「no」と一致するもの

BPの原油流出事故で、大統領指名の調査委員会は1月6日、最終報告書の第4章を公表し、最大の原因はBPや油井掘削に携わった企業の「管理の失敗に起因する」との見解を明らかにした。最終報告書は11日に発表する。
Obama
大統領が2010520、この調査委員会を設置した。

  発表文  第4章全文

内容は以下の通り。

爆発は多くの別々のリスク、見過ごし、明白なミスが合わさり、安全対策を上回ったことによるが、多くのミスや見過ごしは管理の失敗に起因する。

BPとコントラクターのHalliburtonTransocean の管理がしっかりしておれば、関係者がリスクに気が付き、連絡し、対応することにより、事故を防げたであろう。
BPだけの問題ではなく、システム全体の問題である。

各社が安全第一を心掛けておれば、事故は起こらなかったであろう。また、もし政府の関係当局がワールドクラスの安全基準を求めておれば事故は起こらなかったであろう。

事故はBPHalliburtonTransoceanのいくつかの個別のミス、見過ごしの産物であり、政府の当局がそれを防ぐための権限、必要な人材、技術的な専門知識を欠いていた。

Transoceanは掘削作業を、Halliburtonはセメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)を担当。

事故は二度と起こらないような常軌を逸したミスによるのではなく、真因はシステミックなもので、業界の慣行と政府の政策の改革がなければ、再び起こる可能性がある。

技術的ミス、運営上の失敗の例は以下の通り。
・最終段階での井戸のデザインの決定におけるリスク評価が不適切
・井戸の底部をシールするのに使うセメントスラリーのデザインの欠陥
・井戸の底部のセメントシールの評価のための
negative pressure test”で問題が分かったのに、テストの手続きが不十分で、責任者のトレーニングが十分なため、誤って成功と判断した。
掘削した穴から泥を取り除くという不要なことを求めた誤った手続き
 (泥が残っておれば、爆発は防止できた)
・爆発の予兆を見逃した。
・爆発への不十分な対応(爆発防止設備が機能しなかったことに限らない)

これらのミスは避けられたはずのもので、少なくともBPHalliburtonTransocean3社のエラー、判断ミスが原因である。
政府の規制当局も多くの重要な問題をみていなかった。(例、negative pressure test の基本手続きについての規則がない)

意図的かどうかにかかわらず、事故のリスクを増大させることとなった3社の多くの決定は明らかに時間と金の節約になった。
その内容は以下の通り。

  代替案の存在 代替案より
時間節約
意思決定者
Not waiting for more centralizers Yes Saved time BP(陸上)
Not waiting for foam stability test results and/or redesigning slurry Yes Saved time Halliburton (& BP)(陸上)
Not running cement evaluation log Yes Saved time BP(陸上)
Using spacer made from combined lost circulation materials to avoid disposal issues Yes Saved time BP(陸上)
Displacing mud from riser before setting surface cement plug Yes Unclear BP(陸上)
Setting surface cement plug 3000 feet below mud line in seawater Yes Unclear BP(陸上)
US Minerals Management Service が承認
Not installing additional physical barriers during temporary abandonment procedure Yes Saved time BP(陸上)
Not performing further well integrity diagnostics in light of troubling and unexplained negative pressure test results Yes Saved time BP (&Transocean)
(現場)
Bypassing pits and conducting other simultaneous operations during displacement Yes Saved time Transocean (& BP)(現場)

  参考 2010/11/25 BP原油流出事故で新事実

ーーー

この発表を受け、3社は以下のコメントを行った。

BP
報告書は、自社の内部調査と同じく、事故は「複数の企業がかかわる複数の要因によるもの」だったと結論付けている。
今回の事故を教訓に、深海掘削業務の改善に取り組んでおり、既に一部改革を断行し、安全とリスク管理面を強化している。

Halliburton
セメントスラリー(セメントと水の混合液)は
BPの仕様どおり調合されており、最終的な実験でも問題はなかった。
委員会は会社が提出した無罪を証明する証拠を意識的に除外している。

Transocean
爆発直前までの数時間に取られた手続きは、
BPのエンジニアが考案・指示し、連邦規制当局による承認を事前に得たものだった。当社の作業員は、入手し得る限られた情報を基に、事態を掌握するための適切な措置を取った。

なお、Exxon MobilCE0は1月6日の会見で、報告書が業界の問題としたことに反論した。「委員会は業界全体の調査をしておらず、長年にわたる安全の実績を無視しており、結論に同意できない」と述べた。

ーーー

調査委員会は2010年11月8日の中間報告で、「事故に関して、これまでのところ、BPがコストカットのために意図的に安全性を犠牲にしたという証拠はない」としたが、これはどういう意味だったのだろうか。

2010/11/16  BP原油流出事故の現状

今回の報告の結論は「事故は二度と起こらないような常軌を逸したミスによるのではなく、真因はシステミックなもので、業界の慣行と政府の政策の改革がなければ、再び起こる可能性がある」というものだが、これは、BPに「重大な過失、意図的な違法行為」はないということであろうか。

重大な過失、意図的な違法行為」がなければ、Clean Water Actによる罰金が少なくなるほか、Anadarkoや三井石油開発への求償問題に影響する。

Clean Water Actでは原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。

流出量が300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)

米司法省は昨年の12月15日に、BPと三井石油開発子会社MOEXなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こしており、結局は裁判で決まることとなる。

2010/12/17 米司法省、BP原油流出事件で提訴

付記

政府の調査委員会は111日、最終報告を発表した。
https://s3.amazonaws.com/pdf_final/DEEPWATER_ReporttothePresident_FINAL.pdf

報告書は事故は避けられたとし、直接の原因はBPHalliburtonTransoceanの一連のミスで、リスク管理の組織的な失敗とした。
深海でのエネルギー開発はリスクを含むが業界も政府も準備できていないとし、改善策として、安全対策や流出を止めるための科学的研究を強化し、内務省に監督機関を新設することを提案している。

改善策の資金を捻出するために、石油会社に課す罰金や採掘料の引き上げを提案。また、採掘施設の事故を起こした企業の賠償額を最大7500万ドルとする上限の撤廃も盛り込まれた。

BP
など3社の刑事責任については司法省の判断に委ねた。


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台湾の遠東集団(Far Eastern Group)は1224日、Sinopec 儀征化繊(Yizheng Chemical Fibre)とのJV38億人民元を投じて、江蘇省揚州市(Yangzhou)100万トンのPTA工場を建設すると発表した。

すでに必要な認可を取得しており、間もなく建設に着工、2年内にスタートする。

JVにはFar Eastern60%Sinopec Yizheng40%を出資する。

Far Easternは上海の浦東に年産70万トンのPETプラントを建設し2012年にスタートする予定で、現在認可待ちとなっている。
原料の
PTAは新設のJVプラントから供給を受ける予定。

