「no」と一致するもの

 

2月28日、中国の主要ニュースサイトなどで突然、中国のPM2.5問題を告発するドキュメンタリー映像『穹頂之下』("Under the Dome")が公表され、2日間で1億回を超えるとも言われる再生回数を記録し、中国全土を震撼させた。

ニュースの特集番組仕立てで、103分の動画をつくったのは、国営中央テレビの有名記者・キャスターだった柴静(Chai Jing:39歳)で、これまでは公害について意識したことはなかったが、1年前に出産した長女の健康を考え、中国を覆う PM2.5の原因と背景を探った。 (娘は先天性の腫瘍があり、出産直後に手術を受けた。)


複数の協力者と共に1年かけて製作した。

       https://www.youtube.com/watch?v=T6X2uwlQGQM


Al Gore元副大統領の映画「不都合な真実」(An Inconvenient Truth)と同様、大きなスクリーンの前で柴静が大勢の聴衆に説明する形を取っている。


このドキュメンタリーフィルムの総制作費は100万元(1900万円)で、柴静はそれを自腹で支払った。

柴静はニュースやドキュメンタリー番組での果敢な報道ぶりが人気を集めた。
2012年に発表した著書「看見」(邦訳「中国メディアの現場は何を伝えようとしているか」)は、10年におよぶ取材生活でSARSや四川大地震などに遭遇した体験を、個人の感想を交えながら率直に語ったもの で、中国では150万部を超える大ベストセラーとなっている。

ドキュメンターで中国各地で1年の半分程度が雾霾(Haze、PM2.5) に覆われている状況を示し、柴静は昔見たテレビ映画『穹頂之下』("Under the Dome" :Stephen Kingの同名の小説を原作とした米のCBSのテレビドラマシリーズ)を思い出す。
ドームに覆われ
、外界から隔離された町の話で、このままでは、娘は締め切った部屋から一歩も出られなくなるかも知れないと懸念した。

娘が大きくなったときに答えられるよう、「雾霾(PM2.5)とは何か」「どこから来るのか」「我々はどうすればいいか」という3つについて、現地取材や専門家へのインタビューによって、明らかにする。

「雾霾(PM2.5)とは何か」では、漫画を使い、いかに人体に悪影響を与えるかを説明する。中国衛生部の元長官によれば中国で毎年50万人が死亡している。 最大の被害者は赤ん坊である。

「どこから来るのか」では、中国ではPM2.5の60%は石炭と石油から来るとし、1960年代のロンドンのスモッグ被害の後、各国は石炭使用を制限し始めたが、中国(とインド)はその時から経済発展が始まり、石炭使用が増加し始めたと説明。

違法操業をする鉄鋼工場などへの突撃取材のほか、科学者や政府、企業関係者にインタビュー。中国が国を挙げて経済成長を追い求めた結果、様々な環境規制が企業の利益や雇用の維持を理由に守られてこなかった実態を指摘した。

北京だけをとると、PM2.5の源泉は、自動車が最大で31.1%、暖房が22.4%、工業生産が18.1%となっている。自動車の排気ガス公害を詳しく説明、対比として東京の地下鉄網を示す。

中国のガソリンの品質が米国や日本と比較し、劣っていることを示し、市場を独占し巨額の利益を上げながら、ガソリンなどの品質の向上を怠ってきた国有石油大手を手厳しく批判。社会的責任を問いただされたSinopecの元幹部は「我々は肥え太ったが、企業としての体質は脆弱なのだ」などと苦しい釈明を重ねている。

柴静は米国に飛び、カリフォルニア州の状況を調べ、中国と対比する。

世界は天然ガスの時代になったのに、中国は依然として石炭中心であると嘆く。


「我々はどうすればいいか」については、環境保護部門が正しく法律や規制を執行し、1人1人の「公民」は問題を発見したら通報し、環境保護につながるエネルギー消費行動を取るべきだと提言している。


挙げられた例の一部:

バスや自転車、大勢での自動車利用 環境保護告発ホットライン 12369
   
写真を当局へ送付 汚染企業の製品の不買

 

3月3日に北京で開幕する全国人民代表大会と全国政治協商会議を目前に控えた時期に同作品が配信されたこともあり、全国政治協商会議の報道官は、「私も同作品を見た。科学的な観点で論じられている点が重要」とし、「微小粒子状物質『PM2.5』の成分は何なのか、人の脳や血管、心臓、肺、胃にどのような影響があるのかなどの調査が時間をかけて行われている」と評価した。

中国の環境保護部長(環境大臣)に就任したばかりの陳吉寧は、このドキュメンタリーをRachel Carson の "Silent Spring" になぞらえ、柴静に感謝のメッセージを携帯メールで送ったとも言われる。


 

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Richard Muller はその著書の"Energy for future presidents" で、温暖化問題のキイは中国の石炭使用であり、豊富な天然ガス埋蔵量(シェールガス中心)に切り替えるのが最善の解決策であり、中国の技術者に米国でシェールガス開発の訓練をしてはどうかとしている。PM2.5の解決にもつながる。

化石燃料エネルギーの埋蔵量(単位: 石油換算 10億バレル)

 Richard Muller  "Energy for future presidents"


 

 

 



ユーグレナは2月20日、バイオ燃料精製実証設備の建設に向けて、Chevron Lummus Global との間で Biofuels ISOCONVERSION Process 技術を採用することに関する基本合意契約を締結した。

