「no」と一致するもの

2008年6月3日に「中東のアルミ事業」を書いたが、サウジの2件の新しいアルミ計画が明らかになった。

  出資者 内容 予算  
Sino-Saudi Jazan Aluminum
(Jazan Economic City)
Chalco(China)40%
MMC(Malaysia)20%
Binladen Group20%
Other Saudi investors20%
アルミ 100万トン $3 billion 2007/11 契約締結
2008/4Q 着工
Chalco(China)20%
MMC(Malaysia)50%
電力 1,860MW $2 billion
(King Abdullah Economic City) Emal International
(Dubai Aluminium/
Mubadala Development
)
アルミ 70万トン
発電
$5 billion 2008/1 契約

 

1.Sino-Saudi Jazan Aluminum

Aluminum Corporation of China Limited (Chalco) 2007年11月、マレーシアのMMC International Holdings、サウジのBinladin Group との間で、サウジでアルミ精錬工場を建設する基本契約を締結した。

立地はSaudi Arabian General Investment Authorityがサウジの南西端のYemen との国境近くにある紅海沿岸のJazan (中心都市はJizan)に建設中のJazan Economic Cityである。

出資はChalco(China)40%MMC(Malaysia) 20%サウジのBinladen Group20%サウジの投資家が残り20%となっている。
能力は100万トンで、予算は30億ドル、2008年第4四半期に着工する予定。
Chalco が技術供与を行い、原料アルミナを供給する。
Saudi Arabia General Investment Authorityが支援を行なう。

Chalco (Aluminum Corporation of China) はアルコアと共同でRio Tinto に出資している。

   2008/2/8 中国アルミとアルコア、Rio Tinto に出資 

MMC International Holdings はマレーシアの投資会社で、輸送、エネルギー、建設等を中心としている。

Saudi Binladen Group はサウジ最大の建設業者で、モスク、空港、道路、電力、通信等の大型公共工事及びそのメンテナンス分野を得意としている。サウド王家と特別な関係を保っている。

Usama Binladin はグループ創始者の Sheikh Mohammed Binladen の息子の一人。
(一族はUsama を破門し、サウジ政府も国籍を剥奪している)

発電所(1,860MW)も同時に建設される。
これには MMC 50%を出資、Chalco 20%を出資する。予算は20億ドル。

Jazan Economic City Master Plan

2.Emal International

Dubai Aluminium Company (Dubal) Abu Dhabi Mubadala Development JVEmal International はサウジで建設中のKing Abdullah Economic City にアルミ精錬工場を建設する。

Dubal Dubai政府100%所有で、Abu Dhabi 政府 100%所有のMubadala Development と組んでAbu Dhabi Emirates Aluminium を建設しており、AlgeriaでもBeni Saf aluminium smelter を建設中。

2008年6月3日 「中東のアルミ事業」 

Emal International 本年1月に、King Abdullah Economic City 建設のために設立されたEmaar the Economic City との間で契約を締結し、Saudi Arabian General Investment Authority の承認を受けた。

投資額は50億ドルで、能力は70万トン、所要の発電も行なう。

ーーー

King Abdullah Economic City 建設計画は2005年に発表されたもので、Rabighの南の紅海沿岸 35kmに渡って、港湾、 Industrial ZoneCentral Business DistrictEducational ZoneResort DistrictResidential Communities からなる50万人都市を新たに建設し、PetroRabigh 計画と並んで、サウディ西岸の産業振興・経済活性化の牽引役にしようというもの。

Saudi Arabian General Investment Authority が開発を統括し、ドバイの大手ディベロッパーEmaarが企画を担当、Emaar社と地元資本とのJ/V Emaar the Economic City 開発主体となる。

総投資額は
SR130 billion (350億ドル)を超える。

Industrial Zone の中心がEMALによるアルミ精錬と、フランスのTotal と現地資本の潤滑油JV Saudi Total Lubricants Company (Satlub) となる。

King Abdullah Economic City Master Plan

 


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Dow Chemical 10日、タイのSiam Cement Group (SCG)とのJVSCG-Dow Group がタイでPO工場の建設に着手したと発表した。

Dow BASF が共同開発した過酸化水素法PO(HPPO)で、能力は39万トン、Map Ta Phut 近郊のAsia Industrial Estates に建設する。
PGプラントも同時に建設し、2011年に生産開始の予定。

原料過酸化水素については2007年7月にDow SolvayJVの設立で合意している。
能力は
330千トン(100%ベース)で、Asia Industrial Estates に建設する。

    2007/8/3 Dow Solvay、タイにHPPO用の過酸化水素製造のJV設立
     

Solvayはタイの子会社、Peroxythai Ltdにもここから過酸化水素を供給する。

PeroxyThai 1989年にSolvay が設立した。Rayong に過酸化水素工場(能力2万トン)を持ち、主にパルプ、製紙用に供給、4割を輸出している。

HPPO 用の原料プロピレンについては、 Dow Siam Cement Group が建設を発表したRayong の新しいナフサクラッカーから供給する。
11億ドルを投じてを建設するもので、能力はエチレン90万トン、プロピレン80万トン。OCT(Olefins Conversion Technology) で大量のプロピレンを製造する。Siam 67%Dow 33%出資し、2010年稼動を目指している。

