2010年11月アーカイブ

公取委は11月18日、建設・電販向け電線カルテルで5社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。

各社(他に解散済みの1社)は,2005年4月までに、建設・電販向け電線について、販売価格引上げ、維持のため、
・共通の基準価格表を用いる
・共通の銅ベース(電気銅1トン当たり価格)を用いる
・共通の値引き率を用いる
こととし、これにより販売価格を決定していく旨を合意していた。

排除措置命令及び課徴金納付命令は以下の通り。

  排除措置命令 課徴金(千円)  
矢崎総業 7,261,700 申告で課徴金減額(30%)
住電日立ケーブル
(日立電線、住友電工、タツタ電線)

(立ち入り前申告)
2,038,390 同上(50% or 30%)
フジクラ・ダイヤケーブル 
(フジクラ、三菱電線工業、西日本電線)
1,073,030 同上(30%)
古河エレコム
(古河電気工業)

(立ち入り前申告)
465,050 同上(50% or 30%)
昭和電線ケーブルシステム
(立ち入り前申告)
調査着手前、最初に自主申告
昭和電線販売(解散)  
合計 2社 10,838,170  

2009年6月の独禁法改正により、課徴金減免制度が拡充され、1事件の減免が最大3社から5グループに増やされた。
(但し、調査開始後の対象は最大3社) 

減額率は①100%、②50%、③~⑤30%(但し、調査開始後は全て 30%)となった。

今回、対象の5社全部(うち、調査開始後は2社)が申告し、改正規定で全社が減免を受けた。

調査開始前が3社で、最初の昭和電線ケーブルシステムは排除命令と課徴金が免除された。
同じく調査開始前の2位、3位の両社は50%、30%の課徴金減免を受け、排除命令が免除された。

 

付記

公取委は2011年7月22日、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。

  VVFケーブル カルテル
排除
命令
課徴金
  (千円)
 備考
矢崎総業 2,460,670 30%減額
富士電線工業 1,617,180  
弥栄電線 688,950  
協和電線工業 499,100  
愛知電線 326,960  
カワイ電線 323,070  
菅波電線 50,220  
協和電線 0 課徴金100万円未満
住電日立ケーブル(日立電線、住友電工、タツタ電線) 203,520 50%減額
古河エレコム(古河電工) 53,190 30%減額
昭和電線ケーブルシステム ―  最初に自主申告
合計 8社 6,222,860  

   

  

ーーー

公取委は今年1月以降、特別高圧電線や光ファイバーケーブルの分野で、カルテルを結んだとして、電線大手やその子会社に課徴金納付命令を出している。(1社が全額免除、残り5社のうち、2社が減免)

2010/5/26  光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金

なお、この件で住友電気工業の株主が近く、損害賠償を求めて同社の取締役と元取締役を相手取る株主代表訴訟を大阪地裁に起こす。リーニエンシー制度を使わなかった取締役の責任が問われる初の代表訴訟となる。

2010/11/8 光ファイバーカルテルで住友電工に株主代表訴訟 

独禁法改正前の事件のため、リーニエンシー対象は3社となるが、他3社が先に申告したため、フルに課徴金を払うこととなった。
改正後であれば、減免を受けられたかもしれない。

 

公取委は又、車の配線に使うワイヤハーネスでも、本年2月に住友電気工業、古河電気工業、矢崎総業などに立入り調査を行い、調査を進めている。
これについては、日本の公取委に加え、自国の市場にも悪影響を与えた疑いがあると判断して、米、英、豪、カナダ、欧州委員会の5つの海外当局が調査に着手しているとされている。


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Celanese は11月9日、中国で石炭からエタノールを製造する工場を建設すると発表した。

約7億ドルを投じて、年産40万トンの工場を2つ建設する計画で、立地は交渉中。認可後30ヶ月で生産を開始する。
同社では、Coal-to-Ethanol は既存のコーンなどの醗酵法に比較し、低コストであるとしている。
(需要が増えれば、それぞれの工場の能力の倍増も可能としている。)

Celanese は南京産業パークで自社のAOプラス法を使用し2系列合計120万トンの酢酸を生産している。

酢酸第一期60万トンは2007年にスタート、第二期60万トンが2009年に完成、合計能力は120万トンとなっている。
    2007/2/22 セラニーズの中国での活動

なお、BPSinopecの合弁のBP YPC Acetyls も南京で酢酸を製造している。
同社は
BPCativa法を使用するが、これもCOによるメタノールのカルボニル化による。

Celanese はこの石炭原料の酢酸プラントを建設後、石炭ベースのエタノールに賭けた。
Coal-to-ethanol プロセスは酢酸製造技術に依拠している。
この技術は石炭、
天然ガス、石油コークスを原料として使用できる。

この技術では産業用と燃料用のエタノールを生産できるが、同社では産業用(ペイント、コーティング、インキ、医薬などの原料)を考えている。
中国ではエタノールを産業用に年間およそ300万トン消費している。市場は年に8~10%の伸びで、5年後には更に150万トンが必要となる。

なお、同社はこの技術を燃料用エタノール生産に使用することも考えている。

中国では中国科学院大連化学物理研究所(DICP-CAS)と、神華集団が資金を出した国立研究所 NICE(National Institute of Clean-And-Low-Carbon Energy)が合成ガス からのエタノール製造を研究している。
石炭を原料にする場合、先ず石炭ガス化で合成ガスを製造、触媒を使って合成ガスからエタノールを作り、最後にエタノールを精製する。
この場合、80万トンのエタノール製造には260万トンの石炭が必要となる。

Celaneseはまた、2012年後半にテキサス州 Clear Lakeで、天然ガスを原料に年産4万トンのエタノールを自消又は外販用に生産することを計画している。


コーンなどの食糧を原料にするバイオエタノールには批判が強く、この計画を支持する声が多い。


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中国が知的財産権の侵害対策に本腰を入れ始めた。

国務院は10月27日、「知的財産権侵害及び模倣品・粗悪品の製造・販売の摘発に関する特別プロジェクト活動方案の公布に関する国務院弁公庁の通達」(国弁発〔2010〕50号)を出した。

   JETRO仮訳 http://www.jetro-pkip.org/upload_file/2010111616440021.doc

中国では知的財産権保護業務は前向きな成果を収めたが、知的財産権の侵害、模倣品・粗悪品の製造・販売といった現象が依然として発生しており、一部の地区と分野においてはまだ相当深刻で、市場経済の正常な秩序を乱し、企業の競争力及びイノベーションに対する積極性を妨害しているだけでなく、我が国の国際的イメージをも傷つけているとし、
2010年10月から2011年3月にわたって、全国範囲における知的財産権侵害及び模倣品・粗悪品の製造・販売行為を摘発する特別プロジェクト活動を集中的に展開するとしている。

具体的な行動は以下の通り。

(1) 生産元に対する整理整頓を強化すること。

(2) 市場への監督管理を強化すること。

(3) 輸出入及びインターネット等領域における知的財産権の保護を強化すること。

(4) 刑事司法による摘発を強化すること。

(5) 政府機関において正規ソフトウェアを全面的に使用すること。

(6) 知的財産権保護の宣伝を強化すること。

ーーー

国務院は11月5日、全国知的財産権保護及び法執行活動に関するテレビ会議を北京で開催した。

温家宝首相は
以下の通り述べた。

   JETRO仮訳 http://www.jetro-pkip.org/upload_file/2010111616450031.doc

知的財産権の保護は、創造的労働を尊重し、イノベーションを奨励する基本的な制度であり、法治国家そして信用遵守社会を建設するための重要な内容であり、イノベーション型国家の建設、社会主義市場経済体制の整備化には、知的財産権をしっかりと保護しなければならない。

中国では、知的財産権の保護において著しく進歩したが、知的財産権保護の実態は改革開放の深化、そしてイノベーション型国家の建設に相応しくなく、一部の地域と分野において権利侵害である海賊版や模倣品の製造・販売が深刻である状況も無視できない。

現在、知的財産権保護の面で存在している顕著な問題を重視し、確実に解決して、知的財産権保護の活動を全面的に推進し、より大きく進化させなければならない。
創造への奨励、効果的な運用、法に基づく保護、科学的な管理との方針を継続して堅持し、知的財産権侵害及び模倣品や粗悪品の製造・販売を摘発する特別プロジェクト活動に重点を置いて、知的財産権保護の活動を全面的に推進しなければならない。

第一に、重点に特化し、実効性を追求すること。

第二に、監督管理と法執行を強化し、全プロセスの整理整頓を実現すること。

第三に、刑事司法による取締力を強化し、知的財産権侵害行為を摘発する高圧的な態勢を作りだすこと。

第四に、廃棄と構築を両立させ、知的財産権の保護に良い環境作りに努めること。

第五に、知的財産権保護の法制度、施策と体制の整備を加速し、長期に効果のある体制を構築すること。

ーーー

中国公安部は海外及び国内の有名ブランドの知的財産権の侵害に対し、取り締まりを命じた。

公安部副部長は11月19日、本、オーディオ、ビデオ、ソフトウェア、医薬、食品、種子などの違法なコピーの製造販売との戦いに大きな努力が必要であると述べた。


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Bayer 1118日、成長と技術革新の向上のための戦略を発表した。

同社では、成長と技術革新の向上のため、今後リソースを投下する分野として、次の2つをあげる。

①ヘルスケア、農薬関連の領域における新製品の研究、開発、マーケティング
②中国を中心とする新興市場における事業拡大

しかし、売上と利益は後発品の浸透、開発コストの上昇、医療制度の改革の影響を大きく受けており、Marijn Dekkers社長は、「当社の成長領域の拡大のための資金を確保するには、リソース配分の見直し、効率性の改善、コスト削減の必要」としている。

さらなる成長への投資を増やすために、2013年より年間8億ユーロのコスト削減を計画している。そのうちの半分は再投資される。
2012年末までに約10億ユーロの一時的な損失処理を行う。

本プログラムに関連して、Bayerグループ全体の108,700名の従業員のうち、ネットで約2,000名を2012年末までに削減する。
約4,500名(内1,700名はドイツ国内)を削減するとともに、新興市場を中心に約2,500名を雇用する。

Dekkers社長は次のように述べている。

Bayerは3つの事業グループにおいて事業拡大の潜在性を有している。
この潜在性をさらに具体化していくために既存のリソースを集約し、組織改変の必要がある。
これが、成長と技術革新、例えば医療用医薬品の新製品、バイオサイエンス事業、そしてアジア地域における生産能力の拡大などを対象とする持続可能な投資を実現するための唯一の方策である。
関連する組織縮小は容易なことではないが、必要。
技術革新の強化と管理の簡素化によりBayerがより良い、そしてスピーディーに対応できる企業になることができると確信する。

同社の業績は以下の通り。

 単位:百万ユーロ
  売上高 営業損益  
HealthCare  15,988  53% 2,640 Pharmaceuticals 10,467 主要分野で主導的地位
Consumer Health 5,521 OTC、血糖測定器、動物薬で世界の2-4
CropScience 6,510 22% 798 Environmentalを含む。Agrochemicalsで世界2
MaterialScience 7,520 25% -266 Systemを含む(2009年はMaterialsに統合)
Polyurethane, Polycarbonate 世界1
調整 1,150 -    -166  
合計 31,168 100%  3,006  

 

 単位:百万ユーロ
  売上高
欧州  12,968  42%
北米 7,705 25%
アジア/太平洋 5,712 18%
中南米/アフリカ/中東 4,783 15%
合計 31,168  

同社にとり、中国は数年で3番目の大市場となった。
  2005年 12億ユーロ → 2009年 21億ユーロ

同社では中国の今後のインフラ投資で、同社の製品に大きなチャンスがあるとみている。
  鉄道、電気自動車、環境保護、再生エネルギー・クリーン技術、
  ヘルスケア、都市インフラ、地方インフラ

 

 


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既報の通り、White Houseの原油流出事故調査委員会The National Commission on the BP Deepwater Horizon Oil Spill )は118日、事故に関して、これまでのところ、BPがコストカットのために意図的に安全性を犠牲にしたという証拠はないと述べた。

2010/11/16  BP原油流出事故の現状

11月23日付けのNew York Times は、環境・エネルギー専門のEnvironment & Energy Publishing社のGreenwire紙記者による記事を掲載した。
委員会の記録が
BPが時間節約のためにリスクのある決定を行ったことを示しているというもの。

これによれば、BPとコントラクターが11件の不要な意思決定を行い、これが事故の原因となった可能性がある。
これは、調査委員会の「
これまでのところ、BPがコストカットのために意図的に安全性を犠牲にしたという証拠はない」とする説明と異なる。

  コントラクター 
   
Transocean:掘削作業
   
Halliburton:セメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)
    
M-I SWACODrilling Fluid (mud)サービス

資料の内容は以下の通り。

意思決定 危険性 理由 意思決定者
時間節約 BP Halliburton Trans-
 ocean
M-I SWACO
陸上 Rig 陸上 Rig Rig 陸上 Rig
Not waiting for more centralizers              
Not reevaluating cement slurry design              
Not waiting for foam stability results   (○)          
Not running diagnostics on float equipment
to ensure conversion or seal
           
Using combined spacer and not flushing
from system
       
Displacing mud from riser before
setting plug
  不明             
Setting cement plug 3000 feet deep in
seawater
  不明            
Not running cement evaluation log 多分              
Not installing additional plugs or barriers              
Undertaking simulataneous operations that
could confound kick detection
    (○)        
Bypassing pits and flow out meter during
displacement
    (○)        

ほとんど全てが時間節約のためである。作業が予定より遅れており、1日当たり150万ドルかかるため、費用節約のために行ったとみられている。

委員会では、この書類は所定の手続きを経ていなかったため、発表時に入れなかったとしており、最終報告には含めるとしている。
最終報告は来年1月に大統領に提出される。

BPはこれまで、現場のリグの従業員が爆発前にトラブルの兆候を捕らえなかったとし、陸上の意思決定者の役割を軽視してきた。
また、コントラクターの
Halliburtonのセメント作業が問題としてきた。

しかし、この書類によると、BPの陸上の意思決定者の判断によるものが多い。


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双日は11月24日、豪州のLynas Corporation との間で、レアアースの日本向け供給、およびLynas のレアアース拡張プロジェクトに関して、戦略的提携を締結することに基本合意したと発表した。

Lynas のレアアース開発プロジェクト(西オーストラリア州Mt. Weldでの鉱山開発、 およびマレーシアでの分離精錬)は、2011年第3四半期より操業を開始する予定。

両社は、以前よりLynasのレアアースの日本向け取引の可能性を協議しており、その過程において、Lynasは今後のレアアース需要増大に対応するため、本プロジェクトの拡張プロジェクト(投資総額:2億5千万米ドル)を前倒しすることを決定した。

今後、双日を日本における販売代理店とし、同鉱山の操業後10年に亘り日本の需要家のニーズに適合するレアアースについて年間約9,000トン以上の長期供給契約の締結に向けた交渉を行うとともに、日本でのレアアースの最終需要家の開拓を目的した共同マーケティングの実施、ならびにファイナンス組成などについても検討を進める。

また、今後、本プロジェクトの開発に関して、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)への金融支援の要請を行う予定。
官民合わせた日本グループの投融資額は最大2億5000万ドルになる見通し。

双日では、今回の交渉は権益の取得を含んでいないが、将来的に権益取得のためにLynasの一部株式を取得することもオプションの1つとしている。

ーーー

Lynasは、1983年にYilgangi Gold NLとして設立され、1985年にLynas Gold NLに改称し、西オーストラリア州Pilbara地域で金探鉱を行っていたが、2001年6月、金プロジェクトを売却し、社名をLynas Corporation に変更、2002年5月にMt.Weld 鉱床の権益100%を取得し、同鉱床の探鉱開発に集中していった。

Mt.Weld 鉱の鉱物資源量は、770万t、酸化レアアース品位12%となっている。
(精測鉱物資源量120万t :品位15.7%、概測鉱物資源量500万t :品位11.8%、予測鉱物資源量150万t :品位9.9%)

同社は2011年後半から西オーストラリア州Mt.Weld でレアアースを生産する。
当初は年1万1000トン生産する計画だったが、2012年末からは生産量を2万2000トンに倍増する方針を決めた。

Mt.Weld レアアース鉱床からレアアース鉱物(モナザイト等)を採掘、西オーストラリア州南部のEsperance 港からマレーシアへ海上輸送、分離・精製し、更に最終消費者の要求にあったレアアース製品とした後、米国・欧州・日本などへ販売する。

同社はMt.Weld プロジェクトのコスト削減のため、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画した。

しかし、2006年に入って、レアアース産業に対する生産抑制、輸出制限、増価税リベート見直し、環境規制など中国政府による締め付けが強くなったことから、同社は中国でのレアアース分離プラント建設を断念し、マレーシア東海岸PahangKuantan Gebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。

