「no」と一致するもの

プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)は7月17日、同社の全自動PCR検査装置とPCR試薬のセット2組を8月3日から販売開始すると発表した。

当面、これらの全自動PCR検査装置、PCR試薬、および消耗品等の製造・供給能力が限定的であることを考慮し、PSS密接な協力関係 のある研究施設、医療機関への販売開始し順次、販売対象を拡大 する。

全自動PCR検査装置 PCR試薬
エリートインジーニアス」(ELITechの製品名 ELITeInGenius

PSSが製造し、OEM製品としてフランスのELITechGroup S.p.A. に供給

中~大規模病院向け
同時処理数/ 112検体バッチ処理
装置サイズ/ W1000×D750×H860mm、約190kg
参考価格1,250万円
Primary tube(採血管等)からのサンプル分注、PCR試薬分注機能搭載
フランス、イタリア等欧州を中心に海外でのCOVID-19検査実績あり
ELITechより2015年販売開始時から数百台の販売実績あり

ELITechPCR試薬
エリートMGB SARS-CoV-2 キット
(液状試薬)
ジーンリードエイトPSSブランド

中小規模病院向け
同時処理数/ 18検体バッチ処理
装置サイズ/ W350×D700×H770mm、約80kg
参考価格850万円
PSSブランドより2018販売開始時から数十台の販売実績あり

セルテスト社製PCR試薬
VIASURE SARS-CoV-2 PCR (ORF1ab gene, N gene)
(凍結乾燥試薬)

エリテック社製COVID-19」検査用PCR試薬エリートMGB SARS-CoV-2 キットについは本年78日に、
セルテスト
社製「COVID-19」検査用PCR試薬「VIASURE SARS-CoV-2 PCR (ORF1ab gene, N gene)は、本年612日に、

厚生労働省健康局感染症課・国立感染症研究所による「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査方法」に、陽性一致率100%、陰性一致率100との結果が記載、公表されており、両試薬は 保険適用の対象製品になっている。

ーーー

プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)は1985年に理化学機器(臨床検査機器)の保守メンテナンスを目的として設立された。

1995年にマグトレーション・テクノロジーを利用したDNA自動抽出装置等の製品化に成功。

2001年の株式公開以降、磁性ビーズを担体とするイムノアッセイやDNA抽出の自動化機器開発をスタートして、現在は、DNA増幅、蛍光(化学発光)測定、及び各種の試薬、解析ソフト等幅広く、総合的な開発を行い、独自のバイオシステムコンセプトの構築に成功している。

東洋紡績、Hoffmann-La Roche、Boehringer Mannheim (現在はRoche Diagnostics)などとDNA自動抽出装置等に関するOEM契約を締結している。

PSS社と東京農工大学(工学研究院生命機能科学部門)は、磁性体を用いた核酸の抽出や機能解析等について共同研究を行い、その結果としてPSS社は核酸抽出からリアルタイムPCRを全自動化した「geneLEADシステム」を開発した。

核酸(DNA/RNA)抽出からリアルタイムPCRまでを完全自動化し、Sample to Answerを実現
PSSオリジナル磁性粒子抽出法 "Magtration®"を採用
最大色のマルチプレックス蛍光検出機能と各サンプル独立温度制御サーマルサイクラーを搭載
PCR試薬オープンシステム(各種PCR試薬の最適反応条件設定ソフトプログラムを搭載)
COVID-19を含む様々な遺伝子検査に対応可能
1検査/2~3時間(使用する試薬、同時に処理する検体数により異なります)
検体、試薬カートリッジのバーコード管理機能搭載
SWABにより採取された鼻&喉の粘膜からのPCR測定が可能
唾液サンプルにも対応

熱帯、亜熱帯で発生し、世界への拡散が予想されるデング熱、ジカ熱、エボラ熱、西ナイルウィルスあるいはマラリア等に対応できる汎用性の高いシステムとして製品化されている。

PSS社と東京農工大学は「ウイルス拡散を防ぐにはPCR検査診断と接触の最小限化が不可欠」として3月10日に核酸抽出からリアルタイムPCRまでを全自動化したgeneLEADシステムを活用して新型コロナウイルスの迅速診断技術の可能性を確認したと発表し た。

フランスに本拠を構えるELITechGroup ブランドとしてOEM供給をしている全自動PCR検査システムフランス やイタリアの医療現場における新型コロナウイルスCOVID-19感染症検査医療現場利用されている。


本年4月に
、フランスにおいてPSSELITechが共同開発した全自動PCR検査システムと試薬KITがウイルス検出に大きな役割を果たしていることで、ローラン・ピック駐日フランス大使 が同社に礼状を送った。

ーーー

既報のとおり、タカラバイオの米国子会社Takara Bio USA, Inc.は6月8日、米国の医療関連企業bioSyntagma, Inc. のグループと組んで、PCR検査の効率を大幅に上げる手法を開発したと発表した。

10~30分で5,184件のサンプルをチップに分け、10~30分でそれぞれに反応液を分注、2時間で検査する。

2020/6/10 タカラバイオ、PCR検査の新手法を開発 



キヤノンメディカルシステムズは新型コロナウイルスの感染の有無を唾液などから短時間で検査できるシステムを9月に発売する。

LAMP法の特許を持つ栄研化学とライセンス契約を結んでLAMP法による独自の試薬を開発し、同社の小型等温増幅蛍光検出装置で検出する。

前処理した検体から約10分で判定でき、前処理にかかる時間を含めても約40分と、PCR法よりはるかに速く、栄研化学が用いる検査システムに比べても短時間で診断できる。

