「no」と一致するもの


中国商務部は1月20日、米国から輸入の太陽光パネル用多結晶シリコンの反ダンピング及び反補助金調査でクロの最終決定を行った。
反ダンピング調査については、韓国からの輸入品も同様となった。

中国が輸入している多結晶シリコンの約4割が米国製で、2割は韓国製とされている。

この結果、下記のダンピング課税が行われる。(  )は仮決定時点での保証金

  ダンピング 反補助金
米国企業
   Hemlock Semiconductor 53.3% (53.3%) 2.1% (6.5%)
REC Solar Grade Silicon 57.0% (57.0%) 0% (0%)
REC Advanced Silicon Materials 57.0% (57.0%) 0% (0%)
MEMC Pasadena 53.6% (53.7%) 0% (0%)
AE Polysilicon 57.0% (57.0%) 2.1% (6.5%)
All Others 57.0% (57.0%) 2.1% (6.5%)
韓国企業
  Woongjin Polysilicon 12.3% (12.3%)  
OCI   2.4% (2.4%)
Hankook Silicon  2.8% (2.8%)
KAM Corp.  48.7% (48.7%)
Innovation Silicon    48.7% (48.7%)
All Others  12.3% (12.3%)

他方、商務部は1月24日、EUから輸入の太陽光パネル用多結晶シリコンの反ダンピング及び反補助金調査でクロの仮決定を行った。

発表では、ダンピングと補助金の損害を認め、被害で出ているとみなした。
ダンピング率も多くの企業が 68.9%としている。

しかし商務部は、「特殊な市場状況を勘案し」、ダンピング税・反補助金税(仮決定のため「保証金」)を課さないとした。

ーーー

これを受け(?)、米商務省は2014年1月23日、中国製の結晶シリコン太陽電池製品などに対して、再度、反ダンピング・反補助金調査を実施する決定を下した。

今回調査対象となった結晶シリコン太陽電池製品には、バッテリー、モジュール、合板、パネル、建築一体化材料などが含まれる。
中国大陸から輸入される同製品の調査のほか、台湾製も反ダンピング調査の対象となる。

ーーー

米国とEUは中国製の太陽光パネルに対し、反ダンピング、反補助金調査を行い、中国はこれに対抗して、太陽光パネル用の多結晶シリコンについて反ダンピング、反補助金調査を行い、対抗した。

2012/11/14 太陽光パネルを巡る貿易戦争

中国はEUに対しては、EU産ワインの反ダンピング、反補助金調査を行った。EUの反ダンピング課税を強く支持したフランスを標的にした報復である。

2013/7/5   中国、EU原産の輸入ワインで反ダンピング&反補助金調査を開始

これまでの経緯は下記の通り。(ADは反ダンピング、CVDは反補助金)

米国 対 中国

  対中国 太陽光パネル 対米国 同左用ポリシリコン 
  (ADは韓国も)
2011/11/9 AD、CVD調査開始  
2012/3/20 CVD仮決定  
2012/5/17 AD仮決定  
2012/7/20   AD、CVD調査開始
2012/10/10 商務部AD、CVD決定  
2012/11/7 ITC 被害認定
AD、CVD最終決定
 
2013/7/18   AD仮決定
2013/9/16   CVD仮決定
2014/1/20   AD、CVD最終決定
2014/1/23 AD、CVD調査実施の決定  


米国による中国製太陽光パネルのダンピング税率は下記の通り。

  最終決定
AD CVD 合計
Wuxi Suntech 21.19 14.78 35.97
Trina Solar 7.78 15.97 23.75
他の59社  15.42 15.24 30.66
他の全て 239.42 15.24 254.66


今回のポリシリコンへの課税は上記に対抗するものである。

EU 対 中国

  対中国 太陽光パネル 対EU 同左用ポリシリコン 
2012/9/6 AD調査開始  
2012/11/1   AD、CVD調査開始
2012/11/8 CVD調査開始  
2013/6/4 AD課税暫定適用
6/6から平均11.8%
8/6
までに改善がみられなければ 47.6%に引き上げ
 
2013/7/1   (ワインのAD、CVD調査開始)
2013/7/23 和解合意  
 
 
2013/8/6 価格協定メーカーは免税
非協定メーカーは47.6%
 
2014/1/24   AD、CVDクロの仮決定
(保証金はなし)

EUのDe Gucht委員(通商担当)は2013年6月21日、北京で中国の高商務相と会談し、太陽光パネル問題の解決に向け協議を続ける方針を確認した後、「中国製太陽光パネル摩擦をめぐり中国と合意できれば、欧州産ワインに対する反ダンピング調査をめぐる問題も解消される」との見解を示した。

EUは7月23日、中国の太陽光パネルのダンピング問題で中国側と和解に達したと発表した。
欧州委員会は8月2日、これを承認、これにより価格協定に参加する中国メーカーは8月6日以降、ダンピング課税を免れることとなった。