2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大 

同社の会長は11月23日の株主総会で、計画について詳細に説明している。

ーーー

Lynas95百万ドルの開発資金の供給契約を結んでいたヘッジファンドが金融危機と資源価格の暴落の影響などにより資金供給を拒否したため、2009年2月にMt Weld 鉱の開発計画の中断を発表した。

豪、マレーシア、日本などの政府系機関や需要家などに支援を要請したが、当時は日本の需要家も支援に慎重で、万策尽きて、中国に依存することとなり、2009年春に、中国の国有非鉄大手、中国有色鉱業集団から252百万豪ドルの出資(マジョリティ)を受け入れることを決めた。

しかし、豪州のForeign Investment Review Board20099、中国有色鉱業の出資を50%未満、取締役を50%未満にするよう要求、有色鉱業はこれを拒否し、撤退した。

2009/5/16 中国、レアアースでも豪州に進出

ーーー

Lynasは本年10月にワシントンDCのRare Metals Summit IIIレアメタルの需給と価格予想について発表している。

2014年の供給量は、米国のMountain Pass鉱山の再開とMount Weldのスタートで現在より55千トン増加するとみている。
但し、中国のシェアは
67%を占める。(単位:レアアース酸化物・トン) 

    2010 2014
  予想
中国 内蒙古自治区
Baotou Steel Rare Earth High-Tech
55,000 60,000
四川省
Jiangxi Copper
10,000 20,000
イオン吸着粘土層
(南部地区)
35,000 30,000
リサイクル 3,300 4,000
合計 103,300 114,000
Mountain Pass 3,000 20,000
Mount Weld (Lynas)   22,000
インド 3,000 12,000
ロシア 4,000
リサイクル 1,500 1,800
中国以外合計 11,500 55,800
総合計 114,800 169,800

需給と価格推移

1992年に鄧小平が「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」と述べた。
1992-99年に中国各地で生産が始まり、安値で市場を支配した。
米の
Mountain Passは1998年に生産を停止。

2000-06年では中国で600のメーカーが競い、環境投資は全くなし。

2007年に入り、環境規制による停止、環境費用や労務費のアップ、需給逼迫で価格アップ。
2009年に需要は減少したが、政府の関与で価格急上昇。

今後の予想については、同社は、供給は増えるが需要も増え、環境コスト等も上昇するため、価格は40~60$の高値で推移するとみている。
2000-2006年の時代の安値は二度とないとしている。


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積水化学工業は1118日、米国Genzyme Corporationとの間で、Genzymeが展開している検査薬事業の買収に関する契約を締結した。

Genzyme1981年設立で、医薬品等の開発・製造・販売等を行っている。

今回譲り受ける事業の概要は以下の通り。

 1)事業開始  1981 年
 2)事業内容 生化学・糖尿病・感染症・免疫検査を中心とした臨床検査薬の開発・製造・販売
 3)従業員数 575 名(予定)
 4)主要拠点 米国:Framingham
 Mass.)San Diego (Cal.)Exton(Penn)
          カナダ子会社:Prince Edward Island (同州)
          英国:West MallingKent州)
          ドイツ子会社:
RüsselsheimHessen州)
 5)売上高  167百万US$(2009年12月期)
 6)譲受け価額  265百万US$

積水化学はGenzymeより、対象事業の子会社(カナダ、ドイツ)株式を含む本事業に関するすべての資産を譲り受ける。

米国では、
Sekisui America が米国に新たに子会社を設立し、北米の資産(カナダの子会社株式を含む)を取得する。

欧州では、Sekisui Europe が英国に新たに子会社を設立し、資産を取得するとともに、Sekisui Europe がドイツ子会社株式を取得する。

事業の譲受けは本年12月末日の予定。

積水化学とGenzymeの検査薬事業部門は、1995年からコレステロール関連製品の欧米での販売で業務提携を開始した。
今回の案件については、
Genzymeが5月に非中核3事業の売却方針を発表し、入札を経て買収が決まった。

 

Genzyme自身は現在、仏医薬品大手Sanofi Aventisから敵対的買収の提案を受けている。
    
2010/9/2 Sanofi-aventis、米Genzymeへの買収提案を公表

同社は118Sanofi Aventisに対し、取締役会が満場一致で169ドルの提案価格が安過ぎると考えていること、株主はこれを支持していること、Genzymeの価値を評価したものなら交渉するとしたレターを出している。

同社は業績が悪化しており、人員削減や事業売却を行っている。

9月13日にはGenetic Testing 事業(Genzyme Genetics)を925百万ドルで Laboratory Corporation of America (LabCorp) に売却する契約を締結した。 

同社ではこれら事業売却で得た資金での自社株買いで、買収防衛対策をとる。

ーーー

積水化学は2006年10月、第一三共の完全子会社である第一製薬の100%子会社、第一化学薬品を買収した。

同社は、高機能プラスチックスカンパニーのメディカル事業部で展開する事業と、買収した第一化学薬品を2008年4月に統合し、積水メディカルとした。
事業内容は、検査薬、検査用具、医薬品、薬物動態事業。日本国内で販売している競争力のある製品群の積極的な海外展開による事業拡大を重点施策の一つとして掲げている。

検査薬事業
主力事業で、生化学、血液凝固、糖尿病、感染症の検査をメイン領域とし、臨床検査薬・分析装置の開発、製造、販売

検査用具事業
世界で初めて実用化したプラスチック製真空採血管など、臨床検査用具の開発、製造、販売

医薬事業
医薬品の活性成分である医薬原体(API)、医薬用アミノ酸、医薬中間体の受託製造と、独自の粘着テープ技術を応用した貼付剤の設計・開発

薬物動態事業
医薬品開発の研究開発支援として、探索から申請、市販後調査までの各段階において、薬物動態に関連する各種評価試験を研究機関から受託

今回買収するGenzymeの検査薬事業は、1995年より生化学検査薬の販売や感染症検査薬の原料供給などにより、積水メディカル検査薬事業の欧米への売上拡大戦略の重要な役割を担ってきた。

積水メディカルでは、買収により長年培った事業提携をより強固なものとし、検査薬事業の海外展開を更に推進する。

買収の狙いは以下の通り。
重点領域強化
積水メディカルの検査薬事業では、5つの重点領域(生化学、血液凝固、糖尿病、感染症、先端技術)を定め、事業展開をしていまる。
Genzymeの検査薬事業は、生化学・糖尿病・感染症領域に強みを持っており、同社の製品・技術を活用することにより、積水メディカルの重点領域のさらなる強化が期待できる。
   
海外販売網の活用
Genzymeの検査薬事業が持つ欧米販売拠点や営業スタッフを活用。
   
海外生産拠点の獲得
Genzymeの検査薬事業は、領域ごとに専門の工場を保有しており、積水メディカル製品の欧米での現地生産も視野に入れる。

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中国海洋石油(CNOOC)の子会社の中海石油化学(China BlueChem)は1114日、海南省東方市で新しいメタノール工場の試運転を開始した。

Davy メタノール合成法を使用し、投資額 10億人民元、天然ガスを原料にし、能力は年産80万トン。
200811月に建設を開始した。

原料の天然ガスはCNOOCの南シナ海のLedong ガス田から供給を受ける。

CNOOC20099月に楽東(Ledong22-1ガス田の生産を開始した。近隣のLedong 15-1ガス田と共同開発しており、これも既に生産を開始している。両ガス田からの合計生産量は15千万立方フィート/日(LNG換算約100万トン/年)に達する計画。

CNOOC2009年に、ガス田から同社のエネルギー・化学基地である東方市までのパイプラインが完成した。
パイプラインは陸上の
68kmと海底の105km

国家発展改革委員会(NDRC)は天然ガスの有効利用のため2007830日以降、天然ガスを原料とするメタノール生産を禁止したが、既に天然ガス供給契約を締結している場合は除外されており、本計画はそれに該当する。
また、
NDRC20067月の通達で、石炭を原料とするメタノール又はDMTでは能力100万トン未満のものを禁止したが、天然ガス原料についてはこれは適用されない。

CNOOCは海南島にもう一つのメタノール工場を持っている。

CNOOCと香港のラミネート会社KingBoard Chemical との60/40の合弁会社CNOOC KingBoard 2006年第3四半期に東方市に年産60万トンのメタノールの商業生産を開始した。
ルルギ技術を採用、
CNOOCの東方市近辺のガス田からの天然ガスを原料としている。

2工場の完成で、CNOOCの東方市でのメタノール能力は140万トンになる。

ーーー

中海石油化学は中国最大級の肥料会社で、海南島東方市に2系列のプラントを有しており、アンモニア 75万トン、尿素 132万トン、複合肥料 5万トンを生産している。

同社は東方市に生分解性プラスチック製造のためのポリプロピレンカーボネート(PPC) 年産3千トンプラントを持っている。

2007/8/20 中国のCNOOC子会社が生分解性プラスチック製造

同社は20063月に、内蒙古の天野化工(Tianye Chemical)の株式の90%を買収し、CNOOC Tianye とした。
同社は天然ガスベースのアンモニア
30万トン、尿素52万トンとメタノール20万トンのプラントを有している。

CNOOC Tianyeはまた、年産6万トンのPOM と石炭ベースのアンモニア(35万トン)・尿素(60万トン)プラントを建設している。
アンモニア・尿素は華東理工大学が開発した粉状石炭ガス化技術を使用する。

POMについては 2010/5/25 雲天化集団、重慶でPOM増設、年産6万トンに

 

中海石油化学の事業は以下の通り。(単位:千トン) 

立地 製品 能力 建設中  
海南島 メタノール    600   CNOOC KingBoard
800   今回完成
アンモニア 750    
尿素 1,320    
複合肥料 50    
PPC 3    
内蒙古 アンモニア 300 350 CNOOC Tianye
尿素 520 600
メタノール 200  
POM   60

 


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Nova Chemicals1112日の第3四半期決算発表で、Ineosとの間で、両社の50/50JVであるIneos NovaNova持分をIneosに売却する交渉に入ったことを明らかにした。

1031日に交渉に入ったもので、諸手続きを経て、来年第1四半期に取引を完了させたいとしている。
売却金額等もこれから交渉する。

本年のIneos Novaの業績は、積極的なリストラとマージン幅の拡大により、前年同期比で改善している。
Ineos Novaの営業利益のNova持分は以下の通り。(単位:百万米ドル)

   本年度  昨年度
3Q    17   5
13Q合計   28  11

しかし、Nova は「このJVは同社にとって戦略的優先度はなく、より良い事業に集中したい」としている。

2009年2月にアブダビ国営の投資会社 IPICInternational Petroleum Investment Company )はNovaを買収する契約を締結、7月に買収を完了した。IPICはその後、Novaの株式の24.9%を、BorealisIPIC 65%OMV 35%)に譲渡した。

2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収 

本件は、新株主の IPICの方針変更と思われる。

ーーー

Nova ChemicalsとBP2005年に50/50JVNOVA Innoveneを設立、欧州のPS事業をまとめた。

その後、BPがInnoveneを分離し、2005年末にIneosが買収した結果、NOVA InnoveneNovaIneos50/50JVとなった。

NovaとIneos20073月に、Novaの北米のSMPS事業を両社の欧州の50/50JVのNOVA Innovene に移管することで合意したと発表した。
新しい
JV、Ineos Nova200710月に発足した。

2007/9/24  INEOS NOVA スタートへ

その後、2007年末にMontreal PSプラント(55千トン)を、2008年1月末にBelpre, Ohio PSプラント(100千トン)を停止した。

現在は11工場で、能力は以下の通り(単位:千トン)。

  SM PS EPS
Sarnia, Ontario 430    
Indian Orchard, MA   165  
Channahon, Illinois   410  
Decatur, AL   193  
Bayport, TX 770    
Texas City, TX 455    
(北米合計)  (1,655)  (768)  
Trelleborg, Sweden   85  
Breda, The Netherlands   90 90
Marl, Germany   180 85
Wingles, France   200 100
Ribecourt, France     90
(欧州合計)   (555)  (365)
       
総合計 1,655 1,323 365

INEOSは欧州のSM事業(工場はドイツのMarl )をJVには出さず自社で運営している。
    能力:エチルベンゼン 550千トン、SM 380千トン
Nova Chemicalsについては下記参照。

ーーー

Nova Chemicalsの現在の事業は以下の通り。(単位:千トン)

  エチレン    PE       SM       スチレン
ポリマー
 
Corunna, Ontario 820        
Joffre, Alberta 1,545 910        
635
(1,270)
190
(380)
    Nova/Dow50/50JV
上はNova持分、(  )JV合計能力 
Moore Township, Ontario   340      
St. Clair River, Ontario   205      
Channelview, Texas     180   Lyondell Chemical のSM工場のNova持分
他に短期の製造委託
180がある。
Monaca, Pennsylvania       155 Styrenic Performance Polymers含む
Painesville, Ohio       45  
Quilicura, Chile       3  
El Tepual, Chile       Converter  
           
Total 3,000 1,645 180 203  

スチレン、スチレンポリマーはIneosNovaに供出していないもの。
スチレンポリマーは
EPSが中心だが、下記の特殊品を含む。
 
ARCEL樹脂(PS/EVA)、DYLARKUPESレジン


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Ineosの事業の現状

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本日のブログ 「Nova ChemicalsIneosNovaから撤退」のIneosについてはブログの過去の記事を参照。 

同社の現在の事業は以下の通り。

Refining、ABS、ChlorVinyls、Films & Compounds、Olefinds & Polymer (Europe &USA)、

OxideNitriles、Phenol、Styrenics、Paraform、Melamines、

Oligomers、Enterprises、Technology

 

各事業の内容と立地は以下の通り。

Refining

UK Grangemouth
France Lavéra

2005年末 Innovene買収

ーーー

ABS

Spain Tarragona
Germany Köln
USA Addyston, Ohio
Thailand Map Ta Phut
India Nandesari
Moxi
Katol

能力:730千トン   

2007/7/4 Ineos、LanxessのABS事業を買収へ

ーーー

ChlorVinyls

    電解、EDC メチレンクロライド
メチルクロライド
クロロフォルム
ほか
塩酸、水素、
塩化パラフィン
ほか
VCM  E-PVC  S-PVC 
UK Runcorn  
Barry          
Newton Aycliffe          
Norway Rafnes        
Porsgrunn        
Germany Rustersiel        
Voslapp        
Schkopau          
Sweden Stenungsund      

 2005年  EVCを100%子会社化
 
2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収

ーーー

Films & Compounds

    PVC Films PVC Compounds Barex *
Germany Bötzingen    
Staufen    
Weißandt-Gölzau    
UK Helsby    
Newton Aycliffe    
France Mourmelon Le Petit    
Switzerland Sins    
Italy Cagliari    
Castiglione Olona    
Fucine    
Sweden Helsingborg    
USA Delaware City, Del    
Lima, Ohio    
India Nasik    
Thane    

 * アクリロニトリル共重合樹脂

 2005年  EVCを100%子会社化
 
2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収

ーーー

Olefins & Polymers 

    Olefins LDPE LLDPE HDPE PP
UK Grangemouth      ○ 
Germany Köln    
France Lavéra    
Sarralbe      
Norway Rafnes        
Bamble      
Belgium Lillo      
Geel        
Italy Rossignano        
             
USA Alvin, Texas      
La Porte, Texas      
Carson, California        

2005年末 Innovene買収
2007/6/9
INEOS、Borealisからノルウエーの石化事業を買収

ーーー

Oxide 

    EO, PO,
Oxo-Alcohols
ENB
, Acetate Esters
その他
EG, PG
Belgium Antwerp
Germany Köln
France Lavéra  
UK Saltend  
       
USA Plaquemine, Louisiana  
Freeport, Texas  

1998年 Inspecを買収
2001年 BPから欧州のアセテート事業、ENB事業を買収
2008/1/17 
INEOS BP から酢ビモノマーとエチル酢酸事業を買収

ーーー

Nitriles 

    Acrylonitrile Acetonitrile Oxazole Hydrogen
 Cyanide
Acetone
 Cyanohydrin
Ammonium
 Sulphate
Germany Köln      
UK Seal Sands        
               
USA Lima, Ohio      
Green Lake, Texas    

能力:1,510千トン   

2005年末 Innovene買収
2008/3/20 INEOSBASFのアクリロニトリル工場買収

ーーー

Phenol 

    Phenol Acetone Cumene Alphamethyl-
 styrene
Belgium Antwerp    
Germany Gladbeck  
Marl      

2001年 Degussaから子会社 Phenolchemieを買収

ーーー

Styrenics (SM)

