「no」と一致するもの

トランプ米大統領は3月27日、国防生産法に基づき、米自動車大手GMに対し、新型コロナウイルス患者の治療に必要な人工呼吸器を生産するよう命令した。


大統領は命令に先立ち、ツイッターで「GMは4万台を『とても迅速に』供給すると言っていたのに、4月下旬にたった6千台だという。しかも最高の代金を求めている」と 述べ、Mary Barra CEOを名指しで非難、国防生産法発動を示唆していた。

As usual with "this" General Motors, things just never seem to work out.
They said they were going to give us 40,000 much needed Ventilators, "very quickly".
Now they are saying it will only be 6000, in late April, and they want top dollar.
Always a mess with Mary B.
Invoke "P".

(その後のツイッターで)
Invoke "P" means Defense Production Act! 

General Motors MUST immediately open their stupidly abandoned Lordstown plant in Ohio, or some other plant, and START MAKING VENTILATORS, NOW!!!!!!
FORD, GET GOING ON VENTILATORS, FAST!!!!!!

GMは大統領の命令に先立ち、医療機器メーカーのVentec Life Systemsと組み、インディアナ州のKokomo電子部品工場に呼吸器(VOCSN critical care ventilators)の生産設備を導入すると発表した。4月から月間1万台のペースで生産する。
Ventec Life Systemsは自社のワシントン州 Bothell でも生産を拡大する。

VOCSNは人工呼吸器(Ventilator)、酸素濃縮器(Oxygen concentrator)、排痰補助装置(Cough assist) 、吸引器(Suction) 及びネブライザ(Nebulizer 吸入器)の5つの装置の機能を一体化した呼吸ケア システム

GMはまた、Warren, Michigan工場でLevel 1 手術用マスクの生産を始める。

2週間以内に1日5万枚を生産、10万枚に増やすことを狙う。生産量は原料供給に依存する。

ーーー

トランプ米大統領は3月18日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「国防生産法 (Defense Production Act )」を発動したことを明らかにした。国の安全保障の目的などで、民間企業に増産を求めることができるようになる。

国防生産法は朝鮮戦争の勃発を受け、1950年9月8日に成立した。

大統領に下記の権限を与える。

 ・企業に対し、国防に必要とみなされる契約を結ぶことを命じる権限。売り惜しみや、
  便乗値上げすることを禁じる対象品目を指定する権限。

  ・国防のため、モノやサービスや設備を割り当てるためのメカニズム(規則や命令など)を決める権限。

  ・国防のために必要な不足する物品や重要な物品が防衛のために使えるよう、民間経済に介入する権限。

 ・国防のため、資産の徴用、業界への生産増の命令、賃金・価格のコントロール、労働紛争の終止、
  消費者与信や不動産与信の制限、優先度の設定、原材料の配分などの権限

トランプ政権では、2017年に米自治領プエルトリコなどを襲ったハリケーンによる被災後、水や食料品の増産を目的に発動している。感染症対策で用いられるのは異例。

2020/3/20 トランプ大統領、新型コロナ対策に国防生産法を発動  

ーーー

米国トヨタ自動車は3月27日、人工呼吸器の需要急増を受け、トヨタが持つ生産技術を人工呼吸器メーカー2社に提供するなどして増産を支援すると発表した。北米施設にある3Dプリンターを使って、感染防止のために医療関係者の顔を覆う「フェースシールド」の生産にも乗り出す。

  • Ventilators/Respirators: メーカー2社の増産支援の協議
  • 3-D printed Face Shields: 休止プラントで3月末生産開始

  • COVID-19 Masks: 生産準備。フィルター供給者を求めている。
  • Toyota Production System Support Center: 医療資材、機器増産の支援
  • その他:顧客のファイナンス支援、病院への資材寄付など

丸紅は3月25日、2020年3月期の連結損益(株主帰属当期損益)の予想を2月5日時点の2000億円の黒字から1900億円の赤字に下方修正すると発表した。

最終赤字は不振事業の見直しを進めた2002年3月期以来18年ぶりで、赤字額は過去最大となる。

同社では、新型コロナウイルスの感染拡大について「これまでの金融危機や地政学的危機とは異なる。すぐに終息するとは考えられない」と指摘し、影響の長期化に懸念を示す一方で、「今の低迷する市況を全部織り込んだ」として、追加の減損の懸念はないと説明した。

新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行に伴う、原油価格の急激な下落をはじめとした事業環境の悪化を踏まえて、各事業における保有資産の価値を見直し、下記の通り、減損損失を計上した。

 前回予想 当期損益 2,000億円

石油・ガス開発事業 米国メキシコ湾の石油・ガス開発事業
Marubeni Oil & Gas (USA)
-800億円
英領北海の石油・ガス開発事業
Marubeni North Sea
-650億円
合計 -1,450億円
米国穀物事業 Gavilon穀物事業 -800億円
米国西海岸の穀物輸出事業 Archer Daniels MidlandとのJV -200億円
合計 -1,000億円
チリ銅事業 -600億円
海外電力及びインフラ関連事業 -400億円
その他 -250億円
一過性損失による悪化 計 -3,700億円
市況の悪化等による実態純利益の減益 -200億円
合計 -3,900億円

 修正後 当期損益予想 -1,900億円  

状況は下記の通り。

1石油・ガス開発事業における減損損失

丸紅は100%出資のMarubeni Oil & Gas (USA) LLC.を通じて米国メキシコ湾の石油・ガス開発事業を行っている。
同じく
100%出資のMarubeni North Sea Ltd.を通じて英領北海の石油・ガス開発事業を行っている。

