「no」と一致するもの

旭化成は4月27日、サウジにおけるアクリロニトリル(AN)の共同事業化の詳細検討を行うため、SABIC及び三菱商事と、合弁会社の設立を決定したと発表した。

旭化成は2007年4月の経営説明会で、2012年頃に中東でアクリロニトリルを生産する方針を明らかにした。

世界No.1を目指すAN

v 世界No.2 →No.1を目指す
  -生産能力:年産80万トン、シェア14%
v 世界初のプロパン法を開発
  -韓国で実証運転開始(07年1月)
v タイ国PTT社とAN、MMA、アクリル樹脂の共同事業化を基本合意(06年5月)
  -ANはプロパン法20万トンのプラント建設(09年末稼動)
v 中東での事業化検討開始

2007/4/10 旭化成、中東でのアクリロニトリル事業化を検討

その後、コスト競争力の高い生産拠点としてサウジアラビアにおけるANの事業化に関し調査、交渉を進めてきたが、今般、SABIC及び三菱商事と合弁会社を設立し、ANの共同事業化実現に向けた具体的な準備を進めることに合意した。
今後、製造設備の基本設計に着手するとともに、詳細な事業計画の作成を進め、設備投資の最終的な意思決定は2012年を目指す。

合弁会社概要は以下の通り。

(1) 会社名 (仮称) Saudi Japanese Acrylonitrile Company
通称:Shrouq(シュルーク=アラビア語で"朝日"の意味)
(2) 本社 サウジアラビア王国アルジュベール市
(3) 株主 SABIC 50%、旭化成ケミカルズ・三菱商事 50%
(4) 設立資本金 40百万サウジリヤル(約10億円)
(5) 計画生産能力 プロピレン法AN 20万トン/年、青化ソーダ 4万トン/年
※AN製造工程から副生する青酸を原料に、青化ソーダ製造プラントを併設

これが完成すれば、旭化成グループ全体のAN生産能力は約140万トン/年規模となり、Ineos Nitrilesを抜いて世界No.1となる予定。

  千トン 製法 備考
水島 300 既存法  
川崎 150 既存法  
東西石油化学
 
韓国・蔚山
(60) 既存法 ③完成で停止
 70 プロパン法 2007/1 改造してプロパン法実証プラントに
230 既存法 2003/3 200千トン完成、その後増強
245 プロパン法 2011/1 発表 2013/1 商業運転開始予定
(545)    
PTT Asahi Chemical
 タイ・マプタプット
200 プロパン法 2011/央 稼働予定
 (旭化成 48.5%、PTT 48.5%、丸紅 3.0%)
サウジ計画 200 プロピレン法 SABIC 50% + 三菱商事
合計 1,395    

 

ーーー

ウジでは2006年11月に、Saudi International Petrochemical Company Sipchem)が第三期計画としてオレフィンと誘導品計画を発表したが、その中に、エチレン(1,000千トン)、HDPE、LDPE、PPなどとともに、ANM200千トン)、m-MMA250千トン)、Carbon fiberなどが含まれていた。

その後、Sipchemはエチレン計画を断念した。

2009年にSABICSipchem は、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。
SABIC
の計画(投資額 32億ドル)には下記の計画が含まれた。

 MMA  250千トン
 PMMA  30千トン
 アクリロニトリル  200千トン
 ポリアクリロニトリル   50千トン
 ポリアセタール   50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ   40千トン

2009/5/11  サウジのSABICSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書

三菱レイヨンは2009年8月、SABICとの業務提携を発表した。
50%ずつの出資でJVを設立し、ルーサイトの新エチレン法によるMMAモノマー(25万トン)、三菱レイヨン技術によるPMMA(
3万トン)を建設し、2013年の稼動開始を目指す。

2009/8/7 三菱レイヨン、サウジでMMA 

今回の計画はSABICと旭化成の計画を両社のJVで実施するもの。

ーーー

INEOS Nitriles INEOS2005年にInnovene(旧 BP)から事業を買収した。
その後、BASFの工場を買収し、現在の能力は1,284千トンとなっている。

     千トン  
Germany Köln   320 元はErdole Chemie
2001年に Innovene が他の50%を買収し100%とした。
UK Seal Sands   230 2008年INEOS NitrilesBASFの工場を買収
USA Lima, Ohio   190 1960年スタート
Green Lake, Texas   544 1981年スタート、2008年秋に増設
合計  1,284  

 * 1957年にSohio 法を開発したSohioStandard Oil of Ohio)はBPの前身である。


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Dowは4月21日、エチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

米国北東部のMarcellusや南テキサスのEagle Ford などのシェールガスから価格面で競争力のあるエタンとプロパンを確保する目処がついたとしている。
シェールガス掘削により米国の天然ガス供給は増加しており、価格は石油と比較して低下している。

