「no」と一致するもの


天津市の工業地帯で8月12日夜、大規模な爆発が発生した。

爆発は、天津東疆保税港区の 瑞海公司(Rui Hai International Logistics) の危険物倉庫で起こった。
関係者は「引火や爆発しやすい物資を詰めたコンテナから出火した」と話している。

 

 


8月12日午後11時前、自動車が燃えているとの通報を受けた消防隊が現場に駆けつけると、積んであった多数のコンテナが激しく燃えていた。
 

消防が誤って炭化カルシウムに放水したとの噂もある。
 (炭化カルシウムは水と反応すると発熱し、水酸化カルシウムを生成し、可燃性ガスのアセチレンを発生する。)

大きな爆発は2回あった。

一回目は午後11時34分6秒で、2回目は30秒後に起き、高さ数十メートルのキノコ雲が上がり、大きな揺れがあった。河北省など周辺地区でも揺れを観測した。

新華社によると、1回目の爆発はリヒタースケール約2.3でTNT火薬3トンに相当、2回目は約2.9で 同21トンに相当する規模だったと いう。
現地駐在の日本人は、「日本でもあれだけの揺れは、なかなかないような、それぐらいの激しい揺れでした」と話している。

地震計はこれを捉えている。

爆発は気象衛星「ひまわり」からも捉えられた。

死者は50人、負傷者は700人以上で、依然として数十人が行方不明になっている。死者のうち12人は消防隊員だった。日本人の被害はない。

付記 8月15日、死者は104人となった。


トヨタ自動車の販売店では、窓ガラスが割れる被害が出ているほか、イオンのショッピングモールも、爆風で入り口のガラスが割れ、営業ができない状態となっている。

税関を含む付近の港湾施設で建物損傷や機能停止が報告されており、二次被害防止のため、同地区の大部分で立ち入りができなくなっている。
今後の船積みに大きく影響が出ることが予想される。

付記

Sinopec Tianjin とSinopec SABIC Tianjin Petrochemical は南の大港 (Dagang) 地区にあり、爆発の影響を受けず、操業を続けている。



瑞海公司は2011年設立で、天津港で危険品コンテナの中継、集散の拠点を運営している。

同社は下記の危険品を扱っている。

第二類  高圧ガス  アルゴン、圧縮天然ガスほか
第三類 引火性液体類  メチルエチルケトン、エチルアセテートほか
第四類 可燃性物質類  硫黄、ニトロセルロース、炭化カルシウム、カルシウムアロイほか
第五類 酸化性物質類  硝酸カリウム、硝酸ナトリウムほか
第六類 毒物類  青酸ソーダ、TDIほか
第八類 腐食性物質 ギ酸、燐酸、メタアクリル酸、硫酸、硫化ソーダほか
第九類 有害性物質


第一類の火薬類、第七類の放射性物質は扱っていない。




財務省が8月10日公表した2015年1~6月の経常収支は8兆1835億円と、東日本大震災後では最高となった。

経常黒字は2010年7~12月の9兆5692億円に次ぐ高い水準。2014年は 1~6月が4977億円の赤字、7~12月は3兆1435億円の黒字だった。

 (単位:億円)
  経常収支 貿易収支 輸出 輸入 サービス
収支
一次所得
収支
二次所得
収支
2014/上 -4,977 -62,014 357,273 419,286 -14,924 83,348 -11,386
           下 31,435 -42,002 383,743 425,747 -15,876 97,855 -8,542
2015/上 81,835 -4,220 378,247 382,467 -8,723 105,114 -10,336
 

貿易収支(決済ベース)は、原油の輸入額が減少したことや、海外景気の緩やかな回復等を背景に輸出が持ち直していること等から、▲4,220億円の赤字となり、前年同期比では5兆7,794億円の赤字幅縮小となった。

 原油価格(石油連盟)

  1. ドルベース:57.75米ドル/バレル(前年同期比▲47.8%)
  2. 円ベース:43,558円/キロリットル(前年同期比▲39.1%)


サービス収支は 8,723億円の赤字で、前年同期比 6,201億円の赤字幅縮小となった。

  サービス収支 うち
旅行 知的財産権
2014/上 -14,924 -657 7,970
2014/下 -15,877 216 9,003
2015/上 -8,723 5,273 13,362


「旅行収支」が黒字転化した(黒字額は過去最大)ほか、「知的財産権等使用料」が黒字幅を拡大した(黒字額は過去最大)こと等から、「サービス収支」は赤字幅を縮小した。

旅行収支は日本を訪れた外国人が使ったお金から、日本人が海外で支払ったお金を差し引く。
上半期の訪日外国人旅行者数は 9,139,900人で、前年同期比 46.0%増の過去最高となった。
逆に、出国日本人数は7,622,800人で、前年同期比 4.9%減となった。

 
第一次所得収支は、「直接投資収益」及び「証券投資収益」が増加したこと等から、10兆5,114億円の黒字で、前年同期比 2兆1,766億円の黒字幅拡大となった。






インド後発薬大手Lupin Limited は7月23日、米のGAVIS Pharmaceuticals LLC とその姉妹会社Novel Laboratories を買収する契約を締結した。
買収価額は880百万ドルで、借入金は引き継がない。