 立地:Marl, Germany
 能力:エチルベンゼン 550千トン、SM 380千トン

 SMPSJVIneos Novaを設立したが、これのみ拠出せず。

2007/9/24  INEOS NOVA スタートへ

ーーー

Paraform (Formaldehyde, Paraformaldehyde, Hexamethylene tetramine, Cyanates ) 

 立地:Mainz, Germany

2003年 DecussaのMethanova部門を買収

ーーー

Melamines

    Coating Wood finishing Textile Rubber/Tyre Paper
Germany Frankfurt
             
USA Springfield, Mass      

2005年 UCBのメラミンを原料とするアミノレジン、添加剤事業を買収

ーーー

Oligomers 

    Linear
alpha Olefins
Polyalpha
Olefin
Poly
isobutylene
Isoolefins
Isoparaffins
Specialties
Belgium Feluy    
France Lavera      
Germany Köln      
           
Canada Joffre, Alberta      
USA La Porte, Texas      
Whiting, Indiana      

2005年末 Innovene買収

ーーー

Enterprises 

Brine & Water UK Northwich  
Biodiesel France Baleycourt  
Salt UK Runcorn  
Sulphur Chemicals UK Runcorn  
Ethanol UK Grangemouth  
Esters France Baleycourt  
Ammonia / Nitric Acid Germany Köln  
INEOS Asiatic Chemical Thailand Bangpoo CERECLOR chlorinated paraffins
Hydraulic brake fluid
Automotive coolants
Toll blending business
Vinyl Acetate UK Saltend  

2004年設置のINEOS Chlor Enterprisesを2005年に改称
2008/1/17 
INEOS BP から酢ビモノマーとエチル酢酸事業を買収

ーーー

INEOS Technologies
   leading global licenser of polyolefin, polystyrene, nitriles, vinyls and chlor-alkali technologies

both gas phase and slurry polyethylene technologylinked to a proprietary CD catalyst system
acrylonitrile process and catalyst
chlor-alkali electrolyser and vinyls technologies
INEOS Bio
 clean biofuel and low-cost chemical intermediates from a wide range of low-cost carbon materials

2005年末 Innovene買収

 


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さきに、タイのIndorama Venturesの状況を説明した。

2010/11/18 タイのIndorama、米国と中国でポリエステル等の工場を買収 

Indorama Group 1974年にMohan Lal Lohia ML Lohia)によりインドで設立され、インド、インドネシア、タイなどでPTAPET、ポリエステルなどの事業を拡大した。

ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男 OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia はインドネシア、三男 Aloke Lohia はタイを受け継いだ。同じような事業を行っているが、それぞれが独立して事業を行っている。


インドネシアの
Indorama Corporation とインドのIndo Rama Synthetics (India)の現状は以下の通り。

1)Indorama Corporation ( in Indonesia )

分野 社名 製品 能力
Polyester Fiber & Filaments PT. Indorama Synthetics Indonesia Fibers, Yarns and Chips 280,000 tons
Spun Yarns (PT. Indorama Synthetics) Indonesia Polyester, Viscose,
Cotton (including Organic), Acrylic
 194K Spindles
Indorama Iplik Sanayi Ve Ticaret Turkey Polyester, Viscose, Cotton 31K Spindles
ISIN Lanka (Pvt) Sri Lanka Viscose, Cotton 29K Spindles
Indorama Shebin Textiles Egypt Polyester, Viscose, Cotton, Acrylic 196K Spindles
Total     450K Spindles
Fabric (PT. Indorama Synthetics) Indonesia Grey Fabric 24 million m
Dyed & PFD 42 million m
Petrochemicals Eleme Petrochemicals Nigeria HDPE & LLDPE 240,000 tons
PP 95,000 tons
Power (PT. Indorama Synthetics) Indonesia Power Generation 60 MW
Medical Gloves PT.Medisafe Technologies Indonesia Natural Rubberand Synthetic Gloves 840 million pcs
Real Estate P.T. Kalindo Deka Griya Indonesia Construction Activity  
P.T. Kalindo Irama Griya Indonesia    

2)Indo Rama Synthetics (India) Ltd.

立地:Butibori in Maharashtra

製品&能力

製品 能力  
Polyester Staple Fibre  263,550トン  
Polyester Filament Yarn 259,000ト  
Draw Texturised Yarn 43,800トン  
Polyester Chips 87,500トン  
     
電力 82.5MW diesel generating 52.5 MW
石炭co-gen 30 MWtotal 40MW)l

 


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韓国がチリのAtacama塩湖地区のリチウム鉱区の持ち分30%を確保した。

三星物産と韓国鉱物資源公社は11月15日、エラスリスグループのエネルギー部門子会社のコピアポ社との間で、アカタマ高地にあるミスティー湖で進められているMinera NX UNO プロジェクトの株30%を1億9千万ドルで買収する契約を締結した。
三星物産が18%、韓国鉱物資源公社が12%を引き受ける。

世界最大生産会社のチリのSQMが保有するアカタマ塩湖中央部の外郭地域が開発対象。

三星物産社長は「3年前にプロジェクトが行われるという情報を知り、株式を確保するために交渉を行ってきた結果、契約にまで達した」、「その過程で日本企業との競争も激しかった」と述べた。

世界のリチウム鉱の2007年の生産量と埋蔵量は以下の通り。(含有リチウム換算)
  http://www.jetro.go.jp/world/cs_america/cl/stats/pdf/lithium.pdf

  生産量 確認可採
  埋蔵量
確認埋蔵量
チリ  9,400トン  3,000千トン  3,000千トン
ボリビア   ー   -  5,400
ブラジル   240   190   910
アルゼンチン  3,000   na   na
中国  3,000   540  1,100
米国  非公表   38   410
カナダ   710   180   360
ポルトガル   320   na   na
ロシア  2,200   na   na
ジンバブエ   600   23   27
合計  25,000  4,100  11,000

チリではアタカマ塩湖の塩水(底の岩塩と表面の塩の固まりの中間に塩水層がある)を汲み上げ、プールで天日乾燥し、アタカマ塩湖から200キロ離れたアントファガスタ港湾都市で炭酸リチウムを生産している。

チリ鉱業化学会社(
SQM)とドイツのChemetallのチリ現地法人が生産しており、前者がアタカマ塩湖鉱区10ヵ所のうち9ヵ所の利権を所有している。

2001年10月にカナダのPotash Corporation of SaskatchewanSQM株の18.3%を買収し、2004年に37.5%にまで引き上げている。

韓国が確保した鉱区の規模は60万km2で、鉱物公社側は、初期には年間2万トン、設備を増やせば年間4万トンまで生産できると見通している。

新しく設立される合弁会社は、来年からアタカマ塩湖西部地域に精製施設を建設、2014年にはアントファガスタ市近隣に生産工場を建設し、本格的なリチウム生産に入る計画。年2万トンの炭酸リチウム販売権は全量、韓国企業が保有する。
昨年の韓国の需要量(5140万トン)の4倍に近い規模。 

金信鍾鉱物資源公社社長はこの日、「段階的に施設を拡充し、年4万トン規模まで生産を増やす計画」とし「すでに株式を確保したアルゼンチン鉱区の年6000トンと合せれば、今後10年間は国内にリチウムを安定的に供給できる体制が整った」と述べた。

鉱物公社は、GSカルテックス、LG商社とともにアルゼンチン北部のオンブレ・ムエルト(Hombre Muerto)塩湖のリチウム鉱区開発事業の持ち分30%も確保している。

2010/6/11  韓国鉱物公社、アルゼンチンのリチウム開発に参加

ーーー

残りの激戦地はボリビアのウユニ塩湖。

ボリビアのモラレス大統領が8月25日、2泊3日の予定で韓国を国賓訪問した。
イ・ミョンバク大統領とモラレス大統領は26日、青瓦台(大統領府)で会談し、ボリビア西部のウユニ湖のリチウムを抽出するための研究を共同で行うことで一致し、両政府の間でリチウム抽出研究開発および事業化協力のための了解覚書を交わした。

公社関係者は「8月末までに報告する1次研究結果を基礎に商用化研究を進行し、事業性が確認されればボリビアでリチウム工場の設立を推進する予定」と説明した。

2010/8/27 韓国とボリビア、リチウム開発で覚書

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は11月10日、同国鉱山公社と研究開発に関する覚書に署名したと発表した。

住友商事、三菱商事などと共同で塩水からのリチウム抽出試験に協力する
試験は来年初めから1年半程度、ボリビア側がウユニ塩湖畔に建設中のパイロットプラントで実施する。日本勢が開発した技術でリチウムを抽出・精製し、電池などに使われる炭酸リチウムの生産に取り組む。

 

ボリビアのピメンテル鉱業・金属相は11月16日、日本経済新聞に対し、同国でのリチウム開発計画について、外資への権益売却は考えず自力で開発・生産を進める意向を明らかにした。2014年にリチウムイオン電池の国内生産を始める計画も表明、「電池に加工しての輸出が原則」とし、世界から技術供与を求めると述べた。

発言のポイント:
・リチウムの抽出技術を確立した。
 2011年から実証施設で少量生産(年間480トン)に着手、2013~14年に3万トン規模の商業生産を行う。
・並行してリチウムイオン電池生産に4億ドルを投資、2014年に生産を開始する。
 世界から技術供与を求める。

別途、リチウムの共同開発のパートナー国の選定については、国内のリチウムイオン電池の生産が条件となると明言した。

 


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11月15日付けの中国網は、中国のあるネットフォーラムの「今年の中国を漢字一字で表すと何という字か?」というアンケートで、トップがであったと報じた。

は「高くなる」という意味で、あるユーザーがこの字を選んだ理由は以下の通り。

「今年は全ての物が値上がりした。飛行機に乗れば燃料チャージは値上がりするし、車を運転すればガソリン代も高くなった。ニンニク、大豆、生姜なども値上がり。しかしおかしなことに給料は上がらない。そのため物価が上がって何も買えなくなってしまった」

2007年にもこの字が選ばれたが、その時はガソリン値上がりが大問題となっていた。
今年は、これに加え、ニンニクや大豆、生姜、リンゴなどの農産品も高くなった。

ーーー

中国の国家統計局は11月11日、今年10月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で4.4%上昇し、過去25カ月間で最大の伸び率を示したと発表した。2008年9月の4.6%以来、約2年ぶりの高い伸びとなった。

今年1月から10月までの間のCPIは前年同期比で3%増だった。
政府は物価上昇率の年間目標値を3%に設定しているが、4カ月連続でこれを上回り、インフレ圧力が鮮明になった。
中国政府は既に、インフレ率の年間目標達成が難しくなったことを認めている。

10月の4.4%のうち、食品価格は10.1%、非食品価格は1.6%とそれぞれ上昇した。中国のCPI算定では、食料品が対象商品の3分の1を占めている。
食料品価格は、6月は5.7%増、7月6.8%増、8月は7.5%増、9月に8%増だった。

商務部によると、11月上旬、全国36の主要都市で18種類の野菜の平均卸売価格が昨年より62.4%、年初より11.3%上昇した。

商務部市場運行司では、野菜価格高騰の原因について、次のように説明した。

1. 異常気象の影響
春に気温が低く、北部地域の野菜の生産量や品質、市場に出回る時期に影響が出た。雨季には、南部地域と北部地域の一部が豪雨や洪水などに見舞われ、野菜の成長、収穫及び輸送に困難が出た。
2. コストの増加
今年に入ってから、農業用ディーゼルオイル、農業用フィルム、農薬などの価格が上昇し、労働コストも上昇し、流通業の従業員の給与は2割増となった。
3. 野菜の需要増
国民の食品消費における野菜の割合が絶えず上昇し、2009年の野菜消費量は2001年より24%増加し、6億200万トンに達した。
4. 価格の吊り上げ要素
2009年上半期以降、ニンニクやしょうがなどの価格が吊り上げられ、11月上旬のニンニクの価格は前年同期比95.8%上昇、しょうがは89.5%上昇した。
5. 農産品の国際価格上昇
大口農産品の国際価格が全面的に上昇、これがある程度、中国にも影響を及ぼしている。

国家統計局マクロ経済分析チームは初期的な分析で、今回の物価上昇の主な原因としては次の5つを挙げている。

(1)輸入品の値上がり
(2)一部産品の需給不均衡
(3)コストの上昇
   主要原材料、労務費、環境保護・省エネなど
(4)構造調整
   工業製品価格(比較的速い上昇)と農産物の価格差は日増しに拡大していたが、
   需要増が農産物の価格上昇による格差解消を促した。
(5)流動性の過剰
   外貨準備高が大量に増加し、ベースマネーの拡大と流動性過剰が生じ、物価の上昇を促した。

中国政府は食品価格の上昇抑制に向けて今後数週間に価格統制や投機の取り締まりなど一連の対策を導入する計画。

国家発展改革委員会(NRDC)と地方政府が一連の措置を検討しており、価格統制、消費者への補助金、買い占めや価格吊り上げの取り締まりに加え、地方行政のトップが一部食品の価格に責任を持つ制度などが選択肢に挙がっている。
また、とうもろこしや綿への投機は厳重に罰する方針という。

ある関係筋は「過度に急速な食品の値上がりをはじめ、物価上昇は中国が現在直面している大きな経済問題だ」と述べ、検討されている政策は物価上昇の勢いを抑えることを目的とし、複数組み合わせて導入されると指摘した。

付記

中国国務院は11月19日、高騰する物価の抑制に向け、農産物の増産や流通コストの低減など16項目からなる緊急対策を発表した。
  
http://www.gov.cn/zwgk/2010-11/20/content_1749484.htm

方針には農産物の生産、供給の安定化、生産コストの低減、一時的な補助金などを含む。

食料を含む生活必需品に対して、政府が必要に応じ価格統制を実施する方針を盛り込んだ。
地方政府や各省庁は農産物の生産を高め、供給を確保し、異常な需要をチェックし、違法値上げを罰するよう指示した。

野菜生産地への財政支援などで食料の増産を促すほか、政府が備蓄している食料の放出を急ぐ。
12月1日から農産物を積んだトラックの高速道路料金を免除するなど、流通コストの引き下げを図る。

中国は先月、2年10カ月ぶりに利上げを実施、本格的な金融引き締め局面に入っているが、インフレ圧力は和らいでいない。

中国は人民元の上昇を抑えるため、元売りドル買いの為替介入を続け、市場に大量の人民元を放出してきた。

中国の中央銀行である中国人民銀行はG20サミットを控えた6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。
毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

しかし、Big Mac指数では現在のレートは48%の元安となっているが、11月11日の終値6.6257元が最高で、これは6月18日比で2.94%のアップに過ぎない。(11日に一時 6.6173人民元の過去最高を記録したが、これは3.06%のアップ)

政府が介入を自粛し、人民元の上昇を容認することがインフレ抑制にもつながるが、胡錦濤国家主席は11月13日、APEC首脳会議に合わせて横浜市で開催されたCEOサミットで演説し、人民元問題について「穏やかに人民元為替レートメカニズム改革を推進する」と表明した。

人民元の急上昇が、輸出産業に大きな打撃を与え、失業による社会不安定を招くことを恐れてのもの。

付記

中国人民銀行(中央銀行)は11月19日、預金準備率を0.5%引き上げると発表した。
預金準備率引き上げの発表は11月10日の0.5%に続き、今年5度目。11月29日から適用され、大手行の預金準備率は過去最高の18.5%となる。

ーー

そんななかで、広州日報は広州市で10年値上がりしていないものを挙げている。
1)路線バス:ガソリン代が1リットル1元以下(現在6.8元)だった14年前から2元のまま
2)公園:80%が無料化
3)新聞:10年前と同じ1元のまま
4)食品:袋入りの醤油や料理酒、普通の塩は10年前と同じ1袋11.2元
5)宝くじ:2元で500万元(但し税引後では大都市だとちょっとした3LDKくらいしか買えない)
6)電子製品:パソコンやデジカメ、携帯電話などの電子製品はここ10年で大幅に値下がり
7)電話代とインターネット代:ほぼ半額に
8)車:一般家庭に普及


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タイのIndorama Venturesは1112日、 Invistaから南カロライナ州SpartanburgのPETとポリエステルステープルの工場と、メキシコ子会社Grupo Artevaの同事業を買収すると発表した。

買収資産は以下の通り。
 
1. Spartanburg 工場
 
   PETSpecialty PolymersFibersFilm の製造設備(能力 470千トン)

  2. メキシコ子会社Grupo Arteva 及びその子会社の事業
  
PETSpecialty PolymersFiber の製造設備(能力 535千トン)

買収金額は流動資産、債務を含め、合計で現金で420百万米ドル。
(設備が
229百万ドル、流動資産が174百万ドルで、残りが債務の引継ぎ)

1112日に調印しており、買収完了は2011の第1四半期を予定している。

ーーー

Indorama Group 1974年にMohan Lal Lohia ML Lohia)によりインドで設立され、インド、インドネシア、タイなどでPTAPET、ポリエステルなどの事業を拡大した。

ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男 OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia はインドネシア、三男 Aloke Lohia はタイを受け継いだ。同じような事業を行っているが、それぞれが独立して事業を行っている。 

付記  2010/11/20 インドネシアとインドのIndoramaの現状

Indorama Ventures三男 Aloke Lohia が引き継いだ会社(その後、Alokeが株を手放し、上場)で、現状は以下の通り。(単位:千トン)

    PTA PET ポリエステル  
Polymer 繊維
タイ Rayong 700        
Map Ta Phut 540 108 144    
Nakhon Pathom       100 2008Tuntexを買収
Lopburi   180      
タイ合計  1,240   288 144   100  
英国 Workington   155     2008Eastmanから買収
オランダ Rotterdam 360 200    
リトアニア Klaipeda   198     2006Orion Global PET設立
イタリア Ottana 190 150     Ottana Energia との50/50JV
2010
7月、EquipolymersDow/PIC)から買収
欧州合計 550 703      
USA Asheboro   225     2003StarPet買収(当初116千トン)
Decatur   432     AlphaPet 2009年稼動
米国合計   657      
総合計 1,790 1,648 144 100  

米国では先ず、Asheboro, North Carolina にあるPETメーカー StarPet Inc. を買収した。(能力116千トン)

その後、米国でAlphaPet Inc.を設立し、432千トンのPET工場を建設した。

会社名:AlphaPet Inc.
立地:Decatur, Ala.
能力:432,000 tons
技術:new generation Uhde Inventa-Fischer Melt to Resin (MTR) technology
原料:隣接するBPのパラキシレン/PTA工場からPTAを購入
完成:
2009

2007/4/14 タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ

今回の買収で、Indoramaは、ラテンアメリカへの進出、特殊PETファイバー市場への進出、R&D能力の向上、既存プラントとの統合、生産のフレキシビリティ増大のメリットを得て、世界のPETのリーダーとなる。

EastmanIndorama等との競合でPETの売価是正は難しいとし、PET事業と関連の設備と技術を、メキシコ最大の企業の1つのAlfa S.A.B. de C.Vの石化・合繊事業であるAlpekの子会社 DAK Americas, LLCに売却する契約を締結した。

2010/10/29 Eastman ChemicalPET事業をメキシコ企業に売却 

なお、Invista Wilmington, N.C.のポリマー&レジン工場と欧州のポリマー&レジン事業、及び知的財産は保持する。

Invista DuPont の繊維部門であったが、2004年に Koch Industries 42億ドルで買収した。

ーーー

Indorama 11月11日、広東Shinda UHMWPEから広東省開平市にあるPETポリマーとポリエステルポリマーの工場を買収すると発表した。工場の能力は406千トン。

同社は中国に100%子会社を設立し、中国進出への足がかりとする。

Guangdong Shinda UHMWPE Fiber Co.はポリエステルチップの最大の企業の一つ。
このほかに
年産5千トンの超高分子量ポリエチレンUHMWPE)ファイバー工場を建設している。

超高分子量ポリエチレンは、エンジニアリングプラスチックの一種で、非常に高い耐衝撃性と強度を持ち、耐切創性、耐摩耗性、耐薬品性にも 優れている。主として繊維やテープなどの形状で使用され、その特性を生かして、強化プラスチックをはじめ、防護・防弾・防刃製品、ロープ、ネット、医療 分野など、幅広い用途への展開が可能とされる。

帝人は11月10日、UHMWPEファイバーへの参入を発表した。
オランダ・エメン市にあるテイジン・アラミドB.V.工場内に生産設備を建設し、2011 年後半より商業生産を開始する。 


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中国商務省の姚堅報道官は1116日の記者会見で、今年19月のレアアースの輸出量が32,200トンに達したことを明らかにした。

中国政府は今年のレアアースの年間輸出枠を前年比約
4割減の約3万トン(30,258トン)に設定しており、9月までの輸出量が年間輸出枠を超過したことを示した。平均輸出価格は14,800ドル/トン。

輸出許可枠
  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

レアアースの対日輸出が中国の税関で滞っている問題で、11月13日の大畠経産相との会談で中国国家発展改革委員会の張平主任(閣僚級)が、税関検査を効率的かつ迅速に行うよう指示したことを明らかにし、近く改善するとの見通しを示した。
しかし、9月末時点で輸出許可枠を超過しているため、今後の輸出は認められないと思われる。

内訳は以下の通りで、日本向けは全体の50%を占めるとともに、前年比で167%もの増となっている。

  19月輸出量 比率 前年同期比
日本向け  16,000トン  49.8%  +167%
米国向け 6,200トン 19%  +5.5%
その他 10,000トン 31%   
合計 32,200トン 100%   

報道官は、レアアースの開発、輸出、生産の規制強化に関して、環境面の懸念からであると強調した。

中国は
2010年の輸出枠を前年比で4割カットしたが、開発は25%、生産能力は23%削減した。
加えて、レアアースの輸出税を
1525%加え、41種のレアアース加工製品の輸出を禁止した。

日本や米国からはWTOのルールに違反するとの声が出ているが、報道官は、中国はこれまで、環境保護の圧力が高まり、資源枯渇の恐れがあるのに、レアアースの輸出を続けてきたとし、「中国の規制は、開発、生産、輸出の全プロセスで取られており、WTOのルールに沿っている」と述べ、来年も輸出許可枠を減らす考えを示唆した。

商務部は11月初めに、2011年の大幅な輸出枠の削減は否定している。

ーーー

日本の在ジュネーブ国際機関代表部が、中国によるレアアース対日輸出が滞っている問題を10月のWTO会合で取り上げる準備をしていたところ、外務省が「待った」をかけ、発言を自粛していたことが分かった。

発言自粛には、日中関係のさらなる悪化で日本企業へのダメージが広がるのを防ぐとともに、当時横浜でのAPEC首脳会議を控え、胡錦濤国家主席との首脳会談に影響が及ぶのを避ける意図があったとみられる。


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中間決算がほぼ出揃った。

各社とも前年上期の損益を上回っているが、前々年との対比ではまちまちである。

(医薬メーカーは 2010/11/4 注目企業の9月中間決算ー2 医薬メーカー

   
   
   

当期損益については、既報の通り、信越化学と三菱ケミカルで逆転しているが、住友化学も経常損益と比較し、異常に少ない。

理由は以下の通り。

  営業損益 経常損益 特別損益 税引前 税金 税金還付 税引後 少数株主 当期損益
信越化学 761 812 0 812  287 -107 632 9 623
三菱ケミカル 1,114 1,064 -125 939 280   659 220 440
住友化学 530 521 -296 225 109   116 91 25

本年の特殊処理
 信越: 移転価格課税に対する日米相互協議の合意により、10,663百万円の過年度法人税等戻し入れがあった。
   
 住友: 本年4月に豪州農薬メーカー Nufarm20%出資したが、同社の時価が大きく下落したため、 
のれん相当額を一時償却し、特別損失287億円を計上した。
  (これは仮計上で、2011年3月末に時価が戻れば、取り消される。)
   
少数株主持分
 信越: 連結子会社はほぼ全てが100%子会社で、連結損益≒当期損益
   
 2社: 田辺三菱製薬、大日本住友製薬など、収益企業が100%子会社でないため、少数株主持分の控除分が大きい。
   
*連結決算では、売上高~経常損益~税金は連結子会社の数値を100%連結し、
  当期損益で連結子会社の税引後損益の少数株主持分を控除する。
  なお、持分法子会社(出資比率15%以上)については、税引後の持分を営業外損益に加える。

          

 


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White Houseの原油流出事故調査委員会The National Commission on the BP Deepwater Horizon Oil Spill )は118日、事故に関して、これまでのところ、BPがコストカットのために意図的に安全性を犠牲にしたという証拠はないと述べた。

この場合にはBPには重大な過失はないこととなり、Clean Water Actによる罰金が少なくなるほか、Anadarkoや三井石油開発への求償問題に影響する。

Clean Water Actでは原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。

流出量が300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)

2010/8/2  BP、油井完全封鎖へ

しかし、石油関係のアナリストは、業界内ではBPが手抜きをしたと見られているとしている。

Anadarko1112日(上記発表の後)に投資家説明会を開催したが、同社は6月からの主張を維持し、原油流出は避けられたもので、BPの無謀な決定、行動の直接の結果であると主張した。

三井石油開発は、11月2日時点において累計で1,898百万米ドルの請求書を受領していることを明らかにしている。
同社は、今回の事故に関する事実関係・背景について多くの調査が現在も進行中であり、現時点で支払い義務を負うことになるか否かは明らかでないため、BPが求める支払いを留保してきたとし、これらの状況が続く間は、BPに対する支払いを留保し続けることになろうと予想しているとしている。

米国での報道によると、三井石油開発の香川社長が11月10日に、この事業に投資しているMOEX Offshore 2007 LLCは有限責任会社であり、同社の支払能力を超えた場合には、同社を破産させるため、三井石油開発への影響は限定的であると述べたとされる。

三井石油開発は三井物産が69.91%、政府(経済産業大臣)が20.03%を出資しており、三井物産の今後の米国での活動などを考えると、この主張を推し進めるのは無理であろう。

BPは被害への補償のため、油濁法の損害賠償限度額の権利を放棄している。

2010/10/20 BP、メキシコ湾原油流出事故で油濁法の損害賠償限度額の権利放棄を言明

三井物産では、鉱業権の評価損として21億円のほか、これまでの探鉱費用を費用処理しているが、BPからの求償分については、事故の原因究明などについて複数の調査が進行中で不確定要素もあるとして、債務の計上はしていない。


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チッソは11月12日、水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づき、同社を補償部門と事業部門に分社化する「事業再編計画」の認可を松本龍環境相に申請した。

分社化の時期を「来年3月が目標」としている。
当面は事業会社からの配当で被害者補償や債務返済を行う。

将来的にチッソが事業会社株を売却し、得た利益を補償や返済にあてる想定だが、事業会社を被害補償から切り離した上でチッソが清算される可能性があり、被害者側には「原因企業が消滅する」との反発がある。

松本環境相は同社の後藤舜吉会長に対し、地元が懸念している患者補償の継続と地域振興に取り組むよう求めた。

特措法については 2009/7/3 水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し

チッソは認定患者への補償などで2010年度末の債務超過は1548億円に達する見通し。

2010/4/16 水俣病「救済措置の方針」を閣議決定及び下の表

環境省は7月6日、水俣病特別措置法に基づき、チッソの分社化に向けた手続きの一環として、同社を「特定事業者」に指定し、通知した。

2010/7/6 チッソ を「特定事業者」に指定

本年初めに、分社化について「10月1日を目標に社内の体制を整える」との方針を示したことが分かり、問題となった。

2010/1/11 チッソ会長、「10月分社化目指す」

ーーー

事業再編計画の概要は以下の通り。

(前文)
同社は特措法に基づく環境大臣からの一時金支給に関する同意要請に同意しており、解決を図ることとしている。
そのためには事業体制の抜本的再構築、経営の一層の効率化、次世代事業の早期創出の体制整備を行い、更なる収益力強化、事業価値向上を図ることが必須であり、この事業再編計画を策定した。
本計画で事業会社の株式の譲渡を進めるものではなく、いかなる場合も認定患者の補償責任完遂、被害者救済を行う。

1. 事業会社
  商号:非公表
  資本の額:3億円(資本金1.5億円、準備金1.5億円)
  設立:認可後速やかに
   
2. 事業譲渡
チッソが営む機能材料分野、化学品分野及び加工品分野等の事業活動を継続するために必要な土地、設備など有形・無形の事業財産を事業会社に譲渡する。

特措法規定に基づく法人税に係る課税の特例の適用を申告し、株式評価額から事業譲渡に係る純資産価額を控除した金額に達するまで、期限切れ繰越欠損金(1209億円)を損金の額に算入する。
(譲渡益の課税を避け、患者補償、公的債務返済、一時金の支給に充てる)

事業の譲受先となる事業会社の株式をチッソが全て所有し、譲渡後もチッソが事業会社の経営、財産を管理、監督する。
   
3. 株式の引き受け
事業譲渡の対価として事業会社が新たに発行する全株式を引き受ける。
 増加資本金:310億円、増加資本準備金:270~310億円

 事業譲渡額:580億円~620億円

   
4. 事業譲渡時期
  2011年3月目標
   
5. 現在のチッソをホールディングカンパニーと位置づけ、補償継続、一時金支給、公的債務返済、地域における水俣病対策に適切に貢献しつつ、事業会社の経営を監督する。
   
6. 事業譲渡時における事業会社の株式の評価額
 1950~2350億円と評価

  第三者機関の評価
  DCF法       1942~2390億円
  類似企業比較法 1994~2261億円
   
7. チッソは事業会社からの配当金により、補償と借入金返済を行う。
    チッソの資金計画は以下の通り。

 

8.利益水準と設備投資計画

地元には水俣から離れるのではないかとの懸念があるが、水俣に280億円の投資をするとしている。

 


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各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。

「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。
必ずしも製品区分別ではないため、従来よりも企業間の比較が難しくなる。

ーーー

帝人

需要回復と構造改革の効果発現により、化成品事業を中心に素材事業が大幅な増益。

アラミド繊維は各分野で需要回復、炭素繊維も需要回復基調。
ポリエステル繊維も、これまでの抜本対策や固定費削減等の構造改革の効果の発現、自動車用途を中心に需要の回復などで、黒字化。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 489,871 15,070 8,915  415 3.0  
09/9中間 360,192 2,784 -3,618 -25,783 0.0  
10/9中間 399,869 20,511 20,492 11,546 2.0  
増減 39,677 17,727 24,110 37,329 2.0  
             
10/3 765,840 13,435 2,085 -35,683 0.0 2.0
11/3 820,000 42,000 42,000 21,000 2.0 2.0

営業損益対比                        億円
  10/3   09/9中 10/9中 差異   11/3
高機能繊維 -77   -43 12 54   30
ポリエステル繊維 -54   -20 -0 20   10
化成品 89   10 109 100   210
医薬医療 243   125 118 -7   230
流通・リテイル 34   10 19 9   45
その他 26   7 9 2   30
全社 -127   -61 -62 -1   -135
合計  134   28 205  177   420

新セグメント

高機能繊維 アラミド繊維の糸・綿・織編物等の製造・販売
人工皮革の製造・販売
炭素繊維製品の製造・販売
ポリエステル繊維 ポリエステル繊維の糸・綿・紡績糸・加工糸・不織布及び織編物の製造・販売
ポリエステル原料の製造・販売
化成品 樹脂事業:ポリカーボネート樹脂等の樹脂・樹脂製品の製造・販売
フィルム事業:ポリエステルフィルム等の製造・販売
医薬医療事業 医薬品・在宅医療機器の製造・販売
在宅医療サービス等
流通・リテイル 繊維製品の企画・販売

旧セグメント

合成繊維 パラアラミド繊維、炭素繊維、PEN繊維
ポリエステル繊維
化 成 品 ポリカーボネート、PENフィルム、PEN樹脂
ポリエステルフィルム、ポリエステル樹脂
医薬医療 医薬医療
流通・リテイル 流通・リテイル
IT IT

ーーー

ダイセル化学工業

販売数量の増加、設備稼働率の向上などで増益。合成樹脂の増益が大きい。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 209,201 16,939 16,736  8,877 4.0  
09/9中間 143,684 5,115 4,735 2,129 4.0  
10/9中間 180,902 20,851 19,779 7,747 4.0  
増減 37,218 15,736 15,044 5,618    
             
10/3 320,243 20,856 19,993 11,069 4.0  
11/3 357,000 34,000 32,000 17,500 4.0 4.0

営業損益対比                 億円
  10/3   09/9中 10/9中 差異
セルロース  121   57 77  20
有機合成 59   22 40 19
合成樹脂 53   -1 87 88
火工品 48   10 34 24
その他 8   2 7 6
全社 -80   -40 -37 2
合計 209   51 209 157
セルロース セルロースを原料とする酢酸セルロース及びたばこフィルター用トウ等
有機合成事業 各種の有機化学品及び光学異性体分離カラム等の関連製品
合成樹脂事業 エンジニアリングプラスチックを始めとする各種樹脂素材及び樹脂加工品等
火工品事業 火薬工学技術をベースとした自動車用安全部品及び防衛関連製品

ーーー

日本触媒

アクリル酸、酸化エチレンの生産能力増強等により固定費が増加したが、生産・販売数量の増加や一部製品のスプレッド拡大等が寄与し、増益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 172,088 5,820 7,154  2,054 8.5  
09/9中間 113,598 5,893 6,554 3,963 7.0  
10/9中間 138,109 13,458 13,392 7,487 10.0  
増減 24,511 7,565 6,838 3,524 3.0  
             
