「no」と一致するもの

甘味料トレハロースを開発したバイオ関連企業の林原グループ4社(林原、林原生物化学研究所、林原商事、太陽殖産)が私的整理の一種「事業再生ADR」(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決)を民間の第三者機関に申請し、受理された。
同社が1月25日に明らかにした。

事業再生ADRは第三者の仲介により、債権者と債務者が話し合いで事業再生計画を作成し、再建を目指す。会社更生法などの法的整理に比べて、手続き期間が短いのが利点。

付記

「事業再生ADR」手続きを申請した林原の第1回債権者集会が2月2日、都内で開かれた。
同社が希望した私的整理を断念し、会社更生法の適用を同日中に申請することが明らかにされた。

林原グループは林原家の同族企業で、1883年に水あめ製造業「林原商店」として岡山市で創業。1994年、でんぷんを糖質トレハロースに変える酵素を発見し、世界で初めて大量生産に成功した。

現在、次のようなユニークな製品を扱う。

食品素材 トレハロース、低カロリー甘味料「マルチトール」、ビフィズス菌増殖効果にすぐれた「乳果オリゴ糖」、フィルムやカプセルに加工できる「プルラン」など
化粧品素材 ブドウ糖を結合させた安定型ビタミンCのAA2G(医薬部外品)、ブドウ糖を結合させ水溶性を高めたヘスペリジン、天然由来の色材天然色材など
医薬品素材 インターフェロン、自己免疫疾患治療薬「インターロイキン18」、抗ガン作用と免疫抑制作用を持つ血液細胞「HOZOT」、酵素・微生物技術から生まれた点滴液の原料の医療用マルトースなど
健康食品素材 天然成分で構成
機能性色素 3万種の色素を保有
試薬

メセナ活動ではチンパンジー研究や恐竜化石の発掘調査を行ったり、美術館の運営を支援している。

林原生物化学研究所類人猿研究センターを設立。また林原の寄付で京大霊長類研究所(愛知県犬山市)に、ヒトに近い類人猿ボノボ専門の研究部門を国内で初めて設置した。
モンゴル古生物学センターと連携し、ゴビ砂漠で調査、新種の恐竜化石やティラノサウルス科の恐竜の子どもの全身化石などを発掘した。
林原自然科学博物館、林原美術館

林原グループは、岡山駅の至近の一等地に約45,000㎡の土地(岡山藩主であった池田家の元所有地)を持っており、ザ ハヤシバラシティとして再開発する構想を発表しているが、進展を見ていない。

メーンバンクの中国銀行の株式をグループ各社で10%以上取得し、筆頭株主となっている。

同族で経営陣を固め、非上場を貫く経営方針で情報公開もあまりしていない。

研究開発志向の会社で、長期にわたり開発投資が先行する事業構造になっており、金融機関からの借り入れで資金調達を進めてきたが、景況悪化で保有する土地や有価証券の資産価値が劣化し、資産規模に対して債務が膨らむ状況に陥った。

林原の借入金総額は約1400億円で、メーンバンクの中国銀行の420億円のほか、住友信託銀行の280億円など取引銀行は約30行。

同社は1991年ごろから2001年まで300億円近い架空売り上げを計上し、損失を隠していた疑いがあるという。

同社は1月26日、最近の業績を発表した。

不正経理問題については、専門家も交えて調査を行っているとしているが、事業自体は堅調に推移してきているものと認識していると述べている。

(単位:百万円) 平成2010月期 平成2110月期 平成2210月期
売上高 28,333 28,268 28,113
営業利益 2,818 3,678 4,511
経常利益 265 575 1,218

中国銀行は「同社グループの事業性及び県における高い貢献度を考慮し、主力行として相応の支援及び協力を行う方針で検討している」としているが、他行の反応は複雑とされ、ADRが成立するかどうかは予断を許さない状況。

石井岡山県知事は「大変驚いている。本県を代表する老舗企業であり、研究開発型企業として大きな役割を果たしてきた。早期の再生を望んでいる」とコメントした。

ーーー

同社の歴史は以下の通り。

1883年 林原商店創業  
1935年 酸麦二段糖化法による新しい水飴の製造法完成  
1946年 カバヤ食品 創業、水飴を使ったキャラメル等の販売 1979年 林原グループより離脱・独立
1959年 世界初の酵素糖化法によるブドウ糖の工業化に成功 バイオ分野へ進出
1961年 前社長の死亡で現社長が社長に就任 「デンプン化学」(ファインケミストリー)進出
1968年 酵素法による高純度マルトースの新製法開発
  点滴のエネルギー補給剤、低カロリー甘味料原料
医薬品分野進出
1973年 プルラン(多糖)の開発に成功 30年後に生分解性プラスチックとしてブレーク
 リステリン・フィルム、カプセルなど
1978年 虫歯になりにくいカップリングシュガー(オリゴ糖)の製造技術開発  
1979年 1FNなど各種生理活性物質の工業的生産技術の確立  
1990年 安定型ビタミンCの大量生産技術開発  
1994年 酵素法によるトレハロースの安価・大量生産技術の開発
  それまでは酵母から抽出しており、非常に高価
  28千株をテストして耐熱酵素を発見
現在、年間3万トン生産
約1万種類の食品で使用
1995年 新規サイトカインlL-18を発見  
2002年 環状四糖の大量生産技術の開発  
2005年 新規環状四糖を発見  
2006年 新規環状五糖を発見  
2006年 抗ガン作用と免疫抑制作用を持つ臍帯血由来の血液細胞「HOZOT」の発見  
2007年 文化財補修用の古糊の製法(10年かかる熟成を2週間で)  
2010年 「トロイの木馬」型 新抗癌メカニズムを発見
T細胞「HOZOT」(ホゾティ)が、癌細胞を選択して、その中に積極的に侵入し、内部から癌細胞を死滅させる現象の確認
 

