「no」と一致するもの

本年度は減収で大幅減益となった。

翌2020年3月期は更に大幅減収、大幅減益となり、コア営業利益は本年度比で458億円の減益、2017年3月期比では845億円の減益となる。株主帰属損益はほぼゼロとなる。

減益の主たる原因はロイヤリティ収入の減である。技術ライセンス先が契約の有効性に疑義を持ち、仲裁にかけたもので、最終判断が出るまで、その部分の収益計上を取り止めた。

これまで、コア営業損益のほとんどがロイヤリティ収入で、しかもそのうちの半分以上が当該 1品目のものであった。その他の製品の販売ではトントンであることを意味する。

その収益計上をとりやめるため、一時的であっても、経営に大きな影響を与える。仮に仲裁で負けることとなると、致命的である。

ロイヤルティーに依存する事業戦略の見直しを迫られている。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 うち
ロイヤリティ
コア
営業損益
税引前 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2017/3 4,240 941 822 945 961 713 24.0 28.0
2018/3 4,339 773 791 785 788 580 38.0 28.0
2019/3 4,248 503 631 558 504 374 28.0 28.0
前年比 -91 -270 -160 -227 -283 -206 -10.0
2020/3予 3,760 115 192 100 120 50 28.0 28.0
前年比 -488 -388 -439 -458 -384 -324

同社は決算発表で次の通り説明している。

当期の業績:

筋萎性側索化症ALS)治療ラジカヴァきく伸長したもののロイヤリティ入等国内医療用医薬影響によりとなった。

利益面については究開により、減益となった。

次期予想:

国内医薬において、本年10消費増税続薬価改定によるでカバーるものジレニイヤ裁手こと認識わないことさらに、米ラジカヴァの待機患者一巡による新規患者減少もあり、前期から大幅予想

利益面では、上記要因はあるものの高水準究開じる予定であることから大幅減益となる。


下記2製品の影響が大きい。損益的には「ジレニア」の影響が全体の減益額に相当する。

1)  筋萎性側索化症ALS)治療ラジカヴァ」:

同社は20175月、米国でALS治療薬「ラジカヴァ」の承認を取得した。

2018年3月期の売上高は123億円であったが、2019年3月期には270億円となり、147億円の増収となった。翌期は新規患者の減で、50億円減の220億円となる。

2)  多発性硬化症治療剤「ジレニア」:

田辺三菱製薬 の前身の吉富製薬が創製し、海外ではノバルティス(スイス)に導出したこの薬剤のロイヤリティ収入は、収益の柱となっている。

吉富製薬は、1997年9月に、Novartis Pharma AGとの間でライセンス契約を締結し、京都大学の藤多哲朗教授、台糖(現「三井製糖」)と吉富製薬の共同研究から見出された世界初のスフィンゴシン1-リン酸受容体調節薬「FTY720(一般名:フィンゴリモド塩酸塩)」に関する全世界における開発権(日本については共同開発権)および販売権をノバルティスに対し許諾した。

田辺三菱は、吉富製薬の本件契約上の地位を承継し、ロイヤリティの支払いを受けていた 。

2019年2月、ノバルティスから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、ノバルティスを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。

ノバルティスは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、ノバルティスにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めている。

田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っている。

本仲裁は、ICCの仲裁規則に従い、英国ロンドンを仲裁地として行われる。

IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 があり、ノバルティスが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため 、売上収益から除外する。


各期の損益の内訳は下記の通り。(億円)

来期予想でジレニアのロイヤリティ額は不明だが、全体としてロイヤリティ収入の減額が売上高の減額とほぼ同じで、コア営業利益の減額ともほほ同じである。

2017/3 2018/3 2019/3 前期比 2020/3
予想
前期比
売上高 4,239 4,339 4,248 -91 3,760 -488
国内 3,203 3,208 3,077 -131 3,083 6
海外 1,036 1,129 1,170 41 676 -494
(うちラジカヴァ) (123) (270) (147) (220) (-50)
うちロイヤリティ 822 791 631 -160 192 -439
(うち ジレニア (537) (577) (497) (-80) 非公表
(インヴォカナ ) (188) (139) (105) (-34) 非公表
売上総利益 2,595 2,641 2,441 -200 1,975 -466
研究開発費 647 790 865 75 855 -10
コア営業利益 945 785 558 -227 100 -458


もう一つのロイヤリティの「インヴォカナ」は、ヤンセンファーマシューティカルズに導出した2型糖尿病治療剤




米国が
5月10日から中国製品への関税を引き上げたのを受け、中国は600億ドルの米国製品にかけている関税の引き上げを発表した。
これに対し米国は5月13日、第4弾の制裁関税を発表した。

これで米国の対中輸入、中国の対米輸入のほぼ全額に高額の追加関税がかけられる事態に進展した。

両国の経済に悪影響を与え、それが全世界の経済に波及することが懸念される。

ーーー

米政権は5月10日午前0時1分、2千億ドル分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた。

米国は制裁関税の第3弾として、2018年9月24日より2千億ドルの中国製品に10%の追加関税をかけた。これについては、2019年1月1日から10%から25%に引き上げるとしていた。

しかし、12月の首脳会談の結果、1月1日からの引き上げを延期し、両国で交渉を続けた。

2018/12/2 米、中国への追加関税を90日猶予

交渉はまとまるかと言われていたが、Trump大統領は突然、5月10日から25%に引き上げると発表した。

これを受け、中国国務院関税税則委員会は13日に公告を発表した。

米国側のこうした措置は中米経済貿易摩擦をエスカレートさせ、中米双方の交渉によって貿易の溝を解決するとの共通認識に背くものであり、双方の利益を損ない、国際社会の普遍的な期待に合致しない。

多国間貿易体制を守り抜き、中国自身の合法的権利を守り抜くため、中国は米国を原産地とする一部の輸入商品に対する調整を行い追加関税措置を執らざるを得ない。

中国共産党中央委員会と国務院の承認を経て、同委員会は、2019年6月1日午前0時より、すでに追加関税が実施されている600億ドル分相当のリストに掲載された米国製品の一部について、関税率を25%、20%、10%のいずれかに引き上げることを決定した。すでに5%の関税が上乗せされている品目については、引き続き5%を上乗せする。

中国が調整を行い追加関税措置を執るのは、米国の一国主義、保護貿易主義への対応だ。中国は、米国が二国間経済貿易交渉の正しい軌道に戻り、中国とともに努力し、中国と向き合って進み、相互尊重を基礎とした互恵ウィンウィンの合意への到達を目指すことを願う。

付記 6月1日に引き上げ

  • 2493品目について関税率を10%から25%に引き上げ。一部機械部品や天然ガス、スキンケア製品など
  • 1078品目については10%から20%に引き上げ。一部機械、光学機器など
  • 974品目については5%から10%に引き上げ。板ガラス、レーザー、制御弁など
  • 595品目については5%の税率を維持。自動車部品は引き続き対象外