同社はミドリムシなどのバイオマスから抽出した油脂を国内でバイオジェット燃料に精製することを目指しており、この技術導入はバイオジェット燃料事業の実現性を高めるものとなる。

 

Chevron Lummus Global は、Chevron U.S.A.と米国の建設・エンジニアリング大手の CB&I Technology Ventures の合弁会社。

Biofuels ISOCONVERSION Process 技術は、同社とApplied Research Associatesが共同開発した独自のバイオ燃料製造技術 で、植物や藻類からとった油をジェット燃料やディーゼル燃料に変換、他の油と混ぜることなしに、石油系燃料向けに設計されたタービンやディーゼルエンジンを動かすことが出来る。

バイオ燃料はそのままではジェット機やディーゼルには使用できない。

生産された油は "Renewable, Aromatic, Drop-in (Readi) fuels"と呼ばれ、ジェット用を ReadiJet® 、ディーゼル用をReadiDiesel®と名付けている。

2012年にカナダのNational Research Centre が ジェット機 Dassault Falcon 20 bizjet で100%バイオ燃料ReadiJet での飛行に成功した。
(ReadiJet は Chevron Lummus Global とApplied Research Associates が米空軍研究所の資金提供を受けて製造した。 )

製法は下記の通り。

 

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㈱ユーグレナと同社の微細藻類ユーグレナ(euglena:ミドリムシ)については、下記を参照。

    2013/10/17  ミドリムシが地球を救う!

ヘルスケア分野で収益をあげ、エネルギー・環境事業の研究開発を他社と共同で実施している。

 
燃料開発  

油脂を多く含むユーグレナを活用したジェット燃料開発

飼料開発 

高蛋白質ユーグレナを活用した水産、家畜飼料開発

CO2固定化技術開発

高濃度CO2耐性ユーグレナを活用したCO2固定化技術開発

水質浄化技術開発

水中有機物を活用するユーグレナによる水質浄化技術開発

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化粧品

ユーグレナの加水分解エキスを活用した化粧品事業

バイオジェット燃料の開発体制は下記の通りとしていた。

燃料供給のためには、現在の食品生産のレベルとはけた違いの量が必要になるため、量産用の大きなプールで安定生産ができるかどうかがキイとなる。培養に必要な機器は日立プラントテクノロジー、培養に必要な管理技術はユーグレナが担当する。


抽出した油脂は脂肪酸のため、水素化により液体燃料に転換することが必要で、これまではJX日鉱日石が担当するとしていた。

今回、実績のあるChevron Lummus Global の技術を導入し、早期の事業化を図るものと思われる。
 



 

創薬ベンチャーのそーせいグループは2月21日、同業の英Heptares Therapeutics を買収したと発表した。

買収額は最大4億ドルで、20日付で全株式を取得し、完全子会社化した。
Heptares の株主に対し 1億8000万ドルを現金で支払ったほか、Heptares が現在開発中の医薬品で発生する収入から最大2億2000万ドルを支払う。

そーせいでは、さらなる企業価値の向上を目指すべくパイプラインの強化や新たな事業拡大を図るため買収を実施したとしており、本買収により、「日本発の世界トップバイオ企業になる」というビジョンをより迅速に達成できると期待している。

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そーせいは1990年に、元ジェネンテックの日本法人の社長などを務めた田村真一氏が設立したベンチャーで、開発したCOPD (慢性閉塞性肺疾患:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)治療薬である「Seebri®」(Vecturaとの共同開発品)とその配合剤「Ultibro®の全世界独占販売権をNovartis に提供しており、これのロイヤリティが現在の主たる収入源である。

両製品は世界各国で承認されており、ドイツ、日本、その他主要な市場で販売されている。
Novartisは2014年12月に米国で承認申請を行った。

情報収集などを狙って欧州に拠点を持っており、2005年に英国エセックスに本拠を置くバイオ医薬品開発企業であるArakis Limited を210億円で買収して、両社のバイオ医薬品開発事業を統合し、開発パイプラインの拡充および国際的な研究開発体制の強化を図った。

Arakis の買収は下記により行った。
1)
第三者割当増資
      Arakisの全株主に対して第三者割当増資を行い、その対価として全株主は同社の発行済株式数の88.91%を現物出資した。
(2) 株式買取
   Arakisの全株主より残り株式(11.09%)を23億円で買い取った。

「そーせい」の社名は「そうせい侯」と呼ばれた長州藩藩主・毛利敬親から取った。

毛利敬親は家督相続後、財政難だった藩をたてなおし、軍政改革を実施して軍事の洋式化を推進したり、文武を奨励して蘭学による教育を充実させるなどの革新を行ったが、一方では家臣からの進言には何事にも「そうせい」と言ったということから、陰では「そうせい侯」とも呼ばれた。しかし敬親公はこうして有為な人材を積極的に登用し、のびのびと活躍させていたため、波乱の幕末においても藩は壊れず、結果長州藩が討幕運動の原動力となりえたと言われている。

同社は平成維新の一つの原動力たらんとして発足したが、このエピソードにヒントを得て、社名とした。

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Heptares Therapeutics は、英国のMRC Laboratory of Molecular Biology およびNational Institute of Medical Research の研究成果を事業化するべく、2007 年に設立された。

