「no」と一致するもの

出光興産、コスモ石油、丸紅、三井物産とQatar Petroleum及びTatolは4月21日、Laffan Refinery 2計画の合弁契約に調印した。

日本側4社は2006年にLaffan Refinery計画に参加しており、同国とのパートナーシップを強化する。

Laffan Refinery 計画は単一構造の天然ガス田としては埋蔵量世界最大級を誇るNorth Fieldのコンデンセートを精製し、付加価値を高めて出荷するという、Qatarの戦略に沿って計画されたもの。

North Fieldで採掘されたガスは現地で分離、前処理される。
ガスとコンデンセートは海底パイプでRas Laffanに送られ、LPGが生産され、コンデンセートはナフサ等に精製される。

2010/12/21 カタール、LNG増産工事完了で年産 7,700万トン体制

Laffan Refinery 2が完成するとコンデンセートの精製能力は合計で約30万バレルとなり、世界最大となる。

4社は生産した石油製品を直接販売する権利は持たず、出資分の配当金を受け取る。

計画の概要は以下の通り。

  Refinery 1
 (
LR1)
Refinery 2
 (
LR2)
出 資 Qatar Petroleum 51% 84%
ExxonMobil 10% -
Total 10% 10%
出光興産 10% 2%
コスモ石油 10% 2%
丸紅 4.5% 1%
三井物産 4.5% 1%
能 力 146千b/d 146千b/d
立 地

Ras Laffan 工業都市

原 料 North Gas Field のコンデンセート
製 品 Naphtha 61千b/d  60千b/d
Jet fuel 52千b/d 53千b/d
Gasoil * 24千b/d 24千b/d
LPG 9千b/d 9千b/d
着 工 2006年4月  
完 工 2009年9月 2016年下期
総コスト 約8億米ドル 約15億米ドル

* 現在、DHT(ディーゼル水素化精製)設備を建設中で、2014年第2四半期に完成する予定。
   LR1とLR2の
Gasoil を超低硫黄ディーゼルに加工できる。

 


出光興産は以下のとおり述べている。

1979年以来33年間にわたってカタール国と原油取引を続けている。

最近ではQatar Petroleumから研修生の受け入れを行い、また、Laffan Refinery 1には副所長を派遣し、人的面でも関係強化を図ってきた。
Laffan Refinery
2においては基本設計段階から2名の技術者を派遣し、建設段階も継続して派遣する。


環太平洋経済連携協定(TPP) の交渉参加11か国は、4月20日の閣僚会合で、日本の参加を全会一致で承認した。

TPP閣僚会合の共同声明の要旨は以下の通り。

 ・各国が日本との2国間の協議を完了したことを確認。日本は他の参加国と同様、妥結に向けて迅速に交渉する
 ・日本は各国の国内手続きが完了したあとで交渉に参加できる
 ・日本の交渉参加でTPPは世界のGDPの40%近く、世界の貿易の約3分の1を占める
 ・日本の交渉参加はTPPの経済的な重要性を高め、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)への道筋を支える

日本は7月下旬にマレーシアで開催が検討されている次々回会合から交渉に合流する見通し。

米国には、新たな交渉参加国を認めるために米議会で90日間以上議論するという取り決め(90日間ルール)がある。
米通商代表部(USTR)は全参加国の同意を受け、議会に合意を通知する。

付記 オバマ政権は4月24日、米議会に対し日本の交渉参加を通告した。

日本の交渉参加に当たっては、ブルネイ、チリ、マレーシア、メキシコ、シンガポール、ベトナムの各国は早期に賛成したが、その他の国々は簡単には賛成せず、いろいろな条件が付いた。(後記)

ーーー

環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement) の参加国は以下の12か国となる。


各国は以下の順で参加した。

2006/11 TPP(通称P4)発効 シンガポール
ニュージーランド
ブルネイ
チリ
(計4か国)
2010/3 (拡大)TPP
政府間交渉開始
米国
オーストラリア
ベル―
ベトナム
2010/10 追加参加 マレーシア
(計9か国)
2011/11 Broad outlineに合意  
2012/11 追加参加 カナダ
メキシコ
(計11か国)
2013/2 日米共同声明  
2013/4 追加参加支持 日本
(計12か国)

2011年11月に参加9か国は合意の概要(Broad outline)を発表した。これ以外の交渉内容は公表されていない。

1.包括的な市場アクセス(関税その他の非関税障壁を撤廃)
2.地域全域にまたがる協定(TPP参加国間の生産とサプライチェーンの発展を促進)
3.分野横断的な貿易課題(TPPに以下を取り込みAPEC等での作業を発展させる)
   ・規制制度間の整合性:参加国間の貿易を継ぎ目のない効率的なものとする
   ・競争力及びビジネス円滑化:地域の経済統合と雇用を促進する
   ・中小企業:中小企業による国際的な取引の促進と貿易協定利用を支援
   ・開発:TPPの効果的な履行支援等により、参加国の経済発展上の優先課題が前進
4.New trade challenges:革新的分野の製品・サービスの貿易・投資を促進し、競争的なビジネス環境を確保
5.Living agreement:将来生じる貿易課題や新規参加国によって生じる新しい課題に対応するため、
   協定を適切に更新