米国が2018年9月24日に2千億ドルの中国製品に10%の追加関税をかけたのに対応し、中国は同日、600億ドルの米国製品に5%か10%の追加関税をかけた。

Trump大統領が6月18日に新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したのに対応し、中国国務院は8月3日、第3 弾の関税上乗せ策を実施することを発表した。

2018/8/6 中国、対米報復関税を発表

その時点では、税率は25%、20%、10%、5%の4段階であったが、実施に際し、25%と20%の分を10%に、10%と5%の分を5%に引き下げた。
米国が2019年1月1日から25%に税率を引き上げた場合、中国も引き上げるものと思われた。

2018/9/20 米国、対中関税第3弾を9月24日発動 

今回、米国が10%から25%に引き上げるのを受け、当初の4段階の税率に引き上げる。

対象となるのは約5200品目で、関税率が10%になっている品目のうち、液化天然ガス(LNG)やはちみつ、工具、家具など約2500品目を25%に上げる。
肥料、歯磨き粉、紙類、発電機など約1100品目は20%に引き上げる。

関税引き上げによる中国企業への打撃を防ぐため、適用除外の申請も受け付ける。

ーーー

トランプ米政権は5月13日、中国への制裁関税の第4弾として、携帯電話など約3000億ドル分の中国製品に最大25%の関税を課す計画を正式表明した。

対象は約3800品目で、金額ベースでは Apple の「iPhone」など携帯電話(432億ドル)が最も多く、次にノートパソコン(375億ドル)などがある。衣類など消費財 も多い。
生活や産業への影響が大きい一部の医薬品やレアアースは除外する。
適用除外の対象には冷蔵庫に使用される部品やレストランで使用されるドリンクミキサー、自動車のカメラ部品なども含まれる。

6月下旬まで産業界の意見を聴取する予定で、発動は6月末以降になる。 意見聴取次第で、除外品目を増やしたり税率も25%から圧縮したりする可能性がある。

トランプ大統領は6月末の日本での20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて、中国の習近平国家主席と会談する意向も表明した。

昨年12月のトップ会談で関税引き上げを中断したが、今回の会談で問題が解決にむかうことが期待される。
しかし、昨日のブログ記載の通り、問題が単なる貿易問題ではなく、今後の覇権を争うものであり、解決は難しいと思われる。

両国の関税合戦が激化すれば、世界景気への影響も避けられない。

ーーー

これまでの経緯は下図の通り。

米国側は4段階の引き上げで対象は合計5500億ドルとなり、現在の中国からの輸入品全体に追加関税をかけることとなる。

一方、中国は第3弾までで合計1100億ドルに過ぎない。

米国の対中輸入が5400億ドルあるのに対し、中国の対米輸入が1200億ドルしかないためである。

第3弾まででほぼ全輸入量が対象となり、米国の第4弾の制裁に対し、関税での報復は不可能である。

このため、他の方法で報復するとみられる。

中国の劉鶴副首相は5月10日、ワシントンで米中閣僚協議を終えたあとに中国のメディアとの共同インタビューに応じた。

発言内容は次の通り。

中国と米国の関係は非常に重要だ。中国と米国の協力が唯一の正しい選択だが、原則に基づくべきで、中国は原則に係る重要な問題については決して妥協しない。

経済問題、貿易問題は単に両国の関係にとどまらず、世界の平和と繁栄に関係する。

今回、中国代表団は米国側と率直で建設的な意見交換を行った。双方は協議を継続することで合意した。

中国は米国の追加関税に強く反対する。中国と米国に有害であるだけでなく、世界全体にとっても有害だ。中国は必要な対抗策をとる。


合意は平等で相互に有益である必要がある。双方は多くの点で重要な合意に達したが、中国にとって3つの問題点が残っている。

第一は、全ての追加関税を廃止すること。これが現在の貿易紛争の出発点で、双方が合意に達した場合、完全に撤廃する必要がある。(米国は中国の約束実行をみながら順次廃止する意向)

第二は、(中国による米国品の)購入量は現実的であるべきだ。昨年12月1日の両国のトップ会談で量について合意したが、勝手に変えるべきでない。(米国が無茶な増量を要求したか?)

第三は、協定案の文言のバランスで、どの国にも尊厳があり、文言はバランスが取れる必要がある。いくつかの重要な問題で更なる議論が必要だ。(米国案に中国にとって侮辱的な表現がある?)

昨年以降の双方の協議で いろいろ (up and down) があったが、これは当たり前のことで、双方がまだ交渉をしているのに、一方が他方を「撤回した ("backtracking") 」と非難するのは無責任だ。


中国には巨大な国内需要があり、サプライサイドの改革で中国製品、中国企業の競争力が高まる。財政政策、金融政策の余地も十分にある。中国経済は非常に楽観的だ。

発展途上で時に紆余曲折があることは、対応能力のテストになるため、よいことだ。

中国共産党と習主席の強力な指導のもと、中国国民が自信を持ち、ともに努力する限り、中国はいかなる困難も恐れず、持続可能で健全な経済発展を維持できる。

ーーー

これに対し、Trump大統領は中国が約束を撤回したことに怒り、追加関税を決めた。

Trump大統領は5月5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、5月10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。

大統領は5月8日、フロリダ州で開かれた支持者集会で、「中国が約束を破った。そんなことは許さない。だから中国は代償を払うことになる」と述べた。

"I just announced that we'll increase tariffs on China and we won't back down until China stops cheating our workers and stealing our jobs, and that's what's going to happen, otherwise we don't have to do business with them."

"They broke the deal. They can't do that. So they'll be paying. If we don't make the deal, nothing wrong with taking in more than US$100 billion a year."

米ブルームバーグ通信によると、北京での閣僚協議で中国側が、外国企業に対する技術移転強要を是正する法整備を拒否した。ライトハイザー氏からその報告を受けた大統領が怒り、追加関税を課す対中制裁の強化を決めたという。

大統領は、中国が約束を破ったのは、中国が次期大統領に民主党のJoe Bidenか誰かがなると思い、再交渉して今後何年も米国から毎年5000億ドルをふんだくろうとしているのではと見ている。

そんなことは起こらないとし、毎年1000億ドルの関税を徴収し、それで農民から農業製品を買い取り、それを世界中の貧しい人々に与えるのだ。Make America Great Again ! と述べた。

The reason for the China pullback & attempted renegotiation of the Trade Deal is the sincere HOPE that they will be able to "negotiate" with Joe Biden or one of the very weak Democrats, and thereby continue to ripoff the United States (($500 Billion a year)) for years to come.

Guess what, that's not going to happen! China has just informed us that they (Vice-Premier) are now coming to the U.S. to make a deal. We'll see, but I am very happy with over $100 Billion a year in Tariffs filling U.S. coffers...great for U.S., not good for China!

