「no」と一致するもの


ニューヨーク州の健康局は12月17日、水圧破砕法 (Fracking)に関する報告書を公開した。

水圧破砕法の環境や健康への影響は「完全には解明されていない」としつつも「環境に影響を及ぼし、潜在的に健康にも有害であることは明らか」とし「ニューヨーク州では継続すべきではない」と結論づけた。

Howard Zucker健康局長は、調査の結果、著しい健康リスクがあると述べた。水と空気の汚染に対する懸念を示し、Frackingの安全性を確認する科学的証拠は不十分であるとした。
自分自身がFrackingが行われている地域に家族がすむことを望むかと自問し、答えは "no" とした。「潜在的リスクは大き過ぎ、十分にわかっていない」と述べた。

Joe Martens環境局長はFracking禁止を推奨すると述べ、Andrew  Cuomo知事は決定を健康局長と環境局長に任せると述べた。

2015年初めに正式に禁止されると見られている。

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水平型のFracking 掘削法は、深いシェール岩層に大量の水や砂、化学物質を一気に注入して、内部にあるガスを抽出する。
注入した大量の水や化学物質を回収できず、地下水脈に流れ込んで水質が汚染される危険がある。

New York 州にはMarcellus shale があるが、この辺りは New York 680万人、Pennsylvania 540万人、Delaware70万人、New Jersey 290万人の合計1,580万人に飲み水を供給する水源である。

 

Cuomo知事は2011年に就任したが、それ以前に David Paterson 前知事がFracking が環境にもたらす影響に関する環境局の報告がまとまるまでFracking を禁止した。

環境局はFracking を認める報告草案を発表したが、反発する世論を受け、Paterson 知事は第2次草案の作成を命じ、結論は次のCuomo知事に先送りされた。

環境保護団体からの激しい反対と、Frackingを認めよとする保守的な有権者の請願の板挟みとなったCuomo 知事は何度も決定を遅らせ、決定を州保健局に預け、人体への影響に関する報告をまとめるよう命じた。

2010年の米のドキュメンタリー映画ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」は大きな反響を呼んだ。

2013年1月にはオノヨーコと息子のショーン・レノンが反対派に加わり、二人は、204千人分の署名をCuomo州知事に提出した。
レノン家ではシェールガスの開発地の近くに農場を購入しており、Frackingによって土壌等に影響が出ることへの反対を表明した。

ニューヨーク州は現在まで、Paterson 前知事から 6年間にわたって実質的にFrackingの一時停止措置を取っている。

Cuomo知事が再選を果たして6週間後に、ようやく報告が発表された。

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米国内でシェールの採掘を禁じるのは、北東部バーモント州(2012年5月に禁止法案を可決)に続いて2例目だが、同州ではFrackingは行われておらず、象徴的な法律であり、実質的にはNew York州が最初の例である。

しかし、New York州では6年前の州による一時停止措置の後、170もの市町村がFracking 禁止の条例を出している。

New York 州北部のDryden と Middlefieldが裁判の対象となった。Norse Energy Corp.と農家が、市町村は石油・ガス産業に制限を加える権利を持たないとして訴えた。

2014年6月30日、州控訴審は3つの下級審判決と同じく、市町村が問題のFrackingを禁じるルールを決めることが出来るとの結論を出した。


New York州が禁止を表明したことで、同様の動きが広がる可能性がある。

 




米石油・ガス開発大手 Apache Corporation は12月15日、カナダと豪州のLNGプロジェクトの権益を豪州のWoodside Petroleum に売却すると発表した。

売却するのはカナダの Kitimat LNGと豪州のWheatstone LNGで、いずれも上流の天然ガスの権益を含む。

売却額は27.5億ドルだが、2014年6月末から取引完了(2015年第1四半期を想定)までの両計画への支出額の払い戻しを受けるため、実質37億ドルでの売却となる。

Apache Corp.は、Activist investor(物言う株主)のヘッジファンド Jana Partners LLCからリストラ実施の圧力を受け、本年7月に両計画からの離脱の意向を明らかにしていた。

Jana はApacheの業績が米国のシェールに特化するライバルと比べて劣るとし、海外事業を売却し、米国内に特化するよう求めた。
特に、上記の2つのプロジェクトについては、開発に長期間かかり、多額の資金を必要するとし、売却を求めた。

原油価格が急落するなかで、同社がこれほど早く権益を売却できたことについて、アナリストは「Apacheの大勝利だ。売却にはもっと時間がかかると考えていた」としている。

売却する物件は下記の通りで、いずれも Chevron が提携相手である。

1) Kitimat LNG 計画の50%持分と、Horn River 及び Liard シェールガス田の権益

 Kitimat LNG 計画はChevron とApache の50/50JVで、Summit LakeからKitimat港まで直接結ぶパイプライン(Pacific Trail Pipelines)計画と、Kitimat 郊外のBish CoveでのLNG輸出ターミナル建設の計画を進めている。

日揮は2014年1月、米国Fluor と共同で、Kitmat LNG Project に係わるLNGプラント建設の発注内示を受けたと発表した。

2014/1/17 日揮と千代田化工、北米でLNGプラント建設 

ApacheはHorn River Basin に20万エーカーのシェールガス田の権益を持ち、現時点で69の水平井戸を掘っており、2011年9月には149 MMcfd の生産を記録した。
Liard basinでは、43万エーカーの権益を持つ。

