「no」と一致するもの

三井物産は2014年12月9日、Vale S.A.がモザンビーク共和国で開発中の Moatize炭鉱、及びナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業(Logistics Nacala Corridor)に出資参画することで同社と合意し、関連契約を締結した。

炭鉱では主に鉄鋼の原料となる良質な石炭を産出する。鉄道で約900キロメートル離れたNacala港に運び日本などに輸出する。鉄道輸送能力の一部を本炭鉱以外で生産される鉱物資源や農産物などの一般貨物輸送や旅客輸送に活用する。

本炭鉱の95%権益を保有するVale社子会社の15%持分、本インフラ事業を推進するVale社子会社の50%持分を取得するもので、投融資額は炭鉱が 450百万米ドル、インフラ事業が 313百万米ドル、合計 763百万ドルとしていた。 他に、炭鉱について今後出資持分に応じて三井物産が今後負担する拡張費用は190百万ドルと見込んでいる。

Moatize炭鉱 年間生産量 22百万トン
Nacala回廊鉄道・港湾インフラ事業
  鉄道 総距離: 912km、輸送能力: 22百万トン/年
  石炭ターミナル 積出能力: 18百万トン/年
  一般貨物ターミナル 取扱能力: 4百万トン/年


出資関係
従来 今回
Moatize炭鉱 Vale子会社 95% Vale(Vale子会社の85%) 80.75%
三井物産(Vale子会社の15%) 14.25%
モザンビーク鉱物資源公社 5% モザンビーク鉱物資源公社 5.00%
Logistics Nacala Corridor Vale子会社 70% Vale(Vale子会社の50%) 35%
三井物産(Vale子会社の50%) 35%
モザンビーク企業、鉄道港湾公社

30%

モザンビーク企業、鉄道港湾公社 30%

ーーー

経緯は不明だが、Valeは9月29日、新しい契約内容を明らかにした。三井物産の投融資額は下記の通り変更された。

炭鉱については、2014年末から2015年末にかけて原料炭の価格が3割下がっており、この市況低迷を織り込んだ模様。
一方、インフラ事業への投資は、着工遅れによるコスト増で膨らんだとされる。

単位:百万ドル
当初 今回
支払額 追加* 支払額 追加*
炭鉱 450 +α 255 最大 195
インフラ 313 348
投資額 763 603
インフラ長期融資額 165
合計支払額 763 768
出資持分での今後の負担(炭鉱) 190

* 炭鉱については、当初より、今後の操業実績に応じて調整されるため、最終的な投融資金額は契約条件に基づき増減する可能性があるとしていた。

なお、9月30日付 日経は、「取得を決めた約2年前は940百万ドル」としているが、当時の発表は上記の通り763百万ドルである。

ーーー

Valeは従来、南部のBeiraまで鉄道輸送していたが、運搬能力は少なく、Beira港は整備されていないため、天然の良港のNacala港のターミナルと鉄道を建設した。

Nacala港は2015年末に商業運用を開始した。

新日住金は、Valeからコークス用高品位強粘結炭を購入しているが、同港を利用する船型としては最大となるケープサイズでの初出荷を行い、2016年6月に君津製鉄所で入港セレモニーを行った。

新日鐵住金は、今回三井物産が参加するMoatize炭鉱に隣接するRevuboe 炭鉱開発プロジェクトに参加している。

豪州 Talbot Group   58.9%
日鉄商事 10.0%
 当初、南ア法人に出資、2004/7 に独占探査権を取得
新日鐵住金 23.3%
 2010/12 日鉄商事から取得し、参加
韓国POSCO 7.8%  2010/5 参加


2013/4/9  新日鐵住金のモザンビーク原料炭開発プロジェクトが採掘権を取得 

OPECは9月28日、アルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、加盟14カ国の原油生産量を日量3250万~3300万バレルに制限することで合意した。
(当初は非公式会合であったが、加盟国が協調に前向きに傾いたとみて会合を臨時総会に格上げした。)

8月時点の産油量は3,324万バレルであり、減産となる。イランのザンギャネ石油相は、「日量70万バレル程度の減産」が決定されたとしている。

会合前にはイランとサウジの隔たりが大きく、合意は難しいと見られていた。

しかし、会合に参加を予定していた非加盟国のロシアがOPEC内部の足並みの乱れを理由に出席を見送ったことも、加盟国間の結束を後押しした。

OPECは今後、ロシアなど非加盟国と協議し、原油市場の需給の安定に向け協力を求める。

この後、加盟国ごとの生産量の上限を調整し、ことし11月に開く総会で正式に決定する方針だが、各国が実際に折り合えるかどうかが焦点となる。

加盟国の中では、イランが2016年1月の米欧の経済制裁の解除(2015年7月に合意)以降、制裁前の水準に回復するまで増産を続ける方針である。

2015/7/25 イラン、制裁解除で原油の輸出、生産を拡大へ

政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指している。

今回の合意を巡り、サウジはイランに対し譲歩したとされる。リビアとナイジェリアについても「柔軟に対応する」としており、例外措置を認める模様で、減産のかなりの部分をサウジが担う必要が出てくる。


