2008年8月アーカイブ

北京五輪が終了した。

8月23日の朝日新聞は、上記のタイトルの記事で、北京五輪の主会場「鳥の巣」の天井に中興化成工業が作った約6万m2の膜材が使われていること、屋根には旭硝子のフィルム素材が使われていることを報じている。

「鳥の巣」の屋根は2重になっており、外側の屋根は旭硝子の高機能フッ素樹脂ETFEフィルムが、内側の屋根および垂直面(聖火最終ランナーが走ったところ)は中興化成工業の膜材スカイトップが使われた。

また、旭硝子の高機能フッ素樹脂ETFEフィルムは、水泳会場のウォーターキューブ [H2O]3にも使用されている。

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中興化成工業の前身は長崎県の福島炭鉱などを経営した中興鉱業で、1963年にフッ素樹脂専門の加工メーカー(当初名は中興ファイバーズ)として設立された。

現在はフッ素樹脂製品の総合メーカーとして、国内はもとよりアジアを中心とした海外へもビジネスフィールドを広げている。
また、産業用ファブリックへのフッ素樹脂コーティング技術を他の樹脂にも応用し、シリコーンコーティングなど新技術、新用途の開発を行っている。
更に、生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックの開発も行なっている。

「鳥の巣」で採用されたスカイトップは、グラスファイバー(Bヤーンクロス)フッ素樹脂PTFE(四フッ化エチレン)を含浸、焼成したもの。
Bヤーンはスチールより優れた比強度、700~800℃の耐熱性、低温や紫外線の影響を受けない、などの特性を有し、フッ素樹脂には耐熱性、耐候性に加え、非粘着性、撥水性などのユニークな特性がある。

スカイトップはこれらの特性を複合させた高機能性建築材料で以下の特長をもつ。
  不燃性、強靭性、透光性、熱的特性、耐候性、セルフクリーニング性、吸音性

スカイトップは東京ドームやタイ・バンコクの空港など、多くの場所で使われており、2010年に開催されるサッカーのワールドカップ南アフリカ大会のスタジアムでも採用された。

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旭硝子は2006年10月、同社の高機能フッ素樹脂ETFEフィルムが北京五輪のメインスタジアム(鳥の巣)及び水泳会場の国家遊泳中心(ウォーターキューブ=[H2O]3)に採用され、供給を開始したと発表している。

ETFE は四フッ化エチレン・エチレン共重合体。ETFE フィルムは旭硝子が原料から一貫生産している高機能フィルムで、可塑剤等の添加剤、粘着剤などを一切含まず、フッ素樹脂の優れた特徴がそのまま生かされている。

このフィルムの特長である、(1)透明で光を十分に透過する、(2)軽量であり構造への負担が小さい、(3)劣化しにくく寿命が長い、 (4)意匠上、曲線的な加工が可能である、(5)特にメインスタジアムではフィルム表面に印刷を施すことにより光・熱を制御しながら意匠性を高められること等が認められ、採用された。
水泳会場については、水色に着色したフィルムも採用することで意匠面での様々な工夫が可能となることが評価された。

鳥の巣(フィルム加工・施工Covertex Gmbh)では約5万m2、ウォーターキューブ(フィルム加工・施工Vector-Foiltec)では約30万m2のフッ素樹脂フィルムが使用された。

このフィルムはミュンヘン市のサッカースタジアム「Allianz-Arena」でも採用されている。


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シノペックは8月25日、上半期の決算を発表した。

中国会計基準による損益は以下の通り。(単位:百万人民元)

  2008/上 2007/上 増減
営業損益  -23,784  53,285  -77,069
赤字補填  33,400   0  33,400
税引後損益  9,339   35,110  -25,771

営業損益の大幅悪化は、本年に入って原油価格が高騰するなかで、政府が石油製品の価格を統制しているため。

政府から334億人民元の赤字補填を受けた結果、税引後損益は93億人民元となった。
(2007年は49億人民元の補填を受けているが、受領は本年3月であり、2007/上の損益には含まれていない)

赤字補填内訳:
 2008/1Q 赤字補填   74.0億人民元
 2008/2Q 赤字補填  229.3億人民元
 2008/2Q 増価税戻し  30.7億人民元
 合計            334.0億人民元

 中国財務部は 2008/2QからSinopecとPetroChinaの輸入する石油類について、増価税(17%)の75%を払い戻すと発表。
 但し業界では政府はこれを今後は取り止めるのではと見ている。

過去の赤字補填は次の通りで、本年上期の赤字補填はこれらを遥かに上回る。
  
2005年 9,415百万人民元
  2006年 5,000百万人民元
  
2007年 4,900百万人民元

国際会計基準ベースでのセグメント別営業損益(赤字補填を含む)は以下の通り。(単位:百万人民元)

  2008/ 2007/ 増減
Exploration and Production   27,098  22,750  4,348
Refining  -46,021  5,730  -51,751
Marketing and Distribution  22,334  16,795  5,539
Chemicals  4,533  8,542  -4,009
Corporate and others  -722  -233  -489
営業損益合計  7,222  53,584  -46,362
税引後損益  8,255  36,375  -28,120


化学品部門の生産数量は以下の通り。(単位:千トン)

  2008/ 2007/
エチレン  3,307  3,273
合成樹脂  4,923  4,774
合繊原料  3,768  3,938
合成繊維  681  721
合成ゴム  460  360
尿素  685  813

注)エチレンJV BASF-YPCSHANGHAI SECCO の生産量(100%)を含む

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中国石油天然気(PetroChina)の利益も 53,620百万人民元となり、前年同期比 34%の減益となった。

このうち、石油精製事業は前年同期の営業損益が3,900百万人民元の利益であったのに対し、59,020百万人民元の赤字となっている。
他方、石油採掘事業では130,230百万人民元と、前年同期比 35%の増益となった。
このほか、化学事業は6,710百万人民元の益(24.4%増)、Natural Gas and Pipeline 8,400百万人民元の益(37%増)となっている。

石油採掘が中心で石油精製事業の比率の低い中国海洋石油(CNOOC)の利益は 27,540百万人民元と前年同期比 89%の大増益となった。

 


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財務省が28日に集計した7月の輸入通関速報によると、7月の輸入ナフサの加重平均価格は81,933円/kl となった。

5月初旬から同月末にかけての国際市場における契約価格が急上昇したことによる。
前年同月の輸入価格に比べると21,727円/kl (36.1%
もの上昇となる。

国産ナフサ基準価格(3ヶ月平均輸入価格 + 2,000円/kl)ベースでは 83,900円/kl となる。
本年第2四半期の価格は70,900円/kl であった。



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20082月のブログで、中国のアルミ大手、Aluminum Corporation of China Chinalco)と米国のAlcoa The Aluminum Company of Americaが Rio Tintoの株式の12%を141億ドルで取得したと報告した。
正しくは、Rio Tinto は英国と豪州の両本社制で、取得は英国本社のものであり、Rio Tinto 全体への出資比率は9%となる。

取得は、この目的のためにChinalco 100% 出資でシンガポールで設立された特別目的事業体(SPPL)によって行なわれ、Alcoa SPPLが発行する12億ドル分の転換社債を引き受ける。

    2008/2/8  中国アルミとアルコア、Rio Tinto に出資      

 

2008年8月24日、豪州の財務相は中国アルミがRio Tinto の英国本社の株を14.99%まで買収することを承認した。
これにより中国アルミはRio Tinto全体の
11%を取得することとなる。

買収について、豪州政府は次の2つの条件をつけた。
 ・中国アルミは豪州政府の承認なしに、これ以上の取得を行なわない。
 ・持株比率が15%以下である限り、Rio Tinto
に取締役を派遣しない。

中国アルミ社長は、Rio Tinto 株取得は戦略的投資であるとしたが、同時にBHPによる買収に懸念を示した。

日本経済新聞によると、豪州では買収相手の企業の発行済み株式の9割を取得すれば、残りは強制的に買収できることとなっているが、中国アルミの出資比率が11%に高まれば、買収には中国アルミの同意が不可欠になる。

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BHP Billiton によるRio Tinto 買収に関しては、司法省とFTCは、買収の事前通知に対し、調査活動を開始しないことを決めた。

しかし、EU事前調査に1ヶ月かけたが、世界最大と世界第二位の鉱山業者の統合には多くの懸念があるとし、74日、徹底調査を開始した。129日に最終決定を行なう。

 2008/7/5 BHP Billiton Rio Tinto 買収、EUが徹底調査を決定
     

豪州の独禁法当局 Australian Competition and Consumer Commission (ACCC) は本件の101日の正式決定の前に、822日、"statement of issues" を出し、本合併の問題点を明らかにした。

合併が鉄鉱石の取引に対する影響(特に豪州の製鉄メーカーへの影響)が大きいとする一方、銅、金、ウラン、ボーキサイト、アルミに関しては競争上の大きな問題はないとしている。

鉄鉱石でのシェアはブラジルのVale に次いで、 Rio Tinto 2位、BHP 3位で、合併すれば海上取引の35%を押さえることを問題視している。

最終的にシェアが大きくなり過ぎると判断すれば、資産の売却を命じる可能性が強い。
両社はそれぞれ、西オーストラリア州Pilbara地域で鉄鉱石の開発を行なっており、仮にこれの売却が命じられると厄介なこととなる。

BHP BillitonはPilbara地域の鉄鉱山拡張プロジェクトを決め、鉄鉱石の生産能力を129百万t/年から2010年末までに155百万t/年にする。
Rio TintoもPilbaraでの増産を計画中で、140百万tの能力を2008年末までに220百万t/年とする。

BHP は独禁法が施行された中国にも書類を提出している。


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Abu Dhabi 政府の投資会社 International Petroleum Investment Company (IPIC) と、同社が65%出資する石化会社 Borealis はこのたび、Uzbekistan Uzkimyosanoat (ウズベキスタン化学品公団)との間で、ワールドスケールの肥料コンプレックス建設のFS実施に関する契約に調印した。

アンモニア工場と尿素工場を建設する計画で、FSを年末までに終え、2009年初めに決定する。2012年のスタートを目指している。

Uzkimyosanoat は国営で、12の化学工場、13の販売会社などを運営している。

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IPIC は海外の石油・ガス事業を急速に拡大している。 

IPICは本年7月、 Kazakhstan 政府との間で、エネルギーその他への投資のため10億ドルのファンドを設定することで合意した。
それぞれが
5億ドルずつを出資する。詳細は明らかにされていない。

