「no」と一致するもの

台湾の立法院(国会)は8月17日夜、6月29日に中国と締結した中台経済協力枠組み協定(Economic Cooperation Framework AgreementECFA)を賛成多数で承認した。
中台双方は9月にも協定を同時発効させる見通しで、来年1月以降、双方の計806品目が段階的にゼロ関税となる。

中国の海峡両岸関係協会と台湾の海峡交流基金会は6月29日、重慶市で両岸経済協力枠組み合意(ECFA)と両岸知的財産権保護協力合意にそれぞれ調印し、文書を交換した。

「枠組み協定」とは正式な協定を結ぶ前にルールを定めるもので、正式な協定を結ぶまでの協議に時間がかかるため、実際の需要を考慮して、双方が最も切迫し、なおかつ双方のコンセンサスが得られている工業品項目の関税減免などについて部分的なものから関税の早期引き下げ(Early Harvest)を得る。

ECFAは序言、5章16条、5つの付属文書からなり、主な内容は経済、貿易、投資の各分野における双方の協力強化、貨物貿易とサービス貿易の一層の自由化促進、公平で透明かつ簡便な投資メカニズムと保障メカニズムの段階的構築、協力メカニズムの構築など。

主な内容は以下の通り。
1. 両岸の協力措置
  1) 実質多数の貨物貿易の関税及び非関税の障壁を逐次減少又は廃止する。
  2) 多数部門にわたるサービス貿易の制限的措置を逐次減少又は削除する。
  3) 投資の保護を提供し、相互投資を促進する。
  4) 貿易投資の利便性、産業交流及び協力を促進する。
2. 貿易と投資
  1) 貨物貿易
    貨物貿易協定に組み入れられた商品は「ゼロ関税商品」、「段階的に関税の引き下げをする商品」、「例外商品及びその他商品」の三種類に分かれている。如何なる片方も貨物貿易協定に規定された関税譲許の承諾に基づき、自主的に関税引き下げの加速化を実施してよい。
  2) サービス貿易
    制限的措置を減少又は廃止し、サービス貿易の奥行きと幅広さを拡大、サービス貿易における双方の協力を増進する。如何なる片方もサービス貿易協定に規定された開放承諾に基づき、自主的に制限的措置の開放を加速し、又は廃止してよい。
  3) 投資
    投資保障メカニズムを確立し、関連する投資規定の透明度を高め、投資制限を逐次減少し、投資の利便性を促進する。
3. 経済協力
    知的財産権の保護を強化し、金融、貿易、税関、電子ビジネスなどの分野における協力を促進し、中小企業同士の協力を推進、中小企業の競争力をレベルアップし、相手方における経済貿易団体の事務所等の機構設置を推進する。
4. 関税の早期引き下げ(Early Harvest)について
  1) 貨物貿易
    添付資料1に列記された商品に対し発効後6ヶ月以内に実施する。

中国側が石油化学製品(石油化学およびプラスチック原料を含む)、紡織、輸送機器(自動車部品を含む)、機械(工具機を含む)など539品目、138億4000万ドル相当、
台湾側が267品目の28億6000万ドル相当、
合計806品目、貿易額で計約167億ドル分の関税について、2011年から段階的に引下げ、2013年1月までにゼロ関税を実現することに合意した。

中国の対象製品の関税引き下げは以下の通り。

2009年関税率 1年目 2年目 3年目
0<X<5 0    
5.1<X<15 5 0  
15.1<X 10 5 0

(関税番号→製品名は http://www.customs.go.jp/yusyutu/2010/index.htm 参照)

中台間の自由貿易協定構想は、2008年総統選に当選した馬英九(国民党)が目玉の経済政策として掲げた。

馬英九政権は、発足直後から中国との経済関係拡大に積極的な姿勢を示し、三通(通商、通航、通郵)の実現、中国観光客への開放、中国資本の受け入れなどを推し進めた。

背景には、2010年にASEAN自由貿易地域(AFTA)で関税撤廃がなされる一方、台湾は他国とのFTA締結が困難な状況にあり、台湾経済の辺境化・孤立化に対する危機感があった。

中国とASEAN 10カ国は「中国-ASEAN包括的経済協力枠組み協定」を締結し、2010年から中国はASEAN 6カ国(インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ)と大部分の製品の関税の免税措置を実施し、さらに他ASEAN 4カ国(ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)も2015年にこれに続く予定。
 2009/10/27 中国・ASEAN自由貿易地域 来年スタート

2009年の台湾の中国向け輸出は857.2億ドル、輸入は205.1億ドルであった。

ASEANと中国が相互免税措置を実施した場合、台湾の輸出産業が大きな衝撃を受ける。
台湾の石油化学、機械製品の中国へ輸出される割合は43%および27%で、それぞれ平均6.5%、8.23%の高関税が課せられている。このままでは、台湾はASEAN製品との競争によって、約5.7万人および約32.7万人の就労者数がそれぞれ衝撃を受けることになる。