2013/7/28 EUと中国、太陽光パネルダンピング問題で和解

今回、中国はダンピングと補助金の存在とそれによる被害を認定する仮決定を行ったが、太陽光パネルでの和解を理由に仮課税を免除した。

おそらく、最終決定までの間にEUとの間で、価格協定その他による和解が行われると思われる。
合わせて、ワインについても妥協が行われると思われる。


米国が対中強攻策を採るのに対し、EU内部ではドイツなど中国との貿易を重視する穏健派の意見が強い。

和解合意前の2013年6月10日付の英Financial Times は「EUは中国への制裁課税を撤回せよ」と題する以下の内容の社説を掲載した。

欧州の多くの国は再生可能エネルギーを優先するため多額の補助金を支給している。そんな状況で太陽光パネルの価格を引き上げるのは、自らの不利益にしかならない。加えて欧州の消費者や中国への供給業者、報復措置による被害者も打撃を受ける。

当然のごとく中国は欧州産ワインの販売に標的を絞った調査で報復した。EU最大のワイン生産国であるフランスはDe Gucht 委員を支持した。対抗制裁は個人を狙ったものでもある。De Gucht 委員自身がワイン醸造業者だった。

現時点での最善策は、De Gucht委員はひとまず方針を撤回し、地に足のついた対応を考えるべきだろう。

 


2014年1月21日付けのBloomberg BusinessWeekの記事が波紋を呼んでいる。

インドの特許局(特許意匠商標総局)は2012年3 月、Bayerと米国のOnyx Pharaceuticalsが共同開発した腎臓がん・肝臓がん治療薬 Sorafenib(ブランド名Nexavar )の特許に関し、初の強制実施権を与えた。

同紙によると、インド政府指名のパネルが、癌に加え、HIVや糖尿病にも強制実施権の適用を検討している。インドには糖尿病患者が65百万人、HIVが210万人いるとされている。

パネルの提案を受け、Department of Industrial Policy and Promotionが強制実施権を与えるかどうかを決定、特許局が手続きを行う。

検討されているのは、MerckのJanuvia とBristol-MyersのOnglyzaの2つの糖尿病薬と、MerckのHIV薬 Isentress、及びBristol-Myersの関節炎薬のOrenciaであるとされ、各社はインドでの特許保護に苦労することになるというもの。

同紙によると、BayerのMarijn Dekkers CEOは、本件について2013年12月3日のロンドンでの会議で以下の通り述べた。

基本的に窃盗だと思う。

これがBayerのビジネスモデルに大きな影響を与えるか? そうではない。本当のところ、Bayerは本製品をインド市場のために開発したのではない。全く正直なところ、この薬を買うことができる西欧の患者のために開発したのだ。
癌の薬だから、高価なのだ。

(同紙は記事が注目されたため、1月28日付けでDekkers発言を当初の要約から全文引用に改めた。)

現在、Nexavarのインド国内での価格は患者1人1年分で6万5千ドルである。

Bayerは現在、 Nexavarの強制実施権に関し、インドで訴訟しているが、インドの最高裁に対し、この価格は無理なく買えるもの("reasonably affordable")と主張しており、矛盾する。今後、裁判に不利な影響を与えると思われる。

The Times of India は「医薬品の開発は金持ち国のためだけか?」というタイトルでこれを報じている。

記事のなかで次のように報じている。
国境なき医師団は声明を出し、この発言は多国籍医薬産業の問題点全てを表している。Bayerは金持ちだけのために医薬品を開発していると認めており、医薬会社は利益だけを追求していると述べた。
利益を生まない病気は無視され、支払えない患者は無視されるとも述べている。

Bayerはこの発言を認め、Dekkersのコメントを配布した。

この発言は業界のフォーラムでのとっさの発言(quick response) であったとし、Bayer は全ての人々が、住む国や所得にかかわりなく、医学の進歩の成果を受けられることを望んでいると付け加えた。
 (「とっさの発言」であるということは本音であることを示している。)

ただし、インドの強制実施権については苛立っていると述べている。

Dekkersはオランダ国籍とともに、知的財産権で厳しい立場をとる米国の市民権も持っている。

ーーー

1995年に発効した貿易関連知的財産権(TRIPS:Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)協定で、医薬品に限らず、政府や政府と契約関係にある機関が非商業目的のために生産するのであれば、特許権者の事前の承諾を得ることなく、その技術を使うことができると定めている。 (強制実施許諾)

背景には、国内外の特許所有者に配慮することなく、宇宙開発や軍事開発を進めたい米国政府の思惑があったとされる。

TRIPS協定では「主として国内市場への供給のために許諾される」旨定めているが、2005年12月に知的所有権の貿易関連の側面に関する協定を改正する議定書が採択された。

開発途上国における公衆の健康の問題に対処するため、特許権者以外の者が感染症に関する医薬品を生産し、これら諸国に輸出することを可能とするよう、加盟国がこのような生産等を認めるための条件を緩和する規定を追加した。

ーーー

インド特許法では強制実施権について以下の通り定めている。

当該特許の付与から3年以上経っており、以下の三つの条件のうち一つでも満たされている場合に申請が受理される。

 (a)特許発明に関する公衆の適正なニーズ(reasonable requirements)が満たされていないこと。

(i)特許製品の需要が十分に満たされていない状態
(ii)特許発明がインド国内において商業スケールで十分に実施されていない状態
(iii)特許製品の輸入により、特許発明がインド国内において商業スケールで実施されるのが妨げられている状態

