「no」と一致するもの

東ソーは中国で塩ビの新工場を建設する。

日本経済新聞によると、広州市の「東曹(広州)化工」の隣接地を取得し、100億円を投じて2010年中に新工場の建設に着手する。現在の年産能力は22万トンだが、新工場は約40万トンとする計画で2012年の稼働を目指す。

ブルームバーグの報道では、東ソーは中国政府から30万トン増強するよう要請されており、東ソーとしては「いつごろ、どの程度増強するかについては中国政府と協議中」とのこと。

ただ、中国市場の需要は拡大しており、東曹(広州)化工はフル稼働の状態のため、2010年度中には増強の方向性を明確にするという。

東曹(広州)化工は2004年12月の設立で、東ソーが67%を出資、ほかに三菱商事、三井物産、丸紅が出資する。
立地は広州市南沙経済開発区。
当初は年産11万トンの計画であったが、中国政府が20万トン未満の新設を認めない方針を打ち出したため、能力を倍増した。

ーーー

2009年上期時点の中国のPVCメーカーのトップ10は以下の通り。

天津大沽化工  800千トン
新疆天業(Xinjiang Tianye)   720
シノペック齊魯  600
宜賓天原(Yibin Tianyuan)   500
上海クロルアルカリ  480
新疆中泰  480
山西楡社(Shanxi Yushe)   420
Formosa 寧波   400
内モンゴルElion (Yili) Chemical  400
ChemChina昊華宇航化工  400

 * 天津大沽化工は天津LG大沽化工(340千トン)のパートナー
 * 新疆中泰化工はウルムチの中泰産業パークでPVC 360千トンを建設中で2010年にスタートする。
  これに加え、下記の計画を持つ。

中国では相変わらず、多くの大規模計画が打ち出されている。

新疆中泰化工は2009年8月19日、新疆ウイグル自治区の阜康の中泰阜康産業パークで大規模計画の第一期の着工の式典を行った。

イオン交換膜法ソーダ年産120万トン、PVC 160万トン、カーバイドスラッグセメント320万トンを建設する。最終的には2015年に完成の予定。
今回はその第一期計画で、苛性ソーダ300千トン、PVC400千トンを建設、2011年第4四半期にスタートさせる。

ーーー

ダウと神華集団は2009年11月3日、陜西省楡林市で大規模石炭化学JVの起工式を行った。
石炭と岩塩を原料とし、石炭化学・クロルアルカリ技術を使った23のプラントが建設される。

塩ビはメタノールからつくるエチレンを原料とする。

メタノール  332万トン Coal to Methanol
オレフィン  122万トン Methanol to Olefins
クロルアルカリ   50万トン  
EDC   51万トン  
PVC   50万トン  

ーーー

安徽省淮北礦業(集団)の子会社Anhui Hwasu、安徽省Luquiao に新しく発電所、電解、カーバイド法VCMPVC(年産100万トン)を建設するが、このたび、PVCに関してArkemaの技術を導入した。
Arkema
と提携している Aker Solutionsが基礎設計を担当する。

計画は2に分かれ、第一期50万トンは2011稼動の予定。

ーーー

中国のPVCの輸入は2008年秋に急落した後、年末から急上昇したが、2009年夏に再度急落した。

また、日本品は(韓国、米国、ロシア、台湾とともに)ダンピング課税対象となっており、2009年9月に更に5年延長となった。
日本からの輸出は課税対象外のペーストと、汎用品については保税加工貿易用に限られており、将来に期待できない。

また、VCMの輸入も同じパターンを示している。
中国の新設PVCのほとんどはカーバイド法であり、輸入VCMによるものは少ない。

東ソーにとってはPVCは別として、ビニルチェーンのエチレン、電解、VCMの維持のためには、PVCを現地生産し、その原料のVCMを輸出するのが一つの手であろう。


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住友化学は2009年12月29日、豪州農薬会社 Nufarm Limited の発行済み株式の20%の取得ならびに同社と農薬事業の包括的な事業提携を行う方向で、基本的な枠組みを定めた覚書を締結したと発表した。

今後さらに協議を進め、最終的にはNufarmの株主総会での承認を経て、4月にTOBを通じ株式を取得し、筆頭株主となる。
1株14豪ドルで総額500億円程度となる。

TOB完了後、住友化学は取締役1名を派遣する。

豪州紙報道では、住友化学では既に豪州のForeign Investment Review Boardの承認を得ている。

まず販売と製品の2分野で協力する。
販売面では、住友化学が日本などアジアを中心に持つ販売拠点と、
Nufarmの中・東欧、南米など25カ国にある拠点をお互いに活用。
製品面では、住友化学が主力とする果樹や野菜に使う殺虫剤と、
Nufarmが強い除草剤を供給しあう。

