「no」と一致するもの


英政府は臨時閣議で承認した 離脱合意草案
概要及び将来関係の枠組みに関する政治宣言案概要を公表した。

付記 EUは11月25日、臨時の首脳会議を開き、協定などで正式合意した。移行期間延長は最長2年(2022年12月まで)とした。

メイ首相は記者会見で、離脱合意によって以下の状態が確保されると述べた。
 ・ EU域内の自由移動は「完全に決定的に」終わる
 ・ 英国の憲政上の一体性が守られる
 ・「民主的に選ばれた政治家がこの国の法律を作り、英国の裁判所がその履行を確保する」状態に戻る
   (欧州司法裁の管轄からの離脱)


要旨は以下の通り。

【移行期間の扱い】

【アイルランド国境】

 ○英国とEUは世界貿易機関(WTO)にかかわる問題については協力を続ける。

 ○英国とEUはそれぞれが単独でセーフガード(緊急輸入制限)を導入することが可能。

【離脱に伴う清算金】

 ○英国がEUに支払う必要のある「清算金」について、英国は合計350億~390億ポンド(約5兆1700億~5兆7600億円)と推計。

 ○離脱交渉を担う共同委員会とは別に、清算金支払いを管理する特別委員会を英EU共同で設置する。

 ○欧州投資銀行(EIB)や欧州中央銀行(ECB)への払込資本金は、英国に返還される。

 ○英国がEIBに支払った35億ユーロ(約4500億円)は2019年から12年間かけて返還される。

 ○英政府は清算金の支払いにあたって、英政府の代理となる監査役を任命する権利を求めて、EUと交渉する。EUは監査役に対して情報提供を行い、業務を支援することになる。

【市民の権利】

 ○英国で暮らすEU市民と在EUの英国市民に対し、居住や労働、教育などの権利について、2020年末までの移行期間終了後も離脱前と同等の権利を保障する

 ○移行期間の終了時点で、合法的かつ継続的に英国で5年間暮らすEU市民や、EUで5年間暮らす英国市民に対しては永住権を保障する。5年間に満たない場合、5年間に達するまで住み続けることができる。

 ○一般労働者や自営業者、国境を越えて働きに来る労働者らは、労働条件や労働支援などで現在同様の平等な権利が保障される。弁護士や監査役などの専門職も資格を保持し続ける。

 ○離脱協定に含まれる市民権は英国法に組み込まれる。市民権の内容解釈や各種の問題について、英国の裁判所は(EUの最高裁判所に相当する)欧州司法裁判所に申し立てることができる。この期間は離脱から8年間とする。

 ○欧州司法裁判所の判断はEU加盟各国で法的な効果を持つが、個別のケースにおける最終決定権は英国の裁判所が持つ。

 ○離脱協定にある英国での市民権が適切に実行されるかどうかを確認するため、独立した監督機関が設置される。

 ○市民権が守られない疑いがあれば、同機関は英国内で対策を求めて法的措置を取ることができる。EU内では欧州委員会が加盟国の法令順守を監督する役割を持つ。


将来関係(完全離脱後)の枠組みに関する政治宣言の概要は次の通り。

 物品貿易

包括的な自由貿易圏を創出し、制度・通関において密接な協力を実現
通関に関する野心的な取り決めにより、全品目で関税や数量割当の回避を目指す。

 金融サービス

英国とEU双方が規制・意思決定の独立性、自らの利益に基づく同等性(equivalence)評価の意思決定の自由を尊重しながら、金融市場の安定や市場の一体性などを維持
同等性評価の手続きは Brexit後 速やかに開始し、2020年6月までの完了を目指す。
EUは域外銀行の国の規制が同等だと認めない限り、域内の営業を許可していない。)

 漁業

英国が独自の規制を有する沿岸国であるとしつつ、双方の排他的経済水域へのアクセスや漁業権の割り当てなどについて新たな漁業協定を締結する。

 そのほか

国家補助、社会・雇用基準、環境基準、気候変動および関連税務などに関しては、公平・公正な競争環境を設ける。


OPECと非加盟産油国は2019年の減産に向けた下準備に入った。

OPECや非加盟のロシアなどの一部産油国でつくる減産の監視委員会は11月11日の会合で、世界経済の減速から来年は原油の供給が需要を上回るとの見通しを示した。
これまでは供給不足の懸念から減産を緩和して生産を増やしてきたが、12月のOPEC総会では、一転して協調減産の期間延長など来年以降の減産の具体策が話し合われる見通しになった。

サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は11日にアブダビで記者団に対し「われわれは責任ある産油国として妥当な範囲内に市場を均衡させるため懸命に取り組む方針だ」と発言、季節的要因もあってサウジ産原油の需要が「徐々に縮小しつつある」ため、輸出を減らす方針だと説明した。サウジは12月の原油輸出を11月に比べて日量50万バレル減らす。

アナリストは、「対イラン制裁を巡る適用除外は予想より大きかったため、サウジはイラン産原油の減少分を補うために実施した生産を減らすことで責任を果たそうとしている」と分析した。

これに対し、トランプ米大統領は11月12日、「できることならサウジアラビアとOPECは原油生産を削減してほしくない」とツイッターに投稿した。「原油価格は供給に基づいてもっと下がるべきだ!」と訴えた。

Hopefully, Saudi Arabia and OPEC will not be cutting oil production. Oil prices should be much lower based on supply!

