「no」と一致するもの


Wall Street Journal は11月1日、カナダの製薬大手Valeant Pharmaceuticals International が多額の債務を軽減するため、胃腸薬事業のSalix Pharmaceutical を武田薬品工業に約100億ドルで売却する交渉を行っていると報じた。

Valeant はSalixに限定せずに第三者といろいろな売却の交渉をしていると述べた。

この報道を受け、武田は11月2日、下記の発表を行った。

当社は、当社の事業成長を加速するために、重点領域(消化器系疾患領域、オンコロジー、中枢神経系疾患領域およびワクチン)を中心とした様々な戦略オプションを常時、検討しております。当社は、重点領域において、常に複数の相手先との案件について交渉を行っていますが、現時点で開示すべき合意事案はありません。

Salix Pharmaceuticalは、Valeantが1年半前に111億ドルの現金(負債込みで158億ドル)で全株を買い取った。

Valeantは2015年2月22日に101億ドルの現金(借入金込みで145億ドル)での買収に合意した。

しかし、アイルランドの医薬会社Endo International plcが3月11日、112億ドルの現金と株式で 全株を買い取る提案を行った。

このため、Valeantは3月16日に、上記の新しい条件での買収で Salix Pharmaceuticals と合意した。

Salixは胃腸病薬の市場のリーダーで、有名な処方薬4種を含め合計22種類の薬を保有する。米国の胃疾患治療薬市場(GI市場)は50億ドル規模で、年間5%拡大しているが、Salixの売り上げの伸びはこの市場成長ペースを上回っている。



Valeant はこれまで、成長の大部分を買収や、買収で手に入れた割安な医薬品の値上げに依存していたが、
この買収によってValeantの債務は310億ドルへと2倍前後に膨らみ、また、米国での医薬品値上げで監督当局や政治家から監視の対象となり、苦境に陥った。

Valeant Pharmaceuticals が2種類の心疾患治療薬を大幅に値上げしたことをめぐり、米議会下院の監視・政府改革委員会の民主党委員らが問題視した。

ValeantはMarathon Pharmaceuticals から2種類の心疾患治療薬(特許切れだがジェネリック品無し)を買収したが、即日、大幅値上げした。

2016/8/30 Mylanの医薬品 EpiPenの値上げに対する批判 後半

株価も暴落している。

Valeantは本年4月25日にライバルのアイルランドの製薬大手 Perrigo Co. のCEOのJoseph Papaを会長・CEOとして迎えることを決めた。
Valeant は再建対策の一つとしてコアでない資産の売却も検討している。

Wall Street Journal (5月26日付)によると、本年春に武田薬品と投資会社TPGから共同でのValeant 買収提案があったという。

武田薬品の狙いは旅行者下痢症やIBS(過敏性腸症候群)のような胃疾患薬を扱う Salix Pharmaceuticalsではないかとみられた。
Salix のIBS薬の Xifaxanに期待しており、本年の売上高を10億ドルとみている。

同紙によると、武田薬品も2015年のSalixの争奪戦に参加していたとされる。

この経緯からみて、今回の買収交渉は決して驚くものではない。

 
  Valeant について

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦 
2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、米同業Salix Pharmaceuticalsを買収
2015/3/18 Salix Pharmaceuticals の買収合戦
2015/8/26 Valeant Pharmaceuticals、女性用バイアグラの Sprout Pharmaceuticalsを買収
2016/5/30 武田薬品、カナダのValeant Pharmaceuticalsに買収を提案、拒否される

ーーー

武田薬品は2008年4月に、米国バイオ医薬品会社 Millennium Pharmaceuticals, Inc.を約88億ドルで買収することを発表した。
同社は5月9日、91.9%の応募を受け、本TOBが成立したと発表した。

癌領域におけるリーディングカンパニーで、癌領域および炎症疾患領域において有望なパイプラインを保有する。

2011年5月19日、スイスのチューリッヒに本社を置く非上場製薬会社Nycomed A/S を買収すると発表した。
買収額は株式価値+純負債ベースで96億ユーロ(約1.1兆円)

同年9月30日に買収を完了し、同日をもって100%子会社とした。

2011/5/23 武田薬品、Nycomed社を買収 

2014年6月にGlaxoSmithKline 出身のChristophe Weber を代表取締役社長とし、翌年CEOになった。

同社は消化器系疾患領域、オンコロジー(癌)、中枢神経系疾患領域の3分野(+ワクチン)を重点領域とし、これらの分野に経営資源を投じるため、事業の選択と集中を進めている。

2015年12月16日、呼吸器系疾患領域事業をAstraZenecaに5億7500万ドルで売却することで合意した。

2015/12/22 AstraZeneca、買収による事業拡大 

2015年11月30日、後発薬世界最大手のイスラエルのTeva Pharmaceutical と、日本で両社によるジェネリック医薬品の合弁会社を設立する基本合意契約を締結した。

