2011年4月アーカイブ

国家発展改革委員会(NDRC)412日、石炭化学産業を更に規制する通達(2011635)を発表した。

石炭化学にはいくつかの問題があり、規制が必要として、
4つの点を挙げている。

1. 新規参入の規制 
  特にコークスとカーバイドへの新規参入が制限され、旧式設備の廃棄が求められる。
  アンモニアとメタノールについては、特定地域では、新規の大規模設備の計画には、小規模プラントの停止が必要。

2. 石炭原料の一定規模以下のプロジェクトの禁止 
  Coal to Olefins  オレフィン年産50万トン以下のもの
  Coal to Methanol  メタノール年産100万トン以下のもの
  Coal to DME  DME年産100万トン以下のもの
  Coal to Liquids  液化燃料年産100万トン以下のもの
  Coal to SNG  SNG(代替天然ガス)年産20m3以下のもの
  Coal to MEG  MEG年産20万トン以下のもの

 上記能力以上の計画も(地方政府でなく)NDRCによる承認を得る必要がある。

3.資源割り当ての強化、省エネと環境アセスメントの強化

4.行政責任の明確化

ーーー

中国では石油価格の高騰を受け、石炭液化計画や、石炭からのメタノール、オレフィン生産などの計画が相次いでいるが、NDRCは早くも20067月に石炭化学産業を規制する通達を発表している。

年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとした。

更に20098月には新産業分野を含め過剰能力について懸念を表し、過剰能力や不必要なプロジェクトなどの問題について行政指導を進めることを決めた。

政府の4兆元の景気刺激策で新エネルギーや環境産業が重点投資分野に指定され、全国各地で投資が増えたためで、特に、石炭化学と、鉄鋼、セメント、板ガラス、ポリシリコン、風力発電分野で指導を強化するとした。

NDRCによると、2009年の規制で石炭化学の過度な拡大を抑えているが、地方政府によってはこれを無視し、勝手に事業を進めており、過度な無節操な拡大は石炭の需給を混乱させ、エネルギー消費抑制を困難にするとしている。

業界筋によると、石炭化学の技術の多くは未完成で、中国のほとんどの大規模計画は商業生産に入れていない。
公害問題と技術ハードルが問題で、いくつかのプラントは完成後もスタートアップが出来ないでいるという。

現在のところ、Coal-to-Methanolだけが相対的に成熟した技術で、オレフィンやMEGは操業が安定せず、品質問題も起こっている。
神華包頭石炭化学の年産60万トンのMethanol-to-Olefinsプラントは未だに商業生産に入れていないという。
  2010/7/23 
神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート

加えて、現在の中国の石炭化学は環境面のリスクを抱えており、中国の温室効果ガス削減目標を達成困難にしかねない。

NDRCの今回の通達は、これらを勘案したもので、最低能力を決めるとともに、地方政府の認可権を剥奪し、NDRCの認可を必要とするよう変更した。従来は一定規模以下のものは地方政府に認可権があった。

今回の通達は、石炭資源の効率的な使用と、メタノール過剰能力の抑制を狙っている。
中国のメタノールは、工場が能力の半分程度で稼働しているにもかかわらず、供給過剰となっている。今や石炭からのメタノール生産は赤字となっている。


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住友化学は426日、米国の農薬子会社Valent U.S.A. 100%子会社のValent BioSciences が微生物農薬原体の製造工場をアイオワ州Osage市に建設することを決定したと発表した。
投資額は約
150百万ドルで、2014年中の商業運転開始を予定している。

Valent BioSciences は、住友化学が米国大手医薬品会社のAbbott Laboratoriesの微生物農薬関連事業を買収し、2000年に設立した。

事業の歴史は
50年に及んでいる。1962年に植物成長調整剤ProGibbを上市、1972年には農業用微生物殺虫剤DiPel を上市した。
現在、微生物殺虫剤、微生物線虫剤、植物成長調整剤を含む微生物農薬・防疫薬の分野における世界のリーディングカンパニーとして、現在、世界90ヶ国以上で事業を展開している。

住友化学は2001年にフランスのAventis Crop Scienceの生活環境事業部門Aventis Envronmental Scienceから家庭用殺虫剤関連事業を買収したが、米国とカナダの事業はValent BioSciences が継承した。

Valent BioSciences20033月には、Certis USAからPublic health分野用のBt剤(天敵微生物を利用した生物農薬)Teknar(R)事業を買収し、同時に、BtThuricide(R)の森林分野における独占販売権のライセンスを受けている。

Certis USAは旧称 Thermo Trilogyで、Bt剤分野で世界第二位のメーカー。
Bt剤の他、ニーム油、土壌線虫、フェロモンやウィルスを使用した天然農薬の製造・販売を行っている。
2001年に三井物産が大手計測機器メーカーのThermo Electronから買収した。
 参考 
2010/8/28 三井物産、アイルランドの農薬製造・販売会社を買収 

Valent BioSciences はこれまで、Abbott Laboratoriesから独占的に原体の供給を受けてきたが、契約期間終了を見据え(Abbottは工場閉鎖を決めた)、原体製造工場を建設することとした。

新工場は、既存の微生物農薬事業の拡大のみならず、現在開発中の砂漠化や温暖化等に対応するための環境ストレス耐性付与剤など、新規分野の製品の生産にも寄与することを期待している。

ーーー

住友化学は、世界で唯一、化学農薬と生物農薬の両方の本格的事業ユニットを持つ農薬メーカー。

米国拠点のValent U.S.A. 1988年に、住友化学とChevron Chemical50/50JVとして設立された。
Chevronは当時、農薬に力を入れており、強力な販売網を有し、開発普及力には定評があった。住友化学は同社に殺虫剤、殺菌剤、植物成長調整剤の3剤の開発権を供与していた。

その後、Chevron Chemicalリストラクチャリングの一環として農薬事業からの撤退を表明、住友化学に対して買い取りの打診を行った。交渉の結果、1991年にValent U.S.A. は住友化学の100%子会社となった

住友化学はその以前の1975年に、殺虫剤スミチオンの製造のため、Stauffer Chemical との間でJVMount Pleasant Chemicalを設立しているが、1983年に解散した。

これは、日本では毒性の高いパラチオンが早くに禁止されスミチオンに置き換わったのに対し、米国では1990年代初めまで使用が認められたため、コストの高いスミチオンが売れなかったのが主な理由である。

住友化学は、スミチオンの場合、米国での開発(販売分野の選択~登録取得)と販売はStaufferに委ねた。
同社が世界に先駆けて発明した農業用ピレスロイドのスミサイジンも米国での開発・販売は
Shellに委ねていた。
同社は、本格的に米国で販売するには自ら開発・販売を行う必要があると考え、実績のある
Chevron とのJVValentを設立した。

なお、Staufferは1985年にVaselineなどの消費財のメーカーのChesebrough-Pondに買収されたが、Chesebrough-Pond1986年にUnileverに買収された。
UnileverStaufferには関心なく、1987年にICI
に売却した。

ICIの農薬事業はその後分離してZenecaとなり、スウェーデンのAstraと合併してAstraZenecaに、更にNovartisの農薬部門と統合してSyngenta
となっている。
ICIStauffer買収後、StaufferSpecialty Chemicals部門をAkzoに売却したが、ICI本体は石油化学等の事業を次々に売却した後、2007年に
Akzoに買収され、消滅した。


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3月のナフサ輸入価格は51,929円/klとなった。
この結果、第1四半期の輸入価格平均は50,384円/klとなり、国産ナフサ基準価格は52,400円/klとなった。

2008年第3四半期は85,800円で過去最高を記録したが(第4四半期に52,000円に下がった)、今回はこれ以降の最高となった。

ナフサの国際価格は高騰を続けており、第2四半期は60,000円/kl程度になるとの見方が強い。

ナフサ輸入価格の推移は以下の通り(単位:円/kl)
国産ナフサ基準価格は、輸入価格の四半期平均に2,000円を加算(10円単位を四捨五入)

  輸入価格 平均価格 基準価格
'10/1  45,468  45,702  47,700
2 46,360
3 45,249
4 47,517 47,655 49,700
5 49,142
6 46,421
7 42,352 40,705 42,700
8 39,972
9 39,715
10 40,712 43,100 45,100
11 42,222
12 46,634
'11/1 49,202 50,384 52,400
2 50,257
3 51,929

ナフサのスポット価格の状況は下記の通りで、昨年下期から上昇を続け、4月27日は1085ドル/トンとなった。


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旭化成は4月27日、サウジにおけるアクリロニトリル(AN)の共同事業化の詳細検討を行うため、SABIC及び三菱商事と、合弁会社の設立を決定したと発表した。

旭化成は2007年4月の経営説明会で、2012年頃に中東でアクリロニトリルを生産する方針を明らかにした。

世界No.1を目指すAN

v 世界No.2 →No.1を目指す
  -生産能力:年産80万トン、シェア14%
v 世界初のプロパン法を開発
  -韓国で実証運転開始(07年1月)
v タイ国PTT社とAN、MMA、アクリル樹脂の共同事業化を基本合意(06年5月)
  -ANはプロパン法20万トンのプラント建設(09年末稼動)
v 中東での事業化検討開始

2007/4/10 旭化成、中東でのアクリロニトリル事業化を検討

その後、コスト競争力の高い生産拠点としてサウジアラビアにおけるANの事業化に関し調査、交渉を進めてきたが、今般、SABIC及び三菱商事と合弁会社を設立し、ANの共同事業化実現に向けた具体的な準備を進めることに合意した。
今後、製造設備の基本設計に着手するとともに、詳細な事業計画の作成を進め、設備投資の最終的な意思決定は2012年を目指す。

合弁会社概要は以下の通り。

(1) 会社名 (仮称) Saudi Japanese Acrylonitrile Company
通称:Shrouq(シュルーク=アラビア語で"朝日"の意味)
(2) 本社 サウジアラビア王国アルジュベール市
(3) 株主 SABIC 50%、旭化成ケミカルズ・三菱商事 50%
(4) 設立資本金 40百万サウジリヤル(約10億円)
(5) 計画生産能力 プロピレン法AN 20万トン/年、青化ソーダ 4万トン/年
※AN製造工程から副生する青酸を原料に、青化ソーダ製造プラントを併設

これが完成すれば、旭化成グループ全体のAN生産能力は約140万トン/年規模となり、Ineos Nitrilesを抜いて世界No.1となる予定。

  千トン 製法 備考
水島 300 既存法  
川崎 150 既存法  
東西石油化学
 
韓国・蔚山
(60) 既存法 ③完成で停止
 70 プロパン法 2007/1 改造してプロパン法実証プラントに
230 既存法 2003/3 200千トン完成、その後増強
245 プロパン法 2011/1 発表 2013/1 商業運転開始予定
(545)    
PTT Asahi Chemical
 タイ・マプタプット
200 プロパン法 2011/央 稼働予定
 (旭化成 48.5%、PTT 48.5%、丸紅 3.0%)
サウジ計画 200 プロピレン法 SABIC 50% + 三菱商事
合計 1,395    

 

ーーー

ウジでは2006年11月に、Saudi International Petrochemical Company Sipchem)が第三期計画としてオレフィンと誘導品計画を発表したが、その中に、エチレン(1,000千トン)、HDPE、LDPE、PPなどとともに、ANM200千トン)、m-MMA250千トン)、Carbon fiberなどが含まれていた。