大統領のこの発言で、供給過剰への警戒心が増幅され、狼狽売りが出たとされ、原油価格は1年ぶりの安値を付けた。


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OPECは2016年11月30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶり(国別)の減産で合意した。

2016/12/5 OPEC、8年ぶり減産合意 

OPECとロシアなどの非加盟の主要産油国は2016年12月10日、ウィーンのOPEC本部で閣僚会合を開き、協調減産で合意した。

参加国と減産量は下記の通り。(千バレル)

ロシア 300
メキシコ 100
オマーン 40
アゼルバイジャン 35
カザフスタン 20
バーレーン 小計  
63
ブルネイ
赤道ギニア
マレーシア
スーダン
南スーダン
非加盟国合計 558
OPEC 1,164
合計 1,722


2016/12/12 OPEC と非加盟国、原油の協調減産で合意


OPECとロシアなどOPEC非加盟の主な産油国は2017年11月30日、ウィーンで会合を開き、2018年3月までとしている現行の減産期限を9カ月延ばすことを決めた。

2017/12/2 OPECと主要非加盟国、原油減産の継続を決定

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2018年5月8日、トランプ米大統領は欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。核合意に基づく対イラン経済制裁を再開する大統領令にも署名した。

イランの石油業界とビジネスを行っている企業への制裁は11月5日に再開される。これにはイラン中銀と大きな取引を行っている外国金融機関への制裁も含まれる。

2018/5/10 トランプ大統領、イラン核合意離脱表明  

過去の平均では、イランの国家歳入のおよそ54%が石油収入であるが、トランプ大統領はこれを締め上げることでイランの経済を破綻させ、全ての核関連施設での国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れや弾道ミサイル開発の停止などをさせようとしたものである。

しかし同時に、イランの石油が市場から消えることで原油価格が上昇し、米国経済に悪影響を与えることを恐れた。

大統領は6月末にサウジ国王に電話し、増産を要請した。国王は「必要があれば原油増産が可能であり、サウジには日量200万バレルの生産余力がある」と述べた。

OPECは6月23日、非加盟産油国との閣僚会合を開き、協調減産を7月から一部緩和することで合意したが、これは行き過ぎた減産を当初の目標まで戻すもの。

OPECと非加盟10カ国は2017年1月から日量180万バレル(加盟国で120万バレル、非加盟国で60万バレル)の協調減産をしてきたが、実際には100万バレル程度多い280万バレル規模で減産されてきた。

このため、ÓPECと非加盟国を合わせ現状よりも日量100万バレルほど増やし、日量180万バレルの減産幅を厳守することを確認した。

米国の対イラン制裁などによる供給不足の懸念を拭えるかは不透明な部分もある。

大統領は11月の中間選挙を控え、原油価格のアップでイラン問題が争点化するのを避けるため、躍起になって動いた。

米エネルギー省は8月20日、原油輸入停止などの際に使う戦略石油備蓄を10月1日から11月30日に1100万バレル放出すると発表した。日量ベースで約20万バレルを売却する。
サウジには強く増産を要請した。

しかし、OPECとロシアなど主要非加盟産油国は、9月23日にアルジェリアで開いた会合で 、原油の増産を見送った。
サウジアラビアとロシアは、即時の追加増産は必要ないとの認識を示し、原油価格押し下げを求めるトランプ米大統領の要求を実質的に退ける形となった。

米国は11月5日午前0時過ぎから、イランへの制裁を再開した。ホワイトハウスは制裁が「史上最強」のものになると強調している。

ポンペオ長官は、イラン産原油の主要輸入国である日本、中国、インド、韓国、トルコ、ギリシャ、イタリア、台湾に対しては、180日間イラン産原油の輸入を容認する方針を明らかにした。

2018/11/8 米国、イラン経済制裁を再開

韓国の金融委員会の証券先物委員会は11月14日、韓国の医薬品受託製造大手のSamsung BioLogicsが傘下のSamsung Bioepisの企業価値を意図的に過大申告していたと指摘した。

会計規則を「故意」に破ったとの判断を示し、Samsung BioLogicsの外部監査法違反での検察告発と代表取締役の解任勧告、課徴金80億ウォン(約8億円)賦課などの制裁を議決した。
Samsung BioLogicsの株式取引は直ちに停止され、取引所は上場適格性の実質審査で、上場廃止の可否を決定する。

監査法人に対しては、重過失違反で課徴金1億7千万ウォン(約1700万円)を賦課し、Samsung BioLogicsに対する監査業務を5年間制限すると共に、会計士4人に対する職務停止を金融委員会に建議することにした。もう1社の会計法人については、過失違反でSamsung BioLogicsの監査業務を3年間制限することにした。

証券先物委員長は「Samsung BioLogicsがサムスン物産の子会社であるだけに、サムスン物産に対する監理も検討する」と述べた。

これに対し、Samsung BioLogicsは「証券先物委員会の決定に遺憾を表明し、行政訴訟を起こす」と発表した。

付記

韓国取引所は12月10日、サムスンバイオロジクスの上場維持を発表し、11日に株式売買が再開された。

証券先物委員会が先月の検察への告発を受け、同社の上場を維持または廃止に関する審査を進めていた。

韓国取引所は「企業の継続性、財務安定性、経営の透明性について総合的に検討した結果、一部不十分な点はあるものの、企業の継続性、財務安定性などを考慮し、上場を維持することにした」と明らかにした。