武田薬品は長期収載品事業を分割し、ジェネリック医薬品事業を営む大正薬品に承継、大正薬品は武田テバ薬品と改称する。

2015/12/28 武田薬品とTeva Pharmaceutical の日本の合弁会社の概要 

武田薬品は子会社で試薬大手の和光純薬工業の売却を決めていたが、11月3日の日経は富士フィルムが2000億円規模で買収する方向で最終調整に入ったと報じた。

1922年に当時の武田長兵衞商店から分離して武田化学薬品とし、1947年に和光純薬工業と改称した。
武田薬品が69.43%、富士フイルムが 9.51% を出資する。

ES細胞やiPS細胞の培養につかう試薬など有望技術を持つ。

富士フィルムと日立化成、Carlyle Groupが応札していた。


今回の多額での買収はこの選択と集中の一環である。



島野製作所がアップルを特許権侵害で訴えた控訴審で、知的財産高裁は10月26日、特許権の侵害がないとした一審・東京地裁判決を支持、島野製作所の控訴を棄却した。


島野製作所は、電源アダプターに使われる「pogo pin」というるコネクタ部分の接触端子の専業メーカーで、2005年からアップルのノートパソコン(Magsafe、Magsafe 2)に接続する電源アダプタ側の端子向けに、単独サプライヤーとして供給してきた。

島野は2012年にアップルから増産要求を受け設備投資を実施したが、直後に取引を急減させられた。

島野は取引回復を求めたが、納入価格を半額以下にするよう要求され、さらに納入済みの在庫部品についての値下げ分として約159万ドルのリベート支払を求められた。

島野はいずれの要求にも従ったが、2014年8月にアップルを相手に独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。

① 独禁法違反等  リベート支払等に関する損害賠償請求(約100億円)

② 特許権侵害   一部のアップル製品についての販売差止及び損害賠償請求(約10億5千万円)

東京地裁は2016年2月15日、「係争をアメリカの裁判所で解決することを定めていた両社の合意は、合意が成立する法的条件を満たしておらず無効」と判断、国内で審理することを決めた。

2016/2/20 島野製作所の対アップル訴訟で国際裁判管轄の企業間合意に無効判断 


このうち特許権侵害について、東京地裁は3月17日、島野製作所の請求を棄却する判決を言い渡した。

島野は控訴したが、知的財産高裁は10月26日、特許権の侵害がないとした一審・東京地裁判決を支持、島野製作所の控訴を棄却した。

本件の問題は次のとおり。

  島野主張:

島野はアップルから依頼を受けて電源アダプターに使われているプランジャーピンを新製品用に開発し、アップルの要求で量産体制を構築した。
ところが、アップルは島野との合意を無視するかたちで、別のサプライヤーに代替ピンを製造させていた。
しかも、これが島野の特許権を侵害していた。

  アップル主張:

島野製作所が侵害を主張する特許権は、アップルの技術者と島野製作所の技術者が共同して発明したものを島野製作所が2011年11月に単独で特許出願したもので、権利が無効である。

新しいポゴピンは別設計であり、島野製作所の特許権を侵害していない。


一審東京地裁は、
島野の特許は押付部材全体が球であるピンのみを権利範囲としており、アップルが使用しているピンの形状はその範囲に属さないと判断した。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20160403-00056167/


控訴審で知的財産高裁は、一審での中心的争点であった押付部材の形状の違い(球 vs キノコ型)だけではなく、技術的意義そのものが違うというところまで認定されてしまった。
判決では次の通り指摘された。

アップル製品と島野発明とは、押付部材とプランジャーピンとの接触に関し、技術的意義を異にするものということができる。

このため、アップル製品のコマ状部材は、構成要件Dの「押付部材」に該当せず、ほかにアップル製品の構成中、「押付部材」に該当するものはない。
また、アップル製品のコマ状部材の球状部がプランジャーピンの傾斜凹部を押すことは、構成要件Dの「押圧」に該当せず、ほかにアップル製品の構成中、「押圧」に該当するものはない。

均等侵害の主張について、成立が認められるための条件を満たして折らず、主張自体、失当である。

島野発明とアップル製品は、本質的部分において相違することが明らかであるから、均等侵害の成立を認める余地はない。

更に、アップル側からの島野特許の無効審判が行なわれていたが、8月16日に島野特許の無効の審決が出た。

元の出願を分割して、アップルの実際の製品に権利行使できるようにしたことが分割要件違反とされ、出願日が訴求しなかったことが無効の理由ととされた。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20161026-00063719/


アップルは世界中で特許の争いをしており、特許の申請に当たっても、また法廷闘争に当たっても、十分な対策をしていると思われる。

特許権侵害については、島野の完敗である。

残るのは独占禁止法の争いであるが、これについての状況は明らかになっていない。


原子力規制委員会は10月26日、火山灰が大量に降った際の原発への影響について、これまで求めていたより10倍の濃度の火山灰を想定して対策を立てるよう電力各社に求めることを決めた。

