「no」と一致するもの

次の買収は? - 化学業界の話題

SABICによるGE Plastics 買収が決まり、次の買収の噂がいろいろ出ている。

1)Dow/DuPont

びっくり仰天のニュースである。

5月25日のNew York Times は、米国証券取引委員会(SEC)が、ダウを解雇された2人の役員が会社を買収対象とすることで株価の操作をしたのではないかどうか調査を開始するが、同時に、昨年秋の件も調査する模様と伝えた。

表面には出ていないが、昨年秋にDowがDuPont に対し買収提案をしたとのこと。
買収額は400億ドル以上で、実現すれば米国1位と3位の化学会社の合併となる。(2位はExxonMobil)

この提案に対し、DuPontは拒否し、交渉に入らなかったと伝えられている。

本件は表面に出ていないにかかわらず、9月から12月にかけて両社の株は変動し、DuPont株は15%上昇した。

これが事実なら、今後どんなことが起こるか、想像がつかない。

2)Basell/Lyondell

Basell を買収したAccess Industries の会長 Leonard (Len) Blavatnik Lyondell Chemical の株式 8.3%を「戦略的投資」として購入する契約を締結した。
  2007/5/16 Access Industries の会長、Lyondell Chemical の株式を購入

これにより、Blavtnik が Lyondell を買収し、Basell と合併させるのではないかとの噂が出ている。

Lyondell CEO はもし買収の提案があれば検討するとしながらも、景気の悪化したときのことを考えると、買収のために80億ドルから100億ドルも資金を貸す側は大変だろうとコメントしている。

ロイターはBasell GE Plastics 買収から離脱したと報じ、その結果として、(Blavtnik or Basell が GE Plastics と Lyondell の両方の買収はさすがに無理だが、GE Plastics を諦めたことから)Basell Lyondell の合併の可能性が出てきたともしている。

エチレンやPO/SMに強いLyondell とポリオレフィン世界一のBasell との組み合わせは強力である。

Access Industries 2005年に57億ドルでBasell を買収している。
 
2006/6/15  Basellの買収」 参照 

Lyondell Chemical については下記を参照。
 
2007/2/26 Lyondell とシノペック鎮海煉油化工、寧波で PO/SM 生産」 

3)Lanxess/Degussa

以前からLanxess が Degussa を買収するという噂が流れていたが、第1四半期決算発表の席で会長が、2005年1月のBayer からのスピンオフの後、業績が改善し、今や買収により成長する時期にきたとし、買収の候補の幾つかの中にDegussa があることを認めた。

両社には重複事業があまりなく、理想的な相手であり、合併で新しい強力なグローバルプレーヤーとなり、BASFに次ぐ欧州第二の化学会社になると述べている。

会長は更に、Degussaの企業価値は100~130億米ドルだが、年金や負債等を勘案すると買収額は50~80億米ドルであろうとしている。

これに対してRAGは、Degussa売却の考えはないとしている。

Lanxess2004年7月にBayer Chemicalsの大半と Polymersの一部を新会社として分離し、2005年に上場した。
  2006/9/6 Bayer と Lanxess  

Degussaについては下記参照。
  2006/12/14 Degussa、上海にMMAコンプレックス建設 

 

4)ICI

DowがICIを買収するという噂が流れた。

  2007/4/7 DowICIを買収? 

更に、Akzo Nobel のトップが Coatings 事業で大規模な買収を検討していると述べた。
買収候補がICIでないのかという質問にはノーコメントであった。

これに対してICIの会長は5月23日の株主総会で次のように述べ、Dow やAkzo Nobel による買収説を打ち消した。

2006年はICIにとり80周年であったが、好業績であった。2003年に設定した目標、売上伸び率、利益率向上、資本利益率向上、キャッシュフロー増加、を全て達成した。

2003年の業績悪化に対応するため4年間の長期の縮小均衡策を取ったが、今後は成長路線に転じる。
特に、アジア、東欧、ラテンアメリカの成長市場で積極的に事業を拡大する。
又、コア事業を買収により拡大を図る。

Profit before taxation, exceptional items and goodwill amortisation

2006/5  油脂化学、界面活性剤を扱う Uniqema部門 Croda International に売却
2006/11 Quest部門をGivaudanに売却

  2006/11/30 ICI、Quest部門をGivaudanに売却 

なお、ICIの抜本的構造改革については下記参照
  2006/3/7 
ICIの抜本的構造改革 

ーーーー

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INEOS は21日、Norsk Hydro からポリマー事業のKerling 社(旧称 Hydro Polymer)を670百万ユーロで買収する契約を締結したと発表した。

Norsk Hydro はエネルギーとアルミを中心事業と考え、Hydro Polymer については切り離して上場するか、又は売却するかを考えていた。

2005年5月の株主総会の承認を得て、上場を前提にHydro Polymerの社名をKerling ASA と改称した。kerling は古代ノルウェー語で老女の意で、バイキングの船のマストを支える大きな木の塊のことである。

しかし、その後も上場の決断が出来ず、現在もNorsk Hydro の100%子会社である。従業員は1200人。

電解からVCM、PVC、コンパウンドを中心事業としており、欧州で4位のPVCメーカーである。

買収したINEOSは2001年にICIとEniChemの塩ビJVのEVCの過半を買収、2005年にEVCを100%買収している。

 2006/6/14  事業買収で急成長した化学会社 

今回の買収で、INEOSはクロルアルカリ、PVC、コンパウンド分野の強化を図る。

欧州のPVC能力
Norsk Hydro 2007/2報告 単位:千トン)
EVC  1,340
Solvin  1,195
Atofina   905
Hydro Polymer   625
Vinnolit   620
LVM   450
Shinetsu   400
Vestolit   360
Cires   200
Aragonesas   190
Hellenic Petrol   100