サムスンバイオの経営の透明性に対してのみ一部不十分な点があると指摘、サムスンバイオは、現在進行中の行政訴訟の結果と関係なく、監査機能および内部会計管理制度の強化などを内容とする改善計画を提出した。取引所は、今後3年間点検する予定。

これに対し、大規模な粉飾会計を行ったにもかかわらず、「投資家保護」を名分に上場廃止を免れたことをめぐり、見逃し決定ではないかとの指摘が出ている。

Samsung BioLogics は11月6日、同社の創薬子会社Samsung Bioepis に米製薬大手のBiogenが追加出資すると発表したばかりである。本年6月28日にオプションの権利を行使した。
11月7日に7595億ウォン(約676 百万ドル)を出資し、現在の5.4%からで「50%マイナス1株」とする。Samsung BioLogics は現在の94.6%から「50%プラス1株」となる。

今回の件で、Biogenはどうするのであろうか?

2018/11/13  Biogen、Samsung BioLogics 子会社に追加出資



態は下記の通り。

Samsung BioLogics は2011年12月、バイオシミラーの生産のため、米国のBiogen と合弁会社 Samsung Bioepis 設立の契約を締結した。 2012年2月に設立した。

出資比率はSamsung BioLogicsが85%、Biogen が15%であったが、Biogenは設立契約で 「50%マイナス1株」までの追加出資の権利を保有している。

しかし、Samsung BioLogicsはこのコールオプションの存在を2014年に初めて公表した。そしてBiogenがオプションを行使した場合、支配力が失われかねないとして、2015年にSamsung Bioepis を子会社から関係会社に変更した。

子会社から関係会社に変更する場合には、帳簿価格ではなく、市場価格で評価する。Samsung BioLogicsは2015年12月に、企業価値を3兆ウォン(約3000億円)と見積もりながら8兆ウォンと評価し、4兆8086億ウォン(約4800億円)の会計上の利益を得た。

Samsung BioLogics は2016年10月に株式公開(IPO)を控えていたが、債務超過の可能性があり、粉飾を行ったとみられる。

今回、証券先物委員会は、評価変更のうちの4兆5千億ウォン(約4500億円)を粉飾とみなした。

証券先物委員会は又、Samsung Bioepisに対するBiogenのコールオプションは、いわゆる「潜在的議決権」であり、Samsung BioLogicsSamsung Bioepis を設立時点から関係会社として評価すべきであったとしている。

しかし、その時点での「故意性」は認めず、「過失」とみなし、2014年の会計処理は粉飾であり、「重過失」とみなした。

本件については、一部の国会議員らはSamsung BioLogicsが上場審査に合格するために黒字を装った疑いを提起し、金融監督院は朴前大統領の失職後の2017年4月に、当時の会計処理を再審査する方針を示していた。

本年5月に粉飾疑惑が浮上し、Samsung BioLogicsのCFOは、当時の会計処理は「複数の大手会計事務所や金融監督院の審査を経て実行したもので適切だった」とし、粉飾を否定していた。

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2015年9月1日、第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T)が合併し、新しいサムスン物産(Samsung C&T) とな り、Samsungグループ支配構造の事実上の持ち株会社となった。

これにより、財閥の中心の三星電子に対する李一族の支配権が強化される。

この合併について、朴政権が第一毛織とサムスン物産2社の大株主だった国民年金公団に対し、所管官庁の保健福祉省を通じて合併に賛成するよう圧力をかけた疑いがあるとされた。

2017/1/20 ソウル地裁、サムスン電子副会長の逮捕を認めず

サムスン電子の李在鎔副会長は、本件で朴槿恵前大統領の助力を求めて大統領の長年の知人の崔順実被告へ賄賂を渡したとの贈賄罪などに問われた。

韓国のソウル高裁は2018年2月5日、李在鎔被告に懲役2年6月、執行猶予4年の判決を言い渡した。懲役5年の実刑としたソウル地裁の判決を変更した。李被告は釈放された。

2017/12/30 サムスン副会長の控訴審、検察側12年求刑

検察側は最高裁に上告している。

証券先物委員会の告発による検察捜査では、副会長の粉飾会計の指示の有無なども明らかになる。その場合、今後の最高裁審理で李副会長に不利な心証を判事に与える可能性がある。


SoftBank Vision Fund は、屋外からの熱や日差しの量を自動的に調節する「Dynamic Glass」を製造するView Inc.に11億ドルを投じる。

Fundにはサウジアラビアの政府系ファンドが450億ドル出資しており、同国出身ジャーナリストの殺害事件を巡ってサウジが国際的な非難を招いた後では最初の大型投資となる。