Sinopec Yizheng 江蘇省揚州市に属する儀征35万トンと63万トン、合計98万トンのPTAプラントを持っている。

Far Easternも、子会社のOriental Petrochemical (Shanghai)が上海の星火開発区でPTA 60万トンを、Far Eastern Industries (Shanghai)PET製品を生産している。
PETプラント増設に当たり、既に認可を得ているSinopec 儀征化繊のPTA計画に乗ったもの。

ーーー

Far Eastern Groupは台湾で繊維事業から出発し、水平・垂直統合を行ってきた。
現在、次の
10事業を行っている。

Textile & Synthetic FiberPetrochemicals & EnergyCement & Building Material
Financial ServicesCommunication & InternetHotelSea/Land Transportation
Retail & Department StoreConstructionSocial Responsibilities

主力の繊維事業と、その原料遡及の石油化学の概要は以下の通り。

1)Textile & Synthetic Fiber

Textileはグループの出発事業で、現在もコア事業の一つであり、売上高の1/4を占める。
担当は遠東新世紀(
Far Eastern New Century Corporation) 。

 ①Fiber Business Operation Group
  台湾の2工場と上海、蘇州、武漢の工場を合わせ、世界の5大ポリエステルメーカーの1つ。

Product Type Taiwan
Capacity
 (MT/Y)
Global
Capacity
 (MT/Y)
Staple Fiber Polyester staple fiber   260,000 360,000
Filament  Polyester filament 150,000  
PBT filament 1,200  
HDI
high denier industrial yarn
45,000  
PET PET resin 630,000  1,300,000
PET sheet 24,000 96,000
PET Preform (1000pcs) 700,000 2,100,000
PET bottle (1000pcs) 100,000 1,200,000

  他に、Far Eastern Fibertech nylon 6,6 fibersを製造している。能力100千トン。

1995年にDuPont との50/50 JVDuPont Far Easternとして設立。
2004年にDuPontの繊維事業売却で、INVISTA-Far Easternに改称
2008年に100%子会社とし、現社名に改称

 ②Textile Business Operation Group

Product Category Taiwan
Annual
Capacity
Global
Annual
Capacity
Spun Yarn (ton) 240 395
Knitting Fabrics (ton)  12,000  
Industrial Fabrics (ton) 10,000  
Apparel (1,000 Dozen)  420  6,860

2)Petrochemical  

 繊維事業の原料遡及で事業を開始した。以下の各社で事業を行っている。

  ①Oriental Union Chemical Corp.(東聯化学)

1975年にFar Eastern TextileUnion Carbide、その他のJVとして設立、1978年にEGプラント建設した。
(その後、
1987年に上場、現在はFar Eastern Groupのメンバー)

現能力はEO, EG300千トン。

参考 台湾のEOG能力(千トン)
  EO  EG 
中国人造繊維 China Man-Made Fiber (CMFC)  53  130
東聯化学 Oriental Union Chemical (OUCC) 300 300
南中石化工業 Nan-Chung Petchem    300
南亜塑膠工業 Nan Ya Plastics   1,540
合計 353 2,270

別途、カナダで1990年にJVAlberta & Orient Glycol Company を設立、天然ガス原料でEG 300千トンと生産。
  
Union Carbide(現在はDow) 50%, Far Eastern Textile 25%、三井物産 25%

2001年にEthanolaminesEthylene Carbonate の生産開始(各40千トン)
 前者は台湾唯一、後者が世界最大で現在の能力は
60千トン。

このほか、ガス部門では米国APCI、ドイツLindeの空気分離、ガス液化技術で、OxygenNitrogenArgon(ガス65万トン、液17万トン)を生産。

  ②Oriental Petrochemical Taiwan Co. Ltd.

1995年にPTA製造のため、ICIとのJVICI Far Eastern Ltd.を設立。
その後、パートナーが
DuPontInvistaと代わり、2008年にFar Eastern Groupが買収、現社名に改称。
現在の能力は
PTA 900千トン。

参考 台湾のPTA能力 (千トン)
中美和石油化学 China American Petchem(CAPCO)   2,120
台湾化学繊維 Formosa Chemicals & Fibre (FCFC)  2,200
Oriental Petrochemical (Taiwan)  900
東展興行 Tuntex Petchem  500
合計  5,720

 2003年に中国上海に子会社Oriental Petrochemical (Shanghai) Corporationを設立。 

2006年にPTA 600千トンを生産開始。

  ③Liquid Air Far East Co. Ltd

1987年にAir Liquide Group (65%)Far Eastern Group (35%)で設立。産業ガスの製造販売。

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DSM20101221日、米国のMartek Biosciences10.87億ドルで買収する契約を締結したと発表した。

Martek Biosciencesは微小藻類を原料として、長連鎖多価不飽和脂肪酸(DHA:ドコサヘキサエン酸、ARA:アラキドン酸)を含む栄養オイルを生産、現在は米国の乳児用調製粉乳の90%余りで使用されている。

MartekColumbia, Marylandに本拠を置き、201010月期の年間売上高は450百万ドルで、従業員は約600名。

この買収はDSMLife Sciences Materials Sciences会社に変身して最初の買収で、Nutritionを強化するという同社の方針に沿うものである。
健康と栄養には科学的なリンクがあり、特に長連鎖多価不飽和脂肪酸は人の健康に良い影響を与えるもので、Martek Biosciencesはこの分野のリーダーである。
なお、
DSMは長年にわたりMartek に対してARA 製品の原料を提供してきた。

同社ではこの買収には以下のメリットがあると見ている。

DSMのグローバルな販売組織、適用技術、R&D、製造技術がMartekの技術を補完する。

Martek2010年にサプリメントを販売するAmerifitを買収したが、これも、MartekDSMの製品の追加のマーケティングチャネルとなる。

更に、Martekの藻類や微生物ベースのバイオテクノロジー技術も栄養分野、非栄養の工業分野で役に立つ。

ーーー

DSMは2007年に新しい戦略 Vision 2010 Building on Strengths strategy を発表した。

主な内容は Life SciencesMaterials Sciencesへのシフトを進めるというもので、このため、
・非コア事業(
Base Chemicals and Materials)の処分計画を進める
・コア事業では買収を検討する
とした。

なお、同社は石油化学事業については2002年にSABICに譲渡している。
  2006/8/22 SABIC Europe とその前身 

同社の体制は以下の通りとなる。

2007/10/3 DSMの経営方針

 

同社はこの方針に沿って再構築を進めてきた。

2009年には尿素の技術ライセンス会社Stamicarbon B.V. をイタリアのエンジニアリング会社 Maire Tecnimontに売却、DSM Energie Holding B.V. AQA Abu Dhabi National Energy Company PJSC に売却した。