Kerlingの生産拠点は以下の通り。(能力:千トン 若干古く、現状と異なっている可能性がある)

社名 塩素 ソーダ VCM e-PVC s-PVC コンパウンド
ノルウエー Kerling  130  140  470   25  125  
スエーデン Kerling  116  131  140   58  144  
Hydro Sydplast            ◎
英国 Kerling          245  125
(JV)
中国 Suzhou Huasu Plastics         130→330  
カタール Qatar Vinyl Company  300  336  279      
ポルトガル CIRES          200  

他に、ノルウエーにBorealis との50/50JVのエチレンメーカー Noretyl AS を持つ。
エチレン 550千トン、プロピレン 80 千トン)

Suzhou Huasu Plastics
 
Westlake Chemical のオーナーの台湾のT.T. Chao Group とNorsk Hydro その他のJV。
 江蘇省太倉にPVC、PVCフィルムの工場を運営。
 Norsk Hydro 31.8% 出資。
 2004/12にPVC 200千トンの増設計画を発表した。

Qatar Vinyl Company (電解、EDC、VCMのJV)
 株主 
The Qatar Petrochemical Company (QAPCO)  31.9%.
     Norsk Hydro 29.7%
     Elf Atochem  12.9%.
     Qatar General Petroleum Corporation (QGPC)   25.5%
      (QAPCO80%、Elf Atochem 10%Enichem 10%

CIRES
 信越化学とのPVCのJVで、
Norsk Hydro 26%出資

ーーー

なお、同日、INEOS ChlorVinyls はエマルジョンPVC事業をVinnolit GmbH & Co. KG. に譲渡する契約を締結した。

英国のHillhouseとドイツのSchkopauのe-PVC工場を併せ譲渡し、イタリアのPorto Torres 工場で生産するe-PVC全量の引取り権も譲渡した。

英国のRuncorn Barry、ドイツのWilhelmshaven Schkopau、イタリアのPorto Marghera, Porto TorresRavenna 各工場のVCMとサスペンジョンPVC事業は当然維持する。

Vinnolit はヘキストとワッカーのJVであったが、2000年に投資会社のAdvent International Corporation 買収した。


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PetroChina は13日、陝西省政府との間で延安(Yan'an)での大規模エチレン計画の契約を締結した。

延安のエチレン計画は能力100万トンで、建設費は26億ドル。PetroChina と陝西省政府のJVが建設・運営する。
PetroChinaがマジョリティを持つが、出資比率やスケジュール、誘導品能力は明らかにされていない。

PetroChina総経理と陝西省の省長はともに、本協定は両者が石油産業一本化戦略を進めていく重要な一部で、陝西省の資源優位を活用し、国家経済成長によるエチレン需要を満たし、同省とその周辺部の関係産業をけん引することに重要な意義をもつと評価した

陝西省北部は石炭、石油、天然ガス、塩の資源が豊富で、石油化学工業を進めていく基盤を築き上げている。

協定により、双方は延安で企業登録を扱い、「公司法」により進める。詳細は双方が話し合って決定するがPetroChinaが持株会社にする。


PetroChina は陝西省の延安近郊に長慶(Changqing)油田を、また咸陽(Xianyang)に製油所・長慶石油化学を持っている。

一方、陝西省政府は2005年10月に、陝西省北部地域における石油資源の統合を推進するため、石油探鉱開発企業21社(陝西省の所管する石油開発会社7社、陝西省北部各区・県の所管する石油開発会社14社)ならびに製油所3社(延煉集団、永坪精油所、楡林製油所)を統合し、全額出資企業「
陝西延長石油(集団)有限責任公司Shaanxi Yanchang Petroleum Group Co.)」を設立した。
統合により同社は、PetroChina, Sinopec、CNOOCに次ぐ中国第4位の石油会社となった。

中国における原油生産シェア(2004年ベース)
PetroChina  59%
Sinopec  22%
CNOOC   9%
陝西延長     4%
外資ほか    6%

陝西省は中国で最も古い産油地帯であり、中華人民共和国設立前から石油の生産が行われていた。

延長油田は、陝西省北東部部(延安市東方約50Km)に位置しており、延長(Yanchang)油田の他、小規模油田群の総称である。

長慶油田は、オルドス盆地中・西部に位置しており、陝西省だけではなく、甘粛省、寧夏回族自治区に位置している。馬嶺(Maling)油田の他、小規模油田群の総称である。

なお、PetroChina の製油所・長慶石油化学は西安の西の咸陽にあるが、PetroChina長慶油田公司は昨年11月に北は甘粛省慶陽市の西峰油田から、南は咸陽の長慶石化までの慶咸原油輸送パイプラインの利用を開始した。
同社は陝西、甘粛、寧夏を結ぶ陝西靖辺-咸陽、陝西靖辺-寧夏恵安堡の原油輸送パイプラインの建設を終えており、隴東、安塞、靖安、靖綏など長慶油田公司の中堅油田の原油が、
環状パイプラインを通じて、北の寧夏、西の蘭州、南の陝西まで送られることとなる。

