「no」と一致するもの

韓国の鉄鋼メーカーPOSCO は8月25日、モンゴルで同国最大企業のMCS Group と共同でCoal-to-liquid (CTL) 事業を行うことを明らかにした。現在、モンゴル鉱山局の認可待ち。

MCSとの50/50 JV Baganuur Energy Corp.で、石炭を熱分解して合成ガスを生産、これから年産10万トンのDMEと45万トンのディーゼルオイルを生産する。200MWの発電所も建設する。

投資額は20億ドルで、2018年末の完成を見込む。

ディーゼルオイルは主に炭鉱で使用される。MCS自体が南モンゴルに炭鉱を持ち、年に20~30万トンのディーゼルオイルを使用している。
DMTはLPGよりも安く、他の化石燃料と比べカーボンや粒子の排出が少なく、大気汚染対策に役立つと期待される。

POSCOはこれを通じ、世界で10位の石炭埋蔵量を持つモンゴルで資源開発の足場を確保する。

POSCOでは、これは同社のエネルギー事業をグローバルに展開するための第一歩であり、単に利益を求めるのではなく、モンゴルの開発に貢献しうる事業を築くものであるとしている。

相手のMCSは1993年設立で、現在、エネルギー、インフラ、IT、通信技術、飲料、繊維、不動産、鉱業等、幅広い事業を行っている。

モンゴルでは燃料を輸入燃料(92%はロシアから)と低品位の石炭に依存しており、低品位石炭は大気汚染の原因となっている。
POSCOとMCSは2010年以来、問題解決手段としてCTL事業を推進してきた。
昨年、カナダのHatchを使ってFSを実施した後、本年5月にBaganuur Energyを設立した。

モンゴル政府もエネルギー問題解決の手段としてCTLに期待しており、税務上の恩典等により本計画をサポートする。

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Baganuur Energyは首都Ulaanbaatarの東方 20分のBaganuur Districtに工場を建設、近くのBaganuur炭鉱の石炭を原料に年産10万トンのDMEと45万トンのディーゼルオイルを生産する。近くに鉄道と川があり、輸送に便利な場所である。

Baganuur炭鉱は政府が70%出資しており、埋蔵量は7億トン以上とされる。
今後60年は使用できるとされる。


Poscoは現在、全羅南道光陽市で年産50万トンの合成天然ガス(SNG)プラントを建設中で、2014年6月に生産開始を予定している。
同社によると、モンゴルのCTLプラントは光陽のプラントと75%は類似しているという。

POSCOは今回のCTL事業に加え、Ulaanbaatarで計画されている石炭火力IPP事業「Combined Heat and Power Plant No.5」において、フランスのInternational Power GDF Suez、モンゴルのNewcom Group、日本の双日との4社でコンソーシアムを組成、このたび優先交渉権を獲得した。

双日の発表(2013/7/6)によると、双日、GDF Suez、POSCO Energyの3社がそれぞれ30%、Newcomが10%の比率で出資する。

450MWの電気と587MWtの熱を作り出す熱電併給プラントを建設、2016年の運転開始で、Ulaanbaatarを含む中央地域における電力需要量(約960MW)の約50%を供給することが可能となる。

業界筋では、POSCOは、製鉄事業が頭打ちになっているためエネルギーや資源分野を拡大しようとしており、いろいろの事業で評判を確立したのちに、モンゴルで鉱山開発に乗り出すのではないかとみている。

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モンゴルではドイツのThyssenKruppもCTLプラントと熱回収コークス製造設備の建設についてモンゴル政府との契約を締結している。

2012年3月にモンゴル大統領がドイツを訪問した際に、ThyssenKrupp Uhdeとモンゴル政府はCTLプラントと熱回収コークス製造設備(窯出しされた赤熱コークスの顕熱を蒸気又は電気エネルギーとして回収するもの)の建設の2つの覚書を調印した。FSは既に実施済み。

同時に、ThyssenKruppはIndustrial Corporation of Mongoliaに対し、PRENFLO® 石炭ガス化技術をライセンスした。

 



BASFは8月22日、日揮との間で、BASF のガス精製技術 OASE®のライセンス契約を締結した と発表した。

日揮が苫小牧に建設する日本初のCCS (Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素の分離回収・貯留)トータルシステムの実証設備に技術をライセンスする。

出光興産北海道製油所の水素製造装置から供給される燃料ガスに含まれる二酸化炭素( CO2 )を回収するもので、年間約 20 万トンの CO2 を回収する。
また、この技術によるガス精製処理後の主に水素とメタンからなるクリーン・ガスを、CCS 設備で使用するスチームや電気などの生成に利用することができる。

BASF のガス精製技術は、その他の方法と比べて、分離回収にかかるエネルギー消費量が少なくて 済む。
ライセンスには、ガス精製技術に加え、必要な薬液と関連サービスも含まれる。

東洋エンジニアリングのホームページでは、同社は1984年にBASFのOASEプロセスのAuthorized Engineering Companyとなり、ライセンス及び基本設計の代行業務を行っているとなっている。

