「no」と一致するもの

GSK Biologicals(ベルギー)、GSK Japan、第一三共は3月2日、ワクチン事業における戦略的提携として、折半出資による合弁会社ジャパンワクチンの設立の契約を締結したと発表した。

近年、科学の進歩による予防医療の進展により、ワクチンに対する関心が非常に高まっているなか、日本においては、先進国で感染症予防に効果を上げているワクチンの多くが未導入・未普及となっていた。
このため、ワクチン産業ビジョン(厚生労働省:2007年3月)でワクチン・ラグを解消すべく産業強化のための方策が示され、新規ワクチンの承認・発売など、ワクチンを取り巻く環境に大きな変化と前進が見え始めている。

このような状況下、日本の医療ニーズに合致したワクチンの迅速な供給を実現するべく、GSKと第一三共が、ワクチンの後期臨床開発、マーケティング、営業機能を担う新会社を設立することとした。

付記

ジャパンワクチンは7月2日に事業活動を開始した。

GSK BiologicalsはGSKグループのワクチン事業を推進する世界有数のワクチン会社で、予防ワクチンと治療ワクチンの分野で30以上のワクチンを開発した実績と、20品目以上からなる開発パイプラインを有している。
2010年には先進国から途上国に至る179カ国において14億接種以上のワクチンを供給した。
2011年のワクチン売上高は4,196億円。

GSK Japanは2009年12月に子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」で日本でのワクチン事業を開始、2011年11月からは、乳幼児のロタウイルス胃腸炎予防ワクチン「ロタリックス」も発売している。

新会社ジャパンワクチンは、GSK Japanと第一三共が折半出資で設立、両社が保有する予防ワクチン製品に関する開発権ならびに販売権を継承し、日本国内で臨床開発、マーケティング、ならびに営業活動を行う。

事業開始当初は、子宮頸がん、インフルエンザ、風疹、ロタウイルス胃腸炎ワクチンなど両社が既に販売しているワクチン計12種類を販売する。
新薬開発はGSKが海外で開発販売する50種類以上の中から開発品を検討していく。

ワクチン  製品名 対象
Human Papillomavirus (HPV) vaccine Cervarix 子宮頸がん
Rotavirus vaccine Rotarix ロタ胃腸炎
Seasonal flu vaccine   インフルエンザ
Mumps vaccine   おたふくかぜ
Diphtheria Pertussis (DTP) vaccine   ジフテリア・百日咳・破傷風/三種混合
Measles Rubella (MR) vaccine   麻疹・風疹

第一三共の2010年度のワクチン売上高は178億円、12品目を販売している。

北里研究所と第一三共との合弁、北里第一三共ワクチンは存続する。

第一三共は、1961年に北里研究所と提携し、ワクチン販売を開始した。
両社は2011年4月に、第一三共51%、北里研究所49%出資でワクチン専門の開発・製造発売会社
北里第一三共ワクチンを設立した。

参考 2011/8/26  新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備臨時特例交付金

また、Sanofiと提携して「ヒブワクチン」を扱っているが、この提携は「今後も継続する」。

ヒブ(インフルエンザ菌b型)は咳、くしゃみなどにより、鼻、のどを通して体内に入り込み、髄膜炎、敗血症, 喉頭蓋炎や他の重篤な感染症を引き起こすことがある。

第一三共は、これを予防する小児用ワクチンであるアクトヒ(製造元:
Sanofi Pasteur)を2008年12月に発売した。

 

 

三井化学は2月28日、SABICとの間で、ポリウレタン原料のTDIとMDIの製造技術ライセンス供与契約を締結するとともに、将来の事業提携の検討を行うことに合意したと発表した。
これらを含めたウレタン事業の再構築を行う。

1. ライセンス契約

 ライセンス対象技術:TDI及びMDI製造技術
 契約締結日:2012年2月26日
 プラント運転開始時期:2016年(予定)
 立地:Al-Jubail地区
 範囲:TDI トルエンからの中間体(DNT,TDA,ホスゲン)を含む全ての製造技術
    MDI  ベンゼンからの中間体(ニトロベンゼン,アニリン、MDA、ホスゲン)を含む全ての製造技術

 SABICはTDIとMDIの能力や建設費、ポリウレタン計画の概要について、明らかにしていない。

2. SABIC社との事業提携検討

 三井化学とSABICはウレタン事業における提携を検討することに合意した。

    SABICは、今後三井技術により世界で最も競争力のあるTDI及びMDIプラントの建設に向けた基本設計を開始する。
 三井化学はSABICとの事業提携の検討を行い、2013年度を目途に合弁事業への参画を含めた提携を決定する。

 日本経済新聞(2月28日付)は、以下の通り述べている。

新設プラントの年産能力は30万~50万トンで世界最大規模になるとみられる。総事業費は1000億円を大きく超える見通し。

3.三井化学のウレタン事業再構築

 三井化学は自社の事業と武田薬品の事業を統合し、三井武田ケミカルとした後、三井化学ポリウレタンと改称、
 2009年4月1日に吸収合併した。

 PPG(ポリプロピレングリコール)は中長期的には国内需要が漸減するものと見込まれる。
   このため、千葉ポリオールでのPPG生産を2012年6月をもって停止する。

   TDI及びMDIは、既存の拠点とサウジの新プラントで最適生産体制を取り、
   将来的には海外拠点からの供給をメインにする。

三井化学グループのポリウレタン材料生産能力(2012年2月現在 単位:t /年)