 (b)特許発明に基づく製品が公衆にとって適正に手頃な(reasonably affordable)価格で入手可能でないこと。

 (c)特許発明がインド国内で実施されていないこと。

特許意匠商標総局長は上記条件のうち一つでも満たされていると認めた場合に、適当と思われる契約内容(ライセンス料率等)のもとで強制実施権を設定できる。

Bayerは、2008年にインドでNexavarの特許を取得し、2009年にインド市場で発売した。

地場の有力な後発医薬品メーカー Natco Pharma は、これの製造販売に関するライセンスをBayerに求めたが、交渉が決裂したことを受け、2011年7月に特許局に対して強制ライセンスの設定を請求した。

インドの特許局(特許意匠商標総局)は2012年3 月、初の強制実施権を認めた。

これにより、Natco Pharma は製造販売が可能となり、Bayerの約3パーセントという超低価格で販売する。
Bayerは特許局が決定した6%のロイヤリティを受け取るが、通常得られる利益と比べれば微々たるものである。

なお、Nexavarの模倣品が2010年からCipla社によって正規品の1/10の価格で販売されている。

  詳細はJETROアジア経済研究所 海外研究員レポート(2012/7) 医薬品特許の強制実施権設定に関する考察

ーーー

国境なき医師団は声明で、利益を生まない病気は無視され、支払えない患者は無視されるとも述べている が、全ての医薬会社がそうではない。

エーザイは2013年10月1日、インド子会社のEisai Pharmaceuticals India が抗がん剤Halavenを新発売したと発表した。

同社が自社開発した新規抗がん剤で、日米欧を初めとする50カ国以上で承認を受けており、インドでは‎乳がん向けで承認を得た。
インドでは毎年約11万5千人の女性が新たに乳がんとして診断されている。

エーザイでは所得に係わらず本剤にアクセスできるよう、患者の所得水準に応じて全額負担から無償まで複数の負担価格を設定する Tiered Pricing を導入した。第三者機関が所得別に患者を5グループに分け、段階的に負担額を増やす仕組みで、最も所得が低い階層は無料となる。

同社ではアルツハイマー型認知症薬アリセプトと胃酸分泌抑制薬パリエットを2005年の発売時より、インドの経済状況や医療環境を考慮した患者の購入しやすい価格(affordable price)で供給している。
 

エーザイは2012年1月30日、世界製薬大手13社の一員として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、WHO、米国および英国政府、世界銀行、および顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)の蔓延国政府とともに、過去最大の国際官民パートナーシップを構築し、2020年までにNTDの10疾患の制圧に向けて共闘していくという共同声明「ロンドン宣言」を発表した。

エーザイは30億円を負担し、リンパ系フィラリア症制圧のため、WHOにDEC(ジエチルカルバマジン)22億錠を無償で提供する。

エーザイの内藤晴夫社長は、「価格はゼロ。究極のaffordable priceだ」と宣言したが、「これはCSR(企業の社会的責任)の枠組みで実施するのではない」、「新興国の健康福祉を向上して経済発展や中間所得者層の拡大に寄与することは、将来の市場形成への長期的な投資である」と主張した。

ロンドン宣言にはPfizer、Sanofi、Merck、Novartis、GlaxoSmithKlineなどが加わっている。
Bayerもこれに
参加しており、シャーガス病治療のニフルチモクスの無償提供を現在の倍量にまで増やす。
 


Rosneft は1月23日、TNK-BPの少数株主の大半の持ち株を買収すると発表した。

ーーー

ロシアのRosneftは2013年3月21日にTNK-BPの買収を完了した。

Rosneftは2012年10月22日、BPとロシアの投資家グループAlfa-Access-Renova(AAR) の合弁のロシアの石油会社TNK-BPを、双方から合計550億ドルで買収することを明らかにした。

2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収 

しかし、問題が残った。

TNK-BPはBPとロシアの3つの財閥の連合のAlfa Access Renova group(AAR)の50/50JVだが、両グループの合意により、子会社のTNK-BP Holdingをモスクワの証券市場に上場しており、その5%を一般株主が保有している。
一般株主はロシアの投資家と
東欧を対象とする国際的な投資ファンドである。

TNK-BP HoldingはRosneftの買収後、RN-Holdingに改称した。

2011年1月に、BPがRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意した際に、AARが、この提携にTNK-BPを除外しているのはTNK-BPの株主契約に違反するとしてロンドンの高等法院に訴え、最終的に白紙となったが、この時に少数株主の一人がTNK-BPの役員でもあるBPの役員を訴えている。

TNK-BP Holdingの一般株主は、RosneftがBPとAARから買い取った価格での保有株式の買い取りを要望した。
AARからの買収価格は1株
$3.70 とされる。

それに対し、RosneftはTNK-BP Holding の少数株主の持分の購入は検討しておらず、この件についていかなる義務も有していないと発表した。
また、TNK-BP Holding の株主には配当を支払わないとした。

一般株主はこれに反発、政治問題にもなった。株価も下落した。

2013年9月末にRosneft の取締役会はRN Holding (旧称 TNK-BP Holding) の少数株主の持ち株買収を決議した。

買い取り価格は普通株 1株 67ルーブル ($2.06) 、優先株 55ルーブルで、これは9月26日以前18ヶ月の平均株価と独立した鑑定人の鑑定に基づく。ロシアの株価はロシアに対する国際投資家のいろいろの懸念から、このところ下落している。

