「no」と一致するもの

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は3月30日、第三者割当増資などで約350億円 、資産売却で200億円、合計550億円を調達すると発表した。

第三者割当増資(海外機関投資家)  300億円
第三者割当増資(日亜化学工業)  50億円
能美工場の資産の産業革新機構への売却  200億円 産業革新機構はJOLEDに現物出資
合計 550億円

調達した資金は、2018年度下期に見込まれている液晶ディスプレイモジュール 「Full Active」の需要増に対応するための運転資金及び「Full Active」の後工程製造(モジュール組立)の設備投資等に充当する。

「Full Active」はディスプレイ4辺のすべてを狭額縁化したもの。2017年6月から出荷が開始され、複数の大手中国メーカー等に採用されている。
Appleは次のiPhoneで有機ELの採用を2モデルに増やし、1モデルで液晶を残す方針で、この液晶には、JDIの新型液晶「Full Active」が採用される予定。

Appleの有機ELへの転換で、JDIの同社向け販売が無くなるのではと懸念されたが、残ることとなり、それへの対応を行う。


但し、Appleの液晶回帰は一時的なものであり、最終的には有機ELに全面転換すると思われる。
JDIとしては一刻も早く、有機ELの体制をつくる必要があるが、膨大な資金が必要であり、単独での生き残りは難しい。

山形大学の城戸淳二教授の「大学教授のぶっちゃけ話」(2016/9/12)は「日本の有機ELディスプレイ」で次のように述べている。

間違いなく、確実に、100%の確率で、JDIのお客さんである中国のセットメーカーは3年後には自国パネルメーカーからのパネル調達になるでしょうし、JDIにとって最大の大口顧客のアップルも、液晶から有機ELに舵を切ることから、JDIの客は一気になくなることが予想されます。
ですから、JDIが生き残るためには、一刻も早く有機ELの生産に取り掛からなければならず、それができないと5年後には会社の存続すら難しいでしょう。

付記  JDIは6月26日、下記を発表した。

・ 2017年2月停止の能美工場(印刷方式OLEDの量産用に7月1日付でJOLEDに売却される)を産業革新機構に200億円で譲渡。

・ 産業革新機構に割り当てた新株予約権付社債のうち200億円(印刷方式OLED向け資金を調達することを目的)を買入消却

・ FULL ACTIVEの出荷拡大に向けて増加する運転資金を使途として産業革新機構から200億円の借入調達を行う。

・ JOLEDと資本業務提携の基本契約を締結

JOLEDが発行する種類株式のうち現時点でJDIが保有する全ての種類株式の普通株式への転換(議決権比率は一時的であるが、現在の15%から20%台に上昇)(決権比率を51%に引き上げることは予定せず。)
JOLEDとの研究開発分野における協業及び知的財産権の取り扱い
能美工場を活用した生産技術支援等

ーーー

JDIは主力のスマートフォン向けの液晶パネルが振るわず、2017年3月期決算の純損益は317億円の赤字で、3年連続の赤字だった。2018年3月期も赤字となる。

2016年も資金難に陥り、産業革新機構から750億円の支援を受けたが、すでに底をついている。

昨年夏の段階で、取引銀行に融資を要請、主力銀行は総額1100億円規模の融資枠を設ける方向で最終的な調整に入った。筆頭株主(35.58%出資)の産業革新機構が債務保証する。

国内に6カ所ある生産工場の集約や早期退職者の募集を検討している。財務基盤の改善を急ぐと同時に、生産設備を入れ替えるなどして競争力を高める方針。

中国江蘇省にある工場や石川県能美市の能美工場の生産停止などを検討しており、能美工場の従業員は同県白山市の白山工場に配置転換する。

2017/8/4 ジャパンディスプレイ、1千億円融資要請

石川工場 東芝モバイル(松下電器)  
能美工場 東芝モバイル(東芝) 停止→譲渡
白山工場 ジャパンディスプレイとして新設   2016/12 稼働
鳥取工場 ソニーモバイル(鳥取三洋)  
東浦工場 ソニーモバイル  
茂原工場 日立ディスプレイズ  
深谷工場 東芝モバイル(東芝) 2016/4 閉鎖

一方で、主要顧客のAppleの有機ELシフトで顧客を失うことを恐れ、JDIは外部のスポンサー探しに奔走した。

Appleや、中国の・京東方科技集団、天馬微電子、華星などと交渉を重ねてきたが、まとまっていない。
台湾の鴻海精密工業も検討対象となったが、シャープを傘下に置くことがネックとなった。

しかし、Appleが次のiPhoneで1モデルで液晶を残す方針を決め、この液晶には、JDIの新型液晶「Full Active」が採用されることが決まり、方針を変更した。

液晶増産のための部材調達や生産設備導入に充てるため、今回の資金調達を決めた。

第三者割当増資で、液晶パネル向けの発光ダイオードを手掛ける日亜化学工業(中長期の保有を前提)から50億円と、迅速に多額の資金調達に応じることが可能な資金力を有する海外機関投資家15社から計300億円、合計350億円を調達する。

資本関係は次の通りとなる。

当初 現状 増資後
産業革新機構  70% 35.58% 26.81%
ソニー 10% 1.78% 1.34%
東芝 10%
日立 10%
日亜化学 3.52%
海外機関投資家計 21.12%
うち Segantii Asia-Pacific Equity Multi-Strategy Fund 60億円 (4.22%)
Monashee Investment Management LLC 26.38億円 (1.86%)
Nezu Asia Capital Management Limited 21億円 (1.48%)
GSA QMS Master Fund Limited  20億円 (1.41%)
その他現行株主 62.64% 47.21%
合計 100% 100% 100%

