「no」と一致するもの

OPECは6月14日、ウィーンで開催した総会で、下期の生産枠を日量3000万バレルに据え置くことで合意した。

現在、サウジの増産などにより、OPECの生産量は日量3160万バレルとなっている。

サウジは燃料価格の上昇が世界経済の成長を妨げるのを防ぐため、原油生産を30年ぶりの高水準となる日量1000万バレルに大幅拡大している。

ヌアイミ石油相は総会に先立ち、「われわれの行動は、原油価格を3月時点の128ドルから現在の約100ドルに押し下げることに役立った。欧州と世界経済へのある種の刺激策となった」との見解を示し、原油価格が下落しているにもかかわらず、OPECの生産目標を引き上げる必要があるとの見解を示した。イランの今後の減産を視野に入れている。

原油価格下落を受け、一部加盟国は生産枠の引き下げを主張した。
財政均衡を原油価格の1バレル=100ドルを上回る水準に頼る一部の国は、原油価格がさらに下落する可能性を懸念している。

サウジアラビアも国家公務員の給与引き上げ、社会保障の拡充、公共投資の増加を実施しており、アブドラ国王は2008年12月に、75ドルが原油の適正価格だと発言した。

しかし、世界経済の減速に原油高が加われば、景気をさらに冷え込ませ、一層の原油価格下落を招く恐れもある。このためOPECは目標を据え置く一方、超過生産を減らすことで合意した。

OPEC事務局長は、生産枠の据え置き合意は160万バレルの減産を意味すると指摘した。

ーーー

OPEC生産枠の推移は下記の通り。(千バレル/日)

  2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 2009/1 2012/1
Algeria 794 1,357 1,357 1,357    1,286






Iraq
 含まず

 

 

Iraq含む
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817    3,618
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531    2,399
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712    1,623
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163    2,050
Qatar 663 828 828 828     785
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943    8,477
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567    2,433
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470    2,341
Angola     ー     ー 1,900 1,900    1,801
Equador     ー     ー 520 520     493
Iraq (ー) (ー) (ー) (ー) (ー) (ー)
Indonesia 1,370 865 865

離  脱

Total 25,800 27,253 29,673 28,808   27,300 24,845 30,000
(増減) (-500) (1,450) 2,420 〔-865〕   (-1,500)    


2008年9月総会ではイラクを除く11か国の生産枠合計は、離脱したインドネシアの枠を除いた28,808千バレルであった。
2008年11月総会では1,500千バレルを減らし、27,300千バレルとした。

2008年12月総会では、2009年1月からの生産枠を24,845千バレルとした。
これは2008年9月の生産量29,045千バレルから4,200千バレルを減らしたもの。

2008/12/18 OPEC 大幅減産決定

これ以降、国別の生産枠は明らかにされていない。

2011年12月の総会で、2012年1月以降の生産枠を、イラクを含む加盟12カ国の生産枠を日量30,000千バレルとすることで合意した。
ほぼ現状の生産量に即した水準で、サウジアラビアの意向に沿った形となった。

今回はこれを据え置く。




韓国のSKグループの液化天然ガス事業会社、SK E&Sは6月7日、オーストラリア北部のダーウィン沖300キロにあるCaldita ガス田とBarossaガス田の権益をConocoPhillipsと豪州Santosから取得する契約を結んだと発表した。


      SK E&S は旧称 SK-Enron で、2005年10月に現社名に改称した。


SK E&Sは、両社から計2億6000万ドルで、両ガス田の権益37.5%を取得する。
更に
、今後十分な埋蔵量があると確認されれば、6000万ドルを払って権益比率を49.5%まで拡大する権利が契約に含まれている。

また、2014年に開始される事前基本設計と基本設計(FEED)の費用を9000万ドルまで負担する。
その上で、一定の実績が上がった場合、最初のLNGの代金として両社に1億1000万ドルまでを払う。

この結果、投資規模は最大で5億2000万ドルとなる。

SKでは同ガス田の開発に成功すれば、LNGに液化処理した上で、韓国への輸入を見込んでいる。

これにより、各社の参画比率は以下の通りとなる。

Company 現状(%) 第1期(%) 最終(%)
ConocoPhillips* 60.0 37.5 30.3
Santos 40.0 25.0 20.2
SK E&S  - 37.5 49.5
*Operator

Caldita ガス田とBarossaガス田は、オーストラリア北部のダーウィン沖300キロにある。



Santosでは、今回の取引は両ガス田を商業運転にもっていくために行ったとし、今後も保有資産の商業運転のために戦略的パートナーをつくっていきたいとしている。

 



三菱化学は6月11日、鹿島事業所の基礎石油化学事業の構造改革を発表した。

1)鹿島第1エチレンプラント及び第1ベンゼンプラントの停止(2014年の定期修理時に停止)

   生産能力(非定修年、千トン/年)

