「no」と一致するもの

シノペック子会社の茂名石化が広東省茂名市で建設していた年産64万トンのエチレンクラッカーがこのほどスタートし、オンスペックとなった。既存の36万トンと合わせ、合計能力を100万トンとした。Maoming

茂名石化は広東省西部に位置する石油精製と石油化学の統合基地で、石油精製能力は年産1350万トンでエチレン能力は360千トンであった。
これまでの誘導品能力はHDPE/LLDPEが175千トン、LDPEが100千トン、MEGが100千トン、SM 100千トン、PP 170千トン、芳香族 150千トンであった。

同社は2003年に新クラッカーの建設承認を得て2004年12月に建設を開始した。当初は既存の36万トンエチレンを80万トンに拡張する計画であったが、のちに計画を変更した。

本年8月には新しい年産120万トンの接触改質装置が稼動した。また260万トンのガスオイル水添脱硫装置も稼動した。
エチレン増設とともに、誘導品の増設も行っており、新設のHDPE 350千トン、PP 300千トン、ブタジェン 150千トンが既に稼動しており、芳香族も 150千トンから 460 千トンに拡張した。更にLDPE 250千トンを建設中で、2007年第1四半期にスタートの予定。

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中国政府はエチレンの大型化を推進している。
2005年12月、発展改革委員会(NDRC)は「産業構造の調整促進のための暫定規定」と「産業構造調整指導リスト」を公表した。このうち「指導リスト」は、産業分野を奨励対象、規制対象、
淘汰対象の3種に分類している。

エチレンでは年産600千トン未満の計画を「規制対象」とし、逆に「奨励対象」には大型エチレン計画(東部、沿岸地域では800千トン以上、西部地区では600千トン以上)及び既存エチレンプラントの拡張計画を挙げている。(誘導品についても大型化を奨励している。)

NDRC はまた、本年3月に第11次5カ年計画での「エチレン工業中長期育成計画」を発表した。それによると、中国は2010年までに既存プラントの増設と新規計画により 1,060万トンの能力増を行うこととなる本年1月スタートの中海シェル計画や着工・承認済みの計画を含む)。2005年末の能力が 780万トンであるため、この通りいけば2010年末には1,840万トンになるということになる。

既存プラントの増設については、例えば本件や上海石化
の増設のほか、撫順石化175千トン)のような中規模プラントも拡張し、100万トンに近い能力に引き上げ、既存プラントの能力を2010年までに438万トン増やすとしている。
上海石化は既存の2系列(150千トン&700千トン)のうち、三菱化学技術の第1系列をS&Bで 550-600千トンにすることが計画されている。遼寧省の撫順石化(エチレン175千トン)は800千トンの増設を実施中。

新設については中海シェル計画のような大規模エチレンを7基、合計620万トンを新設する。揚子江デルタ、珠江デルタ、渤海湾地域が2010年には全国のエチレンの60%以上を占めることとなり、同時に新疆、甘肅、四川、湖北省など中西部地区にも大型エチレンが建設されるとしている。

このほか、「育成計画」では、規模の経済と原料問題を提起し、エチレン新設の場合、能力は80万トン以上とすること、製油所との結合で原料入手を確実にし、新計画の原料の75%以上を自給することとしている。
さらにエチレンメーカーに他の原料ソース、例えば、Sinopec傘下の石油化工科学研究院が開発した深度接触分解法
Deep Catalytic CrackingFCCや、石炭→メタノール・メタノール→オレフィンMTOを探求することを求めている。

Akzo Nobel は12日、中国寧波市の鎮海地区にある寧波化学産業区との間で工場新設の覚書を締結した。Akzo Nobel としては世界最大の50ヘクタールの土地を確保した。Zrcc

詳細は来年はじめに発表するが、エチレンアミンやキレート剤、有機過酸化物等を生産する。

同社は寧波にポリマー化触媒とパウダーコーティングの2工場を持っているほか、寧波化学産業区にはシノペック鎮海煉油化工が年産100万トンのエチレンクラッカーを建設中で、いろいろの原料を入手しやすいことから同地を選択した。

 

オランダの化学大手アクゾノーベルは、オランダの化学・医薬品のアクゾ1886年設立)とスウェーデンの化学大手ノーベル1871年設立)が1994年に合併して誕生した。

事業部門はコーティング、化学、医薬品の3事業体制で、世界60ヵ国以上で事業展開している。コーティング事業では世界最大手である。

2004年事業部門別売上シェア
  コーティング 41%、化学 34%、医薬品 25%

地域別では、ユーロ圏 38%、その他欧州 20%、北米 19%、アジア 12%、その他 11%と、欧州が圧倒的な主力市場であるが、中国を世界で最も重要な急成長市場として位置づけ、同社の成長計画の中で主導的な役割を果たすとしている。同社では2010年までに中国での売上高10億ドルにするとしている。

同社の中国での活動は以下の通り。

 従業員数  約3,700人
 売上高(2004年) 6億5,500万ドル
  うちコーティング 66%
    化学     
 27%
     医薬品     6%

コーティング事業

製品部門   工場
Akzo Nobel Car Refinishes 修理工場向け自動車塗料、その他  蘇州
Casco(Akzo Nobel Industrial Products 接着剤  
Akzo Nobel Changcheng Powder Coating Powder Coating 蘇州、北京、深セン、廊坊、寧波
Akzo Nobel Decorative Coatings 内装、外装用化粧塗料 蘇州
Akzo Nobel Marine Coatings 船舶用コーティング剤 上海浦東
Akzo Nobel Protecitive Coatings 保護コーティング剤(建造物 上海浦東
Akzo Nobel Wood Coatings 木製家具用コーティング剤 東莞、天津、嘉興
Akzo Nobel Coil Coatings 鉄鋼用コーティング剤(下塗り済み) 蘇州
Akzo Nobel Non-Stick Coatings ライパン、調理器具用 非接着性コーティング剤 東莞、天津

  2005年9月、エマルジョンペンキ最大手の広州のGuangzhou Toide Paint Manufacturing との間で、
  同社のコーティング事業の買収で合意

化学事業

製品部門 内容 工場
Akzo Nobel Polymer Chemical   有機過酸化物、金属製アルキレート、ポリマー化触媒   天津(2工場)、寧波 
Eka Chemicals   パルプ、製紙用化学製品  蘇州、封開 
Akzo Nobel Functional Chemicals MCA  モノアセチンクロロ酸  泰興 
Akzo Nobel Functional Chemials CC   クロリンクロライド(家畜飼料用ビタミン添加剤)  宣興 
Akzo Nobel Resins   自動車向けOEM コーティング用合成樹脂  蘇州 

医薬品

1992年に Nanjing Organon Pharmaceuticalを設立。経口避妊薬が好調。


参考資料
JETRO 2006/5 「欧州企業の中国戦略」
 
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20060517405-news/05001227_001_BUP_0.pdf

Eastman とWestlake Chemical は10日、Eastman がポリエチレン事業をWestlake Chemical に売却することで合意したと発表した。売却するのはポリエチレン事業、Epolene polymer ポリオレフィンワックス:接着剤、コーティング材料)事業とエチレンパイプラインで、売却額は255百万ドル。この事業の2005年の売上高は約680百万ドル。

