「no」と一致するもの

旭化成ケミカルズは8月8日、同社とダウ・ケミカルのJVのスタイロンアジアと斯泰隆石化(張家港)有限公司の旭化成ケミカルズ持分を、ダウ・ケミカルに譲渡することに合意したと発表した。

スタイロンアジア
 英文名: Styron Asia Limited
 株 主:旭化成ケミカルズ、ダウ・ケミカル両社折半(50/50)
 設 立: 1994年
 事 業:PSの中国顧客および東南アジア日系顧客へのマーケティング会社
 本 社: 香港
  
斯泰隆石化(張家港)有限公司
 英文名: SAL Petrochemical (Zhangjiagang) Co., Ltd.
 株 主:旭化成ケミカルズ、ダウ・ケミカル両社折半(50/50)
 設 立: 1998年設立、2002年11月商業運転開始
 事 業: ポリスチレンの製造・販売
 能 力: 120千トン/年、HIPSを製造
 本 社: 中華人民共和国江蘇省張家港市

譲渡理由として同社では、新中期経営計画 「Growth Action-2010」において、PS事業を、差別化、特殊化により付加価値アップを指向していく事業と位置付けており、この方針に基づき、汎用用途が主体であるアジアの2つのPS共同出資会社についてはダウ・ケミカルに譲渡することとしたとしている。今後、PS事業は、PSジャパンを事業主体として更なる差別化、特殊化戦略を推進するとしている。

* 新中期計画ではグローバル型事業拡大戦略の対象として、ケミカル系では、
  汎用系は優位性、独自性のある事業の拡大で、プロパン法ANM、直メタ法MMAなど
  高機能系では技術力に基づく未開拓・有望市場として、スパンデックス、メンブレンバイオリアクター、エラストマーを
  あげている。

同社は、旭化成グループとダウ・ケミカルは従来から友好的な関係にあり、今後も他分野での新たな提携の可能性を協議していく予定としている。

これは日本の化学企業での中国からの撤退の第1号である。

旭化成とダウがPS事業で別れるのは、これが2度目である。

最初は旭化成による旭ダウ(50/50JV)の吸収に伴うもので、当時の両社の事情が合致したことによる。

ーーー

1952年7月、旭化成とダウケミカルの50/50JVの旭ダウが設立された。

旭化成は1946年から2年以上労働争議が続いた。それが解決し、新生「旭化成」として、ベンベルグ絹糸、レーヨンの次に何をやるかが問題となり、ポリアミド繊維か、ダウが開発した塩化ビニリデン繊維(サラン)かの選択となった。

当時はナイロンはコークス副生の石炭酸を原料としたが、旭化成は石炭をもたず、逆に塩化ビニリデン原料の塩素をもち、カーバイドも近くで入手できることから塩化ビニリデンを選んだ。

旭化成は日本でのダウとのJVを計画し、ダウに当たった。呉羽化学も同様の計画でダウに接触した。
ダウは旭化成を選び、1952年7月、
50/50JVの旭ダウが設立され、延岡に塩化ビニリデン5t/dのチップ製造工場、鈴鹿に5t/dの紡糸工場を建設した。

塩化ビニリデンは米国では自動車用シートとして売れていたが日本では需要がなく、繊維としては着色面で欠陥があり、魚網用などで販売したが全く売れなかった。
(その後、塩化ビニリデンは食品包装材料として復活、1960年に「サランラップ」を販売開始した。)

旭ダウは3年半で累積損失が1億円になり、膨大は在庫を処分した損失が8億円発生した。旭化成はこれを全額負担することとし、ダウの信頼を得た。

ダウはポリスチレンの事業化を推奨、同社の技術と融資を受けて、1957年4月、ダウからの輸入SMを原料に、川崎でPS月産475t の生産を開始した。
(これは三菱モンサント化成のスタートの1ヶ月後である。三井石油化学の日本最初のエチレンのスタートは1958年2月であり、日本のPS事業はこれに先立つものである)

塩化ビニリデンと異なり、今回は事前に十分市場調査をしており、うまくスタートできた。

その後、日本石油のエチレンセンターに参加し、SMを国産化、その後、1964年にABSを自社技術で起業化(1975年にダウに技術輸出)し、SBRラテックスなども生産開始し、スチレン系を揃えた。

1960年8月にはスイス・ダウ・へミーから高圧法PE技術を導入した。
1970年の水島の旭化成のエチレンセンター稼動に合わせ、HDPE 4万トン/年を自社技術で生産している。

1960年のサランラップ発売後、旭ダウは他社が当時行っていなかった川下事業を順次行った。
 1962年 発泡ポリスチレン「スタイロフォーム」
 1967年 発泡HDPE
 1968年 二軸延伸PSシート
 1972年 合成木材(PS連続押出低発泡板「ウッドラック」)
 その他

当時の堀社長は「エチレンではめしは食えない」と述べ、誘導品や川下製品の需要を重視した。

堀社長は1974年7月に第7代の石油化学工業協会会長に就任した。石化協会長はそれまで、三菱油化、日本石油化学、三井石油化学、住友化学、三菱油化、三井石油化学と、主要センター会社が就任しており、センター会社で就任していない会社が多い中での旭化成の日米合弁会社の旭ダウ社長の就任は異例であったが、石油ショックのなかで、堀社長のリーダーシップが期待されたと言われている。