なお、国際石油開発帝石(INPEX)と日揮はは2011年11月、カナダの石油・天然ガス開発会社NexenがカナダのBritish Columbia州北東部のHorn River、CordovaおよびLiardの各地域に保有するシェールガス鉱区に40%の権益を取得することで合意したと発表した。


2)東電が参加する 豪州 Wheatstone LNGの13%の権益と、沖合開発鉱区(WA-49-L block:Julimar/Brunelloのガス開発と Balnaves油田開発)の65%の権益

2012/5/17 東電の豪州LNG計画

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Woodside Petroleumは1954年に7月に設立された。

一時はShellとBHPが40%ずつ出資していたが、BHPは1994年に全株を売却した。
2001年にShellは100%子会社にしようとしたが、豪州財務省が国益の観点で阻止した。

Shellはその後、持株の一部を売却し、2014年6月にはWoodside株 23.1%のうち、4.5%を残し、売却することを決めた。
WoodsideはShell持株のうち9.5%を買い戻すことで合意したが、Woodsideの株主総会で承認が得られなかった。
このため、Shellは2014年8月1日、これを含め13.6%を持ち続けると発表した。

Woodside Petroleumの活動分野は下記の通りで、豪州西部とチモール海を中心とし、海外でも活動している。

豪州西部とチモール海の石油・ガス開発については、https://www.knak.jp/blog/2009-9-2.htm#gorgon を参照。

 

 

 

Pluto LNG Woodsideは2007年7月、Pluto LNG事業への投資を最終決定した。 Woodside 90% (operator)
Tokyo Gas 5%
Kansai Electric 5%​
North West Shelf 1970年代初頭に西豪州北西部沖合い約130kmにある鉱区で発見された。
LNGの他、原油・コンデンセート・LPG等を生産・販売する豪州最大の総合エネルギープロジェクト。
(各社 1/6 ずつ参加)
Woodside Energy
J
apan Australia LNG (MIMI)
 (三井物産・三菱商事の折半出資)

BHP Billiton Petroleum
BP Developments Australia
ChevronTexaco Australia
Shell Development
  
Browse FLNG Torosa、Brecknock、Callianceガス田。
埋蔵量は合わせて14兆立方フィートのドライガスと370百万バレルのコンデンセート。

2013年9月にFLNG(Floating LNG)を計画。

 

 

Woodside (Operator)
Shell (Australia) Pty Ltd
BP Developments Australia Pty Ltd
Japan Australia LNG (MIMI Browse) Pty Ltd
PetroChina International Investment (Australia)
Sunrise LNG Sunrise とTroubadourのガス、コンデンセート田で総称してGreater Sunrise fieldsと呼ばれる。
埋蔵量1億6千万トン

 

Woodside (Operator)  33.44%
Conoco Phillips  30%
Shell  26.56%
Osaka Gas  10%
石油開発 豪州西部とチモール海で開発

Enfield &Vincent 油田の権益の60%
Stybarrow油田の権益の50%
チモール海の Laminaria-Corallina油田のマジョリティ、など
Grassy Point LNG カナダBritish Columbia 政府とPrince Rupertの北側のGrassy Point でLNG輸出基地建設のFS実施を計画
Cameroon Douala BasinのTilapia Blockの権益の30%
Gabon Gabon Coastal BasinのBlock F15の権益の40%
Ireland Porcupine Basinの深海油田開発.
Morocco Rabat Deep Offshore permits I-VI の権益の25%
Myanmar Rakhine Basin
New Zealand Taranaki Basin and frontier Great South Basin
Tanzania Lake Tanganyika South Blockの権益の70%
韓国 2014/12/13    韓国石油公社と豪Woodside、日本海で大規模天然ガス田発見?
 



 

Lion Copolymer は12月1日、テキサス州 Port NechesでSBRを生産しているAshland Elastomers, LLCの買収を完了したと発表した。
これにより、同社は一旦売却したSBR事業を再開、SBRとEPDMを揃えることとなった。

同社については、一度このブログで取り上げている。

2006/11/14 合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC

その後、いろいろな展開があったため、再度取り上げる。

 

2005年9月、DSMはBaton RougeでSBRを生産する子会社のDSM Copolymer Inc.を Lion Chemical Capital に売却すると発表した。
Lion Chemical Capital はこれを Lion Copolymer, LLC と改称した。

その後の同社の歴史は下記の通りで、それぞれの事業は長い歴史を持つ。

 


1.DSM Copolymer の SBR

第二次世界大戦を控え、米国政府は天然ゴムの供給が絶えるのを恐れ、合成ゴム製造計画を進めた。

Franklin D. Roosevelt 大統領の指示で、1940年にゴムの保管、速度制限によるタイヤ用ゴムの節約、スクラップゴムの回収を目的にRubber Reserve Company が設立された。

その後、東南アジアからの天然ゴムの供給が途絶え、合成ゴムの生産が求められた。

1942年にRubber Reserve Company とタイヤメーカー(Firestone、Goodrich、Goodyear、United States Rubber Company=後のUniroyal)は統一処方GR-S (Government Rubber-Styrene) を決めた。
  ブタジエン 75%、SM 25%、触媒 potassium persulfate、改質剤 dodecyl mercaptan 

