「no」と一致するもの

インド政府は5月1日、新型コロナウイルスの感染者が新たに40万1993人確認されたと発表した。1日当たりの感染者が初めて40万人を超えた。3523人が死んだ。

今年2月までインドの感染者は日本より少なかったが、3月から激増した。

その原因は、インドで変異した新型コロナウイルスの変異株「B.1.617」だといわれる。図の通り、この変異型は最近急速に拡大し、現在ではほとんどがこの変異型となっている。

ーーー

変異とは生物やウイルスの遺伝子情報が変化することで 、ウイルスは増殖・流行していく過程で少しずつ変異を起こしており、変異が起こるとウイルスの性質が変化し、感染しやすくなること、重症化しやすくなることがあ る。

WHO(世界保健機構)は特に注意が必要な変異株について、"VOC" と "VOI" の2つに分けて定義している。

VOC(Variants of Concern):懸念される変異株

感染しやすい、重症化しやすい、ワクチンや治療薬が効きにくいことなどが既に実証されている変異株

VOI(Variants of Interest):注目すべき変異株

VOCよりは警戒度は低いが、市中において複数の感染例やクラスターが確認されている変異株

2021年4月6日時点で国内の変異株は次の通り。

VOC VOC-202012/01
B.1.1.7)
イギリスで確認された変異株。
従来株よりも感染しやすく、重症化しやすい可能性あり。130ヶ国で報告。
23箇所の変異
H 69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、P681H等
501Y.V2 南アフリカで確認された変異株。
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。80ヶ国で報告。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
242-244欠失
501Y.V3 ブラジルで確認された変異株。
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。45ヶ国で報告。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
P.3系統 フィリピンで報告された変異株。
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。
VOI R.1系統 起源不明の変異株。従来株よりも免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。 E484K
B.1.427およびB.1.429 従来株よりもやや感染しやすく、一部治療薬の効果を低下させる可能性あり。

インド型(B.1.617)は2021年4月20日、国内の患者から得られた新型コロナウイルス陽性検体から国内例としては初めて検出された。検疫では、現在まで20例がB.1.617系統と判定されている。

これについては、国立感染症研究所では、感染性やワクチンへの効果、重症度について分からないことが多いため、VOIに位置づけ、引き続き調査している。

次の特徴を持つ。

2つの懸念すべき変異を持つ「二重変異」である。

1つはE484Qの変異で、南ア型とブラジル型にみられるE484K変異に似ている。

「E484Q」はスパイク蛋白の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からQ(グルタミン)に置き換わった変異 。

「E484K」は484番目のアミノ酸がEからK(リシン)に 置き換わった変異。
「免疫逃避」と呼ばれるもので、 ワクチンが効きにくくなる可能性、再感染リスクが高まる可能性がある。感染しやすい特徴もある。

2つ目はL452R変異で、カリフォルニア州で確認された。感染・伝播性増加の可能性がある。

なお、L452R変異だけのものも確認されている。

欧州委員会は4月29日、EUからのワクチン輸出について説明した。

当初、4月19日までの数値をEU各国に示したが、4月26日までの数値に更新して発表した。

1月末からの3か月でEU域内から合計1億4800万回分の輸出許可を出したが、うち日本向けは5230万回分で輸出の35%を占めた。英国の1730万回分が続く。


付記

日本に4月25日までに到着したワクチンは2800万回分に過ぎない。
日本政府はEUの輸出許可数量を把握しておらず、関係者は確認に追われたという。
河野担当大臣はツイッターで下記の通り述べた。

4月30日にModernaワクチンが到着した。数量は公表されていないが、EU発表にはこれは含まれている。


EUは1月29日、輸出の透明性を高めるためだとして、域内の工場で生産されたワクチンを輸出する際、事前申告と許可を必要とする措置を導入すると発表した。

この措置は、1月30日からことし3月末までの時限的なもので、ワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」と呼ばれる国際的な枠組みなどへの供給は例外だとした。

欧州委員会は3月11日、新型コロナウイルスワクチンの輸出制限措置を6月まで延長すると発表した。欧州委によるとEUはバルカン諸国やアフリカへの支援用も含め、最大26億回分のワクチンを契約しているが、EUへのワクチン供給が遅れているため延長に踏み切った。

2021/1/31 EU、ワクチンの輸出規制 

イタリア政府は3月4日、イタリア国内で製造されたAstraZenecaのワクチンのオーストラリアへの輸出を差し止めたと発表した。

2021/3/5 イタリア政府、新型コロナワクチンの輸出を差し止め

輸出には欧州委員会と輸出国の両方の承認が必要であるが、これまでのところ、輸出差し止めはこの1件だけである。


問題は輸出元のEU自体でのワクチン接種が遅れていることである。

EUの接種計画は国によって大きなばらつきがある。 成人100人に対してEU内の平均は同31.6回分で、東欧は少なく、ブルガリアでは11回分しかない。そのなかでの域外輸出は問題になる可能性がある。


