「no」と一致するもの

2006年のイグ・ノーベル賞(The Ig Nobelの平和賞に高周波雑音発生装置「Electromechanical Teenager Repellant」、通称「モスキート」を発明した英国のHoward Stapletonが選ばれた。

人間は年をとるに従い、高周波の音が聞き取れなくなる。「モスキート」はこれを利用して、若者しか聞き取れない高周波の雑音を発して、街にたむろするteenagerを追い払うための装置(repellant)として開発された。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞 

東京都足立区が本年5月21日から、区立北鹿浜公園に「モスキート音」と呼ばれる高周波音を流し、たむろして破壊行為などを繰り返す若者らを「退散」させる実験を始めた。

使われるのは、英国製の「モスキートMK4」という高周波音発生装置。5月中旬から来年3月までの予定で1台を試験設置し、午後11時から午前4時まで作動させる予定。

公園管理課では、近隣住民の声も聞きつつ慎重に実験する方針で、効果次第では、ほかの公園を含めた本格導入も検討する。


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LyondellBasell の連結財務諸表が発表されている。

Basell によるLyondell 買収に伴い、20071221日から旧 Lyondell の業績が加算され、2008年の売上高は急増した。

Sales (百万ドル)
  2008 2007 増減 2006
Fuels  17,370 478 16,892 0
Chemicals 15,208 2,700  12,508 1,341
Polymers 17,693  13,618 4,075  11,495
Technology & R&D 434 363 71 339
Other 1 -39 40 0
Total 50,706 17,120 33,586 13,175

LyondellBasell のセグメントの内容は以下の通り。

Fuels gasolineultra-low sulfur dieseljet fuelaromaticslubricantsnaphthaVGOLPGbitumenheating oilMTBEETBEalkylate
Chemicals ethylenepropylenebutadienearomatics
EGEOEO derivativesethanol
VAM
acetic acidmethanol
PO
SM、TBAisobutylene
PG
PG ethers、butanediol
fragrance
flavors chemicals
* TDI
事業は2008/9/1に売却(中止事業に含む)
    2008/3/31 
Rhodia Lyondell、イソシアネート事業売却
Polymers HDPELDPELLDPEPP
PP-based compounds, materials and alloys ("PCMAs")
Catalloy process resins
polybutene-I polymers
Technology and R&D licensing of polyolefins process technologies
supply of polyolefin catalysts and advanced catalysts

損益面では需要減や売価値下がりなどのほか、在庫評価減とノレン償却があり、営業損益では59億ドルの赤字(前年比69億ドルの悪化)、当期純損益では73億ドルの赤字となった。

2008年の営業損益には以下を含む。
 ノレン償却  4,982 百万ドル(うち
Lyondell買収 4,921百万ドル)
 減損損失   
218百万ドル(2008/4 Shell から買収の Berre refinery の設備)
 在庫評価減 
1,256百万ドル

ノレン償却等を除外すると、前年比17億ドルの採算悪化となり、在庫評価減を除いても4億ドルの採算悪化となっている。

Operating Income (百万ドル)
  2008  減損損失 一般損益 2007

一般増減

2006
 ノレン   他
Fuels -2,708  -2,305  -218  -185 20 -205  0
Chemicals -2,774  -2,384   -7  -383 166 -549  138
Polymers -507   -293    -214 850 -1,064  517
Technology & R&D 202      202 152 50 123
Other -141      -141 -254 113 -48
Total -5,928  -4,982  -225  -721 934 -1,655  730
 

このほか、借入金の増加により、支払利息が21億ドルも増えており、当期損失の大きな要因となっている。
2008年末の長期借入金の残高は 23,195百万ドル(約 2.2兆円)となっている。
(金利支払不能で、ほぼ全額が期限の利益を失い、短期借入金に計上されている。)

連結損益計算書 (百万ドル)

  2008 2007  増減 2006
Sales and other operating revenues:        
Trade  49,903  16,168  33,735  12,364
Related parties 803 952 -149 811
  50,706 17,120 33,586 13,175
Operating costs and expenses:        
Cost of sales 48,780 15,196 33,584 11,746
Inventory valuation adjustment 1,256   1,256  
Impairments:        
   Goodwill 4,982   4,982  
   Other 225 20 205 42
Other Selling, general and administrative expenses 1,197 740 457 525
Research and development expenses 194 135 59 132
Purchased in-process research and development   95 -95  
  56,634 16,186 40,448 12,445
         
Operating income (loss) -5,928 934 -6,862 730
         
Interest expense -2,476 -353 -2,123 -332
Interest income 69 70 -1 70
Other income, net 113 127 -14 32
Income from equity investments 38 162 -124 130
Income (loss)  before income taxes -8,184 940 -9,124 630
         
Provision for (benefit from) income taxes -848 279 -1,127 234
Income (loss) from continuing operations -7,336 661 -7,997 396
Income from discontinued operations, net of tax 15   15  
Net income (loss) -7,321 661 -7,982 396
 

ーーー

同社は1月6日、破産法 Chapter 11 (民事再生法)の申請を行った。

2009/1/7 LyondellBasellChapter 11 申請

2009/4/27 LyondellBasell、親会社も米国の民事再生法対象に追加

 