ーーー

PCR法の手順は次の通りで、温度を上げて一本鎖に解離した後、温度を下げてアニーリングをするという作業を繰り返す。これに時間がかかる。


  http://t-takaya.net/lecture/file/20181026.pdf を補正


LAMP法(Loop-Mediated Isothermal Amplification)は栄研化学が独自に開発した、迅速、簡易、精確な遺伝子増幅法で、増幅効率が高いことからDNAを15分~1時間で109~1010倍に増幅することができる。

温度を上げて一本鎖に解離する必要がなく、増幅反応はすべて等温で連続的に進行する。

2本鎖DNAは65℃付近で動的平衡状態にあるため、いずれかのプライマーが2本鎖DNAの相補的部分にアニールし、そこから伸長することで片側の鎖がはがされ、1本鎖の状態になる。
 http://loopamp.eiken.co.jp/lamp/principle.html

栄研化学は、2000年6月に日本遺伝子診療学会大会でこれを発表した。

同社は『Loopamp®新型コロナウイルス2019(SARS-CoV-2)検出試薬キット』の製造販売承認を3月31日に取得、4月10日に発売した。6月2日には検体種に唾液を追加適用することが承認された。

ーーー

キヤノンメディカルシステムズは3月に日本医療研究開発機構(AMED)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断法開発に資する研究における「迅速診断キットの基盤的研究開発」に参画し、迅速な新型コロナウイルス遺伝子検査システムの開発を開始した。

等温で連続的に進行するLAMP法の原理を使い、同社の小型等温増幅蛍光検出装置で検出する。等温増幅による迅速な遺伝子増幅と、蛍光測定を特長とした、小型かつ軽量な装置で、タッチスクリーンで簡単に操作ができ、リアルタイムに遺伝子増幅のモニタリングが可能である。


同社と長崎大学が共同開発した「新型コロナウイルスRNA検出試薬 Genelyzer KIT」は3月26日、厚労省から「陰性一致率100%、陽性一致率90%以上」として公表された。長崎港クルーズ船乗員全員検査などの実用事例を重ねてきた。

同社は6月9日に、北海道大学病院の協力を得て、唾液での検査の精度を調べたところ、10分程度で検出できることが確認され、従来の鼻咽頭拭い液と遜色ない結果を得ることができたと発表した。

ーーーー

既報の通り、神奈川県衛生研究所と理化学研究所は2月27日、既存のリアルタイムPCR装置をそのまま利用することができ、増幅時間の短縮及びエネルギー消費量の削減が可能なSmartAmp法を開発したと発表した。

これは、PCR のような複雑な温度制御を必要としない。67℃での反応のみのため、大量必要機器小型最適。


2020/2/29 COVID-19 ウイルス、迅速検出


米連邦政府が新型コロナウイルス対策として発動した失業給付の特例が7月31日に失効し、支給額が一時的に大幅に減額する見通しとなった。

ーーー

議会はこれまで新型コロナ対策として4回の補正予算を通した。

第1弾:

トランプ大統領は3月6日、議会上下両院が可決した新型コロナウイルス対策用の83億ドルの緊急補正予算法に署名し、同法が成立した。

可決された83億ドルの予算のうち、ワクチンなどの研究・開発費用(30億ドル以上)、連邦・州・自治体の公共衛生機関への財政支援(22億ドル)などが含まれる。
ビジネス支援に関しては、10億ドルを新型コロナウイルス拡大により資金的損害を受けた中小企業などへの低利融資に充てるとしている。
また、4億3,500万ドルを外国の医療機関への支援として計上している。

第2弾:

トランプ米国大統領は3月18日、議会が可決した第2弾の新型コロナウイルス対策法案(「家族第一・コロナウイルス対応法」)に署名し、同法が成立した。

第2弾の対策法では、個人への支援が主となっており、新型コロナウイルスの検査無償化や、従業員がウイルスの影響で休暇を取得せざるを得ない場合の所得保証などが盛り込まれている。

新型コロナウイルスの検査無償化については、無保険者向けの公的プログラムに資金を拠出するとともに、民間医療保険に被保険者の検査費負担を無料にすることを義務付けている。

コロナウイルスの影響で出勤できない従業員への雇用の保証や有休疾病休暇の与え方、給与の支払い額、休業した従業員に支払った給与の税控除などについて定めている。

このほか、低所得者向けの食料補助プログラムや、失業保険拡充のための各州への財政支援などが含まれている。

第3弾:

3月27日に議会は第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act=CARES Act)を通した。

法案の内容は下記の通り。

 ・個人に1200ドル(夫婦に2400ドル、子供一人に500ドルずつ)の現金支払い(年収75000ドル以上の場合は減額)
 ・中小企業の、レイオフ回避、給与支払い補助のための3500億ドルの基金
 ・被害を受けた産業へのローン、保証、投資のため財務省が5000億ドルを用意
 ・ローンを受けた企業は、その期間は自社株の買戻しを禁止、その企業で425千ドル以上の給与を受ける役員等は次の2年間昇給無し
 ・保険業者は追加コストなしでコロナウイルス予防サービスを対象に加える。
 ・雇用維持の税額控除
 ・ヘルスケア補助に2400億ドル、病院補助に750億ドル、退職軍人のヘルスケアに200億ドル、緊急公共輸送に200億ドル、空港救済に100億ドル、CDC補助 45億ドル、
   航空会社補助のローンに500億ドル、貨物航空補助に80億ドル、国防維持に必要な事業(不特定)の補助に170億ドル
 ・失業保険強化(各州の規定に加え、最長4カ月、週600ドルを加算