EUは3月17日に、不足しているコロナワクチンを域内市民向けに確保するため、英国への輸出を禁止する可能性を示唆した。これまでにコロナワクチンを接種した人数の人口比は、英国の方がEU加盟国と比べて高い。

EU当局者は3月21日、オランダで生産したAstraZenecaのワクチンについて、英国からの輸出要請を拒絶していることを明らかにした。

EUの欧州委員会は3月24日、1月末に導入した新型コロナウイルスワクチンの輸出規制の強化方針を発表した。

ワクチンが契約通り EUに供給されることを狙い、EUへの輸出を制限しているワクチン生産国や、ワクチン接種率でEUに先行する国への出荷を停止できるようにする。 (日本は該当しない)


欧州委員会は4月26日、ワクチンを契約通りに供給していないとしてAstraZenecaを提訴した。EUの27か国全部がこれを支持している。

最大4億回分を購入する契約を結んでいたが、4~6月期は1億8千万回の予定が7千万回になる見通し。

AstraZenecaは努力義務だと反論している。

2021/3/25 EU、新型コロナワクチンの輸出規制を強化



注 上図の通り、ハンガリーの接種率が特に高い。EUが許可していない中国やロシアのワクチンを国民に接種している。

2021年1月29日、EU加盟国では初めて、中国のSinopharm製の新型コロナウイルスワクチンを承認した。1週間前にはロシア製ワクチンにも暫定使用許可を出していた。
ハンガリーの外相は「EUによるワクチンの調達が遅いため、国民の命を守るには必要だった」と述べた。

4月26日のTBSテレビ「あさチャン!」が「飲むワクチン」を取り上げた。

米国の製薬会社 Vaxart Inc が開発している経口ワクチンで、同社の最高科学責任者 Ph.D. Sean Tucker は次ぎのように述べている。

錠剤タイプの飲むワクチンを開発している。注射器や注射を打つ医師も必要ないし、さらに冷凍が必要な従来のワクチンと比べ、保存や運搬の負担が大幅に軽減できる。

飲み方も簡単で、1錠服用したのち28日間空けさらに1錠、合計2錠を服用するだけで完了。年1回、2錠飲むことが想定されていて、従来のインフルエンザ予防と同じ扱いになる。

すべて上手くいってくれれば、1年くらいで提供することができるようになる。

同社のワクチンはAstraZenecaなどと同じ複製能力を欠損させたアデノウイルスに新型コロナウイルスの表面のスパイクタンパクの遺伝子と自然免疫系を活性化するアジュバントを組み込んだもので、同社のシステムは VAAST™ delivery platform (Vector-Adjuvant-Antigen Standardized Technology)と呼ばれる。

錠剤型のワクチンで、口から投与され、小腸の粘膜から作用し、粘膜免疫を誘導するという他のワクチンとは異なるアプローチを取っている。

粘膜免疫は腸管を中心とする体の粘膜のバリア機能で、口から入ってきた細菌などから体を防御する役割を担っている。粘膜には生体内の免疫細胞の6〜7割が分布している。

粘膜免疫を利用した経口ワクチンとしては、現在日本で承認されているのは経口ポリオワクチン(弱毒生ワクチン)のみだが、海外においてはロタウイルス、コレラウイルス、腸チフスなどが承認されている。

錠剤表面をコートすることで胃酸から守られ、小腸に送達するように製剤化されている。アデノウイルスベクターが小腸の粘膜上皮細胞に取り込まれると抗原たんぱく質を発現し、免疫を誘導する。更に、組み込まれているアジュバントがワクチンの効果を高める。

錠剤が飲めない幼児や老人のための液剤化も開発中である。

同社はこれまでにこのシステムをインフルエンザなど多数のウイルスについて安全性や効果のテストを実施してきている。


別途、英国のバイオ企業のiosBio も錠剤ワクチンの
OraPro vaccine platformを開発してきた。50℃の熱に耐え、胃の過酷な環境を通過できる。

同社は本年1月12日、米国のImmunityBio, Inc.との間でOraPro™ vaccine platform technology worldwideの独占ライセンス契約を締結した。
ImmunityBioの第二世代のCOVID-19のAdeno ワクチン候補の経口での
臨床試験を 米国で始めている。


AstraZenecaの
開発チームのチーフは本年2月、現在の全てのワクチンは注射だが、これは必ずしもベストではなく、鼻スプレイや錠剤も考えられ、検討を始めていると述べた。

ーーー

University of Pittsburgh School of Medicineの研究者らは4月1日、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を抗原とし、微細な針を並べた「マイクロニードルパッチ」で投与するワクチン候補を開発し、マウスで抗体価の上昇を確認したと報告した。

