「no」と一致するもの

国際石油開発帝石(INPEX)は2月11日、世界有数の埋蔵量が見込まれるベネズエラ東部のオリノコ油田Carabobo鉱区開発の国際入札の結果、同社、Chevron、三菱商事および地元企業Suelopetrolからなるコンソーシアムが「プロジェクト3」(Block 2 South, Block 3, Block 5)の開発者に指名されたと発表した。

ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が生産・販売JVの60%を保有し、残り40%をコンソーシアムが保有する。
コンソーシアムの比率は
Chevron 85%Suelopetrol 2.5%、残り12.5%を三菱商事とINPEXが分け合う。(JV比率は2社で5%

生産量は日量40万バレルで、コンソーシアムは政府に5億ドルを支払い、PDVSAに10億ドルを融資する。

直嶋経済産業相は以下の通り述べた。

1月28日行われた入札の結果、国際石油開発帝石及び三菱商事がオリノコ油田Carabobo鉱区の開発者に指名されたことを祝福する。

経済産業省としては、これまでベネズエラ・ボリバル共和国エネルギー石油省との間で、エネルギー協力についての覚書締結やエネルギー協力会合の開催など、ベ ネズエラとのエネルギー協力を推進してきたところである。今般日本企業が油田開発に参画することは、我が国のエネルギー安定供給の確保に貢献するものとして歓迎している。

日本政府としてはこれからも積極的に資源外交を推進していくと共に、本件を契機として、日本とベネズエラとの間のビジネス関係が改善、深化するよう引き続き支援していく所存である。

オリノコ油田はベネズエラのオリノコ川北岸、約5万km2 の広大な地域に帯状に分布する重質油田地帯。
カナダのオイルサンドを凌ぐ非在来型石油資源で、オリノコタールと呼ばれる超重質油を産する。

原始埋蔵量は1.2兆バレルで、そのうち将来的に開発可能なものは2,600~2,700億バレルと言われており、サウジアラビアの在来型の原油埋蔵量にほぼ匹敵する量となる。

オリノコ川流域では1990年代から米ExxonMobilや英BPなど7社が計170億ドル以上を投資し、超重質油から合成石油をつくる技術を確立したが、Hugo Chavez大統領は2007年5月1日、オリノコ油田開発事業の国有化を宣言した。 
国有化の条件として、
PDVSAの持分は最低60%とすることが提示され、政府は少数株主として残留するよう呼びかけたが、同年6月にExxonMobil とConocoPhillipsは撤退を表明した。Exxon Mobil 補償を求めて訴訟を行った。

2008年2月、PDVSAはCarabobo I block の入札を発表した。

日本政府は2008年7月にベネズエラと連携する方針を固め、石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉がPDVSAとの提携交渉を進めた。

今回の入札はCarabobo鉱区とJunin鉱区で、結果は以下の通り。
中国、ベトナム、マレーシア、インドも進出した。

ほとんどが2013年には生産を開始する。総投資額は800億ドルで、政府は参加企業からボーナスや融資として60ドル程度を受け取る。

JUNIN Block 11は日本のコンソーシアム(石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉、国際石油開発帝石、三菱商事)が相手だが、今回は発表されなかった。 

... .. 
 は今回発表なし
     開発会社 生産量 政府への
ボーナス支払額
 
PDVSA その他              
JUNIN BLOCK 1   Belarus 国営石油会社) 20万バレル   発表なし
JUNIN BLOCK 2 60% Vietnam's Petrovietnam 40% 20万バレル 5~6億ドル  
JUNIN BLOCK 4 60% China's CNPC 40% 40万バレル 不明  
JUNIN BLOCK 5 60% Eni 40% 24万バレル 6.46億ドル Refinery含む
総投資額 187億ドル
JUNIN BLOCK 6 60% Russia's Rosneft, Gazprom, Lukoil,
TNK-BP, Surgutneftegaz
45万バレル 10億ドル 投資額 100億ドル以上
JUNIN BLOCK 10   Norway's Statoil
 
France's Total
20万バレル   提案拒否
JUNIN BLOCK 11   (日本のJOGMECInpex
 三菱商事)
20万バレル   発表なし
CARABOBO PROJECT 1
(Carabobo Block 1 North

Block 1 Central
60% Spain's Repsol 11%
Malaysia's Petronas 11%
India's ONGC 11%
 
Indian Oil Corp 3.5%
 
Oil India Ltd 3.5%
40万バレル 10.5億ドル  
CARABOBO PROJECT 2         bidなし
CARABOBO PROJECT 3
Carabobo Block 2 South,
Block 3, Block 5
60% Chevron 34%
Venezuela's Suelopetrol 1%
Mitsubishi
/Inpex 5%
40万バレル 5億ドル 10億ドル融資

ーーー

国際石油開発帝石は、1992年7月にベネズエラ中央部陸上のEast Guarico鉱区の100%権益を取得し、油田・ガス田の再活性化事業、新規探鉱及び開発事業を行ってきた。
2006年の国有化で、同社はPDVSAとのJVを設立し、
事業を継続している。
JV契約は2026年まで。

契約地域 権益比率 事業 生産量
Copa Macoya 同社70% PDVSA 30% ガス 日量81百万立方フィート
Guarico Oriental 同社30% PDVSA70% 原油 日量1700バレル