医薬品ターゲットとして期待の大きい G タンパク質共役受容体(GPCR)に作用する薬剤を創出する世界で最も進んだ独自の技術(StaR®)を有する。
同社は既に複数の著名な製薬企業との創薬共同研究契約を締結しており、開発の進捗に応じたマイルストン・ロイヤリティ収入を受領できることになっている。

本買収の狙いは下記の通り。

① COPD 治療薬の特許が切れる2026 年以降の収益を生み出せるドラッグディスカバリー技術

Heptares は自社開発のみならず、独自のドラッグディスカバリー技術を基に、Novartis、AstraZeneca、武田薬品等の世界トップレベルの製薬企業と提携契約を締結しており、今後、これによるロイヤリティ収入がCOPD 治療薬の特許切れを迎える2026 年以降の収益の柱となる。

武田薬品は2011年4月、中枢神経疾患の病態に重要な役割を果たすGタンパク質共役受容体(「GPCR」)の一つを対象とした2年間の共同研究契約を締結した。

② 高収益パイプラインの拡充

Heptaresの保有する独自技術は新規医薬品を効率的に多数創出することが可能であり、それらの自社研究開発の推進、または他社への導出を図ることで短期的な収益確保から、長期的な収益基盤の構築まで、網羅的なポートフォリオ戦略が実現可能となる。

Heptaresのパイプライン

開発プログラム 適応 開発段階
ムスカリン受容体M1作動薬 アルツハイマー病、認知障害 第Ⅰ相臨床試験
M4 or M1/M4デュアル作動薬 統合失調症、精神障害 前臨床試験
アデノシン受容体2A 拮抗薬 注意欠如・多動性障害 前臨床試験終了、
IND(治験計画届出書)申請中
CGRP 受容体拮抗薬 偏頭痛治療および予防  前臨床試験
GPR39 作動薬 糖尿病、膵島β 細胞保護 前臨床試験
GLP-1 作動薬 糖尿病 前臨床試験

 ③ 開発体制の強化

 ④ ドラッグディスカバリー基盤技術の獲得による、シーズ探索手法の強化
 

 

 


KHネオケムは2月11日、台湾国営石油会社の台湾中油(CPC)および兆豊国際商業銀行(Mega International Commercial Bank)と合弁契約書を締結した

合弁会社を設立し、可塑剤フタル酸ジイソノニル(DINP)の原料のイソノニルアルコール工場を建設する。

総投資額は、日本円にして500億円規模となり、日台間の石油化学分野では過去最大級の投資事業となる。

社名 曄揚股份有限公司(Taiwan-Japan Oxo Chemical Industries Inc.)
出資 KHネオケム 47% 生産に関する特許技術を提供
CPC 47% 原料の安定供給
兆豊国際商業銀行 6% 財務面で協力
立地 高雄臨海工業区
能力 イソノニルアルコール 年産 180千トン
ブテン3量体              21千トン
投資額 137億台湾元(約520億円)
完成予定 2019年

イソノニルアルコールは、耐熱特性等の優れた性能を有し主に自動車・電線・建材用途において世界的に需要が拡大している可塑剤ジイソノニルフタレート(DINP)等の原料となる高級アルコールであり、KHネオケムの主要製品のひとつ。

KHネオケムは旧称 協和発酵ケミカルで、2011年3月に協和発酵キリンが日本産業パートナーズの買付会社ケイジェイホールディングスに譲渡、2012年4月に改称した。

  2010/10/27 協和発酵キリン、子会社の協和発酵ケミカル売却で合意 

KHネオケムは千葉工場に年産 100千トンの工場を持つ。
独自技術及びノウハウを豊富に有しており、需要の伸びが著しい中国、インドなどアジア諸国の需要拡大に対応し、価格競争力のある原料を調達するために有利な立地での生産拠点新設を目指して検討を重ねてきた。

一方、CPCは主力のガソリン・燃料事業から、より付加価値の高い石油化学等の川下事業への展開強化を模索しており、その一環として合弁会社への原料供給を含めた本事業への展開を決断した。

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イソノニルアルコールの生産技術を持つ企業は世界で5社のみといわれ、KHネオケムはそのうちの1社。

・ KHネオケム
・ BASF
・ Evonik
・ ExxonMobil
・ 南亜塑膠工業 (台湾プラスチックグループ)

上記のほかに三菱化学が水島で独自のロジウム触媒法の35千トンプラントを持っていたが、2001年3月末に停止した。

三菱化学は、オキソアルコール事業の多様化の一環として1987年よりINAの生産を行ってきたが、操業開始以来厳しい事業運営を続けてきており、今後、INA需要の伸びは期待できるものの、さらなる収益の改善が見込めないことから停止を決定した。

BASFは2012年7月、Sinopec との間で世界最大級のイソノニルアルコールプラント建設に関する覚書を締結した。
建設予定地は広東省の茂名高新技術産業開発区で、50/50JVの
Maoming Petrochemical BASF を設立し、工場を建設中。

Evonikは2013年1月、マレーシアのPetronasのRAPID計画の一環として、Petronasとの間で過酸化水素、1-ブテン、オキソ製品のJVを設立する覚書を締結した。
報道では過酸化水素は25万トン、1-ブテン 11万トン、イソノニルアルコール 22万トンとなっている。

2014/8/25   東洋エンジニアリング、マレーシアで大規模石化プラント受注



 