Eastman としては、ポリエチレン事業そのものは順調だが、原料エチレン設備が古く競争力がないため、エチレンに強い相手に売却するとともに、老朽エチレン設備の廃棄でコスト競争力を高め、他のエチレン誘導品の維持を図るとしている。Eastmanwestlake


売却するのはテキサス州 Longview
ダラス東方のポリエチレン工場LDPE 320千トン、LLDPE 190千トンとポリオレフィンワックス工場、及びLongview とMont Belvieuヒューストン近郊との 間の200マイルのエチレンパイプライン。

Westlakeはルイジアナ州 Lake Charles
近郊のWestlakeLDPE 390千トン、LLDPE 250千トンの合計640千トンをもっており、今回の買収により合計能力は 1,150千トンとなる。Westlakeはまた、アクリレートコポリマーやEpolene polymerLLDPEEnergx などの技術も取得する。

工場は引き続き Eastman が操業を受託する。

Westlakeではこの取得により北米のポリエチレン市場での力を強化するものとしている。

Eastman のLongview 工場のエチレン能力は4プラント合計780千トンで、2007年から順次、老朽化した3プラントを廃棄する。残る1プラントの能力は359千トン。

Westlake Chemical は台湾資本で、ルイジアナ州にエチレン109万トンのほか、LDPE、LLDPE、SMを、またケンタッキー州にエチレン、塩素、VCM、PVCを、ルイジアナ州Geismarには破産したBorden Chemicals and Plastics から買収したVCM、PVCプラントを持っている。

2006/9/16 「Westlake Chemical、20周年」 参照



ノーベル生理学・医学賞は米スタンフォード大学のAndrew Z. Fire教授と米マサチューセッツ大学のCraig C. Mello教授が受賞した。Dnarna
授賞理由は「RNA干渉―二本鎖構造のRNAによる遺伝子の沈黙」で、遺伝子情報からたんぱく質を作る過程が、どのような場合に妨げられるかを解明した。遺伝子の機能を最適に制御する上で大きな役割を果たしている。生物を有害なウイルスの感染から守るのにも役立っており、遺伝子組み換えによる品種改良や新薬開発などへの応用が期待されている。 

2006年のノーベル化学賞は米国スタンフォード大学医学部のRoger D. Kornberg 教授が受賞した。
授賞理由は「真核生物の転写についての分子的基盤に関する研究」で、細胞の遺伝情報が読み取られる仕組み(細胞に核を持つ真核生物のDNAにある遺伝情報を、伝達役であるRNA:リボ核酸が写し取り、それを基にタンパク質が合成される仕組み)を解明した。
RNAポリメラーゼは、DNAの二重らせんの必要な部分をほどき、ばねのような構造で少しずつDNAを動かしながら、遺伝情報の文字(塩基)を一つずつ読み込んで、mRNAを作ってゆく。1文字分の極めて小さい空洞を作り、適切な部品をはめてゆく仕組みで、間違った部品は型が合わずはまらない。
遺伝情報の転写ミスと関係があるとされているがんや心臓病、炎症などの研究にも役立ったと評価された。

ーーーー

2006年のイグ・ノーベル賞(The Ig Nobel )授賞式は5日、米ハーバード大サンダース講堂で行われた。
ignoble(=nobleでない)とNobel をかけたもので、「人を笑わせ考えさせてくれる研究」に対して贈られ、裏ノーベル賞といわれている。


イグ・ノーベル賞は1991年、ハーバード大系の科学雑誌「ありそうもない研究」(Improbable Research ・・・Research that makes people LAUGH and then THINK)の編集者Marc Abraham が創設した。

2006年の平和賞には高周波雑音発生装置「Electromechanical Teenager Repellant」、通称「モスキート」を発明した英国のHoward Stapletonが選ばれた。
人間は年をとるに従い、高周波の音が聞き取れなくなる。「モスキート」はこれを利用して、若者しか聞き取れない高周波の雑音を発して、街にたむろするteenagerを追い払うための装置(repellant)として開発された。
しかし、この装置は生徒が教室で先生には聞き取れない着信音で携帯電話を掛け合うのに利用されているのが分かり、問題となった。

医学賞は "digital rectal massage" 触指による直腸マッサージ)がシャックリの確実な治し方である」ことを発見したFrancis Fesmire に贈られた。
急性すい炎を発症して経鼻チューブを挿入された60歳男性が、経鼻チューブがきっかけでしゃっくりが止まらなくなった。しつこいしゃっくりは、チューブを外したり薬物を投与しても止まらなかったが、直腸刺激によって止めることに成功。数時間後に再びしゃっくりが始まった際も、同様に止めることができたという。

栄養学賞は「フンコロガシの食嗜好についての研究」で、フンコロガシが肉食動物よりも草食動物の糞を好み、草食動物の中でも、馬が一番で、続いて羊、ラクダの糞の順に好みがあることを明らかにした。

化学賞は「温度影響を受けるチェダーチーズの超音波速度」だが、タイトルを見てもよく分からない。説明を読んでも同じです。
The ultrasonic velocity in Cheddar cheese is temperature dependent.
This relationship can be used to make corrections when determining ultrasonic texture or to determine mean temperatures in cooling/heating processes. At 0 < T < 35 °C ultrasonic velocity was 1590 to 1696 m/s, at 0 and 35 °C, respectively. Differential Scanning Calorimetry thermograms linked the temperature dependence of ultrasonic velocity to fat melting. Three parts are distinguished in the curve as a consequence of the fat melting and the appearance of free oil. The most reliable temperature interval to carry out ultrasonic measurements in Cheddar cheese is identified as 0 to 17 °C.

ほかに以下の賞が与えられた。

文学賞:「必要性に関係なく用いられる学問的専門用語がもたらす影響についてー不必要に長い単語の使用における問題」、
音響学賞:「黒板をつめで引っかく音をなぜ人間は嫌うかの実験」、
鳥類学賞:「頭を振り続けるキツツキはなぜ頭が痛くならないのか」、
物理学賞:「乾燥スパゲティを曲げると、しばしば二つより多い部分に折れてしまうのはなぜか」、
数学賞:「だれも目を閉じていない集合写真を撮るには、何枚撮影すればいいか」、
生物学賞:「マラリア媒介蚊のメスが、リンブルガー・チーズと人間の足のにおいを好むこと」

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今年は日本人の受賞者はいなかったが、過去に以下の11件の研究がイグ・ノーベル賞を受賞している。