1942年4月に4社が生産を始め、1945年には生産量は92万トン(うちGR-Sが85%) に達した。GR-Sのうち 70%は4社が生産している。

http://www.acs.org/content/acs/en/education/whatischemistry/landmarks/syntheticrubber.html

この動きのなかで、1943年に 中小のゴム・タイヤ企業7社が集まって設立したのがCopolymer Corporation で、Baton RougeのRubber Reserve Company のプラントでSBRの生産を始めた。

1955年に米国政府は民間への払い下げを決め、Copolymer Corporationが Copolymer Rubber and Chemical Corporation と改称し Baton Rouge工場を買い取った。

1983年に Armstrong Rubber Companyが買収、1989年3月にDSMが買収し、DSM Copolymer となった。

Lion Chemical Capitalは2005年にこのDSM Copolymer のSBR事業を買収し、Lion Copolymer を設立した。

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DSM Copolymer は以前には、SBRのほかにNBR (Nitrile Butadiene Rubber) とEPDMを持っていた。

NBRについては、Baton Rougeに年産16千トンのプラントを持っていたが、日本ゼオンは1999年1月、DSM CopolymerからNBR事業を買収した。
NBRの
商権約10千トン(年)と、同社の年産16,000トンの連続重合生産能力での生産権利を取得した。

ゼオンは1999年10月にはGood Year Tire & Rubber からNBR事業を買収した。
Good Year のNBR商権約13千トン(年)と同社のNBR関連技術の全てで、工場は停止する。

ゼオンは欧州では1989年にBP Chemicals からNBR事業を買収している。(英国 Sully に工場)

ゼオンは現在、日本に年産60千トン、米国に15千トン、英国に15千トン、合計90千トンの能力を持つ。

EPDMについてはルイジアナ州AddisでKeltanブランドで生産していたが、老朽化したため、2004年に停止した。

DSMは1989年に出光とのJVの出光DSMを設立し、千葉にEPDM 年産4万トンのプラントを建設した。
2003年にオランダに8万トン(第1期)のプラントを建設したのに伴い、2004年9月末に千葉での生産を停止し、JVを解散した。

オランダのSittard-Geleenではその後増設して年産16万トン とし、更にブラジルのTriunfoに年産4万トンのプラントを建設した。

DSMは2010年に オランダとブラジルのEPDM事業をLanxessに売却した。
Bayerから分離独立したLanxessもBayerから引き継いだBuna EPブランドのEPDM
を販売しており、ドイツのMarlと米国のOrangeで、合計能力 12万トンを持つ。

DSMのEPDM事業買収でLanxessの全世界能力は32万トンになった。

2010/12/20 LANXESS、DSM Elastomersを買収



2.
ChemturaのEPDM

Chemturaは2006年10月末に、コア事業への集中のため、ルイジアナ州に工場を持つEPDMとゴム薬事業中国のChemtura-CNCCC Danyang Chemical の持分を含む)及び、全世界のオゾン劣化防止剤事業Lion Chemical Capital に売却する覚書を締結した。

Lion Chemical Capitalは2007年に契約を変更し、中国JV持分とオゾン劣化防止剤事業はChemturaに返却した。
EPDM事業は
Lion Copolymer に移した。
ゴム薬
事業Lion Chemical Capital とACI Capital が2004年にPolyOneから北米のゴムコンパウンド事業を買収して設立したExcel Polymersに移した。

Lion Chemical Capitalは2010年11月30日に、スウェーデンに本拠を置くゴムコンパウンドメーカーのHEXPOLにExcel Polymersを売却した。

  2010/12/11 ゴムコンパウンドメーカーHEXPOL、同業のExcel Polymersを買収


Chemtura はCrompton と 水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカーGreat Lakes Chemical が2005年に合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。

Lion Chemical Capital が買収したEPDMとゴム薬事業は、元はCrompton & Knowlesが買収したUniroyal Chemical の事業で、EPDMについては、Royalene® EPDM とTrilene® Liquid EPDMを生産している。

Uniroyal Chemical の元は、1892年に9社が統合してコネチカット州Naugatuckに設立されたタイヤ会社United States Rubber Companyである。
United States Rubber Companyは1961年にUniroyal, Inc.に改称した。

1985年にCarl Icahnによる敵対的買収を避けるためLBOを行ったが、債務の返済のため、化学部門 Uniroyal Chemical をAvery Inc.に760百万ドルで売却した。

Uniroyal Chemical は1996年にCrompton & Knowlesに統合された。

なお、Uniroyal, Inc そのものは1986年にB.F. Goodrichのタイヤ部門と統合してUniroyal Goodrich Tire Company となったが、1990年にフランスのMichelinに買収された。

ーーー

住友化学はUniroyalからEPDM技術を導入した。
韓国のSK(旧称は油公)のEPDM事業は、元は油公と住友化学のJVの
Yukong Elastomer であるが、これは住友化学とUniroyalが共同で技術供与した。

また住友化学はABSとSBRラテックス技術をUniroyalから導入し、UniroyalとのJVの住友ノーがタックを設立した。(Uniroyal発祥の地のNaugatuckから取った。)

住友ノーがタックは1980年に住友化学100%となった。
1988年にDowが35%出資し、ポリカーボネート事業を開始、1992年に50/50として住友ダウと改称した。

1995年に住友ダウはABSとラテックス事業を分離し、住友化学100%の住化ABS・ラテックスとしたが、1999年に三井化学のABS事業と統合し、日本A&Lと改称した。