住友化学は、現時点で工場の再編などは想定していないとしている。

ーーー

Nufarm Limited1957年設立の、メルボルンに本社を置く農薬会社で、豪州、ニュージーランド、アジア、欧州、南北アメリカに工場と営業拠点を持ち、従業員は 3,155 人
特許切れ農薬ではイスラエルの
Makhteshim Agan Industries に次ぐ世界第二位。

同社の決算は以下の通り。(百万豪ドル)

  09/7月期 08/7月期 増減
売上高  2,677 2,492  185
営業損益 151 309 -157
当期損益 81 138 -58

地域別実績

  09/7月期 08/7月期
売上高 営業損益 売上高 営業損益
Australasia 850 118 875 148
Europe 637 101 555 56
North America 775 8 631 84
South America 415 -41 431 59
全社   -35   -39
合計 2,677 151 2,492 309

09/7月期 品目別売上高比率

除草剤  Glyphosate  31% Monsanto Roundup
Phenoxies  21% Akzo
その他  20%  
殺虫剤  8%  
殺菌剤  7%  
その他  13% PGR(植物成長調整剤)、機能性展着剤、
種子処理、種子、散布機、その他

ーーー

Nufarmは2007年115日、中国化工集団公司 (ChemChina)Blackstone Group 及び Fox Paine Management III, LLC からの買収提案を受け入れた。買収額は30億豪ドル。

2007/11/8 ChemChina Blackstone Group など、豪州の農薬会社買収

しかしながら、コンソーシアムは交渉期限の同年1210日までに正式提案をすることが出来ないと通知し、その結果、交渉は打ち切られた。
グローバルな信用収縮により、有利な借入ができなくなったのが理由とみられている。 

2007/12/15 ChemChina 等の豪州の農薬会社Nufarm 買収交渉、破談

2009年9月27日、中国中化集団公司(Sinochem)は9月28日、113豪ドル、合計28億豪ドルでNufarmを買収する非拘束契約を締結した。

Sinochem はエネルギー、農業資材、化学品、ファイナンス、不動産をコア事業として展開する国営企業で、農業資材では肥料、農薬、種子を扱う中国最大の企業である。

この買収はこの分野での研究開発、製造、販売、サービスのチェーンのグローバル企業になるというSinochemの戦略に合うものである。

2009/10/6 Sinochem、豪州農薬会社Nufarmを買収へ

しかし、Nufarm12月21日、Sinochemが上記の非拘束契約を締結できないとし、112豪ドルでの買収を再提案したことを認めた。Nufarmの取締役会はこれを慎重に審議し、この再提案を受けるのは株主の利益にとり最善とはいえないと判断した。

判断理由は以下の通り。

 ・今回の12豪ドルは当初提案の13豪ドルと比べ非常に安い。
 ・
Sinochem提案は多くの条件付きで、いくつかは受け入れがたいもの。
 ・
Sinochem提案は中国と豪州当局の承認を要する。
 ・
Nufarm取締役会は自社の事業と今後の成長に自信を持っている。
 ・住友化学からの有利な提案がある。

Nufarm 会長は、住友の提案はNufarmの企業価値を正しく評価したものであり、同社との提携は長期的に利益を生むとしている。

ーーー

日本経済新聞によれば世界の主要農薬企業の2007年の農薬売上高は以下の通り(単位:100万米ドル)

世界の主要農薬企業の農薬売上高(100万米ドル)
BayerCropScience  7,447
Syngenta (Swiss)  7,285
BASF  4,291
Monsanto  3,753
Dow AgroScience  3,414
DuPont  2,400
Makhteshim Agan (Israel)  1,895
Nufarm  1,819
住友化学  1,248
Arysta LifeScience  1,036

このうち、NufarmとMakhteshim Agan は主として特許切れ農薬を扱う。
Syngentaは2000年にNovartis の農薬事業と(旧ICIAstraZenecaの)Zeneca Agroが合併してできた。

住友化学は原体販売が中心のため、売上高が少ない。

Arysta LifeScience はトーメンとニチメンの農業化学品事業、および医薬・動物薬関連事業を統合したもので、2001年10月に設立された。
2002年9月に、アジアで活動する米系ファンドの
Olympus Capital が出資、その後段階的に出資比率を上げ、2006年12月に(トーメンが合併した)豊田通商の持株を、2007年6月にニチメンの持株を買収し、100%株主となった。

2008年に欧州最大の買収ファンド、英Permira Olympus Capital から全株を買収した。

2007/10/26  欧州最大買収ファンドのペルミラ、農薬大手アリスタ買収


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出光興産は12月25日、日本風力開発(JWD)と提携し、JWD子会社の二又風力開発の増資を引き受け、共同で事業を推進することを決定したと発表した。

JWDと出光は、2009年3月30日に「共同事業に関する協定書」を締結して以来、CO2フリーのエネルギー供給を拡大することを目的として、蓄電池を併設した風力発電所の共同事業について協議を進めている。