合わせて、2017年12月に稼働を停止した能美工場の資産を産業革新機構に約200億円で譲渡する。

産業革新機構はこれを JOLEDに対し現物出資する。

JOLEDは2017年12月、生産拡大のため2018年3月末までに約1000億円の第三者割当増資を実施する方向で検討していると発表した。

約1000億円の3分の2をジャパンディスプレイの能美工場(石川県能美市)に投資し、生産規模を現在の10倍程度まで引き上げたい考え。残りは運転資金に充てる。

JDIは2016年12月にJOLEDへの出資比率を15%から51%に引き上げる計画を掲げていたが、中期経営戦略の見直しに伴い、実現していない。
今回、JDIはこの
方針を撤回した。

JOLEDは2017年12月、生産拡大のため2018年3月末までに約1000億円の第三者割当増資を実施する方向で検討していると発表した。

3月24日の記事で、デンソーなどからの500億円の増資を報じ、残る500億円増資後の出資比率を予想した。

2018/3/24 デンソー、JOLEDに300億円出資 

残る500億円のうち、産業革新機構が200億円を現物出資すると、(報道に基づくと)下記の通りとなる。

  現状 増資-1 増資-2 増資完了後
産業革新機構 75% 196億円   200億円 31.4% 396億円
ジャパンディスプレイ 15% 39億円     3.1% 39億円
Sony 5% 13億円 50億円   5.0% 63億円
Panasonic 5% 13億円 50億円   5.0% 63億円
デンソー     300億円   23.8% 300億円
住友化学     50億円   4.0% 50億円
SCREEN     50億円   4.0% 50億円
others(交渉中)       300億円 23.7% 300億円
合計   262億円 500億円 500億円   1262億円



中国国務院は4月1日、米国が通商拡大法232条に基づき、中国産の鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことへの対抗措置として、米国産の豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税を上乗せすると発表した。
4月2日から実施した。

トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限を発動する方針を表明、3月8日午後、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。

鉄鋼には25%、アルミには10%の追加関税をかける。

2018/3/3 トランプ大統領、鉄鋼とアルミに追加関税、日本も対象

2018/3/9 トランプ大統領、鉄鋼・アルミの輸入制限発動を命令

これに対し、中国は報復策を発表した。

商務部は3月23日、米国から輸入するワインやドライフルーツ、豚肉などを対象に最高25%の関税を上乗せする準備をしていると発表した。対象は米国の2017年の輸出額で約30億ドル分。

鉄鋼・アルミの輸入制限の撤回や中国側が受けた損失の補償を求めて交渉し、まとまらなければ先ず、ワイン、果物、ナッツ、継目なし鋼管など120品目(輸入額10億ドル)を対象に15%を上乗せする。

その後もさらに交渉を続け、決裂すれば、豚肉、アルミニウムのスクラップなど8品目(輸入額20億ドル)を対象に25%を上乗せする。交渉期限は明らかにしていない。

この措置は、緊急輸入制限(セーフガード)への対抗措置として、WTO協定でも認められている。


鉄鋼やアルミニウムの輸入制限は米東部時間3月23日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動された。同時刻以降に米国に輸入された製品から追加関税を徴収する。

ホワイトハウスはカナダ、ブラジル、メキシコ、EU、オーストラリア、アルゼンチン、韓国への関税を5月1日まで猶予する方針を示した。

2018/3/26 米国、鉄鋼とアルミの輸入制限を発動

今回の中国の措置は、3月23日発表の措置の通りで、当時は2段階での関税上乗せとしていたが、交渉がまとまらなかったため、一挙に実施する。

果物など120品目(2017年の輸入額は計10億ドル)に15%、豚肉とアルミスクラップの8品目(輸入額20億ドル)に25%を上乗せする。

中国政府は、「我が国は多角的貿易体制を支持しており、米国への関税上乗せはWTOのルールを適用したもので、我が国の利益を守るものだ」と述べている。

具体的な対象品目は次の通り。

15%上乗せ

果実及びナット、果皮(関税番号 08 ) 78項目

ナット、バナナ、いちじく・パイナップル・アボカドー、かんきつ類、ぶどう、パパイヤ・メロン、りんご・梨、あんず・さくらんぼ、冷凍果実・冷凍ナット、保存処理した果実・ナット等

葡萄酒(2204)5項目
変性アルコール(2207.20) 1項目
朝鮮人参(1211.2)3項目
鉄鋼製の管及び中空の形材 (73.04) 33項目
合計 120項目
25%上乗せ 豚肉(0203 & 0206) 7項目
アルミニウムスクラップ(7602) 1項目
合計 8項目

詳細 http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201804/P020180401856022545193.xlsx

付記 

米国のウォルターズ大統領副報道官は4月2日、「中国は公正に輸出された米国製品を標的にするのではなく、自分たちの不公正な慣行をやめるべきだ。根本問題は、中国企業が政府から補助金を受け取り、鉄鋼などを過剰に生産していることだ」と述べた。


米国のConstantine Cannon法律事務所は3月27日、同事務所の依頼人のタカタ元従業員2名が、米国政府によるタカタの刑事捜査で政府に提供した情報に基づき、113万米ドル余の報奨金を受け取ることになると発表した。