 

中国の国家発展改革委員会(NRDC)は2月10日、米半導体大手のQualcomm60.88億人民元(975 百万ドル)の罰金支払いを命じた。中国の独禁法違反では、過去最大の制裁金となる。

NRDCは、主に下記の点を問題とし、「Qualcommの違法行為は悪質で長期にわたり、極めて重大だ。ただちにやめるよう命じた」としている。

(1)不公平な高額の特許使用料を徴収していた。
(2)正当な理由なく、モバイル通信で標準的に必要としない特許の使用料を抱き合わせで販売した。
(3)半導体チップの販売において不合理な条件を押しつけた。

中国の独禁法は違法企業には最高で前年度の売上高の10%の罰金としているが、今回の罰金は2013年の売上の8%に相当する。

中国の独禁法の担当は下記の通り。

国家発展改革委員会(NDRC) 価格独占行為の調査・処分
商務部 事業者集中行為
工商総局 独占協定、市場支配的地位の濫用、
行政権力を濫用した競争の排除、制限

Qualcommは中国当局の決定に従うとし、そのための対策の概要を発表した。9億7500万ドルの罰金に異議を申し立てない としている。

Qualcommは、中国で高いシェアを持つスマートフォン向けの通信技術を巡り、端末メーカーに不当に高い使用料を強いるなどの違反行為があったと認めた。

NRDCは、中興通訊(ZTE)や華為技術(Huawei)など中国メーカーから苦情が相次いだため「時間をかけて調査を続けてきた」としている。

Qualcommの対策は下記の通り。

中国国内で使用・販売する携帯電話端末について、これまでは卸売価格の100%にあたる特許使用料を徴収していたのを、今後は65%とする。
  中国で販売する製品に3Gと4Gの特許を使う場合、それぞれ5%、3.5%のロイヤリティとする。

・中国の特許の被許諾者に特許の使用を許諾する場合、特許のリストを提供し、特許権の存続期間を過ぎた特許については使用料を徴収しない。

Qualcomm が中国側からのクロスライセンスを求める場合、交換特許に妥当な評価を行う。

・モバイルの標準に必要な特許を許諾する場合に、正当な理由なくモバイル通信の標準に必要のない特許の許諾を抱き合わせで販売しない。

半導体チップを販売する時に、中国の被許諾者に不合理な条件を含む許諾合意に調印するよう求めない。
  特許の許諾をめぐって争わないとする合意への調印を中国の被許諾者に半導体チップを提供する際の条件としない。


QualcommのCEOは、事業めぐる不透明感が取り除かれたとし、これにより 中国のワイヤレス市場にフルに参加でき、同社の3G/4G 技術の採用が速まると述べた。


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中国では外資大手の大型摘発が続 いている。(1人民元は2012/9までは約12.5円、現在は約19円)

    罰金
2013年1月 LG電子、サムスン電子など韓国、台湾の液晶メーカー6社 353百万元
2014年8月 日本の自動車部品メーカー12社 1,235.4百万元
2014年9月 VolkswagenとChrysler VW    248.58百万元
Chrysler 31.68百万元
今回 Qaulcomm 6,088百万元


なお、湖南省長沙市中級人民法院(地裁)は2014年9月19日、GlaxoSmithKline に対し、賄賂や脱税で30億元の罰金を課している。
    2013/7/18   中国、GlaxoSmithKline を贈賄の疑いで捜査






Pfizer は2月5日、同業の米 Hospira, Inc.を170億ドルで買収する契約を締結したと発表した。

Hospiraはジェネリック注射剤を製造し、医療施設で広範囲に利用されている。またバイオ後続品の販売や開発も手がける。

Pfizerは高脂血症薬「リピトール」など主力大型薬の特許失効で売上高がこの4年で約3割減っており、新たな収益源の確保が急務となっている。

同社は2014年にAstraZenecaに総額約693億ポンドの買収提案を行ったが、断念した。
   2014/5/12   Pfizer が AstraZenecaに買収提案

今回の買収で、新興国を中心にジェネリック注射剤やバイオ後続品分野での事業拡大を狙っているとみられる。

Pfizerは、注射剤後発薬の世界市場規模が2020年に700億ドルと2013年比で8割強増えるとみているほか、バイオ後発薬も200億ドルと2015年の予想比で7倍弱に拡大すると予想する。Hospira買収でこうした成長市場を取り込む。

買収資金の2/3は保有の現金、1/3は新規借り入れで賄う。同社では買収の効果として2018年に年間 8億ドルのコストダウンを期待している。

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Hospiraは注射剤とインフュージョンテクノロジー、そしてバイオシミラーの市場で世界をリードするヘルスケア企業で、充実した製品ラインを有し、"Advance Wellness™ "の見地から、高い付加価値を創造することで、医療費の軽減と、患者や医療従事者の安全性の向上に貢献している。

Abbott Laboratoriesの病院製品部門であったが、2004年5月にスピンオフした。

社名のHospiraは従業員の投票で決まったもので、Hospital、Spirit、Inspire とラテン語のSpero (Hopeの意味)に由来している。

2007年に豪州の注射薬メーカーのMayne Pharma Ltd. を21億ドルで買収、海外進出を行った。

その後、Pliva-Croatia社のバイオ技術部門、インドのOrchid Chemicals & Pharmaceuticals のジェネリック注射薬事業、手術後の疼痛管理薬メーカーの Javelin Pharmaceuticals、病院の監視システムを扱うTheraDocなどを買収した。

