「no」と一致するもの

 


Xeroxの大株主で「物言う株主」として知られる著名投資家 Carl Icahn と同じく大株主のDarwin Deason は富士フィルムによる買収に反対し、株主に訴え続けている。

Darwin Deason は差し止めを求める訴えをニューヨーク州の裁判所に起こした。

2018/2/15   富士フイルムによる買収、ゼロックス大株主が差し止め提訴  


Carl Icahn とDeasonは2月20日、
Xeroxの株主に対し「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案する書簡を公開した。

http://carlicahn.com/joint-statement-with-darwin-deason-regarding-xerox-3/

ゼロックスが敵対的買収で株式の30%を売却する場合、アジア太平洋の360億ドルの市場でのゼロックスの知的財産権と製造権を富士フィルムに渡すという企業買収防衛策としての重要資産の売却条項("crown jewel" lock-up right)があり、このため、他社への身売りは出来ないとされているが、これに対しては手があるとする。

一つは、富士ゼロックスの経理スキャンダルを理由に契約違反としてJV契約を打ち切ることで、それが出来ない場合でも、これまで明らかにされていないが、2020年には契約上、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つとしている。Xeroxは富士ゼロックスから製品の供給を受けているが、それまでに供給ソースを探すべきだとしている。

概要は次の通り。

今回の富士フィルムによるXeroxの50.1%買収の案に対し、最善の代替案は競争相手との統合又は売却か、ファンドへの売却だ。
富士ゼロックスJVの契約の縛りを避け、最終的に、Xeroxの商標、特許を使ってアジア市場で事業が出来るということを理解すれば、大きなプレミアムを払うだろう。

直ぐに行動する必要がある。さもないと、49.9%となる我々株主の投票権は無くなってしまう。

富士フィルムが50.1%を取得するのは、合併のシナジー効果を信じているからではなく、我々株主がXeroxに影響を持ち続けた場合の大被害を防ぐためだ。彼らは17億ドル (2020年までに12億ドル)のシナジー効果など信じていない。もし信じているなら、何故、現在のオファーよりも高いプレミアムを払って全体を買わないのか。

会社側の主張は嘘だらけだとし、7点を列挙している。その一部。

Xeroxが富士を必要とするのではなく、富士がXeroxを必要としている。

富士ゼロックスJVは富士フィルムの売上高の50%近く、損益の約40%を占める。またXeroxは富士ゼロックスの最大の需要家だ。

Xeroxが(技術契約が切れるまでの)次の3年間でサプライチェーンを広げ、富士ゼロックスから距離を置けば、Xeroxのアジアでの販売を妨げている技術契約を更新しないこともできる。富士はこれを恐れる。

CEOは恐らく、サプライチェーン拡大は競争相手から安く買うのは無理なため馬鹿げているというだろう。しかし、Hewlett-Packardは印刷ではCanonの競争相手だが、レーザー関連ではCanonから購入している。業界はそういったものだ。

富士ゼロックスのJV契約はひどいものだが、Xeroxにとって打つ手は多くある。

取締役会はJV契約は法的書類であり、打ち切ったり修正したりできないとしているが、事実でない。

昨年の富士ゼロックスの経理スキャンダルはJV契約の重大違反であり、契約を終息できる。

それが出来ない場合でも、契約上、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つ。その場合、Xeroxは世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができる。

既存株主は強力なマイナリティ株主保護を受けるとするが、富士フィルムが少数株主を圧迫するのを避ける手はない。

例えば、富士の子会社にFUJIFILM Specialty Ink Systems という会社があり、Xeroxの高性能インクジェット製品と直接競合する。この分野でXeroxが犠牲になる可能性もある。

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これに対し、Xeroxも反論の声明を出した。

2人の公開状は「富士フイルムによる買収計画を邪魔する活動の一環だ」と指摘し、「取締役会と経営陣が幅広く選択肢を精査した結果、富士フイルムと一緒になることが最善策と判断した」と説明した。

2人の指摘するポイントについては、なんら触れていない。

Icahn等は富士フィルムによる買収発表前に、CEOと取締役会の問題を指摘し、退任を要求した。

富士フィルムによる買収については、「富士フィルムが一銭も使わずに ゼロックスの支配権を得る」こと、「我々自身の資産を処分して行われる」一時的な特別配当を不満とした。 シナジー効果については、合併しなくても可能と主張した。

更に、富士ゼロックスJVの契約に、実質的にXeroxの外部への売却を禁じる"crown jewel" lock-up right項目があることを、17年間隠していたことを批判。

今回は、この項目があっても、Xeroxがアジア市場を取り戻し、外部に高く売却できると主張した。

これらについては全く触れず、二人が退任を要求している取締役会と経営陣が最善と判断したというだけでは、説得力はない。

米ゼネラル・モーターズは2月13日、経営難にあえぐ韓国GMの群山工場 での生産を2018年5月末までに終了し、工場を閉鎖すると発表した。
12日午前に韓国政府が「自力更生案を持ってくるように」と求めると、同日夕に工場閉鎖決定を通知した。

GMは「この3年間の群山工場の稼働率は20%に満たず、工場閉鎖は避けられない」と説明した。従業員は全員が希望退職の対象に分類された。

群山工場は2002年にGMが大宇から買収したもので、2本の生産ラインで準中型車の Cruze SUVのOrlandoを生産しているが、年間26万台の能力に対し、過去3年間は工場の稼働率が20%に落ち、かつて4000人以上だった職員の数は2044人(直営1849人、社内協力会社195人)に減っていた。

GM本社は、群山工場閉鎖にとどまらず他の工場の閉鎖にも触れ、資金支援や税の減免などを要求 して韓国政府を強く圧迫している。
GMのダン・アンマン総括社長は「韓国政府、労組との話し合いを経て、残りの事業の将来についても数週間中に結論を出す」と述べた。

2月末までに韓国政府が支援を決定しなければ、GMが韓国市場から全面撤収することもあり得るという 。韓国事業の長期的な維持は、韓国政府が資金や優遇措置などの提供に応じるか否かと、労組が労働コスト削減に同意するか否かに懸かっているとしている。

韓国GMは群山のほか、仁川市富平と全羅北道群山、慶尚南道昌原で完成車工場を稼働させている。雇用人員の総数は、直接雇用がおよそ1万4200人、協力企業の労働者を含めると30万人にもなる。