We will then spend (match or better) the money that China may no longer be spending with our Great Patriot Farmers (Agriculture), which is a small percentage of total Tariffs received, and distribute the food to starving people in nations around the world! GREAT! #MAGA

ーーー

本ブログは2018年9月にこう述べた。

仮に閣僚級協議を開催しても、中国としては、LNGや大豆の輸入拡大で対米黒字を減らすことは出来るが、Trump の要求する「Made In China 2025計画」の取り下げは中国の将来のためにも、メンツからも応じる筈がなく、問題の解決は難しい。

現在の米国の対中要求は協議の貿易問題ではない。LNGや大豆などの輸入拡大 による米国の対中貿易赤字削減は簡単である。

底にあるのは、中国が国の資金を投じて製造大国となり、米国を脅かすことであり、これを止めるよう求めている。 米国と中国の覇権争い問題である。

中国としては、降りられる話ではない。米国がこれにこだわる限り、解決は難しい。

  

Made in China 2025計画

2015年までに製造業規模世界第一位、世界の製造業大国になり、
ステップ1で、2025年までに、格差縮小、十点突破で製造強国の仲間入りを果たし,
ステップ2で、2035年までに工業化の実現により製造強国の中位レベルに到達する。
ステップ3で、建国100周年の2049年までにイノベーション先導で製造強国の先頭グループに入るとの目標を掲げている。

米政権は5月10日午前0時1分、2千億ドル分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた。

既報の通り、トランプ大統領はツイッターで 以下の通り述べた。

2500億ドルの中国からの輸入品に25%の関税がかかる。大金が直接、政府に入る。追加で入る1000億ドルの関税で米国の農家から農業製品を購入する。中国がこれまでに買ったよりもはるかに多額だ。これを貧しく、飢えた国々に人道援助の形で供給する」

「関税は通常の貿易関係によるよりもはるかに多くの富を米国にもたらす。」

更に 農業製品購入の残りの資金で現在民主党と交渉中のインフラ整備にも充てられると喜んでいる。

5月5日に引き上げを明らかにした際も、「輸入関税引き上げ分はほとんどを中国が負担するため、製品価格にはあまり影響ない」と述べた。

米財務省が2019年12月13日に11月の関税収入は62億ドルと前年同月比でほぼ2倍に増えた と発表した際にも、「数十億ドルの関税を勝ち取った、"MAKE AMERICA RICH AGAIN"」と誇らしげに述べた。米テレビ番組のインタビューで「中国がモノを米国に送る際に、彼らは25%を支払っている」とも語った。

米メディアは「大統領は中国製品にかけた関税の支払いを、米国民ではなく中国側が負担していると誤解しているのではないか」と疑問視する。 筆者も大統領は誤認しているとしてきた。

今回の引き上げについて、家電メーカーなどで組織する全米民生技術協会のシャピロ会長は5月5日、「大統領は、関税は中国が払うのではなく米国民と企業が負担するということを理解すべきだ」と声明を発表した。


しかし、少なくとも現状は、大統領の方が正しいように見える。関税引き上げ分を中国の輸出業者が値下げの形で負担しているように見える。

グラフは米国の消費者物価指数 (CPI) と中国の生産者物価指数 (PPI) の最近の動きを示すが、追加関税の課税が始まった2018年秋以降も、米国の食品とエネルギーを除く コアCPI は全く動いていない。今年に入り、逆に少し下がっている。

これに対し、中国の生産者物価は昨秋以降、急下落しており、1~2月は0.1% となった。 中国の非食品のCPIが米国とほぼ同じ動きを示しているのと大きな違いがある。

このグラフから、米国が実際に獲得した多額の追加関税の多くが、米国消費者に転嫁されず、中国の輸出業者が負担しているのではないかとの推測が出来る。

米国全体としては、消費者の負担が余りないが、多額の関税が(中国の負担で)国庫に入り、それを使って農民の余剰製品を買い取って人道援助に回し、インフラ整備もできるということになる。
しかし、こんなことがいつまでも続くはずはない。

1929年の大恐慌も各国が自国産業保護のため高関税政策を取ったために起こった。これを踏まえてできたGATT(→WTO)は関税引き下げを基本原則の一つとしている。

実は、このことを的確に予想していたレポートがある。

欧州のシンクタンクの EconPol Europe (Europen Network for Economic and Fiscal Policy Research) の2018年11月のPolicy Reportである。

レポートのタイトルは "Who is Paying for the Trade War with China?" である。

この時点では、2000億ドル分の輸入品について追加関税を2019年1月1日から10%から25%に引き上げることとなっており、それを前提にしている。

筆者らは、価格弾力性に注目した。価格が上がっても需要が余り減らない製品の場合(下図のInelastic demand) の場合、関税引き上げによる損失の大部分は値上げの形で消費者が負担する。

逆に、Elastic demand の場合は、数量が大きく減少し、輸出業者の負担が大きくなる。供給を維持しようとすると、輸出価格を引き下げて追加関税を負担せざるを得ない。

関税無しの場合、価格P1で数量Q1で取引されていた。
関税が25%加わった場合、価格がP1のままなら、購入価格はP1 x 1.25 となり、高すぎて需要家は買わない。
取引成立のためには、関税負担を売り手と買い手が一部ずつを負担する必要がある。

元々、買い手は価格がPd に上がれば数量を減らし、Q2だけ買う。売り手は数量Q2が売れるなら価格Psまで下げる用意がある。
買い手の上限Pdと売り手の下限Psの差が丁度 関税額(Ps x 0.25)に相当する価格 Ps で、数量Q2の輸出が続く。
買い手は新関税(Pd マイナス Ps)のうち、旧価格 P1 とPdの差を負担し、売り手はP1 とPsの差を負担する。

価格弾力性が高いほど、輸出業者の負担が大きくなる。必須品で他に供給が無い場合、関税は買い手に転嫁される。

均衡点Psが見つからなければ、取引は成り立たず、輸出減となる。

Deadweight loss (死重損失):経済的効率性の損失であって、財やサービスについての均衡に達しない場合に生じる。
   関税追加により、売買数量がQ1からQ2に減ることによる買い手の買い損じ、売り手の売り損じを示す。

関税引き上げ対象製品をもとに計算した結果、下記の点が判明した。

25%の追加関税で、米国の消費者に転嫁されるのは 4.5%に過ぎず、中国の輸出価格が20.5%下がることとなる。
(日本経済新聞によると、関税対象の約7割は価格弾力性が1を超え、「値上がりに弱い」。)
下図のとおり消費財の値上がりが大きく、米国の消費者のうち、比較的安い中国品を買う低所得者への影響は大きい。

関税増額分のうち、75%程度を中国の輸出業者が負担する。 今後、米国向け輸出を止める業者も出るだろう。

対象製品の米国の輸入は 、数量減と値下げで、約37%減る。

この結果、米国の対中貿易赤字は17%減少する。

米国政府が戦略的に価格弾力性の高い製品を対象にした結果である。 (課税を全品目に拡大すると状況は変わる。)


注)2019年4月の米国向けの輸出は前年同月比13%減の313億ドルに落ち込んだ。 今後は更に減少するとみられる。


製品の種類により、弾力性が異なり、負担の割合が異なる。 米国のCPI、中国のPPIへの影響は次の通り。




EconPol Report の存在は、日本経済新聞の記事で知りました。)




米政権は5月10日午前0時1分、2千億ドル分の中国製品に課す制裁関税を現在の10%から25%に引き上げた。

この日、Trump大統領はツイッターを連発した。

追加関税は5月10日以降に米国向けに輸出され、通関した製品に順次かかるため、それまでに輸出された製品は同日以降に米国に到着しても10%のまま。
大統領はツイッターの中で、今後の交渉次第で追加関税を取り消す可能性を示唆している。

大統領は追加関税で農家から農業製品を購入し、それを飢えた国の人道援助に輸出すると述べた。
ツイッターにはないが、残りの大金をインフラ投資などに充てると述べた。

ツイッターは発表順に次の通り。

We have lost 500 Billion Dollars a year, for many years, on Crazy Trade with China. NO MORE!

