「no」と一致するもの


安倍首相は9月24日、カナダでStephen Harper 首相と会談し、シェールガスのカナダから日本への輸出を早期に実現するため、両国の閣僚レベルの協議を開始し、資金協力の枠組みの構築など、環境整備を図っていくことで合意した。

安倍首相は「低廉で安定的な天然ガスを輸入したい。輸出計画の早期承認をお願いしたい」と述べた。
Harper 首相は「エネルギー問題で両国は補完的な関係にあり、協力を進めたい。輸出の承認に向けたハードルはそんなに高くない」と応じた。

米国ではFTA非締結国向けのLNG輸出に制限があるが、カナダの場合はLNGの輸出制限の動きはない。
(既に、三菱商事参加の計画とApacheとChevronの計画は輸出ライセンスを得ている。)

米国の東海岸、メキシコ湾岸からのLNG輸入はパナマ運河経由で約20日かかるが、カナダ西海岸の場合、約10日で運べる。
日本向けLNG運賃は以下の通りで、米国Gulf Coastの場合の半分で、豪州からとほぼ同じである。

  Kitimat(カナダ西海岸)   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast        2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gordon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25  

日本企業のカナダのシェールガス関連事業は下記の通り。

  立地 権益比率  
三菱商事 British Columbia
 
Cordova堆積盆地
Penn West Energy 50%
Cordova Gas Resources 50%
(三菱商事 70%、
 中部電力・東京ガス・大阪ガス・
 JOGMEC 各7.5%)
目標(2014年)
日本側持分でLNG換算約350万トン/年
北米市場で外販
日本向け輸出も
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画
2011/5/14 
中部電力ほか、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加
British Columbia
 
Cutbank Ridge
三菱 40%、Encana 60% 今後10年の間に
約2,250万トン/年の生産を目指す
日本向け輸出も
2012/2/21 三菱商事がカナダのシェールガス開発に参加
2012/8/17
    国際協力銀行、三菱商事のシェールガス事業に融資
British Columbia
   Kitimat港
Shell   40%
三菱商事 20%
Kogas  20%
PetroChina 20%
LNG輸出基地を共同開発
液化設備   600万トン/年x2=1,200万トン
将来的な数量拡張の可能性
生産開始   2010年代末
輸出ライセンス   2013年2月4日
25年間で670百万トン
2012/5/17   Shell、三菱商事等の「LNG Canada」計画
国際石油開発帝石
(INPEX)
British Columbia
 Horn River
 Cordova
 Liard
Nexen 60%
INPEX Gas 40%
  (INPEX 82%
   日揮 18%)
 
 https://www.knak.jp/blog/2011-11-3.htm#inpex
出光興産 カナダ西海岸 出光興産 50%
AltaGas 50%
LPGのアジア向け輸出・販売の共同事業のFS
天然ガスの液化設備建設のFS
天然ガスは市場から調達
(輸送は AltaGas Pacific Northern GasのPipeline利用)
早ければ2016 年に年間60~70万トンのLNG輸出・販売
2013/2/1   出光興産、LNGのアジア向け輸出共同事業でパートナーシップを締結
石油資源開発
(JAPEX)
British Columbia 州
 North Montney
Petronas 90%
JAPEX 10%
シェールガス開発・生産
現在、Petronasが天然ガスを生産
 AECOハブ(西カナダの主要ガス市場)で販売中。
British Columbia 州
 Prince Rupert
   Lelu島
Pacific Northwest LNG Project(生産量1,200万トン/年)
LNG 120万トン/年を引き取る権利取得
2018年末に生産開始の予定
                                           2013/3/7 石油資源開発、カナダのシェールガス開発計画及びLNG計画に参画



AltaGas Pacific Northern Gasのパイプライン(稼働中)
  Summit LakeとPrince Rupert 港、途中からKitimat港
Apache
Chevron
Summit LakeからKitimat港まで直接結ぶパイプライン(Pacific Trail Pipelines )計画

Kitimat LNG輸出ターミナル計画とPacific Trail Pipelines計画
  
KitimatのLNG輸出ターミナルは年産5百万トンでスタート、10百万トンまで拡張可
  稼働開始は2015年
  カナダ政府から年間10百万トンのLNG輸出ライセンス

  いずれも 2013/2/1 出光興産、LNGのアジア向け輸出共同事業でパートナーシップを締結 に付記

 

 

 

 

 


Lanxessは9月18日、「差別化と効率化」と題するアナリスト向けの説明会を開催し、厳しい経営環境に対応するため、包括的な経営効率化プログラムの実施を発表した。(説明会資料

現在、特に合成ゴム事業は、一時的な需要低迷に加えて、市場における競争の激化、原料価格の大幅な変動といった厳しい環境下にあり、2013年のEBITEDA(税引前利益+特別損益+支払利息+減価償却費)は 700-800百万ユーロに低下する見込み。

CEOは説明会で、「現状を考慮すると、直ちに対策をとる必要がある。Lanxessは、厳しい市場環境の中で、事業経営を堅実に展開してきた実績がある。持続可能な収益性の高い成長を可及的速やかに回復させるため、あらゆる必要な措置を講じる」と述べ、以下の対策を挙げた。

  • 2015年度以降、年間1億ユーロの経費削減
  • 業務効率向上と的を絞った事業再構築
  • 非中核事業においては戦略的見直しを実行
  • 重要な製造能力増強プロジェクトは予定通り遂行
  • 今後の買収は、アドバンスト中間体とパフォーマンスケミカルズの両部門に注力

具体的対策として、"Advance" Program と名付ける効率改善及び事業再構築策を実施、2015年以降、年間1億ドルの採算改善を行う。

・人員削減(2015年末までに全世界で1000人削減)
・全世界で管理部門の縮小
・事業縮小(ゴム薬品BUで南アフリカの拠点を閉鎖し、ベルギーでの事業を縮小済)
・ノンコア事業の廃止(下記)

