「no」と一致するもの

Dow Chemical は3月14日、昨年12月の投資家フォーラムで説明したポートフォリオマネジメントの推進案(今後 24か月で非中核事業資産を10億ドル売却)を更に推し進め、1年半で15億ドル以上の資産を売却すると発表した。

更に、売りに出す事業として、PP Licensing and Catalysts 部門と Plastics Additives 部門を挙げた。

PP Licensing and Catalystsは下記のPP技術、触媒を扱っている。
  UNIPOL PP 技術
  SHAC Catalyst
  CONSISTA D7000 Donor
  Advanced Donor Technology (ADT) 
  (Donorは触媒性能を向上させる添加物で、下記組み合わせで使用)

ダウは資産価値を最適化し、利益が高く成長が早い分野で主導的地位を確保するため諸手段を講じている。

2009年以降、非中核事業の売却で約80億ドルの収入を得ており、本年に入り、P
lastics Additives 部門のメチルスズ安定剤と固体潤滑剤事業をPMC Group に売却し、日本ユニカーの50%持株も売却した。

2013/2/6     Dow、日本ユニカー持株を売却

Liveris CEOは、同社では現在、全ての事業の見直しを行い、事業価値の最適化を図っており、戦略に合わないものや採算が合わないものを洗い出していると述べた。

ーーー

同社は2008年にRohm & Haasの買収を決め、その資金のソースとしては K-Dow Petrochemicals(Dowの石油化学部門を分離し、KuwaitのPICとの50/50JVとするもの)のPIC支払額を充てることにしていた。

しかし2008年末のJV設立間際にPICが撤退を決めたため、Dowは資金繰りに窮した。

最終的には借り入れや事業売却収入によりR&Hの買収を行ったが、債務は急増、格付けは低下し、史上初の減配を行った。

なお、PICのK-Dowからの撤退に対する損害賠償を巡る争いについては、国際商工会議所の国際仲裁裁判所は2012年5月、PIC側に責めがあると認定し、PICに対しDowへの21.6億ドルの損害賠償支払いを命じた。

金利と費用の額が未定であったが、国際仲裁裁判所は2013年3月4日、金利と費用を318百万ドルと決めた。これを加えると合計24.8億ドルとなる。

これらの経緯については 2012/5/25     Dow、石化JV中止問題での調停で勝利、21.6億ドルを獲得

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Dowでは昨年1年間で40件程度の計画中止、工場閉鎖を行い、コストダウン、支出削減、利益率向上を図っているが、今後の非中核事業売却や、PICからの損害賠償の入金などで、同社の資金繰りは急激に改善する。

同社では資金使途について、以下の通り説明している。

1)借入金の返済 

借入金は210億ドル残っている。

2)株主への配当増

3)成長のための投資

 A) 原料の有利性を利用した石化事業

  ・シェールガス利用のガルフコースト石化事業

  ・サウジ石化計画(AramcoとのJV:2015年下期生産開始)

 B) 高収益事業

   AgroSciences、Electronic Materials、Performance Packaging など

なお同社は、成長分野であっても、代替エネルギーのような、市場変化や政府の方針により大きく変動するような分野の計画からは撤退するとしている。

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本年2月初旬に、DowがLanxessを買収するとの噂が流れ、Lanxessの株価が上がった。

Dowではこれに対し、No comment としたが、合わせて、余剰資金は借入金返済と株主への配当に使うと述べた。



イラン産天然ガスをパキスタンに輸出するパイプライン(Peace Pipeline)の起工式が3月11日、両国国境に近いイラン南東部Chabaharで両国大統領が出席して開かれた。

パイプラインはイラン南部のAsaluyehからパキスタン南部Nawabshahまでの約1880kmを結ぶもので、日量2150万立方メートルのSouth Pars ガス田の天然ガスを輸出する。

