「no」と一致するもの

スイスのClariant 14日、リストラ構想を発表した。

今回のリストラ構想では、5億スイスフラン(500億円弱)を投じて、工場を10%減らし、2200人の減員を行い、製品数も最低25%減らし、これにより長期の利益ある成長を図るとしている。具体的は閉鎖プラントは明らかにしていない。

第一段階として投資資本利益率(
Return on Invested Capital)を2009年末までに現在より25%増やし、業界平均の10%よりも高い水準にする。

販売・流通を今までよりも、もっと需要家重視、特定市場重視に改める。原料購入やサプライチェーン、工場管理等の事業部支援は今までよりも集約し、機能的にする。

各部門とも、成長著しいアジア、特に中国とインドを重視する。
新事業開発
early-stage incubatorprojects)にも注力する。4年間で1億スイスフランを投資する。

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同社は Sandoz の化学品部門1995年にスピンオフして出来た企業で、Sandoz そのものは1997年にCiba-Geigy と合併し、生命科学に特化したNovartis となっている。

Clariant 1997年にHoechst の化成品部門を買収した。
その時点では
Hoechst Clariant の株式の45%を取得して傘下に収めたが、1999年にHoechstRohne Poulent と合併してAventisになった時点でClariant 株式を売却している。 
(その後、
2004年にAventis Sanofi Synthelabo と合併し、Sanofi Aventis となっている)

なお、Clariant 1998年に、Novartis から分離したCiba Specialty Chemicals (元 Ciba-Geigy の化学品部門)との合併合意をしたが、同年末に破談となっている。

 

Clariant は現在、次の5つの事業部から構成されているが、Life Science Chemicalsは来年初めに廃止となる。

1)テキスタイル・レザー・ペーパー事業部
   Textile、Leather、Paper用化学品

2)顔料・添加剤事業部
   Coating、Plastic、Printing、Specialties

3)マスターバッチ事業部
   Europe North、Europe West、Europe South、Special Markets、
   Asia、North America、Latin America
   ◎
チバ・スペシャルティ・ケミカルズのマスターバッチビジネスを買収する。

4)機能化学品事業部
   D
etergents、Performance Chemicals、rocess Chemicals

5)Life Science Chemicals
   受託製造ビジネス、スペシャリティ中間体ビジネス

   ◎受託製造ビジネスは農薬業界の低迷を受け、売却に着手
    中間体ビジネス(シリコン、グリオキサル、グリオキシリック酸誘導体)は2007年1月に機能化学品事業部に統合

Eastman Chemical はこのたび投資家への説明会の席で、石炭を原料とする製品の量を倍増し、50%程度にしたいとし、メキシコ湾岸の石炭ガス化計画に参加すべく交渉していると説明した。

Eastman Chemical は1920年にEastman Kodak に写真用の化学品供給のために設立され、1994年にEastman Kodak から分離独立した。2005年の売上高は70億ドル。

アセチル、オレフィン、ポリエステルを原料に、以下の製品グループがある。
Fibers
Performance Chemicals and Intermediates
Performance polymers PET
CASPICoatings, Adhesives, Specialty PolymersInks)
Specialty plastics Copolyester Cellulose plastics

PET樹脂では世界最大のメーカーで、同社は革新的技術「IntegRex」(melt-phase-only technology を開発し、これを使った年産35万トンの工場をサウスカロライナ州コロンビアに建設した。

 

同社の構想によると、石炭ガス化計画に参加して低コストの合成ガス(Syngas)からメタノールを製造し、これを原料として同社の技術でプロピレンをつくり、各社製品の原料とする。
もう一つの計画として、メタノールからエチレングリコールを製造し、これを原料にPETとコポリエステルを製造する。目標は2011年稼動。

同社は過去23年間、テネシーの工場で石炭ガス化でコスト面でメリットを得ており、今回、これを拡大しようとするものとしている。

これとは別に、同社はPETの拡張計画も説明した。
上記の
IntegRexによるプラントは先般スタートし、来年はじめにフル稼働するが、合理化により2008年には10万トン増の45万トン能力に引き上げる。
これに加えて、リファイナリーのパートナーと組んでの第二のIntegRex計画を
検討中で、能力は70万トンを考えているとのこと。