Lanxessは、現行の3部門14ビジネスユニット体制を継続するが、そのうちの特定の非中核事業においては戦略的な見直しを推進する。
対象となる非中核事業は下記の通りで、総売上高 約5億ユーロ、特別項目調整前EBITDA 約3,000万ユーロで、従業員約1,000名が従事している。

1)High Performance Materials BUのPerlon-Monofil business

ポリアミド、ポリエステルのモノフィラメント製品で、Perlon®、Atlas® 、Bayco®の名で売られており、製紙機械、衣料、農業、スポーツフィッシング、ロープ及びケーブル、スポーツ用品に使用される。

2)Rubber Chemicals BU の促進剤および老化防止剤製品群

3)High Performance Elastomers BUのニトリルブタジエンゴム

「これらの各事業は、各市場で有利な地歩を占めるが、別企業の下でのほうが将来的に一層発展できると考える」としている。

 

中長期にわたるポートフォリオ管理活動の一環としては、ランクセスは主に、Advanced IntermediatesおよびPerformance Chemicalsの両部門を強化し、それによりグループの構造がさらに多様化する買収を目指していくとしている。

 

なお、戦略的成長計画については、全て予定通り進んでいる。
本年の投資額は6億ユーロに削減したが、戦略的計画については削減していない。

・ブチルゴムのグローバル供給体制
・シンガポールのグリーンタイヤ用
ネオジウム触媒ポリプタジエンゴム(Nd-PBR)計画 
中国EPDM計画
・ポリアミドチェーン(アントワープに世界規模のポリアミドプラスチック製造プラントを新設)






日本経済新聞は9月19日、石油元売り4位の東燃ゼネラル石油が2014年中に三井物産子会社で同7位の三井石油を買収する方針を固めたと報じた。

買収額は400億~500億円となる見通しで、売上高で業界3位のコスモ石油と並ぶ規模となる。
 
系列ガソリンスタンド 約3450カ所を約3700カ所に増やす。
東燃ゼネは三井石油と折半出資する石油精製専業の極東石油工業も傘下におさめる。
三井物産は三井石油株売却で得る資金でExxonMobil から東燃ゼネラル株約10%を譲り受け、エクソンに次ぐ2位株主となる。
ExxonMobilは、日本市場の回復が見込めないため、出資比率の引き下げを検討していた。
三井物産は石油元売り事業から事実上撤退。
海外の石油・天然ガス開発への収益シフトを進める一方、東燃ゼネラルの株主となって同社の海外事業展開に協力する。

 * 三井物産は三井石油の株を89.93%保有。他の株主は、三井住友銀行、三井住友信託銀行、商船三井、三井造船など。

石油業界の再編は2010年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合し、JXホールディングスが誕生して以来 となる。

石油業界再編

第1波 1985 昭和シェル石油発足
     1986 コスモ石油発足

第2波 1999 日本石油と三菱石油が合併、日石三菱に
     2000 東燃とゼネラル石油が合併、東燃ゼネラル石油に
     2002 エッソ石油とモービル石油が合併、エクソンモービルに

第3波 2007 アブダビ首長国の投資機関がコスモ石油筆頭株主に
     2008 新日石が九州石油を吸収合併     

第4波 2010 新日石と新日鉱が統合、JXホールディングス誕生

東燃ゼネラル石油は同日、以下の発表を行った。

当社は本年2月に中期経営計画で発表しましたように、国内のサプライチェーンを強化するために他社との協業を積極的に模索すべくさまざまな検討を行っていますが、その詳細に関しまして現段階で申し上げられることはありません。

同社は中期経営計画のなかで、成長戦略として以下を挙げている。

株主価値を向上させる成長分野への展開を図る

 他社との提携・協業
   ・新たな提携分野の検討
   ・他社との協業による国内サプライチェーンの強化

 コアビジネスに関連したエネルギー事業
   ・当社の強みを生かしたエネルギー分野への展開

 海外マーケット
   ・成長が見込めるマーケットへの展開を検討
   ・エクソンモービルとの関係を生かした海外展開の検討

ーーー

東燃ゼネラル石油は2012年1月、ExxonMobilからエクソンモービル有限会社の持分の99%を2012年6月に取得すると発表した。

ExxonMobil はエクソンモービルを通じて東燃ゼネラル株式の50.5%を保有しているが、22%分を自ら保有する。
残りはエクソンモービル所有のままだが、東燃ゼネラルの子会社となるため、議決権はなくなる。
(この結果、ExxonMobil 50.5%、一般株主 49.5%が、ExxonMobil 22%、一般株主 78%となった。)

東燃ゼネラル/エクソンモービルは今後、Exxon Mobilと一定の資本関係を維持しつつ新たな提携関係に移行し、製販一体経営を実現する。

東燃ゼネラルはエクソンモービル持分の99%を 取得する結果、極東石油工業の50%株主となる。

従来の体制



今後の体制
    その後、エクソンモービルはEMGマーケティングに改称した。

2012/1/30 ExxonMobilが東燃ゼネラル石油から実質撤退

 

今回の買収が成功すれば、下記の通りとなる。


なお、東燃ゼネラルは87.5%(住友商事が12.5%)出資していた南西石油株式を2008年4月にPetroBrasに売却した。
(その後、住友商事も売却)


エネルギー供給構造高度化法による各社別の削減義務量と現時点での削減計画は以下の通り。(万bbl/d)

