。

シェール:Bakken、Powder River(ワイオミング州北東、モンタナ州南東)、Green River、
      Cana Woodford、Haynesville/Bossier
油田:Granite Wash(北テキサス)、Cotton Valley(東テキサス)

伊藤忠は長期保有を目的とした戦略的投資としており、同時に Samsonが生産する天然ガスの出資比率に応じた引き取り権(LNG換算年間100万トン:ピーク時)を確保し、米国に持つガストレード会社の販売拡大に加え、米国シェールガスの国際競争力に注目し、将来のアジア向けLNG輸出ビジネスも視野に入れた取り組みを行うとしている。

伊藤忠は、持分権益数量を現在の3万4千バレル/日から2015年迄に7万バレル/日以上に積上げる計画で、今回の買収を通じてこの目標達成を図る。

同時に、非在来型資源開発事業への参画を強化し、オペレーター機能も備えた本案件を北米における天然ガス事業の中核と位置付け、天然ガス・LNGトレード機能の拡充を目指す。

2011/11/28 KKRと伊藤忠など、米Samsonを72億ドルで買収へ 

ーーー

伊藤忠はSamsonのシェール事業で2013年3月期に300億円弱の減損損失を計上、2014年3月期にも290億円を計上した。
Samsonでは開発資金の効果的使用のため、安定生産が見込まれる既開発地域に集中、選択と集中の観点から未開発地域の再評価を行っている。

更に、2015年3月期に本件で約380億円の損失を計上した。累計では1000億円に達する。
この結果、Samsonに対する持分法投資の残存簿価は約40億円となった。

今回、持株を1ドルで売却し、撤退する。

ーーー

これとは別に伊藤忠は2010年10月15日、米国のエネルギー・電力・建設関連複合企業 MDU Resources Group Inc.の子会社で石油天然ガス開発会社のFidelity Exploration & Production Company との間で、米国ワイオミング州Niobraraエリア約88,000エーカーの石油ガス鉱区権益の25%を取得し、シェールオイル開発事業に参画する契約を締結したと発表した。

2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

これについては、その後発表がないが、報道では、前期までに売却済みとされる。

今回のSamson株の売却で伊藤忠は米国シェール事業から完全撤退することになる。

MDU Resources Group 自身も2014年11月にFidelity Exploration & Productionを売却すると発表した。魅力的な投資対象ではあるが、開発に必要な資金が大きすぎるとしている。

この時は売却が成功しなかったが、本年6月7日には再度売りに出した。

ーーー

住友商事もタイトオイル(シェールオイル)で2015年3月期に1992億円の損失を計上した。

住友商事は2012年8月、米国の独立系石油ガス開発会社であるDevon Energyがテキサス州Permian Basinで進めているタイトオイル開発プロジェクトに参画する契約を締結した。 

北部地域(約172千エーカー)については、投下資金を回収するほどの生産量が見込めないと判断、Devonと共同で売却する。
売却先、売却額等 詳細は未定だが、資産価値を見直し、固定資産評価損 約1700億円を計上する。

南部地域(約47千エーカー)は現時点では保有継続の予定だが、約300億円の評価損を計上した。


2014/10/1  住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上 




 
米上院は6月24日、TPPの合意のカギを握る「貿易促進権限(TPA)」法案を賛成60、反対38で可決した。
前日 審議打切りを決めており、議事妨害は出来ないため、採決は単純多数決となる。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 47 13   60
反対 5 31 2 38
棄権 2     2
合計 54 44 2 100

すでに下院を通過しており、週内にも大統領が署名し、成立する見通し。

失業者対策を盛り込んだ貿易調整援助制度(TAA) 法案
の下院での可決を待つ可能性もある。


付記

上院はこの日、TPA法案可決後にTAA法案も可決した。

先ず審議打切りの動議が可決された。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 30 44 2 76
反対 22 0 0 22
棄権 2 0 0 2
合計 54 44 2 100