PetroChina陝西延長の石油生産量は以下の通り。

2004年 石油生産量 (単位:万トン)
長慶    811
延長    653
陝西省計   1,464
   
大慶(黒龍江省)   4,640
勝利(山東省)   2,674
中国計  17,473

原油処理については、PetroChinaの長慶石油化学は昨年290万トンの原油を処理しており、陝西延長石油グループは970万トンの原油を処理している。

このため、新エチレン計画の原料ナフサは両社の既存製油所から供給を受けることが出来る。


本計画は中国の現在の5ヵ年計画には含まれておらず、次期計画に含まれることとなるため、スタートは2010年以降となる。
本計画については、(1)中国政府が陝西省を含む西部地域の開発を重視していること、(2)PetroChinaがSinopec に対抗して石油化学事業拡大に熱意を持っていることから、本計画の承認は間違いないと見られている。


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米化学物質安全性委員会(U.S. Chemical Safety Board CSB )のMerritt 委員長は516日の下院の小委員会で、BPTexas City 工場の爆発事故と同社のPrudhoe Bay のパイプライン腐蝕、原油漏れ事故とには驚くほどの類似点があると証言した。
CSB自体はPrudhoe Bay については調べていないが、BPの内部報告書をレビューした。

証言の詳細: http://www.csb.gov/news_releases/docs/MerrittEnergyCommerceTestimony5.16.07.pdf

ーーー

2005年3月23日、Texas City, TexasBP Texas City 製油所で爆発・火災事故が起き、15名が死亡、100名以上が負傷した(内70名が従業員及び請負業者。残りが周辺住民で、飛散したガラスやタイルによる負傷)。

事故はガソリンのオクタン価を上げる設備を2週間かけて補修した後の再スタート時に発生した。
アイソマーのラフィネートスプリッターのベントスタック先端から透明な液体が噴き出し、蒸気が地表近くに蓄積し爆発した。

瓦礫の中に、トレーラーと乗用車やトラックを含む約 30台の車の残骸があった。製油所の補修工事に従事している多くの請負業者が、爆発に無防備なトレーラを仮事務所等に使用していた。

ーーー

2006年8月、BPはアラスカのプルドー湾油田のパイプラインに深刻な腐食と小さな原油漏れを発見し、プルドー湾の油田の操業を停止した。
20万ガロン以上の原油が漏れたが、パイプラインは数年間にわたってメンテナンスを行わず、広範な腐蝕が見つかった。
同油田はBPがConocoPhillips、ExxonMobil と所有権を共同保有するもので、日量40万バレル、米国内原油生産量の約8%を占める。

   2006年8月28日 プルドー湾油田の操業停止ーBPとStandard Oil 
     

ーーー

CSBの委員長によると、Prudhoe Bay 事故で明らかにされた7つの根本原因はTexas City事故でも見られる。中でも、BPの意思決定に予算と生産の圧力が強く反映され、安全性が極めて損なわれているとしている。

Prudhoe Bay事故では「逸脱」が常習化し、リスクレベルが次第に上がっていったが、Texas Cityでも異常なスタートアップが調査されないまま常習化し、重要な機器の故障も放置された。
事故の当日も蒸留装置の重要なアラーム(
6つ)、機器、コントロール機器が正常ではなかった。安全性のレビューなしに多くのトレーラーが危険な場所に置かれていた。

Prudhoe Bay事故の内部報告書の指摘後も、補修やメンテナンスの改良は見られない。

その他、共通する問題点として、過去の教訓が正しく伝えられていない、安全性に関しての過度の分権化、トップの頻繁な交代などを挙げている。また、BPはこれまで人的安全には熱心であったが、プロセスの安全には注目せず、結果として大事故が発生したとする。

ーーー

CSBは米国の化学品事故の調査のための独立政府組織で、本ブログではFormosa Plastics の2つの爆発事故の報告を取り上げている。

 2006/8/7 米工場爆発事故の調査結果 

 2007/3/12 米国Formosa PlasticsのPVC工場爆発事故の調査結果 


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ダウの海外進出 - 化学業界の話題

ダウは5月21日、中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。

2004年12月に神華集団との間でFS共同実施の契約を結んでいる。
神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱区の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。

計画では "clean coal" technologies を使用し、石炭からメタノール、メタノールからエチレンとプロピレンを生産する。電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCM、有機塩素等を生産する。
このほか、誘導品としてグリコール類、アミン、溶剤、界面活性剤、アクリル酸と誘導品、プロピレン誘導品などが計画されている。

ダウの中国での活動については
  
2006/8/23 中国でのダウの活動 

ーーー

このところ、ダウは相次いで海外の大プロジェクトを発表している。

ダウ418日、リビアの国営石油会社(NOC)とJVを設立し、NOCのRas Lanuf コンプレックスの石化コンプレックスを拡張・運営すると発表した。
 
2007/4/25 Dow、リビアに石化JV設立 

5月12日にはダウとサウジアラムコは、世界最大級の化学品・合成樹脂のコンプレックス(ラスタヌラ総合計画)の建設・運営についての詳細覚書を締結したと発表した。
 2007/5/15  
アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設 

ーーー

ダウは昨年3月に、基礎部門の強化を”Asset Light"戦略(JV化)を通して行う方針を明らかにした。他社と新しいJVをつくるだけでなく、場合によっては既存の設備を出してJVにすることも行うとした。
  
