「no」と一致するもの

国際石油開発帝石(INPEX )とRosneftは5月29日、オホーツク海北部大陸棚に位置するMagadan-2 とMagadan-3 鉱区開発で協力協定を締結したと発表した。最終契約は年末までに締結する予定。

鉱区はマガダン沖約50ー150キロに位置し、水深約120 - 180 メートル、鉱区面積は28,082平方キロ。
2鉱区の推定可採埋蔵量は石油換算で15.77億トン(117億バレル)とされる。(地図に表示の数字は別)

両社で鉱区の開発及び生産にあたるJVを設立し、INPEXは33.33%を取得する予定。

INPEXはこの鉱区での地質探査の費用を全額負担する。これまでにRosneftが負担した開発費用を支払うほか、Rosneftがこの鉱区のライセンス取得のために支払った費用の33.3%も支払う。
更にINPEXは石油・ガスの発見ごとに一定のボーナスをRosneftに支払う。

この条件はINPEXにとって不利に思えるが、後記の通り、EniやStatoilも同様である。
2011年1月にBPが
Rosneftとグローバルな戦略的提携で合意し、ロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区の開発を決めた際にも、BPは1/3の出資で、開発コストの最初の20億ドルを負担することとなっていた。(TNK-BPの株主の反対でつぶれた)

Rosneftのセチン社長が同日、経済産業省を訪れて合意文書に署名した。
高原資源エネルギー庁長官は会談で「石油だけでなく深く幅広く連携していきたい。資源価格の安さも重要だ」と述べた。社長は「日本の事情はよくわかっている。是非良いパートナーになっていきたい」と応じた。

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Rosneftは深海での石油・ガス開発の技術を持たず、技術を持つ各社と相次いで提携している。

BP:2011/1/17  BP、ロシアのRosneft と戦略的提携  一旦破綻
  
2012/10/24  ロシアのRosneft、TNK-BPを買収         BPがRosneftに19.75%出資

ExxonMobil:2011/2/5  Rosneft、ExxonMobilとも海底油田開発で合意   サハリン1プロジェクトに次ぐ提携
                         2011/9/1    Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携 BPとの提携破綻による

Eni

両社は2012年4月、黒海(Western Chernomorsky油田)、バレンツ海 (FedynskyとCentral Barents)での油田開発の戦略的協力協定を締結した。
推定可採埋蔵量は石油換算で360億バレル。

Eniは地質探査の費用を全額負担する。

Statoil:

両社は2012年5月、バレンツ海のPerseevskyとオホーツク海での油田開発の協力協定を締結した。
オホーツク海は
KashevarovskyとLisyanskyとMagadan 1(INPEX開発地域に隣接)の3か所。

Statoilは33.33%を出資、開発段階の費用 (2016~2021年にwildcat well 試験井を6本掘削)を全額負担する。

 

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RosneftのSechin社長は翌30日、北京で中国石油天然気集団(CNPC) 会長と会談、ロシア北極海の大陸棚などでの探鉱や生産など共同資源開発の可能性を話し合い、相互協力に関する合意文書に署名した。

対象となる地域は、バレンツ海とペチョラ海の大陸棚 (West Prinovozemelsky, Yuzhno-Russky、Medynsko-Varandeisky) と、Irkutsk地方、Krasnoyarsk地方、Nenets地方の陸上鉱区。


 

 

 

 

米農務省(USDA)は5月29日、オレゴン州の農家の畑で、政府が承認していない遺伝子組み換え小麦が見つかったと発表した。

現在、遺伝子組み換え小麦は全世界で承認されていない。

東オレゴンの農夫が80エーカーの畑に、植えていない小麦が勝手に生えているのを発見、除草剤の "Roundup"で除草しようとしたが、出来なかった。
不思議に思った農夫がサンプルをオレゴン州立大学に送り、遺伝子組み換え処理によるRoundup抵抗性遺伝子が含まれているのを発見した。
USDAが29日にこれを確認した。

Monsantoは1970年に除草剤 Roundup を開発、1996年にこれに耐性を持つRoundup Ready 大豆を、1998年にはRoundup Ready コーンを上市した。

同社は1998年から2005年にかけてオレゴン州を含む16州でRoundup抵抗性小麦の圃場試験を行った。

しかし、Monsantoはこの計画を中止、商業化のための承認を求めなかった。既に遺伝子組み換えコーンなどで海外で反対が出ており、小麦の輸出に悪影響を与えるとする米国の農家からの反対が強かった。

問題は、9年前に計画を中止したのに、なぜオレゴンの畑で見つかったかである。
種子が圃場から風で飛ばされ、何かの事情でこの畑で育った可能性があるが、小麦畑が汚染され、何年も気付かれなかった可能性もある。

最悪ケースはヒューマンエラーで通常の種子と混ざってしまったケース。被害が広く拡販する恐れがある。

USDAは、Monsantoの小麦種子開発プログラム終了後の9年間にどのようにして未承認の種子が育っていったかを調査していると発表した。

Monsantoでは、USDAは元のRoundup Ready wheat が市場に入り込んだ証拠はないとしているとし、同社の社内調査では、種子が土壌に残ったとか花粉が飛んだとかは考え難いとしている。
また、仮に小麦にRoundup Ready遺伝子が存在しても、食品、飼料、環境の安全性の懸念はないと強調している。10年も前にFDAが食品と飼料の安全性を確認しているとしている。

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USDAの発表を受け、各国は直ちに対応に動いた。

Consumer Unionでは、「世界に影響が及ぶだろう。米国の貿易相手国は遺伝子が組み換えられた小麦を望んでいない。適切な検証がされておらず、この小麦を食べても安全なのかどうかは分からない」と述べた。

日本の農林水産省は5月31日、オレゴン州産が含まれる米国産小麦の銘柄 Western White (WW) の輸入を当面、停止することを明らかにした。
ケーキやビスケットなど菓子用や麺用に用いられる軟質小麦。

