「no」と一致するもの

中国でMTO(Methanol-to-Olefin)計画が相次いでいる。

中国陝西省楡林(Yulin)市の楡横工業園(Yuheng Industrial Park)で11月に2つの石炭化学計画がスタートした。

1.陝西新興煤化工公司(Shaanxi Xinxing Coal Chemicals )

; 
  第一期 最終
原料 石炭
製品 メタノール 60万トン
オレフィン 60万トン
PE     10万トン
PP     10万トン
Methanol-to-Olefin 300万トン
スタート 2009年  
投資額 625百万ドル 27.5億ドル
技術 DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 開発:Dalian Institute of Chemistry and Physics (DICP), CAS 
 中国科学院大連化学物理研究所

2.Zhonghua Yiye Energy Investment Co. (中化益業エネルギー投資)

; 
  第一期 最終
原料 石炭
製品 メタノール 60万トン
(+火力発電所)
メタノール 240万トン
オレフィン  80万トン
スタート 2009年  
投資額 288百万ドル  
技術 GEの石炭ガス化技術(旧テキサコ技術)

Zhonghua Yiye Energy Investment香港のBenefit Sales Investment Company と中国の主要ケミカルエンジニアリング会社のChina National Chemical Engineering Group Corp との合弁会社。

このほか、来年には楡林市でもう一つの計画がスタートする。

3.JV Sino Biopharmaceutical Ltd 43%出資)

原料 石炭
製品 メタノール  60万トン
エチレン   10万トン
プロピレン  10万トン
スタート 2009年末
投資額 632百万ドル
技術 DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 開発:
Shannxi New Coal Chemical Science Technology Development Company Ltd
      (JVに5%出資)

ーーー

一方、SINOPECはこのほど、四川省達州(Dazhou)市政府との間で、大規模メタノールとMTO(methanol-to-olefin) 建設の覚書に調印した。

中国では石炭ベースのMTO計画が一般的だが、達州市にはSINOPEC所有の巨大な普光(Puguang
ガス田があるため、本計画では天然ガスをベースとする。2007年中に建設を開始する。

原料 天然ガス
製品 メタノール 180万トン
オレフィン  60万トン
投資額 約10億ドル
技術 MTO技術
 開発:SINOPEC傘下の石油精製研究所(Research Institute of Petroleum Processing)
又は、
DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 開発:Dalian Institute of Chemistry and Physics (DICP), CAS 

普光ガス田の埋蔵量は3500億m3で、SINOPECでは今後、四川省の天然ガス採集と利用のため88億ドル以上を投入するとしている。

 

 

農薬メーカー、SDS バイオテックとSDS Biotech は日本と米国で、いずれも昭和電工とDiamond Shamrock の合弁会社として生まれた。SDSの名前は昭電のSDとDiamond ShamrockのDSから取っている。両社はその後、複雑な展開をたどった。

Diamond Shamrock のオリジンは1910年に硝子メーカーがソーダ製造のためにピッツバーグに設立した Diamond Alkali で、その後、コークス、セメント、塩素、プラスチック、農薬と多角化した。
同社は1967年に石油会社等に買収されるのを恐れ、Shamrock Oil and Gas 社と合併し、Diamond Shamrock と改称した。1983年には当時の独立系最大の給油所チェーンの
Sigmor と合併している。

Diamond Shamrock は殺菌剤ダコニールを開発した。同社は日本での製造販売を目的に、1968年に原料となる化学品を製造していた昭和電工との50/50合弁会社として昭和ダイヤモンド化学を設立した。

1983年、昭和電工とDiamond Shamrock は農薬・動物薬事業における全世界での提携を発表した。
米国に50/50JVの
SDS Biotechを設立し、Diamond Shamrockの農薬・動物薬事業(米国の2工場のほか、世界に13ある関係会社を含む)を引き継いだ。日本の昭和ダイヤモンド化学はSDSバイオテックと改称し、昭電から農薬事業を譲受けた。
昭電のもつ技術力、マーケティング力などを取り入れることによって、バイオテクロノジーを駆使した新製品の開発や事業内容の拡大に取り組み世界でトップクラスの農薬・動物薬メーカーを目指すとした。

1988年に住友化学はシェブロンとの50/50の農薬JV、Valent U.S.A.を設立しているが、これが住友化学の開発した農薬を米国で開発、販売するためのものであるのに対し、SDS Biotechの場合は昭電の農薬を米国で販売するのを狙ったものではなかった。日本に於ける協力関係を海外にも展開しようとしたものだが、客観的にみると、資金繰りに困っていた Diamond Shamrock が昭電の資金を取り込んだものと言える。