研究者らは、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)と2014年の中東呼吸器症候群(MERS)のコロナウイルスで研究を行ってきてた。

ワクチンは、多数の微細な針(マイクロニードル)がシート状に並んだマイクロニードルアレイ(MNA)を使ったマイクロニードルパッチで皮膚から投与する。
ワクチンは針に溶け込んでいる。常糖とタンパク質からなるマイクロニードルアレイは、皮膚に貼ると溶解し、含まれている抗原分子が浸透して、強力な免疫を誘導する。


このワクチンは冷凍あるいは冷蔵保存の必要はない。常温保存が可能なので輸送費を削減し、特に後発開発途上国へのワクチン配布をサポートする。

マイクロニードルパッチのSARS-CoV-2ワクチンをマウスに投与したところ2週間で中和抗体が誘導された。

マイクロニードルワクチンは、滅菌に用いるガンマ線照射を行っても、その効果を維持した。

ワクチンは Pittsburgh Coronavirus Vaccineからとって、PittCoVacc と呼ばれる。

開発者は2つの点で安全性を主張している。1つはワクチンの抗原が従来のインフルエンザワクチンよりもはるかに低用量だから。2つ目は、使う抗原は皮膚内の非常に限られた部分に浸透するので、一部の患者で見られるような全身反応が起こる可能性は殆どない。

今後数カ月以内に安全性を確かめる第Ⅰ相の臨床試験を開始する。


東大でも同様の研究を行っている。工学部精密工学科の金範埈教授等の「溶解性マイクロニードル式経皮ワクチンデリバリーパッチ」である。

「DAB(Droplet-born Air Blowing)」と呼ぶ製造方式で、インクジェット技術を使って、薬を混ぜた溶解性物質の液滴(Droplet)を基板上に等間隔に付着させる。その後、もう1枚の基板を重ねてから、2枚の基板をゆっくり引き離すと、溶解性物質の粘度が高いためDropletは引き延ばされる。このとき冷風を当てておけば、適当な場所で切れてマイクロニードルが完成する。

既存の方式では過熱が必要でワクチンへの適用は困難だが、この方式では適用可能である。

 


東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は日本看護協会に対し、大会期間中の医療スタッフとして看護師500人の確保を要請する文書を4月9日に送っていた。 武藤事務総長が4月26日に認めた。

競技会場、選手村総合診療所(発熱外来を含む)、選手村分村、宿泊療養施設を活動場所として示し、
参加条件や待遇を、
 ▽日数=原則5日以上
 ▽活動時間=1シフト当たり9時間程度
 ▽組織委が提供、負担=活動中の飲食、交通費、宿泊施設、各種賠償保険など――と規定したが、
日当や報酬の記載はなかった。
(当初は「原則無償」としていたが、政府や組織委は協力金を支給する方針に転換した。)

組織委の武藤事務総長は26日の記者会見で「医師や看護師に競技会場などの医務室で協力いただくのは前から申し上げている通りだ。もちろん大前提として、地域医療に悪影響を与えない必要がある。勤務時間やシフトのあり方を相談しながら、最も対応可能なあり方を相談していきたい」と述べた。

大会期間中の医療スタッフを巡っては、組織委は競技会場や選手村などの医務室で医療従事者が計約1万人必要と想定している。

競技会場や選手村では1日あたり最大で医師300人、看護師400人が必要で、新型コロナ対策でそれぞれ100人程度を見込むという。

橋本会長と武藤事務総長は4月21日 、大会期間中の医療体制などについて今月中に発行するプレーブック第2版で示すとし、関係機関と連携して最後の詰めの作業を行っているとした。

選手に行う新型コロナウイルス感染症の検査頻度について「原則的には毎日検査をしていく方向になる」と述べた。

読売新聞によるとポイントは下図の通りで、非常に厳しいもの。

当然、日本選手についても検査は必要である。実施可能だろうか。


医師や看護婦の不足で、病床はあるが患者を受け入れられない病院もある。
新型コロナウイルスの患者対応やPCR検査、ワクチン接種を巡っては、看護師の不足が問題になっている。

政府は否定しているが、自民党の下村政務調査会長は4月19日、ワクチンの接種体制が十分に整わない自治体もあるとして、希望するすべての国民の接種が完了するのは来年春ごろになる可能性があるという認識を示した。

なお、政府は4月26日、新型コロナウイルスのワクチン接種を迅速化させるため、大規模な接種会場を5月にも、東京都と大阪府に開設する方針を固めた。1日1万人規模の接種を目指す。
大規模接種ではモデルナのワクチンを使用する。東京会場について、自衛隊が設置と運営にあたるよう岸防衛大臣に指示した。5月24日を目標に設置し、3か月間、医師や看護師の資格を持つ自衛隊員が接種を行う。


