「no」と一致するもの

第一三共は1月5日、2009年3月期第3四半期に、連結子会社であるランバクシー・ラボラトリーズについて、個別決算において3,595億円の株式評価損、連結決算において3,540億円ののれん一時償却の特別損失を計上すると発表した。

ーーー

第一三共は2008年6月11日、インドのジェネリック医薬品大手 Ranbaxy Laboratories 及び創業家一族との間で、同社の議決権総数の50.1%以上を取得する契約を締結したと発表した。

株式の取得総額は、TOBの結果により変動するが、1,474~1,980億ルピー(3,685~4,950億円、1ルピー=2.5円換算)を見込んだ。

Ranbaxyの概要は以下の通り。
 設立:1961年設立
 従業員数:約12,000名(うち研究開発1,400名)
 拠点:原薬製造:パンジャブ州 モハリ(Mohali, Punjab)、トアンサ(Toansa)他 計6拠点
     製剤:インド国内6拠点、海外13拠点
     研究開発:ハリヤナ州 グルガオン(Gurgaon, Haryana)
     連結子会社:インド国内8社、海外47社
 主要製品:高コレステロール血症、感染症などの領域における
後発医薬品
 主要な開発中の新薬:Arterolane(マラリア治療薬
- Phase 2b試験中)

買収の狙いは以下の通りであった。

ランバクシーは49カ国に営業拠点を持ち、その中にはアフリカや中東欧、南米などの新興国が多く含まれる。
(第一三共は先進国を中心に21カ国・地域に進出)

2007年の世界医薬品市場は6635億ドルで、そのうち日米欧が8割以上を占めるが、日米欧市場の年平均成長率は1ケタだが、主要新興国平均では同15%に達する。

第一三共の売上高8800億円のうち日米欧向けが97%で、ランバクシー買収により今後の成長が期待される新興市場への足がかりを獲得する。

このため、両社の補完関係は、先進国・新興国双方の需要への対応、イノベーティブ(特許で保護された製品)とロングセラー(特許が満了した製品)双方の共有というハイブリッドビジネスモデル「複眼経営」を構築する。

ーーー

同社は11月7日、ランバクシー株の63.9%を取得したと発表した。

2008年8月16日から2008年9月4日までの間、公開買付けを行ったうえ、創業家一族からの取得、第三者割当増資、新株予約権の引受けを行った。
これら取引の取得価格はいずれも1株当たり
737ルピー。1ルピー2.5円で計算すると総額4,950億円になる。

なお、本件発表の翌日 6月12日の株価は 543.50ルピーであった。

  株数        金額
(百万ルピー)
    取得割合
希薄化前 希薄化後*
公開買付けによる取得   92,519,126    68,186   22.0%   20.0%
創業家一族からの取得(第1回)   81,913,234    60,370   19.5%   17.7%
創業家一族からの取得(第2回)   48,020,900    35,391   11.4%   10.4%
第三者割当増資引受け   46,258,063    34,092   11.0%   10.0%
小計  268,711,323   198,040   63.9%   58.1%
新株予約権引受け  (23,834,333)
    相当
    1,758 (行使価格総額の
     10%を払込み)
合計     199,796  
総株数     420,370千株 462,596千株

 * 希薄化後:転換社債、従業員ストックオプションを含み、新株予約権を除く完全希薄化後発行済株式

これで予定されていた取引は全て完了となった。
Ranbaxyは本取引終了後もボンベイ証券取引所及びナショナル証券取引所での上場を継続する。

ーーー

米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月16日、ランバクシー・ラボラトリーズの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。

医薬品の安全性に問題はないが、ランバクシーのインドのデワスとパオンタ・サヒブにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが1月から3月にかけて問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

ーーー

これが報道され、ランバクシーの株価は下落した。更に世界的な株安もこれに加わった。

第一三共の買収価格は1株737ルピーであるが、発表翌日の株価は543.5ルピーで、その後 500ルピー付近にあった(TOB最終日9月4日終値は493ルピー)が、その後、急落し、年末の終値は252ルピーであった。


終値は買収価格の34%に過ぎない。発表当時の株価からも半分以下になった。
また、ルピーも契約時には2.5円/ルピーであったが、その後の円高で1.9円となっている。

この結果、大幅な評価減が必要となった。

 

第一三共は12月19日、ランバクシーの新体制を発表した。第一三共グループの一員としての企業活動を本格的に開始する。

「先進国および新興国におけるマーケットの拡大と、医療ニーズの多様化が進展する2015年以降の医薬品市場を見据えて、インドのNo.1製薬企業であるランバクシーをグループの一員に迎える決定をした」としている。

今回の評価減、のれん償却についても、以下の通り述べている。

世界的な金融危機に直面する現状の市場環境に鑑み、予め厳格な会計処理を実施することによって財務体質の健全性を確保するもの。

先進国・新興国双方への需要への対応、イノベーティブ・ロングセラー双方の共有というハイブリッドビジネスモデルへの挑戦の方針には些かの変更もありません。

 

ジェネリック医薬品については 2008/9/26 ジェネリック医薬品の世界最大手、日本進出


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山東煙台万華(Wanhua)ポリウレタンは中国唯一のMDIメーカーで、山東省煙台に12万トン、浙江省寧波に24万トンのプラントを持ち、寧波に30万トンの新プラントを建設中である。

同社の煙台のプラントが商業地域になるため、煙台経済技術開発区の西港に移転することとなっているが、12月18日に中国環境保護省により環境アセスメントが承認された。

新立地は以下の構成によるポリウレタンコンプレックスとする。
  MDI  60万トン
  TDI  30万トン
  BTX抽出 80万トン
  苛性ソーダ 30万トン
  塩酸 48万トン