これについて原油価格の18年ぶりの急激な下落に伴い、減損損失の計上、繰延税金資産の取り崩しを行った。

2米国穀物事業における減損損失

100%出資のGavilon Agriculture Investment, Inc.を通じ米国穀物事業を行っており、西海岸ではArcher Daniels MidlandとのJVで穀物輸出事業を行っている。

米中通商摩擦や北米の天候不順等の収益の押し下げ要因には回復の兆しが見られるものの、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行に伴い、世界経済の不透明感が増している。

(3)チリ銅事業

丸紅は、チリにセンチネラ銅鉱山およびアントコヤ銅鉱山に30%、ロスペランブレス銅鉱山に9.21%出資しており、パートナーである世界有数の銅生産会社である英国・アントファガスタ社と保有銅鉱山の事業運営を行い、日本企業トップクラスの15万トンの持分権益銅量(銅地金換算)を保有している。

ーーー

同社は2015年3月期決算でも同様の減損損失を計上している。株主帰属当期損益は2200億円から1100億円(黒字)に修正した。(実績は1056億円の黒字)

内訳は次の通り。

減損損失 主な理由 損益
資源 北海の油ガス 5鉱区群 原油価格下落、開発コスト増加 -600億円
メキシコ湾沿岸(1鉱区) 原油価格下落 -175億円
米シェールオイル -175億円
チリ銅事業の減損損失 銅価格下落 -100億円
豪州石炭事業の減損損失 石炭価格下落 -50億円
非資源 Gavilon社「のれん」の減損損失 計画未達による計画見直し -500億円
合計 -1,600億円
税効果 400億円
損益合計 -1,200億円


2015/1/29 丸紅、原油価格下落等で1600億円の減損損失を計上

ーーー

今後、多くの資源関連企業で大きな減損損失計上が予想される。

更に株式評価損の計上も必要となる。


LG Chemは2019年4月30日に、SK Innovationがリチウムイオン電池技術を盗用したとし、米国
国際貿易委員会(USITC)に提訴したと発表した。

ITCは2019年5月29日に調査開始を決定、その後調査を行ってきたが、ITCは2月14日、SK Innovation敗訴の仮決定(Default Judgment)を下した。SK Innovationが「組織的かつ広範囲に証拠を隠滅した」とした。

SK Innovation は3月3日、これに対して異議を申し立てた。ITCは異議を受け付けるかどうかを4月17日までに決める。異議を受け付ける場合、10月5日までにSK Innovationが米国関税法337条に違反しているかどうか、違反の場合は米国への輸入を禁止するかどうかを決める。

ITCは3月20日、LG Chem、SK Innovationの電気自動車バッテリーの技術流出に関する仮決定の内容を公表した。

「SK InnovationはLG Chemの元社員から陽極材料、陰極材料関連の詳細なレシピ情報を盗み出した」、「L社(LG Chem)から取得した資料を他の場所に全て移動し、電子メールを全て削除するよう指示した」などとしている。

付記 USITCは4月19日、SK Innovationの要求に応じ、再検討すると決めた。
   2010年から2018年までで再検討したうち、当初決定を覆した例はない。

ーーー

LG Chemは2019年4月30日、SK InnovationがLG技術者を採用することにより、リチウムイオン電池技術を盗用したとし、LGの米国子会社と共同で、米国国際貿易委員会(USITC)とDelawareの連邦地裁に提訴したと発表した。

米国の関税法337条は、米国への輸入における不公正な行為により米国産業に被害が生じる恐れがあるときに、輸入品の排除、不公正行為の差し止めをITCが判断し、命令を発する権限を規定している。特許侵害は典型的な不公正行為にあたる。

LG ChemはUSITCに対し、LGの企業秘密を侵害するリチウムイオン電池のサンプルと基盤技術を米国に輸入するのを止めるよう求めた。SK Innovationが米国に建設している電気自動車バッテリー工場(下記)への技術や部品の輸入の停止を求める。

LGの主張:

SK Innovationは、LGのリチウムイオン電池部門の77人の高度の技術と経験を持つ従業員を雇用し、LGの企業秘密を取得した。

この技術はLGが世界で初めて商業用に開発した自動車用のパウチ型リチウムイオン電池で、世界中の自動車メーカー、家電メーカーに採用されている。

77人のなかには、最新型の電池を含むリチウムイオン電池のR&D、製造・組み立て、品質保証テストを担当する数十人のエンジニアを含んでいる。

その多くが、SKがパウチ型リチウムイオン電池の開発、製造をするのに役立てるべく、LGの企業秘密を盗んだ。

社内調査の結果、彼らはLGの秘密を盗み、それをSKに提供することで採用してもらっている。SKへの入社のための申請書や履歴書がLGのコンピュータに残っている。例えば、一人は電極製造プロセスに関する秘密情報をSKへの履歴書のなかに挿入していた。何人かはSKへの転職の前にLGのデータサーバーから400~1900件の技術資料をダウンロードしていた。

77人の転職が始まった2016年末から本年初めまでに、SKのEV電池の契約数量は14倍以上に増えている。

LGは以前に、韓国での同様のケースでSKに移動した5人の元従業員を競業禁止条項違反で訴えている。韓国最高裁は、LGの秘密情報が洩れる恐れが実際にあるとして競業禁止条項の発動を認めている。それにもかかわらず、SKは今に至るまでLG従業員を勧誘している。