2007/2/3 ダウ、PSとPP事業のJV化を検討 

Kuwait Petroleum Corporation と50/50JVのMEGlobalを設立してダウの設備を出したのが例である。
   2006/5/31 「湾岸諸国の石油化学ー1」 参照
タイでのサイアム・セメントとのJVもこの一環である。
   2006/10/24 「ダウ、アジア進出を促進 参照 

国内では4月10日に、既存のPS事業をJV化する計画を発表した。
Chevron Phillips Chemical との間で北南米のSM/PSの50/50JV設立のMOUを締結した。今後、Due diligenceを行う。
   2007/4/11  
Dow、Chevron PhillipsSM/PSのJV設立 

引き続き、PP事業についてもJV化を検討している。

ーーー

Dowには買収説基礎部門の分離・JV化説が飛び交っていたが、基礎部門での大プロジェクトが次々と発表されるのから見ると、そのような話は消えてしまったように思われる。
   2007/3/2 
Dow 買収説  
   
2007/3/19 Dow JV 

 

なお、ダウは4月12日に、役員2人が、Dowの行動基準に極めて不適切に、また明らかに違反し、会社の被買収に関して第三者に話をしたとして解雇したと発表した。

Dow買収説で、Kohlberg Kravis Roberts が半分、中東のSaudi ArabiaKuwaitBahrainQatarUAEOman の投資家が残り半分を出資して過去最高の500億ドルで買収するという報道がなされた直後である。

   2007/4/13 
速報 Dowが買収情報漏えいで役員を解雇 

これに関して5月8日、会社側、役員側がともに訴訟を行った。

会社側は報道の翌日にその役員が中東資本の代理人を務める銀行のCEOと会談したことが分かったとしており、会社の規則に違反したとして、株オプション等の返却と、雇用契約不存在の確認を求めている。

役員側はそれを否定し、何ら規則に違反していないとして、損害賠償を求めている。

 


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中国外務省などは8日、パナマ向けに輸出された薬用シロップのグリセリンと、米国とカナダへ輸出されたペットフードにそれぞれ毒性物質が混入していたと発表した。同省の姜瑜副報道局長は8日の会見で「グリセリンの代わりに医薬品には使用できない化学薬品が使われた」と述べ、因果関係を認めた。

一方、中国の国家品質監督検査検疫総局は8日、江蘇省と山東省の2社が製造して北米に輸出されたペットフードからも、樹脂などに使われるメラミンが違法に添加されていたと発表した。
米国とカナダでは今年3月、これらのペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡。FDAが中国側に調査を依頼していた。同総局は2社の責任者らを立件する方針。(以上 朝日新聞から)

 

6日付のニューヨーク・タイムズ紙はパナマで365名の死亡が伝えられ、うち100名が確認されたとし、以下のように詳細に報道している。

昨年5月、長い雨季が始まり、パナマ政府は風邪や咳の患者増大を予想して26万本の咳止め薬を製造した。

9月に Panama City の公衆病院は不思議な症状の患者の増大に気がついた。身体の一部の機能が停止または麻痺し、中には呼吸困難に陥った患者までいた。死亡者も続出したが、はっきりとした原因は分からないままだった。

調査の結果、病院の患者の半数が高血圧薬を処方されていたことが分かったが、それを飲んでいない患者もいた。
たまたま、ある患者が、その薬を飲んだが、咳が出たので咳止め薬を飲んだと話したので、咳止め薬に注目が集まった。

支援のために訪問していた米国疾病管理・予防センター(CDC)調査員が咳止め薬を持ち帰り、調べた結果、Glycerin ではなくDiethylene glycol であることが判明した。

死亡者数の確認が難航した。既に埋葬されており、多数が医者にもかかっていなかった。被害者の大半は幼い子供だった。
アルゼンチンの病理学者が埋葬された死体からの毒物分析方法を開発した。
(現在確認されたのが上記の100名)

その後の調査で次のことが判明した。

咳止め薬に使われたシロップは 「99.5% pure glycerin」と表示されていた。
   
製造したのは江蘇省泰興市(Taixing)恒祥( Hengxiang)のTaixing Glycerine Factoryである。グリセリンの代わりに遥かに安価なジエチレングリコールを使用した。
   
北京の商社 CNSC Fortune Way がこれを スペインのRasfer International に販売、同社はパナマのブローカーの Medicom Business Group に販売した。どの社も製品テストはせず、メーカーの社名を消していた。(需要家が直接メーカーと契約をするのを防ぐため、しばしば行われる) メーカーの品質証明も購入者に渡すのがルールだが、それも行われていない。
   
パナマでは2年間以上、使われず、Medicom はシロップの有効期間を変更していた。
パナマ政府もこれを使用する際に品質検査を実施していない。
   

グリセリンの偽者は本物に似ており、極めて安いため、しばしば使用され、事故を起こしている。

70年前には米国でジエチレングリコールの入った薬品で100人以上が死亡、これが厳しい薬事法の制定と現在のFDAの設立のきっかけとなった。
その後、ハイチ、バングラデッシュ、アルゼンチン、ナイジェリアなどで事故が発生しているという。
中国でも昨年
4月に少なくとも18名が死亡している。