同社の前身のDiamond Alkali は1943から1968年の間、New Jersey Newark 市のPassaic Riverの川岸の工場で、2,4,5-trichlorophenol (2,4,5-T) などの製品を製造していた。EPAと州は工場内外で大量のダイオキシンを検出し、New ArkのLove Canal」として大問題になり、1983年に工場閉鎖命令が出された。
(ベトナム戦争中に米軍によって撒かれた枯葉剤は軍の委託によりDiamopnd Shamrock、Dow、Hercules、Monsantoなどにより製造され、オレンジ剤、ホワイト剤、ブルー剤の3種類があった。その内の6割が 2,4-D2,4,5-T を混合したオレンジ剤と呼ばれるものであり、不純物としてダイオキシン類等を含んでいた。)
Diamond Shamrock 1984 年にダイオキシンに汚染された工場の汚染除去を約束、1985年にはエネルギー価格値下がりもあり、605百万ドルの赤字を計上している。更に、Superfund Lawでは汚染者は汚染した川の汚染除去の義務も有する。

SDS Biotech設立で昭電の資金を取り込んだが、Diamond Shamrock は事業継続が困難となり、化学品部門の売却を余儀なくされた。
昭電としては設立目的からして国外のSDS Biotechを取得する意味はなく、1985年に日本の
SDSバイオテックのDiamond Shamrock 持株を買収して100%子会社にするのと引き換えに、SDS Biotech 持株を売却した。

Diamond Shamrock はSDS Biotechを100%子会社とした上で、同年、スウェーデンのFermente Plant Protectionに売却した。

1986T. Boone Pickens Diamond Shamrock の乗っ取りを仕掛けた。防衛策として同社は旧ShamrockとSigmorの石油部門を分離し、石油採掘をMaxus、石油精製・販売をDiamond Shamrock Refining and Marketing Company とした。Maxusは1995年にアルゼンチンのYPFに買収された。精製・販売会社は1990年にDiamond Sharock 名に戻っている。

残る化学部門はOccidental Chemical が買収した。
Occidental はSuperfund Lawにより汚染した川の汚染除去の義務を引き継いだが、事業収益を取り込みながら、義務を果たさず問題となった。Occidental はLove Canal 汚染のHooker Chemical を1968年に買収しているが、莫大な政治献金の見返りに義務を免れている。

なお、Diamond Shamrock のイオン交換樹脂・キレート樹脂事業は、Rohm & Haasが買収している。

Fermenteは1990年にSDS Biotech を石原産業に売却した。
Fermenteは売却理由としてスウェーデンの税制改正を挙げている。累積損失の繰越が認められなくなるため、改正までに1億ドル以上ある累積損失を消すため黒字計上が必要になったという。

石原産業は1991年に米国の関係会社の統括管理のため、ISK Americas, Inc. を設立、買収したSDS Biotech をISK Biosciences と改称した。

1998年2月、石原産業は「農薬事業戦略再構築の一環として」ISK Biosciences を ICI から独立したZenecaに売却した。同時に石原産業は同社の開発した主力製品のアジア・パシフィックを除く世界市場における販売権をZenecaに供与した。
子会社売却及びディストリビューション権の対価として石原産業はZenecaから総額5億ドルを受領、新規製品の開発及び販売・生産体制の整備・強化、並びに社債償還を中心とした財務体質強化に充当した。

Zenecaはその後、1999年にスウェーデンのAstra と合併してAstraZeneca となり、2000年に農薬部門を分離し、Novartis(SandozとCiba Geigyが統合)の種子部門と合併してSyngentaとなった。

現在、SDS Biotech はSyngenta の1部門となっている。

ーーーー

他方、日本ではSDSバイオテックは昭和電工の100%子会社となったが、1986年にSandoz との50/50JVとし、Sanoz 製品の販売を加えた。その後、1997年にSandozとCiba Geigy が合併してNovartis となったが、1998年にNovartis が資本を引き上げ、昭電100%に戻った。

その後、2001年には中外製薬から農薬事業(水稲・芝用除草剤)を、2003年には宇部興産から農薬事業(殺菌剤)を買収している。

2005年3月、昭和電工はSDS バイオテックをMBOの手法で分離・独立させることを決定したと発表した。
現在、同社はみずほフィナンシャルグループの中核投資会社である「みずほキャピタルパートナーズ」が運営するMBOファンド「MH Capital Partners Ⅱ,LP」が83.1%、昭和電工が14.9%を出資している。