South Pars ガス田は世界最大のガス田で、イランとカタールの領海にまたがっている。(カタール側はQatar North Field

イラン側はほぼ完成しており、未着工のパキスタン側の約780kmをイランとパキスタンの企業が2014年末までに完成させる予定。
総工費は75億ドルで、パキスタン側の建設費は約15億ドル。このうち3分の1をイランが融資する。

イランの最高指導者ハメネイ師は2月下旬にパキスタンのザルダリ大統領と会談し、5億ドルを融資することを約束した。
残りの5億ドルは中国からの融資、5億ドルは電力料金値上げで賄う計画とされるが、実際に手当てできるかどうか、疑問との声もある。

パキスタンは米国に配慮し、また資金不足もあって、自国内でのパイプライン建設をためらってきたが、国内の電力不足の解消のため容認に転じた。東部パンジャブ州では停電が多発し、工場の支障が出ている。

パイプラインが完成すれば、核開発を巡って欧米の制裁下にあるイランが外貨を獲得する手段となり得る。制裁が骨抜きになる可能性があるため米国は強く反発しており、パキスタンとの間の火種となる可能性がある。

米国務省報道官は3月7日の記者会見で「パキスタンがエネルギー需要を満たすうえで解決方法はほかにある」と発言。イランとの計画を断念し、トルクメニスタンやアフガニスタンからガスを調達するよう促していた。

米国務省報道官は3月11日の記者会見で、「この計画が実際に前進すれば、制裁の引き金になるという深刻な懸念を持っている」と述べ、パキスタンへの制裁発動の可能性もあると警告した。

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パイプラインの交渉はイランとパキスタンの間で1994年に始まり、1995年に予備契約が締結された。
その後インドへの延長構想が生まれ、1999年にはイランとインドの間で予備契約が締結された。
イランは中国やバングラデッシュにも参加を呼びかけている。

インドは2008年10月に米国との間で原子力協力協定を署名した後、2009年に価格問題と安全保障問題を理由に、この計画から撤退した。

既報の通り、中国はパキスタン南西部のGwadar港の港湾管理権を取得した。

Gwadar港からパイプラインでカラコルム・ハイウェイを通って新疆ウイグル自治区の喀什市(カシュガル、Kashgar)まで結ぶKashgar Corridor構想があり、将来これが実現すると、イランの天然ガスを直接中国に受け入れることも可能となる。

2013/2/20 中国、パキスタンのグワダル港の運営権を取得 

中国はイランの天然ガス開発にも参加している。

2009/6/12 中国CNPC、イランで天然ガス開発

 



 

世界最大の太陽光発電モデュールメーカーSuntech Power(尚德太陽能電力有限公司)が倒産の危機に瀕している。
無錫市政府の持株会社である
無錫国聯発展集団が株式を取得し、事業再編を主導する計画との噂が流れている。

同社は今週末に541百万ドルの転換社債の返還を控えているが、資金繰りに困っている。

付記

中国江蘇省無錫市の中級人民法院は3月20日、「破産法」の関連規定に基づき、Suntech Powerの破産・再編手続きを決定した。
3月15日に償還日を迎えた転換社債541百万ドルが債務不履行(デフォルト) となり、2月末で合計71億元(約1,065億円)の貸出残を持つ中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行など9行が申請した。

今後は地元当局主導による再建が図られる見通し。

同社は2008年に欧州で太陽光発電プロジェクトを行うGlobal Solar Fundに80%出資(他にSuntech CEOの施正栄が10%出資)し、製品を供給し、保証も行ってきたが、昨年7月、これらの担保として受け取っていたドイツ国債560百万ユーロが偽物であることが分かったと発表した。Global Solar Fundの10%を所有し、会社の運営に当たっていたJavier Romeroに騙されたとされる。

この結果、事業の不振が続く中で資金が急速に減少した。

同社の取締役会は先週初めにCEOの施正栄会長から会長職を奪うとともに、会社と会長の取引関係を調べるよう命じた。

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同社は3月12日にアリゾナ州Goodyear市の工場を閉鎖すると発表した。
同工場では中国から輸入した太陽光発電セルをアルミ枠にはめ、配電盤を設置して、 "Buy American" 基準に合致する太陽光発電パネルとしている。

