「no」と一致するもの

BPは6月29日、世界中の石油化学事業をINEOSに売却することで合意したと発表した。売却価額は総額50億ドル。

INEOSは先ず、BPに4億ドルを前払いする。2020年末に予想される取引完了後に36億ドルを支払う。残り10億ドルは分割払いで、2021年3~5月に各1億ドル、残り7億ドルは2021年6月末に支払う。
付記 2021年1月1日、取引を完了した。


BPは2018年7月26日、BHPから米国の石油・ガス資産を105億ドルで買収した。

石油・ガス田 生産量 内訳
Eagle Ford 90,000 boe/d 70% liquids
Haynesville 60,000 boe/d all gas
Permian 40,000 boe/d 70% liquids


2018/7/31 BHP、米国の陸上石油・ガス資産全てを売却 

これに伴い、BPは2019~2020年に100億ドルの資産を売却すると発表した。2020年2月に修正し、2021年央までに150億ドルの売却とした。

BPは2019年8月27日、アラスカでの事業を米石油会社Hilcorpに売却することで合意し、同地域から撤退すると発表した。売却額は56億ドルで、広大なプルドー湾油田とアラスカを南北に縦断するトランス・アラスカ・パイプラインの権益も含んでいる。

2019/9/3 BP、米アラスカ州の全事業を売却

このほかの売却で2019年末に94億ドルを達成した。

今回の石油化学事業の売却で拡大目標を早々に達成する。

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BPの石油化学の歴史については下記参照。

2006/8/29 BPの石油化学のオリジン

同社は20054月に石油化学の大半をInnoveneとして分離、2005年末にINEOSに売却した。

2006/6/14  事業買収で急成長した化学会社」 参照

現在のBPの石油化学は、中国のエチレンJV( 上海SECCO石油化工)と、酢酸・パラキシレン・PTAである。

BPは2016年1月、アラバマ州Decatur のPX、PTA、NDCコンプレックスをタイのIndorama Ventures に売却する契約を締結した。

PX:72万トン、PTA:102万トンと、NDC(BPが世界で唯一、商業生産するナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル)

2016/1/12 タイのIndorama Ventures、BPのアラバマのPX、PTA、NDCコンプレックスを買収 

BPは2017年4月27日、上海赛科石油化工(上海SECCO石油化工)の持分(50%) を、パートナーのSinopecの子会社上海高橋石化 に16.8億ドルで売却することで合意したと発表した。

2017/5/1 BP、上海SECCO石油化工の持分をSinopecに売却 


今回の売却案件は下記の通りで、
2019年の生産量は970万トンに達している。

立地

Maker 製品 能力
北中米 Cooper River, SC BP PTA 140万トン
Texas City, Tex BP PX 90万トン BPはPXをSterling Chemicals に供給し、PTA 540を生産委託
酢酸 60万トン
MX 10万トン
Trinidad & Tobago Atlas Methanol メタノール BP枠 70万トン BP 36.9%、Methanex 63.1%
欧州 Hull, UK BP 酢酸 50万トン
無水酢酸 20万トン
Geel, Belgium BP PX 70万トン
PTA 140万トン
アジア Zhuhai, China BP Zhuhai Chemical PX 90万トン BP 91.9%
(当初、BP85% / Zhuhai Port 15%)
MX 10万トン
酢酸 60万トン
Chongqing, China Yangtze River Acetyls 酢酸 BP枠 20万トン BP 51%/Sinopec Sichuan Vinylon Works 44%/Chongqing Energy Investment Group 5%
エステル BP枠 10万トン
Nanjing, China BP YPC Acetyls 酢酸 BP枠 30万トン BP 50%/Sinopec 50%
Merak, Indonesia BP Petrochemicals Indonesia PTA 50万トン BP 100%
Kertih, Malaysia BP PETRONAS Acetyls 酢酸 BP枠 40万トン BP 70%
Ulsan, South Korea LOTTE BP Chemical 酢酸 BP枠 30万トン BP 50.9%
VAM BP枠 10万トン
Taichung, Taiwan China American Petrochemical PTA BP枠 50万トン BP 61.43%/Chinese Petroleum Company 38.57%
Mai Liao, Taiwan Formosa BP Chemicals 酢酸 BP枠 20万トン BP 50%/Formosa Chemicals and Fibre Corporation 50%

なお、ドイツのGelsenkirchen とMulheim の石油化学資産はGelsenkirchen精油所と統合されたもので、今回の売却には含まれない。

このほか、下記を含む。

BP Infinia:これまでリサイクルできなかった廃PET樹脂のリサイクル

Tricoya Ventures UK:木材のアセチル化、Tricoya® wood 製造 BPは25百万ドル出資

なお、INEOSは、BPのNaperville, Illinois にある研究開発センターを買収するオプションを持つ。追加費用で買収するか、リースするかなどが考えられる。

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石油化学事業を売却するが、本業の石油・ガス事業の将来も明るくない。

BPは6月15日、長期の原油・ガス価格予想を引き下げた。

2021-2050のBrent原油平均を $55/bbl、 Henry Hub gasを $2.90 per mmBtu (いずれも2020年ドルベース)とした。
従来は2040年ごろまでに平均 $70/bblとのシナリオを掲げていた。
天然ガス価格の想定も3割程度下げた。