MarcellusやEagle Ford のシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

付記

天然ガス価格の優位性についてコメントをいただいた。

Georgia Gulf は2011年2月の株主説明会資料で、米国の塩ビ事業の特長の一つに天然ガスの優位性を挙げている。
 ・シェールガスによる天然ガス市場の拡大
 ・北米の天然ガスの競争力
 ・少なくともこれは2014年までは続く

    ---

具体的な計画は以下の通りで、同社のエチレン新設は1995年以来。
エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとしている。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

ダウは既に Eagle Fordのシェールガスをもとにするエタンとプロパンの購入契約を締結しており、追加の契約を交渉している。
更に、Marcellusシェールガスを開発しているRange Resources Corporationとの間で、ペンシルバニア州南西部のシェールガスからのエタンをダウの既存のルイジアナ州のコンプレックスに供給する長期契約を締結する旨の覚書を結んだ。

このほか、テキサスでのJVによる天然ガス分留設備建設なども検討している。

「北米最大のプロピレンのユーザーとして、プロパンからのプロピレン製造に投資したい。また、北米最大のエチレンメーカーとして、既存設備でシェールガスからのエタンの使用を更に増加させ、原料の多様性を確保したい」としている。


Range Resources Corporation は独立系の天然ガス会社で、2004年からMarcellus Shaleを開発し、同Shaleの南西部で支配的地位を占めている。同社は現在、アパラチア地区で最大の液体天然ガスの生産者。

付記

NOVA Chemicals5月2日、Range Resourcesとの間でMarcellus Shale Basinのエタンの長期購入契約を締結したと発表した。OntarioSarniaにパイプラインで輸送する。 

同社は9月6日、Corunnaのクラッカーの原料を100% NGLに転換するため、3つの重要契約を締結したと発表した。
 ・
Range Resourcesとの間でMarcellus Shale Basin のエタン購入長期契約
 ・
Caiman Energy, LLCとの間でMarcellus Shale Basin のエタン購入長期契約
 ・
Sunoco Pipeline L.P.との間でMarcellus Shale BasinからSarniaまでのエタン輸送サービス契約

ーーー

Dow20063月に、基礎部門の強化をJV化を通して行う方針を明らかにした。

当時のDowの事業のうち、基礎部門の比率が高いが(プラスチックが売上の24%、ケミカルズが11%で合計35%)、原料高騰、値下がりにより収益性が低下していた。

このため、
Dow JV化による"Asset light" strategy を進めた。基礎部門での海外での新規事業を他社とのJVで実施するだけでなく、既存事業を分離して他社とのJVにしようとするものである。

高付加価値で多角化した化学品・先進材料会社という「明日のダウ」に変貌させ、機能製品と先進材料で世界の主導的地位を占める米国最大のスペシャルティケミカル会社にするとし、Rohm & Haasを買収した。

GEHuntsmanが、原料高騰の影響を受けやすい汎用製品事業を売却するのに対し、DowJV化により、関係を残しながら、負担減を図ろうとした。また、JV相手の力の利用も考えた。

Kuwait Petroleum Corporation 50/50JVMEGlobalを設立してダウの設備を出したのをはじめに、最近では、昨年にスタイロン事業を売却、三井物産と折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁を設立している。

Dow200712月に、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間で、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売するグローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。

しかし、2008年末にこれは一転して破談となった。(事業のうち、PCはスタイロン事業の一部として売却)

これに対し、Dowは「変身戦略」を推し進めるとし、対応策を発表している。
   2009/1/7 
ダウ、「変身戦略」を続行

ここにきて、Dowの戦略が見直しされつつある。

201011月にLiveris CEOは記者会見で、溶液重合やメタロセン触媒などで製品の差別化が図れる余地の大きい直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)に関して、現状維持で運営するケースも示唆した。

今回の計画で基礎原料のエチレン、プロピレンを強化し、それによって、Performance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

2010年決算ではPlasticsの利益の伸びが大きい。

同社は20091月には、グローバル石化JVの実現に向け、PICに代わる新しいパートナーを探すとしていたが、この方針は変更される可能性がある。


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BRICsからBRICSへ - 化学業界の話題

Brazilのルセフ大統領、Russiaのメドベージェフ大統領、Indiaのシン首相、Chinaの胡錦濤国家主席の新興4カ国(BRICs)にSouth Africaのズマ大統領を新たに加えた新興5カ国(BRICS)の首脳会議が414日に中国海南省の三亜市で開かれ、「三亜宣言」を採択し閉幕した。

BRICSは、世界の人口の42%、陸地面積の30%2010GDP18%2010年貿易額の15%を占める。

三亜宣言は、福島原発事故を念頭に、「原発の安全基準を厳格に順守しなければならない」としつつ、「原子力エネルギーは各国の未来の中で重要な位置を占めている。平和目的の原子力エネルギー協力を進めるべきだ」と表明した。