事情不明だが、今回は日揮が受注したため、日揮との間でライセンス契約を結んだと思われる。

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2008年5月、地球温暖化対策としてのCCSを推進するという国の方針に呼応する形で、電力、石油精製、石油開発、プラントエンジニアリング等、CCS各分野の専門技術を有する大手民間会社が結集して日本CCS調査株式会社が設立された。

経産省は2020年以降のCCS実用化(年間100万トン規模)に向けて実証試験を 計画、2008年度より複数の候補地で地質調査等を進め、2011年12月に北海道苫小牧を実証試験地として選定した。

2012年2月、日本CCS調査に二酸化炭素を含有する原料ガスから二酸化炭素を分離・回収し、圧縮から輸送、圧入、地中貯留、モニタリングまでを一貫して行う実証試験事業 を委託した。

日揮は日本CCS調査による入札の結果、原料ガスから二酸化炭素を分離・回収・圧縮し、圧入井への輸送を行う本事業の地上設備に係る設計、機材調達、建設工事および試運転役務を担当 する。

最大年間20万トンの二酸化炭素を分離・回収・圧縮する設備と地下へCO2を圧入する設備を設計・建設するとともに、2坑の圧入井 (海底下約1,000mと約3,000m)を掘削する。
納期は2016年1月末となっている。

概要は以下の通り。

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日本CCS調査のホームページでは世界の主なCCSプロジェクトを紹介している。(一部修正、補足)

  立地 圧入開始 貯留 圧入量  
ノルウェー Sleipnerガス田
(北海)
1996 海底下800m〜1000m
炭化水素貯留層の上にある深部塩水層
年間100万トン StatoilHydroが開発する天然ガスには基準(2.5%)より多い9%のCO2が含まれるため、余分のCO2を回収。

Snoehvit ガス田
バレンツ海)
2008 海底下2600m
塩水層
年間70万トン 天然ガスからCO2を分離、圧入

カナダ Weyburn

 

2000 地下1500m 年間100万トン North Dakotaで石炭ガス化で分離したCO2を323kmのpipelineで輸送し、油層に圧入 し、石油増進回収(EOR=enhanced oil recovery)に使用
アルジェリア In Salah
 
2004 地下1800m
深部の塩水層
年間100万トン 天然ガスからCO2を分離、圧入

フランス Lacq
(実証)
 
2009 地下4500m 12万トン/2年 発電プラントからのCO2を生産終了ガス田に圧入
(Totalが担当)

豪州 Otway
(実証)
 
2008 地下2050m 6.5万トン/3年 ガス田からのCO2を枯渇ガス田に圧入

米国 Mountaineer
(実証)
 
2009 地下2500m 3.7万トン/2年半 石炭火力発電プラントからのCO2を帯水層に圧入
American Electric Powerとエネルギー省がコストを 分担)

2011年に商業規模での事業化を凍結
米国での不明確な温暖化政策や経済状況の低迷を考慮




ルイジアナ州裁の陪審員は8月21日、アスベストの使用で癌(中皮腫)にかかった従業員に対し、Dowの責任を認め、595万ドルの賠償金支払いを命じた。

原告側弁護士は、Dowは数千人の従業員をアスベストの危険に晒しており、今回の従業員は数百人の癌の被害者の1人に過ぎないとしている。

提出された記録によると、ほとんどの化学会社が数十年前にアスベスト使用を止めているのに対し、Dowは、アスベストを含まない代替品と比べて約10%安いという理由で、世界中の製造設備でアスベストを使い続けている。

同社はEPAによるアスベスト禁止に対する反対のロビー活動を行った。
米国ではEPAにアスベスト使用を認めるよう運動して成功、海外でもアスベスト禁止に対して争っている。

裁判資料では、Dowは"cost per cancer" 分析を行い、全てのプラントでアスベストを使わない方法に変更した場合、12億ドル以上が必要と判断した。
1970年に従業員や契約労働者が(直接アスベストを扱わない人を含め)中皮腫などの癌になる可能性を予測しながら、アスベストの使用継続がコスト的に有利であるとした。

現在もアスベストの使用を継続している。

従業員の発癌の可能性を予測しながら、損益計算をしてアスベスト使用を継続したというのが本当なら、恐ろしい会社である。
Agent Orange、Bhopal、Dioxinなどへの対応も含め、社会的責任をどう考えているのだろうか。

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アスベストについては、1972年にILO、WHOの専門家会合で石綿の癌原生を指摘した。

日本では1975年に吹付け石綿の原則禁止、1976年に石綿代替促進通達が出された。
1987年に業界自主規制で使用禁止とし、1995年に使用禁止となった。

欧州でも1991年にオランダ、92年にイタリア、93年にドイツで全石綿の原則使用禁止となり、1999年にEUが全石綿の使用禁止を決定した。
(1997年のフランスの使用禁止に対し、最大の輸出国のカナダがWTOに提訴したが、WTOは2001年にフランスとEUを支持、貿易制限措置を容認した。)

 