2015年12月に自動車安全公益通報者法(Motor Vehicle Safety Whistleblower Act)が成立した。
米国議会におけるタカタ聴問会の後、共和党の John Thune 上院議員と民主党のBill Nelson 上院議員が提出した。

このプログラムでは、安全に関わる深刻な違反を報告した自動車業界関係者に対し、政府が徴収する100万ドル以上の罰金の10%~30%を報奨金として与えるとしている。

2名は同法に基づき、報奨金を受け取る。

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2004年以降、硝酸アンモニウムを使用したタカタ製エアバッグのガス発生装置(インフレータ)が異常破裂し、金属片が飛散する不具合が発生した。

米国では、爆発で22名の生命を奪い、全世界で1億台近いリコールを出し、経営破たんしたタカタが捜査対象となった。

米司法省は2017年1月13日、タカタが自動車メーカーに虚偽の検査データを伝えたことで有罪を認め、罰金など10億ドルを支払うことに合意したと発表した。

司法省によると、タカタは1990年代後半から、硝酸アンモニウムを使ったエアバッグの開発を開始した。このエアバッグが自動車メーカーが要求する基準に満たないことや、作動時に破裂のおそれがある欠陥を認識ながら、自動車メーカーに示す検査データから破裂の事例を取り除くなどしていた。
またタカタの幹部らはデータの捏造について繰り返し協議し、欠陥による死者が出た後も正確なデータを隠し続けたという。

タカタは罰金2500万ドル、犠牲者の家族らへの補償金として1億2500万ドル、自動車メーカーへの補償金として8億5000万ドルの合計10億ドルを支払う。
またタカタの元幹部3人を訴追したことも明らかにした。

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タカタの元従業員の Mark Lillie 氏および匿名のもう1人の公益通報者は、2015年12月に新しく制定された自動車安全公益通報者法(Motor Vehicle Safety Whistleblower Act)のもと、政府捜査官による捜査に協力した。

Mark Lillie 氏は2001年にトップレベルのエンジニア職から辞職する前に何度も、タカタの幹部に対し、タカタのエアバッグが死亡事故を招く可能性があると警告した。 
エアバッグを膨らますガス発生剤に廉価だが危険な硝酸アンモニウムを採用した時、抗議し辞職した。タカタの上層幹部に対し「このままでは死者が出る」と警告したが、無視された。

同氏が米国政府に提供した証拠は、タカタのエアバッグが死亡事故を招きかねないことを同社が1999年から知っていたことを示している。
Eメールや設計書、証言者リストほか、刑事訴追を助ける決定的情報を提供した。

第二の公益通報者は、タカタがデータ操作していたこと、試験手続を無視していたこと、エアバッグ欠陥の可能性を指摘した報告を隠蔽していたことを証明するため協力を申し出た。
また、不正な製造方法に異議を唱えた従業員をタカタが組織的に免職していたことも語った。
(タカタは最終的にロット受け入れ検査過程を大幅に操作していたことを認めた。)



三菱商事は3月26日、英国の新規洋上風力発電事業へ参画すると発表した。

英国100%子会社のDiamond Generating Europeを通じて、スペインの再生可能エネルギー事業者であるEDP Renewablesから、Moray Offshore Windfarm (East) Limitedの株式の33.4%を取得し事業参画する。

株主はEDP Renewablesが43.6%、三菱商事が33.4%、2017年7月に参加したフランスのENGIEが 23%となる。

英国スコットランドMoray湾沖合、約22㎞の海域でMoray East洋上風力発電所の開発・建設・運転を担うプロジェクト会社で、2018年中に同発電所の建設を開始し、2022年に運転を開始する予定。

総発電容量は約95万kW、英国最大級の洋上風力発電所になり約100万世帯の電力を賄う規模。

三菱商事の子会社のDiamond Generating Europeは洋上風力事業の開発・建設・運転等を管理する専門チームを擁している。


三菱商事は2013年1月にオランダ公営の総合エネルギー事業会社であるEnecoと欧州の洋上風力発電事業分野で戦略的提携を行うこととした。Enecoがオランダ沖合に建設予定のLuchterduinen洋上風力発電所(総発電容量13万kW)の持分の50%をEnecoより取得し、建設・運転を、両社共同で行うことに合意した。

2016年12月には、子会社のDiamond Generating Europeと オランダ公営の総合エネルギー事業会社 Enecoと折半にて出資する新会社を通じて、Norther 洋上風力発電事業会社へ50%出資参画することに合意した。同事業会社の残る50%は、ベルギーの地方自治体が100%出資するエネルギー・通信会社Nethysが保有して おり、今後、3社共同で建設・運転を行う。

Norther 洋上風力発電所(約37万kW)はベルギー沖合約23km(水深約20m)の北海海域に建設するもので、総事業費は1,500億円、2017年1月から建設を開始し、2019年夏頃の運転開始を目指す。

欧州では、2030年までに約5,000万kWの洋上風力発電が導入される計画で、欧州で洋上風力発電の導入が進むことで、発電機の大型化、発電所の大規模化を可能にする技術開発が進み、低廉な発電コストの洋上風力発電が世界的に普及すると見込まれて いる。

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他方、丸紅は3月27日、英国政府100%出資の再生可能エネルギー支援機関 UK Green Investment Bank と50%ずつ出資するWMR JV Investco Limited の持分をGreen Investment Bank に譲渡したと発表した。