Dowは2010年にPCやスチレン系事業を投資会社Bain Capital Partnersに売却し、Styronが誕生した。
この結果、住友ダウは
住化スタイロン ポリカーボネート と改称した。

 


3.Lion CopolymerのSBR事業(続き)

Lion Copolymerは2010年10月、Acrylonitrile-styrene-butadiene terpolymer (NSBR)の導入を発表した。

しかし同社は2014年2月SBRプラントを停止 した。Economic conditions によるとした。
その後、プラントを同社の元CEOが設立したEast West Copolymer LLC に売却した。

そして今回、Ashland Elastomers, LLCを買収し、SBR事業を再開した。



4.Ashland Elastomers, LLCのSBR

Ashland ElastomersのSBRは元はB. F. Goodrichの事業である。

B. F. Goodrich は1940年にブタジエンとMMAのコポリマー をタイヤ用ゴムとして開発し た。
これを使ったタイヤは"Ameripol" という名前で売られた。輸入天然ゴムではなく、"polymer of American materials" を使っているということで名付けられた。

上述の通り、1942年に統一処方でのSBRの生産を開始した。

1986年にUniroyal, Inc とB.F. Goodrichのタイヤ部門が統合してUniroyal Goodrich Tire Company となり、1990年にフランスのMichelinに買収されたが、Michelinは 1992年にSBR事業をAmeripol Synpol Corp (買収したSBRの商標を社名にした)に売却した。

同社はOdessa, TexasとPort Neches, Texasにプラントを持っていたが、2002年にOdessa工場を停止し、廃棄した。(設備の一部はPort Nechesに移した。)

同社は2002年12月にChapter 11 を申請、裁判所の許可を得て、Port NechesのSBR事業をInternational Specialty Products Inc. に売却した。

米国最大の化学品のディストリビューターのAshlandは2011年6月3日、特殊化学品とパーソナルケア製品などのメーカーのInternational Specialty Products を買収すると発表した。
AshlandはこのうちのSBR事業を
Ashland Elastomers, LLCとした。

2011/6/7 Ashland、特殊化学品メーカーのInternational Specialty Products を買収 


Lion CopolymerはこのAshland Elastomers, LLCを取得した。


 

 


12月12日のWTI原油先物価格の終値は57.81ドル/バレルとなり、2009年5月以来の低水準となった。
最近の高値の2014年6月20日の107.26ドルからは46%の下落である。

国際エネルギー機関(IEA)は11月の石油市場月報では、2015年の世界の石油需要が2014年から日量113万バレル増えると予想していたが、12月12日発表の12月の月報では、これを23万バレル引き下げ、90万バレル増とした。中国や欧州の景気減速で需給が緩む状態が続くと分析している。

米エネルギー情報局(EIA)は、2015年の原油価格の予想を11月時点ではバレル当たり77.75ドルと予想していたが、OPECの生産目標据置き決定を受け、12月9日に15ドル下方修正し、平均62.75ドルと予想した。
 来年については、「
米国の原油生産の伸びが鈍化しそうだが、それでも年間の生産量は1972年以来の高水準に増加すると見込まれる」としている。

Morgan Stanley はOPECが生産減に踏み切らなければ、2015年の第2四半期には43ドルまで下落するだろうと警告している。

ーーー

EIAは来年については高水準の生産を予想しているが、価格が上がらなければ、投資の削減により、今後は生産は減ると思われる。

ConocoPhillipsは12月8日、2015年の投資額を135億ドルとし、2014年見込みに比べ20%減らす方針を発表した。同社は2014~17年まで年平均で160億ドルを投資する計画だった。
2015年は資源掘削にかける費用を50億ドルとし、14年比で20%強減らす。シェール開発も選別し、テキサス州 Eagle Ford など投資効率の高い案件を継続するが、リスクの高い案件は見送る。


BPは12月10日の投資家向け会合で、 探査や開発、生産を担う上流部門と、製油など下流部門の双方にわたる全社的な業務簡素化を進めることを明らかにした。
2015年末までにリストラ関連で約10億ドル規模の引当金を計上する。

最近の原油安については、すべての事業が石油価格の影響を同じように受けるわけではないとしている。
上流部門の3分の1は生産分与契約によるものであり、また石油価格の動向を受けにくい良質なガス田にも投資していると指摘した。

BPは、1バレル=80ドルの想定で事業を承認しているが、価格変動に対する耐性を調べるため、60ドルの水準でも収益性を試算しているとしている。

1995年設立の独立系石油・ガス業者でEagle Ford Shale やHaynesville Shaleなどで活動するGoodrich Petroleumは12月10日、2015年の投資額を本年の325~375百万ドルから大幅に減らし、150~200百万ドルにすると発表した。
合わせてEagle Ford のシェール資産の一部又は全てを来年上半期に売却することを検討するとしている。

Williston Basin (Bakkenシェール層)で活動するOasis Petroleum も同日、2015年の計画を明らかにしたが、投資額は$750~850 百万ドルとしている。2014年の投資額は1,430百万ドルと見込んでいる。