2020/3/26 米与野党、2兆ドルを超える緊急景気浮揚予算案で合意

第3.5弾

トランプ米政権と与野党の議会指導部は4月21日、4840億ドルの新型コロナウイルス対策で最終合意した。第3弾の対策の補充で、COVID-19 3.5 relief packageと呼んでいる。

2020/4/24 米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討 

3月27日の第3弾に失業保険強化があり、各州の規定に加え、連邦政府として最長4カ月、週600ドルを加算することとなった。

これに基づき、現在は2500万人を対象に週600ドルを支給している。このほかに州の支給分(平均370ドル)があり、合計で約1000ドルになる。

この連邦政府の分が最長4カ月となっており、7月31日に失効した。これまでの週1000ドルが今後は平均370ドルになる。

ーーー

米下院は5月15日、民主党が主導する3兆ドルの新型コロナウイルス対策案(The Heroes Act)を、208対199の賛成多数で可決した。

主な内容は下記の通りで、連邦政府による週600ドルの失業給付上乗せの延長を決めた。

 ・ 州や地方政府にCOVID-19対応に従事する人への支払い用に1兆ドル
 ・ 医療従事者らに総額2000億ドルの特別手当( essential worker hazard pay)も支給
 ・ COVID-19対策(テスト、追跡、隔離)に750億ドル
 ・ 家計へは1人あたり最大1200ドル(家族に最高6000ドル)の給付
 ・ 中小企業向け緊急助成金に100億ドル
 ・ 郵政公社向け支援に250億ドル
 ・ 連邦政府による失業給付上乗せの延長

但し、上院で多数を占める共和党は上院では即否決するとしており、同案そのままでの成立は不可能である。

トランプ政権と共和党は大型減税などを軸に対案の検討に入った。

2020/5/16 米民主党、下院で新型コロナ対策第4弾を可決 

米共和党の議会指導部は下院可決後の2か月半後の7月27日、ようやく1兆ドル規模の追加の新型コロナウイルス対策法案 を正式に提示した。

追加対策には家計への直接支援を再び盛り込んだ。

8月中にも大人1人あたり最大1200ドルの現金を支給する。3月下旬に決めた経済対策第3弾でも同規模の現金給付を発動しており、今回で2回目だ。年収9万ドル以上の高所得者は対象外とするが、支給額は全体で2500億ドル規模と試算され、家計の手元資金の枯渇を防ぐ。

中小企業の支援策も部分延長する。従業員の雇用を維持すれば給与の支払いを連邦政府が肩代わりする仕組みだが、8月7日が申し込みの最終期限だった。これまでは従業員500人以下の企業は全て対象だったが、共和党案では売上高が5割以上減った企業に対象を絞る。ほかにも雇用を増やした企業には税額控除などで財政支援する。

7月末で期限が切れる失業給付の特例は、加算額を減らして12月末まで延長する。現在は連邦政府が週600ドルを上乗せしている が、10月初めまで加算分を200ドルに減らし、その後は州の支給分と合わせて失業前の給与の70%を上限とする。失業給付の特例加算は2500万人が支給対象になっているとされ、失業者の7割が以前の給与を上回る給付を受けているとの試算もあった。 延長そのものに反対する共和党議員が少なくない。


民主党が5月15日に下院で可決した法案では連邦政府による週600ドルの失業給付上乗せはそのまま延長となっているが、7月27日(失効の直前)に出した案では上乗せは200ドルと大きな差がある。失業給付の特例を維持するには両党の統一法案を上下両院で可決する必要があった。

ホワイトハウスは7月30日夜、民主党の議会指導部に対し、週600ドルの特例加算を4カ月だけ延長する折衷案を提示した。ただ、民主党は3兆ドル規模の包括法案を主張しており、合意には至らず、期限切れとなった。

米議会は8月7日まで審議を予定するが、その後は夏季休暇に入る。両党が決裂したまま休会し、雇用対策が宙に浮いたまま9月を迎えるリスクもある。

仏製薬大手 Sanofiと英GlaxoSmithKline(GSK)は7月31日、両社が共同開発している新型コロナウイルスワクチンについて、米政府が21億ドルを支払い、5000万人分を確保したと明らかにした。

米国との供給契約は1人当たり2回接種するもので、接種回数にすると1億回分となる。1人当たりの接種費用は約42ドル。

Pfizer とBioNTech も7月22日に米政府にワクチン5000万人分(1億回分)を提供する契約を締結した19億5000万ドルを受け取る。1人当たり39ドルになる。

SanofiとGSKは7月29日に英政府と最大6000万回分のワクチンを供給する契約を結んでおり、EUとも3億回分の供給の交渉をしている。


付記

Johnson & Johnson は8月5日、ワクチン1億回分を、10億ドル超で米国に提供することで合意したと発表した。米国が追加で2億回分のワクチンを購入する可能性も示唆した。
米政府はワクチンの研究開発や治験などのため、J&Jに4億5600万ドルを拠出している。