ーーー

カナダ、メキシコの参加に当たっては、次の秘密の覚書があったことが分かった。
1: 遅れて交渉した国は、既に交渉を始めている9ヵ国が合意した事項(条文)を、原則として受け入れ、再協議は認められない。
2: 交渉を打ち切る権利は、9ヶ国にあり、遅れて交渉入りした国には認められない。


日本政府は、日本の場合にこういう条件は付けられてないとしている。

安倍首相は2月22日のオバマ大統領との日米首脳会談で、自民党の参加条件である「聖域なき関税撤廃が前提でない」ことを確認し、参加に踏み切った。

日米共同声明

両政府は、日本が環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に参加する場合には,全ての物品が交渉の対象とされること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された「TPPのアウトライン」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。

日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識しつつ、両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する。

両政府は、TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。これらの協議は進展を見せているが、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている。

米国との間では、以下の交渉が行われた。(4月12日 TPP政府対策本部発表)

  日本が他の交渉参加国とともに、「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことを確認するともに、日米両国が経済成長促進、二国間貿易拡大、及び法の支配を更に強化するため、共に取り組んでいくこととなった。
     
  この目的のため、日米間でTPP交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定。
    対象分野:保険、透明性/貿易円滑化、投資、規格・基準、衛生植物検疫措置等
     
  また米国が長期にわたり懸念を継続して表明してきた自動車分野の貿易に関し、
  TPP交渉と並行して自動車貿易に関する交渉を行なうことを決定。
 対象事項:透明性、流通、基準、環境対応車/新技術搭載車、財政上のインセンティブ等
TPPの市場アクセス交渉を行なう中で、米国の自動車関税がTPP交渉における最も長い段階的な引き下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされること、及び、この扱いは米韓FTAにおける米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回るものとなることを確認。
     
  日本には一定の農産物、米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識しつつ、TPPにおけるルール作り及び市場アクセス交渉において緊密に共に取り組むことで一致

非関税措置については、米国側発表では以下の通りとなっている。

保険   かんぽ生命との公平な競争環境
透明性    
投資   外部取締役の役割強化などを含む日本企業へのM&Aの機会増
知的財産    
規格・基準    
政府調達    
競争政策    
急送便   日本郵便の手がけるEMS(国際スピード郵便)
SPS(植物検疫)   日本の食品添加物の審査手続きを早めて効率を上げるよう求める


両国の合意があれば、これら問題以外にも付け加えることができる


ニュージーランドとオーストラリアは「すべての品目を交渉のテーブルに載せる」「交渉を遅らせない」「高い水準の自由貿易を実現する野心がある」の3点を挙げ、「保証」を求めた。

カナダとの交渉は自動車関税の扱いで難航した。
日本は米国との事前協議で日本車の関税撤廃時期の先送りで合意したが、カナダが「カナダと米国の自動車産業は一体である」として、米国並みの条件を要求した。
最終的に、自動車関税をTPP交渉とは別に交渉するというカナダの提案をのんだ模様。

今後、米やカナダとの事前協議を踏まえ、日本に関税維持を求める国が増える懸念もある。

逆に、日本が「聖域」とする「コメ」「麦」「乳製品」「牛肉・豚肉」「砂糖やデンプンなど甘味資源作物」の5品目については何も決まっていない。

参考

 2010/11/10  TPP参加と農業問題
 2011/11/7    番外編 記事紹介 「TPP亡国論のウソ」:「農業の守り方を間違った」
 2011/11/16  環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉
 2013/3/18  TPPで関税撤廃した場合の経済効果についての政府統一試算

 



テキサス州のWaco市の約30km北にある人口2600人余りの町WestにあるWest Fertilizer 社の肥料工場で、4月17日夜、原因不明の火災が起きたあと、2度にわたって大規模な爆発があった。

 

報道によると、同工場には肥料原料の無水アンモニアが25トン保管されていたとされる。
 (付記 その後の調べで、硝安が245トン、無水アンモニアが50トンと判明)

無水アンモニアのタンクで火災が発生し、消防が消火中に、大爆発が起こった。

爆発の衝撃は、アメリカ地質調査所でマグニチュード 2.1を記録、現場から北におよそ100km以上離れたダラスでも揺れを感じた住民がいたという。

この爆発で133人が入居していた老人ホームを含む住宅など75棟が倒壊したり壁が吹き飛んだ。

村長は、35人から40人の消息が掴めず、亡くなったのではないかとしている。そのうち、6人が消防士、4人が救急医療士。
地元警察は、負傷者が160人以上にのぼるとしている。