過当競争で製品価格が大幅に下落するなか、米国政府は昨年11月に中国製の太陽電池及びモデュールに反ダンピング関税と相殺関税を課すことを決定、Suntechは合計で35.97%の課税となり、同工場は、主材料の大幅コストアップで操業継続が困難になった。
同工場は2010年10月に生産を開始、2011年の生産は50メガワットであったが、昨年11月には年率15メガワットにまで減っていた。

2012/11/14 太陽光パネルを巡る貿易戦争

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Suntechの創設者でCEOの施正栄(Shi  Zhengrong )は豪州のニューサウスウェールズ大学の太陽光発電工学最先端技術センターの薄膜太陽電池研究グループの上位研究担当科学者及びリーダーを務めた後、2001年9月にSuntech Powerを設立した。2005年にはNew York証券取引所に上場した。

同社では2011年に3つの世界No.1に輝くとしている。

年間生産量 2.2GW (2008年から結晶系モデュール年間生産量4年間連続世界一) 

年間出荷量 2.1GW (2010年、2011年と2年連続で太陽光発電モデュール出荷量世界No.1)

累積設置量 7.0GW (2011年10月に世界で初めて累積5GWを達成、2012年8月に7GWに達した)

 



経済産業省は3月12日、愛知・三重県沖の海底にある「メタンハイドレート」からガスの取り出しに成功したと発表した。
水深約1000メートルの海底から330メートル掘り進めたところに分布するメタンハイドレートを減圧して水とガスに分解し、回収した。

水をくみ上げて井戸の周辺の圧力を減らし、これによりメタンハイドレートの分解を促し、気化したメタンガスを回収する。

減圧開始から約4時間後の午前9時半ごろにガスの産出を確認した。

海底からガスを取り出すのは世界で初めてで、取り出したガスを燃やして出る炎も確認された。

資源エネルギー庁は1月29日、渥美半島から志摩半島の沖合(第二渥美海丘)において、海底面下のメタンハイドレートを分解し天然ガスを取り出す、世界初の海洋産出試験を実施すると発表した。

試験時期は2013年1~3月末の予定で、石油天然ガス・金属鉱物資源機構が事業主体となり、石油資源開発がオペレーターとなる。
地球深部探査船「ちきゅう」が清水港を出港し、1月28日、試験地点にて準備作業を開始、3月12日に世界初の海洋産出試験を開始した。

2013/1/31 メタンハイドレート海洋産出試験の実施 

今後2週間ほどかけて数千~数万立方メートルのガスを取り出す計画で、 経産省では今回の結果をもとに2018年度までに生産技術を確立し、国産燃料のためのガスとして生産する目標を掲げている。

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経済産業省は2009年3月、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を取りまとめ総合海洋政策本部会合で了承を得た。

本計画は、2008年3月閣議決定の海洋基本計画に基づき、メタンハイドレート及び海底熱水鉱床の実用化に向けた探査・技術開発に係るロードマップ等を示した。

 

メタンハイドレートは、低温かつ高圧の条件下で、水分子の立体の網状構造の隙間にメタン分子が入り込み氷状の結晶になっている。

安定しているメタンハイドレートを分解させるためには、メタンハイドレートを含む地層の「温度を上げる」(加熱法)か「圧力を下げる」(減圧法)というオペレーションが考えられる。
加熱法はエネルギーを得るためにエネルギーが必要で、効率が悪い。

  メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム


2002年、5カ国(日本・カナダ・米国・インド・ドイツ)、7機関(JOGMECの前身の石油公団を含む)の共同研究として、カナダ北西準州のマッケンジーデルタ地域マリックサイトにおいて、第1回陸上産出試験が実施された。
加熱法の一種である「温水循環法」が選択され、約470m3のメタンガスを生産することに成功した。