    現 在 停止後
エチレン 1E 390 0
2E 490 540
880 540
ベンゼン 1Bz 90 0
2Bz 180 180
270 180

2)これに伴う主な設備対応

 ・鹿島第2エチレンプラントの増強 (+5万トン/年)
 ・OCU設備(プロピレン年間生産能力15万トン)の稼動維持に向けた設備対応
 ・事業所内の配管整備

ーーー

鹿島の第一エチレンは1970年(三菱油化時代)に能力300千トンでスタートした。信越化学のPVCの鹿島進出などがこれに貢献した。

第二エチレンは1992年(三菱油化時代)に能力326千トンでスタートした。
三菱油化は
1980年代後半にスチレンモノマーの輸出で膨大な利益を上げたが、同社は高騰した株価の下で時価発行で増資し、設備増設を行った。その後のSMなどの輸出価格の下落で増設分が足を引っ張ることとなった。

三菱油化と三菱化成が合同した三菱化学は、旧油化の鹿島、四日市、旧化成の水島の3エチレンセンターをそのまま維持してきたが、2000年央からオレフィン及び誘導品の輸出を行うことが厳しくなること、さらには2004年の主要石化製品における大幅な関税の引き下げ等により今後より一層内需の伸びが期待できないことから、エチレン生産体制の見直しを行うこととし、2001年1月に、四日市事業所のエチレンプラント及びEG、EO設備を停止した。

三菱化学の生産能力  2001/1       単位:千T/Y
  製品名    スタート  能力(現状)   能力(集約化後) 2011/12末
定修無し
エチレン 四日市
水島
鹿島No.1
鹿島No.2
'68/3
'70/7
'70/11
'92/6
     270
     
450
     375
     453
    1,548
       0
     450
     375
     453
    1,278

0
494
390
490
1,374

EG 四日市
鹿島
'81/8
'92/6
      85
     267
     352
       0
     267
     267
 
EO 四日市
鹿島
'81/8
'92/6
     111
     257
     368
       0
     257
     257
 
  注:エチレン生産能力は、定期修理実施年のもの

水島地区では三菱化学と旭化成は2011年4月から両社エチレンセンターの統合・一体運営のため、両社共同出資による有限責任事業組合(LLP)の運営を開始した。

設備能力削減については将来の需要をみて統合会社で柔軟に判断するが、最終的にはいずれか1基を休止する。

2011/3/1  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合のためのLLP設立 

この結果、三菱化学の単独のエチレン設備は鹿島第二エチレン1基のみとなる。

なお、2007年12月に鹿島事業所第2エチレンプラントにおいて、火災事故が発生し、協力会社従業員4名が亡くなっている。

2007/12/24 三菱化学鹿島事業所 火災事故

ーーー

三菱化学は塩ビ事業撤退、スチレン事業撤退、ナイロン事業売却、テレフタル酸事業の国内撤退とグローバル化など汎用品を中心とした事業の整理・縮小を進めている。

鹿島事業所でも構造改革を進めている。 

・ PS事業撤退に伴うスチレンモノマー停止

・ EOセンター化
   2008/7/31
三菱化学鹿島のEOセンター

・ エチレンカーボネート増強

三菱化学は6月8日、鹿島事業所で、リチウムイオン二次電池等の原料として使われるエチレンカーボネート(炭酸エチレン)の生産能力を増強 すると発表した。

同社は2007年に鹿島事業所でエチレンカーボネートの生産を開始したが、今回、現行能力 3,000t/y を2013年9月に8,000t/yに増強する。

同社はリチウムイオン二次電池の主要4材料(電解液・負極材・正極材・セパレータ)すべてを取扱う世界唯一の企業で、それぞれの原料についても進出している。

2010/9/13 三菱化学、リチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強

・ ポリプロピレン

三菱化学子会社の日本ポリプロは2009年9月に最新鋭の技術で鹿島に300千トン設備を新設した。
なお、これに伴い、2011年に鹿島の90千トンプラントとチッソ(千葉)の79千トンプラント、合計169千トンを停止した。


これに加え、鹿島の電解およびVCMの構造改革も進めている。今後、電解とVCMの能力削減が行われる。

2011年12月に下記の発表があった。詳細は引き続き協議する。

1)鹿島電解および鹿島塩ビモノマーの運営について
   旭硝子、ADEKA、カネカの3社が、鹿島電解及び鹿島塩ビモノマー両社への出資を引き揚げる。
   信越化学および三菱化学が出資を継続し、信越化学の子会社として運営を行う。

2)鹿島電解のバース設備について
   鹿島電解より分離し、新会社を設立し、運営を行う。

2011/9/19 鹿島コンビナート 電解・塩ビ再構築

ーーー

三菱化学が今後進めるべきものは、ポリオレフィンの構造改革である。

同社が中心となる日本ポリエチレンは三菱化学(鹿島と水島)、東燃化学(川崎)、昭和電工(大分)、旧新日本石油精製(川崎)に、同じく日本ポリプロは三菱化学(鹿島と水島)、東燃化学(川崎)、丸善石油化学(千葉)と東ソー(四日市)[いずれも旧チッソのPP工場〕のエチレンセンターにそれぞれプラントを持っている。