同社はまた、同国での大規模な石油ガス化学事業への参加を検討している。

同国は石油・ガスの販売から、付加価値製品販売への転換を図る多くの計画を持っており、本件はその一つ。

50億ドルを投じて、年産80万トンのPE40万トンのPPを生産、世界中に輸出しようというもの。

AO Kazakhstan Petrochemical Industries (KPI) 50%を出資、IPICBasell が提携相手候補にあがっている。

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本年8月初めに、UAEの国営報道機関WAMIPICShellTurkmenistan で共同で石油・ガスの採掘を検討していると報じた。
Shellは、IPICとともに同国でこの事業を行うのは成長率の高いこの地域でのShellの立場を強化する絶好の機会であると述べている。

IPICはまた、同国との間で5億ドルを投じて年産70万トンの尿素プラントを建設することを協議している。
WAMIPIC社長と同国大統領が会談したと報じた。<p>HTML clipboard</p>

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なお、Abu Dhabi National Oil Borealis JV Abu Dhabi Polymers Company Limited Borougeはこのたび、Abu DhabiAgility社との間で上海にコンパウンド基地と物流ハブを建設し、2010年から10年間、Borouge の需要家への物流サービスを行なう契約を締結した。
上海物流ハブでは年間
60万トンのポリオレフィンを扱う予定。

BorougeAbu DhabiRuwais でエチレン60万トン、HDPE/LLDPE 60万トンを生産しているが、加えてエチレン150万トン、オレフィン転換75万トン、PP 2系列計80万トン、PE 54万トンを建設中で、中国への輸出を促進する。

 

    参考  2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE 
     


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中国石油天然気集団公司(CNPC=PetroChina)は8月19日、同社子会社の遼陽石化公司の亜酸化窒素(N2O)削減プロジェクトがこのほど、国際クリーン開発メカニズム(CDM)の基準を通過し、中国で初めてCO2排出権の取引が認可されたことを明らかにした。

CDM理事会はPetroChina に100万t 弱の排出権を売却することを認めた。
カナダの
NAM とGoldman Sachs が排出権を購入する。

亜酸化窒素(N2O)は笑気ガスとも呼ばれ、「京都議定書」の削減対象となっている6種類の温室効果ガスの一つ。
N2Oの温室効果は二酸化炭素(CO2) の310倍といわれる。

遼陽石化は年間4万トン以上のN2Oを放出していたが、排ガス削減装置を設置後はN2Oを酸素(O2)と窒素(N2)に分解でき、 CO2に換算すると年間1,000万トン分の削減が見込まれている。

PetroChina200612月にBASFからN2Oの排出削減技術の供与を受けた。契約金額は明らかにされていない。

同社はこれを遼陽石化のアジピン酸工場に導入、本年3月に完成し、稼動した。
同工場のアジピン酸能力は14万トンで、これまでは
年間4万トン以上のN2Oを放出していた。

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クリーン開発メカニズム(CDM)は通常は先進国企業が開発途上国でプロジェクトを行い、排出権を取得するもの。
また「共同実施」(J1)は先進国での共同のプロジェクト。

今回は中国(途上国)企業が中国(途上国)で単独で行うもの。(BASF技術だが、PetroChinaはこの技術を購入して自社のプロジェクトとして実施した。)

CDM:クリーン開発メカニズム(対 途上国)  J1:共同実施(対 先進国)

付記

韓国の中央日報によると、韓国の水資源公社は8月初め、オランダのABNアムロ銀行に1億7000万ウォン(約1,719万円)分の二酸化炭素排出権を販売した。

2007年に、安東ダム、長興ダム、城南浄水場から水力発電で得た電気1万3,463メガワット時が国連で温室効果ガス削減の実績と認められたもの。

海外企業との共同事業では既に、日本のイオネスと韓国Foosungが共同で蔚山ハイドロフルオロカーボン(HFC)分解事業を通じて二酸化炭素(140万トン)を削減し、排出権をイオネスに販売、エネルギー管理公団はフランスのローディア社と一緒に温山N20削減事業で二酸化炭素(915万)トンを削減し、フランス企業に販売している。


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ベトナム首相はこのたび、Ba Ria-Vung Tau 省のHo Chi Minh市近郊での石化コンプレックスを9月末に建設着工することを承認した。

事業主体はタイのSiam Cementグループとベトナム側のJVのLong Son Petrochemical で、37.7億ドルを投じて建設する。

SiamグループでPVC事業を行う
Thai Plastic and Chemicals (TPC) と、TPCの子会社でベトナムでPVC事業を行うVina SCG Chemicals が合計で71%を出資、残りをPetroVietnamVietnam Chemical (Vinachem)が出資する。

工場は、Dung Quat Refinery Nghi Son Refinery に次ぐ同国第3の製油所 Long Son Refinery に隣接して建設される。

 

報道によると、コンプレックスはオレフィン 165万トン、ポリオレフィン(HDPELDPEPP) 145万トン、苛性ソーダ 28万トン、EDC 33万トン、VCM 40万トンなどからなる。

VCM系が先行し2013年後半に、残りは2016年にスタートする予定。

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ベトナムには2つのPVCメーカー(TPC Vina Plastic & Chemical Phu My Plastics & Chemicals)があるが、VCMは製造しておらず、全量を輸入している。

TPC Vina は三井化学、三井物産とTPC及びベトナム側2社のJVであったが、三井 2社が撤退し、TPCが肩代わりした。
現在の
TPCの出資比率は70%
PVC能力は190千トン。(既存の100千トンにタイから移設した60千トンプラントを90千トンに増強)

Phu My は計画段階はOccidental 40%、丸紅 30%、ベトナム側 30% であったが、先ずOccidental が、次いで丸紅が撤退し、現在はマレーシアのPetronas 93%を出資している。能力は100千トン。

両社ともVCMはマレーシアVinylchloride Malaysia から輸入している。
同社には当初は三井化学と三井物産が合計 40%を出資していたが、その後撤退し、現在は
Petronas 100% となっている。

Siam Cementグループは1990年からベトナムに進出、塩ビのほか、製紙、建設資材、物流などの事業を行なっている。

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Long Son Refinery は能力が日量24万バレルで建設費は70億ドルの予定。
消費地に近いという立地面から多くの海外企業が合弁を希望しており、Petro
Vietnam はベネズエラ国営石油公社(PVDSA)と交渉をしている。

PetroVietnam は第1の日量14万バレルのDung Quat Refinery の建設を進めており、2009年2月の操業開始を目指している。

第2のRefinery Nghi Son Refinery には20083月に、出光興産三井化学がNghi Son Refinery & Petrochemical コンプレックスの建設に向け、装置の詳細設計や経済性、資金調達方法などを検討する合弁会社への参加を決定したと発表した。

計画では合弁会社にはPetroVietnam25.2%、Kuwait Petroleum 35.1%、出光が35.1%、三井化学が4.7% 出資し、Nghi Son 経済区に日量20万バレルの製油所を建設する。2013年末の操業開始を目指す。

出光は、出資理由を以下の通りとしている。
①ベトナムのエネルギー供給事業に参画することで、同国とのパートナーシップのさらなる発展に貢献、
②クウェート原油の安定供給、出光の石油・石油化学事業で培ってきた建設・運転技術、ベトナムで急増する石油製品需要という三つの条件が揃った案件で、ベトナムでの収益基盤が構築できる。
③アジアでのさらなる事業拡大のチャンス、
④クウェートとベトナムとの一層の関係強化が図れ、安定した原油調達の確保にも寄与する。

三井化学はアロマ原料を安定的に調達することにより、PTAおよびフェノール事業の安定化と収益拡大につなげるとしている。


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三菱ガス化学の前身の日本瓦斯化学が所有していた工場跡地で見つかった有害物質をめぐり、東京都が公害防止事業者負担法に基づき除去費用の一部約11億6000万円の負担を命じたのを不服として、三菱ガス化学が決定取り消しを求めた訴訟の控訴審(一審は同社の敗訴)の判決が20日、東京高裁であった。

大坪丘裁判長は、「有害物質は、跡地で以前操業していた別の会社が更地にした過程で投棄された」と判断、「以前、操業していた会社を引き継いだ日本瓦斯化学と合併した三菱ガス化学は、法律の『公害の原因を作った会社』にあたり、除去費用を負担しなければならない」として1審東京地裁判決を支持、三菱ガス化学の控訴を棄却した。

事態:

東京都下水道局が、2000年2月ころ、共栄化成の工場跡地である東京都大田区大森南の区道で行った工事の掘削土からPCBが検出された。
大田区でボーリング調査を行った結果、高濃度のPCB及び土壌環境基準の16倍に当たるダイオキシン類が検出された。

東京都は、工場撤去時に埋められたとして、ダイオキシン類対策特別措置法及び公害防止事業費事業者負担法に基づき、「土壌汚染対策計画」及び「費用負担計画」を告示、2001年と2003年に計約11億6000万円の除去費用を三菱ガス化学に負担させる決定をした。

三菱ガス化学は2001年11月にこれを不当として決定取り消しを求めた訴訟を行なったが、2006年2月、地裁は請求を棄却した。
今回の裁判は、三菱ガス化学がこの判決を不服として控訴していたもの。

背景:

共栄化成は昭和28年、東京都大田区の工場で無水フタル酸の製造、販売を開始した。
同社は昭和35年ころ以降、原料ナフタレンを過熱して液状にするための熱媒体として、燃えにくいPCBを使用した。

日本瓦斯化学は、無水フタル酸の安定供給を確保することを目的として、昭和35年に共栄化成の株式10万株を取得、昭和37年には30万株を取得して100%子会社とした。
更に、工場用地も買い取って同社に賃貸した。

共栄化成はその後、業績が悪化、昭和39年2月に不渡りで事実上倒産した。操業を停止し、債権者とのやり取りの結果、金融機関に対する借入金の代位弁済、一般の債権者からの債権の買取り等により、日本瓦斯化学が共栄化成に対する唯一の私債権者となった。

日本瓦斯化学では、水島工場で無水フタル酸の精製増加を計画し、共栄化成の精製装置の一部を買い取ることとした。
昭和39年末から40年3月にかけて、同社が斡旋・選定した外部業者に委託して、工場の建物等の解体作業を行った。
工場設備は撤去され、工場跡地は更地化され、共栄化成は解散した。