その後、Sipchemはエチレン計画を断念した。

2009年にSABICSipchem は、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。
SABIC
の計画(投資額 32億ドル)には下記の計画が含まれた。

 MMA  250千トン
 PMMA  30千トン
 アクリロニトリル  200千トン
 ポリアクリロニトリル   50千トン
 ポリアセタール   50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ   40千トン

2009/5/11  サウジのSABICSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書

三菱レイヨンは2009年8月、SABICとの業務提携を発表した。
50%ずつの出資でJVを設立し、ルーサイトの新エチレン法によるMMAモノマー(25万トン)、三菱レイヨン技術によるPMMA(
3万トン)を建設し、2013年の稼動開始を目指す。

2009/8/7 三菱レイヨン、サウジでMMA 

今回の計画はSABICと旭化成の計画を両社のJVで実施するもの。

ーーー

INEOS Nitriles INEOS2005年にInnovene(旧 BP)から事業を買収した。
その後、BASFの工場を買収し、現在の能力は1,284千トンとなっている。

     千トン  
Germany Köln   320 元はErdole Chemie
2001年に Innovene が他の50%を買収し100%とした。
UK Seal Sands   230 2008年INEOS NitrilesBASFの工場を買収
USA Lima, Ohio   190 1960年スタート
Green Lake, Texas   544 1981年スタート、2008年秋に増設
合計  1,284  

 * 1957年にSohio 法を開発したSohioStandard Oil of Ohio)はBPの前身である。


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インドネシアのBOPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)メーカーのPT Titan Kimia Nusantara40億ドルを投じてエチレンプラントを建設する計画を明らかにした。

社長によると、韓国の湖南石油化学がファイナンスを行う。建設費の70%は湖南石油化学が出し、残りは韓国輸出入銀行が融資する。

本年末までにFSを完了し、建設に3-4年かける。
エチレンプラントは
MerakにあるBOPPプラントの近くに建設する予定。

PT Titan Kimia Nusantaraは旧称 PT Fatrapolindo Nusa Industriで、2001年にマレーシアのTitanが買収した。

PT Titan Kimiaは子会社にPT. TITAN Petrokimia Nusantaraを持つ。
これは旧称
PENIで、BP75%、三井物産と住友商事が各12.5%を持っていた。
Titan2006年にPENIを買収し、改称した。
現在の
HDPE/LLDPEの能力は年産45万トンとなっている。

2010年、湖南石油化学がマレーシアのTitanを買収、この結果、湖南石油化学がPT Titan Kimia NusantaraPT. TITAN Petrokimiaのオーナーになっている。

  インドネシア マレーシア
BOPPメーカー) HDPE/LLDPEメーカー) (エチレンコンプレックス)
1987 PT Indofatra Plastik Industri 設立    
1988 PT Fatrapolindo Nusa Industri と改称    
1989     台湾のT.T. ChaoTitan Chemicals を設立
1991   P.T. PENI設立  
2001 マレーシアのTitan が買収、
PT Titan Kimia Nusantara Tbkに改称
   
2003   Indika GroupP.T. PENIを買収  
2006   Titan ChemicalsP.T. PENIを買収、
PT. TITAN Petrokimia Nusantara と改称
PT Titan Kimia の子会社に)
 
2010 右により、湖南石油化学が
     
PT Titan KimiaPT. TITAN Petrokimiaのオーナーに
湖南石油化学、Titan Chemicalsを買収

 

韓国ロッテグループの重光昭夫(辛東彬)会長は本年2月に、30~50億ドルを投じ、インドネシアに石油化学工場を建設すると表明した。

2011/3/2 韓国ロッテ、インドネシアの石油化学に進出

 


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Dowは4月21日、エチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

米国北東部のMarcellusや南テキサスのEagle Ford などのシェールガスから価格面で競争力のあるエタンとプロパンを確保する目処がついたとしている。
シェールガス掘削により米国の天然ガス供給は増加しており、価格は石油と比較して低下している。

MarcellusやEagle Ford のシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

付記

天然ガス価格の優位性についてコメントをいただいた。

Georgia Gulf は2011年2月の株主説明会資料で、米国の塩ビ事業の特長の一つに天然ガスの優位性を挙げている。
 ・シェールガスによる天然ガス市場の拡大
 ・北米の天然ガスの競争力
 ・少なくともこれは2014年までは続く

    ---

具体的な計画は以下の通りで、同社のエチレン新設は1995年以来。
エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとしている。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

ダウは既に Eagle Fordのシェールガスをもとにするエタンとプロパンの購入契約を締結しており、追加の契約を交渉している。
更に、Marcellusシェールガスを開発しているRange Resources Corporationとの間で、ペンシルバニア州南西部のシェールガスからのエタンをダウの既存のルイジアナ州のコンプレックスに供給する長期契約を締結する旨の覚書を結んだ。

このほか、テキサスでのJVによる天然ガス分留設備建設なども検討している。

「北米最大のプロピレンのユーザーとして、プロパンからのプロピレン製造に投資したい。また、北米最大のエチレンメーカーとして、既存設備でシェールガスからのエタンの使用を更に増加させ、原料の多様性を確保したい」としている。


Range Resources Corporation は独立系の天然ガス会社で、2004年からMarcellus Shaleを開発し、同Shaleの南西部で支配的地位を占めている。同社は現在、アパラチア地区で最大の液体天然ガスの生産者。

付記

NOVA Chemicals5月2日、Range Resourcesとの間でMarcellus Shale Basinのエタンの長期購入契約を締結したと発表した。OntarioSarniaにパイプラインで輸送する。 

同社は9月6日、Corunnaのクラッカーの原料を100% NGLに転換するため、3つの重要契約を締結したと発表した。
 ・
Range Resourcesとの間でMarcellus Shale Basin のエタン購入長期契約
 ・
Caiman Energy, LLCとの間でMarcellus Shale Basin のエタン購入長期契約
 ・
Sunoco Pipeline L.P.との間でMarcellus Shale BasinからSarniaまでのエタン輸送サービス契約

ーーー

Dow20063月に、基礎部門の強化をJV化を通して行う方針を明らかにした。

当時のDowの事業のうち、基礎部門の比率が高いが(プラスチックが売上の24%、ケミカルズが11%で合計35%)、原料高騰、値下がりにより収益性が低下していた。

このため、
Dow JV化による"Asset light" strategy を進めた。基礎部門での海外での新規事業を他社とのJVで実施するだけでなく、既存事業を分離して他社とのJVにしようとするものである。

高付加価値で多角化した化学品・先進材料会社という「明日のダウ」に変貌させ、機能製品と先進材料で世界の主導的地位を占める米国最大のスペシャルティケミカル会社にするとし、Rohm & Haasを買収した。

GEHuntsmanが、原料高騰の影響を受けやすい汎用製品事業を売却するのに対し、DowJV化により、関係を残しながら、負担減を図ろうとした。また、JV相手の力の利用も考えた。

Kuwait Petroleum Corporation 50/50JVMEGlobalを設立してダウの設備を出したのをはじめに、最近では、昨年にスタイロン事業を売却、三井物産と折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁を設立している。

Dow200712月に、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間で、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売するグローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。

しかし、2008年末にこれは一転して破談となった。(事業のうち、PCはスタイロン事業の一部として売却)

これに対し、Dowは「変身戦略」を推し進めるとし、対応策を発表している。
   2009/1/7 
ダウ、「変身戦略」を続行

ここにきて、Dowの戦略が見直しされつつある。

201011月にLiveris CEOは記者会見で、溶液重合やメタロセン触媒などで製品の差別化が図れる余地の大きい直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)に関して、現状維持で運営するケースも示唆した。

今回の計画で基礎原料のエチレン、プロピレンを強化し、それによって、Performance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

2010年決算ではPlasticsの利益の伸びが大きい。

同社は20091月には、グローバル石化JVの実現に向け、PICに代わる新しいパートナーを探すとしていたが、この方針は変更される可能性がある。


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BP420日、掘削業者のうちの2社、Transocean Cameron International に対し、原油流出事故のコストと損害賠償を負担するよう、訴訟を行った。

Transocean Deepwater Horizon oil platformの所有者で、Haliburton がセメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)を行い、Cameron International は故障した噴出防止装置( blow-out preventer)のメーカーである。

BPによれば、 Transoceanは井戸の掘削に当り、基準を満たさない機器を使用した。White Houseの原油流出委員会の調査では、Transoceanは原油が地表に噴出しているという致命的なサインを見逃し、井戸を閉鎖する適切な手を打てなかったとしており、BPはこれを理由にしている。

Coast Guardの報告では、Transoceanの電気設備、ガスアラーム、自動シャットダウンシステムのメンテナンスの不備、不十分な訓練が事故の原因で、Transoceanには有効な安全のマネージメントとカルチャーがないとしている。

これに対し、TransoceanCoast Guardの報告に反発した。
Coast Guard は事故の7か月前にDeepwater Horizon をチェックし、米国と国際的な安全基準に完全に合格していると証明したと述べ、記録を確認してほしいとしている。

BPに対しては、契約ではBPはコントラクターの不注意やミスによって起こった如何なる損害、費用、損害賠償要求、ペナルティ、公害訴訟などに対して責任を持つとの条項があるとして、BPを逆に訴えた。
更に、
BPが致命的な欠陥のある井戸設計、不十分な管理、重要な作業計画での重なる変更などにより、災厄の土台を作ったとしている。

ーーー

Cameron に対しては、BPは噴出防止装置のメンテナンスと改良の不備を指摘している。本来、これは井戸からの原油流出を防止するフェイルセーフ機構であるはずだとしている。

これに対し、Cameronは、作業員がこれを作動させる以前に原油とガスが装置を通ったという理由で、BPを逆訴訟した。

BPはまた、Halliburtonに対しても、不適切かつ不注意に作業を行い、これが爆発の原因になったとして、民事訴訟を行った。

これに対し、Halliburtonは、爆発は他の関係者により起こったもので、同社の行動によるものではないとして、BPTransoceanと他のコントラクターを訴えた。

既報の通り、Anadarkoと三井石油開発はNew Orleansの連邦判事に対して、BPがパートナーシップ契約に違反しているとして、原油流出事故による損害や復旧費用の負担の責任がないことを確認するよう求めた。

泥仕合の様相を示してきたが、法律専門家は、それぞれの企業イメージの悪化を避けるため、最終的には裁判所外での解決を図るだろうとみている。

 


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BRICsからBRICSへ

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Brazilのルセフ大統領、Russiaのメドベージェフ大統領、Indiaのシン首相、Chinaの胡錦濤国家主席の新興4カ国(BRICs)にSouth Africaのズマ大統領を新たに加えた新興5カ国(BRICS)の首脳会議が414日に中国海南省の三亜市で開かれ、「三亜宣言」を採択し閉幕した。

BRICSは、世界の人口の42%、陸地面積の30%2010GDP18%2010年貿易額の15%を占める。

三亜宣言は、福島原発事故を念頭に、「原発の安全基準を厳格に順守しなければならない」としつつ、「原子力エネルギーは各国の未来の中で重要な位置を占めている。平和目的の原子力エネルギー協力を進めるべきだ」と表明した。