そんななかで、毎日400人の医師、500人の看護師を長期間、 五輪のために使うなど、出来る筈がない。患者の治療が出来なかったり、ワクチン接種を遅らせるのは国民が認めないだろう。

渡航医学が専門の浜田篤郎・東京医大病院渡航者医療センター特任教授の意見を聞いている。

クリアしなければならないことが四つあるとし、①入国時検査、②大会中の検査、③出国時の検査を挙げ、④として「医療資源は本来、まず国内の感染流行への対応、次にワクチン接種への対応に使い、それでも余力があれば五輪に使う」べきであり、五輪最優先で医療資源を使うのは避けるべきとし、「私が挙げた四つをクリアできないなら、中止するしかないと思います 」としている。

④の条件をクリアできる可能性は100%無い。

健康の危機にある日本人のことを考えろとも述べている。

"This is someone's country we're going into. These are real people living in crisis. We have to be sensitive to the needs of a nation."

米下院は4月22日、首都Washington, D.C. (District of Columbia)を51番目の州にする法案を与党民主党の賛成多数で可決した。

民主党 共和党 合計
賛成 216   216
反対 0 208 208
棄権 2 4 6
合計 218 212 430

この特別区は連邦政府を置く場所であり、連邦議会の排他的立法の下に置かれており、住民は議会における代表権がない。
下院には1名の代議員 を選出できるが、法案の提出や委員会で投票を行うことはできるが、本会議では投票権を持たない 。
上院議員の選出は認められてい ない。

住民が大統領を選ぶ権利については、1961年の憲法修正第23条によりようやく与えられた。

「もし同地区が州であると仮定すれば連邦議会に送ることのできる上院および下院の議員総数と等しい数の選挙人を選任する。ただし、その数は、いかなる場合にも、人口の最も少ない州の選任する選挙人の数を超えてはならない。」 

現在、選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ総数は533名である。

バーモント州などより多い70万人の人口を擁し、地元では「代表なき課税」は不当だと訴える声が絶えない。


州昇格は悲願であり、これまでも動きはあったが、2020年に初めて州昇格法案が下院で可決された。

米下院本会議は2020年6月26日、コロンビア特別区を51番目の州に昇格させる法案を賛成232、反対180で可決した。 採決では1人を除きすべての民主党議員が賛成し、共和党議員はほぼ全員が反対した。

51番目の州となり、州の名前はWashington, Douglass Commonwelth とする。(元奴隷で奴隷制度廃止運動家のFrederick Douglassの名前から採用)

White House、米国議会、National Mallを含む狭い地域を州から外し、連邦地区とする。

新州には上院2議席と下院1議席が割り当てられる。

下院で共和党がほぼ全員反対したのは特別区が黒人住民が多く(全体の46%)、民主党の強固な地盤であることである。2016年の調査では登録有権者の76%が民主党支持で、共和党支持はたった6%であった。

昨年の大統領選では、バイデン大統領のワシントンでの得票率は92%に達した。
州に昇格した場合、新たに与えられる上院の2議席を民主党が独占するのはほぼ確実で、上院で民主党が非常に有利になる。

共和党は「権力の強奪だ」と猛反発した。

昨年は共和党のトランプ大統領が拒否権行使を示唆し、上院で多数派だった上院は審議入りさえ拒んだ。

下院の投票の2週間前に、当時の共和党のMitch McConnell 上院院内総務は上院での審議拒否を公言した。

2つの対案が提出された。
1つは、White Houseなどの限定された場所を除く特別区全体を隣のMaryland州に編入するというもの。住民は選挙権を与えられることになる。

もう一つは、憲法を改正し、上院議員の総数を100とするというもの。各州は2人の議員を出すため、州の数を現在の50にとどめることを意味する。

新しい上院は民主党と民主系無所属が50、共和党が50で、賛否同数の場合は上院議長を兼ねる副大統領(民主党)が1票を投じる。

民主党の法案提出者は、「歴史上初めて州昇格が射程に入った」と語った。

しかし、フィリバスターを避けるためには60票が必要で、共和党からの10名の賛成が必要となる。

なお、フィリバスターを避ける異例の手もあるが、それを決めるには民主党全員が賛成する必要がある。既に一人の民主党上院議員はフィリバスター回避法案には賛成しないと明言している。

法案の成立は容易ではない。Maryland州に編入し、住民に投票権を与える案の方が実際的かも分からない。

米国務省は4月19日、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け、米国民向けの海外渡航情報(Travel Advisories)を改定すると発表した。新型ウイルスのパンデミックが「旅行者に前例のないリスクをもたらし続けているとしている。