これまでのところ、中国政府の反応は非常に鈍いものであった。

薬事当局は、工場は医薬品製造の登録をしていないので管轄権はないとし、商社についても医薬品を業としていないとして、両社とも違法な行為をしていないとしていた。

付記

中国の国家品質監督検査検疫総局(国家質検総局)は5月31日、「中国の出荷側に落ち度があったとしても、直接原因はパナマの業者の不正行為にある」とした見解を明らかにした。

発表によると、
北京の中服嘉運貿易会社は、輸出の際にスペインの貿易会社に、同製品は工業原料TDグリセリンで中国薬典規格に合っていないと説明したほか、製品の有効期間は1年とすることも伝えたという。
しかし、パナマの商社は、米国薬局方(USP)の純グリセリンと偽って同国の製薬会社に販売、さらに有効期間1年を4年に改ざんした。2006年製造開始の時点ですでに使用期限が2年前に切れていた。

ーー

米国とカナダでは今年3月、メラミンが違法に添加されていたペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡した。

FDAは史上最大の製品リコールを行い、中国の2社、江蘇省徐州市の Xuzhou Anying Biologic Technology Development Co. と山東省の Futian Biology Technology Co. Ltd.を突き止めた。

メラミンの添加された両社の製品は成分が小麦グルテンと米プロテインと表示されていたが、実際には単なる小麦粉であった。

米国ではメラミン添加は禁止されているが、中国では、メラミンには栄養価はないが、検査で蛋白質が入っているように見せかける安価な添加物として、動物飼料生産者は何年もの間メラミンを飼料に添加してきたという。

オンタリオの研究者は、小麦グルテンに含まれるシアヌル酸とメラミンが混合すると、動物の腎機能を妨害する結晶を形成するとしている。

 

なお、FDAと米国農務省は7日、メラミンが添加されたエサを食べた豚やチキンを食べても、人間の健康へのリスクは非常に少ないとの共同発表を行った。


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化学会社の決算がほぼ出揃った。

各社の営業損益(前期及び当期)の対比は以下の通り。
うち昭和電工は12月決算)

 

昨秋のナフサ値下がりで製品値下がりが懸念されたが、その後ナフサ価格は1月17日に503ドルまで下がってから値上がりに転じ、5月14日には史上初めて700ドルを超え、5月16日には722ドルを記録した。
これを受け、逆に製品値上げが浸透し、各社とも好調な決算となった。

 

円安も損益向上に大きな影響を与えている。

(既報の通り、武田薬品は為替の影響で前期比 228億円の増収となったが、トヨタ自動車の場合は円安効果は2,900億円。欧米の自動車企業は「円安で日本の自動車は1台当たり2,400ドルの価格競争力を得ている」と反発しているという。)

ーーー

しかし、中国向け中心のPTAやVCMなどは値下がりの影響で前々期に比して利益は大きく下がっている。
電子材料が各社好調ななかで、液晶テレビの価格下落を受け、住友化学の情報電子化学の大幅減益が目立つ。

営業損益変動の主な例は以下の通り。(問題製品を含む事業部門の営業損益、単位:億円)

中国向け中心のPTA、VCM、PVCなど値下がり
 
  部門 05/3 06/3 07/3 前々年比
三菱化学 石油化学
(PTA、エチレングリコール等)
 586  309  282  48%
三井化学 基礎化学品
(PTA、PET、フェノール、
ビスフェノールA、EO/EG)
 360  219  110  31%
東ソー 基礎原料
(苛性ソーダ、VCM、PVC、セメント)
 204   56   61  30%
 
同じPVCでも、信越化学は米国の塩ビ会社 Shintech が好調で増益。
 
コエンザイムQ:競争激化による大幅な減収、減益
 
  部門 06/3 07/3 前年比
カネカ ライフサイエンス  190   57  30%
三菱瓦斯化学 天然ガス系   54   25  46%
    三菱瓦斯化学の同部門のメタノールは好調
   
液晶フィルム値下がり
 
  部門 06/3 07/3 前年比
住友化学 情報電子化学  217   35  16%
日東電工 電子材料部門  587  314  53%
 

薄型テレビ価格下落で、韓国・台湾の液晶パネルメーカー(プラズマパネルも)が赤字に転落した。
1-3月期決算で、韓国の液晶パネルメーカー7社のうち、5社が赤字、プラズマパネルメーカーも2社が赤字となった。
台湾でも液晶パネルメーカー大手5社のうち、4社が赤字転落。

上記の各製品の状況は一時的なものでなく、今後も回復の可能性は少ない。
   
逆に、半導体シリコンのように大増益の部門もある。
 
  部門 05/3 06/3 07/3 前々年比
信越化学 電子材料
(半導体シリコンなど)
 537  653 1,066  199%
トクヤマ 特殊品
(多結晶シリコンなど)
  92  161  258  280%
   
   
ーーーー
   
好調な石油化学も大きな問題を抱えている。
   
  原油価格は現在 65ドル近辺だが、ファンダメンタルは 40~45ドルと言われており、現状価格はいろいろな思惑やイラン情勢その他を加味したものである。(1/19には 48.85ドルまで下がっている)
ナフサ価格はその原油価格のレベルを遥かに上回る状況で、中国の需要、台湾・韓国のエチレン増設、米国のガソリン価格上昇、その他を加味したものであるが、これまでの原油価格との相関関係から見て、異常な値上がりである。
   
