「no」と一致するもの

2012年1月28日付 Economist 誌は新興国の金融・財政浮揚余力指数 (Monetary and Fiscal Wiggle-room Index)を発表した。

  記事 http://www.economist.com/node/21543468
   根拠  http://www.economist.com/blogs/graphicdetail/2012/01/daily-chart-11
        (グラフの上部の各項目をクリックすると、項目毎のグラフが出る)

欧州と米国の経済不振で、新興国の平均成長率も2011年第1四半期の6.5%から第4四半期には3%以下に下がった。
輸出減や資金流入の減も理由の一つ。EU問題が続くと、更に影響が強まる。

しかし、多くの新興国では金融・財政政策により、経済を浮揚させる余地が多い。
新興国の財政赤字は平均してGDPの2%に過ぎず、政府の債務もGDPの36%に過ぎない。

同誌では、27の新興国について、金融政策と財政政策で景気を浮揚させる余力を指数化し、これをMonetary and Fiscal Wiggle-room Indexと呼んだ

具体的には以下の項目を勘案した。

金融面での
 経済浮揚余力
 Monetary
  Manoeuvrability
インフレ率  
与信余力 銀行貸し出し伸び率と名目GDPの伸び率の差
実質金利率 金利率とインフレ率の差
通貨の動向 対米ドルレートの過去6か月の動き
経常収支(対GDP)  
財政面での
 経済浮揚余力
 Fiscal-Flexibility
政府債務(対GDP)  
構造的財政赤字
 (対GDP)
 

 

結果は下図の通りで、Wiggle-room indexが小さいほど、景気停滞を迎えた時に、経済成長を後押しするために通貨・財政政策を稼働できる余地が大きいことを意味する。

サウジ、インドネシア、中国は成長を支えるために金融財政政策を最も利用し得る国である。
チリ、韓国、シンガポール、ロシア、ペルーがこれに続く。

逆に、エジプト、インド、ポーランドは景気刺激策を採る余地が最も少ない。
ブラジル、ベトナム、パキスタン、トルコ、アルゼンチン、ハンガリーも危険ゾーンにある。

ーーー

各項目での特記事項

1)インフレ率

台湾が2%で最も低く、ベネズエラとアルゼンチンは20%を超える。
食料価格の低下で多くの国でインフレ率は下がったが、半分の国で依然として5%を上回っている。

2)与信余力

アルゼンチン、ブラジル、香港、トルコは危険水準。
逆に中国は銀行貸し出しの伸びがGDPの伸びよりも少ない。

3)実質金利率

半分の国でインフレ率より低いマイナス金利となっているが、ブラジルと中国では+2%を超えている。

4)通貨動向

ブラジル、ハンガリー、インド、ポーランドなど9か国では半年で米ドルに対し10%以上下がっており、輸入価格の上昇でインフレを招く恐れがある。

5)経常収支

グローバルの金融情勢が悪化した場合、経常収支の大幅な赤字の場合にはファイナンスが出来ず、金利率引き下げが困難となる。
トルコがGDP比で9%の赤字で、最も弱い。ポーランド、南ア、インドも4%程度の赤字。

6)政府債務

政府債務はエジプトとハンガリーがGDP比で75%を超えており、ブラジル、インド、パキスタン、ポーランドも60%前後となっている。
(シンガポールはゼロ、サウジは10%以下)

7)構造的財政赤字

エジプトとインドが8%を越え、パキスタンとポーランドも6%を超えている。
逆にサウジは10%近い黒字、韓国とシンガポールも黒字で、財政出動の余地が大きい。

 

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このうち、中国については、2009年の時のような膨大な景気刺激策を今後は取り得ないのではないかとの議論がある。

政府の公式の債務はGDPの27%に過ぎないが、地方政府への銀行貸し付けが除かれており、これを含めるとGDPの60%にもなる。
Economist誌は、中国政府には国有企業の持株など膨大な資産もあるため、問題ないとの立場を取っている。

 