2010年には以下の処理を行い、非コア事業をほとんど売却し、再構築をほぼ完成させた。

  部門 製品グループ 2009
(百万ユーロ)
再構築
Sales EBIT
Core Nutrition Nutritional Products  2,824  521 うち、Special Products B.V.
Emerald Performance Materialsに売却
Food Specialties Martek Biosciences 買収(今回)
Pharma Pharmaceutical Products 721 32  
Anti-Infectives 中国中化集団との50/50JVで強化
Performance
 Materials
Engineering Plastics
(polyamides, polyesters, PC,
 Adhesive resins
1,823 68 三菱化学と事業交換
PC事業売却、ナイロン事業の買収)
Dyneema
(超高強度ポリエチレン繊維
)
 
Resins
 NeoResins+ (水性アクリル)
 
Powder Coating Resins
 Desotech(紫外線硬化型樹脂)
 
Composite Resins
 
Polymer
 Intermediates
Fibre Intermediates
 caprolactamacrylonitrile
849 6  
Others   381 -189  
Sub-total   (6,598) (438)  
Non-
core
Agro 1,134 -68 Orascom Construction
  Industriesに売却
Melamine
Citrique Belge (Citric acid) Adcuramに売却
Elastomer EPDM LANXESSに売却
熱可塑性エラストマー Teknor Apex に売却
Total     (7,732) (370)  

 

 


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化学会社の上期決算は、各社とも前年上期を大きく上回った。

2010/11/17 2010年9月中間決算対比

各社とも、自動車関連をはじめとする需要の回復に伴う販売数量の増加及び石化・基礎化学品分野における交易条件の改善などにより、増益となった。

まず、国内ではエコカー補助金制度や家電エコポイント(特に来年の切り替えに備えてのデジタルTV)に基づく将来の需要の先取り効果が大きい。

エコカー補助金制度は9月8日予算枠(約5,837億円)を使い切り、申請受け付けを終了した。
トラックやバスなど事業用自動車向けのエコカー補助金は8月3日で交付申請受け付けを終了した。

家電エコポイントは本年末までを3か月延長したが、12月からはエコポイント数を変更、来年は範囲を縮小する。

なお、住宅エコポイントは本年末までとなっていたが、1延長された。

補助金打ち切り後、自動車の販売は減少している。耐久財の消費は「3年は停滞する可能性がある」との説もある。
今後、化学品の出荷の減少が懸念される。

ーーー

石化・基礎化学品分野では、上記のほか、中国の需要が堅調なことの影響が大きい。

前回述べた通り、中国のバブル崩壊はなかったが、これは中国の一党独裁による Beijing Consensus でのパッチ当てによるものであり、問題は抱えたままである。

下図はMETIの石化の需給予測だが、エチレン換算でみると、中国や中東の能力が今後も増加するのに対し、METIの楽観的な予測(中国のみで2008年から2014年までの間に11.7百万㌧の需要増)でも2008年の世界の供給量は2014年の需要を既に上回っている。中国の農村部の所得水準、今後の輸出の動向など考えると、中国の需要が今後も引き続き伸びるとは思えない。

サウジなどでは既に高機能グレードも生産し始めており、今のような外需依存を続けられなくなる。

中国向け輸出に依存する台湾は、中国との間で中台経済協力枠組み協定を締結、来年以降、関税を段階的に引下げ、2013年1月までにゼロ関税を実現する。台湾製品は石油化学製品を含め、中国の内国扱いとなる。

 2010/8/20 台湾、中台経済協力枠組み協定(ECFA)を承認、9月発効へ

韓国はEUや米国と自由貿易協定(FTA)を締結した。今後、自動車や家電などの輸出で、FTAで出遅れている日本企業より有利な立場に立つ。

2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結
2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結

日本はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の協議を開始する決めたが、農業問題が障害となり、これに参加できるかどうか、疑問である。

台湾や韓国にFTAで差をつけられ、コスト競争力のない石化製品の輸出だけでなく、自動車や家電の輸出用の原料出荷でも減少の恐れがある。

ーーー

これまでの「回顧と展望」では、海外企業がリストラを行っているのに対し、日本の石化の体制が旧態のままであるとした。

2007/12/26  2007年 回顧と展望 「ガラパゴス鎖国」論
2008/12/25  2008年の回顧と展望 「終りの始まり」

中国のバブル崩壊は予想が外れたが、それ以外についてはこれまでの主張が今も当てはまる。

日本のエチレンの能力は昨年末で800万トン(定修スキップベース)だが、需要が落ち込む前の国内出荷は約500万トンで、輸出がないとすれば、300万トン、能力の37.5%が過剰となる計算である。さらに需要が減り、輸入が増大する可能性がある。

日本のエチレンセンターは京葉エチレンを入れて14あり、三菱化学四日市の停止以降は変わっていない。1センター当たりの平均能力は定修なしベースで573千トンで、大半が400~600千トン台が中心である。

今後輸出が激減するとすれば、能力が300万トン余剰となり、5つほどのセンターが不要となる計算である。
(本来は小規模プラントをスクラップし、100万トンクラス5基程度にするのがベストだが、投資は正当化されない)

この10年で世界の石油化学の状況は様変わりとなった。

中国のエチレンは21のコンビナート、合計能力1364万トン(2009年末)となり、うち100万トン以上が4つ、60~100万トンが10となった。
中東では多くの設備が完成、今も増強を続けている。
SABICは欧州進出とGEプラスチック買収による高機能プラスチックへの進出を果たし、クウェートやアブダビも海外に進出している。
欧米の大企業は原料価格の変動に左右されやすい石化からの離脱を図っている。ダウはAsset Light戦略で石化を維持しつつもJV化で負担を減らした。ダウとBASFはかつては主力事業であったスチレン系事業を放出した。
これらから汎用石化を買収した新興勢力のLyondellBasellやIneosは、買収を借入金で行ったため、グローバルな金融危機では挫折したが、その後、持ち直した。LyondellBasellは再上場を果たした。

このなかで、日本のエチレンの状況は25年も前の産構法時代とほとんど変わらない。
(センターの数では、三菱化学四日市が閉鎖されたが、京葉エチレンが加わり、変わっていない)

将にガラパゴス状況であり、ガラパゴスが観光客の流入や外来植物の流入で「危機遺産」リストに掲載されたのと同様、今後は輸入品のために危機に瀕することとなる。

ーーー

出光興産と三井化学は4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。
4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。

2010/4/3  出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合

三菱ケミカルホールディングスと旭化成は5月31日、三菱化学と旭化成ケミカルズの水島地区エチレンセンターの統合について発表した。折半出資の会社を設立、エチレンプラントを移すもので、営業開始は2011年4月1日となる。