米国は長年にわたり中国との馬鹿げた貿易で毎年5000億ドルを失ってきた。No More!
(実際は中国からの輸入が5000億ドル、貿易赤字は3750億ドル)

Talks with China continue in a very congenial manner - there is absolutely no need to rush - as Tariffs are NOW being paid to the United States by China of 25% on 250 Billion Dollars worth of goods & products.
These massive payments go directly to the Treasury of the U.S.
The process has begun to place additional Tariffs at 25% on the remaining 325 Billion Dollars. The U.S. only sells China approximately 100 Billion Dollars of goods & products, a very big imbalance. With the over 100 Billion Dollars in Tariffs that we take in, we will buy agricultural products from our Great Farmers, in larger amounts than China ever did, and ship it to poor & starving countries in the form of humanitarian assistance. In the meantime we will continue to negotiate with China in the hopes that they do not again try to redo deal!

中国との交渉は友好的に続く。急ぐ必要はない。今や2500億ドルの中国からの輸入品に25%の関税がかかる。大金が直接、政府に入る。
残る3250億ドルの輸入品に追加の25%の関税を課す準備が始まった。米国は中国に約1000億ドルしか輸出していない。不平等だ。
追加で入る1000億ドルの関税で米国の農家から農業製品を購入する。中国がこれまでに買ったよりもはるかに多額だ。これを貧しく、飢えた国々に人道援助の形で供給する。
中国との交渉も続ける。中国が再び決まったことをひっくり返すことがないと望んで。

Tariffs will bring in FAR MORE wealth to our Country than even a phenomenal deal of the traditional kind. Also, much easier & quicker to do. Our Farmers will do better, faster, and starving nations can now be helped. Waivers on some products will be granted, or go to new source!

関税は通常の貿易関係によるよりもはるかに多くの富を米国にもたらす。はるかに簡単に、はるかに速く。米国の農家は良くなり、飢える国は救済される。
特定の製品は関税を除かれる。中国以外の国から輸入しても良いのだ。

Tariffs will make our Country MUCH STRONGER, not weaker. Just sit back and watch! In the meantime, China should not renegotiate deals with the U.S. at the last minute. This is not the Obama Administration, or the Administration of Sleepy Joe, who let China get away with "murder!"

関税は我が国を弱めるのではなく、もっともっと強くする。見ていろ!
中国は最後の最後になって米国と再交渉しようとすべきでない。この政府はObama政権でない。中国の「殺人」さへ無罪放免した Sleepy Joe (Joe Biden)の政権とも違うのだ。

民主党大統領候補のJoe Biden と歌の Sleepy Joe をかけている。)

Build your products in the United States and there are NO TARIFFS!

製品を米国で生産せよ。関税はかからないよ。

Your all time favorite President got tired of waiting for China to help out and start buying from our FARMERS, the greatest anywhere in the World!

あなたの大統領は中国が助けてくれるのを待つのに厭きて、米国の農家から買い始める。世界のどこよりも優れている米国の農家から。

Great Consumer Price Index just out. Really good, very low inflation! We have a great chance to "really rock!" Good numbers all around.

消費者物価指数が発表された。非常に低いインフレ率だ。"really rock" (really good) のチャンスだ。良い数字ばかりだ。

(労働省の5月10日発表で、4月のCPIは2.0%、食品・エネルギー除外で2.1%であった。これまでの追加関税で物価は上がっていない。

Looks to me like it's going to be SleepyCreepy Joe over Crazy Bernie. Everyone else is fading fast!

民主党大統領候補は SleepyCreepy Joe(Joe Biden)がCrazy Bernie(Bernie Sanders)より優勢に見える。その他の候補は消え去った!

"We have been engaged in an unfair relationship with China for a long time. They have reneged on the commitments they made to the WTO, particularly around intellectual property." Carly Fiorina @MariaBartiromo

「米国は長年、中国との不公正な関係を続けてきた。中国はWTOとの約束、特に知財関連、を破ってきた」とHewlett-Packard の元CEOのCarly Fiorinaが述べた。Fox NewsのMariaBartiromoがそう言っている。

Over the course of the past two days, the United States and China have held candid and constructive conversations on the status of the trade relationship between both countries. The relationship between President Xi and myself remains a very strong one, and conversations into the future will continue. In the meantime, the United States has imposed Tariffs on China, which may or may not be removed depending on what happens with respect to future negotiations!

この2日間、米国と中国は両国の貿易関係について率直な建設的な会話を続けてきた。習首席と私の関係も依然として非常に強い。今後も交渉は続く。
米国は中国に追加関税を課したが、今後の交渉の結果次第で取り下げるかも知れないし、取り下げないかも知れない。(取り下げる可能性を示唆)


付記 翌11日のツイッター

Such an easy way to avoid Tariffs? Make or produce your goods and products in the good old USA. It's very simple!

関税を避けたい? アメリカでつくればよい。簡単だ!

I think that China felt they were being beaten so badly in the recent negotiation that they may as well wait around for the next election, 2020, to see if they could get lucky & have a Democrat win - in which case they would continue to rip-off the USA for $500 Billion a year.

The only problem is that they know I am going to win (best economy & employment numbers in U.S. history, & much more), and the deal will become far worse for them if it has to be negotiated in my second term. Would be wise for them to act now, but love collecting BIG TARIFFS!