今回、二又風力開発に出資し、その発電する電力と環境価値を初年度は40%、2年目以降は全量を引き取り、これを三菱地所が所有する新丸ビルに販売する。

二又風力開発は青森県上北郡六ヶ所村にあり、JWD 59.96%、出光 40%、六ヶ所村 0.04%の出資となる。
2008年5月の運転開始で、1,500kW
の風力発電機を34基、合計51,000kWの能力を持ち、世界で初めて蓄電能力34,000kWの大型蓄電池を併設している。
蓄電池は1ユニット2000kWのNAS(ナトリウム硫黄)電池17基から成る。

自然エネルギーは出力が不安定で取り扱いが難しいため、電力会社への送電量が制限されてきたが、蓄電池併設で、需要に応じて出力させることが可能となり、送電線への負担を大幅に減少させることができる。

需給調整ができる風力発電所が増えれば、電力会社への送電量も増やすことができ、CO2フリーのエネルギー供給の拡大に繋がるため、JWDと出光は、今後も蓄電池を併設した新たな風力発電所の開発および発電した電気・環境価値の販売に協力して取り組む。
また、電力の需給調整機能を果たす蓄電池の特徴を活かし、スマートグリッドなどでの活用方法を共同で検討する。

石油会社各社は、国内での石油製品需要の漸減、海外市場での新規輸出型製油所の出現による国際競争の激化と、低炭素社会への動きという事業環境の変化を考慮し、新エネルギー分野への進出を図っている。

ーーー

日本風力開発は1999年の設立で東証マザーズに上場している。
2001年2月に先ずドイツのザルツベルゲン市で売電事業を開始、同年9月に銚子で売電事業を開始した。

2009年9月末の風力発電所の設備容量は、ドイツのザルツベルゲン市の7,000kWを加え、272,450kWとなり、本年9月中間決算での風力発電による売電収入は1,937百万円となっている。

ーーー

世界風力会議(Global Wind Energy Council)の2009年2月の発表によると、世界の風力発電総設備容量は、前年の94,123MWから120,798MWに達した。毎年、20~30%超の伸び率を示し、順調に増加している。

日本は13位 1,880MWで、世界全体のわずか約1.6%である。

NEDO資料 http://www.nedo.go.jp/library/fuuryoku/index.html

 

日本の主な風力発電業者は以下の通り。

ユーラスエナジーホールディングス(Eurus Eergy

2001年11月設立で、東京電力が60%、豊田通商が40%を出資する。

操業中の設備容量:
  日本     438,060kW (+建設中 84,050kW)
  韓国     138,994
  アメリカ   523,960
  ヨーロッパ  726,240(スペイン 507,740、イタリア 169,200、イギリス 38,100)
  合計    1,827,254

・電源開発(Jパワー)

国内13地点で合計出力264,380kW
海外はポーランドにザヤツコボ風力発電所(48,000kW)

・日本風力開発  日本 265,450kW、ドイツ7,000kW。

・エコ・パワー(EcoPower)

荏原製作所子会社
20地域で119基が稼動中で、総発電容量は130,510kW

ーーー

出光興産と三菱地所は12月9日、出光の「生グリーン電力」を三菱地所の新丸ビルで受電することで合意した。

再生可能エネルギー100%の「生グリーン電力」を直接需要地が受電する取り組みは日本で初めてとなる。

グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力のことで、「電気そのものの価値」の他に「環境付加価値」を持つ電力と考えられる。
「生グリーン電力」は発電所から需用者に直接送られたグリーン電力のこと。
(通常の電力に「環境付加価値=グリーン電力証書」と組み合わせた「みなしグリーン」ではない。)

出光は、二又風力開発の生グリーン電力を2010年4月から託送(他の電力会社が保有・運用する送配電網を使用)により、直接新丸ビルに供給する。

三菱地所は、新丸ビルで使用する電力すべてを「生グリーン電力」で賄い、新丸ビルのCO2排出量が年間約2万t削減される。

三菱地所と出光興産は、東京都、千代田区、青森県が進める「再生可能エネルギー地域間連携」の仕組みに参加することを今後検討する。

ーーー

東京都は12月4日、青森県及び千代田区と、再生可能エネルギー地域間連携に関する協定を締結した。

都市の旺盛なエネルギー需要に対し、自然エネルギーの豊かな地域が創り出す再生可能エネルギーを活用することで、都市のCO2削減と地域の経済活性化及び雇用拡大とを同時に達成することを目指すもの。

同協定を踏まえ、都は、その民間パートナーを募集している。

参考  2009/11/7 中国企業、米国で風力発電事業


本年のブログは今日で終わります。

2006年2月15日にスタートして、今回で1336回となりました。
ご愛読、ありがとうございました。

コメント、ご意見、記事の希望など、お送りください。
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knak@js2.so-net.ne.jp までお送りください。