米国では、WHOが使用禁止を勧告した1989年にEPAが石綿の使用禁止規定を制定した。

官報で、「1997年までに3段階にわたり、ほとんどの石綿含有製品の製造、輸入、加工および商業的流通を禁止する」とした。

しかし、1991年10月18日に米国連邦高等裁判所はこのEPA規制は無効であるとの判決を下した。

ただし、高裁は1989年7月のEPA規制公布日の時点で、製造、輸入あるいは販売などが行われていない石綿含有製品と、新しい石綿および石綿含有製品の使用については禁止することができる とした。

EPAはこれに基づき、石綿セメント管用テープ、ルーフィングフェルト、ビニル石綿タイルなど14品目と石綿の新用途を禁止する旨の通達を1992年4月に出した。

これに対して米国の業界が、これらのうちの多くが1989年時点で輸入されたり、製造されたりしていたとの書類を提出した。
その結果、EPAは1993年11月に以下の18品目を禁止品目から除外した。

石綿スレート波板、石綿スレート平板、石綿織布、パイプライン・ラップ、ルーフィング・フェルト、ビニル石綿床タイル、石綿セメント屋根板、石綿板(以上8品目は禁止14品目に含まれていたもの)
石綿セメント管、トランスミッション部品、クラッチ・フェーシング、摩擦材、ディスク・ブレーキ・パッド、ドラム・ブレーキ・ライニング、ブレーキ・ブロック、ガスケット、ノン・ルーフィング・コーティング、ルーフィング・コーティング

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Dow Chemical はHome Pageに「Issues & Challenges」というページを持ち、同社の抱える4つの問題点(Agent Orange、Asbestos、Bhopal、Dioxin)について同社の立場、観点を説明している。

Asbestoについては以下の通り。(2013年2月15日更新)

Dowと子会社の UCCはアスベスト製品の工場での使用(及び、UCCの場合はアスベスト繊維等の販売)に際して政府の規則、業界の基準に従がっている。

過度に曝露されて発症した場合は補償が必要だが、裁判は大変なため、法律などによる国としての解決が必要である。

将来の補償額が不明なため多くの企業が破産に追い込まれており、この点からも幅広い国としての解決が必要である。

注)米国ではアスベストを巡る訴訟が相次ぎ、W. R. Grace は2001年に破産法11条を申請した。

Dow(アスベスト使用者として)とUCC(生産者及び消費者として)は自社に対する訴訟には防衛してきたし、今後も防衛する。
同時に、国の問題として、法律による解決を支持する。

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今回の裁判で原告側を代表している弁護士事務所 Baron & Budd, P.C.は30年以上にわたりアスベスト被害者を対象にしてきた。
The national mesothelioma (中皮腫) law firm と称し、中皮腫ニュースというホームページで被害者に呼びかけている。

55か国でアスベストを禁止しているが、米国では2011年に1,180トンが使用され、毎年3,000人が中皮腫と診断されているとしている。

今回の実績をもとに、Dowに対する訴訟も相次ぐと思われる。しかもアスベスト使用を継続する限り、患者は増え続ける。

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参考 日本のケース

2012/12/10  建設労働者アスベスト訴訟、国に初の賠償命令


 


化粧品世界最大手のフランスのL'Oréal は8月15日、中国の美容パック会社である美即控股(Magic Holdings International)に対し、約840百万ドルで買収提案を行ったことを明らかにした。

美即は「MG(美即)」ブランドで各種スキンケア用品、化粧品の製造を手掛け 、2012年の売上高は約150百万ユーロ。
主力製品のシートマスクの売上高は中国国内で最大手。

2010年9月に、婦人科向けの医薬品、女性用医薬品及びバイオ医薬品の研究開発、製造販売を行う華瀚生物製薬(Hua Han Bio-Pharmaceutical)から分離上場 した。

美即の株式の62%を保有する6人の株主はL'Oréalによる買収に賛成している。
買収には中国商務部の独禁法に基づく承認が必要となる。

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L'Oréal は1997年に中国に進出、現在では中国に3500人の従業員を抱え、上海に研究センター、江蘇省蘇州市と湖北省宜昌市にプラントを持つ。

2012年の中国の高級化粧品の市場シェアは下記の通りで、L'Oreal は米国のAmwayと並ぶが、伸び率は異なる。

 

Source: http://blog.livedoor.jp/kakyosha_nissy/archives/27599279.html


L'Oréal はこれまでも中国のブランドを買収している。

L'Oréal は2003年12月に中国の化粧品ブランド、小護士(「小さな看護婦さん」:Mininurse)を買収した。

小護士は1992年設立で、中国では3大スキンケア商品の一つとして人気を博し、5%のシェアを有していた。
L'Oréal のもとでリニューアルした小護士は、顧客の要望をより反映したスキンケア商品を目指し、さらなる顧客獲得を図る。