ナフサ価格がいつまでも高い水準で推移する保証はない。
中国バブルがはじけ、ナフサ価格が下がった場合の反動は大きい。

武田薬品工業

営業利益、15年連続最高益、配当年間128円(来期は160円)!
当期利益は移転価格税制に基づく更正処分追徴税 571億円を計上し、なお前期比 増益。

                           単位:百万円(配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 1,212,207  840,230  402,809  345,969  485,354  364,439  313,249  249,361  53.0  53.0  106.0
07/3 1,305,167  869,068  458,500  347,652  585,019  378,377  335,805  219,813  60.0  68.0  128.0
08/3 1,390,000   ー  470,000     585,000      380,000       80.0  80.0  160.0
   
売上高: 前期比 930億円の増収
   うち、為替レートが対米ドル、対ユーロで円安に推移し、為替の影響で前期比 228億円の増収
   
営業利益: 前期比 557億円の増益
   販売費・一般管理費の増 397億円を売上総利益の増で吸収
   
経常損益: 前期比 997億円の増益
   米国での金利アップで受取利息 210億円増
   持分法投資利益増加(前期比 120億円増加の662億円、うちTAPが 610億円)
   
特別損益: 前期比 78億円増益
   武田食品工業の飲料・食品事業をハウス食品とのJVに譲渡(譲渡益 190億円)
   ワイスの株式の一部と三井武田ケミカルの株式を譲渡(譲渡益 171億円)
   遊休不動産売却益 43億円
   (前期も関係会社株式売却益 120億円、厚生年金基金代行返上益 204億円あり)
   
税金: 移転価格税制に基づく更正処分追徴税* 571億円を計上
   
配当: 2007/3月期の年間配当 128円、2008/3月期予想 160円
(信越化学はそれぞれ、70円、80円)

*移転価格税制に基づく更正処分追徴税
  国税庁の更正処分に対し、同社は不服申立て中
   2006/6/29
武田薬品、移転価格税制に基づく更正 

追徴税を支払った時点では、監査法人の判断に基づき、当該追徴税を長期仮払金として処理。
その後、納付者が不服申立て等を行っている場合であっても、一律に全額費用処理する方法に監査法人が意見を変更。
  

ーーー

トクヤマ

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3  263,373  171,189  24,311  17,070  21,493  16,164  13,964  10,762  3.0  3.0  6.0
07/3  292,764  192,693  34,737  27,366  31,672  25,830  18,460  15,528  3.0  3.0  6.0
08/3  309,000  204,000  35,000  27,500  32,000  27,000  20,000  17,500  3.0  3.0  6.0

 
営業損益対比 (億円)
  06/3 07/3  差異
化学品 77 82 5
特殊品 161 258 97
セメント建材他 35 42 7
全社 -30 -35 -5
営業損益合計 243 347 104

特殊品: (05/3の営業損益は 92億円)
 多結晶シリコンの価格是正効果等が寄与

  多結晶シリコンの需要は引き続き旺盛に推移
  前期後半の輸出価格是正、当期初に国内価格是正、
        当期後半に更なる輸出価格是正を実現

ーーー

三菱瓦斯化学

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3  439,829  326,523  38,970  22,212  50,410  25,777  32,944  14,738  4.0  6.0  10.0
07/3  482,608  355,235  42,220  19,692  61,723  31,478  40,044  20,280  6.0  8.0  14.0
08/3  510,000  370,000  40,000  19,000  55,000  33,000  40,000  26,500  7.0  7.0  14.0

経理処理の変更
1.有形固定資産の減価償却を連結子会社を含め、備忘価額(1円)まで償却に変更 
   当期分 営業損益、経常損益が4億円減少
   過去分 特別損失に88億円計上

   ◎ 税法改正を先取りし、かつ、残存の5%を一括償却 文末参照

2.天然ガス等の開発費
   従来:特別損失
   改正:販売費一般管理費 「天然ガス系」の営業損益 11億円減少

   
営業損益対比 (億円)
  06/3 07/3  差異
天然ガス系 54 25 -29
芳香族 57 74 17
機能化学品 137 172 36
特殊機能材 135 145 10
その他 4 5 1
全社 4 2 -2
営業損益合計 390 422 32
   
天然ガス系化学品
  メタノールは、需給がタイトな状況の中、世界的にプラントトラブルが相次ぎ、市況が高騰。
海外メタノール生産会社の持分法利益も大幅に増加。
  酵素・補酵素類は、コエンザイムQ10の販売価格の大幅下落で減収減益 (2007/5/1 カネカ決算 参照)
  開発費の経理処理変更で従来ベースより 11億円減少
   
機能化学品
  ポリカーボネート、ポリアセタールは原料価格上昇等により若干採算が悪化
  ポリカーボネートシート・フィルムは増収増益
持分法の三菱エンジニアリングプラスチックスも、タイのPC生産会社からの特別配当も加わり増収増益

平成19年度税制改正において、減価償却制度の改正などが盛り込まれた法人税関係法令の改正が行われた。
償却可能限度額及び残存価額の廃止等
2007年4月1日以後に取得をされた減価償却資産
  償却可能限度額(取得価額の95%相当額)及び残存価額を廃止
耐用年数経過時点に「残存簿価1円」まで償却できるようになった。
   
2007年3月31日以前に取得をされた減価償却資産
  取得価額の95%相当額(従前の償却可能限度額)まで到達している減価償却資産については、
翌事業年度(2007年4月1日以後に開始する事業年度に限る)以後において、5年定額償却で残存簿価1円まで償却
 (算式)償却限度額=〔取得価額の5%相当額-1円〕x 償却月数/
60
 