旭ダウは好業績を続け、優良会社として高い評価を得た。

旭ダウ業績
         10~9月決算 単位:億円
  売上高 経常損益 当期損益 配当率
   %
1975   910.9   31.8   20.9   20
  76  1122.3   72.9   35.3   20
  77  1163.2   88.6   43.6   20
  78  1078.6   89.7   44.1 株17.6
  79  1241.3  116.0   52.2    15
  80  1583.8  133.8   60.1   15
  81  1421.8   79.0   40.3   15

旭ダウは好業績を背景に親会社の旭化成、ダウと等距離を保ち、独立路線を維持した。

しかし、同社は石油危機に際し、原燃料高騰に危機感を抱き、安価原料入手を模索した。
これは水島コンビナート維持を図る旭化成にとり、受け入れがたいことであった。

他方、ダウは80年に入り業績悪化、欧米企業に珍しく借入金依存体制の同社には大問題で、ファイン、スペシャルティへ重点移行し、借入金依存体制からの脱却を目指し、韓国、サウジ、豪州の海外事業から撤退した。旭ダウも対象となった。
 1982 韓国ダウ、Korea Pacific(電解、EDC、VCMのJV)持株を韓国火薬に売却(現在のハンファ)
 1982 SABICとのJV(Petrokemya)から離脱

旭化成は旭ダウの合併を決意、ダウも合意した。
 1982/3/2 合弁解消契約
     6/1 旭化成100%
    10/1 合併

なお、この条件として、発泡PS(スタイロフォーム、ウッドラック)事業はダウへ移管された(ダウ化工設立)。
また、旭化成は15年間(1997年6月まで)は東南アジアでPSを、日本で押出発泡PSを生産できないと決められた。
(同様にダウも、日本でのPS生産やライセンスは15年間出来ない)

参考資料
 松尾博志「日本ジョイントベンチャー成功の秘密 旭ダウ物語」(1980年 日本工業新聞社)
 旭化成社史

ーーー

発泡PS事業のダウ化工への移管後も原料PSは旭化成が全量供給していた。

しかし、1988年4月、ダウと住友化学はポリカーボネート事業でJV契約を締結、ダウは住友ノーガタックに35%出資した。
(1992年4月にダウ50%出資とし、社名を住友ダウと改称した。
 PC工場完成後の1995年末にはABS、ラテックスを分離して住化ABSラテックス、現在の日本A&Lを設立した)

住友化学はこれの見返りにダウ化工に35%出資するとともに、原料PSの75%の納入権を得た。
(これが材料にもなり、住友化学と昭和電工は両社のJVの日本ポリスチレン工業とは別にそれぞれ千葉と川崎にPSプラントを建設することとなる。住友化学はBASF技術を導入した。昭和電工はAto技術。
その後、日本ポリスチレン工業は解散、昭和電工は旭化成に商権を譲渡し、撤退。住友化学は三井化学とPS事業を統合して新しく日本ポリスチレン㈱を設立)

旭化成ではこれにショックを受けた。
この後、旭化成はダウとの関係強化を図っている。

当初、運賃節約のためのスワップから出発したが、1994年香港に50/50出資のスタイロンアジアを設立して、PSの中国顧客および東南アジア日系顧客へのマーケティングを行った。

旭化成が東南アジアでPS事業を出来ない期間(1997年6月まで)が過ぎた後、旭化成は独自に生産するのではなく、ダウとのJVを選択、中国に50/50のJVの斯泰隆石化(張家港)有限公司を設立した。

今回、この両社の持分をダウに譲渡するもので、旭化成としてはPSのアジア市場から撤退することとなる。

 

なお、旭化成のPSの日本の拠点はPSジャパンで、出資は旭化成 45%、三菱化学 27.5%、出光興産 27.5%となっている。

三菱化学はタイに100%子会社の
HMTポリスチレン(9万トン)を持つ。
出光興産はマレーシアで
PetronasとのSM 製造JVの Idemitsu Styrene Monomer (M) Sdn Bhd (200千トン)98%出資のPS子会社Petrochemicals (Malaysia)(14万トン)を持ち、インドネシアとマレーシアにPS難燃コンパウンドの子会社を持っている。
また、台湾の高福化学工業にも35%出資している。

 

各社の第1四半期連結決算が発表になった。石油化学関係の営業損益が前年比で悪化しているのが目立つ。

 

三菱ケミカル

                  単位:億円
  2004/1Q 2005/1Q 2006/1Q
売上高  4,978  5,513  6,063
営業損益   324   376   294
経常損益   346   419   349
当期損益   163   190   218

20061qmitubishi

経常減益に対し当期損益が増となったのは、投資有価証券売却益等の特別損益が58億円(前年は10億円)あったため。

セグメント別営業損益は添付の通り。

合成樹脂、合繊原料等の石化部門の営業損益は前年比で大幅減となっている。
  2004  10,008百万円
  2005   7,663
  2006   1,558

同社では「原燃料価格の値上がりとそれに対応した製品価格是正との間の時間差及び海外市況が弱含みであったこと等により」、前年同期比61億円減(△79.7%))となったとしている。