    TDI MDI PPG
大牟田工場 旧 三井 120,000 60,000 -
鹿島工場 旧 武田 117,000 - -
錦湖三井化学
(韓国)
錦湖石油化学50% -        155,000 -
名古屋工場 旧 三井 - - 57,000
徳山分工場 旧 武田 - - 50,000
千葉ポリオール 日本曹達10% - -       28,000

(注)錦湖三井化学は2013年1月に200,000t/年

ーーー

SABICは2010年11月に機能性化学品への進出の一部としてポリウレタン事業への進出計画を明らかにした。
既にFSを実施しており、技術導入に関して数社と協議を行っているとしていた。

サウジアラビアは最終的にはサウジでの自動車生産を考えており、SABICはその際には原料を供給できる体制を作っておくというもの。

ポリウレタン事業への進出はこの一環。

PCについてはSABICが出資する
Saudi Kayan Petrochemical がAl-Jubailで生産を開始している。
     2006/7/5 新しいサウジ石化計画スタートへ

SABICは2011年5月には、天津のSinopecとの50/50JVSinopec SABIC Tianjin Petrochemical PCを生産すると発表した。
  2011/5/26 
SABICSinopec、天津でポリカーボネート生産

SABICはまた、ポリアミドへの進出にも関心があるとしていた。但し、既にサウジで下記のポリアミド計画が進行中で、2つは要らないとしている。

Saudi Industrial Investment Group (SIIG) とArabian Chevron Phillips Petrochemical Company Limited (ACP)は2010年6月、Polyamide 6,6プラント建設と、多くのポリマー加工計画を発表した。

ポリマー加工計画には、高機能ポリエチレンパイプ、灌漑用製品、使い捨て医療用品、ポリアミドコンパウンド、電気器具、自動車部品などが含まれる。

Jacobs Engineering Groupは、2010年12月に本計画の設計・購買・建設管理契約を締結した。

SIIGとChevron Phillips はサウジにSaudi Chevron Phillips Petrochemical、Jubail Chevron Phillips、Saudi Polymers 3つのJVを持っている。
  
2008/1/25 Chevron Phillips のサウジ石化事業

 

 

 

Sinopec子会社のSinopec Sichuan Vinylon Works は2月22日、韓国のSK Global Chemical 及びBP Chemicals Investmentとの間で、重慶の長寿経済技術開発区に1,4-ブタンジオール、酢酸、アンモニアの石化コンプレックスを建設する契約に調印した。
投資額は合計で11億ドルで、年間440百万立方メートルの天然ガスを使用する。

既にFSを政府に提出済で、政府の承認を得て7月か8月にも着工し、2014年末~15年初めに完成する予定。

アンモニアは年産能力25万トンで、Sinopec が単独で建設する。

1,4-ブタンジオールは年産能力が20万トンで、Sichuan Vinylon WorksSK Global Chemicalの50/50JVが建設する。
投資額は588百万ドル。

酢酸は年産能力60万トンで、SinopecとBPのJVのYangtze River Acetyls Company (YARACO) が建設する。

YARACOはBP 51%、Sinopec Sichuan Vinylon Works 44%、地元のChongqing Energy Investment 5%のJVで、既に下記の生産を行っている。

  第一期 第二期
酢酸  40万トン  65万トン
エステル   8万トン  


2009/1/9  シノペック四川ビニロン、重慶で酢酸ビニル第二期計画スタート

1,4-ブタンジオールプラントからは酢酸プラントにアセチレンオフガスを供給、逆に酢酸プラントから水素の供給を受ける。

1,4-ブタンジオールはアセチレンをホルムアルデヒドと反応させて、これを水素化して生産する。

最近では、ブタンから生産する無水マレイン酸を原料に生産されている。
また、三菱化学はブタジエンを原料とする1,4-ブタンジオールとその誘導品(C4 ケミカル製品)事業を成長戦略のための集中事業の一つに位置付けている。

SKは蔚山に年産4万トンの1,4-ブタンジオールを2008年から生産している。

ーーー

SKにとってはこれは、中国でSinopecとの3つ目のプロジェクトとなる。

第一番目は2004年に上海に設立した50/50JVのShanghai Gaoqiao-SK Solvent、SKのSolplusプロセスで年産6万トンの溶剤を生産する。

二番目はSinopecの武漢のエチレン80万トン計画への35%の参加で、両社は2008年5月に基本契約に調印した。

2008/6/2  韓国SK Energy、シノペックの武漢エチレン計画に出資

その後、2009年4月に、中国SKのトップが中国メディアに対し、SKに十分な資金がないとして、この投資を延期することを明らかにしていた。

一方、Sinopecは2010年4月に、2013年上半期の生産開始を目指し、建設を軌道に乗せることを明らかにした。

2011年12月2日、両社は北京で戦略的協力の覚書を締結した。武漢エチレン計画について協議を続けるとともに、戦略的提携を行い、両社に有益なWin-winの関係を創るとしている。エチレンJVは年内にも中国政府の承認が得られると期待されている。

今回の提携はこの一環となる。


 

 

 

日本のLNG輸入のニーズはたかまっており、輸入量が増大する一方、輸入価格は大幅に上昇している。

また、中部電力は6割がカタール産となっているが、仮にホルムズ湾が閉鎖されると、中部電力は発電量の約4割を失うという。

2011年の日本のLNG輸入7,853万トンのうち、カタールが15.1%、UAEが7.0%、オマーンが4.9%ほかで湾岸諸国が28.1%を占める。
他に、豪州17.8%、マレーシア19.1%、インドネシア11.9%など。