    2006/10/24 ダウ、アジア進出を促進 

2007年7月のDow/Solvay の過酸化水素JV発表時には、POは、アントワープでのDow/BASF JVによるHPPO計画に続くものとして、Dow BASF で交渉が進められていた。

今回、何故BASFが降りて、代わりにDowがエチレンで提携している現地のSiam Cement となったのかは、明らかにされていない。

ーーー

過酸化水素法POはBASFが1995年頃から研究してきたもので、副産物がなく、最終製品であるPOと水しか発生しないこと、プラントの設置面積が小さく、必要インフラストラクチャが少ないことが特徴とされている。

Dowは2001年にエニケムとの間でポリウレタン事業とポリメリ(UCC/エニケムのPEのJV)持分を交換した際にこの技術を取得しており、DowBASFは2002年8月に共同開発を決めた。

BASFは過酸化水素製造のため、Solvay と提携している。

2006年3月、DowBASFは合弁でアントワープに過酸化水素法POプラントを建設すると発表した。
能力は30万トンで、2008年初めのスタートを目指した。

両社は2006年2月に製造JV契約を締結、共同開発した技術に50/50の権利を有し、それぞれが生産量の半分を引き取る。

過酸化水素はSolvay技術による単一ラインとしては世界最大の23万トンプラント。 Solvay BASF JVを設立し、このJVDowがファイナンスのためのパートナーシップを設立した。

    2006/3/24 ダウとBASF、POを新製法で生産 

Dow BASF はアジアを含む他の地域でも共同でこの事業を行ないたいとしていた。 


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日本水泳連盟は10日、東京都内で常務理事会を開き、8月の北京五輪で競泳日本代表選手が、SPEEDO社製水着LZR RACERを含め着用水着を自由に決められることを正式に決定した。

ミズノもその後、北島選手などの契約選手に他社の水着着用を認めた。

水連はこれまで、選手が五輪や世界選手権等主要大会で着用できる水着を、サプライヤー契約(2017年までの12年契約)を結ぶ国内メーカーのミズノ、デサント、アシックスの3社製品に限定していた。
しかし2月のLZR RACER発表以降、世界中で多くの着用選手が軒並みベストタイムを短縮するなど、これまでの常識を覆す性能の高さを示した。(今回の北島選手を含め、2月以降の世界記録19のうち、LZR RACER着用は18

    2008/5/17 競泳用水着の闘い

水連はミズノ、デサント、アシックスに対して水着の改良を求めていたが、5月30日、3社から改良水着の説明を受けた。

ミズノは従来と比べて2~4倍締め付ける素材を使った。東レとの共同開発素材。
山本化学工業の素材は、デサントとアシックスが部分的に使用したタイプをつくった。

6月6日からのジャパン・オープンで、SPEEDO 社製も含めて代表選手が試し、着用水着の結論を出すこととなった。

ジャパン・オープンでは3日間で 17の日本新が出た。
このうち
LZR RACERを着用した選手が16個をマーク。男子200m平泳ぎで北島康介選手がLZR RACERを着用して 2分7秒51の世界新記録をマークした。
LZR RACER以外の日本記録は古賀淳也選手がミズノ社製の従来品で男子50メートル背泳ぎ予選で達成した1個のみ。
(但し、同決勝では
LZR RACERを着用した宮下純一選手がこれを上回る記録を出した)

この結果を受け、日本水連は8日、日本代表が北京五輪で着用する水着について、英SPEEDO 社を含むすべてのメーカーの製品を選べるようにする方針を決めた。ミズノ、デサント、アシックスの国内3社からも同意を得た。

ーーー

ミズノにとって大きな誤算となった。

同社は1965年にSPEEDO社とライセンス契約を結び、日本における同社ブランド製品の製造・販売のみならず、同ブランドグループ全体における最先端技術の開発の役割も担ってきた。

2000年のシドニー五輪ではミズノがSPEEDO社の協力を得て完成させたサメ肌水着 SPEEDO Fastskin を、出場選手1,677人の6割にあたる1,006人(138カ国)が着用、メダルは、151個のうちの100個を獲得した。

採用した素材は東レと共同開発の「アクアブレード」で、表面にサメ肌状の微小な凹凸が刻まれた。

しかし2006年、ミズノは創業100周年を機に、「全商品のブランドを“MIZUNO”に統一する」方針を決定した。
これに基づき、まだ期間が残っていたライセンス契約を、2007年5月31日付で打ち切った。

同社の決算では特別損失に「ライセンス契約解除に伴う費用」としてこのライセンス契約の早期解除に伴う諸費用が計上されている。
2007/3月期に 327百万円が計上されたが、2008/3月期にも更に 252百万円が計上されている。合計では579百万円にもなる。

ミズノの契約解除に伴い、三井物産がSPEEDO社とのライセンス契約を締結し、主要商品カテゴリーの開発・製造・販売を担当するパートナーとして、ゴールドウインとサブライセンス契約を結んだ。2008年春夏シーズンから日本での製品販売を開始した。