ーーーー

住友化学

                 単位:億円
  2004/1Q 2005/1Q 2006/1Q
売上高  2,999  3,361  4,123
営業損益   241   297   340
経常損益   301   396   404
当期損益   167   217   204

20061qsumika当期損益は特別利益の減少(前年に事業譲渡益43億円)、特別損失の増加により、前年比減益となった。

 

セグメント別営業損益は添付の通り。

石油化学品、合成樹脂、合成ゴム等の石化部門の営業損益は前年比で減益となっている。
 2004   575百万円
 2005  5,797
 2006  3,629

但し、農業化学、医薬品が増益となり、全社では増益となった。

ーーーー

三井化学

                  単位:億円
  2004/1Q 2005/1Q 2006/1Q
売上高  2,814  3,473  4,019
営業損益   145   160   167
経常損益   144   165   191
当期損益   106   165    89

20061qmiui営業外収益の増加で経常損益は増益となったが、特別利益の減少(前年は持分変動利益86億円)、特別損失の増加(関連事業損失11億円を含む)で特別損益が差引前年比94億円の減益となり、当期損益は減益となった。

セグメント別営業損益は添付の通り。

    石油化学   基礎化学   機能樹脂  
 2005     5,022     9,365       -93 百万円
 2006     8,984     1,948     3,180  
   * 2004/1Qはセグメント別報告なし

石化原料、PE、PPの石油化学は増益となったが、合繊原料、フェノール等の基礎化学品は大幅減益で、差引大幅減となった。
同社ではPE、PPは製品価格の改定を行ったが、原料価格がさらに高騰したことにより、コストアップ分の全てをカバーすることが困難となったとしている。

これらの減益をウレタン樹脂原料等の機能樹脂、及び機能化学品で補い、全社としては前年比増益となった。

ーーーー

旭化成

                  単位:億円
  2004/1Q 2005/1Q 2006/1Q
売上高  2,948  3,286  3,485
営業損益   182   136   153
経常損益   192   146   151
当期損益   120    52    92

20061qasahi セグメント別営業損益は添付の通り。

ケミカルズ部門の営業損益
 2004
 5,100百万円
 2005  6,900
 2006  5,500

汎用事業は、ポリマー系事業においてエンジニアリング樹脂の海外子会社が好調に推移したものの、モノマー系事業のアクリロニトリルやスチレンモノマーが原燃料価格高騰の影響を強く受けたことに加え、プラントの定期修繕の影響もあり、前年同期に比べ減益となった。
これに対して高付加価値系事業は、リチウムイオン二次電池用の微多孔膜「ハイポア?」や、イオン交換膜事業が好調に推移し、前年同期に比べ増益となった。

ーーーー

東ソー

                  単位:億円
  2004/1Q 2005/1Q 2006/1Q
売上高  1,200  1,405  1,731
営業損益    61    87    47
経常損益    65    97    51
当期損益    45    58    18

20061qtoso売上高は前年同期に比べ増収となったが、積極投資による償却費、隔年大型定修による修繕費等の固定費の増加により、減益となった。

セグメント別営業損益は添付の通り。

    石油化学   基礎原料  
 2004     - 419     2,117 百万円
 2005     2,823     1,077  
 2006     1,076    -3,067  

オレフィン、SM、PE等の石油化学は減益、VCM、PVC等の基礎原料は40億円減益の30億円の赤字となった。

 

ーーーー

なお、12月決算の昭和電工は8日、上期中間決算を発表した。

                  単位:億円
  2004/中間 2005/中間 2006/中間
売上高  3,483  3,910  4,270
営業損益   222   271    338
経常損益   162   234    285
当期損益    64   209    151

セグメント別営業損益は添付の通り。Sdksegeigyo

    石油化学   電子・情報  
 2004/上     7,625     6,883 百万円
 2005/上     11,408      7,768  
 2006/上     6,738     15,848  

石油化学は減益となったが、電子・情報の増益が上回り、全社で増益となった。

 

Repsol YPF はスペインと南米を活動の中心とし、石油探査・石油精製・石油化学を事業とする会社である。

2005年の実績は添付の通りで、利益の源泉はスペインとABB(アルゼンチン、ブラジル、ボリビア)とその他がそれぞれ1/3を占める。
石油精製・販売はスペインが中心である。

Repsol YPF    2005年実績   単位:百万ユーロ
  Gross   Income from   うち
   Revenue    Operation   Spain ABB others 
Exploitetion & Production 9,203 3,246   21 1,600 1,625
Refining & Marketing 41,298 2,683   1,980 563 140
Chemicals 4,185 308        
Gas & Power 2,765 389        
Others   -465        
Total 57,451 6,161    33%  36%  31%
Net Revenue 51,045          
Financial expenses   -722        
Income before tax   5,439        

石油化学についてはスペインに2箇所、ポルトガルに1箇所のエチレンセンターを持つ。Spain

スペインにはPuertollano25万トン、Tarragona65万トン、合計90万トンのエチレンプラントを持っている。
(スペインには他にダウがTarragona
60万トンのエチレンプラントを持つ)

ポルトガルのシネス(Sines)のエチレンセンター(ポルトガル唯一のセンター)はBorealisが所有していたもので、2004年12月にRepsol が買収した。
2001-2003年は50百万ユーロ程度の赤字を続けていたが、2004年は赤字をほぼ解消、2005年は20百万ユーロの黒字となっている。
(Borealisについては2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)参照)