リビア問題について「平和的手段と対話によって解決すべき」としてNATOへの反対姿勢を鮮明にし、南アのズマ大統領が支持するアフリカ連合(AU)停戦案に各国首脳が賛同した。
欧米が影響力をもつアフリカ経済を、
BRICSをテコに中国に引き寄せる考え。

宣言はまた、安定的で信頼性の高い国際通貨システムの構築を求めるとともに、国際金融体制に世界経済の変化を反映させ、新興国や発展途上国の発言権と代表権を強める必要性を強調した。

次回の首脳会議は2012年にインドで開催する予定。

ーーー

新興4か国の総称の“BRICs”は投資銀行Goldman SachsのエコノミストのJim O'Neillが書いた20011130日の投資家向けレポートBuilding Better Global Economic BRICsで初めて用いられ、世界中に広まった。

BRIC四か国の第一回の首脳会議は2009年にロシアで開催された。

主に通貨問題が話し合われ、新興市場と発展途上国の国際金融機関における発言権と代表性を高めることを求めた。
国際貿易と投資環境の改善に努力するようアピールし、貿易保護主義に反対の姿勢を示した。
エネルギー問題では生産国、消費国の協調と協力を進め、エネルギー資源供給の多元化を進めること、国連改革についてはグローバルな挑戦に効率的に対応できるよう行うべきだとの考えを明記した。

第二回首脳会議は20104月にブラジルの首都ブラジリアで開催された。

経済発展と通商、IMF・世銀改革、農業協力、貧困との闘い、エネルギー、気候変動、テロ対策、文化・スポーツ交流について共通認識と相互協力を確認し、33項目の声明を発表した。
新たな世界金融危機の防止のため、新興国の発言権を強めること、世界金融のシステムを多様化する改革の必要性を確認した

本年の第三回会議に先立ち、昨年12月、南アフリカをグループに正式加入させることで合意した。

中国外務省の報道官は記者会見で、「BRICsの議長当番国として、ロシア、インド、ブラジルと協議し、南アを正式メンバーとして機構に加入させることで合意した」と中国主導をアピールした。

「南アの加入は
BRICSの発展に有利に働き、新興市場国家の協力を促進すると信じている」と述べ、新興5カ国の協力関係を「調和」「安定」と強調した。
経済分野での“中国脅威論”が膨らむことを牽制している。

南アの経済規模はロシアの4分の1にすぎない。GDPは世界で28位である。
他の新興国を差し置いて新たに
南アを加えた中国の思惑は、エネルギー資源獲得を狙ったアフリカとの関係再構築にあるとされる。北アフリカ・中東政変が、これまでの中国のアフリカ戦略を狂わせた。

各国の2010年のGDP(単位:10億ドル)
   . 
G7、これにロシアを加えてG8となった。
 . 
BRICS ○はG20          
1 アメリカ  14,658
2 中国 5,878
3 日本 5,459
  EU  
4 ドイツ 3,316
5 フランス 2,583
6 イギリス 2,247
7 ブラジル 2,090
8 イタリア 2,055
9 カナダ 1,574
10 インド 1,538
11 ロシア 1,465
12 スペイン   1,410
13 オーストラリア 1,236
14 メキシコ 1,039
15 韓国 1,007
16 オランダ   783
17 トルコ 742
18 インドネシア 707
19 スイス   524
20 ポーランド   469
21 ベルギー   466
22 スウェーデン   456
23 サウジアラビア 444
24 台湾   431
25 ノルウェー   414
26 オーストリア   377
27 アルゼンチン 370
28 南アフリカ 357

中国を除く4カ国の共通項は新興国であるということと、いずれも中国との経済関係を深めているという点しかなく、「中国が主役で4カ国が脇役の政治ドラマ」で、実際は対中警戒感を隠さぬロシアやインドとの“同床異夢”でもあるとされる。


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浜岡原発について

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浜岡原発については 2011/4/19 「浜岡原発を止めよ」で問題点を述べた。

石橋・神戸大学名誉教授は岩波書店の雑誌「科学」1997年10月号で、こう述べている。

発生が懸念されるM8級東海巨大地震の想定震源断層面の真上、静岡県御前崎のやや西に、中部電力浜岡原子力発電所がある。

原発を直撃する地震動は、原子炉のS2(安全のための余裕を加えた基準地震動)を超える恐れが強い。

地震時に浜岡は1m以上隆起すると考えられるが、それに伴って地盤が傾動・変形・破壊すれば原発には致命的だろう。

津波に関して中部電力は、最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる。

これに対し、同原発を運営する中部電力は、ホームページで以下の説明をしている。

  浜岡原子力発電所の基礎岩盤=相良(さがら)層

浜岡原子力発電所の安全上重要な施設は相良層という岩盤に直接支持されています。
相良層は、新第三紀中新世後期から鮮新世前期(今から概ね数百万年から1千万年前)に堆積した泥岩・砂岩の互層で、軟岩に分類されますが、原子炉建屋の基 礎岩盤として地震時にも十分な強度を有していることを確認しています。

  地盤の隆起に対する安全性

海域で発生するプレート境界地震では、地殻変動は広い範囲に及ぶため、傾斜は非常になだらかなものとなるとされています。
浜岡原子力発電所の敷地周辺においては、東海地震に伴い、
1m程度隆起することが想定されますが、敷地に生じる傾斜は非常になだらかで、また、敷地内には地震に伴って動くような断層は存在しません。
したがって、地震に伴う地殻変動に対しても、原子炉施設に影響を及ぼすような傾斜や地盤の変位・変形が生じることはありません。

  耐震設計の基本的な考え方

浜岡原子力発電所の敷地周辺は、過去に安政東海地震(M8.4)などのプレート境界型の巨大地震による揺れを経験しており、下図のaおよびbの領域に M8.4の地震を想定して設計をおこなっています。更に余裕を持たせ、これと同じaおよびbの領域に、これを上回るM8.5の地震を考慮して設計をおこなっているため、安政東海地震よりも規模の小さいM8.0の想定東海地震(図のaの領域)に対して十分安全性は確保されています。

注)上記では限界的な地震をM8.5としている。
   東日本大震災について気象庁はマグニチュード(M)を「8.8」から「9.0」に修正した。

1960年5月22日 チリ地震- M 9.5
2004年12月26日 スマトラ島沖地震 - インドネシア、アチェ(スマトラ島) - M 9.3
1964年3月28日 アラスカ地震 - M 9.2
1957年3月9日 アリューシャン諸島で地震 - M 9.1
1952年11月4日 カムチャッカ地震 - M 9.0

  東北電力は、女川原発1~3号機原子炉建屋で地震の揺れが耐震設計の基準値を上回ったと発表。

  津波に対する安全性

痕跡高などの文献調査や数値シミュレーションの結果、敷地付近の津波の高さは、満潮を考慮しても、最大でT.P.+6m程度です。
これに対して、敷地の高さは津波の高さ以上のT.P.+6~8mであり、津波に対する安全性を確保しています。
さらに、敷地前面には、高さがT.P.+10~15m、幅が約60~80mの砂丘が存在してます。また、安全上重要な施設を収容している原子炉建屋などの出入口の扉は防水構造にしています。
これらのことから、浜岡原子力発電所は、津波に対する安全性を十分に確保しています。

ーーー

中部電力は今回の原発の被災状況を踏まえた浜岡原子力発電所の緊急安全対策について、経済産業大臣からの指示に基づきとりまとめ、4月20日、原子力安全・保安院へ報告書を提出した。

この中には砂丘と原子炉建屋の間に15メートルの防波壁を設置することが含まれている。(当初案は12メートル)
4月5日に地盤調査を開始、完成は2013年度中となっている。

同社は知事に対し、遠州灘は遠浅のため、東海、東南海、南海地震が同時に起きた場合でも津波は8メートル以内で収まるとの想定を示しつつ、福島第1原発を襲った津波は15メートル程度だったと説明し、理解を求めた。

注 東京電力はこれまでホームページに、以下の通り、原子力発電所の「津波への対策」を載せていた。
(4月13日に削除した。)

津波への対策

原子力発電所では、敷地周辺で過去に発生した津波の記録を十分調査するとともに、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています。また、発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています。

海江田経済産業相は3月29日の参院予算委で、福島第一原発の設置許可時に想定していた津波が 3.122メートルだったが、実際の津波は14メートル程度だったと説明した。

女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果がある。
敷地標高が14.8メートルの女川原発も2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水した。

付記
東京電力は2006年の米国での原子力工学の国際会議で、福島第一原発に、設計の想定を超える津波が来る確率を「50年以内に約10%」と予測し、発表していた。
今後50年以内にこの想定を超える確率が約10%あり、10メートルを超える確率も約1%弱としていた。

ーーー

浜岡原発については、2002年4月に市民団体が運転差し止めの仮停止申請を申し立て、翌03年7月、訴訟に踏み切った。2007年10月静岡地裁は、「中電の想定する東海地震は科学的根拠に基づいており、運転によって原告らの生命、身体が侵害される具体的危険性は認められない」と原告の請求を棄却した。

斑目春樹原子力安全委員長は、浜岡原発訴訟の中部電力側の証人として証言、複数の非常用発電機が起動しない可能性を問われ、以下の通り答えた。

「非常用ディーゼルが二台同時に壊れて、いろいろな問題が起こるためには、そのほかにもあれも起こる、これも起こる、あれも起こる、これも起こると、仮定の上に何個も重ねて初めて大事故に至るわけです。[・・・]何でもかんでも、これも可能性ちょっとある、これはちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対造れません。だからどっかでは割り切るんです。」

事故後の3月22日の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂党首がこの発言を追及したのに対し、班目氏は「割り切らなければ(原発の)設計ができないことは事実。割り切り方が正しくなかったことも、十分反省している」と述べた。

現在、東京高裁で係争中。


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2010年4月20日夜、ルイジアナ州ベニス南東約84キロで掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig で爆発事故が発生、大量の原油が流出した。

2010/5/4  米の原油流出、環境や漁業に影響

同年9月19日、BPは井戸の封鎖が完了したことを確認した。

2010/9/20 メキシコ湾原油流出事故ーBottom Kill 作業完了

事故を起こした鉱区Mississippi Canyon 252の権益保有者は以下の通り。

BP Exploration and Production Inc. 65.0% (Operator
Anadarko Petroleum 25.0%
 三井石油開発子会社 Moex Offshore LLC 10.0%

事故から1年が経ったが、現地での環境回復作業や補償手続きは続いている。

ーーー

三井石油開発の子会社のMoex Offshore LLCAnadarko Petroleum 2011419日、BPを訴えた。

両社はNew Orleansの連邦判事に対して、BPがパートナーシップ契約に違反しているとして、原油流出事故による損害や復旧費用の負担の責任がないことを確認するよう求めた。

Moex Offshoreは訴状の中で次のように述べている。

死亡や人的被害への責任、クリーンアップ費用、経済的損害、投資損失、逸失利益、流出に伴い将来課せられるかも分からない罰金など、同社に求められる予見可能の損害の原因はBPの行動によるものである。