前者は日本ポリケムとJPO、後者は日本ポリケムとチッソの事業統合によるものだが、一部プラントの停止はあるものの、小規模のものを含め、各エチレンセンターの工場がそのまま残っている。

狭い日本でそんなに多くの工場を持つ必要はなく、合理的でない。真の事業強化のためなら、小規模工場を廃止して、大規模工場に集中すべきであるが、PE、PPの停止はエチレンの停止につながるため、恐らくエチレンメーカー側の了承なしには停止できないこととなっているものと思われる。

逆に言えば、PE、PPが三菱化学の傘下に入った結果、存立が保証され、エチレンの構造改革が進まないこととなっている。

付記  日本ポリエチレンと日本ポリプロは6月29日、川崎の1系列ずつを2014年4月に停止すると発表した。

日本ポリエチレン HDPE製造設備の停止

工場 川崎市川崎区(千鳥地区)  
    旧 東燃化学
設備 HDPE 第二系列(スラリー法)
能力 5.2万トン/年


日本ポリプロ  PP製造設備の停止

工場 川崎市川崎区(千鳥地区)  
    旧 東燃化学
設備 PP 第3系列(バルクー気相法)
能力 8.9万トン/年  旧東燃化学のプラントはゼロとなる。

東燃化学は三菱化学と日本ポリケムをつくっていたが、東燃化学はPEでは日本ユニカーにも参加しているため、
日本ポリエチレン設立時に公取が承認せず、この結果、東燃化学は離脱し、PEとPPプラントを三菱化学に譲渡したもの。
(HDPEは東燃化学が昭和電工より譲り受けた)
 

 

 

東洋紡績は5月24日、サウジアラビアの世界最大級の海水淡水化設備 Ras Al Khair Power and Desalination Plant Phase 1 に、同社の海水淡水化用逆浸透膜エレメント「ホロセップ® (Hollosep)」の採用が決定したと発表した。

東洋紡績は2012年10月1日に「東洋紡」と改称する予定。

海水淡水化用逆浸透膜エレメントは海水を淡水にろ過する中空糸で構成される基幹部材で、圧力容器の中にエレメントを充填し、海水淡水化プラントのモジュールとなる。
エレメントには、微生物の増殖を防ぐために使用される塩素殺菌に優れた耐久性を持つ三酢酸セルロース製の中空糸膜が使用されている。

この計画は、サウジの海水淡水化公団 (Saline Water Conversion Corporation:SWCC)  が Jubail市から100kmのRas Al Khairに計画しているもので、日量約100万トンの飲用水を製造、複合サイクル発電設備で2660 MWの発電を行うもの。

Ras Al Khair市は旧称 Ras Al Zawr市。
サウジは同国で産出されるリンとボーキサイトを活用するため、ここにMineral Industrial Cityを建設する。

リン酸2アンモン(DAP)、アルミナ、アルミ精錬、アンモニア、リン酸、硫酸などのプラントを建設するが、電気と水はこれらのプラントに供給される。

アルミ計画はSaudi Arabian Mining Company (MA'ADEN) とAlcoa が担当する。

海水淡水化部分については2010年9月に 韓国のプラントエンジニアリング会社の斗山重工業 (Doosan Heavy Industries & Construction)が14.6億ドルで受注した。
2014年に運転開始の予定。

日量約100万トンのうち、逆浸透膜法が34.5万トン、蒸発法が72.8万トン(1基 9.1万トンx 8基)で、逆浸透膜法の海水淡水化設備にホロセップが使われる。

斗山重工業の蒸発器は1基で日量 91千トン(30万人分)の飲用水を造る世界最大のもので、大きさでも123m x 33.7m、重量 4,150トンと世界最大。

これまでの最大は、同社がAbu DhabiのShuweihat 2期で建設中の76千トン。

 

東洋紡では今後も大型案件の受注が見込めるため、岩国機能膜工場の生産能力を3割以上増強する設備投資を行う。

同社は中東での海水淡水化事業の拡大のため、下記により海水淡水化事業の優位性をさらに高めるとしている。

①サウジアラビアでの「ホロセップ」の生産開始

東洋紡は2010年3月、サウジアラビアのArabian Company for Water & Power Development (APD)、伊藤忠と合弁で、サウジアラビアに海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売会社を設立した。

社名 Arabian Japanese Membrane Company, LLC
設立 2010年3月
出資比率 APD 49%、東洋紡 36.1%、伊藤忠 14.9%
所在地 本社・工場:ラービグ市(Rabigh Plus Tech Park内)
事業内容 海水淡水化用逆浸透膜エレメントの製造・販売