これに対し、SKは「自然な転職だったにすぎず、技術を盗んだことはない」と反発した。

米国ITCは5月29日、調査開始(discovery)を決定した。

2019/5/7 LG Chem、リチウムイオン電池技術の盗用で米国で SK Innovationを提訴 

ーーー

決定文には、2018年にLGからSKに移籍した社員がSK社員に送った電子メールが証拠資料として示されている。

「これが唯一自分が持ち出した整理資料」と題する電子メールにはLG Chemが保有する「バッテリーのレシピ」に関するファイルが添付されていた。

バッテリーのレシピとは陽極材料を製造するためにニッケル、コバルト、マンガンなどを調合する比率、陽極材料と陰極材料を薄くコーティングする方法、それを一定のサイズに切断する方法などバッテリー製造に必要な「秘訣」が網羅されていた。
ファイルに含まれていた「レシピ」は57件に達した。

電子メールには「自動車モデル別情報」というファイルも含まれていた。
電気自動車を生産する場合、モデル別にそれに合わせたバッテリーを開発しなければならないため、そうした情報も機密に属する。
LG Chem関係者は「今回の訴訟過程でSK Innovationが3万4000件に達するファイルや電子メールを削除したことが判明しており、流出した情報量は推定困難な水準と推定される」と指摘した。

SKはLG出身者を経験者として採用するために面接を行い、そこで得た情報も不正流用していた。

陽極材料と陰極材料を生産するため、固体混合物を溶かし、液状の状態にする泥漿(スラリー)製造法、陽極材料・陰極材料のコーティング速度調整法などの工程技術 で、SKは応募者が面接用に提出したパワーポイントのファイルを社内で共有し、「短期間にL社(LG Chem)の電極工程ノウハウを吸収可能」「競合社のミキシング技術に対する多量の情報を得られるとみられる」などと評していた。

ITCはSKによる証拠隠滅についても詳細に記述した。

SKは2017年12月、LGが大田地裁に自社の社員の国内転職禁止を求める仮処分を申し立てると、本格的に証拠隠滅を開始した。

2018年には「チームルームに存在するL社関連資料、競合社との比較資料、L社から取得した資料などを他の場所に移動させ、電子メールを削除するように」と指示した。

2019年4月12日にはLG Chem関連の削除対象ファイル980件を整理したリストまで作成した。

このリストを作成したLG Chemの元社員がリストを削除した後、「ごみ箱」を削除せずに、パソコンに保存されたファイルをITCに証拠として提出したことで発覚した。

ITCは「SK Innovationの証拠隠滅がLG Chemの訴訟進行に被害を与えたのはもちろん、判事が公正かつ効率的な裁判を進める上でも足かせになった」と指摘した。

ITCは「こうした状況からみて、適法な法的制裁は早期の(SK)敗訴判決しかない (Contrary to SKI's suggestion, default is the only appropriate remedy here.)」とする結論を下した。

これについて、SK Innovation関係者は「先月の早期敗訴判決の際に表明したように、円満な解決のために努力するという立場で何も変わってはいない」と述べた。

ーーー

ITCの最終決定は今年10月5日までに下される予定。

最終決定では関税法337条(知識財産権侵害)に違反しているかどうか、SK製品の米国への輸入禁止措置などに関する判断が下される。

ただ、双方が和解した場合にはその時点で訴訟が終了する。

SK Innovationは2019年3月から米ジョージア州に電気自動車バッテリー工場を建設している。双方が和解できないまま、ITCの最終決定が下されれば、2022年からフォルクスワーゲンの米国工場にバッテリーを供給するとしていた計画にも支障が生じかねない 。

SK Innovationは2018年11月26日、米ジョージア州Commerce市に1兆1396億ウォン(約1140億円)を投資して、電気自動車用バッテリー工場を建設することを明らかにした。

韓国企業が米現地に電気自動車用バッテリー工場を建設するのは、2012年に完成したLG Chemのミシガン州ホランド工場に次いで今回が2度目となる。


SK Innovationは、LG Chemと同様、
米国と中国と極東、そして欧州というEVマーケットのシェア9割を占める地域をカバーする。

北米でVolkswagenグループへの供給が決まっている。

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設、LG & Samsung も各地で増設 

トランプ米政権と与野党の議会指導部は3月25日未明、新型コロナウイルス対策として2兆ドル規模の景気刺激策で最終合意した。25日中にも上下両院で可決し、早期成立を目指す。

Larry Kudlow 国家経済会議(NEC)委員長は、政府からの資金拠出を通じた連邦準備制度理事会(FRB)による企業などへの資金供給が4兆ドルになると説明。経済対策効果は財政支出分を含め「総額で6兆ドル」と述べた。

ーーー

トランプ政権がCOVID-19 への対応のために打ち出した本格的な景気浮揚策は当初、議会の反対で行き詰まった。

トランプ政権は当初、景気刺激策の規模を1兆ドルと想定していたが、医療現場の資金支援策などを積み増して、財政支出だけで1.6兆~1.8兆ドルになり、米連邦準備理事会(FRB)の追加策を加えれば2兆ドルを超える。

民主党も経済対策の規模には賛同するが、企業救済策が選挙戦に利用されかねないと強く警戒し、「何の責任も負わない大規模な企業救済」と批判した。

米国史上最大規模の緊急景気浮揚予算案は、3月22日(日曜)に上院で討論終結(Cloture)議案が否決され、投票に至らなかった。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 47 47
反対 1 45 1 47
棄権 5 1 6
合計 53 45 2 100

翌3月23日、再度投票が行われたが、同じく否決された。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 48 1 49
反対 44 2 46
棄権 5 5
合計 53 45 2 100



フィリバスターを避けるため、3/5以上(60人以上)の賛成が必要であるが、共和党が53議席を持つにもかかわらず、過半数にも至らなかった。

共和党の5人が棄権したが、共和党上院議員1人がコロナウイルステストで陽性となって棄権し、他の4人も感染を懸念して自宅隔離し、棄権した。

さらなる感染拡大が懸念されており、共和党があと2人欠席すると、野党47、与党46となり、上下院ともに野党多数となりかねない。

報道によると、総額2兆ドルにもなるこの法案の内容は下記の通り。

 ・個人に1200ドル(夫婦に2400ドル、子供一人に500ドルずつ)の現金支払い(年収75000ドル以上の場合は減額)
 ・中小企業の、レイオフ回避、給与支払い補助のための3500億ドルの基金