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ダウは511日、子会社のDow Europe が合成ゴム事業の売却を検討していると発表した。
J.P. Morgan を財務アドバイザーに起用した。

この事業自体は儲かっているが、事業の効率化のためとしている。

同社の合成ゴム事業は、以前の東ドイツの合成ゴムメーカーの統合でできたBuna Sow Leuna Olefinverbund (BSL) の事業で、1996年にダウがBR/ESBRの販売を受託し、19979月にBSL80%を買収、20006月に残り20%をドイツ政府から買収した。

Schkopau 工場をもち、SBR ポリブタジエンゴム (PBR)Lithium Lo Cis ポリブタジエンゴム (Li-PBR)nickel Ziegler-Natta 触媒 Hi Cis ポリブタジエンゴム (Ni-PBR)、エマルジョンSBR (ESBR) 溶液重合SBRSSBR) を製造販売している。

本年3月に年産6万トンの新しい溶液重合SBR (S-SBR)プラントが商業生産を開始した。

2007年6月、JSRDow Europe からこのS-SBRの能力の50%3万トンの引取権を取得している。

JSRは、2003年以降、欧州にてDOWとの間でS-SBRの生産委託を行なってきたが、さらに引取権を取得することにより、JSRの先端技術による高品質の製品の供給を拡大し、S-SBR市場におけるJSRのポジションをグローバルに強化することを狙った。

同社ではEUで2012年には、自動車の二酸化炭素排出規制が強化される予定で、さらなる低燃費化の必要から省燃費タイヤ用途でS-SBRへの ニーズが一層高まると見込んでいる。

JSRは引取権を有しているため、他社に事業が売却されても、影響はないと思われるが、相手次第だろう。
それとも、JSR が買収?

ーーー

ダウはほかに、オランダとフランスに工場を持っていた。

同社は1999年にシェルから、オランダ(Pernis のエマルジョンSBRプラントとフランス(Berre cobalt-ポリブタジエンゴム(Co-PBR)プラントを買収した。

同社は2004年初めにPernis の工場を停止した。Berre の工場についても20083月に停止を決めた。

ーーー

ダウはまた、独自のINSITE 技術によるメタロセンEPDM Nordel®)を持っている。

同社は1996年4月にDuPont と50/50JVの DuPont Dow Elastomers を設立し、これもJVに移管した。

しかし、ダウは2005年1月、EPDMや同じくINSITE 技術によるポリオレフィンエラストマー(Engage®)、塩素化ポリエチレン(Tyrin®)などをJVから引き取るオプションを選んだ。

これらは現在、ダウのエラストマー部門に属するが、これについては今後も維持する。

なお、DuPont Dow Elastomers DuPont がダウの持分を買取り、DuPont Performance Elastomers と改称した。

 

ーーー

付記

ダウは5月20日、2つの事業の売却が決まったと発表した。

1)塩化カルシウム事業:210百万ドルで
2)
Total Raffinaderij Nederland N.V. のダウの持分(45%)Valero Energy 725百万ドルで.


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三井化学は5月12日、経営概況説明会を開き、2009年3月期の業績の説明とともに、事業構造改革の説明を行った。

事業戦略見直しの基本方針は、国内での勝ち残り、海外(特にアジア)での事業拡大で、内容は以下の通り。

  国内 ①千葉地区における出光興産との生産最適化
      ②体質改善のための設備統廃合の推進
      ③景気変動の影響を受けがたい事業の強化・拡大の加速
      ④機能フィルム・シート事業の強化・拡大

  海外 ①Sinopecとの提携による中国事業拡大
      ②ベトナム・ニソン計画参加

ーーー

出光興産との生産最適化

三井化学と出光興産は5月11日、出光興産・三井化学の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意したと発表した。

            -----

三井化学は住友化学との経営統合計画の解消後、2004年2月に同じ千葉にコンビナートを持つ出光興産/出光石油化学と包括提携で基本合意した。 原料・留分から石化製品、また、工場基盤・業務を含めた幅広い領域にわたり、石油精製と石油化学という業種や企業の枠を超えた業務提携の検討を進め、千葉地区コンビナートの国際競争力の強化を目指すこととした。

200411 月、三井化学と出光興産は包括提携の一環として、千葉地区へ輸入するナフサを大型タンカーを使い共同輸送すると発表した。

20045月、三井化学/出光興産/出光石油化学は三井化学と出光石化のポリオレフィン事業の統合を発表した。
統合会社プライムポリマーは三井化学 65%/出光興産 35%で設立され、2005年4月に営業を開始した。
(出光石油化学は2004年8月に出光興産が吸収合併した。)

最近ではコンビナートナフサ供給連携事業の実施を決めている。

2009/4/11  平成21年度 コンビナート連携石油安定供給対策事業

今回、両社は以下を検討する。半年から1年程度の期間で詳細検討を進め、段階で有限責任事業組合(LLP)設立等により、最適体制を発足させる。
 1. 両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化
 2. 出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化
 3. 既に両社でJVとして運営している、ポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化