約19,000人の従業員を抱え、過去1年間の売上高は約44億2200万ドル。

現在、Johnson & Johnsonの関節リウマチ治療薬「Remicade」(一般名: Infliximab)の類似薬について、FDAに承認を求めている。

 



 

 
アルゼンチンのYPF
SAは1月28日、Sinopecとの間でアルゼンチンでの石油とガス開発のJVを設立するMOUを締結した。

石油とガスの上流部門と恐らくは下流部門をもカバーするJVを設立するというもので、北京で調印された。
石油・ガス開発は在来型とシェールの両方をターゲットとする。

Sinopec は既にアルゼンチンに進出しており、同国で4番目の地位にある。

2011年2月に Occidental Petroleum からアルゼンチンの資産を25億ドルで買収している。
              
2010/12/17 Sinopec、Occidental からアルゼンチンの石油権益を買収

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アルゼンチン政府は2012年4月16日、スペインの石油会社Repsol-YPFのアルゼンチン子会社YPFを国有化する方針を明らかにした。
アルゼンチン下院は5月3日、国有化法案を可決した。上院は可決済で、大統領の署名で施行された。

YPFはもともとアルゼンチンの国有石油会社だった。1999 年の民営化に伴う政府放出株式をRepsolが購入した。
アルゼンチン政府は0.2%の"golden-share"を持ち、買収拒否権などの重要事項についての権利を持つ。

RepsolはYPFの買収後、アルゼンチンの億万長者Eskenazi 一族のPetersen Groupに25.5%を売却するなどで、Repsolは当時、YPFの57.4%を保有していた。
アルゼンチン政府はRepsolの持ち株57.4%のうち、51%分を接収した。

時価による買収ではなく、資産没収で、石油生産の低迷や投資をめぐり対立していたスペインの親会社Repsol-YPFから経営権を奪った。

2012/4/19  アルゼンチン大統領、スペイン石油大手傘下を国有化へ、スペインは反発

Repsolは2012年5月にニューヨークの裁判所に105億米ドルの損害賠償を求めて民事訴訟を起こし、2012年12月3日にアルゼンチン政府を相手取り、世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターに仲裁を提訴したが、Repsolは2014年2月25日、アルゼンチン政府との間の合意書を取締役会が承認したと発表した。

合意書は、YPF の51%持分の接収の補償として50億米ドルを支払うとしている。

接収の結果、出資比率は政府が26.01%、州政府が24.99%、Petersenが25.5%、Repsol 6.4%、その他 17.1%となったが、その後、Petersenが破綻して債権者が取り上げ、債権者の1社のRepsolの持株は12%となった。

2014/3/3  アルゼンチン政府、YPF の接収で補償

なお、アルゼンチン政府の国有化発表直後に、SinopecがRepsolからYPFの買収で交渉しており、150億ドルで買収する非拘束の合意に達したと の報道があった。

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アルゼンチンには大量のシェールガス、シェールオイルがある。

2013年6月のEIA発表では、技術的回収可能量は下記の通りとなっている。

  シェールガス(単位:Tcf ) シェールオイル(単位:億バレル)
1 中国 1,115 ロシア 750
2 アルゼンチン 802 米国 581
3 アルジェリア 707 中国 322
4 米国 665 アルゼンチン 265
5 カナダ 573 リビア 261
6 メキシコ 545 豪州 175
7 豪州 437 ベネズエラ 134
8 南ア 390 メキシコ 131
9 ロシア 285 パキスタン 91
10 ブラジル 245 カナダ 88
世界合計 7,299 世界合計 3,450

アルゼンチンのシェールガスの70%以上はNeuquen Basinにある。
Vaca Muerta というジュラ紀と白亜紀の地層がシェールオイル、シェールガスを含んでいる。

YPFは2012年2月に、南アルゼンチンのVaca Muertaシェールオイル層に少なくとも230億バレルの油があることが分かったと発表した。そのうち、130億バレルがYPFに帰属する。

アルゼンチンはYPFの持つVaca Muerta油田の開発に外資を必要とするが、Repsol からの訴訟を恐れ、外資は参入をためらっていた。

Repsolとアルゼンチン政府の紛争解決により、開発が進んでいる。

現在の開発状況は下記の通り。

         http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4960/1308_out_l_ar_ypf.pdf



鉱区 状況
YPF Chevron Loma La Lata/
Loma Campana
2013/7   鉱区開発契約
2014年中に16億ドルで170抗掘削
Chihuido de la Sierra Negra シェール探鉱を計画
Dow El Orejano 2013/9 シェールガス生産の契約
Dow Chemicalが1億2000万ドル、YPFが6800万ドルを投資
Petrolera Pampa
(同国)
Rincon del Mangrullo 2013/11  開発契約
第1フェーズでは、各 8150万ドル投資、第2フェーズではPetrolera Pampaが7000万ドルを投資
Petronas La Amarega Chica 2014/2 共同開発でMOU
 - Puesto Hernández 2014/2    PetrobrasよりPuesto Hernández鉱区の権益の38.5%を4070 万ドルで取得。
 -   2014年2月Apacheのアルゼンチンの全ての資産を買収(8億ドルの現金、借入金 5200万ドル肩代わり)