2010/6/2  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合の共同出資会社の設立

2センターを統合し、エチレンプラントを1つ潰すなら効果は大きいが、いずれのケースも単に統合するだけで、若干のコスト低減はあっても、効果は少ない。

報道では、後者の場合、当初は今年4月に事業統合し、3年後をメドに2基のうち1基を停止・廃棄する考えだったが、どちらの設備を止めるかで交渉が難航し、一時は破談の危機を迎えた。今回、設備能力削減については将来の需要をみて統合会社で柔軟に判断するとの方針に転換、1年遅れで合意にこぎ着けた、という。

以前にも書いたが、日本の場合、従業員の解雇ができないというのが、大きなネックとなっている。

海外の企業の場合、ある工場が採算が取れなくなると、従業員を解雇して工場を閉鎖するのが簡単に出来る。
日本の場合、会社として雇用しており、解雇が簡単にはできない。

日本をダメにした10の裁判」では第一に解雇権濫用法理を挙げている。
東洋酸素事件の東京高裁判決(1979)では整理解雇の要件は以下の通り。
  ・事業部門を閉鎖することが企業の合理的運営上やむを得ない場合であること
  ・従業員を他の事業部門の同一又は類似職種に充当する余地がないこと
  ・具体的な解雇対象者の選定が客観的、合理的な基準に基づくものであること
その後の判例では「労働組合との協議」が条件に加えられた。

具体的には、このままでは倒産もありうるというような状況でないと、解雇が認められない。

このため、新規部門など、他の部門に転用するしかないが、石化の場合、誘導品や用役、工務、物流、営業、管理等を含めると、1つのセンターに関連する従業員は1000名近くになる。
このような多数の転用は難しく、やむを得ず工場を動かしているというのが実情である。

ーーー

三菱ケミカルHDは12月8日、新中期経営計画を発表した。

2025年のありたい姿を「KAITEKIを実現するカンパニーでありたい」とし、事業ポートフォリオを事業の収益性、市場における優位性、市場の魅力度により選定した。

「創造事業」は、有機太陽電池/部材、有機光半導体、高機能新素材、次世代アグリビジネス、ヘルスケアソリューション、サステイナブルリソースの6事業、
「成長事業」を機能商品分野、ヘルスケア分野、素材分野の11事業、
「基幹・中堅事業」を記録メディア、高機能フィルム、食品機能材、コークスなどと、石化製品ではPTA、PC、PPなどの18事業とした。

エチレンクラッカーなど15事業は「再編・再構築事業」としている。

ーーー

各社とも、景気変動を受け難い分野、今後の成長分野には注力はしている。

しかし、各社とも石化への経営資源投入を続けたままで、かつ、多くの成長分野に分散投資をしており、欧米企業のように石化売却資金による新分野の企業買収で一挙に一定のシェアを確保するような戦略は取っていない。

他の業界からも含め、同一分野に多くの企業が参入を図っている。


このため、これらの新分野でも、石化の場合と同様、小規模・多数企業の乱立ということに成りかねない。

これに対し、韓国のLG Chemは電気自動車用バッテリーに集中投資を行い、GM、フォード、現代・起亜車、電気自動車メーカーのCT&T、 米国の自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車、スウェーデンのボルボなどと一気に納入契約を締結した。

以前にも書いたが、エレクトロニクスなどの新分野は以下の問題を内包しており、リスクは大きい。

・化学以外の他の業界からも殺到するため、過当競争となる。
・需要家自体が材料分野に進出する可能性も強い。 

・需要分野の進展が急で、新製品・新製法の開発により折角投資した材料の需要が急になくなる可能性がある。

・供給先が競争に敗れ撤退する可能性(他社に供給できればよいが・・・)
   シャープは三重県が補助金90億円を出した第一工場の液晶パネル生産を停止、設備を中国に売却した。
   半導体で世界第3位の東芝は
システムLSIから撤退、サムスンに生産委託する。

・新製法等での安価な競合材料の出現

・需要自体がバブルである可能性
  (以前の光ファイバーの例)

伊丹敬之・東京理科大学教授は、日本の産業が化学化しつつあるとする。

産業の中心科学が物理学から化学へとシフトしており、多くの化学素材が様々な消費財や産業財の中で、必須の部分として使われている。各産業の化学への依存性の高まりを考えれば、日本のイノベーションと国際競争力を担うのは化学産業となる。

しかし、化学産業自体は引き続き産業レベル、企業レベルでの問題を抱えており、イノベーションを担うのが化学企業となるかどうかは別の問題であると指摘している。

    2010/5/6 「化学ビジョン研究会」報告書

エチレンセンターの問題に手を付けなければ共倒れとなり、新成長分野も他の業種に委ねることにも成りかねない。

 

ーーー

本年はこれで終わりです。
ご愛読ありがとうございました。1714回になりました。

来年は1月3日からです。(大きなテーマがあれば随時掲載します。)


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化学業界の回顧と展望の前に、大きな影響を与えている中国経済について分析する。

このブログは2006年に始まったが、同年2月に「中国バブル説」を取り上げ、2006年末の「回顧と展望」では、「中国経済は北京オリンピック後が危ないと言われているが、それまで持たないかも分からない」と述べた。

これは一般的に言われていたことだが、現実には、北京オリンピック、上海万博が終わったが、中国経済は、大きな問題を抱えながらも、高成長を続けている。
予想は全く外れた。

本来なら確実に破綻する状況にあったが、破綻しなかったのは中国の特殊性である。

ーーー 

中国政府はグローバルな金融危機に対応して、2008年11月に、国内需要拡大のため2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施する緊急経済対策を発表した。

2008/11/12 中国、緊急経済対策に57兆円

中国政府は2007年末に「家電下郷」を策定したが、2009年2月1日以降は不況対策として、対象製品を拡大、対象地域を全国の農村(対象 9億人)に拡大した。

2009/4/17  「家電下郷」で中国で家電の販売急増

この結果、中国の自動車、家電の生産はいまだに伸びが続いている。
(同時に過剰能力は拡大している。)

中国は金融危機で人民元の切り上げを止め、レートを固定化した。
そのため、一説には米ドルに対して40%もの元安となり、米国からの圧力が高まった。

人民元の切り上げは必至であり、これにより中国からの輸出は激減すると思われた。

中国は6月19日には「弾力性を高める」との声明を出し、一日の変動幅を±0.5%としたが、実際には介入を続け、一時再高値(11月11日 6.6173元/$)でも6月18日比で3.06%しか上がっていない。ユーロなどと比べると、むしろ切り下げとなっている。

人民元安の結果、中国の輸出は伸び続けており、貿易収支の黒字幅はむしろ広がっている。

ーーー

「米国も欧州も日本も不景気が続くのに、どうして中国だけが成功したのか」との質問に対するKissinger博士の答えは、リーダーシップであった。
米国の場合、短期的視点で延々と議論するのに対し、中国では公的資金を長期的視点で迅速に有効に配分したのがうまくいったとする。(2010/1/10 「日高義樹のワシントン・リポート」)