林原の研究・経営哲学は非常にユニークである。

「研究に関しては10年かけてもいいから独創的な研究を」というのが経営方針で、オーナーのこの意見が反映できるよう、株主の意見に左右されないよう、非上場を続けてきた。

「ニーズは考えない」、
「自分たちで市場を創る、No.1でなく Only1を目指す」、
「あきらめなければ失敗ではない」
が同社のモットーである。

一般企業のようにニーズから入るのではなく、①最も得意な分野で他社がしないこと、新しいものを目指し、②持っている知識、技術を最大限発揮し、③新しいモノを見つけたら、大量生産技術を確立する。④そのあとで、ニーズを考え、自分たちで市場を創るというやり方をとっている。

「No.1」でなく「Only1」を目指しており、下記の実績がある。

世界にないモノ カップリングシュガー、プルラン、乳化オリゴ、糖転移ビタミンC、
環状四糖、環状五糖
世界にない製法 インターフェロンα、インターフェロンγ、トレハロース

「あきらめなければ失敗ではない」とし、プルランでは30年後に新しい需要を見つけている。

トレハロースでは最初にみつけた酵素が熱に弱く問題があったため、耐熱酵素を探したが、なんと28千株をチェックしてようやく見つけたという。

資料:武田計測先端知財団の2008年2月「武田シンポジウム2008」の記録   「選択」 

ーーー

オーナーの意向、理念が強力に反映されている。
そのための非上場は理解できるが、自己資金の範囲ならともかく、多額の借入金での運営は無理があると思われる。

林原は1月27日、創業家出身の林原健社長と弟の靖専務が辞任すると発表した。今後、研究方針も変更される可能性がある。
後任の社長には、福田恵温・林原生物化学研究所常務が就く。(上記シンポジウムでのスピーカー)

NHK教育テレビの番組「仕事学のすすめ」で2月に林原健社長が出演する予定だったが、NHKは急きょ放送内容変更を検討している。


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三菱商事は1月24日、インドネシアのSulawesi島で、同社が主体のDonggi-Senoro LNG(DS LNG)を事業主体とするLNG製造・販売事業(Donggi-Senoro LNG project)の最終投資決定をしたと発表した。総投資額は約28億ドルとなる。

このプロジェクトは東南アジア最大の天然ガス資源国で世界第3位のLNG輸出国であるインドネシアでのBontangPT Badak NGL)、ArunExxonMobil)、Tangguh(後記)に次ぐ第4LNGプロジェクトで、三菱商事にとってはTangguhに次ぐ2つ目のLNG計画である。

また、当初から三菱商事が計画を主導、完工後はプラント操業の主役を担うという本邦企業初の試み。

付記
三菱商事は1月31日、インドネシア民間最大手エネルギー会社であるMedco Energy Internationalより、同国中部Sulawesi州に位置するSenoro-Toili天然ガス鉱区権益を20%保有するTomori E&Pの全株式を260百万米ドルで取得したと発表した。
これにより、同社はDonggi-Senoro LNGプロジェクトの上流から下流にわたるLNGバリューチェーンへの関与を通じてプロジェクトの一体運営を行う。

PT. Donggi-Senoro LNGの概要は以下の通り。

事業内容 LNG製造・販売
設立 2007年12月28日
株主構成 Sulawesi LNG Development59.9%←当初三菱商事 51%
 (三菱商事 75%、韓国ガス公社 25%)
PT Pertamina Hulu Energi 29%
PT Medco LNG Indonesia  11.1%←当初 20%
LNGプラント建設地 Uso area, Sulawesi Island
能力 LNG 年200万トン
コンデンセート 原油換算日量47千バレル
天然ガス
 (Sulawesi島東部)
Matindok ガス田 Pertamina 100%           
Senoro-Toiliガス田 Pertamina 50%
Medco
  50%→Tomori E&P(三菱商事)20%
         
Medco E&PMedco30%

DS LNG
2014年より年間約200万トンのLNGおよび随伴コンデンセート(原油換算約47,000バレル/日)の製造・販売を開始する予定で、LNGプラント建設のEPC契約を日揮との間で締結する。

DS LNGは中部電力(年100万トン)および九州電力(30万トン)とLNG長期引き取りに係る基本合意に達しており、韓国ガス公社(70万トン)とも長期引き取り契約の交渉最終段階に入っている。韓国ガス公社は、三菱商事が今回事業主体として設立する特定目的会社(SPC)のSulawesi LNG Developmentに共同事業者として25%出資する予定。

三菱商事は2007年10月に国際石油開発帝石と共同でMI Berauを設立した。(三菱商事56%、国際石油開発帝石44%)

MI BerauTangguh LNGに16.30%を出資するとともに、プロジェクトの中心的鉱区であるベラウ鉱区の約22.9%権益を取得している。

Tangguh LNG 株主
BP 37.16
MI Berau B.V. (三菱商事、国際石油開発帝石) 16.30
 中国海洋石油総公司 (CNOOC) 13.90
 日石ベラウ石油開発
  (新日本石油開発、石油天然ガス・金属鉱物資源機構)
12.23%   