Apacheは2006年にPioneer Natural ResourcesのNeuquén、Rio Negro、Tierra del Fuego州の33鉱区の権益を 買収。
このうち1200エーカー(10鉱区)はVaca Muertaシェールに位置している。

GyP(同国)
Wintershall (BASF)
Aguada Federal 2014/1 Wintershallが50%権益取得
第1フェーズに1億900万ドルを投資
Americas Petrogas
ExxonMobil
Los Toldos I 2013年6月に坑井をパイプラインにつなぎ込み、ガスの販売を開始
Total La Escalonada、
Rincón La Ceniza等
2010年以降、権益取得

2014年2月以降、La Escalonada 鉱区とRincón La Ceniza鉱区はTotal 42.5%、Shell 42.5%、GyP 15%
Shell Sierras Blancas 出油、出ガスに成功。
投資額を2013年の1億70 0 0万ドルから、2 0 1 4年には3倍の5億ドルに増やす。
 
La Escalonada、
Rincón La Ceniza
2014年2月、Totalの鉱区に参加(42.5%)
Petrobras Puesto Hernández 2014年中にアルゼンチンに3 9億40 0 0万ドルを投じる計画で、うち32%はVaca Muertaシェールの探鉱・開発に充てる 。

2 01 4年2月、YPFにPuesto Hernández鉱区の権益の38.5%を4 0 7 0 万ドルで売却。
Pan American Energy
 
Lindero Astravesado、
Aguada Pichana、
San Roque

他に
Golfo San Jorge、Noroeste、
Austral Basin

株主はBridas 100%(当初はBridas 40%、BP 60%)
BridasはCNOOCが50%出資する。
 
2010/12/1 BP、アルゼンチンのPan American Energy の持株をBridas Corporationに売却 


CNOOCは2010年にBridasの株式50%を31億ドルで取得したが、Bridas株式売却を検討している 。


アルゼンチン政府は、シェールオイル・ガスの生産が本格化するのは2018年、ガス輸入の必要がなくなるのは2023~24年としている。

そのためには500~1000億ドルの投資が必要とされる。


 

エーザイは1月27日、オランダを拠点とする非営利団体「医薬品アクセス財団」が実施する2014年の医薬品アクセス貢献度(Access to Medicine Index)調査で、調査対象となったグローバル製薬企業20社のうち11位となり、前回の15位から4位順位が上がったと発表した。

日本企業では他に、アステラス製薬が18位、第一三共が19位、武田薬品が20位に入っている。

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貧困や医療システムの不備などから、必要な医薬品が必要とされる患者のもとに届かないという問題を医薬品アクセス問題と言う。

アフリカ等途上国を中心とした感染症(特にHIV/AIDS、マラリア及び結核)の蔓延を背景に、特許制度により医薬品が高価になったり、コピー薬の生産・使用・輸入等が制限される結果、医薬品へのアクセスを阻害しているとの指摘もなされている。

世界中には、1日1ドル以下で生活する最貧困層が14億人以上、さらに1日2ドル以下で生活する人々が13億人いると推定されている。

これらの約27億人の人々の多くが、有効的な治療法があるにも関わらず、必要な医療を受けることができず、必要な医薬品を入手できない状況にあり、医薬品アクセス問題は、各国の政府、世界保健機構(WHO)などの国際機関、非政府組織(NGO)のみならず、製薬企業にとっても各方面と連携して解決すべき国際的な課題となっている。

ATMインデックス調査は2年毎に実施され、グローバル製薬企業20社の主に開発途上国における医薬品アクセスに対する取り組みに焦点をあて、企業の格付けを行うもの。
オランダの実業家 Wim Leereveld の提案で2004年に始まった。Bill & Melinda Gates Foundation と英国及びオランダ政府が資金を提供している。

具体的には、①医薬品アクセスを推進するマネジメント体制、②パブリックポリシー、③開発途上国で課題となっている疾患に対する新薬開発、④価格政策や供給体制、⑤知的財産に関するポリシーならびにその実践、⑥開発途上国における医薬品開発・製造技術確立への支援、⑦医薬品の無償提供や慈善活動の7つの観点を、それぞれコミットメント、透明性、実績、イノベーションの4つの側面から総合的に評価してい る。