Sinesのエチレンセンターはナフサを原料とし、以下の能力を持つ。

  エチレン   350千トン
  プロピレン   180
  LDPE   145
  HDPE   130

Repsolは先日、Sinesのエチレンセンターに2006-10年に6億ユーロ(約870億円)を投じ、増強すると発表した。
発電所とエチレンの増設、ポリオレフィン2プラントの新設を行う。

エチレン能力は350千トンを410千トンにアップすることとしているが、更に40%増設し、570千トンに増設する。
ポリエチレンは買収時能力275千トンを295千トンとし、更に L-LDPE 300千トン設備を新設する。
更に、PP 1系列300千トンを新設する。

これにより、Repsol のエチレン能力は現在の125万トンが147万トンとなり、添付の通り欧州で6位となる。Europeethylene

(同社の説明資料 http://www.repsolypf.com/comunes/archivos/Proyecto_Sines_eng__171867.pdf 16/37 参照。
 なお、本資料には同社の状況が詳しく記されている。)

なお、欧州のエチレンメーカーの能力は以下の欧州化学産業委員会(CEFIC)のホームページにある。
2004年末で西欧に51、中・東欧に10のクラッカーがあり、合計能力は26,524千トンとなっている。

http://www.petrochemistry.net/templates/shwArticle.asp?TID=3&SNID=9

 

先日、NovaのPS事業について述べた。

韓国のSKグループの商社SK Networks はこの度、中国の汕頭海洋集団との間で広東省汕頭市(スワトウ)の同社のPS事業子会社、汕頭海洋第一PSレジンを買収する契約を締結した。8月後半に引渡しが行われると見られている。

汕頭海洋第一PSレジンは汕頭市に自社技術のPS 3系列、合計能力15万トンのプラントを持っている。原料SMは購入し、製品PSは珠江デルタ地域で販売している。

原油価格高騰に伴い、中国のPSメーカーは原料SMの価格アップによるコスト高で利益が圧縮されているが、川下の家電メーカーや玩具メーカーの需要は極めて弱い状況にある。

汕頭海洋第一PSレジンでは原料SMをSK Networks から購入しているが、損益悪化により破産寸前にあり、SKへの原料代13-15百万ドルが未払いとなっていたと伝えられている。

このためSKでは1年ほど前から、企業買収の交渉を行ってきた。交渉が一時的に難航し、SKが原料供給を打ち切り、先月同社は原料切れで操業を停止している。
一つの問題は同社の株式を一部所有している汕頭市当局が、工場が都心にあるとして移転を求めたことで、これについては今後 8年から10年内に話し合うことで合意した。

汕頭海洋集団はほかに、広東省泉州市に子会社・汕頭大洋化学が5万トンのEPSプラント、同広州PSレジンが12万トンのPSプラントを所有している。

SKグループではSKC Chemical Business Group (当初の名称は油公ARCO)が蔚山のSKコンプレックスにPO 180千トン/SM 370千トンの併産プラントを持っている。(PS事業は直接は行っていない)
今回の買収により、SKは中国市場に初めて進出することとなる。

韓国勢ではLGが寧波でABS事業、天津でPVC事業(電解からVCMまでを新設中)を行っている。また、EPSメーカーのSH Chemicalが江蘇省常州市のShinho (Changzhou) Petrochemicals (常州塑料集団とのJV)でABSを製造している。 

 

中国で苦境にあるのはPSだけではない。

PVC大手の上海クロルアルカリも原材料価格の高騰の中で、供給過剰による値下がりの影響を受け、営業損益ベースで大幅な赤字となっている。

上海クロルアルカリ決算  単位:百万元
  売上高 営業損益 純損益
2003/12  3,906     55    25
2004/12  4,978    105    54
2005/12  4,120    -653     4
              1元は約15円
 

中国の6月のPVC輸出量は64千トンと飛躍的に増加、1ー6月合計は247千トンとなった。6月の中国のPVC輸入量は94千トンで、近いうちに純輸出国になると見られている。

日本の石化業界は中国需要で好調な決算を続けてきたが、そろそろ、風向きが変わりだしたようだ。

本年第1四半期決算では、石油化学部門の営業損益が各社とも前年同期比で減少している。東ソーの基礎原料(苛性ソーダ、VCM、PVC、セメント)の営業損益は前年同期の1,077百万円に対して3,067百万円の赤字となった。

各社が努力している値上げも、輸入増につながる可能性もある。

 

2006/7/25 「独占禁止法に関する論点整理で「独占禁止法基本問題懇談会」の議論を踏まえた「論点整理」を紹介した。公取委では広く各層の意見を求めるとしている。

これに対して経団連では、8月1日、「独占禁止法の抜本改正に向けて、必要不可欠な論点を中心に、今後わが国における望ましい法改正の姿を具体的に示すことにより、今後の懇談会における検討が収束する方向に向かい、独占禁止法の抜本改正が現実のものとなることを期待して」、コメントを発表した。