原油は官民で200日分の備蓄があるが、LNGには備蓄の義務がなく、電力各社には2~3週間分の在庫しかないとされる。

一方、米国の天然ガス価格は、原油価格が上昇しているのに対し、シェールガスの増大に伴い、逆に下落しつつある。

  以上については 2012/2/21  三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加 参照 

しかし、米国からのLNG輸入は簡単ではない。

米国はLNGを戦略物質とみなし、輸出を個別の許可制にしている。

唯一の例外は本土48州に輸送不可能だったアラスカのKenai LNGの輸出だった。

日本の各社が米国のシェールガス開発に相次いで参加しているが、日本への輸出には米国政府の個別承認が必要となる。

米国は輸出承認で米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけており、FTAを結んでいない日本はガス輸入のハードルが高い。

政府はLNGの新たな資源調達先として昨年秋から米国と交渉を始めた。経産省の牧野副大臣は2011年に米エネルギー省のチュー長官と会談し、ガス輸出事業を許可するように働きかけた。

読売新聞(2月22日)によると、政府が米国のLNGの対日輸出許可を求め、米政府と交渉に入ったことが明らかになった。
日本政府は、米ルイジアナ、メリーランド両州で進む民間のLNG生産プロジェクトからの輸出許可を求めており、野田首相訪米の際、オバマ大統領とLNG輸出で合意する方向で両政府が調整している。

ーーー

現時点での米国のLNG輸出計画は下記の通りだが、エネルギー省の認可は2件のみで、エネルギー規制委員会の認可はどこも取得していない。

プロジェクト 事業者 申請液化能力
万トン/年
       政府認可状況
エネルギー省 エネルギー規制委
Sabine Pass ルイジアナ Cheniere 1,600 認可済 審査中
Freeport テキサス Freeport LNG 900 審査中 審査中
Lake Charles ルイジアナ Southern Union 1,500 認可済 未申請
Cove Point メリーランド Dominion 800 未申請 未申請
Jordan Cove オレゴン Jordan Cove LNG 900 未申請 未申請
Cameron ルイジアナ Sempra 1,200 未申請 未申請
 米国計画 合計  6,900    

 

先行しているのはCheniere Energy が海外からのLNG受入基地に天然ガスのLNG化設備を建設してLNGを輸出する計画で、2010年9月に米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出された。

それまでアラスカ産を除けば、米国からの天然ガス輸出はほとんど前例がなく、認められないというのがおおかたの見方だったが、それを覆す意外な決定だった。

これに対し、同社は、多国間での自由貿易協定を目指すWTO加盟国へのガス輸出を禁止することが正当かどうかの判断を政府に求め、エネルギー省は2011年5月、同社に条件付きですべての貿易相手国への輸出を認めた。
CheniereのSabine Pass プロジェクトへの承認であり、個別に承認するが、FTA締結国とそれ以外で差が存在する)

Cheniereは2012年1月に建設着工、早くて2015年に稼働開始の予定で、既に売買契約を締結済である。

売買先は以下の通りで、既に米国とのFTAを締結し、間もなく発効予定の韓国の韓国ガス公社(Kogas)が含まれている。
(韓国以外の各国は米国とのFTAを締結していない)

輸出先 数量
万トン/年
供給開始 契約期間 定額固定費
$/百万BTU
BG Group (英) 350 2016 20年間 2.25
同上 追加 200 2016 同上 3.00
Gas Natural(スペイン) 350 2016 同上 2.59
Gail(インド) 350 2017 同上 3.00
Kogas(韓国) 350 2014 同上 3.00
合計 1,600      

FOB価格は、原料ガスコスト(Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)
 15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージン。

ーーー

米国からのLNG輸入には他にも問題がある。

1)事業者

Chiniereやその他の事業者中小規模のガス・トレーダーで、大規模な資金負担に耐えられるか疑問視され、またLNG事業操業能力にも疑問が残るとされる。

大手石油企業・ガス生産者がLNG液化・輸出事業に参入する気配はない。

2)国内の反応

米国のエネルギー多消費型の産業界(発電業界、化学、アルミ、米国ガス協会等)から米国のLNG輸出に対する懸念が頻繁に提起されている。輸出により国内ガス価格が上昇するのを懸念し、一定の制限を設けるべきとの主張を展開している。 

付記

DowのAndrew Liveris CEOは3月8日、エネルギー関連の調査機関が主催する年次会合CERAweek でスピーチし、シェールガスからのLNGの輸出を制限するよう求めた。

アメリカのこの安く豊富なガスの産業での有利性は、首尾一貫した国のエネルギー政策をつくらなければ消えてしまう。天然ガスを輸出する代わりに、液体形態ではなく、これを加工した固体形態で輸出するべきだ と述べた。

3)米国政府の「エネルギー戦略物資」論

米政府は「LNG輸出の国内ガス需給への影響」に係る調査実施を2012年第1四半期に完了させる予定。
米市場への適切なエネルギー供給を維持するために、LNG輸出に対しては何らかの条件が加えられる可能性がある。 