ECFA締結を統一への足がかりとしたい中国は、台湾の要求をことごとく受け入れて大幅に譲歩したため、中国国内に「譲歩しすぎた」との批判も出た。

中国台湾の18品目の農漁産品をアーリーハーベストに加えることに合意したが、台湾は中国大陸産の農産品の輸入品目の拡大を行わないことおよび中国大陸住民の労働者の来台就労を解禁しないことが確定、中国のほうがより多くの譲歩を強いられた形となっている。

台湾と競合する分野を多く抱える韓国企業は、「台湾企業の技術レベルは韓国とほぼ同じで、電子、機械部品などの韓国メーカーはいずれもシェアを奪われることを心配している。」
2009年の韓国の中国向け輸出は1,025.5億ドル、輸入は536.8億ドルであった。

中央日報は「最善の策は、早急に中韓自由貿易協定を締結し、影響を最小限に止めること」としている。
駐中国韓国大使は、来年から中韓自由貿易協定(FTA)の交渉が始まるとの見通しを示した。

丹羽宇一郎新駐中国大使は7月23日の会見で、中国が6月に台湾と経済協力枠組み協定を結んだことや、韓国も中国とのFTA締結に意欲を見せていることを指摘し、「日中のFTAを進めないと日本は沈没する」と懸念を表明。産官学共同研究が行われている日中韓のFTAについても、「協議を10年もやっているのに何もできていない」と不満を述べ、「市場を日本が見逃してはいけない」と強調した。



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中国産業情報部(Ministry of Industry and Information Technology)は8月5日、公告111号を出し、国務院の指令(老朽設備の廃棄指令、廃棄物削減強化指令、2010年老朽設備廃棄指令)に基づき、セメント、コークス、鉄鋼、製紙、染色を含む18産業の2,087社に対し、老朽設備を9月末までに停止するよう命じた。

対象設備は汚染やエネルギー浪費のひどいもの、安全基準に適合しないものなど。

この中には河北鋼鉄集団子会社の邯鄲鋼鉄集団のSteel 90万トン、同じく子会社の承德新新Vanadium and Titanium と河鋼集団宣化鋼鉄のIron それぞれ35万トンが含まれている。

命令に従わない場合、廃水処理ライセンスの取り上げ、借入制限や事業免許取り上げなどのペナルティを科せられる。

中国は環境問題や資源不足に直面し、厳しい省エネ基準や環境基準で製造部門のアップグレードと、余剰設備の閉鎖を図っている。

2009/10/19 中国政府、過剰能力是正に注力

並行して、政府は粗鋼では年産100万トン以下、高級スティールでは年産30万トン以下の製鉄所を閉鎖と、鉄鋼部門の統合を図っている。

対象は以下の通り。(社名、廃棄設備・能力は記載のアドレスをクリック)

分 野 社数 社名、廃棄設備・能力 能力合計
1 (Iron) 175 広西柳州鋼(集団) 200万トン
天津友発集団天豊鋼鉄 90万トンほか
50万トン以上は22社、20万トン未満120社)
 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333175.html
 3,524.6万トン
(全体の5%)
2 鋼鉄 (Steel) 28 河北省辛集市澳森鋼鐵 108万トン
江西省新余鋼鐵集團公司 
100万トン
河北省河鋼集団邯鄲鋼鉄集団 90万トンほか
50万トン以上は8社、20万トン未満13社)
 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333206.html
876.4万トン
3 コークス 192 山西省豊焦化有限公司 50万トンほか
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333212.html
4 フェロアロイ 143 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333231.html
5 カーバイド 39 (全て4万トン以下)
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333237.html
74.5万トン
6 アルミ 17 (全て6万トン以下、1万トン未満が6社)
 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333241.html
37.1万トン
7 銅精錬 6 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333245.html
8 鉛精錬 17 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333251.html
9 亜鉛精錬 53 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333257.html
10 セメント 762 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333261.html 100百万トン
(全体の5%)
11 ガラス 19 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333265.html  
12 製紙 279 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333269.html
13 アルコール 38 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333273.html
14 MSG 
(グルタミン酸ナトリウム)
7 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333277.html
15 クエン酸 2 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333281.html
16 製革 84 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333291.html
17 染色加工 201 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333295.html
18 繊維 25 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333299.html

なお、政府は昨年、セメント 80百万トン、鉄 21.1百万トンを停止させている。

 


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第1四半期決算がほぼ出揃った。営業損益と当期損益の対比(3年間)を行った。

各社とも2009年1Qの業績を上回っており、赤字から大幅黒字に転換した会社が多い。
前々年(2008年1Q)の業績を上回る会社も多い。

問題は、下期もこの好調が続くのかどうかである。

既報の通り、三菱ケミカルは上期予想は上方修正したが、通期予想は「補助金打ち切りに伴う自動車減産の影響や、米国や中国の経済環境が心配」として据え置いた。   

エコカー補助金制度は予定通り9月末で終了するが、予算枠(約5837億円)を使い切れば終了する。
8月9日現在の残高は約944億円で、8月に入り1日25億円程度の申請のため、9月末までに終了する可能性がある。