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Huntsman831日、世界第三位の酸化チタンメーカーで再生法(Chapter 11)適用中のTronox主要資産買収の"stalking horse" 契約を締結したと発表した。それよりも良い条件の買い手が出なければ、購入できる。

2009/9/5 Huntsman、再生法適用の酸化チタンメーカーの資産買収

Tronox はこのたび、Huntsmanとのstalking horse契約を破棄した。12月21日に予定されていた入札も中止となった。

Tronox
は社債保有者がスポンサーとなって再建する方向で交渉している。

Huntsmanは買値を高めてまで購入しようとは思わないとしている。


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バブル時に事業を担保とした借入金で買収を行い、バブル破裂により経営破たんに瀕しているのがIneosBasell(現在のLyondellBasell)である。

前者は借入契約の変更を行い、合わせて製油所売却交渉を続けている。
後者は民事再生法(Chapter 11)での再生手続きを協議中で、合わせて
インドのReliance からの買収提案についても交渉している。

同じ問題を抱えているのが、アルミニウム大手の UC Rusal (United Company Rusal) である。

ロシアの大富豪 Oleg Deripaska 1997年に持株会社Basic Element を設立し、エネルギー、製造、機械、資源、ファイナンスサービス、建設、航空の各分野でロシア、CIS、アフリカ、豪州、アジア、欧州、ラテンアメリカの合計100社以上に出資している。ロシアの自動車大手GAZもこれに含まれている。

その1社でロシア最大のアルミメーカーであるRUSALが2006年に、同国2位のSUALとスイスの商社Glencore International AGのアルミニウム部門を買収し、UC Rusal を設立した。
買収規模は約300億ドルになると伝えられた。

2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収

UC Rusal は2008年4月、Onexim Group (Norilskの元社長Mikhail Prokhorov が所有)からNorilsk Nickel 株の25%+1株 の買収を完了した。

2008/8/11 ニッケル世界最大手Norilsk NickelKGB出身者がトップに 

Onexim は現金とUC Rusalの株式 14%を受け取ったとされている。
UC Rusal は買収に当たり、45億ドルの協調融資をアレンジした。

ところがコモディティー価格が急落すると、担保のNorilsk 株が急落し、担保割れとなった。

オーナーのDeripaska の資産も2008年に280億ドルあったのが、今年は35億ドルに激減した。
銀行からの追加担保の要求を受け、カナダの自動車メーカー
Magna Internationalの株式15億ドルとドイツの建設会社Hochtiefの株式5億ドルを売却している。

UC Rusalは2008年10月31日期限の対外債務の返済資金を工面できなくなった。
このため、海外金融機関は見返りにNorilsk Nickel の株式を要求した。

ロシア政府は、ニッケルや希少金属をもつ戦略企業の所有権が海外移転するのを恐れ、また、雇用維持のため、危機対策として設定した500億ドルの融資枠から45億ドルを国営の、対外経済銀行(Vnesheconombank)を通じて融資、同社を破綻から救った

対外経済銀行の監査役会はプーチン首相が長となっている。

本年6月、Deripaska 氏の所有するサンクトペテルブルク郊外の工場が閉鎖され、労働者がプーチン首相に助けを求めた。
プーチンは国営テレビが放映する中で、「自分の野心、プロ意識のなさ、そして恐らく強欲のために、何千人もの住民を人質にした」と
Deripaska を非難、工場再開に合意する契約書にサインさせた。

債務総額は168億ドルに達しており、UC Rusalは本年1年はその対策に追われた。

Deripaska 氏は本年5月、プーチン首相に同行して日本を訪問、日本の債権者と協議した。

12月3日、UC Rusalは総額169億ドルの債務の条件変更について契約を締結したと発表した。

海外金融機関からの74億ドルの債務は2段階に分かれる。
最初の
4年間は返済は返済可能ベースで行われる。金利は借入金のレベルに応じてLIBOR+(1.75%~3.5%)とする。
残額は3年返済とするが、Rusalは別の返済方法があればそれを採用できる。

ロシアの銀行の21億ドルについても契約が締結され、4年の期間を必要があればあと3年延長することとし、金利は89%に下げられた。

ONEXIMからの27億ドルについては、18.2億ドルをRusalの株式6%に変換することとなった。
残額は海外金融機関のものと同様の扱い。

UC Rusal はこの決着を受け、新株発行で20億~25億ドルの資金調達(IPO)を目指すこととしている。
発行済み株式数の10%にあたる新株を香港とパリの株式市場で発行する。

但し、当初は年内に行われる予定であった増資は来年に繰り越されることとなった。

対外経済銀行からの45億ドルの融資は期間が1年であったが、11月に1年間延長された。
海外金融機関が
7年の延長を認めたが、対外経済銀行は来年以降については明言していない。