買収でLupinの米ジェネリック市場での規模は拡大するとともに、皮膚科学、規制物質製品およびその他の高価値でニッチな後発医薬品のパイプラインが拡大する。
GAVISのR&D組織はLupinのフロリダの吸入
製剤関連のR&Dセンターを補強する。
GAVISのNew Jerseyの工場はLupinにとって最初の米国の生産基地となる。

ーーー

Lupinは1968年設立の世界第7位のジェネリック医薬品メーカーで、アメリカ、EU、オーストラリアなど世界約100ヶ国以上の国で販売している。特に、抗結核薬およびセファロスポリン等で世界市場をリードし、CVS(心血管系)、CNS(中枢神経系)等の領域において存在感を強めている。

世界市場を対象とした原薬から医薬品まで自社一貫製造を行う製造施設(FDA認定工場)を複数有し、コスト競争力においても定評がある。日本の品質管理基準に合致した原薬・医薬品の供給が可能。

 

共和薬品工業は2007年10月、Lupin と資本提携することとし、Lupinが共和薬品の株式の過半数を取得した。

共和は2005年8月より、Lupinとジェネリック医薬品に関する協力契約を締結し、共同開発を推進してきたが、より密接な関係を構築することとした。

共和の製品開発、製造販売に対して、Lupinの研究開発力及び国際マーケティング力が戦略的に加わり、相乗的に大きな価値を生み出すとした。

インド系企業による日本のジェネリックメーカーの買収は、2007年4月のZydus Cadila による日本ユニバーサル薬品の買収に続き2社目だった。

Zydus グループの本社はインド北部グシャラード州アーメダバードにあり、インドではCadila Healthcare、インド国外ではZydusの名称で事業展開している。

ーーー

GAVIS Pharmaceuticals LLC とその姉妹会社Novel Laboratoriesについて:

2006年12月に創業者Dr. Veerappan Subramanianが進出に技術的バリアのあるジェネリック医薬品のR&D、製造、販売を目指し、Novel Laboratories を設立した。

2008年にNovelで開発、製造したジェネリック医薬品の販売のため、GAVIS Pharmaceuticals が設立された。

GAVISの2014年の売上高は96百万円。




"The Colder War" - 化学業界の話題


マリン カッサの「コールダー・ウォー: ドル覇権を崩壊させるプーチンの資源戦争」を読んだ。      右の図書紹介

 (出版社のPRから)

東西冷戦をしのぐ米露の熾烈な戦いが始まっている。プーチンは今、膨大なエネルギー資源を武器に強力な資源外交を展開している。狙いは資源取引のドルベース・ルール(ペトロダラーシステム)に変更を迫り、アメリカ覇権を転覆させることだ。その長期戦略はもはや経済制裁や原油安では阻止できない。米国有数のファンドマネージャーが資源開発現場で得た最新情報をもとに、ドル崩壊の危機を予測した全米ベストセラー !

著者:Marin Katusa
Casey Research のエネルギー部門主任研究員で、エネルギー産業に特化した投資ファンドマネージャーとして大きな成功を収める。世界各地の資源開発現場に飛び、第一線の最新情報を持つ。

ほとんどのアメリカ人が知らないうちに、米露の間で超冷戦(Colder War) が進んでおり、プーチンの長期戦略が結実しつつある。

プーチンのグランドデザインは下記のとおりとする。

 1)ロシアは外国からの攻撃に屈しない強国でなければならない。
 2)ロシアを脅かすのは米のみ
 3)周辺国をバッファーに(米との連携を許さない)
 4)ロシアの安全保障のためにも国民は豊かにならなくてはならない。
 5)ロシアの繁栄は天然資源とりわけエネルギー資源に依存する。
 6)資源収入は軍事予算を担保するだけでなく、資源輸入国をロシア依存国にする。
 7)資源エネルギー関連産業の圧倒的力がロシアに依存せざるを得ない国をつくる。
 8)資金と技術のため海外からの資金は歓迎するが、政府の全面的監督下に。
 9)ロシア国外のエネルギー事情混乱はロシアに有利。中東騒乱は有利。
  10)PetroDollarに風穴をあけ、米に打撃を与える。

PetroDollar体制とは:

1971年8月15日、ニクソン大統領は、ドルと金の交換を停止した。

ニクソンはキッシンジャーをサウジに派遣し、以下の交渉を行わせた。
 ・米はサウジを防衛する。どんな兵器も売る。サウジ王家を未来永劫に保護する。   
   ・見返りに
①サウジの石油販売を全てドル建てにする。
         ②サウジの貿易黒字で米国財務省証券を購入する。

  
サウジはこれを受け入れ、1974年に調印された。
その後、OPECの他のメンバーもドル建て取引を採用し、ドルが世界通貨となった。

これが「ペトロダラー」システムで、これまで金との兌換が必要なため、無制限なドル印刷は出来なかったのに対し、ほぼゼロコストでドルを無制限に印刷し、輸入決済に充てることが出来るようにな った。

ーーー

著者によると、ソ連の崩壊はレーガンの政策の成功の結果ではなく、ソ連が石油開発に資金を割けなかったため、埋蔵量はありながら、生産が激減したためであるとする。

プーチンはロシア再興のカギは豊富なエネルギー資源であると早くから認識し、それはロシアの民間資本で運営されるべきで、経営は国家の指導に沿ったものでなくてはならないと考えた。
このため、この方針に沿わない新興財閥(オリガルヒ)を国家権力を使って排斥すると共に、中小企業を半官半民の超企業に育て上げた。

