「no」と一致するもの

東芝メモリホールディングスは8月30日、台湾電子部品大手の光宝科技(Lite-On)から、記憶装置ソリッドステートドライブ(SSD)の事業を買収すると発表した。買収額は1億6500万ドルで、2020年前半までの買収完了をめざす。

SSDは、半導体メモリをディスクドライブのように扱える補助記憶装置の一種で、メモリにRAMを用いたものと、フラッシュメモリを用いたものに分類される。

東芝メモリの主力製品のNAND型フラッシュメモリーを組み込んだSSDは、データセンター建設による需要増加が見込まれており、買収で既存事業を強化する。

NAND型フラッシュメモリーは最近、市況が悪化しているが、NAND型フラッシュメモリーを組み込んだSSDはメモリー単体で売るよりも採算がよく、東芝メモリも注力分野の一つに位置づけている。

2019/8/15 東芝メモリの4~6月期、952億円の赤字


Lite-Onは発光ダイオードや半導体部品を主力製品としており、SSD事業の売却を決定した。


2018年3QのSSDの世界市場で首位は韓国サムスン電子でシェア33%、2位は
Western Digital(SanDisk / HGST) で12%、3位はIntelで11%、東芝メモリは4位で9%、Lite-onは7位で5%となっている。
(ソース:https://pc.watch.impress.co.jp/img/pcw/docs/1168/315/html/photo001_o.jpg.html

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Western Digital は東芝メモリとのJVの相手

1999/10に東芝とSanDiskがNAND型フラッシュメモリ事業に関する提携で基本合意 → JV設立
2016/5 Western Digital によるSanDisk 買収 (現東芝メモリとのJVを継承)

2011/3 日立は100%子会社である Hitachi Global Storage Technologies (現 HGST)をWestern Digitalへ売却すると発表

BPは8月27日、米アラスカ州の全事業を非公開企業のHilcorp Energy Companyに56億ドルで売却することで合意したと発表した。
60年にわたり事業を展開してきた同州から撤退する。


総額56億ドルのうち40億ドルは短期に支払われ、残り16億ドルは分割払いとなる。州や米国の当局の承認を得て、2020年に取引完了を目指す。

この取引は2019年から2020年にかけて100億ドル分を売却するというBPの計画の重要部分である。

売却対象には米国最大のプルドーベイ油田やアラスカ州のTrans Alaska Pipeline System (TAPS)のBP Pipelines (Alaska) Inc の権益が含まれる。

BPの2019年のアラスカでの原油生産量は日量74千バレルである。Prudhoe Bayでの権益は26%で、他にオペレーターではないがMilne Point とPoint Thomson、Liberty project に権益を持っている。
Trans-Alaska Pipeline の権益、その運営会社のAlyeska Pipeline Service Companyの株を所有する。

売却されるのは以下の通り。

  • Upstream oil and gas interests:
    • Prudhoe Bay, 26% (operator BP);
    • Milne Point, 50% (operator Hilcorp);
    • Point Thomson, 32% (operator ExxonMobil).
    • Liberty project, 50% (operator Hilcorp);
    • Non-operating interests in exploration leases in ANWR
  • Midstream pipeline interests:
    • Trans Alaska Pipeline System, 49%;
    • Alyeska Pipeline Service Company, 49%;
    • Point Thomson Export Pipeline, 32%;
    • Milne Point Pipeline, 50%.
  • Other:
    • Prince William Sound Oil Spill Response Corporation,

Hilcorp は2012年からアラスカで活動しており、現在、日量75千バレル以上を生産するアラスカで最大のプライベートの石油・ガス会社である。2014年にBPからAlaska North Slopeの4つの油田を買収している。

今回の売却を受け、テキサス州の資産家Jeffery Hildebrandが創業した石油会社Hilcorp は、アラスカ州の原油生産で Conoco-Phillipsに次ぐ2位となる。

同州の原油生産は1980年代後半の全盛期から減少している。

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1909年にペルシャ(イラン)で油田が発見され、Anglo Persian Oilが設立された。

1919年にイギリス政府が2/3の株式を取得、1935年に Anglo Iranian Oil に改称、1954年にThe British Petroleum Co Ltd. に改称した。