ほかに、MoruyⅡ鉱区でPetrobrasとの50/50JVでガス探鉱を行っている。

ーーー

なお、ベネズエラの国営石油会社(PDVSA)は2008年9月、日本や米国、イタリア、ロシアなど7カ国10社の企業と天然ガス開発や液化、輸送事業Delta Caribe Oriental LNG Projectで協力する覚書を交わした。

    2008/9/24 ベネズエラ石油公社、日米伊露などと天然ガス事業で合意


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

キリンとサントリーは2月8日、経営統合の交渉を終了したと発表した。


経営統合の新聞報道は2009年7月になされたが、2009年初めに両社の社長が東京都内の料亭で昼食を共にし、「どちらからともなく」協力を持ち掛けたのがきっかけだったという。

キリンの中期経営計画(2009年10月26日発表)では、経営統合を進める背景として以下を挙げている。
  ・縮小する日本の酒類・飲料市場における事業基盤の更なる強化
  ・グローバルでの熾烈な競争への対応
  ・社会・環境・消費者等からの要請に応える企業体質の強化

統合により世界市場で欧米勢と互角に戦う力をつけるのが狙いであった。
統合会社は米飲料事業最大手のPepsicoや米総合食品大手のCraft Foodsと肩を並べる。

世界の主な食品メーカー 単位:億ドル
企業名 2008年
売上高
Nestle(スイス) 1,032
Unilever(英・蘭)   563
Pepsico(米)   432
Craft Foods(米)   422
キリン+サントリー   421
Coca Cola(米)   319
Tyson Foods(米)   268
キリン   254
Anheuser-Busch InBev (ベルギー)   211
Danone(仏)   199
サントリー   166
アサヒビール   161
Kellogg(米)   128
味の素   122
 毎日新聞(野村総研資料より) 
 なお、Craft Foods はクロレッツガムのCadbury(英)買収を決めた。

国内酒類・飲料でも圧倒的なシェアを握る。キリンとサントリーの国内ビール類飲料シェアは2位と3位。統合後はシェアで49.6%となり、37.8%で首位のアサヒビールを引き離す。
清涼飲料でもキリンは3位、サントリーが2位で合計31.4%と、20%台後半で首位の日本コカ・コーラグループを上回る。

ーーー

キリンは破談の原因を以下の通り説明している。

当社としては、統合新会社は、公開会社として経営していくことを前提に、経営の独立性・透明性が十分に担保されるべきと考えておりました。しかし、この点につきサントリー社との間で認識の相違があり、このまま統合交渉を継続しても、当社が目指す「グローバルリーディングカンパニー」として、国内外のお客様・従業員・株主をはじめとした全てのステークホルダーから理解・賛同を以って受け入れられる会社の姿を描くことが困難であると判断し、交渉を終了することを決定しました。

会見で社長は、「統合比率は最後の詰めの段階まで行っていない。それ以前に描いている会社の姿で合意できなかった」としている。

サントリーは以下の通り。

当社としては、統合新会社のあるべき姿を検討していくなかで、統合比率をはじめ、キリン社との間に認識の相違があり、今交渉において当社が追い求めている新会社の実現は難しいと判断し、交渉を終了することを決定しました。

社長は、「決裂理由は統合比率だ。最初からうちは50対50をベースにして統合しようということだった。問題はすべて統合比率に集約される」、「サントリーの経営は透明だ。何をもって透明性というのかは分からない。結局、(創業家が)サイレントマジョリティでいてほしいということと、いざとなればモノを言いますよというところの差ではないか」と述べた。

キリンは2月10日、加藤壹康社長が代表権のない会長に退き、三宅占二副社長が社長に昇格する人事を発表した。就任は3月26日の予定。サントリーとの統合交渉を断念したことを機に、人心の一新を図る。

2006年3月に就任した加藤社長は、協和発酵(現・協和発酵キリン)や豪州No.1の乳製品・果汁飲料会社National Foodsの買収(フィリピンのSan Miguelから)など国内外でM&Aを進めた。
2009年のビール類シェアで、9年ぶりに首位の座をアサヒビールから奪回した。

ーーー

問題はサントリーが非上場会社で、株式の89.33%を創業家の鳥井家と佐治家の資産管理会社「寿不動産」が保有することである。   

創業者の次男が佐治家を継いだが、実質的には鳥井一族である。(敬称略、☆は故人)   

寿不動産の株主はサントリー文化財団、サントリー音楽財団、サントリー生物有機科学研究所の3法人と一族19人。
純資産は279億5,400万円。

このため、統合比率がキリン1に対し、サントリーが0.6以上であれば、寿不動産が統合後の新会社で合併や定款変更など会社経営の重要案件について実質的な拒否権を持つ株式3分の1以上を保有することとなる。

昨年1月に大まかな統合条件を探った際の仮の算定比率はキリン1に対して0.78~0.88で、寿不動産が1/3以上を握ることで「約束」をとりつけていたといわれている。

そうであれば、破談の原因として、キリン側に戦術ミスと、根本的な認識誤りがあったと思われる。

戦術ミスというのは、昨年11月下旬にキリン1 対サントリー0.5程度を提示したことである。
これでは寿不動産の新会社の株式は1/3を下回る。サントリー側はキリンが当初の対等の約束を破り、1/3以上という条件で一族をまとめた佐治社長の顔に泥を塗ったと激怒したとされる。

キリンはサントリーの企業価値をもう少し高く見積もっており、寿不動産が1/3強の株主となることを社内で確認しており、交渉のテクニックとして0.5を出したとのことだが、余りにも低すぎ、信頼関係で行われる統合交渉ではまずかったと言わざるを得ない。