10/3 244,317 13,881 14,934 10,832 7.0 7.0
11/3 280,000 23,500 23,500 15,500 10.0 10.0

営業損益対比         億円
  10/3   09/9 10/9 差異
基礎化学品  53   22 60  38
機能性化学品 92   41 59 19
環境・触媒 -6   -4 15 18
全社 0   0 1 0
合計 139   59 135 76
基礎化学品 アクリル酸、アクリル酸エステル、酸化エチレン、エチレングリコール、
エタノールアミン、高級アルコール、グリコールエーテル等
機能性化学品 高吸水性樹脂、医薬中間原料、コンクリート混和剤用ポリマー、電子情報材料、よう素、
無水マレイン酸、粘接着剤・塗料用樹脂、樹脂成形品、粘着加工品等
環境・触媒 自動車触媒、脱硝触媒、ダイオキシン類分解触媒、プロセス触媒、排ガス処理装置、燃料電池材料等

 


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米韓FTA協議、決裂

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米国と韓国による自由貿易協定(FTA)の改定交渉は11月11日、最終合意に到達できず決裂した。

米国と韓国の自由貿易協定(FTA)締結交渉は2007年4月2日、期限切れ直前に妥結した。

自動車、農業分野は下記の通りとなっている。   

◇自動車
      韓国=輸入関税(8%)即時撤廃
          排気量基準自動車税を現行5段階から3段階に簡素化
          自動車特別消費税を発効後3年以内に5%以下に単一化    
      米国=3000cc以下の乗用車関税(2.5%)を直ちに撤廃
           3000cc超の乗用車は3年で関税撤廃
          ピックアップトラック(25%)は10年で関税撤廃

◇農業
      
韓国=牛肉(15年で)・豚肉(最長10年で)関税引き下げ    
          
コメは対象外
          米国産オレンジの関税を9月~2月は50%を維持、他は30%に。

2007/4/4 米韓FTA妥結 

しかし、米国で反対が強く、現時点でもこの協定は批准されていない。

ところが、本年7月の韓国・EUのFTA妥結(10月6日調印)を受け、米国でもムードが変わってきた。
オバマ米大統領は、「11月のソウルG20首脳会議までに韓国と実務協議を行い、履行法律案を議会に提出したい」と述べた。

このため、争点を話し合うための通産相会議が11月8日からソウルの外交通商部の庁舎で行われていた。

自動車と牛肉が問題となり、自動車については韓国側がある程度の妥協を行ったが、米国が更に要求したため、韓国側は、協定の大幅な修正が避けられないなら、韓国側に不利に妥結された医薬品や農業分野で米側の譲歩を引き出す方向に方針を変え、「反対給付」を求めた。

牛肉については、米国側は米国産牛肉の輸入範囲を「生後30ヶ月以上」にも拡大すること、検疫条件を緩和することを要求した。
これについては、韓国側はこの問題についてはFTAに関係なく、交渉の対象外で、絶対に譲歩できないとしたが、米国側が更に求めたため、韓国政府は「それならこれ以上、交渉を進めるわけにはいかない」と強気の態度を示し、空気は急激に冷え込んだ。

韓国の李明博大統領は、オバマ米大統領との共同記者会見で「われわれは、詳細な問題を解決するためさらに時間が必要だということで一致した。貿易担当閣僚に対し、できる限り早急にお互いに受け入れ可能な合意点を見つけ出すよう求めた」と語った。
オバマ大統領は、さらなる交渉を経てFTAが成立することを確信している、と述べた。

ーーー

米国側の要求と韓国側の対応は以下の通り。

自動車については以下の要求を行った。

1) 韓国の自動車燃費規制、温室効果ガス排出規制の緩和
韓国のグリーン成長委員会が2009年7月、2015年までに自動車の平均燃費目標を1リットル当たり17kmに設定、米国は、5年以内に平均燃費目標を1リットル当たり15kmとする米国政府の計画に比べ、韓国の基準は厳しすぎるとし、米国産自動車についてのみ、これを緩和することを要求した。

韓国政府は、2015年から1リットル当たり17kmに強化される燃費基準を、「年間販売台数1000台未満」の車についてのみ例外を認める方針だが、米国は更に修正を要求した。
韓国政府は、「販売台数1万台以下」へと適用対象を変更することを検討したが、米国はさらなる譲歩を求めた。

また、米国は、メーカーが自主的に自動車の安全性を認証する制度の適用範囲を、現在の「年間6500台未満」から「1万台未満」へと拡大するよう求めた。
(これについては、韓国政府は「無理な要求だ」として応じなかった。)

 
2) 韓国産ピックアップトラックの関税廃止問題
   
  FTAでは韓国産ピックアップトラックに米国が課している関税(25%)10年かけて廃止するとなっているが、米側はこれを15年以上とするよう要求。

韓国はこれを認める意向であった。

   
3 韓国の輸出用自動車に使用される輸入部品の関税払戻し問題
   
  FTAでは規定はないが(関税払戻し是認)、米側は関税払戻しを5%に制限するよう要求。

韓国は中国などから部品を輸入し完成品を輸出する場合、部品輸入については関税を払い戻している。
韓国と
EUFTA交渉では、EU側は韓国・EU間FTAの利益が第三国に向かいかねないとして、これに反対したが、最終的に、「協定発効5年後から、韓国産自動車の輸入部品使用割合が重大な変化のレベルにまで高まれば、関税の払い戻し額を5%に制限する」と定められた。

米側はこの適用を求めた。

これについても、韓国は受け入れる意向であった。

韓国政府は、自動車分野で一歩譲歩する代わりに、農業分野で一部品目の関税撤廃時期を先送りすることを求め、米国側からの譲歩を引き出した。また、米国が専門職ビザ1万5000人分を韓国に割り当てるとした2007年の合意の早期実施を求め、米国側から前向きな回答を得た。

牛肉については、米国産牛肉の輸入範囲を「生後30ヶ月以上」にも拡大すること、検疫条件を緩和することを要求した。

2006年9月に韓国政府が3条件を設定して米国産牛肉の輸入が再開した。
1) 生後30ヶ月以下の牛であること
2) 脳、脊髄、腸、骨が除かれていること
3) 韓国が認める特定の施設からのみ輸出すること

韓国側はこの問題についてはFTAに関係なく、交渉の対象外で、絶対に譲歩できないとした。
これは、米国側の「自動車分野で韓国側からさらなる譲歩を引き出す戦略」によるものとみられていた。

しかし、米国側はFTAを発効させるには議会批准が必要なだけに、有力議員からの要望を無視することは難しく、交渉では米国側が絶えずこの問題を持ち出したという。

韓国政府関係者は、「米国産自動車の韓国市場進出拡大の米国側の要求の下限ラインが、韓国が受け入れ可能な上限ラインを上回っている」と話した。

カーク通商代表部代表も、韓米首脳会談の直後、米国の記者団に、「かなりの部分を自動車問題の調整に割いた。米国関係者は、米国の自動車産業のために、市場アクセスの不均衡を解消しなければならないと感じた」と話した。

最終的に、11日のオバマ米大統領と李明博大統領の首脳会談で合意に至らなかった。

米議会は議事日基準で最高90日間、FTA履行関連法律案を審議した後、議決するようになっており、早ければ来年下半期には、韓米FTAが正式に発効されるものと見られていた。

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韓国とEUは106、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名している。
2011年7月1日に発効する見通し。

    2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結


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各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。

「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。
必ずしも製品区分別ではないため、従来よりも企業間の比較が難しくなる。

ーーー

宇部興産

ラクタムチェーンと機能品(リチウムイオン電池用電解液・セパレーターなど)が好調。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 372,124 27,132 23,553  14,445 0.0  
09/9中間 256,279 7,123 2,511 -74 0.0  
10/9中間 294,656 16,730 13,714 7,603 0.0  
増減 38,377 9,607 11,203 7,677  
             
10/3 549,556 27,595 18,995 8,217 0.0 4.0
11/3 613,000 36,000 28,500 17,000 0.0 5.0

 

従来、医薬品は機能品・ファインセグメントに含まれていたが、本年4月の医薬品事業部新設に伴い、分離した。
2010年3月期は新区分に置き直した。

営業損益対比                                                         億円
  10/3   09/9 10/9 差異 主なもの 差異内訳   11/3
価格差 数量差 固定費差 その他
化成品・樹脂  47   -23 56  79 ラクタムチェーン 66 47 19 -11 24   140
機能品・ファイン 32   11 41 30 機能性材料 27 -23 57 -12 8   184
医薬 37   22 14 -8   -8 5 -4 -1   24
建設資材 61   14 29 15 建材・生石灰 11 2 10 -1 4   65
機械・金属成形 44   17 11 -6 機械 -10 -5 -1 -2 2   22
エネルギー・環境 43   21 12 -8 石炭 -5, 電力 -4 1 4 -1 -12   32
その他 9   3 4 1   1 1 -1 0   8
全社 -1   2 -2 -5   0 0 -1 -4   -15
合計 275   71 167 96   15 94 -33 20   360
化成品・樹脂 カプロラクタム、ナイロン樹脂、工業薬品、合成ゴム等
機能品・ファイン ファインケミカル、機能性材料等
医薬 医薬品原体・中間体
建設資材 セメント、クリンカー、生コンクリート、建設資材製品、
カルシア・マグネシア、機能性無機材料等
機械・金属成形 一般産業用機械、橋梁、アルミホイール等
エネルギー・環境 石炭の輸入、販売、コールセンターの運営、
電力卸供給事業(IPP)を含む電力供給事業

ーーー

クラレ

上期として営業利益、営業利益率が過去最高。

樹脂・化学品ともに年初想定以上の業績で、繊維も回復基調。
  アジア(特に中国)市場の伸び、欧州現地生産事業の競争力向上
  液晶材料調整の影響は限定的、固定費削減効果

年度では営業損益は前年比215億円の増益を予想。増配。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 209,319 23,273 22,251  13,407 12.0  
09/9中間 157,065 9,758 9,409 5,221 8.0  
10/9中間 180,775 25,461 24,995 13,913 13.0  
増減 23,710 15,703 15,586 8,692 5.0  
             
10/3 332,880 30,451 28,925 16,315 8.0 8.0
11/3 365,000 52,000 50,000 28,500 13.0 14.0

営業損益対比                億円
  09/9中 10/9中 差異   11/3予
樹脂 169 252  83   505
化学品 -13 34 47   90
繊維 -16 0 16   -5
トレーディング 7 15 8   30
その他 19 24 5   45
全社 -69 -72 -3   -145
合計 97 254 157   520

新区分

樹脂 ポバール、PVB、エバール等の機能樹脂、フィルム
化学品 メタクリル樹脂、イソプレン関連製品、ジェネスタ、メディカル関連製品
繊維 合成繊維、人工皮革、不織布等
トレーディング  合繊、人工皮革等の加工・販売、グループ製品販売

旧区分

化成品・樹脂 ポバール、EVOH 樹脂「エバール」、メタアクリル樹脂、熱可塑性エラストマー
繊維 ビニロン、ポリエステル、人工皮革「クラリーノ」、不織布事業
機能材料・
メディカル他
オプト事業(プロジェクションテレビ用スクリーン)、
メディカル事業(歯科材料、コンタクトレンズ、医療器材)
機能性材料(耐熱性樹脂「ジェネスタ」、大孔径中空糸膜)
クラレケミカル㈱活性炭事業、その他

ーーー

東レ

環境エンジニアリングを除き、増収増益となった。数量増の影響が大きい。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 800,865 30,295 27,497  10,532 5.0  
09/9中間 617,928 5,493 -2,678 -6,320 2.5  
10/9中間 733,377 42,520 40,464 24,919 2.5  
増減 115,449 37,027 43,142 31,239  
             
10/3 1,359,631 40,107 9,006 -14,158 2.5 2.5
11/3  1,530,000 83,000 76,000 42,000 2.5 2.5

営業損益対比                           億円
  10/3   09/9中 10/9中 差異   11/3
繊維 163   28 136   108   275
プラスチック・ケミカル 116   36 121 85   210
情報・通信機器   250   74 213 139   380
炭素繊維複合材料 -53   -10 12 23   10
環境・エンジニアリング 39   -3 -15 -12   40
ライフサイエンス 27   6 33 28   60
その他 9   1 4 3   15
全社 -149   -76 -78 -3   -160
合計 402   55 425 370   830

差異理由
  数量差  +507
  石化原料由来製品のコストアップ
-187、同値上げ +126、<ネット -61
  石化原料由来製品以外の価格変動(ネット) 
-55
  その他費用 
-20
  
合計 +370

旧セグメントで「ライフサイエンスその他」となっていたのを、「ライフサイエンス」と「その他」に区分。
これまで配賦していた本社研究費等を配賦せず、本社費とした。

繊維 ナイロン・ポリエステル・アクリル等の糸・綿・紡績糸及び織編物、不織布、
人工皮革、アパレル製品
プラスチック・ケミカル ナイロン・ABS・PBT・PPS等の樹脂及び樹脂成形品、ポリオレフィンフォーム、
ポリエステル・ポリプロピレン・PPS等のフィルム及びフィルム加工品、
合成繊維・プラスチック原料、ゼオライト触媒、医・農薬原料等のファインケミカル、動物薬
(但し、下記「情報通信材料・機器事業」に含まれるフィルム・樹脂製品を除く。)
情報通信材料・機器 情報通信関連フィルム・樹脂製品、電子回路・半導体関連材料、
液晶用カラーフィルター及び同関連材料、
プラズマディスプレイパネル用材料、磁気記録材料、印写材料、情報通信関連機器
炭素繊維複合材料 炭素繊維・同複合材料及び同成形品
環境・エンジニアリング 総合エンジニアリング、マンション、産業機械類、環境関連機器、
水処理用機能膜及び同機器、
住宅・建築・土木材料
ライフサイエンス 医薬品、医療製品

ーーー

日本ゼオン

各セグメントとも、前年同期の赤字から黒字に転換。特に合成ゴム、ラテックスの増益が大きい。

単位:億円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 156,585 10,012 10,492  4,785 6.0  
09/9中間 102,704 -1,717 -1,981 -1,400 0.0  
10/9中間 135,018 18,780 17,154 9,114 4.0  
増減 32,314 20,497 19,135 10,514 4.0  
             
10/3 225,878 9,319 9,448 5,020 0.0 6.0
11/3 263,000 28,800 26,800 14,900 4.0 4.0

営業損益対比                     億円
  10/3   09/9 10/9 差異   11/3
エラストマー素材  93   -7 139 146   217
高機能材料 3   -6 45 52   66
その他 -3   -4 3 7   5
全社 0   0 1 0   0
合計 93   -17 188 205   288

損益差異内訳
 数量差 131、売価差 121、為替 
-33
 原料・原価 
-26、本社費等 -12、コストダウン 24

エラストマー素材 合成ゴム、合成ラテックス、
化成品(C5石油樹脂、熱可塑性エラストマー等)
高機能材料 化学品(合成香料、有機合成薬品等)、
情報材料(電子材料、トナー関連製品等)、
高機能樹脂(シクロオレフィンポリマー樹脂、シクロオレフィンポリマー成型品)
その他 RIM配合液、RIM成形品、医療器材、ブタジエン抽出技術等、
塩ビコンパウンド、包装物流資材、住宅資材、その他

 


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TPP参加と農業問題

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政府は11月9日の閣議で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)について、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始するとした、包括的経済連携に関する基本方針を決定した。

菅首相は、「世界の国々が国を開き自由な貿易圏を形成しているなかで、わが国はこの潮流から取り残されつつあるという危機感を抱いている。平成の開国は、国民の生活を必ずプラスにする」と述べた。

基本方針概要は以下の通り。

TPPは情報収集を進めながら対応し、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する。

・アジア太平洋自由貿易圏(EFAAP)実現に向けた閣僚会合を開催する。

・農業、労働力の移動などの分野で国内改革を先行的に推進する。

・持続可能な力強い農業を育てるため、総理大臣を議長とする農業構造改革推進本部を設置し、来年6月をめどに基本方針を決定する。

・関税措置などのあり方を見直し、透明性の高い納税者負担制度への移行を検討する。

・非関税障壁撤廃に向け、行政刷新会議で11年3月までに規制改革の具体的方針を決定する。

・看護士、介護福祉士などの海外の移動に関し、検討グループを設置、11年6月までに基本方針を策定する。

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、他に規定がある場合を除いて、発効と同時に他の締約国の原産品に対する全ての関税を撤廃すると規定している。