中国向けの輸出を認めるかどうかは大問題である。米国はハイテク製品についても軍事転用が可能だとして制限している。

4)LNG輸出に対する米国政府の低い支援

米国投資銀行は、米国の政治的リスク、ガス市場価格の不安定性を理由として、液化設備建設への投資に慎重な姿勢を見せている。

5)米国の将来のガス供給力

今後のシェールガス掘削費用のアップ、環境対策費のアップなどから、将来も安い生産コストを維持できるかどうかは別問題。


付記

野田首相は4月30日のオバマ米大統領との首脳会談で、LNGの対日輸出拡大などエネルギー面での協力を求めた。

オバマ大統領は首相の輸出要請に対し、「日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要」と理解を示す一方、「(対日輸出は)政策決定プロセスにある」として、明言は避けた。日本政府内には「少なくとも11月の大統領選までは、オバマ大統領が輸出認可に動く可能性は低い」との見方が強い。

ーーー

資料 2012/2/1 JOGMEC 世界LNG: 実現に近づく次世代LNG供給地域・プロジェクト
  http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/4/4585/1201_out_c_green_lngs.pdf

 

 

EUのユーロ圏17カ国は2月21日の財務相会合で、ギリシャへの総額1300億ユーロの第2次支援を決めた。
支援実行と引き換えに、同国をEUの監視下に置き、財政緊縮策を確実に履行させることで一致した。

第2次支援の実行が決まったことで、ギリシャは3月下旬の国債の償還資金を手当てし、債務不履行(デフォルト)を回避することになった。

ギリシャ支援を巡る合意内容の骨子は以下の通り。

 ・EUとIMFが1300億ユーロ(約13兆6500億円)を支援

 ・民間債権者が保有するギリシャ国債の元本削減率を50%から53.5%に引き上げ

ギリシャ国債を最長30年の新発国債などと交換する。

銀行等保有の国債
 2000億ユーロ
1070億ユーロ(53.5%) 削減
 930億ユーロ(46.5%) 31.5%  最長30年の複数の新規国債 利率2.0~4.3%
15.0% 短期の欧州金融安定化基金債

クーポンは最初の3年間がわずか2%で、30年間の平均では3.65%となる。 (実勢は10年満期で30%超)
金利減を含めると約7割の債務削減となる。

国債の交換は、民間側の代表である国際金融協会(IIF)と合意したが、債権者はこれから個別に文書にサインする必要があり、最終的な参加率がどの程度になるのか、まだ確定的はことは言えない。

ギリシャ政府は、一定以上の合意があれば全ての国債交換を進められるようにする集団行動条項(CAC:collective-action clauses)を盛り込んだ法案を議会に提出した。

 ・ECBとユーロ圏各国の中央銀行が支援に参加

ECBは債券買い入れプログラムに基づき購入した債券の利益を放棄
  購入した500億ユーロのギリシャ債からの利益 120-150億ユーロを放棄、
  ユーロ圏17カ国の中央銀行のギリシャ向け融資の損失を補てん

ECBと中央銀行は投資ポートフォリオで保有している債券の利益を放棄
   ギリシャが資金調達する必要のある金額は今後3年間に18億ユーロ圧縮される見通し。

ECBによる担保の受け入れ
  ギリシャ債がデフォルトと分類されても、オペの担保として銀行が保有するギリシャ債を受け入れる。

 ・ギリシャの対GDP債務比率を現状の160%から2020年に120.5%に

 ・ギリシャをEUの監視下に置き、財政緊縮策を確実に履行させる
    財政主権を事実上制限して、4月の総選挙後も同国が財政健全化の取り組みを緩めないようにするのが狙い

EUなどの代表がギリシャに常駐し、予算編成なども含めて同国が約束した財政緊縮策を確実に履行しているかどうかを監視。
第2次支援でギリシャに融資される資金は、通常の予算とは別の特別会計で管理し、債務返済を優先させる。


当面のデフォルト危機は回避できるが、EU・IMFの報告書は、ギリシャの景気が想定以上に悪化するなどの場合、第2次支援を実施しても2020年時点で債務の対GDP比率が160%程度に高止まりするリスクを指摘しており、ギリシャの財政再建の前途は厳しい。

これまでの経緯は以下の通り。

2009/10 ギリシャの財政赤字粉飾が表面化
2010/5 ギリシャに対する支援策(2010~2012年で1,100億ユーロの協調融資)
欧州金融安定化メカニズム(European Stabilization Mechanism)創設
 EFSF 最大4400億ユーロ
 IMF 2500億ユーロ
 欧州委員会が発行する債券 600億ユーロ
 最大合計 7500億ユーロ


2010/5/10  統一通貨ユーロの危機

2010/11 アイルランド支援(850億ユーロ)
2011/5 ポルトガル支援(780億ユーロ)
2011/6 EFSF拡充決定(2011/10 最後のスロバキアが一旦反対した後、賛成し、成立)
2011/7 ギリシャ向け第二次金融支援
 公的支援 1090億ユーロ、民間金融機関による支援 370億ユーロ(
21%の損失負担
2011/10 欧州債務危機克服に向けた「包括戦略」で合意。
ギリシャ問題については
民間銀行によるギリシャ債務の損失負担は7月時点の21%から50%に アップ
(新旧の国債交換、国債の再投資を通じギリシャ国債の元本を削減)
ギリシャ債務残高は2020年にGDP比120%に削減へ
(当初案なら150%で高止まり)
ギリシャの財務状況を常時監視
ギリシャに下記の改革を求める。
 ・女性年金支給開始 60歳→65歳
 ・一定額以上の受給者への支給額減額
 ・公務員3万人の削減、給与カットも
 ・民間企業の賃下げのための規制緩和
 ・保有不動産からの利益に対する課税の導入
 ・付加価値税 21%→23%(実施済み)
 ・ガス(DEPA)、通信(OTE)など国営企業の民営化
 ・公共事業の凍結、削減(2011年度は前年比3.3%減)
 ・軍事費の大幅削減
2011/11 ギリシャ首相は、国民の反対を受け、一度は国民投票実施の意向。
EUとの協議の後、首相は11月3日、緊急閣議を開き、国民投票を撤回