付記

プーチン大統領は10月10日、イスタンブールでの「世界エネルギー会議」で講演し、「OPECの減産に加わる用意がある」と表明し、ロシアが増産の凍結または減産する可能性があることを示唆した。OPECが11月30日に開く総会で減産について正式に合意することを「期待している」と述べ、「OPECの決定を支援する」と説明した。

ーーー

OPECが減産で合意するのは、2008年12月以来、およそ7年9か月ぶりである。

OPECは2008年12月17日、 「11カ国の9月の生産量 2,904.5万バレルから420万バレル をカットする」と発表した。生産目標は2,484.5万バレルとなる。
(国別の生産枠は明らかでない)

2008/12/18 OPEC 大幅減産決定

その後は、2009年3月15日に、追加減産を見送り、「世界景気低迷に配慮し、生産枠順守を優先」とした。

2011年12月の総会で、2012年1月以降の生産枠を、イラクを含む加盟12カ国の生産枠を日量30,000千バレルとすることで合意した。
ほぼ現状の生産量に即した水準で、サウジアラビアの意向に沿った形となった。

2012/7/2 OPEC、生産枠据え置き

OPEC生産枠の推移は下記の通り。(千バレル/日)

2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 2009/1 2012/1
Algeria 794 1,357 1,357 1,357    1,286






Iraq
 含まず

Iraq含む
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817    3,618
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531    2,399
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712    1,623
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163    2,050
Qatar 663 828 828 828     785
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943    8,477
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567    2,433
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470    2,341
Angola     ー     ー 1,900 1,900    1,801
Equador     ー     ー 520 520     493
Iraq (ー) (ー) (ー) (ー) (ー) (ー)
Indonesia 1,370 865 865

離  脱

Total 25,800 27,253 29,673 28,808   27,300 24,845 30,000
(増減) (-500) (1,450) 2,420 〔-865〕   (-1,500)

OPECは2014年11月の総会で、北米のシェールオイルに対抗するため、シェア確保を優先する戦略に転換した。

サウジの石油鉱物資源相前回のOPEC総会で、「生産制限はOPECの利益にならない。価格が20ドルになろうが、40ドルで、50ドル、60ドルでも、無関係だ」と述べ、生産量維持を他のメンバーに納得させたという。

インタビューでは、「低コストのメーカーが減産し、高コストのメーカーが増産するというのはリーズナブルでなく、間違った考えだ。サウジが減産すれば、サウジのシェアはどうなる? ロシアやブラジルや米国のシェールオイルがシェアを奪うこととなる」と述べ、OPECのシェアを奪う非OPECの高コスト石油に長期的ダメージを与えるとの考えを示した。

2014/12/27  サウジ Ali al-Naimi 石油鉱物資源相の発言

原油安が響き、サウジの2016年予算では、財政赤字が3262億リアル(日本円で10兆4000億円)を上回った。

しかし、サウジアラビアなどペルシャ湾岸国は、全加盟国に加えOPEC非加盟の産油国の一部も協調しない限り減産を拒む姿勢を示した。

赤字の補填について、サウジアラビア政府は、2016年の歳出の削減と一部国有組織の段階的民営化のほか、下記の諸案を検討している。

1) 国債の発行や対外資産の取り崩し
2) 付加価値税の導入
3) タバコやソフトドリンクへの増税
4) 今後5年間で光熱費や水道料金などに投入されている巨額な補助金の見直し

5) 石油化学原料も12月29日から大幅に値上げされた。

2016/1/4  サウジアラビア 10兆円超の赤字予算、石化原料も値上げ

今回の発表を受け、原油価格は上がったが、OPECのシェアが今や下がっていること、米国でシェールが直ちに増産に入ることなどから、大幅な値上げにはならないと見られている。

ーーー

なお、2016年7月1日付けで、OPECを離脱していたガボンが再加盟し、OPECメンバーは14カ国となっている。

  加   盟

離脱 再加盟
'60 '61 '62 '67 '69 '71 '73 '75 '07
イラク
イラン
クウェート
サウジアラビア
ベネズエラ
カタール
インドネシア '09 '15
リビア
アラブ首長国連邦
アルジェリア
ナイジェリア
エクアドル '93 '07
ガボン '94 '16
アンゴラ
加盟国 14 -3 +3

10月1日から始まる2017会計年度の予算について、12月9日までの暫定予算が決まり、オバマ米大統領は9月29日に署名し、成立した。

予算案を巡る与野党の対立は数週間続いていた。通年予算の成立は無理で、暫定予算となるが、共和党の一部は来年3月までの長期の暫定予算を要求した。

オバマ大統領は11月8日の大統領選後に、予算協議と合わせてTPPの承認を求める意向だが、来年3月までの暫定の場合、大統領の任期中に審議ができない可能性があった。今回の暫定予算決定で、大統領は任期中のTPP承認を目指す。