APDはサウジにおける主要なIWPP(独立系水・電力事業)案件に出資するなど、同国のインフラ事業における有力企業として事業を展開している。
伊藤忠は1970年代から中東地域において多数の海水淡水化プラントの納入実績を持っている。

本年5月22日に竣工式を挙行、海水淡水化用逆浸透膜エレメント「ホロセップ」の生産を開始した。

今後、サウジアラビアのみならず、その他の中東、北アフリカ諸国にも海水淡水化用逆浸透膜エレメントを広く販売していく予定。

②サウジアラビアの大学機関との共同研究

中東地域に即した海水淡水化技術を開発することを目的として、アブドラ国王科学技術大学(King Abdullah University of Science and Technology)とで共同研究を行うことで合意、5月23日に調印式を行った。



ブリヂストンは「持続可能な」社会の実現に向け、再生可能原料のみを使った理想のタイヤ技術を目指すことを明らかにした。
同社の
会長がWorld Rubber Summit 2012 で「100%サステナブルマテリアル化」に向けた取り組みについて講演した。

ブリヂストンの環境長期目標は以下の通り。

ブリヂストンの環境長期目標

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「100%サステナブルマテリアル化」に向けた具体的なアクションは以下の通りで、
①原材料使用量の削減
②資源循環、効率的活用
③再生可能資源の拡充・多様化による非再生資源ゼロを目指す技術
により、何もしなければ増加する資源使用量を地球の自浄能力・扶養力ライン以下に抑える。

「100%サステナブルマテリアル化」に向けた具体的なアクション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「再生可能資源の多様化・拡充」の取り組みは以下の通り。

1)新しい再生可能資源に『拡げる』取り組み

 ①天然ゴム生産地域の多様化

熱帯での天然ゴム資源に加えて、乾燥帯や温帯で育つ天然ゴム資源となる植物を栽培し活用する。

例 グアユール(guayule)
     米国南西部からメキシコ北部の乾燥地帯が原産の低木
     幹部などに天然ゴムを含む。


   ロシアタンポポ(
Russian Dandelion)
            カザフスタンおよびウズベキスタン原産の多年草
     根部に天然ゴムを含む。

 ②タイヤ用補強繊維で植物由来繊維の多様化・拡充

現在は、ポリエステルやナイロンなどの原油由来と、レーヨンのような植物由来の繊維を使用。
「新セルロース繊維」の実用化に向けた取り組みをスタート、植物由来繊維の供給性を大幅に向上させる。

2)化石資源を再生可能資源に『換える』取り組み

 ①バイオマス由来合成ゴムの開発

バイオエタノール由来のブタジエンを用いた合成ゴムなど

 ②バイオマス由来カーボンブラックの開発

植物油脂類を原料油として用いたカーボンブラックなど

 ③バイオマス由来新規ゴム配合剤の開発等

糖質からのバイオエタノール、植物油脂類からの脂肪酸、木材からのセルロース・リグニンなど、バイオマスから得られる基本化合物から新規に高性能ゴム材料を開発



付記

ブリヂストンは5月31日、味の素からバイオマスから生成したイソプレンの提供を受け、合成ゴムの重合に成功したと発表した。

両社は2011年6月に新しいゴム原料及びそれを用いた合成ゴムの共同開発についての共同研究契約を締結し、研究を行ってきた。

今回、材料にバイオマスを使用、味の素が発酵技術を活用してイソプレンを生成、これをブリヂストンが同社の重合触媒技術を使って、合成ゴム〔高シスポリイソプレン〕の重合に成功した。


国際商工会議所の国際仲裁裁判所は5月24日、Dow とKuwait国営のPetrochemical Industries Company (PIC) との間のK-Dow Petrochemical に関する調停結果を発表した。

PICがK-Dow Petrochemical 設立の契約を破棄したため、Dowが損害を被ったとして訴訟を行い、最終的に調停を求めることとしたもの。

仲裁裁判所はPIC側に責めがあると認定し、PICに対しDowへの21.6億ドルの損害賠償支払いを命じた。金利と費用はこれに追加される。

ダウとPICは調停結果に従うことを決めており、これが最終となる。

ーーー

Dowは2007年12月13日、Kuwait国営石化会社 PIC との間で50/50のグローバルな石化JV K-Dow Petrochemical を設立すると発表した。

DowのPE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミン などの事業を移管するもので、Dowは事業売却額マイナス出資で75億ドル、配当15億ドルで、合計90億ドル(税引後では70億ドル)を受け取ることとなっていた。

2007/12/14 速報 ダウとクウェートのPIC、グローバル石化JVを設立  

一方、ダウ は2008年7月10日、188億ドルでRohm and Haas (R&H)を買収する契約を締結したと発表した。
現金153億ドルで全株式を買収し、R&Hの35億ドルの借入金を引き継ぐ。