「みずほキャピタルパートナーズ」はSDSバイオテックが農薬等の原体・製品に関する開発、生産および販売までの一貫体制を有し、業界の中でもトップクラスの原体保有数を誇るだけでなく、
① 有力な主力原体を持ち安定したキャッシュフローを創出できること
② 国内外のメーカーと連携した商品開発に強いこと
などから、今後単体でも十分成長が見込まれるビジネス基盤を有すると判断し、MBOによる独立を支援することとした。
今後、収益および業容の拡大を図り、3年程度での株式公開の実現を目指すとしている。



イランで最初の民間の石油化学プラントが完成した。Rejal Petrochemical Ali Mohammad Rejali 社長が11月25日に報道機関に伝えた。翌週のImam Reza (AS) の誕生日に合わせて操業をスタートさせる。

Isfahan に本拠を置く Rejal Petrochemical (当初名 Regal Petrochemical) Khuzestan Mahshahr 市(Bandar Imamの北隣)に第1期として年産 9万トンのPPプラントを建設していた。ドイツから技術を導入し、イラン企業が設計から建設までを担当した。投資額は約125億円。
原料プロピレンはBandar Imam Petrochemical Complex から供給を受ける。


この後、第1期中に能力は16万トンに増強される予定で、第2期では最新のmethanol-to-olefins 技術を使用し、メタノールからプロピレンを生産する計画を立てている。

同社では227千㎡の土地を確保しており、このうち、第1期分で127千㎡分を使用している。

同社ではPPは繊維用ほか、幅広い需要があり、PP製造により雇用創出に役立つとしている。


中国でエチレンの増設が相次ぎ完成した。また、新増設の着工も相次いでいる。

蘭州石油化学(増設)

PetroChina の子会社蘭州石油化学の新しいエチレンプラントが10月に甘粛省蘭州市で完成し、11月からオンスペック生産を開始した。

同社は既存エチレン24万トンに対し、当初36万トン能力の増設を検討したが、最終的に45万トンに変更した。その結果、完成後の能力は
69万トンとなった。投資額は約7億9千万ドル。

原料は自社の年1,050万トンのリファイナリーから供給する。

同社の既存及び増設能力は以下の通り。

製品 能力
(千トン)
 増設
エチレン    240   450
butadiene      90
gasoline hydrogenation     340*
HDPE    140  
LDPE     40   200
LLDPE     60  
LL/HD     300
SM     60  
PP     40   300

 Gasoline hydrogenation 340 千トン
  (うちガソリン207.5千トン、C5 92.3千トン、C9 33千トン)

なお、同社では2010年までに、精製能力を1200万トンに、エチレンを100万トンに増設する計画を持っている。

ーーー

茂名石化(増設)

シノペック子会社の茂名石化が広東省茂名市で建設していた年産64万トンのエチレンクラッカーが10月にスタートし、オンスペックとなった。既存の36万トンと合わせ、合計能力を100万トンとした。

製品 能力
(千トン)
増設
エチレン   360  640
HDPE/LLDPE   175  250
LDPE   100  
HDPE    350
MEG   100  
SM   100  
ブタジェン    150
PP   170  300
芳香族   150 →460

25万トンのLDPEは建設中で、2007年第1四半期にスタート。

中国政府はエチレンの中長期育成計画を設定、大規模エチレンの新設を進めるとともに、既存プラント中規模プラントを拡張し、100万トンに近い能力に引き上げる方針。

2006/10/19 「シノペック茂名石化、新エチレンクラッカー稼動」 参照

ーーー

新増設の着工も相次いでいる。

盤錦エチレン(増設)

華錦化工集団(HuajinChem:通称盤錦エチレン)は遼寧省盤錦市のエチレン能力を拡大する。CNPC傘下の建設会社、中国HuanQiu 工程公司と新エチレンプラント建設の契約を締結した。来年3月に鍬入式を行い、2008年末に完成の予定。
当初は現状18万トンに対して30万トンプラントを新設する予定であったが、45万トンプラント新設に変更、完成後能力を
63万トンにする。


華錦化工集団は遼寧省政府所有企業であったが、本年第1四半期に中国北方工業公司(CNGC:China North Industries Group Corporation)に吸収合併された。
 