その後、記名投票ではなく、発声投票(Voice vote)で可決した。

米国では、上下両院とも、表決の方法には、① 発声投票、② 起立投票、③ 記録投票 がある。

発声投票では賛成者に賛成(Aye)、次いで反対者に反対(No)と応えるよう求め、議長が判断する。
可決しても、異議があれば記録投票を要求できることとなっている。

TAA法案は下院に送られることになった。

下院では、多くの民主党議員がこれまでTAAに反対していたが、今回、共和党首脳は民主党が主張していたAfrica Growth and Opportunity Actの延長などを折り込んだため、多くが賛成に回るとみられている。

 

付記

下院は6月25日、TAA法案を可決した。すでに両院で可決されたTPA法案とともに、オバマ大統領が近く署名し、成立する見通し。

  共和党 民主党 合計
賛成 111 175 286
反対 132 6 138
棄権 2 7 9
欠席 1   1
合計 246 188 434


付記

オバマ大統領は6月29日、TPA法案に署名、成立した。


ーーー

上院は5月22日にTPA法案を可決したが、これには、TPPなど自由貿易拡大による失業者対策条項(TAA)を含んでいた。

2015/5/25   米上院、貿易権限法案を可決 

しかし、下院ではTPP法案は可決したが、TPA法案を否決したため、新たに6月18日にTPA法案を単独で再採決し、可決した。

2015/6/19 米下院、TPA単独法案を可決   

しかし、上院が5月22日に可決した法案とは異なるため、改めて上院で採決する必要がある。

上院は6月23日、TPP交渉の合意に必要なTPA法案の審議を打ち切り、法案採決に移るための動議を可決した。

採決の結果は下記の通りで、前回5月22日にTPA法案を可決した際に賛成した民主党議員の1名が反対に回ったが、審議打ち切りに必要な60票をギリギリで確保した。
 

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 47 13   60
反対 5 30 2 37
棄権 2 1   3
合計 54 44 2 100


5月22日の議決は下記の通りであった。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 48 14   62
反対 5 30 2 37
棄権 1     1
合計 54 44 2 100

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TPA法案の可決見通しを受け、甘利明TPP担当相は6月24日、今後の交渉について「7月中に参加12カ国の閣僚会合で合意される必要がある。それは可能だと思う。8月以降にずれ込むとは想定していない」との見方を示した。

 

 

 


ExxonMobilは6月21日、ルイジアナ州のChalmette Refining LLCの50%持分をPBF Energy Inc. に322百万ドル売却すると発表した。
JV相手のベネズエラの国営石油会社Petróleos de Venezuela (PDVSA)も残り50%を売却する。

2015年末に取引が完了する予定。

取引対象には、Chalmette製油所と、MOEM Pipeline LLC(PlaqueminesからChalmette Refiningまで原油を送る54 miles のパイプライン)、及び Collins Pipeline CompanyとT&M Terminal Companyの80%持分を含む。

ExxonMobilでは、売却は戦略的評価の結果であるとしている。

JVの売却により、PDVSAとの米国内の関係は消滅する。

PBF Energyは独立系石油会社大手で、Toledo, OH、Delaware City, DE、Paulsboro, NJの3箇所に合計能力日量54万バレルの製油所を持つ。

ーーー

PDVSAは2014年に米国子会社Citgoが操業する製油所等の一部もしくは全部の売却を含めベネズエラ国外の資産を再編する計画を立てた。
国外資産売却により得た資金を国内の既存設備の拡張、改良や新規施設建設に充てるとした。

PDVSAの米国内の設備は下記の通り。


      能力
日量
   千bpd
ガソリン
日量
  万ガロン
CITGO PDVSA 100% Corpus Christi, TX 157 420
Lake Charles, LA 425 880
Lemont, IL 167 400
Chalmette Refining LLC PDVSA 50%
ExxonMobil 50%
Chalmette, LA 184  
Hovensa L.L.C. PDVSA 50%
Hess Corp 50%
St. Croix, Virgin Islands 495  