付記 4月4日の受け付け開始から中小企業の利用申請が殺到。4月16日に早くも上限に達した。

 ・被害を受けた産業へのローン、保証、投資のため財務省が5000億ドルを用意
 ・ローンを受けた企業は、その期間は自社株の買戻しを禁止、その企業で425千ドル以上の給与を受ける役員等は次の2年間昇給無し
 ・保険業者は追加コストなしでコロナウイルス予防サービスを対象に加える。
 ・雇用維持の税額控除
 ・ヘルスケア補助に2400億ドル、病院補助に750億ドル、退職軍人のヘルスケアに200億ドル、緊急公共輸送に200億ドル、
  空港救済に100億ドル、CDC補助 45億ドル、航空会社補助のローンに500億ドル、貨物航空補助に80億ドル、
  国防維持に必要な事業(不特定)の補助に170億ドル
 ・失業保険強化(各州の規定に加え、最長4カ月、週600ドルを加算)

野党民主党は、特に以下の点で反対している。

 ・被害を受けた産業への支援の5000億ドルは、対象や目的などの規定がなく、財務省の裁量に任されている。
  民主党はこれを従業員に向けるような規定を求めている。
 ・病院や、必要な人工呼吸器・マスクなどへの支援の増加が必要。

トランプ大統領は3月23日、「これ以上の党派のゲームは避けるべきだ 。政治的な目的ではなくアメリカ国民のニーズに正面から向き合うべきだ」」と述べ、早期の法案の成立を求めた。

そのうえで「私たちは労働者を迅速に救う。規模の大小を問わず、アメリカ企業を救う」と述べ、民主党の意見を取り入れることを示唆し、早期の法案の成立を求めた。

トランプ大統領は3月24日、ツイッターで議会を批判した。

Congress must approve the deal, without all of the nonsense, today.
The longer it takes, the harder it will be to start up our economy. Our workers will be hurt!


民主党のペロシ下院議長3月23日、新型コロナウイルス対策として2兆5000億ドル規模の景気刺激のための法案を公表した。この日、再度阻止された上院共和党の景気対策法案を巡る交渉を方向づける狙いがある。

金融機関は住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの支払いを一時的に猶予するよう義務付けられる。
また、借り手が住宅ローンの支払いを最長360日停止できるよう、連邦準備制度に対し債権回収会社への流動性供給を命じる条項も盛り込まれた。

さらに公共住宅の住民は家賃の支払いを一時的に猶予され、学資ローンの借り手は債務1万ドルが免除されるとしている。 

消費者ローンでの消費者に不利になる信用レポートは停止され、差し押さえや立ち退きは禁止される。

ペロシ下院議長は3月24日、「大きな進展があった」と述べた。政権や与党共和党と続ける協議で近く合意できる可能性があるとの見方を示した。

最終的に与野党協議で、政府案の5千億ドルの企業支援策について、(1)経営者の報酬増に使わない、(2)自社株買いにあてない、(3)使途は議会が監視する――などの条件で合意した模様。


付記

上院は3月25日夜11時、この法案を出席者全員賛成で可決した。下院に回す。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 49 45 2 96
反対
棄権 4 4
合計 53 45 2 100

3月23日にコロナで棄権した共和党の5人(陽性が1人、隔離が4人)のうち、2人が出席、他に1人が病気で欠席した。

下院は3月27日、発声投票による採決を実施し、ほぼ全会一致で可決した。トランプ大統領が直ちに署名し、法案は成立した。
下院議員2名がコロナ陽性と判明、少なくとも36名が自宅隔離となっており、投票による採決を避けた。

付記

トランプ米政権と連邦議会は4月7日、新型コロナウイルス対策予算(2兆ドル)に盛り込んだ中小企業への資金支援を最大で2500億ドル増額する検討に入った。

中小企業の給与支払いを連邦政府が肩代わりする仕組みで、3500億ドルの融資枠に申し込みが殺到している。

ーーー

トランプ大統領は3月6日、議会上下両院が可決した新型コロナウイルス対策用の83億ドルの緊急補正予算法に署名し、同法が成立した。

トランプ政権は2月24日、議会に対して最低25億ドルの緊急予算を要求したが、議会民主党は不十分と批判していた。 今回の予算法案は下院で415対2、上院でも96対1の圧倒的な賛成多数で可決された。

可決された83億ドルの予算のうち、ワクチンなどの研究・開発費用(30億ドル以上)、連邦・州・自治体の公共衛生機関への財政支援(22億ドル)などが含まれる。
ビジネス支援に関しては、10億ドルを新型コロナウイルス拡大により資金的損害を受けた中小企業などへの低利融資に充てるとしている。
また、4億3,500万ドルを外国の医療機関への支援として計上している。

トランプ米国大統領は3月18日、議会が可決した第2弾の新型コロナウイルス対策法案(「家族第一・コロナウイルス対応法」)に署名し、同法が成立した。


第2弾の対策法では、個人への支援が主となっており、新型コロナウイルスの検査無償化や、従業員がウイルスの影響で休暇を取得せざるを得ない場合の所得保証などが盛り込まれている。

新型コロナウイルスの検査無償化については、無保険者向けの公的プログラムに資金を拠出するとともに、民間医療保険に被保険者の検査費負担を無料にすることを義務付けている。