今回の改定はそれらの国の現在の感染状況を再評価したわけではなく、CDCによる疫学的評価を反映させたものだとしている。

但し、一部の国ではCDCの渡航警告レベルが異なる。同省では衛生関連の懸念に加え、各国での検査の利用可能性や米国民に対する渡航規制などの指標も考慮しているためとした。それら指標には、公衆衛生に関する指標や医療へのアクセス、犯罪、出入国条件、米国政府による緊急時の対応能力などが含まれる。

4月20日と21日に改定が発表された。まだ更新されており、今回の渡航情報の更新がいつ完了するかは定かではない。

https://travel.state.gov/content/travel/en/traveladvisories/traveladvisories.html/

Travel Advisories は下記の4レベルに分かれる。

Level 4: Do Not Travel
Level 3: Reconsider Travel
Level 2: Exercise Increased Caution
Level 1 : Exercise normal precautions


これまで
警戒レベルが最も高い「渡航中止勧告」(Level 4 "Do Not Travel")の対象となっていたのは約200カ国のうちケニアやミャンマー、イラク、アフガニスタン、アルゼンチンなど34カ国だったが、今回、世界の約8割の国に拡大、合計153か国とした。

欧州ではオーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリー、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国など、ほぼ全ての国が新しく指定された。

ワクチン先進国のイスラエルも含まれた。カナダも含まれている。


日本はLevel 3 の「渡航の見直し "Reconsider Travel"」に含まれた。

ここには他に、中国、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、台湾などが含まれている。


シンガポール、韓国、タイ、ベトナムなどは Level 2の「"Exercise Increased Caution"」に含まれている。



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ウィスコンシン州政府は4月19日、台湾の鴻海精密工業の米子会社 Foxconn Technology Groupと税優遇契約の見直しで大筋合意したと発表した。

ーーー

2017年7月、鴻海の創業者郭台銘がホワイトハウスに招かれ、トランプ大統領の目の前で米中西部のウィスコンシン州に新工場の建設計画を発表した。

総額100億ドルに上る巨額投資で、液晶パネルの一大生産拠点をつくる、1万3000人の雇用が生まれると説明した。
外資系企業による新工場への投資としては米史上最大とされた。

ウィスコンシン州は当時のScott Walker知事(共和党)が税優遇措置や州・地方政府による道路関連の投資を含め最大40億ドル規模とされる優遇契約を結んだ。

トランプ米大統領は2018年6月28日、ウィスコンシン州での新工場起工式に出席した。

1万5000人の雇用を創出し、ウィスコンシン州経済に年間34億ドル貢献するだろうと発言。同工場を「世界の七不思議」に続く8番目の不思議だと称賛した上で、米国のコンクリートと鉄鋼で建設されると述べた。

大統領はソフトバンクの孫正義社長を壇上に呼び、米国への投資で「マサさんに感謝したい」と述べた。

トランプ大統領は2018年11月の中間選挙を2020年の大統領選の前哨戦とみて、共和党のScott Walker知事の再選を狙い、利益誘導で鴻海の新工場の誘致を成功させた。

しかし、知事選では民主党が勝利し、大統領選でもトランプは敗北した。

実際にはFoxconnは同工場における生産品目を中小型液晶パネルやサーバー部品、人工呼吸器などへと繰り返し変更しており、建屋の完成後もほとんど稼働していない状態が続いていた。
工場誘致策を批判し、2018年の州知事選で勝利したTony Evers 知事(民主党)はFoxconnに対し税優遇契約の見直しを求めていた。

ーーー

今回、Foxconnは予定していた100億ドルの投資を6億7200万ドルに縮小し、雇用計画を1万3000人から1454人に減らす。
州政府は同工場への税優遇措置を28億5000万ドルから8000万ドルに縮小するという。

Foxconnは、2017年当時の予測は「想定外の市場の変動によって変化した」と説明し、州政府との合意について「世界市場の変化する状況に対応して事業機会を追求する柔軟性」が得られたとした。

ウィスコンシンを"one of the -- if not the -- largest manufacturer of data infrastructure hardware in the United States" にするとしたが、具体的内容は明らかにしていない。

Evers 知事は、今回の合意は従来契約に比べて納税者の負担が27億7000万ドル減り、雇用創出を税優遇策の条件とする措置が維持され、同工場の支援に州・地方政府が投じた数億ドルの資金が保護されると強調した。Foxconnが雇用と設備投資の目標を達成できれば、実績連動型の税優遇措置として6年間で最大8000万ドルを受けられるとした。

大阪大や北海道大などのチーム新型コロナウイルスを短期間で人工合成する方法を開発した 従来は合成に数か月かかったが、この方法を使うと2週間に短縮できるという。ウイルス遺伝子の改変も容易にでき、世界で拡散する変異ウイルスの解析に役立つとしている。

