8月30日付の香港紙 South China Morning Post は、中国共産党指導部が周永康(Zhou Yongkang)前政治局常務委員の汚職をめぐる調査を開始することで合意したと報じた。
現役および退任後を含めて政治局常務委員が経済犯罪で調査を受ければ、文化大革命以降で初のケースとなる。
付記
新華社は9月1日、中国共産党中央規律検査委員会が、本年3月までCNPCの会長であった国務院国有資産監督管理委員会の蒋潔敏(Jiang Jiemin)主任(閣僚級)に対し「重大な規律違反」の疑いで調査を始めたと報じた。
新華社は9月3日、国有資産監督管理委員会の蒋主任(閣僚級)を「重大な規律違反の疑い」を理由に罷免したと伝えた。
同氏は党で約200人しかいない中央委員を務める。薄煕来被告とも政治的に密接だったと指摘されている。
これまで中国政府が中国石油天然気集団(CNPC)と子会社PetroChinaの幹部を「重大な規律違反」で取り調べていることが報じられていた。
先ず8月26日に、中国の中央規律検査委員会の情報として、CNPC副総経理の王永春が党の規律の重大な違反で調べられていると報じら、翌8月27日には中国国有資産監督管理委員会が他の3人を取り調べていると発表、CNPCは4人の辞職を発表した。
王永春(Wang Yongchun) CNPC副総経理、大慶油田分公司総経理 李華林(Li Hualin) CNPC副総経理 、子会社 昆侖能源(Kunlun Energy)会長 冉新権(Ran Xinquan) CNPC副社長、長慶油田分公司總經理 王道富(Wang Daofu) PetroChina 主任地質学者、勘探開發研究院(Exploration Development Institute) 院長
参考
CNPCの現在の董事長(会長)は周吉平(Zhou Jiping)で、2013年4月にPetroChina社長から昇格した。
総経理(社長)は廖永远(Liao Yongyuan)で、副総経理は退職した2人のほかに、汪东进(Wang Dongjin)、喻宝才(Yu Baocai)、沈殿成(Shen Diancheng)の3人がいる。
上記の4人はCNPCの元総経理で石油業界のドンとして君臨した周永康の側近(李華林・副総経理は秘書を務めていた)で、最終的に周永康を狙ったものではないかと噂されていた。
CNPC以外では、2012年12月に、周永康に抜擢された李春城・四川省党委副書記が双規(党紀律機関による幹部の拘束、取り調べ)処分となり、本年6月には長年にわたって周永康の秘書を務めた郭永祥が双規処分を受けた。
周永康は 1964年に入党、1966年に北京石油学院を卒業、1985年に石油工業部副部長(次官)となり、1988年にCNPCに転じ、1996年に総経理となった。 党に戻った後も業界で絶大な影響力を持っている。
2007年に第17期1中全会で中央政治局常務委員に昇進した。
江沢民一派の中心人物として目され、8月26日に収賄と横領、職権乱用の罪を問う公判が結審した重慶市の元トップの薄熙来(Bo Xilai)と緊密であり、薄熙来の政治局委員解任に唯一反対したと伝えられた。
薄熙来は公判で、起訴内容について繰り返し否認した。
判決は今後数週間内に言い渡される可能性がある。
習近平、李克強体制になり、昨年11月に周永康を含む旧常務委員7人は引退した。
South China Morning Post
紙は、調査開始決定の背景には、腐敗問題の規模や周氏一家の蓄財に対する党内の怒りが高まっていることがあるとしている。
周氏が四川省トップだった時代とCNPCに在籍していた時代が調査の中心になりそうだとしている。
周氏の息子の周斌は、薄熙来と組んだ油田事業などで多額の不当利益を得たと噂されており、周氏やその家族がこれから利益を得たかどうかが調査される見通しだという。
習近平国家主席は同調査を担当する当局者らに対し、「真相を解明するように」と命じたという。
習主席は昨年11月の就任以来、国民の不満が大きい汚職や腐敗の摘発を政権運営の柱の一つとし、権力の基盤固めを進めてきた。
「ハエも虎も一掃する」と腐敗取り締まりを宣言している。
習国家主席が自らの権力基盤を固めるため、「反腐敗を名目に石油閥に焦点を合わせた」との憶測が流れている。
中国共産党の新指導部体制は、太子党(高級幹部の子弟)、共産主義青年団(共青団)、上海閥の3派が並存するトロイカ体制である。
習近平国家主席は太子党
胡錦濤前主席や温家宝前首相、「リコノミクス」の李克強首相は共青団
江沢民元国家主席、周永康、薄熙来らは上海閥
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