トラックやバスなど事業用自動車向けのエコカー補助金は期限を9月末としていたが、予算枠(304億円)を使い切った時点で終了することとなっており、8月2日時点で302億円に達したため、8月3日午後5時で交付申請受け付けを終了した。

なお、家電エコポイントは2010年12月31日までとなっている。
また、住宅エコポイントは2010年12月31日までとなっていたが、国土交通省は最長で1年延長する方針とされている。

ーーー

営業損益

当期損益

三菱ケミカルホールディングスは営業損益では信越化学より多いが、当期損益では信越の下となっている。
これは、両社の税率は同じであるが、信越化学に移転価格税制による税金の還付があったことと、三菱ケミカルの連結損益には少数株主持分が大きいことが理由である。

営業
  損益
経常
  損益
税引前
  損益
税 金 税金
 還付
純利益 少数
株主
 持分
当期損益
信越化学   361   390   390  135  -107  362   5 357
三菱ケミカル 608 598   543  189 354 109 245

なお、積水化学の当期損益が-30億円となっているが、上半期予想は+60億円となっている。
(営業損益は第1四半期の+9億円に対し、上半期予想は+175億円)
第2四半期に、住宅と高機能プラスチックの利益の大幅増を見込んでいる。


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中国国家発展改革委員会(NDRC)は7月30日、スペインの石油・石油化学メーカーCEPSAの子会社ERTISAの上海ケミカルパーク(SCIP)でのフェノール/アセトン計画を承認した。

130百万ドルを投じて、年産25万トンのフェノールと15万トンのアセトンを製造する計画で、ERTISAが単独で投資する。

環境面の承認は2008年に受けており、当初は2009年スタートを予定したが、グローバルな経済危機で延期されていた。

2008/8/19 スペインのCEPSA、上海でフェノール/アセトン生産を計画

Sunoco/UOP法を導入し、原料のキュメンは当初、韓国・日本などから輸入する。
ERTISAは将来的にはキュメンを、シノペックと上海ケミカルパーク開発公社(SCIP Development Company) SECCOの隣りに建設を計画している10百万トンの製油所と100万トンのエチレンのコンプレックスから供給を受ける計画だが、このコンプレックスはまだNDRCの承認待ちの状況にある。

製品のフェノールとアセトンは同じ上海ケミカルパークのバイエルのポリカーボネート用に供給する。
バイエルの能力はBPA 20万トン、PC 20万トンとなっている。(当初
PC 10万トンであったが、その後倍増した。)
(当初、上海クロルアルカリが10%出資していたが、現在はバイエル100%となっている。) 

Ertisa はスペインのHuelvaに年産60万トンのフェノール、37万トンのアセトンの能力を持つ。

同社は20086月にBayerとの間でフェノールとアセトンの供給契約を締結した。契約数量は明らかにされていないが、バイエルの欧州、タイ、中国の工場に供給する。

バイエルのPC拠点

立地 PC能力 スペインからの輸送                   
Uerdingen, Germany  330千トン AntwerpLBC-CEPSA Tank Terminalsまで船輸送
タンクからパイプライン、貨車輸送
Antwerp, Belgium 240千トン
Map Ta Phut, Thailand 270千トン 船輸送
Shanghai, China 200千トン 船輸送
本計画完成後は上海工場からの供給に切り替え
Baytown, USA 350千トン (契約対象外)
合計 1,390千トン  

ーーー

上海ケミカルパークでは三井化学とシノペックのJVの上海中石化三井化工が年産25万トンのフェノールと15万トンのアセトンを建設することを決めた。2009年12月に検討覚書を締結し、検討してきたもので、8月4日に発表した。

上海中石化三井化工は又、シノペック上海中石化高橋分公司から上海ケミカルパークで稼動中のフェノール(12.5万トン)、アセトン(7.5万トン)と原料キュメン(162千トン)のプラントを引き継ぐ。
これらは同地区にある上海中石化三井化工の年産12万トンのBPAプラント向けに供給されている。
BPA浙江省嘉興市の帝人化成のPC 100千トン用に供給されている。) 
 

上海中石化三井化工
1. 所在地   上海市・上海ケミカルパーク
2. 出資比率三井化学 50:シノペック 50
3. 生産能力
   フェノール  アセトン  BPA
今回新設  25万トン  15万トン  
既設(上海中石化三井化工)      12万トン
既設(旧 上海中石化高橋分公司)  12.5万トン   7.5万トン  
合計  37.5万トン  22.5万トン  12万トン
4. 新プラントプロセス三井化学技術
5. 営業運転開始時期2013年第2四半期