  トッパー
処理能力
改善達成
のための
トッパー
能力
トッパー
能力削減
義務量
トッパー能力削減計画
和シェル石油グループ 51.5 44.8 6.7 12.0  京浜・扇町 2011/9停止
JXグループ 179.22 137.9 41.4 58.0  
出光興産 64.0 55.7 8.3 12.0  徳山製油所 2014/3停止
コスモ石油 63.5 43.8 19.7 14.0  坂出製油所 2013/7閉鎖
東燃ゼネラル石油 66.1 45.6 20.5 10.5  分解能力 +3.45で基準充足
極東石油工業 17.5 15.2 2.3    
太陽石油 12.0 10.4 1.6    
富士石油 19.2 14.8 4.4 5.2  第1常圧蒸留装置 2010/11廃棄
合計 473.02 368.2 104.9  111.7  


製油所とトッパー処理能力は下記の通り。(万bbl/d)

東燃ゼネラル石油

 

川崎 33.5
15.6
和歌山 17
合計 66.1
極東石油工業 千葉 17.5

 

 

参考 石油元売会社の再編の流れ

JX日鉱日石エネルギー 石油便覧 から
  http://www.noe.jx-group.co.jp/binran/part02/chapter08/pdf/2-8-2-1-01.pdf

キグナス石油は1972年に日本漁網船具(現ニチモウ)から石油部門が分離独立し、東燃の資本参加を得て、新発足した。
2004年12月、東燃ゼネラル石油およびニチモウは両社が保有するキグナス株式全部を三愛石油に譲渡し、三愛石油の全額出資子会社となった。
製品は東燃ゼネラル石油から供給されている。

 


 

 

 


FDAは9月13日、Ranbaxy Laboratoriesのインドのパンジャブ州のMohali 工場で生産された医薬品の輸入を差し止めるという輸入警告(import alert)を発表した。これはRanbaxy がFDAが定める米国の製造規範 CGMP (Current Good Manufacturing Practices)に適合するまで継続される。

FDAは2012年の9月と12月のMohali工場の検査で、 製造上の問題点を適切に調査しなかった、品質確保のために適切な手順を作らなかった等の、重大なCGMP違反を発見した。

FDAの責任者は、「FDAは米国市場で使用される医薬品が政府の決めた品質基準に適合することを保証するため、権限をフルに活用する。米国の消費者に対し、医薬品が高品質であると確信してもらいたい。FDAは安全でない可能性がある医薬品が米国に入るのを防ぐため、努力を続ける」としている。

FDAはまた、2012年1月のRanbaxyの終局的差止の同意(下記)にMohali工場を含めることを命じた。

この結果、Ranbaxyは、Mohali工場での医薬品製造の方法、設備、管理がCGMPに従がって確立、運営、管理されるまでの間は、Mohali 工場でFDA承認医薬品の製造や、同工場から米国に医薬品を輸出することを禁止される。

第三者の専門家を雇い、Mohali工場の完全な査察を行わせ、設備、製法、プロセス、管理が、今後継続してCGMPに準拠しうるに適切であることをFDAに認証させることが求められる。

FDAが満足した時点で、Mohali工場でのFDA承認医薬品の製造、出荷の再開が認められる。

付記 第一三共は9月24日、以下のコメントを発表した。

第一三共はランバクシーとともに、パオンタサヒブ工場ならびにデワス工場に関する同意協定書に基づき、データの信頼性確保および品質保証の強化に取り組んでまいりましたが、今回のFDA の措置を真摯に受け止め、今後更に、量的にも質的にも一層踏み込んだ取組みをグループの総力をあげて強化し、FDA が抱く懸念を解消するために必要なあらゆる対策をとってまいります。

Ranbaxyは2012年4月、高コレステロール血症治療剤アトルバスタチンカルシウム錠(アトルバスタチン錠:PfizerのLipitorの後発品) を「最先端技術を結集した」Mohali経済特区の工場から米国向けの輸出を開始したことを発表した。
米国向け製剤の輸入禁止措置が講じられて以来、初のインド工場からの米国向け製剤輸出再開となる。

第一三共は2011年12月1日、Ranbaxy Laboratoriesが高コレステロール血症治療剤アトルバスタチンを米国にて発売したと発表した。

11月30日にPfizerのアトルバスタチン(商品名Lipitor)の特許が切れた。Ranbaxyは同日付で、略式新薬承認申請に対する販売承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得した。また、同社は発売から180日間の独占販売期間を得た。

Ranbaxyは当初、後発品の原体をインドでの生産を検討していたが、米国への輸入が未承認のため、Teva Pharmaceuticalに原体の生産を委託し、製剤は米国子会社のOhm Laboratories, Inc. で行うこととした。

2011/12/5  第一三共子会社 Ranbaxy、米国で「リピトール」の後発品を発売 

Mohali製剤工場は2011年10月に米国食品医薬品局(FDA)から承認された。その後、2012年第1四半期にアトルバスタチン錠の同工場における製造販売承認を受領した。

今回の差止めにより、米国での販売は従来通り、Teva Pharmaceuticalに原体の生産を委託し、製剤は米国子会社のOhm Laboratories, Inc. で行うと思われる。

ーーー

米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月16日、ランバクシー・ラボラトリーズの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。

医薬品の安全性に問題はないが、ランバクシーのインドの
DewasPaonta Sahibにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが1月から3月にかけて問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上

第一三共は2011年12月21日、インド子会社のRanbaxy Laboratoriesが米国FDAと同意協定書を締結したと発表した。

Ranbaxyは、データの信頼性を確実にするための手段や方針を更に強化し、現行の適正製造基準を遵守することを確約することとなった。

2011/12/28 ランバクシー、米FDAと同意協定書締結 

この同意協定書は、メリーランド地区合衆国連邦地方裁判所の承認を条件としているが、司法省は2012年1月にFDAに代わり、終局的差止の同意consent decree of permanent injunction)を提出し、承認された。