その後、キリンは1対0.75程度まで歩み寄ったが、サントリーは1対0.9に固執した。
キリンの姿勢に反発したものと思われる。

もっと大きな問題は寿不動産が1/3超の株主となることの認識である。

両社は初期交渉で「経営へ口出しはしない」との条件で合意していたとされる。しかし、経営の重要事項の拒否権を持つ大株主が完全なSilent Majority で満足する筈がない。

寿不動産に1/3超の出資を認めることは、極論すれば、新会社は寿不動産の子会社となることを意味する。
日常業務には口出ししないとしても、新会社の方向等については大株主として発言するのは当然である。

サントリーは非上場の理由として以下を挙げている。これは鳥井家(寿不動産)の理念に基づく。
酒の醸造には時間がかかり、短期的な利益を要求される株式公開に馴染まない
株主に商品の味を左右されたくない
事業収益を社会、顧客、従業員に還元するという「利益3分主義」を経営に生かし、直接的な利益に結びつかない文化事業、社会貢献事業に積極的に取り組む
(寿不動産株主の3法人:
サントリー文化財団サントリー音楽財団サントリー生物有機科学研究所はこの理念で設立され、配当収入が運営資金となる)

1963年に 業界最後発で参入したビール事業は、2007年まで40年以上も赤字が続いたが、事業を継続し、2008年に「プレミアム・モルツ」のヒットで一躍業界3位に浮上した。

同社は1990年に「青いバラ」の開発に着手、2004年に成功した。
2009年11月に「
SUNTORY blue rose APPLAUSE」を発売。

今回も鳥井家(寿不動産)の理念、考え方に基づく要請が行われた。

その一つが医薬事業の扱いである。

キリンは、2007年10月31日から協和発酵株式の公開買付けを行ない、協和がキリンファーマを完全子会社とした上で、2008年10月1日に協和発酵とキリンファーマは合併し、協和発酵キリンに改称した。

サントリーはキリンに対し、世界の医薬品大手に規模で劣る協和発酵キリンが競争に生き残るのは困難として、統合後数年以内の売却の確約を求めた。

サントリーも医薬部門を持っていたが、巨額の開発費がかかる医薬事業を止めることを決め、2003年1月にサントリー 34%/第一製薬 66% の第一サントリーファーマを設立してサントリーの医薬事業部門が従来行ってきた事業活動の全てを新会社に承継した。

2005年9月に第一製薬の100%子会社となり、第一アスビオファーマに改称した。
現在、第一三共の子会社として、アスビオファーマに改称している。

他方、キリンは医薬を酒類、飲料に続く収益源と位置づけており、意見の一致を見なかった。

サントリーの文化事業、社会貢献事業についても新会社では問題となろう。

これらを見ると、はっきりした理念を持ち、それを通すために非上場を続け、また、それでしっかりした実績を挙げてきたサントリーと、上場会社のキリンの「対等」の統合はそもそも無理筋であったといえる。

寿不動産に完全なSilent Majorityであることを期待したキリン側の認識の誤りである。
この合併が成功するためには、寿不動産の新会社での持株比率を1/3弱にすることをサントリーに呑ませるための案が必要であった。

ーーー

サントリーは2月9日、キリンホールディングスは2月10日に2009年12月期決算を発表した。

付記 参考としてアサヒビール(食品には薬品を含む)、サッポロの決算を追加

  サントリー   キリン   参考 アサヒビール   サッポロ
  百万円 前年比     百万円 前年比     百万円 前年比     百万円 前年比
売上高   1,550,719  102.5   2,278,473 98.9   1,472,468 100.7   387,534 93.5
 (うち酒類) (557,703)     (1,097,694)     (958,155)     (305,495)  
営業利益     83,544  102.8   128,435 88.0   82,777 87.6   12,895 87.8
経常利益     81,822  103.3   144,614 140.3   90,546 93.9   10,725 101.9
当期利益    32,666  101.9   49,172 61.3   47,644 105.8   4,535 59.4
                       
営業損益内訳                      
 飲料・食品    84,219 101.7   7,099 110.4   3,438 134.3   301 136.8
 酒類    20,073 126.6   102,800 93.5   78,879 86.9   8,176 95.0
 医薬品 ー      34,334 121.8   ー      ー   
 不動産事業 ー      ー      ー      7,524 98.8
 その他    4,270 85.3   3,854 21.1   889 88.4   -171 ー 
 全社   -25,018     -19,654     -430     -2,933  
 合計   83,544 102.8   128,435 88.0   82,777 87.6   12,895 87.8
                       
資本金   70,000     102,045     182,531     53,886  
純資産  455,638     1,198,869     577,702     118,590  

サントリーとキリン/アサヒで酒類の営業損益に大きな差があるのは、
原料費の比率が比較的低く、広告宣伝費など固定費の比率が高いため、売上高が大きいほど、営業損益が大きいと思われる。

なお、サントリーは2009年11月に仏飲料メーカー大手 Orangina SchweppesBlackstone GroupLion Capital から3000億円超で買収した。
Orangina Schweppesは、2001年にCadbury Schweppes Oranginaを買収して統合したもので、2006年にBlackstone GroupLion Capitalがそれぞれ50%を買収した。(2008年に現在の社名に変更)