Thomas L. Friedman は著書「Hot, Flat, and Crowded」で"China for Day (but Not for Two)"という1章を書いている。
「2日はいやだが、1日だけなら中国になりたい」というもので、米国では何年もかかる案件、レジ袋の有料化、ガソリン無鉛化、自動車燃費規制、等々をトップダウンの命令で直ちに実施したことを取り上げ、中国のやり方を(その部分だけは)羨ましく思っている。

ーーー

中国の決断の速さを生んだ一党支配のモデルをBeijing Consensusと呼ぶ。

これは
Washington Consensus に対応するもの。

中南米の債務危機に対処するため、IMF、世銀、米国財務省が中心になって打ち出した経済運営に関する勧告のパッケージで、貿易自由化、規制緩和、国営企業の民営化、財政支出の抑制などの政策を柱にする。

ブリュッセル現代中国研究所のJonathan Holslagによれば、Beijing Consensusとは、経済発展を国家の至上課題とし、国家の安定を保ちながら政府が積極的に成長促進策を取ることを指す。

経済運営の手綱は政府が握り、特に金融セクターは厳しい監督下に置く。エネルギーセクターの研究開発も政府の指導のもとに実施される。また、貿易による国際市場からの恩恵は受けつつも、場合によっては輸入制限も辞さず、政府の調達対象も限定する。

これらは、自由市場ならびに金融の自由化を旨としたWashington Consensusとは対極の考え方である。

Holslagは、今やオバマ政権の景気刺激策もBeijing Consensusの方針を事実上採用しているとしている。

しかし、中国と日本や米国との違いは、中国が一党支配、一党独裁であることである。

KissingerやThomas L. Friedmanの言うように、民主国家ではなにごとにも時間がかかる。
政策決定に当たり、賛成派、反対派が長時間議論する。
多くの場合、反対派の意向を反映して妥協を行う。場合によっては、長期間にわたり決定が行われない。

中国の場合、このようなプロセスはない。
反対派の意見は全く無視し、即時に決定が行われ、実施に移される。

中国政府は基本的な問題をまず解決するのではなく、経済発展を最優先してきた。
その結果、いろいろな問題が発生するが、それについてはパッチ当てで解決、それにより派生する問題もまたパッチ当てで解決するという方式を繰り返している。

ーーー

中国の最大の問題は都市部と農村部の収入格差である。出稼ぎのために都市に出る農民は差別されている。

鄧小平は、「南巡講話」において、「先富」から「共同富裕」への道筋について、次のように述べた。

「社会主義の道を歩むのは、ともに豊かになることを逐次実現するためである。

条件を備えている一部の地区が先に発展し、他の一部の地区の発展がやや遅く、先に発展した地区が後から発展する地区の発展を助けて、最後にはともに豊かになるということである。
もし富めるものがますます富み、貧しいものがますます貧しくなれば、両極分化が生じるだろう。社会主義制度は両極分化を避けるべきで あり、またそれが可能である。

その時になれば、発展地区は引き続き発展し、利潤と税金を多く納め、技術を移転するなどの方式で未発達地区を大いに支持すべきである。未発達地区はたいてい資源に恵まれており、発展の潜在力は極めて大きい。」

しかし、実態は、農村では食えない出稼ぎの低賃金(農村戸籍者は都市でも差別される)を利用して、輸出拡大を図ってきた。
政府は西部大開発や今回の
「家電下郷」で、農村部への対策を行っているが、貧富の差はますます拡大している。

鄧小平が懸念した「富めるものがますます富み、貧しいものがますます貧しくなれば、両極分化が生じる」事態となっている。

ーーー

対外的に最大の問題は人民元である。

米国は米国の貿易赤字の原因は人民元の低評価であるとして、これまで人民元の切り上げを要求、応じない場合は制裁措置を取るとし、実際に反ダンピング関税を課している。

これに対し、中国側は「中国は自主性、制御可能性、持続性という原則に基づき、人民元為替相場メカニズム改革を穏健に推進する」と表明し、元切り上げ要求を拒否した。

米国の反ダンピング関税に対抗し、米国製の電磁鋼板やブロイラーに反ダンピング関税と相殺関税を課し、自動車についても調査を開始した。

7月のBig Mac指数では米ドルに対し48%もの元安となるが、本年6月の「弾力化」以降も市場に介入し、ほとんど改善されていない。
(仮に日本円が今、恣意的に1ドル110円程度で維持できれば、日本の経済の状況は著しく変わったものとなる。)

中国政府はプラザ合意での円切り上げと日本経済への影響を詳細に研究し、反面教師にしたと言われている。

貿易収支拡大のなかでの人為的な人民元据え置きは、貨幣流通量を増やし、インフレ圧力が強まり、住宅価格が高騰、食品価格も急上昇している。

住宅に関しては政府はバブル破裂を避けるため、頭金の増加や、複数の住宅を購入するためのローンの制限を求めるなど、やっきになっているが、効果はあまり出ていない。

食品については、中国国務院は11月19日、高騰する物価の抑制に向け、農産物の増産や流通コストの低減など16項目からなる緊急対策を発表した。価格統制は製造コストが膨らむ食品メーカーを採算悪化、生産縮小に追い込んでいる。

2010/11/19 中国の消費者物価指数アップ

中国では今秋から省エネルギー目標を達成するために電力を大量消費する企業向けの電力供給を制限しているが、肥料会社などへの電力供給制限の解除に踏み切った。
また、肥料の輸出に110%の輸出税を課し、実質輸出を禁止した。

中国人民銀行(中央銀行)は12月10日、預金準備率を20日から0.5%引き上げると発表した。本年6度目。大手行の預金準備率は過去最高の18.5%となる。
12月25日には0.25%の追加利上げを行った。2年10か月ぶりとなった10月20日以来、2か月ぶりの利上げとなる。

金融引き締めや利上げ、価格統制は企業活動に悪影響を及ぼし、景気失速の恐れもある。失業率上昇は党に対する不満を爆発させかねない。
また、利上げは更に元高の要因となる。これを介入で抑えると、市中に金があふれ、物価上昇を招く。
人民元高を容認しない限り、この悪循環が続くこととなる。

ーーー

グローバルな金融危機に対しては、中国政府は国内需要拡大のため2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施する緊急経済対策を発表した。「家電下郷」も拡大したが、これは農村部のみを対象としたものである。