その後、日本瓦斯化学の所有する土地は分筆され、一部は大田区に売却され、他も各社に売却された。

昭和46年、三菱江戸川化学と日本瓦斯化学が対等合併し、三菱ガス化学が発足した。

ーーー

東京地裁判決:
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060406111718.pdf

争点は次の2点であった。
(1) 本件PCBは、共栄化成の工場跡地を更地化した際に地中に排出したものか否か。
(2) 三菱ガス化学が、負担法3条の規定する「事業者」に該当するか否か。

判決は以下の通り。
(1)について
工場の建物設備の撤去及び跡地の更地化の過程で、広範かつ大がかりな土地の掘削と埋め戻しが行われ、その際、工場で熱媒体として使用されていたPCBが、潤滑油として使用されていた油分及び解体、撤去時に生じたレンガ片、コンクリート塊、ガラ、瓦礫類等とともに、埋め戻しの土に混入され、地中に埋められた蓋然性は高い。

共栄化成以外の第三者によるPCBの使用あるいは地中への排出を疑わせる具体的事実がうかがえない。

PCBは加熱により劣化しにくく、再利用が可能であることから、共栄化成が通常の操業継続中の時期に、大量にこれを投棄する理由が存したとは考え難く、また、大量に地中に漏出したことをうかがわせる証拠もない。

(2)について
三菱ガス化学は、共栄化成がPCBを工場跡地の地中に排出したしても、共栄化成と別人格であり、自らPCBを使用する事業を継続して行っていたわけではない日本瓦斯化学を合併した三菱ガス化学は、「公害防止事業に係る公害の原因となる事業活動」を行った事業者に当たるとはいえないと主張した。

しかし、負担法は、公害が環境に及ぼす有害な結果の重大性にかんがみ、公害防止事業に要する費用を、広く当該公害の原因を作出した者に負担させることを企図しているものと解され、このような法の趣旨にかんがみると、負担法3条の「当該公害防止事業に係る公害の原因となる事業活動」を行った事業者について、自ら当該PCBを使用する事業を継続して行う者に限定して解する理由はなく、また、その事業活動を継続的なものに限定する理由もないというべきである。

ダイオキシン類が排出されたのは、共栄化成の私的整理から清算に至る過程でのことで、日本瓦斯化学は、
当時、共栄化成の全株式を保有し、役員を派遣するなどして経営を支配しており、
PCBを使用していた工場の敷地及び建物の約半分につき所有権を取得して共栄化成に賃貸し、
共栄化成が事実上倒産した後、残存原材料を日本瓦斯化学の水島工場で利用する目的を有し、共栄化成の従業員の多数を雇用するなど、実質的に共栄化成の営業の一部又は重要な財産の一部を承継する一方、
共栄化成の他の債権者からその債権を買い取り、自己の債権回収を進める中で、
工場撤去や資産の売却方針の決定等に主導的役割を果たしていたもので、工場設備の撤去の作業に対して指揮監督を及ぼすことが可能であったことが認められる。

このような事実関係の下では、日本瓦斯化学と三菱江戸川化学が対等合併して発足した三菱ガス化学は、負担法3条所定の「当該公害防止事業に係る公害の原因となる事業活動」を行った者に当たるとみるのが相当である。

ーーー

今回の高裁判決は、この地裁判決を支持したもの。


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Koch Industries が2004年に DuPont から買収した Invista は、本年春に、DuPont から買収した工場に安全面、環境面で広範かつ重大な違反があったとして8億ドルの補償と、懲罰的賠償を求め、マンハッタンの連邦地裁に訴訟をおこした。

2008/4/2 Invista、DuPontに8億ドル以上の損害賠償請求 

Invista は8月15日、DuPont 及び フランスのRhodia Rhone-Poulenc化学品事業部と繊維・ポリマー事業部が分離独立)をNew York地裁に訴えた。

今回の訴訟はナイロン原料のアジポニトリルの製造技術に関するもので、 Rhodia DuPont が組んで、Invista の機密の、世界のトップレベルの技術を、アジアでの競合工場建設のために不当に利用しようとしているとしており、これの差し止めと、被害に対する補償を求めている。

Invista によると、同社はこの技術を42億ドルの買収の一部として、DuPont から取得した。
この際、DuPont 一定期間について、Invista との競合及び競合メーカーへの投資を禁止する契約にサインしており、まだ有効である。

Rhodia Invista子会社とRhodia とのフランスのJVから不当にこの技術を入手し、アジアで工場を建設しようとしており、DuPont は最近、この計画に出資することを明らかにしたとしている。

ーーー

DuPont はこれに対し「事実無根」とし、強く対抗すると述べた。

DuPont は科学企業として自社の知的財産権の保護と他社の知的財産権の尊重に注意を払っているとしている。


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BHP Billiton 818日、20086月決算を発表した。

増収増益で、売上高、純利益とも7年連続で最高益となった。
営業損益(金利控除前)は
241億ドルとなり、前年比で22%増、前々年比では54%増となった。
売上高利益率は
40.6%にも上る。

部門別の売上高、営業損益の推移は以下の通り。(単位:百万ドル)

   Sales  Profit from Operations 売上高
利益率
2006/6 2007/6 2008/6 2006/6 2007/6 2008/6 前年比 2008/6
Base Metals
(銅、銀、鉛、亜鉛、モリブデン、ウラン、金)
 10,294  12,635  14,774  5,873  6,875  7,890  115%  53.4%
Petroleum  5,230  5,885  9,547  2,968  3,014  5,489  182  57.5
Iron Ore  4,782  5,524  9,455  2,533  2,728  4,631  170  49.0
Manganese (マンガン)  1,037  1,244  2,912  132  253  1,644  650  56.5
Aluminium 
(ボーキサイト、アルミナ、アルミ)
 5,084  5,879  5,746  1,186  1,856  1,465   79  25.5
Stainless Steel Materials (ニッケル)  2,955  6,901  5,088  878  3,675  1,237   34  24.3
Energy Coal (燃料炭)  3,965  4,576  6,560  326  305  1,057  347  16.1
Metallurgical Coal (原料炭)  3,941  3,769  3,941  1,834  1,247  937  75  23.8
Diamonds and Speciality Products
(ダイヤ、チタン)
 1,263  893    969  287  197  189  96  19.5
全社  548  167  481  -301  -426  -394    
合計  39,099  47,473  59,473  15,716  19,724  24,145  122  40.6
                 
金利 (net)        -600  -512  -662    
税金        -4,582  -5,716  -7,521    
税引後利益        10,534  13,496  15,962  118  26.8

鉄鉱石、石油、マンガン、燃料炭などが前年比大幅増益となったのに対して、アルミ、原料炭、ダイヤ、ニッケルなどが減益となった。

これはほとんどが価格変動によるもので、同社によると、本年6月と前年6月の価格差は65億ドルに達するが、鉄鉱石、石油、マンガン、燃料炭、銅が大幅な値上がりメリットを得たのに対して、ニッケルは大幅値下がり、アルミ(ドル安が影響)も若干の値下がりで、原料炭、ダイヤなどはほとんど変動がない。(原料炭は今後大幅に値上がりする)


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BASF20077月、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。   

効率的な最適化対策と、戦略の微調整により、BASF のスチレン事業の業績は大幅に向上しているが、収益性を適切な水準とするためには、さらなる見直しが求められているとし、他のオプションとともに事業売却も検討するとしている。

同社は20078の第2四半期の業績発表の席上、 スチレン事業の一部の売却に関して、買い手候補のある1社と極めて建設的な交渉を行っていることを明らかにした。
この交渉相手がBasell (元
BASF/Shell の50/50JV)であると伝えた新聞もあった。(現在の交渉相手は不明)

売却対象はコモディティのSMPSABSSBS(スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)であった。

    2007/8/6 BASF、スチレン事業一部の売却交渉進展

BASF 200811日に組織改正を行なった。
Plastics部門では、Styrenics の売却を前提に、Styrenics のなかで売却対象外のSpecialty Plastics Foams StyrenicsからPerformance Polymersへ移動した。

    2007/12/12 BASF の組織改正

BASFは2008年2月に、売却交渉が進んでおり上半期中に決定するだろうとしていたが、結局妥結しなかった。
金融情勢の悪化で、買い手が自己資本を増やす必要が出たこと、金利の上昇などが理由で、BASFでは無理に安売りする必要なしとしている。

ーーー

BASF818日、スチレン部門売却準備を更に進めることを決めた。

20091月付けで売却対象事業を子会社(複数)に分離する。

また、これまで対象外としていたスチレンコポリマー事業を分離対象に加える。ドイツのLudwigshafenSchwarzheide 両工場のコポリマー生産プラントとグローバルな販売流通組織が新しく分離対象となる。
BASFに残るFoams (発泡PS)事業はPerformance Polymers division に帰属する。

BASFでは今回の再編は、スチレン事業の将来の成功を推し進めるとともに、BASF外でのオプションをBASFに与えるとしている。

この結果、新しい子会社(複数)は以下の体制となる。

製品
 ・
Commodities
   
SM
 
 PS
  ABS
  SBS (スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)

 ・コポリマー:
  
Luran® (SAN) :スチレン/アクリロニトリルコポリマー
   Luran® HH (AMSAN):α-Methylstyrene-acrylonitrile copolymers
   Luran® S (ASA)styrene acrylonitrile copolymers
                 that have been impact-modified with acrylic ester rubber
   Terblend® N (ABS/PA)ABS/Polyamide 6
   Terluran® HH (ABS-High Heat)modified ABS that meets
                 the requirements for thermally stressed components

  
Terlux® (MABS)MMA-acrylonitrile- butadiene-styrene-polymer
   Styroflex® (SBS) Styrene/butadiene block copolymer

製造基地
  
Antwerp, Belgium
   Ludwigshafen and Schwarzheide, Germany;
   Altamira, Mexico
   São José dos Campos, Brazil
   Dahej, India
   Ulsan, South Korea


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スペインの石油・石油化学メーカーCEPSACompania Espanola de Petroleosは上海ケミカルパークでフェノール(年産25万トン)/アセトン(15万トン)プラント建設を計画している。政府の認可待ちの状況。
Sunoco/UOP 法を採用し、キュメン法で生産する。キュメンは当面は輸入する。

上海ケミカルパークではBayer がPCプラントを持ち、10万トンを稼動中(第ニ期で倍増)で、同地に20万トンのビスフェノールAの建設を計画しており、これにフェノールを供給する考え。