4月1日付で英国科学雑誌「Cell Reports」にオンライン公開された。
  
"Establishment of a reverse genetics system for SARS-CoV-2 using circular polymerase extension reaction"

ウイルスの人工合成は、大腸菌にウイルスの遺伝子を組み込んで複製を作る方法が一般的だが、新型コロナは遺伝情報が多く、そのままの状態で複製すると予期しない変異が起きやすい。
このため限られた研究者しか合成できず、時間もかかっていた。

大阪大学の微生物病研究所の鳥居志保特任研究員、感染症総合教育研究拠点の松浦善治特任教授、北海道大学大学院の福原崇介教授らの研究グループは、CPER法を用いることにより、わずか2週間で新型コロナウイルスを人工合成する新しい技術を確立した。

CPER(Circular Polymerase Extension Reaction) 法はPCRを活用した手法で、重なる領域を有する遺伝子断片を鋳型にDNA合成酵素 (ポリメラーゼ) を用いて伸長反応を実施することにより、遺伝子断片が連結した環状のDNAを作出する方法。2013年に発表され、デング熱を起こすデングウイルスなどが含まれるフラビウイルスのワクチン開発に活用されている。

本技術により、
 ・従来数ヶ月かかっていたウイルスの合成が大幅に短縮されることで新型コロナウイルスの研究開発が加速化する。

 ・世界中で出現する様々な変異を持つ新型コロナウイルスに対しても迅速に解析することが可能となる。

 ・外来遺伝子を組み込むなど遺伝子操作をしたウイルスを用いた研究は病原性解析や予防法・治療法の開発にも応用可能。


手法は下記の通り。

ステップ

新型コロナウイルスの遺伝子全長をカバーする9個のウイルス遺伝子断片とプロモーターを含むリンカー断片をPCRで増幅。
各断片が隣り合う断片と重なる領域を持つよう設計。

ステップ

各断片が隣り合う断片と重なる領域を持つよう設計されているため、もう一度PCRを行うと、10個の断片が一つに繋がり、ウイルス遺伝子全長をコードする環状のDNAを作製できる。

ステップ

この環状DNAを新型コロナウイルスがよく増殖する培養細胞に導入すると、細胞の中でDNAをもとにRNAが合成され、さらにこのRNAをもとにウイルスが合成されて、約7日間で感染性の新型コロナウイルスを作出することができた。

高度な遺伝子操作技術を用いずに、PCRのみで新型コロナウイルスの感染性DNAクローンを作製できることが分かった。

さらに、GFPなどの蛍光タンパク質を導入したウイルスや、任意の遺伝子を変異させたウイルスも作出可能であることを示した。

ウイルスに蛍光タンパク質を導入すると、ウイルスが感染した細胞で蛍光タンパク質が発現するため、感染細胞を可視化することができる。

これまでの大腸菌にウイルスの遺伝子を組み込む方法でのウイルスの人工合成は限られた研究者しか出来ず、時間もかかっていた。
本研究成果により、より多くの研究者が迅速・簡便に新型コロナウイルスを合成できるようになり、人工的に遺伝子改変したウイルスを用いた病原性解析やワクチン・抗ウイルス薬の開発、また、次々と現れる変異ウイルスに対するこれまで以上に素早い解析が可能となる。

新型コロナウイルス感染症克服に向けた研究が飛躍的に進むことが期待される。

政府は4月13日、総理大臣官邸で関係閣僚会議を開き、東電・福島第一原発で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について議論し 、海へ放出する方針を決めた。

ーーー

東電は放射性物質を取り除く専用装置で汚染水を浄化した処理水を原発敷地内のタンクに保管している。2020年末までに137万トン分のタンクを確保したが、これでタンク建設用地は無くなる。

汚染水は2020年中に1日平均約150トンまで減らしたが、2022年夏~秋にはタンクが満杯になる。

この処理水の処理について、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会で検討してきたが、経済産業省は2019年12月23日、とりまとめ案を公表した。
5つの処分方法を検討してきたが、薄めて海に流す「海洋放出」と蒸発させて大気中に出す「水蒸気放出」という前例のある方式に絞り込んだ。

1979年の爆発事故のThree Mile Island -2号炉では汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水について、近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が反発した。このため1991年から93年にかけて約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分した。

トリチウムを含む水は薄めて海に流すことが国際的に認められている。海洋放出を問題視している韓国でも、月城原発が2016年に液体で17兆ベクレル、気体で119兆ベクレルを放出しており、古里原発も2016年に液体で36兆ベクレル、気体で16兆ベクレルを放出した。

2020/1/1 福島第一原発処理水の処分、海洋・大気放出に絞る

報告書は水蒸気放出について大気中での拡散の仕方の予測が難しく、放出濃度の監視に難があると指摘する一方、原発などで実績のある海洋放出を「確実に実施できる」と記しており、政府は海洋放出に絞った。