1969年にBPはアラスカのプルドー湾油田に大きなシェアを確保した。

BPはStandard Oil of Ohio(Sohio)と提携して開発することを決めた。
Sohioがアラスカ油田における権益を取得、BPはSohioの株式25%を取得した。

1987年にBPはSohioの株式100%を取得した。この時点で、イギリス政府がBP株(31.5%)を市場に放出し完全民営化した。

1999年にBPはAmocoと合併し、BP Amoco plc.となり、2000年にはARCOと合併し、社名をBP plc. に変更した。

1970年にAlyeska Pipeline Service Companyが設立され、プルドー湾からアラスカを縦断してバルディーズ港に至る1,287.2km(800miles)の石油パイプラインの建設が始まった。
1974年4月29日に着工、1977年7月20日には最初の石油がプルドー湾を出発し、7月28日にバルディーズに到着、8月1日にタンカーで積み出された。



  

 


Wall Street Journal(電子版)は8月29日、サウジアラビアの国営石油会社 Saudi Aramco が、2020年以降に実施する新規株式公開(IPO)で東京市場への上場を再検討していると報じた。


Aramco のIPOは世界の有力市場が誘致競争を繰り広げた。

当初、Aramco は2018年下期にも株式の5%を内外市場で公開する予定で、上場する市場(複数)については、New York、London、Tokyo、Hong Kong などが候補として挙がっていた。
その後、国外上場候補をNew York、London、Hong Kong の3か所に絞り込んだとされ、日本は事実上、選択から外れたとみられていた。

しかし、その後、法的リスクや、海外の取引所が企業に求める情報開示の基準が厳しいことなどを懸念し、先ず自国の証券取引所に限定する方針だと報じられた。

2018/1/11 Saudi Aramco、上場に備え企業形態を変更 

同紙によると、サウジはIPOを国内と国外での2段階で実施することを検討しており、年内にも国内で株式を公開する。2020年か21年に国外市場に上場する予定。

東京が再び候補となったのは、実施を見込んでいたロンドンはBrexitの混乱、香港市場は民衆デモが影響し、魅力が薄れたためである。

ニューヨーク市場は当初、有力上場先として検討対象となったが、米国での訴訟リスクが障壁となっている。

サウジの閣僚とAramco幹部で構成する同社の取締役会が8月の会合で、「Aramcoがいかなる法的措置からも保護される免責特権を与えられない限り」米国での上場は検討しないとの結論に達したとされる。関係筋は、Aramcoに免責特権が与えられることは「完全に不可能ではないが、当然実現し難い」と述べた。

以下の問題がある。

1) テロ支援制裁法

米国では2016年に米同時テロに関与した疑いがある外国政府に遺族らが損害賠償を請求する訴えを起こすことができる「テロ支援者制裁法(JASTA)」が成立した。

米同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案にオバマ大統領が拒否権を発動したことを受け、米上下院は2016年9月28日、上院は 97対1、下院は 348 対77 の賛成多数で再可決し、拒否権を覆して法案は成立した。

2016/10/1 米同時テロ遺族のサウジ提訴法案、大統領拒否権を覆し成立

2018年3月に米国の判事がサウジ政府の要求を却下してサウジ政府を被告とする裁判が開始されることとなった。

サウジ政府が最大株主になるAramcoは、資産差し押さえなどの潜在的なリスクにさらされる。

2018/4/6 サウジ政府を被告とする9.11同時多発テロ訴訟、裁判開始へ

2)  気候変動

ニューヨーク市は2018年1月10日、ExxonMobil、Chevron、BP、Shell、ConocoPhillips の5社を提訴すると発表した。
5社が気候変動の一因となっており、過去及び将来ニューヨーク市に財政的負担を強いるとし、港湾保護、上下水設備の改善、気候変動緩和、公共医療活動等に費やす数十億米ドルの補償を求める。

同市はすでに、海面上昇、強大な嵐、気温上昇対策のために200億米ドル以上を費やしている。

3) 石油生産輸出カルテル禁止(NOPEC)法案

米下院司法委員会は2019年2月7日、石油輸出国機構(OEC)加盟国を反トラスト法違反で提訴することを可能にする「石油生産輸出カルテル禁止(No Oil Producing and Exporting Cartels Act : NOPEC法案)」を全会一致で可決した。同様の法案が上院の財政委員会に提出された。