CNGCは国営企業で主業務は中国軍への兵器納入であるが、民事用の機械、化学品、建設機械、その他も扱っている。新エチレン計画用の原料はCNGCが海外市場から調達すると見られている。

 華錦化工集団は当初のエチレン能力16万トンを昨年末にデボトルネッキングで18万トンにしている。

製品 能力
(千トン)
 増設
エチレン 160→180   450
PE    130   130
SM     75  
PP     70   120
PS     30  
ABS     50  
アンモニア    900  
尿素   1,500  

ーーー

鎮海煉油化工(新設)

シノペック鎮海煉油化工(ZRCC)は6日、浙江省寧波市の鎮海地区で100万トンのエチレンクラッカーの起工式を行った。同社は当初、80万トンの計画を立てたが、後に100万トンに修正した。総投資額は約27億5千万ドルで、2009年末か2010年初めにスタートする予定。

原料ナフサは自社で賄う。同社では対岸の上海ケミカルパークのSECCOの90万トンエチレン用にパイプラインで年間100万トンのナフサを供給しているが、精製能力を年間18.5百万トンから20百万トンに増強したため、問題なしに供給できる。

誘導品計画は以下の通り。
このうち、SM/PO及びPGについては、Lyondell と50/50JVで起業化する予定。既にJVは設立しており、現在政府の認可待ちとなっている。

HDPE/LLDPE  450 千トン
PP  300 千トン
MEG  650 千トン
BTX  500 千トン
Butadiene  150 千トン
SM (jv)  600 千トン
PO (jv)  280 千トン
PG (jv)  100 千トン

ーーー

福建石化計画(新設)

福建石化・石油精製計画は2005年7月に福建省泉州(Quanzhou)の現地で起工式を行ったが、中国の報道によると、80万トンエチレンクラッカーの建設工事が本年11月に始まった。
エチレン技術は
Sinopec Group ABB LUMMUS Global の共同開発技術とのこと。

同計画はExxonMobilが25%、Saudi Aramcoが25%、Fujian Petrochemical (福建煉油)が50%出資。(後者はSinopec 50/福建省政府50のJV)

福建煉油の既存の製油能力を400万トンから1200万トンに拡張するとともに、エチレン80万トンのクラッカー、65万トンのPE、40万トンのPP、100万トンの芳香族プラントを建設するもの。投資額は35億ドル。

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このほか、着工済み、認可済みの新増設計画は次の通り。

CNPC Dushanzi Petrochemical(新疆独山子石化)

  既存 220千トン、増設 1,000千トン 
  
2005/8 着工
  原料ナフサ用の原油は
Kazakhstanからパイプ輸送

CNPC Fushun Petrochemical Co (撫順石化)

  既存 175千トン、増設 800千トン
  2006/3 認可

Sinopec Tianjin Company天津分公司)
  旧称 Sinopec Tianjin United Chemical Co (天津聯合)

  既存 200千トン、増設 1,000千トン
  2006/6着工

Chengdu Petrochemical Co (成都石油化学) (新設)
  PetroChina 51%/成都市 49%

  2006/2着工

エチレン  800千トン
HDPE  300
LLDPE  300
MEG  360
DEG  360
トルエン   90.2
キシレン   60.4
ブタジェン  150
ブチルゴム  150
オキソアルコール  290
アクリル酸  190
アクリレート  220
フェノール  180
アセトン  110
BPA  130

Chinac2centernew_1

Bayerは子会社H.C. Starck を入札方式により売却先を選定していたが、投資会社の Advent International Carlyle Group に売却することに決めた。売却金額は12億ユーロで、うち7億ユーロ強を現金払い、残りを債務引継ぎとする。収入は Schering 買収費用に充てる。

H.C. Starck タングステン、モリブデン等の希少金属の粉末及びコンパウンド、セラミック粉末、エレクトロニクス用スペシャリティケミカル等のメーカーで1986年にBayerグループに入った。
日本には
Bayer100%子会社のスタルク株式会社がある。

同社はセルロースメーカーのWolff Walsrode AG とともに、Bayer Chemical グループに属していたが、BayerのPolymers 部門とChemical グループの一部がLANXESS として分離された時にBayer に残り、Bayer MaterialScience subgroup に属していた。

Bayer は本年3月に、子会社のH.C. Starck Wolff Walsrode を売却し、その収入を Schering 買収費用に充てると発表した。両社の属するBayer MaterialScience subgroup ではコアビジネスに集中する。