なお、TPPには反対が強い。上院でTPPを所管する財政委員会の委員長は、バイオ新薬のデータ保護期間を、大筋合意した8年から12年に延ばすよう強硬に主張している。TPPの修正には再交渉が必要だが、他の参加国全体が絶対反対の立場である。

最終的に12月9日までの暫定予算で妥協に達し、米上院は9月28日に可決、下院も同日可決した。

これにより大統領選挙の前の政府機関の一部閉鎖などは回避される。

米議会は休会に入り、大統領戦後の11月半ばに再開する。

ーーー

米国の予算の問題には、「予算案」そのものと「債務上限問題」がある。

オバマ政権では、予算については、与党民主党が少数のため、野党共和党の反対によりこれまで全ての年度で年度前に予算が成立せず、暫定予算でスタートした。

2014年度の2013年10月1日には暫定予算も成立せず、政府機関が一部閉鎖された。

2013/10/1 米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2012年12月には、「財政管理法による政府支出の強制削減」と「大型減税期限切れ」による 「財政の崖」問題が発生したが、同年12月31日に当面の回避案で合意している。

  2013/1/4 米国、「財政の崖」問題を当面回避

直近の2会計年度の動きは次の通り。

2015
年度
2014/10 2014/12/11までの暫定予算
2014/12 総額1兆1000億ドルの包括的歳出法案を可決、但し、国土安全保障省は2015年2月までの暫定予算
 
2014/12/18 米国、包括的歳出法案が可決するも、問題を残す
2015/3/4  2015/3/6 米、国土安保省の予算可決
2016
年度
2015/9/30  
 
12月11日までの暫定予算
 
2015/10/15 米国、2016会計年度予算も暫定予算でスタート
2015/10/26 2年間の予算案の概要で合意(但し、細目決まらず)
 2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認
2015/12/11 期限切れで短期暫定予算
2015/12/18 予算案可決
 2015/12/21 米議会、予算案を可決、原油輸出解禁、IMF出資比率見直しも 


債務上限問題(2012/10/8 米国経済の問題点 参照)では、「上限の引き上げ」や、「債務上限の適用の凍結」で対応しているが、与野党の協議が不調に終わり、上限に達したため、長期間、つなぎの資金繰りで対応したこともある。

現在は、2015年10月に債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長して、乗り切っている。

過去の経緯:

債務上限
2012/11/5 14.29兆ドル 上限到達。
2012/11/7 16.4兆ドル 上限引き上げ
  
2011/8/3 米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避
2013/2 16.7兆ドル 上限引き上げ
2013/5 16.7兆ドル 上限到達、以降、つなぎの資金繰りで対応
  
2013/8/29 米国債、再びデフォルト懸念
2013/10/16 2014/2/7まで上限以上の国債発行を認める。
  
2013/10/17 米国、政府デフォルトを直前に回避
2014/2/7 17.2兆ドル 上限以上の国債発行の期限到来
2014/2/12 債務上限の適用を2015年3月まで凍結
  2014/2/14
米債務上限上げ法案可決 デフォルト回避確定
2015/3/16 18.1兆ドル 凍結期間終了、以降、つなぎの資金繰りで対応
2015/10/26 債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長
 
2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名 

Pfizerは9月26日、2012年から検討してきた会社分割を見送ると発表した。

検討の結果、現状の姿が将来の株主価値創造に最も適しており、特許で保護された製品を扱うPfizer Innovative Health と、低成長のジェネリック製品を扱うPfizer Essential Health を分割して別々の企業として上場する案を撤回する。

同社の現在の体制は下記の通り。

Pfizer Essential Health Global Established Products (GEP)
Pfizer Innovative Health Global Innovation Products (GIP)
Vaccines Oncology and Consumer healthcare (VOC)

同社は5~6年前から、この2つの事業を1つの会社で運営するよりも、別々の会社で運営するほうがよいのではないかという "Trapped value" 問題を検討してきた。

しかし、検討の結果、現時点で2社に分割しても、収入や競争力を高めず、逆に分離のコストが増え、税務上のメリットも期待できないことから、分割は価値損失の方向であるとの結論に達した。

2つの事業は従来どおり、Pfizerのなかの別の事業として運営される。

この結果、会社分割の場合と同様に
事業の力、効率、資金面でのフレキシビリティを維持し、分離の場合のメリット、即ち、焦点を絞り、責任感を増し、緊急性を意識するということを確保できるとしている。

今後、両事業を業界のリーダーにするとしている。

ーーー

Pfizer は2012年にリストラ計画を開始し、基本事業以外を順次売却してきた。

2012年11月にNutrition事業をNestle に11,850百万ドルで売却し、48億ドルの売却益を計上した。

2013年6月にAnimal healthのZoetis 部門をIPOで分離し、103億ドルの税引き後利益を計上した。

それ以前の2011年8月にCapsugel 事業(Hard capsule とDrug-delivery system)をKKRに2,375百万ドルで売却し、約13億ドルの売却益を上げている。