G20首脳会議は11月4日、首脳宣言を採択。
EUが合意したギリシャの債務削減などの包括対策の速やかな実施を要請

2011/11/7   EU 金融危機

その後 EU・IMFの試算では、当初予定していた第2次支援を実施しても、2020年時点でギリシャの政府債務の対GDP比率は129%までしか低下せず、目標の120%を実現するための追加策が残された大きな論点となった。

ギリシャ政府の追加緊縮策が整わないことなどを理由に正式決定が先延ばしされてきた。

EUは第二次支援を1300億ユーロとするとともに、民間銀行のギリシャ国債元本削減幅を従来の50%から更に拡大することとし、ギリシャにそのための条件を科した。

2月15日、3条件をようやく達成
1)「財政緊縮関連法案の議会承認」
   2012年で33億ユーロ分の 賃金、年金、公務員削減による節減策を議決

2)「財政緊縮策実行の誓約書」
   ギリシャ与党党首が「緊縮策実行の誓約書」に署名。

3)「歳出削減策の具体化」(これが難航した。)
   6億2500万ユーロの歳出削減めぐって暗礁に乗り上げたが、
    うち、3億ユーロを年金の削減で賄うことを決定
   残り 3億2500万ユーロについては、最終的に国防費や公共投資などの削減で賄うことを決定。

 

 

カナダの天然ガス最大手のEncana Corporationは2月17日、British ColumbiaCutbank Ridgeの未開発の土地でのシェールガス開発で三菱商事と提携したと発表した。

三菱商事は新たに子会社Cutbank Dawson Gas Resources を設立し、29億カナダドルを投じて40%の権益を取得し、Cutbank Ridge 埋蔵エリア(Play)の409千エーカーのMontney層天然ガスランドの開発を行う
三菱商事は2月末までに権益を取得する予定。

付記

国際協力銀行(JBIC)は8月12日、三菱商事のCutbank Dawson Gas Resourcesとの間で、融資金額650百万加ドル限度の貸付契約に調印した。三菱東京UFJ 銀行及びみずほコーポレート銀行との協調融資。
JBICの「円高対応緊急ファシリティ」の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件。

なお、この取引にはEncanaの既存の生産分(天然ガス日量6億立方フィート)や加工プラント、集荷システム、EncanaのAlbertaの土地などは含まれない。 

Encanaは2011年2月、PetroChinaとの間でCutbank Ridge事業を50/50のJVとすることで合意した。
PetroChinaはEncana Corporation から権益の50%を54億カナダドルで買収するもの。

Encanaが生産している日量4億立法フィートに新たなMontney層を加えると、約7億立法フィートとなる。
資産は130万エーカーの土地、3,400km
のパイプライン、Hythe地下ガス貯蔵タンクを含む。

しかし、両社は6月21日、条件が折り合わず、交渉を中止したと発表した。

2011/2/16  PetroChina、カナダの天然ガス権益取得

今回の三菱商事の取得権益は今後のCutbank Ridge事業のみで、PetroChinaのケースと比べると範囲は狭い。

契約ではEncanaはCutbank Ridge Partnershipの60%、三菱商事は40%の権益を持つ。
三菱商事は契約発効時に14.5億カナダドルを支払い、今後、開発投資費用の40%と伴に、今後5年間の開発期間のEncanaの
開発費用の半分の肩代わりとして14.5億カナダドルを負担する。
Encanaは操業を担当する。

Cutbank Ridge Partnershipが保有する天然ガス資産の合計可採埋蔵量は、35兆立方フィート(約7.2億トン)以上と推定され、日本の天然ガス年間需要の約9年分に相当する膨大な量が見込まれている。

今後5年間でPartnershipとして総事業費約60億カナダドル以上を投じ、累計約600本以上の生産井を掘削して開発を進める。
生産期間は50年以上で、今後10年の間に日量約30億立方フィート(約2,250万トン/年)の生産を目指す。

 

三菱商事は現在、コルドバ堆積盆地で天然ガスの開発を進めている。
同社は又、現在、カナダで生産した天然ガスを原料に、液化天然ガス(LNG)として輸出する可能性についても検討を進めている。

ーーー

福島第1原発の事故後、火力発電の燃料として日本のLNG需要が急増している。
2011年の輸入量は7853万トンと前年比12%増えた。

世界的な需要増でスポット価格も上昇している。

 日本でLNG輸入が本格化した1970年代の発電燃料は石油のため、原油価格連動でLNG価格を決めた。
その後LNGを導入した韓国や台湾も同じシステムを採用し、これが一般ルールとなった。

 このため、原油価格の上昇により、LNG価格も上がっている。

(米国では天然ガス価格は需給で決まる。)



これに対し、米国の天然ガス市況はシェールガス増加で大幅に下がり、100万BTU当たり 2ドル台になっている。 

付記 LNG輸入の場合、これに液化費用と輸送費合計で100万BTU当たり5~6ドル?)がかかる。

従来は、原油100ドル/bbl天然ガス10ドル/100万BTUであった。
現在の米国の天然ガス価格は原油価格との格差が大きく、アジアの天然ガス価格とも大きな差がある。