ポリオレフィンは上記のプライムポリマー
フェノールは出光興産内の千葉フェノール(三井 55%
/出光 45%)
  (フェノール能力 200千トン、アセトン能力 60千トン)

 4. 生産最適化にあたっては、有限責任事業組合(LLP)制度の活用を検討

これにより、
1. ナフサクラッカーを中心とした最適生産体制の構築、精製・石化のインテグレーションによる国内トップクラスの競争力の実現
2. 石化誘導品におけるリファイナリー留分の更なる有効活用等による競争力の強化
を狙う。

千葉地区コンビナートには、4つの製油所(83万バレルの製油能力=国内の2割)、5つのエチレンセンター(エチレン能力 247万トン=国内の3割)がある。

同社では三井・出光の生産最適化により、
・合計能力100万トン、売上規模2000億円の競争力のあるナフサクラッカーの一体的体制構築
・「クラッカーを中心にした石油精製~石化誘導品の生産最適化」という国内初のビジネスモデルにより、国内最強の競争力が実現するとしている。

これは三井と出光の千葉地区だけでの「生産最適化」の検討であって、両社の合併の検討ではなく、最適化のメリットをどのように分け合うかが問題となろう。

ーーー

③景気変動の影響を受けがたい事業の強化・拡大の加速

農業化学品事業の早期規模拡大を目指す。

同社は2007年3月に第一三共から三共アグロを買収した。三共アグロは事前に三共ライフテックからアメニケア事業(防蟻剤、防疫剤)を譲り受けた。

三井化学は2009年4月に農業化学品事業を会社分割して三共アグロに承継させ、原体事業と製剤事業を一体化し、三井化学アグロに改称した。

④機能フィルム・シート事業の強化・拡大

第一ステップとして、東セロを核とする機能フィルム・シート事業の再編・集約を行う。

ーーー

海外計画は以下の通り。

①Sinopecとの提携による中国事業拡大

三井化学は 4月15日、シノペックとの間で協力関係拡大の覚書を締結した。

両社は2006年4月に折半出資により、ビスフェノールA合弁会社「上海中石化三井化工有限公司」を設立し、本年1月に年産12万トンのプラントを稼動し、順調に推移している。

今回、両社が合意した主な内容は、以下の通り。
・フェノール/アセトン、ビスフェノールA及びその誘導品(例えばMIBK)等の協力関係について検討すること
   フェノール、MIBKはFS中で、他にEPT等の機能製品を検討している。

・以下の事項に関し協力の可能性を検討すること
 a) 技術交流並びに共同研究開発
 b) その他のプロジェクト合弁
 c) エンジニアリングサービス

なお、前日の4月14日に、三菱化学とシノペックは、相互の技術、原料、市場における優位性を活かし両社の提携をより一層強化して事業を拡大加速することを目的とする戦略提携パートナー関係を確立するための基本合意に至ったと発表している。

2009/4/15 三菱化学、シノペックと事業戦略提携の基本合意

②ベトナム・ニソン計画参加

出光興産と三井化学は3月27日、クウェート国際石油(KPI)・ペトロベトナム(PVN)と、「ベトナムニソン製油所・石油化学コンプレックス」の建設に向けて、装置の詳細設計や経済性、資金調達方法などを検討する合弁会社「ニソン精製有限責任会社(仮称)」に参加することを決定したと発表した。

合弁会社の概要
(1)会社名 (仮称)ニソン精製有限責任会社
        <英文名:Nghi Son Refinery & Petrochemical Limited Liability Company>
(2)所在地ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区
(3)設立 2008年6月投資ライセンス取得後設立
(4)資本金 2億米ドル(約200億円)
(5)出資比率 出光 35.1%、
クウェート国営石油 35.1%、PVN 25.2%、三井 4.7%
(6)精製能力 日量20万バレル
(7)建設費用 約58億米ドル(約5,800億円)

合弁会社設立後、2年間かけて装置の基本設計や経済性、資金調達方法などを検討し、建設移行の場合は2013年末の操業開始を目指す。

三井化学は出資によりアロマ原料を安定的に調達することにより、PTAおよびフェノール事業の安定化と収益拡大につなげるとしている。

 


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金融危機の影響で開発資金獲得に苦しむ豪州の2つのレアアースのメーカーに中国企業が相次いで出資する。

1.Arafura Resources

豪州のNorthern TerritoryのNolans Bore レアアース・リン・ウラン鉱床の権益100%を保有するArafura Resources は、429中国の資源開発グループである有色金属華東地質探査局( East China Exploration & Development Bureau )から25%(24百万ドル)の出資を受け入れる正式契約に調印した。

昨秋以降の金融危機の影響で開発資金の調達難に陥り、プロジェクトを継続するには、中国資本を受け入れるしかなかった。
資金はNolans Bore鉱床のレアアース開発に使用する。

同鉱床は1995年に発見され、1999年にNorsk Hydroが露頭サンプリング・分析を実施している。2000年にArafra 社が権益を取得、資源量確認ボーリングを実施中。

有色金属華東地質探査局はまた、Arafura Northern TerritoryJervois 鉄/バナジウム計画にも51%(800万ドル)を出資する覚書を締結した。