このため、増資を承認する担当の香港当局は来年これがどうなるかを懸念した。

対外経済銀行はその後、1年以上延長する手続き中であること、約6億ドルを出資してIPOで3%以上引き受けることを明らかにしている。

プーチン首相と並んで対外経済銀行の監査役会に名を連ねるロシア財務相は、「我々は、Rusalが財務問題をすべて片付け、危機を乗り越えることに関心を持っている」と述べた。


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Braskemと酵素メーカーのNovozymes は1214、サトウキビからのPP生産で提携したと発表した。

Braskemは約250億円を投じて、Rio Grande do Sul 州Triunfo市Southern Petrochemical Complex でさとうきびエタノールから年産20万トンのエチレンとポリエチレン(HDPE+LDPE)工場を建設している。

2009/12/1 テトラパック、ブラスケムのグリーンプラスチックを使用

同社は2008930日、世界で初めて再生可能原料からのグリーンポリプロピレンの開発に成功したと発表した。
最初は実験室で、次にパイロットプラントで製造に成功、Beta Analytic Inc.
から認証を得た。

同社は、今回のNovozymesとの提携で、Novozymesの発酵技術とBraskemの化学、プラスチック技術を結びつけ、大規模生産技術を確立し、グリーンポリマーでの世界のリーダーを目指すとしている。
開発期間は最低5年としている。

Novozymesも農業廃棄物をバイオ燃料にする酵素を生産しており、また、再生可能原料からアクリル酸を生産する計画でCargill 提携している。

CargillNovozymes は20081、再生可能原料から3-ヒドロキシプロピオン酸(3HPA)を経由してアクリル酸を製造する技術を共同で開発する契約を締結したと発表した。
米エネルギー省から
150万ドルの支援を受ける。

バイオ技術でつくった微生物を使用して砂糖を発酵させて3HPAに変換する。
3HPAはその後、アクリル酸を含む幅広い化学製品に変えられる。


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化学関係の通信社ICISは、SABICMohamed Al-Mady CEOとのインタビュー記事を掲載した。
インタビューは
1210日に Gulf Petrochemicals and Chemicals Association の第4回フォーラムの場で行われた。

CEOは、SABICは技術と市場にアクセスするため、最終的には買収を狙うとした。
但し、今のところ具体的な計画はない。

CEOの発言は以下の通り。

常にCompetitive でないといけないが、そのためには原料(material inputs)、市場(market access)、技術(innovation)が必要である。

「原料」については、天然ガスの不足の懸念はあるが、事態は改善すると楽観している。
しかし、「市場」は、買収によってのみ可能である。
「技術」も同様で、自社でやると時間がかかり過ぎる。
買収を通じて、人材も確保できる。

我々の戦略に合致し、価格が適正であれば、買収を狙う。
(但し、今のところは、サウジと海外で行っているプロジェクトで手一杯である。)

この考え方は、これまで行ったDSMHuntsmanの事業の買収(現 SABIC Europe)、GE Plastics の買収(現 SABIC Innovative Plastics )の理由である。

GE Plastics 買収でSABICは エンプラを主とするSpeciality chemicals部門に参入した。これを強化したい。

サウジが進めるSpeciality chemicalsへの多角化をよく表すのがSaudi Kayan projectである。
大部分が
2010年末から2011年にスタートする。
この製品の多くはサウジで初めてのものだ。

Joint ventures も技術と市場にアクセスするためのもう一つのルートである。
日本企業との合弁の
SHARQExxonMobilとのJVYanpet などが良い例である。

SABICはまた、SINOPECとの天津石化JVで中国市場に進出した。
石化コンプレックスは
12月末に稼動する。

最近発表した米国の Albemarle 触媒トリエチルアルミの製造JVも別の多角化の例である。
触媒は天津であれ、どこであれ、使用できる。

    市場 技術 Specialty化
買収 SABIC Europe
DSM事業、Huntsman事業)

(欧州)
 
SABIC Innovative Plastics
GE Plastics

(全世界)
JV SHARQYanpet、その他    
Saudi Kayan project    
(多角化)
天津JV
(中国)
   
触媒JV  

中国は需要の伸びが高く、SABICにとって完全な投資先である。

但し、インドは問題である。インドの政策は透明でなく、我々は投資を求められていない。
需要の伸びが高く、国内企業だけではやっていけないが、保護主義を採っている。

インドは最近、サウジ、オマーン、シンガポールからのPPにダンピング課税を行った。
中国もブタンジオールと
メタノールについてダンピング調査しているが、これについては話し合いが続いている。


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住友化学は本年6月、飼料添加物メチオニンの需要増に対応し、愛媛工場に1系列 4万トンを増強し、14万トンにすると発表した。
2011年第1四半期に完成の予定。