「独占禁止法基本問題」に関するコメント
     ‐望ましい抜本改正の方向性‐
  
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/057.pdf

経団連の「望ましい法改正の姿」の概要は以下の通り。

1. 公取委の審判の廃止
公取委が、審査・審判の両方を兼ねることへの不信感を払拭するため、公取委による審判を廃止し、公取委の行政処分への不服申立ては、裁判手続に委ねる。
   
  本年1月の改正後の手続きは添付Ftckaisei2の通り。
 
  公取委が自ら審査を行い、排除措置命令・課徴金納付命令を出し、その当否を自らの審判において判断することは、公正な審理が本当に確保されるのか、不信感は払拭できないとし、現在の審判は廃止し、公取委の行政処分に対する不服申立ては行政訴訟の一般原則に立ち返って、地方裁判所に対する取消訴訟の提起という仕組みに改めるべきであるとする。
   
2. 課徴金と刑事罰の併科の解消
違反行為に対する制裁は、法人に対する独禁法上の課徴金に一本化して法人・個人に対する独禁法上の刑事罰は廃止するか、少なくとも法人については刑事罰を廃止し、制裁を課徴金に一本化することを検討すべき。

不当利得相当額以上の金銭を徴収する現行の課徴金は、違法行為の抑止を目的とする「行政上の制裁」であり、その機能は刑事罰と重なる完全な二重構造となっているとしている。

   
3. 課徴金制度の透明性、予見可能性の確保
課徴金と刑事罰の併科を解消するため、独占禁止法違反行為に対する制裁について、法人に対しては独占禁止法上の課徴金に一本化することを前提に、公正取引委員会による恣意的な裁量の余地を極力排除し、制度の透明性、予見可能性を確保する必要がある。
   
4. 適正手続の下での正当な防御権の保障
公取委による審査手続において、適正手続の下で、事業者に正当な防御権が保障されるよう、弁護士等の立会権の付与や調査者に対する「供述拒否権の告知」の規定等を、新たに公取委の「規則」ではなく「法律」に規定。
   
5. 排除措置命令の在り方の見直し
どのような事案に対して、どのような排除措置命令を講じるか等、一定のルールの設定。
   
6. 違反行為のあった会社の代表者に対する罰則の適正な運用
   
7. 公取委が行う警告制度の見直し
不服申立てができず、名誉挽回方法のない「警告」では、社名の公表は廃止。
   
8. その他
   

 

経団連の提言に対して公取委の竹島委員長は 「現行制度は合理的」として以下の通り述べている。(8/2 日経)

「公取委の審判の廃止」案に対して、
 「7人いる審判官のうち3人は法曹資格者であり、審査との独立性、中立性も保たれている」
 「第一審を裁判所が担うことになった場合に、どこまで競争法などの専門知識を備えた裁判官を確保できるかなど現実的な問題が残る。」

「課徴金と刑事罰の併科の解消」案に対して、
 「1月の独禁法改正で課徴金の水準を引き上げ、これまでの『不当利得の徴収』がら、それ以上の金銭的不利益を科す『行政上の制裁』に位置づけを変えた。だからといって刑事罰をやめるというのは反対だ。刑事罰には社会的に違反行為を糾弾する厳格な制裁としての効果があり、行政制裁金では肩代わりできない」
 「欧州でも一部の国で刑事罰を科しており、日本の制度が国際的に異例というわけではない。そもそも刑事告発するのは重大・悪質な事案に限っている。違反行為への抑止力を持たせるために刑事罰は維持すべきだ」

 

SINOPECとクウェート国営石油会社(KNPC)の石油精製プロジェクトが26日、国家発展改革委員会の承認を受けた。
SINOPECの広州石油化工がKNPCとのJVを設立し、
広州市南沙経済開発区で年間1,200万トンの石油精製を行うもの。

事前報道では15百万トンの石油精製と100万トンのエチレンコンプレックスと伝えられたが、石油精製能力は12百万トンで承認を受けた。エチレンコンプレックスについては今回の承認に含まれているかどうかは、まだ明らかになっていない。

昨年12月に中国とクウェートは広東省での石油精製計画について覚書を締結、クウェートの石油大臣がペトロチャイナと会談して協議を行った。しかし、この地域が本拠地であるSINOPECが巻き返し、政府を動かした。(石油でのSINOPECのメインテリトリーは東部と南部、ペトロチャイナが北部と西部となっている)

なお、直前の7月18日の報道では、SINOPEC、KNPCのほか、ダウともう1社欧米の石油会社が交渉に加わっているとされている。
ダウは当初、天津でのSINOPEC等とのエチレン合弁構想からは撤退したが、中国でのエチレン計画に関心を持っていると言われており、今後、同地での石油化学計画に参加する可能性もある。

Nanshamap 広州市は珠江の三角州にあり、市の南東部に黄埔地区、最も川下に南沙地区がある。

SINOPEC側で本計画を担当する広州石油化工は、同じ広州市の黄埔地区に石油精製・石油化学基地を持っており、精製能力を770万トンから1200万トンに増設中で、本年にスタートする。
(当初SINOPECはエクソンモービルと精製能力増強の共同実施の話し合いをしていたが、まとまらなかった)
また、本年2月にエチレンを既存の20万トンから80万トンに増設する計画の認可を取得した。現在の同社の誘導品能力は、PE200千トン、PP110千トン、SM80千トン、PS46千トン、ブタジェン35千トンで、
エチレン増設とともに HDPE、EVA等を新設するが、詳細は明らかにされていない。