Eastman Chemical は1月27日、Solutia Inc. の買収を発表した。買収価額はSolutiaの負債込みで47億ドル。

Solutiaは1997年9月にMonsantoの化学部門が分離独立して設立された会社である。
(日本のソルーシアの元は1952年設立の三菱モンサント化成)

Monsanto からスピンオフした際に引き継いだ法的債務(訴訟費用・賠償金、環境対策費用、退職者医療費債務等)で毎年1億ドル程度を支払い、これが負担となっていた。

このため、2003年12月に連邦破産法11条申請を行った。
2008年2月28日、Chapter 11手続きを終了し、再生に向けスタートした。

2008/3/4 Solutia、破産手続き終了

なお、現在のMonsantoは農業バイオテクノロジーのリーディングカンパニーで、除草剤「ラウンドアップ」などの農薬事業と畜産事業の「農業関連製品事業部門」と、遺伝子組み換え種子等の「種子とバイオテクノロジー製品事業部門」を持つ。

Eastman Chemical の企業戦略は以下の通りで、Solutia買収はその全てに合致したものであるとしている。

 ・Growing core businesses    自動車や建築等の市場を狙う。
 ・Bias toward emerging markets Eastmanの売り上げの25%がアジア太平洋地域(Solutiaは30%)
 ・Focus on sustaibale businesses 再生可能資源利用、製品の安全性

2006/11/22 Eastman Chemical、石炭ベースの化学品志向へ

Eastmanはこれまで、汎用品事業、非コア事業から撤退し、スペシャルティ事業を拡大、アジアに展開してきた。
Solutiaも同様で、統合により、スペシャルティの事業を拡大するとともに、成長するアジアへの展開を促進する。

Eastman の動き

2004   CASPI(coatings, adhesives, specialty polymers and inks)のうち、不採算事業をApollo Managementに売却
2005   工業用酵素のGenencorの42%持分をDaniscoに売却
 その後、DuPontがDaniscoを買収(
2011/5/27 DuPontDaniscoの買収成功
2007   PE事業売却
  2006/10/16  Eastman、ポリエチレン事業をWestlakeに売却
2009   Beaumont, Texasのindustrial gasification計画を中止(高コスト、原料価格差、環境問題等)
  2007/8/10 
Eastman、メキシコ湾岸で石油コークスのガス化計画 2件に参加
2010   PET事業売却
  2010/10/29 
Eastman Chemical、PET事業をメキシコ企業に売却 
2011   Sterling Chemicals 買収
  
2011/6/29  Eastman Chemical、Sterling Chemicalsを買収

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Solutiaの動き

2004 食品添加物事業をNovus International に売却
2005 
Acrylic Fibers事業から撤退
2007 水処理用フォスホン酸塩製造事業部門であるDequestをThermphos Trading GmbHに売却
2009 Nylon事業を
SK Capital Partners IIに売却

2010年の売上高は 1,950百万ドルで、内訳は以下の通り。

Advanced Interlayers  世界最大のポリビニルブチラール(PVB)樹脂中間膜メーカー
  自動車や建築用合わせガラスに使われる機能性中間膜、太陽電池用封止材など

Performance Films  全世界の自動車用および建築用ウィンドウフィルム市場でN0.1のシェア
  省エネ、プライバシー防犯、防災の機能を付加するウィンドウフィルム

Technical Specialties 
  有機合成熱媒体、航空機用作動油など

 

両社ともアジアに進出しており、統合によりアジア(特に中国)での存在感が強まる。

 

 

 ConocoPhillipsと中国海洋石油(CNOOC)は1月25日、蓬莱19-3油田の原油流出事故による漁業への損害賠償・補償問題について、中国農業省、河北省・遼寧省両政府との間で合意に達したと発表した。

蓬莱 19-3での最初の原油漏れは2011年6月4日に Platform B付近で発見され、6月17日にはPlatform C 付近でも発見された。しかし、ConocoPhillipsとCNOOCはこの事実を1カ月近く隠していた。

