2017年2月アーカイブ

2016年9月末に、日立製作所、東芝、三菱重工業の3社が核燃料の製造事業統合の調整を進めていると一斉に報じられた。

原発の再稼働が進まないために各社とも事業の採算が厳しく、工場の統廃合などでコストを削減するねらい。

既に廃棄したのが福島第一の6基、廃炉決定が原電敦賀、関電美浜①②、中国電力島根①、九電玄海①、四国電力伊方①の6基で合計12基に達する。
原子力規制委員会に再稼働の申請をしていない原発が福島第二の4基を含め、17基もある。

当初あった54基のうち、12基は廃棄、17基が再稼働申請さえしていない。
再稼働申請したのは、25基のみ。

2017年2月22日に関電大飯③④が、事実上合格したとする「審査書案」 了承を得て、6原発12基が実質上合格となったが、現在稼働しているのは九州電力の川内原発1、2号機と、四国電力伊方原発3号機 の3基のみ。他は稼働には時間がかかる。

このうち、高浜③④は裁判所から差し止め命令を受けている。今回事実上合格となった大飯③④も、基準値振動問題で異議を唱えた原子力規制委員会の島崎元委員を名古屋高裁が4月にも証人喚問する予定で、稼働できるかどうか不明である。

背景には経済産業省の意向があったとみられ、核燃料事業の次は原子炉事業の再編が焦点となるとみられた。

しかし3社は、原発向け核燃料事業の統合計画について、目標としていた今春の統合を断念し、延期する方針を固めた。

燃料製造拠点の統廃合を巡る調整が難航していることに加え、公正取引委員会の審査も長期化が必至なためで、今秋以降にずれ込む公算が大きい。

3社はそれぞれ製造拠点を抱えており、どの拠点をなくすかという具体的な計画の協議に入ると、雇用の削減と絡んでくるため、難航しているという。

原発への供給者がほぼ1社になるため、簡単に公取委が了承するとは思えないが、3社の協議が難航し、審査請求ができていないとされる。

GE、Westinghouse、Arevaも加わっているため、米国やフランスの政府の関与も予想される。

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統合を目指していたのは、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン、原子燃料工業、三菱原子力燃料の3社で、それぞれの陣営が1/3ずつ出資する持株会社の下に3社を入れる案などを検討しているとみられる。

3社の概要は下記の通り。

1)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン

GE、日立、東芝の3社は、1967年に包括的な沸騰水型原発プラント(BWR)の技術ライセンス契約締結以来、日本および海外でBWRプラントの建設、運転プラントの予防保全サービス分野において協力関係を構築してきた。原子燃料分野においては、1967年に燃料製造合弁会社としてグローバル・ニュークリア・フュエル ・ジャパンを設立し、原子燃料を国内の電力会社などに納入している。

その後、3社は2000年1月1日に、原子燃料の営業、設計、開発、製造部門を統合して、日米に拠点を持つ国際燃料合弁会社 Global Nuclear Fuel を設立した。
GEが51%、日本の2社が各24.5%を出資する。

日本における事業拠点はグローバル・ニュークリア・フュエル ・ジャパンとし、3社がそれぞれ行ってきた軽水炉用原子燃料の営業、設計、開発業務を移管し、原子燃料の製造から販売までを一貫して行う専門会社とした。

米国における拠点として、GEの軽水炉用原子燃料部門(営業、設計、開発、販売部門、ノースカロライナ州ウィルミントンの燃料製造工場)を分離し、Global Nuclear Fuel Americasとした。

なお、日立と東芝は、これとは別に、1972年に両社の原発向け核燃料の研究開発部門を統合し、50/50JVの日本核燃料開発を設立している。

2) 原子燃料工業

古河電工と住友電工はそれぞれ、原子燃料事業を手掛けていたが、1972年に統合し、原子燃料工業を設立し、総合原子燃料専業メーカーとしてスタートした。

我が国唯一の沸騰水型(BWR)〈東海工場〉及び加圧水型(PWR)〈熊取工場〉の両タイプ用燃料のメーカーとして、ほとんど全ての原子力発電所へ供給している。

2009年にWestinghouseが52%出資し、筆頭株主となった。 (WestinghouseはBWRとPWRの両方を持つ)

東芝は2006年10月にWestinghouseを買収している。このため、東芝としては、1)のグローバル・ニュークリア・フュエル ・ジャパンと、2)の原子燃料工業の両方に参加したこととなる。

3) 三菱原子力燃料

ウラン鉱の選鉱試験をしていた三菱金属(現在の三菱マテリアル)と原子燃料の研究開発をしていた三菱原子力工業(その後三菱重工が吸収)が1971年に三菱原子燃料を設立した。

2009年にフランスのArevaが30%、三菱商事が5%出資したが、2016年には三菱重工が95%、Arevaが5%となった。

加圧水型原子炉(PWR)用ウラン燃料の開発・設計、製造、販売、輸送を行うほか、Areva製の沸騰水型原子炉(BWR)用ウラン燃料の販売、輸送を行っている。

アステラス製薬は1月10日、UMNファーマと2010年9月21日付で締結した細胞培養インフルエンザワクチンプログラムASP7374(UMN-0502)及びASP7373(UMN-0501)の日本での共同開発及び独占的販売に関する共同事業契約について、解約権を行使した と発表した。

このワクチンはFDAが米国で承認しており、しかも孵化鶏卵不活化ワクチンよりも良い効果が出ている。しかし、医薬品医療機器総合機構より、リスク・ベネフィットの観点に鑑み、本剤の臨床的意義は極めて乏しく、審査の継続はできないとの見解が示されたため、アステラス製薬では、製造販売承認取得が困難と判断、申請取り下げ意思の決定に至った。

UMNファーマは生産面ではIHIと提携し、2010年6月に原薬の製造新会社 UNIGENを共同で設立したが、IHIはアステラスの撤退で事業の継続が難しいと判断し、撤退を含め検討する。

UMNファーマでは、国内における本剤の臨床試験成績や、Protein Sciences Corporationでの試験結果や米国での使用状況から、本剤の臨床的意義は高いと認識しており、再度の製造販売承認申請の検討を行うとしていた。

2017/1/13 アステラス製薬、UMNファーマとの細胞培養インフルエンザワクチンの共同事業契約を解約

しかし、本事業での膨大な債務が問題となった。

UNIGEN岐阜工場建設に係るシンジケートローンA: 5,185百万円、IHIの債務保証残高は4,470百万円

UNIGENの運転資金に充当することを目的とするシンジケートローンB: 6,000百万円、IHIが6,000百万円の債務保証をSMBCに差し入れ

UMNは、トランシェA及びトランシェB全体に係る連帯保証人となっている。

トランシェA及びトランシェBでは、2016年12月末日までに、UMN-0502の厚生労働省による国内製造販売承認を取得することとなっており、これに抵触する。

IHIでは、インフルエンザHAワクチンの製造販売承認申請取り下げを受けて,当該保証債務の履行可能性及び回収可能性を評価した結果,損失の発生の可能性が高まったものと判断し,1月23日、保証債務額の全額である110億円を特別損失として計上することとした。

これを受け、UMNとIHIは今後の対応を協議し、UNIGENを1月31日付でアピ株式会社に対して譲渡した(対価は公表せず)。インフルエンザワクチン原薬製造事業および製造設備をアピへ円滑に引き継ぐことで,UNIGENはアピの支援のもと事業を継続する。

アピの事業は下記の通り。
・ハチミツ・ローヤルゼリー等蜂産品、健康食品、医薬品の製造販売
・養蜂指導と養蜂器具の販売
・健康食品に関する研究

UNIGENの岐阜工場に隣接する製剤化工場を整備・運営している。

アピでは、これまでパートナーとして取り組んできた細胞培養法の技術的優位性と今後のバイオ医薬品事業の将来性に大きく期待をしており、UNIGEN事業を受け継ぎ、同社従業員の雇用を確保したうえで、地元産業の活性化に向けて、事業継承をすることを決定した。

なお、これまでの契約体系では、UMNはシンジケートローン全体を連帯保証しており、アステラスやIHIからも求償権を出される恐れがあったが、株式の譲渡の前提としてアステラス製薬、IHI、UMNファーマにより、UNIGENの金融債務が保証弁済された。

アピでは、求償権発生リスクもなく、債務がほぼ解消されたうえで岐阜工場等の資産を引継ぐことが出来、今後の積極的な取り組みによって事業採算が見いだせると判断した。

UMNも連帯保証債務や、アステラスとIHIからの求償のおそれもなくなった。

UMNは2016年12月決算で下記の減損損失を計上した。

連結決算 単独決算
固定資産評価損           87.49億円
    UNIGEN  83.7億円
    秋田工場  3.8億円
棚卸資産                17.17億円
関連業務委託費            0.65億円
合計                  105.32億円
UNIGEN 貸付金         56.48億円
       株式   17.50億円
固定資産減損            4.68億円
    秋田工場 3.8億円他
合計                 78.65億円

これにより、連結決算では当期純利益は141.42億円の赤字となり、株主資本は109億円の債務超過となった。

UMNは今後、大規模生産事業モデルから、CMC開発・工業化検討段階に特化した事業モデルへの転換による再出発を図る。


既報の通り、インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は1月12日、「ニッケルやボーキサイトの未加工鉱石について一定の条件を満たした場合に5年間の輸出を認める」と突然発表した。

2017/2/10 インドネシアのニッケル、ボーキサイトの輸出承認、フィリッピンは多数のニッケル鉱山に閉鎖命令

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インドネシア政府は2014年1月12日、国内での加工推進を目的とする未加工の鉱石の輸出禁止措置を導入した。

インドネシアで採掘された鉱石を国内で加工・精錬することを義務付ける「鉱物・石炭鉱業法」(2009年制定)に基づくもので、
加工製品の輸出増加を通じて、鉱物資源からの収益を長期的に拡大する狙いがある。

ただし、当局の間でも、未加工の鉱石の輸出禁止により、短期的には外貨収入が落ち込み、経常赤字が拡大し、通貨ルピーを圧迫する、大量の失業が発生するとの懸念があり、長時間の協議の末、加工・精錬を実施または計画している企業に2017年まで精鉱あるいは加工鉱石を輸出することを認めるという鉱物省の提案が採用された。2017年からは全ての企業が金属製品あるいは鉱石の精製品のみ輸出可能となる。

1) 加工・精錬を実施または計画している企業は2017年まで、銅、マンガン、鉛、亜鉛、鉄鉱石を輸出できる。
2) ニッケル鉱石とボーキサイトについては、国内に十分な数の製錬所があるため、輸出禁止措置
3) 石炭とスズの輸出は規制対象外
   

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このうち、ニッケルとボーキサイトは輸出禁止となったが、これが一定条件の下で輸出が認められることとなった。

問題となっているのは、1)の金属類で、これまで輸出が認められていたが、今回、期限切れで新しい規則ができた。

 ・ 従来は Contract of Work (COW) により輸出が認められていたが、特別の操業ライセンス(IUPK) で2022年1月までの輸出が認められる。

 ・条件として、5年内に精錬所を完成すること、輸出税を支払うこと。

 ・外国のIUPK保持者は生産開始の10年以内に持ち分の51%をインドネシア資本に渡すこと。

 ・輸出ライセンスは1年ごとの更新で、6カ月ごとに精錬所の建設状況がチェックされる。

米国の鉱業大手Freeport-McMoran はこれに異議をとなえ、2月中旬までに、濃縮銅の輸出許可を継続して得られないならば、Papuan州の鉱山での生産削減と地元労働者を削減するとした。