ユダヤ人のMikhail Khodorkovskii は混乱期のロシアで違法スレスレの手段で国営石油会社 Yukos を超安値で買収した。
Khodorkovskii はこれを、Roman Abramovich同様の手法で育てた石油会社 Sibneft と合併させ、ロシアの石油生産の30%を占める大企業にした上で、高値で売却すべく、ExxonMobil とChevronとの交渉を開始した。
一方で、
Khodorkovskii はプーチンを公開の場で批判し、プーチンの政敵に政治献金をした。

政府はKhodorkovskiiを脱税、横領、詐欺、文書偽造で逮捕して財産(ユコス株含む)を凍結するとともに、Yukosの最大子会社を脱税で差し押さえた。
最終的に、ExxonMobilもChevronも交渉を取り止め、Yukos-Sibnet の合併はご破算となり、Yukos は破産、清算した。

Yukosの残余資産は、Rosneftがバーゲン価格で取得し、これを機に拡大した。

石油戦略

ソ連崩壊時 原油生産設備は荒れ放題であったが、プーチンは石油増産のため合併を進め、2007年以降、寡占化に1600億ドルを投じた。
Rosneft にYukos資産を取得させた上で、少数株主の株を強制的に買い上げさせ、政府プロジェクトを任せ、大企業に育て上げた。

ロシアの生産は1998年に日産600万バレルであったのが、2012年には1100万バレルに達した。
2012年の世界の消費量 8500万バレルのうち、ロシアの供給は1100万バレルで13%を占め、国際間取引では15%を占める。

ExxonMobilとの提携で、北極圏開発。
  2013/6/24 Rosneft とExxonMobil、戦略的協力関係を促進 

TNK-BPの買収で、BPとの提携強化   
  2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収 

石油パイプラン敷設

  中国・アジア向け

2010年 ESPO(東シベリア・太平洋石油パイプラン) 中国国境まで完成
2012年     コジミノまで開通

     2012/12/27  東シベリア太平洋石油パイプラインが全線で稼働 

  欧州向け

ドルジバ(Friendship) Pipeline

2012/3、輸出ターミナル新港 ウスチルガが開通 
パイプライン使用料で揉めたベラルーシを通らず、ウラル石油を欧州に供給

天然ガス戦略

Gazpromはソ連崩壊時に民間企業になったが、乱脈経営で資産を超安値で売却。

プーチン就任後、直ちに経営陣を刷新。
新経営陣は、シブネフチガスを買収、Gazprom銀行を設立。

本書に記載はないが、サハリンⅡではロシア政府が工事の承認を取り消し、最終的にGazpromが過半数(50%+1株)を出資した。
  
2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景

ウクライナとの抗争
 
2013/2/19   ロシアとウクライナ、天然ガスで再び抗争  

ウクライナを経由しないパイプライン
 ① Nord Stream
       
2011/8/27  Nord Stream Pipeline、欧州ネットワークに接続
            2015/7/1    Nord Stream 倍増計画

   ② South Stream
          
2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工
         2014/12/4   ロシア、South Stream 計画を取り止め

      代替案 Turkish Stream
   
2015/7/15   ギリシャへの中国、ロシアの接近

アジア向け  Eastern Pipeline、Altai Pipeline 中国に30年の供給契約
  2014/5/26     ロシアのGazprom 、中国への天然ガス供給契約に調印

LNG戦略:パイプラインで遅れない地区にLNGで供給

サハリンⅡ 年1000万トン輸出 →2020年 6000万トン

バレンツ海シュトックマン海底ガス田(Gazprom 75%、Total 25%)のガスをNord Stream へのつなぎ込むとともに、ムルマンスク州のテリベルカにLNGプラント建設

アフリカ戦略(ナイジェリア、エジプト、モザンビーク、アルジェリアで開発)

イスラエルで膨大な天然ガスが発見され、開発中。
    
2013/4/4 イスラエルで新ガス田からの天然ガス輸送開始

Gazpromは2013年2月、Tamar ガス田のガスのLNG化を計画するLevant LNG Marketing Corp. との間でLNGの20年間の独占購入契約を締結した。

また、天然ガスを
キプロスとギリシャを経由するガスパイプランで欧州に輸出することも検討している。
ロシアは、キプロスに財政支援、ギリシャにもTurkish Stream を通すなど関係強化を図っている。

ウラン戦略

ウラン鉱山の囲い込み

ロスアトム子会社ARMZは2010年に「ウラニウムワン」の持株を17%から51%にアップ。
 ウラニウムワンはウラン鉱最大手で、豪、カナダ、カザフ、南ア、タンザニア、米に鉱山