付記
消防隊員ら12人が工場敷地内で、他に、高齢者施設の入居者を含む住民3人が死亡した。約200人が負傷した。
被害総額は1億ドルに及ぶ。

漏出や爆発の恐れがあることから、付近の住民約2800人の多くは避難し、周辺への車の進入も禁止された。

今のところ、原因は不明。硝安の爆発とか、ガス状態の無水アンモニアが放水で爆発したとかの説が述べられている。

警察はテロの可能性については、「現時点で事件性を示すものは何もないが、その可能性を排除しない」としている。

工場を運営する会社は、昨年、安全管理に問題があるとして、連邦政府から罰金を科されていた。

ーーー

Westの南のWaco市は1993年に"Waco siege"事件が起こった場所。

1993年2月にDavid Koreshに率いられたキリスト教系カルト教団Branch Davidianが武装して立て籠もった。

2月28日に武器の不法所持の容疑でアルコール・タバコ・火器局が強制捜査に乗り出し、武装した捜査員100名が突入を試みた 。
信者達は応戦し、捜査官4名、信者6名が死亡した。
その後、立てこもりは51日続いた。

4月19日、FBIは19台の戦車、装甲車、武装ヘリを前面に立てて突入を試みた。
建物の一角から出火、信者のほとんどが脱出せず、死亡した。
最終的には
Koreshを含む81名(子供25名を含む)が死亡した。生存者はわずか9名。
集団自殺と扱われているが、
政府の弾圧ではないかとの疑問も呈されている。 

 

たまたま、今回の爆発は集団自殺のあった4月19日の2日前にあたるため、関連付ける向きもある。

 



Saudi Aramcoは4月10日、世界で5番目に大きいManifa油田の操業を開始した。

170億ドルを投じたManifa油田は7月までにArabian heavy原油を日量50万バレル生産し、来年末までに日量90万バレルまで増やす。

原油はJubailにあるSATORP(フランスのTotal とのJVのSaudi Aramco Total Refining and Petrochemical )の製油所のほか、建設中の2つの製油所、サウジアラビアの南西端にあるJizanの製油所と、西海岸のYanbuで建設中のSinopecとのJVのYanbu Aramco Sinopec Refining Co.(YASREF)のワールドクラスの製油所で精製する。

ーーー

サウジの主な油田は以下の通り。

  日量
      万バレル
ガワール (Ghawar) 500
サファーニア (Safaniya) 150
クライス (Khurais) 120
マニファ (Manifa) 90
シャイバ (Shaybah) 東南部 75
カティフ (Qatif) 50
クルサニア (Khursaniyah) 50
ズルーフ (Zuluf) 45
アブカイク (Abqaiq) 40








米財務省は4月12日、議会に為替報告書(Semi-Annual Report on International Economic and Exchange Rate Policies)を提出した。

特にアジアの多くの国での為替レート管理を問題にしている。

日本に関しては、日銀の金融緩和策が円安・ドル高につながったことに関連し、「競争的な通貨切り下げを慎むよう引き続き迫っていく」と明記した。

中国については
「為替操作国」との認定は見送った。財務省は1992-94年に中国を為替操作国と認定したが、それ以来、どの国に対してもこうした認定は行っていない。

1)日本

日本は経済を復活させ、成長させるために、国内経済で競争を不当に制限している規制を緩和することにより、国内経済を活性化するための抜本的で徹底した手段をとることが必要である。

マクロ経済の刺激策は短期的には有効でも、構造改革の代わりにはならない。

日本に対して、G-7とG-20で合意した約束、即ち、国内の手段を用いて国内目的の達成を目指す姿勢を維持し、通貨安競争を避け、競争目的のために為替相場を目標としないよう求める。

財務省は日本の政策をきっちりと見守っていく。


参考

G7財務相・中央銀行総裁会議は本年2月12日、緊急共同声明を発表、各国の財政・金融政策は「国内目的の達成に向けられており、為替レートを目標にはしないことを再確認する」と初めて明記し、「通貨安競争」をしないことを申し合わせた。

2月16日のG20財務相会議は2月16日、「競争的な通貨安を回避する」、「金融政策は国内の物価安定や景気回復を目的とすべき」などを明記した共同声明を採択、日本を名指しすることは避けながらも、世界的な通貨戦争の観測の抑制に努めた。

G7、G20で各国が日本を名指しで批判しなかった理由について、竹中平蔵氏が田原総一朗氏との対談(3月24日:東京プレスクラブ)で次のように述べている。

リーマン・ブラザーズの倒産のときに、まずアメリカが金融緩和して、言ってみればドル安政策打った。 (田原)
 

米国、英国も、欧州全体が金融緩和をやっており、「日本は一番遅れてやったわけで、その一番遅れて、しかもその程度はまだアメリカよりも充分じゃないわけで、日本だけが批判されるという風に考える方がおかしい」