コロナウイルスの影響で出勤できない従業員への雇用の保証や有休疾病休暇の与え方、給与の支払い額、休業した従業員に支払った給与の税控除などについて定めている。

このほか、低所得者向けの食料補助プログラムや、失業保険拡充のための各州への財政支援などが含まれている。

法律成立から15日以内に有効となり、20201231日に失効する。

今回の法案は、これに次ぐ本格的な対策である。


トランプ米大統領は3月18日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「国防生産法 (Defense Production Act )」を発動したことを明らかにした。国の安全保障の目的などで、民間企業に増産を求めることができるようになる。


大統領はホワイトハウスでの記者会見で、「これは戦争だ。何よりもまず、この戦いに勝たなければいけない。私は戦時下の大統領だ」と述べ、危機感をあらわにした。

医療機器の増産が目的だが、ツイッターで、「最悪の事態に至るかどうか」が増産要求をする判断基準だと語り、患者の増加で医療物資が不足する状況に陥れば、民間企業にマスクや手袋、人工呼吸器などの生産を増やすよう促す考えを示した。新型コロナウイルスを中国ウイルスと呼んでいる。

I only signed the Defense Production Act to combat the Chinese Virus should we need to invoke it in a worst case scenario in the future.
Hopefully there will be no need, but we are all in this TOGETHER!

必要な医療品、医薬品について中国依存をやめようとの意向もある。先週、"American-made medical supplies and pharmaceuticals" をと主張していた。

ーーー

国防生産法は朝鮮戦争の勃発を受け、1950年9月8日に成立した。

朝鮮戦争は1950年6月25日に金日成率いる北朝鮮が38度線を越えて韓国に侵略を仕掛けたことによって勃発した。

大統領に下記の権限を与える。

 ・企業に対し、国防に必要とみなされる契約を結ぶことを命じる権限。
  売り惜しみや、便乗値上げすることを禁じる対象品目を指定する権限。

  ・国防のため、モノやサービスや設備を割り当てるためのメカニズム(規則や命令など)を決める権限。

  ・国防のために必要な不足する物品や重要な物品が防衛のために使えるよう、民間経済に介入する権限。

 ・国防のため、資産の徴用、業界への生産増の命令、賃金・価格のコントロール、労働紛争の終止、
  消費者与信や不動産与信の制限、優先度の設定、原材料の配分などの権限

トランプ政権では、2017年に米自治領プエルトリコなどを襲ったハリケーンによる被災後、水や食料品の増産を目的に発動している。感染症対策で用いられるのは異例。

ーーー

今回の発動は、防護マスク、手袋、人工呼吸器など新型コロナウィルスと戦う最前線の医療スタッフが必要とする基本的物資が米国全体で不足している ことによる。

医療スタッフにマスクが不足し、使い捨てマスクを再利用したり、マスクを自製したりするなど、リスクの高い間に合わせの手段に頼らざるを得ない医療スタッフが増えているという。

トランプ大統領は次のように述べた。

この法律を発動したのは、まずマスクの生産のためだ。信じられないほどの数のマスクが必要とされる。数百万個が発注済だがさらに数百万個が必要だ。まさかこれ ほど多数のマスクが必要になるとは考えもしなかったが、ともかく数百万個のマスクが緊急に必要なのだ。すぐに発注する。

米国には多数の人工呼吸器が必要だ。それは複雑な装置なので生産は大変だ。米国には多数の人工呼吸器があるがさらに多数を発注する 。

当面、国防生産法に基づく命令は人工呼吸器とマスクの増産に絞られる模様。

同時にトランプ大統領は新型コロナウィルスの救援活動のために海軍の病院船Comfort Mercy の動員を許可した。ComfortはNew Yorkに、Mercyは西海岸にそれぞれ派遣する。

これらはタンカーを改装したもので、1,000床の病床に加えて、手術室12室やコンピュータ断層撮影(CT)装置など、充実した医療能力を備えている。

病院船は新型コロナウイルス感染症患者の治療に直接従事はせず、医師と看護師がウイルスへの対処に専念している沿岸部で他の患者の治療を支援する。

また臨時施設の建設、設置その他の措置の支援のために米陸軍工兵隊が動員できるという。


トランプ米大統領は3月18日、カナダと米国の国境を一時的に閉鎖すると明らかにした。「双方の同意により、必須ではない往来を止める。貿易は影響を受けない」と している。

停止をする期間については「30日間だろう。30日が終了したころには素晴らしい状態になっていると願っている」と語った。

メキシコとの国境については「閉鎖はしない」と否定したが、亡命目的などで国境を越えようとする人を拒めるための措置を取る方針を示した。

付記

トランプ大統領は3月20日、新型コロナウイルス感染拡大への対応としてメキシコとの国境を一時閉鎖することでメキシコ政府と合意したと発表した。合意済みの米カナダ国境と共に、21日から往来を禁じ、難民認定を求めて国境を越える不法移民の申請も受理しない。貿易目的の出入国は対象外としている。

マイクロブラッドサイエンスは20096月に設立され、独自開発による微量採血器具とこれを用いた臨床検査サービスを展開している。

同社は、東京医科歯科大学との共同研究の成果として確立した微量検査技術を実用化し、微量血液検査専門の分析センターを設立した。

同社は独自に中国企業のVazyme Biotech (南京诺唯赞生物科技)から新しい検査キットの輸入を開始するが、塩野義は医療現場等への一刻も早い供給を目指し、これの販売および取り扱いに関して、同社との業務提携に向けた協議を進める。

輸入するCOVID-19抗体検査キットは、新型コロナウイルス感染の初期に体内で産生されるIgM抗体と、IgMより若干遅れて産生され増加するIgG抗体の両方を一挙に免疫クロマト法(金コロイド法)で測定することを基本原理としてい る。