Dynamic Glassは、従来のガラスと違って、屋外の環境やユーザー設定(モバイルデバイスからの情報)に応答して、自動的に色合いを調整する。

シャッターやシェード、ブラインドが不要になり、自然光と視界を妨げることなく、熱と眩しさを削減することで、居住者の快適性を高め、省エネを実現する。

Dynamic Glassの製品価格は通常のガラスの約4倍だが、冷暖房空調および照明エネルギー消費は20%減、冷暖房空調の最大負荷は25%減になる。

同社CEOは、「窓はこれまで変化しない静止した物体だった。われわれは窓を初めてデジタル化している」と語った。

外光の強さにより、色合いのレベルを 1~4 に調整できる。

Tint 1

Tint 4


同社はこうした新しいタイプのガラスの開発に約10年をかけ、この2、3年間に空港や病院、オフィスビルへの販売が伸びている。
大口顧客にはダラス・フォートワース国際空港があり、同空港は窓ガラスによってターミナル内を涼しい状態に維持できている。

2012年に大規模生産を開始して以来、ミシシッピ州Olive Branchの製造施設において、急ピッチで出荷を行なっている。

すでに北米地区で100以上の施設等で導入されており、さらに新たに企業のオフィスビル、医療機関、官庁、高等教育機関、ホテル・レストランなど100の施設で導入が進められている。

2013年6月には、Corningとの間で、Dynamic Glass 拡販に向け、両社の能力を活用する戦略的開発契約を締結した。

これまでも、CorningやNZ Super Fund、Madrone Capital Partners などから資金を調達しているが、今回の資金は、製品開発の継続、製造設備の拡大、および営業と流通と、マーケティング努力に充てられる。

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SoftBank Vision Fundの概要(2017年12月31日現在)

2017/5/25 ソフトバンクの「10兆円ファンド」発足

出資総額 917億米ドル(うちソフトバンク 281億米ドル)
パートナー ソフトバンク
Public Investment Fund(サウジ)
Mubadala Investment(アブダビ)
Apple、Foxconn Technology、Qualcomm、シャープ
アドバイザリー会社 ソフトバンク100%子会社(日・米)
運営会社 ソフトバンク100%子会社(英国)
投資期間 最終クロージングから5年後まで(原則)
存続期間 最終クロージングから12年後まで(原則)
主な投資先
会社名(アルファベット順)事業内容
Arm Holdings plc 半導体テクノロジー・デザイン
Brain Corporation AIを活用した自律走行システム開発
Fanatics Holdings, Inc. スポーツ関連商品イーコマース
Flipkart Limited(Flipkart) イーコマース
Guardant Health, Inc. ゲノム解析によるがん診断事業
Improbable Worlds Limited VR/AR開発ツール
MapBox Inc. 地理情報プラットフォーム
Nauto, Inc. AIによる安全運転支援サービス
NVIDIA Corporation 半導体GPU開発
One97 Communications Limited(PayTM) オンライン決済サービス
Oravel Stays Private Limited(OYO Room) ホテル予約サイト
OSIsoft LLC 産業用 IoT ソリューション
PingAn Health Cloud Co. Limited オンライン医療ポータル
Plenty United Inc. 屋内野菜工場
Roivant Sciences Ltd. AIを活用した医薬品開発
Slack Technologies, Inc. ビジネスチャットツール
Vir Biotechnology, Inc. AIを活用した感染症用医薬品開発
WeWork Companies Inc.(WeWork) コワーキングスペースサービス
Zhongan Online P&C Insurance インターネット専業保険

韓国の医薬品受託製造大手のSamsung BioLogics は11月6日、同社の創薬子会社Samsung Bioepis に米製薬大手のBiogenが追加出資すると発表した。11月7日に7595億ウォン(約676 百万ドル)を出資し、現在の5.4%からで「50%マイナス1株」とする。Samsung BioLogics は現在の94.6%から「50%プラス1株」となる。

Samsung BioLogicsは2011年12月、バイオシミラー(バイオ医薬品後発薬)の生産のため、米国のBiogen と合弁会社 Samsung Bioepis 設立の契約を締結した。

出資比率はSamsung BioLogicsが85%、Biogen が15%であったが、現在はそれぞれ 94.6%と5.4%となっている。
Samsung BioLogics
はMerck とも開発で提携している。

Biogenは2012年の設立契約でSamsung Bioepis への「50%マイナス1株」までの追加出資の権利を保有しており、その権利を行使した。

資金力のあるサムスングループと結びつきを強めることが得策と判断した模様。

「Samsung Bioepis のこれまでの実績に満足している。オプション行使で、有力なバイオシミラー企業に有利な条件で出資を増やせた。Samsung BioLogicsとの関係強化を期待している」と述べた。

Samsung BioLogicsにはサムスン物産が43%、サムスン電子が31%を出資する。
サムスン電子はバイオ医薬を4つある重点成長領域の1つに掲げ、主力の半導体事業で培ったクリーンルームの運営ノウハウを応用して医薬品受託製造事業の育成に力を注いでいる。

本年10月、仁川市に第3工場を完成させた。投資額は8500億ウォンで、医薬品の生産能力は従来比2倍の36万リットルに増えた。サムスンはスイスのロンザやドイツのベーリンガーインゲルハイムを抜いて「生産能力では世界最大になった」としている。