両社は爆発や原油流出にはなんらの責任もないとし、リグの所有者のTransoceanに対しても重大な過失があるとして非難している。

これに対して、BP側は両社が持分相当の負担をすることを求めている。

2010年度Annual Report で以下の通り述べている。

Operating AgreementではMoexAnadarkoは全てのコストと債務を持分に応じて負担することとなっている。
重大な過失か故意に基づく違法行為の場合はその社が単独で責任を持つが、
BPは、Operating Agreementや法律に照らして、重大な過失も故意に基づく違法行為も犯していないと信じる。

2010年12月末時点で、両社に60億ドルの請求を行っており、これは契約上、回収可能と信じている。今後発生する費用についても負担を求める。

両社はBPに重大な過失、故意に基づく違法行為があるとして支払いを留保しているが、重大な過失、故意に基づく違法行為があるかどうかに関しては法的手続きを行う。
最終的には契約に基づき、調停にかけて、請求分の支払いを求める。

付記
BPは2011
4月に両社に "notice of dispute"
を送付した。
契約では
"notice of dispute" 送付後190以内に解決しない場合、調停にかけることが出来る。

リグの所有者のTransoceanは、同社の重大な過失を示すような証拠は何もないとしている。

ーーー

メキシコ湾の原油流出事故を巡り、米司法省は2010年12月15日、BPと三井石油開発子会社Moexなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こした。

2010/12/17 米司法省、BP原油流出事件で提訴

対外的には、MoexAnadarkoも同油田のオーナーとして損害賠償責任や罰金の対象となる。
このため、直接支払いを求められるものについては、両社は一旦支払いを行ったうえで、
BPに求償することとなる。

今回の訴えは、BPからの請求を拒否するとともに、外部からの両社への支払請求を避ける意味もある。


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EUは4月13日、欧州8か国で家庭用洗剤の価格カルテルを結んだとして、Procter & Gamble Unileverに合計315.2百万ユーロの課徴金を課した。  

両社はHenkelとともに、欧州8か国で3年間にわたり価格カルテルを結んでいた。
カルテルは洗濯機の粉末洗剤に関するもので、少なくとも、2002年1月から2005年3月まで続いていた。

カルテルは業界団体の International Association for Soaps, Detergents and Maintenance Productsが洗剤の環境負荷の改善の会議のために集まったのを機会に始まった。
会議では大型のボックスをやめ、コンパクトな包装にすることを決めたが、3社はこの変更によってどの社も競争上有利になることはないことを確認、それぞれのマーケットシェアを守り、包装の変更で値下げをしないことを決め、後に、値上げで合意した。

EUは業界団体は違法行為に関係していないとしている。

課徴金の明細は以下の通り。

  社名          Leniency減額 示談制度減額  課徴金
  Henkel           100%      N/A          0
  Procter & Gamble   50%
      10%      211,200 千ユーロ
  Unilever            25%      10%      104,000 千ユーロ

Henkelは2008年にEUにこのカルテルの存在を伝えたため、免責された。

2社の課徴金は調査への協力による減額に加え、事実を認めて調査を早く終結させたことで10%の減額となっている。

EU の欧州委員会は2008年6月、企業の価格カルテルに絡んで新たに「示談制度 (settlement procedure)」の導入を決めた。
捜査の終了段階で欧州委は対象企業にカルテルの証拠を示す。
企業がカルテルへの参加を認め、責任を認めた場合、制裁金の10%を減額する。

2008/7/4 EU、カルテルで示談制度導入


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Dow増配

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Dowは4月11日、取締役会が第2四半期の1株当たり配当をそれまでの15セントから25セントに増やすことを決めたと発表した。
6月末の株主に対し、7月29日に支払う。

Dowは1912年以降、四半期ごとに配当を払っており、これは連続399回目の配当となる。

同社の損益は2008年に急落、2009年も低水準であったが、2010年決算は増収増益となった。特にPlasticsの増益の影響が大きい。
同社は20094月にRohm & Haasの買収を完了している。

単位:100万ドル
  07 08 09 10 増減
売上高 49,734 57,361 44,875 53,674 8,799
EBITDA 6,836 4,075 4,828 7,200 2,372
税引後損益 2,887 579 648 2,310 1,662

2011/3/16  DowBASFBayer の2010年決算

---

Dow は2009年第1四半期の配当を、それまでの42セントから15セントに減らした。
これは97年目で初めての減配である。

2009/2/23 Dow Chemical、史上初の減配


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4月18日付の毎日新聞のコラム「風知草」(山田孝男氏)のタイトルである。

中部電力の浜岡原子力発電所を止めてもらいたい。安全基準の前提が崩れた以上、予見される危機を着実に制御する日本であるために。

(中略)

浜岡原発は静岡県御前崎市にある。その危うさは反原発派の間では常識に属する。運転中の3基のうち二つは福島と同じ沸騰水型で海岸低地に立つ。それより何より、東海地震の予想震源域の真上にある。

「原発震災」なる言葉を生み出し、かねて警鐘を鳴らしてきた地震学者の石橋克彦神戸大名誉教授(66)は、月刊誌の最新号で、浜岡震災の帰結についてこう予測している。
「最悪の場合、(中略)放射能雲が首都圏に流れ、一千万人以上が避難しなければならない。日本は首都を喪失する」「在日米軍の横田・横須賀・厚木・座間などの基地も機能を失い、国際的に大きな軍事的不均衡が生じる......」(「世界」と「中央公論」の各5月号)

これが反原発派知識人の懸念にとどまらないことを筆者は先週、思い知った。旧知の政府関係者から「浜岡は止めなくちゃダメだ。新聞で書いてくれませんか」と声をかけられたのである。原発輸出を含む新成長戦略を打ち出した内閣のブレーンのひとりが、浜岡に限っては反原発派と不安を共有し、「原発を維持するためにこそ止めるべきなのに、聞く耳をもつ人間が少ない」と慨嘆した。

(後略)

既報の通り、石橋名誉教授は岩波書店の雑誌「科学」1997年10月号で、浜岡原発について述べている。

発生が懸念されるM8級東海巨大地震の想定震源断層面の真上、静岡県御前崎のやや西に、中部電力浜岡原子力発電所がある。

原発を直撃する地震動は、原子炉のS2(安全のための余裕を加えた基準地震動)を超える恐れが強い。

地震時に浜岡は1m以上隆起すると考えられるが、それに伴って地盤が傾動・変形・破壊すれば原発には致命的だろう。

津波に関して中部電力は、最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる。

そのうえで、浜岡で、今回福島原発で起きたこと(敷地地盤高を越える大津波、全電源停止、水蒸気爆発、4基すべてが同時に事故、使用済み燃料貯蔵プールへの波及)が起こる可能性を述べている。
    (浜岡は現在は3基だが、当時は4基あった)

2011/3/29  福島原発事故
「科学」1997年10月号記事 http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/9710kagaku.pdf

同氏は2005年2月23日の衆議院予算委員会公聴会で、浜岡原発で事故が起こった場合の首都喪失の可能性を公述している。

今世紀半ばに東海、南海地震が起こるのはほぼ確実としている。

会議録 http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/050223koujyutsu.pdf

「最悪の場合、放射能雲が首都圏に流れ、一千万人以上が避難しなければならない」場合、どこに避難するのだろうか。
西への道は地震と放射能で全て閉鎖されている。

参考

 

 

ーーー

石橋氏は全電源停止の可能性を指摘しているが、4月19日付の毎日新聞は、原発の全事業者が電源の長期喪失を想定せず、国も「考慮不要」としていたと報じている。

米スリーマイル島原発事故などを受け、原子力安全委員会が1992年に炉心溶融などシビアアクシデント対策の報告書の作成を推奨した。

これに対し各社は、電源が喪失した場合でも原子炉内に7~8時間は注水を続けられる冷却機能を原発に備えているが、これに加え、隣接する号機の電源を融通する、非常用ディーゼル発電機を追加設置するなどの方法で電源供給能力を向上させるとした。
電源が8時間を超えるような長時間にわたり失われる事態を想定した社はなかった。

安全委が1990年に定めた原発の安全設計審査指針でも「長期間にわたる電源喪失は、送電線の復旧、非常用発電機の修復が期待できるため、考慮する必要はない」とされていた。

一方、原子力安全基盤機構が昨秋に公表したシミュレーションでは、福島第一原発の2~5号機と同じタイプの沸騰水型軽水炉(出力80万kw)について、電源を喪失し、注水不能になって約1時間40分後に核燃料の溶融による落下が始まり、約3時間40分後に原子炉圧力容器が破損、約6時間50分後には格納容器も破損すると予測された。

最悪の事態が予想されながら、国や電力会社が対策を怠っていたこととなる。

 

ーーー

付記 「ごまめの歯ぎしり メールマガジン版ー河野太郎の国会日記」

明日(4/20)の外務委員会の質問通告です。国会改革の申し合わせの一環として公表します。

  外務大臣は、浜岡原発の安全性を海外に向けてどのように説明するのか。
  保安院はなぜ、浜岡原発の停止を求めないのか。

 ↓  

今日の質疑を要約するとこんな感じです。詳しくはビデオライブラリーを見てください。
私の質問は9時から35分間です。

ビデオライブラリーはこちら。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.php?u_day=20110420 の外務委員会

 問い 保安院はなぜ、浜岡原発の停止を求めないのか。
 答え むにゃむにゃむにゃなので、安全だ。
 
 (中略)

夜、ルクセンブルク大使公邸で、ルクセンブルクの副首相・外務大臣の歓迎夕食会が開かれ、その席上で、元通産官僚が、日本では自動車事故で毎年何千人死んでいる、原発の事故でこれまで何人死んだんだとのたまわった。それを聞いて、出席していたヨーロッパ人は、みんな僕の方を向いてウインクした。日本の原子力行政がいかにひどいかを説明するよりも、百倍、日本の原子力問題がはっきり副首相には伝わった。


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交通事故で関東甲信越地方の病院に入院していた少年が改正臓器移植法に基づき15歳未満で初めて脳死と判定され、提供された臓器の移植手術が全国5病院で行われた。

少年は交通事故による頭部外傷で12日に脳死と判定され、13日朝に臓器が摘出された。

心臓と肝臓、腎臓の移植手術は13日中に大阪大病院など3病院で、膵臓ともう一つの腎臓を同時に移植する手術は14日未明に藤田保健衛生大病院で終了した。肺は再開したばかりの仙台空港を使って東北大病院に搬送され、14日に移植手術が終了した。
いずれの患者も容体は安定しているという。

心臓  10代の男性 大阪大 
肝臓 20代男性 北海道大
片方の腎臓 60代男性 東京女子医大
片方の腎臓と膵臓 30代の女性 藤田保健衛生大(愛知県豊明市)
両肺 50代女性 東北大  

心臓については、「18歳未満から提供された心臓の移植は、待機患者として登録した時点で18歳未満だった人を優先する」との厚労省の新選択基準が初めて適用された。

ーーー

2009年7月13日午後の参議院本会議で、脳死後の臓器提供の年齢制限を撤廃し、本人の意思表示がなくても家族の承諾で提供を可能とする臓器移植法改正案(A案)を賛成多数で可決、成立した。