農水省は、政府が輸入した小麦を国内の業者に売り渡す入札を5月30日に実施したが、Western Whiteを対象から外した。
小麦の輸入量は年間500万トン程度で米国産が約300万トンを占め、うちWestern Whiteは80万トン前後。

韓国の食品医薬品安全処も、米国産輸入小麦粉のサンプルを入手し検査に着手した。
「小麦を輸入した時期ごとの検査も行って、遺伝子組み換え小麦が混じっていないかどうか、はっきり確かめたい」としている。
韓国の小麦輸入は241万トンで、米国産は120万トン、うちオレゴン州からは46万トンとなっている。

ミャンマー訪問中の安倍晋三首相は5月25日、ヤンゴン市内で行われた日本・ミャンマー経済セミナーに出席し、「官民一体となってミャンマーの国づくりを支援したい」と表明した。具体的には電力網や水道、道路などのインフラ整備を挙げたほか「人材教育に注力していく」と訴えた。

セミナーに先立ち視察したヤンゴン近郊のティラワ経済特区(Thilawa SEZ)にも言及し、「日本とミャンマーの経済協力の象徴だ。絶対に成功させなければならない」と力説した。

5月26日にはテイン・セイン大統領と会談し、共同声明を発表した。

日本政府はミャンマーの発展を支援するため約2千億円の対日債務を解消し、インフラ整備支援などのため910億円のODAを2013年度末までに順次実施する。
ミャンマー政府の制度整備や人材育成を重視。日本からの技術協力の重要性を共有し、発展させていく。
両国間の貿易・投資を含めた経済関係の強化のため、投資協定の早期署名に向けた作業を加速化。技術協力協定に向けて努力し、ティラワ経済特区開発などに協力する。

ミャンマーの開発にはインフラ整備がまず必要となる。
発電の7割を水力が占め、ダムの水量が減る乾期終盤の4~5月には停電が頻発する。

同国では天然ガスの開発が進むが、外資獲得のため、自国では余り使用せず、主にタイにパイプラインで輸出している。来月には中国へのパイプラインでの輸出が始まる。


ミャンマーでは3つの経済特区計画がある。

  先行するのは北部のチャウピュー(Kyaukpyu)で中 国が開発しており、既に中国向けの原油とガスのパイプラインが完成している。
  
2013/5/24  パイプライン万里長城が完成


ヤンゴン南部のティラワ(Thilawa SEZ)は日本が担当する。

南部のDawei SEZはタイが担当するが、出遅れている。

 


ティラワ経済特別区(Thilawa SEZ

ミャンマー政府はThilawaを環境モデル都市にし、その都市づくりをヤンゴンに生かそうとしている。

日本政府とミャンマー政府は2012年12月、「ティラワ経済特別区開発のための協力覚書」に署名した。
2012年4月の首脳会談の際に閣僚級で署名されたティラワ・マスタープランに関する意図表明文書を受けたもの。

協力覚書の主要な内容は以下の通り。

両政府はヤンゴン市南東のThilawa SEZ(約24平方キロ)の開発を協力して行う。
両国の投資家はThilawa SEZの区域開発者として共同事業体を設立する。
Thilawa SEZの商業的運用を2015年に開始する。


三菱商事、丸紅、住友商事の3社は2013年4月、Thilawa SEZにおける工業団地先行開発エリア(4.2平方キロ)の事業化調査や環境影響調査等を行うため、共同で、エム・エム・エス・ティー有限責任事業組合を設立した。

F/S及び環境影響調査等の完了は今年秋頃を目標とし、周辺環境への影響、ミャンマー政府による住民移転への対応等を慎重に見極め、先行開発エリアへの投資判断を行う。

Thilawa SEZの問題点は住民が立ち退き補償を求めてミャンマー政府と対立している ことである。
立地はティラワ港の後背地の水田地帯で、土地はすべて国有で、農民は使用権を持つ。予定地に隣接して政府分譲の工場用地があり、最近高額で取引されたこともあり、農民は高額の補償金 を求めている。

同地は1997年に工業団地造成で収容されたが、造成計画が宙に浮き、当局は収用した農地について、補償金を受け取った農民や新たに入植した農民に5年期限で貸し出し た経緯がある。

ミャンマー政府は2012年12月の「協力覚書」締結の後、住民を「不法占拠者」扱いし、「2週間以内に退去せよ。従わなければ30日間、刑務所に拘留する」と通告 、住民の移転先も用意していない。(その後、当局は退去命令を「延期」した。)

問題がこじれると、スケデュールが遅れる可能性がある。

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ダウェー経済特区(Dawei SEZ)

Dawei SEZは2008年にミャンマーとタイの両国が開発で合意した。

2010年にタイの大手建設会社Italian-Thai Development Corporation Limited (ITD) が250平方キロの土地について60年間の事業権利と75年間の租借権を得て、開発に着手した。
しかし、実際は1社では開発資金をまかないきれず、地元住民の移転や周辺土地と一部道路の整備程度しか進んでいない。

2012年7月のタイのインラック首相とテイン・セイン大統領との会談で、Dawei 開発の仕切り直しが行われ、両国政府が協力して進めることで合意、Dawai開発の特別目的事業体(SPV)に土地の開発権と租借権がITDから移管される。

Dawei SEZの開発面積はThilawa SEZの10倍あり、港湾や発電所などのインフラ整備だけで1兆円とされる。

このため、タイ政府とミャンマー政府は日本にも参加を要請した。
2012年9月に日タイ・ワーキンググループ調整委員会会合が開催されたが、テーマの一つが
Dawei SEZであった。
但し、
両国はあくまでThilawa SEZ優先ということで合意している。

 1997年の金融危機時のタイの財務大臣のDr. Thanong Bidayaは5月27日の講演で、タイと日本がインドシナ半島のCLMV各国(カンボジャ、ラオス、ミャンマー、ヴェトナム)を共同で開発することを提案、一例としてDawei SEZを挙げた。日本抜きでは無理としている。