 


* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

米コンパウンド会社 Teknor Apex が蘇州でコンパウンドの生産を行う。アジアではシンガポールのSingapore Polymer Corporation SPC)を買収し、コンパウンド技術を移転したのに続く。

生産するのは子会社Teknor Apex (Suzhou) Advanced Polymer Compounds Co. で、家電、自動車、建築、エレクトロニクス、医療器具、電線・ケーブル、その他向けに国際規格に合ったコンパウンド(硬質・軟質塩ビやTPE、エンプラコンパウンドなど)を生産する。当初能力は2系列計 14千トンで、2年内に増設する。

ーーー

Teknor Apex 1924年に Apex Tire Company としてスタートした。
1949年に電線・ケーブル産業がゴムから塩ビに原料転換するのを機に塩ビコンパウンド生産を始めた。塩ビホース生産から Lawn and Garden 事業が出来た。 
1959年には着色料の販売を開始している。

現在、次の7部門を持つ。
Vinyl
Thermoplastic Elastomer
Teknor Color Company
Chemicals
Specialty Compounding
Lawn & Garden
Commercial Products

ーーー

200110月、同社はシンガポールのSingapore Polymer Corporation (SPCを買収した。

SPCはNorsk Hydro とシンガポール開発銀行のJVで、以前はPVCを生産(能力28千トン)していたが、その後レジンの生産を中止し、次のようなコンパウンド等の生産を行っていた。(能力70千トン)
 硬質・軟質塩ビコンパウンド、着色料・添加剤マスターバッチ、ポリオレフィンコンパウンド、
 スチレン・ポリオレフィンコンパウンド、TPE、その他

SPCは既存製品とともに、Teknor Apex が開発した製品を合わせ供給し、アジアに拠点を持つ多国籍企業に米国と同じ製品を供給した。
Teknor Apex の7部門のうち、Lawn & Garden Commercial Products を除く 5部門がSPCを通じてアジア進出を行った。

ーーー

2004年12月、Teknor Apex は英国と米国でエンジニアリング樹脂コンパウンドを供給する英国のChem Polymer を買収した。

英国2工場、米国1工場で合計能力30千トンを持ち、自動車、家電、電子電機、その他向けに、ナイロン6 66、アセタールPBTPET 等のコンパウンドを供給する。

この買収により、Teknor Apex は技術ベースの幅と活動地域を広げるという長期戦略で一歩を進めた。
同社はまた、
Chem Polymer の英国工場で2008年に従来製品の生産を開始する。

ーーー

これらにより、Teknor Apex は米国、英国、シンガポール、中国の米・欧・アジア3極で汎用樹脂からエンジニアリング樹脂までのコンパウンドを供給することとなる。

ーーー

* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

石化大手の決算も発表になった。

昨秋のナフサ値下がりで製品値下がりが懸念されたが、その後ナフサ価格は値上がりし、5月9日には過去最高値を更新する勢いで、逆に製品値上げが浸透した。
しかし、中国向け中心のPTAやVCMなどは値下がりの影響で前々期に比して利益は大きく下がっている。
電子材料が各社好調ななかで、液晶テレビの価格下落を受け、住友化学の情報電子化学の大幅減益が目立つ。

東レ

売上高は4年連続、営業利益及び経常利益は3年連続、当期純利益は2年連続で過去最高を更新

                                  単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 1,427,488  499,339   93,043  37,545   87,650  53,639  47,409  24,152  4.0  4.0   8.0
07/3 1,546,461  548,214  102,423  42,845   97,520  52,130  58,577  17,510  5.0  5.0  10.0
08/3 1,660,000  600,000  108,000  40,000  101,000  46,000  56,000  26,000  5.0  5.0  10.0

 2008/3予想:
   税制改正による減価償却費の増加分を除いた従来ベースは
   連結営業利益 113,000、経常利益 106,000、当期純利益 59,000百万円

営業損益対比 (億円)
  06/3 07/3  差異
繊維 207 192 -15
プラスチック・ケミカル 185 192 7
情報・通信機器 313 335 22
炭素繊維複合材料 118 181 63
住宅・エンジニアリング 49 60 10
その他 65 82 17
全社 -6 -17 -11
営業損益合計 930 1,024 94

炭素繊維複合材料が増益(118億円→181億円)
国内: 航空宇宙・スポーツ・産業各用途とも旺盛な需要に対応し、炭素繊維、
中間基材、成形品それぞれを拡販。
2007/1に稼働開始した愛媛工場増設分の増産・増販効果もあり、増収増益。
   
海外: 航空機用途・産業用途とも旺盛な需要に対応し拡販。
2006/1から増設設備が稼動した米国子会社の増産・増販効果もあり、増収増益。

 

ーーー

三菱ケミカルホールディングス

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 2,408,945   1,487  133,619    438  143,575    144   85,569     81    8.00   8.00
07/3 2,622,820  36,800  128,589  34,553  141,296  33,978  100,338  55,898  7.00  7.00   15.00
08/3 2,900,000      148,000     145,000    186,000      8.00  8.00   16.00

  

営業損益対比 (億円)
  06/3 07/3  差異
石油化学 309 282 -27
機能化学 466 350 -116
機能材料 228 243 15
ヘルスケア 340 396 57
サービス 105 106 1
全社 -111 -92 20
営業損益合計 1,336 1,286 -50
   