名前 部門            受賞理由
1992 神田不二宏, E. Yagi,
M. Fukuda
K. Nakajima,
T. Ohta and O. Nakata
(資生堂研究センター)
薬学賞 足の匂いの原因となる混合物の解明
1994 気象庁 物理学賞 地震が尾を振るナマズによって引き起こされるかどうかを7年間研究した功績
1995 渡辺茂(慶應義塾大学)
坂本淳子
脇田真清(京都大学)
心理学賞 ハトの絵画弁別(ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別できるようにした)功績
1996 岡村長之助
(岡村化石研究所)
生物学的
多様性賞
岩手県の岩石から古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に超ミニ恐竜化石を発見した功績
(小さな石を顕微鏡で見て超ミニ恐竜化石だと主張して発表)
1997 舞田あき(バンダイ)
横井昭宏(ウィズ)
経済学賞 バーチャルペット(たまごっち)の開発によりバーチャルペットへの労働時間を
費やさせた功績
1997 柳生隆視 他
(関西医科大学)
生物学賞 様々な味のガムをかんでいる人の脳波を研究
1999 牧野武
(セーフティ探偵社)
化学賞 妻や夫の下着に適用して精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発.
2002 佐藤慶太(タカラ社社長)
鈴木松美(日本音響研究所)
小暮規夫(獣医学博士)
平和賞 コンピュータ・ベースでの犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス「バウリンガル」開発
2003 広瀬幸雄 教授
(金沢大学)
化学賞 銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発
2004 井上大佑 平和賞 カラオケを発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供
2005 中松義郎
(ドクター中松) 
栄養学賞  36年間にわたり自分が食べたすべての食事を撮影し、食べ物が頭の働きや体調に与える影響を分析

 

 

 

BASFは北米の事業の強化を進めている。

同社は5、2002年に収益性を高めるため始めた2段階のリストラ計画の第1段階の年間4億ドルの固定費削減計画を、2007央という目標に先立ち達成したと発表した。

2段階として、2006年ー07年に年間5億ドル以上の投資、買収を北米で実施し、利益ある成長路線を追求する。

BASFでは、この間買収した事業(下記)の統合は予定通りスムースに進展しており、合理化、投資、買収を通じて、今やBASFは売上高と収益性の面で北米第二の化学会社になったとし、米国は化学品に関して世界で最大の単一市場であり、BASFはここで一定のシェアを取りたいとしている。

現在北米で実施中の投資計画には以下のものがある。

最新の吸水性樹脂のプラントをテキサス州Freeport に建設中(能力や詳細は非公表)で、2007年央に完成予定。新工場稼動後には現在の2工場( Aberdeen, Miss. Portsmouth, Va.)は停止する。
   
ナイロン中間体プラントを Freeport に建設中で2007年にスタートする。完成後はEnka, North Carolinaのプラントを停止する。
   
Pasadena, Texas60百万ドルを投じて可塑剤プラント増設を実施中で、完成後に新規可塑剤を北米市場で発売する。
   
Geismar, Louisiana でポリオール工場を125百万ドルを投じて増設しており、2008年に稼動する。ここではアルキルエタノールアミンも2007年にスタートする。

買収した事業は次の3つ。

1)Engelhard
BASFは本年6にエンゲルハードを48億ドルで買収した。

BASFは昨年末にエンゲルハードの友好的買収を提案したが拒否されたため、本年1月3日に総額49億ドル(1株当たり37ドル)で買収する敵対的買収を発表した。

これに対してエンゲルハードはBASFに対してオファー価格を引き上げるよう要請し、BASFは38ドルを提案したが、エンゲルハードはこれを拒否したため、4月26日にBASFに対抗して株数の20%相当分について1株45ドルで自社株買いを行うことや、コスト削減策などを決めた。

BASFではこれを受け、5月1日にTOB価格を1株38ドルに引き上げると発表した。しかし、このTOBへの応募が少ないことから、エンゲルハードの大株主とも協議した結果、22日に買収価格を39ドルに引き上げるとともに、「これが最良の、最後のオファーであり、これ以上価格を引き上げる考えはなく、これが受け入れられないなら撤退する」と宣言した。

エンゲルハード側がこの案を評価し、株主に対し、BASFによる1株39ドルでのTOBに応じるよう勧めるとともに、同社が出していた45ドルでの株式20%分の自社株買いのオファーを取り下げた。

BASF は買収後グループに取り込み、同社を BASF Catalysts LLC と改称した。

BASFはこれにより、20カ国以上で50製造基地、22研究センター、7300人の従業員をもつ、高成長の触媒市場でleading supplier となった。

2)Degussa の建設用化学品事業
Degussa の建設用化学品事業の買収は本年7月に完了した。買収額は22億ユーロで、他に5億ユーロの借入金を引き継ぐ。

同社の建設用化学品事業は建設業界の顧客を対象とした化学システムとフォーミュレーションから成り立ち、北米と欧州で混和剤システム、建材システムを、アジアパシフィック地域で混和剤システム事業を行っている。日本ではデグサ 100%の株式会社エヌエムビーコンクリ-ト用化学混和剤等を扱っている。

3)Johnson Polymer(水性樹脂)
Johnson PolymerS.C. Johnson & Sons, IncOwner一族の経営するJohnsonDiversey, Inc.の子会社で、水生樹脂のトップメーカー。
BASFは本年7
、470百万ドルで買収した。
同社は日本で東洋インキとのJVのジョンソンポリマーをもっていたが、
2月に合弁を解消、現在はBASFジャパンに吸収されている。

 



(画像をクリックすると拡大します) 

ポスト産構法時代Abssaihen_1

メーカーは次の10社があった。

三井東圧化学、住友ノーガタック、JSR、三菱化成、宇部サイコン、三菱レイヨン、旭化成、東レ、電気化学、鐘淵化学

(住友ノーガタック)

住友ノーガタックは1963年に住友化学とUS Rubber の50/50JVとして設立され、ABSSBRラテックスの製造販売を行った。
その後、US RubberがABS事業から撤退したため、1980年に住友化学100%となった。

1988年に住化とダウのPC合弁が決まり、ダウが住友ノーガタックに35%出資した。
ダウは日本でのPC事業推進に当たり、PC/ABSが最も重要と考え、ABSを持つ住化との提携を決めた。
(住化はダウの住友ノーガタックへの出資の見返りに、ダウ化工に出資し、PSの納入権を得ている)

1992年にダウ出資を50%に引き上げ、住友ノーガタックを住友ダウに改称、95年にPC 40千トンが完成した。
95年末に住友ダウはPC専業となり、ABS、ラテックス事業は住化100%の住化エイビーエス・ラテックスとなった。

(宇部サイコン)

1963年に宇部興産 51%/Borg Warner Chemical 49% で設立した。
1988年にGE Plastics がBorg Warner の化学部門を買収した結果、宇部 51%/GE Plastics 49% となった。

 

(ダイセル)
ダイセルは樹脂コンパウンドを扱い、AS樹脂を広畑と堺で製造していた。
1982年、堺工場で爆発事故が発生した。

このため、1982年にJSRとのJVの協同ポリマー、1983年に住化とのJVのノバポリマーを設立した。

協同ポリマーはダイセル 50%/JSR 50%出資の製造JVで、JSR四日市工場に35千トンのプラントを建設、ダイセルは出資分を引き取っている。

ノバポリマーはダイセル 50%/住友ノーガタック 30%/住化 20% 出資の製造JVで、住友ノーガタック構内にダイセルのサスペンジョン法で10千トン設備を建設した(85年に5千トン増設)。
1999年に解散している。

 

事業統合時代~

(テクノポリマー)

19967月、JSRと三菱化学のABS事業を統合してテクノポリマーがスタートした。
JSRはABSのトップメーカーであり、三菱化学も2番手グループで、両社が事業統合したテクノポリマーは奇美実業、Bayer、GE(ボルグワーナーを買収)に次ぐ世界4位である。