Ranbaxyはその後、虚偽請求禁止法(False Claims Act)の違反に関し、米国政府その他関係する州との間で民事上の和解に関する合意を行い、また、これに加え、Ranbaxy USA Inc.は、連邦食品医薬品化粧品法等の違反について有罪を認めた。
これにより、Ranbaxyと司法省の協議は2013年5月に終結に至った。
Ranbaxyの支払額は、合計で約500百万米ドルとなった。

第一三共は2013年5月に、「当社は、Ranbaxyの特定の以前の株主が、DOJおよびFDAの調査に関する重要な情報を隠蔽したものと判断し、現在、法的な措置を講じております」と述べた。

第一三共は2008年6月11日、Ranbaxy Laboratories 及び創業家一族との間で、同社の議決権総数の50.1%以上を取得する契約を締結したと発表した。

2008年8月16日から2008年9月4日までの間、公開買付けを行ったうえ、創業家一族からの取得、第三者割当増資、新株予約権の引受けを行い、11月7日に、ランバクシー株の63.9%を取得したと発表した。

FDAによるRanbaxyの医薬品30種以上の輸入の一時停止はTOB直後の2008年9月16日で、6月の契約締結までに調査があった筈で、その事態を第一三共に伝えていなかったのではないかと思われる。

第一三共は2009年3月期第3四半期に、Ranbaxyについて、3,540億円ののれん一時償却を行った。



インドネシアのChandra Asri は9月13日、東洋エンジニアリングとの間で、ジャワ島西部チレゴン近郊で稼働中のナフサを原料とするエチレンプラントの能力増強プロジェクトの詳細設計、調達、建設工事契約に調印した。

1990年代にルーマス法エチレン技術を基に、東洋エンジニアリングが建設した既設プラントの生産能力を、現在の年産60万トンから86万トンへと26万トン増強するもの 。プロピレンは15万トン、分解ガソリンは12万トン、C4留分は9万5千トン増強する。

東洋エンジは昨年7月から本プロジェクトのFEED業務を実施、既設プラントの建設実績とFEEDでの各種提案が評価され、一括受注した。

2015年第4四半期に完工、生産開始を予定している。投資額は380百万米ドルで、自己資金と借入金で賄う。

 

 

Chandra では、今回の増設によりPPプラントの原料自給と、子会社 Petrokimia Butadiene Indonesiaのブタジエンの原料供給が可能になるとしている。
また、分解ガソリンの増量は将来のBTXの生産につながるとしている。ベンゼンは子会社 Strindo MonoのSMの原料となる。

ーーー

Chandra Asriは2011年に増設計画を発表した。

エチレン 40万トン増、LLDPE 20万トン増、BTX新設、ブタジエン/ブテンー1 新設

東洋エンジニアリングは2011年6月に、同社の新設子会社のPT Petrokimia Butadiene Indonesia から年産10万トンのブタジエン工場建設を受注した。(4万トンのブテン-1 併産)

しかし、Chandraは2011年12月に大増設計画を棚上げすると発表した。
世界経済の状況が不安定なためで、状況が好転すれば再検討するとした。

但し、上記ブタジエン計画は続行し、2013年に完成させる。

2011/6/8  Chandra Asri の増設計画


今回は棚上げした増設計画を内容を変えて実施するもの。


Chandra Asri の状況については、下記参照

 

  

 

 

BPは9月12日、メキシコ湾のTiber 深海油田の試掘を8月に開始したことを明らかにした。

Tiber油田は近くにあるKaskida油田とともにメキシコ湾の古第三系プレイ(Lower Tertiary trend)にあり、メキシコ湾では最も深く、かつ最も有望な油田である。

Tiber油田はBPが62%、Petrobrasが20%、ConocoPhillipsが18%の権益を持つ。

Kaskida油田はBPが70%、Devon Energyが30%の権益を持つ。

Kaskida油田は当初、BPが55%、Anadarkoが25%、Devonが20%の権益であったが、Anadarkoが権益をStatoilに売却しようとし、BPとDevonが先買特権を使って買収した。

BPは2010年にTiber油田の試掘を開始しようとしたが、2010年4月20日のMacondo油田での大爆発とそれに伴う原油流出事故で中止を余儀なくされた。

Kaskida油田については事故以前に試掘を行っており、2009年11月には原油の存在を確認している。
Macondo油田事故でメキシコ湾の全ての油田と同様に作業を停止した。

米内務省安全環境執行局は2011年10月に、BPに対してKaskida油田の掘削認可を与えたと発表した。

ーーー

BPは2012年9月、同社がメキシコ湾で生産、開発している油田のうち、非戦略資産を現金 55億5千万ドルで独立石油・ガス企業のPlains Exploration and Productionに売却すると発表した。

売却するのは以下の油田。 
 Marlin、Dorado、King 油田 (BP 100%)
 Horn Mountain 油田 (BP 100%)
 Holstein 油田 (BP 50%)
 Ram Powell (BP 31%)
 Diana Hoover 油田(BP 33.33%)

BPは四大プラットホーム(Thunder Horse、Atlantis、Mad Dog、Na Kika )での生産を継続する。

また、Kaskida油田とTiber油田も、開発段階の3油田、Mars、Ursa、Great Whiteとともに権益を保持する。

2012年6月にはGalapagos油田の開発計画をスタートさせた。

Isabela 油田(BP 67%)、Santiago 油田、Santa Cruz油田 (共にBP 46.5%)で、BPがオペレーターとなり、それぞれがBPのNa Kita油田のプラットフォームにケーシングで接続している。

BPのCEOは、「メキシコ湾の石油はBPのグローバルの開発・生産ポートフォリオの重要な部分であり、今後の10年間、毎年少なくとも40億ドルを投資する」と 述べた。

2012/9/14  BP、メキシコ湾の非戦略的石油資産を売却 

上記のBPの四大プラットホームのうちのMad Dog については、第一期は順調で、日量8万バレルの原油と60百万立方フィートの天然ガスを産出しているが、 100億ドル以上の投資が必要な"mega project"である第二期(Mad Dog 2)については、インフレによるコストアップにより、実施の可否を検討中である。