タイ側ではPTTが
Dawei SEZをLNGとLPGの貯蔵基地として利用することを検討している。


ミャンマー南部ではTotalがYadanaガス田を、PetronasがYetagunガス田を開発中で、2007年にはタイのPTTEPがZawtikaガス田を発見した。

Yetagunガス田 を含むM-12、M-13、M-14鉱区はPetronasが40.9%、PTTEPが19.3%、Myanma Oil and Gas Enterprise が20.5%、JX日鉱日石開発が19.3%の権益を持つ。
Yetagunガス田は
2000年5月から天然ガスの生産を開始し、タイ石油公社PTTにパイプラインで販売している。

JX日鉱日石はこのほか、M-11鉱区にも権益を持つ。
 (PTTEP 45%、TOTAL 40%、JX日鉱日石 15%)

現在、両ガス田から天然ガスがタイのRatchaburi発電所まで パイプラインで輸送されている。

PTTはZawtika ガス田とYetakun ガス田からDaweiへのパイプラインを建設することを検討しており、長期的には、Daweiに港と年間500万トンのLNG基地、LPG基地を建設、DaweiからMap Ta Phutまで天然ガスパイプラインを建設する計画。

PTTは現在のところはミャンマーの需要を勘案し、Daweiに製油所や石油化学基地をつくる考えはないが、状況が変われば検討するとしている。

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カンボジャ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムのメコン川流域諸国は大メコン経済圏経済協力開発プログラムを推進している。

その経済活動の動脈となる道路整備については、まず東西経済回廊が2006年に開通、続いて南北経済回廊、南部経済回廊の整備が進められている。Daweiは南部経済回廊の起点で、バンコクを経てベトナムのHo Chi Minh市とQuy Nhon市に通じる。

PTTはベトナムQuy Nhon市のニョンホイ経済特別区に日量66万バーレルの製油所と石油化学コンプレックスを建設する計画を持っている。


 

 

Dow Chemicalは5月24日、K-Dow問題でKuwait国営のPetrochemical Industries Company (PIC)から損害賠償として受け取った22億ドルのうち、20億ドルを2013年中に借入金返済に使用することを明らかにした。

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国際商工会議所の国際仲裁裁判所は2012年5月24日、Dow とKuwait国営のPetrochemical Industries Company (PIC) との間のK-Dow Petrochemical に関する調停結果を発表した。

PICがK-Dow Petrochemical 設立の契約を破棄したため、Dowが損害を被ったとして訴訟を行い、最終的に調停を求めることとしたもの。

仲裁裁判所はPIC側に責めがあると認定し、PICに対しDowへの21.6億ドルの損害賠償支払いを命じた。金利と費用はこれに追加される。

事態と経緯については、2012/5/25     Dow、石化JV中止問題での調停で勝利、21.6億ドルを獲得

その後2013年3月4日に国際仲裁裁判所は最終金額を発表した。金利と費用は318百万ドルで、これを加えると合計24.8億ドルとなる。

Dowは2013年5月7日、PICから22億ドルを受け取ったと発表した。
これは仲裁裁判所の決めた21.6億ドルにDowのコストを加えたもので、金利を免除する代わりに、KuwaitにおけるDowの事業についての罰則措置に関し好意的な合意を取り付けたとしている。

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Dowは第2四半期に16億ドル程度の借入金を返済する。
6月24日には2015年満期の利率5.90%の借入金12.5億ドルを返済する。
このほかに、InterNote債と免税債の返済を第2四半期内に行う。

更に追加の4億ドルの返済を下半期に計画する。

22億ドルの借入金返済により、年間ベースで支払金利が1億ドル以上減少する。

Dowは2008年末のK-Dow計画破綻で、予定していたRohm & Haas買収資金が失われ、これを多額の借入と資産売却で切り抜けたが、今回の返済で同社の資本/負債比率は2008年危機の前のレベルに戻ることとなる。

Andrew N. Liveris CEOはこれを誇るとともに、「重要なことは、Dowは業界を主導するプラスチック事業を完全保有している」と述べている。

同社は当初、原料価格の変動で業績が左右される基礎部門の強化を"asset light" strategy「資産を持たない、減らす」戦略 ) 、即ちJV化を通して行う方針を明らかにしており、PEPPPC、エチレンアミン、エタノールアミンをPICとの50/50JVのK-Dowに出す予定であった。

しかし、その後のシェールガス革命を受け、Dowは米国の石油化学を再評価し、エチレン、プロピレンの大々的な投資を始めている。

2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表

PICが断ってくれたおかげで、今後高収益が期待される樹脂事業を売らずに済み、更に22億ドルを受け取ることとなった。

 

Dowへの22億ドルの支払いで国会の追及を受けていたKuwaitの石油相が5月26日に辞表を出し、受理されたと報道されている。

Kuwaitでは国会の会派 Popular Action Bloc の議員が政府と対立、DowとのJV合意の際にも問題視し、反対運動を展開していた。






ミャンマー西部の港町チャウピュー(Kyaukpyu)から中国雲南省の昆明まで800kmに達する石油とガスのパイプラインが5月初めに完成し、中国がマラッカ海峡を経由せずミャンマーの天然ガス と中東等の原油を輸入できるようになった。

早ければ来月から、韓国の大宇インターナショナルのコンソーシアムがミャンマー西部海洋で採掘したガスがこのパイプラインで昆明に送られる。来年からは原油も輸送される。

5月20日付の韓国の中央日報が伝えた。

パイプラインのルートは以下の通り。

下の写真(大宇インターナショナル)はミャンマー中部のマンダレー付近の山中を通過する"パイプライン万里長城"。

第二次世界大戦で日本軍により重慶に追われた蒋介石の国民党に物資を供給するため、連合軍が険しい山中に建設し 、1945年1月に完工した「ビルマロード」に沿っており、現地ではパイプライン万里の長城と称されている。


ミャンマー西岸のインド洋では石油とガスの採掘が大々的に行われている。

韓国の大宇インターナショナルは2000年にA-1鉱区で ミャンマー最大規模のポテンシャルのShwe/Shwe Phyu ガス田を発見、その後、インドのOil and Natural Gas Corp に17%、Myanmar Oil & Gas Enterpriseに15%、インドのGAILと韓国のKogasに各8.5%を譲渡、大宇 の権益は51%となった。