現在の規制基準では、噴火で火山灰がまき散らされても、空気取り入れフィルターの目詰まりにより非常用発電機が機能を失うことがないよう対策を求めており、想定する大気中の火山灰の濃度は、2010年に欧州で航空便が大量欠航したアイスランドの噴火の際に観測された1立方メートルあたり約3ミリグラムを用いて いる。

2010年4月14日、アイスランドの首都レイキャビクの東方125kmのエイヤフィヤトラヨークトル(Eyjafjalla-jokull)火山が噴火した。
噴煙は成層圏に達し、火山灰は西ヨーロッパ全土に拡散、欧州約30カ国の空港が一時閉鎖し、1週間で航空機10万便が運休した。

かし、関西電力美浜原発3号機の審査書案への意見募集で、桜島の噴火で7~10mgを観測していること、1980年の米 St. Helens山の噴火では30mg 超だったとの指摘があった。

このため、規制の指示で関電で再評価をした結果仮にSt. Helens山の噴火における大気中濃度を適用した場合であっても、フィルタを交換することで施設の機能を確保できることを確認した。

規制委員会では、すでに新規制基準への適合が認められた九州電力川内原発1・2号炉、四国電力伊方原発3号炉及び関西電力高浜原発 1~4号炉の3原発7基についても、非常用発電機のフィルターなどが目詰まりしないか、評価して報告するよう求めた。


これとは別に、電力中央研究所が今年4月に公表したシミュレーションでは、富士山の宝永噴火(1707年)で横浜付近(降灰実績16㎝程度)の火山灰濃度は1立方メートルあたり最大100㎎~1,000㎎ の結果が出た。

1707年12月16日午前10時ごろに富士山宝永噴火が発生し、翌年1月1日未明までの16日間噴火は続いた。

火口から約100km 離れた江戸では、16日午後1時頃から噴煙に覆われて暗黒になり、灰色の火山灰が降灰。夜に入ると灰色の火山灰は黒色の砂へと変わり、この砂は夜半には降り止んだ。

規制委は、 電力中央研究所レポートや、産総研の「吸気フィルタの火山灰目詰試験」レポートの妥当性を確認した上で、「火山影響評価ガイド」改正その他の検討に着手する。
検討に当たっては、海外の動向も参考とする他、これらレポートを踏まえた事業者の意見や対応についても聴取する。

ーーー

火山については巨大噴火の問題が残っている。

地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火(破局噴火)で、大規模なカルデラの形成を伴うことからカルデラ破局噴火とも呼ばれる。
7300年前に屋久島近くの海中で鬼界カルデラ噴火が発生した。阿蘇山では、30万年前から9万年前までの間に、4回の巨大なカルデラ噴火が発生している。

これまで平均 6,000年間隔で起こっていたカルデラ噴火が、最近 7,300年間は発生しておらず、いつ起こっても不思議がない。
規模にもよるが、一度、カルデラ噴火が起こると、その周囲100~200kmの範囲は火砕流で覆われる。

原子力規制委員会は九州電力川内原発については、原発周辺で巨大噴火が起こる可能性は非常に低いとして、再稼働審査に合格させている。

規制委は10月17日、外部有識者でつくる原子炉火山部会の初会合を開き、巨大噴火に備えて原発の停止、核燃料の搬出などを命じる基準の検討を始めた。

規制委の案によると、巨大噴火は、中小規模の噴火や大規模噴火を経て発生すると考えられるため、中小規模の噴火が起こり、極めて異常なデータが観測された場合、同部会で対応を検討するとした。監視対象となるデータとしては、地殻変動や地震活動、火山の熱やガスを挙げている。

この日の会合では、「顕著な現象があっても巨大噴火になるかは直前にならないと分からない」など、有識者から予兆をとらえるのは困難とする指摘が相次いだ。

しかし、核燃料の搬出には核燃料を数年間冷やすことが必要で、直前に搬出を命じても間に合わない。
停止命令は実際には廃炉命令であるため、可能性が低い時点では出し難いが、ためらっていると噴火前に核燃料の搬出が出来ず、 大惨事となる。

基準の作成が難航するのは必至である。

また、現在は核燃料の搬出先が決まっていないが、予め決めておく必要がある。


付記

数十年以内に桜島で大きな噴火が起きる恐れがある英 Bristol 大学 School of Earth SciencesのVolcanology Research Group と京都大学の桜島火山観測所が 9月13日にNature 誌に発表した。

桜島を含む姶良カルデラの地下にあるマグマが年間1150万立方メートルのペースで増えているというもの。

日揮は10月26日、Woodfibre LNG から、カナダ British Columbiaで計画しているLNGプラント建設プロジェクトに係わる基本設計役務(FEED) を受注したと発表した。