CITGO Petroleum

同社は元々、1910年に設立されたCities Service Companyである。1965年に商標をCITGOとした。
1982年にOccidental Petroleum が買収したが、1983年に当時7-ElevenのオーナーであったThe Southland Corporationがコンビニチェーンへのガソリンの安定供給のために買収した。

1986年9月にPDVSAが50%を買収、1990年1月に残りも買収し、100%子会社とした。

1993年に
Lyondellとの合弁会社Lyondell-Citgo(Lyondell 58.75%)を設立した。
Houstonに268千bpdの製油所を持っていたが、両社の関係が悪化し、2006年8月にLyondellがCitgoの持株41.25%全てを買取った。

Chalmette Refining LLC

1915年に設立された。
PVDSAは1997年10月に持分50%を買収した。JVの製品の50%を引き取り、CITGOに販売している。

Hovensa LLC (バージン諸島のセントクロイ製油所)

1966年にHess により建設され、その後能力を増強、1998年にPDVSAとのJVとなり、現社名に改称した。

2012年1月18日、製油所を2月半ばに閉鎖し、石油貯蔵ターミナルに転用すると発表した。

  2012/2/1 バージン諸島のセントクロイ製油所閉鎖へ  

今回、Chalmetteの売却を決めたが、CITGOについては売却を試みたものの、入札価格が提示価格を大幅に下回ったことを受け、2014年10月に売却停止を発表した。
原油価格の下落により、外貨不足が深刻化しているため、売却を実行する可能性は高い。

ーーー

ExxonMobil とPDVSAはベネズエラの石油国営化をめぐり、2007年から争っている。

2007年にベネズエラは石油の国有化を決め、各石油会社は国営石油会社 PDVSAと条件交渉を行なった。
Chevron、Total、BP、StatoilHydroはPDVSAの条件を呑み、Minority partner として操業を続けることとした。

しかし、Exxon Mobil はこれを拒否した。同社は油田国有化で損害を被ったとして補償を求めて訴訟を行い、米国と英国の裁判所は2008年に同国が支払いに応じなかった場合に備え、PDVSAが海外に保有する資産を差し押さえる命令を下した。(米ニューヨーク連邦地裁は3億ドルの現金、英裁判所は120億ドルまでの資産の差し押さえを命じた。)

CITGOは社債等が大きく、社債権者が優先権を持つことから除外された。
その後、英裁判所はPDVSAの資産の凍結命令を撤回した。

ExxonMobilは世界銀行付属の国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴した。これに対し、ベネズエラ側はパリに本部を置く国際商業会議所(ICC)に問題を提起した。

2011年12月の国際商業会議所の裁定は、PDVSAがExxonMobil にネットで746.9百万ドルを支払うというもので、接収資産の簿価にほぼ等しい。

裁定額は907.6百万ドルだが、PDVSAのExxonMobilへの債権(ロイヤリティや税金)161百万ドルを控除した。

907.6百万ドルは1997年に両社で結ばれた契約に基づくもので、1997年の原油価格(27ドル/bbl)を基に、2035年までの失われた収益を高い割引率で現在価値に換算したものであり、資産の評価額ではない。

PDVSAはこの裁定を受け入れ、この額からNew York で凍結されている300百万ドルとExxonのベネズエラ子会社の債務191百万ドルを除外し、残りの255百万ドルを支払うとしている。

ExxonMobilはこの裁定に同意せず、ICSIDの判断を待つとした。

2014年10月、ICSIDはベネズエラがExxonMobilに16億ドルを支払うという裁定を行った。

ExxonMobil は145億ドルを要求、ベネズエラは353百万ドルの支払を主張していた。

ICSIDは判決の中で、「ベネズエラ政府は国際投資条約に基づき、補償金を支払う必要がある」と述べているが、接収手続きの違法性については言及しなかった。

ベネズエラ政府は、当該判決に対して、最終的な支払額は10億ドル未満にとどまるとの認識を示唆した。
同じ問題で2012年に国際商工会議所(ICC)の国際仲裁裁判所から命じられてExxon Mobilに支払った補償金7.47億ドルを、今回の16億ドルから差し引くと主張した。