ゴールドウインは1951年に富山県西部の小矢部市で、津沢莫大小(メリヤス)製造所としてスタート、翌年、「今日のスポーツ産業の隆盛を先取りし」、一般メリヤスメーカーから、スポーツウエア専業メーカーへと転身、1963年にゴールドウインと改称した。

北島康介選手は2004年1月、ミズノとの間でSPEEDOブランドのアドバイザリー契約を結んだ。SPEEDOのスポーツウエア、水着、ゴーグル、タオル、スイミングキャップ等を使用するほか、ミズノ商品開発へのアドバイス、JOC契約に基づく肖像権の使用及びイベントへの参加なども含まれている。

当初は2004年の1年間であったが、延長して、2005年~2008年の長期契約としている。

ミズノのSPEEDO社との契約打ち切りに伴い、SPEEDOブランドの水着を使っていた北島康介選手らの契約は、ミズノに引き継がれた。

このため、日本水連がすべてのメーカーの製品を選べるようにする方針を決めても、北島選手は契約上、ミズノの水着しか使用できないこととなる。(ジャパン・オープンではミズノは、テストとして、LZR RACER着用を認めた。)

ミズノは当初、自社水着の改良と選手の忠誠心に期待を寄せていたが、水連決定を受け、他の水着の着用を認めた。違約金の発生もないと明言した。

北島選手はそもそもSPEEDOブランドのアドバイザリー契約をミズノと締結しており、ミズノのSPEEDO 離脱時になんらかの条件を付けておれば問題にならずに済んだかも分からない。(当然契約は修正している筈だが、内容は分からない)

また、契約時には想定外であったLZR RACER 出現ということで、北島選手がLZR RACER を着用しても、「法的には」契約違反にならないかも分からない。

いずれにせよ、仮に、ミズノが契約を盾に着用を認めなかったり、違約金を取ったりすれば、同社に対する批判が強まり、同社にとって大きなマイナスとなる。

本年2月に発表された LZR RACER 3年あまりをかけて開発されたといわれており、2006年末のミズノによる契約打ち切り発表時には、当然 LZR RACER の開発の情報は入っていたと思われる。

それなのにミズノが違約金を払ってまで中途解約したのには、ミズノ側に、これが国際水連に認められないとの判断があったのではないかと噂されている。

国際水泳連盟には「競技中に速さや浮力、持久力の向上につながる道具を身につけてはいけない」という規則があり、LZR RACER はこれに抵触する可能性がある。

しかしLZR RACER 問題にならず、許可された。(山本化学の材料を使用したニュージーランド製水着も同様)
浮力に関する明確な数値規定はなく、国際水連役員の裁量で決まる。

当然政治力も影響する。これまでも五輪では日本選手に不利なルール改正が何度も行なわれてきた。もし、
LZR RACER をミズノが出しておれば、許可されなかったことも考えられる。

 

ミズノは本年4月、表面にジェル加工を施すことで水になじむ親水素材を開発し、さらなる低抵抗を追求した新水着「WATER GENE」を発表した。

従来は生地が水をはじく撥水加工により低抵抗を追求したが、全く発想を変え、『水との融合による低抵抗』を素材の開発コンセプトとし、カジキ(marlin) をヒントに低抵抗素材 Marlin Compを開発した。
Marlin Comp HD(高密度素材)はポリエステル70%、ポリウレタン 30%、同HS(高ストレッチ素材)はポリエステル 80%、ポリウレタン 20%となっている。

しかし、結果はLZR RACERに全く敵わなかった。

ーーー

山本化学工業の素材は、デサントとアシックスの水着に部分的に使用された。

山本化学は、アシックスとデサントの2社に意見や提案を聞いてもらえない、素材を全身に使用した水着(ニュージーランド製)を試してほしいが、どの選手が試着を希望しているか情報がもらえないとの不満を表明している。

同社の水着が全く試されないまま、LZR RACER に決まってしまうのは残念な気がする。

 

付記  北島選手は11日、ホームページで、北京でのLZR RACER 着用を明らかにした。

今回の水着問題は水泳界だけではなく、報道を通じて、全国的な注目を集めていますが、今日、僕なりの答えをだしました。
北京オリンピックではspeedoの水着を着用しようと思います。
(中略)

先日の記録更新という結果を冷静に受け止め、応援してくださる皆さんに、最高のパフォーマンスを見ていただくために、現段階での最善の選択をしたいと思います。 (中略)

水着は、もちろん競泳にとって、勝負に関わる大切なものであることには違いありません。
でも、泳ぐのはやはり選手です。
とにかく北京では、世界の代表選手たちと勝負して、結果を出したいと思っています。
そしてその経験で、今後のミズノの水着開発に少しでも役立ちたいと思っています。
(後略)


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BASF Plant Science 5月27日、台湾の最高学術研究機関中央研究院(Academia Sinica) との間で協力契約を締結した。
コメやトウモロコシのような主要作物の収穫量を増大し、環境ストレス耐性を改善する遺伝子発見が主要テーマとなる。