米国政府がOPEC加盟国をSherman Antitrust Actで訴訟できるというもの。

トランプ米政権の高官はこの時点で、米国の安全保障体制は手頃な価格で手に入るエネルギーに依存しているとした上で、米政府はカルテルを含め、市場をゆがめる慣行を支持しないと表明した。

トランプ氏は大統領就任前の2011年に出版された著書でNOPEC法案を支持する姿勢を示していたが、大統領就任後は支持を表明していない。

これに対し、サウジアラビアは、米国がこの法案を通せば、ドル以外の通貨で売却すると警告していることが分かった。サウジ政府はまた、米国のエネルギー政策を担当する高官にもこの警告を伝達したとされる。そうなると、現在のドル体制が崩れ、米国には大打撃となる。

1971年8月15日、ニクソン大統領は、ドルと金の交換を停止した。

ニクソンはキッシンジャーをサウジに派遣し、以下の交渉を行わせた。
・米はサウジを防衛する。どんな兵器も売る。サウジ王家を未来永劫に保護する。   
・見返り
①サウジの石油販売を全てドル建てにする。
      ②サウジの貿易黒字で米国財務省証券を購入する。

  
サウジはこれを受け入れ、1974年に調印された。
その後、OPECの他のメンバーもドル建て取引を採用し、ドルが世界通貨となった。

これが「ペトロダラー」システムで、これまで金との兌換が必要なため、無制限なドル印刷は出来なかったのに対し、ほぼゼロコストでドルを無制限に印刷し、輸入決済に充てることが出来るようになった。

4) このほか、上場会社になると、Aramco の確認埋蔵量などのデータを公表する必要が出るが、これに対する反発も根強い。


当初の候補であったNew York、London、Hong Kong が外れ、東京が候補として再浮上した。



被告は有罪となれば、10年以上の懲役、25万ドルの罰金となる。

これについて被告側は、情報を盗んではいないと主張する。ダウンロードしたのは勤務中で、彼のチームは情報の利用を認められていた。これらの秘密情報はUberにも他の会社にも渡していないとしている。


当局の狙いはイノベーションと脱法の線引きがあいまいな側面もあったシリコンバレーの文化に警鐘を鳴らすことにある。

検察はウーバーを起訴はしなかったが、競争の名の下にグレーゾーンに踏み込んだとの疑念を暗に投げかけている。

検察は「人が会社を行き来することは自由だ。だが会社を去る時にポケットにモノをたくさん詰めることは許されない」との声明を出した。


オクラホマ州地方裁判所は8月26日、処方鎮痛剤などに含まれる麻薬性鎮痛薬オピオイドの中毒蔓延をめぐり、米製薬大手 Johnson & Johnson(J&J)に572百万ドルの制裁金を支払うよう命じた。J&Jは判決直後に、上告の意向を示した。

アメリカでは、オピオイド中毒をめぐり製薬会社や流通業者が何千件と訴追されている 。

オピオイド (Opioid) は、ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛、陶酔作用がある。

骨折や慢性疼痛、歯科治療で最もよく処方される「ヒドロコドン/アセトアミノフェン配合剤」「オキシコドン/アセトアミノフェン配合剤」「サボキソン」などのオピオイド鎮痛薬は、疼痛管理には非常に効果的だが、常習性があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。

米疾病管理予防センター(CDC)によると、過量服薬による死亡の多くにオピオイドが関与しており、処方箋薬のオピオイドによる死亡は1999年から4倍に増加している。

過去20年で20万人の米国人が死んだオピオイド危機について、トランプ大統領は2017年に public health emergency と呼んだ。

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は2018年12月1日、Buenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開 いた。

その席でトランプ大統領は習主席に中国から麻薬(強オピオイド)のFentanyl を輸出しないよう要請、習首席は規制物質とすることに同意した。

トランプ米大統領は8月23日、対中関税の新たな引き上げを発表した が、オピオイド鎮痛薬「Fentanyl 」についても、「習主席が輸出を止めると述べたのに、止まっていない」とし、中国からの流入を阻止するため、宅配大手Fed ExやUPS、ネット通販大手Amazon、米郵政公社に対し配達を拒否するよう指示した。