なお、報告を出した小委員会の委員からは、「現在あるタンク容量と同程度のタンクを土捨て場となっている敷地の北側に設置できるのではないか」「敷地が足りないのであれば、福島第一原発の敷地を拡張すればよいのではないか」などといった意見が出されたという。敷地の北側の土捨て場に大型タンクを設置することができれば、約48年分の水をためることができると試算されている。

2020年8月7日付の"Science"誌に米ウッズホール海洋研究所のKen O. Buesseler博士が投稿した。

トリチウムの半減期は12.3年であり、60年経てば97%のトリチウムは無くなる。半減期の短い他の放射性物質も同様だ。この間に現在の4倍の処理水が溜まる。タンク漏れのリスクはある。
現在放出の理由とされる土地問題は、現在の敷地外にタンクをつくれば解決する。

汚染水の放出は回復中の地域の漁業にマイナスの影響を及ぼしかねないため、大衆の心配を無視してはいけない。放出する場合、海水と海洋生物、海底堆積物のモニタリングに地域の漁民と独立的な専門家が参加しなければいけない。

2020/8/12 福島原発汚染水問題で、60年保管説

付記

東京電力は放出に備え、タンクを23基建設する。能力140万トンとなり、計算上は2023年春までもつ。
多核種除去設備(ALPS) 近くにある35基を処理水の放出準備にあてる。放射性物質の濃度を測ったり、放出前に海水で薄める設備に送ったりする 。

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政府は水蒸気放出には関心を示さず(東京方面に流れるのを懸念したとされる)、海洋放出を決定する方針を固め、2020年10月末にも決定するとされていたが、強い反対を受け、「さらに検討を深め、適切なタイミングで結論を出していきたい」とした。

しかし、最近になり、菅首相が動いた。

菅首相は4月7日、全国漁業協同組合連合会の岸宏会長と官邸で面会し、放出決定への理解を求めた。岸氏は改めて反対を伝達したが、首相は会談後、「近日中に判断したい」と述べた。

政府は4月13日、総理大臣官邸で関係閣僚会議を開き、東電・福島第一原発で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について議論し 、海へ放出する方針を決めた。

菅首相は、「福島第1原発の廃炉を進めるに当たって避けては通れない課題」と指摘。その上で、「基準をはるかに上回る安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底することを前提に海洋放出が現実的と判断し、基本方針を取りまとめた」と語った。

経産省は「福島第一原発における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」を発表した。概要は次の通り。

トリチウム及びトリチウム以外の放射性物質についてICRPの勧告に沿って従来から定められている安全性に関する原子炉等規制法に基づく規制基準厳格に遵守

海洋放出に当たっては、安全に係る法令等の遵守に加え風評影響を最大限抑制するための放出方法客観性・透明性の担保されモニタリングを含むを徹底

海洋放出について同処理水を大幅に希釈した上で実施

第三者の関与を得つつ、ALPS処理水トリチウム濃度確認するとともに、トリチウム以外の放射性物質が安全に関する規制基準を確実に下回るまで浄化れていることについて確認し、これを公表する

トリチウム濃度は、規制基準を厳格に守するだけでなく、在実施している福島第一原発のサブドレン等の排水濃度の運用目1,500ベクレル/リットル7未満)と同水準とする

この水準を実現するためにはALPS処理水を海水で大幅(100以上)に希釈する必要があるなお、この希釈に伴い、トリチウム以外の放射性物質についても、同様に大幅に希釈されることとなるALPS処理水を100倍以上に希釈することで、希釈後のトリチウム以外の告示濃度比総和は、0.01満となる。

放出するトリチウム年間の総量は、事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆ベクレル内外の他の原発から放出されている量の実績値の幅の範囲内下回る水準になるよう放出を実施し定期的に見直す

風評影響に対応するため、福島県及びその隣県の水産業始めとした産業に対しては、地及び海外を含めた主要消費地において販路拡大・開拓等の支援を講じる

東京電力には、風評被害が生じた場合には、セーフティネットとして機能する賠償により、機動的に対応するよう求める

東京電力には今後、2年程度後にALPS処理水の海洋放出を開始することを目途に具体的な放出設備の設置等の準備を進めることを求める。


今後たまり続ける分も含めて、流し終えるまでに30~40年かかる見通し。

原子力規制委員会の更田委員長は、タンクの耐用年数は約20年のため、「海洋放出が長期間にわたるなら当然、タンクの置き換えは考えないといけない」と述べた。

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2020年12月11日に、約137万㎥のタンクの設置を完了


2020年12月31日現在 貯蔵量 116万m3

 うち 告示濃度比総和 1未満 (そのまま薄めて放出可能) 32.4万m3

 告示濃度比総和 1~5   37.4万m3
        5~10    20.8万m3
        10~100  16.2万m3
        100以上  6.2万m3
        合計   80.6万m3