同社のプレゼンテーションは
http://library.corporate-ir.net/library/61/611/61107/items/221453/2006InvestorDay2.pdf

Basellとサウジの Sahara Petrochemical Company JV、Al-Waha Petrochemical Company はこのたび、イスラム法( Shariah )に基づく融資契約を地元の6行と締結した。
シャリアではイスラム教徒に利子の授受を禁止している。その為、イスラム法の教えに沿ったイスラム債券スクーク(Sukuk)というものができた。「利子」は駄目で、レンタル料、貸出料を取ったり、利益配分を行う。

 

Basellはサウジで3つのプロジェクトを行っているが、イスラム法による融資契約は初めて。
同社では「
サウジで初めて、Shariahに基づく non-recourse project financing 親会社の保証に依存することなく、子会社の当該事業から生み出す収益及びプロジェクト資産のみに依存)に成功し、喜ばしい」としている。

 

なお、SABICは7月にサウジ金融市場庁から30億リアル(約9千億円)のスクークの発行の承認を得ている。
2006/7/12 
SABIC、国内で初のイスラム債券発行」 参照

また、日本の国際協力銀行は原油収入の増大が続く産油国のオイルマネーを取り込むため、日本の金融機関としては初めてShariahに基づくスクークを発行する。2007年前半にもマレーシアで数億ドル規模を発行、08年には中東で起債する。

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Basellのサウジでの計画は以下の3つ。

今回のAl-Waha Petrochemical Company、Basell 25%、 Sahara Petrochemical Company75% のJVで、Al-Jubail でプロパン脱水素によるプロピレンとSpherizonePP 450千トンを建設中。2009年に商業運転を開始する予定。

Saudi Polyolefins Co.Basell 25%Tasnee Petrochemicals 75%JVで、2004年5月からAl-Jubail でプロパン脱水素によるプロピレン450千トンとPP 450千トンを生産している。現在のPP能力は500千トンで、2008年末までに800千トンに増強する。

3つ目は本年6月に設立された Saudi Ethylene and Polyethylene Companyで、Basell 25%出資し、Tasnee と Sahara その他のJVのTasnee & Sahara Olefins75%出資している。
Al-Jubail
にエチレン1,000千トン、プロピレン 285千トン、HDPE(Hostalen ACP法)400千トン、LDPE(Lupotech T法)400千トンを建設する。2008年第4四半期にスタートの予定。

Sahara Petrochemical CompanyTasnee Petrochemicals については
2006/5/13 「サウジの民間ポリオレフィン計画」参照  

付記 

Sahara Petrochemical の親会社 Al-Zamil はこのたび、Chemtura とのJVを設立してJubail にワールドクラスのアルキルアルミ工場を設立する計画を発表した。サウジ周辺でPEやPPの触媒としてアルキルアルミの需要が増大しているのに対応する。

Al-Zamil はChemturaの前身のGreat Lakes Chemical Corporation とのJV、Gulf Stabilizers Industriesを既に設立しており、2000年から、添加剤、抗酸化剤などを生産している。

Chemturaについては2006/11/14 「合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC」参照

 

中間決算対比 - 化学業界の話題

各社の中間決算がほぼ出揃った。別紙に化学、医薬専業に分けて、各社の前年上期及び当期の、連結売上高、営業損益、経常損益、当期損益を対比した。下記をクリックしてください。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taihi-200609.htm

このうち、信越化学と武田薬品の損益が圧倒的である。
両社の中間決算については、下記参照。

2006/10/26 「信越化学 中間決算好調
2006/11/9 「武田薬品の中間決算」  

化学では多数の会社の損益が前年同期比を上回っているが、部門別には問題となるケースがある。

以下、主な会社の内容をみる。(単価は金額:百万円、配当:円)
グラフはクリックすると大きくなります。

住友化学 

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間  688,432  349,574   56,625  11,685  72,035  32,155  39,350   28,373   4.0  
06/9中間  854,621  425,773   68,214  19,214  75,920  36,922  53,283  56,783   5.0  
                     
05/3 1,296,315  667,698  105,182  25,993  123,476  42,240  64,452  34,867   3.0   5.0
06/3 1,556,606  755,037  120,790  30,795  141,127  62,159  90,665  50,956   4.0   6.0
07/3 1,785,000  880,000    ー      150,000  69,000  91,000  78,000   5.0   5.0