WMR JV Investco は世界最大手の洋上風力発電事業者であるデンマークの大手総合エネルギー会社DONG Energy A/Sと50/50で、英国東部ヨークシャー沖に位置する210MWのWestermost Rough 洋上風力発電所を建設・運営している。(2014年4月に参加)
Siemens Gamesa Renewable Energyの6MW ダイレクトドライブ式風力発電機35基を備え、2015年6月に商業運転を開始、以降順調に稼動している。

譲渡に伴い、Green Investment Bank GIGと欧州のインフラ事業への投資ファンドのMacquarie European Infrastructure Fund 5 及び英国の大学関係者の年金ファンドのUniversities Superannuation Schemeが、共同で本事業における50%の株式を保有することになる。

丸紅は、今後はより主体的な役割を担い洋上風力発電事業に取組んでいくいとしている。

新潟水俣病の症状を訴える男女2人が精神的、肉体的苦痛を受けたとして国と新潟県、原因企業の昭和電工に1人当たり1200万円の損害賠償などを求めた第3次訴訟の控訴審判決が3月23日、東京高裁であった。

斉木敏文裁判長は「2人は汚染された魚を多く食べていたとは認められない」とし、2人が訴えている症状は他の病気が原因の可能性があると判断し、請求を棄却した1審新潟地裁判決を支持し、2人の控訴を退けた。

阿賀野市の原告男性の症状は「水俣病の主な症状に合致するとは言えない」と指摘。新潟市の原告女性についても「阿賀野川の汚染状況が相当改善した後に出生している」などとした。

新潟水俣病を巡る行政の責任の有無については、これまでの新潟地裁判決(2次訴訟第1陣、3次訴訟)で認められたことはない。
今回の裁判でも国と県の責任を問うているが、高裁判決は「水俣病であるとは認められないから、判断するまでもない」とした。

付記

最高裁第3小法廷は2019年3月5日付で原告側の上告を棄却する決定を出した。2人を水俣病と認めなかった1、2審の原告敗訴判決が確定した。

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水俣病と診断されながら国の基準では認定されなかった新潟市などの男女11人が国と新潟県、原因企業の昭和電工に1人当たり1200万円の損害賠償などを求めた新潟水俣病3次訴訟 判決が2015年3月23日に出た。

1) 原告7人を患者と認定し、昭電に1人330万〜440万円(総額2420万円)の支払いを命じた。

同居家族に認定患者がいることを重視する見解を示し、7人を患者認定した。
3人については感覚障害を認めたが、同居家族に認定患者がいないなどとして請求を退けた。
故人1人は係争中に水俣病と認定され、昭電への訴えは取り下げていた。

2) 国と県の賠償責任については、工場排水を規制しなかったことが違法とはいえないとして認めなかった。

2015/3/26 新潟水俣病 3次訴訟判決

国と県の責任を認めなかったこともあり、10人全員が控訴した。今回はこの控訴審の判決である。



別途、新潟市から法律に基づく水俣病の患者認定申請を棄却された市内の9人(うち8人は上の裁判の原告)が市に処分の取り消しと患者認定を求めていた。

2016年5月に新潟地裁の判決で、原告7人を水俣病と認定するよう市に命じた。2人については請求を退けた。

この控訴裁の判決が2017年11月29日に東京高裁であり、1審の新潟地裁が認めなかった2人についても水俣病と認めるよう市に命じる判決を言い渡した。

2017/11/30 東京高裁、新潟水俣病で提訴の9人全員の認定命じる判決

この結果、損害賠償裁判で控訴していた8人は全員が水俣病と認定されたため、控訴を取り下げ、1審で敗訴し、行政訴訟に加わっていない2人だけが残った。

今回、この2人の控訴が却下されたもの。

米国の Mnuchin財務長官は3月25日、米韓FTAの改正・延長交渉で合意したと発表した。

鉄鋼に関しては25%の追加関税を免除する代わりに、韓国は米国向け輸出数量を減らす。 (2015~2017年平均輸出量383万トンの70%を限度)

ホワイトハウスのNavarro通商製造業政策局長は3月22日、「鉄鋼関税が課されなかったすべての国はクォータ制に直面するだろう」と述べた。

2017年の韓国からの輸入鉄鋼は米国の輸入全体の10.2%を占める。

交渉に参加した韓国の金鉉宗通商交渉本部長も仁川国際空港で、「韓米FTAと貿易拡大法第232条の鉄鋼製品の関税賦課について原則的に合意・妥結した」と明らかにした。

直前にトランプ大統領は、「韓国との交渉はもうすぐまとまる。素晴らしい同盟国と素晴らしい取引ができる。雇用と他の多くの点で米国に問題となっていたものだ」と述べていた。

韓国側の説明によると、FTAの改正点は次の通り。

農産物市場関連の追加開放はない。

米国製自動車部品の使用義務など原産国関連の米国側の要求は反映されない。

一方、米自動車を輸入する際に適用してきた非関税障壁の自動車安全・環境基準のハードルを下げる
韓国の安全基準を満たさなくても、米基準を満たす車両の韓国輸入台数の拡大などを受け入れた模様。
(現在、米国車は年間2万5000台まで米国基準にだけ合わせれば韓国で販売できるが、 これを5万台に引き上げる。

米国に輸出する韓国製ピックアップトラックに対する関税撤廃日程を 2041年まで遅らせる。
(現行FTAでは、米国はピックアップトラックの25%の関税を来年から段階的に引き下げ、2021年までに完全撤廃となっている。)