天然ガスの輸出にはそのための設備が必要で、時間がかかる。
また、米国は基本的に戦略物資として「エネルギー輸出禁止」政策を採っており、政府の承認が必要。


日本の各社のシェールガス等非在来型資源の開発状況は以下の通り。

三菱商事
①ブリティッシュ・コロンビア州の
Cordova堆積盆地のシェールガス
 
Penn West Energy Trustから50%の権益

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画
 
2011/5/14 中部電力、東京ガス、大阪ガスとJOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加


②カナダのシェールガス(今回) 

三井物産
ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアのシェールガス
 
Anadarko Petroleum から32.5%の権益

 
2010/2/18  三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画


②テキサス州
Eagle Ford shale 
  
SM Energyから12.5%の権益

  2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加

住友商事
①テキサス州
Barnett Shale field開発
 
Carrizo Oil & Gasから12.5%の権益

②ペンシルベニア州
Marcellus Shale field開発
 
Rex Energyから30%の権益

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画
双日
テキサス州北東部
Carthage onshore gas 鉱区Tightsand gas、シェールガス
 
20077月に権益取得

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

伊藤忠
①ワイオミング州
Niobraraのシェールオイル
  
Fidelity Exploration & ProductionMDU Resources Group子会社)から25%の権益

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

2011/11/28 KKRと伊藤忠など、米Samsonを72億ドルで買収へ

丸紅
①Niobrara shale oil
  2011/4/13 丸紅、米国のシェールオイル開発計画に参加


Eagle Fordシェールオイル・ガス田
  
2012/1/9 丸紅、イーグルフォード・シェールオイル・ガス開発事業に参画

日揮
①テキサス州
Eagle Ford シェール
  
2011/6 TriTech I, LLCからChesapeake Energy運営の鉱区の10%の権益


国際石油開発帝石と日揮、NexenのBritish Columbia州北東部のシェールガス開発に参加 

 

 

 

 

 

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は2月15日、愛知県渥美半島沖で、次世代エネルギー資源と期待される「メタンハイドレート」の海洋産出試験に向けた海底掘削を始めた。

掘削する海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」は、船中央部のやぐらから海底に向けて、先端にドリルをつけたパイプを下ろした。

「ちきゅう」は全長210m、幅38mで、海底から地中へ7千メートル掘る能力がある世界最高水準の探査船。波や風を受けても、高い精度で船を同じ位置に保つことができる。

計画では、水深約1000mの海底を約260m以上掘る。氷状のメタンハイドレートを地層内でメタンガスと水に分解して地上に取り出す試験井戸と、周辺の環境への影響を調べるための観測井戸の計4本を10~20m間隔で3月下旬までに掘る。

「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」のフェーズ1(2001~2008年度)では、東部南海トラフ海域(静岡県から和歌山県の沖合にかけた海域)をモデル海域として地震探査・試掘などの調査を実施し、同海域において、相当量のメタンハイドレートの賦存を確認している。

 

2009年度から開始された同計画のフェーズ2では、メタンハイドレートを天然ガスとして取り出す技術の開発を目指しており、今回の試験は、海洋における世界初のメタンハイドレート産出実験となる。

来年1~3月に世界初となる海洋産出試験を計画している。

事業費は約170億円。

陸上では石油天然ガス・金属鉱物資源機構が世界で初めて減圧法によりメタンハイドレートからメタンガスを連続的に生産することに成功した。
2008年3月、カナダ北西部のBeaufort海沿岸陸上地域で、永久凍土の地下約1100mに存在するメタンハイドレート層からメタンガスを産出する試験を実施したと発表した。カナダの天然資源省と共同研究の形で、約6日間の産出試験に成功した。

ーーー

清水建設は2009年3月、ロシア科学アカデミー陸水学研究所、北見工業大学及び北海道大学と共同で、バイカル湖水深約400mの湖底で、湖底表層に閉じ込められたメタンハイドレートから、ガスを解離・回収する実験に成功したと発表した。

2008年8月にバイカル湖の南湖盆の水深約400mの湖底で成功したガス回収は、「チャンバー」と呼ばれる鋼鉄製・茶筒状の反応容器内で、メタンハイドレートと水を攪拌、水に溶かしたメタンハイドレートを湖上へ運び、ガスを解離・回収した。
海底または湖底を含め、表層メタンハイドレートから、ガスの解離・回収に成功したのは、今回の実験が世界で初めて。

ーーー

韓国は2007年に東海(日本海)の鬱陵海盆(対馬海盆)海域で埋蔵量6億トンを超えると推定される大規模ガスハイドレート層を発見したと発表した。

韓国知識経済部は2010年2月、このガスハイドレート開発のため、4月末から2次ボーリング作業を始めると発表した。
(その後の報道は見当たらない)

     日本政府は1978年に国際水路機関に「対馬海盆」とし登録

2010/2/23   韓国、対馬海盆でガスハイドレート開発

 

Frank Schatzing の海洋サイエンスフィクション "The Swarm"(邦訳「深海のYrr」)には、北海のMethane hydrate 採掘現場で海底が大崩壊し、発生した津波で欧州の沿岸区域が壊滅する話が含まれている。

 

サウジ政府のJubail/Yanbu王立委員会は2月12日、Jubail Industrial Cityでの総額212億サウジリアル(56.5億米ドル)の石化計画を承認、調印式が行われた。