石油化学の営業損益は原料価格の上昇の影響があり前年同期に比べ14 億円減少。Sumikasegeigyo
情報電子化学は
値下がりで25億円減少。

逆に、農薬は49億円、医薬は76億円の増益となった。
子会社の住友製薬が2005年10月に大日本製薬と合併し、大日本住友製薬となっている。

同社の場合、説明がないが、日本経済新聞 2006/9/8によると、退職年金積み立て超過が612億円あり、3年間で業績に反映させるので本年度は200億円の増益要因になるとなっており、100億円程度の益が算入されていると思われる。

旭化成は退職給付会計における数理計算上の差異を2005年3月期に発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を取ったが、2006年3月期の差額が236億円と多額になったため、2007年3月期からは10年償却に変更して影響を緩和している。

三菱レイヨンは退職給付会計における数理計算上の差異を、発生の翌期の1年間で営業費用として処理する方法を採用している。2005年9月中間では4億5千万円の損失だが、2006年9月期では71億円の利益と、大きな差が出ている。

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三菱ケミカルホールディングス

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間 1,134,726  464,383   71,922  22,458  79,092  35,232  46,054  18,821   3.0  
06/9中間 1,263,457   22,275   56,640  21,187  64,531  21,115  61,945  42,896   7.0  
                     
05/3 2,189,462  870,275  148,624  51,921  148,069  62,921  55,372  30,177   0.0   6.0
06/3 2,408,945    1,487  133,619    438  143,575    144  85,569    81   3.0   8.0
07/3 2,600,000   36,800    ー      135,000  33,800  98,000  55,700   7.0   7.0

2005/10/1三菱化学と三菱ウェルファーマは株式移転により共同して完全親会社(共同持株会社)三菱ケミカルホールディングス(HD)を設立し、その傘下に入った。
2006/3から三菱ケミカルホールディングス
(連結決算は、三菱化学の中間期連結決算数値を引継いで作成、単独は2005/10からのHDのもので、
売上高は「営業収益」で、受取配当+運営費用収入を示す。Mitubishisegeigyo

配当は2005/9は三菱化学。2006/3以降はHD。三菱化学株主にはHD株を0.5株割当のため、実質的にはこの半分。

 

営業利益は、原料価格の上昇が販売価格の上昇を上回ったこともあり、前年同期比153 億円減少した。うち、石化は鹿島事業所のトラブル等の影響もあり、前年同期比86 億円減となっている。

なお、同社は棚卸資産の評価について総平均法をとっている。
上半期のようにナフサ価格が急上昇している場合、住友化学や三井化学のような後入先出法会社では当期の高いナフサ価格に基づく高い製品価格が原価となるが、同社の場合は前期末残の安い価格と平均されたものが原価となり、利益が多目に出る。
逆にナフサ価格が急落して、製品価格が下がっても、前期末の高いコストが反映されるため、下期はこの影響を受けることとなる。

ーー

三井化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間  693,624  396,654   23,329  12,422  24,173  19,252  17,215    445   4.0  
06/9中間  833,985  490,591   33,488   9,714  36,744  15,001  20,292   9,406   4.0  
                     
05/3 1,227,547  833,525   80,491  42,872   79,737  44,612  26,192   6,306   3.0   4.0
06/3 1,472,435  852,955   58,705  25,552   61,989  34,246  44,125   14,967   4.0   4.0
07/3 1,700,000 1,000,000    ー       75,000  29,000  40,000  16,000    4.0   4.0

同社は本年度から、建物を除く有形固定資産について主として定率法によることに変更した。この変更により、従来と比較して、当期の減価償却費は59億円増加した。Mitsuisegeigyo

石油化学の営業損益は定期修理のスキップもあり104 億円増となったが(前年同期が低すぎた)、合繊原料等の基礎化学品は91億円の減となった。
ウレタン原料等の機能樹脂はTDI市況の高止まり継続などで前期の2億円の赤字から61億円の黒字となった。

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東ソー

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
05/9中間  304,056  205,976   21,601  12,777  23,158  15,994  12,633   9,283   3.0  
06/9中間  374,700  255,254   22,531  11,692  23,131  14,881  11,480   8,334   3.0  
                     