(その時、日本がやらなかったのは)「それは白川さんだからやんなかったんじゃないですか。----基本的には、(民主党政権が)経済成長に対して関心を払わなかったっていうのが一番大きいです。分配のことばっかりやった」

ダボス会議でドイツのメルケル首相が円安を批判したが、「そのとき皆なんて言ったかっていうと、『ドイツが言うなよ』って言ったわけですよね。ドイツはギリシャとスペインのせいでユーロが下がりましたと。そうすると漁夫の利を得たような形で輸出力が強いドイツがわーっと、 一人勝ちになっちゃったわけでしょ。だからそんなこと言うのはおかしい」 

ーーー

2)中国

人民元は4月初め時点で、2010年6月の弾力化前と比べ、米ドルに対し10.0%引き上げられた。(グラフの通り、その後もさらに上昇)
両国の物価の差を勘案すると、人民元は2010年6月から2013年2月までで実質16.2%上がったことになる。

中国の経常収支黒字は2007年にはGDPの10.1%あったが、2012年には2.3%に減っている。

中国政府は資本の動きの自由化に向かっていろいろの手を打っている。

これらを勘案し、財務省は中国を為替管理国とは見做さない。

しかしながら、人民元は依然として著しく過小評価されており、介入も再開されたように見える。人民元の更なる切り上げが必要である。

財務省は今後も、人民元の動きを注視し、通貨変動の幅を広げ、透明性を高め、強く、バランスの取れたグローバル経済を支えるよう中国政府の政策の変更を求めていく。


付記

中国人民銀行の易綱・副総裁は4月17日のIMF春季会合のパネルディスカッションで、近い将来、人民元の変動幅を拡大する計画であることを明らかにした。また、今後数年かけて人民元の自由化を着実に推し進めていく方針も示した。




Browse LNG開発計画を主導するWoodside は4月12日、事業評価の結果、James Price PointでのLNG建設は投資基準に合致しないと判断したと発表した。

JV相手と早急に協議し、海上生産(浮体式LNG)への切り替え、既存LNG設備へのパイプライン建設や現計画の縮小案など、他の案の検討をを行う。パートナーの1社のShellは
もともと海上LNG施設を希望していた。

本計画の概要は以下の通りで、沖合で採掘したガスをパイプラインで圧送し、James Price Pointに建設する施設で精製、液化、出荷する予定だった。

プロジェクトパートナー
  East JV West JV 合計持分
Woodside 34% 17% 31.3%
三井物産・三菱商事 16% 8% 14.7%
(Chevron)  (16.67%) (20%) (17.2%)
Shell 25% 35% 26.6%
(BHP Billiton)  (8.33%) (20%) (10.2%)
PetroChina 8.33% 20% 10.2%
BP 16.67% 20% 17.2%
合計 100% 100% 100%
ガス・コンデンセート田位置 西オーストラリア州Broome市沖合425km 北西大陸棚Browse 地域
陸上プラントサイト予定地 西オーストラリア州Kimberley地区James Price Point
BrowseはTorosa(Scott Reef)ガス田、Brecknockガス田、Callianceガス田に分かれている。
年間LNG生産量 1,200万トン(400万トン×3系列)
将来的には2,500万トンまで拡張可
埋蔵量
(Woodside社見積もり)
ガス:15.5兆立方フィート、
コンデンセート:4億1,700万バレル
最終投資決断 2013年上半期
Woodsideでは「豪州の他のLNG事業と同様に強いコスト上昇圧力に見舞われた」と話し、投資額450億ドルとされる計画は「経済的な要件を満たさない」と述べた。

豪州では人材不足や賃金の高さを反映し、石油・ガスに従事する労働者の賃金は年間で14万豪ドルと各国平均の倍近い。また、昨夏導入の炭素価格制度(炭素税)や豪ドル高もコストを押し上げている。
 
LNG建設予定地とその周辺にアボリジニの文化遺跡があり、海はクジラの繁殖地で季節になると回遊してくるなどの理由で環境保護団体が計画に反対を続けていた。
 
豪州ではこの発表を受け、西豪州のLNG開発全体に遅れが出る可能性もあるとされている。
 
 
4月1日には米国のシェールガス開発会社GMX Resourcesが採算が合わないとしてChapter 11の申請を行ったと発表した。
今後、LNG価格が値上がりする可能性もある。



「イレッサ」訴訟で東京高裁で敗訴した患者側が上告していた件で、最高裁は4月12日、製薬会社アストラゼネカへの請求に対する上告を退ける判決を言い渡した。国への請求については、最高裁は既に4月2日に原告の上告を受理しない決定をしており、患者側の敗訴が決まった。