業界筋の情報では投資額は200億人民元(2600億円)で、2009年に建設を開始、2011年に完成する予定。

完成後は旧プラント12万トンは廃棄する。

ーーー

中国のMDI能力は以下のとおり。(単位:千トン)

    既存 建設中 計画
バイエル 上海     250   
BASF 上海   240     
重慶       400 
万華  煙台   120    → 0
      600
寧波   240  +300  
合計   600   550  1,000
 -120

2006/12/20 Bayer、MDI 能力 約110万トンに 

2008/10/13 BASFの重慶MDI計画,進展か

 

なお、TDIの能力は以下の通り。(単位:千トン)
    
2008/2/22 河北省の滄州大化、韓国SKとTDI事業でJV設立 に追加

社名 現行能力 建設中 計画 完成
上海BASFポリウレタン(上海市)   160      
甘肅銀光TDI(甘肅省白銀市)    50      50 2010年
滄州大化(河北省滄州市)
 Cangzhou Dahua-SK (河北省滄州市臨港化工区)
 
   30
 
 
 
    50
 
 
 
  100
 
2008年末
2012年?
藍星グループ(山西省太原市)     30      
Yantai Juli (山東省莱陽市)     15      
Bayer Material Science(上海市)     300   2009年
遼寧North Jinhuaポリウレタン(遼寧省 葫蘆島市)      50   2008年末
山東煙台万華ポリウレタン       300 2011
合計    285  400  450  

 


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世界の主要な天然ガス生産国が参加するGas Exporting Countries Forum (GECF) が12月23日、モスクワで第7回閣僚級会議を開き、原油価格が急落する中で、天然ガス生産国による公式な国際機関を発足させることで合意した。
憲章が合意され、カタールの首都ドーハに本拠を置くことが決まった。

ロシアが主導するもので、OPECにならったガス版カルテルの創設もちらつかせている。

GFCFはメンバー諸国の協力強化のために設立され、2001年にイランで第1回会合を開いた。
正式メンバーは14カ国で、他に赤道ギニアとノルウェーがオブザーバーで入っているが、今回赤道ギニアがメンバーに認められた。
なお、今回の会議からカザフスタンがオブザーバーとして認められた。

メンバー諸国の天然ガス埋蔵量及びシェアは以下のとおり。(2007年末、単位:trillion cubic feet

    埋蔵量     %
(Members)      
  Russia 1,576.75   25.17
  Iran 981.75   15.67
  Qatar 904.06   14.43
  UAE 215.07   3.43
  Nigeria 186.99   2.99
  Algeria 159.45   2.55
  Indonesia 105.94   1.69
  Malaysia 87.40   1.40
  Venezuela 81.87   1.31
  Egypt 72.85   1.16
  Libya 52.80   0.84
  Bolivia 26.13   0.42
  Tri nidad & Tobago 16.95   0.27
  Brunei 12.11   0.19
  Equatorial Guinea N.A.   0.00
  小計 4,480.12   71.53
(Observers)      
  Norway 104.57     1.67
  Kazakhstan 67.20   .07
  合計 4,651.89    74.27
         
World Total 6,263.34   100.00
         
(参考)      
  Saudi Arabia 253.03   4.04

ソース:BP statistical review of world energy 2008 

メンバー諸国の発言は慎重で、
会合の目的は憲章の承認であり、OPECのような価格カルテルをつくることではない
ガス生産量のレベルを話し合うのではなく、もっと広い観点の議論をしている
主な目的はガス市場をモニターしたり、共同研究を行うことだ
OPECは「今日」を見ているが、我々は将来を見ている。ガスは長期契約で、価格も石油と結びついており、今後10年間は数量や価格をコントロールできない
などとしている。

しかし、ロシアのPutin 首相は会議の席で、「ガス田開発の費用は急増しており、安いエネルギー、安いガスの時代は終わった」と述べた。

Putin 首相のこの発言は、ロシアのGazprom とウクライナとの間の天然ガス代金支払いに関する争いの最中になされた。

Gazprom はウクライナの国営ガス会社Naftogazがガス料金を滞納しており(累積債務は24億ドル)、支払いがない場合、来年1月1日からガス供給を停止する考えを明らかにしている。

Gazprom はEUのガスの1/4を供給しており、ほとんどがウクライナを経由している。
EU向けの供給に支障が出るのではとの懸念も出ている。

専門家の間では、原油と異なり、天然ガスは膨大なコストがかかるパイプラインが必要であり、長期契約が通常であるため、カルテルはうまく機能しないだろうと見ている。しかし、中期的には価格上昇につながる可能性はある。


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2008年1月2日、本年のニューヨーク原油先物市場の取引初日にWTI原油は史上初めて100.00ドル/バレルを記録した。
その後、ヘッジファンドなどの資金が投入され、原油価格は急上昇、7月11日には一時147.27ドルをつけた。

しかし、米国政府が先物市場の監視を強めたためファンド資金の流出が始まり、7月31日に米ベアー・スターンズ傘下のファンドが破綻してサブプライムローンの問題点が明らかになり、その後は金融危機が広がった結果、原油市場から資金が流出して原油価格は急落した。

1219日のニューヨーク原油先物市場でWTI原油は急落し、一時、2004年2月以来、ほぼ4年10カ月ぶりの安値水準となる32.40ドル/バレルまで下がった。終値は前日比2.35ドル安の33.87ドルとなった。
OPEC12月17日の臨時総会で、来年1月1日からの日量220万バレル減産で合意したが、価格下落を止められなかった。
<p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p>年初からの平均価格は100.8ドル/バレルとなった。