三菱商事と石油資源開発は2007年3月、インドネシアの大手石油会社であるPT Energi Mega Persada Tbk(EMP)100%子会社のEnergi Mega Pratama(EMPI)に共同で資本参加することによりジャワ島東部のKangean鉱区の権益を取得することに合意した。EMPIには三菱商事と石油資源開発がそれぞれ25%出資する。

同鉱区における開発生産作業は、石油資源開発と三菱商事の2社が主導する。

ーーー

インドネシアでは東京ガスが2010年3月に同じSulawesi島でのSengkang Projectへの参加とLNG購入の基本合意書を締結した。
相手は
Sengkang Projectを推進している豪州のEnergy World

本プロジェクトは区域内で採掘された天然ガスを利用して、インドネシア初の民間による天然ガス発電事業を1997年から行っている。(現在 19.5kW2011年拡張後 31.5kW

LNG生産プラントは、年間生産能力50万トン4基並列で、年間200万トンの LNG2011年から生産する予定。

東京ガスは、Energy World100%保有するガス田開発会社、Sulawesi島内発電会社、LNG生産会社の3事業会社、および今後設立する予定のLNG販売会社の株式を、各25%取得することで協議する。

また、本プロジェクトから生産されるLNGを、2012年以降に年間で50万トン購入することについても協議する。


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資源エネルギー庁とロシア国営ガス会社Gazpromは1月17日、ロシア東部での協力推進に関する合意文書に調印したと発表した。

合意は、ウラジオストク周辺における天然ガス利用と、ウラジオストク周辺からアジア太平洋諸国の需要家に向けた天然ガス及びガス化学製品の輸送・販売に関する共同FSの実施を内容とするもの。

具体的には、
・ウラジオストク周辺における
LNG製造プラント建設に関するPre-FEED初期設計前段階)、
CNG(圧縮天然ガス)生産・海上輸送、
・ガス化学製品の生産
に関する共同FSの実施が予定されており、これらは2011年末までに完了する予定。

LNGの主成分であるメタンは圧力をかけても常温で液体にはならないため、温度をマイナス162℃の極低温にすることにより、液化して体積を1/600にする。

CNG(圧縮天然ガス)は天然ガスを気体のまま高い圧力で圧縮したもの。天然ガスは、化石燃料の中でCO2の排気量が最も少なく、また煤塵、SO×の排出もほとんどなく、NO×低減も行いやすいクリーンなエネルギー。
これを燃料に使う天然ガス自動車は世界で約120万台が走行している。

双方はまた、2005年に締結した協力に関する枠組み合意を5年間延長した

Gazpromは、世界最大のガス生産規模を誇るロシアのガス会社で、天然ガスの年間生産量は4,615億m3、年間輸出量は2,205億m3(いずれも2009年)。

ーーー

Gazpromと資源エネルギー庁は、2005年11月21日に、5年間の協力に関する枠組み合意を締結した。
この合意は、双方のガス分野における協力の主な方向性を定めたもので、協力の実施機関として、共同調整委員会が設置されている。

2009年5月にPutin首相が訪日した際、Gazpromと資源エネルギー庁、及びFSを担当する伊藤忠商事、石油資源開発(JAPEX)が、ウラジオストク周辺におけるLNG/CNG製造プラント建設に関するプレFSに関するMOUに署名した。

プレFSの結果は、2010年7月にサンクト・ペテルブルグでの第5回共同調整委員会で検討された。
今回の合意書は、プレFSの結果を受けて、従来のMOUを発展させて締結されたもので、実際には2010年7月に大筋合意していたが、11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問の余波もあり、11月中旬のガスプロム社長の訪日が中止となるなど、正式調印が後ズレしていた。

ーーー

アジア太平洋諸国へのガス供給増加を目指しているGazpromは現在、サハリン南端のPrigorodnoyeにあるロシア唯一のLNG施設(サハリンエナジー所有)を通じて日本にサハリン2の天然ガスを供給している。

サハリン2プロジェクト

事業主体 Shell 55%→27.5%-1株
Gazprom 0%→50%+1株
・三井物産 25%
→12.5%
・三菱商事 20%
→10%
投 資 額 200億ドル
開発鉱区 ピルトン・アストフスコエ、ルンスコエ
推定可採
埋蔵量
①原油 10億バレル
②天然ガス 4,080億立方メートル

<石油>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬後、新設港湾よりタンカーで日本等へ輸出
<ガス>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬、同地で液化後、LNGをタンカーで輸出

Gazpromは、LNG輸出事業の一環として、サハリンからハバロフスクを経由しウラジオストクに延びるガス輸送用パイプラインの敷設を進めている。プリゴロドノエに次ぐ国内2番目のLNGプラントをウラジオストクに建設し、LNGを輸出する計画である。

付記 2011年9月8日、プーチン首相が出席し、稼働式典が行われた。
    全長約1800kmで、当初の輸送能力は年60億立方メートル。


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DuPont19日、デンマークの食品用酵素や素材のメーカーのDaniscoを現金58億ドルと5億ドルの債務引き受けの合計63億ドルで買収する提案を行ったと発表した。
この買収により、工業用バイオ技術のリーダーになるとしている。
Danisco側はこの提案を歓迎している。

付記 DuPontは1月21日にTOBを開始した。

DuPont30億ドルを手持ち現金で、残りは借入金で賄う。
買収は第2四半期に完了する予定。

Danisco19世紀末にデンマークでDanish Sugar and Danish Distillersとして設立された。
1960年代後半に砂糖を原料とした果糖の工業的結晶化に成功し、以来フルーツシュガー(果糖)はフィンランドをはじめ、遺伝性糖尿病患者を抱えるヨーロッパ諸国を中心に広まった。
米国では英国のTate & Lyleの技術提携により大量生産を行っている。