2009/11/4  三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意

注)シノペック上海中石化高橋分公司は上海の高橋地区が本拠で、ここにフェノール/アセトン第一工場(年産6万トン)を持つ。
上海ケミカルパークにある第二工場を上海中石化三井化工に譲渡した。

ーーー

中国ではこのほかに、イネオスとシノペックが南京ケミカルパークでのJVを検討中で、能力はフェノール40万トン、アセトン25万トン、原料キュメン55万トンとなっている。

2010/1/7  INEOSとシノペック、南京にフェノールJV設立を検討

 


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韓国のKolonは先月、DuPontが米国の需要家にKolonのアラミドを購入しないよう、圧力をかけているとして、連邦裁判所に訴えた。

韓国の公正取引委員会は、韓国でKolonに対する独禁法違反行為がないかどうか、韓国DuPont の調査を開始した。
公取委では資料を収集している段階であるとしている。

アラミド繊維はDuPont(日本では東レ・デュポン)と帝人が世界の市場を二分しており、両社はアラミドペーパーで折半出資の合弁会社デュポン帝人アドバンスドペーパーを設立している。

Kolonは1979年にアラミドの基礎研究を開始、1994年に完成させ、2005末から商業生産を開始した。

3社の状況は以下の通り。

  パラ系アラミド メタ系アラミド
2009
年生産量
(新聞情報)
poly-p-phenylene-
terephthalamide
左に
ジアミノフェニレン-
テラフタルアミドを共重合
poly-m-phenylene-
isophthalamide
DuPont Kevlar®   Nomex® 28,000 t 
帝人    Twaron®
(オランダで生産)
テクノーラ®
コーネックス®
25,000 t 
Kolon Heracron®     2,000 t  
5,000t
増設計画)

Twaronについて:
Courtauldsの繊維部門Enkaが開発した。
DuPont
との特許紛争があったが、1988年に和解している。 

1987年に住友化学とEnkaが日本アラミドを設立した。
1998年にAkzoNobelCourtauldsを買収、EnkaCourtauldsの繊維、化学部門を統合してAcordis設立した。
Acordissは1999年にCVC Capitalが買収)

2001年に帝人がAcordisのアラミド事業を買収(日本アラミドも)。

ーーー

DuPontKolonが同社の技術を盗用していると主張してきた。

DuPont2007年に、同社を2006年初めに退職し、その後Kolonのために Aramid Fiber Systems LLCを設立した技術者の行動に疑念を持ち、FBIと商務省に懸念を伝え、共同で調査を続けた。

DuPont20092月にKolonを商業秘密盗用で訴えた。
KolonDuPont技術を密かに取得するため執拗に活動してきた。そのために以前のDuPontの従業員(複数)を採用し、また採用しようとしてきた」とし、「Kolonの製品のこの3年間の著しい改良はDuPont技術を違法に使用した結果である」と主張した。
問題の技術者は秘密情報を自宅のパソコンに入れており、これを
Kolonに渡したとされる。

逮捕された技術者は200912月に罪を認め、本年3月に懲役18ヶ月の判決を受けた。

これに対し、KolonDuPont技術の盗用を否定、自社技術で生産していると反論している。

ーーー

Kolon グループは1957年に Korean Nylon を設立した。1969年にはKorean Polyester を設立した。
1981年にそれぞれが改称していた Kolon (Nylon) Industries Kolon (Polyester) Industries が合併して Kolon Industries となった。

別途、
Kolon グループは1976年にKolon Chemical を設立した。石油樹脂からスタートし、SAP、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂に拡大した。中国の蘇州にフェノール樹脂のJVを持っている。
20076月、Kolon Industries と合併した。

現在、
Kolon Industries Chemical Material 部門で繊維、産業資材(aramidを含む)、フィルム、エレクトロニック資材、エンプラを、Performance Material 部門で石油樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を扱っている。

Kolon は高吸水性樹脂(SAPでは世界の6番目のメーカーであったが、2008年6月にLG Chem に売却した。

2008/6/30 韓国LG Chem、高吸水性樹脂に進出

 


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人民元の現況 - 化学業界の話題

The Economistは2010年7月のBig Mac Index を発表した。
   
http://www.economist.com/node/16646178?story_id=16646178

ビッグマックはほぼ全世界で同一品質のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすい。

7月21日の為替レートに基づき、各国のBig Mac の価格をドルに換算した。

米国(4都市の平均)は3.73ドル、これに対し日本は3.67ドル、中国は1.95ドルとなっている。

7月21日の円/ドルは87円で、かなり円高だが、Big Macでみる限りは妥当な為替レートということになる。

これに対し同日の人民元は、1ドル=6.7769人民元となっている。
Big Macで等価となるレートは1ドル=3.54人民元で、現在のレートは48%の元安となる。

ーーー

中国の中央銀行である中国人民銀行はG20サミットを控えた6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。
毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