2月20日には同社CEOは、インドネシア政府に対して「4カ月以内に交渉に応じて問題を解決しない限り、国際調停裁判所への提訴に踏み切る」と話した。 

同社では2015年10月付の政府からのレターで、新規則の発表後に直ちに、COWで認められていたと同じ権利での契約更新を認めるとなっていると主張、長期の操業許可の承認を得次第、新しい精錬所の建設にも着手するが、輸出税は免除されるべきだし、新ライセンスでの義務は協議すべきだとしている。

Freeport Indonesia社は、国内製錬所(PT Smelting)で濃縮生産量の40%を精錬しており、政府が輸出継続の許可を出さない場合、生産量の削減が必要で、コスト構造を大幅に見直し、労働者の削減、坑内掘り開発事業と新規製錬所への投資を中止せざるを得ない。

政府は、その場合、短期的には、国家の収益は減少するが、長期的には、全ての鉱山の IUPKへの転換に繋がり、下流分野には好ましい状況になるとしている。

キグナス石油とコスモエネルギーホールディングスは2月21日、資本業務提携契約を締結したと発表した。
資本関係に基づく広範な業務提携及び石油製品の売買を新たに行うことが両社グループの競争力強化を実現するものと考えた。


コスモはキグナスの普通株式20%を2017年度第1四半期中に取得する。
両社は3年後を目途に石油製品の売買取引を行う。

キグナスと東燃ゼネラルとの契約は2019年に切れる。
東燃ゼネラルとJXホールディングスが経営統合するのを機に、製品の供給元を2020年からコスモに切り替える。

これにより、両社グループをあわせた国内での燃料油販売シェアは14%となり、国内石油業界の第三極として永続的な成長と企業価値の最大化を目指す。

給油所 2015
 燃料油販売  
コスモ 3,054 21,350千kl
キグナス 493 4,040千kl
合計 3,547 25,390千kl
日本合計 183,077千kl

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石油元売業界では、首位のJXHDと4位の東燃ゼネラルが4月に経営統合する。

2016/9/2  JXホールディングスと東燃ゼネラル石油、経営統合の最終合意

2位の出光興産と5位の昭和シェル石油は、統合に向けて出光はシェルから昭和シェル株式を買収したが、統合については創業家が反対し、難航している。
創業家側の代理人の浜田卓二郎弁護士は2017年2月9日、辞任した。創業家との間で見解の食い違いが生じたもよう。

2016/12/20 出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

コスモだけが再編から取り残されていた。

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キグナス石油の歴史は次の通り。

1922年に日本漁網船具(現在のニチモウ)がヴァキュームオイルと潤滑油販売契約を締結、その後、「キグナス」ブランドを制定した。

1958年に日本漁網船具と東亜燃料の共同出資で日網石油精製を設立。
1960年にゼネラル石油川崎工場内で日網石油精製が操業開始。日本漁網船具が製品を一手販売開始。

その後、
1989年にキグナス石油精製に改称
1999年に東燃とキグナス石油精製の業務統合
2001年に東燃ゼネラル石油がキグナス石油精製を吸収合併

1972年 日本漁網船具(ニチモウ)と東亜燃料の折半出資で日本漁網船具の石油部門を分離独立、キグナス石油発足

2004年 石油販売大手の三愛石油がキグナス石油を180億円で買収。
    三愛石油はキグナス株の買収と併せ、東燃ゼネラルの川崎製油所から長期で製品を安定的に調達できる権利も取得した。
    系列給油所を多く抱える「メガディーラー」として仕入れ先に対する価格交渉力を一挙に高める狙いとみられた。

三愛石油 は1952年に石油製品の販売を目的とし、東燃ゼネラルの代理店として発足。航空機への給油事業も開始した。

現在の事業は下記の通り。

石油事業  今後、キグナスの80%を出資、引き続き主導する。
化学品事業 
防腐防カビ剤やオートケミカル商品
航空燃料取扱事業
LPガス事業
天然ガス事業
太陽光発電の普及業務

番外編 本の紹介

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河野太郎衆院議員のブログ 「ごまめの歯ぎしり」(2017.02.06)は「おすすめの一冊」

「イギリスは明日もしたたか」 林景一著

この安っぽい新書のようなタイトルはなんとかならんのかと思いますが、Brexitに関する入門書としておすすめです。

すでにこの問題に詳しい方にとっては付け足される情報はないかもしれませんが、Brexitに関して勉強を始めてみようという方の一冊目としておすすめの一冊です。

著者の林景一さんは外務省で条約局長、アイルランド大使、英国大使を歴任され、Brexitに関しては政府内でおそらく最も詳しい一人でしょう。

イギリスの政治的な背景から、離脱派、残留派それぞれの思いや議論をさまざまな視点から描き出しています。

どちらに肩入れするわけでもなく、バランス良く、描かれていますし、イギリスがこれからEUを離脱するまでに解決しなければならない問題はこんなにあるんだということを分かりやすく紹介しています。

メディアではほとんど取り上げられないけれど離脱するときまでに解決しておかなければならないこんな問題、あんな問題が例として挙げられていて、それを読むと、2年間でそんな交渉が終わるのかなと他人事ながら心配になります。

やはりBrexitに至るには、英国の歴史の積み上げがあったし、ヨーロッパの歴史の積み上げがあったんだなということを感じ、歴史を読み返さなくてはと思うようになります。

脚注も面白かったりするのですが、残念なのは参考文献が載っていないこと。

入門書としてこの本を読んだ読者が次に何を読んだらいいのかというおすすめがありません。

入門書を書くならば、次の一歩をぜひ載せていただきたいと思います。

この原稿を書きながら、改めて松岡正剛さんの千夜千冊というのはすごいものだと感心するやらあきれるやら。



読んでみて、河野議員のいう通りと思いました。お勧めします。

右上の本紹介をクリックしてください。

日立製作所は2月16日、英国の原発プロジェクトを計画している子会社のHorizon Nuclear Power Limitedが、米国の発電事業者で北米最大規模の原子力発電所を運営するExelon Generation Companyとの間で原発運営に関して協力することで合意したと発表した。

今回の合意に基づき、Exelon は百年以上にわたり積み重ねてきた高い優位性を持つエンジニアリングや保守、運営ならびに訓練の各分野における経験やノウハウを活かして、Horizon 初のプロジェクトとなる北ウエールズAnglesey島のWylfa Newydd におけるABWR (改良型沸騰水型原子炉)の原発を運営するための技術や能力を高めていくとともに、Horizonが原発運営モデルを確立できるよう支援する。

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日立製作所は原発事業でGEと提携している。

日立製作所は2012年10月30日、ドイツのエネルギー会社のE.ON及びRWEからHorizon 全株式を買収する契約を締結した。
買収額は
6億7000万ポンド(約850億円)。

合わせて、建設プロジェクトの計画・推進に向け、英国で原子力業界有数のBabcock InternationalRolls Royce、カナダの建設エンジニアリング会社SNC-Lavalin と協力覚書を締結した。

Horizon は、北ウエールズのAnglesey島のWylfa Newydd とSouth Gloucestershire のOldbury-on-Severn の2カ所で、5,400MW級以上の原発(1,300MW級をそれぞれ 2~3基)を建設する。
第三世代原子炉である改良型沸騰水型原子炉(
ABWR)技術を用いる。

日立とGEのJVのGE Hitachi Nuclear Energyが高経済性・単純化沸騰水型原子炉(ESBWR:Economic Simplified Boiling Water Reactor)の設計認証を申請中だが、実績を優先した。

2012/11/1 日立製作所、英の原発会社買収

Horizonと日立は、Horizon初のプロジェクトとなるWylfa Newydd 原発建設において、2018年までに全ての許認可を英国政府から取得し、2019年に着工、2020年代前半の初号機運転開始をめざしている。

2基にかかる総事業費を現時点で約190億ポンド(約2.6兆円)と想定。日立が総事業費の1割程度、英国政府が25%以上を出す案が出ている。

日本原子力発電(日本原電)は2016年7月7日、日立製作所及びHorizon との間で、Wylfa Newydd の新規原発建設プロジェクトに関し、許認可段階における協力協定を締結した。

日本原電が培ってきた経験やノウハウを活かして、Wylfa Newydd 原発の建設費評価やEPC (設計・調達・建設) 契約締結に向けた作業、サイトライセンス、建設前安全性影響評価報告書を含む許認可取得、試運転の計画、運転開始後の各種メンテナンス計画の策定などを進める。

2016/7/9 日本原子力発電、日立の英国の原電事業に協力 

今回のExelonとの提携で、建設完了後の原発の運営に関し協力を得る。東芝が海外の原発事業の見直しに動くなか、日立は日本原電および海外パートナーとの協力体制を固め、事業を軌道に乗せたい考え 。

なお、日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだ。世耕弘成経済産業相が同日、来日したGreg Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相と会談し、覚書を結んだ。

覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power が英中部Wylfa で、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)でそれぞれ計画する原発について言及した。
また、原子力の研究開発や、福島第1原子力発電所の廃炉や除染などでも協力を深めることを確認した。

2016/12/27 日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

この協力覚書は実質的には日立と東芝の計画を支援するものである。

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Exelon Generation は、32,500メガワットの発電容量を有する米国内で最大かつ最も効率的でクリーンなエネルギーを発電する会社の一つ。イリノイ州やメリーランド州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州において13の原子力発電所で計22基、19,400メガワットの発電容量を有しており、米国において最大規模の原子力発電所を運営している。

そのうち8箇所の原子力発電施設がBWR (沸騰水型原子炉)を採用している。

また、米国16の州において風力発電、太陽光発電、landfill-gas 発電(廃棄物埋め立て処分場から発生するガスによる発電)、水力発電、天然ガスや石油施設を運営し、13,100メガワット以上の発電容量を有しており、業界屈指の安全記録を保持してい る。

米国の国境税案

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米共和党のPaul Ryan下院議長は2月16日の記者会見で、日本製品が輸出時の税制で米国製品より優利な扱いを受けていると指摘し、米法人税制に輸出課税を免除し 、輸入課税は強化する国境税(the border adjustment tax または destination-based tax)の導入を求めた。

日本や欧州は消費税のような付加価値税で課税を国境調整しているが、米国には付加価値税がなく、不公平だと主張した。

たまたま手元にあったソニー製 ICレコーダーを取って「日本製品は輸出時に課税を免除され、米国に入ると課税されない」と指摘。米国製品には日本で消費税がかかるが、日本製品には米国で付加価値税がかからないことから、米国製品が貿易で不利益を被っていると強調した。

(米国には国としての付加価値税はない。なお、輸入品でも ほとんどの州で州法でSales Taxは課される。)


Ryan下院議長は下院共和の税制改革案を立案した一人で、現在35%の連邦法人税率を20%に引き下げ、輸出は免税して輸入品には20%をそのまま課税する「国境調整」の導入を求めている。

これに対し、Trump大統領は、法人税は一律15%とし、国境税調整は 無し。その代り海外に工場を建て、そこで生産した製品をアメリカに持ち込もうとする企業には35%の関税をかけるとしていた。