更に同コンソーシアムは隣接するA-3鉱区でMyaガス田を発見、合計の可採埋蔵量は4.5~7.7兆立方フィートとされる。

重慶市政府は2004年末にミャンマーから雲南省昆明市まで原油パイプラインを建設し、その後昆明から重慶市まで延長するという計画を国務院に提出した。
中国の輸入原油の約8割はマラッカ海峡を経由しているが、このパイプラインが完成すれば、中国は中東原油の輸入ルートを複数持つこととなる。

ミャンマー軍事政権は2007年4月、PetroChinaに 、ミャンマー西部ラカイン州沖合で開発中のShwe/Shwe Phyu ガス田のガス購入権と、同州西部の港湾都布チャ ウビューから中国に向けたガスと原油のパイプラインの共同建設を認める決定をした。

2008年6月にPetroChinaはミャンマー政府や大宇グループのコンソーシアムとA1およびA3鉱区における天然ガスの販売・輸送に関する了解覚え書きに調印した。

天然ガス価格は100万英熱単位当たり7.72ドルで2013年から30年間の供給。

軍事政権は2008年11月、石油と天然ガスのパイプライン の経営権を中国に付与した。

チャウピュー(Kyaukpyu)近郊のマデ島にガス集荷基地と石油タンカー専用港を建設し、中部マンダレー近郊、シャン州ラーショーなどを経由して中国との国境の町ムセから昆明へと結ぶ。
石油と天然ガスパイプラインは平行して走り、全長771km。
中東などからの原油の年間輸送量は1200万トンで、将来輸送量を2200トンまでアップする。
天然ガスはA-1、A13ガス田から送る。

事業主体となる企業にはPetroChinaが50.9%、ミャンマー国営石油ガスが49.1%を保有する となっていたが、その後、大宇コンソーシアムメンバーが参加を表明、PetroChina 50.9%、大宇 25.04%、ONGC 8.35%、GAILlとKogasが各4.17%、ミャンマー国営石油ガス7.37%となった。

総事業費は石油パイプラインが15億ドル、天然ガスは10億4935万ドル。

石油タンカー専用港は中国が20年間の使用権を持つ。

軍事政権に払われる使用料などは年間10億ドル以上と見積もられている。

2009年10月31日、マデ島で着工式が行われた。

 


  

医薬メーカーの決算は以下の通り。

 

各社の決算のポイントは以下の通り。

武田薬品

   営業損益:前期比 1425億円減

増収により339億円増益となったが、販売費・一般管理費が1764億円増加した。

うち、研究開発費 424億円増、
   販売費 503億円増、労務費 402億円増、その他のれん・無形固定資産償却費増などで1340億円増

   特別損益&税金:

特別損益は前期 -179億円に対し、当期は165億円で、差引 344億円の増益

   投資有価証券売却益 531億円、
      インフルエンザワクチン政府助成金 228億円、
      減損損失 -436億円(特許権、販売権等)
   事業構造改善費用 -252億円(海外従業員削減計画等) (前期は -355億円)

税金では移転価格税制による還付を過年度法人税等として-574億円を計上(益)
これの還付加算金(利息)151億円を特別利益に計上 (合計725億円の益)

還付加算金は2010年以降は年4.3%で、国税庁は理解不能の更正決定を行い、結果として武田に大きな利益を与えたこととなる。

   当期損益:経常損益ベースでは前期比-1572億円であったが、当期損益は逆に71億円の益となった。

ーーー

アステラス製薬

   営業損益:前期比 223億円増

増収により307億円の増益、研究開発費 78億円減、その他販管費 162億円増

   特別損益:前期比 243億円減(減損損失 前期比 255億円増)

   当期損益:前期比 46億円増

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田辺三菱製薬

   営業損益:ほぼ前期並み

増収となったが、薬価改定の影響で売上総利益は前期比20億円減益、販売費、一般管理費は研究開発費の減で20億円増益。

   特別損益:前期は-50億円、当期は-16億円で、差引34億円の増益となった。

特別損失には、関係会社のベネシスと日本赤十字社の血漿分画事業統合による資産処分損 23億円や、HCV訴訟損失引当20億円などがある。減損損失は前期比 26億円減。

   当期損益:29億円の増益。

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第一三共

   営業損益:前期並み(増収により142億円の増益、一般管理費 138億円増)

   経常損益:前期比229億円の増益

インド子会社Ranbaxyがデリバティブ取引をしている。
前年は評価損 165億円、本年は評価益 64億円で、差引営業外損益が 229億円の増益となった。

   特別損益:前期は423億円の損、当期は70億円の損で、差引353億円の増益。

前期にはインド子会社Ranbaxyの米司法省との和解金引当399億円(500百万ドル)がある。

米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月16日、ランバクシー・ラボラトリーズの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。

医薬品の安全性に問題はないが、ランバクシーのインドのデワスとパオンタ・サヒブにある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。
また、FDAが1月から3月にかけて問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

2011年11月に、ランバクシーは米国食品医薬品局(FDA)と同意協定書を締結、データの信頼性を確実にするための手段や方針を更に強化し、現行の適正製造基準を遵守することを確約した。

同時に米国司法省との案件の解決に向け、500百万米ドルを引き当てた。

2013年5月14日、第一三共はランバクシーの米国司法省との協議が終結したと発表した。支払額は引当と同じ500百万ドルとなった。

   当期損益:税引き前損益が前期比582億円増となり、法人税等調整を含め、純損益では562億円の増益となった。

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エーザイ

   営業損益:前期比252億円の減

販売管理費(450億円減)、研究費(47億円減)は減少したが、売上高が743億円減った影響が大きかった。

   当期損益:102億円の減益となった。

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大正製薬

   営業損益:前期比31億円の減益

売上総利益は40億円の増、研究費は9億円の減で、合計49億円の増益となったが、販売費、人件費、情報関連費用等が増加し、合計で減益となった。

   当期損益:

投資有価証券評価損の前期比減少などで、特別損益が前期比22億円の増となり、法人税等も21億円の減となって、差引20億円の増益となった。

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塩野義製薬

  営業損益:118億円増

増収に加え、原価率の改善、コスト削減、米国事業の集積の改善等で増益

  特別損益:

抗HIV薬に関するViiVとの契約締結に伴い、シオノギViiVヘルスケア簿価とViiV株式10%の時価との差額404億円を特別利益に計上。
同時に米国事業の販売権とノレンの減損で408億円の特別損失を計上。

これを受け、単体決算では株式評価損1101億円を計上。(連結決算では影響なし)

  2012/11/2  塩野義製薬、HIV治療薬JVの枠組み変更

   法人税等:前期比 229億円減

単体決算での株式評価損で税金等の費用が大きく減少したため、連結での税金は-85億円となった。(前期 144億円)

   当期損益:前期(271億円)比396億円増の667億円となった。次期予想は370億円。

ーーー

大日本住友製薬

   営業損益:前期比46億円の増益

薬価改定の影響などによる減収で売上総利益は55億円減となり、研究開発費は30億円増えたが、
経費削減で販売費・一般管理費が131億円減となった。

なお、一般管理費には米国でのSepracor Inc.(現在のSunovion Pharmaceuticals )買収に伴う特許権とのれんの償却費 が含まれるが、前期は277億円、当期は259億円であった。

   当期損益:

特別損失に事業構造改善費用(前期比36億円増の48億円)などを折り込み、当期利益は前期比14億円増となった。



基礎化学、石油化学の減益が大きく、減益となった。

特別損益に多額の減損損失、事業構造改善費用を計上、当期損益は511億円もの赤字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2011/3 19,824 880 841 244 3 6
2012/3 19,479 607 507 56 6 3
2013/3 19,525 450 503 -511 6 0
前年比 46 -157 -5 -567 0  -3 
2014/3 23,500 900 900 300 6 3

 

営業損益対比(億円)           
  2011/3 2012/3 2013/3 前年比 2014/3
予想
基礎化学 206 93 -64 -157 0
石油化学 111 62 -32 -94 50
情報電子化学 261 110 117 7 340
健康・農業関連 233 265 263 -2 340
医薬品 287 209 309 99 320
その他 41 77 80 2 50
全社 -260 -209 -222 -12 -200
合計 879 607 450 -157 900


基礎化学部門は合成繊維原料の市況下落と数量減、メタアクリル、アルミニウムなどの市況の下落で大幅減益となり、石油化学とともに赤字に転落した。

情報電子化学と農薬は前期並みの損益を維持、医薬品は増益となった。
情報電子化学では、液晶ディスプレイ材料の偏光フィルム、カラーフィルムの価格が下落したが、偏光フィルムの数量は増えている。

次期予想では石油化学は黒字、情報電子化学はスマートフォン用タッチパネルや偏光フィルムの出荷増で約3倍の利益を見込む。

営業損益の大幅減少のなか、経常損益ではほぼ前年並みとなり、当期損益は大幅な赤字となった。
この理由は以下の通り。(単位:億円)

  2011/3 2012/3 2013/3 前年比
営業損益 880 607 450 -157
営業外損益 受取利息・配当金 67 77 76 -1
支払利息 -130 -124 -128 -4
持分法利益 108 20 54 35
為替差損益 -66 -37 68 104
その他 -18 -35 -17 19
合計 -39 -100 52 152
経常損益 841 507 503 -5
特別損益 投資有価証券売却益 98 -98
減損損失 -32 -36 -229 -193
事業構造改善費用 -41 -64 -108 -44
投資有価証券評価損 -47 -47
持分法投資損失 -260 260
その他 -11 -7 4 11
合計 -84 -268 -379 -111
税引前当期利益 757 239 123 -116
法人税等 348 83 527 444
(うち 法人税等調整額) (36) (-195) (350) (545)
差引 損益 409 156 -404 -561
少数株主利益 164 101 107 6
当期純利益 244 56 -511 -567


営業外損益では為替差損益が前年比で104億円の益となった。

特別損益には差引379億円の損失を計上した。

 1)減損損失 229億円

千葉 エチレン等   63
2015/9目処に千葉エチレン停止
大分  レゾルシン  66 事業環境悪化で収益性低下
中国 偏光フィルム  57 環境変化で事業計画見直し(建設途中)
ポーランド 偏光フィルム  32 営業停止を決定


住友化学は2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。
このため、千葉工場のエチレン等の設備の減損損失を計上した。

2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退

これ以外に、事業環境悪化で収益性が低下しているレゾルシンと偏光フィルムについて減損処理を行った。

レゾルシンの世界需要は約6万トンとされ、能力も約6万トンで、うち住友化学が30千トン、三井化学が7.6千トンであった。
しかし、中国でレゾルシンの反ダンピング調査を要請した浙江鴻盛化工
Zhejiang Hongsheng Chemical が2万トンの設備を完成させていることが分かった。

このため、事業環境が悪化しているとみられる。三井化学のレゾルシン工場は2012年4月に爆発事故を起こし、再建を断念し、昨年末に事業撤退した。

偏光フィルムについては上記のとおり利益を計上しており、来期も増益を見込んでいるが、需給状況の悪化を受け、中国計画を見直し、ポーランドについては営業停止を決定した。

なお、中国計画については、2012年9月に日経新聞が「中国生産を白紙にする方向で検討に入った」と報道したのに対し、同社は、需要の伸びが緩やかなこと、既存プラントの生産性があがったことから、稼働時期を見合わせているだけと述べている。

 2)事業構造改善費用 108億円

これには千葉工場の石油化学分が(減損損失のほかに)17億円含まれている。

 なお2012年3月期の持分法投資損失260億円は豪州農薬会社のNufarm の株式評価損。


税金は、前年は持分法投資損失(評価損) で減る予定の税金を繰延資産に計上し、法人税等調整額がマイナス(利益)になったが、本年は赤字計上に伴い繰延税金資産の見直しを行い、350億円の法人税等調整(損失)を行った。