1)Kemya(Al Jubail Petrochemical Company:SABIC/ExxonMobil JV)

EPDM、合成ゴム、カーボンブラック計画(120億サウジリアル)

このプロジェクトはブチルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、EPDM、熱可塑性特殊ポリマー、カーボンブラックを合計年間40万トン生産するもので、新興の国内市場やアジア・中東の海外市場に供給する。

サウジアラビアの国家産業クラスター開発計画庁と提携して職業訓練センターと製品応用開発・サポートセンターの設立も行い、サウジアラビアの製造業の発展と多角化を図る。

このうち、カーボンブラック製造技術についてはContinental Carbonから、SBRおよびポリブタジエンゴム技術についてはGoodyear Tyre and Rubber から技術導入した。

2011年5月にJacobs Engineering と三井造船との間で基本設計(FEED)契約を締結した。

2)Jubail Chemical Industries Company (JANA)

既存製品の増強及び新製品の生産のためのコンプレックス(30億サウジリアル)
能力60万トンとされるが、内容は不明。

JANAは現在、Jubailで
Epoxy Resinsを幅広く生産している。
中東・アフリカでの唯一のEpoxyメーカーで、既存能力及び計画は以下の通り。

 既存能力 6万トン(Huntsman Advanced Materialsから技術導入、元はCiba-Geigy技術)

 計画  +6万トン(2012/6)
     +12万トン(2017) 
     原料エピクロルヒドリン増設 (+9万トン)

3)Saudi International Petrochemical Co. (SIPCHEM)

EVA/LLDPE 20万トン計画(28億サウジリアル)

同社の第3期計画の追加で、ExxonMobil の高圧法LDPE技術を導入、本事業を韓国のHanwha Chemical とのJV(Sipchem 75%、Hanwha 25%)とすることで合意したと発表している。

2010/8/12 サウジのSipchem、酢酸エチルを事業化

4)National Industrialization Co. (Tasnee)

高吸水性樹脂 8万トン計画(14億サウジリアル)

Evonikは2011年8月、Tasnee とSahara Petrochemicalsのアクリル酸系製品の統合会社の Saudi Acrylic Acidとの間で、高吸水性樹脂を製造するJVのSaudi Acrylic Polymersを設立する契約に調印した。
出資比率は明らかにされていない。(他のJVの例からみると、Evonikの出資比率は25%か?)
工場はAl Jubail chemical parkのTasneeの工場に立地し、能力は年産80千トン。2013年下期のスタートアップを目指す。

2011/8/31 Evonikも高吸水性樹脂を増強 

Tasnee、Saharaについては、
2006/5/13 サウジの民間ポリオレフィン計画

 

5)Saudi Arabian Fertilizer Co. (SAFCO)

尿素 367万トン計画 (20億サウジリアル)

 

 

SABICとSinopecはTrinidad and Tobago に共同で53億ドルを投じてメタノールコンプレックスを建設する件で同国政府との交渉を開始した。SABICが2月11日に証券取引所に報告した。両社は他の各社も入った入札で一番札となった。

SABICとSinopecは2012年1月14日、新規事業開発に関する協力覚書を締結している。
  2012/1/18 Saudi AramcoとSinopec、サウジでの製油所建設の合弁契約締結

具体的な計画は明らかにしていないが、地元紙はMethanol-to-olefins (MTO) と Methanol-to-petrochemicals (MTP) が含まれていると報じている。

同地の天然ガスを原料とするもので、立地はPoint Lisas。

 

 

Trinidad Tobagoは天然ガスが豊富で、液化能力は1,520 万t/年あり、米国への最大のLNG 輸出国である。
2009年の天然ガス利用量のうち、LNGは59%、メタノールは15%、アンモニアは15%となっている。

詳細(上記グラフも)はJOGMEC資料 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/3/3638/1008_out_l_tt_lng.pdf

 

本計画の入札の透明性についてTrinidad and Tobago で論争が起きており、野党議員も、Sinopecが参加することを知らなかったと述べ、交渉内容を明らかにするよう求めている。
報道によると、米大使は政府に書簡を送り、米国企業(Celaneseが参加)などの競合相手を抑えてSABICを選ぶことに懸念を表したとされる。

問題の一つは原料の天然ガスの価格の大幅値引きである。

SABICはNYMEXでの天然ガス価格が100万BTU当たり2.48ドルであるのに対し、1ドル以下を要求していると伝えられている。

このため、国内メーカーよりも極端に安い価格を外国企業に認めるのはおかしいとの声が出ている。

Point Lisasでは国営Methanol Holdings (Trinidad) やMethanexがメタノールを生産しているが、減税などの恩典はあるが、原料の天然ガスについては国営National Gasから特別な割引は受けていないとされる。

ーーー

現在、Point Lisasには合計7つのメタノールプラントがあり、能力合計は660万トンに達する。

     国営 Trinidad and Tobago Methanol Company

1999年に子会社を統合した。
下記のメタノール5工場のほか、アンモニア/尿素プラントを持つ。

子会社
統合
Trinidad and Tobago Methanol Company (TTMC) 1984年 TTMC I 46万トン
1996   TTMC II 55万トン
Caribbean Methanol Company Limited (CMC) 1993 50万トン
Methanol IV Company Limited (MIV) 1998 55万トン
M5000
(5000T/D+既存プラント排ガスで400T/D)
2005 184万トン
合計   400万トン