中央研究院がコメの遺伝子の機能分析を行い、BASFが中央研究院の基礎資料のなかから、収量が高く、ストレス耐性がよいものの選択を行なう。
当初の協力期間は2年で、収量の高い、いくつかの遺伝子組み換え作物を市場に出したいとしている。

BASF Plant Science にとって、今回の契約は韓国、中国に次ぐ、8ヶ月で3回目の協力契約である。
同社はアジア地区での事業を狙っており、各国の研究機関を高く評価している。

BASF は、収量増大が現在の農業研究で中心の目標としている。
中国のような国で生活水準の向上で肉の消費は過去
20年で300%増大しており、それに伴い、飼料の需要が増大している。同時に都市化によってアジアの耕作面積が減少している、と指摘している。

ーーー

BASF Plant Science は昨年10月、韓国のCrop Functional Genomics Center (CFGC) との間でR&D契約を締結した。

Crop Functional Genomics Center は韓国の科学技術部(Ministry of Science and Technology)がThe 21C frontier R &D program という計画の下で行なっているコンソーシアム形式の研究組織で、全国の大学、研究機関、企業の研究をサポートするバーチャルな研究所。

予算は年間10 百万ドルで、主にイネ、ダイズ、唐辛子の3種類の植物の機能ゲノム研究を行う。
研究内容、
Crop functional genomics :ゲノム構造、遺伝子探索、②Development of Transgenic Crops:有用植物への遺伝子導入技術の推進、有用形質の付与、③Molecular Breeding :分子マーカー(形質マーカー)の探索とそれらを用いた有用形質の獲得である。

契約内容は研究協力とライセンスで、40の著名研究機関の200人の研究員の10年間の発見を含む。

狙いはコメやトウモロコシのような主要作物の収量増大、環境ストレス耐性改善で、分担は上記台湾のケースと同じ。
CFGC は重要な作物について韓国以外での独占ライセンス権をBASFに与える。

ーーー

BASF Plant Science は本年1月、北京生命科学研究所(National Institute of Biological Sciences, Beijing NIBS) との間で協力・ライセンス契約を締結した。

トウモロコシ、大豆、コメのような作物の収量増加を狙うもの。

NIBS は2003年に政府の科学技術の開発戦略の一環として、ライフサイエンスの基礎研究の基地として設立された。

NIBS は作物の収量増加を示す遺伝子を見出している。同所で更にその機能の分析を進めた後、BASFに回す。

契約ではNIBS 発見された遺伝子を組み込んだ作物を開発・販売する独占権(中国以外)をBASFに与える。

 


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インドネシア最大の石化会社 PT Chandra Asri は同国のPPメーカー Tri Polyta の株式の 75.95% を取得する。
Chandra Asri の大株主のBarito group の総帥 彭雲鵬 (Prajogo Pangestu) が所有する Tri Polyta 株式のうち、5%を除き、Chandra Asri に譲渡する。残りは創業者一族が所有している。

Tri Polyta は1988年に設立され、1992年にPPの生産を開始した。現在の能力は36万トン。原料プロピレンはChandra Asri から購入している。

Tri Polyta 1996年8月に日本触媒、トーメンと45/50/5%出資のアクリル酸製造のJV PT Nisshoku Tripolyta Acrylindo を設立した。
2000年8月にトリポリタの所有する全持ち株を日本側が買い上げ、出資比率が日本触媒93.8%、トーメン6.2%となり、2001年1月には社名をNippon Shokubai Indonesia に改称した。

 

Chandra Asri の能力はエチレン 520千トン(現状は実質590千トン)、プロピレン 270千トン、LLDPE/HDPE 240千トン、HDPE 100千トン。

Chandra Asri は昨年、豊田通商からインドネシアのスチレンモノマー製造・販売子会社 PT.Styrindo Mono Indonesia の全株式を買収した。Styrindo Mono の原料エチレンはChandra Asri が供給している。

    
2007/3/31  ニュースのその後 Styrindo Mono Indonesia 

Chandra Asri は最近、2億ドルを投じてブタジェン工場を建設することを明らかにしている。能力は10万トンで、2011年上期の稼動を目指す。

ーーー
Chandra Asri
はスハルト元大統領の次男のバンバンのビマンタラ・グループ、合板王と呼ばれる彭雲鵬が率いるPT Barito Pacific林紹良が率いるサリム・グループからスピンオフしたナバン・グループが75%出資し、日本インドネシア石油化学投資(丸紅85%、昭和電工10%、TEC5%)が25%出資して設立された。    

    2006/4/26 インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-1
     
   

その後、紆余曲折の結果、インドネシア金融再編庁(IBRA)が融資の担保として現地側企業の持分を保有、その後、Barito GroupPT Inter Petrindo Inti Citra とマレーシアのGlazers & Putnam Investment に売却した。

他方、丸紅は2005年10月に、日本側持株をComerzbank International Trust (Singapore) Ltd に売却した。

丸紅は重点分野の事業として PT Barito Pacific と共同出資しているMusi パルプ事業の経営権取得を目的として、段階的に出資比率の引き上げを行なってきた。
Barito が債務リストラの一環として、大口債権者でBaritoに21%出資する Comerzbank に対し、Musiパルプ事業の関連資産への転換オプション付き社債を発行するとの動きが出てきたことから、懸案の「Chandra事業からの撤退」と、「Musiパルプ事業の経営権の取得」という2つの課題を同時に達成すべく、Comerzbank と交渉を行い、Chandra 株式とBarito社債を交換することとしたもの。