詳細は下記の通り。

1. 契約先 Woodfibre LNG (Royal Golden Eagleグループの関連会社)
2. 建設場所

カナダ British ColumbiaSquamish 近郊

3. 契約 LNGプラント(処理能力:210万トン/年)に係わる基本設計役務
4. 受注金額 非公表
5. プロジェクト Woodfibre LNGが、既存のパイプラインから供給される天然ガスを原料とし、LNGの生産を行うもの。
LNGはグローバルマーケットに輸出される。


天然ガスのパイプラインは北部のガス田地帯からVancouverまでつながっている。

Woodfibre LNGはインドネシアの巨大財閥のRoyal Golden Eagle の一員である Pacific Oil & Gas Limited の子会社。

Royal Golden Eagle グループはインドネシアのSukanto Tanotoが設立した農業、林業、製紙パルプ、レーヨン、石油、ガスなどの事業を手掛ける巨大財閥で、シンガポールに本拠を置く。

Sukanto Tanotoは中国福建省からの移民の父から自動車部品を輸入するビジネスを引き継ぎ、国営石油会社プルタミナへ機材・部品を供給し、そこから森林産業に移っていった。
シンガポール拠点のAsia Pacific Resources International と中国拠点のAsia Symbol (Shangdong) Pulp And Paper は、製紙パルプ事業において世界のリーディングカンパニーである。

LNGの立地はパルプ工場の跡地で、2006年にWestern Forest Products が工場を停止して以降、利用されていない。

2013年に Woodfibre LNG がWestern Forest Products が更地にするという条件で買収契約を締結、関係省庁の認可を得て、2015年2月に正式の所有者となった。

Woodfibre LNG は年間210万トンのLNGを25年間輸出するライセンスを得ている。

10月17日、ドイツのBASFの Ludwigshafen工場北端のLandeshafen Nord 港で爆発事故があり、消防士2名と近くの船の船員1名の計3名が死亡し、多数が負傷した。
(その後、消防士が1名死亡し、計4名となった。)

Landeshafen Nord 港はナフサ、メタノール、高圧ガスなど可燃性液体のターミナルで、年間260万トン以上の荷物を扱い、1日平均7隻の船が出入りする。

午前11時30分頃、パイプで荷物を輸送している最中に爆発した。


BASFでは安全のためLudwigshafen工場のクラッカーや他の製造装置の操業を停止し、Ludwigshafen と川向こうのMannheimの住民に室内に留まり、窓やドアを締め切るよう、アドバイスした。

工場は翌日、順次操業を開始した。

BASFや当局は爆発原因を調べていたが、BASFは10月28日、原因は業者が誤って異なるパイプを切断したためと見られると述べた。

爆発の直前に船からの荷揚げ場所とタンクをつなぐ空のパイプラインの修理を行っていた。

調査員がその近くの可燃物を輸送していたパイプラインが切られているのを見つけた。漏れたガスがスパークで引火し、爆発を起こしたとみられる。

三菱ガス化学は10月20日、インドネシアで三菱商事が投資目的会社を通じて出資する現地資本とのアンモニア製造の合弁会社 PT Panca Amara Utama のプロジェクトに参画することで合意したと発表した。

同社は新潟工場で、自社保有の天然ガスを原料として年間132千トンのアンモニアの生産をしていたが、国内需要の減少により非効率な生産体制を余儀なくされていることに加え、設備老朽化により多額の修繕費が必要になったため、2015年7月末に生産を停止した。

生産停止後は外部調達により、アンモニアの外販、および誘導品の製造を継続しているが、インドネシア計画への参画で、アンモニアの安定的な調達を図る。

ーーー

参画する計画の概要は次の通り。

合弁会社名 PT Panca Amara Utama
工場所在地 インドネシア Sulawesi 島バンガイ県
生産品目 アンモニア
生産量 約70 万T/Y (日産2,000トン)
技術 米国KBR
総事業費 8.3 億US$
運転開始予定 2017 年末
建設 PT Rekayasa Industri  (東洋エンジニアリングが一旦受注したが変更)

合弁会社には、インドネシア大手のガス製造会社 PT Surya Esa Perkasa Tbk が59.98%を出資する。
三菱商事がマイナリティ株主として参加している。

三菱ガス化学は恐らく、三菱商事の株(の一部?)を引き受けると思われるが、詳細は不明。

原料は現地の天然ガスで、三菱商事は天然ガスの採掘事業と、天然ガスの液化を行うLNG事業に参画している。

ーーー

三菱商事は2011年1月24日、インドネシアのSulawesi島の同社が主体のLNG製造・販売事業の最終投資決定をしたと発表した。総投資額は約28億ドルとなる。

更に、直後に、インドネシア民間最大手エネルギー会社であるMedco Energy Internationalより、同国中部Sulawesi州に位置するSenoro-Toili天然ガス鉱区権益を20%保有するTomori E&Pの全株式を260百万米ドルで取得したと発表した。