2. Lynas Corp

西豪州にあるレアアース鉱 Mt Weld 鉱を開発する Lynas Corp. はこのたび、中国の国有非鉄大手、中国有色鉱業集団(China Nonferrous Metal Mining Co.)から252百万豪ドルの出資(マジョリティ)を受け入れることを決めた。

認可を待って、新株を発行する。出資に加え、有色鉱業集団はLynas に対し、中国の銀行からの104百万米ドルと80百万米ドルの2つの借入契約に保証を与える。

これによりLynas は合計で522百万豪ドルの資金を得るが、このうち、286百万豪ドルがMt Weld 鉱の開発の第一段階に使われる。

Lynas も開発資金に苦しんでいたが、中国からの提携申し入れを断っていた。
これからのレアアース資源開発では、「中国と繋がっていないことが重要」だと認識、「自分たちは中国と提携する意思はない」としていた。

しかし、95百万ドルの開発資金の供給契約を結んでいたヘッジファンドが、昨秋以降の金融危機と資源価格の暴落の影響などにより資金供給を拒否したため、2月10日にMt Weld 鉱の開発計画の中断を発表した。

豪、マレーシア、日本などの政府系機関や需要家などに支援を要請したが、日本の需要家も支援に慎重で、万策尽きて、中国に依存することとなった。

ーーー

Lynasは、1983年にYilgangi Gold NLとして設立され、1985年にLynas Gold NLに改称し、西オーストラリア州Pilbara地域で金探鉱を行っていたが、2001年6月、金プロジェクトを売却し、社名をLynas Corporation に変更、2002年5月にMt.Weld 鉱床の権益100%を取得し、同鉱床の探鉱開発に集中していった。

Mt.Weld 鉱の鉱物資源量は、770万t、酸化レアアース品位12%となっている。
(精測鉱物資源量120万t :品位15.7%、概測鉱物資源量500万t :品位11.8%、予測鉱物資源量150万t :品位9.9%)

同社はMt.Weld プロジェクトのコスト削減のため、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画した。

しかし、2006年に入って、レアアース産業に対する生産抑制、輸出制限、増価税リベート見直し、環境規制など中国政府による締め付けが強くなったことから、同社は中国でのレアアース分離プラント建設を断念し、マレーシア東海岸PahangKuantan Gebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。 

計画では酸化レアアースの生産量を当初年間5千トン、将来21千トンとしている。

Mt.Weld レアアース鉱床からレアアース鉱物(モナザイト等)を採掘、西オーストラリア州南部のEsperance 港からマレーシアへ海上輸送、分離・精製し、更に最終消費者の要求にあったレアアース製品とした後、米国・欧州・日本などへ販売する。

ーーー

レアアースは中国の生産量が世界の96%を占めている。

中国のレアアースの過度な開発問題について、全国人民代表大会(全人代)代表の周洪宇氏が全人代に提出した「レアアース生産・輸出の厳格な規制を求める建議」が、中国で幅広い注目を集めている。

氏は「3年以内に、レアアースの輸出量を現在の10万トン前後から2、3万トン前後に減らし、レアアース金属の高利潤と持続可能な発展維持に向け、中国は長期的なレアアースの価格決定権を確保しなければならない」と強調している。

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

ーーー

中国国土資源部は57資源保護のため、2009年のタングステン、アンチモニー、レアアースの生産量を下記の通りに制限すると発表した。

タングステン鉱  68,555トン
アンチモニー鉱 90,180トン
レアアース鉱   82,320トン

国土資源部ではまた、これら3の資源に関しては2010630までは、新しい掘削ライセンスの申請を受け付けない。

ーーー

このため、日本のレアアース需要家は中国以外にソースを求めつつある。

Mt.Weldでの採掘、マレーシアでの精錬の計画は、完全に中国の影響を排除できる「脱中国」プロジェクトとして日本の需要家も注目していた。

しかし、豪州メーカーの中国資本の受け入れに、日本企業関係者は「中国とは関係ないプロジェクトだから価値があるのに、中国の出資を受け入れたら何の魅力もない」としている。

 


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住友化学、三井化学、三菱化学はいずれも大赤字となった。

 

住友化学 

大幅減益で、期末配当を3円減とした。

次期については営業損益で350億円の黒字を見込む。
サウジのラービグ計画の本格稼動で持分法投資損益が改善する。
次期配当は未定。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3  18965    1024    928    631 6.0   6.0
09/3  17882      21   - 326   - 592 6.0   3.0
増減  -1083 -1003 -1254 -1222 - -3.0
10/3予   16200   350   300   100   未定
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減  2009年
上期 下期
基礎化学   106  -153   -259   -12  -142
石油化学    45  -303   -349  -101  -202
精密化学   114   16    -98   22   -5
情報電子化学    63   -10    -73   123  -133
農業化学   209   244    35   123   122
医薬品   465   324   -141   192   131
その他    37   -79   -116   -36   -43
全社   -15   -17     -3   -1   -16
合計  1,024   21  -1,003   310  -289