公取委は申請を受けて、有力な競争業者が存在するため、統合そのものは問題ないとしたが、三菱化学がABS樹脂等で世界第1位の生産能力を有する奇美実業(台湾)との我が国における販売に関する業務提携を行っているのを問題視した。
奇美実業は当時、台湾で100万トンのABS樹脂を生産していたが、三菱化学は奇美に10%の資本参加をし、奇美製品の日本での販売(2万トン程度)を扱っていた。

公取委は奇美実業との我が国における販売に関する業務提携によって競争を実質的に制限することとなるおそれがあると指摘した。

これに対して三菱から、奇美との提携の解消を含めて措置をとるとの返事があり、公取委はこの措置を前提に承認した。

社名   テクノポリマー  
設立    1996/7  
営業開始   1996/10  
資本金   30億円  
出資比率   JSR 60%、三菱化学 40%  
生産能力   単位:千トン  
   
ABS JSR・四日市   200 協同ポリマー 35 を含む
三菱化学・四日市    90  
(合計)  (290)  
AS・AES樹脂      40  
 

同社はその後、19984月に当初予定通り製造部門を統合した。


その後、

200210月に、鐘淵化学から超耐熱・耐熱ABS樹脂の営業権を譲り受けた。

鐘化は1966年の事業化以来、自動車用途を中心に耐熱ABS分野で高いシェアを獲得、事業規模は年産1万数千トンであった。
特殊ABS樹脂の業容拡大を目指すテクノポリマーと、コア事業への集中による事業基盤の再構築を進めたい鐘淵化学の意向が一致したもの。鐘淵化学は高砂のプラントを他製品に転用した。

なお、200210月の新聞報道では、東レもテクノポリマーへの事業統合参加を検討しているとされたが、まだ実現していない。

 

(日本エイアンドエル)

1999年7月、住友化学の100子会社である住化エイビーエス・ラテックスと三井化学のABS樹脂、SBRラテックス事業を統合して日本エイアンドエルが発足した。(社名は ABS & SBR Latex から)
三井と住友の事業統合は1997
10月の日本ポリスチレンに次いで2番目で、他に製造JVの日本エボリューがある

  社名   日本エイアンドエル
  設立   1999/7/1
  資本金   60億円
  株主   住友化学 67%、三井化学 33%
  事業内容   ABS樹脂ならびにSBRラテックスなどの製造・販売・研究開発
  生産能力                          単位:千トン
     
ABS 住化ABS・ラテックス 愛媛    70 乳化重合法
三井化学 大阪   30 バルク重合法
合計    100  
SBRラテックス 住化ABS・ラテックス 愛媛   60  
千葉   15 →30
三井化学 大阪   10  
茂原    0 10 停止
合計     85  

その後、
2001
7月、武田薬品が日本エイアンドエルにラテックスの販売委託及び技術ライセンス
2002
10月、武田薬品が日本エイアンドエルにラテックス事業を営業譲渡

(UMG ABS) 

2002年4月、宇部サイコンと三菱レイヨンがABS事業を統合し、UMG ABSとしてスタートした。
ABS樹脂の品質、用途面で宇部サイコンはOA機器分野に強く、三菱レイヨンは車両向けに強みをもっているなどから、補完的効果が大きいとして統合した。
合計能力176千トンと、テクノポリマーに次いで第2位メーカーとなった。

社名   UMG ABS 株式会社 (Ube、Mitsubishi、GE から)  
設立   2002/4/1  
資本金   16億円  
出資比率   宇部興産 42.7%、三菱レイヨン 42.7%、GE Plastics 14.6%  
事業内容   ABS樹脂事業  
    (ABS、ASA、SAN、AESの各ポリマー及びそれらを使用するコンパウンド品、
並びに他の樹脂とのアロイ製品にかかる事業)
 
設備能力  
宇部サイコン 宇部  110千トン
三菱レイヨン 大竹   67千トン
合計    176千トン

その後
2005
7月、日立化成から熱可塑成形材料のスチレン系耐候性樹脂、AAS事業の営業権・知的財産権・生産ノウハウの譲渡を受け、営業開始した。
* AAS(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)樹脂

日立化成は1970年よりAAS樹脂を販売してきたが、収益の改善は困難であるとの判断で譲渡した。

 

以上の結果、現在の能力は以下の通り。(単位:千トン)

テクノポリマー JSR 四日市   200
三菱化学 四日市    90
合計   290
UMG ABS 宇部サイコン 宇部   100
三菱レイヨン 大竹    66
合計   166
日本エイアンドエル 住化ABS 愛媛    70
三井化学 大阪    30
合計   100
旭化成 水島    80
東レ 千葉    72
電気化学 千葉    65
カネカ 高砂    0
合計   773

海外では東レがマレーシアにToray Plastics (Malaysia) Sdn. Berhad を持っている。
東レ 93.8%、東レ系の現地の
Penfabric Penfibre が各3.1%を出資(下記増設完了後)、日系ABSメーカーとして唯一、海外に重合プラントを持ち、日本と同一品質の材料をASEANをはじめ中国・香港から欧米まで幅広い範囲で提供している。

現在能力は22万トンだが、2008年3月稼動予定で増設中で、11万トンを増強すると同時に、高付加価値の透明グレード品の生産を開始し、マレーシア能力を33万トンに、千葉工場を含むグループ合計では402千トンに拡大する。

 

上記の通り、国内ではテクノポリマーが290千トンでトップ、アジアでは東レが402千トンだが、アジアでは弱小である。

台湾の奇美実業(Chimei)が台湾で100万トン、中国の江蘇省鎮江市で35万トン、合計135万トンの能力を持っている。
(同社はPSについても、台湾で400千トン、江蘇省鎮江市で500千トンの能力を持つ。)

韓国のLG Chem も麗川工場の56万トンに加え、この度浙江省寧波市でABSを15万トン増強して48万トンとし、韓国と中国を合わせた能力を104万トンとしている。
2006/9/12 「
LG Chem、中国で2工場竣工」参照
 

日本のABSの需要推移は添付の通り。内需が減少、輸出が増加しているが、輸出は主に、アジアに進出した日本メーカー向けである。

Abs1_2   

日本の石化の変遷シリーズはこれで終りです。

信越化学は5日、メチルセルロースのヨーロッパでの生産拠点、SEタイローズ社(SE Tylose GmbH & Co.KG)の増設を完了し、本格稼動を開始したと発表した。同社は直江津工場と合わせて能力63千トンとなり、これまでの首位の米ダウケミカル(約45千トン)を抜き世界第1位の座を確固たるものとした。

同社は200億円をかけて日独で増強をおこなったもので、昨年12月に直江津工場(新潟県上越市)の生産能力を年産20千トンから23千トンに増強、今回ドイツのSEタイローズ社の能力を27千トンから40千トンに増強して、合計能力を63千トンとした。

セルロース誘導体はパルプを主原料とする水溶性高分子で、建材用、医薬用を主要用途に、食品、トイレタリー、土木など幅広い用途分野を持つ。
信越化学は用途別に見ても現在、医薬用途で世界トップ、建材用途でも世界トップクラスのシェアを有している。今回の増設は
建材および医薬向けが順調に伸びる見通しであるため実施した。