大阪高裁で敗訴した患者側も上告中であったが、最高裁は同日付で原告の上告を棄却する決定を下した。

これにより、一連の訴訟は終結した。

ーーー

イレッサは英国のAstraZenecaが開発した肺がん治療薬で一般名はゲフィチニブ。

厚生労働省は2002年7月、世界に先駆けて、申請から半年で輸入承認した。
2002年8月に発売され、2カ月の間に、1万人以上の患者に投与された。

がんの増殖、転移に関係する分子を狙い撃ちにする「分子標的治療薬」で、正常細胞を傷つける抗がん剤より副作用が軽いと期待されたが、市販開始直後から間質性肺炎などによる副作用死が相次いだ。

厚労省は同年10月、同社に、全国の医療機関に緊急安全性情報を出して注意を呼びかけるよう指示した。
その後、患者の同意を得た上で投与することも記された。

厚労省によると、2012年末時点で、イレッサの副作用とみられる報告は2350例あり、このうち862人が死亡している。

イレッサは特定の遺伝子変異を持つ患者に効果が高いことが分かっており、2011年11月からはこれら患者に限定して投与され、昨年1年間で約7500人に新たに投与された。

ーーー

イレッサで深刻な副作用を受けた患者と副作用によって死亡した患者の遺族計15人が、国とアストラゼネカに損害賠償を求めた訴訟で、東京、大阪両地裁は、原告側の和解勧告の上申書に基づき、事前に協議して、2011年1月7日に和解勧告した。

しかし、政府は1月28日、東京、大阪両地裁の和解勧告に応じないことを決めた。アストラゼネカも勧告受け入れを拒否した。

2011/1/31 政府、イレッサ訴訟で和解勧告拒否

その後の地裁判決と高裁判決の概要は以下の通りで、ともに高裁で原告側の逆転敗訴となっていた。

東京 東京地裁 判決 国とア社に1760万円の支払いを命じる
ア社 イレッサは特定の患者に高い効能、効果があり、製造上の欠陥はない
当初の添付文書の記載では医師らへの情報提供が不十分で、指示・警告上の欠陥
(PL法上で規定する「通常の安全性を欠いた状態」)
添付文書に致死的となる可能性を記載していれば、間質性肺炎で死亡することはなかった
国は承認前の時点で副作用による間質性肺炎で死に至る可能性があると認識
安全性確保のための必要な記載がない場合、国は記載するよう行政指導する責務がある。
間質性肺炎の危険性を目立つように記載するよう指導しなかった国の対応は違法
東京高裁 判決 地裁判決取り消し、遺族側主張を全面的に退ける
ア社 イレッサには有用性があり、製造における設計上の欠陥はない
イレッサの初版添付文書に警告欄がなく、副作用が致死的になり得るとの記載がなくても、指示・警告上の欠陥ではない

専門医が処方する薬剤
専門医であれば間質性肺炎による死亡の可能性を認識
国内の治験で死亡例はなく、海外の死亡例も因果関係があるとまでは言えない

欠陥があるとの前提事実がない以上、規制権限の不行使が違法かどうか論じるまでもない
大阪 大阪地裁 判決 ア社原告9人に計6050万円の支払いを命じる
ア社 警告欄に記載するなどして注意喚起を図るべきだった。
緊急安全性情報配布(2002/10)前は製造物責任法上の欠陥があり、賠償責任あり。
添付文書に関する行政指導は必ずしも十分ではないが、当時の知見のもとでは一定の合理性がある。
国家賠償法上の違法はない。
大阪高裁 判決 大阪地裁判決を取り消し、原告側の全面敗訴
ア社 担当医は肺がん治療を手掛ける医師であり、添付文書の重大な副作用欄を読めば、間質性肺炎の危険性を認識できた
副作用欄の4番目だからといって、担当医が致死的でないと理解するとは考えにくい
治験や海外症例などを含め、副作用の間質性肺炎による死亡は11例あったが、因果関係が明確と言えるのは1例で、「一般的な副作用を超える副作用を予測することは困難だった」
イレッサ自体に問題がない以上、責任はない


今回、最高裁第3小法廷は以下の判断で、5人の裁判官全員一致の意見で上告を棄却した。

医薬品は人体にとって異物であり、何らかの副作用が生じることは避け難い。製造物責任法上、副作用に関する添付文書の記載が適切かどうかは、副作用の内容や程度、医師の知識と能力、記載の形式や体裁といった事情を総合考慮し、予見できる副作用の危険性が十分明らかにされているといえるかどうか、という観点から判断すべきだ。

イレッサの輸入が承認された時点では、国内の臨床試験で副作用の間質性肺炎による死亡例はなく、国外でも間質性肺炎での死亡例にイレッサ投与との因果関係を積極的に認められるものはなかった。このため、他の抗がん剤と同程度の間質性肺炎の副作用が存在するにとどまると認識されていた。

製薬会社のアストラゼネカはこの認識に基づき、添付文書に「警告」欄を設けず、医師らへの情報提供目的で設けられる「使用上の注意」欄の「重大な副作用」欄の4番目に間質性肺炎を記載した。難治の肺がん治療を行う医師がこの記載を読めば、イレッサには他の抗がん剤と同程度の間質性肺炎の副作用があり、投与によって患者が間質性肺炎を発症した場合、死に至る危険性があることを認識するのは難しくなかったのは明らかだ。