7月10日に新たに油の流出が確認され、監督機関の国家海洋局は7月13日にConocoPhillipsに対し、Platform BとPlatform C(生産量は蓬莱油田の3分の1相当)の稼働停止を命じた。

合計で約700バレルの原油が渤海湾に流出し、約2500バレルのミネラルオイルベースの掘削用泥(MOBM)が海底に流れた。被害は少なくとも 6,200km2にも及んでいる。

Platform Bはシールされ、Platform Cは廃棄された。

2011/8/17 渤海湾の原油流出事故

ConocoPhillipsは河北省と遼寧省の養殖業、および渤海の天然漁業資源への損害賠償・補償に10億元(約158百万ドル)を拠出する。

これとは別に、天然漁業資源の回復や漁業資源環境の調査などのために、海洋環境・生態保護基金からConocoPhillipsは1億元、中国海洋石油は2億5千万元を拠出する。

両社は昨年、海洋環境・生態保護基金を設定することに同意した。
ConocoPhillipsは基金の詳細を発表していない。CNOOCは5億元を出資した。

CNOOCは、原油流出事故による損害への早急かつ理にかなった賠償・補償に向けて、引き続き的確な措置を積極的に講じていく方針を表明。合意に基づく損害賠償・補償、環境保護の実行を促していくと述べた。

両省政府は補償金を被害を受けた漁民に配分するが、配分方法が明確でなく、懸念する声が出ている。

 

 

ExxonMobil とベネズエラ国営石油会社Petroleos de Venezuela, S.A. (PDVSA)の間のベネズエラによる石油の国有化を巡る争いで、2011年12月、国際商業会議所はPDVSA側に非常に有利な決定を行った。

2007年にベネズエラは石油の国有化を決め、各石油会社は国営石油会社 PDVSAと条件交渉を行なった。
Chevron、Total、BP、StatoilHydroはPDVSAの条件を呑み、Minority partner として操業を続けることとした。

しかし、Exxon Mobil はこれを拒否した。同社は油田国有化で損害を被ったとして補償を求めて訴訟を行い、米欧の裁判所は2008年に同国が支払いに応じなかった場合に備え、PDVSAが海外に保有する資産を差し押さえる命令を下した。

米ニューヨーク連邦地裁は3億ドルの現金、英裁判所は120億ドルまでの資産の差し押さえを命じた。

既報の通り、PDVSAは米国に子会社CITGOを持つが、社債等が大きく、社債権者が優先権を持つことから除外された。

その後、英裁判所はPDVSAの資産(120億ドルまで)の凍結命令を撤回した。判事は、このような凍結命令は稀であり、重大な国際的不正の強い証拠があるときに出されるが、今回のケースはそのようなものではないとした。
PDVSAは英企業でないうえ、英国内にまとまった資産を保有していないというPDVSAの主張も認めた。

ExxonMobilは世界銀行付属の国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴した。これに対し、ベネズエラ側はパリに本部を置く国際商業会議所(ICC)に問題を提起した。

ICSID ( International Centre for Settlement of Investment Disputes )  は、「国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約」のもとに設立された。この条約は1965年に署名が開始され、翌1966年に発効した。

2011年12月の国際商業会議所の裁定は、PDVSAがExxonMobil にネットで746.9百万ドルを支払うというもので、接収資産の簿価にほぼ等しい。

裁定額は907.6百万ドルだが、PDVSAのExxonMobilへの債権(ロイヤリティや税金)161百万ドルを控除した。

907.6百万ドルは1997年に両社で結ばれた契約に基づくもので、1997年の原油価格(27ドル/bbl)を基に、2035年までの失われた収益を高い割引率で現在価値に換算したものであり、資産の評価額ではない。

PDVSAはこの裁定を受け入れ、この額からNew York で凍結されている300百万ドルとExxonのベネズエラ子会社の債務191百万ドルを除外し、残りの255百万ドルを支払うとしている。