フルーツ炭酸飲料 Oranginaをはじめ、トニックウォーター Schweppesや、果汁飲料OasisTrina等を展開しており、サントリーは、買収により欧州に基盤を築き、欧州事業を一気に拡大する。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


DuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLC (DDCE)は25日、テネシー州Vonoreでセルロース系エタノール実証施設の開所式を行った。
同社は
DuPont とデンマークの食品材料メーカー Danisco<p>HTML clipboard</p>Genencor division との50/50JVで、トウモロコシの穂軸やスイッチグラスなどの農業残滓やバイオ作物を原料とするエタノールの商業生産を目指す。

参考 2008/5/9 木くずからバイオディーゼル

同施設では年間25万ガロン(約95万リットル)のエタノール製造が可能だが、狙いは大量生産用の技術を最適化することにある。

テネシー大学のバイオ燃料イニシアティブがセルロース系エタノールを精製するバイオリファイナリーの開発のパートナーとして同社を誘致した。

テネシー大学バイオ燃料イニシアティブは、テネシー大学研究財団所有の営利目的のGenera Energy LLC支援を受けて燃料開発のサプライチェーンを構築している。

ーーー

DDCE20085月にDuPont とデンマークの食品材料メーカー DaniscoGenencor division 50/50JV として設立された。

Daniscoデンマークに本部を置く機能性食品素材メーカーで、40ヶ国以上に9,700名の従業員を有する
製品には、乳化剤、安定剤、酵素、酸化坑止剤、カルチャー、機能性甘味料、機能性素材、食物繊維などがある。

Genencor事業部は業用酵素の開発と製造を担当、世界最大のバイオ技術会社の一つ。
革新的な酵素およびバイオソリューションについて、洗濯用洗剤から輸送燃料におよぶ多種多様な産業による環境への影響を軽減させるために、性能を改良し開発・販売を行っている。

最初の3年間に1億4000万ドルを投資する計画で、まずトウモロコシの茎や芯とサトウキビバガスを原材料とし、将来は、麦わら、様々なエネルギー作物、他のバイオマスを含む多数のリグノセルロース系原料をターゲットとする予定。

統合化されたセルロース系エタノール製造技術システムは以下の通り。

トウモロコシの茎葉部分の前処理
植物の幹からリグニンを分離して、含まれるセルロースが次工程で利用できるようにする。

DuPontが米エネルギー省のNational Renewable Energy Laboratory(NREL)との連携して開発した前処理工程技術を使用。
独自の温和なアルカリ条件プロセスで、他の前処理法よりも低い資本コストを実現した。

   
酵素加水分解プロセス。
セルロース系原料を発酵可能な糖に変換する。

Genencorバイオマスから糖類への高い変換率を可能にする酵素および生産基盤技術を使用。
先駆的な研究プログラムを推進し、酵素にかかるコストを30分の1に低減する強力な酵素複合体を開発、トウモロコシの茎葉部分やサトウキビバガスなどの様々なセルロース系基質を分解する時間、コストおよびフレキシビリティーに関する課題の克服に貢献。

   
DuPontNRELの連携によって開発された独自のEthanologen技術。
糖類を発酵して高い濃度のセルロース系エタノールを生成

エタノール生成細菌ザイモモナス菌(Zymomonas mobilis)に基づくもので、副産物を少量に押えて、原料に含まれた糖類を高効率でエタノールに変換する能力を有する。
   

 


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


INEOSグループは22日、フッ素化学品のINEOS FluorをメキシコのMexichemの子会社Mexichem Fluor に売却することで合意したと発表した。

INEOS Fluorは元はICIの事業(Klea部門)で、INEOSによる買収に伴い20011月に設立された。
(なお、
ICIのフッ素樹脂事業は旭硝子が買収している)

同社は幅広いフッ素化学品を供給している。

KLEAブランドのHFC (hydrofluororcarbons) CFCchlorofluorocarbon:フロン類)の代替品として開発された。
ZEPHEXブランドの高純度HFA (hydrofluoroalkanes) は医薬用噴射剤として開発された。
このほか、フッ素樹脂原料および
HCFC系フルオロカーボンを扱う。

INEOS Fluorは欧州、北米、アジアに製造基地を持ち、従業員は350人。

欧州では英国のRuncorn にプラントを持つ。
ここは世界最初の
HFC 134の商業生産プラント。
2001年にHFC134a HFC125 に、更に2006HFC125 に切り替えた。

米国のルイジアナ州 St Gabriel 工場は最大のHFC 134a 製造基地で、199212月に生産を開始した。

日本の三原工場(イネオスケミカル)は帝人が受託製造しており、
KLEA134aを成長率の高いアジア太平洋市場で販売している。

帝人とICIは1992年に代替フロン「クリー134a」の製造のためICI帝人フロロケミカルを設立し、帝人三原工場内にプラントを建設した。

ICIの本事業売却に伴い、帝人とICIはこのJVの全株式をINEOSに譲渡した。

INEOSは本事業について、利益は挙げているが、大規模石油化学に注力する同グループの主要部分ではないとしている。

同社は現在、再建中で、Grangemouth 製油所売却の交渉を続けている。

2009/7/20 Ineos、75億ユーロの借入契約条件変更に成功 

ーーー

Mexichem 1998年にQuímica Pennwalt Polímeros de Méxicoが合併して設立された。
フランスの
Elf Atochem とメキシコのGrupo Empresarial Privado Mexicanoが共同で所有したが、後者は1999年にCamesa Groupと合併し、2003年にTotalElf Atochem)の持株を買収し、メインの株主となった。