このような大規模な、一部の国民にのみ恩恵を与えるものを含む、経済対策を即時に決め、実行できるのは、一党独裁の強みである。

国内での議論なしの中国政府の決定には次のようなものがある。

2010/8/20 台湾、中台経済協力枠組み協定(ECFA)を承認、9月発効へ 

台湾との経済協力枠組み協定は来年1月に発効するが、台湾にとって非常に有利なもので、中国は、台湾の要求をことごとく受け入れて大幅に譲歩した。ASEANと中国が相互免税措置を実施した場合、台湾の輸出産業が大きな衝撃を受けるのを防ぐのが目的で、政治的観点から国内の反対を無視した。

2006/7/21  中国政府、石炭化学を規制
2009/8/29  中国、新産業でも過剰能力を抑制
2010/8/14  中国、老朽過剰設備の停止命令
2007/7/19  中国国家環境保護局、公害防止のため小規模化学工場を閉鎖
2008/6/4  中国でレジ袋有料化 実施
2007/6/28  中国、輸出抑制のため輸出増値税還付率を引き下げ(毎年、対象と率を変更)
2010/8/16  中国、レアアース市場での支配力拡大へ 

また、中国では土地はすべて国有で、北京五輪や上海万博、鉄道、道路、ダムなど、国の必要に応じて安い補償で立ち退きを強要している。
(最近、中国人による日本の高級マンションなどの購入が増えているが、一つの理由は土地の所有権付きであることで、いつ立ち退きを要求される中国と異なり、子孫に残せることであるという)

ーーー

このようなパッチ当て方式と一党独裁による即決、即実行で問題をとりあえず解決してきたのが、バブル崩壊を防止できた理由である。
反対意見を考慮することなく、考えた案が実施できるという意味では、政策決定者にとっては、羨ましい話であろう。

しかし、反対意見無視は、国民の権利の無視、権利の侵害である。
これは一党独裁への反対を引き起こし、放置すれば大変な事態になるため、これに対しても対応する必要がある。

中国政府は2011年から始まる次の5カ年計画に「所得倍増計画」を盛り込む検討に入ったが、土壇場で採用されなかった。
実現できなかった場合に国民の不満が共産党に向かいかねないことが理由の一つであった。
(賃上げをあおれば物価上昇が加速する恐れがあるのがもう一つの理由)

  2010/6/10  中国が「所得倍増」計画

中国は根本的な問題は抱えたままであり、対策を取れば、それが新たな問題を引き起こすという循環で、今後も次々と問題が出てくる。

ーーー

中国に進出する日本企業も、いつ梯子を外されるか、分からない。
既に労働契約法で労働者の権利が強化され、外資の税優遇も廃止された。立地、原料、販売、輸出、環境規制、電力割当等々、事業運営上に制限が加えられる可能性もある。
大きなカントリーリスクである。

 


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インドネシア政府は、同国西北部沖にあるアジア最大級の天然ガス鉱区East Natunaを、国営Pertamina と米Exxon Mobil、仏Total 、マレーシアのPetronasの4社が共同で開発すると発表した。総事業費は520億ドルに達する見込み。

4社が開発するのは、ボルネオ島とマレー半島の間の海域のNatuna諸島沖の海底鉱区。埋蔵量は46兆立方フィートに及び、Pertaminaによるとアジア最大の規模という。

Pertaminaでは来年上期にproduction-sharing contract を締結し、2021年に生産を開始したいとしている。
Pertaminaではマジョリティを得て、オペレータになることを希望している。
Petronas30%程度の出資を希望している。

Natuna D- Alphaと呼ばれた同鉱区は1973年に発見され、7年後にExxonが開発権を取得した。
埋蔵量が膨大な一方で、二酸化炭素の含有量が多いのが難点。
ExxonPertaminaは1990年代に開発することを決めたが、需要の低迷で中断した。
両社はその後も開発をめざしたが莫大な事業費が障害になっていた。このため
TotalPetronasが参加する新らな枠組みを作った。

Natunaの西側のWest Natuna では国際石油開発帝石(Inpex)がConocoPhillipsChevronとともにガス田を開発している。

Inpexでは「南ナトゥナ海B鉱区」と呼んでいる。
同社は
19777月に既発見のUdang油田を含む南ナトゥナ海B鉱区の権益を17.5% 取得、さらに、19941月に同鉱区の17.5%の権益を追加取得し、参加権益比率を35%
とした。
その後、
Belanak油・ガス田、 Hiuガス田、North Belutガス田、Belida油・ガス田、Sembilang油田、Kerisi油ガス田などの油・ガス田を続けて発見している。

ConocoPhillips40%Chevron25%を保有、前者がオペレーターとなっている。

1979年以降原油の生産を続けており、ガスに関しては、19991月にインドネシア初の海外向けパイプラインによるシンガポール向けガス販売契約を締結し、2001年より供給している。
さらに
2002年には、新たにマレーシア(本土)向けのガス販売を開始した。

ーーー

Inpexはインドネシアではこのほかに3つのプロジェクトを行っている。(* オペレーター)

マハカム沖鉱区およびアタカユニット(原油、天然ガス:生産中)  

マハカム沖:Inpex 50%、*TOTAL 50%
アタカユニット:Inpex 50%、*Chevron 50%

マセラ鉱区(アバディ) (ガス・コンデンセート:準備中)

マセラ:*Inpex 90%、EMP Energi Indonesia 10%

Inpexは12月21日、生産規模を4割縮小する計画がインドネシア政府の承認を得たと発表した。
技術的に難しい洋上LNG基地方式を採用しているため。
当初の年450万トンの計画を、年250万トンでスタート、段階的に引き上げる。

ベラウ鉱区ータング LNGプロジェクト:2009年7月よりLNG供給を開始) 

ベラウ:MI Berau 22.856%*BP 48.0%日石ベラウ 17.144%KGベラウ 12.0%
タングーユニット:MI Berau 16.3%、*BP 37.16%
CNOOC 13.9%日石ベラウ 12.23%
           KGベラウ・KGウィリアガール 10.0%、LNG Japan 7.35%
Talisman 3.06%

 MI BerauはInpex 44%、三菱商事 56%JV


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ロシアの肥料会社OAO Uralkali は同じくロシアのライバルのOAO Silvinit を買収することで合意した。カナダのPotash Corporation of Saskatchewan(PotashCorp) に次ぐ肥料会社となる。

Otkritie Financial CorpからSilvinit 20%14億ドルで買収、その後、残りの株を64億ドル(現在の株価)相当のUralkaliの新株と交換で取得する。合計で78億ドルでの買収となる。20115月の合併を目指す。

ロシアの億万長者のSuleiman Kerimov とパートナーが、本年7-8月に両社の合併を目指して両社の株のマジョリティを取得した。

両社が合併すれば、世界のカリの生産の17%を占め、Potashに次ぐ世界第二位のメーカーとなる。

両社はウラル山脈の近くのPermVernekamskoye deposit(世界第二の埋蔵量)に鉱山を持っている。
両社は肥料需要の回復を受け、本年上期に生産量を倍増
Uralkali 242万トン、Silvinit 257万トンを生産した。
2010年の能力の合計は1060万トンで、Potash CorpとミネソタのMosaic Co に次ぐ。2012年には能力を240万トン拡大する。