    他に再利用タンクに 3万m3


東電は当初、第一原発の汚染水を処理した後の水にトリチウム以外の複数の放射性物質が残留していることは公表せず、2018年8月に新聞が報道して初めて明らかになった。

2018/8/29 福島原発のトリチウムを含む低濃度汚染水を巡る問題 

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福島の漁業関係者は、「約束違反」としてこの決定に猛烈に反発している。

2015年にサブドレン計画が出された。

第一原発の山側からは地下水が建屋側へ流れ込み、これが内部の溶融燃料に触れて汚染水が増える要因となっている。

「 サブドレン計画」は、建屋内に流れ込む地下水を減らし高濃度汚染水の増加を抑えることなどが目的で、原子炉建屋を囲む41本の井戸から地下水をくみ上げ、浄化装置で処理し、放射性物質の濃度を基準以下にして海に放出する。地下水を150トンに半減できると試算し た。

これについていろいろあったが、最終的に福島県漁連は2015年8月11日、条件付きで計画を容認する文書を国と東電に提出した。

東電は2015年8月25日付で廣瀬直己社長名で回答している。

東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について

4. 建屋内の水は多核種除去設備等で処理した後も、発電所内のタンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わない事

(回答)
 ・ 建屋内の汚染水を多核種除去設備で処理した後に残るトリチウムを含む水については、現在、国(汚染水処理対策委員会トリチウム水タスクフォース)において、その取扱いに係る様々な技術的な選択肢、及び効果等が検証されております。また、 トリチウム分離技術の実証試験も実施中です。
 ・ 検証等の結果については、漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、 こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします。

     https://www.tepco.co.jp/news/2015/images/150825a.pdf

東京電力は9月14日、「サブドレン」からくみ上げて浄化した汚染地下水の海洋放出を始めた。 合わせて海側遮水壁の残る部分の工事を開始した。

2015/8/4 福島の漁協、サブドレン地下水の海洋放出容認


今回の決定はこの約束に反するものであるとし、「国も東電も信用できない」としている。

これに対し、経産省幹部は、(今回は放出を決定しただけであり)「関係者の理解なしには、決定をおこなわない」とは約束していないとし、実際の放出までに理解を得るとしている。

2年後に実施する時点で、関係者の理解が得られない場合は(その時点ではタンクは満杯)、どうするのだろうか。

関西医科大学は2022年4月に「光免疫療法」で世界初の研究所を設立する。開発者で所長に就任する米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員は4月12日、現在対象の顔や首のがんに加え「乳がんなどへの適用も検討する」と話した。

米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らの研究チームは2011年11月6日のNature Medicine で初めて「光免疫療法」を報告した。

がん細胞に結びつきやすい特徴を持つ薬を投与した後、患部に赤色光を当てると、薬が光に反応してがん細胞が破壊される。光は熱を持たず、体に当てても害はないとされる。また動物実験などのデータから、この治療によって体内の免疫が活発になり、転移したがんも治癒できる可能性があると考えられている。

2016/8/22 光免疫療法による癌治療 

楽天メディカルは2020年6月29日、がん細胞をピンポイントで攻撃する「がん光免疫療法」に使う医薬品と医療機器について、「条件付き早期承認制度」に基づき厚生労働省に承認申請をした。対象は、舌がんや喉頭がんなどの頭頸部がんが再発した患者で、この治療法に使う医薬品と医療機器を承認申請するのは世界で初めて。

厚労省は2020年9月25日、楽天メディカルジャパンが申請した光免疫療法で使用する「アキャルックス®点滴静注250㎎」について、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として、製造販売承認を与えた。本剤と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBlade®レーザシステム」についても、9月2日に製造販売承認を取得している。

2020/7/1 楽天メディカル、「がん光免疫療法」の医薬品と医療機器の承認申請

関西医大が新設する光免疫医学研究所は「光免疫療法」や「免疫」などの3部門に分かれ、約30人が在籍する予定。

現在は外からレーザーを当てやすい頭頸部がんに限られているが、対象を患者数が多い大腸がんや皮膚がんに広げたり、副作用を抑えたりするための研究を進める。

所長に就任する小林氏は「まず乳がんや食道がん、子宮頸がんが対象として有望。将来的にはがん患者の8割に役に立てるようにしたい」、「特に臨床では高いレベルで、楽天メディカルと連携したい」と話す。

楽天メディカルは光免疫療法と免疫薬を併用する治験を、米国で頭頸部がんと皮膚がんを対象に進めている。

国立がん研究センター東病院も食道がんで光免疫療法の医師主導の治験を進めているほか、胃がんでも計画中。

2019/2/25 食道がんの光免疫療法の治験 

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