05/3  588,331  388,058   56,898  37,001   55,757  40,069  29,533  19,675   0.0   6.0
06/3  648,810  444,024   47,459  26,203   49,731  31,191  27,532  16,288   3.0   3.0
07/3  780,000  525,000   ー       50,000  31,000  24,000  18,000    3.0   3.0

Tososegeigyo_2  石油化学の営業利益は固定費の増加により、前年同期に比べ962百万円減少した。
苛性ソーダ、VCM、PVC、セメントの
基礎原料は前年同期に比べ2,781百万円の大幅減で、121百万円となっている。
(2005年3月期の中間決算は106億円の利益)

日本ポリウレタン工業及びその子会社を連結子会社化したことにより、ウレタン原料が新たに加わった機能商品事業は4,851百万円の増益となった。

ーーー

カネカKaneka

ライフサイエンス部門営業損益:
  前年度 18,951百万円、前年同期 8,087百万円、当期 3,533百万円

これまで収益源であった機能性食品素材のコエンザイムQ10 が競合激化により売上高、採算ともに大幅に悪化し、減収、減益となった。
ーーー

日本触媒Nisshokusegeigyo

同社はこれまで増益を続けてきたが、今期は減益となった。

基礎化学品(アクリル酸・アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、EG、EO・誘導品)は、需要は堅調に推移したが、市況が弱含みに推移したことや原料価格の高騰による収益圧迫の影響が大きかったため、前年中間期に比べて62.5%減少した。

 

Ushousing101 17日発表された米国の10月の住宅着工件数は年率換算148万6千戸と、前月比14.6%減となった。2000年7月以来の低水準で、市場の予測を大きく下回った。11,12月が10月並みとすると、年間180万戸で、2003年よりも低い水準となる。

これが米国経済にどう響くかについては、いろいろ意見がある。
住宅需要についても、昨年の好調は転売目当ての買いによるものでバブルとみるものがある反面、日本と違い若年層が多く、需要は回復するとみる意見もある。
経済への影響も、住宅事業の雇用は不法労働者が多く、失業率は増えないので、余り響かないとの意見もある。
18日の日経は、「個人消費は底堅さを保ち、企業の設備投資も堅調」で、「米エコノミストの大勢は、景気は緩やかに減速しながらインフレを抑制、持続可能な安定成長につながるとみている」としている。

塩ビ事業をとると、住宅関連需要が多いため、影響が大きい。Ushousing102
2006/3/3 
日本の塩ビ事業」参照

信越化学の金川社長は中間決算発表時に、来年の業績見通しについて、「米国の景気が建設、自動車など下降気味なので楽観できない。今年と横ばいならいい方だと思う」と語っている。

フランスの Saint-Gobain の100%子会社の米国の塩ビ樹脂メーカー CertainTeed は建材大手でもあるが、来年2月に4つある塩ビサイディング工場のうち、カンサス州の工場を閉鎖すると発表した。住宅需要の減退、塩ビサイディング需要の減少、業界の供給過剰を理由として挙げている。
但し、残り3工場は継続するし、塩ビパイプは増設する。同社では地域別に需要に差があるとしている。

Chemtura10月末に、コア事業への集中のため、ルイジアナ州に工場を持つEPDMとゴム薬事業及び、全世界のオゾン劣化防止剤事業を売却する覚書を締結したと発表したが、同社は11日、相手先が化学分野を対象とする投資会社のLion Chemical Capital であることを明らかにした。

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Lion Chemical Capital はACI Capital とともに、2004年にPolyOneから北米のゴムコンパウンド事業を買収した。
PolyOne
2000年に塩ビ樹脂及び塩ビコンパウンドメーカーのGeon *(1993年にGoodrichからスピンオフ)とコンパウンドメーカーのM.A. Hanna が合併して出来た会社。

同社は2003年10月に、将来のコア事業はグローバルな樹脂コンパウンドとマスターバッチ事業であるとし、これに入らないゴムコンパウンド等の事業を売却する方針を出した。
Lion Chemical Capital
ACI Capital PolyOneからゴムコンパウンド事業を買収し、これをExcel Polymersとした。

なお、PolyoneはGeon (旧Goodrich)から引き継いだ塩ビ樹脂事業をOccidental Chemical と統合し、Oxy Vinyls, LP としている。出資比率はOxyChem 76% /PolyOne 24%。