この結果、第2四半期に130~175億ドル(税引後)の減損損失を計上する。

Shellも6月30日に第2四半期に税引後で150~220億ドル(税引前では200~270億ドル)の減損損失を計上すると発表した。

同社の価格予想
  • Brent: $35/bbl (2020), $40/bbl (2021), $50/bbl (2022), $60/bbl (2023) and long-term $60 (real terms 2020)
  • Henry Hub: $1.75/MMBtu (2020), $2.5/MMBtu (2021 and 2022), 2.75/MMBtu (2023) and long-term $3.0/MMBtu (real terms 2020)


北京で開かれていた全国人民代表大会常務委員会は6月30日、「中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法」を全会一致で可決、習近平国家主席が第49号主席令に署名してこれを公布した。
また、香港特別行政区基本法付属文書三の全国的法律増加に関する全人代常務委員会の決定を採択した。

経緯については 2020/6/1 トランプ大統領、香港への優遇措置撤廃へ

香港の中国返還から23年となる7月1日を前に、6月30日夜11時ごろ施行された。

新法は香港の永住者と非永住者の両方に適用される。BBCによると、以下の内容が含まれている。

  • 国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最低3年、最高で無期懲役が科される。

  • 中国中央政府と香港の地方政府への憎悪を扇動する行為は第29条違反となる。

  • 公共交通機関の施設を損傷する行為はテロリズムとみなされる可能性がある。

  • 有罪となった者は公職に立候補できない。

  • 中国中央政府は香港に新たな保安施設を設立し、独自の法執行官を配置する。施設も法執行官も香港の地元当局の管轄外となる。

  • 香港特別行政区行政長官は国家安全保障事件における裁判官を任命できる。香港の法務長官が陪審員の有無を決定できる。

  • 地方自治体が設置した国家安全保障委員会の決定に対し、法的な異議申し立てはできない。

  • 中国が「非常に深刻」とみなした事件の起訴を引き継ぎ、一部の裁判は非公開で行う。

  • 外国の非政府組織や通信社の管理を強化する。

  • 同法第38条に基づき、非居住者が海外から同法に違反したとみなされる可能性もあるとみられる。

6月30日の施行以前の行為については適用されない。

楽天メディカルは6月29日、がん細胞をピンポイントで攻撃する「がん光免疫療法」に使う医薬品と医療機器について、「条件付き早期承認制度」に基づき厚生労働省に承認申請をしたと発表した。

対象は、舌がんや喉頭がんなどの頭頸部がんが再発した患者。この治療法に使う医薬品と医療機器を承認申請するのは世界で初めて。

医薬品はASP-1929(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)、医療機器はレーザ照射システム。

同社では、がん光免疫療法の医薬品、医療機器、医療技術、その他周辺技術を総合的に利用した技術基盤をイルミノックス (Illuminox™)プラットフォームと呼んでいる。

5月29日付で「条件付き早期承認制度」が適用された。この制度は一般的に3段階ある臨床試験の最終段階を経なくても、そこまでのデータで申請できる。

この治療法は本年4月に、画期的な新薬を優先的に取り扱う「先駆け審査指定制度」の対象にもなっており、 国の審査が優先的に進められ、通常1年かかる審査期間が半年に短縮される。

付記

厚生労働省の専門部会は9月4日、光免疫療法で使用する「セツキシマブサロタロカンナトリウム」(商品名アキャルックス)の国内での製造販売を了承した。

厚労省は9月25日、楽天メディカルジャパンが申請した「アキャルックス®点滴静注250㎎」について、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として、製造販売承認を与えた。
本剤と組み合わせて用いる医療機器レーザ装置「BioBlade®レーザシステム」についても、9月2日に製造販売承認を取得している。

アキャルックス®は、2019年4月に先駆け審査指定制度対象品目の指定を受け、2020年3月に条件付き早期承認制度のもと、承認申請を行った。日本は、製造販売承認を取得した初めての国。

付記

「中央社会保険医療協議会」は11月11日 「光免疫療法」で使う薬剤「セツキシマブサロタロカンナトリウム」(商品名アキャルックス)とレーザー装置について公的医療保険の適用を決めた。1回の標準的な治療費は薬剤費、装置代、手術料を含めて約600万円だが、自己負担を軽減する高額療養費制度により患者の支払額は多くても数十万円になる見込み 。


なお、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)は2019年2月21日、「光免疫療法」による食道がんを対象にした臨床試験(治験)を始めると発表している。

2019/2/25 食道がんの光免疫療法の治験 

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現在の癌治療では「手術」「放射線療法」「化学療法」の3つの方法が主流になっているが、これらの治療にはいずれも副作用が付いてくる。「放射線療法」「化学療法」は癌細胞を殺すが、正常細胞も殺す。副作用を最小限にするため、「分子標的薬」が開発されてきたが、その数はまだ少ない。

米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らの研究チームは2011年11月6日のNature Medicine で初めて「光免疫療法」を報告した。

がん細胞に結びつきやすい特徴を持つ薬を投与した後、患部に赤色光を当てると、薬が光に反応してがん細胞が破壊される。光は熱を持たず、体に当てても害はないとされる。また動物実験などのデータから、この治療によって体内の免疫が活発になり、転移したがんも治癒できる可能性があると考えられている

1) 癌にくっついて熱で殺す

光を当てた約10分後には制御性T細胞が熱で大幅に減り、免疫細胞「リンパ球」のブレーキが外れて、癌への攻撃が始まったためとみられる。

2) 光を当てない癌も消える

光を当てた場所で癌への攻撃力を得たリンパ球が血液に乗って全身を巡り、癌を壊したと考えられる。

3) 癌だけを殺せる!