新工場が欧米の関係当局の基準を満たすことを検証する試験運転を近く開始し、2年後に本格稼働させる。

第1プラント 3万リットル 2015年に米FDAから正式に生産認可
品質安全性など3つの核心基準ですべて「無欠点」通知を受けた。
第2プラント 15万リットル 2016年3月に操業開始
第3プラント 18万リットル 2018年10月 完成
合計 36万リットル  

2015/12/26 Samsung BioLogics、バイオ医薬品受託生産 世界首位へ

Samsung BioLogicsはこれで大型投資が一服し、今後は、成功すればより高い収益を期待できる創薬事業の育成に力を注ぐ方針とみられる。

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Samsung Bioepisはバイオシミラーの開発と承認プロセスを劇的に減らし、グローバル市場に定着した。

節リウマチ治療剤である「エンブレル」のバイオシミラーを豪州・カナダ・韓国・ヨーロッパで、関節リウマチ・強直性脊椎炎などの治療薬である「レミケード」のバイオシミラーを米国・豪州・韓国・ヨーロッパなどで販売している。

Samsung Bioepisは2017年8月、武田薬品工業との間で開発中の複数の新規バイオ医薬品を共同開発する内容の戦略的提携契約を締結した。両社で開発業務を分担することで、失敗のリスク半減を図る「リスクシェアリング・パートナーシップ」の形式を採用している。

武田の癌や消化器疾患といった重点領域への選択と集中の一環であり、まずは武田の重点領域から外れている前臨床段階の急性膵炎治療薬「TAK-671」の共同開発を行う。 動物実験から臨床試験までを共同で実施し、今後は他のバイオ新薬にも協力対象を拡大していく。

Samsung Bioepisは2018年8月、急性膵炎治療薬「TAK-671」の臨床試験(治験)を始めると発表した。米食品医薬品局(FDA)に治験の計画を申請し、認可を得た。新薬候補が人体に安全かを評価する初期段階の治験を実施する。

同社によると、米国や韓国では、急性膵臓炎の患者は人口10万人あたり20人前後の割合でいる。アルコール消費量の増加に伴って男女とも年々増える傾向にある。治療薬の市場規模は5兆ウォン(約5000億円)程度とみられる。

浙江省の鳥鎮インターネット国際エキシビション・ コンベンションセンターに「無人クリニック」が登場した。11月9日の「人民網日本語版」が報じた。

第5回世界インターネット大会は11月7~9日、中国浙江省桐郷市の烏鎮で開催された。

このクリニックは、「診察ボックス」と「薬の自動販売機」からなっている。

診察ボックスで「クラウドドクター」の問診を受けた後、患者が訴えた症状と設備を使った検査の結果を通して、ドクターが初期段階の診断結果を説明してくれる。

問診が終わると、「ドクター」のアドバイスに基づいて、隣の「薬の自動販売機」で薬を買うことができる。

スタッフによると、この「1分間クリニック」では、常備薬100種類以上をカバーしている。

自動販売機で扱っていない場合は、アプリを通してオンラインで購入し、提携している薬局に配送してもらうことができる。

頭痛や風邪などよくある病気の場合、このようなセルフサービスを利用すると、時間を節約でき、とても便利だとしている。

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第5回世界インターネット大会では、人工知能(AI)を使ったアナウンサーも発表された。

AI アナウンサーは新華社とIT企業が共同開発した。実在のアナウンサーの映像と声を利用し、表情やしぐさもつけてニュースを読む。放送した内容からさらに自分で学習し、読み間違いもない。英語と中国語を開発しており、近く実用化の予定という。





東芝は11月8日、米国産液化天然ガス(LNG)に係る事業から撤退すると発表した。

LNG事業に係る全ての契約も移管または 解除することで、2019年3月31日までに本件譲渡を完了させて、LNG事業から撤退することを目指す。

相手先は開示していないが、中国の民間ガス大手、新奥能源 (ENN Energy Holdings)であると報道されている。


米国のFreeport LNG はテキサス州Quintana Island にLNGプラントを建設中で、2011年に
米エネルギー省からFTA締結国向け輸出の承認を受け、2013年5月に日本などFTA非締結国への輸出の承認を初めて受けた。第4系列については2018年3月にFTA非締結国向け輸出の承認を受けた。

東芝は、日本をはじめとする各国の需要家へのLNG販売を目的として、2013年に年間220万トンの20年間(2019年から)の契約を締結した。

Freeport LNG


株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
 

大阪ガス

  220万トン
  中部電力   220万トン
  BP Energy   440万トン
  東芝   220万トン
SK E&S LNG

220万トン

Trafigura

50万トン

  再計  

1370万トン


2013/5/20 米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可


東芝は、これを武器に
日本の電力会社などに火力発電設備を売り込もうとしたとされる。

東芝が契約した2013年当時は、東日本大震災後で日本では原子力発電所が停止し火力発電所に依存してLNGの需要が高まっていた。

しかし、現時点でも販売先は全く決まっていない。これらは全て Take or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取りが必要である。このため、同社では(過去に)最 大1兆円の損失の恐れがあるとしていた。

同社では、LNGについて、市況の悪化、より低コストのプロジェクトが今後開発されること等により当初想定していた取引条件を下回る条件、あるいはコストを下回る価格での販売を余儀なくされ、それにより将来的に損失が発生する可能性があるとしている。