一滴の血液検体から、極めて簡便に測定でき、10分で迅速に検査結果が得られる 。Vazyme社の中国内臨床試験データでは、感度94.03%、特異度97.02%と、高い性能を有しているとしている。

塩野義では、下記のような適応や使用現場を想定している。

1PCR検査前の「スクリーニング検査」として:
  ①空港や港で検疫官(医師)の判断の下で行
う入国者の検査
  ②
COVID-19患者が勤務、登校していた事業所や学校、その他、クラスターでの接触者等の検査

2亜急性期や回復期のCOVID-19患者の免疫獲得状態の把握

3その他、SARS-CoV-2 / COVID-19の疫学的調査や研究など

ドイツのバイオ製薬会社 CureVac が開発中の新型コロナウイルスのワクチンを独占するために、米国が巨額の資金支援を約束したとの報道がなされた。ドイツ政府が激怒し、阻止に乗り出したとしている。

2000年に設立されたCureVacは、伝染病のワクチンおよびがん・希少疾患の治療薬の開発を主力分野とし、新型コロナウイルスのワクチンの開発で競争している。同社は新型コロナウイルスの実験ワクチン候補物質2個を選定し、早ければ6月にも人体を対象にした臨床試験に入ることを期待している。

ドイツの週刊 Welt am Sonntag 紙が3月15日、政府関係者の話を引用して、トランプ米大統領がCureVacに数十億ドルの財政支援を提示し、ワクチンに対する独占権を米国に渡すよう懐柔したと報道した。

トランプ大統領が3月2日、ホワイトハウスで開かれた新型コロナ対策会議でCureVac の当時のCEO のDaniel Menichella に会い、CureVac の研究成果を独占するために会社を買収するか、または研究陣を米国に移転する方案を打診したという。匿名のドイツ政府関係者の発言を引用し、大統領は「米国のためだけに」ワクチンを手に入れるべく様々な手を尽くしていると述べた。

米国のこうした動きに憂慮したドイツ政府が財政支援を通じてCureVacをドイツに留め置く方案を検討しているとも伝えた。

実際にCureVecは3月2日付で下記の発表をしている。

当社の Daniel Menichella CEO は本日、White Houseに招かれ、Trump大統領、Pence副大統領やWhite House のコロナウイルスタスクフォースのメンバーや医薬やバイオ企業のトップと、ウイルスワクチンの開発、生産についての戦略を議論した。席上、CEOは当社のmRNA技術ベースのワクチンの可能性を強調し、「この2~3か月でワクチンを開発できると自信を持っている。更に当社は1回の生産で1千万回分のワクチンを生産するGMP基準に合致した製造設備を持っている」と述べた。

CureVecは2011年にmRNAベースのワクチンの開発を始めた。米国防省の国防高等研究計画局から資金援助を受けており、Bill and Melinda Gates Foundation感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)からも援助を受けている。

しかし、3月11日に このDaniel Menichella CEOは解任され、創業者でSupervisory Board会長の Ingmar HoerrがCEOに就いている。理由は明らかにしていない。CEOの提案が社内で否決されたのではないかと思われる。(同社は3月16日、新CEOが病気で一時的に休職すると発表した。コロナウイルスではない。復職までの間、副CEOが職務を代行する。)

Welt am Sonntag 紙の報道を受け、ドイツの政界は強く反発した。ドイツ政府も関連内容を事実と認定し、対応に乗り出した。

批判が強まり、CureVecの筆頭株主 Dietmar Hopp(SAPの創業者)がドイツ紙 Mannheimer Morgen に「このワクチンは特定地域だけでなく全世界のすべての人が使うべきだ」として、米国に独占権を与えることはないと述べた。

CureVecはツイッターで「3月2日にWhite Houseで開かれた特別委員会の最中や、その前後にも、米政府や関係者から提案を受けていない。報道内容のすべてを否定する」と表明した。

ドイツ保健省は「新型コロナウイルスに対するワクチンや成分化合物が国内及び欧州でも開発できるよう大いに注目している」との声明を発表した。さらに、「それを考慮して、独政府はCureVecと緊密に情報交換している」と述べた。

連立政権に参加するドイツ社会民主党の医療政策担当報道官カは「あらゆる手段を使って、効果のありそうなワクチンが米国で独占販売される事態を阻止しなければならない」と述べた。

独政府関係者は対外貿易に関する国内法を引き合いに出し、「ドイツまたは欧州の安全保障上の利益が脅かされる場合」、政府は非EU各国からの買収提案を監査できると指摘した。


一方、米政府関係者はウェルトの記事について「かなり誇張されている」と述べた。
米政府はワクチン開発への協力を申し出た25社以上と会合を持ち、ほとんどの企業に米投資家からのシードマネー(初期段階の資金)を提供しており、今後も同様の申し出があれば検討していく。解決策が見つかった場合、各国と共有すると述べた。

Merkel 首相は報道陣に詳細には触れず、「本件は解決された。独政府は非常に迅速にこの状況に対処した」と述べた。

ーーー

この問題が大々的に報じられたためかどうか、EUの欧州委員会は3月16日、欧州でのコロナウイルス蔓延に対応するため、ワクチンの開発・生産の促進のためにCureVacに80百万ユーロを供与すると発表した。

欧州委員長のUrsula von der Leyen は3月17日、ワクチンが秋には用意できるだろうと述べた。

ーーー

米国立保健研究所(NIH)の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は3月16日、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験の第1段階に入ったと発表した。

ワクチンはNIAIDの研究者らが米バイオテクノロジー会社Moderna Therapeuticsと共同で開発したもので、たんぱく質の遺伝情報を運ぶ「メッセンジャーRNA(mRNA)」を投与して体内に抗原を作り出し、免疫反応を起こさせる。
CureVecも
mRNA技術ベースのワクチン)