参院では衆院から送られたA案に加え、参院で提出された修正A案、子どもの脳死臨調設置法案の3案が審議された。

  従来の法律 A案 修正A案 子どもの脳死臨調
設置法案
脳死位置づけ 提供時に限り
人の死
人の死
(現行法規定削除)
         現行法と同じ
臓器提供の条件 本人の書面同意と
家族の同意
     家族の同意
     本人が生前に拒否可能
現行法と同じ
提供可能年齢 15歳以上          0歳以上 内閣府に「子ども脳死
臨調」を設置
その他 移植術を受ける機会は、
公平に与えられるよう配慮
親族への優先提供 提供者の家族への
精神的支援検討など
付則に明記
生体移植のルール検討

採決は、A案修正案、A案、子どもの脳死臨時調査会設置法案の順で行われた。

A案修正案は否決され、A案が可決、「子どもの脳死臨時調査会」の設置を盛り込んだ対案は採決されず廃案となった。

これにより15歳未満の子どもが家族の同意で臓器提供ができるようになった。

2009/7/13 臓器移植法改正案 成立

改正臓器移植法は2010年7月17日に施行された。(「親族への優先提供の意思表示」は2010年1月17日から施行)

改正法の施行まで年平均で6例程度だった脳死移植は、改正後の9カ月で42例まで増えた。


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3月10日付の日本経済新聞の「200年企業 成長と持続の条件」は塩野香料を取り上げている。

その中に以下の記載がある。

「塩野香料は1943年秋に、バラから得られる香料を原料にポリスチレンを製造する技術を確立した。終戦まで毎月1トンを生産、軍用機のレーダー対策用に住友電気工業などに供給した。」

ーーー

塩野香料は和漢薬真珠などの薬種問屋としてスタートした。

和漢薬から丁子(クローブ)、肉桂(シナモン)など同じ原材料を使う香料事業に転換した。
三代目の弟は分家して洋薬に転換したが、それが後の塩野義製薬である。

  塩野吉兵衛  1808年に道修町に薬種問屋・塩野吉兵衛商店を開業
     |
  二代 吉兵衛
     |
  三代 豊太郎---弟 義三郎(分家、
洋薬に転換、塩野義三郎商店→塩野義製薬
     |
  四代 光太郎 和漢薬から
香料に転換
           1908 輸入品で香料事業参入
           1917 香料製造開始
           1921 エッセンスの合成に成功
           1929
塩野香料設立

ーーー

ポリスチレンは1839年にドイツの薬剤師の Eduard Simon が発見した。天然レジンから分離したが、それが何かは分からなかった。

その後、ドイツの有機化学者のHermann StaudingerSimon が発見した物質がスチレンの重合体でプラスチックポリマーであることを見つけ、1922年に発表した。1953年にノーベル化学賞を受賞している。

1930年にBASFI.G. Farben)の科学者がポリスチレンの商業生産の方法を開発した。

1930年代にDowの最初の女性化学者のDr. Sylvia Stoesserを含む研究者がポリスチレンの製法を開発、Dow1937年にPSStyron)を発売した。

日本では19571月にモンサント化成が四日市で、同年2月に旭ダウが川崎で、ポリスチレンの製造を開始した。
両社の
PS生産は、エチレンとSMの生産開始に先立ち、輸入SMを原料に行われた。

四日市では三菱油化が19595月にエチレン(22,000トン)、19595月にスチレンモノマー(22,000トン)の生産を開始した。
川崎では日本石油化学が
19597月にエチレン(25,000トン)、旭ダウが195910月にスチレンモノマー(18,000トン)の生産を開始した。

モンサント化成は1952年に三菱化成とモンサントのJVとして設立され、三菱化成のPVC関連事業を承継した。
1953年に可塑剤の生産を開始、1957年に四日市でPS7,200トン)の生産を開始した。
1958年に三菱モンサント化成と改称)

旭ダウは1953年に塩化ビニリデンポリマーの繊維への事業展開のため、旭化成とDow ChemicalJVとして設立され、1957年に川崎でPS10,200トン)の生産を開始した。

2006/10/7  日本のPS業界の変遷

ーーー

しかし、これより早く、1943年に塩野香料が日本で最初のポリスチレンの生産を開始していた。
担当したのは、のちに日東化成、大阪曹達の社長を歴任した勝村龍雄氏である。

同氏の著書「化学者のおとぎ話」(1990年 発売元:化学同人)では経緯は以下の通り。

同氏は当時、塩野香料で、香料原料の製造のため、塩化アルミを触媒としてベンゼンとエチレンオキサイドからバラの香りの主成分のβ-フェネチルアルコールを合成する研究を行っていた。

C6H6 + CH2CH2O C6H5CH2CH2OH

β-phenylethylalcohol C6H5CH2CH2OH)はTea Rose Elementとも言われ、「バラの香り」として香水に欠かせない原料で、ほとんどすべてのバラに含まれている。

太平洋戦争では米軍のレーダーが威力を発揮、これに対抗するには高周波の絶縁物であるポリスチレンが必要として、日本中の大学、研究所でポリスチレンの研究が行われた。   

レーダーは目標物に電波を発射して跳ね返ったきた電波を微弱な高周波電流にして増幅・変調するので、効率よく回路に流すにはこの誘電損失の少ない絶縁材料が必要になる。
このため、
軍の要請で、ポリエチレンやポリスチレンの研究が行われた。

同氏は恩師の阪大の小竹無二雄教授から、β-フェネチルアルコールの合成法を利用してスチレンの合成法を考えるよう指示され、β-フェネチルアルコールを脱水してスチレンを生産する研究を進めた。

C6H5CH2CH2OHH2OC6H5CHCH2

研究の結果、β-フェネチルアルコールをピュアにしておけば、脱水して高純度のスチレンモノマーが得られることが分かり、それをブロック重合してポリスチレンにすることに成功した。

記事の「バラから得られる香料を原料に」というのは誤りで、正しくは「バラの花の主香気成分であるβ-フェネチルアルコールを原料に」であり、これはベンゼンとエチレンオキサイドから合成された。

他の多くの研究所はエチルベンゼンの脱水素法を研究したが、うまくいかなかったという。

1943年に海軍艦政本部にポリスチレン400kgを持ち込んだところ、代金と今後の助成金として、今(1989年の執筆時)の価値で20億円以上の金額の小切手が渡された。
急遽、同社の三国工場を全部ポリスチレン工場に切り替え、フル生産体制に入った。

終戦まで月産1トンの生産を続け、製品は海軍の命令で、住友電工と古河電工の2社に半分ずつ渡した。1944年からポリスチレンを軍のレーダー用に間に合わすことができるようになった。

ほかにも数か所で小規模な生産が行われた。
三井化学工業も1944年末から生産を行った。
しかし、敗戦まで軍の使用したポリスチレンの大部分は塩野香料製であった。


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中国国有資源大手の中国五鉱集団の五鉱能源(Minmetals Resources)は、豪州とカナダに上場している銅鉱山開発会社のEquinox Minerals に対して買収提案を行った。全株取得を狙っており、買収提案額は63億カナダドル。

銅資源の確保が狙い。中国は世界の銅需要の40%
を占めており、銅の価格が上昇する中、銅鉱山の取得に熱心である。 

     付記 

五鉱資源は4月26日、買収計画を撤回した。世界最大の産金会社、カナダのBarrick Gold が五鉱資源を上回る買収提示額(73億2000万カナダ・ドル)を示したことを受けた措置


Equinoxは現在、この10年で世界で開発された新しい銅鉱山では最大級のZambiaのLumwana 銅鉱山の運営と、サウジアラビアのJabal Sayid Copper-Goldプロジェクトの推進に集中している。

Lumwana projectは1999年に権利を取得、2008年末に操業を開始した。
2011年の銅生産量は145千トンの計画で、今後、年産200千トンに拡大する計画。

Jabal Sayid projectについては2010年に権利を取得した。
2012年に生産開始の予定で、年産60千トンの計画。

このほか、サウジでは Jabal ShaybanとJabal Baydanのgold金山、Lahuf 金山、Bari 金・銅鉱山などの開発計画がある。

ーーー

一方、Equinoxはカナダの銅鉱山開発会社、Lundin Mining Corporation に買収提案をしている。

Lundin Mining は同じくカナダの銅と亜鉛の鉱山会社 Inmet Mining と合併することで合意、承認を求める株主総会を予定していた。

しかし、本年37日にEquinoxがLundinに対し総額48億米ドルでの買収提案を行ったため、LundinとInmet は合併合意を取り消している。

Minmetalsは「Equinoxの株主にとってLundinを買収するよりもMinmetalsの買収提案を受ける方がメリット大きい」としている。
Minmetalsの買収提案はLundin買収の取り下げを条件としている。

これに対しMinmetalsでは、この時点での買収提案は、株主にとって価値があるLundin買収を邪魔するものだとし、買収価格はたった9%のプレミアムを乗せただけであり、ベースメタルの企業買収にしては低すぎるとしている。
(Minmetalsは発表はしたが、Equinoxに対してオファーはしていない。Equinoxは
Lundin買収の承認を求める株主総会を426日に延期した。

ーーー

五鉱集団(Minmetals)の子会社の五鉱有色金属(Minmetals Non-ferrous Metals)は2009年、豪州3位の鉱業会社で世界2位の亜鉛メーカーのOZ MineralsOZ Minerals を買収した。(一部の鉱山を除くなど、条件付きで豪州政府の承認を得た。)

   2009/4/25 豪州政府、中国五鉱集団による豪州OZ Minerals 買収を条件付で承認

 


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NHK BS 世界のドキュメンタリーで2夜にわたり、「岐路に立つタールサンド開発~カナダ 広がる環境汚染~」が放映された。

「タールサンドは石油枯渇時代の救世主となるのか、それとも開発による環境破壊は石油ヘの依存を見直すきっかけとなるのか。岐路に立つタールサンド開発を追う」(NHK ホームページ 前

カナダのアルバータ州には16000億バレル以上のタールサンド(=オイルサンド)が埋蔵されている。

露天掘りと油層内回収法がある。
前者は、原油を含んだ砂を掘り出し、熱湯をかけて油(
Bitumen)を抽出する。
後者は、地下深くのオイルサンド層にパイプを通して大量の熱い蒸気を注入し、
Bitumenを流動化してポンプで汲み上げる。

Bitumenに改質装置で熱と圧力を加えて合成原油を精製する。

詳細は 2008/2/4 Dow Canada、オイルサンドからのエタン、エチレン購入契約

採掘場の近くには、人工貯水池があり、Bitumenを抽出する過程で出る有毒物質を含んだ排水や泥が貯められている。

貯水池は老朽化し、有毒物質が川に流れ出している。
Bitumen精製では大量の温室効果ガス(通常の原油精製の3倍)と汚染物質が排出されている。

周辺に暮らす先住民族に深刻な健康被害が起き、癌による死亡が続出している。
しかし、アルバータ州政府は科学者たちの警告に耳を貸そうとしない。

先住民族が問題を世界に訴え始める。2009年にはCOP15の開催中にコペンハーゲンを訪れ、タールサンドの危険性を主張した。タールサンド開発に参加しているStatoilの株主総会で危険性を訴えた。
ジェームズ・キャメロン監督が現地を訪れ、架空のアバターの世界が実際にあったと驚き、環境改善を訴えた。
学者が厳密な調査を行い、水質汚染、空気汚染の実態を発表した。