* 因みに、GeonはGoodrichの塩ビ樹脂の商標をそのまま社名にしたもの。日本ゼオンも、Goodrichの塩ビ技術を導入して、Goodrichと古河グループのJVとして設立されたため、Geonをゼオンと読んで社名にした。その後、Goodrichが撤退したため、スペルをZeonに変更した。

ーーーー

2005年9月、DSMはBaton Rougeの子会社DSM Copolymer Inc.SBR事業Lion Chemical Capitalに売却すると発表した。DSMの「ビジョン2005」ではライフサイエンスと機能材に重点を置く会社に変換することとしており、SBRはコアではなくなったとした。

DSM Copolymerは旧称 Copolymer Corporation。1943年に第二次大戦に向けて米国政府が建設した合成ゴム工場の操業のためにゴム、タイヤ企業7が合同して設立した会社で、1955年にBaton Rouge工場を政府から買取った。
1989
年にDSMの子会社となった。

Lion Chemical CapitalはこれをLion Copolymer, LLC と改称した。

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Lion Chemical Capital は今回、ChemturaからGeismar, Louisiana EPDMとゴム薬事業及び、全世界のオゾン劣化防止剤事業を買収するが、これらをLion Copolymer, LLCに統合する予定。
Lion Chemical Capital はこれにより、SBR、EPDM、ゴム薬、ゴムコンパウンドを揃えることとなる。

Chemtura は2005年にCrompton とGreat Lakes Chemical が合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。農薬は旧Uniroyal の事業。

Crompton は1999年に Crompton & Knowles と塩ビ添加剤メーカーのWitco が合併して出来た会社で、今回売却のEPDMとゴム薬事業はCrompton & Knowlesが買収した
Uniroyalの事業。WitcoがUnionCarbideから買収したシリコーン関連のOsi Specialties はその後、GEに売却された。
Great Lakes Chemical は水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカー。

内蒙古の州都フフホトとドイツのフランクフルトを結ぶコンテナー貨車便 “如意号”が正式に運行を開始した。
100個の国際規格コンテナーを積んだ貨車は、フフホトから蒙古、ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由してフランクフルトまで、9,814kmを15日をかけて走る。

2004年12月に内蒙古の鉄道当局と、蒙古、ベラルーシ、ロシア、ドイツの鉄道会社が契約を結んだ。これまで20ヶ月のテストで、内蒙古のレアアース、甘粛省の菜種、広東省の繊維など、12,400トンの貨物を輸送した。

コンテナー船の場合、最低40日かかるところを14日半で運ぶことから、時間とコストを大幅に縮減する。

中国からコークス、エレクトロニクス製品、家電製品、繊維、レアアース等を欧州に輸出し、帰りにエレクトロニクス製品や家電製品の原料部品を輸入する。

月2の運行で、年間に2500のコンテナー、約50千トンの輸送を行う。

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なお、中国とASEANは現在、「汎アジア鉄道」の建設ペースを速めている。雲南省昆明を出発し、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ、カンボジア、マレーシアを通過して終点シンガポールに到着するもので、これらの国々は、中国の鉄道網を通じてモンゴルやロシアの極東地域と、またキルギス、ウズベキスタンの鉄道と合流して、中央アジア鉄道とも連結することになる。

中国鉄道部の陸東福副部長は、昆明で開かれた「ASEAN―メコン川流域開発協力第8回汎アジア鉄道特別工作会議」で、「中国は現在、国内の鉄道をどんどん建設しているところで、ASEAN諸国と一緒に汎アジア鉄道の一日も早い完成に向けて努力したい」と述べた。

Tarht2

OMVとBorealis(OMVが35%出資)は本年9月、オーストリアのSchwechat で、2億ユーロずつを投じた共同の石化投資事業の完成を祝った。

OMV エチレンを35万トンから50万トンに、プロピレンを30万トンから40万トンにした。

BorealisはLLDPE35万トンを新設するとともに、既存の21万トンのPPを30万トンに増設した。
この結果、Borealisの同地の能力は、PEが595千トン、PPが435千トン、コンパウンド9万トンとなった。

両社の協調でSchwechat は欧州の一大石化基地となる。

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11月6日、OMVはドイツ南部のババリアで4年間で11億ユーロを投じる投資計画を発表した。このうち、Burghausen 製油所には640百万ユーロを投資するが、これにはエチレンとプロピレンの増強を含んでいる。これは最近確定した南部エチレンパイプライン計画と密接にリンクしている。