 

 

 

中国の習近平主席は9月7日、訪問先のカザフスタンの大学での講演会で、「シルクロード経済ベルト」と呼ぶ中央アジア諸国などとの経済協力の構想を明らかにした。

「人口30億人のシルクロード経済ベルトの市場規模と潜在力は他に例がない」と述べ、太平洋からバルト海に至る物流の大動脈の整備や、人民元と各国通貨の直接交換取引の拡大を挙げた。
中国と中央アジアのほか、ロシアやインド、パキスタンなども含めた広範な地域を想定しているとみられる。

9月11日のキルギスの国会議長との会談でも、「歴史的なシルクロードに沿って新たな時代条件下の『シルクロード経済ベルト』を建設して、共同発展・繁栄を促したい」と表明した。

習主席は9月3日から13日にかけて(途中、9月5日のサンクトペテルブルグでのG20サミットを挟み)、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスの4カ国を公式訪問し、9月13日にキルギスのビシュケクで 開かれた第13回上海協力機構首脳会議に出席した。

各国との間で、戦略的パートナーシップの構築、深化を話し合った。

王外相によると、今回の歴訪で、
・元首間の緊密な友情と高度な信頼を確立した。
・中国と中央アジア4カ国の関係のレベルを全面的に高めた。
・『シルクロード経済帯』を共同で建設するという戦略的な構想を打ち出した。
・上海協力機構
の健全で実務的な発展を推進した。

「習主席が中央アジア4カ国を歴訪し、かつ上海協力機構首脳会議に出席したことは、地域諸国間の善隣友好協力の新しい見通しを開き、シルクロードの共同発展の新しい紀元を創った。これは、中国の西へ向けた開放の足取りを加速させ、良好な周辺環境を構築し、重要な戦略的チャンスの時期を維持・発展させることに重要な意義を持たせ、深い影響をもたらした」としている。


 

習主席は今回の歴訪で中央アジア経由の石油・天然ガス輸入促進でも手を打っている。

1)石油

9月7日、カザフスタンで同国のナザルバエフ大統領と会談し、全面的戦略パートナーシップを深めることについて重要で幅広い合意に達したが、両首脳の見守るなかで、KazMunaiGasと中国のCNPCは、Kashagan 油田の権益 8.33%を約50億ドルでCNPCに売却する契約に調印した。

中国とカザフスタンを結ぶ石油パイプラインが完成しており、CNPCはこれを経由して原油を中国に送ることができる。

2013/9/14   カザフスタンのカシャガン油田、生産開始

2)天然ガス

9月4日にはトルクメニスタンでガルキニシュ(Galkynysh:「復活」)ガス田の第一期工事の竣工・生産開始式典に参列した。

同ガス田は、埋蔵量が13.1~21.2兆m3あるといわれ、イランのサウスパース・ガス田/カタール・ノースフィールド・ガス田の合計51兆m3に次ぎ、世界第2位である。

生産能力は年間100億立方メートルで、中国のCNPCが建設を請け負うとともに、生産量全量を購入し、中国に輸送する。

習主席は式辞で次の通り述べた。

ガルキニシュ・ガス田は中国とトルクメニスタンのエネルギー互恵協力の新たな成功の模範であり、協力による発展促進という両国民の真摯な願いを乗せており、両国のエネルギー協力の新たな、強大な原動力となる。

中国・中央アジア天然ガスパイプラインの完成・運営からアムダリヤ川右岸ガス田の生産能力のたゆまぬ拡大、そして本日のガルキニシュ・ガス田第 1期工事の生産開始へと、わすか数年で両国のエネルギー協力は飛躍的発展を遂げ、世界の注目する輝かしい成果を収めた。

これによって中国とトルクメニスタンのエネルギー協力が両国および両国民の根本的利益に完全に合致し、大きな潜在力と広大な将来性を備えることが改めて力強く証明された。

前日のトルクメニスタン大統領との会談でも、
中国・中央アジア天然ガスパイプラインのC線の建設およびD線の早期着工を加速し、アムダリヤ川右岸ガス田およびガルキニシュ・ガス田開発プロジェクトをしっかりと実施し、協力規模を拡大し、協力分野を開拓する
ことで合意している。

現在、トルクメニスタンと中国との間には、Central Asia Gas Pipeline A & B があり、年間300億立方メートルの輸送能力がある。
Gas Pipeline C は能力 250億立方メートルで本年末に完成の予定。完成により合計能力は550億立方メートルとなる。
更にGas Pipeline D を建設中。

Central Asia Gas Pipeline は2009年末に完成した。CNPCが投資している。

トルクメニスタンとウズベキスタンの国境地帯のアムダリア(アム川)のトルクメニスタン側の西岸を起点に、ウズベキスタン、カザフスタンを経由して、中国の新疆ウイグル自治区のコルガス(霍爾果斯)に至る全長1833キロメートル のパイプライン。

コルガスからは中国の西気東輸 第三パイプラインで東部に輸送される。

カザフスタンと中国との間にも、石油パイプライン加え、 天然ガスパイプラインが通じている。

ーーー

上海協力機構は1996年4月に初めて集った上海ファイブを前身とする協力機構で、加盟国が抱える国際テロや民族分離運動、宗教過激主義問題への共同対処の外、経済や文化等幅広い分野での協力強化を図る。
2000年の会議にウズベキスタンがオブザーバーとして参加し、翌年に6カ国によって発展発足した。

正規加盟国 中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン(以上 上海ファイブ)
ウズベキスタン(2001年加盟)
オブザーバー モンゴル、インド、イラン、パキスタン(以上 2005年)
アフガニスタン(2012年)
対話パートナー ベラルーシ、スリランカ(以上 2009年)
トルコ(2012年)
客員 トルクメニスタン、独立国家共同体(CIS)、東南アジア諸国連合(ASEAN)