2006年1月、シンガポールの政府系投資機関のTemasek HoldingsChandra Asri の株式 50.45% を7億ドルで買収したと報じられた。(同社は発表していない)
Comerzbank の所有する 24.59% と Glazers & Putnam Investment Ltd.(マレーシア)の所有する 25.86% を買収したと言われる。

ここまでの株主の推移は以下の通り。

IBRA  75.41%  ー  ー  ー
PT Inter Petrindo Inti CitraBarito  ー 49.55% 49.55% 49.55%
Glazers & Putnam Investment Ltd.(マレーシア)  ー 25.86% 25.86%  ー
丸紅(日本インドネシア石油化学投資) 24.59%  ー  ー  ー
Comerzbank International Trust (Singapore)  ー 24.59% 24.59%  ー
Temasek Holdings  ー  ー  ー 50.45%

 

2007年11月、インドネシア当局は PT Barito Pacific Tbkが検討していた10億ドルの増資を承認した。
同社はこの資金の大半を使い、PT Chandra Asri の株式 70% を買収した。
PT Inter Petrindo Inti Citra
から14.6%を、マレーシアの2つの企業、Strategic Investment HoldingsMIH (Malaysian Issuing House Sdn Bhd)から55.4%を購入した。

(残りの30%を誰が持っているのか不明。また、マレーシアの2企業の株式取得の経緯、Inter Petrindo Inti Citra の当初の持株がどうなったのか等、不明。この時点でBarito はChandra Asli に関してInter Petrindo Inti Citraを通じて14.6%を所有しているだけ」としていた。経営悪化で手放した可能性がある。)

PT Inter Petrindo Inti CitraBarito 49.55% 14.6%  -
Temasek Holdings 50.45%  -  -
Strategic Investment HoldingsMIH  - 55.4%  -
PT Barito Pacific  -  - 70.0%
その他(不明)合計  - 30.0% 30.0%


いずれにせよ、Chandra Asri の経営権は、当初の株主の一人のPT Barito Pacific に戻ったことになる。

 


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5月23日の日本経済新聞は「中東湾岸 素材産業の拠点に」として、次ぎのように述べている。

中東のペルシャ湾岸産油国が素材産業の生産拠点として台頭してきた。空前の原油高で流入する資金と豊富な原燃料を使った石油化学や鉄鋼、アルミニウムなどの大型生産計画が相次いでいる。2010年代には湾岸地域は石化最大の輸出拠点となり、アルミ地金の世界シェアは1割を超える見通し。天然ガスを使う製鉄所建設も相次ぎ、エネルギー資源をてこに素材分野でも存在感を高めている。

既報のとおり、Abu Dhabi 政府の投資会社 Mubadala Development Dubai Aluminium と組んで、世界最大のアルミ精錬工場を建設する。
    
2008/2/14 Abu Dhabi'Polymer Park' 'Metal Park' 創設へ 
       

このほか、オマーンとカタールで新工場が建設中で、現在170万トンの湾岸地域のアルミ生産能力は2010年代前半には400万トン超、世界シェアは現在の5%から10%に高まる見通しだ。

中東のアルミ事業の概況は以下の通り。

  社名 株主                   能力 電力 稼動
既存 Bahrain Bahrain Aluminium
(Alba)
Bahrain Government77%
SABIC
20%
Breton Investments(Germany)
3%
830千トン
(→1,000千トン)
1,500MW
石油コークス焼成
   450
千トン
1971
(5
6千トン)
UAE
(Dubai )
Dubai Aluminium
(Dubal)
Government of Dubai100% 950千トン 1,983 MW 1979
(136
千トン)
建設中/
計画
UAE
(Abu Dhabi )
Emirates Aluminium
(EMAL Taweelah
  Aluminium Smelter)
Dubai Aluminium50%
Mubadala Development50%
(Abu Dhabi Government 100%)
700千トン
(→
1400千トン)
2,000 MW
(
3,500 MW )
2010
(2013)
Oman Sohar Aluminium Co.
(SAC)
Abu Dhabi Water and Electricity
   Authority40.0%
Oman Oil
40.0%
Alcan
20.0%
350千トン 1,000 MW
(gas-fired)
 
Qatar
(Mesaieed )
Qatalum Qatar Petroleum50%
Hydro
50%
585千トン 1,350 MW
(gas power)
 

 

Dubai AluminiumAbu Dhabi 政府のMubadala Developmentは以下の計画を持っている。

計画 立地 出資者 内容 スタート
Bauxite Mining cum
  Alumina Refinery Project
Orissa, India Dubai Aluminium74%
Larsen
& Toubro(India):26%
bauxite mining
alumina 1,400千トン
  (
+ 1,450千トン)
2009/下期
Sangaredi Refinery Project
 (Guinea Alumina Co.)
Guinea Dubai Aluminium25%
Global Alumina33.3%
BHP Billiton33.3%
Mubadala Development8.3%
bauxite mining 9,000千トン
alumina 3,000千トン
 