Wood Mackenzieの試算では、米国のシェールオイルの損益分岐点は下記の通りである。現在の原油価格(60ドル)ではほとんどが赤字となる。

http://www.businessinsider.com/shale-basin-breakeven-prices-2014-10


Morgan Stanleyでは損益分岐点の平均はバレル当たり76~77ドルで、現在の価格水準が続けば投資は減るとみている。

一度掘れば長期間にわたって石油が採掘できるこれまでの油田と異なり、シェールガス・オイルの場合、掘削して2年で生産量は激減する。
このため、新しい井戸を次から次に掘り続けなければならない。

殆どの業者は借入金で井戸を掘るため、原油価格下落で借り入れが困難になると、生産停止に追い込まれることとなる。

http://www.businessinsider.com/fracking-shale-extraction-and-depletion-2013-3?op=1

 




韓国石油公社(KNOC)とオーストラリアの石油探査企業 Woodside Petroleumは12月10日、日本海のBlock 8、Block 6-1-N 鉱区の深海で精密探査を行った結果、韓国の年間天然ガス消費量の1.3倍に相当するガスが埋蔵されているとみられることが判明したと発表した。


3次元(3D)精密探査の結果、生産可能なガスの埋蔵量は3200万-3600万トンと推定された。具体的な埋蔵量は来年実施する試掘で確認する。

Block 8、Block 6-1-N は浦項市の沖合いにある。その南部にあるBlock 6-1-Cでは1988年にKNOCが東海1号ガス田(DH-1) を発見し、2001年に開発許可を受け、2004年から生産を開始した。更に2005年に近くに東海2号ガス田(DH-2) を発見、開発の準備をしている。

Woodsideは2004年の東海1号の生産開始後、大陸棚に石油やガスが埋蔵されている可能性が高いことに着目し、KNOCの探査資料を約1年間かけて再分析し、ガス田の可能性を予測した。

2007年2月、KNOCとWoodsideは50/50での共同開発契約を締結した。

 

韓国では黄海側と日本海側、及び日韓共同開発地域(JDZ)で石油とガスの探査が進められている。


 

KNOC, Woodside Plan to Drill East Sea Oil Blocks in 2011

 
 
 
Sea of Japan (East Sea)

SEOUL (Dow Jones Newswires), Aug. 13, 2009

South Korea's state-run oil developer Korea National Oil Corp. and Australia's Woodside Petroleum plan to conduct exploratory drilling in Block 8 and the northern part of Block 6-1 in the East Sea in early 2011, according to the Ministry of Knowledge Economy Thursday.

The two companies did preliminary exploration of the two blocks, covering 12,560 square kilometers, until June this year after having obtained the exploration right in February 2007, the ministry said in a statement.

After a detailed analysis, they have determined the possibility of discovering oil and gas is quite high and decided to proceed with the second phase of the project, which runs from August this year to August 2011. The third phase runs until February 2013, it said.

It's the first time a foreign company has joined an oil and gas block exploration project in the East Sea since the early 1990s, after Kirkland Resources of the U.K. pulled out in 1994 after failing to discover oil and gas.  

Copyright (c) 2009 Dow Jones & Company, Inc.

- See more at: http://www.rigzone.com/news/oil_gas/a/79278/KNOC_Woodside_Plan_to_Drill_East_Sea_Oil_Blocks_in_2011#sthash.iMVLP88S.dpuf

Block

Area (km2)

Working Interest

Operator

1 21,584 KNOC 100% KNOC
2 29,311 KNOC 100% KNOC
6-1C 2,710 KNOC 100% KNOC
6-1S 2,530 KNOC/DAEWOO 30%/70% DAEWOO
6-1N 3,665 KNOC/Woodside 50%/50% KNOC/Woodside
6-1E 1,300 KNOC 100% KNOC
6-2 8,719 KNOC 100% KNOC
8 6,257 KNOC/Woodside 50%/50% KNOC/Woodside
7(JDZ-1) 12,711 KNOC 100% KNOC

  
他のBlockは現在のところ、オープン。

 

 

中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「義新欧鉄道("Yixinou Railway")」の第1号列車が12月9日、スペイン のマドリードに到着した。

義新欧の義は出発点の義烏、新は経由する新疆ウイグル、欧は欧州。

中国製の輸出商品の入った標準コンテナ82個を積み込んだ第1号列車は、11月18日に浙江省・義烏市を出発し、新疆ウイグル自治区阿拉山口の国境で中国を出国し、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、フランスを通過して、21日後にマドリードに到着した。総延長は1万3千キロメートルに達し、中国と欧州を結ぶ鉄道では最長 である。

海上輸送よりは10日以上速い。

浙江省によると、「義新欧鉄道の運行は中国がシルクロード経済ベルトと21世紀海のシルクロード構想という重大戦略を実施し、中欧の協力・交流を強化する上での重要な内容の一つだ。この鉄道が開通することで、双方の商品・貨物の輸出入コストが低下し、輸送効率が高まるだけでなく、浙江省や中国の商品がよりスムースに世界に進出するよう効果的に促進し、また世界の商品をよりスムースに浙江省に集めることができるようになる」としている。

ドイツの貨物輸送業者DB Shenker Rail の子会社のEuro Cargo Rail では来年からの月2往復のサービスを検討している。

中国と欧州の間の貨車輸送は技術的な問題や、国毎に異なる事務手続きが障害になっている。

今回のスペインまでの輸送では、国によって鉄道のゲージ幅が異なるため、貨物は3箇所で別の車両に積み替える必要がある。

しかし、船輸送の場合は30日以上かかるため、貨車輸送は速く、安く輸送できる。

ーーー

 