基礎化学、石油化学ともに大幅な赤字となった。情報電子化学も若干の赤字に転落した。
医薬品は研究開発費の増加等により減益。
その他での大幅減益は、高分子有機EL 等の新規事業における研究開発費等の増加による。

医薬品のうち、大日本住友製薬の実績は以下の通り。(単位:億円)

売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3   2640    398    377    256
09/3   2640    312    314    200
増減     0    -86    -63    -56

経常損益では、持分法投資損益が前期の112億円の利益から128億円の赤字と、240億円の悪化となっている。

特別利益では前期にラービグ計画の上市に伴う持分変動利益が288億円あったが、当期には退職給付信託設定益が148億円あった。

株価下落で目減りした退職給付債務の積立不足額に充当するため、保有株式の一部を拠出して、164億円の退職給付信託を設定した。この株式の簿価と信託設定金額との差額である148億円を特別利益として計上した。

特別損失には構造改善費用 88億円、有価証券評価損 41億円などのほか、減損損失として208億円を計上した。

環境の著しい悪化等により、収益性の低下した一部の事業用資産について減損損失計上したもので、減損対象は、カプロラクタムや耐熱性セパレーターなど。

同社では繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、その一部を取崩し、196億円を法人税等調整額に計上した。
その分だけ税引後損益が悪化した。(この分はその時点で利益が回復し課税所得があれば税金の減になる。)

ーーー

三井化学

大幅減益で、期末配当を3円減とした。
2010年予想でも営業損益で380億円の赤字、当期損益で560億円の赤字とみている。
次期配当は未定だが、中間配当は取り止める。 

藤吉社長は次期に2年連続で営業赤字になる見通しとなったことの責任を取り、社長を辞任する。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3 17867    772    661    248 6.0   6.0
09/3 14876 -  455 -508   -952 6.0   3.0
増減 - 2991 -1227 -1169 - 1201 - -3.0
10/3予  11500   -380   -470   -560  0.0 未定
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減    増減理由  2009年
数量差 交易条件 固定費他 上期 下期
機能材料  359  -160   -519 -274   -132 -113   92  -252
先端化学品  108    73    -35     -5    -10   -20   36   38
基礎化学品  335  -320   -655 -465   -160   -29   -2  -318
その他   34     1    -33   -20    -15     16   -2     3
全社  -63   -49    14  -24   -25
合計  772  -455  -1,227 -764   -317 -146  -28  -427

機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、生活・エネルギー材(機能加工品)、電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料
先端化学品 精密化学品、農業化学品
基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、PE、PP

機能材料、基礎化学品が下期に大幅赤字となり、通期で赤字転落した。数量減と交易条件差(コスト減以上の値下がり)が大きい。

当期の業績及び厳しい経営環境を考慮し、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、当期末において繰延税金資産を取崩すこととし、その影響額 447億円を法人税等調整額に計上した。


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サウジのSABICSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) 59日、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。

SABICの計画:投資額 32億ドル
   
  MMA  250千トン
  PMMA  30千トン
 アクリロニトリル  200千トン
 ポリアクリロニトリル   50千トン
 ポリアセタール   50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ   40千トン
   
Sipchemの計画:投資額 8.1億ドル  
     
 ポリ酢酸ビニル  125千トン  
 エチレン酢ビ  200千トン  
     

いずれも2013年にスタートの予定。

覚書では、SABICSipchemに割り当てられた原料エタンを子会社でエチレンにして供給SipchemSABICMMA生産用の一酸化炭素を供給するとなっている。

MMAの製法にはACH法、直酸法、Lucite (三菱レイヨンが買収予定)のエチレン法(Alpha technology)などがある。
ACH法の場合はアクリロニトリル生産時に副生する青酸を利用する。

MMA用の一酸化炭素であればLucite のエチレン法(Alpha technology)である。

ーーー

Sipchemについては下記を参照。

2008/2/29 サウジ Sipchem の石油化学計画 

第二期計画で、酢酸、VAM、一酸化炭素を既に生産しており、今回の計画はVAMの利用。 

2006年11月、第三期計画として Sipchemはオレフィンと誘導品計画を発表した。

    
原料 アラムコ(エタン35%、プロパン65%
    
製品 :<p><p>HTML clipboard</p></p>エチレン  1,000千トン
        プロピレン 215千トン
        
HDPE 500千トン
        
EVA / LDPE 250千トン
        
PP
                 ANM 200千トン(Ineos 技術)
        
MMA 250千トン(Lucite 技術)
        
Carbon fiber
                 Ethylene vinyl alcohol
                 Polyvinyl acetatePolyvinyl alcoholPolyvinyl butyral
                 Polyacrylonitrile
                 Sodium cyanide
                 PE pipe and film
     生産開始:
2011
     
投資額:US$ 7 billion

しかし、同社は2008年6月にエチレン、PE、PP計画を取り止めた。
中東の石化プラント建設ラッシュで建設業者が確保できず、スケデュールやコストに狂いが出たこととファイナンス問題が理由とされている。