韓国GMの昨年の販売量は524,547台で、2016年より12.2%減少した。最近4年間の累積営業損失はおよそ3兆ウォン(約3000億円)。

GMでは今回の群山工場の閉鎖に関する費用として、最大で8億5000万ドルの減損処理が必要と試算している。

付記

韓国GMの本社借入金のうち、今年満期が到来する規模は少なくとも15億ドルに上る。このうち、2月末は580百万ドル、4月は925百万ドルの満期がそれぞれ到来する。
これは2016年までの借入金のみを集計したものである。昨年1年前後の満期で借りた資金がさらにあるので、今年の返済額規模ははるかに大きいと推定される。

GM本社が、満期がきた貸付金について延長を認めず、返済を求めるかどうかが注目された。

GM本社は2月23日、2月末が期限のものについて3月末までの延長を認めた。

韓国政府とGM本社の攻防が続く。


雇用を最優先の課題として掲げてきた文在寅政権が、韓国GMの群山工場閉鎖という巨大な悪材料に直面している。

与野党は今回の問題で互いに責任を押し付けている。

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韓国の東亜日報は、韓国政府が本年1月に米国GMに対し、韓国GM支援を決定するうえで必要な最低限の前提条件を提示していたことが分かったと報じた。

GMの海外事業部門社長が訪韓し、金融支援、有償増資、財政支援の可能性を打診した。
これに対し韓国政府は、①中長期経営改善計画、②韓国への設備投資計画、③高金利融資などを通じ韓国GMから資金を抜いた疑惑の解消の3つを要求した。

GMが韓国で工場を維持し、雇用を創出するという真剣さを自ら立証してこそ支援できるとの立場を示した。

 

米商務省は2月16日、鉄鋼製品とアルミニウム (鍛造品及び未加品)の輸入増が安全保障上の脅威になっているとして、トランプ大統領に輸入制限の実施を提言したと発表した。
中国や韓国など幅広い国に関税引き上げや輸入量割当をかけるが、日本も対象に含む可能性がある。

判断期限は鉄鋼が4月11日、アルミが4月19日で、トランプ大統領が最終判断する。

1962年通商拡大法232条(Section 232 of Trade Expansion Act of 1962)
に基づく調査で、国家安全保障を脅かす輸入を阻止する権限を大統領に与えたもの。

トランプ大統領は2017年4月20日、大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があるとして、米通商拡大法に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。

 政府のPolicy:

鉄鋼、アルミ、自動車、飛行機、造船、半導体などのコア産業は米国の製造・防衛産業にとり重大な要素であり、不公平な貿易慣行その他から防衛する必要がある.
鉄鋼の場合、米国およびグローバル市場が過剰能力で歪められている。その多くは外国政府の補助金やアンフェアな慣行によるものである。

米国は150件以上の反ダンピング、反補助金の命令を出したが、悪影響を緩和するに至っていない。米国が、他国に過剰能力を減らすよう繰り返し行った努力は効果が出ていない。

過剰能力とアンフェアな輸入により起こった人為的低価格は米国の鉄鋼産業の利益を圧迫し、業界の長期の投資をやめさせ、研究開発の努力を妨げている。これが続くと米国の鉄鋼産業が駄目になる。

 指示

商務長官は、Trade Expansion Act of 1962 (section 232(b))に基づき、鉄鋼輸入の安全保障に対する影響を調査すること。

商務長官は大統領に報告を行うこと。

もし、鉄鋼の輸入が国の安全保障を害する恐れがあると分かった場合は、それを防ぐための行動、手続きを提言すること。

大統領は4月27日、アルミニウムについての調査を指示する大統領令を出した。

大統領は7月21日、防衛産業の強化へ向け、国内製造業の防衛関連製品や部品の供給能力などについての実態調査を指示する大統領令に署名した。

2017/4/22 Trump大統領、鉄鋼輸入規制に向け、実態調査を指示 


今回の調査結果と勧告内容は次の通り。

鉄鋼についての調査結果:

米国は世界最大の鉄鋼輸入国で、輸入は輸出の約4倍。
2000年以降、6つの酸素炉と4つの電気炉が閉じられ、1998年以降、雇用は35%減った。
世界の能力は24億トンで、2000年から127%増加した。一方、需要はもっと緩やかな伸びである。
世界の過剰能力は7億トンで、米国の年間消費量の7倍に達する。中国が最大の生産国、最大の輸出国で、最大の過剰能力を持つ。
中国の過剰能力だけで米国の全能力を超える。
中国は毎月、米国の生産の1年間分を生産する。変圧器用のような特殊タイプについては米国ではメーカー1社が残っているだけ。
2018年2月15日現在、鉄鋼に関して169件の反ダンピング、反補助金命令があり、そのうち29件が中国相手である。更に25件が調査中である。

鉄鋼については3つの選択肢を勧告した。

1 すべての国からの輸入に最低24%の追加関税をかける。
2 下記 12カ国に最低53%の関税をかける。
  中国、ブラジル、コスタリカ、エジプト、インド、マレーシア、韓国、ロシア、南ア、タイ、トルコ、ベトナム
その他の国全てには2017年実績と同じ輸入量割当を設ける。
3 すべての国に2017年実績の63%に相当する輸入割当を設ける。

 

アルミについての調査結果:

一次アルミの輸入は需要の90%になった。2012年は66%であった。
2013年から2016年でアルミ産業の雇用は58%減少した。需要は増えているのに、6社が閉鎖となり、残る5社のうち2社だけがフル稼働となっている。
軍事予算が減っているため、軍用のアルミ消費はメーカーを存続させるには不十分。戦闘機用の高品質アルミメーカーは1社しか残っていない。インフラが主な用途である。
2018年2月15日現在、アルミについて2件の反ダンピング、反補助金命令(いずれも中国)を出しており、ちゅうごくについて4件が調査中。

アルミについても3つの選択肢を勧告した。

1 すべての国からの輸入に7.7%関税
2 中国、香港、ロシア、ベネズエラ、ベトナムの5カ国・地域に23.6%の関税をかけ、他の全ての国には2017年実績と同じ輸入量割当を設ける。
3 すべての国に2017年実績の86.7%に相当する輸入割当を設ける。

 

ロス商務長官は2月16日の電話会見で今回提言した輸入制限について「世界貿易機関(WTO)でも認められた措置だ」と強調した。
WTO協定では、加盟国が安保を理由に輸入制限を取ることを例外として認めている。