もう一つは重慶と ドイツ西部の工業都市 Duisburg を結ぶ貨物鉄道「渝新欧鉄道(Yuxinou Railway)」である。

重慶から北上して西安から今回の義新欧鉄道と同じルートで Duisburgに到るもので、11,179km。
'Modern Silk Road' と呼ばれるこのルートは2012年8月に開通した。

渝新欧の渝は重慶の略称(重慶市内にある嘉陵江の古称、渝水から取られた)、新は経由する新疆ウイグル、欧は欧州。

 


 

 

富士フイルムグループは12月10日、同社子会社の富山化学がエボラ出血熱の治療薬として開発し、世界的に注目されている「アビガン(一般名ファビピラビル)」について、中国医薬品大手「四環医薬」が模造薬を製造している可能性があると明らかにした。

在日中国大使館に調査を求めるなど事実の究明を進めており、特許侵害が確認されれば提訴も視野に入れる。

本年9月にスイスで開かれたWHOの専門家会合で、中国の出席者から四環の薬がエボラ熱薬の候補として提案された。
WHOの担当者が「アビガンと成分が同じだ」と指摘し、富士は事態を把握したという。

富士フイルムは2004年から2013年にかけて、中国でアビガンの関連特許を取得している。
 

中国の医薬品大手「四環医薬」(Sihuan Pharmaceutical Holdings Group)は中国で3番目に大きい処方箋薬メーカーと自称しているが、元々は中国軍の研究機関であった。2001年にスピンオフし、現在の形となった。Morgan Stanleyが出資している。

心血管薬や脳循環改善薬に注力しており、2010年には心臓・脳血管疾患治療薬を製造するDupromise Holdings を買収している。

同社は、中国人民解放軍の最高医学研究機関であるAcademy of Military Medical Sciences (AMMS=軍事医学科学院)とタイアップ契約を締結し、AMMSが開発し緊急軍事用のみに承認を得ているエボラ治療薬 JK-05 の中国での承認取得、販売で協力することとした。

JK-05はAMMSが5年間、研究、開発してきたもので、富士のfavipiravirと似ていると言われていた。

四環医薬は10月にJK-05をアフリカに送った。エボラ対策支援に従事する中国人を対象にテストする。

アフリカには数百万人の中国人が住んでおり、エボラの蔓延するシエラレオネ、ギニア、リベリアなどに約1万人が住んでいる。

朝日新聞によると、同社は「薬はまだ実験室での研究段階のため、いかなる権利の侵害も発生していない」としている。

 

 


豪英資源大手 BHP Billitonは2015年前半に非中核事業を切り離して新会社を設立するが、同社は12月8日、新会社の名称を"South32" とすると発表した。

本社を置く豪西部 Perthは南緯32度で、アルミニウムやマンガンなど新会社の資産が集中する南アフリカも同じ緯度にあることが由来。

South 32は2015年5月にBHP Billiton の株主総会での承認を経て発足する。豪 、英、南アで上場する。従業員は2万4000人。

BHP Billitonは分社化により鉄鉱石や銅、石油、石炭の中核事業に経営資源を集中させ、生産性向上やコスト削減を急ぐ 。

ーーー

BHP Billitonは8月19日、アルミ、石炭、マンガン、ニッケル、銀などの事業の分離を発表した。
新会社を設立し、現在の株主に新会社の株式を与える。

現在、世界中で41の事業を行っているが、大規模・長寿命の鉄鉱石、銅、石炭、石油、カリの19の事業に集約する。
これらの事業は2014年のグループのEBIT(利息、税金控除前利益)の96%を占める。

分離後も、BHP Billitonは世界最大の原料炭輸出業者であり、鉄鉱石の三大生産者の1社であり、四大銅精鉱輸出業者の1社であり、外国からの米国のシェールへの最大の投資者であり、カナダのSaskatchewan州の世界で最も良いカリ資源の開発者であり続けるとしている。

分離後の同社の事業箇所は下記の通り。


 


分離する事業は以下の通りで、時価総額は約80億ドルに達する。

豪州のCannington は世界最大の銀の生産者。

マグネシウム事業は、豪州の GEMCO、南アのHotazel 鉱山を持ち、豪州のTEMCO、南アのMetalloys は世界トップの精錬メーカーである。

アルミ事業では、豪州のWorsleyは世界最大で最も低コストのアルミナメーカーであり、南アの Hillside、モザンビクのMozal は競争力ある精錬メーカーである。またブラジルにボーキサイト、アルミナ、アルミのJVを持つ。

豪州のIllawarra Coal は原料炭を輸出しており、南アのEnergy Coal South Africaは燃料炭の南ア最大の輸出業者である。

コロンビアのCerro Matosoは高品質のフェロニッケルを生産している。

                            (Operated は自社が運営、Non-operatedは他社が運営、%は出資比率)

①  Cerro Matoso:Operated (99.9%)
  コロンビア北部の露天掘りニッケル鉱山とフェロニッケル精錬所
   
②  Brazilian Aluminium:Non-operated (36-40%)
  Porto Trembetasのボーキサイト鉱山とSao Luisのアルミナ~アルミ精錬のJV
     
GEMCO:Operated (60%)
 
北豪州の世界で最低のコストの一つのマグネシウム鉱山
   
Cannington:Operated (100%)
 