現在の同社の事業はビニルチェーンとフッ素チェーンの2つに分かれている。

1)ビニルチェーン 現在ラテンアメリカ最大の塩ビ樹脂、コンパウンド、塩ビパイプメーカー。

同社は2004年にメキシコ最大の塩ビレジン、コンパウンドメーカーのPrimexを買収した。
2006年に米国の塩ビコンパウンドメーカーBayshore Groupを買収。
2007年にはコロンビアの塩ビメーカーPETCOを買収、また、コロンビア最大の塩ビコンパウンドメーカーGeon Polímeros Andinosの株の50%を買収した。

現在の体制(子会社)は以下の通り。

 ・Unión Minera del Sur
   地下のソルトドームからの塩水から塩を生産

 ・
Mexichem Derivados
      Coatzacoalcos Plant:塩素ガス、ソーダ、次亜塩素酸ソーダ
   
Santa Clara Plant:ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、塩酸
   
El Salto Plant:ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、塩酸

 ・Mexichem Resinas Vinílicas
      PVC(サス 650千トン、エマルジョン 75千トン、特殊品 30千トン)

 ・Petroquímica Colombiana
      PVC 400千トン

 ・Mexichem Colombia
   塩素系製品

 ・Mexichem Compuestos
   
Altamira plant: コンパウンド 60千トン
   
Tlaxcala Plant:コンパウンド 12千トン

 ・Bayshore (New Jersey, U.S.A.)
      PVCコンパウンド 20千トン

 ・Geon Andina Colombia
   
PVCPE、その他のコンパウンド 50千トン

 ・Amanco
   水道、電気、ガス用塩ビパイプ・継手、その他

2)フッ素チェーン

Mexichem2004年にQuímica Flúor を買収し、世界最大の蛍石埋蔵量を誇るCompania Minera Las Cuevasと統合してMexichem Fluorとし、フッ化水素酸の世界最大の垂直統合メーカーとなった。

 ・Mexichem Fluor - San Luis Potosí:
    世界最大の蛍石メーカー
    能力は
metallurgic gravel 350千トン、acid-grade concentrates280千トン
    北米、南米、欧州、日本に輸出

 ・Mexichem Flúor - Matamoros
    世界第二位のフッ化水素酸メーカー
    能力 
95千トン
    
98%を米国に輸出  


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

シェルとブラジル最大砂糖・エタノール生産会社のCosan S.A.21日、ブラジルでエタノール、砂糖の生産と輸送燃料の供給、小売のための約120億ドルのJVを設立する覚書に調印したと発表した。
今後、実現に向け、交渉を続ける。

両社はJVに下記を拠出する。

Cosan  Shell
サトウキビ圧搾設備

エタノール生産設備(現在20億リットル)

Co-generation(既存7基、建設中2基、建設予定3基)

ブラジルのガソリン流通施設

Ethanol 物流施設

エタノール商社の株式

借入金25億ドル

(潤滑油事業は含まず)

ブラジルのガソリン流通施設(航空燃料を含む)

Iogen Energy(セルロース系エタノール専門のバイオ企業)の50%持分

Codexis (バイオ触媒技術の開発会社)の14.7%の持分

現金 16.25億ドル(2年間で拠出)

(潤滑油事業は含まず)

JV はバイオエタノール年産能力20億リットルからスタートし、170億リットルを目指す。
更に、
Iogen EnergyCodexis の持分を含めることにより、次世代のバイオ燃料技術を確保する。
これにより、
JVはブラジルの燃料小売市場で主導的地位を占め、将来の発展を期す。

Cosan S.A.1936年設立で、ブラジルに23の製造設備を有している。

同社は砂糖とエタノールのブラジル最大のメーカーで、また、サトウキビの絞りかすを元にした発電でも世界最大である。
最近は農業用地取得と燃料の流通に乗り出し、再生可能エネルギーでの最初のフルの垂直統合メーカーとなった。

2008年には826百万ドルを投じて、Esso Brazilを買収、ExxonMobilブランドのSS(約1,500箇所)、ブラジル内主要空港の航空燃料販売拠点を入手、ブラジル第5位の燃料販売会社となった。

Iogen 1970年代に設立されたカナダのアルコールメーカーで、Shell Goldman SachsPetro-Canada、カナダ政府が出資しており、シェルと技術面で提携している。カナダ政府の諸機関とも提携している。
同社はセルロースを分解する高性能の酵素を使用し、麦わらを原料に1日
50トンのエタノールを生産しており、シェルと組んでカナダで世界で最初の商業生産プラント建設を計画している。

Codexis(米国)は2002年に設立されたクリーン・テクノロジーのサプライヤーで、酵素や微生物といった工業用生体触媒の開発を行なっている。
エネルギー産業においては次世代のバイオ燃料の実現に、製薬産業においてはヒト用治療薬の製造工程の費用対効果を向上させることを目的として、同社の技術が利用されている。

CodexisにはShellのほか、Bio*One CapitalChevron Technology VenturesCMEA CapitalGE EnergyPfizerなどが出資している。

同社は2009年4月、Codex(TM)生体触媒パネルの発売により日本の医薬品市場に参入することを発表した。
Codexパネルは生産性の向上とコストの低減とを目的とした製薬企業向けの製品で、同社独自の受注生産型生体触媒は製造工程の短縮、コスト削減、クリーン化を支援し、それによりヒト用治療薬の生産を促進する。