中国は、来年まで待てば、民主党が勝ち、また米国で稼げると思っているだろう。
唯一の問題は私が勝つことだ。好景気、雇用等々で。2期目になるともっと悪くなる。今行動する方がよい。しかし、多額の関税を稼げるのはよいことだ。



英国の王位継承 - 化学業界の話題

5月6日、英国のヘンリー王子とメーガン妃の間に第一子が誕生した。名前はArchie Harrison Mountbatten-Windsor で、王位継承順位は第7位である。

Archieは "genuine"、"bold" 、"brave" の意味という。


さきに日本の皇室の問題について調べた。

2019/5/6 令和スペシャル 天皇制について

英国の王室の継承について調べてみた。


1701年の王位継承法によるもので、条件は次の通り。

・ステュアート家の血を引いている者(ハノーファー選帝侯妃ゾフィー:Sophie von Hannoverの子孫)に限る。

ジェームズ1世(1566/6-1625/3 )はスコットランド、イングランド、アイルランドの王(スコットランド王としてはジェームズ6世)
チャールズ1世が継いだが、その系列はアン女王の死で断絶。 (共和制→王政復古→名誉革命 →権利の章典発布と波乱の時代)
エリザベスの子はゾフィー以外の兄姉及びその子孫はゾフィよりも早世またはカトリック教徒となったため、ゾフィが唯一の王位継承者となった。
しかし、ゾフィーがアン女王に先立って逝去したため、長男がジョージ1世として即位した。現在に至る。

・長子継承

・女性も継承者

これが王位継承者が非常に多い理由である。 そもそもがゾフィーを祖とする女系である。外国の王家に嫁した王女の子孫も後継者に含まれている。

なお、従来は男児優先であった。下図の通り、Ann王女は弟2人の下になっている。

その後、2011年10月28日の英連邦王国首相会議で、同日以降に生まれた者は、性別に関係なしとなった。

2013年に王位継承法を改正、William王子の第二子のPrincess Charlotte が最初の例となった。

・プロテスタント信仰であること。王位継承後イングランド国教会・スコットランド国教会に帰属すること。
   カトリック信徒、カトリックに転向した者は継承権を喪失する。

1689年2月の「権利の章典」で、名誉革命で追放されたジェームズ2世の数々の違法行為を列挙し、ジェームズ2世のカトリックの血筋を排除するとともに、カトリックの君主もしくはカトリックを配偶者とする君主はイギリス王位につくことはできないと規定された。   

・非嫡出子は継承権が与えられない。


現在の継承順位で20位までは下記の通り。赤字は女性。

この後は、女王の妹のマーガレット王女の子孫、女王の父(King Goerge Ⅵ)の弟2人の子孫、等々と続き、 婚姻関係を通じて欧州各国の王室も含まれる。

例えば、ノルウェー国王ハーラル5世は第68位、スウェーデン国王カール16世グスタフ は 第192位、デンマーク女王マルグレーテ2世は第221位、ギリシャ王妃アンナ=マリア は第235位などとなっている。

2011年時点で継承権の最下位はドイツ在住の女性で4973位であるという記事があった。



千代田化工建設は5月7日、業績予想の大幅修正を発表した。 (5月9日 決算発表した。)

同社は2018年11月9日発表の中間決算で、連結決算の最終損益が1,086億円の赤字と発表した。5月の前期の決算発表時には65億円の黒字を予想していた。

本年2月の第3期決算発表時にも同じ金額の予想を発表していた。

それに対し、今回は最終利益が2,150億円の赤字で、 3か月で赤字が倍増となっている。債務超過になる。

千代田化工の損益の推移は下記の通り。(単位:百万円)

売上高 営業利益 経常利益 株主純利益
2017/3実績 603,745 15,680 -3,080 -41,116
2018/3実績 510,873 -12,330 -10,100 6,445
2019/3 予想
  2018/5 400,000 11,500 12,500 6,500
2018/11 400,000 -86,500 -86,500 -105,000
2019/5/7 340,000 -200,000 -193,000 -215,000
2019/3実績 341,952 -199,795 -192,998 -214,948


2017年3月期では最終利益が411億円の赤字となった。

これは、千代田化工建設が35%出資するシンガポールのEzra HoldingsとのJVのEMAS CHIYODA Subseaが2017年2月に米国でChapter 11の申請をしたためで、同社は、営業外費用で130億円、特別損失で238億円、合計368億円の損失を計上した。

2018年3月期には、米国で工事を進めているCameron LNGプロジェクトで追加コストがかかったとし、123億円の営業損失を計上した。
この時点での2019年3月期予想では、特に問題意識はなく、営業利益で115億円の益、最終利益で65億円の益としていた。

2018年11月9日発表の中間決算で、連結決算の最終損益が1086億円の赤字と発表した。

米国で工事を進めているCameron LNGプロジェクトで、人件費の大幅高騰、現場工事の生産性低下で、工事コストが約850億円の大幅増加となる。

同社は、パートナーのMcDermott(CB&Iを吸収)と共同で、工事遂行プランの見直しをおこなってきたが、下記の点が判明した。

・2018年初頭からの現場作業員、特に技能工の不足が今後も続くこと

・それに伴う人件費の大幅高騰

・現場工事の生産性が5月以降、再び低下(現場が市街地から離れ不便なことなどから作業員の定着性が極めて低い)。

この結果、現場作業員の人件費を含む工事コストが大幅に増加すると見込み、約850億円を追加した。

今後については、「キャメロン対策タスク」を9月1日付で設置、計画どおりの完遂を確実にする対策を実施するとしていた。

2018/11/14 千代田化工建設、米国LNG計画で850億円の追加工事 

付記

三菱商事は5月14日、キャメロンLNGプロジェクトが現地時間5月14日にLNGの生産を開始したと発表した。

数週間の内にLNG船に荷積みされ、初出荷される見込み。


付記 

千代田化工建設は6月3日、第1系列からLNGの出荷を開始したと発表した。

トランプ大統領がツイッターで自慢した。

BIG NEWS! As I promised two weeks ago, the first shipment of LNG has just left the Cameron LNG Export Facility in Louisiana.
Not only have thousands of JOBS been created in USA, we're shipping freedom and opportunity abroad!



今回の赤字倍増の理由として、同社は次の説明をしている。

キャメロンLNGプロジェクト

第1系列の建設工事最終盤になって想定外のコスト増、現場作業員の離職率が想定以上に高止まりする中、生産性の向上が期待できない状況
第2、第3系列においても工事最終盤に同様のコストがかかるものと想定

2019/2の説明では、下図に記載の通り、追加コストは顧客負担としていた。

インドネシア・タングープロジェクト

様々な複合要因によってプロジェクトの進捗に大きな影響 があり、必要なコストを計上した。訴訟・仲裁等についてのリスクの見直し

同社は中間決算発表の「継続企業の前提に関する注記」で、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識」しているとし、筆頭株主の三菱商事(33.39%) などと財務体質の強化で協議するとしていた。

報道では今回、三菱商事は千代田化工建設の経営再建を支援する方針を固めた。LNGプラントの高い技術をもつ千代田化工の再建を後押しする。

三菱商事は千代田化工の優先株による第三者割当増資を引き受け、融資も実施することで1500億円超 の支援をするという。三菱UFJも融資で再建を支援する。


千代田化工が実施する第三者割当増資を三菱商事が引き受け、700億円の優先株を取得すると同時に900億円融資する。

三菱UFJ銀行も200億円融資して、2019年3月末時点で592億円の債務超過となった千代田化工の財務体質の改善を進める。

三菱商事は経営幹部ら30人規模の人材も送る。
三菱商事出身の大河一司・元機械CEOを千代田化工の会長兼CEOにあて、2017年に千代田に派遣された山東理二・社長兼CEOは社長兼COOにする。