付記

トランプ政権は3月27日、大筋合意を正式発表した。
同時に両国が競争的な通貨切り下げを禁じる「為替条項」の導入でも合意したことを明らかにした。為替条項は(1)競争的な通貨切り下げを禁じる(2)金融政策の透明性と説明責任を約束するといった内容。
「付帯協定」との位置づけのため強制力は持たない。

米国への輸出拡大を狙った韓国の通貨安誘導を防ぐためで、米国が同条項を結ぶのは初めて。

米国が今回合意した背景には、韓国の対米貿易黒字が2016年の230億ドルから2017年には178.7億ドルまで減っていることがある。

また自動車が中心になったのは、昨年の貿易黒字178.8億ドルのうち、部品を含めた自動車分野の黒字が177.5億ドルとほぼ100%であり、米国がFTA改定交渉で最も力を入れていたためである。
昨年の韓国の輸入車市場で米国車のシェアは8.6%に過ぎない。(ドイツ車が56.7%、英国車が 8.6%)

今回の交渉で、韓国は鉄鋼関税を避けるため、自動車市場を差し出したこととなる。

韓国では、実際に米国の自動車が韓国にもっと入ってきても、韓国の自動車産業への影響は鉄鋼産業に比べ大きくないという診断が出ている。
韓国開発研究院の教授は「韓国に米国製自動車がもっと入ってきても、韓国メーカーよりは韓国にきた海外メーカーのシェアを奪う可能性が大きい」と話した。


トランプ大統領は対韓貿易赤字の解決に向けて「在韓米軍カード」の利用を示唆した。

大統領は3月14日の演説で、「われわれは韓国との貿易でとても大きな赤字を抱えているのに、彼らを防衛している」と 、「われわれは貿易で金を失い、在韓米軍でも金を失っている」と述べた。さらに「今、韓国と北朝鮮の間には米国の軍人32千人(実際には28千人とされる)がいる。何が起きるのか見てみよう」と 述べた。「同盟国は自国のことは気に掛けるが、米国のことは気に掛けない」とも述べた。

We have a very big trade deficit with them, and we protect them.
We lose money on trade, and we lose money on the military. We have right now 32,000 soldiers on the border between North and South Korea.

Let's see what happens.

Our allies care about themselves. They don't care about us.

鉄鋼やアルミニウムの輸入制限は米東部時間3月23日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動された。同時刻以降に米国に輸入された製品から追加関税を徴収する。

ホワイトハウスはカナダ、ブラジル、メキシコ、EU、オーストラリア、アルゼンチン、韓国への関税を5月1日まで猶予する方針を示した。完全に除外するかどうかは各国と貿易問題などを交渉して決める。

日本は除外対象にならなかった。

付記

トランプ大統領は、猶予期限切れ直前の4月30日、カナダ、メキシコ、EUへの関税の猶予を更に1カ月延長すると発表した。その間に譲歩を迫る。
カナダ・メキシコとはNAFTAの再交渉中。EUは「断固とした対応をとる」としており、難航する見通し。

ホワイトハウスによると、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリアについてはほぼ合意に達しており、30日以内に詳細を詰める。 3か国は米国にとって貿易黒字国で、米国への鉄鋼・アルミ流入抑制対策で協力する。

韓国については、3月に米韓FTAの改正・延長交渉で合意した。鉄鋼に関しては25%の追加関税を免除する代わりに、韓国は米国向け輸出数量を減らす。

2018/3/26 韓米FTA改正交渉妥結、鉄鋼の追加関税免除

なお、ある国を輸入制限の対象外とするかどうかについては大統領が最終決定するが、米国内で調達しにくい特定製品について関税の適用除外するかどうかは商務省が決定する。

商務省は米国企業からの申請に基づき、製品ごとに、①満足できる水準の品質と②十分な利用可能の量で、米国内で製造されているかどうかを審査する。

3月19日から受け付け、最長90日で判断する。


日本政府は適用除外を求めて再交渉するとともに、日本企業には品目別の除外を働きかけるよう促す。

ーーー

トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限を発動する方針を表明した。

2018/3/9 トランプ大統領、鉄鋼・アルミの輸入制限発動を命令


しかし、実際は米国の貿易赤字解消のための交渉手段であることが明白である。

トランプ大統領は3月8日午後、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。

今回の命令は、いくつかの国を除外するようになっており、国ごとに税率を変えたり、適切と思う国をリストに加えたり、リストから除外する権限を大統領に与えていると述べた。

署名前の閣議で、「我々は非常にフレキシブルだ。我々には友人もおれば、長年にわたり我々を利用し続けてきた敵もいる」と述べた。

また、署名前に「真の友人で、貿易と軍事で米をフェアに扱う国は弾力的に扱う」と呟いた。

We have to protect & build our Steel and Aluminum Industries while at the same time showing great flexibility and cooperation toward those that are real friends and treat us fairly on both trade and the military.