カザトムプロム(カザフ)と共同生産合意

モンゴルでのウラン開発 

   2020年にロシア生産分で世界のyellow cake 生産の1/3を占め、カザフを加えるだけで世界の半分。
   他にウクライナ、ウズベキスタン、モンゴル

   ロシアは転換と濃縮分野でのリーダーでもあり、転換能力では世界の1/3のシェアを持ち、
   濃縮のシェアも40%でこれを50%にアップする構想。

目標 Yellow cake 生産では58%確保、加工工程でも半分以上

原子力発電では米国も含め、ロシアに依存することとなる。


黄昏のペトロダラーシステム

プーチンの長期戦略に従い、国家権力も使って、ロシアに依存せざるを得ない体制が密かに完成しつつある。

ペトロダラーシステムに対しても、ドルを介在させない取引が出現しつつある。

 ロシア:石油産出国に金による価格設定を要請

 中国:ブラジル、豪、UAE、トルコ、韓国などと通貨スワップ協定を締結、ドル介在なしでの取引が可能に。

 BRICS:新開発銀行設立

 米国:イランの経済制裁が、逆にドル崩壊を加速化している。

制裁をくぐった貿易は盛んであり、SWIFT(ドル決済システム)が使えないため、ドルを使わない決済(金塊、他の通貨、バーターなど)が次々に開発された。

米国の政策が各国に反米感情を産んでいる。

 ペトロダラーの元のサウジも最近は対米不満が高まっている。

・シリアのスンニ派の反アサドの戦いに支援なし
・スンニ派パレスチナ組織の対イスラエル交渉に何もせず
・シーア派イランへの接近
・フセイン放逐に反対したが、米は従わず、結果はイラクがばらばらに 等々

 そのなかで、ロシアがサウジに接近している。

サウジと米国の提携が崩れ、石油取引がドル建てではなくなった場合、米国経済は崩壊する。

最悪のシナリオは、各国がドルから逃げ出し、金利が大幅アップ、発行済み国債が暴落し、ドル の減価で輸入コストが急増し、インフレが進行、金利アップやデリバティブ商品の破綻で金融機関が危機に陥る。

これを回避するには、政府予算削減、外交姿勢修正(紛争介入回避)、過度な福祉政策の停止、国内エネルギー資源開発、非経済な再生可能エネルギーの見直しなど厳しい政策が必要であると説く。

 

ーーー

本書にはほとんどの米国人が知らない米政府の問題行動を明らかにしている。

①イラクのクウェート侵略

米国の駐イラン大使 April Glaspie は侵略の1週間ほど前に大統領官邸でフセインと会談し、クウェート侵略を黙認するような以下の発言をした。

あなた方とクウェートとの紛争の様な、アラブの紛争には何の意見もありません。ベーカー国務長官は、1960年代のクウェート問題は、アメリカとは関係がないという、最初にイラクにさしあげた説明を強調するよう、私に指示しました。

②ウクライナ問題

2014年2月に国外脱出したヤヌコーヴィッチ大統領は選挙で選ばれた大統領であり、暴力的に失脚させることに米は手を貸した。
米資本の入ったインターネットTV(フロマッケテレビ)が煽った。

Victoria Nuland 国務次官補は過激なネオナチのスヴォボダ党党首とヤヌーコヴィッチ大統領追い落とし作戦を打ち合わせた。
暫定政権でスヴォボダ党は副首相、農相、環境相、司法長官を確保した。

ウクライナの改革は進まず、腐敗は相変わらずである。







アイルランドの製薬会社Shire Pharmaceuticalsはバイオ医薬品の米Baxalta に株式交換による約300億ドル相当の買収案を提示した。
Baxalta はBaxter Laboratoriesから7月にスピンオフしたばかり。

Shireの提案では、Baxalta の株主は1株当たりShireの米国預託証券(ADR)を0.1687ADR受け取る。
Baxalta 株を45.23ドルと評価したことなり、これは8月3日終値を36%上回る水準。

非米国会社が、米国において株式により投資家から資金を集めようとする場合、母国との物理的な制約から株券の受け渡しに手間がかかる上、配当金が企業の母国通貨建てで支払われることから、米国投資家に取引上・為替上のリスクや不便が生じていた。
ADRは、これらの不都合を解消し米国株式と同様、米ドルでの売買・決済、および配当金の受領を可能にした。併せて証券の保管も米国内で行われる。

Shire はBaxalta に対し「買収協議に応じる」よう求めたが、Baxalta はこれまでのところ協議を拒否しているという。

Baxaltaは希少な血友病や免疫不全症の治療薬を手掛け、Baxterからスピンオフ(分離・独立)を完了したばかり。
スピンオフ後もBaxterが24%前後の株式を保有し、筆頭株主の座を維持している。

Baxterは2014年3月27日、バイオ製薬事業を分離し、別会社として上場する計画を発表した。バクスター本体には、輸液製剤などの医療用品事業が残る。
市場や成長ペースが異なる2つの事業を分離し、経営効率や株主価値の向上を見込む。

新会社として分離するバイオ製薬事業は、血友病や他の血液疾患の治療剤、ワクチンなどを手がける。2013年の売上高は約60億ドルだった。

一方、本体に残る医療機器事業は輸液製剤や薬剤投与関連製品が中心。2013年の売上高は90億ドルだった。
2012年に血液透析システム大手の
スウェーデンのGambro AB約40億ドルで買収し、事業規模を拡大していた。

ーーー

Shire は患者数の少ない希少疾病に強い製薬会社で、競合を避けながら4割弱の高い営業利益率を誇っている。

Shire Pharmaceuticalsは2014年7月、2013年初めに米Abbott Laboratoriesからスピンオフして誕生したAbbVie Inc. に買収されることで合意したが、AbbVie は2014年10月15日、Shire Pharmaceuticals 買収を撤回すると発表した。