ShellCodexis は20093、次世代バイオ燃料の商業生産を促進するため、新しい触媒を開発する契約を締結した。
契約の一環として、
Codexis Shell 及びIogen Energyと密接に協力し、Iogenのセルロース系エタノール生産に使われる酵素の効率を高める。

 


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


Sinopec子会社の鎮海煉油化工(ZRCCZhenhai Refining & Chemical Co.)は2月10日、浙江省寧波市の鎮海で新しいポリプロ工場をスタートさせ、オンスペックとなった。
能力は30万トンで、2007年に建設を開始し、昨年12月に設備が完成した。製造技術と触媒は
Sinopecのもの。

同社は年産100万トンのエチレンコンプレックスを建設中で、エチレン、プロピレンと誘導品は3月終わりか4月初めにスタートする予定。

ZRCCはシノペックの製油所の一つで、原油処理能力は23百万トンあり、年産60万トンの尿素、100万トンのBTX、20万トンのPPを持っている。



既存のPPは製油所から原料プロピレンを得ており、エチレンコンプレックスがスタートするまでは既存PP工場を停止し、そのプロピレンで新しいPP工場を稼動させる。

コンプレックス完成後のPP能力は合計50万トンとなる。

中国は2009年に155万トンのプロピレン、412万トンのPPを輸入している。

ーーー

本プロジェクトは当初、エチレン60万トンで計画、ARCO と交渉したが、1999年に交渉は終了した。
2000年11月に相手をBPアモコに変更したが、まとまらなかった。

PX(450千トン)とPP(200千トン)を先行実施し、2003年末に完成させた。

2004年10月にZRCCは国家発展改革委員会(NDRC)からエチレン80万トンの承認を得た。
その後、100万トンに変更、2006年3月に最終承認を得た。

ZRCCのエチレンコンプレックスの誘導品の能力は以下の通り。(単位:千トン)

  既存 新設 技術
エチレン    1,000  
LLDPE     450 Unipol
PP   200   300 Sinopec
EO/MEG     650 Dow
BTX  1,000   600  
PX   450   Axens (IFP group)
エチルベンゼン     650  
MTBE      110  
Butene-1      40  
Butadiene     160  
SM(JV)     620 Lyondell  SM/PO併産
PO (JV)     285 Lyondell  SM/PO併産
PG (JV)     100 Lyondell
尿素   600    

ZRCCLyondell 20074月に50/50製造JVNingbo ZRCC Lyondell Chemical Company を設立した。
両社は
200911月にこれら製品の共同販売のため、販売JVのNingbo ZRCC Lyondell Chemical Marketing Companyの設立式典を行った。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

米国の石油会社Sunocoは2月1日、子会社Sunoco ChemicalsのPP事業をブラジルのBraskemに売却する契約を締結したと発表した。現金350百万ドルでの売却で、必要な承認を得て、3月末までに売却を完了する。

対象プラントはペンシルベニア州Marcus Hook、テキサス州La Porte、ウエストバージニア州Nealにある3つで、合計能力は95万トン、米国全体のPP能力の約13%を占める。PittsburghにあるR&Dセンターも売却する。
なお、Sunocoは昨年春にテキサス州Bayportの能力18万トンの工場を閉鎖している。

このうち、La PorteとNealは同社が2000年に三菱商事から買収した旧Aristech Chemical のプラント。
Marcus Hookは元はSunoco とBAR-L のJVの Epsilon Products のプラント。
閉鎖したBayportは2003年にEquistar Chemicals(その後Lyondell と合併、現在はLyondellBasell)から買収したプラント。

Aristech Chemical 化学品(フェノール、アセトン他)、ポリマー製品(ポリプロピレン他)の製造販売を行っていた。

1989年にHuntsmanAristech の買収を計画した。
Aristech
はこれを拒否、一時は住友化学にもPPを分離してJVにする 提案もしたが、1990年に三菱商事が買収提案を行い、Huntsmanが買収を諦めたため、三菱商事による買収が確定した。買収額は850百万ドルだが借入金の引継ぎなどをいれると10億ドル以上となるといわれた。

当初同社には三菱化成、三菱油化、三菱瓦斯化学、三菱レーヨンが各4.48%出資して三菱グループ総力を挙げて取り組む姿勢を見せたが、その後、 三菱商事100%となった。

三菱商事は石油化学品事業の戦略において、北米の橋頭堡として位置づけてきたが、原料価格の上昇を製品価格に転嫁しきれず、採算が大幅に悪化し、売却した。

Sunocoは投資に見合う収益を上げられない事業売却により、売却資金を戦略分野に投資するとしている。
今回の売却で2億ドル弱の損失を計上する。

Sunoco は200812月にアナリスト説明会を開催したが、その中で、能力で北米3位のPP、北米1位のフェノールを含む化学品部門の売却を考えていることを明らかにしている。

2008/12/19 Sunoco化学品部門の売却を検討 

Sunoco ChemicalsはPPのほか、フェノール、アセトン、BTX、シクロヘキサン、ビスフェノールAなどを生産しているが、これらは今回は売却しない。

同社は2004年に無水フタル酸、オキソ、エステル、2-エチルヘキサノールなどの可塑剤事業をBASFに売却している。

Sunocoは独立系では最大の精油メーカーで、精油能力は日量675千バレル。ほかに、米国で年産367万トンの製鉄用コークス設備を持ち、ブラジルにも170万トンのコークス設備を持っている。