本年8月に入り、東芝はこれを売却する方針を固めた。米のLNG業者のTellurian Inc.や中国石油天然気(PetroChina)など10社程度が同事業の買収に関心を示していたとされる。

Tellurian は10月31日、「検討の結果、買い取らないことを決めた」と語った。

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売却先の新奥能源(ENN Energy Holdings)は、香港証券取引所に上場する中国の民間ガス大手。

中国で都市ガス供給やガス導管の管理、トレーディングなどを手掛ける。近年は米シェブロンや仏トタルなどとLNGの調達契約を結ぶなど積極的に取引量を増やしている。東芝のLNG事業を取り込むことで調達先の多様化を進める。

東芝では、交渉相手のなかで、LNG事業に付随する損失リスクの明確化・最小化・一括処理の観点から同社を選択した。

譲渡の条件は次の通り。

・事業会社(東芝アメリカLNG)の売却 売却額15百万ドル

LNG全量引取基本合意書でのLNG引取義務の引き継ぎ  821百万ドルを支払う

  この保証のため、500百万ドルの銀行保証状の差し入れが条件となっている。

東芝は新奥能源に支払う予定の821百万ドルを損失に計上する。

米国は11月5日、イランの石油や金融部門を中心に経済制裁第2弾を再開した。イランのミサイルや核開発を制限すると共に、中東地域で高まるイランの軍事・政治的影響力を抑える狙い。


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トランプ米大統領は5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。核合意に基づく対イラン経済制裁を再開する大統領令にも署名した。

2018/5/10 トランプ大統領、イラン核合意離脱表明  

制裁内容は次の通り。

最初の期限 8月6日

各企業はイラン国債ないしイラン通貨の保有を段階的に縮小しなければならない。
イラン政府のドル獲得ないし買い増しを助ける個人ないし企業はこの日までに制裁を科される。

イランの金などの貴金属、黒鉛・石炭、アルミニウムや鉄鋼などの金属の貿易や、イラン自動車業界、じゅうたんやキャビアなど高級品への制裁も8月6日に再開される。

イランの石油業界とビジネスを行っている企業への制裁は11月5日に再開される。これにはイラン中銀と大きな取引を行っている外国金融機関への制裁も含まれる。

らにイランのエネルギー業界に制裁を科すほか、イラン国営石油などの企業との石油関連取引も対象とする。


トランプ政権は制裁解除の条件として、全ての核関連施設での国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れや弾道ミサイル開発の停止など12項目を満たすようイランに求めている。

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米国は11月5日午前0時過ぎから、イランへの制裁を再開した。ホワイトハウスは制裁が「史上最強」のものになると強調している。

今回の制裁では、石油輸出、船舶、金融など経済の重要部門全てが対象になる。

今回の制裁は、700以上の個人、組織、船舶、航空機が対象となる。この中には大手銀行、石油輸出企業、船舶会社も含まれる。

ポンペオ長官によると、すでに20カ国超がイランからの原油輸入を日量100万バレル超減らしているという。

長官は、イラン産原油の主要輸入国である日本、中国、インド、韓国、トルコ、ギリシャ、イタリア、台湾に対しては、180日間イラン産原油の輸入を容認する方針を明らかにした。

これらの国が既に「イランからの原油輸入を大幅に減少」させているが、「輸入量をゼロにするには、もう少しの時間」が必要と語った。2カ国がイランからの石油輸入を最終的に止め、残る6カ国も大幅に輸入量を減らすだろうと述べた。

米議会ではトランプ政権の姿勢が弱腰だとの批判が出ている。

共和党のルビオ上院議員はイラン産原油の輸入を中国に認めることを批判し、中国以外の国についても「早期に適用除外をやめるべきだ」と訴えた。


イランのこれまでの輸出先は次の通り。

しかし、仮にこれら8カ国が従来通り輸入を続けたら、今までの3/4の輸入が出来ることとなり、制裁の体をなさない。

調べると記者会見でポンぺオ長官は、8カ国の名を挙げた後に次の通り述べている。

Additionally today, 100 percent of the revenue Iran receives from the sale of oil will be held in foreign accounts. Iran can only use this money for humanitarian trade or bilateral - in bilateral nonsanctioned goods.

石油代金は外国の口座に入れられ、人道的な取引か、制裁対象外の商品の購入にのみ使うことができる。

具体的に、どのように規制するのか明確ではないが、8カ国が当面輸入をするのは認めるが、イランがその代金を自由に使うのは許さないということと思われる。

更に、米国の制裁開始に歩調を合わせ、銀行間の国際決済ネットワークを運営する「国際銀行間通信協会」(SWIFT)は11月5日、複数のイランの銀行をSWIFTの国際送金網から遮断すると発表した。

核合意存続を訴える欧州はイランとの貿易にSWIFTは欠かせないとして遮断に反対したが、制裁の抜け道をふさぎたい米国はSWIFTも制裁対象になると警告し圧力をかけ 、押し切った。

SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication )は、銀行間の国際金融取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージをコンピュータと通信回線を利用して伝送するネットワークシステム。