その一方で、基本事業の成長を図るため、事業買収を計画した。(最初の2つのビッグな買収は失敗)

2014年にAstraZenecaの買収を提案した。しかし、AstraZenecaはこれに反対し、下記の問題も発生したため、Phizer は断念した。

Pfizerの経営幹部が、買収目的の一つを「効果的な租税負担を構築する」こととした。買収後は英国に多くの利益を留保・移転し、米国の高い税を回避するというもので、これに対し米国議会が反発、課税逃れ阻止の法案提出の動きも出てきた。

2014/5/12 Pfizer が AstraZenecaに買収提案

2015年11月にアイルランドに拠点を置く同業のAllergan の合併を決めた。
本社移転による米国の課税回避という目的もあるが、ジェネリックを扱う
Pfizer Essential Healthの事業の強化の目的もあった。

2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収

しかし、米財務省が2016年4月に、税率の低い国へ本社を移転する税逃れ行為「インバージョン」をめぐり追加措置を発表したため、本社移転による恩恵がなくなり、買収を撤回した。

2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念

ーーー

2015年2月にジェネリック注射剤やバイオ後続品を扱うHospira, Inc.を170億ドルで買収した。

2015/2/11 Pfizer、米製薬会社 Hospira, Inc. を買収 

2016年5月には、アトピー性皮膚炎に有効な新たな非ステロイド系薬のcrisaborole を持つAnacor Pharmaceuticals, Inc.を52億ドルで買収した。

2016年8月にバイオファーマのMedivation, Inc. を140億ドルで買収する契約を締結した。

2016/8/24 Pfizer、Medivation を買収

同じく8月にAstraZeneca から複数の抗感染症薬の権利を最大15億7500万ドルで取得すると発表した。

2016/8/31 Pfizer、AstraZeneca から抗感染症薬買収

今後も、買収により、Innovative Health とEssential Health の両事業の強化を図ると思われる。



同社の歴史については下記参照

2016/6/8 欧米の医薬業界の変遷 -1 


韓国ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長(創業者の次男)は9月20日午前、背任や横領の疑惑に絡む事情聴取を受けるため、ソウル中央地検に出頭、約18時間にわたる事情聴取を受けた。

朝鮮日報は、辛東彬(重光昭夫)会長が逮捕、起訴された場合、同氏が経営の一線を追われる可能性があると指摘し、その場合、「韓国 5位の財閥が日本の経営陣数人に左右されるという、あきれた状況が現実になるかもしれない」と伝えた。 

2016/9/23 ロッテグループの危機

ソウル中央地検は9月26日、背任・横領の容疑で、辛東彬(重光昭夫)韓国ロッテグループ会長の逮捕状を請求した。

しかし、ソウル中央地裁は9月29日、逮捕状請求を棄却した。

逮捕状交付の必要性を判断する令状実質審査を行う令状実質審査で、検察側は、辛東彬会長がロッテグループのオーナー一族を系列企業の形式的な役員に就かせ、給与として総額500億ウォンを支払ったのは明らかに横領だと主張、また会長一族が個人的に保有する会社に集中して発注を行ったり、系列会社間の株式取引を指示したりして、総額1250億ウォンの損失を出した疑いもあると指摘した。

これに対し、会長側は「給与500億ウォンは辛東彬会長が受け取ったものではなく、集中発注は辛格浩総括会長が指示したものであり、辛東彬会長とは無関係だ」と反論。系列会社間の株式取引も経営上の判断によるもので、損失が出たか否かを現時点では判断できないと主張した。

中央地裁は、「捜査の進行内容と経過、主要犯罪容疑に対する争いの余地などを考慮すると、拘束の必要性、相当性を認め難い」と判断した。

検察側は在宅起訴の方針とされる。

ーーー

しかし、この決定には裏があるのでは、との報道がなされている。

北朝鮮が核実験や弾頭ミサイル発射実験を相次いで実施したことを受け、米国と韓国は、北朝鮮のミサイルに対応するため、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配置を決めた。

中国はこれに猛反対している。

杭州のG20首脳会議に合わせて、習近平主席と朴槿恵大統領が9月5日に会談したが、厳しいやりとりが交わされた。

習主席は「この問題の処理を間違えば、地域の戦略的安定に助けにならず、紛争を激化させる可能性がある」と憂慮を表明した。

これに対し朴大統領は「北朝鮮のミサイルへの対応手段としてのみ配置するものであり、第三国の安全保障を侵害する理由も、必要もない」と述べ、理解を求めたが、議論は平行線をたどった。

韓国は7月に南東部の慶尚北道星州郡の空軍ホークミサイル基地に配備することで米国と合意した。

しかし、メロン農業が盛んな同地域の住民らは、レーダーの強い電磁波が健康に与える影響への懸念や、戦争になれば報復すると警告する北朝鮮の標的になる可能性などから強く反対、当局は変更を余儀なくされた。