Tate & Lyleは穀類を使った甘味料、デンプン、精糖、高付加価値食品および工業用原料、およびクエン酸などを扱っており、工業用デンプンでは世界第一位、SPLENDA®スクラロース(高甘味度甘味料)を製造する唯一のメーカー。
過去10年間で同社のテクノロジーの中核をなす発酵技術を確立し、現在では世界有数の発酵メーカーとして4大陸に17の発酵設備を所有している。

Daniscoは創業当初より乳化剤、食品用香料、食品用酵素などをはじめ、安定剤や乳化安定剤ブレンドといった分野へも進出した。

現在のDaniscoの事業は以下の通り。

分野 部門 製品
Food Ingredients Enablers Emulsifiers, Hydrocolloids その他の食品添加剤
BioActives Cultures 種菌、培養基、凝固剤、酵素
Sweeteners 果糖
Fructofin(ビート):フィンランド工場
Krystar300(とうもろこし):米国提携工場(Tate & Lyle
Industrial Biotech Genencor Bio chemicals projects(工業用酵素)

Food Ingredientsが売上高の67%、Genencorが33%を占める。

同社の業績は以下の通り。(単位:百万DKK) 

2008/5-
2009/4
2009/5-
2010/4
構成比
売上高 Enablers 5,544 5,691 42%
Cultures 1,917 2,072 15%
Sweetners 1,495 1,419 10%
Genencor 4,035 4,524 33%
合計 12,991 13,706 100%
営業損益
(除 特殊項目)
Enablers 646 923
Cultures 320 396
Sweetners 77 20
Genencor 401 616
合計 1,444 1,955

   1DKK14.7円 売上高は約2000億円

DuPontDaniscoの統合で工業用バイオ技術の強化が期待される。

DuPontは既にDaniscoの工業用バイオ部門のGenencorとの間で提携している。

DuPontGenencorは1995年に、コーンスターチからBio-PDO プロパンジオールを生産する発酵生体触媒を開発する目的で提携した。
DuPontは現在、テネシー州にあるDuPont Tate & Lyle Bio ProductsBio-PDOの商業生産を行っている。

DuPont200810月、Genencorとの間で50/50 JVDuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLC を設立することで合意したと発表した。
次世代バイオ燃料であるセルロース系エタノールの生産に対する優れた低コスト技術ソリューションを開発・商品化し、
750 億ドルの世界市場機会に取り組むもので、最初の3 年間に14000 万ドルを投資し、まずトウモロコシの茎や芯とサトウキビバガスを原材料とする。将来は、麦わら、様々なエネルギー作物、他のバイオマスを含む多数のリグノセルロース系原料をターゲットとする。

DuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLCは20102テネシー州Vonoreでセルロース系エタノール実証施設の開所式を行った。

2010/2/10 DuPont、セルロース系エタノールの高性能生産施設をオープン


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BP114日、ロシアのRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意したと発表した。

Rosneft(ロスネフチ)はロシアの石油会社で、ロシア政府が75.16%を所有、残りは公開されているが、国有財産管理庁に管理されており、実質的にロシアの国営企業である。
サハリン、シベリア、
Timan-Pechora行政区、そしてチェチェンを含む南ロシアで石油と天然ガスを生産している。
生産量は原油換算で日量240万バレ
ル。

Rosneft BPの株式5%を購入、見返りにBPRosneft株式 9.5%を購入する。
BPRosneftに発行する株式の価値は現在の株価で約78億ドルになる。両社は持ち合いを長期の、戦略的なものとみている。
(契約上は2年間は売却できず、その後も売却に制限がついている。)

両社はロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区EPNZ 1,2,3)を共同で開発する。2010年にRosneftが権利を取得したもので、South Kara Sea125千km2にわたるもの。英国北部の北海油田と同程度の広さで、同規模の石油産出量が期待できるという。   

付記 その後の情報では、Rosneftは開発JV2/3を所有するが、開発コストの最初の20億ドルはBPが負担する。

BPはメキシコ湾の原油流出事故後に、補償資金の確保のため多くの既存油田の権益売却を進めているが、その一方で、未開発油田の大きいロシアでの事業拡大を目指す。

両社はまた、ロシアに北極圏技術センターを設立し、ロシアや海外の研究所や大学と協力して、北極海の大陸棚から石油を安全に採掘するための技術を開発する。安全性、環境との調和、緊急漏えい対策などのBPの経験と知見を基にする。

両社はKara Sea以外のロシアの北極圏の石油開発についての技術的研究も実施する。

両社は今回、ドイツのRuhr Oel GmbH50/50株主となるが、これ以外にも国際的な協力関係を探る。

Ruhr Oel BPとベネズエラ国営石油会社PdVSA JVであった。
1983年に当時のVeba Oel AG PdVSA JVとして設立され、その後、Degussa Veba を買収したが、2002年にDegussa 親会社のE.On Veba BP に売却した。)

Rosneft 201010月にPDVSA50%持分を16億ドルで買収する契約を締結した。
手続きが完了すれば、Ruhr OelBPRosneft50/50JVとなる。