第21条 安全保障のための例外
この協定のいかなる規定も、次のいずれかのことを定めるものと解してはならない。
(b) 締約国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要であると認める次のいずれかの措置を執ることを妨げること。
(i) 核分裂性物質又はその生産原料である物質に関する措置
(ii) ・・・軍事施設に供給するため直接又は間接に行なわれるその他の貨物及び原料の取引に関する措置

ただし定義が曖昧で、拡大解釈して乱用される恐れがあり、WTOを形骸化させかねず、現在の自由貿易体制を揺るがす懸念がある。

中国商務省の貿易救済調査局長は「米国の調査結果に根拠はなく、事実と完全に矛盾している」と反論。「各国が米国にならえば、国際貿易秩序に深刻な影響を及ぼしかねない」と強い憂慮を示した。
また、「米国の最終決定が中国の利益に影響を与える場合、我々は正当な権利を守るため必要な措置を確実に講じる」として、対抗措置を取ることを示唆した。

これまで米国が実施した232条調査は26件ある。主にイランなど敵対国からの石油輸入を対象としてきた。

そのうち、米国の安全保障への脅威と認定された案件は8件だが、その全てが石油関連である。トランプ大統領が輸入制限に踏み切れば、1982年3月にリビア産の原油輸入を禁じて以来の極めて異例の措置となる。

WTO発足(1995年)後に行われた調査は2件ある。

実施 対象 結果
1999 原油 安全保障に対する脅威を認定
ただし、他の施策による対応の方が適切と判断し、大統領に対しては輸入に係る是正措置は行わないよう提言
大統領も同条に基づいた対応はせず。
2001 鉄鉱石、鉄の半製品 安全保障に対する脅威なし


過去の例は下記の末尾に列挙されている。

https://www.bis.doc.gov/index.php/forms-documents/section-232-investigations/86-section-232-booklet/file

2月7日付日経夕刊のコラムに東大医学部付属病院の中川恵一氏が「赤ら顔で深酒、リスク高める 」とのタイトルで次のように書いている。

お酒は百薬の長といわれますが、飲酒はせいぜい1合までです。食道がん、咽頭がん、肝臓がん、乳がん、大腸がんなど、多くのがんの発症リスクを高めます。

たとえば日本人男性の場合、日本酒を毎日4合飲むと大腸がんになるリスクは3倍になり、同3合でもがん全体の罹患リスクは喫煙と同じ1.6倍になります。飲酒しながら喫煙するのは最悪の自殺行為で、食道がんのリスクは30倍にも上ります。

とくに、飲むと顔が赤くなる人が深酒をすると、食道がんや咽頭がんになる危険が非常に高まることを知る必要があります。

この中でも触れられているが、ケンブリッジ大学のKetan J. Patel 教授とその研究チームは、1月3日付で 科学雑誌「Nature」にアルコール摂取と癌のリスクの関連性についての新たな研究結果を発表した。

https://www.nature.com/articles/nature25154

研究チームは、アルコールが遺伝子に不可逆の影響を与えると想定し、マウスに薄めたエタノールを与え、染色体分析とDNAシークエンシングを行った。

その結果、アセトアルデヒドが造血幹細胞のDNA二重鎖を切断し染色体異常を引き起こし、造血管細胞に不可逆の影響を与える可能性があることが判明した。 チームは生きている臓器の反応を確認した。

研究の結果、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、乳癌、肝臓癌、大腸癌 (結腸と直腸)の7つの癌の原因となる。

そのリスクは、ワインやビール、蒸留酒などアルコールの種類とは無関係で、飲む量についても「がんに関しては安全な飲酒量などない」。ただし、英国には政府が定めた飲酒のガイドラインがあり、ここで規定している量以下であればリスクは低くなる 。

英国政府のガイドラインが推奨する飲酒量は、1週間で14ユニット以内(純アルコールで112グラム)。これは、4%程度のビールなら7パイント(約3.3リットル)、12%程度のワインなら通常のワイングラス(125ml)で9杯と1/3杯に相当する。

これはアルコール分解能力の高い遺伝子の西欧人の場合であり、下記の通り、分解能力が低い多くの日本人には当て嵌まらない。

また、チームは人体がアルコールの害から守る方法について調べた。

一つはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH) である。

アルコールは体内にはいるとアセトアルデヒドになるが、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)がこれを分解して酢酸とし、その後、炭酸ガスと水に変える。

研究の結果、ALDHが欠けるマウスにアルコールを与えると、ALDHが機能するマウスに比べ、ダメージは4倍であった。

東南アジアの人にはアルコール分解能力が低下した人が多い。(下記)

もう一つは、DNAの修復機能である。通常、DNAの異常は自動的に修復される。

しかし、特に東南アジアの人の場合、修復機能が働かず、効果的に修復できない。


なお、Patel 教授は、「アルコール処理やDNA修復のシステムは完璧ではなく、こうした自己防衛機能がきちんと作用している人であっても、アルコールが原因でがんができる可能性はあることを忘れてはならない」と注意を促している。


米臨床腫瘍学会(ASCO)のがん予防委員会も2017年11月に、「飲酒はがんの危険性を高める可能性がある」として、アルコールを飲み過ぎないよう注意を呼び掛ける声明を発表している。

https://www.asco.org/about-asco/press-center/news-releases/statement-alcohol-linked-to-cancer-november-2017

ーーー

ALDHの一種であるALDH2をつくる遺伝子には、元々の人類が持つ分解能力が高いとされるN型(ALDH2*1)と、中国南部で突然変異で分解能力が低下したD型(ALDH2*2 )がある。

両親からいずれか一つずつを受け継ぐので、人間にはNN型、ND型、DD型の3パターンある。
NN型は酒豪タイプ、ND型はそこそこ飲めるタイプ、DD型は下戸タイプ。

  日本人 白人
NN型 50%強 99%以上
ND型 40%弱 1%未満
DD型 5%前後
白人は悪酔いしない代わりに、飲み過ぎてアル中になる可能性がある。

NN型(酒豪タイプ)はアセトアルデヒドが蓄積しにくいことで、DD型(下戸タイプ)は飲めないため、いずれもがんの危険は少ない
「部分欠損型」のND型の場合、アセトアルデヒドを分解する力が十分ではないので、大量に飲むとアセトアルデヒドが体内にたまり、がんのリスクを高める。