リビア問題について「平和的手段と対話によって解決すべき」としてNATOへの反対姿勢を鮮明にし、南アのズマ大統領が支持するアフリカ連合(AU)停戦案に各国首脳が賛同した。
欧米が影響力をもつアフリカ経済を、
BRICSをテコに中国に引き寄せる考え。

宣言はまた、安定的で信頼性の高い国際通貨システムの構築を求めるとともに、国際金融体制に世界経済の変化を反映させ、新興国や発展途上国の発言権と代表権を強める必要性を強調した。

次回の首脳会議は2012年にインドで開催する予定。

ーーー

新興4か国の総称の“BRICs”は投資銀行Goldman SachsのエコノミストのJim O'Neillが書いた20011130日の投資家向けレポートBuilding Better Global Economic BRICsで初めて用いられ、世界中に広まった。

BRIC四か国の第一回の首脳会議は2009年にロシアで開催された。

主に通貨問題が話し合われ、新興市場と発展途上国の国際金融機関における発言権と代表性を高めることを求めた。
国際貿易と投資環境の改善に努力するようアピールし、貿易保護主義に反対の姿勢を示した。
エネルギー問題では生産国、消費国の協調と協力を進め、エネルギー資源供給の多元化を進めること、国連改革についてはグローバルな挑戦に効率的に対応できるよう行うべきだとの考えを明記した。

第二回首脳会議は20104月にブラジルの首都ブラジリアで開催された。

経済発展と通商、IMF・世銀改革、農業協力、貧困との闘い、エネルギー、気候変動、テロ対策、文化・スポーツ交流について共通認識と相互協力を確認し、33項目の声明を発表した。
新たな世界金融危機の防止のため、新興国の発言権を強めること、世界金融のシステムを多様化する改革の必要性を確認した

本年の第三回会議に先立ち、昨年12月、南アフリカをグループに正式加入させることで合意した。

中国外務省の報道官は記者会見で、「BRICsの議長当番国として、ロシア、インド、ブラジルと協議し、南アを正式メンバーとして機構に加入させることで合意した」と中国主導をアピールした。

「南アの加入は
BRICSの発展に有利に働き、新興市場国家の協力を促進すると信じている」と述べ、新興5カ国の協力関係を「調和」「安定」と強調した。
経済分野での“中国脅威論”が膨らむことを牽制している。

南アの経済規模はロシアの4分の1にすぎない。GDPは世界で28位である。
他の新興国を差し置いて新たに
南アを加えた中国の思惑は、エネルギー資源獲得を狙ったアフリカとの関係再構築にあるとされる。北アフリカ・中東政変が、これまでの中国のアフリカ戦略を狂わせた。

各国の2010年のGDP(単位:10億ドル)
   . 
G7、これにロシアを加えてG8となった。
 . 
BRICS ○はG20          
1 アメリカ  14,658
2 中国 5,878
3 日本 5,459
  EU  
4 ドイツ 3,316
5 フランス 2,583
6 イギリス 2,247
7 ブラジル 2,090
8 イタリア 2,055
9 カナダ 1,574
10 インド 1,538
11 ロシア 1,465
12 スペイン   1,410
13 オーストラリア 1,236
14 メキシコ 1,039
15 韓国 1,007
16 オランダ   783
17 トルコ 742
18 インドネシア 707
19 スイス   524
20 ポーランド   469
21 ベルギー   466
22 スウェーデン   456
23 サウジアラビア 444
24 台湾   431
25 ノルウェー   414
26 オーストリア   377
27 アルゼンチン 370
28 南アフリカ 357

中国を除く4カ国の共通項は新興国であるということと、いずれも中国との経済関係を深めているという点しかなく、「中国が主役で4カ国が脇役の政治ドラマ」で、実際は対中警戒感を隠さぬロシアやインドとの“同床異夢”でもあるとされる。


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2010年4月20日夜、ルイジアナ州ベニス南東約84キロで掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig で爆発事故が発生、大量の原油が流出した。

2010/5/4  米の原油流出、環境や漁業に影響

同年9月19日、BPは井戸の封鎖が完了したことを確認した。

2010/9/20 メキシコ湾原油流出事故ーBottom Kill 作業完了

事故を起こした鉱区Mississippi Canyon 252の権益保有者は以下の通り。

BP Exploration and Production Inc. 65.0% (Operator
Anadarko Petroleum 25.0%
 三井石油開発子会社 Moex Offshore LLC 10.0%

事故から1年が経ったが、現地での環境回復作業や補償手続きは続いている。

ーーー

三井石油開発の子会社のMoex Offshore LLCAnadarko Petroleum 2011419日、BPを訴えた。

両社はNew Orleansの連邦判事に対して、BPがパートナーシップ契約に違反しているとして、原油流出事故による損害や復旧費用の負担の責任がないことを確認するよう求めた。