同地にはシノペック高橋石油化学がフェノール(124千トン)、アセトン(76千トン)、キュメン(162.4千トン)を生産しているが、こちらは同地に建設中の上海石化と三井化学のビスフェノールA(120千トン)に供給する。

  BPA PC
Bayer 立地:上海ケミカルパーク
能力:200千トン(時期未定)
立地:上海ケミカルパーク
能力:200千トン(第一期 100千トン稼動)
JV :Bayer 90%/上海クロルアルカリ10%
三井化学 立地:上海ケミカルパーク
能力:120千トン(建設中)
JV :
上海石化三井化工
    (Sinopecと50/50)
(帝人化成に供給)
  立地:
浙江省嘉興市
  能力:100千トン(60千トン)

ーーー

CEPSAは石油・石油化学の総合メーカーで、石油の探鉱・開発から精製、輸送、販売と合成樹脂、合成繊維、洗剤原料等の生産販売を行っている。

石油化学については、
これまで、子会社ERTISA(フェノール)、Petresa(アルキルベンゼン)、Interquisa (PTA)で製造販売し、製油所で生産したプロピレンやBTXなどの石化製品についてはPetrocepsa で販売していたが、本年5月、これらを1社にまとめ、 CEPSA Quimica とすることを決定した。

新しいCEPSA Quimica の体制は以下の通り。

製品 従来 能力 (千トン) 備考
洗剤原料(LAB) Petresa (Spain)  220  
Petresa-Canada  120 CEPSA 51%/SGF 49%
Deten Quimica -Brazil  220 CEPSA 72%/Petrobras 28%
Polyester 原料
(PTADMTPIPA: purified isophthalic acid)
Interquisa (Spain) PTA 750DMT 80PIPA 30  
Interquisa-Canada PTA 500 CEPSA 51%/SGF 49%
Phenol / Acetone/Cumene
Methylamines
Ertisa (Spain) Phenol 550/ Acetone 340
(
現状は合計で970
Cumene
800
 
石化製品
(BTX, PX, OX,
シクロヘキサン、プロピレン)
2つの製油所で生産
Petrocepsa で販売
 1,110  

  注 SGF はSociété Generale de Financement du Quebec

なお、昨年12月にCEPSA スペインのLa Seda de Barcelona, S.A に対してInterquisa 595百万ユーロで売却することで合意した。カナダ事業の持分(51%)を含む。
見返りに
Cepsa La Seda の株式 12% を取得することとなっていた。 

La Seda 2006年に、元はDuPontとトルコのSabanci の合弁で、Sabanci 100%子会社となっているAdvansa から英国Wilton PTA工場 670千トン)と英国とトルコのPET工場(合計能力 280千トン)を買収している。

しかし、本年1月に入り、La Seda の株価が12月中旬の2.40ユーロから1.44ユーロに急落したため、この取引は無期限に延期された。


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7月28日のブログで、ニューヨーク市場の原油先物相場のWTI原油価格が下降に転じ、15日には140ドルを割り、17日には130ドルを割って、25日の終値は123.26ドルとなったと伝えた。

但し、このまま下がり続けるかどうかは分からないとした。

    2008/7/28 最近の原油事情 


その後も、一時的な値上がりはあったものの、下降を続け、15日には一時、111.34ドルまで下がった。(終値は113.77ドル)
途中でトルコのパイプライン爆発、グルジア紛争などで一時戻したが、すぐに下落に転じている。

13日には、同日発表の米週間石油在庫統計でガソリン在庫が予想以上の大幅減となったことが理由とされ、急反発して 2.99ドル高となった。
(ガソリン在庫は予想の3倍の640万バレルの減少となったが、これは製油所の稼働率が85.9%に止まったためで、米国のガソリン消費は過去4週間で2%減少している。)

しかし景気減速に伴う需要鈍化懸念が売りを誘発し、再び下落した。

年初来平均価格は114.6ドルとなっている。

  WTI   終値   一時
     :    :  
  8/4   121.41    
    5   119.17    
    6   118.58    
    7   120.02    
    8   115.20    
  11   114.45   112.72
  12   113.01   112.31
  13   116.00    
  14   115.01   112.59
  15   113.77   111.34

背景には最近のドル高と、世界的な景気減速に伴う需要鈍化懸念がある。

7月に欧州経済の悪化懸念でドル高・ユーロ安に転じた。

欧州連合は8月14日、ユーロ圏15カ国の第2四半期のGDPが前期に比べ実質ベースで0.2%減となったと発表、マイナスは1999年の通貨統合以来初めて。加盟27カ国全体でも0.1%減となった。

また、米国の投機規制強化の動きを嫌ったマネーが商品市場から米ドルに流入している。

最近の商品市況は、原油(最高値比 23.3%のダウン)のほか、金(20.3%)、白金(34.3%)、銅(20.0%)、アルミ(18.0%)、トウモロコシ(33.5%)、大豆(26.6%)、小麦(40.8%)など、軒並最高値から大幅に下落している。(2008/8/14 日本経済新聞)

米国エネルギー省のエネルギー情報局(EIA)は8月12日、エネルギー短期見通しを発表した。
    http://www.eia.doe.gov/emeu/steo/pub/contents.html?featureclicked=1&

今後の18ヶ月の石油市場のファンダメンタルからは、需給緩和と価格弱含みが予想される。
米国とグローバルの石油需要の伸びの鈍化、第3四半期からのOPECの原油・NGLの能力増、非OPECでの供給増があいまって、OPEC原油に対する需要減、過剰能力の増加が予想される。
景気のダウンがもっとひどいとか長引くことが予想されたり、高価格のために予想以上に需要が減少した場合、値下げ圧力が更に強まる。
勿論、需要が予想以上に増えたり、能力増が予想以下の場合に、値下がりが少なかったり短期間となる可能性もあり、地域紛争やハリケーン、OPECの自主減産などが価格に影響を与える可能性もある。

2008年上半期の世界の需要は前年比で日量50万バレルの増加となった。
OECD以外で日量130万バレル増加したが、米国需要が80万バレル減少した。
2008年下半期は日量100万バレルの増、2009年は通期で日量100万バレルの増(前回予想より46万バレル減)が予想される。

米国の需要は1-5月が前年比で日量90万バレルの減、6-7月が40万バレル減となった。
1-6月の80万バレルの減少は1982年上半期に前年比80万バレル減となって以来の26年ぶり。

WTI価格は2007年平均が72ドルであったが、2008年平均は119ドル、2009年は124ドルと予想する。
(8/15までの単純平均は
114.6ドルで、年平均119ドルになるには残り期間の平均は127ドルとなる)

ーーー

なお、米連邦取引委員会(FTC)は13日、石油産業による相場操縦を禁じるための規制案を公表した。
原油やガソリン、天然ガスなどの市場を人為的に操作するのを目的にウソの情報を流すなどの不正行為をした者に対し、1日あたり最大100万ドルの罰金を科せるようにするというもので、9月18日まで一般の意見を募る。

The FTC's proposed rule would make it unlawful for any person, directly or indirectly, in connection with the purchase or sale of crude oil, gasoline, or petroleum distillates at wholesale:

    a.   To use or employ any device, scheme, or artifice to defraud,
    b.   To make any untrue statement of a material fact or to omit to state a material fact necessary in order to make the statements made, in the light of the circumstances under which they were made, not misleading, or
    c.   To engage in any act, practice, or course of business that operates or would operate as a fraud or deceit upon any person.

ーーー

東京市場ではドバイ原油、ナフサとも、WTIに合わせ下落している。

ドバイ原油は7月4日の過去最高 140.60ドルに対し、15日は108.45ドルと、32ドルの下落となっている。

オープンスペックナフサも、7月4日の過去最高 1,248ドル/トンに対し、12日には980ドルとなった。1,000ドル以下となったのは5月13日の991ドル以来初めて。(15日終値は999ドル)

 


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オーストリアの石油会社OMVは昨年9月にハンガリーの石油会社MOLの買収の意向を発表、その後、MOLが自社株買いに動くなど、徹底抗戦の構えを示していた。

OMV86日、欧州委員会がこの買収に反対したことを理由に、買収提案を引き下げた。

ーーー

OMV Aktiengesellschaft はオーストリアの製造業では最大の上場企業。中欧での最大の石油・ガス企業で、5大陸、18カ国で石油の採掘生産を行っている。

1994年にノルウエーのStatoil とフィンランドのNeste の石化事業を統合して設立されたBorealis に35%出資している。
Borealis の残り65%は、アラブ首長国連邦IPICAbu Dhabi National Oil 50%Abu Dhabi Investment AuthorityNational Bank of Abu DhabiのJVが50%出資)が出資している。

オーストリアのSchwechat では、2006年にOMV がオレフィンを、Borealis がLLDPEとPPの新増設を行い、欧州の一大石化基地とした。

    2006/11/10 OMVとBorealis、オーストリアとドイツで石化増強          

Borealis Abu Dhabi Abu Dhabi National Oil CompanyとのJVのAbu Dhabi Polymers (Borouge)を設立し、石化事業を展開している。

    2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)
      

ーーー

MOLはハンガリーの石油会社から中欧最大の企業の一つとなった。

 ・MOLは化学会社TVKの84.86%を所有。
    エチレン 660千トン、LDPE 97千トン、HDPE 420千トン、PP 280千トン

 ・スロバキアの石油会社 Slovnaft Plc.を所有

 ・2003年にクロアチアの石油・ガス会社 INA の25.0%を買収、同社と戦略的提携を行なっている。


ポーランドのPKN Orlen 2005年にMOL との統合交渉を開始したが、政治化した結果、失敗に終わっている。

   2008/7/29 PKN Orlen、ポーランド初のPTAプラント建設
    

ーーー

OMVはベルリンの壁の崩壊時点からMOLを狙ってきた。
ロシアのビジネスマンが買った株を買取ったりしている。

昨年9月にOMV230億ドル(約25千億円)の買収計画を発表した。

MOLとの統合でもっと効率的なダウンストリームビジネスを作ることを狙った。
効率の向上、企業レベル及び上流事業、ガス・石油化学事業での最適化により、税引前で年間
4億ユーロのシナジー効果が出ると主張している。

これに対してMOLは、今回のOMVの発表は正式のTOBでないことを株主に伝え、OMVの提案はMOLの事業と将来性を低く評価していること、合併が年間4億ユーロのシナジー効果があるとするが、合併や独禁法上で必要とされる事業売却によってマイナス効果もあるとして、同社としてはこれに反対すると述べた。
OMVの動きに対抗し、MOLは自社株の40%を買い戻した。