Beni Saf aluminium smelter Algeria Dubai Aluminium
Mubadala Development
Sonatrach
 
Algeria 国営石油ガス) 
Aluminium 700千トン  

 

付記 サウジの2件の新しいアルミ計画が明らかになった。(2008/6/18記事)

  出資者 内容 予算  
Sino-Saudi Jazan Aluminum
(Jazan Economic City)
Chalco(China)40%
MMC(Malaysia)20%
Binladen Group20%
Other Saudi investors20%
アルミ 100万トン $3 billion 2007/11 契約締結 
2008/4Q 着工
Chalco(China)20%
MMC(Malaysia)50%
電力 1,860MW $2 billion
(King Abdullah Economic City) Emal International
(Dubai Aluminium/
Mubadala Development
)
アルミ 70万トン
発電
$5 billion 2008/1 契約

 

 


* 総合目次、項目別目次は
   

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Sinopec と韓国のSK Energy は5月28日、SK Energy Sinopec の武漢エチレン計画に35%出資することで合意したことを明らかにした。
韓国の李明博大統領は27日から4日間、就任後初めて中国を訪問したが、基本契約調印は大統領の北京滞在中に行なわれた。

アジア勢としては初めてのエチレン計画への参加となる。
昨年の4月24日にSKとSINOPECとの間で共同投資の覚書を締結したと伝えられていた。

同社の投資額は明らかにされていないが、韓国業界筋では10億ドル程度とみている。
政府の認可が得られ次第、合弁会社を設立する。

武漢エチレン計画は既に建設が始められており、2011年末のスタートの予定。
Sinopec 子会社の武漢石油化学が実施するもので、19億ドルを投じ、80万トンのエチレンコンプレックスを建設する。

計画には以下の誘導品が含まれている。SKはこれらにも参加する。
  LLDPE
 300千トン
  HDPE  300千トン
  PP    400千トン
  EO   100千トン
  EG   380千トン

   2007/4/9 中国、湖北省武漢市のエチレン計画を承認 

ーーー

SKは2007年7月に持株会社制度を採用し、石油及び化学部門を SK Energy とした。

SKは元々は鮮京(SunKyung:ここからSKという名前ができた)で、石油化学の歴史は以下の通り。

1962年に韓国政府が100%出資で Korea Oil を設立1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった。

Korea Oil は1976年に米国 Gulf Oil との50/50JV となったが、同社の撤退で1980年に鮮京が50%出資、1980年の政府民営化方針で鮮京の100%出資となった。

1982年にKorea Oil をYukong (油公)と改称した。
1987年にはARCOとのJVのYukong ARCO でPO/SM 併産プラントを建設した。(1992年にARCOが撤退、現在はSK子会社のSKC となっている。)

Yukong は1997年にSKと改称、上記の通り、現在はSK Energy となっている。

SK Energyの蔚山コンプレックスの概要は以下の通り。(単位:千トン)

その後設立された各財閥のコンプレックスと異なり、政府設立のコンプレックスのため、川下企業が多数参加している。

三星石化:三星グループ 47.41%、BP 47.41%、Shinsegae 5.18%
三星BP Chemical :三星
BPJV
SKC:
Yukong ARCO Chemical
BASF:
現在のSKCからPO/SM 併産以外のSM設備購入
東西石油化学:旭化成 100%
龍山三井化学:龍山化学/三井化学JV
韓国 PTG :龍山化学 33.33%/龍山 14.11%/愛敬石化 30%
愛敬油化(元 三敬化学):愛敬化学/三菱ガス化学JV


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  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

第一三共は5月21日、癌及び抗体事業の強化の一環として、ドイツのU3 Pharma AG の全株式を取得すると発表した。
取得額は150 百万ユーロ(約245 億円)で、買収後は完全子会社とする。

U3 Pharma 2001年設立で、ドイツの有力研究機関であるMax Planck 研究所と提携し2 つの有望な癌領域抗体(抗HER-3 抗体:Amgen との共同開発、及び抗HB-EGF 抗体)を開発中である。

第一三共は癌領域において画期的な治療薬を提供することを中長期な目標の一つとしている。
同社はパイプラインに3つのモノクローナル抗体を持ち、また、本年3月にはドイツ
MorphoSys社との抗体ライブラリーに関する共同研究を拡大している。

今回の買収で、臨床試験入り間近の2つの有望な癌領域抗体を獲得すること、および、Max Planck 研究所との提携を通じて癌領域の創薬研究力を強化することにより、当社の癌領域ポートフォリオの拡充を図る。

ーーー

国内製薬大手は抗体医薬技術の取り込みを狙うM&Aを加速している。

抗体医薬をめぐる各社の動きは以下の通り。

2007/3 エーザイが米Morphotek Inc.を買収

買収価額は純現預金差し引き後で 325百万ドル。

Morphotek は、抗体医薬の研究開発を専門とするバイオベンチャー企業で、独自の完全ヒトモノクローナル抗体産生と最適化技術を使用し、各種がん、関節リウマチ、感染症などの疾患に対する抗体治療薬の開発に取り組んでいる。