韓国国防省当局者は9月30日、THAADを星州郡のゴルフ場に配備する計画だと明らかにした。

同当局者は、新たな配備先は、ロッテグループが所有するロッテスカイヒル星州カントリークラブであることを明らかにした。
高い標高(当初案の基地は標高383m、ゴルフ場は標高 680m)と軍用車のアクセスが良いことから、選ばれたという。


韓国内には、逮捕状請求却下とこれを結びつける意見もある。

ロッテスカイヒル星州カントリークラブ は以前から候補地となっていたが、ロッテグループには、敷地に決定された場合、中国の経済報復を受け、中国人観光客の購買額が売り上げの78%を占めるロッテ免税店や中国現地での事業などに少なくない被害が発生することに対する懸念もあった。

そのなかで裁判所が令状を発給し、総帥空白などグループの存立に深刻な状況が現実化した場合、ロッテがこれを受け入れるかどうか、疑問視された。

ソウル中央地裁 が逮捕状請求を棄却した9月29日の翌日、本ゴルフ場への配備計画が発表された。

ロッテ・カントリークラブの場合、単独地主なので政府が国有地と対等交換すれば6か月以内に簡単な手続きで終えることができる。
現在、京畿道一帯の国防部所有の敷地との交換が有力であると伝えられる。



トクヤマは多結晶シリコンを生産する Tokuyama Malaysia を韓国のOCI Company に売却すると発表した。

Tokuyama Malaysia はサラワク州のサマラジュ工業団地に第一期(半導体用)、第二期(太陽電池用)の多結晶シリコンプラントを持つが、下記の通り、前者は品質問題で出荷不能、後者は大幅値下がりで、ほぼ簿価全額の2千億円の減損損失を計上している。

その後、事業継続に向け、設備の改良や生産性向上の努力を重ねるとともに、他社との提携も視野に入れ、あらゆる検討を行ってきたが、多結晶シリコン製造を含めた太陽電池事業をグローバルに展開している韓国の OCI に譲渡することが最善の選択であるとの結論に至った。

売却は下記の手続きで行う。トクヤマの売却額は98百万ドルで、OCI は 、増資引き受けを含め、建設費約 2千億円のプラントを約 1割の価格で取得することとなる。

時期 出資比率 金額
2016年10月7日 増資引受  17% 24百万ドル
2017年3月31日 増資引受 51% 78百万ドル
2017年3月31日 売買 100% 98百万ドル
合計 100% 200百万ドル


韓国のOCI Companyは1959年に東洋化学工業 (Oriental Chemical Industry) として設立された。(2009年に改称)
ソーダ灰からスタート、2000年には石炭化学に進出、2008年にポリシリコンの生産を開始した。

群山工場で年間5万2000トンのポリシリコンを生産しており、ポリシリコン生産量では韓国で最大で世界3位。

世界3位を維持するためにグローバル生産基地を追加で確保する必要があった。

OCI は「工場近隣の大型水力発電所から安く電気が供給されるうえ、工場が貿易紛争の第3地隊であるアジアにあり、中国や米国などに輸出する場合に規制が少ないという長所を考慮し、株式取得を決めた」と説明した。

ーーー

トクヤマは徳山製造所に半導体用途を中心に年産 8,200トンの多結晶シリコン設備を持っていたが、2009年8月に太陽電池用途の増産対応とリスク分担の面から、マレーシアのサラワク州のサマラジュ工業団地に総工費約800億円をかけて太陽電池向け多結晶シリコンの年産 6,000トンの大型プラント建設を決めた。

2008/12/5 トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点

しかし、同社は2012年11月に、これを主として半導体向けグレードを生産・販売する計画に変更、2013年2月に一部設備を除き建設が完了、その後試運転を開始した。

更に、2011年には第二期として太陽電池向けに年産13,800トンの建設を決めた。合わせて徳山製造所の能力を11,000トンとした。

全て完成後は、日本11,000トン、マレーシア20,000トンで合計31,000トンとなるが、同社はこれにより、半導体用途は世界シェア20%を維持し、太陽電池用途では5%程度のシェアを10%程度に引き上げるとしていた。

ーーー

半導体向けグレードは、非常に高い純度をはじめとする高品質が求められる。

第一期プラント(太陽電池向けから途中で半導体用に変更)については試運転を行ってきたが、品質・生産安定性が達成出来ず、更に、析出装置に関する問題が存在し、当面顧客認定用サンプルの出荷が事実上不可能であると判断した。

トクヤマは2014年10月31日、第一期プラントの製造設備に関して、減損損失 748億20百万円と事業計画の見直しに伴う関連費用 112億7百万円の合計 860億27百万円の減損損失を計上した。