米政府が9月22日に節税目的の本社移転の抑制を狙った新規則を発表したため、国外に会社を設立することを含む買収効果が不透明になったと判断したもの。
AbbVie による買収案の撤回により、Shire は違約金16億ドルを受け取った。

2014/10/20 買収・合併による節税目的の海外移転禁止の動き強まる

Shire Pharmaceuticalsは2015年1月11日、米バイオ医薬品のNPS Pharmaceuticals, Inc. を52億ドルで買収すると発表した。

NPS Pharmaceuticals は、希少疾病用医薬品(Orphan drug)に重点を置いたバイオ製薬企業で、下記の有力製品を持つ。

成人の短腸症候群 (SBS) 治療薬としてGattex®が米国と欧州で承認されている。
成人の副甲状腺機能低下症における NatparaTM(遺伝子組み換えヒト副甲状腺ホルモン)は、第3相試験が完了した。

NPSの買収により、難病治療薬への軸足移動が加速するとともに、消化器疾患や内分泌疾患などの治療薬の拡充を図る。

ShireのCEOは、バイオテクノロジー企業としての存在感を増すために、引き続き買収機会を模索していくと述べた。

2015/1/17 アイルランド製薬Shire Pharmaceuticals 、米バイオ医薬品 NPSを買収 


これらの関係は下記のとおり。

 





オマーンがイランの天然ガスをペルシャ湾の海底パイプラインを通して購入する計画がまとまりつつある。

イランのNational Petrochemical Companyはこのたび、イランのKuh-e MubarakからオマーンのSoharまでの200kmの海底パイプラインのアドバイザーが決まったと述べた。

イランのRudanからKuh-e Mubarakまでの陸上の200kmのパイプラインも新たに建設される。

パイプラインやインフラの建設費は全額オマーンが負担する。

2013年8月にオマーンのカブース国王は、イランを訪問し、ロウハーニ大統領と会談した。

この際に両国はペルシャ湾のKish島から海底パイプラインを敷設して、日量28百万m3の天然ガスを15年間(600億ドル相当)輸入する内容を含むMOUに調印した。

案としては、Kish島からオマーンまで全て海底パイプランでつなぐ案と、陸上パイプランで対岸まで運び、そこから海底パイプラインでつなぐ案があった。
今回、後者が採用される模様。
Kish島からRudanまでは既存パイプラインを利用する。

Kish島での共同開発の構想もあったが、これはまとまらなかった。

オマーンはガス輸出国ではあるが、人口の急激な増加や産業の活性化などによる国内でのガス需要増が見込まれ、近い将来、逼迫する懸念が生じている。
2008年には、カタールからアブダビを経由したドルフィン・パイプライン(後記)を通じて200MMcf/dのガスを輸入する売買契約に調印している。

イランにとっては、これにより、同国の天然ガスをアジア等の諸国に売却することができるようになる。

イランがオマーン国内のLNGプラント建設に参画する構想をある。

ーーー

オマーンにはLNG出荷ターミナル会社が2つあるが、2013年9月にこれらが統合された。(統合後の出資比率不明)

2つとも、Qalhatにプラントを持つ。

名称 Oman LNG Qalhat LNG
設立 1999 2002
株主 Oman政府 51.00% 46.84%
Oman LNG 36.80%
Shell 30.00%
Total 5.54%
Korea LNG 5.00%
三菱商事 2.77% 3.00%
三井物産 2.77%
伊藤忠商事 0.92% 3.00%
大阪ガス 3.00%
Pastex 2.00%
Union Fenosa Gas
(ENI/Fenosa)
7.36%
合計 100% 100%
長期
販売先
(年間)
大阪ガス 66万トン 80万トン
伊藤忠 77万トン  
Kogas 406万トン  
三菱商事・東電   80万トン
Fenosa(スペイン)   165万トン


ーーー

ペルシャ湾のガス・海底パイプラインは既にDolfin Pipelineが運営されている。

2007年7月に、カタール・ノースフィールド・ガス田から、ラスラファンにおけるプラントを通して、UAEのタウィーラへの送ガスが開始された。

運営するDolfin Energy の出資者は、アブダビ政府のMubadala Development 51%、Total 24.5%、Occidental Petroleum (当初は Enron) 24.5%である。

フジャイラのUnion Water and Electricity Company の海水淡水化プラント用のガスは当初、オマーンからアライン経由のパイプラインで輸送されたが、カタールのガスに代替された。
現在は、逆にこのパイプラインをアラインから逆送することで、Dofin Pipelineで送られたガスをオマーンに送っている。

 

 

 

 

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iPS細胞やES細胞を目的の細胞に変化させて人に移植するとき、目的細胞に変化できずに残った細胞があると 、それが腫瘍になるおそれがある。

鹿児島大の小戝健一郎教授(遺伝子治療・再生医学)のチームは、がんになる可能性がある細胞だけを特殊なウイルスで取り除く方法を開発した。

研究チームは、がん細胞で働いているサバイビン(survivin) という遺伝子に注目した。

細胞は、DNAを損傷するストレス刺激や、細胞へのウイルス感染やがん化させる刺激など、さまざまな刺激に対する生体防御機構の一つとして、自らアポトーシス(細胞死)を起こして自殺する機構を持っているが、複数のカスパーゼ (タンパク質分解酵素)が順に活性化される一連のシグナル伝達経路でこれを誘導している。