2008年3月、石油天然ガス・金属鉱物資源機構がカナダの天然資源省との共同研究で、減圧法により、カナダ北西部のBeaufort 海沿岸陸上地域で、永久凍土の地下約1100mに存在するメタンハイドレート層からメタンガスを産出する試験を実施し、メタンガスを連続的に生産することに成功した。

このほか、清水建設が2009年3月、ロシア科学アカデミー陸水学研究所、北見工業大学及び北海道大学と共同で、バイカル湖水深約400mの湖底で、湖底表層に閉じ込められたメタンハイドレートから、ガスを解離・回収する実験に成功した。

ーーー

商業化にはコストが壁となる。

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムの試算では、開発コストは100万BTU当たり30ドル前後で、現時点でのLNG輸入価格の2倍となる。生産量が予想を下回ると60ドルまで上がる。
産出規模が大きくなり、技術革新が進むと15.8ドル程度ま下がるという。(日本経済新聞 2013/3/13)

米国のシェールガス価格は4ドル程度で、LNGでの日本向け輸出が認められると、LNGへの加工費が約 3ドル、輸送費がメキシコ湾岸からなら約3ドルで、合計10ドル程度で輸入できることとなる。

「国産燃料の切り札」とか「天然ガス消費量100年分」などの見出しの記事が見られるが、メタンハイドレートが国産燃料のためのガスとして利用できるまでには、まだまだ技術革新が必要であろう。


 


SABICは3月3日、同社とSinopecが共同で計画していたTrinidad and Tobagoでのメタノール計画を取り止めると発表した。

同国政府との間で原料の天然ガスの価格と供給条件で合意に達せず、交渉を中止することで合意したとしており、SABICとSinopec側は状況が変われば交渉を再開したいとしている。

同国政府は、この計画は、天然ガスを原料に、メタノールから更にメタノール誘導品、Methano--to-Olefinsによるポリエチレン、ポリプロピレンまでを含む一連の計画の中枢の計画であるとし、計画遂行のため他のパートナーを探したいとしている。

入札の第二位はNational Gas Companyであった。

他の参加者には以下の各社がある。
 Celanese
 Methanol Holdings Trinidad Ltd (MHTL)
 Integrated Chemicals  (ICCL:米国):三菱ガス化学、Neal and Massy of Trinidad and Tobagoと提携
 Saudi International Petrochemical (SipchemとJapan-Arabia MethanolのJV):三井物産、ダイセルと提携

ーーー

2012年2月、SABICとSinopecは共同で53億ドルを投じてTrinidad and Tobagoでメタノールコンプレックスを建設する件で同国政府との交渉を開始した。両社は他の各社も入った入札で一番札となった。

SABICとSinopecは2012年1月14日、新規事業開発に関する協力覚書を締結している。

具体的な計画は明らかにしていないが、地元紙はMethanol-to-olefins (MTO) と Methanol-to-petrochemicals (MTP) が含まれていると報じている。同地の天然ガスを原料とするもので、立地はPoint Lisas。

2012/2/15  SABIC/Sinopec のTrinidad and Tobagoメタノール計画

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当時、本計画の入札の透明性についてTrinidad and Tobago で論争が起きていた。野党議員も、Sinopecが参加することを知らなかったと述べ、交渉内容を明らかにするよう求めた。

米大使は政府に書簡を送り、米国企業などの競合相手を抑えてSABICを選ぶことに懸念を表した。日本大使館も懸念を表する書簡を送ったとされる。

もう一つの問題は原料の天然ガスの価格の大幅値引きである。
SABICはNYMEXでの天然ガス価格が当時 100万BTU当たり2.48ドルであるのに対し、1ドル以下を要求していると伝えられている。
これは第二位の
National Gas Companyの求める価格より36%低いもので、国内メーカーよりも極端に安い価格を外国企業に認めるのはおかしいとの声が出ていた。