Ruhr Oel Gelsenkirchenに製油所と石化コンプレックスを持ち、BPのドイツ子会社のBP Refining & Petrochemicalsが運営を受託している。
他に、石油精製会社
MiRO 24%Bayernoil 25%PCK Schwedt 37.5%を保有している。
Ruhr Oel の石油精製能力の持分は合計で年2320万トンで、ドイツの精製能力の20%を占める。

BPRosneft 20061月にロシアの北極圏を評価する共同研究を行っている。

両社はサハリン4とサハリン5プロジェクトを共同で開発中。
    2006/6/6 
「新・国家エネルギー戦略」発表 後半に記載

ーーー

Rosneft
Sinopec とも提携している。

両社は2006 年11 月に戦略的枠組み協定に調印し、TNK-BP (Tyumen OilとBPの合弁)からUdmurtneft(沿ヴォルガ地域)油田を買収、共同経営を開始した。

Sinopec はRosneft からサハリン3の一部 Veninsky oil project の25.1%の権益を取得している。(残り74.9%はRosneft)
なお、Sinopecが最近、開発がうまくいかないとして技術者を引上げたとの情報がある。

ーーー

BPはロシアでは50/50JVのTNK-BPを持っている。

2008/9/9 BP、ロシアの石油JV 経営問題でロシア側に譲歩

 

付記 

Alfa Access Renova を構成する4人の新興財閥が1月27日、BPRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPTNK-BPの株主協定に違反するとしてロンドンの高等法院(High Court)に訴えた。

TNK-BP はロシアで3番目に大きい石油会社で、BPAlfa Access Renova group 50%ずつ所有している。(付記 正しくは一般株主が5%で、BPAlfa Access Renova group 45%ずつ。)
Alfa Access Renova 下記の3社の連合。

Alfa Group ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。
Mikhail Fridman German Khan 50%ずつ保有。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Renova Holding ロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg SUALの大株主)のベンチャーキャピタル。

BPRosneft の交渉を直ちに取りやめることを求めており、本件をやめろというのではなく、BPがロシアではTNK-BP通して活動することを求めている。 4人は株主契約がそうなっていると主張している。
4人は特に、詳細を伝えられなかったことに不満を表明している。

これに対しBPは、Rosneftとの取引はTNK-BPの契約に違反しないと主張している。

BP内部では、TNK-BPは北極海での作業に必要な海上掘削の経験がないことを指摘している。

 Rosneft
の会長でPutin首相の腹心で、副首相でもあるIgor Sechinは、この問題は解決するものと信じるとのみ述べている。

Putin首相と腹心のIgor Sechin副首相がバックアップする取引への公然とした挑戦であるとして注目されている。

    ---

2月1日、裁判所は調停での問題解決を命じた。それまで交渉は中断する。
BPは同日、調停にかけることを発表した。


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La Seda de Barcelona(LSB) 17日、PET子会社のArtenius San RoqueCEPSA Quimicaへの売却が完了したと発表した。201011月に両社で合意したもの。

Artenius San RoquePET能力は175千トンで、2007年2月にLSBがEastman Chemicalから買収した。
  2010/10/29 
Eastman Chemical、PET事業をメキシコ企業に売却 

CEPSAは買収により、ポリエステルのvalue chainを拡大する。
LSBにとっては、これは20097月に同社が決定したRestructuring Plan(下記)の非戦略資産の売却方針の一環となる。

なお、CEPSA200712月にポリエステル原料事業(カナダを含む)をLSBに売却し、見返りにLSBの株式 12% を取得することで合意したが、20081月にLSBの株価が急落したため、この取引は無期限に延期された。

今回の買収で、CEPSAはポリエステル原料事業の売却をやめたものと思われる。

両社の石化事業の状況は以下の通り。

CEPSA Quimica
 
製品 社名 能力 (千トン) 備考
洗剤原料(LAB) Petresa (Spain)   220  
Petresa-Canada   120  CEPSA 51%/SGF* 49%
Deten Quimica -Brazil   220  CEPSA 72%/Petrobras 28%
Polyester 原料
(PTA、DMT、
PIPA: purified isophthalic acid)
Interquisa (Spain) # PTA  750
DMT  80
PIPA 
 30
 
Interquisa-Canada # PTA 500  CEPSA 51%/SGF 49%
Phenol / Acetone/Cumene
Methylamines
Ertisa (Spain) Phenol  550
Acetone 340
(現状は合計で970)
Cumene 800
 
石化製品
(BTX, PX, OX, シクロヘキサン、
プロピレン)
   1,110 2つの製油所で生産
Petrocepsa で販売
   * SGF:Société Generale de Financement du Quebec
# Interquisa:LSBへの売却合意→取り止め
   
La Seda de Barcelona (LSB)
 :
製品 社名   能力 (千トン) 備考
Basic Chemical Industrias Quimicas
 Asociadas LSB
Ethylene Oxide  130 Tarragona petrochemical estate

* product mix
で異なる
Glycols  95
Derivatives  30 / 50 *
PTA Artenius UK (閉鎖予定)  500 2006/10 Advansaから買収
当初
670千トン
2007 1系列 停止
Artenius Sines  700 Sines (Portugal)
2011/
下期完成
2010年第三者増資で41%に減
PET Artenius Prat Spain  170 original plant
Artenius Porgugal Portugal(売却予定)  70 2006/1 Selenisから買収
Artenius Italia Italy  200
Artenius Hellas Greece(売却予定)  80 Volos PET Industryに出資
2007/6 65%にアップ
Artenius UK UK  150 2006/10 Advansaから買収
Artenius Turkpet Turkey(売却予定)  130
Artenius San Roque Spain(売却)  175 2007/5 Eastman Chemicalから買収
合計  ( 975)  
PET
 Packaging
Preforms   UKGermanySpainFranceBelgiumMoroccoTurkeyGreece
PET Resins   Greece
Recycled PET Artenius Green Balaguer Spain
Erreplast Italy
Artenius PET Recycling France France
   