これに対し、少数株主側はAARが売却したとされる1株 $3.70 と比べ安すぎるとして反発した。

しかし、Rosneftは 、売却の応募がない場合は上場廃止にすると述べ、2013年11月に2014年1月20日を期限とする少数株主保有株全ての買取の公告を行った。

今回のRosneftの発表では、少数株主の保有株式の98.23%に相当する株の売却申し込みがあった。2月19日に支払いを行う。

ーーー

これとは別にRosneftは2013年10月、RN-Holdingの株の9.989%を 2013年7-9月期中に第3者の投資家に970億ルーブル(約30億ドル)で売却したことを明らかにした。 証券市場で時価で売却したとしている。

なお、TNK-BPの7-9月期決算の純利益は、前年同期の350億ルーブル(約1050億円)から8倍増の2800億ルーブル(約8400億円)となった。
これには、TNK-BPの資産の再評価益 1670億ルーブル(約5000億円)が含まれる。




財務省は1月27日に2013年の貿易統計(速報、通関ベース)を発表した。

輸出は自動車、有機化合物等が増加し、対前年比 9.5%の増加となった。また、輸入は原粗油、液化天然ガス等が増加し、15.0%の増加となった。その結果、差引額は▲11兆4745億円となった。

  輸出 輸入 差引
2010 67兆3996億円 60兆7650億円 6兆6347億円
2011 65兆5465億円 68兆1112億円 -2兆5647億円
2012 63兆7476億円 70兆6886億円 -6兆9411億円
2013 69兆7877億円 81兆2622億円 -11兆4745億円



地域別には以下の通り。



   
 


   
 
   



地域別の貿易収支は下記の通り。


2013年の平均為替レートは1ドル=96.91円となり、2012年の1ドル=79.55円から21.8%下落した。

輸出金額は前年比で9.5%の増となったが、数量指数は逆に1.5%の減である。
輸入金額は15.0%増えたが、数量指数は0.4%の伸びに止まっている。

鉱物性燃料の輸入額は前年の24兆782億円から27兆4353億円に3兆3571億円の増加となった。

原油の輸入量は前年比0.6%減ったものの、輸入額は16.3%増加した。
LNGも輸入量が同0.2%の微増だったが、額は17.5%膨らんだ。


 

 


東邦チタニウムは1月22日、サウジでスポンジチタンを製造販売するJVを設立する基本合意の覚書を締結したと発表した。

JVの相手は、サウジの酸化チタンメーカーのCristal(The National Titanium Dioxide)とその親会社のTasnee(The National Industrialization Company)で、Yanbu 工業団地のCristal の酸化チタン工場の隣に、年産15,600トンのスポンジチタン製造工場を建設する。
投資額は約420 百万米ドルで、2016年末の完成を目指す。

JV名:未定
株主:東邦チタニウム 35.0%
             Cristal  32.5%
             Tasnee 32.5%

原料の四塩化チタンは隣接するCristalの酸化チタン工場から安定的に供給を受ける。
東邦チタニウムのスポンジチタン製造における先進的な技術の供与と、サウジアラビア国内の安価な電力代により、世界的に卓越したコスト競争力を有する。

製造したスポンジチタンは、Cristal を通じて湾岸協力会議加盟国内での淡水化プラント、発電所、化学プラント等の一般工業向け需要へ販売するとともに、東邦チタニウムが同社の顧客の需要に向けても販売する。

当事業は、日サ両国政府が推進する「日本・サウジアラビア産業協力事業」(実施機関は中東協力センター)の支援対象となって いる。

東邦チタニウムは、永年に亘りサウジアラビアにおける知見・信頼関係を培って いるJXグループの支援を受けつつこれらを最大限活用し、当事業を推進する。(東邦チタニウムにはJXホールディングスが50.31%出資している。)

ーーー

スポンジチタンは多孔質の中間原料で、管や板の形に加工してプラントの熱交換器などの素材になる。

東邦チタニウムの製法は、生成したスポンジチタン中に含まれている金属マグネシウム及び塩化マグネシウムを分離除去するために高真空蒸留法を採用しており、高品質のスポンジチタンが得られる。

製造工程は以下の通り。

(1)塩化:チタン鉱石(ルチル)の中の酸化チタンを塩素ガスと反応させて四塩化チタン(TiCl4)を製造。

(2)蒸留:四塩化チタンを蒸留により精製

    ガス状の四塩化チタンを冷却して液状にした後、高温で酸素と反応させ、
         
塩素ガスを分離すると酸化チタンとなる。

(3)還元・分離:精製された四塩化チタンに溶融金属マグネシウムを反応させ,多孔質で塊状のスポンジチタンを製造。

 

 

なお、酸化チタンの製法には上記の塩素法のほかに、硫酸法がある。欧米では塩素法、日本では硫酸法が主流である。

硫酸法は原料(イルメナイト鉱石)を濃硫酸に溶解させ、不純物である鉄分を硫酸鉄(FeSO4)として分離し、一度オキシ硫酸チタン(TiOSO4)にする。これを加水分解し、沈殿したオキシ水酸化チタン(TiO(OH)2)を洗浄・乾燥し、焼成することによって酸化チタンを得る。