同社のワクチンは早ければ9月にも最終段階の治験を開始する見通しで、2021年中に世界で10億回分を供給する目標を掲げている。


米バイオ医薬ベンチャーのModernaは8月11日、ワクチン1億回分の供給で米政府と合意したと発表した。政府は15億2500万ドルを支払う。
政府は追加で4億回分のワクチンの購入権も確保する。

Modernaはこれまでも米政府から同ワクチンの研究開発や治験で支援を受けており、政府拠出は累計で24億8000万ドルとなる。


ーーー

WHOは7月28日、最新のワクチン開発状況Draft landscape of COVID-19 candidate vaccineを発表した。PhaseⅢの準備段階にあるのがPfizerを含め 6件あるが、Sanofi / GSKは pre-clinical となっている。

両社は本年9月に臨床試験を開始する。実際に承認を得て、供給を開始するまでに時間がかかると見られる。4月時点では2021年下半期までに実用化できるよう目指すとしていた。

Candidate vaccines in clinical evaluation  IM=Intramuscular 筋肉注射 ID=intradermal 皮内注射

developer/manufacturer platform Type doses Timing Route Phase
1 1/2 2 3
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1 IM
Sinovac(中国) Inactivated Inactivated 2 0, 14 days IM
Wuhan Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Beijing Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Moderna/NIAID米国立アレルギー感染症研究所) RNA LNP-encapsulated mRNA 2 0, 28 days IM
BioNTech(独)/Fosun Pharma(上海復星医薬)/Pfizer RNA 3 LNP-mRNAs 2 0, 28days IM
Sanofi Pasteur/GSK Protein Subunit S protein (baculovirus production) 2

SanofiとGSKは2020年4月14日、両社の技術を活かし、COVID-19に対するアジュバント添加ワクチンを開発すると発表した。

Sanofiは、遺伝子組換えDNA技術をベースとするS-タンパク質COVID-19抗原を提供する。遺伝子組換えDNA技術により、ウイルスの表面に検出されたタンパク質と正確に一致する遺伝子配列を作成することができる。抗原をコード化するDNA配列を、Sanofiが米国で開発に成功し承認された遺伝子組換えインフルエンザワクチンの基盤となったバキュロウイルス発現プラットフォームに組み込む。

GSKは、実証済みのパンデミックアジュバント技術を提供する。アジュバントの使用はパンデミックの状況下では特に重要で、アジュバントを使用することにより、1回の接種に必要なワクチン用タンパク質の量が抑えられるため、ワクチンの生産量を増やすことができる。

両社は6月に、第1/2相試験を2020年9月に開始すると発表している。

Sanofiの遺伝子組換え技術をベースとするCOVID-19ワクチン候補の開発は、米国保健福祉省(HSS)の一部門である米国生物医学先端研究開発局(BARDA)との協力の下で、同局の資金提供を受けて実施された。

SanofiとGSKのワクチンは、米政府が年内にも全国民に相当する3億本のワクチン供給開始を目指す爆速ワクチン計画(Operation Warp Speed)の対象に選ばれている。

加藤厚生労働相は7月31日、Pfizerが開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、2021年6月末までに日本側が6千万人分の供給を受けることで基本合意したと発表した。

PfizerとドイツのBioNTechも同日、承認が得られた場合、開発中のBNT162 mRNAベースのワクチン候補を2021年上半期に1億2千万錠供給することで日本の厚労省と合意したと発表した。
条件等については明らかにしていない。

PfizerのCEOは、 同社のワクチンが東京オリンピック開催に役立つことを望むと述べた。

We are proud to help support Japan in its steadfast determination to bring the world together at the 2020 Tokyo Olympics, in a celebration of solidarity, friendship and the power of sport as a global force for good. Our hope is that, subject to clinical and regulatory success, our potential vaccine will help make this happen."

両社はPhase 2b/3 の治験を始めており、早ければ10月に承認を得るとしており、2020年末までに全世界で1億錠、2021年末までに13億錠を生産する計画。

BNT162 はBioNTech の mRNA 技術にPfizer のワクチン開発・製造技術と統合した。

4つの候補を治験中で、このうち BNT162b1 とBNT162b2の2つがPhase 1/2の結果に基づき、FDAからFast Track (優先承認)指定を取得した。

なお、日本への供給には日本人向けの治験が必要になるとみられる。

ーーー

WHOは7月28日、最新のワクチン開発状況を発表した。PhaseⅢの準備段階にあるのがPfizerを含め 6件ある。

Candidate vaccines in clinical evaluation  IM=Intramuscular 筋肉注射 ID=intradermal 皮内注射

developer/manufacturer platform Type doses Timing Route Phase
1 1/2 2 3
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1 IM
Sinovac(中国) Inactivated Inactivated 2 0, 14 days IM
Wuhan Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Beijing Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Moderna/NIAID米国立アレルギー感染症研究所) RNA LNP-encapsulated mRNA 2 0, 28 days IM
BioNTech(独)/Fosun Pharma(上海復星医薬)/Pfizer RNA 3 LNP-mRNAs 2 0, 28days IM


2020/7/29 Moderna、COVID-19 ワクチンのPhaseⅢ臨床試験開始   付 WHO 最新ワクチンリスト 

ーーー

AstraZenecaは日本政府と、AstraZenecaとオックスフォード大学が開発中の新型コロナウイルスワクチンの日本への導入に向けた具体的な協議を進めることに合意している。