ハンガリー政府も外国の国営企業がハンガリーの戦略的企業を買収するのを防ぐ目的で、「OMV法」と呼ばれる法律を通した。
OMVはオーストリア政府とアブダビ政府のファンドであるIPICがコントロールしているため、対象となる。)

欧州委員会はハンガリー政府に対し、この法律は資本の自由な移動を不当に抑えるもので、EU法に違反すると伝えた。
TOBに関して面倒な手続きを必要としており、政府がエネルギー会社の役員を1名指名できるのを問題にした。

MOLは民営化されているが、政府所有の黄金株があること、議決権が10%に制限されていることなど、敵対的買収に対する防御手段を持っており、OMVは欧州委員会がこれらの障害も除去することを求めた。

その後、両社はいろいろな手段で争いを続けた。

ーーー

6月16日、欧州委員会はOMVによるMOLの敵対的買収に関して反対意見書を出した。

OMVはオーストリアのSchwechat 製油所を持つが、買収により、ハンガリーとスロバキア(Slovnaft 社)の2つの製油所を手に入れることとなることを問題とした。

OMVはこれに対して異議を申し入れ、いろいろの国の給油所の売却、製油能力の集中についての欧州委員会の懸念を除くため第三者が能力をシェアする「共用製油所」/コストセンターモデル案など、妥協条件を出したが、欧州委員会はこれを受け入れなかった。

OMVでは、これ以上の妥協は経済的戦略的合理性を損なうとし、今回の買収をギブアップ、欧州委員会への申請を取り消した。

しかし、今までに取得した
MOLの株式20.2%を手放す考えはないとしている。
20.2%の持ち株を最大限利用するいろいろなオプションを考える。)

また、MOLの株主として、コーポレート・ガバナンスの原則確立を求め続けるとし、MOLに対する訴訟は撤回しないとした。

 

MOLOMV提案の合併は競争上問題であり、「価値破壊」的で、経済的にも戦略的にも意味はないと述べ、今後も株主価値の保護に注力するとしている。

 


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LyondellBasell 86日、SABIC関係会社のArabian Industrial Fibers IBN RUSHD)が同社のSpheripol PP 技術を採用したと発表した。

IBN RUSHD1993年にSABIC 70%、その他1530%JVとして設立され、Yanbu に芳香族→PTA→ポリエステルのコンプレックスを1995年から稼動させている。

今回、初めてPPに進出し、Yanbu に525千トンのプラントを建設するもので、2012年のスタートを目指す。

ーーー

同社のYanbu のコンプレックスは3つのプラントから成る。

 Aromatics Plant

UOPCyclar process LPGから直接芳香族を生産する。
Paraxylene Benzene がメイン。

 PTA Plant

Paraxylene と酢酸からPTAを生産する。199910月稼動で、Tecnimont が建設を担当した。能力は35万トン。

20055月に酢酸工場が稼動した。SABIC技術で、能力は34千トン。

 Polyester Plant

PTAEG(エチレングリコール)でPolyester を生産。
EGは同じYanbuにあるYanbu Petrochemical YANPETSABICExxonMobil 50/50JVでエチレン、プロピレン、EGPEPPを生産)から供給を受ける。

以下の製品を生産している。合計生産能力は
11万トン。
 ・
Staple fiber for textiles
 ・Filament yarn
 ・Carpet fiber
 ・Bottle grade resin

ーーー

詳細は明らかでないが、同社は借入金が増大し(酢酸事業も影響)、赤字となっていた模様で、昨年末に抜本策を決めている。

先ず、2007年10月末の臨時株主総会で戦略的計画を承認した。
おそらく、ここでPP進出が決まったと思われる。

2007年12月1日の臨時株主総会で、資本金を35.5億SAR(1SARは約29円)から85.1億SARへの大幅増資し、General Investments Fund (GIF) とSABICからの借入金を資本金に切り替えること、その結果、GIFを株主に加えることを承認した。

この結果、これまで出資比率 70%であったSABICは45.19%となり、GIF 33.51%、残り15社(下記)が21.3%となった。

Saudi Arabian Fertilizer Company 3.70%
Saudi Pharmaceutical Industries and Medical Appliances Corporation (SPIMACO)
 
4.17%
Arab Petroleum Investments Corporation (APICORP) 3.45%
Gulf Investment Corporation 1.95%
Saudi Industrial Development Company 1.56%
General Organization for Social Insurance 1.73%
United Gulf Industries Corporation (BSC) 0.9%
National Industrialization Company (TASNEE) 0.87%
Arabian Industrial Development Company (NAMA) 0.78%
Saudi Advanced Industries Company (SAIC) 0.62%
National Industrial Gases Company (GAS) 0.69%
Saudi Industrial Development Company (TATWEER) 0.11%
Al-Hasa Development Company  0.42%
Alujain Corporation  0.29%
Al-Madina Industrial Investment Company (MIIC)  0.06%
 

 


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ニッケル世界最大手のNorilsk Nickelは8月8日の取締役会で、KGB出身のVladimir I. Strzhalkovsky 前ロシア連邦観光局長官の最高経営責任者(CEO)就任を承認した。

同社は7月7日の取締役会(下記のRusal を新たな株主として迎えた初めてのもの)で、Denis Morozov 社長が解任され、大株主のInterrosのオーナーのVladimir Olegovich Potaninを会長に、Interros副社長のSergei BatekhinCEOに選出したばかり。

短期間のトップ交代は、同社の29.78%を保有するInterrosVladimir Potanin と、本年4月にNorilsk Nickel の元社長Mikhail Prokhorov から〔25%+1株〕を取得したロシアのアルミ大手Rusal のオーナーOleg Deripaska との争いの結果で、Rusal は将来的にNorilsk との完全合併を含むさまざまな選択肢を検討していると表明し、「市場の環境が好ましければ、われわれは追加的な株式取得を検討する」と述べている。

Potanin はこれに危機感を持ち政府を味方につけたもの。
政府の強硬派はエネルギーに続き非鉄などの産業へ利権拡大を目指しており利害が一致した。

Rusal は、専門家が必要として、今回のStrzhalkovskyCEO選出に反対したが、押し切られた。
Norilsk Nickel Rusal の合併は遠ざかったと見られている。

ーーー

Norilsk Nickel はシベリア北部のNorilsk を拠点に作られた国営の非鉄金属企業。
北シベリアの
Taimyr半島における銅・ニッケル鉱床の探鉱は1920年代に開始され、開発はソ連の連邦保安院の保護の下、政治犯や囚人を利用して1935年に開始された。
1953年までには、ソ連邦生産の35%のニッケル、12%の銅、90%の白金族金属を
Norilsk のコンビナートから生産されるようになった。



同社はソ連崩壊後の1993
年に民営化された。民営化にあたっては当時「オリガルヒ」と呼ばれた新興の寡頭資本家の一つOnexim Groupが株式の過半数を握って支配権を得た。(これを同グループの二人、Vladimir Potanin Mikhail Prokhorov が分け合った)

その後のパラジウムとニッケル価格の上昇による増収により、投資が可能となった。

現在、
Polar Division はTaimyr半島でニッケル・銅・パラジウム・プラチナ・金を生産、Norilsk などのプラントで溶錬や製錬を行なっている。
Kola Division はKola半島の4鉱山でニッケル・銅・パラジウム・プラチナ・金を含む鉱石を掘っている。
100%子会社のPolyusは、クラスノヤルスク地域で金を含む酸化鉱と硫化鉱を採掘している。

Norilsk Nickelは2003年にカナダの鉱山会社Stillwater Mining Companyの55.4%を買収。さらにフィンランド、オーストラリア、南アフリカ、ボツワナの非鉄金属企業を次々に買収し、多国籍企業になった。

2007年にはニッケルで世界第10位のカナダのLionOre Mining International Ltd. を48億ドルで買収した。
ニッケルと金の採掘業者で、豪州、ボツワナ、南アで活動している。

同社の売上高内訳(2006年ベース)は以下の通りとなっている。

 ニッケル  54%
 銅  24%
 パラジウム  11%
 プラチナ  10%
 金   1%

Norilsk Nickel によると、2007年の同社の世界シェアは以下の通り。
(下記の表と若干異なる)

 ・ニッケル   18.8%
 ・パラジウム   46.3%(うちStillwater 3.1%)
 ・プラチナ   12.0% (うちStillwater 1.0%)
 ・銅    2.7%
     
シェア(石油天然ガス・金属鉱物資源機構まとめ:日経記事より)
ニッケル鉱石 Norilisk Nickel (ロシア)  20.6%
Vale do Rio Doce (ブラジル)  17.6
BHP Billliton (英豪)  10.9
Xstrata (スイス)   5.7
中国 (国全体の生産量)   4.8
5社合計  59.6
プラチナ鉱石 Anglo Platinum (南アフリカ)  40.9
Impala Platinum (南アフリカ)  22.2
Norilisk Nickel (ロシア)  12.7
Lonmin PLC ()  12.0
Vale do Rio Doce (ブラジル)   2.2
5社合計  90.0

Potanin会長は鉄鉱石、石炭、ウランなどへの多角化をしたいとしており、株式の50% がロシアの手に残ることを条件に合併もありうるとしている。

ーーー

20084月、ロシアのアルミ大手Rusal が、Onexim Group (Norilskの元社長Mikhail Prokhorov が所有)からNorilsk Nickel 株の25%+1株の購入取引を終了した。(現在の持ち株は25%+2株)

2007年12月に、優先権をもつPotanin所有の持株会社Interrosが、Onexim Group保有のNorilsk Nickel 株を購入しないと発表、この結果、さきに締結していたRusal との合意が有効となった。

対価は Rusal の株式14%および現金(およそ70億ドルとされている)で、この結果、Rusalの保有比率は、Oleg Deripaska が56.76%、Prokhorov が14%、Glencore10.32%Sualの元株主が18.92%となった。

Rusal については 2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収

8月5日、Onexim Group がNorilsk Nickel の株式の16.66%を取得手続中で、これをPotaninInterros に売却する意向であると発表した。
取引は11月15日までに完了しなければならず、
Potaninが100億ドルでこれを購入する準備があるとされている。

これが実現すれば、Interrosの持ち株は30%を超えることになり、法律に則って他の株主に買取りオファーを行わなければならなくなる。
また、
Interrosがすでに30%以上を保有しているにも関わらず買取りオファーを行っていない可能性もある。