三菱商事は1990年代後半に10.27%を出資して支援、2008年に第三者増資を引き受け、33.4%に増やし、現在に至っている。

1990年代後半は、海外プラント採算悪化に対する支援
2008年は、カタールLNGプラントが資材高騰で採算悪化、プラント事業のリスクが高まっているため「信用補完狙いの増資」とされた。

今回は議決権のない優先株の引き受けと融資などを組み合わせ、子会社にはしない。

ーーー

同社のLNGプロジェクトは次の通り。 (2019/2 発表)

なお、同社は本年2月に米国のGolden Pass LNG輸出基地の設計・調達・建設業務を受注したが、これについては、パートナーのZachryMcDermottが労働者の生産性など現地建設関連のリスクの責任を負うスキームとし千代田の負うスコープは基本的に設計と調達に限定した。(リスクが少ない代わりに、当然収益も少ない)

2019/2/9 千代田化工、米国 Golden Pass LNG輸出基地設計、調達、建設業務を受注 




2017年1月17日、米公正取引委員会(FTC)はQualcommをスマホ用の半導体の独占で連邦地裁に訴えた。後述の通り、スマートフォン用モデムチップで圧倒的なシェアを持つQualcommが、その地位を背景に端末メーカーに対して不利な契約条件を無理強いしたり、過剰なライセンス料を要求するなど独占禁止法に違反する行為を行っているとした。

この裁判は、カリフォルニア州北部連邦裁判所でLucy Koh 判事が担当し、2019年1月に審理が始まり、間もなく判決が出る。

米司法省の独禁法部門は5月2日、もしQualcommが有罪とされる場合、過度な罰則(remedy)が今後の5Gでの競争で米国が不利になることを懸念し、裁判所に対し、どんな罰則を与えるかについて注意深く考慮するべきだとし、罰則についてヒアリングを行うことを要請した。

過度に広範な罰則は5G技術とそれに依存する川下の利用技術の市場で競争力とイノベーションを下げる恐れがあるとし 、そうなれば、独禁法の罰則の適切な範囲を超えることとなるだけでなく、競争を助けるのではなく、競争を害する明確な可能性があるとする。

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2017年1月17日、米公正取引委員会(FTC)はQualcommをスマホ用の半導体の独占で連邦地裁に訴えた。

スマホ用モデムチップで圧倒的なシェアを持つQualcommが、その地位を背景に端末メーカーに対して不利な契約条件を無理強いしたり、過剰なライセンス料を要求するなど独占禁止法に違反する行為を行っているとした。

Qualcommはスマホの接続に必須の3G、4Gなどの無線通信技術CDMA(符号分割多元接続)の特許を持っている。企業の特許が技術標準として採択される場合、他企業がその特許を使用する時、特許権利者は「公平で、合理的、かつ非差別的」 (FRAND:Fair, Reasonable And Non-Discriminatory)に協議しなければならないという義務がある。

FTCはQualcommが次の点で独禁法に違反しているとした。

  • 特許料を支払わないとライセンスしない("no license, no chips")政策

モデム市場において90%を超えるシェアを確保していながら、何年もの間、CDMA/LTE特許に対して不当に高額なロイヤルティーを課していたことや、優位な取引を行うために半導体チップの出荷を中止するなど

  • FRANDに違反し、競合業者にライセンスを拒否
  • Appleに対し、Qualcommの競争相手から購入するのを禁止した。

発表文:https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2017/01/ftc-charges-qualcomm-monopolizing-key-semiconductor-device-used

これに対しQualcommは、自分たちのビジネスモデルは違法ではなく、競争と価格低下を招くので消費者のためになると主張している。また、そもそも自社の立場は独占的でないことも強調し、半導体チップの出荷を停止させたことなど一度もないと反論している。

この裁判は、カリフォルニア州北部連邦裁判所でLucy Koh判事が担当し、2019年1月に審理が始まった。

FTCはAppleやSamsung、Intel、Huawei などから証人を呼び、Qualcommのライセンス戦略がモバイル業界にもたらした悪影響について証言させた。

Qualcommは、顧客が同社のモデムチップを選ぶのは最高品質だからであり、ライセンス料をめぐって争っているときでも顧客にプロセッサを提供するのを 止めたことは一度もないと述べている。

専門家は2つの論点に整理している。

1つは、スマホメーカーがQualcommからチップを購入する際、デバイス本体の方でもロイヤリティが課される。Appleは これを double-dipping(二重取り)と表現している。
もう1つは、ライセンス料がデバイスの価格に比例して高くなるということ。ハイエンドモデルでは、モデムチップが占める役割は相対的に小さくなるが、常に一定比率の課金が徴収される。

Lucy Koh判事はQualcommにとって厳しい判断をするのではないかと推量されている。

判事は予備審査時の2018年11月に、FTCからの要請に従い、Qualcommに対し、ライバル企業にモデムチップに不可欠な技術を提供するよう命じる部分略式判決を出した。

判決には以下の記述がある。「モデムチップに関する標準必須特許のライセンスがセルラー通信の標準を順守および実装するためのものであること、さらにはQualcommがモデムチップメーカーに対して不公平な扱いをしてはならない理由を明確に示している」

判事はQualcommに「公平で、合理的、かつ非差別的 (FRAND)」扱いの義務があることを認めている。

ーーー

QualcommとFTCは共に和解の選択肢を検討するために判決の延期を求めたが、Koh判事はこの要求を却下した。



業界では判決について、つぎのような可能性を考えている。

Qualcommに対して、同社の「no license, no chips」方針を強制的に廃止させる。

Qualcommに、ライバルの半導体メーカーへのライセンス供与を強制する。

取引の一環としてクロスライセンスを要求することを禁じる可能性、など。


Trump政権はそもそも、訴訟そのものに反対であった。

FTCの訴訟は2017年1月20日のTrump大統領就任の直前に行われ、5人のメンバーのうち唯一共和党の委員は反対した。
Trump大統領就任で共和党員が3人となり、訴訟を取り消すと見られたが、委員長(共和党)が過去の職務との利益相反で投票せず、2:2となり、取り消されなかった。

中国のHuawei が5Gで世界各国に進出するのを政治的圧力で抑えているなか、仮にQualcommが敗訴し、厳しい罰則が課された場合、Qualcommの競争力が弱まり、結果として米国の競争力が弱まるのを懸念し、介入に出たとみられる。

2018/12/11 2019年度米国防権限法(NDAA2019) --- Huawei、ZTE等の米政府機関との取引からの排除

トランプ米大統領は2018年3月12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手BroadcomによるQualcomm の買収を禁じる命令を出している

2018/3/14 米大統領、BroadcomによるQualcomm買収禁止命令


日本の公正取引委員会は3月15日、 米半導体大手クアルコムが第3世代(3G)携帯電話に必要な通信技術の特許の使用契約を巡り、2009年9月28日付けで排除措置命令を受けた審判で、「公正な競争を阻害したと認めるに足る証拠はない」として、 これを取り消す審決を出したと発表した。