   Methanex 及び Atlas Methanol

工場 能力  備考
Methanex   85万トン  
Atlas Methanol  170万トン  BP 36.9%/Methanex 63.1%

現在はメタノールはそのまま海外に輸出されている。

今回の計画は、単にメタノールを生産するだけでなく、酢酸やエチレン・プロピレンを生産し、付加価値をつけるもの。
同国では川下分野の多角化を進め、付加価値の高いプラスチック産業の基礎をつくるという戦略をつくっている。

既にLyondellBasellがこの方針に基づき、Methanol - Propylene - PP計画を進めている。

Basell Trinidad and Tobago National Gas CompanyNational Energy Corporation 及びLurgi AG は2007年12月に、Trinidad and Tobago で統合PP コンプレックスを建設するMoU を締結した。

2008年9月、LyondellBasell は上記各社にTrinidad and Tobago 政府も参加して、本プロジェクトのProject Development Agreement に調印したと発表した。

計画内容は以下の通り。
  Methanol :Lurgi'
s MegaMethanol technology
        Methanol-to-propylene
 (Lurgi's MTP technology)
        PP
 490千トン(Spherizone technology)
  

 2007/12/25 Basell など、Trinidad and Tobago PP 事業

ーーー

SABICは今後、サウジで原料を大量に得るのは難しいと考えており、サウジでのプロジェクトのほとんどは高付加価値製品である。

逆にSABICは最近、シェールガスを原料に米国でクラッカーを建設することを考えていると明らかにした。

 

 

BPは2月7日、第4四半期と2011年の決算を発表した。

事故関連費用を除いた損益は2010年を若干下回ったが、石油価格の高騰を受け、2009年をはるかに上回っている。

なお、損益内訳では「川上」が圧倒的である。

メジャー各社は川上分野に注力している。

参考 2011/7/20 ConocoPhillips、石油開発と精製に会社分割

    2012/1/30 ExxonMobilが東燃ゼネラル石油から実質撤退


事故関連費用については、パートナーであったAnadarkoと三井石油開発、及び掘削業者2社との和解による入金などで38億ドルの戻入があり、最終損益で257億ドルもの利益を計上した。

同社は2010年第1四半期から第3四半期分を無配とし、第4四半期に復配したが、2011年第4四半期については増配する。

決算内容は以下の通り(単位:百万ドル)

  2009 2010 2011
一般 事故 合計 一般 事故 合計
Exploration &
Production
24,800 30,886   30,886 30,500   30,500
Refining &
 Marketing
743 5,555   5,555 5,474   5,474
事故関連     -40,858 -40,858   3,800 3,800
調整 -717 447   447 -113   -113
金利・税前損益 22,504 35,372 -40,858 -5,486 33,383 3,800 37,183
金利(net) -1,302 -1,046 -77 -1,123 -925 -58 -983
税金(Replacement
cost base)
-7,066 -10,804 12,894 2,090 -10,516 -1,387 -11,903
少数株主持分 -181 -395   -395 -397   -397
Replacement cost
損益
13,955 23,127 -28,041 -4,914 21,545 2,355 23,900
在庫損益 3,922 1,784   1,784 2,634   2,634
対応の税金 -1,299 -589   -589 -834   -834
財務損益 16,578 24,322 -28,041 -3,719 23,345 2,355 25,700


BPは2010年決算で事故関係の費用409億ドルを引き当てた。
これには2010年
616日のオバマ大統領とBP首脳陣の会談でBPが約束した200億ドルの基金を含んでいる。

一方で同社はパートナーのAnadarkoと三井石油開発に持分相当の請求を行うとともに、掘削業者の責任も追求した。

2010/7/1  BP、パートナー2社に事故関係費用分担金を請求

長期間の交渉の結果、パートナー2社と業者2社とは和解に達した。

2011/5/20  BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解

2011/10/19   BP、メキシコ湾原油流出事故でAnadarko Petroleum と和解

なお、掘削業者のTransoceanとHalliburtonはともに、BPとの契約で損害賠償について免責されていると主張、2社とBPはともに訴訟を行った。

1月末に出たそれぞれの判決では、損害賠償については契約に基づき免責となったが、懲罰的賠償や民事制裁金については免責されなかった。Halliburtonについては損害賠償の免責は条件付となったが、現時点では欺瞞行為は認定されていない。

  相手 和解 判決
損害賠償 懲罰的損害賠償
民事制裁金
2011/5 三井石油開発 10%の持分 1,065百万ドル    
2011/10 Anadarko 25%の持分  4,000百万ドル    
2011/6 Weatherford U.S 掘削機器部品
float collar
供給
  75百万ドル    
2011/12 Cameron International Blowout preventerの
設計・製造
  250百万ドル    
           
2012          
 1/26 Transocean Rig 所有、掘削作業   免責 免責せず
 1/31 Halliburton セメント作業   免責
但し、BPへの欺瞞行為
あれば免責せず
免責せず
和解金合計 5,390百万ドル    

 

BPは事故を受け、2010年の第1四半期から第3四半期分の配当を無配とした。

2010年第4四半期分からは普通株について1株当たり7セントの配当を再開したが、今回、第4四半期分の配当を8セントに増配することを決定した。

BPでは2011年のOperating cash flowが220億ドルに達し、2010年を60%も上回り、また、現在の原油100ドルが続いた場合に2014年のCash flowは2011年の50%増しになるとみている。

同社では増加分の半分は投資に回し、残り半分は増配を含めた他の目的に使うとしている。

 

 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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