2014/11/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン計画で特別損失計上 
 

第二期プラントは、2014年10月に営業運転を開始し、太陽電池向けグレードの生産を行ってきたが、世界的な供給過剰を背景とした販売価格の著しい下落が続き、今後の価格見通しが事業計画における想定を大きく下回ることとなった。

このためトクヤマは、将来の投資回収可能性を検討した結果、1,234億86百万円の減損損失を計上すると発表した。

2016/2/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン事業で再度、減損損失を計上 

まとめると下記のとおりとなる。徳山工場についても2013年度に減損処理をしている。

用途 能力 状況 減損
マレーシア1期 当初、太陽電池用
その後、
半導体用に変更
6,200トン 品質問題で出荷不能 2014年度 減損損失 748億20百万円
関連費用 112億 7百万円
合計 860億27百万円
マレーシア2期 太陽電池用 13,800トン 価格の大幅下落 2015年度  減損損失  1,234億86百万円
参考
徳山工場 半導体用、太陽電池用 11,000トン 2013年度 設備全額減損処理  275億円
原材料評価損    20億円


米同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案にオバマ大統領が拒否権を発動したことを受け、米上下院は9月28日、上院は 97対1、下院は 348 対77 の賛成多数で再可決し、拒否権を覆して法案は成立した。


拒否権が覆されるのはオバマ政権下で初めてとなる。

法案提案議員の一人は、「こうした状況下で分かったのは、ホワイトハウスと行政は外交の方がずっと気になっているということだ。われわれは家族や正義の方に関心がある。政権はこの問題について完全に間違っていると思う」と述べた。

ーーー

911同時テロではテロ実行犯19人のうち15人がサウジ国籍だった。
同時テロの遺族はサウジ政府を連邦裁判所に提訴したが、外国政府の免責特権を理由に審理されなかった。

このため、同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案「テロ支援者制裁法(Justice Against Sponsors of Terrorism Act (JASTA)」(通称 Sept. 11 lawsuit bill)が提出され、上院は5月17日に全会一致で、下院は9/11 直前の9月9日に賛成多数で可決した。

テロリストグループに関与した疑いのあるサウジアラビアおよびその他の国が、アメリカの裁判所で法的免除を行使することを禁じる内容で、テロリズム支援国以外には法的免除を与えた1976年の外国主権免責法(Foreign Sovereign Immunities ActFSIA)を超越する法案である。Hillary Clinton とDonald Trump の両大統領候補もこれを支持した。

サウジアラビアは、全面的に同時多発テロへの関与を否定しており、法案に激しく反発している。

New York Timesによると、サウジのジュベイル外相は、
裁判で多額の賠償を命じられて在米資産が接収されるのを防ぐためには米国債その他のドル建て資産を売却せざるを得なくなる、と米議会に警告した。法案が成立すれば、サウジは最大で7500億ドルのドル建て資産を手放すことを余儀なくされるという。

米財務省は5月16日、サウジアラビアによる米国債保有額を初めて公表した。それによると、サウジの2016年3月時点の米国債保有は1,168億ドルであった。
(これに対し中国は1兆2000億ドル、日本は1兆1000億ドル台である。)

オバマ大統領は9月23日、サウジアラビアとの関係を損なうおそれがあるなどとして、拒否権を行使した。

しかし、上下両院は28日、それぞれ拒否権を覆すのに必要な「両院で3分の2以上の賛成」をクリアし、圧倒的賛成多数で法案を再可決した。

イラン核合意で悪化した米サウジの関係が、今回の法案成立でさらに深刻化するのは避けられない。

オバマ大統領は、これを「過ち」とし、海外にいる外交官や米兵などは今は国家主権による免責特権で守られているが、今回の法成立を受けて、彼らの行動について外国の市民が米国に法的責任を問うようになるかもしれないと指摘した。

CIA長官は、これにより最も失うのは米国であり、CIA が最大のリスクを負うと述べた。また、サウジはテロ攻撃を防ぐための情報を最も提供している国であり、この法律がテロ対策での米国との関係に悪影響を与えるのは"absolute shame"であると述べた。

国防長官も、外国が仕返しとして米国の免責特権を制限した場合の影響を警告し、アメリカ人が訴訟される可能性や、米軍基地を含めた在外の米国政府の資産へのリスクがあると述べた。

これを受け、 下院議長は「米兵が海外で法的問題を抱えないように修正を検討したい」と述べた。大統領報道官は、「知らなかったというのは言い訳にならない」と皮肉った。

サウジは「強い懸念」を表明、国際規範に反するとして「米議会が是正のための必要な措置を取ることを望む」と強調した。

LANXESS(2004年7月にBayerから分離独立)は9月26日、成長への次の手段として、高品質の難燃剤と潤滑油添加剤のメーカーの米国の特殊化学品会社 Chemtura Corporation を約24億ユーロで買収すると発表した。

Chemtura はPhiladelphia に本拠を置き、11カ国20箇所で活動している。売上高は約15億ユーロで、うち45%は北米。

高品質の難燃剤と潤滑油添加剤はChemturaの柱で、LANXESSは買収により、自社のRhein Chemieの添加剤事業と合わせ、新しいPerformance Additivesセグメントをつくる。