エチレンは340千トンを450千トンに、プロピレンは245千トンを315千トン増やして560千トンにする。
プロピレンの増産量が大きいのは、新しい metathesis プラント建設による。

OMVの投資に合わせてBorealisは2億ユーロを投じて33万トンのPPプラントを新設する。OMVのプロピレン増設で、原料を確保した。
完成後のBorealisの同地の能力はPE 175千トン、PP 570千トンとなる。

ECは先日、ババリア州政府による南部エチレンパイプラインEPS)社への補助金支払いを承認した。
EPSは
BASF, Borealis, Clariant, OMV Deutschland, Ruhr Oel, Vinnolit, WACKER のコンソーシアムで、 BASF本社工場のあるLudwigshafen (既存パイプラインの東南端)とババリアのMunchsmunsterを結ぶ 357kmのエチレンパイプラインを建設する。
2006/10/27 「
ババリア・エチレンパイプライン建設補助金承認」 参照

これによりOMVはエチレン余剰時の輸出、不足時の輸入が可能となり、増設後のエチレンプラントの弾力的な運営が可能となる。

ーーー

OMV Aktiengesellschaft はオーストリアの製造業では最大の上場企業。中欧での最大の石油・ガス企業で、5大陸、18カ国で石油の採掘生産を行っている。
Borealisに35%出資している。

Borealis 1994年にノルウエーのStatoil とフィンランドのNeste の石化事業を統合して設立されたが、1997年にNesteが、2005年にStatoilも、持分をオーストリアのOMVアラブ首長国連邦IPICに売却した。
IPICAbu Dhabi National Oil 50%Abu Dhabi Investment AuthorityNational Bank of Abu DhabiのJVが50%出資した会社で、現在のBorealisの出資比率はOMV35%IPIC65%となっており、Borealisは実質的にAbu Dhabi National Oil の子会社である。

同社の能力は以下の通り。(単位:千トン) 2006/11

  Austria Germany Italy  Belgium Finland Norway Sweden USA  Brazil
エチレン           330   225*   625    
プロピレン         480   230    40*   220    
PE   595   175     330*   330   270   600    
PP   435   240     635   160   175      
Compounds    90     30   115         65   49
フェノール           130        

注 ・Norwayのエチレン、プロピレンはNorsk Hydro とのJVのNoretyl の同社持分
  ・他にベルギーにデュポンとのJV、
Speciality Polymers Antwerp (PE 125)
  ・2004年にポルトガルの
Borealis Polimeros LdaRepsolに売却(エチレン350、プロピレン 180、LDPE 145、HDPE 130)

Abu Dhabi National Oil Borealisはアラブ首長国連邦でAbu Dhabi Polymers Borouge)を設立、エチレン600千トン、PE 580千トンを生産しているが、2010年完成でエチレン1,400千トン、PE 540千トン、PP 800千トンを計画している。

2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)参照

 

CITICはこのたびカナダのNations Energy Co. から同社の最大の資産であるカザフスタンの Karazhanbas 油田を19億ドルで買収すると発表した。同油田は埋蔵量が340百万バレル以上で、最近の生産量は5万バレル/日以上。

2005年には中国石油天然ガス集団(CNPC)がカザフスタンに油田の権益を持つカナダのペトロカザフスタンを41億8千万ドル買収している。(その後、カザフ国内ではエネルギー分野で急速に存在感を増す中国に対する脅威論も広がり、カザフでの事業を円滑にするためカザフ国有石油に株の33%を譲渡している)

ーーーー

売り手のNations Energy は1996年に設立されたカナダの企業だが、実はインドネシアのハシム財閥のHashim Djojohadikusumoが設立し、会長を務める会社である。

ハシム・グループ傘下のティルタマス・マジュタマは、サイアムセメント、日商岩井、伊藤忠商事との合弁でトランス・パシフィック・ペトロケミカル・インドタマTPPIを設立し、東ジャワのツバンでエチレン/アロマの一大コンプレックスを建設しようとした。(ツバン計画)