200 以上の国・地域の金融機関1万1千社以上が参加。送金に必要な通信ネットワークの管理を担う。送金情報を伝えられなければ銀行は国境を越えて送金できなくなる。

国際送金網から完全に遮断されれば、イラン企業は外国企業との商取引で多額の現金決済を強いられ、イランと貿易を続けようとする外国企業との決済は困難になる。

核合意成立前の2012年に、米欧とイランの対立が深まった際にイランはSWIFTから遮断されたことがある。

SWIFTは声明で「世界金融システムの規範を維持する使命に従う」と表明した上で「残念ではあるが、(遮断)措置を取った」と説明している。

遮断するイランの銀行の数は明示しなかったが、制裁が目的のため、主要銀行は全て含まれていると思われる。

日本の石油会社は、制裁発動に備え、イランからの輸入を停止していたが、今回の措置で、輸入を再開するであろうか。 出来るのだろうか。



中国外務省の華春瑩副報道局長は定例会見で制裁再開について「遺憾」の意を表明。「中国はイランの努力を高く評価しており、包括合意へのたゆまぬ努力を続けると同時に、我々の合法的な権益を守る」と述べ、「中国とイランの正常な協力は国際法のもとで尊重され、維持されるべきだ」として、イランからの原油輸入を続ける意向を示した。

欧州連合と英独仏の外相と財務相は制裁発動に先立つ2日、「大変遺憾」とする共同声明を出した。声明は、米国が抜け出たイラン核合意は「核不拡散のための世界的な枠組みだ」とし、イランが核合意を順守し続けるよう、イランと欧州企業間の原油や金融取引が続けられる方策を模索するとしている。

三菱瓦斯化学は11月1日、SABICと日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)との50/50JVのSaudi Methanol Company (AR-RAZI) が11月29日に合弁契約の期限切れを迎えると発表した。

両親会社は、現行の契約の延長の交渉を行っているが、現時点で最終合意ができていない。

このまま期限が来た場合、JVは解散する。その場合の取り扱いは明らかにされていないが、しかるべき条件でSABIC 100% になると想像できる。

三菱瓦斯化学の連結決算での本件の投資損益は、2008~2017年度平均で約120億円 (日本側全体ではその倍)となっており、解散の場合はこの分が減益になる。

同社の経常損益と、そのうちの持分損益の推移は下記の通り。サウジの他にもブルネイ、ベネズエラにメタノールの持分法JVを持つ。

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サウジは1970年代央に、油田で燃やされていた石油随伴ガスを貴重な原料として石油化学を興すことを決めた。

1975年に石油化学基地として2つの工業都市の建設が決められた。1つは油田に近いペルシャ湾岸のAl-Jubail、もう1つは紅海沿岸のYanbu である。

1976年9月にサウジ基礎産業公社 (SABIC)が設立された。

石油化学計画実施のため、ガス収集システムと両工業都市を結んで原油とガスを送るパイプラインが建設された。

石油計画の遂行に当たり、サウジ政府は海外の石化メーカーに参加してもらい、50%出資と技術供与、従業員の教育を依頼するという戦略を決め、シェル、モービル、ダウ、エクソン、三菱グループ、三菱ガス化学等と交渉を始めた。

以下のJVが設立された。いずれもSABICが50%出資した。

Al-Jubail
・SHARQ (Eastern Petrochemical):三菱ほか日本側;PE、EG (後、Ethyleneも)
・KEMYA (Al-Jubail Petrochemical ):Exxon;PE (後、Ethyleneも)
・PETROKEMYA (Arabian Petrochemical):(SABIC 100%);Ethylene
・SADAF(Saudi Petrochemical):Pecten Arabian (Shell);Ethylene、工業用Ethanol、SM、Caustic Soda、EDC、MTBE
・AR-RAZI(Saudi Methanol):三菱ガス化学ほか日本側;メタノール
・IBN SINA(National Methanol):Hoechst-Celanese、Pan Energy;メタノール、MTBE

Yanbu
・YANPET (Saudi-Yanbu Petrochemical):ExxonMobil:Ethylene, PE、EG

2006/3/30 サウジアラビアの石油化学の歴史

メタノールでの海外進出を狙っていた三菱瓦斯化学は、FSの結果、ナショナルプロジェクトでの事業化を決定、海外経済協力基金のほか、国内メーカーの参加を求めた。
 
1977年11月に投資会社の日本・サウジアラビアメタノール㈱(JSMC) を設立した。
三菱ガス化学が47%、海外経済協力基金が30%、三井東圧・住友化学・協和ガス化学が各5%、日本化成・新日鐵化学・東邦理化が各1%、それに伊藤忠が5%出資した。

1980年2月に日本・サウジアラビアメタノールとSABICの50/50出資でSaudi Methanol Company (AR-RAZI) が設立された。

1983年2月に第1期 60万トンが完成、日本側は半分の30万トンの引取り権を得た。

需要の増大(最近はMTBE原料用)に伴い、同社は増設を続けた。
1992年1月に第2期(63万トン)、97年6月に第3期(85万トン)、99年4月に第4期(85万トン)が完成した。
現状能力は4期までが合計320万トン          

順次、サウジ側の引取りが増え、第2期分は31.5万トンは日本で引取り、残りを双方で半分ずつ販売した。第3期分は25%はサウジのMTBE用、残りは日本側、サウジ側均等販売、第4期はIbn Zahar と SADAF のMTBE向けが中心である。