共和党案は下記の通り。

輸出品については、法人税を免除。

輸入品は法人税の計算上、コストと認めない。このため、輸入品のコスト分が利益となり、20%が課税される。

輸入のケースの例は下記の通り。

製品輸入でコストが700、これに国内コスト100を加え、総コストが800、これを1,000で売り、200の利益が出たとする。

全て国産品なら、税務上のコストは800で、課税所得は200となり、税金は40で、税引後損益は160となる。
しかし、輸入品の場合、総コストは同じでも、国内コストの100のみが税務上のコストとなるため、課税所得は900となり、税金は180で、税引後は20と激減する。

この場合、本来の160の税引後損益を得るためには、175(17.5%)の値上げが必要となる。

この法人税改革が実現すると、日本をはじめ、中国、メキシコなど貿易相手国からの対米輸出品は大きく値上がりする。日本の自動車の対米輸出が半減するとの民間試算もある。

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しかし、この案は実現しないだろうとみられている。

自動車だけでなく、衣料品や日用品、家電や玩具など多くの製品が輸入品であり、これらがすべて値上がりとなり、消費者に大打撃となる。

関係業界の反対も強く、共和党の内部でも多くの議員が反対している。

大統領は2月17日、ボーイングの工場を視察し、787旅客機を「夢を実現した」と絶賛したが、海外製部品の割合は7割近くに達する。(日本は35%を担当)

また、WTOのルールで、国境調整は認められない。

WTOルールでは補助金(直接又は間接に自国の領域からの産品の輸出を増加させ 、又は自国の領域への産品の輸入を減少させるもの)を禁止している。

但し、国内消費に向けられる同種の産品に課される内国税を免除することは認められる。
(日本の消費税は国内での消費に課税されるものであり、輸出品が免税となるのは認められる。原料の消費税も還付される。)

米国には日本の消費税に相当する付加価値税はなく、法人税だけである。
このため、法人税の計算で、輸出を免税にしたり、輸入品のコストのみに損金算入を認めないのは補助金となり、ルール違反となる。

国は過去に輸出の免税でWTOから違反の認定を受けている。

米国には、1972年に施行された米国の「内国国際販売会社」(Domestic International Sales Corporation:DISC)税制があった。

DISC は米国生産された製品の輸出によって所得を得る内国法人で 、実質的に法人税の1/4が免税となった。

この制度はWTOのメンバー国からの激しい批判によって、1984 年末をもって廃止された 。

しかし、米国はこれに代えて、Foreign Sales Corporations(FSC)制度をつくった。

米国企業を親会社として適格諸国におかれた外国法人で、その「外国貿易所得」は 米国における取引および事業と有効に関連したものとはみなされず、米国所得税を免除される。

この場合、これを使って輸出する米国企業は、実行税率で最大40 パーセントの米国課税を免除される。

この制度も違反と認定された。

Trump大統領の場合、WTO脱退も言い出しかねないが、企業や消費者への影響が大きいため、賛同は得られないだろう。


米医療保険3位のAetnaによる同4位のHumanaの買収と、2位のAnthemによる5位のCigna の買収が、撤回を求める司法省による訴えを裁判所が認めたことで頓挫した。

このうち、前者は合併契約の破棄で合意したが、後者については控訴を求めるAnthemと契約破棄を求めるCignaの争いが起こっている。


米連邦最高裁判所は2015年6月25日、オバマ米大統領が推進するObamaCare (医療保険制度改革法)の一部の政府補助金支給の是非について争われた裁判で、6対3で支給は合法とする判断を下した。

ObamaCareは医療保険に未加入だった低所得者に安価な保険を提供するため、民間の医療保険購入者に政府が補助金を支給する仕組み。

2015/6/27 米最高裁、ObamaCare補助金支給は合法と判断

これを受け、事業基盤強化へ向けた医療保険会社の再編が加速した。

米医療保険1位のUnitedHealth Group も2015年6月に Aetna の買収を打診した。買収額は400億ドルを超えるとみられていたが、成立しなかった。

米医療保険3位のAetnaは2015年7月3日、同4位のHumanaを370億ドルで買収すると発表した。

米医療保険2位のAnthemは2015年6月から同5位のCigna に買収提案を行い、数度にわたって買収額を引き上げた結果、7月24日に負債を含め542億ドルで買収すると発表した。

これに対し、米司法省は2016年7月21日、AnthemによるCigna の買収と、AetnaによるHumanaの買収が、それぞれ反トラストに違反するとして、撤回を求めて首都ワシントンの連邦地裁に提訴した。

買収により米国の大手医療保険会社5社が3社に減るが、価格競争が制限され、給付が減り、新しいウエルネス制度の供与のインセンティブが減り、治療の質が低下することで、老人、患者、医師、ヘルスケア団体に不利益を与えるとした。

司法省は、国民が手頃な価格で高品質のヘルスケアを享受するには医療保険会社の競合が必須であるとし、これらの買収による合併はCigna とHumana を除外することで、米国の健康保険に対する強大なパワーをたった3社に与えることになるとする。

11の州とDC がAnthemによるCigna 買収に対する司法省の訴訟に加わり、8つの州とDCがAetnaによるHumana買収に対する訴訟に加わった。

2016/7/27 米司法省、2件の医療保険会社の買収の撤回求め、提訴

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米連邦地裁は2017年1月23日、3位Aetnaによる4位Humanaの 買収計画を差し止める判断を下した。

裁判長は、競争を減らすため、独禁法に違反するとした。

この結果、AnthemによるCigna に買収も同様の結果となるとみられ、4社の株価は下落した。

Aetnaと Humanaは当初、控訴を検討するとしたが、2月14日に合併計画の破棄で合意した。

合併契約では、反トラスト法上の理由で取引が成立しなければ、Aetnaは違約金 10億ドルをHumanaに支払うとなっており、Aetnaは違約金 10億ドルを支払う。

Aetnaはまた、合併を進めるため、 Medicare Advantageの一部をMolina Healthcare に売却するとしていたが、これも取り止め、Molina に違約金 75百万ドルを支払う。

Humana は、本年末にObamacare 個人保険から撤退すると発表した。同社は2016年に赤字となっており、医療コストが高過ぎるとし、プログラムの変更が必要としている。

Trump大統領は、Aetna のCEOが「Obamacare は Death Spiral だ」と言ったという報道を引用し、twitterで、"Aetna CEO: Obamacare in 'Death Spiral' #Repeal And Replace" (Obamacareを廃止し、取り換えよう)と述べた。

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米連邦地裁は2017年2月8日、AnthemによるCignaの買収計画を差し止める判断を下した。

両社の合併が競争を減らし、その害が合併で謳っている効率向上のメリットを上回るとした。

これに対し、Anthemは2月9日、控訴すると発表した。合併で年間20億ドル以上の医療費が減るとし、判決に不満を表明した。

一方、Cignaは慎重に対応オプションを検討するとしたが、2月14日、合併の承認を得ることが出来ないと考えるとし、合併契約を終了する権利を行使すると発表した。

Cignaはデラウェア州衡平法裁判所に提訴し、合併契約の終了を法的に認めることを求めた。そしてAnthemに対し、契約に基づき18.5億ドルの違約金と、加えて、130億ドルを超える損害補償を求めた。
これには、買収が実行できないことで、株主が得られないプレミアムが含まれる。

これに対し、Anthemは 、合併契約は4月30日まで有効であり、CIGNAは撤退できないとした。CIGNAの提訴は無効だとして「Anthemは合併計画に基づく権利を行使していく」との声明を出した。

デラウェア州衡平法裁判所は2月15日、Cignaが直ちに合併契約を終了することを一時的に禁止した。4月10日の週に裁判所によるヒアリングが行われる。

DuPontとChemoursは2月13日、West Virginia州のDuPontのWashington 工場から河川に流出した化学物質 PFOA(Perfluorooctanoic acid:C7F15COOH)により健康被害を受けたとする3550件の訴訟で、合計 6億7070万ドルの支払いで和解したと発表した。
和解金はDuPontと
Chemoursが等分に負担する。

同訴訟は、ウェストバージニア州のデュポンのWashington工場から流出した化学物質ペルフルオロオクタン酸(PFOA)が混じった飲料水が原因で、ウェストバージニア州とオハイオ州の住民が 癌などの健康被害を受けたとするもの。PFOAはフッ素樹脂「テフロン」の製造過程で使われた。DuPontは10年以上前にPFOAの生産を停止している。

原告側は、DuPontは1950年代からWashington工場から空中およびオハイオ川にPFOAを流出してきたが、1980年以降、ラットに癌を発生させることを知りながら、隠し、流出を続けたと非難した。

工場の近くの井戸水を飲む住民は血液中に平均の7.6倍のPFOAがみつかったとする。2012年に科学パネルはPFOAと肝臓癌など6つの病気に関係する可能性("probable link" )があると結論づけた。

裁判の途中で和解が発表され、陪審員は帰宅を命じられた。

原告のうち、200人ほどの癌患者は最低100万ドル、コレステロール患者は数万ドルを受け取るとみられている。

両社とも不法行為(wrongdoing)を否定している。

ChemoursはもともとDuPontの化学品事業で、2015年に分離・独立した。DuPontとは 独立時にPFOAの訴訟関連費用の負担について合意していた。

DuPontは2013年7月23日、Performance Chemicals 事業をどうするかを戦略的に検討することを明らかにした。
Performance Chemicals 事業は、酸化チタンを中心に、フッ素化学品、フッ素樹脂などを扱っている。

スピンオフ、売却、その他の取引により同事業の全体又は一部分を分離することを検討するとしたが、その後、2015年央にスピンオフすることを決めた。
名称は
The Chemours Companyで、New Yorkで上場する。

2015年7月1日に、株主にDuPont株式 5株当たり新会社株式 1株を渡した。

2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離

今後も支払いが発生する可能性があるため、これについても決めている。

今後5年に発生する債務については、最初の25百万ドルまではChemoursが、次の 25百万ドルまではDuPontが、それを超える分はChemoursが負担する。
5年以降については、DuPontは責任を持たない。

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PFOAは、パーフルオロオクタン酸およびその塩類(アンモニウム塩、アルカリ金属塩;C7F15COOX、XはNH4、Na、Kなど)を含む化合物の総称。また炭素が8個含まれていることからC8と呼ばれることもあ る。

PFOAは、半導体・情報通信・自動車・航空産業・化学工業・調理用器具コーティングなど、幅広い用途で使用される一部のフッ素樹脂・ゴム製品の製造に必要な助剤として使用されてい た。

2000年に米国においてPFOAのヒトへの蓄積性が注目され、メーカー各社と米国政府が研究を行った。

PFOAは安定な物質だが、その反面、環境残存性もある。生体に摂取された場合、生体からの排出が遅いことから、蓄積する可能性を有している。
動物実験における、通常ではあり得ない高濃度かつ長期間投与では、影響を引き起こすことが米国を中心とした研究で報告された。

2006年1月末に、EPAは「PFOA自主削減プログラム」を発表し、世界の主要フッ素化学メーカー8社に対しプログラムへの参加を呼びかけ 、各社はこれに応じた。

DuPont、3M、旭硝子、Solvay、Arkema、Clariant、Ciba Specialty Chemical、ダイキン工業の8社

「PFOA自主削減プログラム」の内容は次の通り。

(1) PFOA、もしくは分解してPFOAを発生する前駆体物質、およびC8より炭素数の多い類縁物質の、工場から環境中への排出量、製品中含有量の両方について、2010年に2000年比 95%削減すること。