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SEタイローズは信越化学が2004年1月にスイスのクラリアント社(1955年にSandozの化学品部門がスピンオフしたもの)からセルロース部門を買収したもので、Shin-Etsu International Europe 100%子会社とした。買収額は 241百万ユーロ(約310億円)で、社長は欧州の塩化ビニル樹脂の拠点、Shin-Etsu PVC B.V.の荒井文男社長が兼務している。

信越化学のセルロースが主に医薬・工業用途なのに対し、クラリアント社のセルロースは主に建材用途。日・欧の2拠点を確保しセルロース事業の欧州での拡大を図りたい信越化学と、事業の選択と集中を進めたいクラリアント社の意向が一致した。

SEタイローズはメチルセルロースのほかにヒドロキシエチルセルロースも10千トン生産しており、建築・塗料用を中心に全世界に販売している。

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なお、同事業で首位の座を奪われたダウも巻き返しを図っている。
まず、ドイツの
 Stade工場で本年に3千トンの増設を実施、次いで2007年にMichigan 州 Midland、2008年に Louisiana.州 Plaquemineで合計 17千トンの増設を行い、合計能力を65千トンとする。

セルロース需要が堅調なことから両社ともさらに増産に踏み切る可能性があり、首位争いが激化しそうだ。

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信越化学の決算(下記)でセルロース部門は有機・無機化学品部門の「その他」に含まれる。ほかに日本酢ビ・ポバール㈱が含まれるが、かなりの部分がセルロースと思われる。
2006年3月期の決算説明では以下の通り記載されている。

 セルロース 
  国内事業が医薬品向けや自動車関連向けを中心に堅調に推移したほか、ドイツのSEタイローズ社も建材向けの販売が好調だった。  
  ドイツのSEタイローズ社で増設を行うとともに、国内では昨年末増設が完了した製造設備の安定操業に取り組み、事業の拡大に努めている。

日本で20千トンの能力しか持たなかった信越化学がM&Aにより2極で47千トンと世界の1/3のシェアを確保し、ダウとの上位2社で7割近いシェアを占めることで、価格を安定させ、収益向上を実現した。続いて大増設で短期間に世界一に仕上げた。
塩ビ、シリコーン、半導体シリコンなど得意とする製品に経営資源を集中し、それぞれをまたたく間に世界的な事業に育てた、金川社長の決断はやはり、さすがである。

信越化学の塩ビ事業、シリコーン事業、半導体シリコン事業についてはそれぞれ以下を参照。

2006/5/16 世界一の塩ビ会社 信越化学
2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却
2006/9/27 信越化学、300mmウエハー生産能力の大幅増強を決定

金川社長はカントリーリスクを理由に塩ビでの中国進出はしないとしているが、中国の需要の伸びの大きいシリコーンでは例外的に進出している(投資額は大きくない)。

同社は将来の事業リスクに備え、今期から国内のウエハー設備の減価償却を従来の5年から3年に短縮、年間130億円の償却負担となるが、3月期予想の連結営業利益は前年比30%増の2410億円となり、12期連続で過去最高を更新するとみられる。

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イラン南西部のアザデガン油田の開発問題で、開発権を持つ国際石油開発とイラン政府は、日本側の開発権の保有割合(出資比率)を大幅に引き下げることで大筋合意した。
国際石油開発が保有する75%の開発権のうち65%分をイランの国営石油会社に譲渡し日本の開発権は10%とする。
日本政府は国際協力銀行の融資や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団の機能を承継)による出資など、油田開発への公的支援を見送る。

同油田はイランの核開発問題で着工が遅れていたが、米国に配慮する一方、懸念されていた全面撤退は当面避け、同油田からの原油輸入に道を残す。

米国政府はこの決定に対し、従来通り、「いまイランに投資することは望ましくない」とし、今後の交渉を見守るとしている。

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1999年に発見されたアザデガン油田は,イラン最大級の油田であり、確認埋蔵量は約260億バレルとされる。 Iranyuden_3

2000年のハタミ大統領訪日時に両国間で交渉開始に合意し、2001年7月、平沼赳夫経済産業相がテヘランでハタミ大統領と会談し、開発の早期契約に向けて努力することで合意した。

当初の日本側メンバーは、国際石油開発、石油資源開発、トーメンの3社であった。

このアザデガン油田には採算を疑問視する声もあったが、2000年に失効したアラビア石油のサウジアラビア・カフジ油田をめぐる交渉失敗のばん回を狙う経済産業省、2005年3月に廃止される石油公団の天下り先確保、再建中のトーメン(イラン原油取扱い量が全世界におけるビッグ
で、その後豊田通商に統合される)の生き残り作戦などの思惑が絡んだ。

これに対し、イランの核問題を懸念する米国政府が公式に開発中止要請を行った。
2003年6月に
国務省報道官が「この時期にイランの石油・ガス開発を進めるのは不適切」との見解を示し、当時のライス大統領補佐官やアーミテージ国務副長官が加藤良三駐米大使を呼び、イランの核開発疑惑が米政府の安全保障政策の重大な懸念であることを強調した上で「同盟国の日本がイランに誤ったメッセージを伝えることを憂慮する」などと指摘し、事実上開発計画からの撤退を迫ったといわれる。イランの資源開発に投資した企業を大統領権限で米市場から締め出す「イラン・リビア制裁強化法」(ILSA)の発動もちらつかせた。

イラン側の要求が厳しいことや米国の反対もあって優先交渉期限であった2003年6月末までに交渉は妥結せず、優先交渉権は消滅したが、以降も引き続き交渉は継続した。

2003年12月にイランが核査察強化に向けた国際原子力機関(IAEA)の追加議定書に調印するなど姿勢が軟化してきたことで同油田の交渉も進展し始めた。

2004年2月、国際石油開発インペックス)はイラン国営石油との間でアザデガン油田の評価・開発に係わる契約に調印した。Iranimage

内容は
・インペックスとイラン国営石油子会社NICOが、それぞれ75%と25%の参加権益で、アザデガン油田の評価・開発作業を推進する。
・開発第一段階は契約調印後4年4ヶ月後から日量15万バレルの生産を予定し、その後開発第二段階として、契約調印後8年(96ヶ月)後から日量26万バレルの生産を計画。
・契約調印後3年4ヶ月間で日量5万バレルのレベルで生産開始を予定。

総投資額は、20億ドル。
契約上の投資額の回収期間は、開発第一段階では6年半、開発第二段階では6年
で、合計12年半に限られる。

投資額が計画を上回った場合、投資が回収できないおそれもある。

2004年度の日本の原油輸入量は日量417万バレルで、このうち自主開発原油は45万バレル。仮に26万バレル増えると、自主開発原油の比率は10%から17%に増える計算になる。

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契約後もイランの核開発疑惑を強く批判する米国がイランへの石油投資に反対の姿勢を崩さず、日本側に契約延期を要請していたが、国際石油は2005年末に、「着手が遅れると権益を失いかねない」と判断し、本格生産に向けた開発を2006年中に始める方針を固めた。

アザデガン油田はイラン・イラク国境に近く、イラン・イラク戦争で100万発といわれる地雷が敷設され、そのままになっているため、地雷の除去を始めた。

その後、イランの核問題は解決のきざしが見えず、開発に着手出来ない状況が続いた。
国際石油開発はイラン側が約束した油田の地雷除去を終えていないことが遅れの主因と主張したが、イラン側は地雷除去は96%終わっており、作業に問題はないと反論し、本年9月末までに開発を始めない場合、同社に与えた開発権を取り消し、イラン政府が引き取るとし、早期着工を促した。