Schering買収については2006/6/12 「2つの買収劇」 参照

買収したAdvent Internationalは塩ビメーカーのVinnolit の買収をしているほか、Carlyle と共同で塩ビの窓枠やドア材のメーカー HT Troplastを買収している。

Celaneseは11月17日、サウジのSaudi International Petrochemical CompanySipchem)、International Acetyls Company 及び International Vinyl Acetate Company の3社に対し、3社がアルジュベイルで建設中の酢酸と酢ビプラントへの同社の技術・ノウハウの使用禁止を求めてテキサス州で訴訟を行った。

訴えによると、3社はCelaneseの現役及び退職した従業員を採用し、Celaneseの酢酸起業を担当して熟知している設計、建設会社とCelaneseの営業機密に通じている機材メーカーを起用することにより、計画的にCelaneseの情報を悪用して事業を行おうとしているとしている。

これに対し、Sipchemはこれを強く否定し、同社はEastman Chemical と DuPont から技術を導入して設計・建設を行っているとしている。
Sipchem は2004/8月に DuPont と酢ビ技術導入の、2005/5月に Eastman Chemical と酢酸技術導入の契約を締結している。

背景には次の事情がある。

ーーー

Celaneseは1987年にHoechstに吸収された子会社となったが、2004年に米投資会社ブラックストーン・グループによるTOBで買収された。酢酸のトップメーカーで、子会社にエンジニアリングプラスチックのTiconaを持っている。

ブラックストーン・グループは同じ2004年10月に、欧州の酢酸メーカーのAcetex Corporation の買収の契約を締結、これをCelaneseに統合した。

Acetexは買収に先立ち、2004年4月にサウジの National Petrochemical Industrialization Company (TASNEE Petrochemicals) との間で、年産500千トンの酢酸、275千トンの酢ビモノマー、180万トンのメタノールプラントをジュベイルに建設する契約を締結した。建設費10億ドルで、2007年スタートを目指した。Acetexは酢酸、酢ビJVには50%、メタノールJVには25%の出資を予定した。Acetexは酢酸、酢ビの販売を受け持ち、自社の事業と合わせてグローバルな販売組織の構築を考えていた。

Tasnee Petrochemicals ワリード・ビン・タラール王子の投資・持株会社が筆頭株主であるNational Industrialization Company (NIC) が51%を所有し、ほかに、Bahrain, Kuwait, Oman, Qatar, Saudi Arabia,United Arab Emirates.の湾岸6カ国が均等出資する Gulf Investment Corporation (GIC)  Saudi Pharmaceutical & Medical Appliances Co. (SPIMACO) KuwaitNational Industries Group (NIG)、サウジのAl-Olayan Financing Co.が出資している。

ブラックストーン・グループはAcetex の買収に当たり、本計画に大いに期待していた。

ーーーー

2005年6月、サウジのSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) Helm Arabia Gmbh & Co との間で合弁会社設立を発表した。ジュベイルに年産460千トンの酢酸と、300千トンの酢ビモノマープラントを建設するというもの。
Celaneseの訴状にあるInternational Acetyls Companyはこの酢酸製造、International Vinyl Acetate Companyは酢ビ製造のJVである。

JV製品の販売は中東はSipchem、それ以外はHelm Arabia が担当する。
Sipchemによれば、酢酸と酢ビプラント建設はFluor Canada、原料一酸化炭素プラント建設はドイツのLurgi AG とフランスのAirLiquide のJVが担当する。.

SipchemはSahara Petrochemical Companyなどを持つAl-Zamil Group11%出資し、他にサウジや湾岸諸国の投資家が出資している。
Sipchemは三井物産、三菱商事、ダイセル、飯野海運が出資する
Japan-Arabia Methanol Co と共同で International Methanol company を設立し、年産
100万トンのメタノールを生産している。

Tasnee 及び Al-Zamilについては 2006/5/13 「サウジの民間ポリオレフィン計画
」参照
メタノール計画については 2006/3/31 「サウジ・メタノール計画
」 参照

JV 相手先にどうしてHelm Arabiaを選んだかは不明である。
Helm Arabia はこの事業のために設立されたJVで、一方はドイツの化学品商社
Helm AGで、もう一方はフランスの会社で防衛、航空、保安等の分野向けのエレクトロニクスとシステムを扱うThales である。Thales は30年以上、サウジで活動している。

ーーーー

Celanese(旧Acetex)とTASNEEのJV計画はその後、延期された。

2006年3月期末のTASNEE の株主報告書では以下の通り述べている。
「酢酸・メタノール計画は建設業者・部品供給者に関する問題で一時的に延期することで
Celaneseと合意している」