L'Oréal は2004年1月、Coty Group 傘下の化粧品ブランド、羽西(Yue Sai)の買収を発表した。

羽西は中国系アメリカ人女性のYue-Sai Kan(靳羽西)が1992年に中国で設立した中国初の化粧品専門会社で、1996年にCotyとの合弁となった。

Yue-Sai Kanは1972年に米国に移民、中国と米国の貿易を始め、テレビ番組司会者プロデューサー、化粧品クィン、ベストセラー作家、慈善活動家など多くの肩書きを持つ。
中国女性におしゃれを教えた功労者とされる。

 



ダンロップの住友ゴム工業は、石油や石炭などの化石資源を全く使用しない世界初の「100%石油外天然資源タイヤ」を2013年11月に発売を開始すると発表した。

同社では石油や石炭などの化石資源への依存度を最小限にすることを目指した「石油外天然資源タイヤ」の開発に2001年から取り組んでおり、2006年には石油外天然資源の使用比率を70%に高めた「エナセーブ ES801」を、2008年には同割合を97%にまで高めた「エナセーブ 97」を発売した。

天然ゴムの比率を多くするとブレーキ性能等のグリップ力の低下や耐磨耗性の悪化が避けられず、タイヤとしての性能は確保できないのが問題であった。
ダンロップは天然ゴムの分子構造を改良してその難関を克服した。

「エナセーブ 97」は従来のトレッド部に加え、天然ゴムの使用が難しいサイドウオールやインナーライナの部分にも、天然ゴムを改質して使用できるようにし、脱石油資源を大幅に進めた。
その一方で、タイヤの「転がり抵抗」を従来品と比べて35%も削減し、燃費も格段に向上させた。

このほか、鉱物油を植物油に、合成繊維を植物性繊維に代替、カーボンブラックの一部をシリカに代替し、97%まで高めた。

残り3%の原材料を天然資源化する研究を進めてきた結果、
「老化防止剤」と「加硫促進剤」については、原材料化合物をバイオマス資源から特殊触媒により合成に成功、
「カーボンブラック」については、植物由来の油分から、従来と同等の性能を有するカーボンブラックを製造することに成功した。

同社の特許に下記がある。

グルコースを微生物によって安息香酸・安息香酸誘導体に変換
(または植物から安息香酸・安息香酸誘導体を抽出)
            ↓
得られた安息香酸・安息香酸誘導体をアニリン・アニリン誘導体に変換
            ↓
老化防止剤、加硫促進剤を製造

2011年に開催された「第42回東京モーターショー2011」で「100%石油外天然資源タイヤ」のプロトタイプを発表、その後、耐久性などの信頼性の評価と量産化技術の確立に向けた開発を進めた結果、11月の「第43回東京モーターショー2013」で発表し、同時に発売を開始する。

一般タイヤ 石油外天然資源タイヤ
合成ゴム 天然ゴム
改質天然ゴム
鉱物油 植物油
カーボンブラック シリカ
植物由来の油分からのカーボンブラック
合成繊維 植物性繊維
老化防止剤
加硫促進剤
バイオマス由来原料化合物

同社では今後、石油外天然資源タイヤからの進化技術として、高機能バイオマス材料を開発し、商品化につなげていくとしている。
高機能バイオマス材料による商品化技術は、2016年に第1世代、2020年に第2世代を確立する予定。

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ブリヂストンも、再生可能原料のみを使った理想のタイヤ技術を目指している。

2012/5/30   ブリヂストン、再生可能原料のみを使った理想のタイヤ技術を目指す


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住友ゴム工業は当初、英国のDunlop Rubber の日本工場としてスタートした。
1963年に住友ゴムとなり、1999年にGoodyearと全世界のタイヤ事業で提携、2003年にオーツタイヤと合併。
 この結果、ダンロップ、グッドイヤー、ファルケンの3ブランを持つ。

  英国
Dunlop Rubber
日本
住友ゴム工業
米国
Goodyear Tire & Rubber
1888 John Boyd Dunlop が空気入りタイヤを発明    
1889 Dunlop Rubber 設立    
1898     設立
1909   Dunlop Rubber の神戸工場  
1917   法人化、ダンロップ護謨(極東)  
1960   住友グループが30%出資
(住友電工、住友商事)
 
1961   長銀出資(日本側50%)  
1963   日本側56%、住友ゴム工業に改称  
1980代
前半
経営悪化    
1983 住友ゴム持株40%全てを売却 日本側100%  
1984 英独仏6工場を住友ゴムに売却 Dunlopの英独仏6工場を買収  
1985 BTRがDunlop 買収
 タイヤ部門は住友ゴムに売却
(他の部門も順次売却)
   
1986 Dunlop USAを住友ゴムに売却 Dunlop USA 買収  
1999 (左により)
Dunlopタイヤ部門は
Goodyear 75%/住友ゴム25%

欧州、北米、日本でのタイヤ事業のアライアンス

日本を含むアジア市場は住友ゴム
北米・欧州市場はGoodyear
(住友ゴムは現物出資し、25%保有)

2003   オーツタイヤと合併
 (ファルケンブランド)
 

現在の状況
 住友ゴム
(SRI) 持株
  
Goodyear Dunlop Tires Europe 30%
    Goodyear Dunlop Tires North America 30%
    Goodyear-SRI Global Purchasing Co.  20%