ExxonMobilは当初、接収資産の補償として120億ドルの資産の差し押さえを求めたが、英国裁判所が凍結命令を撤回したため、2010年に70億ドルを要求して仲裁を求めた。今回の裁定はExxonMobilの要望の1/10に過ぎない。

ExxonMobilはこの裁定に同意せず、ICSIDの判断を待つ構え。

チャベス大統領は1月8日の国営テレビ番組で、ExxonMobilが過去50年間、税金も払わず大もうけしてきたと指摘し、120億ドルの要求の不当性を訴えた。

米国が決定的な影響力をもつICSIDがいかなる裁定を下そうとも、ベネズエラとしては従わず、場合によってはICSIDからの脱退もありうることを示唆した。

 

 

米の石油会社Hess Corporationとベネズエラ国営石油会社Petroleos de Venezuela, S.A. (PDVSA)の50/50JVの合弁会社HOVENSA L.L.C. は1月18日、米領Virgin Islands のSt. Croix の製油所を2月半ばに閉鎖し、石油貯蔵ターミナルに転用すると発表した。

過去3年だけで13億ドルもの赤字を出しており、今後もこれが続く見通しのため、閉鎖を決めた。

同社によると、赤字の理由は、世界的な不況による石油精製製品の需要の減少と、新興成長市場での新製油所の建設によるもので、これが過去3年で欧米で18の製油所(合計精製能力 日量200万バレル以上)の閉鎖の原因となっている。
また、天然ガス価格の低下も同社にとって不利に働いているとしている。

同製油所は1966年にHess により建設され、その後能力を増強、1998年にPDVSAとのJVとなり、現社名に改称した。

精製能力は日量50万バレルで、原油を輸入し、製品のガソリン、ディーゼル油、灯油、ジェット燃料、ケロシンなどをメキシコ湾岸や米国東海岸に販売している。32百万バレルのタンクも所有している。

ほかにBTX設備を持ち、能力はベンゼン 15万トン、トルエン 25万トン、混合キシレン 25万トンとなっている。

ーーー

PDVSAは米国に100%子会社のCITGO Petroleum Corporationを持っている。

同社は元々、1910年に設立されたCities Service Companyである。1965年に商標をCITGOとした(社名の初めに"Go"を付けた)。

1982年にOccidental Petroleum が買収したが、1983年に当時7-ElevenのオーナーであったThe Southland Corporationがコンビニチェーンへのガソリンの安定供給のために買収した。

1986年9月にPDVSAが50%を買収、1990年1月に残りも買収し、100%子会社とした。

CITGOは以下の3つの製油所を持つ。

 ・Corpus Christi Refinery 日量165千bpd、ガソリン生産 日量 420万ガロン
    ・Lake Charles Manufacturing Complex  日量425千bpd、ガソリン生産 日量 880万ガロン
    ・Lemont Refinery(イリノイ州)  日量167千bpd、ガソリン生産 日量 400万ガロン 

このほか、1993年にLyondellとの合弁会社Lyondell-Citgo(Lyondell 58.75%)を設立した。
Houstonに268千bpdの製油所を持っていたが、両社の関係が悪化し、2006年8月にLyondellがCitgoの持株41.25%全てを買取った。(PDVSAとの間で、230千bpd、5年間の原油供給契約を締結した)

 

 

Kodak と Bayer - 化学業界の話題

Eastman Kodakが一時、米国でBayer Aspirinを製造販売していた。

Kodakは1988年に医薬会社Sterling Drug を買収した。
Sterling は第一次世界大戦後に敗戦国のBayerから米国におけるBayerの商標を買い取り、Bayer Aspirinを製造販売してきた会社である。

筆者は1970年代に米国でBayer アスピリンを買い、箱に「製造元 Sterling Drug 」とあるのを見て驚いた経験がある。

Bayerは1994年になって、ようやくSterling Drug を買収し、1918年以来初めて、米国でBayerの社名を使い、Bayer Aspirinを販売できるようになった。