サバイビンタンパクは、カスパーゼの活性化を阻害し 、アポトーシスを抑制するため、ガン細胞が増殖する。

逆に、ガン細胞でサバイビンの機能を破壊すると増殖が止まり、アポトーシスが誘導され、ガン細胞が消滅する。

サバイビンはほとんどの種類のガン細胞で高度に発現しているのに対し、完全に分化した細胞ではほとんど産出されない。また、がん患者でのサバイビンの量は、がんの悪性度や患者の予後とよく相関することも分かっている。

研究チームは、ヒトの風邪の原因となるアデノウイルスを使い、サバイビンを持つ細胞だけで増殖して、その細胞を殺すように遺伝子を組み換え たサバイビン反応性 m-CRAをつくった。

れまでに、遺伝子治療の技術を発展させてガンのみで特異的に増殖する制限増殖型アデノウイルス(CRA=Conditionally replicating adenovirus)によるウイルス療法が報告されているが、CRAの ガン特異性(ガン細胞だけを攻撃して、正常細胞は攻撃しない ⇒ 安全性と治療効果)は完全ではなく、また効率的な標準化作製技術も未確立である。

チームは、このCRAの問題点を克服するためにガン特異性の向上と標準的な作製技術の確立を目指し、多因子による精密な ガン特異化や、自由な治療遺伝子導入もできる次世代のCRAであるm-CRA(CRA regulated with multiple tumor-specific factors)を標準的に作製できるシステムを開発した。

単一の因子でガンの特異化を試みる従来の単純なCARではなく、ウイルスの増殖制御部を最大4つの異なるガン特異化の因子で精密に制御することで、ガンの特異標的化を精密に行うことが可能となり、安全性が格段に向上される。
さらに治療遺伝子も搭載可能であるため、ガン治療効果の増強も可能である。
ウイルス遺伝子の改変を行い、その性格を変えることも可能である。
 

iPS細胞やES細胞から作った未分化細胞と正常に分化した細胞を混ぜて培養し、改変したウイルスを投与すると、未分化細胞だけが1週間ですべて破壊された。正常な細胞は死滅しなかった。

小戝教授は「ガン化するかもしれない細胞を積極的に取り除こうとする全く新しい方法で、再生医療の臨床現場で使える可能性がある」と話している。




富士フイルムと協和発酵キリンは7月24日、両社の共同出資会社協和発酵キリン富士フィルムバイオロジクス(FKB)が開発中のバイオ後続品(バイオシミラー)で、英 AstraZeneca と提携すると発表した。

対象となるバイオシミラーは、FKB が2014年11月から欧州で第Ⅰ相臨床試験を開始している「FKB238」で、大腸癌や非小細胞肺癌などに高い治療効果を持つ抗VEGF ヒト化モノクローナル抗体製剤アバスチン(一般名 bevacizumab)のバイオシミラー。

VEGF血管内皮細胞増殖因子)の働きを阻害することにより、血管新生を抑えたり腫瘍の増殖や転移を抑えたりする作用を持つ。
Genentech (Rocheの100%子会社)が2004年に開発した。

米調査会社IMS Healthによると、アバスチンの世界売上高2014年に6,070百万ドル、製品別の売上高が11位だった。

日本ではRoche子会社の中外製薬が販売している。

JV(社名未定)は英国に設立する。AstraZenecaとFKBは4500万ドルずつを出資、FKBは「FKB238」に関する権利をJVに移行させ、対価として一時金4500万ドルを受け取る。(AstraZenecaは現金4500万ドルを、FKBは4500万ドルと評価した権利を出資するもの)

FKBの非臨床および臨床などの開発データをもとに、AstraZeneca が持つ癌領域での開発を販売に関するノウハウを活かし、世界的な開発と販売に向けた取り組みを加速する。アバスチンの特許切れ2018~19年の発売を目指す。

IMS Healthによると、AstraZenecaの2014年の売上高は33,313百万ドルで、世界第7位。
① Novartis、
② Pfizer、③ Sanofi、④ Roche、⑤ Merck & Co.、⑥ Johnson & Johnson、⑦ AstraZeneca、⑧ GlaxoSmithKline

 

ーーー

協和発酵キリン富士フィルムバイオロジクス(FKB)はバイオシミラー医薬品の開発・製造を目的に、2012年3月27日、富士フイルム 50%、協和発酵キリン 50%で設立された。

医薬品市場において、化学合成では達成できない薬理作用がある複雑な構造を持ったタンパク質などの生体分子を活用した、副作用が少なく高い効能が期待できるバイオ医薬品の比率が高まっており、バイオ医薬品と同等・同質の効果を持つバイオシミラー医薬品市場は、医療費の高騰問題や、2020年にかけて先行バイオ医薬品が特許満了を迎えることを背景に、世界的に拡大していくと予想されている。

富士フイルムは、医薬品事業を重点・成長分野として位置付け、事業展開を行っており、なかでもバイオ医薬品分野においては、「ペルセウスプロテオミクス」によるバイオ新薬の開発や英・米の子会社「 FUJIFILM Diosynth Biotechnologies」によるバイオ医薬品受託製造を通じて、取り組みを加速させている。