このためRusal Interrosに詳細情報提供を求めるとともに、連邦金融市場庁に対して、株主構成比率に関する調査を行うよう要請した。

これに対し、連邦金融市場庁は、InterrosNorilsk Nickel の株式の30%以上を保有しているという情報はないとしている。

ーーー

今回の取締役会の前日、Rusal は声明を発表、過去数年、 Vladimir Potanin の Interros Norilsk Nickel を牛耳ってきたが、その間、業績は低迷したと批判、 StrzhalkovskyCEO選任についても、頻繁にCEOを交代し、しかも鉱業の知識も経験もない人間を選ぶのはおかしいとして反対した。

これに対し Norilsk Nickel は、業績は上がっており、批判は的を得ていないと反論している。

ーーー

Rusal は法的措置も含め、今後も争うとしており、混乱が続きそうだ。

 


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新日本製鐵は7月29日、連結子会社の日本スチレンモノマーを6月30日に解散したと発表した。

日本スチレンモノマーは1988年に新日鐵化学(65%)、東ソー(35%)のJVとして設立された。
新日鐵化学大分製造所内に1990年9月に能力200千トンのSMプラントをスタートさせ、1995年8月に現在の232千トンに増設した。

原料エチレンは昭和電工から供給を受け、ベンゼンは新日鐵化学が供給している。
製品は出資比率で引き取っており、損益ゼロで運営していた。

業績推移(単位:百万円)
  '06/3 '07/3 '08/3
売上高  28,838  33,954  38,886
経常利益     1     1     0
当期純利益     0     0     0

新日鐵化学と東ソーは本年3月5日、合弁事業を3月末で解消すると発表した。

東ソーは1998年10月に四日市のSMプラントを停止後、日本スチレンモノマーからの引取りのみでSM事業を行ってきたが、原料は全て他社品で(東ソーとしてはエチレンは購入ポジションで、立地は別として供給余力はない)、数量も年間8万トン程度のため、「選択と集中」を進める中で、SM事業からの撤退を決めた。

新日鐵化学は東ソー保有株式を買取り、100%子会社とした。
大分製造所には自社の190千トンプラントがあり、合計2系列422千トン(業界4位)となる。
「中国市場に近いというプラント立地条件も最大限いかした事業展開で、今後も強固な事業基盤の構築を目指す」とした。

新日鐵化学はその後、グループ一体運営による業務効率化を図るため、4 月に設備等資産を取得し、6月末をもって同社を解散することとした。

ーーー

新日鐵化学は当初、戸畑に18千トンのSMプラント及びPSプラントを持っていた。(その後、SMを停止)
1982年に新日鐵大分に150千トンのSMプラントを稼動させた。(のち190千トンに拡大)

一方、東ソーのSM事業は1971年に中部ケミカル(新大協和石化、大日本インキ化学、協和発酵、日立化成のJV)が 四日市に 80千トンプラントを建設したのに始まり、中部ケミカルの新大協和石化への吸収、90年の新大協和石化の東ソーへの吸収合併で東ソー事業となった。
自社で誘導品を持たない唯一のメーカーで、大日本インキ化学のPS向けに供給していた。

 

産構法終了に伴い、両社はそれぞれSM の増強を計画、1988年に合弁で日本スチレンモノマーを設立した。
(当時は大型化のため、共同生産するのが一般的であった。)

工場は1990年に生産を開始したが、1992年に昭和電工が参加した。

昭和電工は住友化学との合弁の日本ポリスチレン工業でPS事業を行っていたが、原料のSMは同社が5.24%出資する日本オキシランから購入していた。(当時の日本オキシランの他の株主はARC0 50%、住友化学 44.76%) 

昭和電工は工場が隣接し、エチレンを供給している日本スチレンモノマーに出資し、自社枠のSMを日本ポリスチレン工業に供給することとしたもの。

注)日本ポリスチレン工業は住友化学と昭和電工のJVで、1995年に実質解散
  現在の日本ポリスチレン㈱は住友化学と三井化学(当時は三井東圧)の事業統合会社で、1997年設立。

しかし、昭和電工は1994年にPS事業を旭化成に譲渡し、SM事業(日本スチレンモノマー、日本オキシラン)からも撤退した。

 

東ソーは1998年9月末に四日市事業所のスチレンモノマープラント(130千トン)の操業を停止した。

アジア各国でSMプラントの新増設が相次ぎ、また、経済混乱の影響などで需給バランスが崩れ、市況は大幅に下落しており、事業収益改善の可能性が極めて困難であると判断した。

しかし、日本スチレンモノマーでの事業を引き続き継続するとした。

本年3月の日本スチレンモノマー株式売却で、SM事業から完全に撤退する。

ーーー

日本の会社別 SM能力(200712末時点)は以下の通りとなる。(単位:千トン/年)

会社名  能力 備考
旭化成   678 水島
出光興産   550 千葉 210、徳山 340
日本オキシラン(住友化学)   520 千葉412、千葉スチレンモノマー 270x40%
新日鐵化学   422 大分2系列
電気化学工業   402 千葉 240、千葉スチレンモノマー 270x60%
三菱化学   371 鹿島
太陽石油化学   335 宇部(三井化学から買収)
合計  3,278  

過去の能力推移グラフ 2008/3/26  主要石油化学製品生産能力調査 

スチレンモノマー業界の変遷 2006/4/22  スチレンモノマー業界 


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ナフサ等の高騰で、石油化学会社の業績が悪化しつつある。

その中で、信越化学の有機・無機化学品部門の増益が目立つ。

注) 下記企業のうち、三井化学と住友化学は棚卸資産の評価で後入先出法を採用、他は総平均法を採用している。
原料のナフサ価格が急増している時点では総平均法では期首の安い在庫の評価益が損益に大きく反映される。

ーーー

三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルは2008年4月からセグメントを全面的に組み替えた。

「事業区分の考え方自体を見直しており、従来の事業区分によった場合と比較するのが困難」としているが、下記の通り、従来の「石化」が新しい「ケミカルズ」+「ポリマーズ」にほぼ相当する。(炭素製品と肥料が加わった)
従来の〔「機能化学」+「機能材料」〕 が新しい 〔(エレクトロニクス・アプリ)+(デザインド・マテ)〕にほぼ相当。

ヘルスケアを除き、それぞれ減益となった。
ヘルスケアの大増益は田辺三菱製薬の発足による。

2007年10月に田辺三菱製薬が発足したため、2007年1Qは旧田辺製薬分が入っていない。
(旧田辺製薬の07/1Qの営業損益は105億円で、これを加えると07/1Qは220億円となる)

  06/1Q 07/1Q 08/1Q
ヘルスケア 130 115 266
石化 16 81  
ケミカルズ     24
ポリマーズ     10
機能化学 93 95  
機能材料 46 46  
Electronics Applications     57
Designed Materials     8
その他 20 22 14
全社 -11 -25 -35
合計 294 334 346

ーーー

三井化学

基礎化学品、機能材料は減益となった。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q 増減       内 訳  
数量差 売価差 変動費
  差
固定費
ほか
基礎化学品   100   141   124 -17  -1 253 -264 -5 エチレン、プロピレン等、フェノール、
合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
PEPP
先端化学品 32 33 38  5   8  ー   1 -4 精密化学品、農業化学品
機能材料 33 81 56 -25  22   46 -66 -27 自動車・産業材(エラストマー)、
包装・機能材(工業樹脂)、
生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、
ウレタン樹脂原料
その他 7 7 2 -5  -2   ー   -1 -4  
全社 -5 -11 -13 -2
合計 167 251 207 -44  27 299 -330 -40  

 

ーーー

住友化学

前年同期に赤字となった情報電子化学は能力増強が寄与して黒字に戻ったが、石油化学は赤字に転落した。
医薬は研究費増大により減益。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q  
基礎化学 27 43 16 無機薬品、合繊原料、有機薬品、メタアクリル、アルミナ製品、アルミニウム等
石油化学 36 23 -7 石油化学品、合成樹脂、合成ゴム、合成樹脂加工製品等
精密化学 32 34 13 有機中間物、添加剤、染料、機能性材料等
情報電子化学 37 -41 72 光学製品、半導体プロセス材料、電子材料、化合物半導体材料
農業化学 46 54 58 農薬、家庭用殺虫剤、飼料添加物、化学肥料、農業資材等
医薬品 153 139 110 医家用医薬品、放射性診断薬等
その他 7 4 -15  
全社 1 0 -0  
合計 339 256 247  

ーーー

東ソー

各部門とも大幅減益となり、VCMやPVCを含む基礎原料は再度赤字に転落した。

ナフサなど原燃料価格の急騰や、イソシアネート・チェーンの構築など積極投資による償却費の増大、隔年大型定修による修繕費の増大などが収益を圧迫した。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q  
石油化学 11 33 15 オレフィン製品、LDPE、HDPE 及び樹脂加工製品、機能性ポリマー等
基礎原料 -31 2 -10 苛性ソーダ、VCM、塩化ビニル樹脂、無機・有機化学品、セメント等
機能商品 62 99 22 無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、水処理装置、電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット)、機能材料、ウレタン原料等
サービス 5 5 8 運送・倉庫、建設・修繕、検査・分析、情報処理等
合計 47 139 35  
 

ーーー

旭化成

ケミカルズの営業損益は前年同期比 -81億円となった。
ホームズは受注戸数が -7.9% となっている。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q 増減
ケミカルズ 64 172 91   -81
ホームズ -37 -28 -37    -9
ファーマ 47 46 90   44
せんい 5 17 12    -5
エレクトロニクス 64 58 45   -12
建材 10 11 3    -7
その他 15 4 13    9
全社 -16 -20 -23     -3
合計 152 260 194   -65

ケミカルズ損益差 内訳
  数量差 
-14
  売価差  55 (うち為替差
-61、価格差 +116)
  コスト差 
-122

ーーー

信越化学

各社が減益となるなかで、信越化学のPVCを含む有機・無機化学品部門は増益となった。

PVCについては、国内事業は原料価格高騰の影響を受けたことに加え需要が低迷し低調であったが、シンテックは、米国内での住宅建設の低迷により需要が減少し、同業他社が大幅な減益や赤字となる中、輸出にも注力しフル操業を継続し堅調だった。

  06/1Q 07/1Q 08/1Q  
有機・無機化学品  252 244 275 PVC、シリコーン、メタノール、クロロメタン、セルロース誘導体、か性ソーダ、金属珪素、ポバール
電子材料  245 388 411 半導体シリコン、電子産業用有機材料、電子産業用希土類磁石、フォトレジスト製品
機能材料その他  75 63 75 合成石英製品、レア・アース、一般用希土類磁石、液状フッ素エラストマー、ペリクル、技術・プラント輸出、商品の輸出入、建設・修繕、情報処理ほかサービス
全社  2 0 -2  
合計  573 695 758  

 


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Sinopec は、ロシアで石油開発をしている英国 Imperial Energy Corp Plc の買収を狙い、due diligence を開始した。
Sinopec は既にロシア政府から買収の了解を取ったと伝えられている。

Imperial Energy に対しては既にインドのOil and Natural Gas Corp (ONGC)13億英ポンドでの買収の交渉を行なっている。

ロシアの石油を狙い、インドと中国の争いとなる。<p>HTML clipboard</p>

   

付記

   

インドのONGC は826、26億ドルImperial     Energy を買収することで合意したと発表した。

   

買収にはロシア政府の承認が必要だが、ONGC100%買収することでは承認が得られないだろうとの見方が多い。
   
ONGCでは一部をRosneft     などのロシア企業に譲ることも考えている。

ーーー

Imperial Energy 2004年に設立され、ロシアの西シベリアのTomsk 地区を中心に石油とガスの開発を行なっている。

このほか、同社はカザフスタンのSevkazgra (Northern Torgai Block) の油田の75%の権益を有している。

    Sevkazgra (Northern Torgai Block), Kazakhstan.  
   