現在、卵巣がんと膵臓がんを対象とした臨床試験に入っているほか、前臨床段階にある候補品目を複数保有している。

2007/7 第一三共が米Amgenから骨粗鬆症薬の国内開発販売権を取得

完全ヒト型モノクローナル抗体Denosumab の日本国内での開発・販売のライセンス契約を締結した。
Denosumab は骨粗鬆症や癌の骨転移を含むさまざまな骨関連疾患の治療・予防薬として開発されている。

条件は①一時金 2,000万ドル、②日本国内で自社が行う開発費用をすべて負担、③2009年までAmgenが実施するグローバル開発費用のうち、およそ1.5 億ドルを負担、④国内純売上高に対するロイヤリティ支払い、となっている。

2007/10 キリンの医薬品事業と協和発酵が統合

2007/10/25 協和発酵とキリンファーマの統合 

協和発酵とキリンファーマは、ともに抗体医薬技術などを中心としたバイオテクノロジーを強みを持っている。

2007/11 アステラス製薬が米Agencys, Inc.を買収

Agencys, Inc.は癌領域の抗体医薬を専門とするバイオベンチャーで、買収価格は 387百万ドル(純現預金 30百万ドル含む)。株主は他に、milestone 達成に伴い最大150百万ドルを受け取る。

2008/2 武田薬品が米Amgenの日本法人、抗がん剤の国内開発販売権取得

2008/2/11 武田薬品、アムジェンとの提携を発表

抗癌剤の Motesanib diphosphate と、Panitumumabを含む 12品目の抗体医薬などのバイオ医薬品(うち1品目は、今後、最終的に契約対象とするかどうかを決定)の合計13の品目が契約対象となっている。
同時に
日本の100%子会社であるアムジェンK.K.の株式譲渡契約を締結した。

2008/5 第一三共がドイツ U3Pharma を買収 (上記)

 


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1.米国西海岸の燃料用エタノールのメーカーであるPacific Ethanol が話題になっている。

Microsoft Bill Gates の個人投資会社 Cascade Investment が、Pacific Ethanol 2005年11月に西海岸に工場を建設するのを手助けするため、84百万ドルを投資、優先株を所有していたが、昨年11月に優先株を普通株式 1050万株に転換し、順次売却すると発表した。

本年55日のSECへの報告では1050万株から950万株に(持株比率は21%から18.5%)減ったが、その後、516日のPlatts記事では、140万株まで減少した。

米国の燃料用エタノールは急激な能力増加による供給増加で価格が25%ダウンした上、コーンの価格が高騰しているため、採算が悪化、各社の株価は下がっている。

2007年の米国の生産量は6,499百万ガロン、それに対し2008年4月時点の能力は8,522百万ガロン、建設中・拡張中の能力が5,084百万ガロンで、合計 13,606百万ガロンもある。

参考 2007年の燃料用エタノール生産量

   米国     6,499百万ガロン  
   ブラジル     5,019百万ガロン  
    EU      570百万ガロン  
   中国      486百万ガロン  
   世界計    13,102百万ガロン  

 

Pacific Ethanol の業績は以下の通り。(単位:千ドル)

  2005 2006 2007
売上高   87,599  226,356  461,513
当期損益   -9,923    -142  -14,400

Pacific Ethanol の株価は20065月には40ドルをつけたが、1年前は15ドル、最近はそれが 3ドル程度となっている。昨年11月の売却発表で20%以上下落した。
(同社は
519日に第1四半期の結果を発表したが、一時的な徐却損を除くと黒字になったため、株価は反転し、5ドル強に上がった。)

Cascade Investment は同社に84百万ドルを投資したが、昨年8月以降で60百万ドルを失ったと言われている。

ーーー

Pacific Ethanol の能力は以下の通り。(単位:百万ガロン/年)

  立地 能力 建設中
Pacific Ethanol Madera, Calif.    40  
Boardman, Oregon    40  
Burley, Idaho    60    
Stockton, Calif.       50
(Total)   (140)    (50)
Front Range Energy Windsor, Colorado    48  

* Burley, Idaho は本年4月末に操業開始
 Front Range Energy Pacific Ethanol 42%を保有

参考:ほとんどの工場はトウモロコシ産地の中西部にある。
 No.1メーカー POET  能力1,253百万ガロン、建設中
282
 No.2メーカー Archer Daniels Midland 能力1,070、建設中 550

資料:Renewable Fuels Association
     統計 http://www.ethanolrfa.org/industry/statistics/
     能力 http://www.ethanolrfa.org/industry/locations/

ーーー

2.米国エネルギー省は2008年1月、Pacific Ethanol を含む4社の小規模バイオリファイナリー計画に、4年間で最大 114百万ドルの助成を行うことを発表した。

2012年までにコスト競争力のあるセルロース系エタノールを製造するというブッシュ大統領の目標を達成するため、商業規模の1/10 サイズのバイオリファイナリーで様々な原料を使用して新規変換技術をテストする。