これまでAcetex かCelaneseが使っていた建設業者(Fluor Canada ?) と部品供給者をSipchem が引き抜いたと思われ、今回の訴訟に繋がったと見られる。


南京の南京ケミカルパークで11月9日、「南京GPRO錦湖石化」のPO計画の建設がスタートした。
本年7月に韓国の錦湖石化と江蘇金浦集團
Jiangsu GPRO Groupが50/50合弁会社設立の覚書を締結し、9月に契約を締結した。

第1期として、2億ドルの投資で、
塩素法PO 年産100千トン、PPG 50千トンと苛性ソーダ100千トンのプラントを建設する。2008年稼動の予定。
錦湖石化は韓国蔚山のSKコンプレックスでPPG 45千トンを生産している。

本計画は錦湖石化にとって中国での2番目のプロジェクト。

同社は2000年10月に上海に
Shanghai Sunny New Technology Development との50/50JVShanghai Kumho Sunny Plastics を設立し、スチレン系樹脂、アロイ(難燃ABS、耐熱性ABSPS/ABSアロイ、グラスファイバー強化ABSPBT/ABSアロイ、PC/PBTアロイ等)を製造している。

同社は引き続き中国での生産を検討している。

ーーー

錦湖石化は韓国の合成ゴム、合成樹脂(スチレン系)、ゴム薬、電子材料(フォトレジスト等)のメーカーで、日本企業との次のJVを持つ。

・Kumho P&B Chemicals (旧称 Kumho Shell Chemical)
  設立 :1976/4
  立地 :麗川
  出資 :錦湖石化 51%/新日鐵化学 49% (当初錦湖とShellとのJV)
  能力  :キュメン 420千トン(2005/4増強完成後)
       フェノール 280千トン
       ビスフェノールA  135千トン

・Kumho Polychem (旧称 Kumho E.P.Rubber )
  設立 :1985/1
  立地 :麗川
  出資 :錦湖石化 50%/JSR 50% (2006)
        当初 KUMHO 50%、JSR 35%、EXXON 15%
  能力 :EPDM 50千トン(当初 13千トン→20千トン、2期 30千トン)
       2007/8月に78千トンに増強する。

・Kumho Mitsui Chemicals
  設立 :1989/3 
  立地 :麗川
  出資 :錦湖石化 50%/三井武田ケミカル 50%
  能力 :MDI 60千トン(当初 50千トン)

ーーー

錦湖石化の提携先の江蘇金浦集團は江蘇省南京市に本拠を置く化学会社で、従業員3,000人。プロピレンオキサイド、ポリエーテル、PP、ガソリン添加剤、潤滑油、酸化チタン等々を生産している。

同社は2005年に南京市に、同社40%/Sinopec揚子石化 60%のJV、揚子石化金浦橡膠YPC-GPRO Rubber)を設立し、南京ケミカルパークにSBR プラントを建設中(第1期 100千トン、計画では第2期として+100千トン)

BASFは21日、BASFとダウが欧州で共同でワールドクラスのTDIとその原料プラントを建設するFSを実施することを決めたと発表した。TDIの能力は世界最大の30万トンで、2011年スタートを見込んでいる。FSでは立地、技術、インフラ等を検討する。

BASFとダウは共同で30万トンの過酸化水素法PO(HPPO)工場建設を決め、9月にアントワープのBASF工場内で起工式を行っている。両社はアジアなど他の地域でのHPPOの共同生産も検討している。
今回のTDIでの共同事業はこれに次ぐ両社の提携。

2006/3/24 「ダウとBASF、POを新製法で生産」 参照

ーーー

BASFのTDIの製造拠点は以下の通り。

ドイツ Schwarzheide   70,000 t  
米国 Geismar   160,000 t  2002年に120千トンプラントをreplace
韓国 麗川   140,000 t  2003年稼動
中国 上海   160,000 t  Shanghai BASF Polyurethane Co., Ltd.