ーーー

National Titanium Dioxide  (Cristal) 世界第2位の酸化チタンメーカーで、Tasnee66%、湾岸6カ国が均等出資する Gulf Investment CorporationGIC33%出資している。残り1%は個人投資家。

Yanbu Al-Sinaiyah 工場で酸化チタンを1991年から生産しており、2002年に3万トン増強して10万トンになった。設計能力は18万トン。

2007年5月にLyondell から酸化チタンメーカーMillennium Inorganic Chemicals を負債込み12億ドルで買収した。

生産能力は67万トンで、米国に2箇所(Ashtabula, OH と Baltimore, MD)、ブラジル(Salvador, Bahia)、英国(Stallingborough)、フランス(Thann)及び豪州(Bunbury)に工場を、ブラジルのParaibaにチタン鉱山を持つ。

2007/3/5 Lyondell、酸化チタン事業をサウジ社に売却

2008年には豪州の鉱山会社 Bemax and International Titanium Powder を買収、Cristal Miningと改称した。
leucoxene、rutile、zircon などを生産する。




INEOS は1月20日、ベトナムのPhu Yen省のHoa Tam Industrial Zoneで製油所建設を計画しているVung Ro Petroleum が年産90万トンのポリプロ計画でInnovene PP プロセスを選択したと発表した。

Vung Ro Petroleum は2013年11月にLummus Technologyとの間で、エチレン回収とOCT(エチレンとブチレンからプロピレンを製造)に関するライセンス・エンジニアリング・技術サービス契約を締結している。

Vung Ro Petroleum は英国の投資会社Technostar Management とロシアのTelloil GroupとのJVで、Hoa Tam Industrial Zoneに40億ドルを投じて、製油所(LPG, Gasoline, Jet Fuel, Diesel, Fuel Oil) と石化プラント(BTXと年産90万トンのPP)の建設を計画している。

ーーー

ベトナム政府は2007年9月に製油所の建設計画を明らかにした。9つの製油所を建設し、2025 年までに国内需要の90%を自国内の製油所でカバーするとし、原油処理能力の目標値を日量 111~121万バレルとした。

 

しかし、確定したのは3つのみ。

① 現在稼働しているのはPetroVietnam のズンクワット(Dung Quat)製油所で、2009年に稼働した。
能力は日量14.8万バレルで、同社は増設を検討中。

② 出光興産と三井化学は6月6日、両社とクウェート国際石油、ペトロベトナムとの合弁事業である総投資額約90億米ドルのNghi Son 製油所・石油化学コンプレックス建設プロジェクトの最終投資決定を行ったと発表した。

 石化計画:
 パラキシレン   70万トン/年
 ポリプロピレン 37万トン/年


   2013/6/11 出光興産と三井化学、ベトナムのNghi Son 製油所・石油化学コンプレックスへの最終投資決定

Lon Son製油所はタイのSiam Cementグループとベトナム側のJV。

この製油所に隣接し、タイのSiam Cementグループとベトナム側のJVのLong Son Petrochemical が石化コンプレックスを建設する。
2012年1月、Qatar Petroleum がこれに参加することが明らかになった。

報道によると、コンプレックスはオレフィン 165万トン、ポリオレフィン(HDPE、LDPE、PP) 145万トン、苛性ソーダ 28万トン、EDC 33万トン、VCM 40万トンなどからなる。

2008/8/25 ベトナム最大の石化コンプレックス、9月に建設着工

ーーー

Vung Ro Petroleum は2007年11月に製油能力 400万トンで投資ライセンスを取得した。

2013年12月初めに、同社の能力は400万トンから800万トンにアップした。
Nguyen Tan Dung 首相がPhu Yen省から要請を受け、承認した。
最終ライセンス取得までには、環境安全面の条件を満たす必要がある。

Vung Ro Petroleum は開発中の Hoa Tam Industrial Zoneに538ヘクタールの土地を確保した。
Vung Ro Bayの10km北、Tuy Hoa Airportの15 km 南にあり、Bai Goc deepwater seaport に近い。

 




ブラジルのBraskemの親会社のOdebrecht は2013年末に、SABIC Innovative PlasticsからWest Virginia州 WashingtonにあるSABIC Innovative Plasticsの工場用地を11百万ドルで購入し、最近登記された。

工場はOhio州との州境のオハイオ川沿いに立地し、Marcellus Shaleエリア内にある。


SABIC Innovative Plastics は2013年11月にこの工場を2015年に閉鎖すると発表している。
同社では熱可塑性樹脂の米国での生産統合を図っており、この工場での生産は2015年にイリノイ州Ottawaとミシシッピー州Bay St. Louisに移す。


Odebrecht は2013年11月に同州知事と共同で、同地にエタンクラッカーと3つのPEプラント及び水処理、コジェネレーションなどの付帯設備を建設する計画を発表した。この計画はAppalachian Shale Cracker Enterprise(略称 Ascent)と呼ばれる。