(2) PFOA、もしくは分解してPFOAを発生する前駆体物質、およびC8より炭素数の多い類縁物質を2015年に全廃することに対する努力を行うことを約束すること。

東芝の状況

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東芝は2月14日に予定した第3四半期の決算発表を延期した。

Westinghouse によるS&W買収に関し、不適切な行為が判明し、継続調査が必要になったという。

S&W買収に関する「のれん代」を過少に見積もった疑いがあるとされる。
Westinghouse 経営者による不適切なプレッシャーが存在した疑いもある。

本ブログは1月24日の記事で、Westinghouseが2016年8月12日以前の時点で、30億ドル強の損失を認識していた筈で、このことを12月までトップにあげていないこととなるとし、粉飾決算事件から再出発した筈の東芝の経営体制は一体、どうなっているのだろうかと述べている。

同日、原子力事業を統括してきた志賀会長の辞任、エネルギーカンパニー社長(Westinghouse会長)のダニー・ロデリック氏のカンパニー社長解職も発表した。

決算について公認会計士事務所のレビューが未完のため、参考として、同社の責任で第3四半期の実績と2017年3月度決算の概要を明らかにした。

第1~第3四半期 実績

営業損益 -5,447億円 (原子力部門のれん償却 -7,125億円)
純利益  -4,999億円

2017年3月期 予想

営業損益 -4,100億円 
純利益  -3,900億円
株主資本 -1,500億円  

対策なしでは債務超過
  金融機関からの融資に支障
  東証2部に変更

対策として、これまで分社するメモリー新社の19.9%を売却するとしていたが、社長は社内放送で「もうマジョリティにこだわらない」と述べた。
売却先候補が2割では魅力に乏しいとされていた。

しかし、この場合、公取委の審査などで3月末までに売却を決めることは出来ない。昨年の東芝メディカル売却で使った奇手は使えない。

東芝では、有利な条件で売却するため、時間をかけて交渉することとし、東証2部落ちを覚悟したと報じられた。

1年後に債務超過を解消できなければ上場廃止となる。

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同社は原子力事業の問題点についても明らかにした。

Westinghouseの赤字の理由については、既報(2017/1/24 東芝の原子力事業の損失の実態)の通りである。

米国での2原発(計4基)の建設で工事が遅延、建設費が大幅アップした。
電力会社からの訴訟、WestinghouseとS&Wの訴訟の可能性などを一括解決し、プロジェクト完工に注力するためS&Wを買収した。
電力会社とは契約金額の増額(電力会社の負担上限の決定)、納期変更で合意した。

ところがS&W買収後のチェックで、コスト見積もりが大幅に増加した。

コスト見積もり増加額の内容

 労務費(直間人件費)    37億ドル 作業効率低下、物量増加、直間接人員増加等
 調達コスト(設備、下請け) 18億ドル 設備の購入価格上昇、下請け業者支払増加
 予備費等            6億ドル  損害賠償費用、ワランティ費用等
 合計               61億ドル

東芝では当初、S&W買収の「のれん」を87百万ドルとしていたが、今回、5,368百万ドル(6,253億円)を計上した。

そして、第3四半期にこの全額と、Westinghouse買収の「のれん」の残額を償却する。

のれん償却額 S&W買収  6,253億円(5,368百万ドル)
       Westinghouse買収 872億円 当初29.3億ドル(3,500億円)、2016年5月発表の償却 2,476億円の残り全額 
       合計        7,125億円

純損益への影響        -6,204億円 非支配株主持ち分、法人税影響、繰延税金資産取り崩しを除く

         

原子力事業の営業損益推移 (億円)

09年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度予
営業損益 416 535 452 147 -358 -4 -2,088 -6,995
うち「のれん」減損 -2,476 -7,125

         

今後の原子力事業の方針は下記の通り。

 国内事業

再稼働、メンテナンス、廃炉を中心に、社会的責任を果たす。

 海外事業

燃料・サービス:高収益かつ安定したビジネスとして継続

新設プラント:今後は建設リスクを負担せず、機器供給やエンジニアリングなどに特化

進行中の8基は、コスト削減策を講じ、リスクを低減

米国2原発 計4基
浙江省台州市三門県 三門原発 2基
山東省煙台市海陽市 海陽原発 2基

英国のNuGenのプロジェクトについては、土木建築リスクを負わない前提で検討をすすめ、従来通り出資希望者への持ち分売却を検討するとしている。

東芝は2014年1月15日、スペイン大手電力会社Iberdrola S.A.から、英原子力発電事業会社NewGeneration (NuGen)の株式50%を、GDF Suez から同社保有のNuGen社株式10%を、それぞれ譲り受けると発表した。取得額は総額で約1億ポンド。

NuGenは東芝 60%、GDF Suez 40%の出資となる。

NuGen は、英中部Sellafieldで合計出力360万キロワットの原発建設を予定している。

Westinghouse Electric のAP 1000 を3基建設する予定。東芝は 原発設備を納入した後に経営権を売却することを想定しているとされている。

2013/12/27 英国が原発建設再開、固定価格買取制度導入、東芝と中国企業が計画に参加

日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだ。世耕弘成経済産業相が同日、来日したGreg Clark ビジネス・エネルギー・産業戦略相と会談し、覚書を結んだ。


覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power が英中部Wylfa で、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)でそれぞれ計画する原発について言及した。
また、原子力の研究開発や、福島第1原子力発電所の廃炉や除染などでも協力を深めることを確認した。

2016/12/27 日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

この協力覚書は実質的には日立と東芝の計画を支援するものである。

報道では、東芝はNuGenの持株を韓国電力公社(Kepco)に売却するための検討に入ったとされる。

韓国電力関係者はこれについて「東芝が実際に売却の提案をしてくれば提示した条件次第で判断する問題」と述べた。

Dow とDuPontの合併については、EUの規制当局が慎重な姿勢を続けている。このため、両社は2月7日に更なる事業売却案を当局に提案した。


Dow Chemical と DuPontは2015年12月11日、対等で経営統合すると発表した。 それぞれの取締役会が満場一致で賛成した。

統合後の社名はDowDuPontで、統合後に無税スピンオフで Agriculture、Material Science、Specialty Products の3つの会社に分離し、それぞれ上場する。

2015/12/14 Dow と DuPont、経営統合を発表

EUの欧州委員会は2016年8月11日、Dow Chemical とDuPont の合併計画をめぐり、農薬 (Crop protection) や種子、特定の石油化学製品などの分野で市場の寡占を招く可能性があるとして、合併の是非を見極める 精密調査(in-depth probe)に着手したと発表した 。

両社は承認を得るため、2016年7月にある提案をしたが、EU当局は不十分であるとした。

調査期間は12月20日までとなっていたが、欧州委員会は9月初め、合併の詳細と、欧州の農業市場での競争への影響について、もっと資料が必要として調査を中断したが、10月3日、資料が得られたとし、調査を再開した。

2016/8/15 EU、Dow とDuPont の合併で調査開始


今回、Dowのスポークスマンは、DuPontのCrop protection 事業の一部(関連するR&Dを含む)と Dowのアクリル酸コポリマーとアイオノマー事業の売却を行う用意があると述べた。

それを受け、EUは両社の提案をレビューする期限 を4月4日まで延長した。

両社では合併を本年上期にまとめ、18か月後の3社への分割を予定している。

DuPontの Edward D. Breen CEOはDuPontの社内報で次のように述べた。

我々は欧州委員会に解決案を提案した。

この案はEUを満足させるもので、かつ、合併の戦略的な意義を維持するものと考える。

詳細は明らかにできないが、強力な競争相手を創出するために、DuPontのCrop Protection部門の一部とそのR&Dを1社に売却する案が含まれている。
また、Dowのアクリル酸コポリマーとアイオノマー事業の売却も含まれている。

合併の認可を得るため、規制当局と建設的に作業を続ける。成功すると信じている。

本年上期には合併できると期待している。

Dowはこの提案の一部を既に実施した。

Dowは2月2日、グローバルのエチレンアクリル酸(EAA) コポリマーとアイオノマー事業をSK Global Chemical に売却する契約を締結した。DowとDuPontの合併を条件としている。

DowはEAAコポリマーの主生産者で、Packaging and Specialty Plastics部門がPRIMACOR™ のブランドで販売している。

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EUの審査状況は下記の通り。

韓国最大の製鉄会社POSCO(旧称 浦項総合製鉄)は2月7日、全羅南道の光陽製鉄所内に建設したリチウム生産工場の完成式典を行った。

現在のリチウム生産法は、塩水を自然蒸発させる方式で、抽出には12~18ヵ月かかる。また、塩水に含有されたマグネシウムなどが不純物状態で残るため、再精製しなければならない。

これに対し、POSCOが同社傘下の浦項産業科学研究院(RIST)と共同で開発した「リチウム直接抽出技術」は、世界で初めて塩水に化学反応を起こしてリチウムを直接抽出するもの。

POSCOは2014年1月、カナダのリチウム会社Lithium Americas Corp. とCooperation Agreementを締結、Lithium Americas のアルゼンチン北部のJujuy州Cauchari 塩湖周辺に実証プラントを建設することとした。
2014年12月 にの年産200トン規模の実証プラントの完工式を行い、技術検証を開始した。

2014/12/27 韓国 POSCO、リチウム抽出技術の検証開始

今回、独自の技術開発に取り掛かってから7年 で、韓国で年間2,500トン規模の炭酸リチウムを生産する。これは、ノートパソコンのバッテリー 7,000万個を生産できる量という。

POSCOのリチウム抽出技術は、化学反応を通じて塩水からリン酸リチウムを抽出した後、炭酸リチウムに転換する工法で、 従来の自然蒸発式リチウム抽出法が平均12~18ヶ月程度を要するのとは異なり、最短 8時間から最長1カ月以内に高純度のリチウムを抽出することができる。

リチウム回収率も、従来の工法は30~40%に過ぎないが、POSCOは80%以上に引き上げた。リチウムの純度も99.9%以上に高めた。
また、どんな塩水でも処理でき、不純物の多いダーティな塩水でも処理できるのが特徴。従来法では邪魔になる含有マグネシウム、カルシウム、カリ、その他の回収、リサイクルが可能である。

従来法では必要な蒸発池が不要で、エコフレンドリーで、天候にも依存しない。

POSCOでは、「世界のバッテリー用炭酸リチウムの需要は2015年に66千トンと推定され、2025年には18万トン以上に増えるだろう 。光陽リチウム工場をはじめとして国内外に年4万トンの生産体制を構築し、グローバルなリチウム生産基地としての地位を確固たるものにする計画」としている。

POSCOでは今後、塩分含有量の高い塩湖を確保して、国内外炭酸リチウムの生産量を4万トンにまで拡大する。

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日本では2014年2月に日本原子力研究開発機構がリチウムの革新的な元素分離技術を確立したと発表している。

研究チームは、海水と薄い塩酸を用意し、その間に海水に溶けたリチウムだけを通すセラミックスを使った薄膜 (5センチ四方)と電極板を浸した。
海水側と塩酸側の電極板を導線でつなぐと導線に電流が流れ、30日間で 海水25リットルから約2mg の高純度リチウムを塩酸側に採取できた。
また、0.56ボルトの発電にも成功した。