 住友ゴムへの出資 Goodyear 1.3%


1999年のGoodyearとの提携について、当時、「住友ゴム救済のための提携」と噂された。

住友ゴムは1980年代前半に欧米で工場を買収し、その設備更新などに資金をつぎ込んだため、資金収支が悪化しており、メーンバンクの日本長期信用銀行が1998年に国有化されたこともあって、同社の安定性が問題視されていた。

住友ゴムは欧米での主導権をGoodyearに渡した。
見返りとして、欧米での合弁会社2社設立で、製造設備などを現物出資して、25%出資としたが、資産価値と出資分との差額の9億3600万ドルを
Goodyearから受け取り、負債返済に当てた。

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世界のタイヤの現在のシェアは以下の通り。

Goodyear/住友連合としては14.9%となり、ブリヂストン、ミシュランと並んだ3強となる。



田辺三菱製薬は8月8日、同社が日本で販売する抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」(REMICADE、一般名:Infliximab)に関し、Janssen Biotech(Johnson & Johnson子会社)に対して、開発販売契約に基づく供給価格の改定を求める国際商工会議所(ICC)への仲裁申立を行っていたが、これに対し、供給価格を低減すべきとの仲裁判断を受領したと発表した。

これに基づき、過年度分(2008年4月~2013年3月)の供給価格の精算金額として約117百万米ドルをJanssenから受領した。

レミケード®は、Janssen(旧 Centocor Biotech) が創製した関節リウマチ等の治療薬で、1993年に田辺製薬が、日本及びインドネシア、台湾における本剤の開発・販売に関する契約を締結し、2002年にクローン病治療薬として日本での販売を開始した。

田辺製薬は2007年10月1日に三菱ウェルファーマと合併し、田辺三菱製薬となった。

現在では、関節リュウマチ、クローン病、乾癬、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎、強直性脊髄炎治療薬として販売され、2012年の売上高は前年比10.8%増の735億円となっている。

仲裁申立ての背景は明らかでないが、田辺三菱製薬は2009年に、田辺に日本での販売権を与えていた両社のDistribution Agreement をもとに、Centocor Ortho Biotechの親会社のJohnson & Johnson に対する調停申し立てを行った。

これに対し、相手側は供給価格の引き上げを提案した。

このことと、後述のMerckとJohnson & Johnsonの間の調停とを勘案すると、親会社となったJohnson & Johnsonが田辺製薬と三菱ウェルファーマの合併を理由に、販売権の打ち切りを提案したのではないかと推測される。

田辺三菱製薬は仮価格として相手側の提案価格で支払いを行い、調停を継続した。

Johnson & Johnson側の発表によると、調停パネルは2011年8月に、田辺三菱が供給価格引き下げを求めることができるとした。
2011年11月には価格を決めるヒアリングが行われ、2013年2月には田辺三菱に有利な判断が下された。

Johnson & Johnson側はこの時点で返金額の引き当てを行い、その後詳細が協議されてきた。

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Janssen Biotechは旧称 Centocor Biotechで、1979年にPhiladelphiaで設立された。

Centocorは1999年にJohnson & Johnsonの100%子会社となり、2008年にOrtho Biotechと合併してCentocor Ortho Biotechとなった。

2011年6月にCentocor Ortho BiotechはJanssen Biotechに改称した。

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Remicadeは当初、
 米国ではCentocor Ortho Biotech(現在のJanssen Biotech)
 日本、インドネシア、台湾では田辺三菱製薬
 中国では子会社のXian Janssen(1985年設立、Johnson & Johnson 子会社)
 その他地域ではSchering-Plough
が販売していた。

2009年にMerck & Co., Inc. がSchering-Plough と合併することで合意したと発表した。

2009/3/11 米Merck、米Schering-Plough を買収

2009年5月、Centocor Ortho Biotechの親会社のJohnson & Johnson はSchering-Plough のMerckとの合併を理由に、Remicadeの販売権の取り消しを求めて調停にかけた。
契約上、
Schering-Plough が売却された場合は、販売権を取り消すとの条項があった。

MerckはSchering-Ploughとの合併契約では、この条項は適用されないとして強く反発した。

調停の結果、両社は2011年4月に以下の点で合意した。

Schering-Ploughはカナダ、中南米、中東、アフリカ、アジア太平洋(売上高で30%)の権利を放棄する。
・欧州、ロシア、トルコ(売上高で70%)については従来通り、独占権を維持する。
・欧州、ロシア、トルコでの利益配分比率を変更する。
  従来はSchering-Ploughが58%、Centocor Ortho Biotechが42%、
  これを2014年に50/50となるよう、順次調整する。

詳細は不明だが、田辺三菱製薬の場合も、恐らく当初はJohnson & Johnsonが田辺製薬の合併を理由に販売権の取り消しを求め、これが無理と分かり、利益配分率の変更を求めたものと思われる。



中国の自動車流通協会 (CADA) の羅磊副事務局長はこのほど、中国国家発展改革委員会(NDRC)の依頼を受け、国内で販売される全ての外国車の価格情報を集めていることを明らかにした。