第1段階ではワクチンの安全性を確認し、期待する免疫反応が得られるかどうかを試す。期間は6週間で、健康な成人計45人を対象に、1カ月の間を置いて計2回、さまざまな量を投与する。

------------------------------

前日以前のブログを続けてみる場合は、ページトップのタイトル(下の部分)をクリックしてください。



過去のデータは下記から利用できます。

ブログ バックナンバー目次

データベース

ブログ & データベース専用検索

Google
www.knak.jp を検索

DSM は3月12日、プラスチックのリサイクル事業 TRUCIRCLE を開始したサウジのSABIC とフィンランドの林産企業でパルプ残渣からオイルを生産するUPM Biofuels と組み、環境に優しいダイニーマ繊維を生産するためのパートナーシップを設立すると発表した。

DSMは2019年11月、エンジニアリングプラスチックスの既存ポートフォリオのすべてに、2030年までにバイオ及びリサイクルベースの素材を利用した製品を導入すると発表した。

今回、ダイニーマ繊維について、それを実行するもの。

具体的には下記の通り。

参加企業 UPM Biofuels SABIC(TRUCIRCLE) DSM
独自事業 パルプ残渣→バイオ燃料

廃プラ→オイル→エチレン→ポリマー

エチレン→ UHMWPE→ ダイニーマ繊維
今回の分担 パルプ残渣→バイオ燃料→

→ → → → 再生エチレン→ →

→ → → UHMWPE→ ダイニーマ繊維

バイオベースのダイニーマは2020年4月から販売する。

ーーー

Dyneema®は高強度ポリエチレンファイバーの防弾素材で、DSMと東洋紡が扱う。HoneywellはSpectra®の商標で販売している。

東洋紡はこれまでDyneema®名で販売していたが、同社独自の新商標「イザナス®」に変更した。

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE:通常2~30万の分子量を100~700万まで高めたポリエチレン)でスーパーエンジニアリングプラスチックのひとつとみなされている。高強度で低比重(比重1以下で水に浮く)、耐薬品性や耐光性、衝撃吸収性が高い。

Dyneemaは、繊維、テープ、一定方向(UD)シートなどの形状で製造、販売されている。医療用縫合糸、漁業・水産養殖用ネット、ロープ、スリング、耐刃性手袋・衣料といった高機能素材、車両用および人体衝撃防護材などにも使用され、用途が拡大している。

ーーー

UPM(UPM-Kymmene Oyj)は、略称UPM)はフィンランドに本社を置き、世界12カ国に生産拠点を持つ林産企業である。

新しい森林産業のフロントランナーとしてバイオと森林産業を融合し、持続性のある革新的な未来を目指し、再生可能で再利用可能な原材料から価値を創出するとしている。

UPMバイオ素材関連事業、UPMエネルギー、UPMラフラタック、UPMスペシャリティーペーパー、UPMコミュニケーションペーパー、UPM合板、の6つの事業で成り立っている。

UPM Biofuelsは非食品の再生可能原料を使用し、バイオ燃料を生産する。現在、パルプ残渣を原料とする同社のUPM BioVerno (バイオディーゼル)はフィンランド、スカンディナビア、EUで使用されている。

 

ーーー

SABICは1月20日、DavosのWorld Economic Forumで、同社のリサイクル事業TRUCIRCLE™ の考え方を発表した。

'Making a World of Difference Together' のスローガンの下で、いろいろなプラスチックの廃棄物からポリマーを生産するもので、再生原料からのポリカーボネートも含まれる。

2019年1月に、英国のPlatic Energy社のスペイン工場で低品質で混じりあった廃プラから熱分解油が作られ、それがオランダのSABICのGeleen工場で原料として投入された。

2021年にはオランダのGeleenに、廃プラから熱分解油を生産するセミコマーシャル工場を稼働させる。

今後、廃プラからのプラスチック生産を拡大する。

クラボウは3月12日、研究用に新型コロナウイルスの抗体を 15 分で検出する検査試薬キットの国内販売を開始すると発表した。衛生研究所、臨床検査会社などの研究・検査機関 に販売する。

現在国内で使われる「PCR検査」は、DNAをその複製に関与するプライマー等を用いて大量に増幅させる方法で、ごく微量のDNAであっても検出が可能だが、機械にかけて遺伝物質の量を増やさなければならず、結果が出るまでに6時間程度が必要である。

なお、神奈川県衛生研究所と理化学研究所は2月27日、既存のリアルタイムPCR装置をそのまま利用することができ、増幅時間の短縮及びエネルギー消費量の削減が可能なSmartAmp法を開発したと発表した。

2020/2/29 COVID-19 ウイルス、迅速検出


クラボウの環境メカトロニクス事業部バイオメディカル部は
中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」を日本国内に輸入し、販売を開始 する。

この検査は、中国における標準診断法の一つとして、3 月4 日に中国での診療ガイドラインに採用された。

イムノクロマトルロース膜上を被検体が試薬を溶解しながらゆっくりと流れる性質(毛細管現象)を応用した免疫測定法である。

https://www.acute-care.jp/ja-jp/learning/course/immunoassay/ria/ic

クラボウの「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」は、少量の血清・血漿・全血をピペッターで専用のテストストリップに添加したのち検体希釈液(専用試薬)を滴下することにより 15 分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できる。

れにより、少量の血液を用いた簡便な操作で、迅速な検査が可能とな る。

本キットでは、感染時に体内で生成される特定の抗体を検出するため、感染初期の患者に対しても判定が可能 である。
PCR 法が採取サンプル中のウイルス量の影響
を受けやすいのに対し、本キットでは血液中に抗体が存在すれば判定が可能 である。