同社はエチレン、プロピレンをAl-Jubail の他のメーカーから購入し、付加価値製品の生産に専念することとした。

2008/6/23  サウジ Sipchem がエチレン、PE、PP計画取り止め

今回のSABICの新計画は<p>HTML clipboard</p>(ポリアセタールを除いて)全て、Sipchemの第三期計画に入っていたものである。(上記の青字) 

2008年2月に、SABICがSipchemの第三期計画に参加するとの情報が流れた。
別途Sipchemは、ANMとMMAの技術を供与するIneos (Luciteに22%出資)にも参加の要請を行っている。

おそらく、その後、事業分担の話し合いが行われ、Sipchemは酢酸関係(上記の
赤字)に限定し、残りをSABICに譲ったものと思われる。


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5月7日の日本経済新聞夕刊は、コスモ石油が韓国石油大手のHyundai Oil Bank (HDO)と合弁で、韓国でパラキシレンの生産に乗り出すと報じた。

コスモ石油では、「前向きに検討しておりますが、現時点において決定しておりません」としている。

報道内容は以下の通り。

・両社はともに産油国アラブ首長国連邦・アブダビの政府系投資会社(国際石油投資会社:IPIC)が筆頭株主となっている。
 資金と技術を持ち寄って高い成長が見込める中国などの市場を開拓する。

・9月をメドに韓国に折半出資の新会社を設立。
 新会社はソウル南西に位置する瑞山市大山のHDO製油所内にある年産38万トンのパラキシレン設備を買い取る。

・2013年に同製油所内で年産80万トンと世界最大規模の新設備を増設し、生産能力を118万トンに高める。
 年間売上高2千億-3千億円を目指す。
<p><p>>HTML clipboard</p></p></p>

付記    

コスモ石油は6月9日、合弁会社設立の基本合意を発表した。

合弁会社

     ・設立時期 :2009年9月予定
     ・出資比率 :当社 50%、HDO 50%
     ・事業内容     :パラキシレンおよびその他関連製品の製造・販売
     ・設備規模 :a)HDOより譲渡予定のナフサを原料とする既存パラキシレン製造設備
              (HDO大山(デサン)製油所既設・2009年譲渡予定)
               ナフサスプリッター-55,000BPD
               ナフサ脱硫装置-24,000BPD
               接触改質装置 -21,500BPD
               BTX装置     -パラキシレン生産量
380,000トン/年
               その他パラキシレン事業に関わる設備(タンク等)
             b)ミックスキシレンを原料とする新規パラキシレン製造設備
              (HDO大山製油所に2013年新設予定)
               BTX装置     -パラキシレン生産量
800,000トン/年
               その他パラキシレン事業に関わる設備(タンク等)
   
併せて同社では、協業化のさらなるシナジーを創出するために、四日市製油所内にミックスキシレン蒸留装置を新設することを決定した。
    <新設ミックスキシレン蒸留装置概要>
     1.建設予定地 四日市製油所
     2.
ミックスキシレン生産能力 300,000トン/年
     3.完成予定 2011年11月

ーーー

現在の韓国のパラキシレンメーカーは次の通り。(千トン)

会社名 立地 能力
GS Caltex Oil Yeochun 1,200
KP Chemical Ulsan 750
Samsung Total Daesan 600
S-OIL (双龍精油) Onsan 650
SK Energy Ulsan 650
Hyundai Oil Bank Daesan 360
Total 4,210

* Hyundai Oil Bank情報では能力は380千トンではなく、360千トンとなっている。

ーーー

コスモ石油には、UAEのIPIC が約900億円を投じコスモに20%出資し、筆頭株主になっている。

Hyundai Oil Bank は現代グループが1964年に極東石油として設立、一時シェルとのJVとなったが、1993年にHyundai Oil Bank と改称した。

1999年にIPIC50%を取得、2002年に更に20%を取得し、現在70%を所有している。
残りは現代重工業の
19.87%を初めとして現代グループが合計28.74%、残り1.26%4人の株主が所有している。

IPIC2008年に持株の半分の売却をGSカルテックスなどと交渉したが、現代重工業が株主間契約に反するとして売却を防ぐための法的手続きを行った。

Hyundai Oil Bank は大山に36万バレル/日の製油所をもつ。
製油所に隣接してベンゼンプラント(
11万トン)とパラキシレンプラント(36万トン)をもち、製品はほとんどを中国、台湾、東南アジアに輸出している。

コスモ石油とHyundai Oil Bank 20084月、石油事業包括協力覚書を締結した。コスモとIPICとの共同事業テーマの一つである「IPICと密接な関係にある会社との連携による製品融通や共同投資のための国際的、互恵的ネットワーク構築」の一環。

両社は今後のアジア太平洋での需要の増大を背景に域内の石油産業の一層のグローバル化が進展するという認識を共有し、製品融通・マーケティング協力等により 両社が計画中の製油所の高度化設備をフルに活用することで相互発展の機会を創出すべく、以下の分野について、検討委員会を設置し協業可能性を検討する。

1)供給とトレーディング(Supply & Trading
   石油製品・半製品・石油化学製品融通等による製油所供給体制最適化
   中国やその他アジア太平洋共同マーケティング

