公取委は11月18日、建設・電販向け電線カルテルで5社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
各社(他に解散済みの1社)は,2005年4月までに、建設・電販向け電線について、販売価格引上げ、維持のため、
・共通の基準価格表を用いる
・共通の銅ベース(電気銅1トン当たり価格)を用いる
・共通の値引き率を用いる
こととし、これにより販売価格を決定していく旨を合意していた。
排除措置命令及び課徴金納付命令は以下の通り。
排除措置命令 | 課徴金(千円) | ||
矢崎総業 | ○ | 7,261,700 | 申告で課徴金減額(30%) |
住電日立ケーブル (日立電線、住友電工、タツタ電線) |
ー (立ち入り前申告) |
2,038,390 | 同上(50% or 30%) |
フジクラ・ダイヤケーブル (フジクラ、三菱電線工業、西日本電線) |
○ | 1,073,030 | 同上(30%) |
古河エレコム (古河電気工業) |
ー (立ち入り前申告) |
465,050 | 同上(50% or 30%) |
昭和電線ケーブルシステム | ー (立ち入り前申告) |
ー | 調査着手前、最初に自主申告 |
昭和電線販売(解散) | ー | ー | |
合計 | 2社 | 10,838,170 |
2009年6月の独禁法改正により、課徴金減免制度が拡充され、1事件の減免が最大3社から5グループに増やされた。
(但し、調査開始後の対象は最大3社)
減額率は①100%、②50%、③~⑤30%(但し、調査開始後は全て 30%)となった。
今回、対象の5社全部(うち、調査開始後は2社)が申告し、改正規定で全社が減免を受けた。
調査開始前が3社で、最初の昭和電線ケーブルシステムは排除命令と課徴金が免除された。
同じく調査開始前の2位、3位の両社は50%、30%の課徴金減免を受け、排除命令が免除された。
付記
公取委は2011年7月22日、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
VVFケーブル カルテル | |||
排除 命令 |
課徴金 (千円) |
備考 | |
矢崎総業 | ○ | 2,460,670 | 30%減額 |
富士電線工業 | ○ | 1,617,180 | |
弥栄電線 | ○ | 688,950 | |
協和電線工業 | ○ | 499,100 | |
愛知電線 | ○ | 326,960 | |
カワイ電線 | ○ | 323,070 | |
菅波電線 | ○ | 50,220 | |
協和電線 | ○ | 0 | 課徴金100万円未満 |
住電日立ケーブル(日立電線、住友電工、タツタ電線) | ― | 203,520 | 50%減額 |
古河エレコム(古河電工) | ― | 53,190 | 30%減額 |
昭和電線ケーブルシステム | ― | ― | 最初に自主申告 |
合計 | 8社 | 6,222,860 |
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公取委は今年1月以降、特別高圧電線や光ファイバーケーブルの分野で、カルテルを結んだとして、電線大手やその子会社に課徴金納付命令を出している。(1社が全額免除、残り5社のうち、2社が減免)
2010/5/26 光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金
なお、この件で住友電気工業の株主が近く、損害賠償を求めて同社の取締役と元取締役を相手取る株主代表訴訟を大阪地裁に起こす。リーニエンシー制度を使わなかった取締役の責任が問われる初の代表訴訟となる。
2010/11/8 光ファイバーカルテルで住友電工に株主代表訴訟
独禁法改正前の事件のため、リーニエンシー対象は3社となるが、他3社が先に申告したため、フルに課徴金を払うこととなった。
改正後であれば、減免を受けられたかもしれない。
公取委は又、車の配線に使うワイヤハーネスでも、本年2月に住友電気工業、古河電気工業、矢崎総業などに立入り調査を行い、調査を進めている。
これについては、日本の公取委に加え、自国の市場にも悪影響を与えた疑いがあると判断して、米、英、豪、カナダ、欧州委員会の5つの海外当局が調査に着手しているとされている。
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各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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