米国の住宅着工件数は2006年1月に過去最高の年換算2,273千戸を記録した後、下降に転じ、2008年3月には1,000千戸を割り、11月は625千戸となった。まだ下げ止まる気配はない。

住宅価格も2006年から下落が続いており、まだ底を打っていない。

「NINJA ローン」と称され、所得も収入も資産もない(No Income, No Job, No Assets)人に住宅の値上がりを前提に融資を行い(融資に際し、資産状況などを誤魔化すよう指導したといわれる)、そのローンを証券化して世界中にバラ撒き、格付け会社はそれに高い格付けを与えた。それを信用して、世界中の金融機関がこれを購入した。
住宅価格が値下がりすることを全く考えない典型的なバブル現象である。

その破綻の結果、金融危機だけでなく、実態経済にも大きな影響を与えている。

その影響はこれまでは米国の住宅産業に止まっていたが、欧州や中国の住宅産業にも広がり、更に自動車産業、周辺産業、家電、IT関連、原料業界と、全世界、全産業に広がりつつある。

 

世界各国が金融危機の影響を大きく受けるなかで、比較的影響の少ない日本の円が消去法で急激に上昇した。

この結果、輸出産業は軒並み痛手を蒙った。

自動車産業は米国での自動車販売不振と円高が重なり、トヨタは2009年3月期は、前期の最高益から一転、戦後初の営業赤字になるとの予想を発表した。電機業界など他の産業もすべて影響を受けている。

ーーー

海外では大型買収が影をひそめた。

多額の借入金で買収を行なってきたIneosは銀行に金利支払い停止を要請した。

バブルの真っ最中に決めたHexionによるHuntsman買収は、Hexionが一旦取り止めを主張、裁判で不利が分かり、買収を進めようとしたが、銀行が融資を取り止め、結局契約は破棄された。融資を断った銀行との間では裁判になっている。

BHP Billiton もRio Tinto 買収を諦めた。

BASF、Dow、DuPont など各社が減産を決め、人員整理も行なっている。米国では多くのエチレンプラントが停止した。

 

Dowは市況の変動を受けやすい石化事業について Asset Light(JV化による負担削減)戦略を進めてきたが、PICとのJVのK-Dow Petrochemicals 2009年1月にスタートさせ、この戦略を完結させる。<p>HTML clipboard</p>(運営開始間際にKuwait 側で反対運動が起こっている)
逆にスペシャルティが中心のRohm and Haas を買収している。

ーーー

北京五輪のあと、中国も急速に力を失った。

世界中の石油化学会社は中国の膨大な需要に期待して設備を増強した。
根拠の一つには13億人という膨大な潜在需要の存在である。

しかし本ブログで以前に指摘したように(2006/2/21  中国バブル説)、実際には三大成長エリアの約3億人を現在のマーケットと考えるべきで、これと残りの10億人の所得格差は著しく大きい。
現在の中国の供給能力は既に当面の需要量に達している。

しかも実際には中国の需要のかなりの部分は米国向けを中心とする輸出用である。
米国向けの輸出がなくなると、国内需要増でそれを補うことは出来ず、一気に失速した。

当初の期待通り、もし13億人の需要が顕在化すれば、米国の需要が減退しても、それほど影響は受けなかったであろう。
そうではないため、中国向け輸出は激減、中国自体でも減産や操業停止が広がっている。

ーーー

これまで日本の石油化学は3つのバブルで高収益をあげてきた。中国需要、原油価格、ハイテク材料である。

2003年頃からの中国の需要の急増で、輸出が増え、フル稼働となった。
中国の需要の増も原因の一つである原油価格の上昇で、海外市況が上がり(中国が値上げを呑んだ)、フル稼働状況のなかで国内での価格転嫁が可能となった。
石化不振時に各社が取り組んだハイテク材料が、薄型テレビを初めとする家電その他の好況で大きな利益を生むようになった。

今年後半になり、これが一転した。

中国の需要は激減、輸出は減少し、国際価格は数ヶ月のうちに急下落した。

2008年上半期のエチレンセンター11社の石化部門の経常損益は前年同期比で激減、ほぼゼロとなった。



原料ナフサは下がったが、転嫁のズレのため、最高価格となった7-9月の高値分はおそらく転嫁が出来ず、需要減と国際価格の暴落で需要家からはコスト下落以上の値下げを要求されることとなる。

各社は中間決算時に、下期に転嫁ズレ分を転嫁し、年間では原料価格差=売価差とみて、年間決算予想はかなりよい数字を出している。しかし価格問題に加え、需要の激減で各製品で減産を始めていることもあり、赤字転落企業は増えるであろう。

株価下落による年金関係費用の追加や、持株の評価損もある。

ハイテク材料も、最終製品の価格下落と需要減は激しく、様相は一変した。

ーーー

問題はこの後である。米国の住宅産業はまだ回復の見通しはなく、自動車その他の産業でも、今後更に悪化すると思われる。回復が1年後なのか、2年後なのか、分からない。

しかし、仮に景気が回復しても、日本の石油化学が回復する保証はない。

日本の石油化学の不振は金融危機のためだけではない。
日本の石油化学独自の構造問題(と中国の需要の限界)により、当然起こるはずのもので、金融危機でこれが加速されたものである。
従って、金融危機が収まり、世界経済が回復しても、日本の石油化学は今のままでは回復しない。