彼によると、NDRCは自動車メーカーが中国のディーラーに最低卸価格を決めていないかどうかを調査している。
最低価格設定は独禁法違反となる。

CADAでは輸入車と中国でのJVでの生産車の全てのブランドについて調査をしており、輸入車の価格と海外での価格に大きな差があるとしている。

中国では輸入車には25%の関税がかかり、17%の増価税と消費税がかかる。

消費税は2008年9月の税率調整で排気量の大きな自動車に対し、大幅に引上げられた。

排気量1リットル以下   1% 3%
・ 同1.0~1.5リットル   3%  
1.5~2リットル   5%  
・ 同2.0~2.5リットル   9%  
・ 同2.5~3.0リットル    12%  
・ 同3.0~4.0リットル   25% 15%
・ 同4.0リットル以上   40% 20%

CADAではこれは認識しており、税金によるコスト差は問題にしていない。

新華社は先月末の社説で、外国の自動車メーカーは輸入車販売で膨大な利益を上げており、独禁法違反の調査をするべきだと報道した。
輸入車のなかには海外市場の2倍で売っているものもあるとし、例としてAudiとBMWを挙げている。

8月1日付の人民網日本語版は「高すぎる中国の輸入車 最大の原因は関税にあらず」との記事で、BMWのX5 xDrive 35i を例に分析し、輸入車が高いのは高関税のためという説を否定している。

海外市場販売価格 47,500ドル(約291,175元

CIF価格を33万元と仮定すると、関税 25%、消費税 12% (2,979cc)、増価税 17%で、税金合計が約22万元、これにディーラーの検査費用や保管費などの経費が加わり、コストは57万元となる。

これが中国国内で最高101万元で販売されている。
CIF価格は不明だが、44万元の利益が外国メーカーと国内ディーラーで分けられている。

この分析に対し、業界では、CIF価格はもっと安く(海外販売価格の29万元より安い筈)、利益はもっと高いと指摘する。
中国人消費者の海外有名ブランドに対する崇拝が、価格ををつり上げているとしている。

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中国政府は最近、価格独占の摘発に注力している。

国家発展改革委員会(NDRC)は8月7日、粉ミルクを巡る競争阻害や卸売業者に対する最低販売価格の制限などで、6社に合計約109百万ドルの罰金を課した。

2013/8/9   中国で販売価格を巡る2つの独禁法違反事件 


NDRCは医薬品の価格設定システムを改善するため、GlaxoSmithKline、Merck、Novartis、Baxter Internationalを含む国内外60社の製薬会社のコストと価格を調査している。

NDRCとは別に、工商総局(SAIC)が8月15日、医薬品・医療サービス業界に蔓延している賄賂の調査(3か月)を開始した。

産業界における賄賂は、人為的に価格を上げるだけでなく、フェアな競争を妨げるとし、医薬品、医療サービスの価格交渉時での賄賂を厳しく処罰するとしている。

中国における独禁法の担当は以下の通り。

国家発展改革委員会(NDRC) 価格独占行為の調査・処分
商務部 事業者集中行為
工商総局(SAIC) 独占協定、市場支配的地位の濫用、
行政権力を濫用した競争の排除、制限

関連記事 2013/7/18   中国、GlaxoSmithKline を贈賄の疑いで捜査


NDRCは8月13日、豫園商城の子会社2社や上海老鳳、その他、上海の宝飾店5社と上海黃金飾品行業協會に、金とプラチナの宝飾品の価格カルテルで罰金を課した。

罰金額は、5社には昨年の売上高の1%の合計1009万元、協会に50万元、合計1059万元(約170万ドル)となっている。




旭硝子は8月6日、東南アジアにおける苛性ソーダや塩ビなどのクロルアルカリ製品の需要増大に対応するため、約400億円を投じて子会社 Asahimas Chemical の生産能力を大幅に増強すると発表した。

PVCのインドネシアの市場規模は40万トン超で、今後、需要の伸びが見込める。
東南アジア全体の市場規模は約200万トンで成長率は年率約5%とされる。

Asahimas Chemical は約50億円を投じて電解能力を約30%増強し、苛性ソーダ能力を50万トンにしたばかりだが、更に増強 し、苛性ソーダ70万トン、PVC 55万トンとする。EDC、VCMも増設する。

2015年末稼働開始予定で、能力は以下の通りとなる。(EDCの増強後能力は発表せず)

塩素系製品では、次亜塩素酸ソーダやEDC生産時の副産品の塩酸を外販している。

同社は製品を各地に輸出している。

Asahimasは1986年に設立され、1989年にジャワ島西端のBanten州 Cilegon (ジャカルタ西部約120キロメートル)で生産を開始した。

旭硝子が52.5%、三菱商事が11.5%出資し、残りを現地資本(Rodamas 18%、Ableman Finance 18%)が出資する。

近くにChandra Asri Petrochemical の本工場(地図左下)があり、エチレンの供給を受けている。


 