BHP Billiton8月PotashCorpに対し、全株のTOBを行うと発表したが、カナダ政府が反対し、BHPは11月15日に敵対的TOB提案の取り下げを発表した。
2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB

Mosaic2004年にCargillの肥料部門と IMC Global とが合併して設立された。
カリとリン酸が主製品。
カリの能力は
1040万トン。カナダと米国で操業、45%を北米で販売、残りを輸出している。
リン酸では最終製品の世界最大のメーカーで、能力は
1030万トン、他の三大メーカーの合計よりも多い。

カリウムは200708年の世界食料危機の際に投資家から注目され、価格が急上昇した。
世界金融危機を受けて農民が肥料の使用を減らしたため、
2008年からは下落していたが、再び上昇に転じている。

世界の8社のカリ・メーカーが市場を支配し、価格引き上げを図っている。

Financial Timesによると、各社は数十年にわたり2つの販売会社を通じて輸出してきた。
合法的ながら事実上のカルテル組織で、毎年、輸入国(中国が
1位でインド、ブラジルがそれに続く)と秘密裏に交渉してきた。

一つはCanpotexで、株主はカリ・メーカーのPotashCorpMosaicAgrium Inc.で、各社の製品を輸出している。
もう一つは
Belarusian Potash Co.で、Uralkali やベラルーシのBelaruskaliの製品を扱っている。

Silvinitは現在、International Potash Co. を通して輸出しているが、一定期間を置いてBelarusian Potash に切り替える。

中国、インド、ブラジルといった購買国に対するロシア・ベラルーシ連合の力は一段と高まるとみられる。

中国はカリの今後の輸入を懸念している。
BHP BillitonによるPotashCorpの敵対的TOBに対し、Sinochem子会社で、PotashCorp 22%を出資する中国の肥料輸入販売会社SinofertがBHPの買収を図ったが、諦めた。

 

2009年の生産量、埋蔵量は以下の通り。(U.S. Geological Survey) 

リン鉱石   カリ
  生産量(千t) 埋蔵量(百万t)
中国 55,000  35% 3,700  23%
USA 27,200 17% 1,100 7%
モロッコ・西サハラ 24,000 15% 5,700 53%
ロシア 9,000   200  
チュニジア 7,000   100  
ブラジル 6,000   260  
ヨルダン 6,000   1,500  
その他 23,800   3,440  
合計 158,000   16,000  
  
  生産量(千t) 埋蔵量(百万t)
カナダ 6,500  26% 4,400 52%
ベラルーシ 3,850 15% 750 9%
ロシア 3,600 14% 1,800 21%
中国 2,750   200  
ドイツ 2,300   710  
イスラエル 2,000   40  
その他 4,000   600  
合計  25,000    8,500    

参考 2010/12/4 中国財政部、肥料に輸出税 


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BASF SINOPEC1217日、BASF-YPCの設立10周年記念式典の前夜に、第二次増強の共同検討の覚書を締結した。

C3C4value chain を増強するもので、16万トンのアクリル酸新プラント、新しいブチルアクリレートプラントや、2-propyl-heptanol、スチレンモノマー、非イオン性界面活性剤の増強などを含む。
現在建設中の高吸水性樹脂(
SAP)には今回増設のアクリル酸が供給される。
また、ワールドクラスの過酸化水素法
POも計画に含まれる。

HPPOはダウとBASFが共同開発したもので、アントワープの両社のJVが第1号。
ダウは
Siam Cement Group とのJVタイにプラントを建設している。

投資額としてはおよそ10億米ドルとみているが、最終的な投資範囲は詳細FSの後に決定する。

同社の計画は以下の通り。(単位:千トン)

   当初   第一次増強 第二次増強
エチレン 600   →740  
C4 Comlex Butadiene ー   ○(100120  
2-propylheptanol  ○  増設
Isobutene  ○ 80  
Polyisobutene  ○ 50  
EO EO 250   +80 & EO purification   
EG 300     
EO 
Derivatives
Butyl glycol ether ー   ○  
Non-ionic surfactants  ○ 60  増設
Amines
complex
Ethanolamines
Ethyleneamines
Dimethylethanolamine
ー   ○  
DMA3 (dimethylaminoethylacrylate) ー   ○  
LDPE 400     
Acrylics
value chain
アクリル酸  160     +160
アクリル酸エステル 215     
Super-absorbent polymer (SAP) ー   ○ 60  
butyl acrylate ー   ー  ○
C4オキソアルコール  250   増設  
蟻酸 50     
プロピオン酸 30   増設  
メチルアミン 30     
ジメチルホルムアミド(DMF 40     
PO(HPPO) ー   ー  ○
Yangzi-BASF
Styrenics
Ethylbenzene 130   BASF-YPC統合  増設
Styrene monomer  120   増設
Polystyrene  200   
EPS  52   

 

BASF-YPCBASF 50%Sinopec 50%JVで、2000128日に設立された。

両社は1996年3月にIPS(Integrated Petrochemical Site) 計画の覚書を締結、1997年12月に計画がまとまり、2000年6月に共同FS報告が承認された。

工場は江蘇省南京市SINOPEC揚子石化(エチレン 650千トン)に隣接している。

2001年9月に起工式が行われ、2005年6月に商業生産を開始した。

なお、同社のエチレン設備は、インドネシアのツバン計画で用意したものを使用した。

2006/4/27 インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-2

同社は2008年3月に第一次増強計画を申請、2009年7月に政府の承認を得て、10月に建設を開始した。
現在建設中で、2011年にスタートの予定。

これに合わせ、BASFSINOPEC揚子石化のJVYnagzi-BASF Styrenics(1997年設立)を吸収した。


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中国国有化学大手の中国中化集団(Sinochem Group)は1217日、Royal DSM の抗感染症薬事業(DSM Anti-Infectives)50%を買収すると発表した。
買収額は負債引き継ぎなしベースで現金で
21000万ユーロ。

欧米の先進技術を導入して売上高を増やしたい
Sinochemと、中国大手との連携で高成長が見込める中国事業を伸ばしたいDSMの思惑が一致した。

DSM Anti-Infectivesは中国以外ではごく少数のペニシリンのメーカー。

DSMの事業は中国企業などとの競争で採算が悪化している。
このため、
2004年に華北制薬集団有限責任公司(North China Pharmaceutical GroupNCPG)と戦略的パートナーシップを組む意向を明らかにし、その後、交渉を続けた。