これにより、同社は
Donggi-Senoro LNGプロジェクトの上流から下流にわたるLNGバリューチェーンへの関与を通じてプロジェクトの一体運営を行う。

PT. Donggi-Senoro LNGの概要は以下の通り。

事業内容 LNG製造・販売
設立 2007年12月28日
株主構成 Sulawesi LNG Development59.9%←当初三菱商事 51%
 (三菱商事 75%、韓国ガス公社 25%)
PT Pertamina Hulu Energi 29%
PT Medco LNG Indonesia  11.1%←当初 20%
LNGプラント建設地 Uso area, Sulawesi Island
能力 LNG 年200万トン
コンデンセート 原油換算日量47千バレル
天然ガス
 (
Sulawesi島東部)
Matindok ガス田 Pertamina 100%           
Senoro-Toiliガス田 Pertamina 50%
Medco
  50%→Tomori E&P(三菱商事/韓国ガス)20%
         
Medco E&PMedco 30%

 注)Matindok ガス田はSenoro-Toiliガス田の北方の陸上ガス田。

2011/1/27 三菱商事、インドネシアでLNG計画決定 


PT. Donggi-Senoro LNGは2015年6月から生産を開始した。
年間約100万トンを中部電力、約30万トンを九州電力、約70万トンを韓国ガス公社とそれぞれ締結している長期販売契約に基づいて出荷している。


Sulawesi 島の天然ガス関連事業の構図は下記の通りとなる。

ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長は10月25日、ソウルのロッテホテルで記者会見を開き、グループの経営不正疑惑をめぐる検察の捜査で指摘された問題に関し国民に謝罪した後、経営刷新策を説明した。

ソウル中央地検は10月19日、創業者の重光武雄(辛格浩)、長男の重光宏之(辛東主)、次男の昭夫(辛東彬)の各氏を脱税や背任などの罪で一括して在宅起訴 した。
重光昭夫会長の出国禁止は解除された。

2016/9/23 ロッテグループの危機


概要は次のとおり。

 順法経営委員会の設置 

不正を防止するための組織として、外部の専門家を交えた「順法経営委員会」を会長直属で新設する。

 企業支配構造の改善

ホテルロッテの上場

韓国ロッテグループの事実上の持株会社のホテルロッテは7月中の株式上場を計画していたが、捜査を受け、無期延期している。
捜査終了を受け、新規株式公開計画を再始動させ、持株会社への転換で所有構造の簡素化と透明性向上を目指す

循環出資を完全に解消し、できるだけ速やかに持株会社体制に移行する。

グループの政策本部の縮小と系列会社の責任・権限強化

 成果中心ではない、質的な成長に向けた目標の設定

「2020年までに売上高200兆ウォン(約18兆円)を達成し、アジアトップ10に入る」という目標を見直す。
外形的な成長にだけ集中した結果、企業の社会的な責任を果たすという点が不足していた。

 積極的な投資・雇用計画

来年から5年間で40兆ウォン(約3兆7000億円)の投資と7万人の新規雇用を行う。
3年間で1万人の非正規雇用の正社員転換を進める。


日本経済新聞のインタビューでは、「日本での役職(ロッテホールディングスの副会長や球団のオーナー代行)を続けるつもりだ」と述べた。

日本で製菓事業を手掛けるロッテについては、「引き続き上場させる方向で考えている」とした。

赤字が続いているロッテ球団の売却の可能性については「100%ない」と強調した。



付記

日本のロッテホールディングスは10月26日に取締役会を開き、同社副会長である重光昭夫氏の代表職の遂行に問題がないかどうかを議論、その上で、同氏の続投を決議した。

重光昭夫氏はこの席で、在宅起訴に至った経緯や起訴内容などを詳しく説明し、身柄を拘束されていないため経営に支障がないこと、無罪推定の原則に基づき三審まで裁判を受けてようやく有罪か無罪かを問えるということを説いたとされる。取締役会は3時間近く行われた。

ロッテの関係者は「予想に反して取締役会が長引いたが、代表職の遂行に問題がないという方向に結論が出た」と伝えた。



台湾の蔡英文政権は2025年に「原発ゼロ」にすることを決めた。

行政院(内閣)は10月20日、再生エネルギー事業への民間参画を促す電気事業法の改正案を閣議決定した。
太陽光と風力発電を中心に再生エネの割合を20%まで高めることを目標とするもので、近く立法院で審議に入り、年内の可決を目指す。

蔡総統は「改正は原発ゼロを進め、電源構成を転換する決意を示すもの」と述べた。

台湾には4原発・8基があり、うち第四原発は完成後も住民の反対で稼動していない。
第一、第二原発は人口密集地の台湾北部にあり、台北中心部から23~28kmの距離にある。

第四原発は今後も稼動せず、残り6基についても40年稼動期間の延長をせず、期間満了で停止する。このため、2025年5月に原発ゼロとなる。

出力(net) 発電開始 40年 現状
第一原発
(金山発電所)
1号 BWR 604MW 1978/12 2018/12 停止中 2014/12の定期検査で不具合発覚
2号 BWR 604MW 1979/7 2019/7 稼動中
第二原発
(国聖発電所)
1号 BWR 948 MW 1981/12 2021/12 稼動中
2号 BWR 948 MW 1983/3 2023/3 停止中
第三原発
(馬鞍山発電所)
1号 PWR 919 MW 1984/7 2024/7 停止中 定期検査
2号 PWR 922 MW 1985/5 2025/5 稼動中
第四原発
(龍門発電所)
1号 ABWR 1300 MW

住民反対で未稼働

2号 ABWR 1300 MW
.
.