この結果、カナダ連邦政府も州政府の調査が不備であったことを認めた。
州政府も再調査と住民の健康調査を約束した。

しかし、中東の原油依存を避けたい米国は、カナダのタールサンドの受け入れの方向に向かっている。
クリントン国務長官は、「中東の汚い石油か、カナダの汚い石油か、アメリカの選択肢は2つです」と述べている。

ある科学者はこう述べている。
「タールサンドに関してはアメリカも共犯者です。カナダが売る麻薬を買い続ける中毒患者のようなものです」

ーーー

先住民族が株主総会で訴えたノルウェーのStatoilに対しては、GreenpeaceWorld Wide Fund For Natureが、温室効果ガスの大量排出を問題とし、カナダのタールサンドからの撤退を要求している。
519日の株主総会で3年連続で撤退の動議を提出する。株主の中にも保険会社のStorebrandなどがこの動議に賛成している。

しかし、Statoil67%の株主であるノルウェー政府は、政府としてはStatoilのタールサンド問題に介入しないとしている。
通商産業大臣は
331日、「タールサンドへの投資は企業が決定する問題であり、株主としての政府が決めるものではないという結論だ」と述べた。

Statoil側は、タールサンドへの投資を進めるとし、技術ノウハウを駆使して問題を改善し、14年間で温室効果ガスを40%カットするという目標を達成するとしている。

ーーー

Statoilは北海油田の埋蔵量減少を補うため、20074月にカナダのベンチャーのNorth American Oil Sands Corporation22億カナダドルで買収した。

North American Oil SandsAlberta州のAthabasca 地区でKai Kos Dehseh project を操業している。
2009年頃に日量1万バレルのパイロット生産が始まり、2011年には商業生産を開始、2015年頃までには日量10万バレルの生産が期待されている。
10年後には日量20万バレルを期待している。

201010月、Statoilは同社の40%22.8億米ドルでタイの PTT Exploration and Productionに売却することで合意した。
Statoilは残り60%を引き続き保有し、生産と販売を担当する。

ーーー

中国勢もオイルサンド(タールサンド)事業に相次いで参加している。

2005/4  中国海洋石油 カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収
2009/9/10  PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 Athabasca Oil Sands
2005/6  Sinopec、Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
 2009年に50%にアップ
2010/4/16  Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada

ーーー

同様の環境問題はシェールオイルも抱えている。

地震のために再放送が延期になったが、NHKの世界のドキュメンタリーの「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」がこれを取り上げている。

「世界の資源地図を塗り替えると期待される、新しい天然ガス『シェールガス』。その開発に疑惑を持ち、コロラド、ワイオミング、テキサス、ルイジアナ・・・と自家用車で旅を続けるジョシュが見たものは、飲み水や大気の汚染で深刻な健康被害に怯える人々と、無残な姿をさらすアメリカの大地だった。

行政担当者や環境問題の専門家などに話を聞くうち、汚染の原因は、岩石層の水圧破砕のために地下に注入する特殊溶液にある可能性が浮上してくる。アメリカでは飲料水の安全確保のため、水源地帯の土中に異物を混入する行為は厳重に規制されている。ところが、住民の要請を受け当局が調査を行った形跡はなく、ガス会社には溶液の成分を公表する義務さえないという腑に落ちない事実が明らかになっていく。」(NHKホームページ 前

日本の商社各社が米国のシェールオイル開発に参加しているが(昨日の記事参照)、将来、株主責任が問われることとなる可能性もありうる。


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丸紅は44日、米国のMarathon Oil Corporationとの間で、コロラド州・ワイオミング州のDenver Julesburg 盆地のNiobrara shale oil の権益180千エーカーの30%を約270百万ドルで取得することに合意し、権益売買契約を締結した。

加えて、丸紅とMarathon Oil は、Niobrara shale oilエリアでの更なる事業拡大を視野に入れ、同エリアにおいて新規権益を共同取得していくことにも合意した。

Niobrara shale oilエリアは、北米における有望なシェールオイル鉱区として注目を集めており、近年、鉱区の売買取引が活発化し、数多くの石油ガス開発会社が開発・生産を進めている。

米国におけるシェールガスおよびシェールオイル

Marathon Oil は米国ノースダコタ州のバッケン・シェールオイルを含む複数のシェールオイル・シェールガスの開発・操業で実績を有すると共にアラスカ及び赤道ギニアLNGプロジェクトへの参画、世界各国にて石油ガス上流事業を展開、さらにはグループ会社にて米国国内で石油精製、販売事業を長年に亘って行っている。

丸紅とMarathon Oil はかねてから赤道ギニアLNGプロジェクトのパートナーとして関係が深い。

丸紅は、100%子会社の丸紅ガス開発を通じ、国際コンソーシアム(Equatorial Guinea LNG Company )の株主として、赤道ギニア沖Bioko島におけるLNGプロジェクトに参画している。

国際コンソーシアムの出資比率は、Marathon Oil 60%、Sonagas(赤道ギニア国営ガス会社) 25%、丸紅ガス開発 6.5%、三井物産 8.5%となっている。

ーーー

Niobraraエリアのシェールオイル開発では、伊藤忠が2010年10月に、米国のエネルギー・電力・建設関連複合企業 MDU Resources Group Inc.の子会社で石油天然ガス開発会社のFidelity Exploration & Production Company との間で、約88,000エーカーの鉱区権益の25%を取得し、事業に参画する契約を締結している。

北米のシェールガス開発では、以下の各社が開発に参加している。

三菱商事 ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 
三井物産 ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアのシェールガス

 2010/2/18  
三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画
住友商事 ①テキサス州Barnett Shale field開発
②ペンシルベニア州
Marcellus Shale field開発

 2010/8/26 
三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 
双日 テキサス州北東部Carthage onshore gas 鉱区
 
Tightsand gas、シェールガス

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

伊藤忠 Niobraraエリアのシェールオイル

2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う


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SolvayRhodiaは、43日、SolvayRhodiaの株式100%の友好的買収オファーを行う枠組み協定を締結した。
買収額は総額
34億ユーロで、買収価格は41日株価に50%のプレミアムをのせたものとなる。

統合会社の売上高は120億ユーロとなるが、その強みとして、Solvayは以下の点をあげている。

 ・統合売上高の90%は世界で上位3位に位置する製品

  セグメント 世界順位 製品
Solvay  Specialty Polymers  No.1 高機能エンプラ、フッ素ポリマー
Oxygen  No.1 過酸化水素
Minerals  No.1 ソーダ灰、重曹
Vinyls  No.3  
Rhodia Polyamide Materials  No.2 ポリアミド6.6
Consumer Chemicals  No.1 スペシャルティ界面活性剤、燐化学品、バニリン用ジフェノール
Advanced Materials  No.1 シリカ、レアアース製品

 ・統合売上高の40%が新興成長市場で、今後の伸びが期待できる。

西欧 43%、北米 17%、計 60%
ラテンアメリカ 14%、アジア太平洋・その他 26%、計 40%

 ・多くの異なる市場分野でバランスの取れた存在

  Consumer
 goods
Construction Automotive Energy, Water
& Environment
Electronics
Solvay 4% 22% 9% 7% 7%
Rhodia 40% 5% 20% 10% 5%
Combined 19% 15% 14% 8% 6%

コスト面のシナジー効果も3年以内に年間250百万ユーロが期待される。
この
2/3は外部コストの節減(残り1/3は管理部門が大半)で、大きな人員削減は考えていない。

従業員はSolvay16,800人、Rhodia14,100人で、合計30,900人となる。

ーーー

SolvayはErnest Solvayが開発したソルベイ法ソーダ灰の商業化を目的に1863年に設立された。

最近のトピックスは以下の通り。

2007/4/13   Solvay、バイオディーゼル副生グリセリンを原料とするエピクロの生産開始
2007/7/6   Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV
2007/8/3   Dow と Solvay、タイにHPPO用の過酸化水素製造のJV設立
2007/9/12   Solvay、タイでエピクロルヒドリン生産
2007/12/21   ソルベー、ブラジルでバイオベースのエチレン製造
2008/9/20   Solvay、タイのビニルチェーン拡大
2008/10/8   Solvay、フランスの水銀法電解をイオン交換膜法に転換

2010年の売上高は71億ユーロ。

ーーー

Rhodia1998年にRohne Poulentの化学品事業部と繊維・ポリマー事業部化学を統合して設立された。

1999年にRohne PoulentHoechstが統合してAventisが生まれた際に、独立企業となった。

Hoechst1997年にスペシャルティ部門をClariantSandozの化学品部門が独立)に売却、1999年にCelaneseを分離している。

Aventis2004年にSanofi Synthelaboと合併し、Sanofi Aventisとなった。

2010年の売上高は52.3億ユーロで、11のBusiness Unitsを持つ。

・Acetow:タバコフィルター用
・Aroma Performance
・Coatis:
フェノールベース製品
・Eco Services:
硫酸
・Energy Services
・Engineering Plastics:
ポリアミドベースの高機能エンプラ
・Fibras:ポリアミドベースのヤーン
・Novecare:
界面活性剤
・Polyamide & Intermediates:Polyamide 6.6 value chain
・Rare Earth Systems
・Silica


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住友軽金属は44日、古河スカイ、住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズとともに、BPからアルミ板圧延品メーカーのARCO Aluminumの全株式を譲り受けることに合意したと発表した。

ARCO Aluminumは飲料缶用のアルミシート(缶材)のメーカーで、生産量は年間約30万トン、北米缶材市場でのシェアは15%となっている。

ARCO Aluminumは、アルミ缶材に特化した製造を行っている世界最大級のアルミニウム板圧延工場であるLogan Millの資産の45%の持分を所有している。(運営会社のLogan Aluminum Inc.については60%の出資持分)

Logan Millの残りはNovelisが所有し、ARCO AluminumNovelisはそれぞれ、原材料をLogan Mill に供給し、各々の製品を販売している。

住友軽金属と他4社は、共同持株会社のARROW Aluminum Holding Inc.を設立し、ARCO Aluminum株式を680百万ドルで取得し、経営参加と技術提供を通じて、アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造販売に取り組む。

買収後の運営形態は以下の通りとなる。

 

 

ARCO Aluminumと取引のあった住友商事にBPから株式売却の打診があった。    

住友軽金属では、北米地域における世界最大級のアルミニウム板圧延工場に対する経営参画で資金面の負担が重いため、単独ではなく、他4社との共同で取り組むこととしたとしている。

古河スカイは2003年10月に古河電工とスカイアルミニウムがアルミ事業を統合して設立した。
(スカイアルミは1964年に昭和電工と八幡製鉄、米カイザーアルミナムの合弁で設立、カイザーは1973年に撤退)

住友商事は古河スカイの缶材を輸出しており、住友商事が声をかけたという。
住友軽金属ではケースバイケースでどこと組むか決めるとしている。

同社は本件について以下のメリットをあげている。

 販売面のメリット
  ・アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造・販売
  ・今後大きな伸びが見込まれる中南米市場への販売拡大
   ⇒ 今後拡大する世界飲料缶市場に対してグローバル供給体制構築の実現へ