2009年初めにはビタミンとペニシリンの分野でJVを設立する契約を締結した。内容は以下の通り。

DSMNCPG10%程度の戦略的投資を行う。
・ビタミン
Cの製造JVと、ペニシリンの原体と中間体製造のJVを設立する。
 
DSMは前者に30%、後者(2つのJV)に51%を出資する。
DSMの総投資額は約110百万米ドル。
 
NCPGはビタミンCとペニシリンの既存工場と、ペニシリンの中国の国内のマーケティングと販売組織を出す。

両社は認可取得など準備を進め、
2009年下期に設立を予定。
両社は他の分野での協力も協議する。

しかし、200910月にこの計画は延期(事実上の中止)となった。
NCPGの株主の変動により、契約実行が遅れること、恐らくは目標期間中には実行できないだろうとの通知を得たもの。

このため、DSMはパートナーを変更した。

両社は近く香港に折半出資会社を設立し、DSMの世界の抗感染症薬事業を引き継ぐ。同事業の社員2000人も合弁会社に移籍する。
手続きは
2011年前半までに完了する見通しで、取引は201111日に遡及する。

DSMは第4四半期に55百万ユーロの一時利益を計上する。

DSMの医薬部門はDSM Pharmaceutical Products DSM Anti-Infectives から成る。

売上高は、    
   2009  2008
 DSM Pharmaceutical Products  395百万ユーロ  419百万ユーロ
 DSM Anti-Infectives  326  444
   合計   721  863
となっている。

ーーー

Sinochemは国務院国有資産監督管理委員会の管理下の主要な国営企業の一つ。2009年の“Fortune Global 500”では170位にランクされている。

1950年設立で、農業資材、エネルギー、化学品、ファイナンス、不動産の5つのセグメントから成っている。

同社は20099月、28億豪ドルで豪州の農薬会社Nufarmを買収する非拘束契約を締結した。
しかし、
Sinochemが値引きを要求したため、Nufarmは再提案を拒否した。
その後、住友化学が
Nufarmと包括的業務資本提携を行い、20%を出資した。

2009/10/6  Sinochem、豪州農薬会社Nufarmを買収へ 及び付記

Sinochemは本年5月、ノルウェーの国営石油会社Statoil ASAとの間で、ブラジル沖のPeregrino油田の権益の40%を対価 3,070百万ドルで買収することで合意したと発表した。

2010/5/28 中国中化集団、ブラジル油田に30億ドル出資


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BASF1217日、ベルギーと米国の高吸水性樹脂の能力を増強すると発表した。
ベルギーの
Antwerpと米国のFreeportのプラントをデボトルネッキングなどで2012年までにそれぞれ35千トン増強し、同社の合計能力を年産47万トンとする。

付記 
BASFは2011年8月19日、ブラジルの
Camaçariに5億ユーロ以上を投じて、アクリル酸、ブチルアクリレート、SAPプラントを建設すると発表した。能力は明らかにしていない。アクリル酸とSAPは南米で初めての工場となる。
原料プロピレンはBraskemから供給を受ける。

このほか、既存のGuaratinguetá, São Pauloのコンプレックスで 2-ethyl-hexyl acrylateを製造する。

BASFの高吸水性樹脂の主工場はAntwerpFreeportで、ほかにドイツのMannheim とタイのRayongにもプラントを持つ。
世界中の需要家に供給、技術サービスセンターを米、独、タイと中国の上海に置いている。

同社の能力は以下の通り。(単位:千トン)
なお、
BASFは他に、SinopecとのJVBASF-YPC(南京市)で60千トンのプラントを建設中。

    過去 現状 増強後  
欧州 Antwerp   115   175 210  
Mannheim 25 25 25  
米国 Portsnmouth,VA 115 - - Clariant
Aberdeen, MS 65 - - Chemdal
Freeport,TX - 180 215  
タイ Rayong 20 20 20 Chemdal
合計   340 400 470  
中国JV 南京(BASF-YPC) - - 60  
再計   340 400 530  

付記

BASFは2011年10月11日、ブラジルのCamaçariに60千トンプラントを建設すると発表。生産開始は2014年末。

BASF-YPCのプラントは2014年初めスタート。
更にマレーシアのKuantanでの生産をFS中。

BASF1998年にClariantの吸水性樹脂事業を買収、Portsnmouth,VA115千トンのプラントを引き継いだ。
Clariant1997年にHoechstのスペシャルティ事業を統合した際に吸水性樹脂を持ったが、原料のアクリル酸がHoechstに残った為、原料遡及が出来ず、効率もよくなかったので売却した。

BASF2000年に米国 AMCOLの子会社 Chemdal の吸水性樹脂事業を買収した。
ChemdalAberdeen, MS65千トンのプラントを持ち、タイにプラントを建設していたが、BASFがこれを引き継いだ。

2002年にアントワープ工場を建設した。

200710月にFreeport18万トンプラントが操業を開始し、これに伴い、米国の2工場が閉鎖された。

ーーー

日本触媒は世界の主要SAPメーカーの生産能力を以下の通りとしている。(11/5決算説明会資料)
(筆者の数値と若干異なる。日本触媒以外の社名は筆者の推定)

日本触媒の能力は以下の通りで、現在世界のトップ。

姫路  320千トン    
米国   60千トン   NA Industries
ベルギー   60千トン   Nippon Shokubai Europe
中国   30千トン   日触化工(張家港)有限公司
合計  470千トン    

日本触媒は当初、欧州ではBASFと提携し、年産24千トンの高吸水性樹脂を生産委託していたが、その後、提携を解消した。
これに伴いBASFとの折半出資の販売子会社
であったULTRASORB Chemikalien を1999年に100%子会社化し、2001年にアントワープに自社工場を稼動させた。

BASFは現在400千トンだが、中国を含めた増設後は530千トンとなり、日本触媒を上回ることとなる。

Evonik(元Degussa)の現在の能力は406千トンとされている。

同社(当時はHuls)は1991年にStockhausen を買収した。米国(75千トン)、ドイツ(85千トン)、合計160千トンの能力を有している。

2006年2月にDegussa はDowの高吸水性樹脂事業を買収した。
Dowのドイツのプラント(80千トン)を取得、米国のプラント(75千トン)ではダウに製造委託を行う。

これら取得時の能力は315千トンだが、その後増強している。

住友精化

姫路  110千トン  
シンガポール   60千トン  Sumitomo Seika Singapore
フランス    20千トン  Arkema から高吸水性樹脂事業を買収、Arkemaに製造委託
合計  190千トン  

サンダイヤポリマー

名古屋  105千トン  
大垣         20千トン  
中国   20千トン  三大雅精細化学品(南通)有限公司
合計  145千トン  


国内メーカーの状況については、2009/9/26 
高吸水性樹脂業界の動き


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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