9月13日の上海協力機構首脳会議で、習主席は以下の通り述べた。

上海協力機構はまたとないチャンスに直面するとともに、厳しい課題にも直面している。

「3つの勢力(国際的テロ組織、民族分裂主義の勢力、宗教原理主義の勢力)」、麻薬の売買、国境を越えた組織的な犯罪が、加盟国の属する地域の安全や安定にとって重大な脅威になっている。
国際金融危機の影響を受けて、各国の経済発展はそれぞれに困難に遭遇している。

われわれはお互いに助け合い、ともに利益を獲得するという意識をうち立て、協力を強化し、手を取り合って自国を強くし、上海協力機構を加盟国の運命共同体および利益共同体に発展させるとともに、加盟国がともに安定をはかり、共同で発展するための確かな保障および戦略的なよりどころとしなければならない。

実務的な協力の発展に力を入れる。シルクロードの精神を伝え、大いに発揚する。

 

 



2013年のIg Nobel 賞は9月12日に発表され、ハーバード大学で授賞式が行われた。


日本からは「心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた」との実験結果を発表した帝京大医学部外科の新見正則准教授のグループが「医学賞」を受賞した。

研究グループがマウスの着ぐるみを着て授賞式に現れ、「椿姫」の曲を歌うと会場から笑いが沸き起こった。

ハウス食品の今井真介研究主幹のグループも「タマネギの催涙成分をつくる酵素」の発見で「化学賞」を受賞した。発見に貢献した石川県立大の熊谷英彦学長が共同受賞者となった。

今井主幹が「これまでたまねぎに泣かされてきたすべての人々にこの賞を贈ります」とあいさつ、会場から喝采を浴びた。

日本人はこれまで、2005年までに11件、2007-2012年に1件ずつ計6件、合計17件の研究でイグ・ノーベル賞を受賞しており、7年連続の受賞となった。(合計 19件、うち1チームが2度受賞)


医学賞:帝京大医学部外科の新見正則准教授のグループ

心臓移植手術をしたマウスは免疫を抑制しないと拒絶反応が起き、平均7日で死んでしまう。

移植後7日間にわたりオペラ「椿姫」を聴かせると、平均で26日間生きた。最長約100日間も心臓が動き続けた。
モーツァルトなら20日間、アイルランドの人気女性歌手エンヤの歌だと11日間だった。
地下鉄の雑音ではだめ。
鼓膜を壊すと効果はないため、音楽が脳を介して免疫反応に影響していると考えられる。

長生きしたマウスの体内では、免疫を抑制する細胞が増えていた。

化学賞:ハウス食品の今井真介・研究主幹のグループ、石川県立大学の熊谷英彦学長

タマネギを切ると涙が出てくる成分は、タマネギやニンニクの風味をつくる成分と同じ酵素でつくられると考えられてきた。

レトルトカレーの製造過程でニンニクとタマネギを一緒に炒めると、緑色に変色する現象が起きた。
その理由を解明中に、タマネギの催涙成分としてすでに知られている酵素とは別に、もう1種類の新たな酵素を発見した。

この酵素と、たまねぎに多く含まれているアミノ酸を反応させると、涙を誘う「催涙物質」が作られ、目を刺激し、涙が自然と出てくる仕組みになっていることが分かった。

その後、この酵素の働きを止めることで、切っても涙が出ないタマネギを作ることに成功している。
また、この酵素をドライアイの検査に応用する研究が進んでいる。



今回の受賞一覧は下記の通り。

  受賞者 受賞理由 参考文献
医学賞 Masateru Uchiyama
Xiangyuan Jin
Qi Zhang
Toshihito Hirai
Atsushi Amano
Hisashi Bashuda
Masanori Niimi 
心臓移植したネズミにオペラを聞かせた場合の影響の評価

 

 

"Auditory stimulation of opera music induced prolongation of murine cardiac allograft survival and maintained generation of regulatory CD4+CD25+ cells"
 
Journal of Cardiothoracic Surgery, vol. 7, no. 26, epub. March 23, 2012.
心理学賞 Laurent Bègue
Brad Bushman
Oulmann Zerhouni
 Baptiste Subra
Medhi Ourabah
自分が酔っていると考える人は自分のことを魅力的と考えていることを証明
 

 

"'Beauty Is in the Eye of the Beer Holder': People Who Think They Are Drunk Also Think They Are Attractive"

British Journal of Psychology, epub May 15, 2012.
生物学賞&
天文学賞
Marie Dacke
Emily Baird
Marcus Byrne
Clarke Scholtz
Eric Warrant
dung beetles(フンコロガシ)が道に迷った場合、天の川を道しるべに帰巣することを発見

 

"Dung Beetles Use the Milky Way for Orientation"
 
Current Biology, epub January 24, 2013.
安全工学賞 Gustano Pizzo
(2006年
死去)
飛行機のハイジャック犯を捕える装置の発明

犯人を通路に仕掛けた穴に落とし、箱に閉じ込め、特別に装備した爆弾倉の ドアから落とし、パラシュートで落下した犯人を無線で知らせを受けた警察が逮捕するシステム

US Patent #3811643
"anti hijacking system for aircraft"
(May 21, 1972)
物理学賞 Alberto Minetti
Yuri Ivanenko
Germana Cappellini
Nadia Dominici
Francesco Lacquaniti
人によっては、池の表面を走れる身体能力がある可能性を発見、ただし、月面であることが条件 "Humans Running in Place on Water at Simulated Reduced Gravity"
 
PLoS ONE, vol. 7, no. 7, 2012, e37300.
化学賞 Shinsuke Imai
Nobuaki Tsuge
Muneaki Tomotake
Yoshiaki Nagatome
Toshiyuki Nagata
Hidehiko Kumgai
玉ねぎを切って涙が出るのは、これまで科学者が考えていたよりもっと複雑な生化学プロセスがあることを発見 "Plant Biochemistry: An Onion Enzyme that Makes the Eyes Water"

Nature, vol. 419, no. 6908, October 2002, p. 685.
考古学 Brian Crandall
Peter Stahl
湯通ししたトガリネズミの死骸を噛まずに飲み込み、その後数日間排泄物を入念に観察し、人間の消化器系内でどの骨が消化され、どの骨が消化されないかを確認 "Human Digestive Effects on a Micromammalian Skeleton"


Journal of Archaeological Science, vol. 22, November 1995, pp. 789-97.