2016/8/22 光免疫療法による癌治療 

小林主任研究員は2011年設立のバイオベンチャー企業のAspyrian Therapeutics, Inc. と組み、2015年4月30日にFDAの計画承認を受け、治験を開始した。

Aspyrian Therapeuticsは2013年秋にNIHから光免疫療法に関する独占ライセンス を受けた。

楽天の三木谷浩史会長兼社長は、新しいがん治療法として注目される「光免疫療法 : Photoimmunotherapy」の商業化を進めているAspyrian Therapeutics, Inc.に22.6%出資して持ち分法適用会社とすることを明らかにした。

同社のホームページでの小林久隆・主任研究員との対談のなかで、以下の通り述べている。

父がすい臓がんを患いました。・・・ どうすれば父のがんを治せるか、あらゆる可能性を探しました。

小林先生に「近赤外線光免疫療法」の原理を聞いた瞬間、・・・賭けてみる価値のある革新的な治療法であると、確信した。

小林先生から、臨床で実用化するための資金集めに苦労しているという話を聞き、資金面でのサポートをすることを決めました。

三木谷浩史氏個人で約167億円を出資、その後楽天も1億ドルを追加出資した。

2017/11/28 楽天、がん治療に参入 光免疫療法Aspyrian Therapeutics に出資

Aspyrian Therapeuticsはその後、社名をRakuten Aspyrianと改称した。

三木谷氏は個人としてRakuten Aspyrianに出資し、筆頭株主として資金面で支援するとともに、同社の代表取締役会長として経営にも携わっている。
Rakuten Aspyrianは2018年11月15日、三木谷氏を最高経営責任者(CEO)に任命した。引き続き会長職も務める。

同社は2019年3月1日にRakuten Medical に改称し、現在に至っている。

Bayerは6月24日、2018年6月に買収したMonsantoの訴訟の大半を決着させたと発表した。除草剤 Roundupの発癌問題、除草剤dicamba の飛散による農産物被害問題、Monsantoが製造していたPCBの水質汚染問題などである。

Roundup訴訟では将来の訴訟分も含め、101~109億ドルを支払う。dicamba訴訟では4億ドル、PCB訴訟では8億2千万ドルを支払う。

支払は内部留保分とAnimal Health部門売却収入で賄う。

Bayerは2019年8月20日、米国の Elanco Animal Health との間でBayerのAnimal Health 事業を売却する契約を結んだと発表した。2020年央に取引を完了する。

売却額は76億米ドルで、うち53億ドルは現金で、残り23億ドルはElanco株で決済する。Bayerは受け取ったElanco株式を時間をかけて売却する意向。

2019/8/27 Bayer、Animal Health事業をElancoに売却 

1) Roundup

BayerによるMonsanto買収直後の2018年8月10日に、カリフォルニアの陪審員がモンサントの除草剤 Roundup による発癌被害で289百万ドルの賠償評決を下した。Roundup については、全米で7月末で約 8千件の訴訟があるが、最初の裁判である。

原告は学校の校庭の管理人で、30年以上にわたって除草剤を扱ってきたが、非ホジキンリンパ腫にかかっており、医者は2020年まではもたないだろうとしている

米カリフォルニア州地方裁判所の陪審は2019年3月19日、「Roundup」を長年使用し、喉に悪性リンパ腫を患った男性がモンサント側を相手取って訴えていた裁判で、ラウンドアップががんを発生させた「事実上の要因」だったとの評決を下した。

2018/8/28 Bayer のMonsanto買収 完了と、Monsantoの除草剤への賠償命令判決 

これらを含め合計3件で陪審員による多額の懲罰的賠償評決があり、それらを裁判官が大幅に減額した。

原告   陪審員 裁判官判断
1 校庭の管理人   カリフォルニア 2018/8/10 Superior Court 2018/10/23
損害賠償 39百万ドル 39百万ドル
懲罰的損害賠償 250百万ドル 39百万ドル
2 Edwin Hardeman   カリフォルニア 2019/3/27 地裁 2019/7/16
損害賠償 527万ドル 527万ドル
懲罰的損害賠償 75百万ドル 20百万ドル
被害に対して15倍もというのは違憲
3 Pilliod 夫妻   カリフォルニア 2019/5/13 Superior Court 2019/7/25
損害賠償 55百万ドル 17 百万ドル
懲罰的賠償 20億ドル 69百万ドル 
陪審の懲罰的賠償は過大で憲法違反

2019/7/27 モンサントの除草剤 Roundup による発癌被害裁判、裁判官が陪審の懲罰的賠償を大幅減額 

今回の解決は、訴訟分とまだ訴訟に入っていない分を合わせて約125千件のうち、約75%を包含するものである。将来の訴訟分も含めるメカニズムになっている。

現在の訴訟分については88~96億ドルを支払い、予想される将来の訴訟については12億5千万ドルを引き当てる。

Bayer内部では承認済で、最終的にカリフォルニア連邦地裁の判事の承認が必要となる。Bayerは責任も不正行為も認めていない。


なお、既に1審が終わっている3件はこれに含まれず、控訴審で審議される。

2番目の裁判では、1審で「除草剤Roundupのラベルには発癌の危険が示されておらず欠陥である」との陪審員の判断を裁判官は否定せず、有罪にした。

米EPAと司法省は12月20日の控訴審で、friend of the court brief (=amicus curiae:個別事件の法律問題で第三者が裁判所に提出する情報または意見)を提出した。