安倍晋三首相は6月14日、インターネット動画サイト「ニコニコ動画」の番組で、新型コロナウイルスのワクチン確保のため、開発を進めている米バイオ企業 Moderna、英製薬大手 AstraZenecaの両社と交渉していることを明らかにした。

AstraZenecaのワクチンについて「相当スピード感を持って開発が進んでいるとうかがっている」と紹介 した。

「これが完成した暁にはしっかりと日本も確保できるように交渉をしている」と述べた。

これについて、第一三共と明治ホールディングスが6月26日にそれぞれ発表した。

第一三共は6月26日、このワクチンの国内における製剤化(バイアル充填、包装、保管等)などについてAstraZenecaと協議を進めることに合意したと発表した。

製剤化は、子会社の第一三共バイオテックがAstraZenecaから原液供給を受けて実施する予定で、「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」の設備の活用も検討する。

2020/6/27 政府、新型コロナワクチン供給でAstraZenecaと協議 

東京ガスは2017年にガス開発・生産事業のCastleton Resources に30%出資したが、今回、出資比率を70%強に引き上げ、子会社化する。

JV相手のCastleton Commodities International は、テキサス州東テキサスに約660km2の鉱区を保有しており、ヘインズビル層におけるシェールガス開発事業や、コットンバレー層におけるタイトサンドガス開発事業等を傘下の操業会社を通じて行っていた。

同社持分のガスおよび天然ガス液の現在の生産量は約238百万立方フィート/日(ガス相当量)で、米国内市場に販売していた。同社はこの事業のためCastleton Resources を設立、東京ガスがこれに30%出資した。


2019年にJVがシェル子会社のBG US からテキサス州のガス田を取得した際に46%出資とした。


今般
、JVがルイジアナア州で新たなガス田権益を取得するに当たり、増資を引き受け、出資比率を70%に引き上げ、シェールガス田のオペレーターとなる。

付記

Castleton Resources LLC は8月17日、Northern LouisianaのTerryville upstream 資産をRange Resourcesの子会社から買収したと発表した。

これによりCastleton ResourcesはEast Texas and Northern Louisianaに 315,000 net acres をリースし、生産量は 500 MMcfe/d となる。

子会社化に伴い、2021年3月末に社名をTG Natural Resources に改称する。



経緯は下記の通り。

Castleton Resources Tokyo Gas 鉱区面積 ガスおよび天然ガス液
生産量(ガス相当量)
2017/4 設立 
テキサス州のガス田
70% 30% 約660km2
(約160,000エーカー)
約238百万立方フィート/日
2019/12 テキサス州のBG US (Shell)のガス田取得 54% 46% 約900km2
(約222,400エーカー)
約343百万立方フィート/日
(10百万m3/日)
2020/8 ルイジアナ州の新たなガス田権益を取得 30%弱 70%強
Operator
約1,250 km2
(約315,400エーカー)
約473百万立方フィート/日
(13百万m3/日)


東京ガスグループは、グループ経営ビジョン「Compass 2030」において、海外展開を通じて海外における利益を2030年までに3倍規模に拡大することを掲げており、北米での事業基盤の拡大に向けて投資を継続していくとしている。

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米のバイオ医薬ベンチャー Modernaは7月27日、米国立アレルギー感染症研究所機関と共同開発しているワクチンについて、最終となる第3段階の臨床試験を約3万人を対象に開始したと発表した。

アメリカ国内の感染していない大人、約3万人を対象に全米の約90カ所で被験者を無作為に2つのグループに分けてそれぞれワクチン候補と偽薬を接種し、実際に感染を予防できるか重症化を防げるかなどを検証する。これまでに行われた小規模な試験では、ワクチンを投与された全員にウイルスに有効な抗体が確認されている。

国立アレルギー・感染症研究所の所長は11月には結果が分かると述べた。

付記

Modernaは11月16日、発症を防ぐ効果が「94.5%あった」とする最終の治験の暫定結果を公表した。数週間以内に、FDAの緊急時使用許可(EUA)を申請する。
PfizerとドイツのBiontechは11月9日、ワクチン「BNT162b2」について、第3相臨床試験のデータを中間解析したところ、90%以上の有効性を示したと発表している。

11月18日、臨床試験データの最終分析で95%の確率で有効性が示されたと発表した。週内に米当局に緊急使用許可(EUA)を申請する準備が整った。ワクチンは年齢層や人種を問わず有効で、約4万4000人が参加した治験でこれまでのところ重大な安全性の問題も生じていない。
→11/20 EUA申請

Modernaは米政府から10億ドル近い支援を受 けており、来年以降、年間5億回から10億回分のワクチンの供給を目指す。

米のメディアは、Pfizerも新型コロナワクチンのPhaseⅢ試験に入ったと伝えた。同社は「早ければ10月に当局の承認を経て年末までに5000万人(各2回投薬・計1億回)分量のワクチンを供給する」と明らかにしたとされる。



WHOは7月28日、最新のワクチン開発状況を発表した。PhaseⅢの準備段階にあるのが6件ある。

Candidate vaccines in clinical evaluation  IM=Intramuscular 筋肉注射 ID=intradermal 皮内注射

developer/manufacturer platform Type doses Timing Route Phase
1 1/2 2 3
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1 IM
Sinovac(中国) Inactivated Inactivated 2 0, 14 days IM
Wuhan Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Beijing Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Moderna/NIAID米国立アレルギー感染症研究所) RNA LNP-encapsulated mRNA 2 0, 28 days IM
BioNTech(独)/Fosun Pharma(上海復星医薬)/Pfizer RNA 3 LNP-mRNAs 2 0, 28days IM