今回の妥結はこれを受けて行われたものである。

しかし、開発コストは2500~3000億円に膨らむとの予想もあり、イランは自主開発を主張するが技術面でも資金面でも無理とみられ、代わりの参加者が見つからなければ日本に出資増を求める可能性もあるとされており、まだ決着したとはいえない。

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なお、中国のシノペックは 2004年にイラン政府との間で、今後30年間にわたり石油・天然ガスの供給を受けることで合意し、総額で700億ドルの契約の覚書に調印した。シノペックが今後30年間にわたり毎年2億5千万トンの液化天然ガスを購入するほか、イランのヤダバラン油田の開発権を得るというもので、同油田の開発が成功した場合、中国側は25年間にわたって、毎日15万バレルの原油の供給を受けることでも合意している。

このヤダバラン油田はアザデガン油田に隣接しており、両油田は地下ではつながっているとの説もある。
中国も米国から牽制を受けたが、中国は「米国が反対するのなら代わりの原油を供給せよ」として無視している。

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国際石油開発インペックス)は1966年に北スマトラ海洋石油資源開発として設立された。
1975年 5月に社名をインドネシア石油と変更、2004年に東京証券取引所市場第1部に上場した。
2001年9月、国際石油開発(INPEX CORPORATION)と改称。

政府(当初は石油公団)が普通株式36.06%をもつとともに、拒否権のある甲種類株式(黄金株)1株を所有していた。
普通株式の株主は他に、石油資源開発が 13.46%、三菱商事 9.88%、三井石油開発 9.21% 等々であった。

2005年11月、インペックスと帝国石油は共同株式移転契約を締結、2006年4月に持株会社・国際石油開発帝石ホールディングスが設立され、インペックスは同社の子会社となった。

経営統合の株式移転でインペックス株主は普通株式1株に対して1株、甲種類株式(黄金株)1株に対し1株(政府のみ)が割り当てられ、帝国石油普通株式1株に対しては普通株式0.00144 株が割り当てられた。従来通り政府が拒否権を有する。

日本のポリスチレンはエチレンやスチレンモノマーに先立ち、輸入スチレンモノマーを使って生産された。

エチレン第1期計画
地区 会社名 製品名  能力  生産開始
川崎 日本石油化学 エチレン  25,000 1959/7
旭ダウ スチレンモノマー  18,000 1959/10
ポリスチレン  10,200 1957/4
四日市 三菱油化 エチレン  22,000 1959/5
スチレンモノマー  22,000 1959/5
モンサント化成 ポリスチレン   7,200 1957/3

1957年、日本化成(のち三菱化成)とMonsanto Chemical のJVのモンサント化成が四日市で、1ヵ月後に旭化成とダウのJVの旭ダウが川崎で、それぞれ生産開始している。
両コンビナートでエチレン、スチレンモノマーが生産されるのは1959年になってからである。
(三井石油化学の日本最初のエチレンのスタートは1958年2月であり、日本のPS事業のスタートはこれに先立つものである)

旭ダウは19523月に塩化ビニリデンポリマーの繊維への事業展開にあたり設立され、1953年に鈴鹿工場が操業を開始している。

 

その後の各社の動きは以下の通り。(単位:千トン)

会社名 工場 技術 1958 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965
三菱モンサント化成 四日市 モンサント   3.6   7.2   14.4   19.2   19.2   24   25    36 
旭ダウ 川崎 ダウ   7.8   9.8   16.2   20   32.3   36.1   41   71
鋼管化学 川崎 コッパーズ         6   6   12   25   26
東洋ポリスチレン 川崎 コスデン               12   12
デンカ石油化学 千葉 ペトロカーボン               12   12
能力合計      11.4  17  30.6  45.2  57.5  72.1  115  157

 鋼管化学:
  日本鋼管の子会社として設立
  1963年 昭和電工が昭和油化と鋼管化学を合併し、日本オレフィン化学を設立
  1966年 昭和電工と住友化学が50/50の日本ポリスチレン工業を設立、
        日本オレフィン化学のSM/PS設備を譲受け、PSを手直し増設

 東洋ポリスチレン:
  
1961年 東洋高圧と三井化学が東洋ポリスチレンを設立
  1984年 三井東圧化学が東洋ポリスチレンを吸収合併

 

産構法時代

スチレンモノマーは、1985年1月に産構法の業種指定を受け、各社が自主的に設備処理を進めた。
しかし、PSについては業種指定を受けていない。

(サンスチレン)

産構法時代に1つの増設が行われている。
電気化学、三井東圧、新日鐵化学のJVのサンスチレンで、1985年10月に設立され、電気化学の千葉工場内に三井東圧の技術でHIPS 34千トンプラントを建設した。電気化学、新日鐵化学はHIPSを持たないため、三井東圧の技術を導入した。

1993年に新日鐵化学が撤退し、電化 50/三井東圧 50 となった。

 

ポスト産構法時代

PSは産構法の対象ではなかったが、ポスト産構法時代の「デクレア方式」(事前報告制度)は適用された。

新増設の乱立をおさえるため、新増設に当たっては事前に通産省に報告し公表する制度がつくられた。
具体的には
 ・3万トン/年以上の新増設は着工の6ヵ月前、
 ・3万トン/年以上の設備を改造する場合は着工の3ヵ月前、
 ・休止設備を再開する場合は稼働開始の3ヵ月前
に通産省に報告して公表することとなった。

実際には通産省が業界の意向を尊重し、業界の反対の強いものについては「事前報告」を受け付けないという例もあった。

(日本ポリスチレン工業)

問題となったのは日本ポリスチレン工業(NPS)の増設であった。着工まで若干時間がかかった。

同社は1966年に昭和電工と住友化学が50/50のJVとして設立、川崎の昭電の日本オレフィン化学(昭和油化と鋼管化学を合併)のSM/PS製造設備を譲り受けた。
1968年に住化千葉のSM 5万トン完成でNPSのSMを停止した。
同年BASFからバルク法GP技術を導入したが、情勢悪化で増設を取り止めた。
1969年頃から業績が悪化、減資増資や土地の一部売却を行い、開発・製造を昭電に委託する形をとった。

その後、1983年頃から体制強化の検討を進めたが、昭電は川崎で、住化は千葉での増設を主張した。

1988年に住友化学はダウ・ケミカルとPCのJV契約を締結(その後住友ダウ)、ダウの住友ノーガタックへの出資の見返りに、住化がダウ化工に資本参加し、同社へのPS納入権を取得した。
住化はこれをもとに、千葉でのGP
PS40千トン/HIPS 30千トン案を提案した。

最終的に昭電は川崎、住化は千葉で、それぞれの責任で増設した。(実質的にはJVでなく個別の設備投資)

  ・昭電(川崎) アトケム法  HI
PS 3万トン 1990年完成
            (昭電は引き続いてGPも建設する計画であったが、情勢悪化で取り止め) 
 ・住化(千葉)  BASF法   GPPS 4万トン/HI
PS 3万トン 1991年完成
 ・既存のサスペンション法PSは従来通りのJV運営 