Moex Offshoreは訴状の中で次のように述べている。

死亡や人的被害への責任、クリーンアップ費用、経済的損害、投資損失、逸失利益、流出に伴い将来課せられるかも分からない罰金など、同社に求められる予見可能の損害の原因はBPの行動によるものである。

両社は爆発や原油流出にはなんらの責任もないとし、リグの所有者のTransoceanに対しても重大な過失があるとして非難している。

これに対して、BP側は両社が持分相当の負担をすることを求めている。

2010年度Annual Report で以下の通り述べている。

Operating AgreementではMoexAnadarkoは全てのコストと債務を持分に応じて負担することとなっている。
重大な過失か故意に基づく違法行為の場合はその社が単独で責任を持つが、
BPは、Operating Agreementや法律に照らして、重大な過失も故意に基づく違法行為も犯していないと信じる。

2010年12月末時点で、両社に60億ドルの請求を行っており、これは契約上、回収可能と信じている。今後発生する費用についても負担を求める。

両社はBPに重大な過失、故意に基づく違法行為があるとして支払いを留保しているが、重大な過失、故意に基づく違法行為があるかどうかに関しては法的手続きを行う。
最終的には契約に基づき、調停にかけて、請求分の支払いを求める。

付記
BPは2011
4月に両社に "notice of dispute"
を送付した。
契約では
"notice of dispute" 送付後190以内に解決しない場合、調停にかけることが出来る。

リグの所有者のTransoceanは、同社の重大な過失を示すような証拠は何もないとしている。

ーーー

メキシコ湾の原油流出事故を巡り、米司法省は2010年12月15日、BPと三井石油開発子会社Moexなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こした。

2010/12/17 米司法省、BP原油流出事件で提訴

対外的には、MoexAnadarkoも同油田のオーナーとして損害賠償責任や罰金の対象となる。
このため、直接支払いを求められるものについては、両社は一旦支払いを行ったうえで、
BPに求償することとなる。

今回の訴えは、BPからの請求を拒否するとともに、外部からの両社への支払請求を避ける意味もある。


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EUは4月13日、欧州8か国で家庭用洗剤の価格カルテルを結んだとして、Procter & Gamble Unileverに合計315.2百万ユーロの課徴金を課した。  

両社はHenkelとともに、欧州8か国で3年間にわたり価格カルテルを結んでいた。
カルテルは洗濯機の粉末洗剤に関するもので、少なくとも、2002年1月から2005年3月まで続いていた。

カルテルは業界団体の International Association for Soaps, Detergents and Maintenance Productsが洗剤の環境負荷の改善の会議のために集まったのを機会に始まった。
会議では大型のボックスをやめ、コンパクトな包装にすることを決めたが、3社はこの変更によってどの社も競争上有利になることはないことを確認、それぞれのマーケットシェアを守り、包装の変更で値下げをしないことを決め、後に、値上げで合意した。

EUは業界団体は違法行為に関係していないとしている。

課徴金の明細は以下の通り。

  社名          Leniency減額 示談制度減額  課徴金
  Henkel           100%      N/A          0
  Procter & Gamble   50%
      10%      211,200 千ユーロ
  Unilever            25%      10%      104,000 千ユーロ

Henkelは2008年にEUにこのカルテルの存在を伝えたため、免責された。

2社の課徴金は調査への協力による減額に加え、事実を認めて調査を早く終結させたことで10%の減額となっている。

EU の欧州委員会は2008年6月、企業の価格カルテルに絡んで新たに「示談制度 (settlement procedure)」の導入を決めた。
捜査の終了段階で欧州委は対象企業にカルテルの証拠を示す。
企業がカルテルへの参加を認め、責任を認めた場合、制裁金の10%を減額する。

2008/7/4 EU、カルテルで示談制度導入


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4月18日付の毎日新聞のコラム「風知草」(山田孝男氏)のタイトルである。

中部電力の浜岡原子力発電所を止めてもらいたい。安全基準の前提が崩れた以上、予見される危機を着実に制御する日本であるために。

(中略)

浜岡原発は静岡県御前崎市にある。その危うさは反原発派の間では常識に属する。運転中の3基のうち二つは福島と同じ沸騰水型で海岸低地に立つ。それより何より、東海地震の予想震源域の真上にある。

「原発震災」なる言葉を生み出し、かねて警鐘を鳴らしてきた地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授(66)は、月刊誌の最新号で、浜岡震災の帰結についてこう予測している。
「最悪の場合、(中略)放射能雲が首都圏に流れ、一千万人以上が避難しなければならない。日本は首都を喪失する」「在日米軍の横田・横須賀・厚木・座間などの基地も機能を失い、国際的に大きな軍事的不均衡が生じる......」(「世界」と「中央公論」の各5月号)