台湾も日本と同様に地震が多い。

2000年3月、反原発を主張する民進党の陳水扁が総統選挙に勝利を納め、政権交代が行われた。

台湾の原子力情勢は一変し、既設原子力発電所の廃炉、工事中の第四原子力発電所の中止、「非核家園(原発のない故郷)」の立法等、一連の脱原子力方針が打ち出された。

2008年の総統戦では民進党の謝長廷が敗北し、国民党の馬英九が総統になった。

しかし2011年3月11日の福島第一原発事故で安全性への不安が高まり、反対運動が激化した。
第四原発の稼働を目指していた馬英九政権は2014年に凍結決定に追い込まれた。
(2014年4月27日、5万人のデモ隊が台北駅前の8車線道路を15時間占拠し、稼働を阻止した。)

馬政権は第四原発を廃炉にはせず、将来的に稼働させる選択肢を残していた。

2016年1月の総統選で、民心党の蔡英文主席が大差で当選した。
蔡女史は2012年の総統選に立候補後、「2025年までに原発全廃」を目指す目標を表明、民進党結党以来の党是の一つである「脱原発」を鮮明に打ち出してい た。


付記

安井至氏は 「市民のための環境学ガイド」 2016/10/29 「台湾、2025年原発離脱」で次のように述べている。

このような政策は、2025年に不可能とは言えませんが、問題はそれ以後でして、それが解決可能かどうか、と言われれば、相当な覚悟と予算と電力料金の値上げが必要なのではないか、という結論になりそうです。

ーーー

2010年の台湾の電源構成は下記の通りとなっている。(GWh)

水力 7,255 2.94%
石炭 123,289 49.91%
石油 9,462 3.83%
天然ガス 60,787 24.61%
原子力 41,629 16.85%
風力 1,028 0.42% 2014年は1,490GWh
太陽光 21 0.0084% 2014年は 510GWh
バイオマス 540 0.22%
廃棄物 3,036 1.23%
合計 247,045 100%

RIST 「台湾の電力事情、発電計画、原子力発電」から

全原発が稼働を終えて原発ゼロとなるまでの時間は9年しかなく、電力の安定供給や計画の現実性への課題は多く、計画実現をめぐり内外から厳しい目が向けられている。

台湾で電力問題を所管する李世光・経済部長は次のように述べている。

2025年までに既存の原発をすべて停止させる一方で再生エネルギーを推進し、原発ゼロとすることを明確な目標に掲げた。

再生エネは太陽光と洋上風力発電を柱とする。
太陽光発電は技術的にも成熟してきた。パネルは生産過剰で価格が下がっており、台湾には逆にチャンスだ。
台湾海峡は強い季節風が吹き、風力も有望だ。
ただ、前政権が力を入れていなかったので台湾には自己技術がない。日本との協力にも期待している。

再生エネは安定したベースロード電源とは言えないが、違う種類の再生エネを組み合わせることでベースロード電源に近いものにし、蓄電や節電にも力を入れていく 。

海風を利用し、台湾で最も早く風力発電を始めた台湾海峡の離島、澎湖諸島の陳光復知事は、「澎湖はグリーンエネルギーを本島に供給する重要な電源になる」 と述べた。

澎湖は現在、人口約10万人分の約15%を供給、2025年までに、太陽光も加えた発電能力を増強して再生エネ供給率を100%とし、余剰分は海底ケーブルで約60キロ離れた台湾本島に送電する計画 。

澎湖には現在風力発電所が数箇所あるが、そのうち、中屯風車には600キロワットの風力発電機が8基あり、観光地にもなっている。

テルモは10月18日、米国のSt. Jude Medical, Inc. と Abbott Laboratories の両社の血管内カテーテル術関連事業の買収に関する基本的な条件に合意したと発表した。
買収額は約 1,120百万ドルで現金払い。

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Abbott は4月28日にSt. Jude Medical を買収する契約を締結したと発表した。買収価額は250億ドル。

St. Jude は
売上高が約59億ドルで、ペースメーカーや血管を広げて血流を助けるカテーテル器具など、心血管治療関連の医療器具で業界大手。

同社は「カーディアック・リズム・マネジメント(不整脈疾患の診断及び治療に用いる医療機器)」、「心房細動」、「心臓血管」、および「ニューロ・モジュレーション(慢性疼痛・神経障害)」の4つの分野に注力している。