更に、2008年5月1日、第5期170万トンが操業を開始した。合計能力は490万トンとなった。

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途上国が初めて新規事業を行う際、海外の企業に参加してもらい、出資と技術供与、運営、従業員の教育などを依頼するというのは通常である。

その場合、一定期間が経過すると、合弁契約を解消し、自らで運営するというのもよくある。

インドネシアのアサハンアルミがその例である。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

2018/7/17 インドネシアのアサハンアルミ、銅鉱山運営のFreeport Indonesiaの株式の51%を取得


サウジの場合も、当初から合弁契約の期間を決めていたようである。

2017年にShellはSADAFの持分50%をSABICに820百万ドルで売却し、SABIC 100%とした。JV契約は2020年に終了するが、それより早く終了させることで合意したとしている。

サウジでは、Saudi AramcoとSABICを統合し、石油化学を石油精製に次ぐ国の産業として拡大する動きがある。両社のCrude Oil-to-chemicals JVの立地もYanbuに決まり、動き出した。
今や、技術ライセンスは別として、海外の企業の支援は不要である。 むしろ、全体の運営上で支障になることもある。

Saudi Methanol Companyの場合、1983年2月に第1期 60万トンが完成しているが、おそらく商業運転開始が1983年11月であったのであろう。本年は丁度 35年になる。

今や、技術的には三菱瓦斯化学の指導は必要がないし、最近は日本側の製品引取も減っており、SABIC側にとって、契約期間延長のメリットはないと思われる。

SHARQ (Eastern Petrochemical Company) も同時期に日本側50%のJVとしてスタートした。

しかし、この場合は、エチレン年産130万トンを含む新計画が2010年4月に商業運転を開始している。この時点で契約の変更が行われている可能性もある。

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日本・サウジアラビアメタノールの2017年歴年の決算は次の通り。

売上高  646億8600万円
営業利益 262億3600万円
経常利益 254億4200万円
純利益 239億8900万円
利益剰余金 311億6800万円


Novartisは10月18日、米国のがん治療薬メーカー Endocyte を買収すると発表した。買収額は21億ドル で10月17日の終値に54%上乗せした1株24ドルで全株を取得する。


Endocyteは米パデュー大学発のバイオ医薬品メーカーでナスダックに上場している。

Novartisは放射性医薬品に強みを持つEndocyteを買収することで、先端医療への集中を加速する。

買収により、Endocyteが開発中の有力な新薬候補を手に入れる。前立腺がん向けの新薬で、生化学物質が がん細胞だけを狙って攻撃する特長を持つ。

Endocyteが開発中の177Lu-PSMA-617 は転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の放射性リガンド(放射性生化学物質)療法で、開発のPhaseⅡで良い結果を出しており、Phase III 段階にある。

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Novartisは2014年4月22日、大規模な事業再編を発表した。

GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合し、GSK主体のJVとする。更にインフルエンザ以外のワクチン事業をGSKに売却する。
これとは別にインフルエンザワクチンの売却を進めており、動物薬事業はEli Lillyに売却する。

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編 

Novartisは2018年6月29日、眼科分野の子会社Alconをグループから分離すると発表した。
2019年前半にスイス証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場させる。時価総額は250億ドル以上とみられている。

2018/7/5 Novartis、眼科分野の子会社 Alcon を分離・上場

Novartisは9月6日、後発医薬品子会社Sandozの米国事業の一部(皮膚科領域と錠剤などの経口投与剤)を9億ドルでインドの後発薬大手、Aurobindo Pharma USA Inc.に売却すると発表した。

2018/9/8 Novartis、米後発薬の一部を売却



汎用分野を売却する一方で、
がん治療薬などの先端医薬品分野を強化している。

上記の通り、GSKから大衆薬事業との交換で抗がん剤製品群を買収したが、その後も買収を続けた。

2018年1月22日、フランスのAdvanced Accelerator Applications の全株式の公開買付を完了した。総額39億ドル。

Advanced Accelerator Applicationは放射線医薬品の会社で、分子核医薬品の開発、製造販売を行っている。

この公開買い付けにより、Novartisのオンコロジー領域の神経内分泌腫瘍のポートフォリオが拡大し、放射線医薬品のテクノロジープラットフォームが加わる。

2018年4月9日、遺伝子治療薬開発の米 AveXis Inc. を87億ドルで買収すると発表した。

2018/4/26 Novartis、遺伝子治療薬開発のAveXis を買収


同社の部門別業績は下記の通り。(百万米ドル)

2013年

2017年

2018/1-9

Sales Operating
Income
Sales Operating
Income
Core
Operating
Income
Sales Operating
Income
Core
Operating
Income



Innovative Medicines 32,214 9,376 33,025 7,782 10,330 25,870 6,571 8,382
Alcon (Eye care) 10,496 1,232 6,024 -190 857 5,361 -142 999

2019年分離

Sandoz (Generics) 9,159 1,028 10,060
1,368 2,080 7,400 1,095 1,520

Vaccines and Diagnostics 1,987 -165 - - - - - -
Consumer Health 4,064 178 - - - - - -
Others - -739 - -331 -417 - -654 -465
Total 57,920 10,910 49,109 8,629 12,850 38,631 6,870 10,436

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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