これが反原発派知識人の懸念にとどまらないことを筆者は先週、思い知った。旧知の政府関係者から「浜岡は止めなくちゃダメだ。新聞で書いてくれませんか」と声をかけられたのである。原発輸出を含む新成長戦略を打ち出した内閣のブレーンのひとりが、浜岡に限っては反原発派と不安を共有し、「原発を維持するためにこそ止めるべきなのに、聞く耳をもつ人間が少ない」と慨嘆した。

(後略)

既報の通り、石橋名誉教授は岩波書店の雑誌「科学」1997年10月号で、浜岡原発について述べている。

発生が懸念されるM8級東海巨大地震の想定震源断層面の真上、静岡県御前崎のやや西に、中部電力浜岡原子力発電所がある。

原発を直撃する地震動は、原子炉のS2(安全のための余裕を加えた基準地震動)を超える恐れが強い。

地震時に浜岡は1m以上隆起すると考えられるが、それに伴って地盤が傾動・変形・破壊すれば原発には致命的だろう。

津波に関して中部電力は、最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる。

そのうえで、浜岡で、今回福島原発で起きたこと(敷地地盤高を越える大津波、全電源停止、水蒸気爆発、4基すべてが同時に事故、使用済み燃料貯蔵プールへの波及)が起こる可能性を述べている。
    (浜岡は現在は3基だが、当時は4基あった)

2011/3/29  福島原発事故
「科学」1997年10月号記事 http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/9710kagaku.pdf

同氏は2005年2月23日の衆議院予算委員会公聴会で、浜岡原発で事故が起こった場合の首都喪失の可能性を公述している。

今世紀半ばに東海、南海地震が起こるのはほぼ確実としている。

会議録 http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/050223koujyutsu.pdf

「最悪の場合、放射能雲が首都圏に流れ、一千万人以上が避難しなければならない」場合、どこに避難するのだろうか。
西への道は地震と放射能で全て閉鎖されている。

参考

 

 

ーーー

石橋氏は全電源停止の可能性を指摘しているが、4月19日付の毎日新聞は、原発の全事業者が電源の長期喪失を想定せず、国も「考慮不要」としていたと報じている。

米スリーマイル島原発事故などを受け、原子力安全委員会が1992年に炉心溶融などシビアアクシデント対策の報告書の作成を推奨した。

これに対し各社は、電源が喪失した場合でも原子炉内に7~8時間は注水を続けられる冷却機能を原発に備えているが、これに加え、隣接する号機の電源を融通する、非常用ディーゼル発電機を追加設置するなどの方法で電源供給能力を向上させるとした。
電源が8時間を超えるような長時間にわたり失われる事態を想定した社はなかった。

安全委が1990年に定めた原発の安全設計審査指針でも「長期間にわたる電源喪失は、送電線の復旧、非常用発電機の修復が期待できるため、考慮する必要はない」とされていた。

一方、原子力安全基盤機構が昨秋に公表したシミュレーションでは、福島第一原発の2~5号機と同じタイプの沸騰水型軽水炉(出力80万kw)について、電源を喪失し、注水不能になって約1時間40分後に核燃料の溶融による落下が始まり、約3時間40分後に原子炉圧力容器が破損、約6時間50分後には格納容器も破損すると予測された。

最悪の事態が予想されながら、国や電力会社が対策を怠っていたこととなる。

 

ーーー

付記 「ごまめの歯ぎしり メールマガジン版ー河野太郎の国会日記」

明日(4/20)の外務委員会の質問通告です。国会改革の申し合わせの一環として公表します。

  外務大臣は、浜岡原発の安全性を海外に向けてどのように説明するのか。
  保安院はなぜ、浜岡原発の停止を求めないのか。

 ↓  

今日の質疑を要約するとこんな感じです。詳しくはビデオライブラリーを見てください。
私の質問は9時から35分間です。

ビデオライブラリーはこちら。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.php?u_day=20110420 の外務委員会

 問い 保安院はなぜ、浜岡原発の停止を求めないのか。
 答え むにゃむにゃむにゃなので、安全だ。
 
 (中略)

夜、ルクセンブルク大使公邸で、ルクセンブルクの副首相・外務大臣の歓迎夕食会が開かれ、その席上で、元通産官僚が、日本では自動車事故で毎年何千人死んでいる、原発の事故でこれまで何人死んだんだとのたまわった。それを聞いて、出席していたヨーロッパ人は、みんな僕の方を向いてウインクした。日本の原子力行政がいかにひどいかを説明するよりも、百倍、日本の原子力問題がはっきり副首相には伝わった。


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中国国有資源大手の中国五鉱集団の五鉱能源(Minmetals Resources)は、豪州とカナダに上場している銅鉱山開発会社のEquinox Minerals に対して買収提案を行った。全株取得を狙っており、買収提案額は63億カナダドル。