2019/8/26 米国、中国の報復関税に更に対抗関税、米国企業に中国撤退を要求

原告のオクラホマ州は、J&Jと鎮痛剤OxyContinのメーカーのPurdue Pharma及びイスラエルのTeva Pharmaceuticalの3社を訴えたが、Purdue Pharmaは3月に270百万ドル、Tevaも開廷に先立ち85百万ドルの和解金支払いで合意しており、J&Jだけが残っていた

7週間にわたった今回の陪審なしの裁判では州側の弁護士が、J&Jが何年にもわたって中毒性のある鎮痛剤のリスクを矮小化したマーケティングを展開し、自社利益を追求していたと指摘した。

弁護士はJ&Jをオピオイドの中心(opioid kingpin)だと述べ、J&Jのマーケティングが医師による鎮痛剤の過剰処方につながり、これが公的不法妨害を引き起こし、オクラホマ州での中毒死を急増させたと述べた。

公的不法妨害(public nuisance)は、公衆の健康や公衆道徳を害する行為、あるいは共同社会の利益を害する迷惑行為のすべてを含む英米法の概念。

これに対し、J&Jは不正行為は行っていないと強く反論。マーケティングは科学的根拠に基づいており、「Duragesic」や「Nucynta」といった自社製品はオクラホマ州で処方されたオピオイド系鎮痛剤のほんの一部にすぎないと主張した。その上で、この訴訟はオクラホマ州の公的不法妨害法を「過激に」拡大解釈したものだと批判した。

Thad Balkman裁判長は判決で、J&Jが中毒性の高い処方鎮痛剤について事実誤認につながる形で宣伝し、「公的不法妨害」に寄与したことを、検察が立証したと認定した。

「こうした行為は何千人ものオクラホマ州民の安全と健康を脅かした。オクラホマの住民にとってオピオイド危機は差し迫った危機であり、脅威だ」と説明した。


なお、オクラホマ州と和解したPurdue Pharmaはオピオイド系鎮痛剤OxyContinの販売を巡る他の数千件に上る訴訟について和解を目指し、州司法長官を含む原告側と協議を進めていることを明らかにした。

Purdue Pharmaと同社オーナーのSackler 一族は和解の一環として100億-120億ドルを提示したと報じられている。

New York Times によると、Sackler 一族は同社の所有権を拠出するとともに、自らの30億ドルを拠出するとされる。同社を破産宣告し、"public beneficiary trust"にすることで、会社の利益を被害者に渡すという。

付記

Purdue Pharmaは9月15日、Chapter 11の適用をニューヨーク州の連邦裁判所に申請した。同社は一連の訴訟を巡る和解案の条件に基づいて再編を進めることを目指している。

同社はまた、24州と5つの米領のほか、2000超の市や郡などを代表する弁護士との間で、和解で暫定合意したと明らかにした。20を超える州は依然として和解案に反対している。


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米司法省は7月11日、英国の日用品メーカー Reckitt Benckiser Groupが、元の子会社のオピオイド中毒治療薬Suboxone にからむ問題の解決のため、14億ドルを支払うことで合意したと発表した。

Suboxoneの売上高の没収で647百万ドル、連邦政府と州政府との民事の和解で700百万ドル、FTCとの和解で50百万ドルとなっている。

今回の事件は、Reckitt Benckiser Groupの子会社が、米国が全力で取り組んでいるオピオイド危機を悪用して、利益を得たとされる。
販売手法が問題とされたもので、製品そのものが問題ではない。

訴状によると、同社は 舌下フィルム剤のSuboxone (Suboxone Film) を全国の医師、薬剤師、Medicaid 担当官に、実際には実証されていないのに、他の薬剤と比べて乱用性が少なく、より安全であると称して販売促進を行った。

また、患者に対してインターネットや電話で "Here to Help" と宣伝し、Indivior を売りつけた。法で認められている以上の多くの患者に、高濃度で、認められていないやり方でSuboxoneを処方することが分かっている医師を紹介していた。