昨年の「回顧と展望」では「ガラバゴス鎖国論」との副題をつけ、海外の大規模化、統合の動きに対して以前の小規模多数プラント体制を維持したままであることは、まさに進化の止まった「ガラパゴス鎖国」状況であるとし、日本の石化事業もガラパゴスのように「危機遺産」とならなけばよいがとした。

2007/12/26 2007年 回顧と展望 「ガラパゴス鎖国」論

日本のエチレンセンター

立地 エチレンセンター 能力
(千トン)
定修なし
LDPE HDPE PP VCM
鹿島 三菱化学 410
516
日本PE 日本PE 日本PP 鹿島塩ビモノマー
(信越、カネカ)
千葉 丸善石化   525 宇部丸善PE
丸善ポリマー 日本PP
(チッソ)
京葉モノマー
(旭硝子)
チッソ
京葉エチレン
(丸善/三井/住友)
  768        
三井化学 提携   612 Prime Prime Prime  
出光興産   413 Prime Prime Prime  
住友化学   415 住友化学   住友化学  
川崎 東燃化学   540 日本PE 日本PE 日本PP  
日本ユニカー 日本ユニカー
新日本石油   443 日本PE 日本PE サンアロマー  
四日市 東ソー   527 東ソー 東ソー 日本PP
(チッソ)
東ソー
三菱化学   停止        
大阪 大阪石油化学
(三井化学)
  500     Prime カネカ(高砂)
水島 三菱化学   496 日本PE 日本PE 日本PP ヴィテック
山陽石化
(旭化成)
  504 旭化成 旭化成    
徳山 出光興産   688 東ソー   徳山PP 東ソー
トクヤマ
大分 昭和電工   691 日本PE 日本PE サンアロマー  

<p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p>

1980年代以降、日本の石油化学がよかったのは80年代後半のバブル時代と、2003年以降の中国バブル時代だけである。
前者は国内需要増で、後者は中国需要増でフル稼働が可能となり、後者では原料ナフサの大幅アップも転嫁でき、利益を上げた。
3度目のバブルは考えられないため、現状のままの姿で、今後儲かる時代が来ることは考え難い。

中国の需要が復活しても、中国や中東で建設中の大規模設備が完成し、競争力のない日本の企業に出番はないであろう。

輸出に期待できなくなり、国内需要のみが対象となれば、過剰能力のもとで過当競争が再燃し、値下げ競争となるのは必至である。需要家も事情は分かっているため、値下げを条件に引き取り量を増やすなど、攻勢に出よう。

「需要に合わせた生産を」との声があるが、いつまでも操業度を落とした生産を続け、赤字を続けることは出来ず、各社が歩調を合わせることなど出来ない。価格を下げてでも多く売り、操業度を上げたいとする企業が出てくる。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>エチレンの操業の面からも、誘導品の減産に限度がある。

当然、産構法のような合法カルテルはあれが最後であるし、価格や数量のカルテルは、レニエンシー制度のできた今はあり得ない。

このままでは、各社ともに赤字となり、それも回復の可能性のないものとなる。

ーーー

過去は、「他社も同じ」ということで、赤字を続けた時期があった。

今は Robert B. Reich が近著「Supercapitalism」で述べているように、株主を満足させない限り、企業はやっていけない。

「ガラバゴス鎖国」の日本の化学会社も、株主に関しては「フラットな世界」にあり、多くの海外株主を抱えている。

石油化学の赤字が続いた場合、石油化学の継続の意義の説明が出来なければ、海外株主は石油化学からの撤退を求めるか、それが行なわれない場合は持ち株を売却するであろう。

三菱ケミカルは7月の欧米での会社説明会で、「石油化学をなぜやっているのか」と聞かれたという。
赤字が続けば、「なぜ石油化学をやめないのか」と問われることとなる。

他方で医薬メーカーや信越化学のように高配当の企業がある中で、減配や無配になれば、国内投資家も持ち株の売却をするだろう。

大量の株式が売却されれば、企業の存続も危なくなる。

ーーー<p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p>

日本の石油化学業界はいよいよ、「ガラバゴス鎖国」体制の「終りの始まり」を迎える。迎えざるを得なくなった。

「需要に合わせた生産」ではなく、「国内需要に合わせた能力」とし、儲かる事業にする必要がある。

そのためには、多数のエチレンセンターを潰さない限り、問題は解決しない。
過去に行なわれた事業統合や、企業の合併は、エチレンセンターの廃棄に結びつかない限り、意味はないといえる。

例えば丸善石化の場合、旭硝子が京葉モノマーを、宇部興産がLDPEを止めようとしたが、エチレン操業に影響するとし、丸善とのJV(VCMは当初から)で操業を続けている。(たまたま中国バブルのために操業継続ができた)

9月7日の日本経済新聞記事で三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長が大胆な発言をしている。
「そういう意味で
は日本の石化コンビナートは歴史的使命をほぼ終えた。現在14カ所あるコンビナートは将来は2-3カ所あればいいのではないか。」

三菱化学の高下常務は12月9日の事業説明会後、記者団に対し、「旭化成と再編について検討している」と語った。
水島のいずれかのエチレン生産設備を停止してエチレンの相互供給を検討すると見られる。

エチレンセンターは「将来」ではなく、早急に整理する必要がある。
しかし、実際にはエチレンセンターの廃棄は非常に難しい問題を抱えている。

従来の個々のプラント閉鎖の場合は対象の従業員もそれほど多くはない。
エチレンセンターを止める場合、製造、補助部門、営業と一部の管理部門など、多数の従業員が関係する。
事業のほとんどがなくなる企業さえも出る。
非石油化学事業にこれらの全てを配転することはほとんどの企業で無理であり、人員整理が必要となる。