しかし、初日の終値こそ基準値比 0.44%アップと上限に近いものとなったが、その後は政府が介入した結果、非常に緩やかな変動となっている。

これまでの最高は7月2日と12日の6.7711人民元で、6月18日比で0.83%上がっただけである。
8月5日終値は6.7719人民元で、6月18日比で0.81%アップに過ぎない。
  付記 8月6日終値は6.7683元で6月18日比0.87%アップの最高値となった。

今後、米国からの切り上げ圧力が強まると思われる。


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BPは8月3日、コロンビアで石油・ガスの採掘、生産、輸送事業を行う子会社BP Exploration Company (Colombia)を、コロンビアの国営石油会社Ecopetrolが51%、カナダの独立系石油・ガス会社Talisman49%出資するコンソーシアムに売却することで合意したと発表した。

売却金額は19億ドル(全額現金)で、年末までに取引完了の予定だが、12.5億ドルの頭金を受け取る。

BP Exploration Company (Colombia)5鉱区の権益を持ち、確認埋蔵量は石油換算で6千万バレル、生産量は日量25千バレルとなっている。また、Cusianaガス処理設備と、合計で原油1600km、ガス400kmのパイプラインの権益を持っている。

なお、コロンビアの潤滑油事業と、下流の販売事業は売却対象に含まれていない。

Talisman 1992年設立のカナダの独立系石油・ガス会社で、米国・カナダ、北海、東南アジア(インドネシア、マレーシア、ベトナム、豪州、パプアニューギニア)などで事業を行っている。

BP727日に、今後18ヶ月で300億ドルの事業を売却する計画を発表、既に米国、カナダ、エジプトの事業をApache Corporation 70億ドルで売却する契約を結んでいる。

 2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却

ーーー

BPは又、パキスタンとベトナム政府に対して、両国にある石油・ガス権益を売却する意向を伝えたことを明らかにした。

BPはベトナム沖のNam Con Sonガス計画の35%を保有、残りをONGCが45%、PetroVietnamが20%を保有している。
BPはまた、ガス田から陸上のターミナルまでの371kmのパイプラインの権利の一部と、ガスを使用するPhu Myの発電所の1/3の権利を所有している。

パキスタンでは、1社に認可された開発区域としては最大の深海鉱床を含む複数の油ガス田の売却を予定している。

インドの国営Oil and Natural Gas Corp(ONGC)はBPのベトナム権益買収で交渉していることを明らかにしている。同社はパキスタンの権益には関心を持っていない。

ーーー

シノペックは7月30日、同社による英BP資産の買収案が拒絶されたことを明らかにした。

シノペックの
Zhang Jianhua副社長は、「同社はBPの一部優良資産の買収について交渉を進めていたが、BPは売却に同意しなかった」と述べた。対象資産については明らかにしていない。

ーーー

なお、BPは中国海洋石油有限公司(CNOOC)との間で、アルゼンチン最大の原油輸出企業でチリ及びボリビアに石油・ガス資産を持つPan American EnergyのBP持ち株60%)の大半をCNOOC売却する方向で交渉を進めていると伝えられている。この価値は 90億ドル程度とされている。

Pan American Energyの残り40%はBridasが所有する。

Bridasはアルゼンチンのカルロス・ブルゲロン氏傘下のBridas Energy Holdings の子会社であったが、20103月にCNOOCはBridasの株式50%を31億ドルで購入、現在は、Bridas Energy Holdings 50%/CNOOC 50%となっている。


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第1四半期の決算の発表が始まった。
各社とも非常に好調で、多くの企業が本年度の損益予想を上方に修正している。

なお、各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。
(「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。従来よりも企業間の比較が難しくなる。)
前年同四半期についても、比較のためこれらの組替を行っている。

また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されるため、たな卸資産の評価方法を後入先出法としていた会社は、当期から総平均法に変更している。

いずれも国際会計基準に合わせるもの。

ーーー

住友化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q  496,349 24,656 25,337 15,077
09/1Q 340,771 2,303 3,205 -1,508
10/1Q 491,243 34,042 36,004 17,971
増減 150,472 31,739 32,799 19,479

当第1四半期連結会計期間より、たな卸資産の評価方法を後入先出法から総平均法に変更
これにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は、それぞれ1,493百万円増加している。

営業損益                億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
基礎化学 16 -21 41 62
石油化学 -7 -46 36 82
精密化学 13 -1 19 20
情報電子化学 72 -26 80 106
農業化学 58 63 69 6
医薬品 110 98 144 46
その他 -15 1 1 -0
全社 -0 -44 -48 -4
合計 247 23 340 317

全社共通研究費等の配賦方法の見直しを行った。(全社共通研究費を「全社」に)

Petro Rabigh の速報では、同社は本年3月に営業損益が黒字化し、4-6月は22百万ドルの営業黒字となった。
(上半期の営業損益は9百万ドルだが、営業外収益があるため、当期損益は105百万ドルの益となった。)