このなかでEPAは、EPAはRoundupのラベルを調べ、承認したこと、Roundupには発癌性はなく、このため、発癌性の危険を表示する必要性はないとした。判決は覆すべきであるとしている。

EPAは発癌性を認めず、製品ラベルには当然、発癌性の危険は表示されていない。しかし、カリフォルニア州は発癌性製品のリストに含めており、発癌性の危険が表示されていないのは違法となる。
原告側弁護士は、連邦法ではなく、州法を基に訴訟を起こし、一審の裁判官もこれを認めたもの。

EPAと司法省は、ラベルは法律で認めたもので、それと異なるやり方での使用は法律違反であるとし、州は農薬の販売や使用を制限することは出来るが、国が承認したラベルと異なるもの、追加したものを求めることは出来ないとしている。

控訴審の裁判官は

IARC は'probable carcinogen' としたが、カリフォルニア州の 'known to the state of California to cause cancer' とするのはミスリーディングである。

IARC以外は全て、glyphosateには発癌性はない、又は、発癌性を示す十分な証拠はないとしている。

2) 除草剤dicamba 訴訟

Bayer(旧 Monsanto)とBASFの除草剤で収穫被害を受けたとして、米国の農業従事者が両社を相手取って起こしている係争で、ミズーリ州の連邦裁判所の陪審団は2020年2月15日、総額265百万ドルの損害賠償を命じた。うち15百万ドルが損害に対するもので、残り250百万ドルが懲罰的賠償である。

ミズーリ州最大の桃の栽培業者のBader Farmsが訴えていたもので、近在の農家が散布した除草剤ジカンバ(Dicamba) の影響で桃が枯れ、2000年代初めに平均して162千ブッシェルあった収穫が2018年には12千ブッシェルまで減り、廃業に追い込まれたとして、20.9百万ドルの損害賠償を求めて訴えていた。

2020/2/26 BayerとBASFによる除草剤被害で米裁判所が損害賠償命令

同様の被害を受けたとして多くの原告が訴えている。

Bayerはミズーリ地裁で争っている2015~2020農業年度の被害について和解する。Bayerは共同被告のBASFも参加することを願っている。

同社は同剤とその散布技術(VaporGrip™) の安全性と有効性に自信を持っており、これを使う農家の教育・訓練を高めるとしている。

3) PCBによる水質汚染

Monsantoは1977年に止めるまでPCBを合法的に生産していた。

PCBにより被害を受けたとする地方政府のクラスアクションで、650百万ドルを支払う。

別途、New Mexico, Washington, District of Columbiaの司法長官に対し、PCB被害に対し合計170百万ドルを支払う。

なお、2003年8月に、旧Monsantoがアラバマ州で健康への危険を隠蔽しながら河川にPCBを投棄したとの住民訴訟に対し和解が行われ、Solutia、Monsanto、Pharmacia の3社が不正行為を認めないまま総額6億ドルの賠償を行なうこととなり、Solutia はそのうち5千万ドルを負担した。


AstraZenecaは日本政府と、AstraZenecaとオックスフォード大学が開発中の新型コロナウイルスワクチンの日本への導入に向けた具体的な協議を進めることに合意した。

安倍晋三首相は6月14日、インターネット動画サイト「ニコニコ動画」の番組で、新型コロナウイルスのワクチン確保のため、開発を進めている米バイオ企業 Moderna、英製薬大手 AstraZenecaの両社と交渉していることを明らかにした。

AstraZenecaのワクチンについて「相当スピード感を持って開発が進んでいるとうかがっている」と紹介 した。

「これが完成した暁にはしっかりと日本も確保できるように交渉をしている」と述べた。

付記

厚生労働相は8月7日、AstraZenecaから日本国内向けに1億2千万回分の供給を受けることで基本合意したと発表した。開発が成功すれば、来年1~3月にまず3千万回分が供給される。接種回数はまだ決まっていないが、1回か2回とみられる。(WHO資料では1回接種で、その場合、1億2千万人分となる。)
ワクチンは原液を輸入するほか、国内メーカーに原液の製造を委託し、国内で供給するという。



これについて、第一三共と明治ホールディングスが6月26日にそれぞれ発表した。

第一三共は6月26日、このワクチンの国内における製剤化(バイアル充填、包装、保管等)などについてAstraZenecaと協議を進めることに合意したと発表した。


製剤化は、子会社の第一三共バイオテックがAstraZenecaから原液供給を受けて実施する予定で、「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」の設備の活用も検討する。

第一三共は、現在実施中のナファモスタット吸入製剤や遺伝子(mRNA)ワクチンの研究開発を推進するとともに、AstraZenecaと協議のうえワクチンの国内安定供給に必要な準備を進めていく。

付記

ブラジル政府は6月27日、AstraZenecaとオックスフォード大学が開発中の新型コロナウイルスワクチンの供給を受けると発表した。

12月から供給を受け、臨床試験で有効性が確認できれば、1億回分のワクチンを確保できるという。
輸入に加え、技術提供を受けてブラジル国内での製造も目指す。

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明治ホールディングスは同日、傘下のMeiji Seika ファルマとKMバイオロジクスが、アストラゼネカ㈱が日本へ導入予定の新型コロナウイルスワクチンの国内安定供給に向けた協議を進めることに合意したと発表した。