「Exxon Mobilへ補償金を支払う準備はできている」とコメントした上で、「ベネズエラ政府は当該判決を履行し、国家経済への脅威となった当該訴訟を終わらせる」と明言した。
ベネズエラ政府は、当該判決による補償額が事前予想額を大幅に下回ったことを受け、ベネズエラ側の勝利として捉えている。

その一方で10月末に判決の見直しを求める手続きを申請した。対外債務の返済が重なったこともあり、支払時期を延期させることを決断したとみられる。
最終判決が下されるまでに長ければ2~3年かかる可能性もあるとされる。また、債券や原油資産の提供といった現金ではない支払手段を模索する可能性もある。

 

 

本件ではConocoPhilipsもICSIDでベネズエラ政府と争っている。

ICSIDは2013年9月、ベネズエラが「誠意を持って」補償条件を交渉することを怠ったと判断した。補償額についてはまだ決定されていない。

 

 

 

 

 
Jacobs Engineering Groupは6月16日、サウジの"InoChem"がYanbu Industrial City に建設するソーダ灰と塩化カルシウム工場のPMC( Project Management Consultancy)サービスの契約を締結したと発表した。Jacobs は本計画の構想段階から参加している。

"InoChem"の正式名はKhair Inorganic Chemical Industries Co. で、IDEA International for Investment and Development Company、MEDA Chemical Group や、実業者グループや投資会社などが出資している。
("InoChem" の設立準備段階の法人名は IDEA Soda Ash & Calcium Chloride Co. :ISACC )

能力はソーダ灰が年産30万トン、塩化カルシウムが 同30万トンで、2018年初めの生産開始を目指す。
工場は先進的は設備とリサイクル設備を備え、最高レベルの環境保護とコスト低減を目指す。

ソーダ灰の生産は湾岸地区では初めてで、ソーダ灰と塩カルの能力各30万トンはMENA地区(中東及び北アフリカ)では最大となる。 

サウジのソーダ灰の需要(ガラス、洗剤、無機化学品等)は2013年が394千トンだが、2018年には627千トンと予想されている。同様に石油・ガス田で使われる塩カル需要は2013年が165千トンで、2018年には187千トンと予想される。
現在はいずれも海外から輸入されている。


2NaCl (工業塩)+ CaCO3 (石灰石)→ Na2CO3  (ソーダ灰)+ CaCl2 (塩化カルシウム)

BPとロシア国営 Rosneft は6月19日、両社の長期的な戦略提携を強化する数件の契約に調印した。

BPはRosneft から東シベリアの最大の油田の一つで、現在日量2万バレルを生産するSrednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発権を有するTaas-Yuryakh Neftegazodobycha (Taas)の20%をRosneftから取得し、新しいJVを設立する。

JVはSrednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発を進めるとともに、同地域の埋蔵量の更なる探査・開発のための適切なインフラを開発し、115千平方kmに及ぶ地域を共同探査する。

Srednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発については、Rosneft はBP以外にも中国その他の企業との協力を検討している。

Rosneft はBPと調印した同日(6月19日)に、英国のSkyland Petroleum との間で、Taas-Yuryakh Neftegazodobychaの株式29%をSkylandに売却し、Srednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田の開発を行うJVを設立するHeads of Agreementに調印した。

発表では、Skyland Petroleumは旧ソ連、南アジア、中東での豊富な経験を有するとしているが、Vazon Energyが2015年1月に設立した新しい会社である。

これに加え、両社は西シベリアとYenisey-Khatanga 盆地の26万平方kmに及ぶ地域を共同で開発することで合意した。共同で調査を行い、結果がよければ新しいJVを設立し、ライセンスを取得し、開発を行う。両地域とも、JVはRosneft が51%、BPが49%出資とする。
この一環で、Yenisey-Khatanga 盆地で2009年にRosneftが発見したBaikalovskiy油田に関して更なる評価を実施するJVも設立する。