更に12月10日、中国大連にメチオニン(2万トン/年)と農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(4千トン/年)を製造販売する合弁会社を設立したと発表した。

2011年第4四半期の完成後には、同社のメチオニン能力は日中合計で16万トンとなる。

設立したJVは大連住化金港化工有限公司で、遼寧省大連経済技術開発区に工場を建設する。
住友化学が80%、大連金港集団が20%を出資する。

住友化学は2003年に同地に農薬中間体製造販売のJV 大連住化凱飛化学を設立しているが、大連金港集団はこれに40%出資する大連凱飛化学の株主の1社である。

東洋エンジニアリングは12月14日、飼料添加物メチオニン製造設備建設プロジェクトを受注したと発表した。

ーーー

メチオニンは、動物の体内で合成することができない必須アミノ酸の一種で、鶏などの家禽用飼料に広く添加されている。
鶏の飼料はトウモロコシや大豆かすを主原料とするが、鶏肉や鶏卵の品質や生産性を向上させることを目的にメチオニンが使用されている。

世界的な人口の増加、発展途上国や新興国の経済成長による食肉文化の広がり、健康を意識した鶏肉志向の高まり、家畜排泄物の管理や規制といった環境問題への対応(メチオニン添加で鶏の排泄物中の窒素含有量が低減)、中長期的な飼料用穀物の不足や高騰に対する懸念など、さまざまな理由から、メチオニンの需要はここ数年拡大を続けている。

現在全世界で約70万トンといわれる市場は、今後も年率5%程度で増加していくものと見込まれている。

住友化学は世界50カ国以上に輸出しており、特にアジアでは圧倒的なシェアを持っている。
同社
は、特に伸長が著しい中国の需要に応じるため、長期的には大規模生産設備への増強も視野に入れ、まずは2万トンの設備を、中国に新設することとした。

なお、中国の藍星集団と同社のフランスの子会社Adisseo Groupは本年8月、メチオニン工場を南京市に建設する契約を締結した。能力は年産7万トンで、2012年下半期に稼動の予定。

2009/8/27 藍星集団、南京でメチオニン工場建設

ーーー

メチオニンのメーカーは、中国の小規模メーカーを除くと、住友化学と、Evonik(旧称 Degussa)、Novus International、Adisseoの4社である。

Evonikは50年以上の生産の歴史を持ち、ドイツのWesseling、ベルギーのAntwerp (2006年に12万トンを建設)、米国のMobile にプラントを持っている。能力は35万トンで、手直しで2013年までに43万トンにするとしている。

Novus International は1991年に三井物産(65%)と日本曹達(35%)がMonsantoからメチオニン系飼料添加物製品(MHAとALIMET)の事業を買収して設立した。メチオニンの能力は明らかにされていない。

Monsanto は1950年代初めに研究を開始し、MHAの生産を始めた。1979年にALIMETを発売した。

Novusはその後、Monsantoから分離したSolutiaから飼料保存剤事業を買収、現在では多種類のanimal nutrition and health を世界90カ国以上に販売している。

日本曹達は1967年から二本木工場でDL-メチオニンを製造していたが、2006年に事業構造改善策の一環としてメチオニン生産を停止した。
日本化薬は日本曹達にOEM生産を委託して販売していたが、同時に撤退した。

Adisseo は2002年にCVC Capital Partners Aventis (現在はSanofi Aventis)の動物栄養製品部門を買収して設立した会社で、メチオニン、ビタミン、飼料用酵素を製造販売している。
2006年1月に中国の藍星集団がCVCから買収した。

メチオニンの能力は20万トンだが、フランスとスペインの工場でメチオニンを合25千トン増強することを明らかにしている。

上記の通り、藍星集団とAdisseo Groupは南京でメチオニンを生産する。 


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イラクの石油の第二次入札が12月11-12日の2日間行われた。

日本の石油資源開(Japex)12日、マレーシアのPetronasと組んで、イラク南部のGharaf油田を落札した。
油田は自衛隊が駐留していたSamawahの近くで、比較的安全と言われている。

イラク石油省が設立する会社(Iraq State Entity)が25%の比率で参加し、残りの75%をコンソーシアム2社が出資する。
Petronasがオペレーターを務める。

油田名 位 置 参加 参加比率  
ガラフ油田 イラク南部
ナシリアの
北85km
石油資源開 30% (40%)  
Petronas 45% (60%) オペレーター
Iraq State Entity 25%  

PetronasJapex が共同で約70億ドルを投入し、7年以内に生産を開始する。
原油1バレルごとに $1.49 の報酬を受け取る条件で、20年間、日量230,000 bbl を生産する。
イラクでは油田の権益自体は取得できないが、開発・生産のコストを原油で受け取ることができる。