LANXESSでは、添加剤はスペシャリティケミカルの中でも非常に魅力的な分野であるとしており、両社の事業の統合で、産業分野での潤滑油の主供給者となり、競争力を強化できるとしている。

Chemturaの他の事業、ウレタンと有機金属はLANXESS にとって新事業で、ウレタンは LANXESSの High Performance Materials セグメントに、有機金属はAdvanced Industrial Intermediates 部門の一部となる。

シナジー効果は2020年で年 1億ユーロを見込む。

ーーー

Chemtura は2005年にCrompton とGreat Lakes Chemical が合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。農薬は旧Uniroyal の事業。

Crompton 1999年に Crompton & Knowles Uniroyalの事業を買収)と塩ビ添加剤メーカーのWitco が合併して出来た会社。

Great Lakes Chemical は水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカー。

Chemturaは2006年10月末に、コア事業への集中のため、
・ルイジアナ州に工場を持つ
EPDMとゴム薬
中国のChemtura-CNCCC Danyang Chemical の持分を含む及び、
・全世界の
オゾン劣化防止剤事業を、
化学分野を対象とする投資会社のLion Chemical Capitalに売却した。

2006/11/14 合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC

Chemtura は2009年3月18日、米国の事業に関して Chapter 11 の申請を行ったと発表した。

同社は2010年11月20日、財務リストラが完了し、Chapter 11から離脱したと発表した。

2009/3/21 Chemtura、民事再生法申請



米国上院司法委員会が9月20日、農薬・種子業界の合併についてのヒアリング("Consolidation and Competition in the U.S. Seed and Agrochemical Industry")を行い、最近、合併・買収を決めたBayer と Monsanto、DuPont と Dow Chemical 、及び Syngenta のトップが出席し、証言した。


Syngenta を買収したChina National Chemical Corp.は出席を求められたが拒否した。

2016/8/15 EU、Dow とDuPont の合併で調査開始

2016/2/5 中国化工集団(ChemChina)、スイス農薬のSyngentaを買収 

2016/9/19 Bayer、Monsantoを買収

米国でも上院の委員会が合併についてヒアリングをするのは異例で、通常は大きな合併の件でも小委員会が扱う。なお委員会は合併を承認するかどうかを決める権限は持たない。

開催を決めたアイオワ(農業州)選出の上院議員で委員長のChuck Grassley は開会に当たり、次のとおり述べた。

バイオ種子産業には大企業が6社ある。Monsanto, DuPont, Syngenta, Bayer, Dow and BASFで、これらが互いに争いつつ、クロスライセンスで協働している。

Big Six のうち、5社が買収や合併を進めており、さらに集約される。

最近は、カナダの肥料会社 Potash Corp. とAgrium が合併を発表した。

2016/9/16 カナダ肥料大手2社が統合 世界最大に

農産物の価格が下がり、農民は苦しんでいる。そのなかでの合併の波はツナミとなった。

大企業が同時に統合するのが競争に悪影響を与えるのを懸念する。農民の選択の余地が減り、価格が上がり、結果として消費者の選択とコストに影響を与えるのを懸念する。農業セクターの技術進展を導く研究開発が減るのを懸念する。

ChemChinaによるSyngentaの買収は別の懸念を生む。ChamChinaは中国の国有企業であり、中国政府がいろんな点で関与する懸念がある。

司法省とFTCは農務省の意見も入れて協力して対応して欲しい。(司法省がDow - DuPont 合併を担当、FTCがChemChina - Syngenta を担当)

各社の証言は次のとおり。

DuPont (Executive Vice President)

・合併は補完的である。
・合併は成長を産む。
・農民に比類のないイノベーションを与えることが選択ではなく必須である。
・米国の農民に高い生産性と収益性をもたらす強力なグローバルメーカーを創るのが必要

合併は、優れた製品をその価値に合った価格で供給することで農家に影響を与える変化に対応し、最終的に農家の生産性と収益性を高める。

Dow (President and CEO of Dow AgroSciences)

我々の合併は競争を減らすのではなく、競争を増やすものだ。

・Dow とDuPont の製品は補完的で、これまで余り競合していない。
・合併で規模と効率が上がり、コストが低減、利益がイノベーションと農民にとってより価値ある製品をつくるのに使われる。
・合併はR&D能力を高め、更なるイノベーションを産む。

合併は米国の農民、国にとって、真の win-win の解決策である。

Syngenta (CEO)