北海道、東北、九州、沖縄地方に酒豪遺伝子であるN型遺伝子の割合が多い。

日本民族が、列島先住民の縄文人(N型)と、中国南部で突然変異で発生したD型を持つ弥生時代以降に大陸からきた渡来人の「二重構造」を持つことを示すものとされる。

都道府県別に見たN型遺伝子(ALDH2*1)の頻度
https://www.athome-academy.jp/archive/biology/0000000176_all.html


中川恵一 氏のコラムは次の文章で終わっている。

ALDH2の欠損型はアジア人の一部にしかみられません。 ケンブリッジ大学の)この論文は赤い顔で深酒を続ける日本人への警鐘だと思いました。ご用心を。

 


Cheniere Energy, Inc.は2月9日、中国のCNPCとの間で2つのLNG販売契約を締結したと発表した。

両社は2017年11月9日に、トランプ大統領の中国訪問に合わせ、MOUを締結していた。


Cheniere Energy子会社の
Corpus Christi Liquefaction, LLC と Cheniere Marketing International LLP との契約に基づき、CNPC子会社のPetroChinaが年間約120万トンのLNGを購入する。
この一部は2018年に開始され、残りは2023年に開始される。それぞれの契約期間は2043年までとなっている。

Cheniereは稼働中(一部建設中)のSabine Pass 液化基地と建設中のCorpus Christi 液化基地を持つ。CNPCへの供給は主にCorpus Christi 液化基地から行われるが、2018年開始分はSabine Pass 液化基地の既契約分以外を出荷するものとみられる。

LNG価格は、他の契約と同様、原料天然ガスのHenry Hub priceと固定費部分から成り立つ。

既存のCheniereの販売契約では、LNGのFOB価格は以下の通りとなっている。
  
原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)
   
15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージンで、固定費は相手により 2.25~3.00$/MM Btuとなっている。


Cheniereは本年1月16日に、スイスのコモディティ商社
Trafigura Pte Ltd との間で年間100万トンのLNG供給契約を締結している。2019年から15年間の供給となっている。

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Cheniereは稼働中(一部建設中)のSabine Pass 液化基地と建設中のCorpus Christi 液化基地を持つ。

子会社 Sabine Pass Liquefaction, LLC は1系列 年産450万トンの液化設備 合計6基(既報の7基から変更)を計画している。

このうち、1~4系列は完成しており、第5系列は2015年6月に建設を開始した。最後の第6系列は未着工である。

この5系列の合計能力は2250万トンだが、このうち約88%の1975万トンが契約済みである。

相手先 年間
 万トン
固定費
$/MM Btu
製造系列 完成時期
BG Group(英) 350 2.25 第1系列 2016/4-5
200 3.00 第2, 3, 4 系列  
GasNatural(スペイン) 350 2.49 第2系列 2016/8
Kogas(韓国) 350 3.00 第3系列 2017/4
Gail (インド) 350 3.00 第4系列 2017/8
Total (仏) 200 3.00 第5系列 2019/8
Centrica (British Gas) 175 3.00 第5系列  
合計 1,975      

残り年間275万トンはCheniere Marketingが販売する。おそらく、このうちの一部がPetroChinaに向けられると思われる。


Corpus Christiでは、子会社のCorpus Christi Liquefaction, LLC が液化設備とLNG輸出基地を建設している。

当初は、年産450万トンの液化設備 最終5系列、合計2250万トンの計画で、まず2系列の建設を開始した。同時に第3系列分を含めた長期販売契約の交渉を行っている。

現在までに3系列計1350万トン /年のうち、計842万トンが成約している。相手は、インドネシアのPertamina (152万トン)、スペインのEndesa(225万トン)とIberdrola (76万トン)とGas Natural Fenosa (150万トン)、豪州のWoodside(85万トン)、英国のEDF(77万トン)、ポルトガルのEDP(77万トン)である

これに今回のPetroChina(120万トン)とTrafigura(100万トン)が加わる。

現在、同社では当初の計画を変更し、年産450万トンの3系列に、7系列の中規模液化設備(1系列135万トン)と1基のLNGタンクを加え、総計2300万トンにする案を進めている。

構想図


富士フイルムと武田薬品工業は2月8日、iPS細胞由来心筋細胞を用いた再生医療製品の共同事業化に向けた取り組みを開始したと発表した。

富士フイルムは、米国子会社のCellular Dynamics International, Inc.が開発を進めているiPS細胞由来の心筋細胞を用いた再生医療製品において、全世界での共同事業化に関する優先交渉権を武田薬品に付与 した。対象にするのは重症の心不全患者向けで心筋の機能を回復する製品で、2019年にも米国で治験に入る見込み。

武田薬品は、富士フイルムに対して一時金を支払い(金額は公表せず)、両社は、複数のiPS細胞由来心筋細胞の薬効・安全性評価、実用化に向けたプロセス開発などについて共同研究を実施 する。

富士フイルムが保有する世界トップのiPS細胞関連技術や写真フイルムで培った高度なエンジニアリング技術と、武田薬品が持つ京都大学iPS細胞研究所(CiRA)との共同研究(T-CiRA)で培われたiPS細胞に関する専門技術や医薬品の前臨床・臨床試験に関わる豊富な経験を組み合わせ、心臓疾患患者のために、有効性・安全性に優れた画期的な再生医療製品の普及を目指 すとしている。

武田薬品は2017年に、試薬を手がける和光純薬工業を富士フイルムに売却している。両社が共同事業を始めるのは今回が初めて。

ーーー

富士フィルムは再生医療分野で買収を続けてきた。

1)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング

富士フイルムは2010年8月30日、国内で細胞再生医療材料事業を展開するジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)による40億円の第三者割当増資を引き受けると発表した。

増資引き受け後は、同社株式の41%を保有することとなったが、2014年に新株予約権の引き受けで持株比率は50.33%とし、連結子会社とした。

2010/9/3 富士フイルム、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングと資本提携

2)Cellular Dynamics

富士フイルムは2015年3月30日、株式公開買付けによりCellular Dynamics を約307 百万米ドルで買収することで同社と合意した。

山中教授と、オタマジャクシを使って最初のクローンを作りだした Sir John Bertrand Gurdon がノーベル医学生理学賞を受けたが、ウィスコンシン大学のJames Thomson 教授も山中教授と同じ2007年11月に人間の受精卵を使わずに皮膚細胞からiPS細胞ができると発表している。