一方、ア社の緊急安全性情報は、イレッサの投与を始めてすぐに症状が表れ、急速に進行する間質性肺炎の症例が把握されたことを受けて出されたものだ。このような間質性肺炎の症状は、承認までの臨床試験では予見できなかった。急速に重篤化する間質性肺炎の副作用があることを前提に、後に改訂された添付文書のような記載がなかったからといって、当時の添付文書の記載が不適切だったとはいえない。

以上によれば添付文書は、承認の時点で予見できる副作用を記載したものとして適切だった。

判決では裁判長を除く4人が補足の意見を付けた。

輸入販売開始後の約3カ月間で報告された死亡例は17件あり、危険性を予見することはできなかったのかについて、2人の裁判官は、「具体的ではなくとも概括的な予見の範囲内にあったと考えることも可能」と指摘した。
但し、予見に基づいた記載をするとしても「危険の具体的内容が明らかでない限り、一般的・概括的な記載にならざるを得ない」として警告としての効果を疑問視し、当時の記載が不適切だったとはいえないとした。

2人の裁判官は「イレッサは、新薬を早く使いたいという患者の望みと安全性を考慮し、国の判断によって輸入販売が始まったもので、患者だけに我慢を求めることには疑問も残る。新たに開発された薬の副作用のリスクは社会が広く分担し、被害者保護と救済を図ることも考えてほしい」として被害対策の必要性を指摘した。

医薬品による副作用被害については、製薬企業が基金をつくり医療費などを給付する「医薬品副作用被害救済制度」があるが、抗がん剤は原則として救済の対象外となっている。

あらかじめ相当の頻度で重い副作用の発生が予想される医薬品については、健康被害が生じてもこれを受忍すべきという考え方。

抗がん剤の副作用のみを救済すれば、(医薬品でない)放射線治療など他の治療の副作用に苦しむ患者らとの間に不公平感が生まれる可能性があること、がん患者の場合、症状の悪化が薬の副作用によるものかどうか判断するのが難しいことなどで見送った経緯もある。

弁護団は「最高裁の判決は極めて不当で受け入れがたいが、今回の訴訟を通じて被害の悲惨さを伝えたことで、医療現場の安全対策に多くの改善を促すことができた。国や企業は改めて今回の問題を検証し、同じような薬による被害が出ないようにすべきだ」と述べた。




三菱ガス化学と三菱商事は4月9日、トリニダード・トバゴ共和国において、同国政府及び同国の
Neal & Massy Holdingsとともに、メタノール年産能力100 万トン、ジメチルエーテル(DME)年産能力10 万トンの製造事業を検討することに合意したと発表した。

4月8日に現地でNational Gas Company of Trinidad and Tobago (NGC) とNational Energy Corporation of Trinidad and Tobago (NEC)も加わり、Project Development Agreement を締結した。第一段階実施のため、Caribbean Gas Chemical が設立された。


投資額は850百万ドル程度と見積もられており、 本年度中に最終投資判断の上、2014年第2四半期に
La BreaUnion Industrial Estateで建設を開始し、2016年度中の生産開始を目指す。

メタノールを世界中で販売すると共に、同国政府と協力し、同国 と周辺カリブ諸国において、DMEのディーゼル燃料代替促進に向けたプロモーションを行う。

Neal & Massy は卸売、不動産、自動車販売・メンテナンス代理店、産業用ガス製造供給、ホテル経営等、幅広い事業をカリブ全域で展開 している。

ーーー

Trinidad Tobagoには同国の天然ガスを利用する合計7つのメタノールプラントがPoint Lisasにあり、能力合計は660万トンに達する。

     国営 Trinidad and Tobago Methanol Company

1999年に子会社を統合した。
下記のメタノール5工場のほか、アンモニア/尿素プラントを持つ。

子会社
統合
Trinidad and Tobago Methanol Company (TTMC) 1984年 TTMC I 46万トン
1996   TTMC II 55万トン
Caribbean Methanol Company Limited (CMC) 1993 50万トン
Methanol IV Company Limited (MIV) 1998 55万トン
M5000
(5000T/D+既存プラント排ガスで400T/D)
2005 184万トン
合計   400万トン

   Methanex 及び Atlas Methanol

工場 能力  備考
Methanex   85万トン  
Atlas Methanol  170万トン  BP 36.9%/Methanex 63.1%

 

ーーー

SABICとSinopecは2012年2月、Trinidad and Tobago に共同で53億ドルを投じてメタノールコンプレックスを建設する件で同国政府との交渉を開始した。

同地の天然ガスを原料とするもので、立地はPoint Lisas。具体的な計画は明らかにしていないが、地元紙はMethanol-to-olefins (MTO) と Methanol-to-petrochemicals (MTP) が含まれていると報じた。