従来の塩湖からの回収技術に比べ、短時間、省スペース、さらに、リチウム分離過程で電気等の外部エネルギー消費を要さない革新的技術であり、使用済リチウムイオン電池から回収されていないリチウムのリサイクルにも適応可能な技術で あるとしている。

日立製作所は2月8日、南アフリカ共和国の火力発電プラントの工事で発生した損失負担を巡り、三菱重工業から約7,634億円の請求を受けたと発表した。
2016年3月に約3,790億円を求められていたが、請求額がほぼ倍に増えた。

三菱重工業と日立製作所は2014年2月に両社の火力発電所のインフラ事業を統合し、三菱日立パワーシステムズを設立した。

東日本大震災の原発事故をきっかけとした原発の稼働停止により、この事業の主要顧客であった電力会社の経営が苦しくなったことのほか、大型のガスタービンの生産を得意とする三菱重工と中・小型のガスタービンの生産を得意とする日立がひとつになることで、コストを下げこの分野のライバル企業であるGEや Siemens と渡り合えるようにすることが上げられた。

出資比率は、三菱重工業 65%、日立製作所 35%

事業内容は、火力発電システム事業、地熱発電システム事業、環境装置事業、燃料電池事業、売電事業となっている。

問題となったのは、統合前に日立が受注した事業で、三菱日立パワーシステムズ(三菱が主体)が引き継いだ。

日立は2007年から2008年にかけて、南アフリカ共和国の電力会社であるEskom から、同社が建設するMedupi (メデュピ)発電所および Kusile (クシレ) 発電所向けに各6基、計12基の石炭火力発電プラント用ボイラー設備を総額約 5,700億円(当時は1ドル93円前後) で受注した。

1基あたりの発電出力は80万kWで、数カ月おきに順次ボイラー設備の据付を行う。
2012年にMedupi 発電所の初号機が運転を開始し、2016年ないしは2017年までに完了する予定であった。

既存の石炭火力発電プラントに比べ高い運転効率を実現、燃料消費を抑え、CO2の排出抑制と経済性の向上を図るとしていた。

本プロジェクトでは約6割を現地から調達、耐圧部や鉄骨を含む、ボイラーの主要な部品は南アフリカで製造され、1,400人以上の認定作業者を養成する。
また、現地の支援組織の協力のもと、技術的職業訓練を約300人に実施、これによって、発電所の建設が終了した後も、専門業務に就くことが可能になる。

しかし、1基目の運転開始が当初予定の2012年から2015年にずれ込むなど工期は大幅に遅れた。


この事業を三菱日立パワーシステムズが引き継ぐための契約では、
・効力発生日より前の事象に起因する偶発債務及び同日時点において既に発生済みの請求権については日立が責任を持ち、
・効力発生日以降の事業遂行については三菱日立パワーシステムズが責任を持つことを前提に、
・効力発生日時点に遡ったプロジェクト工程と収支見積の精緻化を行い、それに基づき最終譲渡価格を決定し、暫定価格との差額を調整する旨が合意されている。

この契約に基づき、三菱日立パワーシステムズは2016年3月に、日立に対し譲渡価格調整金等の一部として約3,790億円の支払いの請求を行った。
分割効力発生日時点において既に損失が見込まれたプロジェクトであり、受注条件などに問題があったとして、三菱日立パワーシステムズ発足後に発生した損失も日立が負担すべきだと主張した。

これに対し、日立は同年4月に、契約に基づく法的根拠に欠けるため請求に応じられない旨を回答した。

三菱日立パワーシステムズは2017年1月31日に、この譲渡価格調整金等の請求金額を約7,634億円に増額した請求を行った。

日立では、契約に基づく法的根拠に欠けるため請求に応じられないが、今後も協議を継続する意向としている。

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三菱重工業は逆に、カリフォルニア州でサンオノフレ原子力発電所をめぐり、66.67億米ドルの損害賠償の請求を受けている。

三菱重工が設計・製作した取替用蒸気発生器の欠陥についての三菱の責任を問うもので、この欠陥によって発電所は永久廃炉となり、損害が生じているとし、契約の保証義務違反等に基づき、損害賠償を求められたもの。

国際商業会議所の仲裁手続きが続いている。

2013/10/22 米国原発会社、三菱重工業の蒸気発生器の欠陥で仲裁申立て 

住友金属鉱山と住友商事は2月7日、両社が参画するチリ共和国 Sierra Gorda銅鉱山開発プロジェクトで減損損失を計上すると発表した。

足元の操業実績や中・長期の銅価格の動向を踏まえて、長期事業計画の見直しを行った結果、保有する固定資産の回収可能価額まで減損損失を計上する。

両社は2016年3月期にも同じ理由で減損損失を計上している。

減損計上額は下記の通り。(億円)

合計
2016/3月期 2017/3月期 合計
住友金属鉱山 689.41 799.26 1,488.67
住友商事 140.00 336.00 476.00
合計 829.41 1,135.26 1,964.67


両社は 70/30 のJVを通じて
Sierra Gorda銅鉱山の開発会社Sierra Gorda SCM に45% 出資している。

両社は2011年5月に、カナダの中堅鉱山会社Quadra FNX Mining Ltd.がチリ共和国に保有する大型銅-モリブデン鉱山案件であるSierra Gorda 銅鉱山開発プロジェクトに参画することで合意し、投資契約に調印した。

Quadra FNX Mining が100%保有していたが、両社で45%出資した。

2011年12月に世界第9位の銅開発会社であるポーランドのKGHM Polska Miedz S.A が33.4億ドルでQuadra FNX Miningを買収し、現在に至っている。

本プロジェクトは開発投資額29億ドルで、一部は国際協力銀行が中心のプロジェクトファイナンスで、残りを出資比率で出資・融資する。

平均年間生産量(含有金属量)は銅が22万トン、モリブデンが1万1千トン、金が2トンとされる。


両社の参加検討時点では、
中国の経済成長を背景に銅価格が1トン当たり1万ドル程度と過去最高値を付けていた。

その後、価格は急落、現在やや持ち直しているが、両社の想定した価格には程遠い。

チリのカセロネス銅鉱山に関連し、JX金属は2016年3月期に約800億円の減損損失を計上、三井金属もは193億円の減損損失を計上した。

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は1月12日、「ニッケルやボーキサイトの未加工鉱石について一定の条件を満たした場合に5年間の輸出を認める」と突然発表した。

インドネシアはニッケルの世界最大の産地だが、政府は付加価値の高い製錬業育成のため2014年から未加工鉱石を一律禁輸としていた。

今回、輸出再開で歳入増や雇用増を目指す方針に変えた。2月1日に施行される。

発表では、ニッケルとボーキサイトは、国内に設置した製錬所の能力の30%を利用すれば未加工鉱石の輸出を認める。国内で供給が需要を上回った際にも輸出を認める。但し、5年以内に自分の精錬所を建設する約束をすることを条件とした。

外資系企業に関しては10年以内に株式の51%を政府や国内企業に売却するなどの条件も付けた。

その後の説明内容は次の通り。

ニッケル鉱は平均で1~3.5%を含有するが、低グレード品(含有量1.7% 以下)のみ輸出を認める。

精錬所の能力は現在、年1600万トン(うち低グレード品は1000万トン)。
全体の1600万トンの30%、480万トンの低グレード品を採掘者全体で国内精錬所に供給すれば、低グレード品を輸出できる。
この場合、2,3社が480万トンを供給さえすればよいこととなる。政府がサプライチェーンでの"traffic manager" として調整に当たる。

輸出できるのは、5年以内に精錬所を建設する約束をしたもののみ。

ボーキサイトについても、国内精錬所に30%の供給を義務付ける。
現在既に精錬所建設を進めているもののみに認める。少なくとも洗浄過程の建設を始めているものとし、最低含有量を42%としている。

政府は、6カ月ごとに建設の進展状況をチェックし、約束を果たさない場合はニッケルとボーキサイトの輸出ライセンスを取り消すとしている。

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インドネシア政府は2014年1月12日、国内での加工推進を目的とする未加工の鉱石の輸出禁止措置を導入した。

インドネシアで採掘された鉱石を国内で加工・精錬することを義務付ける「鉱物・石炭鉱業法」(2009年制定)に基づくもので、
加工製品の輸出増加を通じて、鉱物資源からの収益を長期的に拡大する狙いがある。

ただし、当局の間でも、未加工の鉱石の輸出禁止により、短期的には外貨収入が落ち込み、経常赤字が拡大し、通貨ルピーを圧迫する、大量の失業が発生するとの懸念があり、長時間の協議の末、加工・精錬を実施または計画している企業に2017年まで精鉱あるいは加工鉱石を輸出することを認めるという鉱物省の提案が採用された。2017年からは全ての企業が金属製品あるいは鉱石の精製品のみ輸出可能となる。

1) 加工・精錬を実施または計画している企業は2017年まで、銅、マンガン、鉛、亜鉛、鉄鉱石を輸出できる。

2) ニッケル鉱石とボーキサイトについては、国内に十分な数の製錬所があるため、輸出禁止措置
  (年間20億ドル以上の輸出が影響を受ける)

3) 石炭とスズの輸出は規制対象外

この当時、日本はニッケル鉱石の輸入 は、インドネシアが44%、フィリピンが32%、ニューカレドニアが24%であった。

2014/1/16 インドネシアが鉱石禁輸実施、直前に緩和


業界では当初、「すぐに撤回するだろう」との見立てもあったが、禁輸期間は長引いた。

フィリピンの環境規制の強化もあり、ニッケルは2016年に6年ぶりに世界で供給不足に陥った とされる。

今回の輸出解禁で、一部メディアは「世界のニッケル鉱石の供給力が14%上昇する」などと報じた。

但し、ニッケル価格は最大消費国の中国の景気減速などで低迷しており、インドネシアが輸出を再開すれば、国際価格をさらに押し下げる可能性がある とみられた。
(その後、下記のフィリッピンの鉱山閉鎖で、ニッケル価格は再度、上昇に転じた。)

また、低濃度のニッケル鉱石は精錬・加工にエネルギーが多く必要で、加工する中国などで公害悪化も懸念される。

銅、マンガン、鉛、亜鉛、鉄鉱石などの輸出は2017年まで認められていたが、国内での加工・精錬設備の建設は進んでいない。

今回、これらの輸出継続についてもいろいろな条件を付けている。

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フィリッピン政府は2月2日、公害対策のため、21のニッケル鉱山を含む23の鉱山の閉鎖を命じた。対象のニッケル鉱山は国全体のニッケル生産の約半分を占め、世界の供給の約10%を占めるとされる。
Nickel Asia Corpの鉱山も含まれる。

また、豪州のOceanagold Corpが運営するフィリッピン最大の金鉱山を含む5つの鉱山の停止も命じた。

環境天然資源相は、鉱山の損益より公共の福祉を優先すると述べた。大臣は、自ら視察して決めたとし、これらのうち15鉱山は水源地域にあると述べた。
Duterte大統領も同省の決定を支持している。

対象の鉱山は必要があれば訴訟の構えとしている。

Duterte大統領が2016年に大統領に選出された直後に、政府は鉱山が環境規制を無視しているのではないかとして全国調査を実施した。

その結果、フィリピン国内の鉱山の75%が環境基準に不適合と警告された。

米商務省は2月7日、2016年の貿易統計(通関ベース)を発表した。

米国のモノの貿易赤字は全体で7501億ドル(調整後のCensus basis.では7343億ドル)となった。

ドル高の影響で輸出が3.2%減少したが、資源安などの影響で輸入額が2.6%減った影響が大きい。
サービス収支は2478億ドルの大幅な黒字で、モノとサービスを合わせた収支は5023億ドルの赤字にとどまった。