 

サウジやクウェート、アラブ首長国連邦等は中国の石油需要増大を背景に中国への投資意欲を持っている。
他方、中国は原油確保のため産油国との関係強化を図っている。また、中国では自動車燃料や石油化学原料の需要増大に備え、今後5年間で石油精製能力を25%増やす考えである。

サウジ勢では既にアラムコが福建省泉州市の石油精製・石油化学計画に参加している。
ExxonMobil が25%、Saudi Aramco が25%、中国側(SINOPEC、福建省)が50%出資し、SINOPECと福建省の50/50合弁の福建煉油の既存の製油能力を400万トンから1,200万トンに拡張するとともに、エチレン80万トンのクラッカー、65万トンのPE、40万トンのPP、100万トンの芳香族プラントを建設するもの。投資額は35億ドルで、2005年7月に起工式を行った。2008年完成を予定している。

本計画は当初、エクソン/アラムコと福建煉油でエチレン60万トン計画のFSを実施、1999年11月の江沢民主席のサウジ訪問の際に、政府間で石油精製の増設計画に合意した。

SABICもいろいろの動きを見せている。
ダウ離脱の後、
SINOPECの天津石油化学 (旧称 天津聯合化学) は天津市の大港地区で既存の750万トンの製油所を1,250万トンに拡張し、エチレン100万トンを新設する計画をたてたが、SABICもこれに関心を示し、交渉した。
本計画は昨年末に
SINOPEC単独の計画として政府の承認を受けたが、本年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがSINOPECと再度交渉を再開したと伝えられた。
最終的にはSINOPEC単独実施となった模様。

またSABICは2004年6月に大連実徳グループと50/50のJVで、大連市の旅順港に50億ドルをかけて、年産1千万トンの製油所と年産130万トンのエチレンコンプレックスをつくる計画をたてている。現在、交渉が最終段階にあると伝えられている。

 




2006年6月のナフサの平均輸入価格が48,106円/kl となった。この結果、2Qの平均価格は46,800円/kl となり、これに諸掛(金融費用、備蓄費、税負担等)2,000円/klを加えた国産ナフサ基準価格は48,800円/klとなった。

Naphthagraph これは第二次石油危機後半の1983年4Qの48,900円/kl に次ぐものである。

なお、2006/7/17 「原油、ナフサ価格 急上昇」参照 

 

国産ナフサ基準価格は今では単なる参考価格に過ぎない。

この方式(「四半期ごとのナフサ平均輸入価格+諸掛」)は1982年7月から、石油精製と石油化学の間の「ナフサ戦争」解決のために導入されたものである。

第一次石油危機でナフサ価格は大幅に上昇した。ナフサ価格は石油精製側と石油化学側のチャンピオン交渉で決められていたが、石油化学側は石油業法によりナフサの自主輸入の道を封じられおり(ナフサなど石油類の輸入は石油精製会社しかできなかった)、 交渉力は弱く、ナフサ価格は段階的に上げられた。
日本の国産ナフサ価格は輸入ナフサ価格よりかなり高かった。それに対して米国の石化業界は原料がエタンのため影響が少なく、欧州もナフサが中心ではあったが、市場メカニズムで価格が決まるため、日本の原料価格が最も高いという状況が続いた。石化業界の不満は強く、「第一次ナフサ戦争」、「第二次ナフサ戦争」と呼ばれる抗争状況が続いた。

1982年2月、化学系石油化学メーカー7社の首脳が揃って通商産業省を訪問し、
 ①ナフサ輸入権の獲得など輸入に関する石油政策上の制約の撤廃(ナフサ輸入権の獲得)
 ②輸入ナフサに係る石油税免税措置の延長
 ③国産ナフサの石油税の石化業界への還付
 ④適正な石油価格体系の確立
 ⑤原料ナフサ備蓄義務の撤廃
の5項目を陳情し、石油化学各社が石油業法第12条の規定に基づく輸入業の届出をする用意がある旨を正式に表明した。

これに対して通産省は同年4月、産構審化学工業部会会長、石油審議会会長両氏による「石油化学原料用ナフサ対策に関する提言」を受け、「石油化学原料用ナフサ対策について」を省議決定した。その概要は以下のとおりであった。

国産ナフサの供給:石油企業と石油化学企業とは各年度に先立ち、四半期ごとの国産ナフサの供給・引取量を協議決定し、通商産業省に届け出る。
ナフサの輸入体制:合意した国産ナフサ量を超えて石油化学企業が必要とするナフサは、PEFIC(「石化原料共同輸入株式会社」:化学系センター7社のナフサ共同輸入会社)が石油企業と代理商契約を締結したうえで、同社を経由して実質的に自由に輸入できる。
国産ナフサの価格:個別企業間の国産ナフサ価格は、標準的には各四半期ごとの全国の平均輸入ナフサCIF価格に諸掛かり(金融費用、備蓄費、税負担等)を加えたものを基準とする。
国産ナフサの石油税負担は、1983年度以降実質的に現行輸入ナフサ(免税)と同様の扱いとする。
輸入ナフサの備蓄義務:1982年度分は70日に据え置き、以後は別途協議検討する。
フォローアップ体制等:通商産業省内に連絡会議を設けて、本措置の実施のフォローアップと調整を行う。