ーーー

Braskemは、この買収は世界最大の市場での今後の成長の基地となり、MexicoVenezuelaPeruでの新規計画と合わせグローバリゼーション戦略を補完するものになるとしている。

2009/11/17 Braskem、メキシコでProject Ethylene XXI を実施

2007/12/20 Braskem Venezuela 国営Pequiven、石化JV設立

2008/5/28  Braskem, Petrobras PetroPeru がペルーで石化計画

Braskemはこのたび、Petrobrasの石油化学部門と統合、PP能力を197万トンとしている。
(PEは304万トン、PVCは51万トン)

2010/1/25 BraskemPetrobrasの石油化学事業統合


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


2009年の中国の輸入統計が発表された。

2008年は一部を除き前年を下回ったが、2009年は軒並み大きく増加している。
PE、PPはいずれも過去最高となった。
ABSは過去最高の2007年(2,173千トン)とほぼ同じ2,168千トンとなった。

PVCも2001年(1,916千トン)、2003年(1,759千トン)に次ぐ史上3位で、2004年以降の最高である。

輸入数量の大幅増加は「家電下郷」「汽車下郷」などの景気刺激策によるものと思われる。

そのなかで、PSのみ前年比マイナスで、数量も913千トンと、この10年で初めて100万トンを下回った。

下の表(単位:千トン)は各樹脂の主要輸入元の数量だが、重要な点がいくつかある。

  LD LL HD PP PS ABS   PVC
日本 118
(9%)
145
(7%)
184
(5%)
269
(6%)
31
(3%)
94
(4%)
408
(24%)
韓国 154 299 859 1,115 147 734 140
台湾 30 93 290 562 294 1,014 353
USA 97 318 496 493 3 13 303
サウジ 67 382 385 441 1 2 0
シンガポール 57 314 111 190 60 2 0
イラン 103 56 342 41 0 8 0
その他 724 593 1,191 1,050 377 301 511
合計 1,349 2,201 3,859 4,162 913 2,168 1,715
   
1) 日本からの輸入量が非常に少ない。
上の表の%は全輸入量に対する日本品の比率だが、PVCを除き、非常に少ない。
   
2) 韓国、台湾からの輸入がかなり多い。
この2国は生産量のかなりの部分を中国向けに依存している。
今後、中国の輸入が減少した場合、存亡の危機となり、日本に流入する可能性もある。
   
3) 米国品の急増
2009年に米国品が急増した。米国内の需要の減少を受け、中国に輸出した。
   
4) イラン品の流入
  これまでほとんどなかったが、2009年にPE、PPなどの大量輸出を行った。
イランも石油化学増設を続けている。
   
5) 上の表のほか、LDPEでロシア、カタール、PPでインド、ブラジルなどからの輸入が増えている。

シンガポールやサウジも石化の大増設を行っている。
世界中が中国市場を狙っており、競争の激化による価格下落が懸念される。
   
6) 中国での景気刺激策終了による需要の減少、大規模コンプレックス完成による生産の増加で輸入が減少した場合、大混乱が懸念される。
   

 


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


1月28日の参院本会議で7兆2千億円規模の追加経済対策を盛り込んだ2009年度第2次補正予算が可決、成立した。

2次補正予算は、国が休業手当を補てんする雇用調整助成金の支給要件緩和や、省エネ対策を施した住宅の新築や改築などを対象にした「住宅版エコポイント」制度創設、中小企業の資金繰り支援策などを盛り込んだ。

ーーー

2009年12月8日、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」が閣議決定され、「住宅版エコポイント制度の創設」が盛り込まれた。

「住宅版エコポイント制度」は、国土交通省、経済産業省、環境省の三省合同事業として実施される。 

1.エコポイントの発行対象となる工事の期間

  対象開始 対象終了
エコリフォーム 2010/1/1以降着工、2010/1/28以降に工事完了、引渡 2010/12/31着工
エコ住宅の新築 2009/12/8以降着工、2010/1/28以降に工事完了、引渡し 2010/12/31着工

 2009/12/8 「明日の安心と成長のための緊急経済対策」の閣議決定
  2010/1/28 平成21年度第2次補正予算の成立

-

2.エコポイントの発行対象及び発行ポイント数

 
持家・借家、一戸建ての住宅・共同住宅等の別によらず、対象

 国からの補助を受けて窓や外壁等の断熱工事を行っている場合は対象外
 (高効率給湯器や太陽光発電設備等はポイント対象工事でないため、
  これらの補助を受けていても、エコポイント対象)

-

エコリフォーム
窓の断熱改修
(省エネ断熱基準適合)
1箇所当たりポイント
内窓設置
外窓交換
ガラス交換
2.8m2以上  18,000P 1.4m2以上  7,000P
1.6~2.8m2  12,000P 0.8~1.4m2  4,000P
0.2~1.6m2   7,000P 0.1~0.8m2  2,000P
外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
 断熱性能が確認された断熱材
 (ノンフロン)を使用
外壁  100,000P
屋根・天井   30,000P
  50,000P
住宅区分、部位、断熱材ごとに最低使用量あり
バリアフリー改修