KMバイオロジクスがAstraZenecaから原液の提供を受けて製剤化(バイアル充填・包装)した後、Meiji Seika ファルマが保管・配送を行い、アストラゼネカ㈱と協力して国内流通に必要な準備を行う。

Meiji Seika ファルマとKMバイオロジクスは、新型インフルエンザの流行に備えてKMバイオロジクスが既に保有している5700万人分のワクチン製剤化設備と、Meiji Seika ファルマのワクチン流通・供給スキームに加え、長年の開発を通じて培ってきた技術を有効活用し、一刻も早く同ワクチンをお届けするため尽力するとしている。

併せて、KMバイオロジクスによる全粒子不活化ワクチンの開発も加速する。

明治ホールディングスは2009年4月1日に、明治製菓と明治乳業が設立した共同持株会社で、2011年4月に、事業再編により、食品事業を㈱明治、薬品事業をMeiji Seikaファルマ㈱とした。

KMバイオロジクスの前身は、戦前熊本医科大学にワクチン、抗血清、診断抗原等の製造・供与を目的に設置されていた実験医学研究所を母体として1945年に設立された財団法人化学及血清療法研究所である。

2017年に医薬品製造販売業、新生児マススクリーニング事業を明治グループに譲渡することを決定、2018年に明治ホールディングスの連結子会社として、KMバイオロジクスが設立された。

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第一三共とKMバイオロジクスは独自のワクチンを開発中。

厚労省によると、日本医療研究開発機構(AMED)が支援しているワクチン開発状況は以下のとおり。

基本情報 取り組み状況 目標と対応 生産体制の見通し
組換えタンパクワクチン
感染研/UMNフ ァーマ/塩野
遺伝子組換え技術を用いて培養細胞よりコロナウイルスのタンパク質抗原を製造しコロナウイルスタンパク質抗原を人に投与するための注射剤 ワクチンの候補を作製
動物を用いた有効性評価を開始予定
有効なワクチン候補を選定しその後非臨床試験及び臨床試験の実施を目指す 塩野義が開発主体
mRNAワクチン
東大医科研/第一三共
メッセンジャーRNAを人に投与する注射剤
人体の中で
コロナウイルスのタンパク質抗原が合成され免疫が誘導される
ワクチンの候補の作製が終了
動物を用いた有効性評価を実施中
有効なワクチン候補を選定しその後非臨床試験及び臨床試験の実施を目指す
DNAワクチン
阪大/アンジェス/タカラバイオ
DNAを人に投与する注射剤
人体の中で
DNAからmRNAを介しコロナウイルスのタンパク質抗原が合成され免疫が誘導される
ワクチンの候補の作製が終了
動物を用いた有効性評価を実施中
最短7月から臨床試験開始の意 タカラバイオが生産予定
不活化ワクチン
KMバイオロジクス/東大医科研/感染研/基盤研
不活化したコロナウイルスを人に投与する従来型のワクチン コロナウイルスが増殖するかを確認中 2020年度中に非臨床試験終了を目指す
ウイルスベクターワクチン
(ID
ファーマ/感染)
コロナウイルスの遺伝情報を持ったセンダイウイルス投与するワクチ人体の中コロナウイルスのタンパク質(抗原)が合成される 動物を用いた有効性評開始予定 最短で9月から臨床試験開始の意向

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AstraZenecaは5月21日、英オックスフォード大学と共同開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、10億回分の生産体制を整えたと発表した。更に増設する。既に4億回分の受注契約を結んでおり、9月にも供給を始める。

AstraZenecaは同日、米生物医学先端研究開発局(BARDA)から10億ドルの支援を受けたことも明らかにした。同社が受注した4億回分のうち、およそ3億回分は米国向けになるという。
英国政府も6550万英ポンドを支援し、英国人用に1億回分(うち 9月までに3千万回分)を確保した。

2020/5/22 アストラゼネカ、新型コロナウイルスのワクチン 9月に供給へ 

AstraZenecaは6月4日、ワクチンを増設し、開発途上国にも供給すると発表した。

1) 同社は、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とGaviワクチンアライアンスと提携し、3億回分を年末までに引き渡しを開始する。

2) インドのワクチン大手Serum Institute of India (SII) とライセンス契約を締結、10億回分を低・中所得国に供給する。うち4億回分は年末までに供給する。
  このうち、一定量(発表なし)はインド向けで、残りはGAVI によって他の低所得国に配られる。

3) AstraZenecaは6月13日、英オックスフォード大と共同開発している新型コロナウイルスワクチンを、欧州に最大4億回分供給することで、ドイツ、フランス、イタリア、オランダで形成するワクチンの早期確保のための「ワクチン同盟」と合意したと発表した。「利益なし」で、年末までに納入を始める。

2020/6/8 AstraZeneca、新型コロナウイルスワクチン増産、開発途上国に供給 

AstraZenecaは自社で10億回分、インドのSerumへのライセンスで10億回分の合計20億回分を生産する。

自社のうち、3億回分は米国、1億回分は英国、3億回分はCEPI/Gavi 向け、残り3億回分は「ワクチン同盟」向け
インドのSII製造分の10億分はインド向け及びGAVI経由で低所得国向けとなる。