同油田は、1984年に発見された未開発油田で、石油資源開発は、2005年3月に調印したイラク石油省との技術協力覚書のもと、同油田の評価スタディを同省と共同で行い、知見を有している。

両社は入札で
3つのチームに打ち勝った。
 ・
トルコ国営石油(TPAO)/インド ONGC
 ・
カザフスタンのKazMunaiGas/韓国のKoGas/イタリア Edison
 
・インドネシア Pertamina

石油資源開発は1955年に石油資源開発株式会社法に基づく特殊会社として設立され、国内で油・ガス田を発見するとともに、海外にも進出した。

1967年の石油開発公団の設立で、同公団の事業本部に編入されたが、1970年に公団から分離、商法に基づく民間会社になり、2003年に東京証券取引所に上場している。

国内では北海道、秋田、山形、新潟で探鉱開発に取り組み、海外では、東南アジア、カナダ、北アフリカ、中東、ロシア・サハリンを中心に探鉱開発事業を行っている。

2009年3月期の原油及び天然ガスの平均生産量合計は、原油換算で42,209バレル/日。
今回の油田の大きさが分かる。

ーーー

日本勢としては、一次で新日本石油、国際石油開発帝石、石油資源開発、三菱商事、二次で石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が入札資格を得ているが、これが初めての落札となる。

なお、第一次開放とは別枠でNasiriyah油田(Samawahの南東)の交渉が行われている。

日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)とEniが争ってきたが、Eniが第一次開放分で調印したZubair開発に注力するため、日本側に権利が与えられるのは確実とみられていた。

しかし、今のところ決着を見ていない。
(一時は日本の交渉チームがバグダッド空港に着きながら、石油省に行かず、交渉ができないという事態もあった。)

2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展

二次入札の結果は以下の通り。
(第一次開放対象の状況は 2009/11/12 
イラク、第一次油田開放で進展

  埋蔵量
 
bn bbl
生産能力
 ‘
000 b/d
落札 条件
Majnoon(マジヌーン)   8.20  600-800 Shell 60%
Petronas 40%
$1.39/bbl1.8 million bbl
West Qurna 2(西クルナ)   13.50    600 Lukoil 75%
Statoil ASA 25%
$1.15/bbl1.8 million bbl
Halfaya(ハルファーヤ)   4.60  250-600 CNPC 50%
Petronas 25%
Total 25%
$1.40/bbl535,000 bbl
East Baghdad(東バグダッド)   0.80   80-350 なし  
Gharaf(ガラフ)   1.00  100-140 Petronas 60%
石油資源開発 (Japex) 40%
$1.49/bbl230,000 bbl
Middle Furat Kifl(キフル)   0.21    28 なし  
West Kifl(西キフル)   *0.18    25 なし  
Marjan(マルジャン)   *0.15    20 なし  
Badrah(バドラ)   0.50    70 Gazprom 40%
Turkish Petroleum (TPAO)
  10%
Korea Gas Corp.
30%
Petronas
20%
$5.50/bbl170,000 bbl
Qayara(カイヤラ)   0.80    80 Angola's Sonangol $5.00/bbl120,000bbl
Najmah(ナジマ)   0.85    85 Angola's Sonangol $6.00/bbl110,000 bbl.
Eastern Fields Qarmar(カマール)   0.15    20 なし  
Gilabat(ギラバット)   0.20    30 なし  
Nauduman(ナウドマン)   0.05   >10 なし  
                          * 未確認

12月11日にはMajnoon油田とHalfaya油田が決まった。

MajnoonShell/Petronas
報酬 $1.39はイラク側の案より低いが、採掘量は180万バレルでイラク側希望量の2倍以上となった。
Saddam Hussein時代から交渉を続けてきたTotalCNPCと組んだが敗退した。見返りにHalfayaに加わった。

Halfaya
CNPC/PetronasTotal が加わった。
Statoil も応札したが敗退。

East Baghdadは治安が悪いこと、重質油であること、地質が複雑で採掘が困難なことから、応札なし。
また、
Eastern Fields QarmarGilabatNaudumanも応札がなかった。

Qayaraはアンゴラの国営石油 Sonangolが入札したが、報酬が$12.50でイラク要請($5)と比べ高過ぎ、決まらなかった。
しかし、
Sonangolは12日にイラク側の条件に同意し、決定した。

Sonangolはこれに20億ドルを投じるとしている。

翌12日に残りの入札が行われた。

West Qurna Phase 2 Lukoil NorwayStatoil ASAに決まった。

Lukoil は1997年にSaddamとの間でこの油田開発で37億ドルの契約にサインしたが、Saddamは2002年にこれをキャンセルした。
モスクワはSaddam失脚後にこれの復活を求め、イラクの129億ドルの債務を帳消しにしている。

    Statoil Halfa油田の入札で敗退している。

Gazpromをリーダーとし、トルコのTPAO、韓国のKogas、マレーシアのPetronasが参加するコンソーシアムがBadrah油田を落札した。

Middle Furat油田群(KiflWest KiflMarjanは入札がなかった。
イラク側はこれらを自ら開発するとしている。.