この計画は最終決定されていないが、土地の買収が明らかになったことで、今後計画が進行すると期待されている。

Odebrechtが全体の計画と資金及び水処理、コジェネレーションを担当し、Braskemが石油化学関連を担当する。

ーーー

Braskem2010年に米国の石油会社Sunocoからポリプロ事業を買収し、ペンシルベニア州Marcus Hook、テキサス州La Porte、ウエストバージニア州Neal3工場を取得した。

2010/2/3 Sunoco、ポリプロ事業をブラジルのBraskemに売却

Braskemは2011年7月にはDowからポリプロ事業(米国の2工場とドイツの2工場、および、在庫、事業ノウハウ、特定の技術、需要家リスト)を340百万ドルで買収した。
米国の工場はテキサスの
Freeport Seadriftにあり、合計能力は50万トン。(後者は100%子会社のUCCの工場)
ドイツの工場は
Schkopau Wesselingにあり、合計能力は54.5万トンとなっている。

Braskemは今回の買収で米国の能力は5割増しの140万トンになるとしている。

2011/7/28 Dow、ポリプロ事業をブラジルのBraskemに売却 

BraskemのCEOは2011年4月、シェールガスを利用して米国でエチレンとポリエチレンの製造を行いたいと述べた。

ーーー

本件とは別に、Braskemは2014年1月15日、Siluria Technologies との間で、天然ガスのなかのメタンを直接エチレンに変換するSiluria のメタン酸化結合(OCM:oxidative coupling of methane) 技術を展開するための幅広い協力関係を締結した。

Siluria Technologies のCEO Edward J. Dineenは 2013年1月にバイオ燃料会社LS9のCEOを退任し、マサチューセッツ工科大学(MIT)Dr. Angela Belcher が開発したメタンをエチレンに変換するOCM技術の商業化に取り組んでいる。

OCM技術:

Siluria TechnologiesのOCM技術は、Steam cracking とは異なり、触媒プロセスであり、メタンを直接エチレンに転換する。

2CH4 + O2 → C2H4  + 2H2O

Crackingするのではなく Coupling することにより、エネルギーを使わず、逆にエネルギーを産み出す。

触媒製造に当たってはBiomaterial templating、Nanowire Synthetic という独自の技術を使用する。通常、触媒のスクリーニングに当たっては、触媒ごとに1~2日かかるが、同社の High-throughput screening では同じ時間で数百の触媒のスクリーニングが可能である。
同社ではこの3つの技術を組み合わせ、新しい触媒を次々に手に入れている。

両社はBraskemの テキサス州La Porteの工場にデモンストレーションプラントを建設し、2014年第4四半期から共同で メタンからのエチレン製造のテストを行う。Braskemが土地、インフラ、操業でサポートする。

また、Siluriaの技術をBraskemが利用する非独占権利を与えるとともに、将来の SiluriaのプラントからBraskemがエチレンを購入するオプション、OCM技術を使用するBraskemの計画に Siluriaが資本参加する可能性などのことが含まれている。

 

現在、Braskemを初め、各社が計画しているシェール由来のエチレン計画は、シェールガスに付随して出るNGL(天然ガス液)のなかのエタンを原料にする 。

OCM技術が完成すれば、シェールガスのメタン(殆どが燃料として使用される)からエチレンが製造できることとな り、更に大幅にコストダウンできることとなる。


 


 



 

BPは1月15日、2035年までのエネルギーの需給予想 "BP Energy Outlook 2035" を発表した。
http://www.bp.com/content/dam/bp/pdf/Energy-economics/Energy-Outlook/Energy_Outlook_2035_booklet.pdf

グローバルのエネルギー需要は伸びるが、伸びは緩やかになり、主に途上国主導となっている。

エネルギー需要は2012年から2035年までの間に41%増加する(年率1.5%)。過去23年間では55%の伸びであった。
2020年までは年率2%だが、それ以降は年率1.2%に減る。

需要の伸びの95%は non-OECD諸国のものであり、中国とインドが増加分の半分以上を占める。
2035年には
non-OECD諸国のエネルギー消費は2012年の消費より69%増える。
北米・欧州・アジアの先進国(OECD諸国)の伸びは非常に緩やか(5%増)で、2030年以降は経済は成長するがエネルギー消費は下落し始める。

エネルギーソース別では2035年時点で化石燃料(石油、天然ガス、石炭)はそれぞれが全体のほぼ27%を占め、原子力、水力、再生可能エネルギーは5~7%となっている。

化石燃料のなかでは、天然ガスの伸びが大きい。発電やその他部門で、よりクリーンなものとして石炭に置き換わっている。

 

 石油:

石油の需要の伸びは平均して年率0.8%の伸びと、主要燃料では最も伸びが少ない。
需要の伸びの殆どは中国、インド、中東である。

石油の供給増は主に米大陸と中東で、半分以上はnon-OPEC である。
米のタイトオイル、カナダのオイルサンド、ブラジルの深海油田とバイオ燃料が他のソースの減少を補う。
OPECのシェアは早い時点で減少する。


 天然ガス:

天然ガスは化石燃料のなかで最も伸びが大きく、需要は年率1.9%で増える。
 Non-OECD諸国が需要の伸びの78%を占める。
産業用と発電用の需要が大きい。

LNGでの輸入はガスの消費の2倍以上の伸び(年率3.9%)で増え、2035年までのガスの需要増の26%を占める。


シェールガス供給は天然ガスの需要の伸びのうちの46%をカバーする。2035年には世界の年々ガスの21%、米国の天然ガス生産の68%を占める。
北米のシェールガスの生産の伸びは2020年以降は緩やかになり、他の地域の生産が増えるが、それでも、2035年時点で北米のシェールガスは全世界のシェールガス生産の71%を占める。


 石炭:
石炭は石油に次いで伸びは緩やかで、2035年までの需要の伸びは年率1.1%である。
2020年以降の伸びは0.6%にとどまる。
需要の伸びは中国とインドのみにとどまる。両国の需要の合計は2012年で世界の58%、2035年では64%にも及ぶ。

 その他:

核エネルギーは2035年まで年率1.9%で伸びる。
中国、インド、ロシアが増加分の96%を占め、米国やEUはプラント停止で減少する。

水力発電は年率1.8%で増加、増加の半分が中国、インド、ブラジルである。

 

部門別の需要推移は下記の通り。


BP のCEOのBob Dudleyは3つの大きな問題点を指摘する。
1)需要の伸びに応じた供給があるか? (Supply sufficient ?)
2)確実に供給できるか? (Secure?)
3)供給した後は?(Sustainable ?)

Bob Dudleyの答えは以下の通り。

1)の答えは Yes であるとする。

需要の伸びが過去よりも緩やかなのは省エネのお陰である。
技術、投資、政策の動向を見ると、供給はついてくると言える。
シェールガス、タイトオイル、再生可能エネルギーのような新しいタイプのエネルギーが供給の伸びの大きな部分を占める。

2)についてはいろいろな見方があるが、明るい見通しの方が強い。

米国はエネルギー輸入国から自給国に変わりつつあるが、欧州や中国、インドの輸入依存度は増える。
アジアはエネルギー輸入で大きな割合を占める。
大消費地域に向けた新しいサプライチェーンができ、市場が機能すれば心配はない。

3)sustainabilityについては、

グローバルな二酸化炭素排出量は29%増加し、伸びの全ては途上国である。
天然ガスや再生可能エネルギーが石炭や石油に取って代わる、欧州や北米の排出量は減少が見込まれるなど、明るい兆しがある。
多くの先進国で経済は伸びるがエネルギー消費は減ると思われる。

 

 

 

韓国のS-Oilに35%出資しているSaudi Aramcoが、韓国の韓進 グループが所有するS-Oilの株式28.4%を買い取ることが分かった。
最近の株価では買収額は22億ドルになる。買収後のAramcoの出資比率は63.4%となる。

韓進グループは、傘下に海運会社の韓進海運、航空会社の大韓航空(KAL)、陸運会社の韓進などを持つ財閥で物流を中心に事業を展開している。
韓進重工業も元は同一グループであったが、2005年に別グループとして独立した。

韓進グループは2007年に韓進エナジーを設立し、S-OiLの株式28.4%を取得した。

KALと韓進海運の使用する燃料を安価に入手することを狙った。
両社の燃料購入先はGSカルテックスとSKの2社が65%以上を占めていたため、S-Oilにとっても安定供給先の確保ができ、メリットがあった。

2007/3/9  韓国の石油精製 S-Oil に韓進グループが参加


2008年のグローバル経済危機で、海運業は大きな打撃を受け、韓国3、4位企業だったSTX Pan Oceanは2013年6月、大韓海運は2011年1月に法定管理に入り、"2強"の韓進海運と現代商船も2010年から赤字が続いている。

韓進海運の負債総額は急増し、負債比率は2010年末に261%であったのが、2013年6月には775%にもなった。金融機関から背を向けられ、債務返済資金が調達できず、大韓航空に支援を要請した。

大韓航空は2013年12月19日、公開経営説明会を開き、グループの「自救計画」を発表した。

韓進グループは株式、不動産、航空機を売却し、3兆5000億ウォン(33億ドル)を調達、韓進海運への支援資金とする。

売却対象:
 韓進エナジー保有のS-Oil株 28.4% 全て(時価22億ドル)
 
航空機13機ボーイング747-400、ボーイング777-200など機齢が高く燃料の消耗が多い旧型航空機
 
栗島(ユルド)備蓄油基地や教育院などの不動産

S-Oil株はS-Oilの株主であるSaudi Aramcoに売却する。


SaudiAramcoはS-Oilに1991年以降 35%出資している。
(SaudiAramcoは日本では昭和シェル石油に15%の出資をしている。)


 



欧州委員会は2013年12月18日、ドイツの再生可能エネルギー法(EEGErneuerbare-Energien-Gesetz )の2012年改正で、電力集約的な製造業者が賦課金を軽減されていることについて調査を開始すると発表した。

現在、BASF やThyssenKruppなど、ドイツの重工業の2,000社以上が恩恵を受けている。

合わせて、電力供給事業者が、供給する電力の50% 以上が再生可能エネルギーによる電力である場合、自社で消費する電力の賦課金が軽減されていること ("green electricity privilege") についても調査を行う。