銅資源の確保が狙い。中国は世界の銅需要の40%
を占めており、銅の価格が上昇する中、銅鉱山の取得に熱心である。 

     付記 

五鉱資源は4月26日、買収計画を撤回した。世界最大の産金会社、カナダのBarrick Gold が五鉱資源を上回る買収提示額(73億2000万カナダ・ドル)を示したことを受けた措置


Equinoxは現在、この10年で世界で開発された新しい銅鉱山では最大級のZambiaのLumwana 銅鉱山の運営と、サウジアラビアのJabal Sayid Copper-Goldプロジェクトの推進に集中している。

Lumwana projectは1999年に権利を取得、2008年末に操業を開始した。
2011年の銅生産量は145千トンの計画で、今後、年産200千トンに拡大する計画。

Jabal Sayid projectについては2010年に権利を取得した。
2012年に生産開始の予定で、年産60千トンの計画。

このほか、サウジでは Jabal ShaybanとJabal Baydanのgold金山、Lahuf 金山、Bari 金・銅鉱山などの開発計画がある。

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一方、Equinoxはカナダの銅鉱山開発会社、Lundin Mining Corporation に買収提案をしている。

Lundin Mining は同じくカナダの銅と亜鉛の鉱山会社 Inmet Mining と合併することで合意、承認を求める株主総会を予定していた。

しかし、本年37日にEquinoxがLundinに対し総額48億米ドルでの買収提案を行ったため、LundinとInmet は合併合意を取り消している。

Minmetalsは「Equinoxの株主にとってLundinを買収するよりもMinmetalsの買収提案を受ける方がメリット大きい」としている。
Minmetalsの買収提案はLundin買収の取り下げを条件としている。

これに対しMinmetalsでは、この時点での買収提案は、株主にとって価値があるLundin買収を邪魔するものだとし、買収価格はたった9%のプレミアムを乗せただけであり、ベースメタルの企業買収にしては低すぎるとしている。
(Minmetalsは発表はしたが、Equinoxに対してオファーはしていない。Equinoxは
Lundin買収の承認を求める株主総会を426日に延期した。

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五鉱集団(Minmetals)の子会社の五鉱有色金属(Minmetals Non-ferrous Metals)は2009年、豪州3位の鉱業会社で世界2位の亜鉛メーカーのOZ MineralsOZ Minerals を買収した。(一部の鉱山を除くなど、条件付きで豪州政府の承認を得た。)

   2009/4/25 豪州政府、中国五鉱集団による豪州OZ Minerals 買収を条件付で承認

 


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NHK BS 世界のドキュメンタリーで2夜にわたり、「岐路に立つタールサンド開発~カナダ 広がる環境汚染~」が放映された。

「タールサンドは石油枯渇時代の救世主となるのか、それとも開発による環境破壊は石油ヘの依存を見直すきっかけとなるのか。岐路に立つタールサンド開発を追う」(NHK ホームページ 前

カナダのアルバータ州には16000億バレル以上のタールサンド(=オイルサンド)が埋蔵されている。

露天掘りと油層内回収法がある。
前者は、原油を含んだ砂を掘り出し、熱湯をかけて油(
Bitumen)を抽出する。
後者は、地下深くのオイルサンド層にパイプを通して大量の熱い蒸気を注入し、
Bitumenを流動化してポンプで汲み上げる。

Bitumenに改質装置で熱と圧力を加えて合成原油を精製する。

詳細は 2008/2/4 Dow Canada、オイルサンドからのエタン、エチレン購入契約

採掘場の近くには、人工貯水池があり、Bitumenを抽出する過程で出る有毒物質を含んだ排水や泥が貯められている。

貯水池は老朽化し、有毒物質が川に流れ出している。
Bitumen精製では大量の温室効果ガス(通常の原油精製の3倍)と汚染物質が排出されている。

周辺に暮らす先住民族に深刻な健康被害が起き、癌による死亡が続出している。
しかし、アルバータ州政府は科学者たちの警告に耳を貸そうとしない。

先住民族が問題を世界に訴え始める。2009年にはCOP15の開催中にコペンハーゲンを訪れ、タールサンドの危険性を主張した。タールサンド開発に参加しているStatoilの株主総会で危険性を訴えた。
ジェームズ・キャメロン監督が現地を訪れ、架空のアバターの世界が実際にあったと驚き、環境改善を訴えた。
学者が厳密な調査を行い、水質汚染、空気汚染の実態を発表した。

この結果、カナダ連邦政府も州政府の調査が不備であったことを認めた。
州政府も再調査と住民の健康調査を約束した。

しかし、中東の原油依存を避けたい米国は、カナダのタールサンドの受け入れの方向に向かっている。
クリントン国務長官は、「中東の汚い石油か、カナダの汚い石油か、アメリカの選択肢は2つです」と述べている。