KodakがSterling Drug を売却したのは「選択と集中」の一環である。(これは有機EL事業売却などと異なり、妥当なものである)

2012/1/23 Eastman Kodak、米連邦破産法11条申請 

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Sterling Drugは1901年に Neuralgyline Co.として設立された。

第一次世界大戦後の1918年、敗戦国ドイツのBayer AGの米国資産は敵国財産接収法(Alien Property Custodian Act)により没収され、Sterling Drugが入札で531万ドルで買収した。

参考 2006/3/23   2つのMerck社

同社はイギリスとその植民地などでも商標権を獲得し、中南米、南アフリカ、インド、オーストラリアなどにもアスピリン販売網を広げた。(1921年に判事がSterlingによる"aspirin"の製品名使用を認めたため、Bayer Aspirinとして販売できるようになった。)

この結果、ラテンアメリカでは両社が同一製品名で競合することとなり、混乱を避けるため、話し合いにより1923年にSterlingは子会社Winthrop Laboratoriesの株の50%をBayerに与え、見返りに製造面の情報を受け取った。ラテンアメリカ市場は分割した。

1971年にアスピリンが何故効くのかが初めて分かり、Johnson & Johnsonは非アスピリンのTylenol を発売、その後、Bufferinなどが次々発売され、1983年にはBayer aspirinのシェアは13億ドルのアスピリン市場の10%にまで下がった。

1970年代にSterlingは医療用医薬品の開発を開始した。

1988年にEastman Kodakが51億ドルでSterling Drugを買収した。
1991年にSterlingは当時のElf Sanofi(現在のSanofi-Aventis)と戦略的提携を行った。

1994年にSanofiはSterling の処方箋医薬品事業を買収した。
Kodakは残りのOTC医薬品事業(Bayer Aspirinが中心)をSmithKline Beecham に 10億ドルで売却し、SmithKlineはこれを同額でBayerに売却した。

これにより、Bayerは米国でのBayer Aspirinを取り戻した。

ーーー

米国でのBayerの商標を失ったBayer は1954年に米国にMonsantoとのJVのMobay Chemical (ポリウレタン事業)を設立し、1970年代に100%子会社とした。(MobayはMonsanto と Bayer から取った)

1979年にMiles Laboratoriesを買収し、米国の拠点とした。
1992年に米国子会社のMobayやAgfaなどをMilesに吸収した。

1994年にBayerの商標を持つSterlingをSmithKlineから買収したのに伴い、1995年にMilesをBayer USAに改称した。

 

 

 

東燃ゼネラル石油は1月29日、ExxonMobilからエクソンモービル有限会社の持分の99%を2012年6月に取得すると発表した。
東燃ゼネラル
/エクソンモービルは今後、Exxon Mobilと一定の資本関係を維持しつつ新たな提携関係に移行し、製販一体経営を実現する。

東燃ゼネラルはExxonMobil からエクソンモービル持分の99%を3,020億円で取得する。
エクソンモービルは有限会社から合同会社に組織変更する。
エクソンモービルの事業の一部はExxonMobil に移管される。

これに際し、ExxonMobilはエクソンモービルの所有する東燃ゼネラルの株式50.5%のうち、80百万株を取得し、一部を売却する。残る200百万株はエクソンモービル所有のままとなるが、東燃ゼネラルの子会社であるため、議決権はなくなる。

この結果、東燃ゼネラルの株式関係は以下の通りとなる。

東燃ゼネラル株式           (百万株)
  現在 異動 異動後
株式合計 議決権
合計    560     560     360  
 うちエクソンモービル 283 50.5%   -83 200 36% 0
   ExxonMobil      80 80 14% 80 22%
   外部 277 49.5%  3 280 50% 280 78%

東燃ゼネラルは石油製品の精製・供給、石油製品の販売、石油化学事業(自社及び東燃化学)を行っている。

現在は、石油製品の一部は自ら「ゼネラル」ブランドで販売しているが、大半は、極東石油( エクソンモービルと三井石油とのJV)の製品とともに、エクソンモービルで「Esso」や「Mobil」のブランドで販売している。