2014年の各社の評価は下記の通り。

順位 医薬会社
体制

Policy

R&D

供給体制

知財

支援

寄付
総合
2014 2012
1 1 GlaxoSmithKline 4.9 2.1 3.7 3.0 2.8 3.5 3.4 3.3
2 6 Novo Nordisk 4.7 2.7 2.4 3.3 1.5 3.9 3.6 3.0
3 2 Johnson & Johnson 4.4 1.1 3.3 3.2 1.3 3.3 3.1 2.8
4 7 Novartis 4.8 1.4 3.0 2.6 1.9 3.8 3.3 2.9
5 5 Gilead Science 2.9 2.8 2.1 3.8 2.8 2.5 2.4 2.9
6 8 Merck KGaA 3.8 1.3 3.0 2.9 1.9 3.0 3.4 2.8
7 4 Merck & Co. 4.3 1.3 2.5 3.1 0.9 3.3 3.5 2.7
8 3 Sanofi 3.3 1.0 2.5 3.0 1.7 3.8 2.6 2.6
9 AbbVie 1.9 2.4 3.0 3.4 1.2 2.8 2.3 2.6
10 9 Bayer 2.7 1.7 2.1 3.2 1.8 3.0 2.8 2.5
11 15 エーザイ 3.3 1.8 2.4 2.9 1.9 2.0 2.7 2.5
12 10 Roche 2.7 1.4 1.8 2.9 1.8 2.6 2.8 2.3
13 12 Bristol-Myers Squibb 1.6 2.4 2.2 2.6 2.6 1.8 1.7 2.2
14 17 Boehringer Ingelheim 1.6 1.4 1.9 2.5 1.5 3.5 2.0 2.1
15 16 AstraZeneca 2.1 1.7 2.5 1.3 1.2 3.1 2.5 1.9
16 11 Pfizer 2.1 1.4 2.0 1.8 1.6 2.9 2.1 1.9
17 14 Eli Lilly 2.6 0.8 2.0 1.5 1.4 2.0 2.0 1.7
18 20 アステラス製薬 1.0 1.6 1.6 2.3 0.8 1.5 1.4 1.6
19 19 第一三共 0.7 0.4 2.2 1.7 1.7 1.2 1.3 1.5
20 18 武田薬品 1.0 1.3 2.6 1.1 0.6 2.0 1.7 1.5


1位のGlaxoSmithKlineは2010年も1位。
 2012年に13位だったAbbott Laboratories Inc.が落ち、選外だったAbbVieが新しく 9位に入った。


エーザイについては、下記が評価された。

リンパ系フィラリア症の制圧に向けて治療薬DEC錠のWHO(世界保健機関)への供給開始
グローバルプライシングポリシーの設定
インドにおける転移性乳がん治療薬ハラヴェンの所得別段階的価格設定での提供
顧みられない熱帯病などの感染症に対する新薬開発プロジェクトの推進
インデックスの対象疾患であるてんかん領域へのファイコンパの上市等
グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)設立に関わる活動

同社の医薬品アクセスへの取り組みは http://www.eisai.co.jp/company/atm/index.html





英下院のEnvironment Audit Committeeは1月26日、フラッキング(水圧破砕法)によるシェールガス採掘の中止を提言する報告書を発表した。

概要は以下の通り。

政府はフラッキングを推進しており、税務上の恩典を与え、規制緩和法案(Infrastructure Bill)で住民の許可なしに地下の掘削を自由に認めようとしている。

フラッキングによるガス生産は気候変動法(Climate Change Act)での英国の義務と矛盾する。
シェールガスは低炭素ではない。政府の目的はソースに関係なく、エネルギーの二酸化炭素濃度を下げるということだ。

規則で環境への影響は守られるというが、地下水の水質、水の供給、廃棄物、国民の健康、生物多様性、地質、騒音等々の危険について、広範囲な不確実性がある。
フラッキングがまだテスト段階であるためだ。取り返しのつかないダメージから環境を守る必要がある。

フラッキングは保護地域、国にとって重要な地域で直ちに禁止すべきだ。

メタンを全く放出しないことを義務付けるべきだ。

全ての水源地域でフラッキングを禁止すべきだ。


委員長は以下の通り述べた。

フラッキングは、フルスケールの二酸化炭素の回収・貯蔵なしには、長期的な温室ガス排出量の削減目標と合致しない。
また、フラッキングが水の供給、大気質、住民の健康に与える影響には大きな不確実性がある。

英国の国立公園や素晴らしい自然の美が油田やガス田に変わるのを許せない。
国としてのシェール禁止が無理な場合、そのような場所では禁止すべきだ。

政府は住民の許可なしに家屋の地下で掘削することを認める法律を通そうとしている。これは極めて非民主的であり、議会はこれを認めず、住民の権利を守るべきだ。

政府は昨年に地下掘削権に関する規制緩和法案(Infrastructure Bill)を提出した。

現在、下院で審議中のこの法案は、シェールガスなどの地下採掘を一定範囲内で自動的に許可する内容で、企業は土地所有者の許可を得ずに地下でのフラッキングが可能になる。

同委の議員8人はこの日、この法案の修正案を議会に提出した。

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David Cameron 首相はフラッキング禁止要求を拒否した。

エネルギー安全保障上も、価格引下げのためにも必要であるとし、米国のシェールガス革命を英国でも実現すると述べた。

エネルギー・気候変動省は、「シェールガス開発は温暖化ガス削減目標と合致する」と反論。シェールガスは発電量の不安定な再生可能エネルギーを補完できる可能性もあるとした上で、「目標達成には再生可能エネルギー、原子力、ガスを取り混ぜたエネルギー構成が必要」としている。

英政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を80%減らす目標を掲げる。
 


Ineosは同日、反論を発表した。

報告は一方的で、フラッキングの利益よりも、潜在的なリスクに焦点を当てている。

米国では100万以上の井戸が掘削され、製造ルネッサンスが起こり、米国に雇用と繁栄をもたらしている。

英国でも安全にフラッキングが出来ると信じており、国全体に利益をもたらす。


同社は英国でシェールガス開発を計画している。

2014/8/22 Ineos、スコットランドのシェールガス開発に参加

2014/10/3 Ineos、英国でのシェール開発反対を抑えるため大盤振る舞い

2014/10/18  Ineos、英国で更にシェールガスの権益を取得





 

 

 