1)Pacific Ethanol :助成予定額 最大2,430万ドル
 Boardman, Oregon のコーンベース工場に、BioGasol 社が独自開発した変換プロセスを用いて農業残渣物と森林残渣物をエタノールに変換する設備を増設。

2)ICMColwich, Kansas):DOE の助成予定額 最大3,000 万ドル
 St.Joseph Missouri に農業残渣物(トウモロコシの繊維や茎葉、スイッチグラス、ソルガムなど)原料の工場を建設。

3)Lignol InnovationsBerwyn, Pennsylvania):DOE の助成予定額 最大3,000 万ドル
 
Commerce City, Coloradoの石油精製工場に、「biochem-organisolve」と呼ばれる溶剤を使用して、硬木や軟木の廃材をエタノールや市販製品に変換する工場を併設。

4)Stora Enso North America(Wisconsin Rapids, WI):DOEの助成予定額 最大3,000 万ドル
 Wisconsin Rapids, WIで、森林廃棄物を用いて Fischer-Tropsch 法によるディーゼル燃料への変換を計画。

ーーー

3.米国のEd Schafer 農務長官は5月19日の会見で、食糧高騰に対してエタノール増産を擁護した。

世界中で穀物の価格が高騰し、暴動まで起こっている。米国は世界一のトウモロコシ生産国だが、本年のトウモロコシの収穫の1/3がエタノール生産に使われる予想で(昨年は25%)、これによるトウモロコシの値上がりが食糧高騰の要因の一つという批判が出ている。

これに対し長官は、バイオ燃料エタノール増産でトウモロコシの価格が5割アップしても、国内の食糧高騰に与える影響は1%未満、と語り、「エしタノール悪玉論」やバイオ燃料促進計画の変更を求める動きに反論した。

農務長官の発言: 
・バイオ燃料の需要は食糧価格に影響は与えるが、重要な要素ではない。
・再生可能燃料基準の変更、エタノール生産減税、エタノール輸入関税撤廃にはメリットはほとんどない。

 これらは食糧品の価格に影響を与えない。
・バイオ燃料政策は、短期的には少々のデメリットはあっても、長期的にメリットがある。

農務省では本年の食糧価格は、エネルギー価格を含むコストアップ分の転嫁で、1990年の5.8%アップに続く、5%の値上がりになると予測している。

欧州委員会は5月20日、食糧・農産品価格の高騰を受け、減反政策(耕作地の10%が対象)を廃止するとともに、バイオ燃料用作物に支払われていた1ヘクタール当たり45ユーロの奨励金を2010年までに廃止するなどの共通農業政策改革案を加盟27カ国に提示した。


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クウェートとサウジで大型製油所計画が発表された。

クウェートでは国営石油会社(KNPC)が、国内の電力需要増加に対応すべく、クウェート市の南85kmの Al-Zour 地区に日産615千バレルの製油所を建設する。
当初予算は63億ドルであったが、現在の予算は140億ドルに膨れ上がっている。
当初2010完成を予定していたが、現在では20125稼動とみている。

クウェートの原油生産量は現在、日産 255バレルで、3つの製油所に合計 930千バレルの精製能力を持っている。
本計画の完成後は、
200千バレルのShuaiba 製油所を停止する。

KNPCはこのたび、工事を5つに分け、そのうち4つを日韓の企業に発注した。

パッケージ 発注先 予算
原油蒸留設備(日産 205千トンx 3基)、
常圧残渣油脱硫装置
(日産 330バレル)など
日揮及び韓国 GS エンジニアリング 40億ドル
水素設備 韓国 SKエンジニアリング 26.24億ドル
用役、付随設備 未定  
タンク 韓国 大林産業 11.84億ドル
海上設備 韓国 現代エンジニアリング 11.2億ドル

日揮は常圧残渣油脱硫装置、残渣油冷却設備、オフガス回収設備などを建設、受注分は2,000億円以上。

同社は、1980年代に建設したクウェートのMina Al-Ahmadi 製油所をはじめ、これまで47件の新設製油所プロジェクトを遂行し、近年ではオマーンのソハール製油所を手掛けている。

ーーー

Saudi Aramco とフランスのTotal 5月14日、Jubail に日産400千バレルの製油所を建設することを発表した。
Arabian Heavy 原油を精製し、高品質の石油製品を製造する。2012稼動の予定。

ディーゼルとジェット燃料の生産を最大化することを狙っており、これに加え、パラキシレン(年産70万トン)、ベンゼン(同14万トン)、ポリマーグレードプロピレン(同20万トン)を生産する。

本年第3四半期に合弁会社を設立する。
当初は
Saudi Aramco 62.5%、Total 37.5%出資とし、認可を得られれば25%分を公募し、両社は37.5%ずつとなる。

生産物は両社で分け合う。

両社は2009年中に設備を発注する。

総投資額は明らかにしていないが、同地区の建設費は高騰しており、100億ドル規模になる可能性がある。

ーーー

付記

Saudi Aramco ConocoPhillips 516日、これまで検討してきた新製油所計画の実施を決めたと発表した。

Yanbu Industrial City に日産40万バレルの重質油完全改質製油所を新設する。
2013年スタート予定で、50/50JVで運営する。

 


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