誰が所有者かに関係なく、農家は需要家であり友人である。ChemChina とSyngenta はグローバルな食糧安定保障に寄与する。

ChemChinaによるSyngenta の買収は競争上の問題を生まない。地域的な競合はない。

ChemChinaの投資でSyngenta のR&Dの強化ができる。ChemChina は上場企業でないため、長期的な投資が可能となる。

株主が替わるだけで、Syngenta はSyngenta であり続け、今までと同じ戦略、マネジメント、従業員、文化のSyngentaである。

合併は既に先月に、外国企業による米国事業の買収の審査をする対米外国投資委員会(CFIUS)による審査を通っており、国家安全保障問題はクリアした。

合併は、米国の農民にとって、需要家にとって、従業員にとって、業界にとって良いものである。

Bayer (President & CEO, Bayer CropScience)

Bayer と Monsanto の組み合わせは完璧なもの
・Bayer は農薬のリーダーで、70%は北米以外
・Monsanto は種子のリーダーで、70%は北米。

Bayer はデジタル農業を進めているが、農家の将来のニーズに対応する新しいカスタマイズされたツールを共同で開発したい。

委員長と同じアイオワ生まれであり、農民である私は将来に楽観的である。

* Degital Farming:
Bayerは
作物の生育状況の診断ソフトを提供する独企業を買収、農地ごとの最適な農薬選びや投与する量・時期、感染病対策などを伝えるサービスとして展開する。
また昨年にはカナダ企業から、衛星画像を使った地質情報システムを買収した。地質データとも結びつけ、農薬の効率的な使用や、土壌への影響を抑えた農法の提案につなげる。

Monsanto (Executive VP, Chief Technology Officer)

絶えざるイノベーションにより農家に真の価値をもたらして初めて、我々の事業は行える。

新しい技術に投資し、R&Dのペースを加速することで農家の役に立つし、それはまた競争を生む。


このほか、American Farm Bureau Federation、National Corn Growers Association、National Farmers Union の代表とAmerican Antitrust Instituteの会長の証言があった。


個別の証言は http://www.judiciary.senate.gov/meetings/consolidation-and-competition-in-the-us-seed-and-agrochemical-industry


豪州と英国に本社を持つ資源大手のBHP Billiton は9月21日、2016年度(2015/7~2016/6)のAnnual Reportの発表の席で、シンガポールの自社拠点との国際取引を巡り、オーストラリアの国税局から 1,016百万豪ドル(766 百万米ドル相当)の追徴課税の支払いを求められていることを明らかにした。

同社のCFOは「国税局の見解には同意しておらず、訴訟も視野に入れている」と述べた。

争点になっているのは、BHP Billitonが豪州で生産した鉄鉱石などをシンガポールにあるマーケティング拠点 BHP Billiton Marketing AG に販売する場合の移転価格。
豪州の法人税率は30%で、シンガポールは税率ゼロの適用を受けているため、移転価格を低くすれば、豪州の課税所得が減り、税金を減らすことが出来る。

同社の売上高の72%はアジア向けで、シンガポールの拠点を経て中国などに販売している。

同社は豪州国税局から、2014年4月に2003年~2008年分として362百万豪ドル(金利と罰金を含む)の通知を受け、更に2016年に入り2009年~2013年分として654百万豪ドルの追徴通知を受けた。合計で1,016百万豪ドルになる。

このうち、661百万豪ドルだけが本来の税金で、残りは金利と罰金である。

本来の税金661百万豪ドルは、BHPが同じ11年間に国に納めた税金とロイヤリティの2%以下に過ぎない。

BHP Billiton はこれを正式に拒否し、最終結論待ちの条件で276百万豪ドルだけを仮払いを行った。
同社のCFOは、「税金の議論は事実を基にやって欲しい。グローバル経済の現実、国家の利益を見て欲しい」と述べている。

同社は課税回避の考えは持たないとし、下記の説明を行っている。

豪州で生産した鉄鉱石などの生産で得られた利益は豪州の法人税率で納税しており、更に製品採掘のロイヤリティも支払っている。

加えて、シンガポール子会社がこれを販売した利益のうちの58%は、豪州の被支配外国会社合算課税制度 (Controlled Foreign Company Rule)に基づき、正規の税率 30% で課税されている。

BHP Billitonは、2001年にオーストラリアのBroken Hill Proprietary (BHP)とイギリスの会社で南アフリカで大規模に操業するBilliton の二元上場会社として設立された。出資比率は豪州のBHP が58%、英国のBillitonが42%で、このため、Controlled Foreign Company Ruleにより、被支配外国会社であるシンガポール子会社の利益の58%が豪州で課税される。


2016年度で世界全体で37億ドルの税金を払ったが、そのうち豪州では25億ドルを納税している。

総額は2015年の73億ドルから大きく減少しているが、これは鉄鉱石、銅、その他コモディティの販売価格の暴落の結果である。


シンガポール子会社のBHP Billiton Marketing AG
の扱う製品はコモディティの鉄鉱石であり、特別な機能は要しないため、その販売利益が同業のディーラーの口銭と比べて高すぎるかどうかであって、BHP Billiton がいかに豪州に貢献しているかどうかには関係ない。

同業のディーラーと比較すれば、豪州の国税局の主張が正しいかどうかはすぐ分かるはずである。





  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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