Cellular Dynamicsは、そのJames Thomson 教授が創始者の一人である。

Cellular Dynamicsが持つ特許の範囲は、体の様々な細胞からiPS細胞を作製する技術、iPS細胞から心筋や糖尿病治療への応用が期待される膵臓のベータ細胞を作る技術など幅広い。中でも2013年に成立した、プラスミドと呼ばれる環状DNAを使ってiPS細胞を作る技術は、がんになりにくい安全なiPS細胞を得るのに不可欠とされる。

2015/4/14 京都大学iPS 細胞研究所、Cellular Dynamics Internationalと提携へ

上記記事のタイトルの「提携」は山中伸弥教授の意向 で、実際にはiPS研究所と営利企業である富士フィルムとは考え方が異なる。

2017/12/6の日経記事では、山中教授は、iPS 細胞を使った再生医療の普及に向け、富士フイルムに特許料を低額にするように要請したことを明らかにした。
同社子会社(Cellular Dynamics) のもつ関連特許は再生医療に重要で、ライセンス料が高額だと低コスト化への足かせになりかねないと危惧する。


Cellular Dynamicsは2016年10月、日本でiPS細胞を安全かつ効率的に作製する技術に関する特許を取得した。通常の採血と同様に無菌状態で低侵襲的に血液細胞を採取し、その血液細胞の遺伝子を傷つけることなくエピソーマルベクターを使用して複数の遺伝子を導入しiPS細胞を安全かつ効率的に作製できるもの。


日本におけるこの細胞の作製には、本特許と京都大学iPS細胞研究所が保有する特許が必要となる。

京都大学は再生医療用で使う iPS細胞の備蓄の際に大腸菌のDNAを使っており、Cellular Dynamicsの特許に触れる恐れがある。

富士フイルムは大学や研究機関に高額の使用料を課すことは避けたい意向とされるが、京大では交渉材料として使うためにも、新たな作製技術の採用を検討している。

臨床試験支援大手のアイロムグループ子会社のIDファーマが特許を持つ作製法で、iPS細胞の作製に必要な遺伝子を導入するのに「センダイウイルス (SeV)」というウイルスの一種を使う。

CytoTune®-iPSは、いわゆる山中4遺伝子(OCT3/4、SOX2、KLF4、cMYC)をセンダイウイルスベクターに搭載したもの。センダイウイルスの最大の特長は、レトロウイルスと異なりRNAのまま細胞質に留まり、そこで複製・転写・翻訳が行われることで、遺伝情報が細胞核内に入って宿主のDNA配列の中に組み込まれないため、染色体に傷を付けることがない。

3)和光純薬

富士フィルムは2016年12月15日、武田薬品から和光純薬工業を買収する契約を締結した。富士フィルムが2017年2月に実施するTOBに武田薬品が応募するもの。

富士は再生医療に関して、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングとCellular Dynamics の買収で、iPS細胞作製などに関する主要特許や細胞の開発・製造ノウハウ(Cellular Dynamics)を取得したが、更にフィルム事業などで開発してきた細胞培養に必要な足場材(リコンビナントペプチド)、一定条件生産技術や微小環境でのコントロール技術などを持つ。

和光純薬は細胞の培養に必要な「培地」(細胞が必要とするアミノ酸、糖、脂質、ビタミン、ミネラルに、成長因子などをバランス良く含む栄養液)を手がけており、富士フィルムに欠けていた部分がそろうこととなる。

和光純薬は2018年4月1日から「富士フィルム和光純薬」に改称する。

2016/12/22 富士フィルム、和光純薬を買収


富士フィルムは相次ぐ買収で再生医療製品の開発・生産に必要な技術を獲得したものの、医薬品は長い時間や膨大なコストが必要で開発リスクが高く、自社で医薬品を市場投入にまでこぎつけるのは難しい。

Cellular Dynamicsが日本でiPS細胞を安全かつ効率的に作製する技術に関する特許を取得した際の富士フィルムのコメントは、「この特許取得を契機にグループのシナジーを発揮させ、iPS細胞の受託生産ビジネスを拡大させていく」というものであった。

今回、富士フイルムは治験などで実績のある武田と組むことで、再生医療分野で実用化を急ぐ。

Cellular Dynamicsはほかに4つの疾患向けに再生医療製品を開発中で、分野ごとに提携相手を選ぶ。

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武田薬品は2015年12月、京大 iPS細胞研究所と の間で iPS細胞研究に関する共同研究を開始した。

がん、心不全、糖尿病、神経変性疾患、難治性筋疾患など6つの疾患領域で、iPS細胞技術をツールとして用い、創薬および難治性疾患の画期的な治療法の創出に対する新たなアプローチの開発に向け、今後10年にわたり研究を行う。

武田薬品は湘南研究所内の研究設備、および10年間で200億円の提携費用を提供する。
さらに、10年間で120億円以上に相当する研究支援(施設、設備、武田薬品の研究者など、さまざまな研究支援)を提供する。

研究人員は全体で100名程度を予定しており、武田薬品湘南研究所を拠点として、グローバルで新たに採用する人員も含み、武田薬品およびCiRAよりそれぞれ50名程度が共同研究に従事する。
また、武田薬品の化合物ライブラリーなど特別な研究資産も用いられる。

共同研究が軌道に乗った段階では、10件前後のプロジェクトが同時進行することになる。

米上院は2月8日のつなぎ予算期限までに対応ができず、政府機関は再度の閉鎖となった。

上院は直後につなぎ予算を含む法案を可決したが、下院の案とは異なるため、待機していた下院で再審議となった。

下院では反対が強く、見通しが立たなかったが、9日早朝なんとか可決した。

両院で可決した上院の法案は、連邦政府支出を約3000億ドル増やす期間2年の予算合意で、債務上限を1年間停止することと3月23日までの暫定予算が含まれている。

トランプ米大統領は直ちに法案に署名、午前0時過ぎに始まった政府機関の一部閉鎖は数時間で終了した。

署名直後の大統領のtwitter:

Just signed Bill. Our Military will now be stronger than ever before. We love and need our Military and gave them everything -- and more.
First time this has happened in a long time. Also means JOBS, JOBS, JOBS!