しかし、1997年の通貨危機で資金手当てができなくなり、工事中断に追い込まれた。
その後も
Hashim は経営権を手放さず居座ったが、最後に追い出された。

ツバン計画はその後、出資者と事業内容を変更し(ケロシン、ディーゼル、ナフサ、BTX、パラキシレンの製造)、本年春から生産を開始している。
2006/4/27 「
インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-2参照

パラキシレンはインドネシアでのPTAが好調でフル操業をしており、来年に現在の50万トンから80万トンに手直し増設を行う。


ハシムはインドネシアの財産をほとんど没収されたが、海外に莫大な財産を持っていた。

1996年にNations Energy を設立し、1997年にはカザフスタンのJSC karazhanbasmunai 94.6%を買収した。1999年に生産量が4,900bpdだった同油田は2004年末には50,000bpdに増大した。
2003年にはアゼルバイジャンで石油採掘を開始、同年、カリフォルニアに油田を持つカナダの会社に出資している。

本年初めから同社の売却話が多数流れていた。
まず、Chaina National Overseas Oil Company (CNOOC)
が20億ドルで同社を買収するという噂が出た。CNOOCがこれを否定すると、インドのOil and Natural Gas Company が交渉するという噂や、ロシアのOAO Lukoil が関心をもっているという噂が流れた。 

ハシムが利益の出ている石油事業を何故売却するかについて、ハシムがインドネシアに戻る積りではないかとの説が出ている。
海外事業の売却資金を、ツバンを含むインドネシアの財産を買い戻したり、実兄が所有し、資金繰りに困っているパルプ会社
PT. Kiani Kertas への融資に当てるのではないかというものである。

PT. Kiani Kertas は通貨・経済危機時に破綻し、その後、ハシムの兄で、元スハルト大統領の女婿で軍の特殊部隊の司令官を務めていたプラボオ元中将とその仲間が所有している。

 

 

三井農林が開発した高純度茶カテキンを原料とする皮膚病用の塗り薬が10月、米食品医薬品局から植物由来医薬品としては初めて承認を受けた。

ドイツの医薬品開発ベンチャーのMediGene三井農林の高純度カテキン「ポリフェノンE」を使った皮膚疾患「コンジローマ」の治療軟膏の承認を受けたもので、昨年9月に申請していた。

ポリフェノンEは茶葉から抽出された総カテキンを90%以上まで精製した高純度カテキンで、抗酸化、抗菌、抗がんなどの作用があるとされるエピガロカテキンガレート6070%含まれている。Catechin_1
三井農林は
北京がんセンターとの共同研究で、ヒトパピローマウィルスによるコンジローマを抑制することを発見、97年に国際特許を取得し、2000年からMediGeneと提携して新薬の開発に取り組んで来た。
同社は2005年9月にポリフェノン
EFDAに原薬として正式登録している。

コンジローマはパピローマウィルスにより良性ではあるが伝染性の腫瘍(イボ)が性器や肛門にできる病気で、難治といわれており、北米では約1400万人、ヨーロッパでは1500万人がパピローマウィルスに感染しているといわれている。

MediGeneは米国の提携先の Bradley Pharmaceuticals, Inc.に販売権を供与した。米国での販売額は1億ドルにも達するとみられている。MediGeneは欧州での申請を準備中。

これを受けて、三井農林では、原料手当てから原薬製造まで一連の投資に着手し、原薬の供給体制の整備を進めている。
中国に茶原料および中間原料基地を確保するとともに、ポリフェノン
E商業生産のためアルプス薬品工業の工場施設を借受け、三井農林が約45億円の投資を行って製造設備の設置に取組んでいる。

同社では又、ポリフェノンEを使い、がん予防薬の開発に取組んでいる。
1997
年以来、米国有数のがん研究機関と協力して、米国の著名な大学研究所、医療機関研究所8ヶ所でポリフェノンEを使った多種類のがんに対する予防薬としての臨床実験を行っている。がんの前駆症状に対し、ポリフェノンEを投与することにより、いかに進行がおさえられ、症状が改善するかという臨床実験で、第2相試験が進行中。

三井農林は1980年に日本の企業として初めて、茶カテキン、茶ポリフェノールの研究に着手した。翌年には、世界で初めて茶葉からカテキンだけを抽出する技術を開発、こうした研究から生まれた緑茶抽出物を「ポリフェノン」と名付け、商標登録をした。

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