また、小児科分野で懸念があるとして、Suboxoneの錠剤をやめると発表した。実際はFDAが錠剤のジェネリック品を承認するのを遅らせるのが目的であった。

この作戦は大成功で、数千人の中毒患者がSuboxone Filmを使用し、その結果、Medicaid programsのコストが増大した。

2019/7/15 英国の Reckitt Benckiser オピオイド中毒治療薬問題で米司法省に14億ドル支払い

BASFは2017年9月、Solvayのポリアミド関連事業を買収することでSolvayと合意したと発表したが、欧州委員会は2018年6月27日、競争制限の恐れが強いとして本格調査を開始することを決定した。

欧州委員会の懸念を受け、BASFは2018年10月にSolvayの欧州のポリアミド事業のうちの一部を買収しない案を欧州委員会に提案した。Solvayはその部分を他社に売却する。

欧州委員会は1月18日、両社が提出した下記の条件を守ることを条件に、これを承認した。

  • Solvayの下記の設備を適切な1社に売却する。

Belle-Etoile and Valence (France)、Gorzow (Poland)、and Blanes (Spain)
これらは、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸塩ヘキサメチレンジアミン、ナイロン66ベースポリマー、ナイロン66エンプラ、ナイロン6 3D プリンティングパウダーを生産する。

  • 上記の売却先との間でフランスのChalampéにアジピン酸生産のためのJVを設立
  • 売却先が必要とすればアジピン酸の長期供給契約を締結

2019/1/17 BASF、Solvayのポリアミド事業買収に注力

BASFとSolvayおよびドイツに本拠を置くエンジニアリングプラスチックのメーカーのDomo Chemicalsは8月14日、Domoが欧州委員会が売却を指定したSolvayのポリアミド事業を買収することで合意した。

Domoが買収するのは、SolvayのBelle-Etoile and Valence (France)、Gorzow (Poland)、及び Blanes (Spain) の工場で、これらは、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸塩ヘキサメチレンジアミン、ナイロン66ベースポリマー、ナイロン66エンプラ、ナイロン6 3D プリンティングパウダーを生産する。

SolvayはInvistaとの50/50JVのButachimieで原料のアジピン酸を生産している。Butachimie のSolvay持分はBASFに移るが、BASFとDomoはアジピン酸の供給のためのJVを設立する。

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BASFはSolvayの欧州以外の全世界のポリアミド関連事業(アジピン酸生産のJV Butachimieの50%持分を含む)を買収する。2019年末までに買収を完了することを目指している。

買収する工場は、ドイツ、フランス、中国、インド、韓国、ブラジル、メキシコの8つで、他に、韓国、中国、ブラジルの研究開発センター、アジアと北米・南米の6カ所の技術サポートセンターが移管される。

BASFの現金、負債を除いたベースの購入価格は13億ユーロとなっている。BASFが買収するSolvayの事業の2018年の売上は約10億ユーロであった。

2017年9月の買収合意時の同じベースの価格は16億ユーロであった。Domoが買収する欧州分が控除された。

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DOMO Chemicals はドイツに本拠を置き、世界中にナイロン6原料、ナイロン6レジン、エンジニアリング樹脂、肥料、包装用フィルムを供給する。

同社は買収により事業を拡大してきた。

1938年にDr. Paul Schlack が最初にカプロラクタムからナイロン6を合成、1942年にドイツのLeunaにカプロラクタム工場を建設した。Domoは1994年にこのLeuna工場を買収し、スタートした。

2002年にエンプラ事業に参入、2004年にドイツのPremnitzのPA2000の工場を買収した。

2013年にはイタリア (Arco)、米国 (Cartersville)、中国 (Jiaxing) に工場を持つAquafil Engineering Plastics を買収し、グローバル企業となった。

2014年にナイロン6の包装用フィルムのメーカーのイタリアの CFP Flexible Packaging SpAを買収した。

今回、Solvayの欧州事業を買収し、さらに事業を拡大する。

Bayerは8月20日、米国の Elanco Animal Health との間でBayerのAnimal Health 事業を売却する契約を結んだと発表した。

売却額は76億米ドルで、うち53億ドルは現金で、残り23億ドルはElanco株で決済する。今後、独禁法当局の審査を経て、2020年央に取引を完了する。
Bayerは受け取ったElanco株式を時間をかけて売却する意向。