ーーー

LSBの取締役会は20097月にRestructuring Planを決定、12月に株主総会で承認を得た。

今後の5年間で、同社を欧州市場で最初のPET Solutions group にするというもの。

PET Solutions をコア事業とし、包装分野の需要家との緊密な協力で、需要家のニーズを満たし、長期の関係を維持する。

具体的な内容は以下の通り。

1)コスト低減

 物流コスト面から最終需要家に近いプラントが望ましい。
 
San Roque
プラントは大幅なコストダウンが必要で、出来なければ閉鎖もやむを得ない。(最終的に今回の売却に) 

2)非戦略資産の売却

 化学部門の売却とPET能力の最大550千トンの削減、遊休土地の売却
 売却対象としては、
PETPortugalGreeceTurkeyが含まれる。

3)英国Wilton Plant

 原料パラキシレンとEGの供給元が工場を閉鎖する予定で、技術も古いため、閉鎖する。

4)ポルトガルSines Project

 第三者増資により、資金の目途がついた。LSBの出資比率は41%となった。
 最終的には少数株主として計画に参加し、
PTA供給を確実にする。

5)PETリサイクルに注力

 欧州でのシェアを3年で現在の25%から35%に増やす。
 すべての
PET工場でリサイクルを行う。

6)増資 150百万ユーロ


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チッソは1月11日、「事業再編計画」に記載した事業会社を1月12日付で設立すると発表した。

(1)商  号    :JNC株式会社
(2)主な事業内容  :化学品の製造販売
(3)資本の額    :150百万円
(4)出資比率 :チッソ 100%

今後、同計画に則り、本年3月末を目途として、同社が営んでいる機能材料分野、化学品分野及び加工品分野等の事業活動を継続するために必要な土地、設備など有形・無形の事業財産を今回設立した事業会社に譲渡する予定。

チッソは2010年11月12日、水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づき、同社を補償部門と事業部門に分社化する「事業再編計画」の認可を松本龍環境相に申請し、12月15日に認可を取得したと発表した。

事業開始は2011年4月1日の予定で、同社の創業日が1月12日(1906年、曾木電気)であるところから、1月12日付で設立した。

2010/11/15  チッソ、事業再編計画の認可申請

社名のJNCはJapan New Chissoの意味で、社名をめぐってはチッソ」という名称は一定のブランド力があり、残すべきだとする意見の一方、「チッソ」の名称が残れば「分社化後も水俣病が連想され、事業に支障が及びかねない」との意見があったという。
被害者の中には「チッソ」という名称を使用しないことを「水俣病からの責任逃れ」と受け止める人もいたことから、一定の配慮を示したとみられる。(西日本新聞)

親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算する構想。

付記

チッソは2月8日、事業譲渡について、大阪地方裁判所の許可を得たと発表した。

「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(平成21年法律第81号)第10条には以下の規定がある。

当該特定会社は、会社法の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項であって、前条第一項の認可を受けた事業再編計画に記載されたものを行うことができる。
一  事業譲渡
二  資本金の額の減少

前項の許可があったときは、当該代替許可に係る事項について株主総会の決議があったものとみなす。

同社では、「JNC株式会社」からの配当を受け、事業譲渡後もこれまでどおり水俣病認定患者の補償を続け、また、水俣本部における患者センターの体制を強化し、その活動を一層充実させるとともに、国や関係県が認定患者の福祉の向上を目的に行う諸施策に積極的に協力してまいりますとし、さらに、本年中に、水俣製造所において「竹バイオエタノール」「有機ELの製造」等の事業を立ち上げ、地域経済の振興や雇用の確保に対し、これまで以上に尽力するとしている。

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PetroChinaINEOS は1月10日、INEOS Grangemouth (スコットランド)と Lavera (フランス)をベースとした石油精製・販売のJVを設立する枠組み契約を締結した。

同時にINEOS PetroChinaの親会社のChina National Petroleum Corporation (中国石油天然気集団:CNPC)は戦略的協力契約を結び、石油精製と石油化学の技術をシェアすることを発表した。

Grangemouth と Lavera の製油所はINEOS が買収したInnoveneBPからスピンオフのもので、ともに精製能力は日量21万バレルとなっている。

Grangemouth 製油所はフォース湾Firth of Forth)にあり、North Sea70以上の油田から英国の石油生産の半分以上を輸送する Forties Pipeline System につながっている。ほとんど全ての燃料をスコットランドで販売している。
Grangemouth 製油所に隣接し INEOS の石化コンプレックスがあり、製油所から原料の供給を受け、エチレン、プロピレン、エタノール、ブタジエン、LLDPEPPを製造している。これは今回の交渉の対象外。

Lavéra 製油所はMarseille港の北西部にあり、原油ターミナルに隣接している。製品はパイプラインでフランス、スイス、南ドイツに送られる。

INEOS は経済危機の影響で苦境に陥り、借入契約を延長し、破たんを逃れたが、資金確保のためGrangemouth製油所の売却を図り、2009年春からペトロチャイナと交渉をしていた。

2009/6/24 PetroChina Ineos の製油所を買収?