三菱化学と旭化成のように、配管でつながっている同一地区のセンター同士で提携するのは最も合理的だが、どちらを止めるかは、人員整理がからむ場合は非常に難しくなるであろう。

企業の合併は余剰人員の整理が前提とならなければ意味がない。

日本の化学産業が「ガラパゴス鎖国」体制を取らざるを得なかったのは、まさにこの点にある。
欧米の企業は簡単に人員整理を行なってリストラをすることが出来た。
日本の終身雇用体制が、企業が時代の変化に対応した体制を取るのを妨げてきた。

しかし、その体制を続けていけない。

過去にはアルミ精錬業界の例があった。
1978年に日本全体6社164万トンの能力があったが、第二次石油ショックで「電気の缶詰」といわれるアルミ精錬が日本でやっていけなくなり、79年に110万トン、82年に70万トン、86年に35万トンとなり、その後、日軽金の蒲原の1万トンを除き、全てが廃棄された。
http://f56.aaa.livedoor.jp/~knak/25/aluminium.htm

多数の従業員が解雇されたが、この場合は誰がみても日本での事業継続は不可能であり、人員整理は止むを得ないものであった。

しかし、今回の場合は日本の石油化学が全てやっていけなくなる訳ではないという点がアルミとと異なる点である。

輸出はなくなるが、国内の需要は残る。国内需要分に関しては、価格は国際価格に合わせる必要はあるものの、輸入品に取って代わられる可能性は少ない。

合成樹脂をとってみると、日本のメーカーは単にレジンを販売するというのではなく、需要家のニーズを満たす機能を果たしている。需要家のニーズに合ったグレードをつくり、技術サービスを行なっている。
また、カンバン方式の納入など、物流面でのサービスも強みである。
輸入品ではこれらの機能を満たすことは出来ない。

逆に、これまでは過当競争の結果、これらにかかる追加コストを上乗せすることが出来ていない。「国内需要に合わせた能力」になれば、これの求償も可能となり、「儲かる事業」とすることも不可能ではない。

撤退するのか、生き残りを賭けるのか、人員整理をどのようにやるのか、それぞれの企業にとって苦しい判断が求められるときが来た。

 


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三井化学は12月19日、来年4月1日付けで、100%子会社の共同モノマー(MMA製造)、同じく三井化学ポリウレタンを吸収合併すること、同社が53.39%出資する東セロを株式交換により完全子会社とすることを発表した。

1)共同モノマー

共同モノマーは直酸法MMAモノマーの製造会社で、1988年10月に三井東圧が設立、高石市(三井東圧大阪工場内)に40千トンのプラントの建設を決めたが(運転開始は1991年)、1989年6月に協和ガス化学が参加、50/50JVとなった。

協和ガス化学は1989年10月にクラレに吸収合併された。

三井東圧は茂原にACH法プラント(15.7千トン)を持っていたが、1996年9月に停止した。
協和ガス化学(→クラレ)は中条にACH法プラントを持っている。(現在 67千トン)

20057、三井化学とクラレは共同モノマーの合弁を解消し、同社のクラレ持分全株式を三井化学が譲り受けることに合意したと発表した。同年9月末に三井化学の100%子会社となった。

今回、これを吸収合併するもの。

日本のMMA業界については 2006/4/13  MMA事業の拡大

ーーー

2)三井化学ポリウレタン

三井化学と武田薬品工業は2000年9月、両者のウレタン及びその誘導品、複合材料等に係わる事業を統合することで合意、三井化学 51%、武田薬品工業 49%で三井武田ケミカルを設立した。
これに先立ち2000年6月末に、武田薬品はBASFジャパンとの50/50の武田バーディシェウレタン工業の合弁契約を解消した。

これは武田薬品の武田國男会長が、医療用医薬品に経営資源を集中して、医薬主体の『研究開発型国際企業』として世界競争を勝ち抜こうとして行った抜本的改革の一環であり、当初から、営業開始5年後には、合弁会社の武田薬品持分全株式を三井化学が取得する予定が決まっていた。

新会社の能力は、TDI 175千トン、MDI 60千トン、PPG 135千トン、ウレタン樹脂 30千トン、複合材料 70千トン、有機酸 40千トンであった。

設立当初の契約に従い、2006年4月1日に、三井化学が武田薬品持分全株式(株式総数の49%)を取得して同社を100%子会社とし、「三井化学ポリウレタン」と改称した。

三井化学は平成20 年度中期経営計画において機能材料事業本部の基本戦略に「機能性ポリマーズの拡大」を掲げており、機能性ポリマーズの一つであるポリウレタン事業をコア事業と位置付けている。

市場拡大が継続するポリウレタン事業の競争力を強化するため、迅速かつ集中的な経営資源の投入による事業規模の拡大とグループシナジー効果の最大化を図ることを目的として、三井化学ポリウレタン株式会社を吸収合併することとした。

ーーー

3)東セロ子会社化

東セロは1929年にセロハンの製造販売のため、東京セロファン紙㈱として設立された。

1961年にビニロンフィルム、64年に無延伸PPフィルム、70年にフィルムのコート加工、71年に延伸PPフィルムの製造を開始した。

1971年の増資で三井石油化学が筆頭株主となった。(現在、三井化学が53.39%出資)
1993年に東セロと改称。

現在、国内食品包装向けを主とする包装用フィルム事業とシリコーンコートフィルムや耐熱離型フィルムを中心とする産業用フィルム事業を車の両輪と位置づ けている。

三井化学の機能材料事業本部では、機能フィルム・シート事業を成長の核として、樹脂事業から一貫で同事業の強化拡大を図っている。

東セロを完全子会社化することで、1)樹脂からフィルムまで一貫した体制による製品開発力・コスト競争力強化、2) 迅速な意思決定と経営戦略の共有による柔軟かつ効率的な経営の実施、3) 東セロを中心としたグループ内フィルム・シート事業のシナジー最大化による事業強化拡大を図る。