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米議会上下院は1月22日午後、2月8日までのつなぎ予算をそれぞれ可決した。

米の2018年度(2017/10/1~2018/9/30) 連邦予算は年度初めに決まらず、12月8日までの暫定予算でスタートした。

その後も、本予算の議論がまとまらず、期限切れ前日の12月7日、上院と下院は12月22日までのつなぎ予算を賛成多数で可決した。
更に、両院は
12月21日に2018年1月19日までのつなぎ予算を可決した

今回も与党・共和党は1月19日までに予算措置を講じるのは難しいと判断した。トランプ大統領は、メキシコ国境の壁の建設を強く求めている。他方、民主党は予算成立に協力する条件として、幼少期に親と一緒に不法入国した若者(ドリーマー)に滞在許可を与える制度を続けるよう主張している。

2018/1/20 米政府機関、閉鎖 

2018/1/23 国、政府機関閉鎖解除へ 

その後も話し合いは難航した。

トランプ大統領は1月25日、未成年時に親に連れられ不法入国する形で米国に来た「ドリーマー」180万人に10~12年かけて市民権を付与する道を開く包括的な新移民法案の内容を明らかにした。

現行の救済制度「DACA」の下で登録されたドリーマーは69万人だが、ホワイトハウスでは資格があるにもかかわらず申請していない多くの移民がいるとみている。
これを含めた180万人のドリーマーは、職業を持ち犯罪歴がなければ、10 ─ 12年で市民権を得られるという案である。

新法案には、移住希望者に抽選で永住権(グリーンカード)を付与する「移民多様化ビザ抽選プログラム」の廃止や、移民の家族の呼び寄せの厳しい制限なども含まれている。

しかしこれと引き換えにトランプ大統領は、米国に合法的に移民することを現在よりも難しくするとともに、国土安全保障省がドリーマーを含む推定約1100万人の非正規移民を取り締まる手段と費用への増強を求めている。

更に、メキシコ国境に壁を建設するための250億ドルの「信託基金」設立や、カナダ国境の警備強化への投資などを求めている。

この条件は民主党にとって受け入れられないものだが、保守派からも懸念が噴出した。
対移民強硬論者である共和党のテッド・クルーズ上院議員は、不法移民に対して市民権への道を開くことは「重大な過ち」になると主張。選挙民に対する約束を違えることになると批判した。

このままでは2月9日に再度、政府機関が閉鎖される恐れがあった。


2月8日までのつなぎ予算の期限切れを間近にしながら、本予算の目途が立たないなか、下院は2月6日、3月23日までの5回目のつなぎ予算を決議した。

  共和党 民主党 合計
賛成 228 17 245
反対 8 174 182
棄権 1 2 3
合計 237 193 430

これまでのつなぎ予算は従来の経常支出をみとめるだけであったが、今回は異なる。

全体としては従来の経常支出を認めるだけだが、国防総省の予算については、ペンタゴンの求める全額 6590億ドル(軍人への賃上げを含む)を承認した。通常予算5840億ドルに追加し、海外緊急作戦予算750億ドルも認めた。

国勢調査局(Census Bureau)の2020年の調査の継続の費用や、中小企業庁が2017年のハリケーンや山火事の被害地域に対するローンなども認めた。

問題は上院である。フィリバスターを避けるには60票が必要だが、共和党は51議席しか持たない。

また、この予算が通った場合、債務上限が問題となる。議会予算局は、債務上限問題で3月前半に資金が枯渇する可能性を示した。当初、3月後半から4月にとしていたが、税制改革での税収減で早まった。

大統領の発言が問題を複雑にした。

2月6日の議員などの会合で、「民主党が新移民法の案を支持しないなら、政府機関の閉鎖を見たいものだ( "love to see a shutdown")」と述べた。


しかし、上院の与野党指導部は2月7日、国防費などを積み増すため、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)と2019会計年度の歳出上限の引き上げで合意した。
合わせて、債務上限の2019年3月までの停止と、3月23日を期限とするつなぎ予算法案を通すことでも合意した。

米議会は2011年に、政府債務の悪化に歯止めをかけるため、10年間の歳出上限を定める「予算管理法」を成立させた。

2011年8月2日の期限切れでの米国史上初のデフォルトを目前にし、米与野党指導者は7月31日夜、連邦政府の債務上限を2.1兆ドル引き上げるとともに、その条件として今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を削減することで合意に達した。

2011/8/3 米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避 

この予算管理法では、社会保障費などを除く「裁量的経費」に上限を設けている。国防費と非国防費に分かれ、国防費が半分を占める。

国防費 非国防費 合計
2018年度 5,483億ドル 5,174億ドル 10,657億ドル
2019年度 5,613億ドル 5,313億ドル 10,927億ドル

2014年以降は特例法で上限を引き上げてきたが、2018年度については与野党対立が長引き、決まっていなかった。

これまでも、その都度法案で上限を引き上げてきたが、 今回、下記の通り上限を大幅に引き上げた。

2018年度 2019年度 累計
国防費 800億ドル 850億ドル 1650億ドル
非国防費 630億ドル 680億ドル 1310億ドル
合計 1430億ドル 1530億ドル 2960億ドル
引き上げ後 12087億ドル 12457億ドル

トランプ政権は2017年5月に提示した予算教書で、2018会計年度の国防費を540億ドル積み増す一方、非国防費を逆に540億ドル減らすとしていた。
今回合意した2018年度の国防費の引き上げ額は800億ドルとさらに大きくなり、非国防費も減額から一転して大幅増となった。

米議会が大幅な歳出増で合意したのは、2018年秋に中間選挙を控えるためで、共和党は有権者に国防費の大幅積み増しを訴え、民主党も医療用鎮痛剤「オピオイド」の中毒対策やインフラ投資を求め、与野党の妥協策で国防・非国防費の大幅積み増しにつながった。

この案が議会で成立すれば、2018年度の歳出上限は前年度比1割強も高まる。今後、大型減税で税収が年1千億ドル規模も減る見通しで、20兆ドルと過去最大に膨らんだ連邦政府債務は一段の悪化が避けられない。

同案が上下両院を通過すれば、政府機関の一部閉鎖といったリスクは当面回避できることとなる。

しかし、政府機関閉鎖を避けるため、不法移民問題を棚上げにしたことから、下院には反対意見が強い。
民主党下院トップのナンシー ペロシ院内総務は、不法移民問題を中心に、下院での演説時間としては史上最長の8時間7分の演説を行い、ドリーマーの救済策が折り込まれなければ法案に反対すると述べた。 共和党にも反対が多い。

肝心の上院でトラブルが発生した。共和党のRand Paul上院議員が大幅な予算増に反対した。

2月8日の午前中に下院で議決したつなぎ予算の議決にはいるかどうか(Cloture motion) の投票をしたが、否決された。共和党のRand Paul上院議員は反対した。(可決には60票が必要)
上院民主党首脳は下院案ではなく、与野党合意案を通す意向。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 49 6 55
反対 1 41 2 44
棄権 1 1
合計 51 47 2 100