これまで、「GDPの1.5%の一次産業を守るため、98.5%のかなりの部分が犠牲となっている」とする外務省、経産省などと、主要農産物19品目の関税を完全撤廃すれば(農業支援策なしのケースで)、農業生産は3.7兆円減少し、雇用は340万人減、カロリーベース自給率は40%から14%に落ち込むとする農水省が対立していた。

  TPPとこれまでの議論については、2010/10/23 チリ共和国のトピックスー太平洋戦争・FTA先進国・TPP

ーーー

韓国は米国との間でFTAを締結したが(未発効)、農業については以下の通りとした。

      牛肉(15年で)・豚肉(最長10年で)関税引き下げ
      コメは対象外
      米国産オレンジの関税を9月~2月は50%を維持、他は30%に

本年締結の韓国・EUFTAでは
  EU産ワインは、直ちに関税撤廃
  EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、
  その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。
  但し、韓国のコメ市場は開放しない。
  トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。

韓国政府は、韓米FTAの締結を受け、農業部門の被害を補償し、農業の競争力を強化するため、2008年から10年間で、20兆4000億ウォンを支援することを決めた。
2013年までに、従来の「農業・農村の中長期投・融資計画」により、12兆1000億ウォンを調達し、2014年から17年までに8兆3000億ウォンを追加で確保する計画。

2007年4月に政府間交渉をまとめた盧武絃前大統領は、農民支援や農業改革策を講じただけでなく、自ら先頭に立って農民らの猛烈な反発を正面突破した。

対米交渉チームとは別に反対派の説得チームを編成し、公聴会などを「合計200回以上」も開催。政府交渉の前後には各農業団体代表者に対し、方針や結果を細かく説明した。
政府は新聞広告などを使って反対意見に対応し、反対論を徐々に収めていった。

ーーー

日本の場合、将来の農業をどうするのかのビジョンがないのが問題である。

1995年にコメ輸入が一部自由化された際、政府は6年で計6兆円超の対策費を計上したが、土木事業などに使われ農業の構造改革にはつながらなかった。

今は財政難に加え、「巨額の対策費をつぎ込んでも、農業が強くなる保証はない」(民主党議員)。

先ず、将来ビジョンを確立することが必要である。

河野太郎氏は11月8日のブログ「ごまめの歯ぎしり」で、「始めよう、農政改革」として、以下の通り述べている。

地元のJAとの農政勉強会。

カロリーベースの食糧自給率などというまったくのデタラメを政策目標に掲げているような農政では、日本の農業は改革できないと力説する。

こんなことをしている農水省なんか潰してしまって経産省の第一次産業局にでも農政を任せる方がよっぽど農業を強くできる。

食糧自給率などというまやかしをやめ、農業生産額、農業所得、農作物の輸出を増やすことを目標に掲げ、流通やマーケティングを強化しながら農業を強くすべきだ。そのためにJAはできることを最大限にやるべきだ。

都市近郊農業の場合、最大の問題は農地だ。この土地で将来もずっと農業をやっていくのか、どこかの時点でその土地を開発するのかという踏ん切りが必要だ。もしその土地で、農業をずっと続けていくならば、固定資産税の減免や相続税の対象から外す、その代わりに売却益は一切得られないという扱いが必要だ。

大地と一体でなければ農地ではないという扱いも根本から変えなければならないし、農業をするために必要な農地以外の土地の扱いもきちんと農地と一体で考えなければならない。

TPPやFTAへの参加は避けられないし、むしろ積極的にルール作りに最初から関わるべきだと訴える。逃げてばかりの農水省の政策を根本から変えて、農業の構造改革を始める必要がある。

都市近郊農業こそ、まず最初に変わっていけるはずだ。

東京大学大学院農学生命科学研究科の川島博之准教授の著書「食料自給率の罠 輸出が日本の農業を強くする」は上の河野氏の主張を理論的に詳細に説明している。

カロリーベース自給率は陰謀
  輸入食料の85%は贅沢品

・食料の海外依存でも、不測の事態は起こり得ない。

   (仮に輸入が止まる場合、石油も、化学肥料のうち全量輸入のカリと燐酸も止まることとなる。)

・穀物は安く、利益を出すには規模拡大しかないが、地方の人口が多い日本では規模拡大はできない。

   日本は1戸当たり面積が米国の1/100。
   米国並みの農業にするには農家100戸を1戸にまとめることが必要だが、
     安い価格で農地を売らない。
     人口減で「村」がつぶれる。(農協も不要、選挙地盤もなくなる)  

   仮に集約できても、生活水準の高さなどから、タイなどには負ける。

   結論:自給率を高めるのは無理

・広い土地を必要としない農業は有望 
  農業における選択と集中(守るべき分野と強くする分野)

・オランダの例
  安い穀物を全量輸入、高価な農産品を輸出し、農業貿易収支で黒字。

 


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Braskem1028日、Greeen PP製造計画が構想段階を終了したと発表した。
2011
年に基礎設計を終え、最終承認を取得後、建設を開始する。
投資額は
1億米ドル程度で、最低能力は年産3万トン、2013年上期の商業生産開始を予定している。

世界でベストの再生可能エネルギーソースである砂糖キビ・エタノールを原料に、通常製法のPPと同じ性能と加工性を持つPPを製造するもの。

Braskem 2008930日、世界で初めて再生可能原料からのグリーンPPの開発に成功したと発表した。
最初は実験室で、次にパイロットプラントで製造に成功、
Beta Analytic Inc.から認証を得た。

同社ではこれをバイオポリマー開発戦略の一部と考え、今後、製品群を広げ、能力を拡大し、環境への貢献を高める。

ーーー

Braskemは2007年6月、サトウキビベースのエタノールからHDPEを生産するのに成功したと発表、同年10月に、HDPE及びLDPEをあわせて年間20万トンのプラント建設を発表した。

2007/11/5 Braskem、サトウキビからHDPEを製造

同社は2008年6月、Rio Grande do Sul 州の Triunfo Petrochemical Complex での建設を発表。
2010年9月、green ethylene 200千トンの操業を開始した。

なお、豊田通商は2008年9月、Braskem が世界で初めて商業生産を開始する植物由来ポリエチレンに関し、日本を含むアジア地区の販売パートナーとしての業務提携を行うことに合意した。

また、Tetra Pakは2009年11月、Braskemのグリーンプラスチック(HDPE)を容器の製造に試用する契約を締結している。

2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用

ーーー

Braskem2009年12月、サトウキビからのPP生産に関し、酵素メーカーのNovozymesと提携した。

Novozymesとの提携で、Novozymesの発酵技術とBraskemの化学、プラスチック技術を結びつけ、大規模生産技術を確立し、グリーンポリマーでの世界のリーダーを目指すとしている。
開発期間は最低5年。

Novozymesも農業廃棄物をバイオ燃料にする酵素を生産しており、また、再生可能原料からアクリル酸を生産する計画でCargill 提携している。

CargillNovozymes は20081、再生可能原料から3-ヒドロキシプロピオン酸(3HPA)を経由してアクリル酸を製造する技術を共同で開発する契約を締結したと発表した。
米エネルギー省から
150万ドルの支援を受ける。

バイオ技術でつくった微生物を使用して砂糖を発酵させて3HPAに変換する。
3HPAはその後、アクリル酸を含む幅広い化学製品に変えられる。

2009/12/21 BraskemNovozymesGreen plastic で提携

Braskemは2008年にバイオポリマー開発でState University of Campinas (Unicamp)及び São Paulo State Research Support Foundation (Fapesp)と提携、本年9月には Laboratório Nacional de Biociências (LNBio)と提携している。

 

エタノールからの効率的なプロピレン製造には触媒の選択が必要で、日本でも産業技術総合研究所と触媒技術研究組合、東京工大、広島大学が共同で研究している。

セルロース系バイオマスエタノールからプロピレンを製造するプロセス開発

ーーー

バイオポリマーに関しては、BraskemのほかDowSolvayの計画がある。

Dowは2007年7月、ブラジルのバイオエタノール大手のCrystalsev と共同で、ブラジルでサトウキビからワールドクラスのLDPE工場を建設する計画を明らかにした。

両社はブラジルで合弁会社を設立して、350千トン能力のLDPE工場を建設、2011年に生産を開始する。
DowのPE技術(DOWLEXT法)とCrystalsev のエタノールのノウハウと経験を統合し、Dowのブラジルの需要家に供給、輸出も考える。

2007/7/27 Dow、ブラジルでサトウキビからLDPE製造

SolvayはブラジルでグリーンPVCを製造する。

子会社Solvay Indupa2007年12月に135百万ドルの投資計画を承認した。
サンパウロに年産12万トンのプラントを建設する計画で、当初の2011年スタート予定は遅れてはいるが、同社では計画の変更はないとしている。

同社は2007年4菜種油からのバイオディーゼル生産時の副生グリセリンを原料とするエピクロルヒドリンの生産をフランスのTavauxで開始した。当初の能力は年10千トンで、需要に応じて簡単に拡張できる。
エピクロルヒドリンのグリーン製法はEpicerol 法と名付けられている。

同社はタイのJVのVinythaiでも10万トンのプラントを建設した。

2007/9/12 Solvay、タイでエピクロルヒドリン生産

 


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光ファイバーケーブルをめぐるカルテルで2010年5月に約68億円の課徴金納付命令を受けた住友電気工業の株主が近く、損害賠償を求めて同社の取締役と元取締役を相手取る株主代表訴訟を大阪地裁に起こす。

2010/5/26  光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金

リーニエンシー制度を使わずに損害が膨らんだ点を問題視しており、リーニエンシー制度を使わなかった取締役の責任が問われる初の代表訴訟となる。

リーニエンシー制度は、独禁法改正で2006年1月に導入された。
談合やカルテルへの関与を公正取引委員会に自主申告した先着3社が対象で、立ち入り検査前の申告であれば、1社目は課徴金がゼロに、2社目は5割、3社目は3割、それぞれ軽くなる。検査後の場合は3割の軽減となる。

今回の光ファイバーカルテルでは、NTTグループへの販売の見積価格を調整したとして、住友電工、古河電気工業、フジクラ、昭和電線ケーブルシステム、住友スリーエムの5社に計161億円の課徴金の納付を命令した。

アドバンスト・ケーブルシステムズ(Corning Cable Systems 50%、日立電線 50%)は自主申告で全額免除となっており、古河電工は、課徴金が3割減となったことを明らかにしている。
(あと1社、減免の会社があることとなる)

8月26日に株主は同社の監査役に対し、責任追及等の訴え提起請求書を送付した。

同社は、課徴金納付命令を応諾し、67億6272万円を納付したので、同社には同額の損害が発生した。

以下の理由で、本件カルテルが認定された2005年2月9日から立入調査を受けた2009年6月までの間、一時期でも取締役の地位にあったことがある者全員に対し、連帯して全額を請求する訴えを提起するべきだ。

① 本件カルテルに関与又は黙認した過失
   本件カルテルに関与し、又は知り得たにもかかわらず看過黙認して本件カルテルを放置。

② カルテル防止に関する内部統制システム構築義務違反
   真に有効なコンプライアンスシステムを構築しなかった過失。

③ 課徴金減免制度(リーニエンシー)に関する内部統制システム構築義務違反
   他事業者の申告に先駆けて違反事実を申告して課徴金を免れるための、
   有効なリーニエンシーに関するコンプライアンスシステムを構築しなかった過失。

④ 実際にリーニエンシーを利用しなかった過失
   他事業者はリーニエンシーにより課徴金を免れている。
   この減免申請を怠り、減免の機会を失した過失。

役員らに対して責任追及の訴えを提起するに際して同社を代表する監査役に対し、会社法847条1項に基づき、本件取締役らを被告として、上記課徴金相当額の損害賠償を求めて責任追及等の訴えを提起するよう、請求する。

上記責任追及等の訴えを提起しないときは、会社法847条3項に基づき、株主代表訴訟を起こす。

この請求に対し、同社の監査役は調査の結果、10月25日に、不提訴理由通知書を送付した。

提訴しないこととした理由は以下の通り。

(1)本件行為に関与又は黙認した過失
公正取引委員会から指摘された覚悟値及び見積価格の決定等の行為に関しては通信営業部長と担当グループ長というごくわずかの担当者で、電話等によつて短期間で行われ、会合の場合も、自己負担で行われており、取締役等には完全に秘匿されていた。結果的に、本件については担当取締役や執行役員、他の取締役には、全く知らされていなかった。

社内では、カルテルの防止について周知・徹底されており、本件行為がなされていることを疑わなかつたとしても、過失責任は問えない。

(2)カルテル防止に関する内部統制システム構築義務違反
社内の内部統制システムの構築は真摯に、かつ、熱心に行われており、独占禁止法遵守に関しても、社内全体を対象として、各種の研修が継続的に行われている。

(3)課徴金減免制度に関する内部統制システム構築義務違反
独占禁止法に関する研修の中で必ず課徴金減免制度に十分な時間を割き、その動向も含めて説明しており、社員等が違反行為を申告するための社内外の窓口も整備され、社内報等を通じて周知されている。
立ち入り後、法務部門が直ちにリニエンシーの準備作業に着手した。

(4)リニエンシーを利用しなかった過失
取締役は、立ち入り検査前にこれを知ることはできず、リニエンシーを利用できなかった。
立ち入り検査時点で、リニエンシーの準備に着手していたが、事実確認等の準備中に3番目に申告を行った会社があることを知り、リニエンシーによる免除を受けることができなかった。
結果的に短時間のうちに席が埋まったため、リニエンシーの利益が受けられなかったもので、過失は認められない。

監査役が提訴しないため、株主代表訴訟を行うこととなった。

原告を支援する弁護団は「内部統制の仕組みが形式的な水準にとどまり、有効な法令順守体制を築いてこなかった」とし、電線業界をめぐり繰り返し価格カルテルが指摘されている点も問題視し、「カルテルの発生を十分に予想できたにもかかわらず、これを怠った責任は大きい」と指摘しているという。

本件を扱うのは、「株主の権利弁護団」。

株主の権利の実現・株主の被害の救済・株主権利の啓蒙・教育などを目的とする。
具体的には
 ・株主の権利の実現の為の立法・政策・運用の提言を行う
 ・株主の被害の相談・アドバイス・必要な場合は株主の依頼により会社・所管庁・証券取引所などへの要請・申告、裁判・告訴・告発などを行う
 ・株主の権利などについての講演会、セミナーなどを行う

日立造船橋梁談合、大林組土木建築工事談合、住友金属橋梁談合・使途秘匿金・ステンレス鋼板カルテル、神戸製鋼所橋梁談合などで株主代表訴訟を扱っている。

 2010/4/10 株主代表訴訟での和解、相次ぐ


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BP112日、第3四半期(7-9月)の決算を発表した。

前期末在庫の影響を除いた税引後損益(当期のコストによる損益)は以下の通り。(単位:百万ドル)

  1Q 2Q 3Q
Replacement Cost 損益  5,598  -16,973  1,847  -9,528
(2009年) 2,387 3,140 4,981 10,508
増減 3,211 -20,113 -3,134 -20,036
         
Gulf of Mexico 税前損失   -32,192  -7,656  -39,848
          税引後   -22,189 -5,099 -27,288
差引 通常の損益
(Replacement Cost 損益)
5,598 5,216 6,946 17,760
         
損失のうち引当分(3Q末)       16,405

3四半期の損益は1,847百万ドルの黒字となったが、原油流出事故の損失7,656百万ドルを含んでいる。

事故の損失は第2四半期に32,192百万ドルを計上したが、油田の完全封鎖の遅れ、浄化や機器撤去の追加費用、対応センターの運営費や弁護士費用などが増加した。
累計の
39,848百万ドルは現時点での最も良い見積もりとしているが、罰金や賠償費用が更に膨らむ可能性がある。

2010/8/2  BP、油井完全封鎖へ (米国油濁法、Clean Water Act

2010/10/20 BP、メキシコ湾原油流出事故で油濁法の損害賠償限度額の権利放棄を言明

なお、事故費用を除いた通常の損益は1-9月で17,760百万ドルとなり、前年の10,508百万ドルを大きく上回っている。

同社はまた、2011年末までに250300億ドルの資産を売却すると発表しているが、既に140億ドル程度の売却の契約を締結している。

2010/10/25 BP、メキシコ湾の4油田の権益を丸紅に売却

同社では販売損益の改善と資産処分が順調なことで「勇気づけられ」ており、2011年早々に通年の損益状況を勘案して将来の配当復活を検討するとしている。

ーーー

三井物産は子会社の三井石油開発(の子会社MOEX)がBPから請求されている費用が1,898百万ドルであることを明らかにした。

これまで明らかになっていたのは次の通り。

  Anadarko 25% MOEX 10%
5月分 272百万ドル 111百万ドル
6月分 919百万ドル 368百万ドル
合計  1,191百万ドル  479百万ドル
     