Tomsk region of Western Siberia, Russia    
 
     

Imperial Energy は200712月に日量1バレルの生産をしており、2011末までに8バレルに増やす計画。

ーーー

中国の王岐山副総理は先月、エネルギー協力が中国とロシアの間の戦略的協力のなかで重要な役割を持つと述べた。

この買収はSinopec にとって、ロシアの石油を狙う3度目の試みとなる。

Sinopec とロシア国営石油会社Rosneft 2006 11 月に戦略的枠組み協定に調印し、TNK-BP からUdmurtneft(沿ヴォルガ地域)油田を買収、共同経営を開始した。

LyondellBasell の親会社のAccess Industries のオーナー Len Blavatnikはロシアの友人及びロシアの富豪と組んで Tyumen Oil Co. (TNK) を設立、更にBPとTNKの合弁で2003年にTNK-BPを設立した。

TNK-BP は現在ロシア第二の石油会社で西シベリア、ボルガーウラル地区、東シベリア、樺太等で石油の採掘をしており、ロシアとウクライナに5つの製油所を所有している。

Sinopec Rosneft からサハリン3の一部 Venin oil project 25.1%の権益を取得している。(残り74.9%はRosneft

 

サハリン3プロジェクト

鉱  区 キリンスキー アヤシ(Ayashsky)、東オドプト(Odopinsky) Venin
事業主体 未定 未定
ヴェニネフチ
<出資企業>
・ロスネフチ・アストラ(露、49.8%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ
 (露、25.1%)
・シノペック(中、25.1%)
    ↓
Rosneft International 74.9%
Sinopec
 25.1%
当初
・エクソンモービル社(米、33.35%)
・テキサコ社(米、33.35%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社
 (ロシア、16.55%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.55%)
当初
・エクソンモービル社(米、66.7%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社
 (ロシア、16.65%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.65%)
推定可採埋蔵量 ①石油    約4.53億トン
  天然ガス  約7,200億立方メートル
①石油    約1.67億トン
②天然ガス  約670億立方メートル
①石油 約1.682億トン
②天然ガス
    約2,580億立方メートル
開発の現状 99.4 生産物分与対象鉱区に認定
   (ただし、未だ生産物分与契約は締結
    されていない。)
02.9 テキサコが今後20年間で90億ドル
   の投資を検討していることが明らかに
   した。
04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区
   から外し、入札が無効となった
93   開発権を入札、モービル
   (現エクソンモービル)とテキサコが落札
04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区
   から外し、入札が無効となった
03  ロスネフチが地質調査の権利
  を取得
05.7 中国のシノペックと探鉱事業
   のための合弁企業を設立   

   地震探査調査を開始 


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ロシアの Sibur LLC730日、ロシアのTyumen地区Tobolsk市にある100%子会社Tobolsk-Polimer で年産50万トンのPPプラントの建設着工の式典を行なった。2011年の完成を目指す。

   Sibur LLC については
     2007/7/6  
Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV                   

     2008/4/21  東洋エンジニアリング、ロシア向けエチルベンゼン生産設備を受注
                 

Sibur Tyumen地区の子会社 Tobolsk-Neftekhim JSC で、NGLを処理してプロパン、ブタンやブタジエン、イソブチレン、更にMTBE等を生産しているが、20064月、PP生産のため、Tobolsk-Neftekhim 工場内にTobolsk-Polimerを設立した。

20071月にプロジェクトマネジャーとして Fluor を起用、UOPのプロパン脱水素技術、Ineos (旧 Innovene)のPP技術を採用した。

能力はPPが世界最大の50万トン、プロパン脱水素が51万トンとなっている。
Sibur の現在のPP能力は11万トン。

なお、Tobolsk-Polimer設立時の計画では、これに続いて2009-2012年に、LPGの熱分解設備と、40-50万トンのPE30-40万トンのPPプラントを同地に建設することとなっている。
この時点での予想では、第1期の今回の計画の予算は
7.5億米ドル、第2期計画は13億ドルとなっていた。

ーーー

本年3月、Sibur LLC はロシアのTomsk にある子会社Tomskneftekhim LLC の年産20万トンのPP計画で Ineos (Innovene)の技術を採用した。2012年スタートの予定。

Ineos (Innovene)のPP技術としては、Sibur LLCで2基目、世界で19番目となる。

Tomskneftekhim LLC は石化の製造基地で、以下の製品を生産している。

  • Formaline and carbamide resin
  • Ethylene and propylene
  • Polypropylene and polypropylene-based compound
  • HDPE and HDPE-based compound
  • Plastic consumer goods

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Exxon Mobil の損益

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Exxon Mobil は第2四半期で過去最高の利益を計上した。
116.8億ドルの利益で、前年同期比 14%のアップとなった。

これを受け、米国民主党の大統領候補 Barack Obama上院議員は8月1日、Florida 州 St. Petersburg でのタウンミーティングで新しい提案を行なった。

「計画の最初の部分は、ガソリン代と暖房費をカバーするため、この秋に各家庭に1,000ドルの緊急エネルギーリベートを配ることだ」

しかし、経済は疲弊しており、連邦政府の借入金が増えることとなる。

「そのため、Exxon Mobile のような会社の棚ボタの石油の利益 (windfall oil profits)に課税して、リベートを配ることを提案する」

ーーー

Exxon Mobile の第2四半期の利益の内訳は以下の通り。

Upstream (石油・ガスの採掘・製造)は石油価格が平均で125ドル弱で、前年同期比で約2倍となり、68%の増益となっているが、Downstream Chemical はコストアップ分の転嫁が十分できず、大きな減益となっている。

Exxon Mobile (単位:million $)
  2Q 1H
2008 2007 増減 2008 2007 増減
Upstream  10,012   5,963  +68%  18,797  11,994  +57%
Downstream   1,558   3,393  -54%   2,724   5,305  -49%
Chemical    687   1,013  -32%   1,715   2,249  -24%
Corporate   -577    -99     -666     -8  
             
Net income  11,680  10,260  +14%  22,570  19,540  +16%

Upstream についても、大きな投資をしているにもかかわらず、石油やガスの生産量は停滞している。

Exxon の石油とガスの生産量は前年に比べ8%減となった。
Venezuela政府による資産没収、 Nigeriaでのストライキや、原油価格上昇に伴ってホストの国に石油の分け前を増やす契約などがその原因となっている。

   Venezuela との争いについては 2008/2/20  WTI原油価格 過去最高値更新 

これらの理由のため、今回のExxon の過去最高の利益もアナリストの予想からは10%以上低いもので、株価は4.7%下がった。

ーーー

Shell の利益も115.6億ドルで、33%アップとなった。
Exploration & Production は90%ものアップ。

同社は財務上の在庫評価を先入先出法で行なっているため、Oil ProductsDownstream)は16%の増益となった。しかし、Chemicals は大幅減益となっている。

同社では在庫評価損益の影響を除くため、現在の原料価格を使用した「CCS (Current cost of supplies) 利益」という概念(後入先出法でもない)を使っているが、Oil Products Chemicals そのベースに置き換えると、両者は大幅減益で、全社合計では79.0億ドルの利益となり、前年同期比 5%アップに止まる。

Shell (million $)
  2Q 1H
2008 2007 増減 2008 2007 増減
Exploration & Production   5,881   3,099 + 90%   11,024   6,492 + 70%
Gas & Power    625    779 - 20%   1,573   1,582  - 1%
Oil Sands    351    202 + 74%    600    317 + 89%
Oil Products   4,539   3,928 + 16%   6,906   5,730 + 21%
 (CCS base)  (1,075)  (2,936) (-63%)   (2,269)   (4,424) (-49%)
Chemicals    157    626 - 75%    505   1,153 - 56%
 (CCS base)   (-142)   (494) (  - )    ( 59)    (974) (-94%)
Corporate    201    177      347    978  
Minority Interest   -198   -144      -316    -304  
 (CCS base)   (-89)   (-131)     (-194)   (-279)  
Total  11,556   8,667 + 33%   20,639   15,948 + 29%
 (CCS base)  (7,902)  (7,556) (+ 5%)  (15,678)  (14,488) (+ 8%)

Shell も第2四半期の生産量は前年比で 1.6%減少した。

ーーー

新日本石油の第1四半期決算は以下の通り。 (億円)

実績は増収増益だが、在庫評価の影響を除くと大幅減益。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 営業損益のうち
 在庫影響
在庫影響除き
営業損益 経常損益
08/1Q  20.372   1,016   1,013   587    926    90    87
07/1Q  15,758    793    880   527    542    251    338
増減  +29%   +223   + 133  + 60   +384   -161   -251

同社は総平均法を採用しているが、本年は石油価格の値上がりが大きいため、期首の安い在庫が損益に大きく影響する。
同社では在庫影響を除いた実質の経常利益は
前年同期比 251億円の減益としている。