さらに、血液を使って判定できるので、検体採取時に懸念される検査作業者への二次感染のリスクも軽減でき る。

PCR法では、検体採取のため鼻腔にスワブを深く挿入するため、強いくしゃみや咳が誘発され、検体採取者への感染リスクが高まる。

------------------------------

過去のデータは下記から利用できます。

ブログ バックナンバー目次

データベース

ブログ & データベース専用検索

Google
www.knak.jp を検索


WHOのテドロス事務局長は3月11日、「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」と述べ、各国に対して対策の強化を訴えた。

「過去の2週間で中国以外での感染者数は、13倍に増え、国の数は3倍になった。今後、数日、数週間後には感染者数と死者数、そして感染が確認された国の数は、さらに増えると予想する」と述べ、感染が今後も拡大するとの見通しを示した。

トランプ米大統領は3月11日夜、ホワイトハウスから国民向けにテレビ演説し、新型コロナウイルスの感染拡大への対応策を発表した。

概要は次の通り。

1) 欧州からの渡航禁止

 EUは予防措置を怠り、中国や他の危険国からの旅行を制限しなかった。

米国保健福祉省は1月31日、緊急事態を宣言、過去14日間以内に中国に渡航した外国人の入国を拒否した。

 この結果、米国での新しいクラスターは欧州からの旅行者により始まった。
 新しく患者が米国に入るのを防ぐため、3月13日から30日間、欧州からの全ての入国を禁止する。

対象は、「シェンゲン協定」に加盟する26か国をアメリカ入国の14日前までに訪れた人。
シェンゲン協定非加盟の英国は禁止対象外。
昨年3月の1か月間に航空機でアメリカに渡航した人の数は、合わせて152万人以上に上る。

適切な検査を受けた米国人は対象外となる。

付記 米国は3月16日深夜から英国とアイルランドも追加すると発表した英国とアイルランドから帰国する米国人は入国できるが、特定の空港に限定する。

人だけではなく、貨物の受け入れも停止する

演説では「貨物の受け入れも」としたが、その後、ツイッターで、「人を停止させるもので、物資ではない」と書き込み、物資の輸入は禁止対象にならないと強調した。

Hoping to get the payroll tax cut approved by both Republicans and Democrats,
and please remember, very important for all countries & businesses to know that trade will in no way be affected by the 30-day restriction on travel from Europe.
The restriction stops people not goods

 なお、中国や韓国(実際はイラン)については状況を見極め、改善があれば措置を見直す。

2) 医療費

 保険業界と話し合い、コロナウイルス治療費の自己負担金を無くすこと、保険をこの治療に適用すること、驚くほどの治療費請求を無くすことで合意した。

3) 対策予算

 CDCや他の政府機関のウイルス対応、ワクチン製造、治療、医療品の配達等のため、83億ドルの予算の法律を成立させた。

4) 追加の指令

 中小企業庁にコロナウイルスの影響を受けた企業への融資を指示した。被害を受けた州への低利融資を行う。議会に500億ドルの予算増を求める。

 財務省に対し、納税延期を認めるよう指示した。無利子、無罰則である。これにより2000億ドルの流動性を生む。

5) 議会に対し、直ちに給与税を免除するよう求めた。(下記)
  (詳細について米議会と調整に入っており、この日の演説では中身を明らかにしなかった。)


米国民を守るために必要な措置をとることを躊躇しない。米国の福祉を常に第一にしている。」

付記 シェンゲン協定加盟国は下記の通り。

これまでのEU加盟国28カ国のうち、英国とアイルランドは適用除外(英国は「国境管理は国家主権の中核」と主張)、キプロス、ブルガリア、ルーマニア、クロアチアはいろいろな理由で未参加で、差引22カ国。EU以外では、 EFTAのアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスの4か国が参加で、合計26カ国。

  詳細:https://www.knak.jp/blog/2017-3-2.htm#eu-rome

ーーー

上記 5) の給与税は問題が多い。

トランプ米政権は3月10日、新型コロナウイルスによる景気不安に対処するため、給与税(Payroll Tax)の年内免除を軸とした大型減税を米議会に提案した。

大統領は共和党の議会指導部と会談し、減税案の早期成立を求めた。

給与税は年間の税収が1兆ドルを超え、全歳入の3割を超える。税制の立案・決定権を持つ連邦議会には慎重論が根強い。野党・民主党にはトランプ大統領の再選戦略とも映り、実現するかどうか不明。

民主党の反応:

給与税免除は、病欠で給与が払われない労働者や職を失ったものには助けにならない。

対策には、病欠の有給化、コロナウイルスの広範な無料テスト、支払い可能な治療、便乗値上げ禁止、失業保険の拡張などを含む必要がある。(Pelosi 下院議長)

給与税(Payroll Tax) は、個人所得税とは別に、Social Securityや Medicareの財源として従業員と企業が同額を納入するもので、
 給与($137,700 まで)に対し、
 Social Security向けには、従業員と企業がそれぞれ 6.2%、合計12.4%
 Medicare向けには、それぞれ1.45%、合計2.9%で、
 合わせて、従業員、企業がそれぞれ7.65%、合計 15.3%となっている。

個人事業者の場合は、Social Security向けには12.4%、Medicare向けには2.9%となっている。

昨年度の実績で、Social Security分が9,140 億ドル、Medicare分が2,780億ドルで、他に失業保険が410億ドルとなっている。


2011年と2012年に、Obama大統領が金融危機後の景気対策として、Social Security向けの従業員分を6.2%から4.2%に引き下げている。(企業分と合わせ 10.4%になる。)


Payroll Tax の税率推移(Wikipedia)


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361  

最近のコメント

月別 アーカイブ