ある科学者はこう述べている。
「タールサンドに関してはアメリカも共犯者です。カナダが売る麻薬を買い続ける中毒患者のようなものです」

ーーー

先住民族が株主総会で訴えたノルウェーのStatoilに対しては、GreenpeaceWorld Wide Fund For Natureが、温室効果ガスの大量排出を問題とし、カナダのタールサンドからの撤退を要求している。
519日の株主総会で3年連続で撤退の動議を提出する。株主の中にも保険会社のStorebrandなどがこの動議に賛成している。

しかし、Statoil67%の株主であるノルウェー政府は、政府としてはStatoilのタールサンド問題に介入しないとしている。
通商産業大臣は
331日、「タールサンドへの投資は企業が決定する問題であり、株主としての政府が決めるものではないという結論だ」と述べた。

Statoil側は、タールサンドへの投資を進めるとし、技術ノウハウを駆使して問題を改善し、14年間で温室効果ガスを40%カットするという目標を達成するとしている。

ーーー

Statoilは北海油田の埋蔵量減少を補うため、20074月にカナダのベンチャーのNorth American Oil Sands Corporation22億カナダドルで買収した。

North American Oil SandsAlberta州のAthabasca 地区でKai Kos Dehseh project を操業している。
2009年頃に日量1万バレルのパイロット生産が始まり、2011年には商業生産を開始、2015年頃までには日量10万バレルの生産が期待されている。
10年後には日量20万バレルを期待している。

201010月、Statoilは同社の40%22.8億米ドルでタイの PTT Exploration and Productionに売却することで合意した。
Statoilは残り60%を引き続き保有し、生産と販売を担当する。

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中国勢もオイルサンド(タールサンド)事業に相次いで参加している。

2005/4  中国海洋石油 カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収
2009/9/10  PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 Athabasca Oil Sands
2005/6  Sinopec、Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
 2009年に50%にアップ
2010/4/16  Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada

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同様の環境問題はシェールオイルも抱えている。

地震のために再放送が延期になったが、NHKの世界のドキュメンタリーの「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」がこれを取り上げている。

「世界の資源地図を塗り替えると期待される、新しい天然ガス『シェールガス』。その開発に疑惑を持ち、コロラド、ワイオミング、テキサス、ルイジアナ・・・と自家用車で旅を続けるジョシュが見たものは、飲み水や大気の汚染で深刻な健康被害に怯える人々と、無残な姿をさらすアメリカの大地だった。

行政担当者や環境問題の専門家などに話を聞くうち、汚染の原因は、岩石層の水圧破砕のために地下に注入する特殊溶液にある可能性が浮上してくる。アメリカでは飲料水の安全確保のため、水源地帯の土中に異物を混入する行為は厳重に規制されている。ところが、住民の要請を受け当局が調査を行った形跡はなく、ガス会社には溶液の成分を公表する義務さえないという腑に落ちない事実が明らかになっていく。」(NHKホームページ 前

日本の商社各社が米国のシェールオイル開発に参加しているが(昨日の記事参照)、将来、株主責任が問われることとなる可能性もありうる。


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SolvayRhodiaは、43日、SolvayRhodiaの株式100%の友好的買収オファーを行う枠組み協定を締結した。
買収額は総額
34億ユーロで、買収価格は41日株価に50%のプレミアムをのせたものとなる。

統合会社の売上高は120億ユーロとなるが、その強みとして、Solvayは以下の点をあげている。

 ・統合売上高の90%は世界で上位3位に位置する製品

  セグメント 世界順位 製品
Solvay  Specialty Polymers  No.1 高機能エンプラ、フッ素ポリマー
Oxygen  No.1 過酸化水素
Minerals  No.1 ソーダ灰、重曹
Vinyls  No.3  
Rhodia Polyamide Materials  No.2 ポリアミド6.6
Consumer Chemicals  No.1 スペシャルティ界面活性剤、燐化学品、バニリン用ジフェノール
Advanced Materials  No.1 シリカ、レアアース製品

 ・統合売上高の40%が新興成長市場で、今後の伸びが期待できる。

西欧 43%、北米 17%、計 60%
ラテンアメリカ 14%、アジア太平洋・その他 26%、計 40%

 ・多くの異なる市場分野でバランスの取れた存在

  Consumer
 goods
Construction Automotive Energy, Water
& Environment
Electronics
Solvay 4% 22% 9% 7% 7%
Rhodia 40% 5% 20% 10% 5%
Combined 19% 15% 14% 8% 6%

コスト面のシナジー効果も3年以内に年間250百万ユーロが期待される。
この
2/3は外部コストの節減(残り1/3は管理部門が大半)で、大きな人員削減は考えていない。