輸出 輸入 バランス
サービス 合計 サービス 合計 サービス 合計
2014 16,333 7,433 23,766 23,855 4,813 28,668 -7,522 2,620 -4,902
2015 15,103 7,509 22,612 22,729 4,887 27,615 -7,626 2,622 -5,004
2016 14,598 7,496 22,094 22,099 5,018 27,117 -7,501 2,478 -5,023

単位:億ドル

モノの貿易での対日赤字は689億ドルとなり、相手国別ではドイツを抜き、中国に次ぐ2位に浮上した。

単位:億ドル
相手国 2015年 2016年
輸出 輸入 バランス 順位 輸出 輸入 バランス 順位
中国 1,161 4,832 -3,672 1 1,158 4,628 -3,470 1
ドイツ 500 1,248 -749 2 494 1,142 -649 3
日本 624 1,314 -689 3 633 1,322 -689 2
メキシコ 2,357 2,964 -607 4 2,310 2,942 -632 4
合計 15,103 22,729 -7,626 14,598 22,099 -7,501


これら4か国に対する米国の貿易赤字は全体の73%を占める。中国は全体の46%、日本は9%。

日本の場合は自動車関連が赤字の大半を占める。(689億ドルのうち、526億ドル)

日本メーカーは北米生産にシフトしているが、日本車の対米輸出は高級車が中心で、単価上昇が貿易赤字拡大の要因となった。

単位:億ドル
輸出 輸入 バランス
乗用車 5 393 -388
トラック、バス、その他 0 7 -7
部品 16 147 -131
合計 21 547 -526

トランプ政権は日中独を通貨安誘導と批判しており、メキシコには北米自由貿易協定(NAFTA)を問題視している。

自動車についても、トヨタについて twitter でメキシコからの輸入を批判した。

トヨタの豊田社長は1月5日の経済3団体の新年祝賀パーティーで、メキシコ新工場について、「工場建設はひとたび決めた以上は雇用と地域への責任がある。現地に行く以上はそこで貢献したい。決断はしっかりやりながら、動き出してからは粘り強くやる」と述べ、現時点で見直す予定はないという考えを示した。

その直後に、Trump次期大統領は twitterでトヨタのメキシコを取り上げた。米国に工場をつくるか、それとも多額の国境税を払えとする。

"Toyota Motor said will build a new plant in Baja, Mexico, to build Corolla cars for U.S.
NO WAY!
Build plant in U.S. or pay big border tax."

これを受け、トヨタ自動車は1月9日、今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると発表した。デトロイトで同日開幕した北米国際自動車ショーの会場で、豊田章男社長が記者会見を開いて明らかにした。

豊田社長は米国で13万6000人を雇用し、過去60年間で220億ドルを投資したと説明した。100億ドルの新たな投資の使途に言及しなかった。雇用増についても触れていない。

Trump氏はトヨタの発表に対しては、何もつぶやいていない。雇用増を約束しなかったためではないかと言われている。

LG Chemは1月31日、約250億ウォン(約24億円)を投資して麗水工場に年産400トン規模の カーボンナノチューブ (CNT) 専用工場を構築して製品量産に入ったと明らかにした。

世界では中国のShenzhen SUSNの600トン、 中国系の米国企業 CNano Technologyの500トン、日本の昭和電工の500トンに次いで4位の生産能力 となる。

本年から電池用CNTの供給を始め、販売を徐々に増やし 、2018年末には工場を完全稼動させる。本年の生産量は100トンを計画している。

同社は2011年にCNTの技術開発に着手、2013年から20トン規模で試作を始めた。用途も含め250のパテントを取っているという。

今後、各種 IT 製品と電気自動車のリチウムイオンバッテリーの正極導電材での需要が増えるとみており、2019年の増設も検討している。

LG Chemでは2016年の世界の需要を824トンとみており、今後年率10%で伸び、2020年に1,335トンになるとみている。

北米、欧州、中国市場への進出を考えている。

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競合他社の状況は下記の通り。

1)Shenzhen SUSN Sinotech New Materials深圳市三顺中科新材料)

Shenzhen SUSN Fine Chemicals(深圳市三顺精细化工、3-エトキシプロピオン酸エチルのメーカー)の子会社で、2011年3月に設立された。中国科学院の技術サポートを受けている。

現在の能力は年産600トンとされる。

2) Cnano Technology(天奈公司

2007年にサンフランシスコ市に設立された。
経営者には中国系が多く、現在の社長・CEOはDr.
Tao Zheng。


工場は中国にある。
北京のCnano Technology (Beijing) Limited は2007年創業で、2009年にCNTの生産を開始した。当初の能力は年産200トンであったが、その後増設し、現在は年産500トン。

鎮江市のCnano (Zhenjiang) Technology Limited では導電性ペーストを生産している。年産能力は2,000トン。

3) 昭和電工

CNT 発見者の信州大学 遠藤守信教授の指導により1982年に開発を開始し、1996年には世界初となるカーボンナノチューブ量産設備を川崎事業所内に設置した。2007年には年産100トンに増強した。

その後、大分に工場を建設、2010年3月に年産400トンプラントを稼働させた。


Trump大統領は2月3日、金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しに関する大統領令に署名した。

 Executive Order Presidential Executive Order on Core Principles for Regulating the United States Financial System


大統領令では、 まず政権が米国の金融システムはこうあるべきだと考える基本原則(Core Principles)を列挙した。

(a) empower Americans to make independent financial decisions and informed choices in the marketplace, save for retirement, and build individual wealth;
  国民が財産管理で独自の決定、
情報に基づく選択ができること

(b) prevent taxpayer-funded bailouts;
  税金での救済策の禁止

(c) foster economic growth and vibrant financial markets through more rigorous regulatory impact analysis that addresses systemic risk and market failures, such as moral hazard and information asymmetry;
  システミックリスクや市場の失敗に対処する、より厳格な規制影響分析を通じて、経済成長と活力のある金融市場を育成

(d) enable American companies to be competitive with foreign firms in domestic and foreign markets;
  米企業が国内、海外で海外企業と競争しうること

(e) advance American interests in international financial regulatory negotiations and meetings;
  国際的な金融規制交渉で米国の利益を促進

(g) restore public accountability within Federal financial regulatory agencies and rationalize the Federal financial regulatory framework.
  金融監督機関の公的説明責任を回復し、金融規制フレームワークを合理化

そして財務長官に対し、 どの法律・規則が基本原則に沿っており、基本原則を推進するためどんな行動が取られているか、またどんな法律・規則が基本原則に沿っていないかについて120日以内に報告するよう求めている。

Trump氏は選挙期間中、ドッド・フランク法 (Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act) の廃止を掲げており、公約の実現に向け一歩踏み出した。

2008年のLehman ショックを受け、オバマ前政権は2010年にドッド・フランク法を成立させた。
金融機関がリスクの高い取引に走って金融危機が起こったことから、金融機関への規制を強めた。

主な内容
・一部の大手金融機関を「金融システムで重要な金融機関(Systemically Important Financial Institutions)」に指定、
 厳しい監督下に置く
・銀行が自己資金でリスクの高い取引をおこなうことを禁じる(Volcker Rule)
・金融機関への特別検査(ストレステスト)の実施
・金融危機に事前に対処するための米金融安定化監督会議(
Financial Stability Oversight Council)の設立
・消費者・金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau)を新設

金融業界からは、複雑な規制で膨大な作業が求められ、コストが増えるなどの不満がある。

米政府高官は、「ドッド・フランク法は政府の管理範囲を広げすぎた。一部は違憲のものもあるうえ、消費者保護につながらない新たな規制機関も生み出した」と批判し ている。

新政権には、Goldman Sachs などウォール街出身者が多く入って いる。

但し、同法の見直しは議会を通す必要があり、民主党の強い反発が予想される。

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大統領は2月3日、オバマ前政権が導入した「受託者規則」と呼ばれるルールの見直しを指示する大統領令を出した。

 Presidential Memorandum  Presidential Memorandum on Fiduciary Duty Rule

「受託者規則」は、金融機関が退職した個人の年金運用に助言する際、利用者保護を徹底することを求めるもので、2017年4月からの導入が決まっていた。

新ルール対応のコストや広告費などの負担が発生するほか、投資信託を勧めて手数料を得ると、条件次第では規制に背く可能性も指摘され、金融業界の反対が強かった。特にコスト圧力は中小の投資アドバイザーやブローカーを圧迫するとされる。

ホワイトハウス高官は、年金基金や投資会社の負担が重いとして「ルールは完全に過ちだ」と批判している。

大統領令では、政権のプライオリティとして、国民が財産管理で独自の決定をなしうることを挙げ、労働省に対して、「受託者規則」が国民が情報や助言を得るのに悪影響を与えるかどうかを調べ、もしそうなら、廃止または改正の案を発表することを求めている。

三菱重工業は2月3日、フランスの総合原子力メーカーであるArevaグループが設立する新会社に5%(250百万ユーロ)を出資することで大筋合意したと発表した。
日本原燃も5%出資する。

出資するのは、Arevaがウランの採掘、濃縮、転換や使用済み燃料の再処理を中核とする燃料サイクル事業を分社して新たに設立する会社 (仮称:NewCo)。

なお、三菱重工は仏電力公社が引き受けるArevaの原子力部門(Areva NP)への出資も検討している。

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2001年に発足したArevaはウランの採掘から原子炉の製造、核燃料の再処理まで、原発に関わる一連の分野を手掛ける総合原子力メーカーで、フランス政府が過半を出資する。

フランスの原子力政策はフランス原子力庁 (CEA) が主導し、 民間企業のFramatomeが原子炉プラントの製造を、CEA子会社のCogemaが核燃料製造を担当する分業体制であった。
2001年にFramatome はプラント需要低迷に危機を迎えていたドイツ Siemensの原子力部門を買収し、更にCogema と統合し、Areva となった。

Framatomeと Siemensは1989年から欧州加圧水型原子炉(EPR)の開発で協力していた。

福島第一原発の事故で、欧州の一部の国が脱原発を決めたほか、日本の原発の再稼働が遅れてビジネス機会が減少、更にフィンランドの新型原発の建設で費用が膨らみ、2015年12月期まで5期連続の最終赤字を計上した。2014年には48億ユーロの赤字、2015年には20億ユーロの赤字となった。

フィンランドのオルキルオト原発3号機はArevaが建設する160万kwの欧州加圧水型原子炉(EPR)で、2005年8月に建設が始まった。当初は2009年に開業予定であったが、 まだ完成していない。
EPRの特徴である二重封じ込め構造の構築にも時間を要しているとされる。

コストは41億ドルの予想が72億ドルに上昇、契約価格は固定されているので、費用の増加分は同社の利益を圧迫する。

Arevaの救済のため、フランス政府は抜本的な同社の構造改革を決めた。2017年に実行される。

仏電力公社(EDF)が原子炉製造を担う子会社 Areva NPの過半数を握る大株主になる。

但し、フィンランドのオルキルオト原発3号機については、Areva SA に残し、政府が責任をもって完成させる。

政府はAreva本体に資本注入して再建を支援する。

Arevaは2017年2月3日の株主総会で50億ユーロの増資を発表した。政府が45億ユーロ、三菱重工と日本原燃が合わせて5億ユーロ出資する。

燃料再処理部門を分社する(仮称 Newco)。 三菱重工と日本原燃はこれへの出資となる。

NewCoへの出資は中国の原発大手の中国核工業集団(CNNC)も交渉をしていたが破談になった。日本側より多い出資や取締役派遣を求め、フランス側が断ったとされる。安全保障の観点から米国や日本政府が強い懸念を伝えたともいわれる。