世界最大の銀の生産者、銀・鉛・亜鉛の鉱山
   
Illawarra Coal:Operated (100%)
 
地下の原料炭鉱山で、鉄道・港湾設備に接続。
   
TEMCO:Operated (60%)
 
タスマニア島の高カーボンフェロマンガン、シリコンマンガン、焼結物のメーカー
   
Worsley:Operated (86%)

 西豪州のボーキサイト~アルミナ事業
     
Hotazel Manganese Mines:Operated (44.4%)
 
マンガンの高品質グレード鉱石(露天掘り及び地下)​​
   
Metalloys:Operated (60%)
  マンガンアロイとフェロマンガンアロイのメーカー
   
Mozal:Operated (47.1%)
 
アルミ精錬
   
Hillside:Operated (100%)
 
アルミ精錬(アルミナはのWorsleyから輸入
     

なお、これとは別に、BHP Billitonは5月14日に西豪州のNickel West 事業の売却を検討すると発表した。

しかし、希望の条件では売れず、当面非コア事業として維持する。

 

付記 分離後のBHP Billiton 本体の主な事業は下記の通り。

Jansen カリ計画    Operated (100%)
Onshore US   Operated (<1-100%)
 - 4つのシェールオイル (Eagle Ford, Permian, Haynesville and Fayetteville)
Gulf of Mexico  Operated and non-operated (24-44%)
​- 海上油田(Shenzi、Atlantis、Mad Dog ほか)
Cerrejón Non-operated (33.3%)
​- 露天掘り燃料炭、港湾とそこまでの鉄道
Angostura Operated (45%)
- 海上の石油・ガス開発​
Antamina Non-operated (33.8%)
​- 露天掘り銅・亜鉛鉱山JV
Pampa Norte Operated (100%)
- 銅鉱山(Cerro Colorado、Spence 鉱山ほか)​
Escondida Operated (57.5%)
​- 世界最大の銅鉱山.
Samarco Non-operated (50%)
- ValeとのJVの鉄鉱山、396kmのパイプライン、2箇所の選鉱場
Queensland Coal Operated (50-80%)
​  - Bowen Basinの原料炭の三菱とのJV、三井とのJV
New South Wales Energy Coal  Operated (100%)
 - 露天掘り燃料炭​
Bass Strait  Non-operated (50%)
 - 海上油田​、精製
North West Shelf  Non-operated (8.3-16.7%)
 - 海上油田、精製
Pyrenees  (62%) and Macedon (71.4%), Operated 
- 海上油田、精製​
Western Australia Iron Ore  Operated (85%)
​- Pilbara地区の鉄鉱山、鉄道、港湾


 

 


新潟市等に所在するタクシー事業者26社が2010年3月に北陸信越運輸局から運賃値上げの認可を受けた。

これに関し、公取委は2011年12月、タクシー事業者が共同して運賃を決定したとして、25社に対し排除措置命令及び総額2億3175万円の課徴金命令を出した。

新自動認可運賃で上限は据置き、下限は引き上げられたが、これについて、中小型については新自動認可運賃の下限、大型・特定大型については上限とすると決めたとしている。

課徴金は最高が3479万円、次が1423万円、他9社が1000万円以上となっている。

これに対し16社が審判請求を行い、2012年4月に審判が開始されたが、10月に審判請求を棄却する旨の審決案が出された。


これを受け、新潟県では12月2日、業界の置かれている窮状を踏まえ、課徴金納付により、タクシー事業者の廃業やそれに伴う従業員の失業を始め、労働条件の悪化が懸念され、地域社会全体にも大きな影響を及ぼす恐れがあることから、公正取引委員会に対し、下記の内容の要望書を手交した。

新潟のタクシー事業は供給過剰な状態で、輸送人員、営業収入ともに減少を続け、2008年には2社が廃業、280人が解雇され、2012年にも1社 (従業員 100人) が廃業した。

タクシー乗務員の賃金水準は全産業平均を大きく下回るが、労働時間は平均より長く、事業者・乗務員の置かれている状況は非常に厳しい。

このなかで、2009年にタクシー特措法が施行され、下限を下回る運賃の審査が厳格化された。

タクシー事業者が厳しい環境から、他社との競争を意識する中で、経営判断により下限運賃を選択したのは、社会的に十分妥当性を持つ。

一方、課徴金は売上額の4%で、3千万円を超える負担となる事業者もある。
事業者の廃業、それに伴う従業員の失業、労働条件の悪化等が強く懸念され、地域社会全体に大きな影響を及ぼす恐れがある。

審決に当たっては十分斟酌して欲しい。


課徴金命令は受けていないが、新潟市に本拠を置くタクシー会社の「しあわせタクシー」が、11月21日付で新潟地方裁判所より破産手続の開始決定を受け倒産した。

1951年に創業の同社は、新潟市内を中心にタクシー運行を手掛けていたものの、景気低迷に伴う競争激化などから業績が悪化し今回の措置に至った。



EUの欧州委員会は2010年6月、浴室の設備メーカー17社が価格カルテルを結んでいたとして、総額6億2225万ユーロの制裁金を命じた。
このうち5社については、当初想定していた制裁金を科すと倒産する恐れがあると判断し、制裁金を減額する異例の措置を講じた。