なお、子会社の大日本住友製薬の業績は以下の通り。
米国で買収した
Sepracor Inc.の業績が加わった。
(同社は10月に
Sunovion Pharmaceuticalsに改称する予定)

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   70,129 10,208 10,802 6,446
09/1Q 66,048 11,237 11,835 7,817
10/1Q 101,799 14,790 14,838 9,277
増減 35,751 3,553 3,003 1,460

ーーー

三井化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   453,925 20,691 25,032 15,233
09/1Q 260,551 -13,520 -14,027 -16,444
10/1Q 339,356 11,769 11,368 18,712
増減 78,805 25,289 25,395 35,156

当第1四半期連結会計期間より、たな卸資産の評価方法を後入先出法から総平均法に変更
これにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は、それぞれ3,223百万円増加している。

中長期の収益構造改善対策の一つとして、2010年年4月に退職金・年金給付水準の見直しを行った。
給付利率の変更等を実施する前提にて算出した結果、退職給付債務が14,618 百万円減額し、特別利益に計上した。

営業損益    億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
石化   -49 58 107
基礎化学品   -22 36 58
ウレタン   -34 -13 21
機能樹脂   -25 22 48
加工品   -4 9 13
機能化学品   5 13 9
その他   2 -2 -4
全社   -8 -7 1
合計 207 -135 118 253

従来の区分

機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料
先端化学品 精密化学品、農業化学品
基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
ポリエチレン、ポリプロピレン
その他 その他関連事業等

今回からの区分

石化 エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
基礎化学品 フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド
ウレタン ポリウレタン材料、コート材料、接着材料、成形材料
機能樹脂 エラストマー、コンパウンド製品、特殊ポリオレフィン、エンジニアリングプラスチック
加工品 衛生材料、半導体材料、エネルギー材料、包装用フィルム
機能化学品 眼鏡レンズ用材料、ヘルスケア材料、化成品、特殊ガス、触媒、農業化学品
その他 その他関連事業等

ーーー

東ソー

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q  193,281 3,513 5,049 3,013
09/1Q 134,005 -4,896 -4,810 -3,410
10/1Q 155,308 4,307 2,833 885
増減 21,303 9,203 7,643 4,295
営業損益               億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
石油化学 15 -7 14 21
クロルアルカリ 20 -59 -19 40
機能商品 24 46 22
エンジニアリング -12 -3 9
その他 5 5 0
合計 35 -49 43 92

ーーー

信越化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   340,770 75,808 79,015 51,418
09/1Q 190,084 20,647 21,617 14,896
10/1Q 259,715 36,140 39,029 35,700
増減 69,631 15,493 17,412 20,804

移転価格課税に対する日米相互協議の合意により、10,663百万円の過年度法人税等戻し入れがあった。

営業損益        億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
塩ビ・化成品   49 31 -18
シリコーン   32 91 59
機能性化学品   30 30 0
半導体シリコン   41 94 53
電子・機能材料   51 89 38
その他関連事業   5 23 18
全社 758 -1 3 4
合計 758 206 361 155

従来の区分 

有機・無機化学品 塩ビ系、シリコーン系、その他
電子材料 半導体シリコン その他
機能材料その他 合成石英、その他

信越化学では2010年3月期で塩ビ系が前年比で大幅な減益となった。
塩ビを含む有機・無機化学品セグメントの前年第1四半期の営業損益は110億円で、前々年の275億円から6割減となったが、本年第1四半期の塩ビ・化成品セグメントの営業損益は、前年を更に4割弱下回った。

  2010/5/3 
注目企業の決算-1(信越化学)

 

 


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非上場会社の2010年3月決算の発表(決算公告)が出揃った。

12月決算会社を含め、対比した。
  
  
は12月決算、
  
は3月決算

日本ポリエチレンと日本ポリプロが3月決算に変更した。
今回、2010年1-3月期決算を発表した。
両社とも2009年1-12月が赤字であったが、2010年1-3月は黒字となっている。

ーーー

ポリオレフィン

日本ポリエチレン (PE)
 出資: 日本ポリケム(三菱化学) 58%、
日本ポリオレフィン(昭和電工/新日本石油)
42% 
 能力: 1,186千トン
   
  12月決算から3月決算に変更
 
(百万円) 
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 178,358 400 606 123
09/12 124,131 -3,055 -3,108 -2,035
10/3 1-3月) 32,813 1,535 1,638 1,055
      
ーーー  
   
日本ポリプロ (PP)
 出資: 日本ポリケム(三菱化学) 65%/チッソ 35% 
 能力: 1,244千トン
   
  12月決算から3月決算に変更
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 206,819 1,047 305 156
09/12 130,757 -13,274 -13,455 -8,478
10/3 1-3月) 39,587 1,370 1,358 777
  2011年に千葉の79千トン、鹿島の90千トンを停止     
   