欧州委員会が違法とみなせば、(これまでの分を遡及して支払いをさせる可能性が強く)、恩恵を受けていた各社は数十億ユーロを支払う必要が出てくる。
しかし、Merkel 首相は雇用に悪影響を与える法律改正は断固ブロックすると述べた。

ーーー

ドイツでは、1991 年に制定された電力供給法と、この法律を引き継いで2000 年に制定された再生可能エネルギー法(EEG)により、再生可能エネルギーによる発電を現在まで順調に伸ばしてきた。

EEGでは再生可能エネルギーの固定価格買取と、消費者の賦課金が決められている。

賦課金(2013年は1キロワットあたり5.3セント)については従来から軽減規定があるが、2012年法で一部改正された。
 

・電力集約的な製造業者
  これまでも、電力集約的な製造業者の賦課金の支払義務は軽減されてきたが、この軽減措置を受けることができる対象の範囲が拡大された。
     
  従来: 直前の事業年度の電力消費量が10ギガワット時超、かつ、企業の粗付加価値に対する電力費用の割合が15% 超である企業
  改正: 直前の事業年度の電力消費量が1ギガワット時以上、企業の粗付加価値に対する電力費用の割合が14% 以上
     
  賦課金軽減が開始されて以降、認定を受ける企業の数は上がり、軽減分の転嫁を受けて一般電気料金が上昇を続けている。
改正で条件が引き下げられた為、ますます多くの企業が免除の申請を行っている。
     
・電力供給事業者
 
  電力供給事業者は下記の場合、自社で消費する電力のすべてについて賦課金の支払いを免除されていた。
2012年からはこうした企業に対する減免の上限は1kWあたり2セントとなった。
     
  従来: 電力供給事業者が供給する電力中、50% 以上が国内の再生可能エネルギーによる電力である場合
  改正: これに加えて、20%以上が風力又は太陽光による電力である場合
     
・自家発電等
  従来: 最終消費者が自家発電した電力を消費する場合
  改正: 自家発電した電力を発電施設に近接した場所において自家消費する場合に限る。


2012年1月1日から施行された「2012年法」では、再生可能エネルギーによる発電を一層促進するために、エネルギー計画の目標が取り入れられ、再生可能エネルギーによる電力の買取価格(「補償金額」)が見直されたほか、再生可能エネルギーによる発電量が増大してきたことにかんがみて、再生可能エネルギーによる電力と従来電力との市場統合を促す規定が定められた。

2012年法での仕組みは下記の通り。


系統運用者は再生可能エネルギーによる発電施設を優先的に送配電網に連系し、その電力を買い取る。

系統運用者は、送電系統運用者にこの電力を転売する。

送電系統運用者は、再生可能エネルギーによる電力を電力市場で差別なく販売する。

従来は、再生可能エネルギーによる電力を、電力供給量の割合に応じて電力供給事業者に再販売していた。

送電系統運用者は、補償のために必要な支出と再生可能エネルギーによる電力を販売して得た収入との差額=「賦課金」を、電力供給事業者に対して要求する。

ソース:ドイツの2012 年再生可能エネルギー法

 参考  

 送電系統運用者

名称 Tennet Amprion Transnet BW 50 Hertz
管轄地域 中央部 旧西ドイツエリア 南西部 北東部
  オランダの国営TSOが買収 株式の約25%をRWEが保有 EnBWの子会社 ベルギーのTSO Eliaグループ

 
 四大電力会社

名称 E.ON AG RWE AG EnBW Energie
Baden-Württemberg
Vattenfall Europe
管轄地域 中央部 旧西ドイツエリア 南西部 北東部
  ドイツ最大の電力会社(欧州2位)
 
  株式の大半をエリアの州及び市町村が所有 スウェーデン国営会社のドイツ事業法人


欧州委員会は電力集約的な製造業者への軽減について、これまで問題視していなかったが、2012年の改正により、問題である可能性が出てきたとしている。

改正により、送電系統運用者4社が賦課金の管理を行い、政府がこれをモニターすることとなった。
軽減については多くの消費者や対象とならない業者から不満が出ているが、政府が関与する仕組みとなったため、政府の補助金の可能性が出てきた。
(以前のシステムでは単に購買契約に基づくもので、政府の補助金ではないとの欧州司法裁判所の判決がある。)

軽減は電力消費量が1ギガワット時以上で、企業の粗付加価値に対する電力費用の割合が14% 以上の企業に限定されており、EU市場内における競争を歪める恐れがあるとみている。

ただし、カーボン排出削減のために正当化できるかもしれないとの考えもあり、電力集約的な製造業者への軽減が正当化できるかどうか、不当に競争を歪めていないかを慎重に検討する。


再生可能電力に対する固定費買取価格そのものについては補助金であるが、欧州委員会は2008年のガイドラインで環境保護のための政府補助金を認めている。


"green electricity privilege" については、電力供給事業者が供給する電力中、50% 以上が再生可能エネルギーによる電力である場合に軽減されるが、国内の再生可能エネルギー(20年未満の稼動のもの)に限られるため、同様の設備であっても、国内の電力であるか輸入電力であるかの差別がある。
輸入電力が地元で同様の支援を受けていない場合に、差別があるかどうかを調査する。

 

 

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