2019/3/21 公取委、 クアルコム特許契約の排除命令を取り消し  


AppleとQualcommは
4月16日、Appleの契約メーカー(Contract manufacturers) との間のものも含めて、すべての訴訟を取り下げることで合意した。

これについてQualcommは5月1日、Appleとの特許紛争の和解により、第3四半期にAppleからキャッシュで45億~47億ドルの支払いを受ける見込みだと発表した。

AT&T、Verizon
、Samusung電子等が相次いで5G 対応スマホを発売する中、Qualcommから5Gモデムの供給を受けられないAppleは発売できないでいる。Appleとしては、iPhoneの5G対応を早期に進めるためにも、Qualcommとの和解を急ぐ必要があったとみられ、実質的にQualcommの勝利である。

今回の和解を受け、Qualcommに代わってAppleにモデムを供給しているIntelは同日、5G対応のモデムの開発から撤退すると発表した。

2019/4/18 AppleとQualcomm、知財紛争で全面和解


FTCにとっては、AppleはQualcommの商法の最大の被害者で、訴訟ではAppleの証言を中心にしてきたが、梯子が外された形にな っている。残る「被害者」の大物はHuaweiで、米政権としては応援したくない相手である。

LG Chemは4月30日、SK InnovationがLG技術者を採用することにより、リチウムイオン電池技術を盗用したとし、LGの米国子会社と共同で、米国国際貿易委員会(USITC)Delawareの連邦地裁提訴したと発表した。

USITCに対し、LGの企業秘密を侵害するリチウムイオン電池のサンプルと基盤技術を米国に輸入するのを止めるよう求めている。

USITCは米国産業に対して損害を与えるダンピングや輸入品の商標、特許および著作権等知的財産権の侵害などを調査分析し、不公正な貿易を是正することを目的に設立された連邦政府の独立機関で、委員会が行う決定は、通関を禁止する排除命令と販売を中止する停止命令の2種類。

地裁への提訴は、損害賠償請求のため。

付記 米国国際貿易委員会は5月29日、調査開始(discovery)を決定した。

SK Innovation はEV用リチウムイオン電池では後発で、2012年に韓国で大量生産を開始した。韓国のほか、中国の常州に工場を持ち、ハンガリーで建設中。ドイツのDaimler AG やVolkswagen に供給している。本年3月にGeorgia州でEVバッテリー工場の起工式を行った。

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設

LGとしては、サンプルや基盤技術の米国への輸入を阻止し、米国での生産活動を妨げようとするもの。

LGの主張は次の通り。

SK Innovationは、LGのリチウムイオン電池部門の77人の高度の技術と経験を持つ従業員を雇用し、LGの企業秘密を取得した。

この技術はLGが世界で初めて商業用に開発した自動車用のパウチ型リチウムイオン電池で、世界中の自動車メーカー、家電メーカーに採用されている。

77人のなかには、最新型の電池を含むリチウムイオン電池のR&D、製造・組み立て、品質保証テストを担当する数十人のエンジニアを含んでいる。

その多くが、SKがパウチ型リチウムイオン電池の開発、製造をするのに役立てるべく、LGの企業秘密を盗んだ。

社内調査の結果、彼らはLGの秘密を盗み、それをSKに提供することで採用してもらっている。SKへの入社のための申請書や履歴書がLGのコンピュータに残っている。例えば、一人は電極製造プロセスに関する秘密情報をSKへの履歴書のなかに挿入していた。何人かはSKへの転職の前にLGのデータサーバーから400~1900件の技術資料をダウンロードしていた。

77人の転職が始まった2016年末から本年初めまでに、SKのEV電池の契約数量は14倍以上に増えている。

LGは以前に、韓国での同様のケースでSKに移動した5人の元従業員を競業禁止条項違反で訴えている。韓国最高裁は、LGの秘密情報が洩れる恐れが実際にあるとして競業禁止条項の発動を認めている。それにもかかわらず、SKは今に至るまでLG従業員を勧誘している。

これに対しSKは、「当社は透明でオープンな採用手続きにより従業員を採用している。裁判の席で説明する」としていた。

しかしLGは攻勢を強め、5月2日には「後発企業が技術開発に投資することなく、先発企業の企業秘密を簡単に利用するなどということが受け入れられるなら、今後、誰も大胆な投資などしない」と述べた。

これを受け、SK Innovation は5月3日に反論を発表した。

もう黙っておれない。競争相手が根拠のないことを述べ続けるなら、法的活動を含め、強く対応する。

SKはLGの技術を必要としない。提供するといっても断る。R&Dに大量の投資を行い、世界でベストの技術を既に確保している。また、LGの技術や生産方法と異なっているためだ。

LGの従業員を採用したのは通常の採用手続きによっており、技術を得るために競合会社から従業員を引き抜く必要はない。

LGの元従業員によると、多くの従業員がLGの待遇がひどいので辞めており、SKに入ったのはそのうちの76人に過ぎない。その多くは一般の労働者で、高位のものはごく少ない。技術が欲しくて採用するなら、一般労働者など雇わないはずだ。

LGは自社の待遇が悪くて従業員が辞めたのをSKのせいにしているのではないか。LGの元従業員の一人は、LGは他社を訴える時間があるなら自社の従業員の待遇を改善せよと言っている。

雇用プロセスに問題なく、企業秘密の盗用などしていないため、訴訟については心配していない。技術に関する訴訟があると需要家はその企業の製品を使うのを躊躇うため、注文に影響するのを懸念する。

LGの動きは、SKへの注文を邪魔するのが目的ではないかと疑う。

LGが攻撃を続けるなら、需要家の信頼の問題からも、強く対応せざるを得ない。LGが理性をとりもどし、誠意のある競争関係に戻ることを望む。

平成から令和に移り、新聞もテレビも皇室関係の記事で一杯である。

そのなかで次のブログが気になった。

小林よしのり(2019/5/1) NHKスペシャル「日本人と天皇」を見るべし

昨日のNHKスペシャル『日本人と天皇』を見たか?
この番組は再放送を必ず見た方がいい。
長い天皇の歴史で、側室で生まれた男子が半分もいたのだ。
男系の嫡出子は、ここ400年では、3人しかいないと言っていた。
昭和天皇から、奇跡が続いていたのだ。
奇跡はそろそろ終わるのではないか?