税引後損益は404億円の大幅赤字となったが、子会社のなかで利益の大きい大日本住友製薬(出資比率は50.12%)などの利益の他株主帰属相当分が少数株主利益として控除されるため、純損益は511億円の赤字となった。

 

大日本住友製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2011/3 3,795 310 286 168 9 9
2012/3 3,504 204 189 86 9 9
2013/3 3,477 250 245 100 9 9
前年比 -27 46 56 14    
2014/3 3,690 260 250 130 9 9


営業損益はSepracor Inc.(現在のSunovion Pharmaceuticals )買収に伴う特許権とのれんの償却費259億円を控除したのちのもの。
前年は277億円であった。



米エネルギー省は5月17日、テキサス州のFreeport LNGに対し、日本などFTA非締結国への輸出を承認したと発表した。同社の計画には中部電力と大阪ガスが加わっており、2017年にも日本への輸出が始まる見通し。

Freeport LNGは2005年にテキサス州FreeportのQuintana IslandにLNGを海外から輸入してガスに戻す設備を完成させたが、米国内でガスの採掘が進んだため、天然ガスの液化設備を建設してLNGの輸出基地に替えることを決め、2010年にエネルギー省に輸出認可を申請した。
2011年2月には米国とFTAを締結している国に対する輸出認可を得ている。

米国はLNGを戦略物質とみなし、輸出を個別の許可制にしている。唯一の例外は本土48州に輸送不可能だったアラスカのKenai LNGの輸出だった。
米国は輸出承認に際し、米国とFTAを締結している国とそれ以外で差をつけており、FTAを結んでいない日本はガス輸入のハードルが高い。


これまで非締結国に対する輸出承認を得たのは2011年5月のCheniere EnergyのSabine Pass LNG Terminalのみである。
   2012/2/24 米国からのLNG輸入問題

その後、オバマ政権はLNG輸出に向け動き始めたが、Dow Chemicalなどが反対運動を起こしている。

2012/12/7 米エネルギー省、LNG輸出に向けての報告書を発表

2012/12/12 Dow、エネルギー省のLNG輸出に関する報告に反論

後記の通り、Freeport LNGにはDow Chemicalが出資しており、そこに輸出承認が与えられたのは皮肉である。

本ブログは米国政府によるLNG輸出承認制度はWTO規則違反であるとの見方をしている。
    
2013/2/5 米国の天然ガス輸出規制はGATT違反? 

なお、LNGの輸出が制限されているため、天然ガスの需給が緩み、価格が低下しており、倒産した会社も出た。
   2013/4/5 米国のシェールガス開発会社が破産法申請

ーーー

今回、エネルギー省はFTA非締結国向けの2番目の輸出承認をFreeport LNGに与えた。

1日当たりの輸出量を14億立方フィート (LNG換算で年900万トン)までに限定し、申請は25年間ではなく20年間に短縮して輸出を認める条件を設けることで、「(米国の)公益に反しない」と判断した。

承認理由として、以下を挙げている。

反対派は承認が公共の利益に反するという証拠を示していない。
輸出は米国にとり net economic benefits となると思われる
承認により、天然ガスが供給不足になったり、天然ガス価格上昇や著しい価格変動を起こすことは考え難い。
  http://energy.gov/sites/prod/files/2013/05/f0/ord3282.pdf

Freeport LNGは年間440万トンの能力の液化設備3系列を建設中で、2017年に液化事業を開始することを目指しているが、下記の通り 2系列分について契約を締結している。

大阪ガスと中部電力は2012年7月31日、天然ガス液化加工契約に関する契約を締結した。
第1系列の液化設備においてそれぞれ年間約220万トンずつの天然ガス液化能力を確保した。
大阪ガスはFreeport のLNG基地事業にも参加している。(後記)

大阪ガスは2012年6月22日、米国テキサス州イーグルフォード地区のPearsall Shale ガス・オイル開発プロジェクトに参画することを決め、Cabot Oil & Gas Corporationとの間で、権益35%を250百万米ドルで取得すること等を定めた権益売買契約を締結した。

同社と中部電力は東京ガスとともに三菱商事が参画しているカナダシェールガス開発プロジェクトにも参加した。 
  2011/5/14 中部電力、東京ガス、大阪ガスと
JOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加 

BP Energyは2013年2月、年間440万トンの天然ガス液化加工契約に関する契約を締結した。

残る1系列分については、今回のFTA非締結国向けの承認枠を超えるため、既に承認を得たものを含むFTA締結国向けになるとみられる。

ーーー

Freeport LNGの概要は以下のとおり。


Dowは2003年にFreeport LNGに参加した。LNGを海外から輸入してガスに戻すために利用していた。
同社は
DowはFreeport LNGによるLNG輸出計画には反対してきたが、2012年にこの65億ドルの液化計画に参加しないことを発表した。

三菱商事は2005年1月にLNG受入基地に係わる17年間の使用契約を締結した。
同社は2004年7月にOmanのQalhat LNGとの間でLNGの長期購入契約を締結しており、これを再気化して、主にテキサス州の需要家に販売する。

大阪ガスは2008年1月30日、Contango Oil & Gasとの間で、同社が保有する米国のフリーポートLNG基地事業の全持分を譲り受けると発表した。
この事業のための特別目的会社 Turbo LNG LLC を通じて同プロジェクトに10%出資した。

この時点ではLNGの輸出は検討されておらず、LNGの輸入ー再気化事業である。
ConocoPhillips、Dow Chemical、三菱商事の3社が最大25年間に渡り基地を使用する契約を締結済みであり、長期に渡る安定した収益が見込まれるとしていた。

ーーー

今後、米国の天然ガス価格は100万BTU当たり6ドルになるとの説があるが、それでも、LNGへの加工費3ドル、輸送費3ドル(メキシコ湾岸)を加えても12ドル程度であり、現在の原油価格スライドの約16ドルと比べ、かなり安くなる。