CanSinoBiological Inc./Beijing Institute of Biotechnology Non-Replicating Viral Vector Adenovirus Type 5 Vector 1 IM
Anhui Zhifei Longcom Biopharmaceutical/Institute of Microbiology, Chinese Academy of Sciences Protein Subunit Adjuvanted recombinant protein (RBD-Dimer) 2 or 3 0,28 or
0,28,56
days
IM
Institute of Medical Biology, Chinese Academy of Medical Sciences Inactivated Inactivated 2 0, 28 days IM
InovioPharmaceuticals/ International Vaccine Institute DNA DNA plasmid vaccine with electroporation 2 0, 28 days ID
Osaka University/ AnGes/ Takara Bio DNA DNA plasmid vaccine + Adjuvant 2 0, 14 days IM
Cadila Healthcare(インド) DNA DNA plasmid vaccine 3 0, 28, 56 days ID
Genexine Consortium(韓国) DNA DNA Vaccine (GX-19) 2 0, 28 days IM
Bharat Biotech (インド) Inactivated Whole-Virion Inactivated 2 0, 14 days IM
Novavax(米) Protein Subunit Full length recombinant SARS CoV-2 glycoprotein nanoparticle vaccine adjuvanted with Matrix M 2 0, 21 days IM
Kentucky Bioprocessing(米) Protein Subunit RBD-based 2 0, 21 days IM
Arcturus/Duke-NUS RNA mRNA IM
Gamaleya Research Institute(ロシア) Non-Replicating Viral Vector Adeno-based 1 IM
Clover Biopharmaceuticals Inc./GSK/Dynavax Protein Subunit Native like Trimeric subunit Spike Protein vaccine 2 0, 21 days IM
Vaxine Pty Ltd(豪)/Medytox(韓) Protein Subunit Recombinant spike protein with Advax™ adjuvant 1 IM
University of Queensland/CSL(豪)/Seqirus(英) Protein Subunit Molecular clamp stabilized Spike protein with MF59 adjuvant 2 0, 28 days IM
Imperial College London RNA LNP-nCoVsaRNA 2 IM
Curevac(独) RNA mRNA 2 IM
People's Liberation Army (PLA) Academy of Military Sciences/Walvax Biotech(云南沃森生物) RNA mRNA 2 0, 14 or
0, 28 days
IM
Medicago(カナダ 田辺三菱製薬) VLP Plant-derived VLP adjuvanted with GSK or Dynavax adjs. 2 0, 21 days IM
Medigen Vaccine Biologics/NIAID/Dynavax Protein Subunit S-2P protein + CpG 1018 2 0 28 days IM

  

第一三共は7月27日、同社が保有するTROP2に対する抗体薬物複合体のDS-1062について、グローバルな開発及び商業化契約をAstraZenecaと締結したと発表した。

今回の提携で、第一三共とAstraZenecaは全世界(日本では第一三共が独占的権利)において、本剤の単剤療法及び併用療法を共同で開発し、商業化する。
第一三共は本剤の製造及び供給を担う。

対価として、AstraZenecaから10億米ドルの契約時一時金を受け取る。(本契約締結時に3.5億米ドル、その1年後に3.25億米ドル、その2年後に3.25億米ドル)。
また、開発マイルストンの達成により最大10億米ドル、販売マイルストンの達成により最大40億米ドルを受け取る。すべての開発及び販売マイルストンが達成された場合、受取総額は最大60億米ドルとなる。

本剤の全世界(日本は除く)における利益と開発・販売等費用は、両社で折半する。

本剤の売上収益は、日本、米国、欧州及びその他地域の複数国においては第一三共が、中国、オーストラリア、カナダ、ロシア及びその他地域においてはAstraZenecaが計上する。

ーーー

抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)は低分子医薬品(薬物)と抗体医薬を組み合わせた複合体で、抗体が「運び役」となることでがん細胞をたたく。

TROP2は、肺がんを含む様々ながん細胞の細胞膜上に過剰発現し、がん細胞の増殖促進、転移、薬剤への耐性獲得等に関与することが知られている。

DS-1062は、がん細胞膜上のTROP2に結合して細胞内に取り込まれた後、薬物部分がリンカーから切り離され、トポイソメラーゼⅠを阻害することによる殺細胞効果が期待されている。

抗体薬物複合体は、米Wyeth(後にPfizerが買収)が2000年に白血病薬「マイロターグ:Mylotarg」を発売したのが最初である。しかしマイロターグは副作用が頻出し、米国では一時販売が中止された。

これまで国内で流通している抗体薬物複合体は、このマイロターグに加え、Roche(日本では中外製薬が販売)の乳がん薬「カドサイラ: Kadcyla」、米Seattle Geneticと武田薬品工業が共同開発した悪性リンパ腫薬「アドセトリス:ADCetris」、そしてPfizerの白血病薬「ベスポンサ:Besponsa」という4つである。

第一三共は2020年3月25日、下記のHER2に対する抗体薬物複合体「エンハーツ® 点滴静注用 100mg」について、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を適応として、国内製造販売承認を取得したと発表した。

第一三共とAstraZenecaは2019年12月23日、ENHERTU®(トラスツズマブ デルクステカン)について、米国食品医薬品局より「転移性の乳がんに対する治療として2つ以上の抗HER2療法を受けたHER2陽性の手術不能又は転移性乳がん」を適応として販売承認を取得したと発表した。