アンゴラのSonangol は前日のQayaraに次ぎ、Najmah油田を落札した。

Sonangol は当初、報酬 $8.50を提案したが、交渉の結果、イラク側提案の $6 で決着した。

ーーー

イラクのクルド自治区のTaq Taq 油田で石油を生産しているAddax Petroleum を買収したSinopec は入札に参加できなかった。
イラク石油省は中央政府の承認なしにクルド政府と石油契約を締結した企業とは取引しないとしている。

韓国石油公社とSKエナジーも、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結したため、入札資格を与えられていない。

2009/6/26  Sinopec、Addax Petroleum を買収

2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

 


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住友化学は12月7日、100%子会社の大分ゼネラルサービス、日本エコアグロとともに、農業法人を大分県豊後大野市に設立すると発表した。高品質のトマトを栽培する。
3品種程度を栽培、パートを含め従業員十数人で、ビニールハウスで年間100~150トンを生産する計画。

同社は本年5月に長野県中野市でもイチゴを栽培する農業法人を設立している。

いずれも耕作放棄地を賃借し、住友化学グループの農薬、肥料、潅水チューブ、農業用ポリオレフィンなどの農業関連製品を用いる。
生産された作物は日本エコアグロを通じて販売する。

社名 株式会社住化ファーム長野 株式会社住化ファームおおいた(仮称)
所在地 長野県中野市 大分県豊後大野市
資本金 96百万円 300 百万円
出資比率 住友化学 30%
日本エコアグロ(住化100%) 70%
住友化学 37%
大分ゼネラルサービス(住化100%) 53%
日本エコアグロ(住化100%) 10%
栽培面積 1ha(耕作放棄地を所有者から賃借) 借地 1.76ha(うち耕作放棄地活用1.06ha)
施設面積 1ha
栽培作物 イチゴ 高品質のトマト
栽培システム 隔離土耕 隔離土耕等
販売 日本エコアグロ 日本エコアグロ
その他 住化グループの農薬、肥料、潅水チューブ、農業用ポリオレフィンなどの農業関連製品使用

住友化学は、グループ企業も含め、農業関連製品を幅広く取り扱っており、最近は独自に開発した「農業経営支援システム」の提供をはじめ、ニーズが高まりつつあるIPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫管理)やICMIntegrated Crop Management:総合的作物管理)の観点もふまえ、安全安心で効率的な農業生産を総合的に支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」ビジネスを展開している。

「農業経営支援システム」は住友化学が独自に開発したシステムで、農業生産者はパソコンで、栽培履歴や生産コストの管理を行うことができるほか、農薬散布や施肥に関して適した剤や時期の情報を取得が可能。

同社ホームページの「i農力」サイトは,農薬、肥料、気象など農業に関する様々な情報やそれに関するサービスを会員に無料で提供している。

同社では、自ら農業法人を設立・運営することで得られる栽培技術や農業経営のノウハウも生かしながら、地域農業の活性化に貢献していく考え。

全国10カ所に農業事業子会社を設立して直営農場を経営するほか、20~30カ所の農場に生産を委託する。
作物は百貨店など大手小売りに直接販売する。2015年度に50億円の売上高を目指す。

全国規模で農地を確保して異業種参入するのは大手製造業で初めてとなる。
九州ではJR九州が同じ大分県内で来年4月からニラを生産するほか、西部ガスも北九州市で取り組んでいるリーフレタスの生産能力を倍増させる。

「住化ファームおおいた」の設立に当たっては、大分県と豊後大野市の協力を得て農場候補地の選定を行い、同市内の耕作放棄地等を活用する。
地権者と締結する土地の賃借契約については、改正農地法施行後に締結を予定しており、改正農地法の第一号案件になる見込み。

改正農地法は2009年6月17日参議院本会議で可決成立、2009年12月末までに施行される。
改正法は、「農地耕作者主義」をやめ、食糧の自給率向上や環境保全などに重大な障害を持ち込むおそれを回避できる「効果的および効率的な農地の利用」を目指している。

食料の安定供給を図るための重要な生産基盤である農地について、転用規制の見直し等によりその確保を図るとともに、農地の貸借についての規制の見直し、農地の利用集積を図る事業の創設等によりその有効利用を促進する。

日本エコアグロは住友化学の100%子会社で、事業内容は以下の通り。

 ・栽培農家・産地に対する土壌診断、肥料や資材の提案・販売
 ・当社独自のIPM防除プログラムの提案・販売
 ・各種栽培技術による栽培支援
 ・農産物の企画の提案、流通と販売

 


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