但し、現在のLNG輸入価格は単なる原油スライドではなく、震災後の買いあさりで割高になっているもので、長期的にみれば米国からのLNGはそれ程有利でないかも分からない。


ーーー

日本企業では他に下記の各社が米国産LNGの輸入を計画し、輸出認可を待っている。

東京ガスは2013年4月1日、米国のDominion Cove Point LNGから住友商事を通じて年140万トンのLNGを輸入すると発表した。
関西電力も同日、年80万トンを輸入すると発表した。
     https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#sumisho

三菱商事と三井物産は2013年5月17日、米国のSempra Energyの子会社であるCameron LNGとの間で、それぞれ、天然ガス液化加工契約及び合弁会社設立契約(液化事業への参加)を締結したと発表した。
     https://www.knak.jp/blog/2012-4-2.htm#LNG




SK Capital Partners は5月1日、Chemtura Corporationの酸化防止剤と紫外線安定剤(UV stabilizer)事業の買収を完了したと発表した。
2012年11月に売買契約を締結したもので、
対価は約2億ドル。

新会社 Addivantを設立する。同社は ポリマー、プラスチック、ゴムの性能向上に使われる酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、 阻害剤 (inhibitor)、樹脂改質剤、紫外線安定剤を含む包括的な添加剤を扱う。

Chemtura は2005年にCrompton とGreat Lakes Chemical が合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。
ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。農薬は旧Uniroyal の事業。

Crompton 1999年に Crompton & Knowles と塩ビ添加剤メーカーのWitco が合併して出来た。
Crompton & KnowlesUniroyalの事業を買収している。

Great Lakes Chemical は水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカー。

Chemtura は2006年に旧Uniroyalの事業のEPDMとゴム薬事業をLionに売却した。
      2006/11/14 
合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC

Chemtura は2009年3月に米国の事業に関して Chapter 11 の申請を行ったと発表したが、2010年11月20日、財務リストラが完了し、Chapter 11から離脱したと発表した。

2009/3/21 Chemtura、民事再生法申請

ーーー

SK Capital Partners はニューヨークを拠点とする非公開株式会社で、同社の戦略は、Specialty Materials &Chemicals とHealthcare分野のニッチ市場のリーダー企業を買収することにある。

同社はこれまで、下記の事業を買収している。

買収企業  製品 取得 相手
Aristech Acrylics acrylic sheet 2008/4 三菱商事
Ascend Performance Materials Integrated Nylon Business 2009/6 Solutia
Calabrian Corporation sulfur dioxide and downstream derivatives 2011/5  
IBA Molecular radiopharmaceutical products 2012/4 Ion Beam Applications
TPC Group C4 hydrocarbons 2012/12  
  Textile Chemicals, Paper Specialties,  Emulsions 2012/12 Clariant
Addivant Antioxidant and UV Stabilizer 2013/5 Chemtura


第1号事業が三菱商事から買収したAristech Acrylicsである。

Aristech Chemical 化学品(フェノール、アセトン他)、ポリマー製品(ポリプロピレン他)の製造販売を行っていた。

1989年にHuntsmanがAristechの買収を計画した。Aristechはこれを拒否、一時は住友化学にもPPを分離してJVにする提案もしたが、1990 年に三菱商事が買収提案を行い、Huntsmanが買収を諦めたため、三菱商事による買収が確定した。買収額は850百万$だが借入金の引継ぎなどをいれると 10億$以上となるといわれた。

当初同社には三菱化成、三菱油化、三菱瓦斯化学、三菱レーヨンが各4.48%出資して三菱グループ総力を挙げて取り組む姿勢を見せたが、その後、 三菱商事100%となった。

2000年11月、三菱商事はAristechをSunocoに売却した。アリステックを買収して以来、石油化学品事業の戦略において、北米の橋頭堡として位置づけてきたが、原料価格の上昇を製品価格に転化しきれず、採算が大幅に悪化していた。譲渡価格は固定資産及び棚卸資産の合計で695百万ドル、これにその他の資産・負債を加減した金額になる。

1997年にアリステック・ケミカルのアクリル樹脂事業部門を分離独立し、三菱レイヨンが10%出資し、Aristech Acrylics LLC を設立したが、これはスノコへの売却資産には含まれず、三菱商事が88%出資で残っていた。

ーーー

SK Capital Partnersは2009年6月、Solutia Inc. からのナイロン事業買収を完了した。新しく Ascend Performance Materials を設立した。
買収金額は50百万ドルで、Solutiaは新会社の2%を受け取る。更に2011年以降4年間、毎年1百万ドルを受け取る。

Solutiaは1997年9月にMonsantoの化学部門が分離独立して設立された会社である。

Monsantoは1901年設立の化学会社だが、1985年にバイオケミストリー分野での事業展開のため、G.D.Searle を買収した。
1997年に化学部門をSolutia として分離した。

なおMonsantoは
1998年に American Home Products と合併で合意したが、破談となっている。
2000年4月にPharmacia & Upjohn と合併し、Pharmacia となった。

Pharmacia は2002年に農薬部門を再度 Monsanto として分離した。
Pharmaciaは2003年にPfizer に買収された。

Solutia は2003年12月、連邦破産法11条申請を行った。
2008年2月、会社更生手続き(Chapter 11)を終了し、再生に向けスタートした。

  2008/3/4 Solutia、破産手続き終了

2012年1月、Eastman Chemical がSolutia Inc. の買収を発表した。

  2012/2/3  Eastman Chemical、Solutia を買収

Solutiaのナイロン事業は主に、自動車、建築、輸送、産業用に機能材料を生産するが、主要製品は以下の5つ。

・Saflex®:合わせガラス用 polyvinyl butyral (PVB) 中間膜
・CPFilm® :窓ガラス用フィルム
・Nylon Plastic & Fibers:アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、Nylon 66、ナイロン繊維
・Flexsys® :合成ゴム加硫剤
・Specialty Products :高温合成系熱媒体、航空機用作動油、航空機用洗浄溶剤、
    ポリビニルブチラール樹脂、ジフェニルオキサイド