平和賞 Alexander Lukashenko
(Belarus大統領)
公共の場で拍手をすることを違法とした大統領と、腕が1本しかない男性を拍手をした罪で逮捕した同国の警察が共同受賞。  
確率賞 Bert Tolkamp
Marie Haskell
Fritha Langford
David Roberts
Colin Morgan
ウシは横たわっている時間が長くなればなるほど、もうすぐ立ち上がる確率が高くなるが、1度立ち上がったウシがいつになったら次に横たわるかを予測するのは難しいことを発見
 

 

"Are Cows More Likely to Lie Down the Longer They Stand?"

Applied Animal Behaviour Science, vol. 124, nos. 1-2, 2010, pp. 1-10.
公衆衛生賞 Kasian Bhanganada
Tu Chayavatana
Chumporn Pongnumkul
Anunt Tonmukayakul
Piyasakol Sakolsatayadorn
Krit Komaratal
Henry Wilde
切除ペニスの再吻合技術
但し、切除されたペニスの一部がアヒルに食べられた場合は適用できない。


1983年の論文。
タイでは1970年代に浮気をした夫のペニスを妻が切断するのが流行った。

タイの家庭ではアヒルを飼うのが一般的であった。

"Surgical Management of an Epidemic of Penile Amputations in Siam"


American Journal of Surgery, 1983, no. 146, pp. 376-382.

 

過去のイグ・ノーベル賞については、下記を参照。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8  2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4  2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 
2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7  2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
2011/10/1  2011年度イグノーベル賞 
2012
/9/25   2012年 Ig Nobel 賞に日本人の「スピーチジャマー」

 

このうち、中垣俊之教授らのチームは、2008年に真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てることができることを発見し認知科学賞を受けたが、2010年にはその延長で、粘菌が交通網を整備することを発見し、交通計画賞を受賞した。


国際石油開発帝石(Inpex)は9月12日、子会社インペックス北カスピ海石油が参加するカザフスタンの北カスピ海沖合鉱区にある世界有数の巨大油田の
Kashagan油田 が9月11日より最初の生産井から原油の生産を開始したと発表した。

Kashagan油田は、カザフスタン共和国アティラウ州の州都アティラウの南東約80キロ、水深3~5メートルの浅海の海底下4,200メートルに位置し、縦横75km x 45kmの規模を有する巨大油田。2000年に発見され、2004年に商業的発見宣言を行った。

Kashagan油田は原始埋蔵量で350 億バレルの原油を有する世界でも有数の巨大油田で、この鉱区では南西カシャガン、アクトテ、カイランおよびカラムカスと4 つの既発見未開発構造を確認している。これらの開発で、将来、生産量が大幅に増加する可能性を有している。

なお、後記の通り、中国にCNPCの本計画への参加が決まった。

今回の生産開始は第一次開発分で、初期生産として日量18 万バレルの生産量が計画されており、その後日量37 万バレルまで生産量が引き上げられる予定。
 

インペックス北カスピ海石油は7.56%の権益を有し、本プロジェクトの操業会社であるNorth Caspian Operating Company(NCOC)を通じて、海外の大手石油会社と共に開発作業を推進してきた。

インペックス北カスピ海石油は 1998年 8月に設立された。
出資比率は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が50% 、Inpexが45% 、石油資源開発と三菱商事が各2.5%となっており、JOGMECが債務保証をしている。

これまでの開発投資額は412億ドルで、インペックス北カスピ海石油は31億ドルを負担した。

インペックスでは権益分の石油を他の石油会社などと原油のスワップ取引を行い、日本へ同等量の原油を供給する方針。

ーーー

Kashagan油田は、当初は2008年にも商業生産が始まる予定だったが、2010年後半に延期され、開発費も大幅に増加した。

これに対して、カザフスタン政府はスタートアップの遅延に不満を持 ち、介入した。

契約見直しでの石油販売取り分の増加(10%を40%に修正)を 要求
・2007年8月、開発工事に環境面その他で違反があったとして3カ月停止
の処分
・同年9月、首相が、
KazMunaiGasを主要共同開発者とするよう要求
   「要求を受け入れなければ他の手段に訴える」とも述べ、外資の免許剥奪などの可能性も示唆
同じく9月 に下院が、外国企業との契約を一方的に破棄する権限を政府に与える法案を全会一致で可決した。

2007/9/6 カザフスタンの石油開発中断

2008年1月14日、カザフスタン政府はKashagan 油田の持分変更で合意したことを発表した。
他の権益者に合計 17.8
億ドルを支払い、国営KazMunayGas持分を倍増し、トップ4社に並んだ。
スタート時期は
2011年末に延期された。

 

ConocoPhillipsは2012年に世界中の資産の見直しを行い、Kashagan 油田の権益をインドの国営石油探査会社のONGCに50億ドルで売却する契約を締結した。