ペルセウスは、東京大学先端科学技術研究センターのシステム生物医学ラボラトリーからタンパク質発現等に関する研究成果の技術移転を受け、同ラボラトリーが誇る世界最先端の分子生物医学分野のサイエンティストと臨床医とともに、がんや生活習慣病に対する抗体医薬品を始めとするバイオ医薬品やバイオ マーカーを開発。

富士フィルムは2006年に第三者割当増資を引き受け、22%の筆頭株主になったが、2009年2月に第三者割り当てにより株式の77%を取得、子会社とした。

協和発酵キリンは、バイオテクノロジーを主要技術とした新薬の創出を行っている。

新会社では、富士フイルムが長年写真フィルムなどの事業で培った高度な生産技術や品質管理技術、解析技術と、協和発酵キリンがバイオ医薬品の研究・開発・製造で蓄積してきた独自技術・ノウハウを融合させて、バイオシミラー医薬品の画期的な生産プロセスの創出やコスト低減を行っていく。


協和発酵キリン富士フィルムバイオロジクス(FKB)は、設立後、第一弾として、関節リウマチなどに高い治療効果を持つヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤 Humira一般名 adalimumab のバイオシミラー医薬品(FKB327) の開発を始めた。現在、米国などで臨床第Ⅲ相試験を実施している。

Humila(adalimumab) は抗体成分である蛋白配列が完全ヒト由来であるため、先行のキメラ抗体製剤よりも理論的に生体適合性が高い(より過敏症を起こしにくい)とされる。

BASF傘下の製薬
会社であったKnoll AG(後に米
Abbott Laboratories が買収)が創製した。
米調査会社IMS Healthによると、2014年の売上高は11,844百万ドルで第一位となっている。
日本で
は、アボットジャパンが輸入し、エーザイが販売している。

2012年10月に、第二弾として、bevacizumabのバイオシミラー(FKB238)の開発を決めた。
協和発酵キリンがすでに確立している生産細胞(バイオ医薬生産用の細胞にbevacizumabの遺伝子を導入したもの)を導入する。


 

 


イラン核問題をめぐってウィーンで協議を続けていた
米英独仏中露の6カ国とイランは7月14日、問題解決のための「包括的共同行動計画」で最終合意に達した。
イランは今後10年以上にわたり核開発を大幅に制限し、軍事施設に対する査察も条件付きで受け入れる。

6カ国は、イランが核開発を縮小する見返りに、原油禁輸や、金融取引を制限してきた対イラン制裁を解除していく方針で、AP通信は、今回の合意で数百億ドル分の制裁が緩和されると伝えた。

ただし、米議会は本年5月に最終合意の内容を検証し、承認するかどうかを判断する決議を可決している。
米議会は今後60日間にわたり、最終合意の内容を検証するが、この間は大統領は対イラン制裁を解除できない。
議会が合意を承認しない場合、大統領は「合意の履行を妨げるいかなる立法にも、拒否権を発動する」としている。

イランは国際的な経済制裁の解除をにらみ、原油の供給拡大の準備に入った。

イランの足元の輸出量は日量 約120万バレルで、制裁前の半分以下に落ち込んでいるが、石油相は、輸出は制裁解除直後に日量50万バレル、6カ月後には100万バレル増えるだろうと指摘し、近い将来に輸出量は日量250万バレルまで回復するとの見通しも語った。

イランのタンカー船団は約4千万バレルの原油を蓄えており、制裁解除に伴う在庫放出で1700万バレル以上を直ちに出荷できる模様。

イランは、制裁が解除された場合に、潜在的な出荷分を吸収してもらうほか、新たな油田に投資してもらうため、以前同国から原油を購入していたEUの企業、例えば世界最大の独立系石油取引会社のスイスのVitol Groupや、Shell、TOTAL、ENIといった石油生産大手、アジアの既存の輸入者とも連絡を取っているとされる。

原油相場で一段の価格下落圧力になる。

ーーー

イランはOPEC第2位の生産国としてのかつての地位を取り戻すことに意欲を示しており、OPEC内の競争が激化する可能性があ る。

OPECの国別生産枠は2008年11月が最終で、イラクを除く全体 日量 27,300千バレルのうち、サウジの8,477千バレルに次ぐ第二位の3,618千バレルであった。

OPECは2012年1月にイラクを含めた全体枠を30,000千バレルと決め(国別枠なし)、その後変更していない。

生産枠   日量千バレル
  2008/11
(除イラク)
2009/1
(除イラク)  
2012/1~
(含イラク)  
Algeria    1,286   






国別なし 






国別なし
 

Iran    3,618   
Kuwait    2,399   
Libya    1,623   
Nigeria    2,050   
Qatar 785     
Saudi    8,477   
UAE    2,433   
Venezuela    2,341   
Angola    1,801   
Equador 493   
Iraq (ー)     (-)
合計 27,300      24,845 30,000