ーーー

インドネシアには他に多くのPVC工場がある。これらは全て、何らかの形で現在も(又は過去に)日本企業が関与している。

1)Standard Toyo Polymer (Statomer) 上の地図中央部

東ソー 30%、三井物産 20%、現地サリム&ビマンタラ 50%(その後サリム 50%)の合弁で1977年にメラクで操業を開始した。
1999年に日本側がサリム側の保有する全株式を買い取り、東ソー60%、三井物産40%
となった。
( 通貨危機でのサリムの破綻と、
1998年7月の外資法改正で外資100%が認められた結果

現在の能力は約9万トンとされる。(未確認)
ボトルネックで2013年に約11千トン増強して93千トン体制にするという情報もある。)

原料VCMは東ソーが日本から供給。

2)PT Sulfindo Adiusaha 上の地図上部のSulfindo名の3工場

日本企業を含めた長い歴史を持つ。

現地財閥の林紹良が率いるサリム・グループは子会社PT Sulfindo Adiusaha メラクに台湾の中古の水銀法電解96千トンとEDC90千トンをもっていた。

当初、サリムは同社が50%、アトケム 25%、住友商事 25% でJVを設立し、Sulfindoの電解をS&Bし、電解からPVCまでの一貫事業を構想した。

   
しかし、アトケムが離脱したため、東ソーを加えたが、東ソーがPVCのみに参加を希望したため、次の3会社となった。

  PT Sulfindo Adiusaha 電解 
  サリム100%のままとし、水銀法電解をスクラップして、旭化成法で電解を新設(塩素200千トン)

Satomo Indovil Monomer :VCM
 
サリム50%、住友商事25%、香港のBrendswick25%で設立
 EDCはSulfindo から90千トンを移管した上で175
千トンを増設、VCMはアトケム法で100千トンを新設


Satomo Indovil Polymer :PVC

 サリム50%、
東ソー25%、住友商事25%で設立
 1998年に東ソー技術でPVC 70千トンを建設
   

1997年の通貨危機でサリムは破綻、資産管理会社 Holdiko に移管され、順次売却されることとなった。

上記3社については東ソー/住商によるサリム持分購入も検討したが入札が成立せず、2001年12月にサリム持分は香港のEmperor Groupに売却された。

   
2003年に Emperorは日本側追い出しを図り、Sulfindoからの塩素供給を停止してVCM、PVCの操業停止に追い込み、更に自ら、子会社のSatomo Indovil Monomerの破産申請を行った。

裁判では住友商事サイドの主張が認められたが、原料の供給は切られたままで、住商はEmperorに対して同社持分の買収交渉を行った。
   
結局日本側は撤退を決め、インドネシアのローカル銀行のPT. Pan Indonesia Bank Tbk.が全てを買収し、PT Sulfindo Adiusahaとなり、2004年10月に生産を再開した。


現在の能力:
 
苛性ソーダ 320千DMT
 EDC  320千トン
 VCM 130千トン
 PVC  95千トン  

エチレンはChandra Asri Petrochemical から供給を受ける。

3)Eastern Polymer Jakarta市内

インドネシア最初のPVC会社で香港のUnited Industriesがジャカルタに建設したが、建設以来休眠状況であった。

1975年に徳山曹達が三菱商事と組んで技術援助を行い、軌道に乗せ、1981年に徳山曹達が20%、三菱商事が30%出資した。

その後三菱商事100%となり、徳山曹達が技術指導を行っていたが、1998年に休止した。

その後、パイプメーカーのワービンが買収し、1998年12月に生産を再開している。現在能力48千トン。

4)TPC Indo Plastic & Chemicals(旧称 Siam Maspion Polymers)
 
1996年にタイのSiam Cement (30%)と同社子会社のTPC(20%)、インドネシアの塩ビパイプ大手Maspin(50%)のJVとして設立され、新第一塩ビの内部ジャケット方式技術で、東ジャワ Gresikに120千トンプラントを建設した。

2005年にMaspionが撤退し、現在はSiam Cement 60%、TPC 40% 出資のTPC Indo Plastic & Chemicals となっている。
 

 


牛の筋肉組織の幹細胞から作った人工肉(Cultured Beef )のハンバーガーを調理、試食するデモンストレーションが8月5日、ロンドン市内で開催された。

オランダのMaastricht UniversityのProfessor Mark Post が開発したもので、幹細胞を培養し、3カ月かけて作った筋肉組織2万本分の人工肉に、パン粉と粉末卵を加えて味を調えた。
人工肉の
色は白のため、赤かぶの汁とサフラン、それにカラメルを入れて、焼いても肉と同じような色になるように調製した。

作製にかかった費用は375千ドルで、Googleの創業者の一人Sergey Brin が資金を提供した。

牛の筋肉組織からとった幹細胞に栄養と成長を促進する化学物質を与えて培養し、3週間後の数百万個になったところでペレットにして冷凍する。これを何度も繰り返して、たくさんできたところでハンバーガーパテにしたという。