この結果、ナフサの輸入完全自由化には至らなかったが、国産ナフサ価格は国際市況を反映した輸入価格に連動して決定されることとなった。

1982年7月からこの方式が採用され、当初の「諸掛」は2,900円/klとなった。その後、1983年4月以降、国産ナフサの石油税が免税となって石化業界に還付され、諸掛は2,000円/klとなった。

これ以降、「参考価格」として「輸入価格平均+2,000円/kl」の計算が継続されている。

政府は21日、京都議定書で約束した温室効果ガスの削減目標を達成するため、民間企業が途上国で得た排出権の買い取りを始める。
排出権については 2006/7/7 「温室効果ガス排出権取引」参照

2005年2月に京都議定書が発効し、我国は2008年~2012年の第一約束期間において90年比で6%の温室効果ガスの排出量を削減することとなった。しかし、国内温室効果ガスの排出削減対策及び国内吸収源対策を基本として最大限努力しても、なお京都議定書の約束達成に対し基準年総排出量比1.6%の不足が見込まれるため、この差分について京都メカニズムの活用により対応するもの。

2006年度の購入費は54億円でNEDOに委託して売り手を募集する。

 

Ondankaco22_1 地球温暖化対策推進本部による「京都議定書目標達成計画の進捗状況」は添付図の通りで、

 京都議定書削減約束は90年比 ▲6.0%
 2004年度排出量実績 90年比 +8.0% (差引 14.0%不足) 
 2010年予想 現行対策のみでは 90年比 +6.0% (差引 12.0%不足)

 追加対策
  国内排出量の削減(民間事業者等による対応)で ▲6.5%
  森林吸収源  ▲3.9%
  残り 
京都メカニズム利用 ▲1.6%
  合計 ▲12.0%

 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=8254&hou_id=7303

なお、森林吸収源については、林野庁の算定では二酸化炭素を国内の森林などが吸収する量は年間 9500万トンに上る。
これは1990年の温暖化ガス排出量の7.5%にあたるが、整備された森林分しか削減量として認められず、林野庁では、今のままでは、目標の3.9%を下回る2.6%程度しか確保できないとみている。

 

この計画に対して、排出権価格の先高感から目標達成は難しいとの見方が強い。政府が最初から所定の年数に一定量を売るよう確約を求めていること、為替リスクを避けるため円建てしか受け付けないことなども障害になる。

安井至先生の「市民のための環境学ガイド」では
「まったくの無駄。これをやっても、免罪符という紙切れを高いお金で買うだけ」
「支払うつもりの排出権代は、高度な省エネ技術の開発に使用すべき」としている。

Nova ChemicalsのCEOが「米国のスチレン業界は設備を廃棄し、統合を検討し、赤字垂れ流しを止めるために動き出す必要がある」と述べたと伝えられた。

Novaは本年1月にバージニア州のチェサピーク工場を閉鎖すると発表した。同工場には136千トンのPSと77千トンのコンパウンド設備がある。

同社は6月26日にStyrenix事業部を別会社にすると発表した。同事業部はSMとPS事業で、テキサスとカナダのオンタリオにあるSM事業、米国とカナダのPS事業、及び2005年に欧州のPS事業を出してBPとの50/50JVとして設立したNOVA Innovene(その後、JV相手はBP→Innovene→Ineos)の持分を含んでいる。

Novaは事業を「エチレン & PE」、「発泡PS & 機能製品」、及び「Styrenix」の3つに区分しているが、Styrenixはコア事業ではなく、前2者に注力するとしている。将来、売却するか、スピンオフすると見られている。

Novaが7月20日に発表した第2四半期の決算では、前2者が147百万ドルの利益を計上したのに対し、Styrenixは売上高510百万ドルに対して45百万ドルの赤字となった。

上記チェサピーク工場の閉鎖で125人の減員で年間15百万ドルの節減を図るが、これ以外に老年層を中心に250人を減員し、合計65百万ドルの合理化を考えている。このうち、45百万ドルがStyrenix部門からとなる。

ーーー
NOVA Innovene(NovaとIneosのJV)は25日、英国Carrington工場を閉鎖すると発表した。欧州のPS能力の6%に相当する。
発表で同社は、「
PS事業では膨大な過剰能力があり、原料の不安定性と相まって、PS事業を不採算としている。今回の決定で、過剰能力に対処し、コスト構造を改善したい」としている。
同工場は能力18万トン。以前はシェルの工場で、PSとEPSを製造していたが、EPSプラントは3年間休止した後、昨年閉鎖した。

ーーー
Nova Chemicalsのエチレン、PEのプラントは全てカナダにある。"Alberta advantage" と呼ばれる低コストの天然ガスを原料としている。

機能製品にはPS70%/PE 30%の発泡樹脂Arcel、スチレン-無水マレイン酸共重合体の熱可塑性樹脂 Dylark、マイクロウエーブ用食品包装のスチレンコポリマーDYLARK FG、機能性フィルム用樹脂Surpass、アクリルコポリマーZylar EX などがある。