今後は、エクソンモービルの子会社化により、製販一体経営を実現する。
石油精製・供給、燃料販売、潤滑油・スペシャルティー、石油化学の4つの事業分野において、さらに競争力を向上させるため、新たな一歩を踏み出す。 


従来の体制

今後の体制

東燃ゼネラルとExxon Mobil Corporation は新たな提携関係を定める各種の提携契約を締結する。

1)東燃ゼネラルグループによる、「Esso」「Mobil」商標の日本国内における独占的な使用
2)潤滑油事業における事業協力関係
3)石油精製事業および石油化学事業における、Exxon Mobil Corporationによる継続的な技術提供
4)原油調達におけるExxon Mobil Corporationとの協力関係の継続
5)化学品事業における製品商標の継続使用

Exxon Mobil Corporationは、東燃ゼネラルの株式80百万株を保有することを約しており、Exxon Mobil Corporationが推薦する2名を取締役候補者とする。

 

付記

日本経済新聞(1/31)によると、ExxonMobilは東燃ゼネラル以外とも交渉を進めていた。
コスモ石油が昨年前半から極秘にExxonMobilに接触し、日本事業全体の買収を打診、コスモの筆頭株主のアブダビ首長国系のファンドから買収資金を手当てしようとした。

ーーー

東燃ゼネラル石油の歴史は以下の通り。

  東燃 ゼネラル石油
1939 国策会社として設立  
1947    石油製品の販売、輸出入を目的として設立
1949 SVOC(Standard VacuumOil)と資本、技術、原油供給、販売提携  
SVOC(→Mobil)が株式の51%を取得
1952    SVOCと石油製品の供給、委託販売契約を締結
1960 東燃化学を設立  
1963 Mobilと三井物産の合弁で極東石油工業設立  
1972 キグナス石油に資本参加(出資比率50%) 南西石油(沖縄)に資本参加
1979   Esso株式の47.5%を取得、合計49%に。
1980 東燃化学が日本ユニカーに参加(三菱レイヨンから肩代わり)
 UCCとのJV
 相手は日東化学→三菱レイヨン→東燃化学
 
1984   エッソ石油と業務提携
1997   Essoが株式を追加取得し、50.2%に。
1999    昭和シェル石油、エッソ石油との3社間で、製品出荷に係る相互委託契約
ExxontとMobilが合併、ExxonMobil 発足
2000 東燃ゼネラル石油が発足
2001 キグナス石油精製(ニチモウとの50/50JV)を吸収合併
2002 エクソンモービル発足 (エッソ石油・モービル石油ほかが合併)、東燃ゼネラル石油の50.02%出資
2004 販売会社キグナス石油(ニチモウとの50/50JV)を三愛石油に売却
2008 南西石油全保有株式(87.5%)をペトロブラスに売却(住商も残り12.5%を売却)

     

ーーー

エクソンはすでに米国やオーストラリアでは給油所運営など小売りからは撤退している

2011年8月には、マレーシアで石油精製販売事業をフィリピンのSan Miguel 売却した。

一方で2010年に、米天然ガス大手XTOエナジーを410億ドルで買収した。

2010/2/18 三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画 に記載

また、2011年には北極海大陸棚などの油田開発を狙い、ロスネフチと提携した。

2011/9/1  Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携

 

 

 

1月23日、ブリュッセルで外相理事会を開き、イランへの制裁措置として、同国産原油の輸入禁止と同国中央銀行の資産凍結など、下記の項目を正式決定した。

・イラン原油及び石油製品の欧州での輸送・購入・輸入の禁止、及び関連するファイナンスと保険契約の禁止
  既に締結済の契約は6月末までは認める。5月1日までに再検討する。