東セロの株式は来年3月26日に上場廃止となる。

参考

三菱ケミカルホールディングスは2007年2月、機能材料事業の再編に関して発表した。

三菱化学が52.61%を保有する三菱樹脂をTOBを行って100%取得した上で、三菱ケミカルホールディングスに移管し、2008年4月1日付けで、同社、三菱化学ポリエステルフィルム、三菱化学産資、三菱化学エムケーブイ及び三菱化学の機能材料分野の事業も含めて、三菱ケミカルホールディングスの全額出資子会社として再編・統合する。

2007/2/12 三菱ケミカルホールディングス、機能材料事業を再編

 


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宇部興産は12月18日、タイのPTTとの間で、カプロラクタム、合成ゴムなど化学事業についてタイにおける共同事業化を検討する覚書を締結したと発表した。

豊富な化学原料を持ち、川下製品への進出によりチェーンの強化を図っているPTTと、原料の確実な確保とタイでのさらなる事業拡大を行いたい宇部興産のニーズが一致したもので、宇部興産が既にタイに拠点を持つカプロラクタム・ナイロン・合成ゴムに限らず、幅広い化学事業を対象としてタイでの事業化の検討を行う。

宇部興産のタイでの事業は以下の通り。

事業 カプロラクタム ナイロン 合成ゴム ファインケミカル
社名 Thai Caprolactam UBE Nylon (Thailand) Thai Synthetic Rubbers UBE Fine Chemicals (Asia)
出資 宇部 91%、
丸紅 7%、その他 2%
宇部 100% 宇部 73.1%、
台湾(台湾合成ゴム)13%、
丸紅 13%、その他 0.9%
宇部 100%
能力 カプロラクタム:110千トン
硫安:460千トン
ナイロン6:25千トン
(50千トン増設決定)
ポリブタジエン:72千トン 1,6へキサンジオール:6千トン
(1,5ペンタンジオール含む)

   他に、UBE Technical Center (Asia)〔UBE Nylon (Thailand) 100%〕

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>宇部はこの10年間ほど、原料のシクロヘキサンやブタジエンをPTTから供給を受けている。


宇部興産はカプロラクタムとナイロン樹脂は日本・タイ・スペインの三極体制で生産、世界のビッグ3に数えられてる。

2006/5/18  ナイロンと原料カプロラクタム業界

ーーー

PTTは、1978年にタイ工業省傘下に設立された政府全額出資の国営企業を前身とし、2001年に上場、現在の社名となった。

タイにおける最大の民間会社で、天然ガス・石油関連を主なビジネスとし、天然ガス開発(PTT Exploration and Production Public Co., Ltd.)、芳香族系石油化学及び石油精製(PTT Aromatics and Refining Public Co., Ltd.)、オレフィン系石油化学(PTT Chemical Public Co., Ltd.)などの事業を、関連会社を通じて展開している。

タイの石油化学は、PTTグループ、サイアムセメントグループと、TPI グループがあったが、2006年にTPIの創始者が追放された。
TPI は社名を
IRPC Public Company と改称、PTTが31.5% を所有し、関係会社としている。
(宇部興産の
Thai Caprolactam は当初、TPI グループに属していた。)

この結果、タイの石油化学業界はPTTとサイアムセメントグループの二大勢力に分かれる。

2006/6/8 タイの石油化学の現状

2006/10/6 タイで年産100万トンエチレン建設

 

同社のオレフィン系石油化学は以下の各社から成る。

1)PTT Chemical Public Company Limited (PTTCH)
   
2005年にオレフィンメーカーのNPCとTOCが合併
   
オレフィン、HDPE
   100%子会社のPTTPEがエチレン100万トン、LDPE40万トン(
メタロセン触媒)を建設中。

2) IRPC Public Company Limited
   旧TPI
   PTTが31.5%保有
   オレフィン、芳香族、HDPE、PP、ABS、EPS、PS、石油製品

3) HMC Polymers Company Limited
   Basell とのJV
   PP

4) PTT Phenol Company Limited

5) PTT Asahi Chemical Company Limited
   旭化成とのJV
   AN、MMA (2010年スタート)

2006/4/13  MMA事業の拡大

6) その他

三菱化学は、2008331日にタイの全額出資子会社のHMT Polystyrene を解散することを発表した。
HMT社は、PS 2系列合計9万トンの生産能力を有している。

PTTPEの子会社 Thai Styrenics Co., Ltd. がこの製造設備を買収した。

芳香族系石油化学及び石油精製PTT Aromatics and Refining Public Co., Ltd.Aromatics (Thailand) Public Company Rayong Refinery Public Company が統合したもの。
芳香族系製品の能力は
1189千トンとなっている。


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合成樹脂の国内の需要は11月中旬以降一段と縮小している。
自動車とデジタル家電の2大需要分野及び日用雑貨やパレット・コンテナーの加工企業からの受注が縮小しているという。

各樹脂の国内出荷は大幅に下落した。特にPPの下落幅が大きい。

輸出も本年に入り減っているが、特にPPとPVCの輸出の減が大きい。

この結果、モノマーの生産量も減少している。

11月のエチレンの生産量は前月比1.1%増の535,900トンで前年同月比では17.8%のマイナスとなった。
定修プラントはなく、稼動プラントの平均稼働率は80.6%で、1996年の調査開始以来の最低水準となった。