Shanghaitdi 中国ではBASFはHuntsman 及び中国側とのJVで上海にイソシアネート・コンプレックスを建設した。
同コンプレックスは次の3つのJVから成っており、2006年に稼動。

BASFはTDIとMDIに、ハンツマンはMDIのみに参加している。
BASFは2005年7月付けで、ハンツマンから世界全体のTDIの商権を買収した。製造設備や人員は移さず、TDIの需要家リストと販売契約を移管した。

ーーー

これに対してダウはTDIについては消極的である。

米国 
Freeport
  100,000 t  他の系列の 59千トンは2001年に休止、2006/3 停止決定
イタリー 
Porto Marghera
  118,000 t  旧 EniChemプラント、2006/8 停止決定
ブラジル Camacari   64,000 t  他に、MDI 25千トンのTDI転換計画があったが、取り止め

ダウは2001年に需給状況を勘案して Freeport の2系列のうち、第一系列 59千トンの休止を決めた。(2006年3月には停止を決定している)
これと同時に、休止していたブラジルの25千トンのMDIプラントをTDIに転換する計画も取り止めている。

2001年にダウはイタリアのENI と契約を結んだ。
ENI とUCCは50/50のPEのJV、Polymeri Europe を持っていたが、ダウによるUCCの吸収合併に伴い、UCCのPolimeri持分をENI に譲渡し ENI 100%とする代わりに、ENIのポリウレタン事業を譲り受けた。

ENIから譲り受けたPorto Marghera 工場は本年8月初めに定期修理に入ったが、世界的な供給過剰により市況が弱含みなため、ダウでは生産を再開しないことを決めた。
2006/9/7 「ダウ、3工場の7プラント閉鎖」 参照 

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これらから見ると、ダウの側には積極的にTDI事業を拡大しようとする意欲は見られない。BASF側もドイツの既存能力は7万トンに過ぎず、今回、30万トンを新設する理由が不明である。

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なお、BASFの他のポリウレタン事業は以下の通り。

MDI ベルギー Antwerp   450,000t  2007年に560千トンに増設
米国 Geismar   260,000 t  
韓国 麗川   160,000 t  100千トンから順次増設
中国 上海   240,000 t  Shanghai Lianheng Isocyanate Co., Ltd.(上記参照)
Polyether polyols      510,000 t  米(2)、メキシコ、アルゼンチン、ベルギー、ドイツ、韓国
Polyester polyols     115,000 t  独、伊、ブラジル、韓国

ダウもMDIについては精力的で、本年9月に、ポルトガルのEstarreja でのMDIの増設を決めたと発表した。2009年にこれが完成すると、同社の世界全体のMDI能力を大きく増大させ、現在世界で360万トンと見込まれる旺盛な需要に対応できるとしている。

同社は本年テキサスのFreeportで最新鋭の227千トンのMDIプラントを完成させている。これに伴い、テキサスの LaPorte工場の同能力のプラントを停止する。

また同社は天然油ポリオール(Natural Oil Polyols) の開発に成功している。
2006/10/5 「
ダウ、天然油ポリオール開発に成功」参照

 

サンフランシスコ市は環境問題で2つの規制を相次いで実施する。

・本年12月1日から、フタル酸とビスフェノールAを含む幼児用製品の製造・流通・販売が禁止される。
・来年
6月からレストラン等での発泡ポリスチレン容器の使用が禁止される。

 

フタル酸とビスフェノールAの規制は6月に市の健康条例( Health Code )を120対6の大差で修正したもので、環境ホルモン対策として幼児用製品での使用を禁止するもの。米国で初めての禁止条例。

フタル酸については、DINP, DIDPDnOP を0.1%以上含む3歳以下の幼児用の玩具や幼児用製品、DEHP, DBPBBP を0.1%以上含む玩具や幼児用製品(年令制限なし)の製造、流通、販売が禁止される。

ビスフェノールAについては、3歳以下の幼児用の玩具や幼児用製品でビスフェノールAを含む製品の製造、流通、販売が禁止となる。ビスフェノールAについては含有量の規定はなく、少しでも含有されれば禁止となる。

禁止対象には次ぎのようなものがある。

 フタル酸
  ・
Little Remedies Little Teethers (おしゃぶり)
  ・
Goldberger's Fuzzy Fleece Baby doll の顔
  ・
Walgreens store で売られているゴム製のアヒル

 ビスフェノールA
  ・Disney
製のBaby Einstein rattle(ガラガラ)のリング
  ・Munchkin
製の Fun Ice Soothing Ring teether (おしゃぶり)
  ・Random House
の耐水性絵本のプラスチックカバー
  ・Walgreen-brand
の哺乳瓶
  ・Goldberger doll.
の顔
  ・My Little Pony toy
(フタル酸も含む)