両社は別途、ドイツの石油精製のJV、Ruhr Oel GmbH の再編の基本契約を締結した。所属する4つの製油所と付属インフラの持株比率を再編する。
RosneftはBayernoil製油所の持株比率を12.5%から25%に、MiRO製油所を12%から24%に、PCK Raffinerieを18.75%から37.5%に、それぞれ倍増する。
見返りにBP はGelsenkirchen製油所と溶剤製造のDHC Solvent Chemieの持株比率を100%とする。


各国によるロシア制裁で各社とロシアの石油事業での提携が停滞するなか、BPは提携強化を進める。

BPは2014年5月24日にRosneft との間でボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区などの開発を推進する覚書を締結したが、2014年6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

2014/7/3   BP、ロシア制裁開始後にRosneft との関係を強化

BPのDudley CEO は2014年11月、ロシアでの投資を継続する方針を示すとともに、Rosneftの持株(保有比率 19.75%)を売却する計画がないことを明らかにした。

今回の提携に際し、BPのロシア法人トップは「国際的な制裁をこれからも順守しつつ、ロシアが持つ大規模な資源を開発できる魅力的な投資機会を引き続き模索する」と述べた。
 

ーーーー

新しい開発提携の場所は下記の通り。

 東シベリア Srednebotuobinskoye 油田

 

Taas-Yuryakh Neftegazodobycha は2014年11月に、Srednebotuobinskoye 油田・ガスコンデンセート田での2013年10月の採掘開始以降100万トンを生産した。現在、51の油井を稼動させている。同社が権益を持地域の埋蔵量は原油が133百万トン、天然ガスが1370億立法メートルとなっている。

同社は169km のPipelineを建設し、Eastern Siberia-Pacific Ocean Oil Pipeline (ESPO pipeline) に接続した。

Taas-Yuryakh Neftegazodobychaの当初の株主は下記の通りであった。
 Urals Energy 35.3%
   Yakut Energy   37.4%
   Finfund             16.8 %
 Limenitis Holding 10.5%

Urals Energyは2008-2009の金融危機の際にSberbank Capital に持株を譲渡、2012年にRosneftが買収した。
Rosneftは2013年10月に残り3社の持株を買収した。

   西シベリアとYenisey-Khatanga 盆地

ーーー

Ruhr Oel BPとベネズエラ国営石油会社PdVSA JVであった。
1983年に当時のVeba Oel AG PdVSA JVとして設立され、その後、Degussa Veba を買収したが、2002年にDegussa 親会社のE.On Veba BP に売却した。)

Rosneft 2011年5月1日にPDVSA50%持分を16億ドルで買収した。

Ruhr Oel はドイツ国内に4つの製油所を持つ。また、5つのパイプラインと、北海・バルチック海・地中海・アドリア海に4つの原油海洋ターミナルを有する。
Gelsenkirchen製油所には、solvent その他を製造するDHC Solvent Chemieがある。

RosneftはBayernoil製油所の持株比率を12.5%から25%に、MiRO製油所を12%から24%に、PCK Raffinerie (Schwedt市)を18.75%から37.5%に、それぞれ倍増する。
見返りにBP はGelsenkirchen製油所と溶剤製造のDHC Solvent Chemieの持株比率を100%とする。

これにより、Rosneft はドイツの石油製品市場に参入することとなり、BPの技術と製油所運営ノウハウにもアクセスできることとなる。各製油所でのロシア原油の処理量も増加すると思われる。

 

Ruhr Oel 持株

他株主 能力 (万トン)

うちRosneft

現在 今回 Ruhr Oel
Gelsenkirchen 100% 50% 0%  - 1280 1280
MiRO 24% 12% 24% Shell 32.25%
ExxonMobil 25%
ConocoPhilips 18.75%
1490 358
PCK Schwedt 37.5% 18.75% 37.5% Shell 37.5%
AET(Eni/Total JV) 25%
1100 413
Bayernoil 25% 12.5% 25% OMV 45%
BP 10%
Eni 20%
1100 275
合計         4970 2326




 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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