2008/7/11 速報 Dow Chemical、Rohm and Haas を買収

Dow はR&H 買収資金の188億ドルを、つなぎ融資 130億ドル、Warren Buffett のBerkshire Hathaway Inc. からの投資 30億ドル、Kuwait Investment authorirty からの投資10億ドルで賄うことにしており、PICへの売却資金でつなぎ融資の一部を返済する予定であった。

これにより、ダウの変身戦略が成功し、価格変動の影響を受ける石油化学をAsset-light 方式で全てJV化するとともに、R&H 買収でスペシャルティ分野の強化が出来る筈であった。

しかし、2009年1月1日のスタートを目前にして、2008年12月28日、K-Dow Petrochemicals が破談となり、この金が入らなくなった。

2008/12/29 ダウとクウェートの石油化学合弁、一転破談に

2009年1月23日、ダウはR&H との統合でFTCの承認を得たと発表した。

2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

契約ではすべての条件が満たされた2日後に買収を実行することとなっており、1月27日が期限となる。

しかし、つなぎ融資は1年間の契約のため、 Dowとしては資金繰りの目処をつけるまでは買収を行えない状況に陥り、R&Hに訴えられた。

その後、Dowはこれまでと異なる条件で4月1日までに買収を行うことで合意した。
つなぎ融資の額を減らすとともに、融資期限の延長により、その間に有利な事業売却を検討できることとなった。

2009/3/10  ダウ、Rohm & Haas 買収で合意 

また、Dowは史上初の減配を行い、年間10億ドルの資金を節約した。
   2009/2/23 
Dow Chemical、史上初の減配

Dowは2009年4月1日、Rohm & Haas(R&H)の買収を完了したと発表した。

2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了


Dowはその後、つなぎ融資返済のため、多くの手を打ってきた。

  • 60億ドルの新規長期ローン
  • 22.5億ドルの増資
  • 30億ドルの永久優先株の回収
  • R&H子会社のMorton Salt 売却(17億ドル )
  • 塩化カルシウム事業のOccidental Petroleumへの売却(210百万ドル)
  • Total とのJVのTotal Raffinaderij Nederland N.V. のTotal への売却(725百万ドル)
  • マレーシアのOptimal 売却(660百万ドル )
  • Powder Coatings 事業のAkzo Nobel への売却
  • 投資会社Bain Capital Partnersへのスタイロン事業売却(16.3億ドル )

 

Dowはこれらにより資金問題を解決、現在では配当も増やしている。(四半期配当)

 



医薬品業界では2010年前後に大型医薬品の特許が一斉に切れる。(「2010年問題」)
アメリカ市場では後発品上市から半年間で先発薬売上高の約7割が消えるとされ、既に影響が出ている。

各社とも、対策として買収を行っており、企業結合会計による費用負担も大きい。

各社の営業損益増減の主たる理由は以下の通り。

武田 薬品

 

前年 米国で特許切れのプレバシドの大幅減収、円高影響(-607億円)など
本年  Nycomed買収の会計処理(-770億円)、
研究費以外の販売費・一般管理費増(
-630億円

    2012/5/14 2012年3月期決算-武田薬品工業 
アステラス

 

前年 円高影響(-473億円)、OSI買収による無形資産償却(-200億円
本年 導入一時金の減による研究費減(274億円)、販売管理費増(-79億円)
第一三共 前年  ランバクシーの営業損益 63億円→277億円
本年 ランバクシーの 減益(-73億円、第一三共グループ の減益(-161億円)
エーザイ

 

前年  前期発生のAkaRx買収に伴うインプロセス研究開発費、
ファイザーに対する提携費用の減少
本年  アルツハイマー型認知症治療剤が米特許切れで約1500億円(49%)の減収
田辺三菱

 

前年 研究開発費減(172億円):前期にライセンス契約変更での一時金100億円あり。
本年 研究開発費増(-44億円)、販売管理費増(-35億円
 2012/5/18 2012/3月期決算-総合化学-1(三菱ケミカル、住友化学 )
中外製薬  前年 タミフル出荷大幅減
本年  同上
塩野義 前年 米子会社の15か月決算の影響で販間費増
本年 同上により販間費が前年より減、米子会社の売上控除計上等で売上総利益減
大正製薬

 

前年 売上総利益増 83億円、研究費減44億円
本年 販売管理費の増(-57億円、うち研究開発費 -6億円
大日本住友 前年 Sunovion Pharmaceuticalsの特許権等償却増(-242億円105億円→347億円)、
武田からの一時金
100億円
本年 前期の一時金100億円の差
 2012/5/18 2012/3月期決算-総合化学-1(三菱ケミカル、住友化学)

 

各社の配当は以下の通り。

大正製薬は2011年10月に単独株式移転により「大正製薬ホールディングス」を設立した。
これに伴い、大正製薬の配当12円、15円をホールディングスベースで40円、50円に換算した。

 