ーーー

米国でもエチレンの休止が相次いでいる。

米国のエチレン能力は2860万トンだが、このうち、690万トンが秋以降停止している。
このうち
ExxonMobil DuPont のテキサス工場は9月のハリケーン襲来で停止し、その後再開していない。

このほか、減産プラントも多い。Dowはテキサス工場の2系列を40%以下にまで落とすと発表している。

  立地  能力 トン 発表 停止期間
Westlake Chemical Lake Charles, Louisiana  544,000 12/17  
Chevron Phillips Chemical Port Arthur, Texas  803,000 12/15 2ヶ月停止
Sweeny 22, Texas  295,000 11/21 期間未定
Flint Hills Resources Port Arthur, Texas  621,000 12/1 期間未定
Odessa, TX  348,000 11/6 2009年上半期中
Chevron Phillips Chemical Cedar Bayou, Texas  803,000 12/1 定修、30日以上
Formosa Point Comfort I, Texas  680,000   定修終了後もそのまま
Equistar La Porte, Texas  789,000 10/31 23ヶ月
Chocolate Bayou,Texas  544,000 12/18 需要回復まで停止
ExxonMobil Beaumont, Texas  826,000 9月のハリケーンで停止、再開未定
DuPont Orange, Texas  680,000 同上
(小計)   ( 6,933,000)  
Dow Freeport, Texas  1,600,000 12/4 操業度40%以下に

 


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米国の石油会社 Sunoco は12月15日にアナリスト説明会を開催したが、その中で、能力で北米3位のPP、北米1位のフェノールを含む化学品部門の売却を考えていることを明らかにした。

http://library.corporate-ir.net/library/99/994/99437/items/318512/8396E9FB-DBFC-4B97-9232-E78749AA1C0B_121508.pdf

化学品部門についての説明は以下の通り。

・利益は計上しているが、投資に見合った目標利益率は達成していない。

・世界経済の悪化で今後の市場見通しは明るくない。
・事業売却を積極的に進めていく。リーズナブルな価額で売却できれば実行する。

ーーー

同社は1886年に設立され、その後買収を通じ、事業を拡大してきた。

化学品部門:

2001年に三菱商事からAristech Chemical を買収した。

Aristech Chemical 化学品(フェノール、アセトン他)、ポリマー製品(ポリプロピレン他)の製造販売を行っていた。

1989年にHuntsmanAristech の買収を計画した。Aristech はこれを拒否、一時は住友化学にもPPを分離してJVにする 提案もしたが、1990年に三菱商事が買収提案を行い、Huntsmanが買収を諦めたため、三菱商事による買収が確定した。買収額は850百万$だが借入金の 引継ぎなどをいれると10億$以上となるといわれた。

当初同社には三菱化成、三菱油化、三菱瓦斯化学、三菱レ-ヨンが各4.48%出資して三菱グループ総力を挙げて取り組む姿勢を見せたが、その後、 三菱商事100%となった。

三菱商事は石油化学品事業の戦略において、北米の橋頭堡として位置づけてきたが、原料価格の上昇を製品価格に転化しきれず、採算が 大幅に悪化し、売却した。

2003年にEquistar Lyondell 子会社)からBayport 18万トンのPP設備を買収した。同立地のLDPEEquistar に残したが、操業はSunoco が受託する。
PP原料のプロピレンはEquistar が長期契約で供給する。

2004年に無水フタル酸、オキソ、エステル、2-エチルヘキサノールなどの可塑剤事業をBASFに売却した。

ーーー

現在の化学品事業の内容は以下の通り。

  能力
Polypropylene  1,150千トン
Phenol   930千トン
Acetone   580千トン
BPA    98千トン
Nonene    73千トン
Alpha-methylstyrene    55千トン
Propylene Tetramer    41千トン
Orthoxylene    27千トン
Toluene / Xylene  277百万ガロン
Benzene  111百万ガロン
Cyclohexane   46百万ガロン

同社によれば、PPでは北米で第3位、フェノールでは第1位となっている。

北米の能力(単位:10億ポンド:同社推定) 
             
PP     フェノール      
  Lyondell 3.2     Sunoco 1.8
  ExxonMobile 2.7     Shell 1.3
  Sunoco 2.5     Ineos 1.3
  Total 2.5     Mount Vernon   0.7 (Sabic/Citgo/JLM)
  Ineos 2.3     Dow/Carbide 0.6
  Formosa 1.8     Georgia Gulf 0.5
  Dow 0.9     Others 0.2
  Others 5.1        
             
  合計 21.0     合計 6.4

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OPECは12月17日、アルジェリアのOranで臨時総会を開き、過去最大級となる日量220 万バレルを来年1月1日から減産することで合意した。

OPECは11月から150万バレルの減産を実施。9月にも52万バレルの実質減産を発表しており、累計の減産量は420万バレルとOPEC非加盟国も含めた世界全体の生産量の約5%に達する。

OPEC発表では「11カ国の9月の生産量 2,904.5万バレルから420万バレルカット」のみとなっている。
しかし、海外を含め各紙が「
9,11月に200万バレル、今回220万バレル」としており、会見で説明したと思われる。

9月の生産量 2,904.5万バレルからの420万バレルカットで、生産目標は2,484.5万バレルとなる。

なお、OPEC生産枠推移は以下の通りIraq を除く)で、11月末の生産枠から220万バレルを引くと2,510万バレルとなり、上記と差がある。  (今回の総会の決議は2009年1月17日に発表される)