当時はHIPSの将来の需要の伸びが期待されており、住化は高級グレードのBASF技術を導入した。
昭電はヤクルト容器用のGPPSが中心であった。 

ポスト産構法後期になると需要が減少し、損益が悪化した。
住化の導入したHIPSも、同じ用途での高級グレードであったABSの価格が下落したことと、家電メーカーのアジア進出で、需要が激減した。

1993年に既存のサスペンション法PS設備を老朽化のため停止、JV設備はなくなった。
     
1994年、 昭和電工はPS事業から撤退、旭化成のPP事業(→日本ポリプロ)と交換で旭化成に営業権を譲渡した。旭化成は設備を不要とした為、廃棄となった。    
1995
年、住友化学は日本ポリスチレンから撤退、NPSは昭電 100%の休眠会社になった。(のち吸収合併)

(ダイセル化学)

1990年にダイセルがPSへの進出を決めた。PSシート事業進出で当初はPSの購入を考えていたが、自製に踏み切った。
シェブロンの技術を導入し、新日鉄化学広畑内に5万トンのPSプラントを建設、1994年秋に商業生産を開始した。

事業統合時代

1996年頃の能力は以下の通り。(千トン)

旭化成工業   383 川崎、水島、千葉
三菱化学   200 四日市
電気化学工業
 サンスチレン
  203
   34
千葉
千葉
新日鐵化学   186 戸畑、君津
ダイセル化学工業    53 戸畑
出光石油化学   180 徳山、千葉
大日本インキ化学工業    95  
住友化学    92 千葉
三井東圧化学   133 大阪
合計  1,559  

供給能力過剰で損益悪化が続く中、ポリオレフィンや塩ビと同様、事業統合が相次いだ。

①日本ポリスチレン

三井化学(旧三井東圧)と住友化学は両社のポリスチレン事業を分離統合し、折半出資で新会社を設立することで合意し、199710月に営業開始した。

三井東圧は宇部にSMプラントを持ち、大阪工業所に年産 133千トンの生産設備(GP,HI各2系列)を保有していたほか、サンスチレン(電気化学と三井東圧の合弁会社)から年間17千トンのPSを引き取っており、実質的には年産150千トンの生産設備を保有していた。
一体化に伴い、サンスチレンの株式は電気化学に譲渡した。

住友化学は、昭和電工とのJV・日本ポリスチレン工業(NPS)
のプラントが停止、同社から離脱したが、千葉に独自に建設した92千トンの設備(GP,HI各1系列)を保有していた。

社名については日本ポリスチレン(JPS、「工業」は付けず)とし、昭和電工の了解を得た。

社 名   日本ポリスチレン㈱(Japan Polystyrene Inc.:JPS)
設 立   1997/8/1
営業開始   1997/10/1
資本金   20 億円(両社折半出資)
事業目的   PS の開発、製造、販売
生産能力  
大阪   133千トン  
千葉    92千トン  
  225千トン  

② A&Mスチレン

旭化成工業と三菱化学はPS事業を統合して199810月にエー・アンド・エムスチレンとして営業を開始した。
旭化成は旭ダウのPS事業を引き継いだトップメーカーであり、三菱化学は三菱モンサント化成の事業を引き継いで3,4位グループを形成していた。

両社のPS設備は、それぞれ見直しを行い、559千トンとなっていたが、統合会社では必要な設備は何か、どの設備を買い取るかの検討を進め、結果的には輸出減を見込んで合計40万トンの設備を買い取った。一部は系列変更し、系列的にはGP,HIとも各4系列とし、規模と立地面の最適化を実現した。

元々統合前の能力比は約2:1であったが、三菱の設備を廃棄する代わりに出資比率を50/50にしたとも見られる。
この結果、統合後の設備能力比はおおよそ旧旭化成8割、旧三菱化学2割となったが、原料SMは統合前の能力比の2:1の割合で親会社から購入する。

他の樹脂の統合会社の多くが能力を増やしている中で市場の状況を判断して業界の先頭を切って能力を落としたこと、出資比率に関係なく親会社負担で設備を廃棄し最適化を図ったことは高く評価される。
(但し、これが、同社と出光石化との事業統合でできたPSジャパンが大日本インキ化学との更なる事業統合をしょうとした際に、「国内の競争業者に供給余力がほとんどない」ことを理由に公取委から承認を得られなかった理由となったのは皮肉である。)

社名   エー・アンド・エムスチレン
営業開始   1998/10/1
資本金   50億円
株主   旭化成工業 50%、三菱化学 50%
事業内容   ポリスチレン樹脂の製造・販売・研究開発
従業員数   約170人
売上高   約420億円
設備の構成   (単位:1,000トン/年)
   
  当初   統合前  処理  統合後 統合後系列
旭化成・水島   144   +20   164    -56   108 GP l,HI 2
旭化成・川崎    60   -60     0       0  
旭化成・千葉   130 +50+27   207     207 GP 1,HI 2
(小計)   334   +37   371    -56   315  
三菱化学・四日市   200   -12   188   -103    85 GP 2
合計   534   +25   559   -159   400 GP 4,HI 4

同社は1年後の199910月に製造および研究開発部門も統合した。また、輸出についても親会社が行ってきたが、製造部門の移管と同時に統合された。

なお、新聞報道では、三菱化学と旭化成は20004月をメドに原料のスチレンモノマーの生産・販売を一体化する方向で検討していると伝えられた。しかし、この件はその後、検討を中止した。

東洋スチレン

19994月、電気化学工業、新日鐵化学、ダイセル化学工業のポリスチレン事業の分離・統合により東洋スチレンが発足した。

社名   東洋スチレン
営業開始   1999/4/1
資本金   50億円
出資比率   電気化学工業 50%、新日鐵化学 35%、ダイセル化学工業 15%
設備  
                      単位:千トン
   統合前  処理  統合後
電化・千葉   237   -100   137
新日鐵化学・君津   186     186
ダイセル化学・広畑    53      53
合計   476   -100   376
 電化・千葉には旧サンスチレン 34 を含む

同社は統合効果を短期的に発揮するため、当初から製造・販売・研究を一体化した完全独立型企業としてスタートした。
電気化学がバッチ式設備などを中心に 10
0千トンを廃棄した。

上記の結果、96年に9社あったPSメーカーは99年には5社に減り、能力も96年末の1,559千トンが99年末には1,227千トンに減っている。

「選択と集中」時代

(PSジャパン)

20027月、旭化成、三菱化学、出光石油化学の3社は、旭と三菱との合弁のA&Mスチレンと出光がそれぞれ展開しているPS事業を再編・統合するため、3社間での合弁会社設立で基本合意したと発表した。
厳しさを増す状況下で、事業の維持・発展のためには事業統合によって、設備の更なる統廃合を含む徹底した合理化を推進することが必要不可欠と判断したもの。

  社名   PSジャパン
  事業内容   ポリスチレンの製造・販売・研究
  資本金   50億円
  出資比率   旭化成 45%、三菱化学 27.5%、出光石油化学 27.5%
  生産能力                  (単位:千トン)
     
  A&M
統合後
処理 PSジャパン
統合後
(出資比率)
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%
旭化成・千葉   207     207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%
出光石化・市原   130  -85    45   27.5%
合計   530  -85   445   100.0%