その後の呟きでも貿易赤字解消のための交渉手段であることが分かる。

2018/3/12 鉄鋼とアルミニウムの輸入制限問題、大統領のつぶやき

米国は「世界貿易機関(WTO)でも認められた措置だ」とする。
WTO協定第21条 「安全保障のための例外」では、加盟国が安保を理由に輸入制限を取ることを例外として認めている。しかし、定義が曖昧で、これ自体、問題とされる。

それが、貿易赤字の解消のためなら、WTO協定違反である。


今回、5月1日まで猶予された国のうち、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンは米国が貿易黒字である数少ない国である。

カナダとメキシコはNAFTA再交渉中であり、韓国もFTA再交渉中である。今後、米国の要求を受け入れるよう要求するとみられる。

大統領は3月23日の会見で、「韓国との合意は非常に間近だ」と述べた。取引内容については触れなかったが、「米国の雇用などに非常に大きな問題を引き起こしてきた協定だ」と指摘した。米韓FTAのことと思われる。

EUについては、EUは輸入制限の場合、対抗策を発動することを公表している。これに対し、トランプはEUからの自動車に関税をかけると発言、米国とEUの貿易戦争になる恐れもある。
また米国はEUに対し、対中国で共同歩調をとるよう求めるとの観測もある。
とりあえず、輸入制限を猶予して、交渉することとしたとみられる。

2018/3/20 EU、米の鉄鋼・アルミ輸入制限への報復関税案を発表

米国は、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限をしたが、輸入の半分を占める国を猶予した。

Steel 輸入 2017年  アルミ輸入2017/1-10
千トン % 千トン %
5/1まで猶予 カナダ NAFTA再交渉中 5,800 16.1 2,478 43.0
メキシコ 3,249 9.0 57 1.0
EU 対中国協調? 3,233 9.0 49 0.9
韓国 FTA再交渉中 3,654 10.2
オーストラリア 米国が貿易黒字
ブラジル 4,679 13.0 33 0.6
アルゼンチン 182 3.2
(小計) (20,615) (57.4) (2,799) (48.6)
対象 日本 1,781 5.0
中国 784 2.2 547 9.5
ロシア 3,124 8.7 626 10.9
総合計 35,927 100 5,764 100

EUについて:
Steelは米商務省発表の統計のトップ20のうち、独、蘭,伊、西、英の合計、アルミは同トップ15のうち、独のみを取った。EU全体ではもっと多い。


安倍首相は、トランプとの親密な関係を謳ってきた。しかし、トランプ政権は対日貿易赤字を問題にしてきた。

Trump大統領は2017年3月31日、中国や日本などとの貿易赤字削減を目指す大統領令(Executive Order)に署名した。
商務長官と米通商代表部(USTR)代表に貿易赤字の要因を分析させ、相手国の不公正な関税や輸出補助金などを徹底的に調査する内容。

米通商代表部(USTR)は同日、2017年版の貿易障壁報告書を公表した。

日本に関しては農産物市場に「重大な障壁」が存在すると批判し、牛肉や豚肉などで一層の市場開放を要求した。
日本側の食品添加物や農薬規制、自動車流通市場に非関税障壁があるとの見解も示した。

2017/4/3 貿易赤字削減を目指す大統領令

安倍首相とトランプ大統領は2017年2月の首脳会談で、日米間の通商問題を麻生副総理兼財務相とペンス副大統領がそれぞれトップを務める「日米経済対話」で協議することとした。
2017年4月の東京での初会合では、「貿易・投資ルール」「経済・構造政策」「分野別協力」の3分野で協議を進めることを確認した。

日本の政府関係者によると、これは「結論を先送りする仕組み」だった。

しかし、大統領は騙されていなかった。

3月22日に日本に関して次のように述べた。「こんな長期間、米国をだませたとは信じられない 」と喜んでいるようだが、もうこれまでだと。

I'll talk to Prime Minister Abe of Japan and others --- great guy, friend of mine --- and there will be a little smile on their face.
And the smile is, "I can't believe we've been able to take advantage of the United States for so long" So those days are over.

安倍首相は3月9日に北朝鮮問題で大統領と電話会談をしたが大統領はその後のtwitterで対日貿易赤字(1000億ドル)を問題視し、フェアでなく続かないと述べた

Spoke to Prime Minister Abe of Japan, who is very enthusiastic about talks with North Korea.

Also discussing opening up Japan to much better trade with the U.S.
Currently have a massive $100 Billion Trade Deficit. Not fair or sustainable. It will all work out!

河野外相は3月15日にUSTRのライトハイザー代表と会談し、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限について、日本を適用除外とするよう求めた。
これに対し、ライトハイザー代表からは直接の返事はなかったが、米国の対日貿易赤字に言及した。

今回、主要な米国の友好国のうち、日本だけが猶予されなかった。

今後、日米FTAを強硬に求めてくると思われる。

問題の一つは自動車分野の日本の非関税障壁(関税はゼロなのに輸入されない)である。

また、米国には、TPP-11の調印で、農産物、畜産物などで豪州、カナダ、ニュージーランドなどに市場を奪われる懸念が強く、これも問題にすると思われる。

さらに円安問題が取り上げられる可能性もある。

現在の対日貿易赤字が実際に減少するような方法を求めてくると思われる。

ーーー

中国は報復策を発表した。

商務部は3月23日、米国から輸入するワインやドライフルーツ、豚肉などを対象に最高25%の関税を上乗せする準備をしていると発表した。対象は米国の2017年の輸出額で約30億ドル分。

鉄鋼・アルミの輸入制限の撤回や中国側が受けた損失の補償を求めて交渉し、まとまらなければ先ず、ワイン、果物、ナッツ、継目なし鋼管など120品目(輸入額10億ドル)を対象に15%を上乗せする。