計画によれば日量225百万立方フィートの天然ガスが必要だが、SABIC/Sinopec側は政府が十分な量の天然ガスを供給できるのか疑問を持ったとされる。




石油資源開発(JAPEX)は3月4日、マレーシアの国営石油会社 Petronasとの間で、Petronasが推進するカナダBritish Columbia 州でのシェールガス開発・生産プロジェクトおよび同州西海岸で検討中のLNGプロジェクトに参画することで基本合意したと発表した。

同州North Montney地域におけるシェールガス鉱区の10%権益を取得するとともに、同州西海岸におけるPacific Northwest LNG Project(生産量1,200万トン/年)の10%権益と同権益比率相当のLNG(120万トン/年)を引き取る権利を併せて取得する予定。

石油資源開Petronasと組んで、イラク南部のGharaf油田を開発している。

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

海外事業シフトを進める石油資源開発と、日本向けのLNG販路を確保したいPetronasの思惑が一致した。

計画概要は以下の通り。

1)シェールガス鉱区

North Montney地域のAltares、Lily、Kahta鉱区。
現在、Petronasが天然ガスを生産し、AECOハブ(西カナダの主要ガス市場)で販売中。

2)LNG計画

Prince Rupert 市のLelu島で年1,200万トンプラントを計画しており、2018年末に生産開始の予定。
上記の鉱区からガスパイプラインで結ぶ。

ーーー

Petronasは2011年6月2日、カナダのProgress Energy Resources Corporation との間で、British Columbia州のNorth Montney地域のAltares、Lily、Kahtaのシェール鉱区の権益の50%を10.7億カナダドルで取得する契約を締結した。Progressが運営する。
これはPetronasにとってカナダへの初進出となる。

上記に加え、LNG輸出計画も合意した。これは西海岸にLNG基地を建設、運営するもので、Petronasが80%、Progressが20%出資し、Petronasが運営を担当、Petronasの世界のLNG市場の需要家ネットワークを使い、共同でLNGを輸出するもの。


その後2012年6月に、PetronasはProgressを55億カナダドルで買収することで合意した。

しかしカナダ政府は2012年10月、カナダにとって"net benefit"でないとして、買収不承認を決めた。

これに対し(Bloomberg Newsによると)、マレーシアのRazak首相がカナダのHarper首相に親書を送り、Petronasが今後30年にわたり、Progressの事業に680億~700億ドルを投資すると伝え、マレーシア政府はPetronasの意思決定や事業に関与しないとして、買収の承認を求めた。

カナダ政府は2012年12月7日、中国海洋石油(CNOOC)によるNexen買収と、PetronasによるProgress Energy Resources の買収を承認した。

 CNOOCによるNexen買収は、カナダの承認の後、2013年2月12日に米政府の外国投資委員会から承認を受け、2月26日に買収を完了した。

承認に当たり、カナダのHarper首相は以下の通り述べた。

カナダは事業を解放しているが、これはカナダを外国政府に売り渡すということではない。(We do not mean that Canada is for sale to foreign governments.)

一連の外国の国営企業による大規模な買収で、産業が自由市場産業から外国政府の管理下の産業に変換する恐れがある。

カナダ政府は、これ以上の外国政府管理下のオイルサンド開発はカナダの利益にならないところまで来たと考える。

この決定を受け、Petronasは12月12日、Progress Energy の買収を完了した。

 ーーー

カナダ西海岸のアジア向けLNG輸出計画については 
  2013/2/1    出光興産とAltaGas、カナダ産LNG、LPGのアジア向け輸出共同事業でパートナーシップを締結
 




3月5日のニューヨーク株式市場は、アメリカの景気や企業業績の回復への期待を背景に、取引開始直後から多くの銘柄に買い注文が広がり、ダウ平均は史上最高値を更新した。

ダウ平均は一時 14.286.37ドルをつけ、過去最高の2007年10月11日の 14,198.10ドルを5年5か月ぶりに更新した。終値も 14,253.77ドルとなり、2007年10月9日の14,164.53ドルを更新した。