経常損益の内訳(在庫影響除外)は以下の通り。(億円)
石油・天然ガス開発でも減益となっている。石油化学製品の減益が大きい。

  当期 前年同期 増減
石油・天然ガス開発   181   236   -55
石油製品精製販売   -44   -90    46
石油化学製品   -52   191  -243
その他     2     1    1
経常損益合計    87   338  -251

     


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中国の反壟断法(独占禁止法)が81日施行された。

昨年8月30日、全国人民代表大会の常務委員会は反壟断法案を採択した。

    2007/9/3 中国、独占禁止法を採択  

主なポイントは以下の通り。

反壟断委員会の設立(公正取引委員会に相当) 

競争関係にある事業者の間で、以下の協定は禁止
 ・価格の維持や変更
 ・生産や販売量を操作
 ・新技術や新設備の導入を制限

行政権を乱用して競争を排除してはならない

支配的立場の乱用を禁止
 ・不公正な高値販売や不公正な安値購入
 ・原価を下回る価格で販売
 ・正当な理由無く取引先との取引を拒絶
 ・抱き合わせ販売

合併・買収では以下の点を審査
 ・市場シェアや市場への支配力
   市場独占の判断基準=1社で5割、2社で2/3、3社で3/4以上のシェア 
 ・国民経済や消費者への影響
 ・
国家安全への影響(外資の場合)

イノベーションや技術強化を促進する場合は独占を承認
   
産業政策との整合性も考慮

違法企業には最高で前年度の売上高の10%の罰金

 

8月1日施行時点でも独禁法のガイドラインは公開されておらず、どう運用されるかは不透明のままである。

執行機関は中国国家発展改革委員会、商務部、工商行政管理総局となっており、縦割り行政の弊害が懸念される。

反壟断委員会(公正取引委員会に相当)もギリギリまで設立されなかったが、8月1日の施行日当日になって、設立が発表された。

委員会は国務院直属の組織で、業務は、独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整となっており、独占禁止や合併承認のガイドライン作成も担当する。

ーーー

合併ではBHP Billiton Rio Tinto 買収が取り上げられるのではないかとみられている。

独禁法では国内の競争を制限する独占は、国外での合併でも規制の対象となるとしており、BHP Billiton 7月初めに商務部に申請を行なっている。

中国の鉄鋼業界では、鉄鉱石は現在3社の独占となっており、このうちの2社が合併すれば、大きな影響を受けるとしている。

ーーー

中国最高裁は730日、各裁判所に対し、独禁法を注意深く検討し、法を守るよう、指示した。

独禁法は極めて専門的で、経済問題と法問題が複雑に混じっており、企業や産業に大きな影響を与えるとし、独禁法の規定は抽象的で原則を述べているため、具体的な事件では裁判所が問題に直面するとしている。

ーーー

中国で独占禁止法が施行されたのを受け、北京のIT(情報技術)関連企業の4社が行政上の権利を乱用して市場競争を阻害する「行政独占」などを理由に中国当局を提訴した。

訴えられたのは、政府機関の国家品質管理検査検疫総局で、訴えたのは、北京兆信信息技術有限公司、東方惠科防偽技術有限責任公司、中社網盟信息技術有限公司、恆信數碼科技有限公司の4社。

同局の傘下企業の商品認証システムへの強制加入は、独禁法の行政独占に当たるとして、北京市第一中級人民法院(地裁)に提訴した。

独禁法では、行政権を乱用して競争を排除してはならないとし、行政機関の市場競争の阻害も違法と定めている。

ーーー

日本経済新聞によると、企業側は同法に抵触する恐れがある行為を相次いで取りやめ始めた。
メーカーは販売店に対し価格拘束と疑われる行為を中止し、業界同士の会合も慎重に行うよう改めた。スーパーはメーカーなどに対する優越的地位の乱用を疑われそうな行為をやめている。

ーーー

付記

中国国務院は8月4日、M&Aに関するガイドラインを発表した。

事前審査対象は以下の通り。
1) 参加社の前会計年度の全世界売上高の合計が100億元(約14億ドル)を超え、少なくとも2社の中国での売上高がそれぞれ4億元を超える場合、又は

2)参加社の前会計年度の中国での売上高の合計が20億元を超え、少なくとも2社の中国での売上高がそれぞれ4億元を超える場合

草案での中国国内の市場シェアは削除された。

 


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人民日報によると、江蘇省無錫市の新聞各紙で、違法な汚染排出行為があった企業の謝罪広告が出ている。これまでに63社が出した。

「弊社の環境保護法律制度に対する意識が十分でなかったため、基準値を超えた汚染物質排出という違法行為を生じ、環境を汚染しました。このため紙面を借りて市民の皆様に心よりお詫び申し上げます」といった内容。

ーーー

無錫市の太湖水域は2007年5月29日、深刻な汚染によって水道水から異臭を放ち、飲用できなくなり、大問題となった。

江蘇省無錫市で6月11日、太湖の水質汚染問題に関する国務院の座談会が開かれ、温家宝総理は「汚染原因を徹底的に調査・分析し、これまでの事業を基礎として、総合的な管理を強化し、具体的な改善策と措置を研究し、立案しなければならない」との重要な指示を出した。

無錫市環境保護局は、5月30日から市内の企業439社の汚染物質排出状況を調査し、基準超過の9社に改善命令、3社に排出削減命令を出し、12社を行政処分とし、市政府に1社の操業停止あるいは移転を提言したことを明らかにした。

2007/6/16 太湖の水質汚染問題

ーーー

無錫市環境保護局は今年1月に「環境違法企業への公開謝罪と承諾の要求に関する通知」を公布した。
同市が昨年から進めている「
科学治太、鉄腕治汚」(科学で太湖の汚染を防ぎ、鉄腕で汚染をくい止める)活動の中の厳重な措置の一つ。

一定期間内に汚染物質排出基準をクリアできなかった企業や1年に2回以上摘発を受けた企業に対し、有期限の改善を一律に要請し、期限内に積極的かつ効果的な措置を取って整備・改善を進めなくてはならないことを規定するとともに、自費で市内のメディアに謝罪広告を出し、改善の承諾を発表することを定めた。

追跡調査によると、公開謝罪した63社は、社内の環境保護問題について徹底的な整備・改善を進め、これまでに95%の企業が承諾事項を履行したという。

無錫恵山環保水務有限公司は、基準値を超えた汚水を排出して生産停止となり、メディアに謝罪広告を出した。
同公司は約2千万元を投入して徹底改善をはかり、基準値をクリア。環境保護部門の検査に合格し、正式に生産を再開した。

 


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Financial Times Deutschland は7月30日BASFが米国のW. R. Grace の買収を検討していると報じた。
Graceのほかに、米国のスペシャルティケミカルのRockwood、ドイツのスペシャルティケミカルの Cognis も候補に上がっている。

BASFは2006年6月に触媒メーカーのEngelhard を48億ドルで買収したが、2007年にBASFCFOはインタビューで、新しい買収のために100億ユーロを新規に借り入れる用意があることを明らかにしていた。

  2006/10/12 BASF、北米事業を強化 

  2007/9/20 BASF、新しい買収?

今回の報道について、同社報道官は個別の報道についてはコメントしないとしつつも、BASFは戦略として買収の検討を続けていると述べた。

BASFHambrecht CEO 7月に、コストアップのプレッシャー、資産価値低下、投資環境変化などで、化学分野での統合は加速されると述べている。

710日には、Dow Chemical 188億ドルでRohm and Haas を買収する契約を締結した。

    2008/7/11 Dow ChemicalRohm and Haas を買収  

ーーー 

なお、BASFはスチレン事業の売却を交渉している。

    2007/8/6 BASF、スチレン事業一部の売却交渉進展 

BASFは2008月に、この交渉が進んでおり上半期中に決定するだろうとしていたが、結局決まらなかった。
金融情勢の悪化で、買い手が自己資本を増やす必要が出たこと、金利の上昇などが理由で、BASFでは無理に安売りする必要なしとしている。

ーーー

W. R. Grace はスペシャリティケミカル会社。

1832年にWilliam T. Davison が Davison, Kettlewell & Co. を設立(その後、Davison Chemical に改称)
1854年William Russell Grace がペルーで W. R. Grace & Co. を設立(1865年にニューヨークに移転)

1954年にGrace がDavison Chemical を買収。

2007年売上高(百万ドル)

Grace
 Davison  
Refining Technologies  971.1  ・Fluid catalytic cracking (FCC) catalysts
・Hydroprocessing catalysts
Materials Technologies  726.7 ・Silica-based and silica-alumina-based engineered materials
・Sealants and coatings
Specialty Technologies  311.4 ・Polyolefin catalysts and catalyst supports
・Silica-based materials
Total 2,009.2  
Grace Construction Products 1,106.0 ・Fire protection materials
・Concrete admixtures and structural fibers
 
  コンクリート混和剤の最大手メーカー

・Additives used in cement processing
・Building materials
Total 3,115.2  

同社は20014月にアスベスト訴訟関連でChapter 11 (会社更生法)を申請した。

ーーー

Rockwood もスペシャルティケミカル会社。

2007年売上高 (百万ドル)

 Specialty Chemicals   1,082.9 ・Lithium compounds and chemicals
・Metal surface treatment chemicals
・Synthetic metal sulfides
・Maintenance chemicals
 Performance Additives   832.7 ・Iron oxide pigments
・Wood protection products
・Inorganic chemicals
 ほか
 Titanium Dioxide Pigments   766.3  
 Advanced Ceramics   452.5  
 Specialty Compounds   276.6 PVC, TPE ほか
 Corporate and other    11.8  
 Total  3,136.4  

Cognisは油脂化学をバックボーンに、160年に及ぶ経験と実績を有する総合化学会社。

2007年売上高 (百万ユーロ)

 Care Chemicals  1,447  Hair / Body / Oral Care
Home Care
Industrial & Institutional Cleaning
Skin Care
Silicates
 Nutrition & Health   331 Dietary Supplements
Pharmaceuticals & Healthcare
Food Technology
Functional Food & Medicamental Nutrition
 Functional Products   874 Adhesives
Consumer Coatings
Emulsion Polimerization
Graphic Arts
Industrial Coatings
Polymer Building Blocks
Synlubes Technology
AgroSolutions
Mining Chemicals
Ion-Transfer Technology
 Pulcra Chemicals   246 Textile Technology
Fiber Technology
Leather Technology
 Oleochemicals   599 Fatty Acids
Glycerin / Triacetin
Ozon Acids
Plastic Additives
Oilfield Chemicals
 Others    21  
 Total  3,518  


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