2)石油精製(Refining
   両社の将来の精製装置高度化も踏まえた技術協力・研修生交流
   製油所オペレーションの効率性向上やコスト低減に資する情報共有

3)一般事項(General
   リテールマーケティング情報やその他情報の共有

ーーー

今回のコスモ石油/Hyundai Oil Bank のパラキシレン計画は、実はHyundai Oil Bank と同じく IPICが出資するスペインのCEPSA (Compañía Española de Petróleos, S.A.) との間で交渉が行われていた。

20077月、Hyundai Oil Bank CEPSA は覚書を締結した。

・両社で50/50JVを設立
Hyundai Oil Bank の大山製油所に2010年までにベンゼン(30万トン)、パラキシレン(80万トン)プラントを建設
Hyundai Oil Bank の既存プラントを引き継ぐ。

今回の計画はコスモ石油がCEPSAの代わりに入るということになる。

IPICCEPSAの株を買い増して47%を抑える予定で、IPICが世界戦略を考え、アジアの計画はコスモ石油とHyundai Oil Bank の組み合わせとした可能性がある。

ーーー

IPICはスペインのCEPSA25%を出資していたが、何故か現在の出資比率は9.5%に下がっていた。

現在の出資比率:
Total(フランス) 48.8%
Santander Bank(スペイン) 32.5%
Union Fenosa(スペイン)  5%
IPIC 9.5%

今回、IPICSantander持株を33億ユーロで買収することを決めたと伝えられた。Union Fenosa の持株も買収し、合計持株比率を47%とする。

参考 2008/8/19 スペインのCEPSA、上海でフェノール/アセトン生産を計画

ーーー

IPIC 実質政府100%出資で、Abu Dhabi National Oil CompanyADNOC)が 50%ADIAAbu Dhabi Investment AuthorityNational Bank of Abu Dhabi)が 50%を出資する。

IPICは活動を全世界に広げている。

UAE 内陸油田ハブシャンからの全長360kmの原油パイプラインとフジャイラ港でのタンクターミナルの建設
フジャイラにて50万バレル/日の能力の輸出を主体とした製油所の建設
オーストリア 石油、ガス会社OMVに17.6%の出資
石化会社Borealisに65%の出資
  2006/11/10 
OMVとBorealis、オーストリアとドイツで石化増強

AMI Agrolinz Melamine International 50%出資(OMVが残り50%
日本 コスモ石油に出資
韓国 Hyundai Oil Bankに出資
パキスタン パキスタンのPak-Arab Refinery Co.株式40%を保有(残りはパキスタン政府)。
キスタン政府との間で30万バレル/日規模の製油所建設を検討中(IPICが74%出資予定)
オマーン Oman Polypropylene に出資(出資するGulf Investment Corporationを通して)
エジプト Arab Company に出資
スペイン CEPSAに出資(47%にアップ)
中央アジア 2008/8/27 Abu Dhabi IPIC、中央アジアに進出
カナダ 2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収


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ブラッセルのCartel Damage Claims (CDC) は4月23日、過酸化水素の価格カルテルで被害を蒙ったパルプ、製紙業の32社に代わって、カルテルに参加した6社をドイツの法廷に訴えた。

まず情報提供を求め、その後に損害賠償を求める。
予備的に賠償額を430百万ユーロとしており、金利を加算すると約50%増しになる。

CDC2002年に設立された会社で、独禁法違反に対して私的な損害賠償を代行する。
(ホームページ:
http://www.carteldamageclaims.com/english/introduction_engl.htm

訴えられたのは次の6社:
 
Evonik Degussa GmbH (Germany
 
Akzo Nobel N.V. (Netherlands
 
Solvay SA/N.V. (Belgium
 
Kemira Oyj (Finland
 
Arkema SA (France
 
FMC Foret SA (Spain):米国FMCの子会社

被害者の32社は欧州13カ国に94の工場を持ち、過酸化水素を各社から購入していた。
社名は公表されておらず、各社は損害賠償権をCDCに売却し、委任している。

この方式は、これまで米国流の集団訴訟を受け入れるのを渋っている欧州で、私的な損害請求を進める新しい方式とされている。

ーーー

EUは2006年5月3日、過酸化水素及び過ホウ酸塩のカルテルに参加したとして、7社に合計388百万ユーロの制裁金を科したと発表した。

下記9社は1994から2000までの間、過酸化水素及び過ホウ酸塩について情報を交換、生産を制限、シェアと需要家を割り当て、価格を操作していた。

200212月に Degussa が減免を申請した。これを受けECが調査を開始し、その結果、減免を求めて情報提供が相次いだ。

社名 減額(%) 制裁金
(千ユーロ)
 
Degussa   100      0 <p>HTML clipboard</p>重犯50%加算、減免制度で  129.938→0
Solvay    10   167,062 重犯50%加算、減額
Total/Elf Aquitaine/Arkema    30   78,663 重犯50%加算、減額
Akzo Nobel    40   25,200  減額
FMC Foret     25,000  
Kemira     33,000  
Edison (now Solvay Solexis)     58,125 重犯50%加算
Snia/Caffaro      1,078  
L'Air Liquide      - 時効1998に事業中止)
合計    388,128  