NHKの番組は見ていなかったが、天皇家の歴史を調べてみた。

今の天皇は第126代で、これまで男系が続いている。

126代のなかには、 8代10人の女性天皇がいる。

しかし、母娘の皇位継承はあるが、外部の男性との子供が皇位を継いだ例はなく、男系が継続している。

女性天皇

前任 後任
①33代 推古天皇 29代 欽明天皇の娘 弟の32代 崇峻天皇 兄の30代敏達天皇の孫の34代 舒明天皇
②35代 皇極天皇
③37代 斉明天皇
舒明天皇の弟の娘 34代 舒明天皇の妻 夫の34代舒明天皇 弟の36代 孝徳天皇
弟の36代 孝徳天皇 舒明天皇との息子の38代天智天皇
④41代 持統天皇 38代 天智天皇の娘
40代 天武天皇の妻 夫の40代 天武天皇 40代 天武天皇の孫の42代 文武天皇
⑤43代 元明天皇 38代 天智天皇の娘
41代 持統天皇の妹
天武・持統天皇の息子の草壁皇子の妻 草壁皇子との息子の42代 文武天皇 娘の44代 元正天皇
⑥44代 元正天皇 草壁皇子・元明天皇の娘
42代 文武天皇の姉
母の43代 元明天皇 弟42代 文武天皇の息子の45代 聖武天皇
⑦46代 孝謙天皇
⑧48代 称徳天皇
45代 聖武天皇の娘 父の45代 聖武天皇 40代 天武天皇の孫の47代 淳仁天皇
47代 淳仁天皇 天智天皇の孫の49代 光仁天皇
⑨109代 明正天皇 108代 後水尾天皇の娘* 父 後水尾天皇 弟の110代 後光明天皇
⑩117代 後桜町天皇 115代 桜町天皇の娘 弟の116代 桃園天皇 桃園天皇の息子の118代 後桃園天皇

*明正女帝の母は後水尾天皇の中宮の徳川和子で、徳川家康の孫(徳川秀忠の五女)

  

これまででも、男系継続は容易では無かった時が多い。

現在の天皇家は102代 後花園天皇を祖とするが、101代の称光天皇からは8親等も空いている。称光天皇の前の3世代に後継者がいなかった。

他にも、25代武烈天皇から26代継体天皇へは約200年前の15代応神天皇に遡り、10親等の隔たりがあり、48代称徳天皇から49代光仁天皇へは130年前の34代舒明天皇に遡り、8親等の隔たりがある。

後記のとおり、歴代天皇の家系で、現在残っているのは、天皇家のほかは19世代前(600年前)の102代 後花園天皇(1428-64)の弟の家系のみで、他は全て断絶している。

明治天皇には皇后との間には子が無く、側室との間に男5人、女10人の子が生まれたが、成人男子は大正天皇のみである。男系が 切れる恐れがあった。

男子 女子
皇后 なし なし
葉室光子 第一皇子 死産
橋本夏子 第一皇女 死産
柳原愛子 第二皇子 1歳で夭折
第三皇子(大正天皇)
第二皇女
千草任子 第三、第四皇女
園祥子 第四皇子 1歳で夭折
第五皇子 1歳で夭折
第五~第十皇女

大正天皇には4人の皇子が生まれたが、その3世代後の男子は悠仁親王1人だけである。


これまで男系が長期にわたり維持できた一つの理由に、側室制度があ った。 (それでも上記のように何度も断絶の危機があった。)

126人の天皇のうち、58人が非嫡出子である。 過去400年間で嫡出の天皇は109代の明正天皇(1629-43)を含め4人だが、明正天皇は女性で、男性では124代の昭和天皇、125代の 上皇、126代の現在の天皇の3人のみである。 明正天皇と昭和天皇の間の400年間はゼロ。

明治天皇の生母は孝明天皇の典侍の中山慶子、大正天皇の生母は明治天皇の典侍の柳原愛子である。 大正天皇以降は側室をもたない。

現在の皇室典範(昭和22年法律第3号)においては、天皇および皇族男子の子であっても、施行日以降に出生した非嫡出子は皇族の身分を与えられない。

第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、---。

明治典範第4条は 「皇子孫ノ皇位ヲ継承スルハ嫡出ヲ先ニス 皇庶子孫ノ皇位ヲ継承スルハ皇嫡子孫皆在ラサルトキニ限ル」と規定。

なお、養子は認められない。

第九条 天皇及び皇族は、養子をすることができない。

嫡出の皇子が天皇となったのは過去400年で昭和天皇、上皇、現在の天皇の3人のみで 、 しかも連続してであり、側室制度が無くなってからである。これは奇跡的である。

今後も継続する保証はない。

NHKスペシャル「日本人と天皇」 で「女系」に反対する急先鋒だった平沼赳夫元衆議院議員にインタビューしている。

(平沼赳夫元議員)
「やっぱり悠仁親王に男の子がたくさん将来お生まれになることが望ましい。」

(ディレクター)
「一般の我々にしても、女の子がずっと生まれるというのはある。天皇家だけ例外があるのかというとそれも・・・」

(平沼、しばらく無言で考えた後で)
「誰も結論は出ないでしょうけどじっと待つしかないな。それを信じながら」


今後の対策として、女性天皇が言われている。

今後の女性天皇はこれまでの女性天皇とは異なる。他に男系の皇族がいなければ、外部の男性との子供が天皇を継ぐこととなり、男系が切れることとなる。

これに対する反対が強い。

小泉内閣の有識者会議が2005年に女性・女系天皇の容認を提唱した。

婚外子除外などに触れ、「一組の夫婦の出生数が2人を下回れば、男系男子は世代を追うごとに減少し続ける」と警告。女性の社会進出も考慮しつつ、「皇位の男系継承を維持することは極めて困難。女性・女系天皇への道を開くことが不可欠だ」と結論付けた。

これに異論を唱えたのが保守派で、当時官房長官だった安倍晋三首相も、その一人。皇籍離脱した旧皇族の皇籍復帰を主唱した。

しかし、 歴代天皇の家系で、現在残っているのは、天皇家のほかは19世代前の102代 後花園天皇(1428-64)の弟の伏見宮貞常親王の家系のみで、他は全て断絶している。

1802年生まれの 伏見宮邦家親王から11宮家が生まれた。現在は5家が断絶、6家が残っている。なお、昭和天皇の香淳皇后は久邇宮家の出身である。

元JOC会長の竹田恒和氏はその一族で、 現在の天皇からは36親等という非常に遠い関係である。


皇室でなければ、19代前(約600年前)の祖先の兄弟の子孫で36親等というのは、赤の他人である。

生物学的には、父親の遺伝子と母親の遺伝子を引き継ぐため、数世代経つと、祖先の遺伝子を持つ可能性は極めて小さい。

これが母系であれば、人体のミトコンドリアは全て母方からの母性遺伝であるため、間違いなく祖先の遺伝子を引き継いでいる。
ミトコンドリアは太古の時代に、酸素呼吸能力を獲得した原核生物が原始真核生物に飛び込み、細胞内共生を始めたとされ(細胞内共生説)、細胞の核のDNAとは全く別のDNAを持つ。

これまでの 皇室の歴史で最も遠いのは、25代武烈天皇から26代継体天皇の約200年で、10親等の隔たりである。36親等というのは余りにも遠い。

民法725条は、6親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族を親族とするとなっており、これ以外は親族ではない

女性だからという理由だけで内親王ではなく、36親等以上も離れた人を後継の天皇とするのを、国民が認めるであろうか。



付記  男系継続はフィクションであるというブログを見付けた。

 池田信夫ブログ 2019/5/3



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