製法の詳細は下記YouTubeにある。
  http://culturedbeef.net/resources/#video

 牛の筋肉組織から採取した幹細胞を培養し、Myotube(筋管)をつくる。

 筋管は gel hub に入れると成長し、筋繊維に成長する。
 培養された筋肉繊維には栄養を運ぶ血管は存在しないため、成長過程では細胞に人工的に栄養素が与えられた。
 人工肉は自発的には運動しないため、筋肉が衰えないよう、人工肉に対してストレッチやマイクロエクササイズも施された。

 これを集める。
 人工肉には血液が含まれないため着色された。

ーーー

本事業の発想を ホームページ次のように述べている。

国連食糧農業機関(FAO)によると、次の40年で肉の需要は2/3以上増大し、現在の畜産方法では対応できない。
何か代替方法を見付けない限り、近い将来に需要増大により肉も他の主食も高価な贅沢品となってしまう。

また家畜(特に牛、羊のゲップ)は一酸化炭素より20倍以上強いメタンを放出するため、地球温暖化の原因の一つであり、畜産増大はメタン、一酸化炭素、窒素酸化物のレベルを増大させることともなる。

人工肉(Cultured Beef )はよりサステナブルなオプションとなりうる。

環境負荷がどうなるかについて、2011年に環境評価(Life cycle assessment)が発表されている。
  http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/es200130u?journalCode=esthag

大規模生産の場合で、筋肉組織の成長の栄養・エネルギー源としてCyanobacteria hydrolysateを使うとしている。
池などで増やした藍藻を採取し、殺菌、乾燥させて、それを人工肉の培養器に入れる。
(栄養・エネルギー源として太陽エネルギーを利用していることとなる。)

結果は以下の通り。

Cultured beef  1,000kg生産での消費量、排出量
 エネルギー 26-33 ギガジュール
 土地    190-230 m2 
 水     367-521 m3 
 
温室効果ガス排出 CO2換算1900-2240 kg 

これを畜産(牛、羊、豚、鶏肉)と比較すると、エネルギー消費でのみ鶏肉に劣るが、他の点ではすべて人工肉が優れている。
温室効果ガス排出と土地・水利用はほとんど無し。




東洋紡は7月31日、スペインに拠点を置く診断薬・診断機器メーカーでグローバルに販売網を持つSpinreact,S.A.の全株式を取得した。
米国の
Health Management企業のAlere Inc.(旧称 Inverness Medical Innovations, Inc)から取得した。

Spinreact,S.A.は1975年設立で、2005年に英国の診断会社Cozart に買収された。
Cozart は2007年に欧州の薬物検査企業のConcateno PLC に買収され、そのConcateno PLCは2009年に Inverness Medical Innovations, Incに買収され、現在に至っている。

東洋紡は「環境、ライフサイエンス、高機能で、社会に貢献する価値を創りつづけるカテゴリー・リーダー」を目指しており、診断薬や診断システムなどのバイオ分野を注力する分野の一つとしている。

この分野は今後、新興国を中心に年率10%以上の拡大が予想され、海外企業とのアライアンスやM&Aの検討を行ってきた。

Spinreactはスペインをはじめ、アフリカ・中南米・欧州・アジアなど、世界90カ国に代理店を有し、新興国市場に合わせた診断薬関連製品などを豊富にそろえている。
買収を通じ、バイオ分野の海外拡大戦略をより一層加速させる。

買収の狙いは3つで、当初は両社の販売網を活用して既存事業の拡大を図り、将来は両社のバイオ技術を融合して新製品の開発、新市場の開拓を推進する。

1)Spinreactの世界的販売網の活用
   東洋紡の尿検査システム、遺伝子検査システムの販売にスピンリアクト社の販売網を活用

2)製品ラインアップの拡充
   Spinreactの生化学診断薬、免疫診断薬、血清学的診断薬などを東洋紡の中国・東南アジアの販売網で展開

3)欧州での生産拠点の獲得
   東洋紡のバイオ製品の海外展開でSpinreactの欧州生産拠点を活用

ーーー

東洋紡のライフサイエンス事業は、診断薬用酵素等のバイオ製品、医薬品、医用膜、医療機器と、海水淡水化用などのアクア膜等を扱っている。

売上高は少ないが、営業利益での貢献は大きい。

東洋紡は1941年、レーヨンの原料であるパルプの自給を目的としてパルプ事業を開始したが、戦時中に中断した。
戦後の1948年に再開、環境汚染対策として、酵母培養によるパルプ廃液処理の研究を開始した。
これがバイオ事業進出のきっかけとなった。

1972年に尿酸測定用診断薬を発売し、バイオ事業に進出、1975年には食品用途での酵素の研究・開発から、診断薬市場にバイオ事業の重点を置く方針を固めた。

その後、1982年に遺伝子工学用酵素の研究開発を開始、ライフサイエンス試薬(制限酵素)を開発した。

機能膜については、1979年に中空糸膜による逆浸透の原理を利用した海水淡水化装置の心臓部となるモジュールを開発、1989年にはサウジアラビアで世界最大の海水淡水化プラントの操業を開始している。
医療用では、1981年に人工腎臓用中空糸膜を開発した。

 


 

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