共和党McCain上院議員は療養中で棄権

Rand Paul上院議員は、上院与野党首脳が決めた法案(歳出上限引き上げ、債務限度引き上げ、つなぎ予算)について、案の修正があるまでは投票しないと長時間反抗した。

上院に続き下院も法案を8日中に通す必要があり、深夜を過ぎると政府機関の閉鎖となるが、同議員は法案の議決に入るかどうか(Cloture motion) の投票をしないとしている。その間、投票が締め切れないため、法案の議決ができない。

2月9日午前0時35分に行政管理予算局(Office of Management and Budget)は政府機関の閉鎖を指令した。

ルール(投票時間制限)では深夜1時になれば法案の投票ができる。

直ちにCloture motionを73対26(Paul 議員の反対を含む)で可決し、法案の投票を開始した。

午前1時50分に上院は賛成71、反対28で 法案を可決し、下院に送付した。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 34 36 1 71
反対 16 11 1 28
棄権 1 1
合計 51 47 2 100

下院は上院の可決を待っており、全員に深夜又は早朝の議決に備えるよう通知していた。

下院で通るかどうかは不明であった。上記の通り、民主党は移民問題の棚上げで反対しており、共和党内の財政保守派「フリーダム・コーカス(自由議連)」も反対姿勢を示していた。

しかし、公共事業などの積み増しを求めてきた民主党の一部が賛成に回る見込みで、ライアン下院議長(共和)は可決に自信をみせていた。

2月9日の午前5時半に下院で賛成多数で可決した。

  共和党 民主党 合計
賛成 167 73 240
反対 67 119 186
棄権 4 1 5
合計 238 193 431

三井物産は2月5日、豪石油ガス開発大手 AWE Limitedに対してTOBを実施すると発表した。

豪州国内の優良原油・ガス資産のポートフォリオを拡充すること、及び豪州石油・ ガス生産事業に於いて、より活動領域を広めるためオペレーター機能を獲得することを目指す。

2018年3月中~下旬にAWE株1株に付き0.95豪ドルで買い付けをする。50.1%以上の応募で成立し、全株の買い付けを目指す。買収額は最大で602.1百万豪ドル(約512億円)となる。

AWEは豪証券取引所に上場するが、TOB成立後は非公開となる。

付記

三井物産は5月2日、公開買付けが終了し、株式の96.47%を580百万豪ドル(約493億円)で買い付けたと発表した。

今後、未応募分株式の強制買取を実施し、完全子会社化及び上場廃止を行う。

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三井物産は、中国国儲能源化工集団と豪州のMineral Resources Limitedとの争いに勝ち、TOBを実施する。

AWEに対しては、2017年11月30日に中国国有の中国国儲能源化工集団(China Energy Reserve and Chemical Group=CERCG)の豪子会社が1株当たり現金0.71豪州ドルでの買収を提案、12月8日に現金0.73豪州ドルに引き上げた。

12月8日に豪州のMineral Resources Limited (MRL) が1株当たり0.80豪州ドル相当の株式交換による買収を提案、その後、現金と株式の組み合わせによる1株当たり0.83豪州ドル相当に引き上げ、AWEはこれを株主に推奨した。

2018年1月29日に三井物産が1株当たり0.95 豪州ドルでの買収を提案、AWEはMRLに対し、三井提案への対案を出すよう要請したが、期限までに回答がないため、三井物産提案を株主に推奨した。

2017/11/30 中国儲能源化工集団(China Energy Reserve and Chemical Group=CERCG)
1株当たり現金0.71豪州ドルで買収する条件付き提案
12/5 上記提案取り消し
12/8 CERCGが1株当たり現金0.73豪州ドルでのTOBを発表 総額 462百万豪州ドル
12/8 Mineral Resources Limited (MRL)
 0.80豪州ドル相当の株式交換提案
 AWEの22.325株当たりMRLの1株交付 
12/21 AWE、MRLによる改正案での買収を支持
 現金 0.415豪州ドル+MRL株式 0.0198~0.0277株
 MRL株価が15~21豪ドルの場合、0.83豪ドル相当、総額 526百万豪州ドル
2018/1/29 三井物産が0.95 豪州ドルでの買収提案
 総額 602百万豪州ドル
1/30 AWE、MRLに対し三井提案に対応した新提案を2/2までに出すよう要請
2/5 MRLが新提案を期日までに出さず。
AWEは三井提案を株主に推奨、
CERCGによるTOBを拒否

三井物産の提示額は、CERCGの買収案が昨年11月に明らかになる前のAWEの株価を74%上回る水準で、CERCGの案を30%、ミネラル・リソーシズの案を14%、それぞれ上回った。

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AWEは1997年に設立された。

同社の活動は下記の通り。

Project 立地 権益 (%) 2P Reserve 2C Contingent
BassGas Bass Basin
AWE 35.00%
Origin Energy (Operator) 42.50%
Toyota Tsusho Gas E&P Trefoil 11.25%
Prize Petroleum International 11.25%
7.0 MM BOE 30.6 MM BOE
Casino Gas Otway Basin
AWE 25%
Cooper EnergyAWE 50%
Mitsui E&P 25%
5.9 MM BOE 1.3 MM BOE
Waitsia Gas Perth Basin
AWE (Operator) 50%
Origin Energy 50%
39.0 MM BOE 43.9 MM BOE
Onshore Perth Basin
AWE

33~100%

Ande Ande
Lumut Oil
Natuna Sea,
Indonesia
AWE 50%
Santos(Operator) 50%
  33.7 MM BOE

2P Reserve (埋蔵量)はProved reserve+Probable reserve
2C Contingent (条件付き埋蔵量)は上記相当



朴槿恵前政権で起こった国政介入事件で朴前大統領と長年の知人の崔順実被告への贈賄罪などに問われ、一審で懲役5年の実刑判決を受けたサムスングループ経営トップのサムスン電子副会長、李在鎔被告らの控訴審判決公判が2月5日開かれた。