その後もさらに交渉を続け、決裂すれば、豚肉、アルミニウムのスクラップなど8品目(輸入額20億ドル)を対象に25%を上乗せする。交渉期限は明らかにしていない。

この措置は、緊急輸入制限(セーフガード)への対抗措置として、WTO協定でも認められている。

ロシア高官は3月23日、米国からの輸入品に対する報復措置の準備を検討する考えを表明した。

ロシア側は輸入制限により鉄鋼だけで少なくとも20億ドルの損失があると試算しており、それに応じた対抗措置を取る可能性がある。

国際石油開発帝石は3月20日、エクアドルの石油鉱区返還に関し、エクアドル政府から約199億円の補償金を受け取ることで合意したと発表した。

石油鉱区の権益を取得後、エクアドル政府の提案でサービス契約に切り替えることとし、協議を続けたが、同国政府と合意に至らず、鉱区を返還した。

同国の法律に基づき、一部のパートナーとともに、鉱区返還に伴う補償金を受け取るべく交渉し、国際商事仲裁を申し立てていたが、今回、同国政府と総額318.7百万ドル(約350億円)を受け取ることで合意したもの。

経緯は下記の通り。

帝国石油(2006年に国際石油開発と合併)は2005年1月、ブラジルのPetrobrasのアルゼンチン子会社 Petrobras Energia からエクアドル東部オリエンテ地方の石油鉱区のブロック18とブロック31の各40%の権益を取得する契約を締結した。

取得後の権益比率は次の通り。

ブロック 18 ブロック 31 各社の概要
Teikoku Oil Ecuador 40% Teikoku Oil Ecuador 40% 帝国石油子会社
Ecuadortlc S.A. 30% Petrobras Energia Ecuador 60% ともにPetrobras Energia 子会社、オペレーター
Cayman Int'l Exploration 18% 米国人の石油会社
Petromanabi 12% エクアドル大手石油事業会社

その後、ブロック18について、2008年10月にエクアドル当局の承認を取得し、条件について協議を続け、同年12月に最終合意に達した。
取得価額については明らかにしていない。

なお、ブロック13については、想定された鉱区の開発の見通しが不透明なことから、取得を断念した。

ブロック18では当時、日量3万バレルの原油を生産中で、今後、既発見構造の開発を行っていく予定で、2009年には日量約5万バレルへの増産を考えていた。

2010年3月期の営業報告書では、「ブロック18鉱区において、既存油田から順調に生産を継続しております」としていた。

2010年にエクアドル政府からブロック18鉱区をコンセッション契約(採掘権付与)からサービス契約(探鉱・開発作業の請負)に切り替えるとの提案があり、協議を続けた。

しかし、政府側と合意に至らず、2010年11月に本鉱区を返還した。

エクアドルの法律では、コンセッション契約からサービス契約に移行しなかった場合は、政府から補償金を受け取ることができることとなっている。

国際石油開発帝石はPetrobrasなどとともに政府との交渉を続けたが、まとまらず、国際商事仲裁を申し立てた。

今回、エクアドル政府との間で合意に達したもの。

総額350億円のうち、同社分199億円は57%で、ほぼ同社(持分40%)とPetrobras(持分30%)で分け合うものとみられる。

補償金は2018年中に数回に分けて入金する。

同社では損益予想にはこれを折り込んでおらず、追って影響を公表する。

付記  同社は3月26日、当期純利益への貢献額として約120億円を折り込むと発表した。

法案は難航の末、可決されたが、その後、トランプ大統領が拒否権発動をほのめかし、大騒ぎとなった。

民主党に対し、「ドリーマー」の救済(DACA制度)と引き換えにメキシコとの壁建設の予算承認を求めていたが、壁の予算がほぼ削られた。DACA制度についても決められなかった。

大統領はtwitter でVETOを考えていると述べた。理由として壁建設費をあげたが、その前に民主党がDACAについて放棄したことをあげた。

DACA was abandoned by the Democrats. Very unfair to them! Would have been tied to desperately needed Wall.

I am considering a VETO of the Omnibus Spending Bill based on the fact that the 800,000 plus DACA recipients have been totally abandoned by the Democrats (not even mentioned in Bill) and the BORDER WALL, which is desperately needed for our National Defense, is not fully funded.

As a matter of National Security I've signed the Omnibus Spending Bill.
I say to Congress: I will NEVER sign another bill like this again.
To prevent this omnibus situation from ever happening again, I'm calling on Congress to give me a line-item veto for all govt spending bills!

日本経済新聞(2018/3/20 )によると、デンソーが有機EL事業のJOLEDに300億円を出資する。

JOLEDは2019年中に世界初となる低コスト方式での有機ELパネルの量産を始めるが、デンソーとパネルを共同開発して車載分野を強化し、先行する韓国勢に対抗する。

JOLEDは、RGB印刷方式による21.6型4K高精細の有機ELパネルを世界で初めて製品化し、2017年12月5日より出荷を開始した。
大画面に均一に一括塗布する設備技術・プロセス技術の実用化とともに、光取り出し効率が高い独自の「トップエミッション構造」により、優れた色再現性や広視野角を実現した。

住友化学が開発した高分子発光材料を使用する。印刷方式は蒸着よりコストが安い半面、パネルが大型になるほど均一に材料を塗布するのが難しかったが、これを使えば塗布のムラができにくくなる。 



(JOLEDについて)

中国企業の大増設により、液晶パネル業界には「2012年問題」が発生し、2011年7-9月期に液晶パネルで世界の上位4位を占めるSamsung、LG、友達、奇美の4社が赤字となり、シャープは2012年3月期決算で3761億円の最終赤字を計上した。