しかし、ArevaやEDFには中国の参加を求める声が強い。
今後の原発新設の大部分は中国であり、受注のために関係を良くしたい。またEDFの英国計画は中国との共同事業である。

英国のHinkley Point 原発計画には、中国広核集団(CGN) が33.5%を出資、残りをEDFが出資する。

EDFが英国のSizewell とBradwellで予定する新規原発建設計画にも中国が参画、後者については欧米で初めて中国製の原子炉を採用する。

 2015/10/28 中国、英国の原発に出資、中国製原発も導入  

このため、今後、中国が参加する可能性は強い。

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三菱重工は次のように述べている。

Arevaグループと原子力発電事業において長年の協力関係を有しており、1991年に燃料サイクル分野における合弁会社を設立して各種再処理関連機器を製造・販売しているほか、2007年にはArevaと当社の最新技術を融合した加圧水型(PWR)原子力発電プラントの開発に着手、電気出力110万キロワットの最新鋭PWRプラント「ATMEA1」を開発、トルコを始め世界各地での販売活動を展開しています。

当社はNewCoの事業拡大を通じたArevaグループの今後の成長戦略の実現を支援するとともに、従来以上の事業面・技術面での協力関係構築により、2015年10月に日仏両政府間において確認された両国政府および原子力産業界の連携強化にも重要な役割を果たし、原子力事業の世界的なバリューチェーンの強化を目指します。

一方、日本原燃は青森県六ケ所村の再処理工場の建設で、Arevaから全面的な技術協力を受けるなど両社の関係は深い。


日本側の出資には中国に対抗する意味もある。

しかし、各社が原発事業で莫大な赤字を計上し、撤退が続くなか、また、原発計画そのものが(中国やインドを除くと)取り止められるなか、新たに投資するリスクは大きい。

Trump大統領は1月27日、移民の入国を一時禁止する大統領令を出した。

 Executive Order
on January 27, 2017
   Executive Order: Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States

・移民国籍法 217(a)(12) と連邦法1187(a)(12)で規定した国(イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの7か国へのビザ発給を90日間停止
・シリア難民受け入れを無期限停止、他国の難民受け入れも120日間停止
・全体の難民受け入れを年5万人に半減

これに対し、ワシントン州は1月30日、この大統領令は「人種や宗教による差別を助長し、違憲だ」として州政府としては初めて、大統領令の緊急停止を求めて連邦地裁に提訴した。

米西部ワシントン州シアトルの連邦地裁のJames L. Robart 判事は2月3日、「大統領令が雇用や教育、企業活動などに取り返しのつかない損害を生じさせている」として、一時差し止めを命じる仮処分の決定を出した。 判事は2003年12月に George W. Bush 大統領に任命された。

命令は全米に適用され、即時効力が及ぶ。

政府側は、一時停止命令は当該州に限定されるべきだと主張したのに対し、判事は、帰化についての統一ルール、移民法は一様に(uniformly)に施行するとの議会の指示があるとの理由で却下した。

審理の席で、判事は司法省の弁護士に、「大統領令にある7か国からの外国人が9/11以降に米国でテロ計画で逮捕されたことがあるか」、と質問、弁護士が「知らない」と答えると、「答えはノーだ。国はこれらの国から来る人々から米国を守る必要があるというが、それを立証できない」と述べた。

連邦地裁の差し止め命令を受け、米国務省は2月4日、声明を出し、約6万人に上る7カ国出身者のビザ取り消しを撤回し、有効なビザを所持していれば入国を認めるとの認識を示した。

航空各社は米当局からの通知を受け、入国禁止となっていた乗客の搭乗を再開した。

Trump大統領はこの決定に不満のTwitterを連発した。

"When a country is no longer able to say who can, and who cannot , come in & out, especially for reasons of safety & security - big trouble!"
国が、安全と保安のために、出入国を管理できないなら、大問題だ。

"The opinion of this so-called judge, which essentially takes law-enforcement away from our country, is ridiculous and will be overturned!"
 米国から法の執行を取り上げるような「いわゆる」判事の意見は、ばかげており、ひっくり返す。

"What is our country coming to when a judge can halt a Homeland Security travel ban and anyone, even with bad intentions, can come into U.S.?"
 判事が入国禁止令を取り消し、悪意のあるものさえ入ってくるなら、この国はどうなる?

"Because the ban was lifted by a judge, many very bad and dangerous people may be pouring into our country. A terrible decision"
 判事が禁止令を取り消したため、悪い奴、危険な奴が入り込む。恐ろしい判決だ。


司法省は2月4日午後、上級審の控訴裁判所に決定の取り消しを申し立てることを通告した。正式な申し立ては理由書などとともに改めて提出する。

付記 

司法省は2月5日早朝、Ninth Circuit Court に連邦地方裁判所の仮処分の決定の効力を直ちに停止するよう求めた。しかし裁判所はこれを却下した。

原告のワシントン州などに上訴への反論を、政府側にはこの反論に対する答弁資料を提出するよう指示した。

控訴裁の却下後のtwitter。

"Just cannot believe a judge would put our country in such peril. If something happens blame him and court system. People pouring in. Bad!"
  裁判所が我が国をこんなに危なくするなんて信じられない。なにか起こると、裁判所の責任だ。どんどん入ってくる。ひどい。

"I have instructed Homeland Security to check people coming into our country VERY CAREFULLY. The courts are making the job very difficult!"
  入国する奴らを非常に注意深くチェックするよう指示した。裁判所のために仕事が非常に難しくなる。

 

付記

サンフランシスコの連邦控訴裁判所は2月9日、7カ国からの入国を一時禁止する大統領令について、3人の判事の全員一致で、即時停止を命じた連邦地裁の仮処分を支持する判断を示した。

控訴裁は▽主張の説得力▽差し止めを維持した場合と取り消した場合の損害の有無▽主張の公益性--を検討、
「差し止めが維持された場合に取り返しのつかない損害を生むということを、政権は示せなかった」と指摘した。

政権がテロリストの入国阻止を大統領令の理由に挙げてきた点については「政権側は7カ国の出身者が米国でテロを起こした証拠を示していない」と主張を退け、「国家の安全は重要だが、人々の旅行の自由や家族の分離の回避、差別からの解放という公益性より重要とまでは言えない」とした。

判決全文 https://www.nytimes.com/interactive/2017/02/09/us/document-Ninth-Circuit-s-Decision-on-Trump-s-Travel-Ban.html

これに対する大統領のtwitter
    "See you in court. The security of our nation is at stake !"
      最高裁で会おう。我が国の安全は危機に瀕している!

Shell は1月31日、英国とタイで最大47億ドルの資産を売却すると発表した。Shellは2016~18年に300億ドルの売却を計画しており、その一環。


2016年2月の英BGグループの買収で悪化した財務体質の改善を急ぐ。2016年9月末の同社の負債は約980億ドルとなり、BG買収に伴って1年間で400億ドル近くも膨らんでいる。

2015/4/13 Shellが英BG Groupの買収で合意

英領北海では、計10鉱区の権益を英独立系のChrysaorに一時払い 30億ドルで売却する。
原油価格次第で最高6億ドルの追加支払いを受ける。(2018~2019年でバレル当たり60ドル以上で、2020~2021年で70ドル以上)
また、新たな埋蔵量の発見があれば更に追加で1.8億ドルの支払いを受ける。

これにより最大で37.8億ドルとなる可能性がある。

逆に、2018年~2021年の原油価格が$47.50 - $52.50 のレンジ以下に下がった場合、25百万ドルの支払いを行う。

売却対象の鉱区と売却持ち分は次の通り。

Buzzard (21.73%)、Beryl (39.4%)、Bressay (18.4%)、Elgin-Franklin (14.1%)、J-Block (30.5%)、
the Greater Armada cluster excluding Gaulpe (76.4%:Operator)、Everest (100%:Operator)、Lomond (100%:Operator)、
Erskine (32%)、Schiehallion (10%)

上記のうち、Schiehallionについては、45%の持ち分を引き続き所有するが、他は持ち分すべての売却となる。

売却する鉱区の原油・天然ガス生産量(権益相当分)は日量115千バレルとシェルの英領北海全体の5割強、全世界の4%を占める。

売却後もShellは北海で、Schiehallion 鉱区の残り持ち分(45%)や間もなく稼働するClair Ridge プロジェクトなどで、的をしぼった、強化された存在を維持する。

なお、Shellは Chrysaor に対し、売買代金を融資する。

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一方、タイでは同国沖合の鉱区の権益をクウェート石油公社の傘下企業のKUFPEC Thailand に9億ドルで売却する。

売却するのは子会社のShell Integrated Gas Thailand とThai Energy で、両社はBongkot 油田と隣接の鉱区の22.222%の持ち分を持つ。
(残りの44.445%をPTT Exploration & Productionが、33.333%をTotal が保有する。)

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Shellは昨年来、資産の売却を続けている。

2016年8月9日、メキシコ湾のGulf of Mexico Green Canyon Blocks のBrutus/Glider鉱区(日量25千バレル)の権益すべてを EnVen Energy Corporationに425百万ドルで売却する契約を締結。

2016年10月20日、カナダ西部(Gundy area of Northeast British ColumbiaとDeep Basin area of West Central Alberta)のノンコアの石油・ガス資産(206千エーカー)を10.37百万ドルでTourmaline Oil Corp.に売却する契約を締結。

日立製作所は2月1日、原発の燃料として使うウランを濃縮する新技術を米国で開発している事業から撤退し、2017年3月期の連結決算で約700億円の損失を計上する方針を明らかにした。

将来の需要増加を見込んでいたが、原発をめぐる事業環境は厳しく、想定通りの収益を見込めないと判断したもの。

売却することも選択肢で、3月末までに決定する見込み。


日立と米国のGEは原発事業で提携し、日米にJVを持っている。

半世紀にわたる原子力事業での豊富な実績を持つ両社の技術と経験を受け継ぎ、信頼性の高いモノづくりを進めながら、環境に配慮した原子力事業の発展に取り組んでいくとしている。

2010年6月9日発表の 「2012 中期経営計画」の実現に向けた7事業の戦略について で、ウランからの一貫体制をうたっている。

・ ウランについては、カナダ・サスカチュワン州に本社を置く、世界最大手のウラン鉱山会社のCameco Corp.と提携し、ウラン資源を確保
・ GE Hitachi Nuclear Energy子会社のGE Hitachi Global Laser Enrichment でウランを濃縮
・ 同じく子会社のGlobal Nuclear Fuel で核燃料に成形する。

GE Hitachi Nuclear Energy Global Laser Enrichment は2012年9月に、NRCからNew Carolina州にレーザー法濃縮設備の建設認可を受けている。

今回、Global Laser Enrichment の事業から撤退する。原発の建設や稼働が世界的に滞る中、事業の見通しは厳しくなっており、経営資源を他の事業にまわす。