控訴審は2017年12月27日に結審したが、検察側は懲役12年を求刑していた。

2017/12/30 サムスン副会長の控訴審、検察側12年求刑

ソウル高裁は地裁判決を破棄し、李被告に新たに懲役2年6カ月、執行猶予4年を言い渡した。李被告は約1年ぶりに釈放された。
2人の部下も執行猶予判決で釈放された。

2017年8月の一審では5つの起訴事実すべてが有罪とされたが、高裁は焦点となっていた贈賄の一部と海外への不正な送金などを無罪とした。

李被告が闘病中の父李健熙・サムスン電子会長から経営権を継承するため、朴被告に便宜供与を求めて賄賂を渡したとされたが、裁判所は大統領に依頼するようなことは無かったとしてこれを認めなかった。

サムスンが崔順実被告のドイツ法人であるCore Sportsと220億ウォン台のコンサルティング契約を結び、このうち38億ウォンを送金した件については、賄賂とは認めたが、違法な送金とは認めなかった。

これについては、最も悪いのは朴槿恵と崔順実で、韓国で最も力のある朴槿恵がサムスンに強要し、崔順実は朴槿恵との関係を利用して私腹を肥やしたとした。

下級審が、政治家と財界の典型的な癒着であるとしたのと大きく異なる。

朴槿恵被告の要請を受けて崔順実被告の娘の乗馬訓練のスポンサーになったことについては、弁護側は、李在鎔被告は部下がやったことを何も知らないとしたが、裁判所は有罪とした。


サムスンではトップ不在が長引き、大型M&Aや新事業を含む経営への影響が懸念されていたが、執行猶予判決で同被告は経営に復帰する。

付記 朝鮮日報は2月6日の社説で以下の通り述べている。

 一審では崔順実被告らに対する乗馬支援などに関して具体的な請託などなかったことは認められたが、「黙示的請託」なるものがあったとして懲役5年の実刑が宣告された。サムスングループの経営権継承という懸案をめぐり、朴前大統領と李氏が以心伝心で「心の中で請託が行われた」として実刑を宣告したのだ。裁判官が実際の証拠ではなく他人の心中を勝手に判断し「心の中の請託」があったとして有罪判決を下すなど絶対にあってはならないことだ。

 この無理な判決は今回の二審でほぼ正された。二審で裁判長は「李氏が朴前大統領に請託を行った証拠はない」と認めた。言うまでもなく実際に提出された証拠も一切なかった。サムスン物産と第一毛織の合併や、サムスン生命の金融持ち株会社への転換は李氏に経営権を継承するためだったとは言えず、朴前大統領も経営権継承について把握していたとは考えられないというのが裁判長の判断だ。また誰が見ても請託が行われたと言える状況でもなかった。「心の中の請託」などその前提自体が成立しないことを裁判長が認めたのだ。

 この事件を最初に捜査した検察は、事件の性格について当初「朴前大統領の強要によるもの」と判断したが、それを特別検事が「贈賄事件」へと勝手に変えた。朴前大統領に厳しい判決を下すため、事件の構図を思いのままに変更したのだ。


付記 サムスン側、検察側がともに判決を不服として上告した。

Clariant は1月25日、SABICがClariantの株式の24.99%を取得し、最大株主になったと発表した。

物言う株主Keith MeisterのヘッジファンドCorvex Management LP と投資グループの40 North から買収した。 これまで Corvex Management LPと40 North は共同でWhite Tale Holdings を設立し、Clariantと対決してきた。

Clariantは次のように述べた。
 SABICによる同社株式の取得については事前に知らされていた。
 SABICは世界の大手化学会社の一翼で、スペシャリティ部門にも進出しており、触媒のJV Scientific Designのパートナーでもある。
 近いうちに今後のClariantの運営について話し合いたい。

SABICは2003年に吸着剤と触媒のメーカーである Süd-Chemie と組んで、Linde AG からScientific Design Company Inc.を買収し、50/50 JV とした。

その後、2011年にClariantがSüd-Chemieを買収した結果、現在 Scientific Design はSABICとClariant の50/50 JV である。

ーーー

Corvex と40 North の White Tale Holdings はこれまで、Clariant株を長期保有するとして、会社側と対決してきた。

Clariant と Huntsman は2017年5月22日、両社の取締役会が満場一致で両社の対等合併の契約を承認した。

統合会社の社名はHuntsmanClariant で、統合会社の売上高は132億ドル、 EBITDA は23億ドル、企業価値は約200億ドルとなる。

Clariantの株式がそのままHuntsmanClariant の株式となり、Huntsmanの株主はHuntsman株式1株につき1.2196株のHuntsmanClariant株を受け取る。
結果として、Clariant株主が52%、Huntsman株主が48%となる。

取締役は両社から均等に出す。

新会社のグローバル本社はスイスのPratteln に置き、運営本部はテキサス州The Woodlandsに置く。

株式はスイスとNew Yorkの両方で上場する。

2017/5/26 Huntsman と Clariantが統合 

これに対し、White Tale Holdings は反対を唱え、Clariant株の買い増しを進めた。

2017年7月10日  10%超
   9月19日  15%超
   10月27日  20%超

White Tale は持株が15%超となった時点でClariantの取締役会に公開状を送り、Huntsmanとの合併を取り消し、戦略的代替案を探ることを求めた。

合併はClariant株主に損害を与え、Clariantのいろいろな選択肢をつぶすことになるとしている。
合併を取り止めるとともに、独立投資会社を雇って、スペシャリティケミカルの専業としてやっていける代替案を探ることを求めた。

両社は2017年10月27日、合併を断念した。両社は合併が長期的に株主の利益になると信じるが、物言う投資家White Tale Holdings が反対を続け、他の株主も同調しているため、無理と判断した。

契約には、株主総会で通らなかった場合の違約金の条項はなるが、今回は総会前の両社の判断であるため、違約金の支払いはない。

その後、ClariantはWhite Tale と話し合いを続けた。

しかし、White Tale の主張は曖昧で、Clariant側の印象は、Clariantをバラバラにして、それぞれを高く売ることを狙っているように見えるとしている。

Plastics & Coating部門の売却検討の提案も出された。

2016年の業績(100万スイスフラン)

売上高 EBITDA
Care Chemicals 1,465 276
触媒 673 160
Plastics & Coating
(顔料、マスターバッチ、添加剤)
2,525 368
天然資源ビジネス
Oil & Mining、Functional Minerals
1,184 200
Corporate - -117
Total 5,847

これは実質的にClariant 解体を意味し、経営陣にとって受け入れる余地はなく、対立した。

White Taleの狙いは、Clariantの価値を高めることではなく、売り抜けて利益を得ることであり、その後も24.99%まで買い増しし、SABICに売却して利益を上げた。

Clariant 株価推移


  

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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