出光は出資比率は27.5%で、統合直後の2003/6に85千トンのプラントを停止、能力を130千トンから45千トンに落としており、実質的には旭化成に運営を任せた形となっている。
なお、A&Mスチレンでは能力的は大きな差があったが出資比率は50/50としていたが、今回の再統合に当たって、三菱化学の出資比率は出光石化と同じとし、旭化成主導が明確になっている。 

2003年4月1日、 PSジャパン(PSJ)は営業を開始し、これにより日本のPSメーカーは東洋スチレン(ダイセル/新日鐵化学/電気化学)、日本ポリスチレン(住友化学/三井化学)、PSジャパン(旭化成/三菱化学/出光興産)の3統合会社と大日本インキ化学の4社となった。

なお、旭化成は香港にダウとの50/50のPS販売JV STYRON Asia Ltdを設立、アジアでの販売を統合、中国の江蘇省張家港市では同じくダウとの50/50JVの斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司を設立して2002年12月からPS120千トン/年を生産した。
また、三菱化学はタイに 100%子会社(当初はTOAとのJV)HMT Polystyrene (PS 90 千トン)を持っている。

そのほかでは、
三井化学(35%)がタイに Eternal Plastics Co., Ltd..(6万トン:三井物産 25%、Eternal 40%)、
電気化学がシンガポールに
Denka Singapore Private Ltd(80千トン)、
出光興産がマレーシアにPetrochemical (Malaysia) Sdn. Bhd.(140千トン)、台湾に高福化学工業(出光興産 35%:GP 50千トン、HI 50千トン)がある。

2004年6月、PSJの3社と大日本インキ化学(DIC)はポリスチレン事業を再編・統合することに基本合意したと発表した。

新会社構想は次の通り。

統合方法   DICのPS事業をPSJに営業譲渡することにより統合
社名等   現行のPSJの社名、商標、本店等を継承
統合実施日   2004/10/1
資本金   60億円(現在のPSJの資本金50億円)
出資比率   旭化成 40%、三菱化学 20%、出光興産 20%、DIC 20%
生産能力                 (千トン)
   
  千葉 四日市 水島
PSJ   252    85   108   445
DIC     171     171
  252   256   108   616
    * 事業統合に伴い、上記のうち一部の製造設備を廃棄する予定

Pssaihen_1これに関しての公取委との交渉は難航し、予定の2004年10月の統合は延期された。

最終的に公取委はPSJ設立時と異なる判断を下した。PSJの場合には輸入圧力が一定程度働いているとして認めたが、今回は輸入品による競争圧力が認められない等の理由で認めなかった。

実際には3社体制になることに対する不安を表明した需要家の意見も影響を与えているといわれている。

これを受けて、関係各社間で可能な限りの問題解消措置を検討したが有効な措置を採ることができないと判断し、2005年4月、基本合意の解消、公取委への事前相談の取り下げを発表した。

PS業界は電気・工業用がアジアへのシフトで低迷が続く中、不採算の輸出もカットし、余剰能力を設備廃棄により減らして需給の均衡を図ってきた。原料SMの輸出が好調なため可能となっているが、他の樹脂と大きく異なっている。
生き残りのためには模範的な対応だが、中国バブルによって輸入圧力が消えてしまったため、結果的にはこれが再編を更に進めるための足かせとなってしまったこととなる。

既に中国バブルは破裂しかけている。旭化成は中国のダウのJVから撤退した。中国メーカーで韓国のメーカーに身売りした会社も出ている。
公取委が一時的な状況をもとに判断をするのは問題である。
2006/2/20 競争政策研究会の「企業結合審査における改革の進展状況と今後の課題」 参照

ーーーー

再編により、日本のPS業界はメーカー数も能力も減少した。

1990年代初めに10社(昭電を含む)あったメーカーは4社となった。
能力は1996年に1,559千トンであったのが、2005年末では1,016千トンとなり、ほぼ内需に近いものとなった。
中国向けの輸出は中国側のダンピング調査で2001年12月にシロとなったが、採算に乗らないとしてほとんど行っていない。

トップメーカーが率先して設備廃棄を行い、減少する内需に合わせて能力を落としてきたのは、他の業種と全く異なっている。

なお、原料のスチレンモノマー業界については 2006/4/22「スチレンモノマー業界」参照


能力推移 (千トン)

      1996年       1999年       2005年
旭化成工業   383 A&Mスチレン   400 PSジャパン   445
三菱化学   200
出光石油化学   180 出光石油化学   130
大日本インキ化学    95 大日本インキ化学   131 大日本インキ化学   131
電気化学工業
 サンスチレン
  203
   34
東洋スチレン   376 東洋スチレン   278
新日鐵化学   186
ダイセル化学工業    53
住友化学    92  日本ポリスチレン   190 日本ポリスチレン   162
三井東圧化学   133
合計  1,559    1,227    1,016

Psjukyu

ダウは9月25日、天然油ポリオール(Natural Oil PolyolsNOPs) の開発に成功、直ちに需要家とテストを開始すると発表した。同社では2007年に次世代ポリオールの市場開発のための生産を開始するとしている。

同社は2005年6月に本事業を発表、開発を続けてきた。その結果、ハイドロカーボンベースの製品に対等、又は、より優れた製品の開発に成功した。

NOPsの場合、油の中の脂肪酸の構成が異なるため、これのコントロールが製品の性能に影響する。ダウは多段階のプロセスで天然油の構成を理想のものに変更するのに成功した。

当初は製品の引っ張り強度、弾力性、圧縮永久ひずみ等で問題が発生し、また、NOPsの含有比率を高めると製品の加工性にも影響が出た。ダウではNOPsとプロピレンオキサイドポリオールの最適な混合比率を見つけ、これらの問題を解決した。

NOPsは大豆、ヒマワリ、菜種から生産できるが、ダウの技術は、大豆油を中心にしている。

当初は最大のマーケットの軟質スラブ用ポリウレタンに焦点を絞るが、最終的には軟質スラブ、成形、CASE applicationsCoatingsAdhesivesSealantsElastomers)などの用途で需要家のニーズにあった多世代のNOPベースの製品ラインを開発したいとしている。また、ダウの他の部門(例えば Dow Automotive)も自動車用途等での利用で需要家と研究している。
需要の伸びに合わせて製造プラントの新設も検討する。

NOPsの開発はダウが20065月に発表した「2015年サステナビリティ目標」に合ったものである。ダウは今後10年間の目標として以下の点をあげている。

食料供給、住宅、水問題、健康と安全などの問題解決のため、最低3つのブレイクスルーを達成する。
   
省エネルギーの達成、代替エネルギーの開発、化石燃料消費に伴うグローバルな気候変化へのチャレンジ
 ダウは過去10年で製品当たり20%以上の化石燃料消費節減を達成したが、更に25%の改善を目標とする。
 ダウの温室効果ガス排出を2015年まで毎年2.5%減らす。
   
ダウにおける従業員の健康と安全の確保
   
周辺コミュニティとの協力メカニズム
   
「サステナブル ケミストリー」へのコミット
   
リスク評価に関してダウ製品の透明性の増加
   
ダウ製品の総合安全管理についての外部評価

 

 


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