発表には、この決定がカルテル被害者が損害賠償を訴えるのに利用できると付言している。

 


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製薬業界は新薬の特許の期限切れなどに伴い、有望な新薬の開発に重点投資する必要に迫られており、M&Aや事業の統廃合が加速している。

現在の金融危機のなかで、手元資金の多い医薬業界だけが多額の買収資金の借り入れが出来る。

本年1月PfizerWyeth 680億ドルで買収すると発表、3月にはMerck Schering-Plough 411億ドルで買収することで合意した。

2009/1/27 PfizerWyeth を買収

2009/3/11 Merck、米Schering-Plough を買収

416日、英国のGlaxoSmithKline GSKと米国のPfizer は、それぞれの抗エイズウイルス(HIV)薬事業を統合すると発表した
GSKは主力の抗ウイルス事業を強化、Pfizer Wyeth 買収で補強するバイオ医薬品の開発に集中する。

GSKは更に、420日、皮膚薬を専門に手がける米製薬会社Stiefel Laboratories Inc. を36億ドルで買収すると発表している。

ーーー

GSKPfizerWyeth の関係は以下の通り。

ーーー

GlaxoSmithKline(GSK)/ PfizerのHIV事業統合:

GSK  PfizerHIV医薬品に特化した合弁会社を設立することで合意した。

新会社はGSKにとっては、製品の幅を広げ、将来の特許切れに対応でき、また新薬候補を追加する意味がある。
PfizerにとってはSelzentry/Celsentri や新薬候補をGSKの販売ルートで拡販できる。

当初の出資比率はGSKが85%、Pfizer15%で、GSKの連結子会社となる。
しかし、今後、新薬候補の力を勘案して見直すこととした。

全ての新薬候補が承認された場合は、GSKが75.5%、Pfizer24.5%となる。
GSKの新薬候補のみが承認された場合は、GSKが91%、Pfizer9%となる。
逆に
Pfizerの新薬候補のみが承認された場合は、GSKが69.5%、Pfizer30.5%となる。

また、いずれかの会社が拠出した製品がある基準を達成した場合には、その会社に優先配当を払う規定も入っている。

新会社は11の製品を持つ。主力はGSKCombivirKivexa、PfizerSelzentry/Celsentriである。
2008年の合計売上高は16億ポンド(23.6億ドル)に達する。新会社のシェアは19%を占める。

Product Class
Agenerase Protease inhibitor
Combivir NRTI
Epivir/3TC NRTI
Epzicom/Kivexa NRTI
Lexiva/Telzir Protease inhibitor
Rescriptor NRTI (US only)
Retrovir/AZT NRTI
Selzentry/Celsentri CCR5 antagonist
Trizivir NRTI
Viracept Protease inhibitor (N.America only)
Ziagen NRTI

Protease inhibitor:蛋白分解酵素阻害剤(エイズウィルスの増殖防止)
NRTI:ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(エイズウィルスの増殖防止)
CCR5 antagonist
HIVの侵入阻害剤

新会社は、phase II 段階で4種、phaseⅠ段階で2種の新薬候補を持っている。

Product Class Phase
GSK 1349572 Integrase inhibitor II
UK-453061 NNRTI II
GSK 2248761 (IDX899) NNRTI II
PF-232798 CCR5 antagonist II
PF-3716539 PK enhancer I
GSK706769 CCR5 antagonist I

Integrase inhibitorHIVのDNA組み込み阻害
NNRTI:非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬

既存製品を入れると、新会社は17の製品を持つこととなる。

更に新会社は両社とResearch Alliance Agreement を締結する。両社は引き続き研究開発を行い、新会社は第一に交渉する独占権を有する。

なお、Pfizerのワクチンは新会社に移さない。
同社は
Wyeth買収で幅広いワクチン事業を入手する。

2002年にFDAはネコ免疫不全症を予防する世界初のワクチンを承認した。

カリフォルニア大学とフロリダ大学が特許を持ち(発明者はJanet Yamamoto
Wyethの動物用医薬品事業部門であるFort Dodge Animal Health社がFel-O-Vax FIV として販売している。

ーーー

GSK/Stiefel Laboratories

GSK皮膚薬を専門に手がける米製薬会社Stiefel Laboratories Inc. を36億ドルで買収すると発表した。

Stiefel の全株式を29億ドルで買い取ったうえ、同社の4億ドルの借入金を肩代わりする。
更に、今後の業績しだいで、
3億ドルの現金支払いを行う。

買収後、GSKの皮膚薬はStiefel の事業と統合、GSK Groupの中でStiefel の名前で事業を続ける。

両社の皮膚薬を統合すると、2008年ベースで売上高は約15億ドルとなり、全世界の処方箋皮膚薬の市場で8%のシェアとなる。
Stiefel 製品が9億ドル、 GSK製品が5.5億ドルとなっている。

統合により、Stiefel 製品は特にブラジル、ロシア、インド、中国、日本などでGSKのグローバルな販売ルートを利用でき、GSK製品はStiefel の皮膚薬専門の販売力、医者との関係などを利用できる。


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