 製造・技術面のメリット
  ・日本・北米それぞれの長所を活用したシナジー効果

ーーー

Logan Millsの歴史は以下の通り。

1981年にAtlantic Richfield Logan Millsの建設を開始、1984年に操業を開始した。

その後、Atlantic Richfield1985年にアルミ関連事業をAlcan に売却した。
しかし、独禁法の点で
Logan Millsの売却の認可を取得できず、Logan MillsAtlantic Richfield 子会社(その後、ARCO Aluminumと改称)とAlcanの合弁事業となった。

2000年にBPAtlantic Richfieldを買収した。
2005年にNovelisAlcanからスピンオフした。

この結果、Logan MillsBP子会社のARCO AluminumNovelisの共同事業となった。

Novelisはアルミ圧延の世界のリーダーで、世界のアルミ板圧延品の20%のシェアを有している。
欧州と南米では
1位、北米とアジアでは2位のメーカー。

ーーー

BPにとっては本事業は非中核事業であり、売却は2011年末までに300億ドルを売却するという方針の一環である。
本売却を含め、これまでの売却金額は
240億ドルに達している。

2010/12/1 BP、アルゼンチンのPan American Energy の持株をBridas Corporationに売却 参照


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女川原発のケース

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福島原発が大きな被害を受けたのに対し、震源地により近く、町は壊滅した女川の原発は若干のトラブルはあったものの、大丈夫であった。

三陸沖ではしばしば大津波が起きているため、女川原発では、津波に対する評価を行い、対策を立てていた。

東北電力 「女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策」
 
 http://www.jnes.go.jp/content/000015486.pdf

東北電力では、以下の手法で、安全性は確認されたとしていた。

 ①既往の津波の高さの調査

 ②歴史的津波の選定→1611年の慶長津波(6~8m)

 ③予想最高水位(9.1m)、予想最低水位(-7.4m)の計算

 ④津波による最高水位でも陸上構造物の被害がなく、最低水位時(数分間)も原子炉冷却用水量を確保
   (
引き波による潮位低下で、取水できなくなると冷却系が働かなくなる)

実際には、今回の地震による津波はその予想規模を遥かに越えた。
女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果がある。
(福島第一原発の主要施設の標高は10メートル前後で、津波は14メートルもあった。)

このため、2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水したが、非常用電源は正常に稼働した。
また、福島原発と異なり、外部電源が失われなかった。女川原発につながる2系統の送電幹線のうち、片方は地震の影響で止まったものの、もう一つは電気を送り続けた。

女川原発は、4月7日の余震では外部電源4回線のうち3回線が停止した。8日午前に一部復旧し、2回線になった。
使用済み核燃料プールの冷却機能を1時間失った。

ーーー

女川原発は標高の高さで被害を最低限にとどめたが、津波対策として原発を海面からより高く建設することは容易でない。

原発は硬い岩盤の上に建設することが不可欠で、適した岩盤の位置で立地が決まる。

また、原発は大量の冷却水を必要とするため、海水面近くに造らなければならず、建設時の重量物は船で敷地内に運び込むため、建屋の標高が高くなれば、作業がそれだけ困難になる。

石橋克彦・神戸大学名誉教授が、「西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こる」とし、危険性を指摘している中部電力・浜岡原発は海抜 6mのところに立地している。

2011/3/29  福島原発事故

 


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両社の2010年決算が発表された。

いずれも前年比で増収・増益だが、両社ともRefiningに関しては、前年比で大きな減益となっている。

原油価格の上昇により、開発部門は大増益となったが、Refiningに関しては、政府がインフレ抑圧のため値上げをしないよう強い圧力をかけているため減益となった。

Sinopecについては2008年までは損失補てんのための補助金を政府から受けていたが、2009年からはなくなった。
(PetroChinaについては開発部門の利益が大きいため、これまでも補助金を受けていない。)

1)Sinopec

  2008 2009 2010 増減
Sales  1,413,203 1,315,915 1,876,758  560,843
Operating profit -24,564 90,699 105,004 14,305
補助金 50,900  
Net Profit 28,525 67,005 78,004 10,999

SegmentOperating profit

  2008 2009 2010 増減
当初 補助金込
Exploration and production  66,569 66,569  23,894  47,149  23,255
Refining -114,535 -63,635 27,508 15,855 -11,653
Marketing and distribution 38,519 38,519 30,300 30,760 460
Chemicals  -12,950 -12,950 13,805 15,037 1,232
Others  -2,167 -2,167 -4,808 -3,797 1,011
Net  -24,564 26,336 90,699 105,004 14,305
 

2) PetroChina

  2008 2009 2010 増減
Sales  1,072,604 1,019,275 1,465,415  446,140
Operating profit 159,571 143,444 187,777 44,333
Net Profit 114,453 103,387 139,992 36,605

SegmentOperating profit

  2008 2009 2010 増減
Exploration & Production 240,470 105,019 153,703 48,684
Refining & Chemicals -93,830 17,308 7,847 -9,461
Marketing 7,982 13,265 15,956 2,691
Natural Gas & Pipeline 16,057 19,046 20,415 1,369
Other -11,108 -11,194 -10,144 1,050
Total 159,571 143,444 187,777 44,333

 


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大日本住友製薬と武田薬品工業は、3月30日、大日本住友製薬が創製した非定型抗精神病薬「ルラシドン塩酸塩」(ルラシドン)の統合失調症、双極性障害を適応症とする経口製剤について、英国を除く欧州各国を対象国とした共同開発・独占的販売契約を締結したと発表した。

契約の概要は以下の通り。

契約対象国は、英国を除くEU加盟国26カ国およびスイス、ノルウェー、トルコ、ロシア。

契約対象国での販売は武田薬品が独占的に行い、大日本住友製薬は英国での販売を目指す。

武田薬品は大日本住友製薬に、契約一時金として100 億円を支払う。
また、統合失調症、双極性障害を効能とした申請・承認時のマイルストンとして最大約180百万米ドルを支払う。

販売後は、大日本住友製薬は武田薬品に製剤を供給し、武田薬品は販売額に応じたロイヤリティを支払う。
対象国での承認取得に必要な開発費用のうち今後発生するものは、両社で一定の割合で按分する。

両社は今後、大日本住友製薬がこれまでに実施したグローバル試験のデータをベースに対象国での共同開発を進める。

大日本住友製薬は、ルラシドンを海外進出の足がかりと位置づけ、グローバル開発を進めてきた。

2011年の米国上市に向け、自社による販売拠点構築も視野に入れた米国自販体制の整備を検討してきたが、2009年10月、北米市場で中枢神経・呼吸器領域の開業医・専門医をカバーするSepracorを総額約26 億米ドルで買収した。

Sepracorは、中枢神経領域、呼吸器領域等に特化した特徴ある事業を展開する製薬会社で、米国市場においては、睡眠導入剤「LUNESTA」をはじめとする製品を保有し、開業医から専門医までをカバーする強固な販売網を有している。
大日本住友製薬は、本買収により、米国における販売体制を整備し、ルラシドンの速やかな市場浸透、早期の売上最大化を図ることとした。

大日本住友製薬の20113月期予想は、買収に伴う特許権、ノレン代償却で大幅減益となる。
  2010/5/12 
注目企業の決算-3 住友化学の項を参照

なお、今回の契約一時金100億円を2011年3月期に計上するため、業績予想の修正を行った。

ルラシドンは2010年10月に米国食品医薬品局(FDA)から成人の統合失調症治療薬として承認され、本年2月にSunovion Pharmaceuticals (2010年10月にSepracor Inc.を改称)が米国で発売している。

同社は欧州については提携を中心に検討を進めてきた。

今回、欧州主要国に販売網を有し、中枢神経領域を重点疾患領域の一つとして位置付け、ルラシドンの製品価値を評価した武田薬品と提携することとした。


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日本触媒は3月31日、インドネシアで総額3億ドルを投じ、アクリル酸と高吸水性樹脂を増設すると発表した。

同社は紙おむつの原料として需要が伸びている高吸水性樹脂について、昨年7月にインドネシアのPT. Nippon Shokubai Indonesia30千トンのプラント建設を決めたが、需要が予想を超えた伸びを示し、このプラント稼働後すぐに供給不足となる見込みのため、新設計画の規模拡大を決めたもの。

ジャカルタの西方のCilegonにあるPT. Nippon Shokubai Indonesiaでは、現在、60千トンのアクリル酸を生産している。

今回、このアクリル酸を80千トン増やし、140千トンとする。
高吸水性樹脂については、昨年7月に決めた30千トンを含め、90千トンを新設する。
投資額は合計で約3億ドル。

PT.Nippon Shokubai Indonesiaは旧称 PT Nisshoku Tripolyta Acrylindoで、日本触媒 50%、トーメン 5%、PT Tri Polyta Indonesia 45%で設立された。その後、Tri Polytaが撤退、現在は日本触媒 93.7%出資となっている。

これが完成すると、日本触媒の全世界能力は、アクリル酸で700千トン、高吸水性樹脂は560千トンとなる。

日本触媒の現状と計画は下記の通り。(千トン)

  アクリル酸 SAP
現状 計画 現状 計画
日本 460   320  
US 60   60  
ベルギー     60  
インドネシア 60 80   90
シンガポール 40      
中国     30  
Total  620  80  470  90
700 560

   2007/8/31 日本触媒 アクリル酸工場再編 参照

ーーー

世界の主要アクリル酸メーカーは以下の通り。
(グラフは日本触媒の発表のもので、本記事の数量と若干異なるものがある。)

B社はBASFC社はDowD社はArkema(元 Atofina)と思われる。

BASFの能力は119万トンとなっている。
  
2011/4/5の記事参照

2006年末の能力で3位のRohm & Haas4位のDowに買収された。
FTCによる買収承認条件に従い、Dow20098月にClear Lake のアクリル酸、エステル工場などをArkemaに売却した。
  
2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

ArkemaはフランスのCarlingTexasBayportClear Lake3か所に工場を持つ。
  
Carlingの能力は240千トンであったが、15%の増強を行った。(→275千トン)
  
Bayport は日触との50/50JV American Acryl で、同社の持分は60千トン。
  
Clear Lakeは上記の通り、Dowから取得したもの。
  同社の
201011月発表では、Clear Lakeの能力を2013年に270千トンに増強する。

ーーー

世界の主要SAPメーカーは以下の通り。

B社はEvonik(元 Degussa406千トンとされる)、C社はBASF400千トン)、D社は住友精化(190千トン)、E社はサンダイヤポリマー(三洋化成工業 60/三菱化学 40%:145千トン)と思われる。

BASFによると、BASF2010年末の能力は400千トンで、ベルギーのAntwerpと米国のFreeportのプラントをデボトルネッキングなどで2012年までにそれぞれ35千トン増強し、同社の合計能力を年産470千トンとする。

2010/12/22  BASF、高吸水性樹脂を増強

日本触媒はインドネシアの2系列完成で560千トンとなり、首位を維持するが、BASFも更にブラジルやマレーシアでの新設を検討している。

2011年4月 5日
BASF、ブラジルでアクリル酸~高吸水性樹脂のコンプレックス構想、マレーシアでも高吸水性樹脂のFS



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BASFはブラジルにアクリル酸、ブチルアクリレート、高吸水性樹脂のコンプレックスを建設する構想を検討していることを明らかにした。

現在FS中で、今年中にどこまでを含めるかと能力を決める。
既に
Braskemとの間で、Braskemが原料プロピレンを供給する覚書を締結している。
来年に着工し、
2014-15年完成の予定。