17社のうち、10社が欧州委員会に対して制裁金を支払えないと申し出た。
比較的規模の小さい企業が多く、金融危機で住宅投資が減少し、企業収益が悪化している。

欧州委員会では、各社の最近の決算書や今後の損益予想、諸財務比率(健全性、収益性、支払能力、流動性など)、銀行や株主関係、各社の社会的・経済的状況を検討、更に制裁金のために倒産に追い込まれた場合に各社の資産価値が大幅に失われるかどうかを検討した。
評価は、公平性を確保し、
EUの抑止力を維持するよう、出来るだけ客観的に、数値化して行われた。

この結果、10社のうち、3社に対しては50%の減額、2社に対しては25%の減額とした。減額対象となった企業名は明らかにされていない。

Joaquin Almunia 競争政策担当委員は、違法な行為は摘発していくこと、制裁金は違法行為をやらせないような水準にすることを強調しつつ、「制裁金の目的は経済的苦境にある企業を倒産に追い込むことではない」と述べた。

2010/6/25 欧州委、倒産の恐れを考慮しカルテル制裁金を減額


タクシー業界の苦境は小泉政権下の2002年に施行された「改正道路運送法」でタクシー事業への参入が原則自由化され、タクシー会社が乱立したことにある。

本件についてカルテルの事実関係は分からないが、こういう状況が背景にあり、これ以上の混乱を生まないための苦肉の策ではなかろうか。

特に今回の場合、一般市民に影響を与える中小型については新自動認可運賃の下限とすると決めたとされる。
この場合、最低の値上げで済むこととなり、一般市民には有利な結果となる。

合意により、「取引分野における競争を実質的に制限していた」としても、「公共の利益に反して」はいない。
料金を下限にすることによる不当利益はなく、課徴金をとることは不当利益を取り戻すという趣旨に反する。

法律上、免除の規定がないから出来ないというなら、上限に設定して「公共の利益に反して」いると思われる大型、特定大型の売上高についてのみ、課徴金を求めるということも可能である。

欧州委員会の言うとおり、制裁金の目的は経済的苦境にある企業を倒産に追い込むことではない」。

 


大塚ホールディングスは12月2日、米製薬ベンチャーのAvanir Pharmaceuticals を35億3900万ドルで買収する契約を締結したと発表した。
12月15日までにTOBを開始、完全子会社化を目指す。

Avanir Pharmaceuticalsは1988年の設立で、中枢神経疾患領域に集中しており、情動調節障害(人前で突然泣き出すなど自分の感情がコントロールできなくなる症状)の治療薬 Nuedexta を世界で初めて(また世界で唯一)開発し、2011年に米国で発売した。
2013年7月から2014年6月の1年間で9400万ドルを売り上げた。

また、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、偏頭痛やその他の中枢神経系の分野の開発を行っている。
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害の適応をターゲットにフェーズ3臨床試験の準備を進めている。アルツハイマー型認知症は世界に3千万人の患者がいるとされる。

買収によりAvanir の
① 情動調節障害という未開拓な市場の中で創造した治療薬
Nuedexta
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害の治療を目的とした AVP-786
③ 「神経疾患領域」の臨床開発力及び市場開拓力
の新たな価値が大塚製薬に加わる。

大塚製薬が強みとする「精神疾患領域」に「神経疾患領域」が加わり、中枢領域全体に広がる。

精神疾患は心の症状(不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想など)を扱う。
神経疾患は脳神経系の疾患(脳血管障害、パーキンソン病、ニューロパチーなど)を扱う。

大塚製薬は2013年10月に安定同位体等研究用試薬を製造する米国のCambridge Isotope Laboratoriesを100%子会社としており、これのフラグメント創薬技術を加えることで、3つの創造性に満ちた会社の強みが融合してシナジーを生み出すことを期待している。

ーーー

大塚製薬は中枢神経領域における研究開発を1980年代に開始し、世界で初めてのドパミンD2受容体パーシャル・アゴニストである抗精神病薬ABILIFYを創製している。

ABILIFYは世界60カ国・地域で販売され、世界の全医薬品売上ランキングで7位となった。
特に米国では大うつ病補助療法や双極性障害への処方が拡大し、初の全医薬品売上1位となった。
日本では統合失調症に加え双極性障害躁症状、うつ病・うつ症状の適応が広がった。

このほか、循環器領域では、14カ国・地域で発売しているバソプレシンV2-受容体拮抗剤サムスカ、胃の粘膜保護・改善する胃炎・胃潰瘍治療剤ムコスタなどを持ち、がん領域では、Bristol-Myers Squibbと日米欧で共同事業を進めている抗悪性腫瘍剤スプリセル、造血幹細胞移植前治療薬ブスルフェクスを持つ。

更に、「健康な人を更に健康にする」をうたい文句にしたニュートラシューティカルズ(nutrition+ pharmaceuticals)事業では、水分・電解質補給飲料ポカリスエット、大豆が地球上の健康問題、環境問題などの解決になるとする「Soylution」製品(ヘルシー大豆スナック ソイカラ、大豆バー ソイジョイ、大豆炭酸飲料 ソイッシュ)、「肌の健康」をテーマにした健粧品(コスメディクス)を扱っている。

 

世界で5700億円を売り上げている大塚製薬の精神疾患の治療薬ABILIFYの特許は今年10月から切れ始めている。
このため、先行きの減収を補う新薬候補の獲得が必要で、同社は中期経営計画で「収益構造の多様化」を掲げている。



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