Novaは先日、中国のJVでのArcelのプラントが生産を開始したと発表した。
寧波市に設立したNingbo Chang-Qiao Engineering Plastics Co., Ltd.が世界最大の発泡ポリスチレンメーカーである中国のLoyal Chemical Industrial Corporationと提携して製造する。

Novaはまた20日、米国のWorthington Industries グループの金属フレームのメーカー Dietrich Metal Framing と50/50JVを設立し、建材事業を始めると発表した。DietrichのフレームとNovaの発泡PSを組み合わせ、住宅及び商業用に耐久性のある省エネルギーの建材を供給する。

BPは韓国のPTA合弁会社Samsung Petrochemical(SPC)の持分を売却することに決めたと発表した。

SPC は1974年に三星が50%、旧Amoco(のち、BPが買収)が35%、三井石油化学が15%の出資で設立された。その後三井化学が離脱し、現在の出資比率は BPが47.41%、三星が47.41%、Shinsegaeが5.18%となっている。
蔚山のSKコンプレックスにPTA 1,100千トン、大山の三星Total コンプレックスに700千トン、合計1,800千トンの能力を持っている。
(大山のプラントは当初、三星綜合化学の40万トン設備をSPCに移管し、その後SPCで増設したもの)

BPは、BPと三星との間でSPCの将来戦略に関して意見の相違が出たため、BPとしては適当な価格で株式を売却できれば、SPCにとっても、株主にとってもベストであるとしている。
BPは明らかにしていないが、同社にとりPTAはコア事業であり、おそらくBPの世界戦略の下でのSPCの運営を希望し、三星グループの意向と食い違ったのではないかと思われる。

ーーーー
BPは当初、エチレン、アクリロニトリル、HDPE、PP、PTA、パラキシレン、酢酸の7つの事業を化学事業の中でのコア事業としていた。このうち、前4事業をスコットランドとフランスの石油精製とともにInnoveneとして分離、その後、Ineos に売却した。

PTAとその原料であるパラキシレン、酢酸は、その後もBPのコア事業である。BPでは世界のPTA能力の31%(自社枠のみで21%)を占め、アジア、北南米、欧州で21プラント、総能力900万トン以上をもつとしている。

欧州の拠点はベルギーのGeelで、BPは2006年4月に、デボトルネッキングにより35万トンの増設を行い、総能力を140万トンにすると発表した。なお、同地では2005年に技術改良によりパラキシレンの能力を30%アップし、56万トンにしている。

アジアでは韓国のほか、台湾、マレーシア、インドネシア、中国に拠点を持つ。
 
台湾ではChina American Petrochemical Company (CAPCO)の59.02%を所有している。1975年にアモコ(50%)、CPC(25%)、Central Investment Holding Company(CIHC:25%)のJVとして設立されたもので、CIHCから9.02%を譲り受けた。高雄に140万トン、台中に70万トンの6系列合計210万トンの能力をを持つ。

マレーシアのKuantanではBP100%でPTA 60万トンのプラントを持っている。

インドネシアではBP50%、三井化学45%、三井物産5%のJV、P.T. Amoco Mitsui PTA Indonesia が西ジャワのメラクで45万トンのプラントを持っている。

中国ではBP 85%/富華集団 15%のJV・BP珠海ケミカルが広東省珠海で35万トンプラントをもっている。同社はこのたび、90万トンの第二期計画に着工した。BPでは2007年末の第二期完成時には珠海での総能力は140万トンになるとしている。
原料の酢酸はSinopecとBPの二つのJVから供給を受ける。「揚子アセチル社」(Yaraco)は重慶に35万トンの酢酸プラントを持ち、「BP YPCアセチル社」は南京に50万トンプラントを建設中である。もう一つの原料パラキシレンはSinopecの茂名石化が広東省茂名で建設中の60万トンのPXプラントから供給を受ける。

BPは酢酸事業でのSinopecとのJVを重視しており、中国でのエチレンJV、Shanghai Secco Petrochemical(BP50%、Sinopec30%、Sinopec上海sekka20%)は当初、他のオレフィン、ポリオレフィン事業とともにInnoveneに分離する予定であったが、BPの事業として残している。

米国には2つのプラントを持つ。Cooper River plant は南キャロライナ州チャールストン近郊にあり、127万トンの能力を持つ。
Decatur plant はアラバマ州にあり、PTAのほかパラキシレンを生産、このほか世界で唯一ナフタレン・ジカルボン酸を商業生産する。

ブラジルではBP49%/ Rhodia-Ster/M&G 51% のJV、Rhodiaco Ind俍trias Qu匇icas in Paul匤ia がサンパウロに南米唯一のPTAプラント(25万トン)を持っている。
ーーーー

なお、BPでは韓国で30年以上活動し、成功しており、今後も他の事業は続けるとしている。

BPの韓国の事業は以下のものがある。
・Samsung BP Chemicals  
  三星/BPのJVで蔚山に酢酸45万トンプラントを持つ。
・Asian Acetyls  
  BP 34%/Samsung 33%/Dow 33%のJVで、当初、Samsung BPとUnion CarbideのJVとして設立された。
  蔚山で酢酸を原料に酢ビモノマーを生産。
・K-Power 
  SK65%/BP35%のJVで発電事業を行っている。
・潤滑油事業 
・造船事業

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