石化: テレフタル酸、エチレングリコール等の海外市況が弱含みで推移
生産設備トラブルの影響等
 
機能化学: 炭素事業における原料炭在庫の受払差が当期は差損に転じたこと等
   
ヘルスケア: 主力医薬品の販売数量増
販売手数料や退職給付費用等販売管理費の減少
   

ーーー

三井化学

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 1,472,435  852,955  58,705  25,552  61,989  34,246  44,125  14,967  4.0  4.0   8.0
07/3 1,688,062  991,787  91,678  31,720  95,478  38,373  52,297  20,996  4.0  6.0  10.0
08/3 1,800,000 1,050,000  90,000  26,000  87,000  31,000  43,000  22,000  6.0  6.0  10.0

国内連結子会社の一部で、建物を除く有形固定資産の減価償却の方法を、当期より定額法から定率法に変更。
三井化学に合わせるもので、従来の方法と比べ、当期の減価償却費は12億円増加。

  2006/3 2007/3 増減  内訳
数量差 価格差 比例費差 固定費差等
機能化学品   108   135    27    52   △ 3   △ 19    △ 3
機能樹脂   101   222   121     9   239   △ 138     11
基礎化学品   218   110 △ 108    44   541   △ 699      6
石油化学   159   454   295    61   662   △ 429      1
その他     6    21    15     2     2    △ 6     17
消去・全社   △ 5  △ 25  △ 20         △ 20
合計   587   917   330   168  1,441  △1,291     12

 機能樹脂:エラストマー、特殊ポリオレフィン、エンプラ。塗料用原料樹脂
       アクリルアマイド、ウレタン原料、ウレタン樹脂
 ◎ TDIの市況が東・東南アジア、特に中国で改善

 基礎化学品:PTA、PET、フェノール、ビスフェノールA、EO/EG
 ◎ 各製品とも原料価格の高騰によるコストアップ分の全てをカバーするには至らず。

ーーー

住友化学

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 1,556,606  755,037  120,790  30,795  141,127  62,159  90,665  50,956  4.0  6.0  10.0
07/3 1,790,026  885,557  139,623  45,928  157,981  70,595  93,860  83,711  5.0  7.0  12.0
08/3 1,910,000  930,000  130,000  38,000  130,000  60,000  70,000    48,000  6.0  6.0  12.0

同社の場合、特に説明がないが、日本経済新聞 2006/9/8によると、退職年金積み立て超過が612億円あり、3年間で業績に反映させるので、本年度は約 200億円の増益要因になっている。

   
営業損益対比 (億円)
  06/3 07/3  差異
基礎化学 100 135 35
石油化学 179 236 57
精密化学 98 131 33
情報電子化学 217 35 -182
農業化学 166 233 67
医薬品 383 562 179
その他 58 80 23
全社 7 -15 -22
営業損益合計 1,208 1,396 188
情報電子化学:
   液晶ディスプレイ材料における売価の低下、減価償却費・試作開発費等の固定費の増加で前期比 182億円減益
医薬品:
  大日本住友製薬の業績が通年で寄与。

薄型テレビの競争は激しく、少し前まで1インチ 1万円だったのが、3千円を切った。今後も下がることは必至で、上がることはあり得ない。
液晶ディスプレイ材料もコスト削減でどこまで採算を維持できるかがキイであろう。
1年前の懸念が的中した。
  2006/3/4 
ハイテク材料バブル説  

付記
液晶用光学フィルム最大手の日東電工でも、「液晶テレビ用の需要が拡大したが、製品価格低下の影響を大きく受け、また液晶テレビパネルの急速な大型化の影響により、光学フィルムの歩留まりなど生産効率が悪化」したとしている。
液晶表示関連材料の属する電子材料部門の営業利益は、前期の587億円から314億円に46.4%減となった。

ーーー

東ソー

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3  648,810  444,024  47,459  26,203  49,731  31,191  27,532  16,288  3.0  3.0  6.0
07/3  781,347  520,068  60,279  33,584  57,998  38,466  28,488  22,353  3.0  5.0  8.0
08/3  840,000  550,000  59,000  33,000  54,000  36,000  28,000  22,000  4.0  4.0  8.0

売上高、営業利益、経常利益はいずれも過去最高。

 
営業損益対比 (億円)
  06/3 07/3  差異
石油化学 128 140 12
基礎原料 56 61 5
機能商品 266 372 105
サービス 24 30 6
営業損益合計 475 603 128
   
機能商品:
  無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、水処理装置、電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット)、機能材料、ウレタン原料等
日本ポリウレタン工業を連結子会社化し、ウレタン原料が新たに加わった。
   
同社の増収・増益要因の説明
(1) VCM、PVC、キュメン等の国際市況商品の輸出価格を国際需給バランスの好転を支えに底上げできたこと
(2) ポリエチレン、苛性ソーダ、PVC等の国内価格についても原燃料の上昇分を転嫁することで是正できたこと
(3) エチレンアミン、ジルコニア、石英ガラス、体外診断用医薬品など育成・強化に注力した機能商品の多くが順調に伸びたこと
(4) 日本ポリウレタン工業を連結子会社化したことによって全体の収益力を強化できたこと等

(1)のVCM、PVC価格は、大幅値下がりからの底上げで、それらの属する基礎原料部門の営業損益は前々期の204億円からは非常に下がった状況にある。 

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