Bayerは2018年
6月7日に総額625億ドルのMonsanto 買収を完了した。

Bayerは11月29日、合理化策を発表した。今後の事業の方向を明確化するとともに、大規模な合理化を打ち出し、株式市場にアピールした。

合理化の内容は次の通りで、医療用医薬品と農業関連に専従する" global leader in life sciences" を目指す。

競争力を強化し、2022年にはMonsanto買収に伴うシナジー(10.4億ユーロ)を含め、年間26億ユーロの貢献を見込む。

  合理化
コア
事業
Pharmaceuticals ・イノベーションの加速、社内R&Dのリストラ
・血友病事業:ドイツWuppertalの第Ⅷ因子設備を使わず、
 米Berkeleyの組換え第Ⅷ因子設備に集中
 
Consumer Health ・外部での開発が有利と思われる製品の切り離し
 スキンケア (Coppertone™)、フットケア (Dr. Scholl's™) など
Crop Science ・Monsanto事業との統合
Animal Health ・処分を検討(やり方は今後決める)
Corporate  
Currenta (60%持分) ・処分を交渉する。→ 売却決定
合計  

2018/12/3 Bayer、大規模な合理化策を発表、人員整理 12,000人 

Animal Health については「処分を検討」としていた。今回、これを売却した。

Currentaについて:

Bayerはドイツに、Leverkusen、Dormagen、Krefeld-Uerdingenの3つのChempark を持つ。石油化学等が中心である。

Bayer AGと、Bayerから分離したLanxess AG が共同で使用しているため、Chemparkの運営(用役、環境、安全、保安、分析、教育、その他のサービス)をBayer 60%、Lanxess 40% のJVのCurrenta GmbHで行ってきた。このJVはChemparkの外の需要家にもサービスを提供している。

Bayer は2014年に、Life Science 事業(HealthCare と CropScience )に注力することとし、MaterialScience事業を別会社として上場させることを決め、2015年9月1日、Covestro として分離独立した。

2015/9/2 Bayer のMaterial Science 部門、Covestro として分離独立

MaterialScience事業の分離で、今やこれらのChemparkの中でBayerが占める割合は大きく減少し、Currenta GmbH の60%を保有するのは正当化できないとし、「処分を交渉する」としていた。

Bayer (60%保有)とLanxess(40%保有)は2019年8月7日、3つのChemparkのオペレート企業のCurrenta を35億ユーロでMacquarie Infrastructure and Real Assets (MIRA) に売却することで合意した。

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Elanco は動物用医薬品メーカーで、1954年に米国のEli Lilly and Company の一部門として設立された。

Eli Lillyは2018年に数カ月にわたりエランコ事業の見直しを行い、同年7月、同社をスピンオフし、ヒト用の医薬品に専念することを決めた。

本年に入り、Eli Lilly は保有するElanco株式の80.2%Eli Lillyの普通株と交換した。これにより、37億ドルの売却益を計上した。
その後、残りの19.8%を一般に売却した。

Elanco Animal Health Incorporated は3月11日、完全独立企業になったと発表した。

今回のBayerのAnimal Health 事業の買収により、同分野で2位に浮上する。


中国が米国製品に対する追加報復関税を発表したことを受け、トランプ米大統領は8月23日、対中関税の新たな引き上げを発表した。さらに米企業に対し中国からの事業撤退も要求した。

トランプ大統領は、10月1日から、これまでに課している2500億ドル相当の中国製品に対する関税を現在の25%から30%に引き上げると表明した。

さらに中国製品3000億ドルに課す追加関税第4弾の税率も10%から15%に引き上げる。

2019/8/14 米の対中関税第4弾、スマホなど12月15日に先送り


付記

トランプ米大統領は9月11日、2500億ドル分の中国製品に対する制裁関税の拡大を10月15日に先送りすると発表した。10月1日に税率を現在の25%から30%に引き上げる予定だった。
同日に中国が建国70周年を迎えるのにあたり、劉鶴副首相から要請を受けたという。硬軟織り交ぜて中国から譲歩を引き出す狙いとみられる。


ツイッター:

For many years China (and many other countries) has been taking advantage of the United States on Trade, Intellectual Property Theft, and much more.
Our Country has been losing HUNDREDS OF BILLIONS OF DOLLARS a year to China, with no end in sight 

Additionally, the remaining 300 BILLION DOLLARS of goods and products from China, that was being taxed from September 1st at 10%, will now be taxed at 15%. Thank you for your attention to this matter!