現状 4,745百万ドル 1,898百万ドル

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三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソーの総合化学5社と、高収益の信越化学の中間決算を対比した。

2010年9月中間と2010年3月予想で、営業損益と経常損益では三菱ケミカルが信越化学を上回るが、当期損益では信越化学が上回っている。

中間決算では、
①信越化学に上期に
移転価格課税に対する日米相互協議の合意により、10,663百万円の過年度法人税等戻し入れがあり、それだけ税引後損益が増大した。

②三菱ケミカルは中間決算の連結税引後損益が659億円あるが、このうち220億円が少数株主利益で、ネットは440億円。
 これに対し、信越化学は少数株主利益が9億円しかなく、ほぼ全てが信越株主の純利益となる。

年間損益でも①は本年だけだが、②は今後も影響する。


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各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。

「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。
必ずしも製品区分別ではないため、従来よりも企業間の比較が難しくなる。

ーーー

住友化学

基礎化学、石油化学、情報電子化学が回復、前期の赤字から黒字となった。

同社は本年4月に豪州農薬メーカー Nufarm20%出資したが、同社の時価が大きく下落したため、のれん相当額を一時償却し、特別損失287億円を計上した。この結果、当期損益は25億円にとどまった。
(これは仮計上で、2011年3月末に時価が戻れば、取り消される。)

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間  1,009,207 31,009 22,973  6,288 6.0  
09/9中間 735,205 11,172 7,788 -3,485  
10/9中間 989,245 53,043 52,107 2,515 3.0  
増減 254,040 41,871 44,319 6,000 3.0  
             
10/3 1,620,915 51,455 34,957 14,723 6.0
11/3 1,950,000 72,000 62,000 10,000 3.0 6.0

営業損益対比         億円
  10/3   09/9中 10/9中 差異   11/3予
基礎化学  13   -18 101  119   195
石油化学 -2   -36 58 94   106
精密化学 36   8 20 12   15
情報電子化学 63   -41 171 212   260
農業化学 293   144 139 -5   225
医薬品 299   161 137 -24   135
その他 67   14 18 4   25
全社 -254   -121 -114 7   -240
合計 515   111 530 419   720

今回、セグメント区分そのものはほとんど変わらないが、全社費用(主に全社共通研究費)を配賦せず、別記した。

医薬品については 2010/11/4 注目企業の9月中間決算ー2 医薬メーカー 参照

ーーー

三菱ケミカルホールディングス

当期より三菱レイヨンを連結子会社とした。

これと、機能商品・素材分野の需要の回復で大増益となった。
年間の営業損益は2030億円の予想。

本年8月3日発表の三菱レイヨンの業績予想は以下の通り。
 上期 売上高 2400億円、営業損益 120億円、経常損益 100億円、当期損益 25億円
 年間 売上高 4700億円、営業損益 183億円、経常損益 153億円、当期損益 37億円

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間  1,587,734 56,211 65,516  23,544 8.0  
09/9中間 1,145,807 2,071 -4,551 -2,567 4.0  
10/9中間 1,564,658 111,393 106,388 43,976 5.0  
増減 418,851 109,322 110,939 46,543 1.0  
             
10/3 2,515,079 66,342 58,990 12,833 4.0 4.0
11/3 3,190,000 203,000 196,000 75,000 5.0 5.0

営業損益対比         億円
  10/3   09/9中 10/9中 差異   11/3
ケミカルズ    69   -26 219  244   440
ポリマーズ -224   -264 243 507   450
エレクトロニクス・アプリケーションズ -14   -25 32 58   40
デザインド・マテリアルズ 125   29 208 179   380
ヘルスケア 710   319 446 127   770
その他 62   26 6 -20   30
全社 -65   -38 -41 -2   -80
合計 663   21 1,114 1,093   2,030

セグメント区分名は同じだが、以下の変更がある。

  従来のセグメント 新セグメント
無機化学品 エレクトロニクス・マテリアルズ デザイント・゙マテリアルズ
化学繊維(三菱レイヨン)  - デザイント・゙マテリアルズ
肥料(三菱化学アグリ) 化学品  -(JV化)

三菱レイヨンを除く、ケミカルズ、ポリマーズの国内連結子会社の減価償却方法を定額法に変更した。
この結果、営業損益は75億円増加している。

ヘルスケアについては 2010/11/4 注目企業の9月中間決算ー2 医薬メーカー 参照

ーーー

三井化学

自動車関連をはじめとする需要の回復に伴う販売数量の増加及び石化・基礎化学品分野における交易条件の改善などにより、増益となった。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間  905,615 9,989 13,343  7,640 6.0  
09/9中間 549,869 -19,010 -22,131 -31,363  
10/9中間 672,823 17,357 14,604 17,126 3.0  
増減 122,954 36,367 36,735 48,489 3.0  
             
10/3 1,207,735 -9,461 -13,132 -28,010 3.0
11/3 1,340,000 35,000 29,000 24,000 3.0 3.0

営業損益対比                                       億円
  10/3   09/9 10/9 差異 内訳   11/3
数量差 交易条件 固定費他
石化 -34   -68 62    129 26 75 28   110
基礎化学品  -48   -50 65 115 26 76 13   120
ウレタン -21   -34 -43 -9 8 -5 -12   -60
機能樹脂 -44   -52 45 96 61 -3 38   75
加工品 8   -2 12 14 22 -5 -3   20
機能化学品 74   24 45 21 10 1 10   120
その他 11   10 1 -9     -9    
全社 -41   -20 -13 6     6   -35
合計 -95   -190 174 364 153 139 72   350

従来の区分

機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、
生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料
先端化学品 精密化学品、農業化学品
基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
ポリエチレン、ポリプロピレン
その他 その他関連事業等

今回からの区分

石化 エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
基礎化学品 フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド
ウレタン ポリウレタン材料、コート材料、接着材料、成形材料
機能樹脂 エラストマー、コンパウンド製品、特殊ポリオレフィン、エンジニアリングプラスチック
加工品 衛生材料、半導体材料、エネルギー材料、包装用フィルム
機能化学品 眼鏡レンズ用材料、ヘルスケア材料、化成品、特殊ガス、触媒、農業化学品
その他 その他関連事業等

ーーー

旭化成

ケミカル事業が製品市況の上昇及び海外需要の拡大に伴い業績を大幅に伸ばしたことや、住宅事業やエレクトロニクス事業も好調に推移したことなどから、大増益となった。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 843,185 40,139 40,665 23,415 7.0  
09/9中間 658,648 17,964 15,077  4,242 5.0  
10/9中間 764,794 63,521 59,586 28,464 5.0  
増減 106,146 45,557 44,509 24,222  
             
10/3 1,433,595 57,622 56,367 25,286 5.0 5.0
11/3 1,608,000 115,000 110,500 58,500 5.0 5.0

営業損益対比                                    億円
  10/3実   09/9中 10/9中 差異 内訳
数量差 売価差 コスト差他
ケミカルズ 261   115 373   258 50 345 -137
ホームズ 253   41 101 60 26 20 13
ファーマ 40   34 42 8 17 -27 18
せんい -28   -29 23 52 25 2 25
エレクトロニクス 72   28 107 79 127 -99 51
建材 12   6 11 5 -1 -4 10
Service & Eng 18   10 8 -2 -1 0 -1
全社 -53   -26 -30 -4 - - -4
合計 576   179 635 456 243 237 -25

 


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主要各社の営業損益は以下の通り。

武田薬品工業とアステラス製薬で、米国の特許切れの影響が大きく出ている。

中外製薬(6月決算)はインフルエンザ流行の早期沈静化によるタミフルの販売減で、大日本住友製薬は米国医薬会社買収に伴う経理処理の影響で減益となっている。

ーーー

武田薬品工業

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間  755,453 242,527 254,905 189,634 90.0  
10/9中間 714,025 221,619 225,473 144,211 90.0  
増減 -41,428 -20,908 -29,432 -45,423  
             
10/3 1,465,965 420,212 415,829 297,744 90.0 90.0
11/3 1,400,000 350,000 360,000 230,000 90.0 90.0

売上高 前年同期比 414億円の減
  うち、
米国で特許切れの消化性潰瘍治療剤が557億円の大幅減収

営業損益は前年同期比 209億円の減益となった。
  減収と売上原価構成の変化による損  
-516億円
  研究開発費減 114億円

  販売費・一般管理費減 193億円(益)、円高による影響など

ーーー

アステラス製薬

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間 494,644 129,319 128,327 83,488 60.0  
10/9中間 461,729 67,920 65,499 43,887 60.0  
増減 -32,915 -61,399 -62,828 -39,601 -  
             
10/3 974,877 186,407 190,986 122,257 60.0 65.0
11/3 942,000 124,000 122,000 82,000 60.0 65.0

同社は2010年6月、OSI Pharmaceuticalsの全株式をTOBにより取得した。取得原価 3,543百万ドル。

売上高は329億円の減。

免疫抑制剤プログラフ  後発医薬品発売で214億円の減
排尿障害改善剤ハルナール  
同上でロイヤリティ収入が253億円の減
OSI買収により 109億円の増

営業損益は614億円の減。

減収と品目構成の変化で売上総利益は277億円の減
研究開発費 260億円増
  ヒトモノクローナル抗体開発技術契約延長一時金 183億円
  OSIの研究開発費 40億円
販売費一般管理費 76億円増  
  OSI買収に伴う無形固定資産等の償却費負担 70億円を含む。

ーーー

エーザイ

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間   394,982 49,119 45,197 30,922 70.0  
10/9中間 412,283 67,191 62,167 39,949 70.0  
増減 17,301 18,072 16,970 9,027  
             
10/3 803,152 86,406 79,690 40,338 70.0 80.0
11/3 795,000 116,000 107,000 70,000 70.0  

売上増による売上総利益の増加に加え、販売費・一般管理費の効率化により、営業利益、経常利益および四半期純利益は増益となった。

ーーー

第一三共

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間 470,568 50,850 52,259 18,691 30.0  
10/9中間 498,886 90,107 92,647 52,154 30.0  
増減 28,318 39,257 40,388 33,463  
             
10/3 952,105 95,509 103,114 41,852 30.0 30.0
11/3 980,000 100,000 100,000 55,000 30.0 30.0

高血圧症治療剤オルメサルタンの伸長やランバクシー・ラボラトリーズの増収(49%増の985億円)の寄与などにより増収となった。
営業損益は、増収と販管費の減少などで増益となった。

ーーー

田辺三菱製薬  

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間 198,239 27,456 27,910 13,552 14.0  
10/9中間 204,684 40,155 40,473 22,704 14.0  
増減 6,445 12,699 12,563 9,152    
             
10/3 404,747 61,475 61,649 30,253 14.0 14.0
11/3 401,000 67,000 67,000 35,500 14.0 14.0

売上高は64億円の増収だが、薬価改定などで若干の減益。
研究開発費減(前期に一時払い100億円あり)、退職給付費用や販売促進費の減で販売管理費が130億円減少した。

ーーー

中外製薬(6月中間決算)

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/6中間 191,691 37,175 43,454 26,306 17.00  
10/6中間 182,379 27,562 26,158 16,376 17.00  
増減 -9,312 -9,613 -17,296 -9,930  
             
09/12 428,947 82,612 90,395 56,634 17.00 23.00
10/12 418,500 70,000 70,500 44,000 17.00 17.00

売上高は、タミフルが134億円の減、マイルストーン収入の40億円減があり、全体で93億円の減収。
営業損益は、タミフルとマイルストーン収入の減を除くと増益。

ーーー

大正製薬

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間 129,755 18,199 18,855 10,364 12.0  
10/9中間 133,046 24,635 26,833 16,219 12.0  
増減 3,291 6,436 7,978 5,855  
             
10/3 258,441 34,686 36,671 19,485 12.0 15.0
11/3 265,500 39,000 43,000 26,000 12.0 15.0

売上高:セルフメディケーション +38億円 (「パブロン」、「リポビタンD」、「リアップ」など) 
     医薬事業 
-5億円

営業損益:販売増 +14億円、研究開発費減 +44億円、販売管理費減 +6億円

ーーー

塩野義製薬

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間 132,639 17,838 16,397 11,591 18.0  
10/9中間 143,366 19,228 17,696 6,862 20.0  
増減 10,727 1,390 1,299 -4,729 2.0  
             
10/3 278,502 52,438 50,522 38,625 18.0 18.0
11/3 283,000 54,000 51,500 30,000 20.0 20.0

単体の営業損益は268億円の益で、前年同期比 1億円増。米国事業が赤字となった。

当期損益は、米国事業に係る特別損失64.7億円があり、赤字となった。
(なお、米国事業については、決算期変更で9ヶ月分が算入されている。)

ーーー

大日本住友製薬

単位:百万円 (配当:円)
  売上高  営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
09/9中間 132,210 18,919 19,053 12,654 9.0  
10/9中間 188,574 14,941 14,381 8,650 9.0  
増減 56,364 -3,978 -4,672 -4,004  
             
10/3 296,261 35,624 33,837 20,958 9.0 9.0
11/3 365,000 18,000 15,500 9,000 9.0 9.0

   

同社は2009年10月に米Sepracor Inc.を買収した。(本年10月にSunovion Pharmaceuticals と改称)

Sepracor の通常ベースの上期の業績は、売上高 630億円、営業損益 160億円、純損益 102億円であるが、
特許権やのれんの償却等、取得原価配分の影響が税引前で
-192億円(税引後 -128億円)あり、
減益となった。

  詳細は 2010/5/12 注目企業の決算-3 (住友化学の欄 参照)

 


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菅政権発足後初となる政府税制調査会(会長=野田佳彦財務相)が10月6日、首相官邸で開かれ、2011年度税制改正の論議がスタートした。

菅直人首相は「法人課税の見直しを議論し、結論を得てほしい」と述べ、法人税減税の具体化を指示した。
法人税の実効税率(現行約40%)について、政府は5%引き下げを検討する。

米国はカリフォルニア州の場合、ドイツは全ドイツ平均、スイスは州により異なり、現在12.7~24.5%となっている。

財務省は法人税率を5%引き下げると国税で1兆7000億円、地方税で3000億円、合計2兆円程度の減収になるとし、経産省に対し財源や効果を明示するように求めた。

政府は6月に閣議決定した財政運営戦略で、新たな減税措置は税収減を穴埋めする代替財源の確保を条件とするルールを設定している。

経済産業省は10月28日、2011年度税制改正で要望している法人税率の5%引き下げを実現した場合の効果についての試算をまとめた。経済産業省は金融危機後に急減した法人税収をもとに5%下げに必要な財源を1兆円とはじいている。

GDPの押し上げ効果を合計14.4兆円と試算。海外移転抑制や国内投資促進の効果などを合わせ、3年後のGDP成長率を2.6ポイント押し上げると主張。

財源については租税特別措置、減価償却費制度、繰越欠損金制度の見直しなどで「5000億~6000億円程度を想定」。法人税減税による増収効果「4800億~6400億円」と合わせ、1兆円程度は確保できるとした。

さらに「法人税率引き下げは中長期的に経済成長につながり、数年後の最大の税収確保策になる」と強調。3年後に1兆1500億円の国税の増収効果が見込めるとの試算を示した。 

これに対し、政府税制調査会が検討している代替財源案のたたき台が判明した。

内容は以下の通りで、全体で2.6兆~4.5兆円の財源確保につながるとしている。

財務省は法人税率引き下げの影響を2兆円とみており、また減税による増収効果も疑問視している。
今回の試算は法人税率引き下げ影響を上回るもので、「考えられる財源を列挙」したものとしている。

ナフサの免税措置の縮小・見直し or
  石油化学製品の原料ナフサの免税措置の縮小
①暫定税率分課税 1兆6800億円~1兆7200億円
②燃料部分への課税    4300億円~4400億円
減価償却制度の抜本見直し 6000億円~8000億円
繰越欠損金の利用制限
  繰越欠損金の課税所得との相殺を、課税所得の「半分まで」に制限
  大手6銀行グループの2009年度の法人税の納付額がゼロ
4000億円~5000億円
研究開発税制の大幅縮減
  「総額型」の全廃
2700億円~5100億円
準備金の廃止・縮減 3300億円
貸倒引当金などの廃止・縮減 2000億円~2500億円
受取配当の益金不算入の見直し 1500億円~1700億円
特別償却などの廃止・縮減 1200億円~1400億円
不動産の買い換え特例の廃止・縮減 700億円~900億円
一般寄付金の損金不算入の廃止・縮減 200億円~300億円
合計 ナフサ②のケースの最小 2兆5900億円
ナフサ①のケースの最大 4兆5400億円

ーーー

ナフサ等の揮発油は下記の課税がされるが、石油化学用のナフサについては租税特別措置法で免税となっている。

  石油石炭税 揮発油税
税率 原油・石油製品 2,040 円/KL
[本則の税率]
   24,300 円/KL (国税)
  +4,400 円/KL (地方税)
     