これから見ると、同社の当面の生産分は「ワクチン同盟」への供給で、完売したことになる。

日本向けがいつ頃から始まり、量がどの程度なのか不明である。

中国医薬集団(China National Pharmaceutical Group Corporation:Sinopharm)傘下の中国生物技術(China National Biotec Group :CNBG) は、開発中の新型コロナウイルス不活化ワクチン候補の第3相臨床試験をアラブ首長国連邦(UAE)で開始したと発表した。

6月23日に北京市と武漢市、Abu Dhabiをつないだテレビ会議が開かれ、協力協定が結ばれた。新型コロナ不活化ワクチンの第3相臨床試験が実施されるのは世界初となる。

同ワクチンは既に中国国内で第1、2相の審査を終え、重篤な副作用もみられず、優れた安全性を示す記録が得られた。異なる方法と用量で28日の間隔を空けて2回投与したところ、いずれも高力価の抗体ができ、被験者の体内における中和抗体の陽転率も100パーセントに達した。

なお、CNBGは武漢にWuhan Institute of Biological Products、北京にBeijing Institute of Biological Productsを持ち、それぞれで別の不活性化ワクチンを開発しておりともにWHOのクチン開発状況で臨床試験段階にある10件のなかに含まれている。今回のは武漢のもの。

2020/6/3 中国製ワクチン5種が第2期臨床試験段階へ

第3相臨床試験は多数の患者が必要で、中国では新規感染者が少ないため、感染者が増えている海外で試験を行う。

中国CanSino Biologics(康希諾生物)はカナダのDalhousie UniversityのCanadian Centre for Vaccinology で実施する。

 2020/5/26 中国CanSino Biologicsの新型コロナウイルスワクチン、初期治験で安全性と免疫誘導確認

Sinopharmはアブダビの人工知能(AI)・クラウドコンピューティング関連企業であるGroup 42 と組んで治験を実施する。今後、同社とワクチンの現地生産でも協力するとしている。

Sinopharmは既にバイオセーフティ基準に合致した大規模生産設備を北京に建設した。大量生産が始まれば、年に1億2千万個の生産が出来る。
武漢にも工場を建設中で、完成すれば年に1億個の生産が可能である。

友金属鉱山は6月22日、同社が20.1%出資するインドネシアのニッケル事業会社PT Vale Indonesiaの株式の一部を、インドネシアの国有の鉱工業企業の持株会社PT Indonesia Asahan Aluminium (Inalum)に売却すると発表した。59.2%を所有するカナダのVale Canada Limitedも同様に売却する。

Vale Indonesia(旧称 International Nickel Indonesia)は1996年にインドネシア政府と鉱業事業契約を締結したが、2014年10月に契約改正を行った。
この契約は2025年12月に満了する予定であり、同社が2025年以降も操業を継続するためには鉱業事業許可を取得する必要がある。

そのための条件の一つとして同社への出資の40%をインドネシア資本とする必要がある。このため、下記の通りとする。

出資比率:

現在 今回取引 取引後
Vale Canada(カナダ) 59.2% -14.9% 44.3%
住友金属鉱山(日本) 20.1% -5.1% 15.0%
外国資本合計 (79.3%) (-20.0%) (59.3%)
その他(インドネシア) 20.7% 20.0%
Inalum (インドネシア) +20.0% 20.7%
インドネシア資本合計 (20.7%) (+20.0%) (40.7%)
再計 100% 100%

住友金属鉱山の譲渡金額は約106億円。

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インドネシアのニッケル事業会社PT Vale Indonesiaは旧称 International Nickel Indonesia(PT Inco)で、1960年代にカナダのInco Ltd が設立した。

Inco Ltd の前身はカナダのSudbury地域でニッケル生産を行う米国企業 International Nickel Companyで、他企業の買収などを通してニッケル・銅・PGM(白金族金属)の生産シェアを拡大し、1961年にはマニトバ州のThompson鉱山のフル生産を開始し、ロシアのNorilsk Nickel に次いで世界第2位のニッケル生産企業となった。

1960年代後半にインドネシアでのニッケル事業に参入し、PT Incoを設立、1970年代後半にはニッケル生産を開始し、Incoのカナダ以外での主力となった。

1988年に住友金属鉱山が権益20%を取得し、参入した。

2006年10月にブラジルの資源大手のValeが180億ドルでPT Incoを買収、Inco LtdはVale Canadaとなった。また、PT IncoはPT Vale Indonesiaとなった。

住友金属鉱山のニッケル事業については下記参照


2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得

同社とVale Canada(旧Inco Ltd)との関係は下記参照

2016/4/6 住友金属鉱山と三井物産、ニューカレドニアのニッケル事業から撤退 

ーーー

今回20%を買収したPT Indonesia Asahan Aluminium (Inalum)は日本とインドネシアのアルミ精錬のJVとして設立された。

日本の企業連合とインドネシア政府は2013年12月9日、日本側が全保有株を同政府に5億5670万ドルで売却するとの合意文書に調印した。
合弁は解消され、インドネシアが事業を国有化した。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

Inalumは2017年に政府の方針で、国有の鉱工業企業の持株会社となった。

2018/7/17 インドネシアのアサハンアルミ、銅鉱山運営のFreeport Indonesiaの株式の51%を取得  

ツイッターは6月23日、米首都ワシントンでデモ隊に対し力を行使すると警告したトランプ大統領の投稿について、「攻撃的」コンテンツを禁じる自社の規則に違反したとして、非表示にした上で警告文を追加した。