ーーー  
   
サンアロマー (PP)
 出資: LyondellBasell 50%、
SDKサンライズ投資 50%(昭和電工 65%、 新日本石油 35%) 
 能力: 347千トン
 
(百万円) 
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 69,524 1,542 2,106 1,284
09/12 40,789 -382 -358 -960
増減 -28,735 -1,924 -2,464 -2,244
ーーー  
   
プライムポリマー (PE/PP)
 出資: 三井化学 65%/出光興産 35% 
 能力: PE  489+三井デュポン 170+三井化学 4+日本エボリュー 190/240=853千トン
PP  1,071+徳山PP 200+宇部PP 90=1,361千トン  
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3   338,228   -16,278  -16,045 -20,136
10/3 255,844 -7,963  -8,134  -10,186
増減  -82,384 8,315  7,911  9,950
                         
  2010年4月に高圧法低密度ポリエチレン事業を三井デュポンに譲渡
2011年3月に宇部ポリプロ90千トン停止
2011年11月に日本エボリュー 60千トン増強(全量プライムポリマー枠)
   

ーーー

PVC

大洋塩ビ (PVC)
 出資: 東ソ- 68%/三井化学 16%/電気化学 16%
 能力: 558千トン
 
(百万円) 
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3  57,543 -488    -502  -377
10/3  45,567  -1,597   -1,619  -1,972
増減  -11,976  -1,109  -1,117 -1,595
                         
ーーー  
   
新第一塩ビ (PVC)
 出資: トクヤマ 71%/日本ゼオン 14.5%/住友化学 14.5%
 能力: 255千トン
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3  23,297  - 554    - 755  -1,166
10/3  16,096   -1,053   -1,038  -1,045
増減  -7,201  -499 -283  121
   
ーーー  
   
ヴイテック (PVC、VCM、電解)
 出資: 三菱化学 85.1%/東亞合成 14.9% 
 能力: PVC 220千トン、VCM 391千トン
 (水島PVC 110千トン停止、川崎PVC 9
5→121千トン) 
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 45,206 -1,992 -2,365 -3,025
09/12 28,139 -1,269 -1,546 -6,526
増減 -17,067 723 819 -3,501
                     
  2011年3月末までに停止、解散
但し、川崎PVCプラント(121千トン)は東亞合成が引取り、カネカから製造受託

ーーー

 

ポリスチレン、ABS

付記 東洋スチレンを追加した。

PSジャパン (PS)
 出資: 当初 旭化成 45%/出光興産 27.5%/三菱化学 27.5%
2009/10 三菱化学が離脱
→ 旭化成ケミカルズ 62.07%/出光興産 37.93%
 能力: 445千トン
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3   64,260   1,073  1,251   724
10/3  50,948  2,873  2,911   1,669
増減 -13,312  1,800   1,660 945
     2011年3月末に三菱化学四日市の85千トンを停止
ーーー  
   
日本ポリスチレン (PS)
 出資: 住友化学 50%/三井化学 50%
 能力: 162千トン→ 0
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3   20,714   483  472   -2,681
        
  2009年9月末で操業を停止した。
 (2009年3月期に特別損失 2,941百万円を計上)
ーーー  
   
東洋スチレン (PS)
 出資: 電気化学 50%/新日鉄化学 35%/ダイセル化学工業 15%
 能力: 278千トン
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3   46,005   514  506   253
10/3  39,226 -180  -194   162
増減 -6,779  -694  -700 -91
   
   
テクノポリマー(ABS)
 出資: 当初 JSR 60%/三菱化学 40%
2009/3/31に三菱化学撤退 →JSR 100%  
 能力: 290千トン→250千トン
(三菱化学分 90千トン停止、JSR分 50千トン増強) 
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3   48,266  655   1,467   790
10/3  36,746   -302  547  584
増減  -11,520 -957 -920   -206
        
ーーー  
   
日本エーアンドエル(ABS、SBRラテックス)
 出資: 住友化学 67%/三井化学 33%
 能力: ABS 100千トン、SBR 85千トン
 
(百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
09/3 39,514 1,098 835 1,047
10/3 29,601 -480 -530 -728
増減 -9,913 -1,578 -1,365 -1,775

 


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BPはリビア沖で数週間以内に深海油田の新規掘削を始めることを確認した。

BP719日にエジプト石油省及びエジプト石油公社との間でアレクサンドリアの北の地中海のNorth Alexandria鉱区とWest Mediterranean Deepwater鉱区の大規模ガス田開発で合意したばかり。

2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却 の後半参照

リビアのGulf of Sirte(別名 シドラ湾)の1700mの海底で掘削を行うもので、メキシコ湾の流出事件の井戸より更に200m深い。

リビアは、BenghaziMisratahを結ぶ線の内側全体がリビアの領海であり、さらに62海里の漁業専管水域を有すると主張している。カダフィ大佐はこの線をThe Line of Deathと呼んだ。
これに対し米国は、沿岸から12海里が領海で、それの外側は公海であると主張した。