東芝では撤退の理由について、「まだ実用化されていない技術で、今後の事業性を考えた」と述べた。

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なお、核燃料成形のGlobal Nuclear Fuel は、日本にも子会社を持つ。

この前身は日本ニユクリア・フユエルで、GE、東芝、日立製作所出資の原子力発電用燃料製造会社として、1967年に久里浜で操業を開始した。
1971年に国産初の燃料を供給して以来、燃料メーカーのパイオニアとしてこれまでに8万体を超える燃料を国内各地の原子力発電所に納入している。

2000年1月1日には出資3社から営業・設計・開発部門が移管され、新たにGlobal Nuclear Fuel Japan としてスタートし、燃料のみならず炉心管理技術他関連サービス、またMOX燃料の設計・品質管理も行っている。

Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表している。

「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランである。

2016/11/11 トランプの公約

Trump大統領は、1月20日の就任時に早速、エネルギー計画、America First の外交、雇用と成長、軍の再建、治安、通商政策の6項目の政策方針を発表した。

また、同日、オバマケアの撤廃に向け、各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示 する最初の大統領令を発表した。

2017年1月21日 トランプ新政権の最初の政策方針


その後、次々に大統領令(Executive Orders、Presidential Memoranda)を発表し、コメントなどを含めると、1月中の11日間で大半を実行した。当然、大統領に決まってから準備を進めたと思われるが、まさかと思ったことまで実行したのには驚く。

もっとも、すべてが実行できる訳ではなく、議会で法案として成立したり、議会が予算を認めたりする必要があるものもあり、また裁判所が執行を認めないものも出る可能性がある。

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「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプラン と、大統領の対応は次の通り。

1.大統領就任の1日目に、Washington, DCの不正と特定利益の共謀をクリーンアップするため次ぎの6項目を実施する。

 1)  上下両院議員の再任を制限する憲法改正を提案  未実施

 2) 連邦職員削減のための雇用凍結(military, public safety, and public healthは除く)

Presidential Memorandum on January 23, 2017
 
Presidential Memorandum Regarding the Hiring Freeze

 3) 連邦規則1つの新設の場合には既存の2つの規則をなくす。

 4) White Houseと議会の職員が退職後5年間はロビイストになることを禁止
 5) White House職員が外国政府のロビイストになることを永久禁止

4) 5)については採用時に誓約書を提出させる。

Executive Order on January 28, 2017
 Executive Order: ETHICS COMMITMENTS BY EXECUTIVE BRANCH APPOINTEES

 6) 外国のロビイストが米国の選挙のために資金を集めることを完全禁止  未実施 

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2.大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行う。

就任直後のTwitter 

"We will follow two simple rules: BUY AMERICAN & HIRE AMERICAN! " 

"We will bring back our jobs. We will bring back our borders. We will bring back our wealth - and we will bring back our dreams! "

 1) 米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表

1月22日 大統領、メキシコ、カナダとそれぞれ開く首脳会談で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を始めると表明。

 2) TPPからの撤退を宣言

  ・TPPから永久に離脱する。(再交渉の可能性も明確に否定)
  ・米国の産業を振興し、労働者を保護し、賃金を上昇させる 2国間貿易交渉を始める。

TPPの発効には、2013年の参加12カ国の名目GDPの85%以上の6か国の批准が必要。
15%以上の日米両国の批准は必須なため、米国が離脱することで、
TPP発効は不可能に

米通商代表部(USTR)は1月30日、TPPからの離脱を参加各国に書簡で正式に伝達した。

 

3) 財務長官に命じ、中国を為替操作国に指定  

これ自体は未実施だが、大統領は何度も「中国の為替操作」を非難している。

1月31日の製薬業界との会談では、中国と日本をやり玉に挙げた。「他国は通貨切り下げに依存している。中国がなにをやっているか、日本が何年も何をやってきたか。彼らは為替市場に介入し、通貨の切り下げをしているが、我々はぼーっとしているだけだ」

4) 商務長官と通商代表に命じ、米国の労働者に不当な影響を与える全ての外国の貿易阻害行為を明らかにし、それらを直ちにやめさせるよう、あらゆる手段を使う。

未実施だが、上記の「為替操作」非難が今後、影響を与える可能性あり。

大統領は、今後推進する二国間FTAに「為替条項」を導入することを示唆している。

なお、Ford MotorのCEOは1月24日の大統領との会談で、「すべての貿易障壁の根源は為替操作にあると繰り返し伝え」、ドル高の是正を要請した。

5) シェール、原油、天然ガス、クリーンな石炭など50兆ドルものエネルギーの開発への制限を取り除く。

Executive Order on January 24, 2017 インフラ計画への制限の排除
 Executive Order Expediting Environmental Reviews and Approvals For High Priority Infrastructure Projects


Presidential Memorandum on January 24, 2017  製造業への制限の排除
 Presidential Memorandum Streamlining Permitting and Reducing Regulatory Burdens for Domestic Manufacturin


6) 
Obama-Clinton が停めた Keystone Pipelineなどのエネルギー関係のインフラ計画を進める。

オバマ大統領が却下したKeystone XL pipelineの建設指示
アメリカ陸軍省が2016年12月4日に認可しないと発表した Dakota Access pipelineの建設指示


これらのパイプライン計画には米国の鉄の使用(" BUY AMERICAN & HIRE AMERICAN! "への動き)

Presidential Memorandum on January 24, 2017
 Presidential Memorandum Regarding Construction of American Pipeline


Twitter:
 "Signing orders to move forward with the construction of the Keystone XL and Dakota Access pipelines in the Oval Office."

2017/1/26 Trump大統領、原油パイプライン建設へ大統領令

7) 国連の気候変動計画への数十億ドルの支払を取り止め、その資金を米国の水と環境のインフラの補強に使用する。 未実施


(続く)

(続き)

3.同じく 1日目に、安全保障と憲法のルールを取り戻すための5つの行動を取る。

 1) オバマ大統領が決めた全ての憲法に反する指令等を廃止する。 未実施 

 2) 亡くなった最高裁 Scalia 判事の後任を選ぶ手続きの開始

1月31日、連邦最高裁判事に保守的な信条で知られる Neil Gorsuch 連邦控訴裁判事を指名すると発表した。上院の承認が必要。

これで、リベラル派4人、保守派4人、保守寄りの中間派1人となる。

Twitter:
 "Hope you like my nomination of Judge Neil Gorsuch for the United States Supreme Court. He is a good and brilliant man, respected by all"

 3) Sanctuary City(聖域都市:不法移民者が生活し働くことができる)への全ての国家資金使用の禁止

Executive Order on January 25, 2017
 Executive Order: Enhancing Public Safety in the Interior of the United States

これを受け、Miami-Dade市長が「サンクチュアリシティー」政策をやめる意向を表明。

Twitter:
 "Miami-Dade Mayor drops sanctuary policy. Right decision. Strong!"

 4) 200万人以上の不法移民犯罪者の米国からの追放を開始、彼らを引き取らない国へのビザをキャンセル 未実施

 5) 身元調査ができないテロの温床地域からの移民を中断。

Executive Order on January 27, 2017
 Executive Order: Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States

・移民国籍法 217(a)(12) と連邦法1187(a)(12)で規定した国(イラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの7か国へのビザ発給を90日間停止
・シリア難民受け入れを無期限停止、他国の難民受け入れも120日間停止
・全体の難民受け入れを年5万人に半減

Twitter:
 
"Our country needs strong borders and extreme vetting (身元調査), NOW. Look what is happening all over Europe and, indeed, the world - a horrible mess!"

これには米国内、米国外から非難が殺到した。
カリフォルニアやニューヨークなど全米15州とワシントン D.C. の司法長官が1月29日、共同声明を発表し、大統領が大統領令で命じた難民や移民の入国制限を「違憲だ」と非難するとともに、米国の安全保障や価値を守るために闘うと宣言した。

司法長官代理は1月30日、「大統領令を弁護することがこの責務を果たせるとの確信も、大統領令が合法という確信もない」との書簡を同省に通知し、「私が司法長官代理である限り、司法省は大統領令を弁護しない」とも強調した。
大統領は即日、司法長官代理を解任した。

付記 1月28日の豪首相との電話で、首相がオバマ政権が約束した難民引き受けを確認したところ、怒って電話を切る。

 Twitter:

   "Do you believe it? The Obama Administration agreed to take thousands of illegal immigrants from Australia.
   Why? I will study this dumb deal!"

ーーー

4. 以下の法案を提案し、政権の最初の100日で議会を通すよう戦う。

 1) 中間クラスの減税、税簡素化:これにより4%の成長率と25百万の雇用を創生  法人税率は35%を15%に引き下げ 未実施

 2) Offshoring Act(事業の海外移転法)を廃止、米企業が海外移転のために国内の従業員をリストラする場合には彼等の対米輸出製品に関税を課す。未実施

 3) American Energy & Infrastructure Act.  今後10年間で1兆ドルのインフラ投資を呼び込むために、民間のパートナーシップと民間投資を促す。未実施

 4) School Choice And Education Opportunity Act. 子供たちを希望通りの学校に通わせることができる権利を両親に与える。未実施

 5) Obamacare Actの廃止。各州に医療資金を管理させる。

最初の大統領令:オバマケアの撤廃に向け、各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示

 6) Affordable Childcare and Eldercare Act。育児と老人介護の費用の控除を認める。未実施

 7) 不法移民を排除するために南部国境沿いにメキシコ政府の費用で壁を建設する。


前日の Twitter:
"Big day planned on NATIONAL SECURITY tomorrow. Among many other things, we will build the wall!"

「南部の国境を守るために、即座に物理的な壁を建設する」と命じ、「不法移民、麻薬、人身売買、テロ行為を防ぐために、適切な人員が支援する」とした。

Twitter:
 "The U.S. has a 60 billion dollar trade deficit with Mexico. It has been a one-sided deal from the beginning of NAFTA with massive numbers
of jobs and companies lost.
  If Mexico is unwilling to pay for the badly needed wall, then it would be better to cancel the upcoming meeting."

これを受け、メキシコ大統領が訪米を取りやめ。

Twitter:
 "Mexico has taken advantage of the U.S. for long enough. Massive trade deficits & little help on the very weak border must change, NOW!"

その後、両大統領が電話会談を行い、壁問題は分からなくなった。

 8) Community Safety Actの復活。犯罪、麻薬、暴力事件を減少  未実施

 9) National Security Act の復活。米軍の再建

Presidential Memorandum on January 27, 2017
  Presidential Memorandum on Rebuilding the U.S. Armed Forces

 10) Washington DC(米政界)の腐敗を浄化 未実施

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「公約」分以外でも大統領令を出した。

1) 政府組織

2) イスラム国打倒

3) 海外で人工妊娠中絶や中絶教育の支援をする非政府組織(NGO)に対して、米国の連邦助成金を用いることを禁止

Presidential Memorandum on January 23, 2017
 Presidential Memorandum Regarding the Mexico City Policy


Mexico City Policyとは、
米国の資金を受け取っている外国のNGOに対し、自己資金であっても、人工妊娠中絶に関する情報・サービス・ケアを提供したり、中絶について議論したり、安全でない中絶を批判したり、自国政府の要請を受けてこれらの問題に取り組むことを禁止する政策(1984年、国際人口会議で発表)

通称「Global Gag Rule(口封じの世界ルール)」と呼ばれる。今回、大統領はこれを復活させる。

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