但し、「公共性があると判断した」として、「表示」マークをクリックすると読めるようにした。


「私が米国の大統領である限り、ワシントンDCに『自治区』が存在することは決してない。設置を試みる者は、厳しい力の行使を受けることになるだろう!」というもの。

このツイートは、6月22日夜にホワイトハウス近くのラファイエット広場で抗議者たちと警察当局が衝突したことを受けてのもので、ツイッター側は「悪意のある行動、具体的には、特定可能なグループに対する危害の脅威」であるとし、同社のポリシーに違反するとした。但し、公共性を認め、読みたい人には読めるようにした。

ツイッターは2020年5月26日にトランプ大統領が、カリフォルニア州で進められている郵送投票に対して「郵送投票は実質詐欺のようなものであることは明らかだ」としたのに対し、"Get the facts about mail-in ballots"(郵送投票についての事実を知って!)との注意書きを付けている。


自治区(Autonomous Zone)は最初にシアトルでつくられ、全国に広がろうとしている。大統領はワシントンDCでの設置の動きを牽制した。

5月25日にミネソタ州で白人警官が黒人男性を死なせた事件を機に抗議活動が広がり、地域によってはデモ隊と警察の衝突が起きた。

シアトルでもデモ隊と警察の小競り合いが続き、Capitol Hill 地区のシアトル警察East Precinct署が抗議活動の中心的な場所となった。

市警は6月8日、この警察署から大半の警察官を撤退させた。これを受け、抗議活動参加者たちが デモ隊と警察隊の間に置かれていたバリケードを利用し、周辺の交通を遮断。6ブロックを通行止めにし、スピーチやダンス、映画の上映などを行っている。

抗議活動を続ける市民は、「Capitol Hill」という地域の名前にちなんで、一帯を「Capitol Hill Autonomous Zone:CHAZ)」、または「Capitol Hill Organaixed Protest:CHOP」と呼んでいる。


トランプ大統領はこれに激怒し、知事(民主党)と市長をツイッターで罵っている。「町を取り戻さないなら、自分がやるぞ、これはゲームではない」とした。

付記 地元警察は7月1日、デモ隊を強制的に排除した。

東芝は6月22日、保有するキオクシアホールディングス(旧称東芝メモリ)の株式の売却を進め、売却で得た資金の半分以上を株主への還元にあてる方針を明らかにした。

東芝は、2015年の会計問題以降の5年間で、7事業、3兆円の事業を切り離し、事業ポートフォリオの見直しを精力的に進めてきた。この2年間でも 、米国LNG事業、英国原子力発電所新規建設事業などのノンコア事業を切り離すとともに、政策保有株式160円、機能会社3社210億円、不動産等288億円など事業外資産売却を進めて きた。

また、東芝メモリの売却資金で総額7,000億 円の自己株式取得を実行し大規模な株主還元を行なった。


東芝が保有するキオクシアホールディングス株式(議決権比率
40.2%)に関しては、車谷CEOも2018年4月のCEO就任時には「4割という出資比率は悪くない」と保持する方針を示していた。

しかし、メモリ 事業を 東芝グループにおいて運営する経営戦略上の意図はなく、株式の現金化の可能な方策について継続的に検討して いる。

今回、この現金化がなされた際には、手取金純額の過半を原則として株主還元に充当することを 明らかにした。

同日の取締役会で剰余金の配当等の決定権限の行使に関する方針(株主還元方針について決議した。

従来の方針には、「平均連結配当性向30%以上の実現を基本とし、適正資本水準を超える部分については自己株式の取得を含む株主還元の対象と する」としているが、今回、以下を付記した。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え当面は財務の安定性を重視しますが、将来のキオクシアホールディングス の株式売却から得られる手取金純額の過半を原則として株主還元に充当ることを意図しております。 」

なお、システムLSI事業、プリンティング事業等のモニタリング対象事業については、聖域を設けずあらゆる施策を検討していくとしている。

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東芝は2017年9月28日、東芝メモリの株式譲渡契約を締結したと発表した。

売却先はBain Capitalがこの目的のために設立し、参加各社が出資する㈱ Pangeaで、譲渡価額は2兆円。

2018年6月1日に譲渡が完了した。

東芝メモリ株式譲渡とともに、東芝は譲受会社のPangeaに合計3,505億円を再出資し、Pangeaの議決権のある普通株式を約1,096億円分(約40.2%)、転換権付き優先株式を約2,409億
円分(総数の約40.8%)取得し、その結果、約40.2%の議決権を取得した。

Apple、Seagate、Kingston Technology、Dell Technologies Capitalの需要家4社が(議決権無しで)4,155億円を出資している。

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結

東芝メモリは2019年5月31日、日本政策投資銀行による出資とメガバンク3行からの借り入れで、6月末までに総額1兆2000億円を調達すると発表した。3行は1000億円の追加融資枠も設定する。

東芝メモリは設備投資に充てる成長資金を確保するため、2019年11月以降に新規株式公開(IPO)を検討しているが、「取引先が株式を持つ現状では上場審査に不利」とされる。

このため、Appleなど4社が持つ優先株を買い戻しておく必要がある。

今回の調達資金 1.2兆円(他に融資枠1千億円)で Apple等4社の持つ優先株(取得価額4,155億円)を約5,300億円で買戻し、消却する。
残りの資金で金融機関からの借入金 6千億円を返済する。現金700億円が手元に残ることとなる。