米国の中国製品への追加関税の全貌:

現状 今回発表
① 340億ドル 2018/7/6  25% 2019/10/1 30%
② 160億ドル 2018/8/23  25%
③ 2000億ドル

  計 2500億ドル
2018/9/24  10%
  ↓
2019/5/10  25%
④ 3000億ドル 除外 300億ドル 
一般 1100億ドル 2019/9/1  10%  15%
消費財 1600億ドル 2019/12/15  10%


トランプ大統領は更に「われわれに中国は必要ない。率直に言えば、中国がいない方が状況はましだろう」と述べた。

Our Country has lost, stupidly, Trillions of Dollars with China over many years.
They have stolen our Intellectual Property at a rate of Hundreds of Billions of Dollars a year, & they want to continue.
I won't let that happen!

We don't need China and, frankly, would be far better off without them.
The vast amounts of money made and stolen by China from the United States, year after year, for decades, will and must STOP.

そして、米国企業に中国から撤退し、米国で生産するよう命じた。(大統領にその権限はない。)

Our great American companies are hereby ordered to immediately start looking for an alternative to China, including bringing your companies HOME and making your products in the USA.
I will be responding to China's Tariffs this afternoon. This is a GREAT opportunity for the United States.


米国で乱用が問題となっているオピオイド鎮痛薬「Fentanyl 」についても、中国からの流入を阻止するため、宅配大手Fed ExやUPS、ネット通販大手Amazon、米郵政公社に対し配達を拒否するよう指示した。

Also, I am ordering all carriers, including Fed Ex, Amazon, UPS and the Post Office, to SEARCH FOR & REFUSE, all deliveries of Fentanyl from China (or anywhere else!).
Fentanyl kills 100,000 Americans a year. President Xi said this would stop - it didn't.

Our Economy, because of our gains in the last 2 1/2 years, is MUCH larger than that of China. We will keep it that way!

Evonik Industries は2018年11月、投資会社 One Equity Partnersとの間で、PeroxyChemを6億2,500万ドルで買収する契約を締結した。

PeroxyChemは過酸化水素(H2O2)と過酢酸(PAA)を製造するメーカー で、元はFMCの事業部門で FMC Global Peroxygens であった。

One Equity PartnersはJ.P. Morgan Chaseの一部門で、2014年3月にPeroxyChemを2億ドルで買収した。

過酸化水素と過酢酸はいずれも酸化剤であり、パルプ業界の漂白剤や食品加工の消毒剤として、また排水処理など、さまざまな分野で用いられてい る。

過酸化水素は半導体製造、医療用途や宇宙船開発技術など、ハイテク分野での利用が増えてい る。

PeroxyChemは 100年以上もさかのぼるルーツを持ち、フィラデルフィアに本社を構え、世界中で約600名を雇用しており、北米を中心に、ドイツ、スペイン、タイなどに合計8カ所の製造拠点を持っている。

Evonikも過酸化水素とその関連製品を何十年にもわたって製造してきた経験をも ち、世界各地に13の製造拠点を構え、世界で最大手のメーカーの一つである。

Evonik としては、両社の業務内容、ロジスティックス、製品ポートフォリオの拡大や新技術の開発などが相互補完関係にあるため、統合されたグローバルな事業全体において、2,000万ドル規模のシナジー効果を期待して おり、このシナジー効果は2022年までに完全に発揮できるとしていた。

関連当局の承認を条件に、2019年中頃に完了予定としていたが、Federal Trade Commission は8月2日、これをブロックした。審判開始決定書(Administrative Complaint) を出すとともに、最終決定がなされるまでの間、現状を維持するよう求める訴えを連邦地裁に提出した。