しかし、SABICは本年3月3日、この計画を取り止めると発表した。同国政府との間で原料の天然ガスの価格と供給条件で合意に達せず、交渉を中止することで合意した。

これについては以下の問題が噂された。

・野党議員も、Sinopecが参加することを知らなかった。
・米大使は政府に書簡を送り、米国企業などの競合相手を抑えてSABICを選ぶことに懸念を表した。

・SABICはNYMEXでの天然ガス価格が当時 100万BTU当たり2.48ドルであるのに対し、1ドル以下を要求していると伝えられた。
・SABIC/Sinopec側は政府が十分な量の天然ガスを供給できるのか疑問を持ったとされる。

この入札には、三菱ガス化学とNeal and Massyが米国のIntegrated Chemicalsと提携して参加していたほか、サウジのSaudi International Petrochemical (三井物産等のJapan-Arabia MethanolとSipchemのJV)も参加していた。

SABICとSinopecが選ばれた際には、日本大使館も懸念を表する書簡を送ったとされる。

2013/3/9  SABIC/Sinopec のTrinidad and Tobagoメタノール計画 取り止め


今回の三菱ガス化学と三菱商事の同国政府との合意は、SABIC/Sinopec 撤退に伴う代替案と思われるが、Methanol-to-olefins (MTO)などは含まれていない。

メタノールをそのまま海外に輸出するのではなく、これを原料にMethanol-to-olefins (MTO) 、Methanol-to-petrochemicals (MTP) により付加価値の高いプラスチック産業の基礎をつくるという同国政府の戦略は先送りされる。

2008年9月、LyondellBasell National Gas CompanyNational Energy Corporation、Lurgi AGの各社にTrinidad and Tobago 政府も参加して、Methanol、Methanol-to-Propylene、PP(490千トン)プロジェクトのProject Development Agreement に調印したと発表したが、その後の進展は報道されていない。

2007/12/25 Basell など、Trinidad and Tobago PP 事業

三菱ガス化学と三菱商事は一切触れていないが、Neal & Massy 側の発表では、第二期計画として、Methanol-to-olefins (MTO)でエタンからエチレン、MEGを、またプロパンからアクリロニトリルを生産し、更にメタノールと合成ガスから追加のMEGと酢酸を生産するとしている。

ーーー

三菱ガス化学のメタノール事業は以下の通り。(単位:千トン)
 同社によると、世界需要は年6千万あり、今後も年率4-5%の成長が見込まれている。

場所 能力  出資比率
中国重慶

 ー

 MGC 51%/重慶化医49%
 2009/10/13  三菱ガス化学、重慶のメタノール計画撤回
ベネズエラ ① 750
② 850
 2006/12/27 三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設
 2010年②生産開始
ブルネイ  850  2007/4/23 三菱ガス化学、ブルネイのメタノール事業決定
 2010年生産開始
サウジ  3,300
1,700
 2006/3/31 サウジ・メタノール計画
  2008年 No.5 1,700千トン生産開始
合計  7,450  


三菱ガス化学は日本の各社が操業停止する中、生産を継続したが、1995
7月に新潟 264千トンを操業停止し、設備は中国内蒙古の伊克昭盟化工集団総公司に売却した。
 

 


日揮は4月3日、フランスのTechnipと共同で、JSC Yamal LNGがロシアのYamal-Nenets自治区 Sabettaで進めるLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等に係る発注内示を受けたと発表した。

Yamal LNGはYamal半島のSouth Tambeyガス田に年産1,650万トンのLNGプラントを新設する計画で、第1期550万トンを2016年末に操業、同能力の第2期、第3期をそれぞれ2017年末、2018年末に稼働させる。

同ガス田の天然ガス埋蔵量は昨年末時点で9,070億立法メートルとなっている。

Yamal LNGはロシアの天然ガス第2位のNovatekが80%、Totalが20%出資する。

Totalは2011年10月、Novatekとの間で20%出資の契約に調印した。

今後、他社の出資も検討している。Novatekは最低51%の出資比率は維持する意向。

ロシアのノバク・エネルギー相は3月16日、Novatekが日本企業と資本参加を含む協議を進めていることを明らかにした。
ロシア通信によるとエネルギー相は、ノバテクが東京ガス、東京電力、丸紅、三井物産、三菱商事の各社と作業グループをつくり、協議に入ったと述べた。

総事業費は明らかにしていないが、1兆円を超える可能性があると見られている。

日揮とTechnip は先ずLNGプラントに係る有償見積り、詳細設計および一部長納期機器の調達役務を遂行し、次のフェーズとして、LNGプラント建設に必要な全ての契約を締結する予定。