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第一三共は2019年3月29日、開発中の抗HER2抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(「DS-8201」)について、英AstraZenecaとグローバルな開発・販売提携を結んだと発表した。
第一三共が提携の対価として受け取る金銭は、契約一時金1485億円を含め、最大で総額7590億円。

乳がん患者の約20%は、がん細胞表面にHER2というタンパク質が過剰発現しているHER2陽性乳がんである。

2019/4/1 第一三共、抗がん剤でAstraZenecaと戦略的提携、最大で69億ドル受領


今回は、抗体薬物複合体について2件目のAstraZenecaとのグルーバル提携である。


米政府は7月27日、富士フイルムホールディングスの米国子会社で
バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologieによる新型コロナウイルスのワクチン生産を支援するため、約2億6500万ドルを拠出すると発表した。早期のワクチン供給を目指す政府計画の一環として、資金面で企業を後押しする。

トランプ大統領が同日、南部ノースカロライナ州Morrisvilleにある 同社の拠点を視察した際に明らかにした。

大統領はワクチン開発の可能性を巡り「非常にポジティブなことを聞いている。年末までにはとても良い状態になるだろう」などと述べた。 大統領は工場視察の際にマスクを着用した。

資金拠出は、米政府が年内にも全国民に相当する3億本のワクチン供給開始を目指す爆速ワクチン計画(Operation Warp Speed)の一環。米政府はNovavax, Inc.やPfizerなどのワクチン開発にも資金を出している。臨床試験(治験)でワクチンの安全性や有効性が確認できれば速やかに国民に投与できるよう、企業の設備投資も支援する。

今回、FUJIFILM Diosynth Biotechnologieは、COVID-19ワクチン候補原薬の大量生産ニーズに対応すべく、米国テキサス拠点の一定レベルの製造キャパシティーを米国保健福祉省傘下の生物医学先端研究開発局のために2021年末まで確保する契約を締結した。

今後、製造設備拡張を含めた約2億6500万ドルの拠出を受け、Novavaxを含む、Operation Warp Speedが支援する COVID-19 ワクチン候補の原薬製造を米国テキサス拠点で行 う。

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富士フィルムは7月28日、
FUJIFILM Diosynth BiotechnologiesがCOVID-19ワクチン候補の原薬の製造受託を拡大すると発表した。

既に、COVID-19 ワクチン候補の原薬を製造している米国ノースカロライナ拠点に続き、米国テキサス拠点でも今秋までに増産投資を実施してワクチン候補の原薬製造を開始 、2021年初めに大量生産を始める。

FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesは、30 年以上にわたる受託実績、高度な生産技術や最新設備を有した、バイオ医薬品のCDMO で、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応できる強みを活かして受託ビジネスを拡大 している。

既に COVID-19 の治療推進プロジェクト「COVID-19 Therapeutics Accelerator」ビル&メリンダ・ゲイツ財団がウェルカム財団や Mastercard と立ち上げた COVID-19 の治療推進プロジェクト)よりCOVID-19治療薬のプロセス開発・製造を受託することを決定してい る。

また本年7月には、米国バイオテクノロジー企業Novavax, Inc.から、2020年秋に計画されている最大 30,000 人規模の臨床第III相試験に向けたCOVID-19 ワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託し、米国ノースカロライナ拠点にて「NVX-CoV2373」の原薬製造を開始してい る。

富士フィルムは7月24日、FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesが Novavax, Inc.より新型コロナウイルス感染症のワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託し たと発表した。

Novavaxは、独自のナノ粒子技術を活用して、重篤な感染症に対する次世代ワクチンを開発するバイオテクノロジー企業で 、臨床第I相試験をオーストラリアで行ってい る。同試験は、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)から3億8800万ドルの資金を得て行われている。

また本年7月には、米国政府の「Opreration Warp Speed」より16億米ドルの助成を獲得、その助成などを用いて、臨床第II/III相試験の推進、1億人分のワクチン供給を目指してい る。

付記 

FUJIFILM Diosynth Biotechnologies は、英国政府が調達するNovavaxのワクチン候補の原薬製造を英国拠点で行なう。

今回、COVID-19ワクチン候補原薬の大量生産ニーズに対応すべく、米国テキサス拠点の一定レベルの製造キャパシティーを米国保健福祉省傘下の生物医学先端研究開発局のために2021年末まで確保する契約を締結した。

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富士フィルムは2011年2月にMerckから英国のMSD Biologics、米国のDiosynth RTP Inc. を買収し、それぞれ、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK LimitedFUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA., Inc に改称した。

2011年6月に三菱商事がそれぞれに20%を出資、富士フィルムは80%出資となった。

https://www.knak.jp/kakusha/maker-n-ame/

塩野義製薬は7月13日、中国平安保険(集団)/ 中国平安人寿保険との間で3月30日に締結した資本業務提携に関する基本合意書に基づき、中国で合弁会社を設立する契約の締結を取締役会で決議した。

保険会社とのJVは異例だが、塩野義のシオノギヘルスケアと中国の事業をJV(塩野義51%)に差し出す、相手側から塩野義への2%出資を受け入れるという極めて異例なものである。

しかし、下記のとおり、相手の平安保険はAIに集中投資を行い、 ヘルスケアについては、患者、医者、病院の負担を軽減するため、患者、医療サービス提供及び支払のためのヘルスケアプラットフォームを構築し、サービスを提供している。