1981年8月、レーガン大統領の命令でアメリカ艦隊がここで演習を行った。
リビア軍機が米機に接近、リビア機が空対空ミサイルを発射したが、これは外れた。
米機はリビア機2機を撃墜、30人以上のリビア兵が死亡した。(シドラ湾事件)

BP 2007529日、当時のブレア英首相のリビア訪問時に、リビアのNational Oil Company との間で Exploration and Production Sharing Agreement を締結した。

BPによると、これは
・国際石油会社がリビアと締結した単一では最大の開発契約で、
・BPの100年の歴史の中で、単一では最大の開発契約で、
・近代になってリビアが国際石油会社に与えた単一では最大の面積の開発契約で、
・リビアの
National Oil Company が国際石油会社とともにリビアの石油・ガスを開発する戦略の成功例である
としていた。

7年間にわたり、54,000km2の開発を行うもので、海底のSirte basin30,000km2と陸上のGhadames basin24,000km2とから成る。

Sirte basinについては油井掘削開始に向けたリグが準備できており、人工地震による地質調査は昨年完了した。
Ghadames basinについても、年末までに掘削を計画している。
Ghadames basinはリビア、チュニジア、アルジェリアにまたがっている)

BPのメキシコ湾原油流出事故の原因究明も終わっていないだけに、それより深い海底での掘削について、環境面から同社への批判が出ている。

米政府は、メキシコ湾原油流出事故の原因究明や再発防止策を優先し、深海油田の新規掘削活動を凍結している。

BPはさきの事故を教訓に、大きな注意を払って進めるとしている。

 

もっと大きな反発が米国から出ている。

米上院は、BPのヘイワードCEOに対し、米パンナム機爆破事件のリビア人受刑者の釈放について、公聴会で証言するよう求めた。

1988年12月21日、ニューヨーク向けのPan Am Flight 103は、フランクフルトからの乗客47名と乗員2名に、ロンドンから搭乗する194名の乗客と乗員16名が加わり、ヒースロー空港を離陸した。

40分後の午後7時ごろ、スコットランドのLockerbie上空を飛行中に、前部貨物室に搭載されていた貨物コンテナが爆発。爆発により機体は空中分解した。
乗員16名、乗客243名(日本人1名を含む)全員と、巻き添えになった住民11名の計270名が死亡した。

爆発は機体前方の貨物室にあった航空貨物コンテナの下部で発生、セムテックスと呼ばれるプラスチック爆薬を用いた時限爆弾によるものであった。

回収された物品から容疑者はリビア人のAbdelbaset Ali Mohmed Al Megrahi Lamin Khalifah Fhimah2人と判明した。

リビアは当初、容疑者らの引渡しを拒否、国連安保理事会は1992年1月に容疑者の引渡しを求める決議731を採択、リビアがなお拒否したため、国連安保理事会は1992年にリビアに対する制裁を目的とした決議748を、翌年1993年にはこれを強化する決議883を採択した。

リビアはその後、態度を軟化させ、1999年4月に2人を国連代表に引渡し、2003年には、遺族に対する総額27億ドルの補償金支払いも約束した。

これを受け、2003年9月に国連安保理は対リビア制裁の解除を発表した。
2003年12月、米英政府との9ヶ月にわたる交渉の結果、リビアが大量破壊兵器(WMD)の開発計画の廃棄を約束し,国際機関による即時・無条件の査察受け入れに合意した。

この結果、米国はリビアを「テロ支援国家」指定から外し、その後、2006年5月にアメリカはリビアとの国交正常化を発表した。

第三国のオランダでスコットランド法に基づき裁判が行われ、2001年1月31日にMegrahi 容疑者に終身刑、 Fhimah容疑者には証拠不十分で無罪の判決が下された。

Megrahi 容疑者はスコッ トランドで服役中だったが、余命3か月の末期の前立腺がんと診断され、2009年8月20日に釈放されて帰国した。

米国はMegrahi 受刑者の釈放に反対していたが、上院は今回、BPがリビア計画の推進のために受刑者の釈放をもとめたのではないかとの疑念をもっている。

BPはリビア人受刑者の釈放に関し、英国政府、スコットランド政府と話し合ったことはないとしている。 
就任後初めて訪米したキャメロン首相は7月20日、「決定を行ったのはスコットランド自治政府であり、BPではない」と指摘した。

なお、クリントン米国務長官は7月16日、ヘイグ英外相と電話で会談、両外相は、元リビア情報機関員を釈放した昨年8月の英スコットランド自治政府の決定について、「誤りだった」との認識で一致した。

ーーー

2006年5月にアメリカはリビアとの国交正常化を発表した。

これを受け、Dowは2007年4リビアの国営石油会社(NOC)とJVを設立し、NOCのRas Lanuf コンプレックスの石化コンプレックスを拡張・運営すると発表した。

    2007/4/25 Dow、リビアに石化JV設立

 


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