これに対し、中小型液晶については日本勢はまだ頑張っていたが、個別には十分な能力増強投資ができず、競争力を失ったテレビ用パネルの二の舞いになる可能性が高い。

このため官民ファンドの産業革新機構は東芝とソニー、更に日立ディスプレイズ中小型の液晶パネル事業を統合させ、機構が2000億円を出資して「ジャパンディスプレイ」を設立した。

しかし、最大顧客の米アップルが iPhone の新モデルで初めて有機ELを採用したことから、ジャパンディスプレイも有機EL事業の進出を図った。2015年1月にソニーとパナソニックの有機ELディスプレイパネルの開発部門を統合し発足したJOLEDに15%を出資した。

ジャパンディスプレイは2016年12月にJOLEDに51%の出資とすることを決めたが、中期経営戦略の見直しに伴い、実現していない。

ジャパンディスプレイは主力のスマートフォン向けの液晶パネルが振るわず、2017年3月期決算の純損益は317億円の赤字で、3年連続の赤字だった。
2016年にも資金難に陥り、産業革新機構から750億円の支援を受けたが、すでに底をついている。

2017/8/4 ジャパンディスプレイ、1千億円融資要請

付記 ジャパンディスプレイは2018年3月30日、JOLEDへの51%出資方針を取り消した。

JOLEDは2017年12月、生産拡大のため2018年3月末までに約1000億円の第三者割当増資を実施する方向で検討していると発表した。

約1000億円の3分の2をジャパンディスプレイの能美工場(石川県能美市)に投資し、生産規模を現在の10倍程度まで引き上げたい考え。残りは運転資金に充てる。

増資引き受けについて国内外の装置メーカーや材料メーカーなどと交渉している。

日経報道では、今回、この1000億円のうちの500億円を決めたという。

デンソーの300億円に加え、既存株主のパナソニックとソニー、発光材料の住友化学、生産設備のSCREENホールディングスもそれぞれ50億円ずつ出資する。

SCREENホールディングスは、京都府京都市にある半導体・液晶製造装置・印刷関連機器などの産業用機器を製造する企業グループの持株会社

残り500億円については、国内外の部材メーカーや商社などと交渉を続けている。

報道の通りなら、1000億円増資後の同社の出資は次の通りとなる。2018/8/23 の発表後の出資は下記の通り。

現状 増資-1 増資-2 増資完了後
産業革新機構 75% 196億円 196億円
ジャパンディスプレイ 15% 39億円 39億円
Sony 5% 13億円 13億円
Panasonic 5% 13億円 13億円
デンソー 300億円 300億円
豊田通商 100億円 100億円
住友化学 50億円 50億円
SCREEN 20億円 20億円
others(交渉中)
合計 262億円 470億円

付記

JOLEDは8月23日、第3者割当増資により、総額470億円を調達したと発表した。
引受先の内訳はデンソーが300億円、豊田通商が100億円、住友化学が50億円、SCREENファインテックソリューションズが20億円。
デンソーとは車載向けディスプレイの開発で協力するほか、豊田通商には販売面の協力を仰ぐ。住友化学とは材料開発での協力体制を強化する。

JOLEDは同日、生産設備の開発設計を行うパナソニック プロダクションエンジニアリング、ディスプレイ製造工程で使われる各種装置と関連サービスを提供するSCREENファインテックソリューションズと、主にテレビ向けを想定した、印刷方式による大型有機ELディスプレイ製造のための印刷設備の開発・製造・販売・サービスに関する業務提携契約を締結したと発表した。

ーーー

デンソーは、「先進的な自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカー」である。

新技術の開発のため、積極的な投資・出資を行っている。

センサーやカメラを大量に搭載する次世代車向けでは、情報を分かりやすく表示するディスプレーの需要が高まる。

JOLEDとパネルを共同開発し、車向けの新たな販路を開拓する。 速度などの計器類を統合した大型パネルや車外のカメラ画像を映し出す「電子ミラー」などへの採用を見込んでいる。


デンソーは3月9日には、自動運転システムを始めとして、高度化、複雑化、大規模化する車両向け各種システムの開発を加速するため、そのキーデバイスである半導体の最先端技術を保有するルネサス エレクトロニクス株式の保有比率を引き上げることを決定した。

産業革新機構から4.5%分を買い取り、出資比率を5.00%とする。

ルネサスエレクトロニクスは2010年4月に、三菱電機および日立製作所から分社化していたルネサス テクノロジと、NECから分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって設立された。

その後、下記の変遷をたどった。

2012/12 産業革新機構・トヨタ自動車・日産自動車など9社に1500億円の第三者割当増資
          産業革新機構 69.16%  デンソー 0.5%

2017/6 産業革新機構などの持ち株の一部を国内外投資家に売却
          産業革新機構 50.10%

2018/3/14 産業革新機構が持ち株(4.5%分)をデンソーに売却
          産業革新機構 45.60%、デンソー 5.00%

付記 ルネサスは4月3日、産業革新機構が12.2%分を放出すると発表、日立とNEC(退職給付信託)も一部売却する。
     革新機構 45.6%→33.4%、日立 5.6%→3.7%、NEC 6.4%→4.3%


デンソーはまた、トヨタが自動運転技術の先行開発分野での技術開発を促進するために設立する「Toyota Research Institute Advanced Development」にアイシンとともに出資する。

共同技術開発を行うことに加え、3社で3000億円以上の開発投資を実施することに基本合意した。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361  

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