京都大学iPS細胞研究所(CiRA:The Center for iPS Cell Research and Application)は5月14日、山中伸弥教授らのグループによるiPS細胞の製造方法と分化誘導方法に関する特許が、3月6日に米国で成立した と発表した。これは京都大学が米国で保有する3件目のiPS細胞関連特許となる。

今回成立した特許(8,129,187)は、4つの遺伝子(Oct3/4, Klf4, Sox2, c-Myc)または3つの遺伝子(Oct3/4, Klf4, Sox2)を、レトロウイルスベクターで皮膚細胞などの体細胞に導入し、iPS細胞を作製し分化誘導をする、分化細胞の作製方法に関するもので、上記の方法で作製された分化細胞を使用し、販売する行為にも特許権利範囲に含まれ る。特許の有効期限は2026年12月。

新しい薬を開発するために研究開発を上記の方法を用いて行う企業は、この特許のライセンス許諾を受けることが必要になる。

ーーー

京大は2011年8月11日、山中伸弥教授らが開発した新型万能細胞(iPS細胞)の作製技術に関する特許(特許番号8,048,999)が米国で成立したと発表した。

権利範囲は、① Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子及びMycファミリー遺伝子を含む初期化因子、② Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子及びサイトカインを含む初期化因子、となっている。
該当する初期化因子の組み合わせを使ってiPS細胞を作製する行為にまで及ぶ。
体細胞に遺伝子を導入するためのベクターの種類は問わない。
遺伝子の「ファミリー」という範囲をカバーしているので、例えば、「Myc」ファミリーであれば、c-MycもL-Mycも含まれる。(CiRA iPS細胞基本情報から)

2011/8/15  京大のiPS細胞特許、米で成立

京大は2011年11月24日、iPS細胞に関する特許について、4つの遺伝子を用いてiPS細胞を作製する方法に関する米国特許(特許番号8,058,065)が11月15日に成立したと発表した。

体細胞(例えば皮膚細胞)に、レトロウイルスベクターで4つの遺伝子を導入する工程によりiPS細胞を製造する方法に関するもので、特許法の規定により、この方法で製造されたiPS細胞の使用(iPS細胞の販売やiPS細胞を用いた分化誘導)にもその権利が及ぶ。(CiRA iPS細胞基本情報から)

京大は2011年2月1日、米国のiPierian Inc.から同社保有のiPS細胞特許「バイエル特許」(米国などの特許出願を含む)を譲り受けたと発表した。
世界各国に出願された特許(全部で30件程度)が譲渡の対象となり、この中には、2010年2月10日に英国で成立した「3遺伝子とbFGFによるiPS細胞の作製方法」に関する特許も含まれる。

バイエル薬品神戸リサーチセンターの研究チーム(桜田一洋センター長ほか)が山中教授らが2006年8月にマウスiPS細胞の作成を発表した直後から、ヒトでの研究を始め、山中教授らのチームより早く、ヒトの「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作成し、バイエルは2007年6月15日付けで国内で特許を出願した。

独Bayerは2008年にこの特許を iPierianの前身であるiZumi Bioに譲渡した。

2011/2/3  京都大学、米社からiPS細胞関連特許を譲り受け


山中伸弥教授は5月17日、日本経済新聞の電子版2周年フォーラムで講演した。

その中で、最近の研究における特許対策や規制対応の重要性を強調、米国特許取得について、CiRAでは8人の特許専門家が研究会議にも出席して研究内容をフォローし、米国の特許弁護士とも常時連絡をとった結果であると述べた。

CiRAの運営費の大半は競争的資金を始めとする数年間の期間の研究資金で、多くの研究員、研究支援員が有期契約での採用であり、特許専門家も全員が有期契約となっている。

今後、新しい資金の確保で出来なければ、これらの人の雇用を続けられないという状況にある。

CiRAでは「iPS細胞研究基金」への支援のお願いをしている。

ーーー

山中教授はフォーラムで、iPS細胞による再生医療について「2020年まで全力疾走で研究を進め、新しい医学を確立させたい」と語った。iPS細胞をタイプ別に準備する「iPS細胞ストック」の構築事業に今年から取り組む方針も明らかにした。

2010年4月1日のCiRA設立時に4つの「達成目標」をつくった。内容と現状は以下の通り。

基盤技術確立、知財確保(現時点での達成は60%)

24か国で特許成立

②再生用ストックの構築(同 30%)

iPS作成には1人当たり1千万円程度がかかり、作製に半年が必要で急場の間に合わない。

このため、厳重に品質管理されたiPS細胞ストックを構築する。

拒絶反応対策のため、HLAホモドナーのiPSを抹消血、臍帯血から作成し、ストックする。

HLA型は父母ごとに何百種(合わせて何万)もあり、全てのストックは無理だが、HLAホモドナー(父母が同型)のものは、片方が同じなら使用できる。
日本では1名のドナーで全体の20%75名のドナーで80%をカバーできる。

付記 2012/7/26 「iPS細胞ストック構築」で赤十字と提携

再生医療臨床試験(同 20%)