今回、フランスの製油所も含めて、両社のJVとすることとしたもの。

今後、詳細を詰め、2011年6月末までにJVを設立することを想定している。

付記

PetroChinaの2月1日の発表によると、2つのJVを設立する。
JV1:両製油所の製品の販売会社 PetroChinaが50.1%保有
JV2:両製油所での製造会社 PetroChina 49.9%保有
対価 1015百万ドル

この取引は両社の真の戦略的パートナーシップをつくるもので、INEOSの両製油所の長期的な維持が可能となる。
ペトロチャイナにとっては欧州進出が図れることとなり、また
North Sea 油田の開発に参加する糸口も出来る。

PetroChina2008年5月に新日本石油との間で新日本石油精製の大阪製油所(115千バレル/日)を共同出資会社として運営することで合意した。
2010年10月にJX日鉱日石エネルギーとの間で大阪国際石油精製を設立し、新日本石油精製の大阪製油所を輸出特化型製油所に転換した。

2010/8/31 JX日鉱日石エネルギー、PetroChinaとの石油精製合弁会社設立

PetroChinaはまた、2009年5月に、シンガポールのKeppel Group からシンガポール石油(SPC)の45.51%の株式を全て買収することで合意したと発表した。

2009/5/28 ペトロチャイナ、シンガポール石油株 45.51%を買収

今回のJVが成立すれば、PetroChinaの石油精製での3つ目の海外進出になる。


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台湾の合成樹脂メーカーのTSRC1224日、米国の合成ゴムメーカーのDexco Polymers 168百万ドルで買収すると発表した。
米国と台湾の当局の承認手続きなどを経て、
2011年の第2四半期に手続きが完了するとみている。

Dexco Polymers 1988年にDowExxonmobil Chemical 50/50で設立した。(社名はDow-ExxonMobil Companyから)
DowLouisianaPlaquemineのコンプレックスで、SIS (styrene-isoprene-styrene) SBS (styrene-butadiene-styrene) を生産している。
これらの製品は、アスファルト改質剤や接着剤・シーラントの原料として使用される。

TSRCでは、この買収は同社の技術をアップグレードし、需要家に幅広い製品を供給し、欧米の需要家にも製品を供給するのに役立つとしている。

ーーー

TSRC(当初名はTaiwan Synthetic Rubber Co.)1973年設立の台湾最大の合成ゴムメーカーで、台湾の大社に以下のプラントを持つ。

  現能力  
SBR  100千トン 1977BFGoodrich技術
BR 54千トン 1982年 宇部興産技術 当初40千トン
TPE 54千トン 1988Phillips Petroleumのテキサス工場のプラントを購入、高雄に移転
当初
20千トン
TPR 8千トン  

同社はまた、中国、タイ、インドに進出している。    

詳細は 2010/5/13  LANXESS TSRC、中国でNBR製造 

ーーー

Dowの合成ゴム事業は旧東ドイツのBuna Sow Leuna Olefinverbund を買収したもので、Schkopau に工場をもち、SBR、ポリブタジエンゴム (PBR)、Lithium Lo Cis ポリブタジエンゴム (Li-PBR)、nickel Ziegler-Natta 触媒 Hi Cis ポリブタジエンゴム (Ni-PBR)、エマルジョンSBR (ESBR)、 溶液重合SBR(SSBR)などを製造していた。

スチレン系事業のスタイロンをBain Capital Partnersに売却した際にこれを含めた。

2009/5/21 ダウ、合成ゴム事業の売却を検討
2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了

Dexco Polymersについてはスタイロンに含めていなかった。

今回の売却にあたり、Dow CEOAndrew N. Liverisは、「この売却は事業を変質させるという戦略の実行の例であり、今後も、市場志向で技術をベースとした統合会社に向かって進み、安定した収益の伸びを確保する」としている。

なお、Dowは独自のINSITE 技術によるメタロセンEPDM (Nordel)を持っている。
1996年4月にDuPont と50/50JVの DuPont Dow Elastomers に移管したが、2005年1月にINSITE 技術によるポリオレフィンエラストマー(Engage)、塩素化ポリエチレン(Tyrin)などとともにJVから引き取った。

Dowはこれを今後も維持する。

同社は201011月にEPDMの需要の伸びに対応するため、Plaquemine, La 工場のデボトルネッキングにより11千トンの増設を行った。


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LGグループは2010年12月、2011年に過去最大規模の21兆ウォン(約1兆5330億円)を投資することを決めたと発表した。 (以下、1ウォン=0.073円で換算)

2010年の投資額は当初計画では15兆ウォンであったが、LGディスプレーの坡州LCD生産ライン増設とLG化学の自動車用バッテリー生産施設新設・増設に追加投資をし、当初の計画より3.8億ウォン(25%)増の18.8兆ウォンとなった。

今年の投資額はこれを11.7%上回るもので、過去最大となった。

LGグループの具本茂会長は、グループの社長らと来年の事業戦略を協議した際、「未来の準備に対するスピードを上げ、市場をリードする大胆な構想を求めたい」と強調したが、今回の投資計画はこれに基づいている。

主な内容は以下の通り。

分野 投資額 会社 投資の主な内容
エレクトロニクス 14.2兆ウォン
1兆366億円)
LG Display 設備 8世代など大型液晶ディスプレー(LCD)の生産ライン
を新設・増設
R&D アクティブマトリクス式有機EL3Dパネル、電子ペーパー
LG Electronics 設備 太陽電池能力増強(2011年前半に3ライン新設)
  