塩野義はこのプラットフォームを活用しながら、塩野義が有している医薬品やその候補を、中国・アジア市場 、更に医療インフラが未整備なアフリカなどに展開していこうとするもの。
IT、AIを活用した創薬のプラットフォームも手に入れる。

中国平安保険の提供する最先端技術を活用したヘルスケアサービスに塩野義の強みである治療ソリューションを融合することを目指す。

3月30日の記者会見の冒頭、手代木功社長は「久しぶりにわくわくしている」と語った。


概要は次の通り。

① 100%子会社の塩野義(香港)を設立 (資本金 50億円
② 上海に平安塩野義を設立 資本金
450億円相当 の人民元  (塩野義(香港)51% / 平安人寿保険 49%)
③ 香港に平安塩野義(香港)設立 (資本金 50億円 
塩野義(香港)51% / Tutum Japan(平安海外)49%)
④ 塩野義子会社 C&O 傘下の2社を平安塩野義に譲渡  (譲渡価格未発表)
⑤シオノギヘルスケアを平安塩野義(香港)に譲渡  (譲渡価格未発表)
⑥塩野義が第三者割当で平安人寿保険から2%の出資を受け入れ (335億円)


ーーー

中国平安保険は深圳に本社を置く保険会社で、株式時価総額は1700億ドルを超え、保険会社としては世界第1位。

馬明哲会長が1988年に起業し、保険事業を皮切りに、銀行事業、投資事業、インターネット金融などへと事業を拡大して、一大金融コングロマリットを築き上げてきた。2019年12月末時点で総資産額は126兆円に達する。

2013年ころから、クラウドコンピューティングやブロックチェーン、生体認証、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術の研究開発に積極投資をする一方、金融サービス以外に、自動車サービス、不動産サービス、ヘルスケア、スマートシティの4分野に焦点を当て、多様なサービスを提供する体制を構築してきた。

ヘルスケアについては、患者、医者、病院の負担を軽減するため、患者、医療サービス提供及び支払のためのヘルスケアプラットフォームを構築し、サービスを提供している。

On-line とOff-lineを統合した「O2Oの総合健康プラットフォーム」である。

「平安好医生」(Ping An Good Doctor)は包括的で一元的なヘルスケアエコシステムである。

2019年末の時点で3億1,520万人のユーザーが登録するモバイル医療アプリケーションで、スマホアプリを通して、オンライン医療サービスを提供する。 社内に常勤する医療チームや独自のAIをベースとした医療システムを活用し、24時間体制でオンライン診療、処方、医療機関の紹介・予約、セカンドオピニオン、医薬品宅配、保険器具の宅配、健康情報ライブ配信などを提供している。



すべての家族に専属のかかりつけ医サービスを提供すること、すべての人に健康管理の電子記録を提供すること、そして中国のすべての人に健康管理プランを提供することをビジョンとする。

ーーー

今回の業務提携のコンセプトは、「ヘルスケアの未来を創造する」で、主に下記を狙う。

①データドリブン (data-driven)の創薬・開発のプラットフォームの構築、及びそれによる医薬品(新薬・後発薬・一般用医薬品)の創薬・開発  

感染症、精神・神経・疼痛を重点疾患とし、塩野義が長年培ってきた疾患に対する理解と創薬力に、平安が所有するライフスタイルに関するビッグデータとAI解析技術を組み合わせることで、顧客それぞれのニーズを満たす個別最適なソリューションを提供できる創薬・開発プラットフォームを確立する。

生活データ、診断データ、治療法の効果を関連付ける。

また、塩野義が権利を持つ製品・開発品の中国を含むアジアのテリトリーにおける独占交渉権をに与え、塩野義のグローバル開発品の開発拠点へと育成する。

まずは多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬セフィデロコル及びオピオイド誘発性便秘症治療薬ナルデメジンのライセンス契約の締結を行う

また、現在日本で開発中の新型コロナウイルス感染症関連の開発品(ワクチン、治療薬、診断薬)についても、適切なタイミングで本合弁会社にライセンスする方向で検討中 。

②AIテクノロジーによる製造・品質管理体制の構築、及びそれによる医薬品(新薬・ 後発薬・一般用医薬品)の品質保証

医薬品の製造・品質管理の向上のため、塩野義が培ってきた製造、品質管理の技術やノウハウと、平安が有するAIテクノロジーとを融合させ、新たな製造・品質管理システムの開発を行う

製造及び分析の現場をAIを用いてリアルタイムで監視し工程を透明化するとともに、従来の管理システムを効率化することで、高品質と低コストを両立した革新的な医薬品製造・品質管理システムを構築する。

今回、JVに統合予定の南京工場から試験運用を進める。

③O2O(Online to Offline)活用した販売・流通プラットフォームの構築、及びそれによる医薬品(新薬 ・後発薬・一般用医薬品)の販売・流通

「平安好医生」と協業し、成長を目指す。

JVでは、塩野義が現在深圳販売会社及び南京工場を通じて中国で販売する後発薬、シオノギヘルスケアが販売する一般用医薬品をこのヘルスケアプラットフォームに組み込み、供給を開始するとともに、塩野義がグローバルで承認を獲得した抗菌薬セフィデロコル等の新薬の中国を含むアジアテリトリーへの早期展開を図る。

更に、医療ニーズの高い新薬、後発薬、一般用医薬品の導入を積極的に行う

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