BASF2001年にブラジルSão Paulo州のGuaratinguetáでブチルアクリレートの生産をスタートしているが、南米ではアクリル酸も高吸水性樹脂も生産しておらず、すべて輸入している。

BASFはアクリル酸のリーダーで、全世界の能力は119万トンとなっている。

Antwerp  320千トン  
Ludwigshafen 320    
 
Freeport, TX 230    
 
Nanjing, China 160    
倍増計画あり
Quantan, Malaysia 160    
 
Total   1,190   
 

競合各社については次項で。

 

ーーー

BASFPETRONASは329日、マレーシアのGebeng Industrial ZoneにあるJVの BASF PETRONAS Chemicals BASF 60%/Petronas 40%)で高吸水性樹脂の生産を行うFSを開始すると発表した。

JVは1997年に設立され、アクリル酸、ブタノール、可塑剤、ブタンジオール等を生産している。

BASF PETRONAS Chemicals については 2009/8/3 ダウ、マレーシアのOptimal も売却 参照 

 


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エチレンの状況-2

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今回の東日本大震災では、三菱化学の鹿島事業所(茨城県神栖市)の2基、丸善石油化学の千葉工場(千葉県市原市)、JX日鉱日石エネルギーの川崎製造所(川崎市)の計4基のエチレンが止まった。

2011/3/21 エチレンの状況 

ーーー

JX日鉱日石エネルギー・川崎(404千トン)は地震直後に手動によりエチレンプラントを停止した。

設備被害はなく、これまで安全確保のため点検作業を進めていたが、3月30日に操業を再開した。

ーーー

丸善石油化学・千葉(480千トン)は隣接するコスモ石油の爆発火災で操業を停止した。
(コスモ石油のLPGタンクの火災は3月21日午前10時10分、鎮火を確認した。石油精製設備の再稼働の見通しは立っていない。)

停止したのは、エチレン、芳香族(一部)、ブタジエン1系列(千葉ブタジエン)、アルコールケトン、酸化エチレンなどで、隣接の京葉エチレン(丸善石油化学/三井化学/住友化学のJV)は操業している。

同社は3月31日、停止中装置のうち、エチレンについて、装置の健全性の確認、その他諸準備が整ったので、4月4日に再稼動すると発表した。芳香族、ブタジエンについても順次稼動する。

付記 酸化エチレンを4月15日に再稼働するとの見通しを明らかにした。

但し、アルコールケトンは火災で設備の損傷が激しく、復旧には最低でも1年間は必要とみられる。
同社はこのため、メチルエチルケトン(MEK)、セカンダリーブチルアルコール(SBA)、ジイソブチレン(DIB)の出荷を停止すると発表した。

ーーー

三菱化学・鹿島1、2号機(年産能力 828千トン)

同社は3月23日、以下の発表を行った。

・鹿島事業所は製造設備は全て停止し、自家発電等も停止している。
・バースが損傷を受けており、事業所の道路の損傷等のため、陸上・海上いずれによる入出荷も困難な状況
・バース以外のインフラ関連設備・機器の一部に著しく損傷しているものがあることが判明
・プラントの稼働再開までには最短でも2か月以上を要する見込み

付記

三菱化学は4月8日、鹿島事業所について、5月20日ごろから一部の操業を再開すると発表した。

第2エチレンは、5月20日頃の再開をめざしている。PP、PEの一部の系列は、第2エチレンプラントの稼動にあわせて再開の見込み。

第1エチレンは、定修(5月14日~)終了後の6月27日に再開の予定で、PP、PEの残りの系列及びビスフェノールA、酸化エチレン等のその他誘導品については、第1エチレンプラントの稼動にあわせ、順次再開の見込み。

付記

三菱化学は(5月20日に再開した後、再び停止させ)6月下旬から実施する予定の第2エチレンの定期修理を延期し、8月末まで設備を高稼働させ、在庫を積むこととした。

厚労省が講じた震災被害に対する特別措置の適用を受けることで、現行の法律の範囲内で最大限の延長措置を受けるメドがたったもの。

定期修理は最長で4年間隔だが、鹿島は2007年12月に火災を起こしたため、現在は年に1回となっている。

日本の合計設備能力の7,279千トン定修実施年ベース)の11.4%に相当する。

鹿島コンビナートの製品は以下の通りで、いずれも、三菱化学からの原料が来ず、他所からの原料持ち込みも出来ないため、生産ができない状況が続く。

このうち、PVCについては信越化学とカネカの2社合計の能力は728千トンで、全体の2057千トン(2009年末能力から3月末停止のヴイテック四日市を除く)の35%にも及ぶ。
(信越化学は日本では工場は鹿島のみ)

EOについては、三菱化学は鹿島以外の地域に製造工場を持つ各種界面活性剤等のメーカーを鹿島に誘致している。
   2008/7/31 
三菱化学鹿島のEOセンター


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電力の状況

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日本の電源別発電電力量の構成比は以下の通り。(2008年単位:%) 

ーーー

原子力発電所は現在、実験炉を含め、合計55基がある。

原発の問題点については 2011/3/29 福島原発事故 参照

* 地図はウイキペディア「商用電源周波数」記載のものに加筆

発電所名電力会社立地能力(万KW)
稼働中 建設中   計画
北海道電力 北海道古宇郡泊村 ①~②57.9、③91.2    
東通東北電力 青森県下北郡東通村 ①110   ②138.5
東京電力 ①138.5 ②138.5
女川東北電力 宮城県牡鹿郡女川町 52.4、②~③82.5    
福島第一 東京電力 福島県双葉郡大熊町・双葉町 46.0、②~⑤78.4、⑥110   ⑦~⑧138
福島第二東京電力 福島県双葉郡富岡町 ①~④110    
東海第二日本原子力発電 茨城県那珂郡東海村 110.0    
柏崎刈羽東京電力 新潟県柏崎市 ①~⑤110、⑥~⑦135.6    
浜岡中部電力 静岡県御前崎市 ③110、④113.7、⑤138   ⑥138
志賀北陸電力 石川県羽咋郡志賀町 54、②135.8    
敦賀日本原子力発電 福井県敦賀市 ①35.7、②116   ③~④153.8
美浜関西電力 福井県三方郡美浜町 ①34、②50、③82.6    
大飯関西電力 福井県大飯郡おおい町 ①~②117.5③~④118.0    
高浜関西電力 福井県大飯郡高浜町 ①~②82.6③~④87.0    
島根中国電力 島根県松江市 ①46.0、②82.0 ③137.3  
伊方四国電力 愛媛県西宇和郡伊方町 ①~②56.6③ 89.0    
玄海九州電力 佐賀県東松浦郡玄海町 ①~②55.9、③~④118.0    
川内九州電力 鹿児島県薩摩川内市 ①~②89.0   ③159
もんじゅ
(高速増殖炉)
日本原子力
研究開発機構
福井県敦賀市 28    

ーーー

東京電力3月25日、今年の夏における管轄地域での電力の需要・供給の見通しと対策について発表した。

単位:万kW
  3/24実績 7月末予想
最大需要  3,279 5,500
(平日平均の最大)   (4,800)
供給 3,650
(3,850)
4,650
*)
予備力 -50
150)
-850
(*)
 ( )は揚水発電を含む

震災で被災した鹿島火力発電所や常陸那珂火力発電所を復旧させるほか、計画的に停止していた横須賀火力発電所の運転再開、品川火力発電所、横浜火力発電所の定期点検からの復帰、ガスタービン発電機の新設などの対策を講じ、現在より約2割多い4650万kWの供給力を確保するが、それでも850万kWの不足となる。

海江田経済産業相は「猛暑なら最大で1500万キロワットの需給ギャップが生まれる」と指摘した。

各電力会社間では電気の相互融通を行っているが、交流電源の周波数が東日本の50Hzと西日本の60Hzと相違があるため、限度がある。

異なる周波数の電力会社間での相互融通のために、50Hzと60Hzの周波数変換を行う周波数変換所が3か所設けられているが、能力は電源開発の佐久間周波数変換所が最高30万kW、東京電力の新信濃変電所が60万kW、中部電力の東清水変電所が10万kW(現在仮運用中、設計30万kW)で合計100万kW(将来120万kW)しかない。(地図参照)

中部電力は東清水変電所の設計能力の30万kWへの増強を加速、5月末までに3万kW、さらに17万kWを上乗せするが、夏の電力不足には間に合わない。

関東では東京電燈がドイツのAEG製発電機(50Hz仕様)を導入して浅草火力発電所を稼働。
関西では大阪電燈が米国GE製の発電機(60Hz仕様)を採用。

終戦時に統一構想もあったが、各社が発電設備増強に忙殺され、立ち消えになった。

変換所増強には送電線敷設などに10年程度の時間と1000億円単位の費用が必要で、発電所を増やした方が早いという判断があるとされる。

EU統合に当たり、通貨と周波数の統合が行われたとされるが、欧州ではほとんどが50Hzであった。

ーーー

菅直人首相は3月31日、来日したサルコジ大統領との共同記者会見で、原発を2030年までに14基以上新増設するとした政府の「エネルギー基本計画」に関し、「どういうエネルギー政策を進めていくか、改めて議論する必要がある」と述べ、再検討する考えを示した。        


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BASFは3月25日、重慶のMDI計画について中国政府の認可を得たと発表した。

BASF単独で実施するもので、約860百万ユーロを投じ、重慶長壽化学工業区にニトロベンゼン 40万トン、アニリン 30万トン、粗MDI 年産40万トンと精製設備、MDI pre-polymer 20千トン、貯蔵設備、ユーティ
を建設する。2014年にスタートの予定。

ーーー

BASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設、TDI 16万トン、MDI 24万トンを2006年から生産している。

2007年6月、BASFは新しいMDIプラントを重慶に建設することを検討していると発表した。
同社は
Chongqing Chemical and Pharmaceutical Holding (Group) Company (重慶化醫集團)及び地方政府との間で協力契約を締結した。

協力契約を締結した重慶化醫集團は2008年8月に、主にこのMDI計画の原料供給のために、子会社で4製品の建設開始の式典を行なった。

・クロルアルカリ   30万トン  Tianyuan Chemical (天原化学) 
・フォルムアルデヒド  40万トン  Changfeng Chemical (長風化学)
・硫酸  40万トン  JianfengChemical (建峰化学)
・クロロプレンゴム    4万トン  Changshou Chemical (長壽化学)

BASFは2009年1月12日、中国環境保護省から重慶ケミカルパークでのMDI計画の環境承認を取得した。

2008/10/13 BASFの重慶MDI計画,進展か

ーーー

BASFのポリウレタンの製造拠点は以下の通り。

  MDI TDI  
ベルギー Antwerp  560,000 t   2007年に増設
ドイツ Schwarzheide     70,000 t  
米国 Geismar 260,000 t   160,000 t  
韓国 麗川 160,000 t   140,000 t  
中国 上海 240,000 t   Shanghai Lianheng Isocyanate 
  160,000 t Shanghai BASF Polyurethane
 
他に、
Polyether polyols   510,000 t  米(2)、メキシコ、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、韓国
Polyester polyols  115,000 t  独、伊、ブラジル、韓国

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