[暫定税率]
  24,300 円/KL (国税)
  + 800 円/KL (地方税)
     
53,800 円/KL  
     
免税の
定め方
租税特別措置法で2年毎に延長 租税特別措置法で期限を定めず
に免税
免税
相当額
  約1,000億円   約3兆円

2008年に当時の野党の民主党(参議院で多数)の反対で租税特別措置法の改正が通らない可能性が出て、大問題となった。
(揮発油税免税は期限を定めていないが、石油石炭税は2年ごとの延長のため、改正がないと課税となってしまう)

租税特別措置法改正案のうち、道路関連の暫定税率を除いた優遇措置を5月末まで延ばす「つなぎ法案」が3月31日に成立、6月19日の衆議院本会議で再可決し、延長された。

2008/1/22 ガソリン税問題と石油化学業界への影響

2009年秋に、政府税制調査会で租税特別措置の見直し等の一環として、ナフサ等石油化学原料の免税に手を加えようとする動きが出た。

これに対し、石化協は11月19日、緊急決議を行った。

1. 工業原料の非課税原則は世界の常識
    世界を見渡しても原料用ナフサ等に課税している国はない。
   
2. 世界に類のない石化原料課税は産業存立基盤を破壊
  石油化学工業は下流部門を含めると出荷額30兆円、雇用者73万人、中小企業2万社を擁する重要産業。
中東産油国の石化増強などで厳しい競争にさらされているこの産業の存立基盤をさらに脅かす。
   
3. ナフサ等の課税は国民生活にも大きな影響
  各種容器、食品包装、断熱材などから電気製品や自動車の部品に至るまで材料として広汎に使用され、課税に伴う価格上昇は国民生活に大きな影響を与えるおそれがある。
   
4. 民主党の政策一貫性を期待
  昨年租税特別措置法が期限切れを迎えた時、野党であった民主党は租特法の延長には反対しつつも国民生活に多大な影響のある7項目(ナフサ等の石油石炭税免税を含む)の免税措置を延長する法案を参議院に提出した。
民主党の主張の一貫性を期待。

2010年度税制改正の焦点となっていたナフサに対する租税特別措置については、課税化を見送り、免税措置を継続することとなった。

2009/12/3 「ナフサ免税」継続 
 

今回の政府税調内で有力視されている案は、石油化学製品の製造工程などで燃料として使われる「オフガス」への課税。
オフガスは税制法上は“原料”との通達が出ている。)

経産省によれば、オフガスはナフサの10%程度を占め、課税すれば3000億円規模の負担増となる。
(政府税調試算は上記の通り、4300~4400億円)
原油価格のアップなどと異なり、これは日本だけのコストアップとなるため、国内・国外とも価格転嫁は不可能である。

エチレンセンター各社の損益状況は以下の通りで、課税されれば、中東や中国の石化大増設により存続が危ぶまれる日本の石油化学産業の「存立が不可能になる」(経産省)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大畠章宏経産相は10月26日の会見で、「国際的にも課税していない。断固として反対」と、ナフサ免税の見直しに異議を唱えた。
国際的にナフサ原料へ課税している例はなく、課税すれば、国産品は価格面で輸入品に太刀打ちできなくなるとして、経産省は免税の恒久化を要望する。

日本経団連の米倉会長は10月25日の定例会見で、「世界各国でもナフサを原料として使う場合は無税として認められている」と述べ、「日本だけが課税すれば、法人税を下げて投資・雇用を増やす流れは完全に断ち切られ、日本国内の数十万人の化学産業労働者が不要になる」と強い懸念を示した。

石化協の高橋会長(昭和電工社長)は、「原料非課税は国際的に一般化している。オフガスも石化原料であり課税している国は皆無だ。課税には絶対に反対である」、「石化産業は、加工産業の裾野が広く中小企業も多い。原料課税による国際競争力喪失はわが国の経済や雇用問題に大きな影響を与える」と述べた。

11月2日の政府税調による意見聴取で、経団連の渡辺副会長は、「安易な課税ベースの拡大は経済に悪影響を及ぼし、雇用の確保につながらない」とし、ナフサについては、「わずかでも課税すれば、日本で石油化学産業は立地を断念せざるを得ず、70万人の雇用が一気に失われることが必至だ」と訴えた。

付記

石化協は11月19日、「原料ナフサの課税絶対反対 総決起大会宣言」を発表した。

1.工業原料の非課税原則は世界の常識
2.世界の類のない石化原料課税は産業存立基盤を破壊
3.ナフサ等の課税は国民生活にも大きな影響
4.副生ガスの課税は論外

1~3は上記の昨年11月の緊急決議と同じだが、今回はオフガスが対象となる可能性があるため、4が加わった。

4.副生ガスの課税は論外
副生ガスは製造プロセス上やむを得ず生ずるものであり、資源節約のために有効利用されている。現行税法上も石化工業で使うナフサは副生ガスを含めて免税とされており、世界でも課税の例はない。

 


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9月中間決算の発表が始まった。

各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。

「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。
必ずしも製品区分別ではないため、従来よりも企業間の比較が難しくなる。

ーーー

信越化学

前年同期比で増益となったが、年度予想でも以前の利益水準を大きく下回る。
塩ビ、シリコン半導体の損益が依然低迷している。

単位:百万円(配当:円)
売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
08/9中間 695,413 150,101 156,519 100,953 50.0
09/9中間 417,229 52,939 55,818 35,528 50.0
10/9中間 532,562 76,143 81,203 62,342 50.0
増減 115,333 23,204 25,385 26,814
10/3 916,837 117,215 127,019 83,852 50.0 50.0
11/3 1,040,000 148,000 160,000 110,000 50.0 50.0

営業損益対比              億円
09/9中 10/9中 差異 10/3
塩ビ・化成品 100 93 -7 196
シリコーン 99 175 76 249
機能性化学品 71 60 -11 139
半導体シリコン 100 210 109 226
電子・機能材料 133 180 47 307
その他 32 42 9 68
調整 -6 2 7 -13
合計 529 761 232 1,172
塩ビ・化成品 従来の(塩ビ系)から信越ポリマーを除外、
(その他有機・無機)のソーダ、メタノール、クロロメタン
機能性化学品 (その他有機・無機)から上記3品目と信越ポリマーを除外
電子・機能材料 (電子材料)から半導体シリコンを除外(→独立)
(機能材料その他)から技術・プラント輸出、その他を除外
その他 信越ポリマーの樹脂加工製品と、技術・プラント輸出等

半導体シリコンについては値上げを行い、利益は倍増した。
しかし、以前の水準からは大きく下回る。

塩ビについてはシンテックと欧州は高稼働が続いている。

しかし、シンテックの損益をみると、大幅に減益となった2009年中間決算と余り変わらない。
理由(推定)については 2010/5/3 
注目企業の決算-1(信越化学)

ーーー

JSR

前年同期に比較すると、需要は大きく回復し、業績は改善した。
同社では、未だ回復の途上であると認識し、さらなる業績の向上を目指し総力を結集し取り組むとしている。

単位:百万円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/9中間 208,037 26,166 27,822 16,204 16.0
09/9中間 142,943 3,290 3,107 -448 13.0
10/9中間 170,315 20,079 21,479 13,315 16.0
増減 27,372 16,789 18,372 13,763 3.0
10/3 310,183 20,230 22,377 13,644 13.00 13.00
11/3 340,000 38,000 40,500 26,000 16.00 16.00

営業損益対比         億円
09/9中 10/9中 差異
エラストマー -47 64 111
合成樹脂 -6 15 21
多角化事業 86 122 36
合計 33 201 168

従来、区分掲記していたエマルジョンは、エラストマーに含める。
ブタジエンモノマー等の化成品は、多角化事業からエラストマー事業に変更

ーーー

東ソー

前年同期比で増益となったが、クロルアルカリ(塩ビ+ウレタン材料)は依然、大きな赤字となっており、年度予想でも以前の水準から下回る。

単位:百万円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
08/9中間 425,775 12,009 13,574 5,318 4.0
09/9中間 297,737 2,491 -60 -2,238 3.0
10/9中間 322,135 10,056 7,119 2,437 3.0
増減 24,398 7,565 7,179 4,675
10/3 628,706 13,047 10,080 6,890 3.0 3.0
11/3 680,000 29,000 26,000 11,000 3.0 3.0

営業損益対比         億円
09/9中 10/9中 差異
石油化学 26 28 2
クロルアルカリ -64 -56 8
機能商品 58 106 48
エンジニアリング -6 10 16
その他 11 12 1
合計 25 101 76

クロルアルカリは従来は塩ビ系が中心であったが、今回からはウレタン原料が加わった。


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生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は、最終日の日付を超えた10月30日未明に、遺伝資源の利用と利益配分を定める「名古屋議定書」を採択した。

議定書をめぐっては、先進国と途上国が激しく対立して協議がまとまらず、29日朝に議長の松本龍環境相が自ら議定書案を各国に提示、ぎりぎりで各国がこれに同意する過去に例のない事例となった。

   COP10については 2010/10/21 COP-MOP5、「名古屋補足議定書」を採択 

生物多様性条約の15条(遺伝資源の取得の機会)では以下の通り規定している。

5. 遺伝資源の取得の機会が与えられるためには、当該遺伝資源の提供国である締約国が別段の決定を行う場合を除くほか、事前の情報に基づく当該締約国の同意を必要とする

7. 締約国は、遺伝資源の研究及び開発の成果並びに商業的利用その他の利用から生ずる利益を当該遺伝資源の提供国である締約国と公正かつ衡平に配分するため、------ 適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。その配分は、相互に合意する条件で行う。

しかし、先進国と途上国の利害が対立し、この利益配分(Access and Benefit-Sharing : ABS) の具体的なルールが決まらないままとなっていた。

このため、遺伝資源の持ち出しを禁止する国も出てきており(インドネシアは鳥インフルエンザのウイルスの国外への持ち出しを禁止)、今回、どうしてもルールを設定することが必要であった。

過去の争いの例

1) ペルーの植物マカ

マカは、特定の地域では性的不全のための民間療法として何世紀にもわたって用いられてきた。
バイアグラの大流行で
Natural Viagraとして販売され、栽培面積が急激に拡大した。

2001年に米国特許庁がPureWorld Botanicals社にマカ抽出物 MacaPure に特許を認めた。

これに対し、ペルー農民がBiopiracyとして反対運動を起こしている。

その後、ペルーでは伝統的に受け継がれてきた動植物を国外に持ち出して医薬品などを開発する場合、ペルー政府と地元民に一定の割合で、利益を配分するように求める法律ができた。

2) アフリカ南部の植物フーディア(Hoodia)

アフリカ南部に住むブッシュマン(サン族)が長期の狩りに出ても空腹にならないようにガガイモ科の多肉植物のフーディア・ゴルドニー(Hoodia gordonii)を伝統的に食べてきた。
フーディアをしゃぶるだけで何も食べずに何日間もエネルギッシュに平気で狩猟を続け、体調は良好である。

南アフリカの国立研究機関の科学・工業研究評議会(CSIR)が、1997年にフーディアの中の食欲抑制効果を持つ生物活性化合物の分離に成功し、特許を取得、英国の製薬会社Phytopharmに特許使用権を与え、PhytopharmPfizerと(後に)Unileverに再実施権を与えた。(その後、両社ともギブアップ)

南アの弁護士が、「謝礼なしに伝統的な知識を横取りすることは許されざるバイオ・パイラシーである」と主張、ブッシュマンに謝礼を支払うようCSIRPhytopharmに圧力をかけた。
現在、カラハリ砂漠で合法的にフーディアを収穫する全ての企業はブッシュマンに使用料(伐採料)を支払っている。

米国ではフーディアのサプリメントが氾濫しており、ほとんどはニセモノといわれている。

3) 資生堂

資生堂は、 インドネシアの生薬で51件の特許(インドネシアのハーブを使った化粧品原料など)を取得したが、現地のNGOがABSに抵触すると主張した。
実際は違法な使用ではなかったが、資生堂は「企業イメージが傷付くことを恐れ」、2002年に全特許を取り下げた。

4) 鳥インフルエンザウイルス

世界で最も鳥インフルエンザ感染者の多いのはインドネシアだが、インドネシア政府は、ワクチン製造に必要な、人に感染した鳥インフルエンザウイルスの国外への持ち出しを禁止している。
(2007年からWHOへのウイルス提供を拒否)

先進国の企業はワクチンで利益を上げ、先進国の国民はワクチンによって鳥インフルエンザから守られるが、ワクチンの値段が高く、インドネシアの国民が接種できる可能性は少なく、インドネシアには恩恵がないというのが理由。

ーーー

今回の「名古屋議定書」の要旨は次の通り。

 ・遺伝資源の利用で生じた利益を衡平に配分する。

 ・遺伝資源と並び、遺伝資源に関連した先住民の伝統的知識(薬草の使用法など)も利益配分の対象とする。

 ・利益には金銭的利益と非金銭的利益を含み、配分は互いに合意した条件に沿って行う。

 ・遺伝資源の入手には、資源の提供国から事前の同意を得ることが必要。

 ・利益配分の対象
    「遺伝資源の利用に対し利益配分する」という表現で、遺伝資源を加工した「派生物」という語は削除。
    玉虫色の表現で、実際には派生物を含む余地を残した。契約時に個別に判断することとなる。

 ・多国間の利益配分の仕組みの創設を検討する。
  (利益配分の対象を議定書発効以前や植民地時代に
遡及しないことの代替措置)

 ・人の健康上の緊急事態に備えた病原体の入手に際しては、早急なアクセスと利益配分の実施に配慮する。

 ・各国は必要な法的な措置を取り、企業や研究機関が入手した遺伝資源を不正利用していないか、各国がチェックする。

 ・50カ国・地域の批准から90日後に発効する。

 

問題となった主な点は以下の通り。

・違法持ち出しの監視

途上国は、先進国側での特許申請時に原産国を開示することを義務付け、合法かどうか確認することを要求。
先進国は、特許申請時の開示は企業活動に影響するとして義務化に反対。

・適用時期

アフリカなど植民地化された国々は、数百年前から途上国の資源を用い、先進国で作られた商品に対する利益の配分を要求していた。

・派生物

タミフルを例にとると、タミフル中国の広西チワン族自治区、貴州省、雲南省、四川省で生育するトウシキミの実(八角)から抽出したポリフェノールのシキミ酸を化学的に変化させて生産する。

東大の柴崎正勝教授は八角を使わず、1,4-シクロヘキサジエンから不斉触媒を用いて合成に成功した。
   
2006/02/26  話題 植物使わずタミフル合成に成功 東大グループ

後、成分を変化させて他の医薬品が作られる可能性もある。

八角は遺伝資源だが、これから作るタミフル、別原料でつくるタミフル、成分を変化させてつくる他の医薬品などは「派生物」といわれ、途上国はこれらすべてを利益配分の対象にせよと主張。
「派生物が入らなければ意味がない」とした。

先進国は派生物まで対象となっては企業活動が妨げられると断固反対。

名古屋議定書では玉虫色の表現となった。

・病原体の扱い(上記の鳥インフルエンザウイルスの例)

途上国は確実に利益配分される仕組みを要求。

インドネシアは、「議定書が採択され利益配分についての契約が整えば、ウイルス(H5N1)の提供を開始する」としている。 

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COP10では他に、生物の多様性を守るため、2020年までの10年間に各国が取り組む国際目標「愛知ターゲット」が全会一致で採択された。20項目の目標(義務付けではない)がある。

主な項目は以下の通り。

・自然生息地の損失速度を少なくとも半減、可能なところではゼロに近づける
   2002年採択の現行目標は「2010年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させる」であったが、
   具体性や実効性に欠けていたため、目標達成は失敗に終わった。

・少なくとも陸域の17%と海域の10%を保全
   先進国は「陸地は20%か25%」などと高い目標を掲げ、
   途上国が資金不足などを理由に「15%」を主張して対立していた。
   現在の海域保護区は1%にとどまる。

・水産資源を持続可能な手法で管理し、乱獲しない。
・農業や林業地域を、持続可能な方法で管理
・侵略的外来種を特定し、侵入を防止、根絶
・サンゴ礁への気候変動や海洋酸性化の影響を最小化
・絶滅危惧種の絶滅を防ぎ、保全状況を改善
・農作物や家畜の遺伝子の多様性を維持
・劣化した生態系の15%以上を回復
・気候変動対策に貢献
・先住民と地域社会の伝統的知識を尊重し、保護

保護対策に必要な資金の目標については、発展途上国が強く求めた具体的な金額は盛り込まれず、遅くとも2020年までに今の水準より大幅に増額することで合意した。


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  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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