同社は2015年10月8日に、重症心不全(HF)治療における補助人工心臓技術の世界的リーダーであるThoratec の買収を完了しており、Abbottはこれも含めて入手することとなる。

St. Jude Medical は2015年10月8日、重症心不全(HF)治療における補助人工心臓技術の世界的リーダーであるThoratecの買収を完了した。
正味買収金額は約33億米ドル。

この買収により、最も広く使用され大規模試験も行われている左心補助人工心臓のHeartMate II®、次世代機器のHeartMate 3™、HeartMate PHP™、およびその他の補助製品が、St. Jude の心不全製品ラインナップに追加される。

Abbott の医療器具事業は年間売上高が50億ドルで、そのうち30億ドル程度を心血管治療関連が占める。
同社は米国など主要市場で肥満や高齢化により同分野の医療用品の需要が伸びると見ており、St. Jude の買収で品ぞろえを強化する。

Abbott とSt. Judeの統合で止血機器での世界シェアが7割近くに達し、各国の独占禁止法に引っかかる可能性があるため、反トラスト法で問題となる製品の一部を売却するもの。
テルモは両社の合併成立を前提に本買収を行う。

テルモが買収する事業は次の通りで、テルモはSt. Jude Medical の止血機器事業を買収することで、同分野では世界シェアがトップ級になる。

相手先 製品
St. Jude Medical 大腿動脈穿刺部止血デバイス Angio-Seal
(世界シェアNo.1)


縫合糸でつながったアンカーとコラーゲンスポンジにより、穿刺部血管壁の内側からアンカーで、組織側からコラーゲンスポンジを挟み込むことにより止血する。
さらに、コラーゲンが凝固反応を促進し、迅速な止血を行う。
体内に留置するアンカー、コラーゲンスポンジ、縫合糸は60日~90日で生体に吸収される。

大腿動脈穿刺部止血デバイス FemoSeal
Abbott 心臓用カテーテルイントロデューサーキット
Vado Steerable Sheath


経血管内にカテーテルを挿入する際に、挿入部位を確保するために使用するシースセット

カテーテルロック機能がカテーテルをしっかりと固定、カテーテルの長時間留置を可能にする。

Abbott は自社の大腿動脈穿刺部止血デバイス (Perclose ProGlide® Suture-Mediated Closure System、StarClose SE® Vascular Closure System、Prostar® XL Percutaneous Vascular Surgical System など)を引き続き保持し、統合会社で取り扱う。

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テルモは6月12日に、脳動脈瘤治療に用いる新形状塞栓デバイスを開発し、世界で初めて製品化した米国のSequent Medical の全株式を取得するための契約を締結している。

2016/6/16 テルモ、米脳血管医療機器メーカー買収 


Abbott Laboratoriesは2014年7月、米国以外の先進国市場におけるBranded Generics事業を米ジェネリック医薬品メーカーのMylan に売却した。
約53億ドル相当のMylan株を受け取るが、早期に売却し、医療機器事業買収や自社株買いなどの資金に充当していく方針。

2014/7/21  MylanがAbbottのジェネリック事業の一部を買収 

Abbott Laboratoriesは9月16日、子会社で眼科分野で3つのセグメント(白内障・緑内障手術、レーザー屈折矯正手術、眼科関係消費者用製品)を持つAbbott Medical Optics を医薬・生活用品大手の Johnson & Johnson(J&J)に43億2500万ドルで売却した。

Abbott Laboratoriesは「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させる。

2016/9/20 Johnson & Johnson、Abbott Medical Optics を買収


パナソニックは10月17日、太陽電池分野でTesla Motorsとの協業に向けた検討を開始した。

北米市場向けに、Teslaのバッファロー工場(ニューヨーク州)での太陽電池セル、モジュールの生産協業に関する検討を行うことで、同社との間で法的拘束力のない Letter of Intent を締結した。

パナソニックが太陽電池分野で持つ技術・製造力の強みと、Tesla の強い販売力との相乗効果など、両社が持つ強みを生かした協業を検討していく。

最終的に合意に達した場合、2017年にもバッファローの工場で Tesla 向け PVシステムの生産を開始する。

パナソニックは、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた独自のヘテロ接合型太陽電池「HIT® 」の生産・販売を行っている。
HIT®は世界トップレベルの発電効率と、優れた温度特性により、限られた面積でも大きな発電量を実現している。

また、製造面では、インゴットから、セル、モジュール、さらにパワーコンディショナなどのシステム機器まで自社製造する世界でも希少なメーカーであり、一貫生産による高品質な製品を提供している。

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パナソニックとTesla は、電気自動車(EV)用の次世代電池を開発、EV市場の拡大を加速するなど、これまで数年に亘る協力関係を築いてきた。