フタル酸メーカーやビスフェノールAメーカーは、低濃度のフタル酸、ビスフェノールAは問題ないとして反論している。

玩具メーカーやこれに影響を受けるメーカーは、製品は何十年も安全に使用されているとして法律敗退の訴訟を行っており、1月に審問が予定されている。

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レストラン等での発泡ポリスチレン容器の使用禁止は6月にFood Service Waste Reduction Act として提出されたもので、理事会の一回目審議では満場一致で賛成を得た。

使い捨ての発泡ポリスチレン容器はリサイクルされず大量のゴミとなっているほか、破片が魚や野生動物に害を与えるというのが理由。
条例ではレストランや食品の売店、市の設備等が対象で、使い捨てや持ち帰り用のPS製の皿、椀、トレイ、カートン、カップ、スプーン、フォークなどの使用を禁止する。食料品店で売る肉や魚の発泡PS容器は規制の対象外となっている。

法律は来年1月施行だが、付則で容器の在庫があるレストランには来年6月1日から適用される。

米国では同じカリフォルニア州のバークレー市が20年前から禁止しており、オークランド市は来年1月に禁止条例を施行する。

更に法律では、コストがこれまでより15%以上高くならない場合には、生分解性容器やコンポスト化やリサイクルが可能な容器を使用することを義務付けている。(オークランドの条例では「コストが高くない限り」となっている)

この条項により、発泡PSだけでなく、PPやPVC製の容器も同様に影響を受けることとなる。

カリフォルニア・レストラン協会やポリスチレン容器協会は反対しているが、ゴールデンゲート・レストラン協会は「ほとんどの会員が何年も前から使用を中止しており、グリーンなサンフラシスコを誇りとしているため反対できない」としてこれに賛成しており、法律反対の訴訟は難しいと見られている。

カリフォルニア州の廃棄物管理委員会によると、配水管から回収されるゴミの15%が発泡PSとなっており、リサイクルされない食品容器の禁止の動きが強まっている。

Sinopecは8日、四川省成都市政府とBio-energy Project の基本契約に調印した。Jatropha

両者は四川省のエネルギー需要に対応するため、2006年~10年の間に年産60万トンの燃料用アルコールと、年産10万トンのバイオディーゼル生産設備を建設する。

四川省ではbatata(サツマイモ)やjatropha(ジャトロファ豆)が豊富にあるため、batataを燃料用アルコールの原料に、jatropha をバイオディーゼルの原料に使用する。

jatropha は南アフリカやインドなど広範囲に自生し、乾燥地帯のやせた土地でも生育する。油脂原料としても使用されている。インドではバイオディーゼルの原料として注目されている。
http://www.biomass-hq.jp/foreign/pdf/biomass_india.pdf (写真も)

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中国財政部はこのほど、生物エネルギーと生物化学工業の発展に向けた財政バックアップ政策をスタートさせた。

現在、中国国内の燃料エタノール生産能力は年間102万トンで、ここから年間1,020万トンの生物資源由来のエタノール混合ガソリンが生産されている。同ガソリンの消費量は国内のガソリン消費量全体の20%に達しており、中国はブラジル、米国に次ぐ世界3位の燃料エタノール生産・消費国となっている。

国家発展改革委員会の計画では、生物資源由来のエタノール混合ガソリンの消費量が、2010年には国内のガソリン消費量全体の半数以上を占める見込み。

また科学技術部は、第11次五カ年計画期間に1億5千万元を投じて、国の科学技術支援改革の重大プロジェクトである「農林生物プロジェクト」を実施する。生物エネルギーと生物化学工業の研究・開発を中心に進め、生物エネルギー産業に技術的支援を提供するのが狙い。

 

曽培炎副総理(中国共産党中央政治局委員)は20日、代替エネルギー開発事業の発展に関する会議を招集し、次のように指摘した。
従来型エネルギーから新エネルギーに、稀少エネルギーから優勢エネルギーに、化石燃料から再生可能エネルギーにそれぞれ替えるとの構想に従い、エネルギー構造に占める代替エネルギーの割合を段階的に高めていくことが必要だ。
当面は
▽自動車燃料と石油代替品を重点的に発展させ、石炭液化、石炭によるメチルアルコール・ジメチルエーテル・アルケンの生産、石炭利用ポリジェネレーション技術のモデル試験と応用開発をしっかりと実施する
▽アルコール燃料とバイオディーゼルを積極的に発展させる
▽メタンガス・太陽エネルギー・風力エネルギー・水力発電・地熱などの再生可能エネルギーの発展に力を入れ、化石燃料への依存をできるだけ減らし、汚染物質の排出を削減する――ことが必要だ。

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