神経細胞(パーキンソン病)、網膜・角膜(眼病)、心筋(心臓病)、神経幹(脊髄損傷)、血小板(血液病)など。下線はCiRAで実施。

④治療薬開発(同 20%)

病気モデル、治療薬開発
毒性、副作用の評価

 


三菱ケミカルホールディングス 

営業損益は震災の影響(-193億円)を含め、959億円の大幅減益となった。

昨年度に営業損益が2,265億円となり、信越化学を追い抜いたが、本年度は信越化学(1,496億円)に抜かれた。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2010/3 25,151 663  590 128 4 4
2011/3 31,668 2,265 2,239 836 5 5
2012/3 32,082 1,306 1,336 355 5 5
前年比 414 -959 -903 -481    
2013/3 34,500 1,600 1,480 500 6 6

2011/3月期には特別損失に災害損失 -225億円を計上している。
(12/3月期には -23億円

機能商品分野、素材分野(ケミカルズ、ポリマーズ)では、震災の影響に加え、円高継続と中国など海外市場での急激な需要減少で、厳しい状況となった。 素材分野の損益の振れが非常に大きい。

ヘルスケア分野では堅調な需要に支えられ、ほぼ良好に推移した。

営業損益対比(億円)           
  2010/3 2011/3 2012/3 増減 うち
価格差  数量差  震災
影響
ケミカルズ 69 530 149 -381 -225  -116  -40
ポリマーズ -225 550 254 -296 -112  -131  -59
エレクトロニクス
アプリケーションズ
-14 10 -53 -63 -20  -32  -16
デザインド
マテリアルズ
133 365 240 -125 -46  -90  -11
ヘルスケア 710 851 764 -87 9  43  -65
その他 62 45 61 16 -  18  -2
全社 -73 -86 -108 -23      
合計 663 2,265 1,306 -959 -394  -308  -193
注 エレクトロニクス・アプリケーションズ:記録材料、電子関連製品、情報機材
   デザインド・マテリアルズ:食品機能材、電池材料、精密化学品、樹脂加工品、
                   複合材、無機化学品、化学製品


上記営業損益のうち、ケミカルズとポリマーズの内訳は以下の通り。
2011/3月期から三菱レイヨン(MMAほか)が連結子会社となった。

  2010/3 2011/3  2012/3  増減
ケミカルズ
 (基礎化学品)
 (炭素)
69
(-20)
(89)
530
(313)
(217)
149
(13)
(135)
   -381
(-300)
(-82)
ポリマーズ
 (ポリオレフィンほか)
 (MMA、アクリル樹脂)
-225
(-225)

(  -  )
550
(182)
(368)
254
(-3)
(257)
-296
(-185)
(-111)

ヘルスケアのうち、田辺三菱製薬の業績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2011/3 4,095 766 767 377 14 14
2012/3 4,072 690 688 390 15 20
前年比 -24 -75 -79 13 1 6
2013/3 4,290 700 700 405 20 20


住友化学

基礎化学品・石油化学と情報電子化学の減益が響いた。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 18,965 1,024 928 631 6 6
2011/3 19,824 880 841 244 3 6
2012/3 19,479 607 507 56 6 3
前年比 -346 -273 -334 -188    
2013/3 22,300 900 950 400 6 3

特別損失に多額の持分法投資損失を計上するとともに、繰延税金資産も計上した。

特別損失に持分法投資損失 -260億円

23%出資する豪州農薬メーカー Nufarmの時価が大きく下落したため、のれん相当額を一時償却。
2011/3月期中間決算でも特別損失287億円を計上したが、その後株価が回復したため、評価損を取り消している。

繰延税金資産 115億円(当期利益増)

営業損益対比(億円)   本年度から精密化学を廃止
  2010/3 2011/3 2011/3 2012/3 増減  
基礎化学 13    213   206 93 -113 交易条件悪化
販売数量減
石油化学 -2 111   111 62 -50 販売数量減
精密化学 36 1  

・・・・・

・・・・・

・・・・・

 
情報電子化学 63 261   261 110 -152 液晶部材価格低下
健康・農業関連 293 224   233 265 32 販売数量増
医薬品 299 269   287 209 -77 下記
その他 67 58   41 77 36 売電量増加
全社 -254 -258   -260 -209 51  
合計 515 880   880 607 -273  

情報電子化学は、偏光フィルム、カラーフィルターの値下がり、円高による在外子会社の邦貨換算の影響が大きい。

 

大日本住友製薬の業績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
特許権等
償却費
同左
算入前
算入後 中間 期末
2010/3 2,963 -105 461 356 338 210 9 9
2011/3 3,795 -347 657 310 286 168 9 9
2012/3 3,504 -277 481 204 189 86 9 9
前年比 -291 70 -176 -105 -97 -82    
2013/3 3,480 -272 492 220 210 105 9 9