従業員はSolvay16,800人、Rhodia14,100人で、合計30,900人となる。

ーーー

SolvayはErnest Solvayが開発したソルベイ法ソーダ灰の商業化を目的に1863年に設立された。

最近のトピックスは以下の通り。

2007/4/13   Solvay、バイオディーゼル副生グリセリンを原料とするエピクロの生産開始
2007/7/6   Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV
2007/8/3   Dow と Solvay、タイにHPPO用の過酸化水素製造のJV設立
2007/9/12   Solvay、タイでエピクロルヒドリン生産
2007/12/21   ソルベー、ブラジルでバイオベースのエチレン製造
2008/9/20   Solvay、タイのビニルチェーン拡大
2008/10/8   Solvay、フランスの水銀法電解をイオン交換膜法に転換

2010年の売上高は71億ユーロ。

ーーー

Rhodia1998年にRohne Poulentの化学品事業部と繊維・ポリマー事業部化学を統合して設立された。

1999年にRohne PoulentHoechstが統合してAventisが生まれた際に、独立企業となった。

Hoechst1997年にスペシャルティ部門をClariantSandozの化学品部門が独立)に売却、1999年にCelaneseを分離している。

Aventis2004年にSanofi Synthelaboと合併し、Sanofi Aventisとなった。

2010年の売上高は52.3億ユーロで、11のBusiness Unitsを持つ。

・Acetow:タバコフィルター用
・Aroma Performance
・Coatis:
フェノールベース製品
・Eco Services:
硫酸
・Energy Services
・Engineering Plastics:
ポリアミドベースの高機能エンプラ
・Fibras:ポリアミドベースのヤーン
・Novecare:
界面活性剤
・Polyamide & Intermediates:Polyamide 6.6 value chain
・Rare Earth Systems
・Silica


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住友軽金属は44日、古河スカイ、住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズとともに、BPからアルミ板圧延品メーカーのARCO Aluminumの全株式を譲り受けることに合意したと発表した。

ARCO Aluminumは飲料缶用のアルミシート(缶材)のメーカーで、生産量は年間約30万トン、北米缶材市場でのシェアは15%となっている。

ARCO Aluminumは、アルミ缶材に特化した製造を行っている世界最大級のアルミニウム板圧延工場であるLogan Millの資産の45%の持分を所有している。(運営会社のLogan Aluminum Inc.については60%の出資持分)

Logan Millの残りはNovelisが所有し、ARCO AluminumNovelisはそれぞれ、原材料をLogan Mill に供給し、各々の製品を販売している。

住友軽金属と他4社は、共同持株会社のARROW Aluminum Holding Inc.を設立し、ARCO Aluminum株式を680百万ドルで取得し、経営参加と技術提供を通じて、アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造販売に取り組む。

買収後の運営形態は以下の通りとなる。

 

 

ARCO Aluminumと取引のあった住友商事にBPから株式売却の打診があった。    

住友軽金属では、北米地域における世界最大級のアルミニウム板圧延工場に対する経営参画で資金面の負担が重いため、単独ではなく、他4社との共同で取り組むこととしたとしている。

古河スカイは2003年10月に古河電工とスカイアルミニウムがアルミ事業を統合して設立した。
(スカイアルミは1964年に昭和電工と八幡製鉄、米カイザーアルミナムの合弁で設立、カイザーは1973年に撤退)

住友商事は古河スカイの缶材を輸出しており、住友商事が声をかけたという。
住友軽金属ではケースバイケースでどこと組むか決めるとしている。

同社は本件について以下のメリットをあげている。

 販売面のメリット
  ・アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造・販売
  ・今後大きな伸びが見込まれる中南米市場への販売拡大
   ⇒ 今後拡大する世界飲料缶市場に対してグローバル供給体制構築の実現へ

 製造・技術面のメリット
  ・日本・北米それぞれの長所を活用したシナジー効果

ーーー

Logan Millsの歴史は以下の通り。

1981年にAtlantic Richfield Logan Millsの建設を開始、1984年に操業を開始した。

その後、Atlantic Richfield1985年にアルミ関連事業をAlcan に売却した。
しかし、独禁法の点で
Logan Millsの売却の認可を取得できず、Logan MillsAtlantic Richfield 子会社(その後、ARCO Aluminumと改称)とAlcanの合弁事業となった。

2000年にBPAtlantic Richfieldを買収した。
2005年にNovelisAlcanからスピンオフした。

この結果、Logan MillsBP子会社のARCO AluminumNovelisの共同事業となった。

Novelisはアルミ圧延の世界のリーダーで、世界のアルミ板圧延品の20%のシェアを有している。
欧州と南米では
1位、北米とアジアでは2位のメーカー。

ーーー

BPにとっては本事業は非中核事業であり、売却は2011年末までに300億ドルを売却するという方針の一環である。
本売却を含め、これまでの売却金額は
240億ドルに達している。

2010/12/1 BP、アルゼンチンのPan American Energy の持株をBridas Corporationに売却 参照


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