120メガワット→330メガワット
R&D SmartphoneTablet PC3Dテレビ
LG Innotek 設備 Smartphonecamera module
Tablet PC
用のプリント基板製造設備拡張
R&D 高性能LDE電球
ケミカル 3.6兆ウォン
2628億円)
LG Chem 設備 リチウムイオン電池拡張、液晶ディスプレイのガラス基板
R&D 電気自動車技術、液晶ディスプレイ用先端ガラス基板
LG Hausys 設備 蔚山に省エネ「Low E」ガラス製ライン
R&D
LG Life Science 設備 製薬工場建設
R&D Bio-similar (後発バイオ医薬品)
テレコム 3.2兆ウォン
2336億円)
LG Uplus 設備 Wi-Fi zones (無線LAN)、次世代テレコム
R&D Smart television contentcloud-computing services)、
Mobile advertisements
合計 21.0兆ウォン
(1兆5330億円)
設備 16.3 兆ウォン(1兆1899億円)
R&D 4.7 兆ウォン(3431億円)

ーーー

サムスングループは1月5日、2011年の設備投資と研究開発費などの投資総額を過去最大となる43.1兆ウォン(3兆1463億円)にすると発表した。新事業や主力事業への大規模投資で、未来の成長エンジンの充実化を図る。

2010年実績の36.5兆ウォン(2兆6645億円)と比べ18%増、2009年実績21.1兆ウォンの2倍強となる。

2011年投資計画(日本円換算)
資本 803億円
R&D 8833億円
   
その他投資 6424億円
有機EL 3942億円
液晶パネル 3942億円
半導体 7519億円
(設備投資計) 21827億円
   
合計 31463億円

設備投資のうち半導体が前年比14%減の10兆3000億ウォンで、液晶パネルは同35%増の5兆4000億ウォン。
半導体はDRAM、NAND型フラッシュメモリーのメモリー新工場への毎年の投資を平準化させるため減額となるが、高水準を維持する。

最大の伸び率となるのが有機ELで、前年比4倍弱となる5.4兆ウォン(3942億円)を投じる。

中小型パネルを手掛けるグループ会社、サムスンモバイルディスプレーが忠清南道湯井で7月に新ラインを稼働させる予定で、製造装置などの関連投資を積み増す。このラインは「5.5世代」と呼ぶ大きさのガラス基板を使い、有機ELとしては世界最大規模の生産拠点となる。
生産能力はガラス基板投入ベースで月産7万枚。サムスンは自社製のスマートフォンに組み込んで製品競争力を高める一方、外販も増やすとみられる。有機ELテレビ用のパネルを生産する足がかりとする狙いもある。

このほか、テレビに8,000億ウォン、発光ダイオード(LED)に7,000億ウォンを投じる。

研究開発投資は前年比14%増の12兆1000億ウォン。
有機ELなど次世代技術のほか、3Dテレビなどの開発を強化する。

資本投資には、グループの中核企業、サムスン電子の海外法人の増資や、サムスン物産の海外資源確保に向けた株式投資、M&A資金などが含まれる。

サムスン電子の李健熙会長は1月3日、現在「主力」の事業・製品は全て今後10年以内に勢いが衰えるとして、新たな分野に投資を行わなければならないとの考えを表明、停滞に陥る前に、新事業・製品を確立することが必要だと付け加えた。

三星グループは2010年5月11日に新事業戦略を発表した。

2010年3月に経営の第一線に復帰した李健煕会長主宰で新事業関連社長会議を開き、確定したもので、未来の新事業は、太陽電池、自動車用電池、発光ダイオード(LED)、バイオ製薬、医療機器の5つ、2020年まで23兆3000億ウォン(約1兆9000億円)を投資するというもの。

  2010/5/12 三星グループの新事業戦略

このほか、2011年に大卒や中途などで前年比11%増となる2万5000人を採用する計画も公表した。
このうち、大卒新入社員が9000人、キャリア職が5000人、技能職が1万1000人の予定。
採用の拡大には、韓国を代表する企業として、若者層の失業など雇用問題の解決に向けた社会的責任をとる意思も込められている。

サムスン電子は1月7日、2010年第4四半期の実績予想を発表した。
営業損益は、液晶パネルと半導体の価格下落で、第3四半期比38%減の3兆ウォンの予想だが、2010年暦年では過去最高の17兆2800ウォン程度となり、前年比で58%の増益となる。これは円換算で1兆2600億円となる。

ーーー

これに対して日本の企業の2010年3月期の連結営業損益の予想は、
  パナソニック 3100億円
  ソニー     2000億円
  シャープ     900億円
となっており、大きく差を開けられている。  

既にエレクトロニクスや半導体分野で日本のメーカーが韓国のメーカーに製造委託するケースが増えており、これらの分野を韓国企業に抑えられる恐れが出てきた。

サムスンが有機ELで前年比4倍弱となる5.4兆ウォン(3942億円)を投じるという報道に、山形大学の城戸淳二教授はブログ大学教授のぶっちゃけ話で以下のコメントをしている。
 
  有機EL研究者として、サムスンに拍手。
  日本人として、涙。
  日本のディスプレイパネルメーカー、消滅の年になりそうですね。

付記

李健煕・三星電子会長は1月11日、金浦空港から日本へ向けて出国する前、「三星が日本を抜いたと言われるが、日本企業から学ぶことは何か」という記者の質問を受け、以下の通り答えた。
「外見では三星がリードしているように見えるかもしれないが、中身(部品)で日本に追いつくためには、まだ多くの時間と研究が必要だ。学ぶべきことは多い。ずっと学んでいかなければいけない。」


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