  2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 増減
Algeria 794 1,357 1,357 1,357    1,286    -71
Indonesia 1,370 865 865          離  脱
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817    3,618   -199
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531    2,399   -132
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712    1,623    -89
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163    2,050   -113
Qatar 663 828 828 828     785    -43
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943    8,477   -466
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567    2,433   -134
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470    2,341   -129
Angola     ー     ー 1,900 1,900    1,801    -99
Equador     ー     ー 520 520     493    -27
Total 25,800 27,253 29,673 28,808   27,300  -1,500
(増減) (-500) (1,450) 2,420 -865〕   (-1,500)  

注 20089月総会では枠は据え置き(インドネシア離脱での減のみ)で、
   日量約52万バレルの実質的な減産を決めた。

臨時総会に参加したロシアは、日量32万バレルの協調減産に応じる用意があると表明。アゼルバイジャンも30万バレル前後の減産を示唆した。

世界の原油生産に占めるOPECの割合は約43%。約13%のロシアと合わせるとシェアは55%を超える。

サウジアラビアのアブドラ国王は11月末、原油価格は75ドル/バレルが適正だと述べていた。

次回の通常総会は2009年3月15日にウイーンで開催される。

ーーー

しかしながら、17日のニューヨーク原油先物市場でWTI原油の終値は前日比3.54ドル下落し、40.06ドル/バレルとなった。
OPECやロシアの減産発表はあったが、下落基調を支えられなかった。
一時は39.88ドルまで下落し、期近物として2004年7月以来の安値を付けた。


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米国のPVCメーカーGeorgia Gulf 128日、カナダの Sarnia 工場を閉鎖すると発表した。
同社の4つのPVC工場(合計能力164万トン)の一つで、能力は205千トン、昨年からスイングプラントとして時々操業するという状況であったが、需要不振のため、永久停止に踏み切った。

米国のPVC需要は2006年からの住宅着工件数下落を受け、同年後半から減少が始まり、本年に入り激減している。



<p><p>HTML clipboard</p></p>

米商務省が16日発表した11月の住宅着工件数は、季節調整済みの年率換算で625千戸となり、5ヶ月連続の減少で、1959年の統計開始以来の過去最低水準を更新した。

先行指数の許可件数は前月比15.6%減となっており、まだ底を打っていない。

既報の通り、Shintechはずっと以前に輸出用の荷造設備を作っていたため、内需の減を輸出でカバーし、大きな減益にはなっていないが、他社は設備を持たず、輸出が出来ない状況にあった。

Georgia Gulf は今年になってようやく輸出を開始、上期は全体の20%を輸出したが、下期に入り輸出市場も激減したとしている。

また、本年央からの国内及び輸出の値下がりは著しい。

Plattsによると、米国のPVC市況は10-12月の3ヶ月で40-44セント/kgの値下がりで、限界利益がほぼゼロとなり、多くのメーカーが減産している。
Formosa Plasticsでは「赤字で工場を動かす意味がない」として、需要減のなかで
<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>ヤケクソ気味に1月の11セントの値上げを発表した。

今後も設備廃棄の動きが出てくると思われる。

ーーー

Georgia Gulf 1985年に製紙・製材業大手のGeorgia-Pacific からPVC関連とキュメン関連の事業を買収してスタートした。<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>

Georgia-Pacific は建材事業拡大のため、1975年にPVC生産を始めたが、PVC成形品はコスト高で木製品と競合できなかった。

その後、景気悪化でPVCの販売が減少、売却した。

同社は1998年に軟質コンパウンドのメーカーのNorth American Plastics を買収した。
更に
1999年、ドイツのRWEから塩ビメーカーのCondea Vista を買収した。
(Condea Vista はConocoのPVC部門がスタートで、その後、DuPontが、更にVistaが買収し、RWEが手に入れたもの)

逆に1996年にデラウエア州のペースト工場を鐘淵化学に売却している。
(その後、この鐘化デラウエア社は、
安定的収益確保が困難として2003年に解散)

2006年にはカナダに本社を置く塩ビ建材大手のRoyal Group Technologies を買収し、川下に進出した。

取得した事業は以下の通り。

 PVC:Sarnia, Ontario PVCプラント(205千トン)
 PVCコンパウンド:545千トン
 添加剤:74千トン
 窓枠・ドア材
 建材:サイディング、パイプ・継手、デッキ・フェンス、物置

これにより、同社の製品体系は以下の通りとなった。

 

能力推移(年末能力、千トン)

  2005   2006   2007
既存 Vista NAP 合計   既存 Royal 合計
VCM  715  695    1,410        1,410    1,410
PVC  530   695    1,225    1,205  205  1,410    1,635
Compound  215  135   85   435     455  545  1,000     680
Caustic Soda  500       500     500     500     500
Chlorine  450       450     450     450     450
添加剤               74    74      74
Phenol  300       300     300     300     300
Acetone  185       185     185     185     185
Cumene  818       818     818     818     818

 注 PVCのうち、今回停止のSarniaを含め、430千トンが休止中。
    Acetoneのうち73千トン、Cumeneのうち45千トン(いずれもPasadena, TX)は休止中

同社の2007年決算は以下の通り。(百万ドル)

  Net sales Operating
income
Chlorovinyls  1,409.1    52.1
Window and door profiles and mouldings   508.0   -54.5
Outdoor building products   573.3   -50.9
Aromatics   666.9    10.5
全社     -40.9
合計  3,157.3   -83.7


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