Teslaは、Tesla 製の先進的な電池パックにパナソニックのリチウムイオン電池を搭載しており、またEV用の次世代リチウムイオン電池を共同で開発するなどパナソニックとは親密な関係があり 、パナソニックを優先サプライヤーとして位置づけている。

パナソニックは2010年11月にTeslaに3000万ドルを出資した。

パナソニックとTesla は2013年10月30日、パナソニックがTeslaにEV用リチウムイオン電池の供給を拡大する契約を締結した。

パナソニックは2014年~2017年に約20億セルのリチウムイオン電池を供給する。
Teslaがパナソニックから購入する電池は、モデルSと同様に2014年末までに量産予定の多目的車のモデルXにも搭載される。

パナソニックとTesla は2014年7月31日、米国においてギガファクトリーと呼ばれる大規模な電池工場の建設に関して、両社が協力することに合意した。

Teslaは土地、建物、そして工場設備を準備し、提供・管理する。
パナソニックは、双方同意のもと、円筒形リチウムイオン電池セルを生産・供給し、リチウムイオン電池セルの生産に必要な設備、機械、およびその他の治工具などに投資 する。

ギガファクトリーで必要な材料の前駆体は、パートナーサプライヤーで構成されるネットワーク内での生産を計画して おり、Teslaは、セルや他の部品を用いて電池モジュールおよびパックを製造する。

ギガファクトリーでは 2020年までに年間 35GWh 相当のセルと 50GWh 相当のパックを製造することを計画している。

パナソニックは2014年10月1日、リチウムイオン電池セルを生産する新会社 Panasonic Energy Corporation of North America をネバダ州スパークスに設立した。

新会社は大規模電池工場ギガファクトリー内で、リチウムイオン電池の生産を行う。

この新工場の立ち上げにより、長い航続距離を実現するリチウムイオン電池パックの製造コストを削減し続けるとともに、Tesla が計画している大衆向け電気自動車用に必要となる生産量を確保し、電気自動車の普及に貢献する。

パナソニックの津賀一宏社長は2016年1月、ネバダ州に建設しているバッテリー工場への投資額が最大16億ドルになるとの見通しを示した。

Tesla とネバダ州政府の投資を合わせた総投資額は40億~50億ドルの見込み。

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Teslaは電気自動車のほかに、太陽光発電分野にも注力している。

Teslaは電気自動車を「移動型蓄電池」と考え、2015年5月に「定置型蓄電池」市場への参入を発表、2015年5月から住宅用蓄電池「PowerWall」および産業用蓄電池「PowerPack」の製造販売を行っている。

Teslaは8月1日、ソーラーパネルの設置などを手掛けるSolarCity を買収することで合意したと発表した。26億ドル相当の全額株式交換方式での取引となる。

両社はいずれも Elon Musk (Tesla のCEO)が創設に関わった 会社で、SolarCityは、Elon MuskのいとこのLyndon RiveとPeter Riveが2006年に設立した。

SolarCityは、家庭用および業務用の太陽光発電システムを提供しており、Teslaの住宅用蓄電池「PowerWall」も採用している。
統合により、「見た目に美しく、シンプルで一元的な太陽光発電および貯蔵システム」が可能になるとしている。

屋根型太陽光発電と蓄電池を円滑に組み合わせた製品を開発し分散型電源として機能させ、1つのスマートフォンアプリでアフターサービスを実施するためには、2つの会社ではなく1つの会社に統合した方がメリットを発揮できるというのが買収・統合の考え方である。

パナソニックとの協業が成功すれば、更に上流の太陽電池セル、モジュールからの一貫体制が完成する。
EVも含め、「グリーン・エネルギー・コングロマリット」が完成する。

今回の契約は、TeslaによるSolarCity買収をTeslaの株主総会が承認することが条件となっている。

しかし、この買収提案には一部の株主が反対の訴訟を起すなどの問題が起きている。

SolarCity は米国最大の家庭向け太陽光パネル設置会社となっているが、経営は苦しい。

従来型の太陽光パネル販売とは異なり、SolarCity は、顧客の屋根に自らパネルを設置し、太陽光パネルで発電した電気を顧客に販売するやり方をとっている。
このため、元本回収には長い年月がかかる。

昨年の売り上げ4億ドルに対し支出総額6億ドルで、1年で2億ドルもの赤字を垂れ流している。

共同声明では、買収後1年間の事業だけをとっても、コスト面で 1億5000万ドル相当の「シナジー」効果が見込まれることを示唆している。

TeslaとSolarCity の株主は11月17日にTeslaのSolarCity買収に対する賛否の投票を行う。


付記

Teslaは10月28日、買収手続き中のSolarCityと共同で、屋根タイルと一体化した太陽光パネルを開発したと発表した。発電効率をほとんど落とさずに、見た目は太陽光パネルだと分からないデザインに仕上げた。

太陽光パネルと一体的に使う家庭用蓄電池の新モデルも発表した。

買収を決議する11月17日の両社の株主総会に備え、相乗効果をアピールした。

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