日揮にとって初のロシアでのプラント建設プロジェクトの受注となる。

ーーー

現在のロシアの法律では、Gazpromのみが天然ガス、LNGを輸出する権利を持っている。このためNovatekはGazpromを通してしかLNGを輸出できない。

プーチン大統領は「ロシアが世界のLNG供給で3.6%しか占めていない」とGazpromに対する不満を示しており、2月13日、LNG輸出の段階的な自由化を検討するよう政府に指示した。

Yamal LNG は3月中旬に、ロシア政府が本計画を進めることを認めたと述べた。

ーーー

現在、 同地に多機能海港のSabetta港の建設が進められている。

ここはLNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

北極海航路が航行可能となる7月から11月は東側へ船を進め、ベーリング海峡経由で日本等に輸送、12月から6月は西欧に船を進める。

ロシア海運最大手ソフコムフロートは2010年8月、Murmanskを出港し北極海を初めて横断航行している大型タンカーBaltika が北極海航路の難関部分の通過に成功し、ロシア東端のチュコト(チュクチ)自治管区Pevekに達したと発表、「大型船舶の運航の可能性が実証された」と表明した。

2010/9/1  北極海横断航路で初輸送 

2012年11月7日にGazpromがStatoilの生産したLNGをノルウェーのHammerfestでLNG船オビ・リバー号に積み込み、ベーリング海峡を通り、12月5日に北九州市戸畑区の港に到着した。原子力砕氷船を同行させた。

欧州とアジアを結ぶ新ルートの将来性をアピールする狙い。

 

 


米国のシェールガス開発会社GMX Resourcesは4月1日、Chapter 11の申請を行ったと発表した。

同社は東テキサスのHaynesville/Bossier gas shaleやCotton Valley Sand Formationでシェールガスの開発を行ってきた。
2010年後半に事業を他の地域にも拡大する意思決定を行い、North Dakota、Montana州のBakkenとThree Forksのオイルシェールを買収した。

同社は昨年1年にわたり、生産増や効率改善、コストダウンに取り組んできたが、天然ガスの価格下落により、資金繰りが行き詰った。

現在の資産は281.1 百万ドルで、これに対する負債総額は485.5 百万ドルとなっている。

同社は債権者から50百万ドルのつなぎ融資(Debtor-in-possession:DIP)を受けて事業を継続しつつ、資産売却を進める。

2017年に期限がくる担保付債権保有者との間で操業中及び開発中のすべての資産を引き渡す契約を準備しており、裁判所の許可を得て、契約を締結し、その後入札でこれら資産を売却する予定。

ーーー

米国では天然ガスと原油は用途が異なるため、別々に需給により価格が決まる。

従来は天然ガス価格は原油価格にほぼスライドしており、原油100ドル/バレルの場合、天然ガス価格は100万BTU当たり10ドル前後であった。

しかし、シェールガスの開発が進み、天然ガス価格は暴落した。

米国ではNatural Gas Act of 1938 により、天然ガス輸出入にはエネルギー省の許可が必要とされており、FTA非締結国への輸出許可はこれまで1件だけである。

天然ガス輸出の是非を巡っては、輸出推進派とDowなどの輸出反対派が争っている。

2013/1/30 米国の天然ガス輸出論争、激化 

2013/2/5 米国の天然ガス輸出規制はGATT違反?

最近の天然ガスの価格状況は以下の通りで、2012年前半には2ドル程度にまで落ち込んだが、最近は3.5ドル程度となっている。

   三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査レポート(2013/1/23)

この価格水準ではメーカーの経営は非常に苦しく、多くの生産者はシェールオイルに移行しているが、シェールガス中心の生産者にはChapter 11の申請に追い込まれるケースも出始めているとされる。

ーーー

LNGの輸出を巡っては、近いうちに米国政府の決定が行われると見られており、FTA非締結国である日本向けの輸出も認められる可能性が強い。

この場合、供給側は赤字に悩み、需要側は購入を熱望している状況から、価格が上昇するのは確実である。

(Dowなどが輸出に反対するのは国内価格の上昇を恐れてのものである)

100万BTU当たり6ドルになるとの説があるが、それでも、LNGへの加工費3ドル、輸送費3ドル(メキシコ湾岸)を加えても12ドル程度であり、現在の原油価格スライドの約16ドルと比べ、かなり安くなる。

但し、現在のLNG輸入価格は単なる原油スライドではなく、震災後の買いあさりで割高になっているもので、長期的にみれば米国からのLNGはそれ程有利でないかも分からない。


東京ガスは2013年4月1日、米国政府の承認を前提に、住友商事を通じ米国のDominion Cove Point LNGを年140万トン輸入すると発表した。
関西電力も同日、年80万トンを輸入すると発表した。

住友商事はDominion Cove Point LNGが建設中の年間460万トンの天然ガス液化プラントに年230万トン分の液化加工契約を締結した。
米エネルギー省による自由貿易協定(FTA)未締結国向けのLNG輸出許可発行等を経て、2017年後半からのLNG輸出を目指す。




  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