上記いずれかとの一体工事のみ
(これのみでは対象外)
手すり設置
 浴室、便所、洗面所、
 居室、廊下階段
それぞれの箇所数にかかわらず、
各 5,000P
段差解消
 出入り口、浴室、
 屋内
それぞれの箇所数にかかわらず、
各 5,000P
廊下幅等の拡張
 通路幅、出入り口幅
それぞれの箇所数にかかわらず、
各 25,000P
1戸あたり限度 50,000P
エコリフォーム限度額 1戸当たり 300,000ポイント
エコ住宅の新築 発行対象 
  A 
省エネ法に基づくトップランナー基準相当の住宅   
    登録住宅性能評価機関等の第三者機関による証明 要

  B 省エネ基準を満たす外壁、窓等を有する木造住宅
-
発行エコポイント数  1戸あたり300,000ポイント

-

3.エコポイントの交換

ポイントの交換対象

  ・省エネ・環境配慮に優れた商品

 ・全国で使える商品券・プリペイドカード

  ・地域振興に資するもの(地域商品券、地域産品)

 ・環境寄附

 ・エコリフォームの即時交換
当該エコリフォームを行う工事施工者が追加的に実施する工事の費用に充当できる

 ・エコ住宅の新築の即時交換
当該新築工事を行う工事施工者が追加的に実施する工事の費用に充当できる

この住宅版エコポイントについては、家電と異なり、住宅新築増には余り効果はないとの見方がある。
家電の還元率は5~10%であったが、住宅は限度が30万ポイント(30万円)で、新築が2000万円とすると1.5%に過ぎない。

リフォームに関しては、マンションなどでは居住者全体の賛成が必要で、短期間での実施は難しいと見られる。

ーーー

第2次補正予算の追加経済対策には、家電エコポイントを2010年12月末まで、エコカー補助金を2010年9月末まで延長することが盛り込まれている。

家電エコポイントは2009年5月15日から制度がスタート、2010年3月までの予定であった。

電子情報技術産業協会が1月26日発表した2009年の薄型テレビの国内出荷台数は、前年比40.4%増の13,626千台となり、過去最高を更新した。地上デジタル放送への完全移行を控えた買い替え需要に加え、政府のエコポイント制度による消費刺激が寄与した。

今回の延長に際し、省エネ目標基準値を2012年度の数値に変更し、エコポイントの対象となるテレビは、より省エネ性能の高い製品に限定する。このため、薄型テレビの50%近くがエコポイント対象外になるとされている。

なお、省エネ効果の高いLED電球、電球形蛍光灯、充電式ニッケル水素電池などを即時交換対象商品として、商品交換を促進する。

エコカー補助金は2009年4月10日から2010年3月31日の新規登録車が対象であったが、これを2010年9月末まで延長する。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


DSM Novomer Inc121日、CO2を原料とする画期的な塗料用レジンを共同で開発する契約にサインしたと発表した。
200711月にDSM子会社のDSM VenturingNovomer に出資し、協力契約を締結したのに続くもので、NovomerのユニークなCO2ポリマー化技術とDSMの技術及び営業力を結合する。

NovomerCO2とプロピレンオキサイドからポリプロピレンカーボネートをつくる技術を担当、DSMはポリマーを塗料や接着剤など用のレジンに加工する。

ポリプロピレンポリカーボネート等のポリカーボネートレジンは塗料等に使用されるが、コストが高く、製品固有の弱点もある。
今回の新しい
CO2ベースの脂肪族ポリカーボネートはこれらの弱点を解決する。

NovomerCornell UniversityDr. Geoff Coatesが開発した触媒技術を使用し、CO2とエチレンオキサイドからポリエチレンカーボネートを、CO2とプロピレンオキサイドからポリプロピレンカーボネートを作る技術を開発している。
前者は重量で
50%CO2を含み、後者は43%CO2を含んでいる。

同社はポリプロピレンカーボネートをNB-180 の商品名で販売している。

ーーー

二酸化炭素からプラスチックなどの高分子をつくる技術は東京理科大学の井上祥平教授(東大名誉教授:当時、東大助教授)と東大の鯉沼秀臣客員教授(当時、東大大学院生)が約40年前に見つけた。

井上教授 ECO JAPAN インタビュー 2007/5/29

私がこれを最初に発見したのは1968年、もう40年近く前のことです。これまで、私だけでなく、多くの研究者がこの理論をベースに、有効活用できるCO2由来の高分子を得られないかと研究を続けていますが、残念ながら実用化には至っていません。その理由はすでに多種多様なプラスチックが開発されていることに尽きますね。競合相手がたくさんいる中で選ばれるには、よほどの特徴がなければ難しいということです。

2007年に中国海洋石油の子会社の中海石油化学が生分解性プラスチック製造のため、海南島東方市の化学産業都市で年間 3,000トンのポリプロピレンカーボネートプラントの建設を開始した。
中国科学院・長春応用化学研究所が独自に開発した特許技術を使用している。
元の技術は1969年の S. Inoue の発明による)

なお、内蒙古の蒙西高分子材料有限公司が長春応用化学研究所からライセンスを受け、内蒙古のオルドスに年産 3,000トンの工場を持ち、2002年12月に販売開始している。

2007/8/20 中国のCNOOC子会社が生分解性プラスチック製造

東京大学、住友化学などの産学チームは2007年9月、二酸化炭素からプラスチックを作ることに成功し、量産技術の開発を始めると発表した。
野崎京子東大教授らが新しい触媒で耐熱性を改善し実用化のめどをつけたもので、新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受けて、2012年度にも実用化する。

2007/9/14 ニュースのその後 CO2からプラスチック

 


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