先週から高値が続いていた。

     終値    一時  
過去最高  14,164.53
(2007/10/9)
   14,198.10
 (2007/10/11)
 
       
2/27  14,075.37    
28  14,054.49    
3/1  14,089.66    
4  14,127.82    
5  14,253.77    14,286.37  
       

付記 その後も14日まで、最高値更新が続いた。

  終値 一時  
3/6 14,296.24 14,320.65  
7 14,329.49 14,354.69  
8 14,397.07 14,413.17  
11 14,447.29 14,448.06  
12 14,450.06 14,478.08  
13 14,455.28    
14 14,539.14 14,539.29  



これに対し、3月5日の東京株式市場では、日経平均株価は11,683円45銭となり、2008年9月29日(11,743円61銭)以来、約4年5カ月ぶりの高値を付けた。(レーマンショック前の2007年の最高値 18,300円39銭にははるかに及ばない。)

しかし池田信夫ブログは、「最近の日経平均の動きは為替に比べても上ぶれしており、これは日本経済の実態を反映しないバブルである」としている。

「今まで日本株は出遅れていたので水準訂正するのは理解できるが、日経平均はPERでみると25倍を超えており、NYダウ(12倍)や(ロンドン市場の)FT100(11倍)の2倍以上である。」






 

イタリア総選挙の結果、下院では中道左派が過半数を獲得したものの、上院では過半数を得られなかったため、ユーロ危機が再燃するとの懸念が高まった。

PIIGS諸国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)に対する不安はまだ解消していない。

その中で、2013年2月15日付 英Financial Times は、ユーロ圏の中核諸国の基本的な成長展望に関する長期的な強い不安感から、PIIGSだけでなく、FISH(フランス、イタリア、スペイン、オランダ)が問題になっていると報じている。

主要国のなかで、これら4国はユーロ高と不況に悩んでおり、ドイツの独り勝ちとなっている。

2013年2月に発表されたEU各国の経済数値の予測では、以下の通りとなっている。

1)GDP:2012-13年はフランスがほぼゼロ、イタリア、スペイン、オランダはマイナス。

2)失業率:ドイツ、オランダ以外は10%超、スペインの失業率が高い。

3)財政赤字:ドイツ以外は全て赤字、特にスペインの赤字が大きい。

Morgan Stanley は2月4日のReport "Strategy and Economics"で、通貨ユーロの分析を行っている。

消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)を組み合わせたPurchasing Power Parity (PPP) による計算では、1ユーロは1.33米ドルとなり、現状の1.304ドルとほぼ近い。

Morgan Stanleyではユーロ各国それぞれのユーロの適正価値を、相対的な成長率、賃金コスト、輸出成長率という3つの指標を使って推定した。

それによると、以下の通りで、ドイツとアイルランド、オーストリアの3国以外は全体平均の1.33ドルを下回っている。(各国にとりユーロは過大評価となっている。)

ドイツは1.53ドルで13,2%の過小評価だが、FISH各国はそれぞれ、7.8%、12.1%、5.4%、9.1%の過大評価となっている。

現在のレートでは、ドイツはユーロ安の恩恵を大きく受けているが、逆に、他のFISH諸国はユーロ高で苦しんでいることが分かる。

このままでは格差は更に広がることとなり、現在PIIGSで進めている財政赤字削減策だけでは問題は解決できない。

 

なお、Paul Krugmanは "End this depression now" のPaperback版の序文で、IMF、欧州中央銀行とECのトロイカがギリシャなどに要求している緊縮策は最悪で、患者を殺す処方だとしている。







SinopecとChesapeake Energyは2月25日、SinopecがChesapeake Energyの持つオクラホマ州北部のMississippi 石灰層(Lime play)の石油・天然ガスの85万エーカーのリース権の50%を購入する契約を締結したと発表した。