これに対し、KazMunaiGas は本年7月、先買い権を使って、これを買収することを決めた。

中国の習近平国家主席は9月7日、カザフスタンの首都アスタナで同国のナザルバエフ大統領と会談した。
両国の元首は両国関係の発展状況について総括し、今後の協力に関する全面的な計画をまとめ、全面的戦略パートナーシップを深めることについて重要で幅広い合意に達した。

両首脳の見守るなかで、KazMunaiGasと中国のCNPCは、Kashagan 油田の権益 8.33%を約50億ドルでCNPCに売却する契約に調印した。
10月末までに取引が完了する。
これにより、インドのONGCの進出可能性は潰れた。

CNPCは同時に、KazMunaiGasに対し、Kashagan 油田の2020年以降の第二次開発に必要な資金の半分をカバーするため、30億ドルを支払う

これとは別に、カザフスタンの国営企業 Baiterekが産業プロジェクトを推進するのに対し、中国開発銀行と中国輸出入銀行がそれぞれ、30億ドルと50億ドルの借入保証を行う。

これらの結果、Kashagan 油田の権益の推移は下記の通りとなる。

  当初 2008/1 現状 備考
インペックス北カスピ海石油  8.33% 7.56% 7.56%  
Eni   18.52%   16.81%   16.81%  
ExxonMobil 18.52% 16.81% 16.81%  
Shell 18.52% 16.81% 16.81%  
TOTAL 18.52% 16.81% 16.81%  
ConocoPhillips  9.26%  8.40% 0% ONGCに売却KazMunaiGas に売却
KazMunaiGas  8.33% 16.81% 16.88% 先買権行使し、Conocoから8.40%購入。
CNPCに8.33%を売却
CNPC(China)     8.33% KazMunaiGas から購入
ONGC (India)     0% Conocoと契約するが、KazMunaiGas に取られる。

中国とカザフスタンを結ぶ石油パイプラインが完成しており、CNPCはこれを経由して原油を中国に送ることができる。

2006/5/29 中国-カザフ石油パイプライン正式稼動





米エネルギー省は9月11日、住友商事が輸入契約を締結しているLNG輸出プロジェクト、Dominion Cove Point LNGに対し、Maryland 州 Calvert County にあるCove Point LNG Terminal から米国とFTAを締結していない国に対するLNGの輸出を承認した。(FTAを締結している国への輸出については、既に2011年10月7日に承認を受けている。)

輸出承認は日量770百万立方フィート(0.77Bcf/d )の天然ガスを20年間となっている。年間ベースでは525万トンの輸出枠となる。

Dominion Energyでは既に住友商事との間で年間230万トン、インドのGailとの間で230万トンの輸出契約を締結している。
住友商事では、東京ガスに対して140万トン、関西電力に対して80万トンの供給を約束している。

    https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#sumisho

ーーー

FTA非締結国向けの輸出については、法律により、公共の利益に反しないことという条件がついている。
今回の承認は4件目で、日本向けとしては大阪ガスと中部電力が契約している
Freeport LNGに次いで2件目となる。

エネルギー省は今回、輸出申請を慎重に検討し、特に、経済、エネルギー安保、環境への影響を考慮するとともに、LNG輸出に対する賛成、反対のコメント(20万件に及ぶ)を検討した結果、20年間の0.77Bcf/dの輸出は公共の利益に反しないと判断したとしている。
米国の天然ガスの開発が進み、EIAの予想では2013年の生産は日量 699.6億立法フィートに達するとしている。

承認を受けた4つの計画の概要は以下の通り。

これまでの3計画については  2013/8/12 米エネルギー省、非FTA締結国向けLNG輸出で3件目の承認

会社名 立地 概要
Cheniere Energy

本事業のため
Blackstoneが出資

Sabine Pass LNG Terminal
(Cameron Parish, LA)
承認:2011/5(FTA締結国向けは 2010/9)
数量:2.2 Bcf/d(年間1600万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   BG Group   550万トン
   Gas Natural (スペイン)   350万トン
   Gail(インド)   350万トン
   Kogas(韓国)   350万トン
   合計    1600万トン

  注. 承認時は韓国はFTA未発効

Freeport LNG

株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
数量:1.4 Bcf/d(年間900万トン)
期間:20年間
輸出契約:
   大阪ガス   220万トン
   中部電力   220万トン
   BP Energy   440万トン
   合計     880万トン
Lake Charles Exports

株主:
Southern Union Company
BG Group
Lake Charles Terminal
(Lake Charles, LA)
承認:2013/8(FTA締結国向けは 2011/7)
数量:2.0 Bcf/d(年間1500万トン)
期間:20年間
輸出契約:未定
    BG Groupがパートナーのため、当然BGは対象
Dominion Energy Dominion Cove Point
  LNG Terminal
(Chesapeake Bay
 in Lusby, Md.)
承認:2013/9(FTA締結国向けは 2011/10)
数量: 0.77Bcf/d 年間525万トン
期間:20年間
輸出契約:
    住友商事  

230万トン

 
     (東京ガス)  

(140万トン)

 
          (関西電力)   ( 80万トン)  
   Gail(インド)   230万トン  
   合計    460万トン  
  https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#sumisho

認可待ちの計画は以下の通り。

会社名 立地 概要
Cameron LNG

株主:
Sempra Energy 50.2%
三井物産 16.6%
Japan LNG 16.6%
(三菱商事
/日本郵船)
GDF Suez  16.6%

Hackberry, LA 承認:未(FTA締結国向けは2012/1)
数量:1.7 Bcf/d(年間1200万トン)
期間:
輸出契約:
   三井物産  

400万トン

 
   三菱商事  

 400万トン

 
   GDF Suez   400万トン  
   合計    1200万トン  
  https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#LNG
Jordan Cove LNG

株主:
Veresen Inc

Port of Coos Bay, Oregon 承認:未
数量:1.0 Bcf/d(年間 600万トン)
期間:
輸出契約:未定

 

 

 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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