2009年10月に米Sepracor を買収した。(その後 Sunovion Pharmaceuticals と改称)
買収に伴い、特許権(1,197百万ドル)は品目ごとに償却、ノレン(914百万ドル)は20年償却とした。

2011/3月期には武田薬品との間で締結した非定型抗精神病薬の欧州での開発・販売提携に関する契約に基づく契約一時金100億円を売上高、利益に計上している。 当期はその分が減益となった。

営業損益の内訳は以下の通り。

  2011/3 2012/3 増減
日本 682 664 -18
北米 416 274 -142
同 特許権等償却 -347 -277 70
中国 12 10 -2
海外その他 101 70 -31
契約一時金 100   -100
医薬品以外 28 32 4
研究開発費 -682 -569 113
合計 310 204 -106

北米の減益は円高の影響と、2011/2発売の非定型抗精神病薬「ラツーダ」の販売費用増加による。
 


 

 

  

東京電力はChevronとの間で、豪州 Wheatstone LNG プロジェクト からのLNG購入と計画への参画についての基本合意書を締結しているが、これに三菱商事、日本郵船、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)が参加することが分かった。各紙が報じた。

東電は2009年12月に基本合意書を締結し、単独取得を目指していたが、福島第一原発事故による経営難で余裕がなくなり、交渉が停滞していた。

東電は政府の認定を受けた総合特別事業計画で「燃料の調達力の強化に向け、上流の共同投資プロジェクトへの参画も行う」と明記している。

各社は下記の特別目的会社をつくり、これが計画に参加する。
JBICは優先株で特別目的会社に参加するとともに、民間銀行との協調融資を行う。

特別目的会社   融資
東電 8% 0.7億ドル
JOGMEC 42% 3.5億ドル
三菱商事 40% 3.3億ドル
日本郵船 10% 0.9億ドル
合計 100% 8.4億ドル
JBIC 優先株 2.8億ドル
再計   11.2億ドル
 
JBIC 19.6億ドル
民間銀行 13.1億ドル
合計 32.7億ドル

 

当初、計画全体への11.25%(Chevron鉱区の15%)の参加としていたが、計画全体への8%(Chevron鉱区の10%)に変更する。

ーーー

東京電力は2009年12月5日、豪州 Wheatstone LNG プロジェクトからのLNG購入と計画への参画についての基本合意書を締結したと発表した。

Chevronが中心となって開発中で、同国北西部沖合の海底ガス田で天然ガスを産出、同国内で精製・液化する。
2016年度から18年度に操業を開始、年間最大860万トンを生産する計画。

沖合鉱区とLNG計画にはChevron (Chevron Australia  / Chevron TAPL) が75%、Apache Corporation  / Kuwait Foreign Petroleum Exploration Company (KUFPEC) が25%を出資する。→ その後、Chevron 80%となった。

東電はChevronの持分から15%分を購入する。
この結果、全体の計画には11.25%の参加(持分としては年間約100万トン)となる。

LNG購入に関しては、2016年度~2018年度以降の引渡開始で、最長20年間にわたり、年間約310万トンを購入する。
自社権益と合わせると、年間410万トンとなる。

今回の案ではChevron 持分の購入は10%で、全体では8%(持分として年間約70万トン)となる。
なお、東電のほかに、Shellと九州電力が参加を決めている。(下記)

Wheatstone ガス田は2004年8月にChevron が発見した。
その後、同社はガス田開発とAshburton North でのLNG設備建設の準備を開始した。

2009年10月に、Apache Corporation とKuwait Foreign Petroleum Exploration Company (KUFPEC) に権益の25%を譲渡した。
その後、20%に変更となった。

東京電力のほかに、下記の契約が締結されている。

    権益 購入
Shell 2011/4 Chevron枠の8%
全体の6.4%
 
九州電力 2011/9 Chevron枠の1.83%
全体の1.464%
Chevron、Apache、KUFPECから年間70万トン
自社枠を含め、83万トン
中部電力 2012/4
 覚書
  年間100万トン(20年間)
東北電力 2012/5
基本合意
  最大年間100万トン(20年間)

ーーー

2010年代後半までに予定される主なアジア向け新規LNGプロジェクトは以下の通り。

  プロジェクト 能力
万トン/年
操業主体
豪州 Gorgon 1,500 Chevron
Wheatstone 860 Chevron
Queensland Curtis  850 英BG Group
Ichthys 840 INPEX
Australia Pacific 700 ConocoPhillips
Pluto 430 豪 Woodside
Browse 1,200   Woodside
インドネシア Tangguh 380 BP
Abadi 250 INPEX
Donggi-Senoro 200 三菱商事
パプアニューギニア PNG 660 ExxonMobil


三菱商事は三井物産と共同で、豪州のWoodside Petroleumが推進するBrowse LNG Projectに参画する。

2012/5/8  三井物産と三菱商事、豪ブラウズLNGプロジェクトに参画 

 

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