単位:億円) 出資 合計 転換
社債
借入金 再計 今回 処理後
議決権 優先株
東芝 40.2% 1,096 2,409 3,505     3,505   3,505
HOYA 9.9% 270   270     270   270
(日本側) (50.1%) (1,366) (2,409) (3,775)     (3,775)   (3,775)
Bain 49.9% 1,361 759 2,120     2,120   2,120
SK Hynix     2,660 2,660 1,290   3,950   3,950
(Bain / SK) (49.9%) (1,361) (3,419) (4,780) (1,290)   (6,070)   (6,070)
Apple ほか4社
(買戻し額)
    4,155 4,155     4,155

-4,155
(-5,300)

0

金融機関           6,000 6,000

-6,000
9,000

9,000
日本政策投資銀行               3,000 3,000
INCJ
(産業革新機構)
              0  
合計 2,727 9,983 12,710 1,290 6,000 20,000 1,845 21,845
(今回のCash 増)             700


2019/4/5 東芝メモリ、1.3兆円調達

東芝メモリは2019年10月1日付で社名を「キオクシア㈱」に変更した。

キオクシア(旧称 東芝メモリ)は2020年5月14日、2020年3月期の連結決算概要を発表した。

キオクシアは旧東芝メモリを時価(交渉価格)で買収したため、簿価との差が出る。
この処理(PPA:Purchase Price Allocation) で大きな負担(2022年3月期までに各年1,000億円程度償却)が出るが、製品価格の値下がりで一般の営業損益でも赤字となり、最終損益で1667億円の赤字となった。

2020/5/22 キオクシア(旧称 東芝メモリ)の2020年3月期決算

東芝では、キオクシアの上場時期については「2018年6月から3年以内の上場を目指す方針に変わりはない」としているが、事業環境の悪化から赤字に転落しており、急激な改善は見込めない。
当初想定していたような条件で上場ができるであろうか。


そんななかで、競争相手の韓国のサムスン電子は6月1日、京畿道平沢市の「平沢キャンパス」に8兆ウォン(約7000億円)を投資し、NAND型フラッシュメモリーの生産ラインを建設すると発表した。
昨年7月に世界で初めて量産に成功した世界最先端の第6世代積層NAND型フラッシュメモリー(V-NAND)を来年下期から量産する。

サムスンは現在、中国・西安市にもNAND型フラッシュメモリーの生産ラインを増設している。

サムスン電子は2019年12月13日、西安工場(陝西省西安市)に80億ドルを投資することを明らかにした。第5世代のNAND型フラッシュメモリーの生産能力を高める。2021年に稼働する見通し。

西安工場はサムスンが海外に持つ唯一の半導体メモリー工場。同工場に追加投資をして生産設備を増やし生産能力を拡大する。

韓国では、「新型コロナウイルスと米中通商摩擦で世界の半導体市場に不確実性が高まる中、果敢な先行投資で後発メーカーとの差をさらに広げようという伝統的なサムスン式半導体戦略」とみられている。

EUは6月16日、Appleが自社のアプリ販売サービス App Storeを利用するアプリの開発業者などに対して支配的な地位を利用して公正な競争を妨げた疑いがあるとし 、また、電子決済サービスApple Payをめぐっても競合他社の特定の商品について利用を制限していた疑いがあるとして本格的な調査を始めることを明らかにした。

1) App Store rules:https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_20_1073

App Storeは、Appleが運営するiPhone、iPod touch、iPad向けアプリケーションのダウンロードサービス。

EUは、他のアプリ開発業者がアプリを供給する仕組みが競争ルールに違反しているかどうかを調べる。

iPhone やiPad のユーザーは現在、他の開発業者のアプリケーションをApp Store経由でのみダウンロードできる。

問題点は2つ。

① Appleのアプリ購入システム
"IAP"を使う必要があり、Appleは開発業者に30%のコミッションを課している。開発業者はこの分をユーザーに転嫁せざるを得ない。 

② ユーザーは音楽やe-book、オーディオブックを開発業者のウエブサイトなどから購入できるが、Appleは開発業者に対し、それらの購入方法をユーザーに知らせることを禁止している。

2019年3月11日にApple MusicのコンペティターであるスウェーデンのSpotifyが、Appleと開発者との間のライセンス契約のルールに関して欧州委に訴えた。
2020年3月には
Apple Books appと競合する e-book とaudiobookのディストリビューターも同様の 不満を欧州委に伝えた。

2) Apple Payhttps://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_1075

電子決済サービス「Apple Pay」は唯一のNFC (近距離無線通信)技術を用いた非接触支払方法である。

一部のケースでAppleが他のサービスを提供する企業の利用を拒否したり、「iPhone」の近距離通信機能の利用を制限したりしている疑いがあり、競争をゆがめている可能性があるとする。


EUの競争政策担当のExecutive Vice-President Margrethe
Vestagerは次のように述べた。

今や、Appleが、iPhones や iPadsのユーザーにアプリを販売するルールを決めている。

新型コロナウイルスの影響で電子決済は一層広がりを見せていて、消費者がより利益を受けられるようにすることが重要だ。

新たな決済技術によって消費者は選択の幅が広がり、質や価格、イノベーションなどの恩恵を受けることが可能になったが、それをAppleの措置が阻害しないことが重要だ。

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