両社の統合が米国のPacific Northwest 地区と Southern and Central地区で競争を阻害するというもの。

FTCの主張は以下の通り。

過酸化水素は輸送費の面から、他の地区から運ぶということは考え難い。

Pacific Northwest 地区では、両社のほかに競争力を持つのはSolvayだけであり、統合会社のシェアは50%を超える。

Southern and Central地区では、Solvay、Arkema、Nouryonが存在するが、両社は二大メーカーで、販売量ではトップ3社のうちの2社であり、シェアは約50%である。

両地区で HHI(Herfindahl-Hirschman Index:業界内の全企業のそれぞれのシェアを二乗して足し合わせるもの)は2500をはるかに超え、違法である。

統合は2つの点で競争を害する。

市場は寡占で、談合の長い歴史を持っており、市場での調整の可能性が増す。
両市場ではこれまで需要家は両社の争いで値下がりのメリットを受けてきたが、新しい競合社が出る可能性、他社が増設する可能性は少ない。

買収による統合は、アンフェアな競争方法であり、FTC法に違反し、また、競争を著しく減らすことから、独禁法(Clayton Act)に違反する。

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注)Nouryon

オランダのAkzo Nobelは2018年3月、特殊化学品事業 のAkzo Nobel Specialty Chemicals を米投資会社Carlyle Groupとシンガポールの政府系投資会社GICの連合に売却すると発表した。 負債を含む売却総額は101億ユーロ。

買収されたAkzo Nobel Specialty Chemicals は2018年10月、社名をNouryonに変更した。
スペシャリティケミカル事業の源流の一社である Noury & Van der Lande から採った。日本化薬とのJVの化薬アクゾは当初はNouryとのJVで、社名は化薬ヌーリーであった。


Evonikは8月1日、MMA事業の売却を7月31日に完了したと発表した。関係官庁の承認を得た。今後、Specialty Chemicals に集中する。

Specialty Chemicals への集中の一環として、PeroxyChemを6億2,500万ドルで買収する契約を締結したが、 別項の通り、FTCの反対を受けている。

Evonik は本年3月4日、MMA事業(Röhm GmbH)をAdvent International に30億ユーロで売却する契約を締結した。

世界中に18カ所のプラントを持ち、従業員は3900人。2016年から2018年までで年間売上高は18億ユーロ、年間のEBITDAは約3億5千万ユーロであった。

売却取引は、メタクリレート、アクリル製品およびCyplus社(シアン化ナトリウム)の各事業ライン、ならびにメタクリレート樹脂の事業活動の一部などが対象。PMMAPlexiglas のブランドでいろいろな分野で使用されている。

Evonikは、景気に影響されにくいスペシャルティケミカルへの注力を高めるという組織的な戦略の一環として、これらの事業の売却に踏み切った。

売却先のAdvent Internationalは米国のプライベート・エクイティ会社で、化学業界における経験が最も豊富な世界でも有数の金融投資機関。過去30年間で30を超える投資を行ってきた。

Bayer子会社H.C. Starck 、欧州PVCメーカー Vinnolit(のち、Westlake Chemicalに転売)など。

Evonikは売却収入をバランスシートの強化と成長分野への投資に充てるとしており、PeroxyChemの買収もその一つであった。

Advent International では、この事業を強化するとしており、工場の増強も行う。

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Evonik のMMA事業Röhm GmbHの元はドイツのRohm & Haasの事業である。Dowが買収した米国のRohm & Haasとも同根である。

1907年に2人のドイツ人、ケミストのRohmと実業家のHaasがドイツでRohm & Haasを設立した。

1909年にHaasが米国に移住してフィラデルフィアに支店を設立した。
第一次大戦でドイツ企業が接収されるのを避けてHaasが本社と縁を切って米国企業のRohm & Haasとした。
(Haasは戦後 Rohmにその持分の対価を払っている)

ドイツ本社はRohmと改称、1989年にHulsに買収された。

Hulsは1899年にDegussaと合併してDegussa-Hulsとなり、2001年にSKW Trostbergと合併してDegussaとなっ た。

Degussa親会社のRAG Beteiligungs-AGは2007年9月12日、グループを再編し、Evonik Industries に改称すると発表した。

Rohmは米国のCytexと50/50JVのCyroを米国に設立したが、現在は100%子会社となっている。

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