サウジの現在の生産量は約1千万バレルとなっているが、イランは2012年7月の制裁開始で生産量は大きく減少しており、
6月の生産量は日量2,800千バレルとされる

イランの場合、老朽施設の更新が急務で、2022年までにエネルギー産業に1800億ドル(約22兆円)を投資する計画を表明している。

外国の石油大手の誘致のため、資源開発の契約方式の見直しも進めている。現行の「バイバック契約」に代え、外国企業が出資比率に応じ収益を得られるようにする見通し。

但し、国際石油資本がイランに再参入し、増産が軌道に乗るには1~2年かかるとの見方がある。
OPECも、年内は生産枠を据え置く見通し。

来年は世界の原油需要が日量134万バレル拡大すると予想 しており、「非OPEC国の生産が想定通りに鈍化し、同時に需要の伸びが来年も続くなどの条件が満たされれば、市場はイラン産原油を吸収することができる」としている。

 

 


タイ石油公社 PTTはタイの6つの製油所のうち、5つを所有し、独占との批判を受けていた。

同社は本年に入り、そのうちの1社の持株全てを売却、他の1社についても年内に手放す。

  精製能力
(千bpd)
PTT 他株主
Thai Oil 275 49.10%  
IRPC
(旧称 TPI)
215 38.51%  
PTT Global Chemical
(旧称 PTT Aromatics & Refining)
(元はRayong Refinery)
145 48.89%  
Star Petroleum Refining
 
155
 
36%→0%(IPO)
 
Chevron 64%→55%(IPO後)
Bangchak Petroleum 120 27.22%→0% 買い手
Vayupak Fund →15.60%
Social Security Office →14.43%
Esso Thailand 177   ExxonMobil


2015年2月、PTTはBangchak Petroleumの持株 27.22%のうち、15%を政府のVayupak Fundに売却、続いて2015年4月に残りの12%を政府のSocial Security Fundに売却した。

売却後のBangchakの株主構成は、Vayupak Fund 15.60%、Social Security Fund 14.43%、財務省 9.98%、一般株主 59.98%となっている。

PTTの関係者はこのたび、Star Petroleum Refining がPTTの持株(36%分) をもとに株式公開(IPO)を行うことを明らかにした。
これにより200~250億バーツ(588~735百万ドル)を集める計画で、PTTはStar Petroleum を手放すこととなる。

PTTは独占の批判を避けるため、以前からIPOを通じての売却を検討してきたが、規制面での諸問題とJV相手のChevronとの意見の相違からIPO 実施が何年も遅れていた。
当初、政府はIPO実施後もPTTが少なくとも25%を保有することを求めていたが、本年3月にこの条件を外した。
JV相手のChevronはIPO後にも55%の出資を行う。

この結果、PTTの石油精製事業は、Thai Oil、IRPC (旧称 TPI)、PTT Global Chemical(元はRayong Refinery)の3つとなる。

PTTの精製事業そのものは、比較的好調で、2015年第1四半期の稼働率は 97%、精製マージンは前年同期比で13%増、純利益は3億5,500 万ドルで前年同期から274%増加している。

同社では、「ガス時代の到来に向けた準備を整える」としており、上流ではパイプラインやLNGターミナルの新増設、下流では石油化学事業の収益力強化に向け投資を積極化していく方針としている。

ーーー

各社の概要は下記の通り。

Thai Oil

半世紀前に35千bpdでスタートし、現在は275千bpdでタイ最大の製油所。

下記の子会社を持つ。

Thai Paraxylene
Paraxylene 527千トン
Mixed Xylen 52千トン
Benzene 259千トン

Thai Lube Base

 

Solvent and Chemical Products

 

IRPC(旧称 Thai Petrochemical Industry:TPI)

Thai Petrochemical Industry (TPI) Prachai Leopairatana の経営であったが、1997年に石油化学事業への巨額投資や事業多角化のための借入金が経営を圧迫し、運転資金もショートしてが経営危機に陥った。
その後、いろいろの再建計画が立てられたが、Prachai が居座りを続け、迷走した。
2005
年にはタイ証券取引所が、政府主導の再建案に抵抗を続ける同社創業者のPrachai を告発し、管財人に対しPrachai 解任を指示した。
2006年5月になり、同社取締役会はようやく
Prachai を解任した。

IRPCと改称した現在の同社の現在の株主はPTT が38.51%、Government Savings Bank 9.54%など。

石油化学の状況は 2006/6/8 タイの石油化学の現状

PTT Global Chemical

1991年にShellとPTTがRayong Refineryを設立し、145千bpdの製油所を建設した。

1999年のアジア経済危機に直面し、Rayong Refinery(Shell/PTT) はStar Petroleum Refining(Chevron/PTT) とのJVのAlliance Refining Companyを設立し、営業提携した。
(2009年に提携を解消)

2004年にShellは持株をPTTに譲渡し、撤退した。

2007年にRayong Refinery とPTT傘下のAromatics (Thailand)が合併し、PTT Aromatics and Refining とし、2011年にPTT Chemical と合併してPTT Global Chemical となった。

Star Petroleum Refining

1992年にChevron South Asia 64%、PTT 36%の出資で設立。
1996年に130千bpdでスタート。
1998年に能力を155千bpdにアップ。

1999年にRayong Refineryと提携したが、2009年に解消。

Bangchak Petroleum

1984年設立。

120千bpdの製油所を運営、1000箇所以上のサービスステーションを持つ。
太陽光発電も行っている。

2014年10月に、フィリッピンで主に活動する豪州の石油・ガス会社 Nido Petroleumの株の81.41%を買収した。




  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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