同社は2008年6月に「原料やエネルギー価格などに左右されやすく、景気循環の影響を受けやすい」ナイロン事業をどうするか検討のためコンサルタントと契約を締結していた。

ーーー

SK Capital Partnersは2011年5月、二酸化硫黄と関連製品のメーカーのCalabrian Corporation を同社のオーナーと共同で再構築することを決めた。

ーーー

SK Capital Partners は2012年4月、 IBA(Ion Beam Applications S.A.)から IBAの radiopharmaceutical divisionを分離独立させたIBA Molecularの 60% を買収した。残り40%はIBAが所有する。

同社の製品はPositron Emission Tomography (PET)やSingle-Photon Emission Computed Tomography (SPECT)などで使用される。

ーーー

SK Capital Partnersは2012年12月、エネルギー分野での投資会社のFirst Reserve Corporationと共同で、ブタジエン、ブテン-1、イソブチレンなどC4留分専業会社の TPC Groupを買収した。
買収額は負債込で約850百万ドル。

TPC Groupは旧称Texas Petrochemicalsで、元々は1943年に米国政府が合成ゴム製造促進のためにつくったRubber Reserve Co.である。
その後、合成ゴム事業は各社に分離され、同社は現在はC
4留分の専業会社となっている。
2000年にDIBに進出、2006年にHuntsmanからMTBEとブタジェンのプラントを購入している。

ーーー

SK Capital Partnersは2012年12月、Clariant のTextile Chemicals, Paper Specialties, Emulsions 事業を買収する契約を締結した。
買収金額は約5億ドルで、SK Capital は年金債務の一部を負担する。

 

 

安徽省合肥市の合肥國軒高科動力能源有限公司 (Hefei Guoxuan High-tech Power Energy) は上海市松江区で自動車用のリチウムイオン電池工場の建設を計画していたが、反対運動を受け、5月15日に事業計画を撤回すると表明した。用地を当局に返還、補償は求めないとしている。

この企業は当初、約10億元(約167億円)を投じて工場を建設する計画であった。

しかし環境汚染を心配する地元住民が工場建設に反対、4月21日に続き、5月に入り何度も数百人が計画撤回を求めてデモ行進した。
5月11日には1000人以上がデモした。

これに対し地方政府は、電池の工程には材料(anodeとcathode)製造とバッテリーセルの製造、組み立ての3工程があるが、今回の工場は材料製造を含まず、後の2工程のみであり、廃水やガスを正しく処理すれば環境汚染の懸念は全くないと説明した。

上海化工研究院は昨年9月に環境評価報告を発表し、環境汚染の可能性はほとんどないとした。
報告では廃水は出さないとしているが、地方政府は毎日5トンの廃水を出すと述べている。

このため、住民はこの報告の信頼性を疑っている。

昨年末には上海化工研究院がアンケートを取り、68%が計画に賛成との結果を得ており、計画に賛成する住民は、デモに参加した数百人は近くの住民8万人のほんの一部であり、公聴会を開催すべきだと主張していた。
しかし、計画に反対する住民は逆に、このアンケートの対象は8万人の住民のうちのたった150人に過ぎないと反論し、公聴会を求めた。

工場側は住民の反対を受け、計画を撤回した。

ーーー

中国では環境汚染を懸念する工場建設反対運動が相次いでいる。

雲南省昆明市では5月4日、PetroChinaの石油化学工場の建設に反対する住民約1千人が市中心部の広場に集まった。
5月16日にも数百人がデモを行った。

PetroChinaは本年2月、昆明市郊外での精製事業について中国国家発展改革委員会(NDRC)から承認を受けたと発表した。
NDRCへの提出資料ではガソリンなどのほか年産50万トンのパラキシレン(PX)も生産するとなっている。

新華社によると、昆明市の市長は、市民の反対が多ければ計画を中止する方針を表明した。

中国ではパラキシレンは非常に毒性の高いものとの認識があり、各地で反対運動が起こっている。

2006年11月に台湾資本のDragon Group(騰龍グループ)が福建省厦門の海滄投資区で芳香族とPTAプラントの建設に着工した際に、「事故が起こると何千トンもの毒物が放出される」といった内容の記事がインターネットに次々掲載され、反対運動が広がったのが始まりである。

2007/6/11 中国のインターネット反対運動が石化計画を止める

2011/8/15 中国・大連で化学工場の撤去求め デモ

2012/10/30   寧波で大規模デモ受け、SinopecのPX増設取り止め

四川省成都市でも5月4日、PetroChina が建設中の成都彭州石油化学に反対するデモが呼びかけられたが、地元当局が「地震対策訓練」に名を借りて警察官を大量動員し、抑え込んだという。

成都彭州石油化学はPetroChinaが75%、成都石化(PetroChina と成都市のJV)が25%出資する。
80万トンのエチレンコンプレックスに加え、10百万トンの製油所を建設するもの。

住民は空気と水の汚染を懸念するとともに、地震の巣である地域での建設に反対している。
彭州市は、2008年に死者行方不明9万人を出した四川大地震(中国では汶川大地震)の震源地の汶川県と同じ断層帯にある。

PetroChinaでは、この計画は中国の環境当局とNDRCの承認を得ており、地震に対しても評価を受けているとし、空気と水の問題は重視しており、もし環境問題が発生すれば工場を停止すると約束した。

ーーー

2012年7月には江蘇省南通市にある王子製紙の工場から出る排水が環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、住民1万人以上が抗議デモを始めた。

南通市政府が経済技術開発区に王子製紙などを誘致する際、廃水を南通市が建設する約100kmのパイプラインで黄海に排出すると約束していた。完成後、王子製紙の工場から1日15万トンが排水される予定だった。

住民の反対を受け、南通市政府はパイプライン建設計画を「永遠に」取り消した。

2012/8/1 王子製紙の排水に抗議、中国江蘇省でデモ 

 

 

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