付記
EUは6月25日の外相理事会で、7月1日から域内保険会社がイラン産原油輸送タンカーに損害保険を販売することを禁止することを決めた。

日本では、「 特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」が6月20日の参議院本会議で全会一致で可決・成立した。
イラン産原油を運ぶ日本のタンカーに重大な事故が起きた場合、最大で76億ドルを国が補償する。

・イランのエネルギー部門への重要技術の輸出禁止、及びイランの石油化学企業、JVへの新規投資の禁止

・EU内のイラン中央銀行資産の凍結、イラン政府と中央銀行との金・希少金属・ダイヤモンドの売買禁止

・ "Sensitive dual use" goods(軍事用にも使用できる製品)のイランへの販売禁止

原油禁輸をめぐっては、フランスなどが早期発動を主張。一方、財政危機に直面しているギリシャはイラン原油への依存度が高い上、低価格で調達しており、経済的影響を配慮して猶予期間などの調整が図られていた。

EUの決定に対し、イランはこれを強く非難し、ホルムズ海峡の封鎖を警告した。

パネッタ米国防長官は1月18日の記者会見で、イランが海峡封鎖を実行すれば、軍事行動を取る方針を改めて明言した。

中東を歴訪している中国の温家宝首相は1月19日、ホルムズ海峡の封鎖について「どのような状況でも、海峡の安全と正常な航行は保障されるべきだ」と述べ、緊張回避に向けイランに自重を求めた。

他方で、イランの核兵器開発には「断固反対」とする一方、「中国とイランの石油貿易は正常な活動で、保護されるべきだ」とイランからの原油輸入を続ける意向を示した。

ーーー

米エネルギー省によると、ホルムズ海峡を通過する原油の量は2009~10年は平均1550万~1600万バレルで、2011年には日量1700万バレルまで増え、世界の原油需要の2割近い。

ホルムズ海峡を回避するルートは以下の通りで、30%程度しかカバー出来ない。

  単位:bbl/d
能力 既使用 使用可能量 
サウジ East-west Pipeline    500万   150万 350万
サウジ Trans Arabian Pipeline 50万 5~50万
Abu Dhabi Crude Oil Pipeline 150万 150万
Iraq-Turkey Pipeline 30万 30万
合計     535~580万

 


サウジのEast-west PipelineJubail とYanbuの1170kmを結ぶもので、1982年に完成した。

Yanbuの石化コンプレックスに原料を送るNGLパイプライン(日量 555千バレル)と、ホルムズ海峡が封鎖された場合に備え紅海側に原油を送るための原油パイプライン(日量500万バレル)がある。

PetroRabighは、精製する石油はYanbuからタンカーで運び、石化原料はEast-west Pipelineから分岐したパイプで受け入れている。
PetroRabighの精製能力は日量40万バレル。

East-west Pipelineの送油量は500万バレルだが、現在の使用量は150万バレル程度とみられている。

YanbuからBab al-Mandab海峡を通って主な需要家のアジアに運ぶには、ホルムズ海峡を通るのと比べ往復5日が余分に必要なため。

Trans Arabian Pipelineはサウジからヨルダン、シリアを通り、レバノンまで原油を運ぶものだが、政情不安によるテロの脅威から送油が停止されている。実際の送油可能量は能力の1/10の5万バレル程度との説がある。

Abu Dhabi Crude Oil Pipeline2008年から建設を進めてきたもので、アブダビ南西のHabshan(Abu Dhabiの陸上原油の半分以上を集める拠点)からUAE東部のFujairah港まで370kmを結び、UAEの原油生産量の約7割に相当する日量150万バレルのMurban 原油を輸送する。

2010年12月に試運転を開始、本年6月に稼動を開始する。

2010/12/3 Abu Dhabi Crude Oil Pipeline 完成  

イラクのパイプラインは以下の通り。

Iraq-Turley Pipelineは使用可能だが、Iraq-Syria-Lebanon Pipelineは何度も爆破され、修理には新設と同額程度の費用が必要とされている。