対価は現金10.2億ドルで、契約成立時に約93%を支払う。

同リースでの生産量は2012年第4四半期で原油換算で日量34千バレルで、確認埋蔵量は約140百万バレル。

今後の開発費用は折半負担で、Chesapeake がJVの操業、販売の全業務を担当する。


 

Sinopecは2012年1月、独立系石油会社Devon Energyの5つの新しいシェール鉱区の権利の1/3を22億ドルで取得する契約を締結している。

対象となるのは次の5つ。
  
Tuscaloosa Marine Shale 
  Niobrara 

  Mississippian:デボン紀後半~ミシシッピ紀(石炭紀)前半の地層
  Ohio Utica Shale 
  Michigan Basin 

2012/1/9 PetroChina、カナダのオイルサンド権益を100%にアップ、Sinopecは米のシェールガスの権益取得

ーーー

Chesapeake Energyについては、2012/5/9   Chesapeake Energyの混乱

同社の主な活動地域は下記の通り。今回のMississippi Lime playはAnadarko Basin にある。

このうち、Eagle Ford Shale については中国のCNOOCが60万エーカーのリース権益の33.3%を購入している。

2010/10/18  CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加

日揮は2011年6月、Chesapeake Energyからテキサス州 Eagle Ford シェールの権益の10%を65百万ドルで譲り受けた。

BHP Billitonは、Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収した。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

 




PetroChinaは2月20日、ConocoPhillipsから西オーストラリアの2つの権益を取得する契約と、四川盆地の内江-大足地区の非在来型資源探査の共同研究契約を締結した。

西オーストラリア

1)Browse BasinのPoseidon油田の権益の20%取得

Browse Basinには下記の3つの鉱区がある。

  油田 Operator

権益

ConocoPhillips Karoon Gas
WA-314-P   ConocoPhillips 10% 90%
WA-315-P Poseidon-1 60% 40%
WA-398-P Poseidon-2  
Kronos-1


今回、PetroChinaはPoseidon油田の権益の20%を取得した。

2)内陸のCanning BasinのGoldwyer Shaleの権益の29%を取得

権益:ConocoPhillips 75.0%
    New Standard Onshore 25.0%

2012年に試掘を開始、現在はNew Standard OnshoreがOperator だが、試掘の初期段階の完了後はConocoPhillipsがOperatorとなる。

今回、PetroChina は権益の29%を取得した。


中国

四川盆地の内江-大足区(Neijiang-Dazu Block)で非在来型資源探査の共同研究を行う。

両社は同地区の約50万エーカーで非在来型資源の探査を行い、技術的、商業的に見込みがあれば、共同研究期間中に合意する予定の生産物分与契約の下で開発に移行する。

ーーー

U.S. Energy Information Administration.によれば、中国のシェールの埋蔵量は通常の天然ガスの埋蔵量の12倍もあり、技術的に採掘可能な埋蔵量は米国のそれより50%も多い。
四川盆地は米国エネルギー省の報告でもシェールガスの可能性を認めている。



中国のPetroChina、Sinopec、中国海洋石油(CNOOC)は競って北米のシェールオイルやオイルサンド事業に参加している。

2005/4 中国海洋石油 カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収
2009/9/10 PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 Athabasca Oil Sands
2005/6 SinopecNorthern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
2009年に50%にアップ
2010/4/16 Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada
2010/10/18 CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加 Niobrara shaleを追加
2011/2/16 PetroChina、カナダの天然ガス権益取得
2011/7/22 中国海洋石油、カナダのオイルサンド企業を買収
2012/1/9 PetroChina、カナダのオイルサンド権益を100%にアップ、Sinopecは米のシェールガスの権益取得
2012/2/7  Shell とPetroChina、非在来型ガス開発での提携強化 (カナダと米国)
2012/7/31  中国石油大手による買収 続く (CNOOCによる Nexen買収:2013年2月12日、米政府承認)


これには、事業参加によって技術を取得し、中国のシェール開発に役立てるという目的もある。

 


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