丸紅は1月26日、1600億円の特別損失を計上すると発表した。

内訳は次の通り。

  減損損失 主な理由 損益
資源 北海の油ガス 5鉱区群 原油価格下落、開発コスト増加 -600億円
メキシコ湾沿岸(1鉱区) 原油価格下落 -175億円
米シェールオイル -175億円
チリ銅事業の減損損失 銅価格下落 -100億円
豪州石炭事業の減損損失 石炭価格下落 -50億円
非資源 Gavilon社「のれん」の減損損失 計画未達による計画見直し -500億円
合計 -1,600億円
税効果 400億円
損益合計 -1,200億円

豪州鉄鉱石事業については、高いコスト競争力があり、高品質の鉱石が期待できるため、減損不要と判断。


同社では、原油価格は45ドルを割ることは想定外で、社内見通しと大きく違ったとしている。

北海の原油開発では原油価格の下落に加え、現在進めている開発プラットフォームの改修コストが大幅に上昇することが分かった 。

同社の北海での原油開発は下記の通り。

2001 英領北海 Larch 油田  
2003/3 英領北海Sycamore油田 生産開始 丸紅 35.5%、残り Venture Production plc
2004/9 英領北海で操業するEnergy North Sea Holdings を買収
2009/11 英領北海 Shaw 油田 探鉱に成功 丸紅 41.03%、Talisman Energy(加)  58.97%
2010/9 ノルウェー領北海  権益取得 Norwegian Energy CompanyからOselvar鉱区15%、Enoch鉱区4.4%

メキシコ湾沿岸では、2003年3月にアラバマ州沖合のFairway Field の権益 35.7% をBPから買収した。残り64.3%はShellが保有し、操業を担当している。

また、2006年2月にPioneer Natural Resources からメキシコ湾の生産・開発・探鉱鉱区群の権益を取得した。

 

BPは2010年10月25日、Devon Energy から2010年3月に買収したメキシコ湾の深海で操業中のの4つの原油・ガス田の権益を、丸紅に650百万ドルで売却することで合意したと発表した。 (WTI原油の2010年の平均価格は80$/bbl)

2010/10/25 BP、メキシコ湾の4油田の権益を丸紅に売却 


シェールオイルについては、丸紅は下記に参加している。

Niobrara     2011/4/13 丸紅、米国のシェールオイル開発計画に参加

Eagle Ford  2012/1/9   丸紅、イーグルフォード・シェールオイル・ガス開発事業に参画

 

2013年に買収した米穀物大手Gavilonについては、見込んでいた買収後のシナジー効果が出なかったことが原因としている。

丸紅は2012年5月29日、北米で穀物・肥料・エネルギーのトレーディング事業を展開するGavilon Holdings の持分すべてを取得すると発表した。
買収価額は36億ドルだが借入金が20億ドル程度あり、合計で56億ドル程度となる。

丸紅は北・南米に穀物供給ソースを確保し、アジアを中心に販売力を強化してきたが、Gavilonが全米に持つ140を超える穀物集荷関連拠点を取り込み巨大な穀物集荷流通網を確保し、更に、Gavilonのブラジル、豪州、ウクライナなどの拠点を丸紅の持つ資産と組み合わせ、活用するとしていた。

中国商務部は2013年4月22日、丸紅による米穀物大手Gavilonの買収を厳しい条件付きで承認した。

2社の合併は「中国の大豆輸入市場への支配力を強め、競争を排除あるいは抑制する」可能性があるとし、
(1)中国向け輸出・販売業務を分離独立すること
(2)例外を除き、丸紅はGavilonから大豆を買い付けてはならない
(3)市場情報を交換してはならない――といった義務を課した。


本ブログでは、「買収の狙いは主に中国向け輸出のためと思われ、高額での買収の意義が失われることにもなる」とした。

2013/4/26    中国、丸紅の米穀物大手Gavilon買収を条件付きで承認

油価格に連動するように、銅、鉄鉱石などの金属や穀物などの国際商品相場が下落している。

丸紅経済研究所の調査によると、豪州産鉄鉱石の1月の中国向け船積み価格は1トン当たり71ドル。
2011年1月の184ドルから4割以下の水準で、2014年10月の81ドルから1割以上下落した。

銅も、ロンドン市場の1月の取引価格が1トン当たり6000ドル前後で、2014年10月から700ドル近く下げ、アルミも1月価格が同1788ドルと2014年10月より1割以上安い。

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2014年9月には、住友商事が米国のタイトオイル開発などで2700億円の大幅な損失を計上すると発表している。

 

損失

 
米 タイトオイル -1700億円

保有資産譲渡に伴う減損

豪 石炭 -300億円 石炭価格下落に伴う減損
ブラジル 鉄鉱石 -500億円 今後の市況、事業の動向
米 タイヤ事業 -200億円 今後の市況、事業の動向
(合 計) -2700億円  
税効果等 300億円  
株主帰属損益 -2400億円  


2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上

住友商事はアフリカで世界最大級のニッケル鉱山開発を進めているが、操業開始が大幅に遅れたほか、市況急落もあり、損失を計上する可能性がある。

 

この数年、中国の国営企業が猛烈な勢いで海外の資源に投資をしており、採算を度外視したものも多い。

そのなかで日本企業も資源への投資を拡大してきたが、高騰した製品価格を前提にした割高な投資が多い。

価格の下落が続けば、ほかにも減損損失の計上が行われると思われる。



 

 

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