1991年まで、イラクから165万バレルの石油をサウジの紅海沿岸までつなぐIraq-Saudi Arabia Pipelineが使われていたが、サウジのEast-west Pipelineにつながるので、容量は増えない。
 

 

 

 

BASFは1月16日、同社の植物バイオテクノロジー(遺伝子組み換え)事業について、欧州市場を諦め、北米、南米の主市場に絞ることを決め、組織を再編すると発表した。

・BASF Plant Science本部をドイツのLimburgerhof から Raleigh, North Carolina に移転。
・欧州市場専用で開発してきた製品は全て開発を中止する。
・研究開発はRaleighと、従来からのベルリンとベルギーのGhent の3か所で行う。
 (欧州市場からは撤退するが、BerlinとGhentには近くにワールドクラスの研究所や大学が多くあるため)

同社では、「遺伝子組み換え技術は21世紀のキイとなる技術であると信じているが、欧州の多くで、消費者、農民、政治家に受け入れられない。このため、この市場のためだけの開発投資をする意味がない。北米南米市場と成長するアジア市場に集中することとした」としている。

開発を中止する欧州専用製品には、遺伝子組み換えのスターチ用ポテトなどがある。既に承認手続きを始めているものについては、今後の可能性を考え、手続きを継続する。

同社はMonsantoと組んでコーン、大豆、棉、菜種、小麦の開発を行っており、2011年末に第1号として干ばつに耐えるコーンの栽培が米国で承認された。

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BASFは2008年、欧州で遺伝子組み換え馬鈴薯(工業デンプン用専用品種) "Amflora"の販売承認が下りず、同年度の植え付けにも間に合わないことから、7月24日、欧州委員会をLuxembourg の欧州第一審裁判所に訴えた。

2008/4/23 BASF、遺伝子組み換え馬鈴薯の承認求め、訴訟も

欧州委員会は2010年3月、Amfloraの一般圃場での栽培を認めることを発表した。食用に使われることはないが、皮などの残渣が餌として家畜に提供されることは規制されていない。

BASFは2011年10月31日、疫病に抵抗性を持つ食用遺伝子組み換えジャガイモ"Fortuna"の認可をEUに申請したと発表した。

 

 

BASFは1月17日、ドイツのLudwigshafenに1系列で年産30万トンのTDIプラントを建設すると発表した。

昨年5月に、同社のAntwerpかLudwigshafenのいずれかのComplex(Verbund)に建設すると発表していた。

TDIプラントのほか、塩化水素のリサイクルプラントの新設、硫酸・塩素・合成ガスの増設や、トルエン供給のためのBTXプラントの増設も行う。

インフラも含めた投資額は約10億ユーロで、2014年末の完成を予定しており、完成後にはドイツのSchwarzheideにある年産8万トンプラントは停止する。

同社では、1系列として世界最大である規模の利益と、最大のコンプレックス(Verbund)に建設することによる原料面、製造面でのシナジー、物流などでのメリットにより、欧州での低コストメーカーの地位を確保できるとしている。

同社はAntwerpのVerbundには年産56万トンのMDIプラントを持っており、欧州にポリウレタン原料の2大基地を持つこととなる。

 

BASFは現在、TDIとMDIをそれぞれ4か所で生産している。

    TDI MDI  
ドイツ Schwarzheide  8万トン   本計画完成後、停止
ベルギー Antwerp    56万トン  
米国 Geismar 16万トン 26万トン  
韓国  麗川 14万トン 19万トン MDI 25万トンに増設の計画中
中国 上海 16万トン   Shanghai BASF Polyurethane
(上海華誼公司
SINOPEC上海高橋石化とのJV)
  24万トン Shanghai Lianheng Isocyanate
(Huntsman、上海クロルアルカリ、
上海華誼公司
SINOPEC上海高橋石化とのJV)

同社は2006年11月に、ダウと共同で30万トンのTDIとその原料プラントを建設するFSを実施すると発表したが、実現していない。

2006/11/27 BASFとダウ、欧州で共同でTDIプラント建設のFS実施         
          

 

 

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